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1949-05-25 第5回国会 衆議院 大蔵委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年五月二十五日(水曜日)     午後零時四十四分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 小峯 柳多君 理事 島村 一郎君    理事 宮幡  靖君 理事 荒木萬壽夫君    理事 風早八十二君       岡野 清豪君    小山 長規君       北澤 直吉君    佐久間 徹君       前尾繁三郎君    三宅 則義君       河田 賢治君  出席國務大臣         大 藏 大 臣 池田 勇人君  出席政府委員         法務廳事務官         (法制第一局         長)      林  修三君         大藏事務官         (主計局長)  河野 一之君         大藏事務官         (主計局第二部         長)      石原 周夫君  委員外出席者         專  門  員 黒田 久太君         專  門  員 椎木 文也君     ————————————— 本日の会議に付した事件  消費生活協同組合法の一部を改正する法律案に  関する要望事項決定の件  貿易特別会計法政令による改正に関する件     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  昨日の厚生委員会との連合審査会におきまして、宮幡委員よりの動議もあり、本日消費生活協同組合法の一部を改正する法律案の取扱い方につき、厚生委員会に要望いたしたいと考えますが、この点いかがとりはからうことにいたしますか。
  3. 宮幡靖

    宮幡委員 この改正法律案については、すでに厚生委員会との連合審査の際に、いろいろと提案者及び厚生省政府委員等に対しましてお尋ねをいたしたのでありますが、金融に関しまする問題を主管いたしまする当委員会といたしましては、とうてい納得のできない法案であります。さりとて庶民階級に対しまする金融の道を開いてやるという点の趣旨には、あえてわれわれ反対の意思を表明するものではありません。この点を達成せしむるということには、何とかこの改正法律案の中において考慮したいと存じておつたわけでありますが、昨日御承知のように関係筋からの正規の御勧告があつたということを、法制部の方からも御発表がありましたし、またわれわれの知つております範囲においても、金融業法と仮称されておりまする金融関係法規整備が、きわめて近い時期に当面しております。たとえて申しますならば、今回の日本銀行法等の一部を改正する法律案、かようなものは当面の應急措置といたしまして、將來日本銀行法全面的改正——これも非公式ではありますが、発表となつておるような事実がありますので、事いやしくも金融に関しますることは、全般的な金融関係法規整備の際に檢討することがきわめて妥当である。從つてわれわれは、この改正案に対する趣旨に対しては必ずしも反対でありませんが、本國会においてこれを審議して、また來るべき金融関係法規改正に抵触するような事態の生まれることを、はなはだおそるるものでありますので、この際次の機会審議をして、厚生委員会へ申し入れたらどうかと思います。この要望事項の原案を申し上げますから、委員長から何とぞお諮りを願いまして、適当なおとりはからいを願いたいと思います。    要望事項   消費生活協同組合法の一部を改正する法律案については、消費生活協同組合金融事業を兼営することは疑問の存するところであり、また預金者保護規定を欠く等の点もあつて、近く予想せらるる金融関係法規整備と相まつて檢討することを妥当と認めらるるばかりでなく、客観的諸般情勢等も勘案して、本改正案審議は次の機会に延期せられたい。  右要望する。
  4. 川野芳滿

    川野委員長 ただいまの宮幡君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 川野芳滿

    川野委員長 御異議ないようでありますから、そういうことに決定いたします。委員長より厚生委員会に申し入れをすることにいたします。  なお風早議員から緊急質問の申出もございましたが、主管大臣がお見えになりませんので、午前はこの程度にいたしまして午後二時から再開することにいたします。     午後零時五十一分休憩      ————◇—————     午後二時三十五分開議
  6. 川野芳滿

    川野委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  午前中風早委員より要求のありました貿易特別会計法政令による改正に関する緊急質問につきましては、関係当局の御出席がありましたので、この際風早委員の発言を許します。
  7. 風早八十二

    風早委員 今日の新聞を拜見しまして初めて知つたことでありますが、政府外國為替資金貿易特別会計に置いて、米國日援助物資取得処分に関する経理というものを、貿易会計内に独立勘定を設けて取扱うことになつて、二十四日の貿易特別会計法の一部改正政令でもつて公布し、即日施行した。こういうふうなことがあるのでありますが、これはわれわれとしてはまつたく寢耳に水でありまして、どういう法的な根拠に基いてこの政令により公布されて、それによつて法律の一部改正をやられたかということについて、政府の御説明を願いたいと思います。
  8. 池田勇人

    池田國務大臣 きようの新聞に載つております貿易会計内の変更の省令は、実はまだ公布になつていないのでございます。今その手続中でございます。内容につきましては対日援助見返資金勘定によります処分、あるいはまた外國為替の賣買につきましての仕事が始まりますので、ポツダム政令により早急に処理することにいたしたのであります。
  9. 風早八十二

    風早委員 ポツダム宣言の例の五百四十二号というのをこの際適用されたのですか。その点をはつきりひとつお聞かせ願いたい。
  10. 石原周夫

    石原(周)政府委員 五百四十二号とおつしやいますが、私ちよつとうかつで正確に記憶いたしておりませんが、從來ポツダム宣言受諾に伴いまして、法律にかわつて命令を出すことができるという昔の緊急勅令、現在政令になつておるということなのでありますか。それのことでございますれば、その通りでございます。
  11. 風早八十二

