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福田説明員 先ほど中小
企業金融につきまして、別に御質問がございましたので、大体さしあたり考えておりますことについては、先ほどお答え申し上げた
通りでありますが、基本的な考え方といたしまして、ただいま大
企業については比較的めんどうを見ておるけれ
ども、中小
企業については、めんどうの見方が足りないんじやないか、むしろ親不切じやないかという御指摘を受けたわけであります。しかし概して
金額的に申しますと、どうしても大
企業の方が
金額がかさむ
傾向にありますので、
金額のみについて申し上げますと、大
企業に対する
資金の使用量というものは大きく
なつております。ただ
金融機関が取扱
つております仕事の分量
——具体的に申しますと貸付の件数とか、あるいは取扱
つている口数とか、相手にしている業者の数とか、取扱い件数から申しますと、たとえば地方
銀行のごときは、七割ないし八割くらいにはなるのじやないかというふうに私は思
つておるのであります。具体的に今
数字を持ち合わせておりませが、大体そういつたような
状況でありまして、ことに地方
銀行に行
つて、先ほ
ども申し上げましたが、
金額別の調査を試みにや
つてみましても、そういつた結果が出るのでありまして、
金融上特に中小
企業に対して冷淡に考えておるということは、少し非難が当らないのじやないかとも思いますが、ただ問題として考えられますものは、過去において
復興金融金庫がかなりはなやかに活躍しておりました当時においては、大体において
復興金融金庫の
融資というものは大
企業に大きく集中しておつた。それをよく碎いてみますと、
金額ではなるほどその
通りでありますが、件数で見れば必ずしもそうでもないのじやないかとも思います。その後
復興金融金庫がああいうふうに活動をほとんど亭止するような
状況になりましたために、中小
企業に対する特別の代理
融資とか、あるいは損失補償
融資というようなものが行えなくなりました
現状から見ますると、大
企業については比較的に
見返り資金などの運用も認められそうだ、しかし中小
企業についてはそういつためんどうを見てくれるかどうか、非常に怪しいというような点から見ますと、御指摘のような非難があり得ると思います。それらの点については、從來伺
つておつたものに似たような何らかの中小
企業に対する特別の措置が、考えられなければならないのじやないかと思
つておりますが、さしあたりとしては、先ほど申し上げましたような
程度のことを。とりあえず実施したいというふうに思
つておるわけであります。なおついでに話は少し横道にそれるかもしれませんが、先ほど皆さんのお
手元にお配りいたしました資料について、
簡單に御
説明申し上げさせていただきたいと思います。二つ資料がお
手元に行
つておりますが、一つは
市中銀行の貸出し
状況及び口銀貸出し金の推移についてという
説明書きでございます。もう一つの方は系数資料でありまして、この
説明書きの方は五月、六月、ごく最近の二箇月間の樣子から見まして、一体どういう
状況に
なつておるかということを概観したものであります。もう一つの方の横にこまかく並べております
数字は、今年度に入りまして後のおもな
金融上の指標となるべきものを掲げたわけでありますので、若干
数字なり文字なりに間違いがありますから御訂正をいただきたいと思います。横書きに
数字を並べております「月銀主要勘定を通じてみた
日銀券増減調」という表がございます。この眞中辺に「対
市中債券増減」という欄と「
復金債引受等増減」という欄がございますが、実はこれは
日本銀行の料目の整理、まとめる場合のまとめ方が少しかわりましたので、こういつた結果にな
つたのですが、「対
市中債券増減」の欄に全部集中して見ていただきたいと思います。つまり二十三年四月から二十四年四月までの間には、そこは空欄に
なつておりますが、右側の
数字を左に寄せていただいて、右側の欄を消していただくというふうにお考えいただきたいと思います。なお、その隣りの民間
預金増減とありますのは、民間から
日本銀行の預り金の増減を示したものであります。この表の見方は、大ざつぱに申しますと、一番右側に
日銀券増減という欄がございます。この
日銀券の増減を
原因別に区分したものでありまして、対
政府関係と、対民間
関係とにわけますには、一番左側の
政府資金撤超、揚超という欄がございます。これが
政府関係を一括した
数字でありまして、残りを全部合計したものが民間