    風早委員 私が五百四十二号と言うのはまさにそれなので、これは昭和二十年九月二十日「政府ハポツダム宣言受諾ニ伴ヒ聯合國最高司令官ノ為ス要求ニ係ル事項実施スル特ニ必要アル場合ニ於テハ命令以テ所要ノ定ヲ為シ及必要ナル罰則設クルコトヲ得」という規定があつたわけでありまして、もしもこの勅令五百四十二号を適用されたのであるとするならば、これは非常な問題ではないかと思うのであります。勅令五百四十二号というのは私どもがいかに調べましても、これはすでに昭和二十二年五月一日憲法実施せられましたことによつて、実質的にはまつた意味をなさない勅令になつて参つたと考えるのであります。この五百四十二号というのは今も政府委員から話されたように、まさしくこれは旧憲法緊急勅令規定に当るわけでありまして、つまり旧憲法においては法律同等効力あるものであつて、この緊急勅令でかつてにやることができるようになつてつたわけであります。そのためにあらゆる專制的な弊害というものが起つてつたのであります。このことは新憲法ができますれば当然に問題にならない。有害な制度として廃棄せらるべきものであることは明らかであると考える。ところが昭和二十年の九月二十日と言いますと、まだ敗戰後のどさくさでありまして、その際に一應こういう規定を設けておかなければ非常に不便であるということから、きわめて過渡的な意義をもつて、一應天皇の緊急勅令の大権というものを連合軍が必要と認めたものと考えられるのであります。從つて憲法が出まして、新憲法の第四十一條によつて当然一切の立法権というものは國会に集中せられ、國会が唯一の立法機関であるということが明記せられました以上は、法律同等効力のあるものはすべて國会を通じて、國会審議権によつてこれが構成せられるということは、だれも異論のないところであると考える。しかしなおこの点についてはいろいろ疑義もあつたものと考えられまして、その後昭和二十二年の四月八日、これは新憲法がいよいよ五月一日から実施せられるというので、一應ポツダム勅令五百四十二号によりまして、すでにいろいろ発せられておる勅令等があるわけでありまして、そういうものの効力をこの際一挙にくつがえすことは新たな混乱を起すのでありますから、その点についてはその効力を一應存続させる。しかしながらその他の問題については、昭和二十二年十二月三十一日限りその効力を失うという意味規定があるわけであります。これはその後同年の五月三日及びその後にもしばしば改正がありますが、今日におきましてもこの点はかわりないわけでありまして、いまさらこういう五百四十二号を使われるということは、はなはだ法律適用を誤つたものであると考えるのであります。ひいては当然これは憲法違反になるということを、われわれは確信するものでありますが、そういう点について大藏大臣の所見を伺いたい。事は憲法適用の問題に関するのでありまして、やはり所管の最高責任者である池田大藏大臣に、御答弁願いたいと思うのであります。
  12. 池田勇人

    池田國務大臣 政府委員から私のかわりに答弁させます。
  13. 風早八十二

    風早委員 どういうわけで池田大藏大臣答弁政府委員に讓られるのですか。大藏大臣がやむを得ない事情で欠席されておるとすればとにかく、出席されておるのでありますから、ぜひ大藏大臣自身答弁要求したいと思うのです。
  14. 池田勇人

    池田國務大臣 政府委員より答弁させた方がよくおわかりだと思いまして申し上げたのであります。たつてのお要求でございますからお答えいたしまするが、私はあなたとは見解を異にいたしておりまして、憲法違反ではないと考えております。なお他にもこの例はあるのでございます。その詳細につきましては政府委員よりお答え申し上げます。
  15. 石原周夫

    石原(周)政府委員 今御指摘になりましたいわゆるポツダム勅令というものの効力の点につきましては、從來政府といたしましては事後承諾によりまして法律の形に相なつております。從つて法律としての効力を持つておるという見解のもとに、現在に至りますまでその解釈に基いて運用いたしておるわけであります。なお詳細の議論は法務廳の方が参つておりますから、その方の政府委員から……。
  16. 風早八十二

    風早委員 法務廳が來られて法的な根拠についてさらに弁明があるそうでありますから、それは一應法務廳の來られる場合に質問することにして留保しておきまして、なるべく早く法務廳総裁の御出席を願いたいと思うのであります。私の解釈、というよりも当然新憲法のもとで、これは自明の問題であると考えるのでありますが、この五百四十二号は今日ではまつたく無効である。かりにこれが二十二年の五月三日に発せられました新しい法律によりまして、新しく取上げられるといたしましても、その場合において問題は、ポツダム勅令に基いて発せられた命令効力というものに影響はないのでありまして、そのもとの勅令効力は当然失つたものであるということは、実際の面から行きましても、法理の上から行きましても、当然明らかであると考えるのでありまして、この点はただ憲法に違反しないというだけの御説明では、全然だれも納得行かないと思うのでありまして、いずれ法務廳総裁からも十分な弁明を伺いたいと思います。そこで今回この政令によつてこういう措置が行われるということにつきましては、これはやはりその場合には必ず連合軍最高司令官要求がなければならないとありますので、そういう要求があつたのかどうか。もしあつたとすればその内容はどういうものであるか。あるいはその形式はどういうものであるか。その点について大藏大臣にお尋ねいたしたいと思います。
  17. 池田勇人

    池田國務大臣 御承知通りにこの問題につきましては、今年の二月に外國為替管理委員会を設けるというスキヤツピンが出ました。またその後四月二十五日から為替レートの設定がございまして、外國為替の賣買についての事項その他について、関係方面折衝を重ねておつたのであります。最近に至りまして早急にその措置をとるべしということが、関係方面から私に通知がございました。その手続をただいまとりつつあるのでございます。新聞には公布なつたと書いてございますが、まだ公布はいたしておりません。
  18. 風早八十二

    風早委員 今の問題は公布になるというよりも、公布をしなければならないという、そういう拘束力を持つ要求があつたかどうか。どういう内容要求であるか。その形式メモランダムであるのですか。デイレクテイヴであるのですか。あるいは公式であるのか非公式であるのか。そういつたような形式の点であります。どうしてもこれは拘束力を持つに足る形式というものが一体あるのか。その点を伺つておるわけでありまして、今のお答えの前提になる問題であります。大藏大臣の御答弁をお願いします。
  19. 石原周夫

    石原(周)政府委員 今大臣のおつしやいました二月の指令は、スキヤツピンのナンバーを付しました正式の指令であります。後につけ加えて大臣がおつしやいました、最近においてこれをすみやかにやるようということが参りましたのは、これはメモランダムと申しますか、いわゆる指令に属するものではございません。
  20. 風早八十二

    風早委員 その指令をぜひ明らかにしていただきたいと思います。もしもそれは都合が惡いというようなことであれば、秘密会にでもしてぜひ指令を明らかにしていただきたい。なぜならばこれはいやしくも法律改正する問題であり、しかも現在國会が開かれておる最中に起るできごとでありまして、ただやみからやみにそういう指令があつたのだというだけの政府の御答弁では、だれでもこれに納得できないと思います。今日は新聞にもあまりはつきり出ておりませんけれども、これは必ず問題にならなければならない重要な憲法問題だと考えるのでありまして、また憲法問題という意味では、明らかに國会審議権の根本的な問題になつて來るわけでありますから、この点はむしろさしつかえがあるならば秘密会にでもして、ぜひその指令形式内容とを発表していただきたいと思います。はたしてそれは政府が当然やらなければならない、しかもこういうむりをしてやらなければならない拘束力のある内容形式のものであるか。われわれはそれを明らかにしておきたいと考えるのであります。
  21. 石原周夫

    石原(周)政府委員 お答え申し上げます。二月の二日に出ておりますスキヤツピン・ナンバーの一九六八号、件名は為替管理に関する件、その第二号であります。全文はこういうことが書いてあります。「日本政府外國為替移動輸出入貿易につき連合國最高司令官一般的監督のもとに、統一のとれた管理実施するために必要なる措置をすみやかにとらなければならない。」これから後は管理云々ということで形容になりますから省略いたしまして、次に「今回とらるべき措置は次のものを含むべきものとする」と書いてあります。その中にABCDとございまして、Bが外國為替資金問題「B、國際貿易及び為替取引より生ずる日本政府の一切の在外及び國内資金管理を維持し、一切の國際為替及び貿易取引事務手続、並びに統一的決済を確立し為替政策に関し勧告をなし及び外國為替保有移動並びに取極めについての完全にして、新しい報告を維持する為に為替管理委員会を設置すること、」それが大臣が先ほどおつしやいました二月二日のデイレクテイヴの文書であります。先ほど大臣もおつしやいましたように、これはこういうふうに為替取引、それの運営のために内外資金管理維持しというのは、少し言葉は訳語としてややこしい言いまわしでありますが、その運営をいたしますために、為替管理委員会をつくるということになつておるのでありまして、これは四月二十三日に出ましたる一本為替レート指令というものによりまして、初めて重きをなすようになつております。その以前においては為替は存在いたさないのでありますから、この指令のある限りにおきまして動くことができなかつたのであるというように御了解願います。
  22. 風早八十二

    風早委員 非常にこれは奇妙なことを今伺つたわけであります。二月二日の指令だといたしますとその後に予算編成がなされ、またそれに関係の諸法案は提出せられ、審議せられたわけでありまして、当然その中にこの為替の問題もあつたが、現に為替のこの指令に基いて外國為替管理委員会もでき、それから委員長には木内信胤氏がなるということまですつかりそろつておる。どうしてこの予算編成の際にこれをやられなかつたか。また貿易特別会計が設定せられますときにこれをやらなかつたか。今になつてこの二月二日の指令でもつてやるというのに、十分にその審議をやられる期間があつたにかかわらず、特にその点を拔かせて今になつてやられるということは、はなはだ解せられない期目的関係があると思いますが、その点はどうなのでありましようか。ちよつとふに落ちない問題だと思う。
  23. 石原周夫

    石原(周)政府委員 先ほど申し上げましたように、指令でこういうことをやれといういわば筋書と申しますか、それは二月二日に出ておるのでありまして、ただいまお話のように外國為替管理委員会のある程度の人間もうまつて準備をしておつたのでありますが、いわゆる内外資金管理して運営をいたし、すなわち為替の賣買調査を行うということは、レートがきまりません限り為替は存在いたさないわけでありますから、從いましていささか法律的な言いまわし方をいたしますれば、停止條件付指令が出ておつたという解釈をとるべきかと思います。それが四月下旬になりまして一本レートの問題がきまりまして、そこで一應その停止條件は成就したような形に相なつたのであります。しかしながらその為替の賣買の取扱いを、どの時期にどの範囲をもちまして為替管理委員会にまかせるかということにつきましては、今後も未定の問題があるわけで、大体今まで関係当局折衝をいたしまして明らかにいたしたところによりますれば、一部のものはできるだけ早くやる。その後の実績を見まして、為替の賣買について現実に為替管理委員会がその責に当るという形を、逐次とつて行きたいということがあるわけであります。從いまして予算編成当時におきましては、もちろんいわゆる一本レートというものはきまつていなかつたのでありまするが、その後におきましてどういうような仕組み、どういうような順序によりまして外國為替管理運営をやらせるかということにつきましては、いろいろ話合いをいたしておつたのであります。ただそのうちで——ちよつと速記をとめていただきたいと思います。
  24. 川野芳滿