関係の
日銀からの
資金を引上げた
支拂い超過額を示すものであります。從
つてごく
簡單に申しますれば、
日本銀行券の増減という
数字、たとえて申しますと昭和二十四年の一番下の欄の五月を見ますと、九十一億の
日本銀行券の收縮を見ておりますが、その
原因は
政府関係では二百三十九億の
支拂い超過があつた。にもかかわらず通貨が九十一億收縮したということは、二百三十九億と九十一億の合計額を、民間
関係から吸い上げたという結果になるわけであります。もつとわかりやすい例を申しますと、昭和二十三年の七月を例にとりますと、通貨は百億
増加いたしております。
政府の
支拂いが二百十五億
支拂い超過に
なつております。
政府が二百十五億
支拂い超過に
なつたが、民間
関係で約百億余りの引上げかあ
つたので、通貨は百億
程度の
増加でとどまつたというふうにごらんいただくわけであります。普通の
金融の
情勢から申しますと、
政府の
支拂い超過が非常に多い場合には、それが
銀行の貸付金の回收なりあるいは
預金の
増加となりまして、
日本銀行に帰
つて來て、その差額が通貨の増発となるのが通例であります。ところが今度逆に
政府が非常に
引上げ超過を行いました場合には、
日本銀行の方が貸出しをふやすことによ
つて、通貨の急激なる縮小を調節するということに
なつておるわけであります。その
傾向から考えてみまして、昭和二十四年の三月、四月、五月あたりでは、
政府の方では
支拂い超過に
なつたにもかかわらず、民間の引上げが
支拂い超過額をはるかに越えて、通貨は收縮するというような事態が、特に五月において顯著に現われておるわけであります。これはある面から申しますと、
金詰まりを現わしたものであるというふうにも見得ると思いますが、それで五月のそういう
情勢が、六月に行つたらどういうふうな姿に
なつたかということが、この作文の方の
説明書きにある
数字でございます。
説明書きの方を
簡單に申し上げますと、一番最初に
市中銀行の
預金及び貸出
状況と書いてありますのは、六月中における
情勢であります。全部はとれませんので、六大
銀行の東京
大阪地区をとつたわけでありますが、東京地区におきましては、
預金が三十五億
増加したのに対して、貸出しが六十七歳ふえております。これは
市中銀行の貸出しであります。つまり
預金増加に対する貸出し
増加高の割合は一九二%ということに
なつております。
大阪地区では同じような
傾向で
預金が三十九億ふえたのに対して、貸出しが四十三億
増加しておりまして、いずれも東京、
大阪ともに
預金の
増加を越えて貸出しがふえておるのであります。このいわば不足
資金、貸出し
資金の
預金で足りない分は、
市中の手持
復金債を
日本銀行が買い上げたり、あるいは
市中に対して
復金債の
現金償還が行われておるというような事情もあるわけでありますが、この
数字から見ますると、五月に比べて六月は、大分金の出方と申しますか、貸出しぶりがかわ
つて來ておるということが見得るのではないかと思います。つまりいわゆる
金詰まりという方向が、大分緩和されつつあるとも見得るのではないかと思います。なお五月の
情勢につきましては、三のところ五月の
情勢と六月以降の
情勢という対比がございます。そこで五月中における今の東京地区、
大阪地区の六大
銀行の
預金、貸出しの
状況がそこに示してあるわけでありますが、
預金に比べて貸出しがいずれも三割以下でありまして、この
余裕の分は結局
日本銀行へ帰
つて來たということを物語るわけであります。この両面から見まして、五月における
市中銀行からの金の出方と六月における金の出方とは、
相当樣子がかわ
つて來つつあるということが言い得るのではないかと存じます。なお資料の「
日銀主要勘定を通じてみた
日銀券増減調」その下に「全國
銀行預金貸出金調」というのがございますが、これは実は資料のつくり間違いでありまして、増減で示すところを残高で示しておりますので、ほんとうの動きを見るためには、前月との差引きの額を出してごらんいただけばよいかと思いますが、なおこの
数字については
経済安定本部からも別途その増減の調べを出されておつたようでありますから、そちらでごらんいただきたいと思います。なおこの
数字で括弧の中に入
つておりますものと括弧のないものと三月まで二欄ございますが、括弧の中の
数字は再建整備の際における新勘定の
数字でありまして、括弧の外は旧勘定の
数字をも含んだものでございます。備考に書き漏らしましたので口頭で
説明いたす次第であります。