    川野委員長 速記をとめてください。     〔速記中止
  25. 風早八十二

    風早委員 問題は、この独立勘定を設けるというだけのことでありまして、これは簡單に一片の法律でもつてやれることだと思う。最近の事例を見ましても、きわめて簡單法律を特にこの大藏委員会などにはどんどんと持ち込まれて、即日審議をし即日採択をするといつたようなことをやつているわけですが、なぜそういう手続をとられず、わざわざ政令によられたのか。問題にならないものを、わざわざ問題にされるような形式をなぜとられるか。これははなはだ解せないわけです。こういうふうになつて來ますと、何だつてこの政令一本によりまして——これは政令適用するということがもう根本的な憲法違反でありますがも、しこれを先例にして行くならば、今も若干そういう先例ができて來ておるわけでありますが、それを徹底さして行くならば、その結果は國会も何もいらなくなる。いくら國会があつて審議をするということが、憲法によつてはつきり保障されておりましても、そんなものはいらないことになつてしまう。何だつて政令一本でかつてにやる。そういうふうなことをしてはならないために——それでは國会などいらないのでありまして、旧憲法時代と同じように、國会というものはただでくのぼうで、何でも來るものをただ通しさえすればよろしいということになる。そういうことでなしに、ほんとうに民主的にやろうというのが、新憲法下國会の任務であろうと考えるのであります。そういう点で、これは根本的に憲法蹂躙であり、國会審議権蹂躙であると言わざるを得ないのです。そういう非常に乱暴な処置をされるについては、ただ二月二日に出た指令をさかのぼつて援用せられるということでは、まつた政府責任問題であるとわれわれは強く考えます。このことを特にこの際緊急にやらなければならないということは、やはり何か現在突然そういつたような指令なり、あるいは命令なりがあつたのではないかということを、われわれは当然推測し得ると思うのでありまして、その意味でもしそういうふうなものがあるならば、率直に出していただきたい。二月二日のこの指令では、いよいよもつて問題がこんがらがつて來るだけだと考えるのでありまして、政府責任ある御答弁を願いたいと思います。
  26. 池田勇人

    池田國務大臣 速記をとめてください。
  27. 川野芳滿

    川野委員長 速記をとめて……。     〔速記中止
  28. 川野芳滿

    川野委員長 速記を始めてください。
  29. 風早八十二

    風早委員 この憲法違反の問題は、きわめて自明なことであると思いますが、この点については今申しましたように、法務廳総裁の意見を一應伺つた上で、さらに問題にして行きたいと思います。それは一應の前提としてやつてもいい。しかしそれにしましても今國会は開かれておる。國会はまだ終つていないのです。その際に政府が急遽としてこういうふうな手続を今とられるということは、これは政府がみずから國会を無視する惡例をつくり出しているものとしか考えられないわけです。その点について政府の重大な政治的な責任があると思う。法律解釈論は一應預かりましても、これは重大な政治的な責任があると思うのであります。國会に対し國民に対して今言われることだけではあまりに根拠が薄弱であると思う。確かにマーカツト書簡があつた。その書簡内容もわれわれは一向知つていないのでありまして、ぜひともその書簡内容をこの際に明らかにしてください。そうしてとにかく國会として納得の行くような説明をさらにお願いしたいと思います。
  30. 宮幡靖

    宮幡委員 ちよつと関連的に伺いたい。ただいまの風早委員からの緊急質問とおつしやいます件についての、大藏大臣並びに政府委員からの御説明があつたわけでありまするが、これを伺つておりますると、われわれは率直にこの感じが浮んで來るわけであります。二月二日のスキヤツプによりまする処置というものが、その一部分を今きわめて緊急に実施をする必要が迫つて來たので、ポツ勅手続によつてやろう、こういう御計画である。これも理論から申しますれば、一應風早委員の仰せられる通りであります。二月二日付のスキヤツプそのもの全面的実施ということが近き時期にあろうと思います。そういう場合におきましては、別に貿易特別会計法を全面的に改正すると申すか、あるいは部分的になりますかしれませんが、そういう機会において、今回の政令によりまする緊急措置法律の中に含める御用意が政府当局にあるかどうか。その点について承つておきますれば、むしろ現在の実情から見ますと、緊急の措置について納得がある程度行くのじやないかと思います。もちろん法理論から言えば、風早委員御所論を私は否定するものではありませんが、近き將來においてスキヤツプ全体に対する法的措置が、國会審議をまつて講ぜられるのだという点についてのお考えを伺いたい。
  31. 池田勇人

    池田國務大臣 宮幡委員お話通りでありまして、実は予想しております臨時國会において、全面的の措置をとる計画でおつたのでありまするが、さつそくにやれというのがつい三、四日前に來ましたので、その一部分につきましては政令によつてつてもさしつかえない、こう考えましてスタートを切つたわけでございます。これが最後の処置につきましては、もちろん國会にはかりまして全面的の措置をとりたいと考えておるのであります。
  32. 川野芳滿

    川野委員長 法務総裁がお見えになるそうでありますから、法務総裁から御答弁願うことにいたします。
  33. 風早八十二

    風早委員 今私の方から願いましたマーカツト書簡内容をなぜ明らかにしていただきたいかというと、どうしても拘束力を生ずるような、そういう形式内容のものであるかどうかということを、はつきりさせていただきたいからであります。ただ書簡があつたとか何とかいうことですぐもうこの法律を無視する。憲法を無視する。そうして國会審議権をふみにじるといつたようなことが随時なされますならば、とんでもないことになるのでありますから、そういう意味において、これははたしてそれだけの根拠のある形式内容を持つたものであるかどうかということを明らかにするために、ぜひマーカツト書簡を公表願いたいと思うのであります。     〔委員長退席、宮幡委員長代理着席〕
  34. 宮幡靖

    宮幡委員長代理 ただいまから事案の重大性にかんがみまして秘密会といたします。議員以外の方の御退場をお願いいたします。それでは秘密会に移ります。      ————◇—————     〔午後三時十二分秘密会に入る〕
  35. 宮幡靖

    宮幡委員長代理 速記をとめてください。     〔速記中止〕     〔宮幡委員長代理退席、委員長着席〕
  36. 川野芳滿

    川野委員長 速記を始めて。それではこれをもつて秘密会を解きます。     〔午後三時十八分秘密会を終る〕      ————◇—————
  37. 川野芳滿

    川野委員長 それでは会議を公開いたします。風早君。
  38. 風早八十二

    風早委員 先ほどからいろいろ政府の御説明があつたのでありますが、何としても今回のこの法律改正のまずその形式につきまして、特にポツダム勅令適用して、法律の一部の改正をやむを得ずやらなければならないという理由は、とうてい発見し得ないのでありまして、この点については、政府はきわめて一方的な安易な解釈によつて、問題をやり過してしまうというようなことをされておるのだと考えるわけです。今手続中だというようなお話がありましたが、まだほかの各委員の御発言もあると思いますが、私の強く要求したいのは、この際すみやかに改正案として簡明直截なものを至急出されまして、法律形式でもつて國会審議にかけて、この独立勘定の設定をやつていただきたい。これはただ單にわれわれ國会審議権の尊重という見地からだけではない。ひいてそういうような問題につきましては政党政派もないのでありまして、できるだけ日本の新憲法のもとでできた新しい國会の権限を尊重し、任務をまた十分に生かして、ひいては日本の國民の自主性をとりもどす立場から私は強く要求したいのです。それに反するような惡例を一つ一つ築き上げるということは、將來非常に大きな災いになると考えるのでありまして、そういう点で政府はこの際猛省されまして、ただちにその手続についても法律形式をもつてつていただきたいということを、強く要望するわけであります。しかして今いろいろ説明を承りますと、どうしてもポツダム政令で出さなければならないという拘束力はない。そういう事情はないと考えられる。少くとも政府の御説明の限りでは、そういう拘束力はないと考えられるのでありまして、かたがたわざわざこういうむりなことをされるのは、はなはだ不当であると考えられます。この点についてあらためて政府の所見を伺いたいと思います。
  39. 川野芳滿

    川野委員長 法務総裁がお見えにならないそうですから、法制第一局長林政府委員説明を求めます。
  40. 林修三

    ○林(修)政府委員 昭和二十年勅令五百四十二号の性質の問題でございますが、これは御承知のように連合國最高司令官要求実施する必要がある場合において、一つの命令として法律にかわる命令を出し得るというものであります。この緊急勅令はその後議会の承諾を経まして、現在法律効力を持つております。現在合法的に法律としての効力を持つて存続しておるものと、われわれは解釈しております。この五百四十二号は條文に書いてある通りの委任命令であります。これを出す時期については特別制限をいたしておるわけでございません。法律的に見ましては、かりに國会中でありましても、法律的には問題はないと思うのであります。ただもちろん國会審議権を尊重する意味におきまして、いろいろ事情さえ許せば、そういう措置を今までもとつておるのでありますが、いろいろ客観情勢あるいは期日の点でとうてい間に合わないという場合には、やむを得ずこういう措置をとつた例もこれまであるわけであります。政府といたしましては、別に憲法あるいは法律に違反するものとは考えておらないわけであります。
  41. 風早八十二

    風早委員 今の御説明ははなはだ不可解です。これは解釈論から申しましても、反対解釈論は十分に成り立つのでありまして、しかもこれは実際論から申しまして、また今の政府の示されたような解釈では、これはとんでもない憲法蹂躙になり、國会審議権蹂躙になる。日本の自主性をますますみずから失わせて行く重大な原因であると考えるわけであります。まずその解釈論からいたしましても、一体第一局長はこの日本國憲法施行の際、現に効力を有する命令規定効力等に関する法律、これの第一條の第二項というのをどういうふうに解釈されるのか。その第一條は法律事項規定した命令に関する規定でありますけれども、日本國憲法施行の際現に効力を有する命令規定で、これはもともと今申し上げますれば、五百四十二号というのは新憲法の施行の前でありまして、戰爭直後のまだ非常な火急の際であります。その規定法律をもつて規定すべき事項規定するものは、昭和二十二年十二月三十一日まで法律と同一の効力を有するものとするというので、結局十二月三十一日限りこの法律事項規定する命令というものの効力というものは失われることになつておる。しかしそれに対して例外的に第一條の第二号といたしまして、ポツダム命令効力という一條があるわけであります。それによつて前條の規定は、昭和二十年勅令第五百四十二号に基き発せられた命令効力に影響を及ぼさずということが規定してある。この解釈であります。これは何といつてポツダム五百四十二号が効力を失つておることは明らかなのであります。ただその五百四十二号によつて発せられました各種の命令があります。こういうものの効力を一々失わしめたのでは——すでにある命令、そのときまである命令を失わせたのでは、はなはだいろいろな新しい混乱が起るというので、特にこれは終つた例外規定なのでありまして、この規定をどういうふうに曲解されてか、これによりまして元の五百四十二号そのものをも生かすということは、これは実に乱暴な解釈である。そう解釈すること以外に、今回の法律根拠はどこにも見出されないのでありまして、これはもう少し政府はつきりした説明をもつて、御答弁を願いたいと思うのであります。     〔委員長退席、宮幡委員長代理着席〕
  42. 林修三

    ○林(修)政府委員 ただいま御指摘になりました日本國憲法施行の際、現に効力を有する命令規定効力等に関する法律、この解釈でございますが、この第一條でうたつております現に効力を有する命令と申します意味は、旧憲法下において出ましたいろいろな独立の勅令、省令等で法律事項規定しておるものを指しておるものと考えます。しかしてこの昭和二十年の緊急勅令五百四十二号でありますが、これは御承知のように旧憲法下において法律にかわる命令として出されたものであります。その後旧憲法規定によりまして、議会において承諾を受けまして、法律と同一の効力をもつて存続を承認せられたものであります。從來からの解釈から申しますれば、この緊急勅令は帝國議会の承諾を経ました場合には、法律の拘束を持つものとずつと解釈せられ、またそういうことになつておるわけであります。從つてこの法律七十二号におきましては、当然法律効力を持つております昭和二十年勅令五百四十二号には触れておらないわけであります。しかして第二條の二におきましては、この五百四十二号に基いて出ました個々の勅令あるいはその後出ました勅令につきまして——これは名実ともに勅令でありますので、法律効力を持つておるわけではありませんので、その効力には影響を及ぼさないということを念のために書いたものであります。しこうして御承知のように新憲法施行後におきましても、ただいままでこの勅令五百四十二号に基きましたいわゆるポツダム政令、これも実は数多く今までも出ておるわけであります。
  43. 風早八十二

    風早委員 あなたは法制第一局長としてほんとうにそういうふうな法律解釈をされておるのか。これはむろん法律解釈で、そのいずれの解釈をとるか、これはどうにでも解釈のできる場合もあります。しかしこの場合におきましては、だれが何と考えても、今のような解釈はほんとうの法律家のなすべき解釈じやなかろうと思うのであります。法律家というものは、そういうものだということになれば別でありますが……。今の最後の二十二年四月十八日の法律の第一條というものは、日本國憲法施行の際現に効力を有する命令規定で、法律をもつて規定すべき事項規定したものでありまして、その中には当然にポツダム命令というものも入つているわけです。しかしその一つの委任事項のような命令によつて、新しくいろいろな勅令や閣令や省令なりが出ておるわけでありますから、そういうものの効力までもなくしたら新しい混乱を起すから、それによつて発せられた命令効力に限つては影響を及ぼさないということをここで断つたまでであつて、そのもとになるポツダム勅令そのものは、いわゆる連合軍最高司令官要求にかかる事項実施するために、特に必要な場合において命令をもつてやることができるというこの法律は、当然に第一條によつて死んでおるものということが、正しい解釈であるとしか考えられないわけであります。これはただがんばられるだけでは結局水かけ論に終ると私は思いますが、これはとくと冷靜に考えていただきたい。これを何よりも冷靜に考える一つの根拠は、実際的な効果でありまして、あなたの解釈によれば、万やむを得ないときに使うから、これは傳家の宝刀としてとつておくということを言われるかもしれぬが、しかし盛んに傳家の宝刀を振りまわす政府ができぬとも限らない。これはたつた一回使つてもはなはだ有害な刄物でありまして、そういうものは專制政治のもとにあつた。また新憲法ができるまで、戰後のどさくさのときにはやむを得なかつたかもしれない。しかし今いやしくも新憲法がある。國会審議権というものが國会の主権のもとにおきましてはつきり認められておるわけであります。そういう際になお残しておくということはどういうことかというと、結局もとは、旧憲法のもとでは天皇の要求一本ありさえすれば、どんな事項でも緊急必要があるとかいうことで、法律を無視してかつて法律をつくつて來たわけであるが、今度はそれにかわりまして、連合軍最高司令官要求さえあれば、法律にかわつて國会を無視して何でもできるということになるわけであります。
  44. 宮幡靖

    宮幡委員長代理 ちよ風早君の御発言中でありますが、緊急質問という御要旨でありまして、林政府委員との間の法律解釈で意見が違つておるということで御論爭になりますと、これは法理論で、憲法違反の問題は結局最高裁判所で最後の判決をいただかなければならぬようになつておると思いますので、その点要約してひとつ御質問願いたいと思います。     〔宮幡委員長代理退席、委員長着席〕
  45. 風早八十二

    風早委員 了解いたしました。別にここで議論しようというのではないのでありまして、こういう解釈というものは、はたしてまじめに法制第一局長として責任をもつておとりになるのかどうか。その点ひとつ承つておきます。これは今委員長の言われた通りでありまして、水かけ論はやりたくない、続けたくないのでありますから、それだけ伺つておいて、とにかくわれわれの今やつておる解釈というものは、どういうわけで間違つておるのか。その点だけは簡單説明をもつてお答え願いたいと思います。
  46. 林修三

    ○林(修)政府委員 先ほどもお答えいたしました通りに、五百四十二号は緊急勅令でありまして、その後議会の承諾を得まして法律効力を持つておる。つまり形式的にはなお勅令というような形式になつておりますが、法律をもつてこういう委任命令制定権を規定したものと同一のものであると考えております。この合憲性につきましては、ただいま委員長も最高裁判所のみが決定すべきものであるとおつしやいましたが、昨年の六月最高裁判所におきましても、この五百四十二号の合憲性を認めております。
  47. 風早八十二

    風早委員 今の質問はこれで打切ります。先ほど大藏大臣にお尋ねしておつたのですが、一應最後の質問をしておきたいと思います。先ほどからのいろいろ御説明で大体事情は一應明らかになつたのであります。しかしながらそれの事情によりますれば、政府がわざわざ今日このむりなポツダム政令適用によつて法律を無視し國会を無視して、國会審議権を踏みにじつてやられるだけの理由にはならないのです。であるから、この際まだ國会は開かれておるのでありますから、きわめて簡單法律でもいいのであります。法律形式をもつてこの際國会に御提出になつたらいかがでしよう。この点についての政府の御意見を伺つておるわけであります。
  48. 池田勇人

    池田國務大臣 この政令を出すまでの経過は、先ほど來申し上げた通りでございます。しこうして政令によること自体につきましても、関係方面と打合せ中でございます。いずれ関係方面に御意見のあるところを申し述べまして、研究いたしたいと思います。
  49. 風早八十二

    風早委員 そうしますと、この問題は、政府がこれを強引にやろうということは何より政府責任と思いますが、私はただ責任を追究しているだけではない。今のようにその責任内容が、事はまたしても國会審議権の無視ということになりまして、日本の独立化の道をそれだけ後退させるという、逆行の方向に拍車をかけられるゆえんでありますから、この点については重ねて政府の猛省と、この政令という形式法律によつて出していただくように、一つ切りかえてもらいたいということを要望しておきます。  次にやはり今日の新聞によりまして、これも本委員会におきまして取上げるべき重大事項であると考えるのでありますが、米下院の歳出委員会におきまして、この四十九年から五十年の会計年度対日援助費というものを、一割五分という相当大幅の削減をやつております。これによつてはつきりドル勘定の実額というものが示されたわけであります。今までこの点につきましては、政府はドル勘定の方はいずれにしてもはつきりしておらないのであつて、問題は千七百五十億円の見返り勘定というものだけが、はつきりしておるのだというふうな御説明であつたと思うのであります。しかし一旦こういうふうにはつきりしてみますと、ここに非常な問題があると思う。ことに現在かりに三百六十円と為替が決定いたしましても、それでもたいへんな数字の開きが起るのでありまして、大体千五百十四億七千四百三十二万円とこういつたような円換算になつてしまうわけであります。そういたしますと、千七百五十億円との差引き二百三十五億三千万円何がしというものが足らないことになるわけです。こういう点について一應政府の御説明を願いまして、これからの予算運営における影響等について伺いたいと思いますが、一應このワシントン電報に基きまして、政府の所見を伺いたいと思います。
  50. 池田勇人

    池田國務大臣 米國の下院の委員会におきまして、從來傳えられておりました四億九千五百万ドルの対日援助資金が、四億二千万ドル程度に削減せられたということは昨朝聞いたのでございます。しかしこれはあくまで下院の委員会の削除案でございまして、これにきまるかどうか、まだ下院の本会議もありますし、また上院の本会議もありますので、はつきりいたさないと思います。從いまして三百三十円の想定レートであつたのに、三百六十円になつた。そうすれば千七百五十億円が非常にふえるから、かえてはどうかという議論が予算委員会等におきましてあつたのであります。その際單なるわくであるから、補正の考えはないと申し上げたと同じような氣持で、下院の委員会でそういうことがあつたからと申しましても、今千七百五十億円の見返り資金の計算をかえる氣持は持つておりません。何と申しましても物資の入りぐあい、あるいはまた全年度の使い方いかんにもよりますし、また時間的ずれもございますので、ただいまのところ既定の方針でやつて行きたいと考えております。
  51. 風早八十二

    風早委員 大体予算委員会なりまた大藏委員会なりでの、從來の御説明の域を一應出ないように考えるのでありますが、そういたしますと、政府はこの千七百五十億円の見返り勘定というものの確保ということについては、責任を持ち、確信を持つて今後当られるという見通しがあるのかどうか。この点をあらためて伺いたいと思います。
  52. 池田勇人

    池田國務大臣 千七百五十億円に達するような歳入歳出の合うように努力いたしたいと考えております。
  53. 風早八十二

    風早委員 むろん努力ということは申すまでもないのでありますが、努力によつて問題が実際実現するかどうかは、はなはだ疑問でありまして、われわれがかねがね千七百五十億円というものの非常な浮動性、そのあいまい性というものを今まで問題にしておつたのでありますが、これが多くなつてみたり少くなつてみたり、いろいろなことがあるのでありますが、今回これが少くなるにつきましては、もしも米下院の歳出委員会の決定が両院を通過するということになれば、あと残るところはどれだけ実際に物資が入つて來るか。その際に物價の値下りということを大体当て込んで、それによつて実際に入つて來る物資の質量というものには影響しないというふうに考えておられるのか。そういう点はどういう実際上の見通しを立てているか、承りたいと思います。
  54. 池田勇人

    池田國務大臣 向うの援助物資がどれだけにきまるかということがはつきりいたしましても、なお物資の入りぐあいによつて、見返資金特別会計の金額は動くわけでございます。向うの物價が相当下つて來ますれば、金額は減つても、あるいは予定に近い物資が入つて來ると想像されるのであります。なお入つて來まする物資につきましても、一應の計画を立てておるのでございます。相当変更も予想しなければならぬ状態でございます。
  55. 河田賢治

    ○河田委員 質問いたしますが、一般会計の特別收入について、特にこの特別收入のうちの解除物件処理收入の問題であります。特別調達廳の契約局次長に共産党の商工委員が尋ねましたときに、調達廳の次長さんは、從來特別調達廳が買い上げました品物で先方で引取らない——大体は規格が合わないとか何とかいうのだが、これが相当たくさんあるわけであります。本年の予算を見ましても、大藏省では大体三十一億七千八百万円余の解除物件の処理收入を計算しておつたのであります。ところが契約局次長の話では、これを保管し管理する費用が、大体三箇月間つまり六月一ぱいに処分をしないと保管費が切れる。こういうことになつております。だが重量にしましても大体五十万トンあるという話でありますし、それに今度これは六月一ぱいに大体処分してしまう、こういうような状態なのであります。これは大藏当局が直接これを拂い下げられるのかもしれませんが、保管費が六月までしかないというお話であるが、これは事実であるかどうか。それから六月中にこの五十万トン余りの、かつ三十二億余りの物件を処理し得るかどうか。処分してもこれだけの收入が——たとえば競賣において、きわめて大きな入札者あたりがいろいろ組んで落札するときには、非常に安い價格であるとかいうような問題もありますし、こういう場合に十分予算に組んだだけの收入を確保し得るかどうか。この点をお聞きしたいと思います。
  56. 石原周夫

    石原(周)政府委員 お答え申し上げます。ただいま個々の解除物件の処理收入の問題でございますが、今手元にいろいろな資料を持ち合わせておりませんので、わかります範囲内でお答えいたします。保管費を六日一ぱいまでしか組んでないというお話でありました。私は正確な記憶はございませんけれども、これの処分はできるだけ早くやりたい。何分にも相当の期間寢ておつたものでございますし、品質が惡くなるというようなものもございますので、早く処分をやりたいという頭でやつて、六月というような非常に短い期間であつたかどうか存じませんれどけも、そうずるずると長く持つて行くという頭ではなかつたように思います。それからそれだけのものが賣れるかどうかというお尋ねでございます。これは大体におきまして処分の可能でありますものを見積つておりまするので、あの歳入にあげましたときには、大体中には品いたみなどがございまして、処分のしにくいというようなものもございました。そういうものは一應別といたしまして全額を計算し、しかも評價額につきましてはこれは非常にたくさんの件数でございますので、中にはそういつたむりな点もあるかもしれませんが、全体といたしましては非常にかたい評價をいたしておりますから、処分の結果におきまして、歳入に赤字が出るというようなことはないと頭で組んでおります。それだけ大量のものが処分できるかどうかという点でございますが、これは相当現在必要な物資が主でございますから、もしお尋ねのように六月一ぱいまでに全部処分ができるかということでございますと、それは必ずしもできるということは申し上げかねるのでありますが、大体におきまして從來から相当期間にわたつてつてつたところからいたしまして、できるだけ迅速に処分いたしたい。また歳入欠陷の問題につきましては、大体そういうことは生じまい。むしろ内輪に見積り過ぎていはしないかと考えております。
  57. 河田賢治

    ○河田委員 契約局次長のお話では、大体三箇月以内に処分しろ。それでどうしても六月に処分しなければならない。それで実は困つているのだ。こういうようなお話であつたと思うのです。大藏省の方でそういうことについては御存じないのでしようか。
  58. 石原周夫

    石原(周)政府委員 私一々につきまして今正確に記憶していないので、承知してないかとおつしやいますと、予算を組みましたときには、一定の前提をもつて予算を組んだと思いますが、ただ今おつしやつたような趣旨であつたかどうか。大体の感じは早く処分するという頭で組んだのでありますが、今の六月一ぱいで必ずやるということはないので、一つはこれは進駐軍側の解除物件でございますので、進駐軍側も解除したものは早く処分するようにという希望は、前からあつたように記憶いたしております。あるいはその方からもいろいろな注文が出ておるかとも推測されます。
  59. 河田賢治

    ○河田委員 大体予算はいつごろまで組んであるのですか。これの新しい予算では、一億九千八百万円とつておるわけですが……。
  60. 石原周夫

    石原(周)政府委員 はなはだ恐縮でございますが、今ちよつと正確に記憶しておりませんので、調べて申し上げます。
  61. 河田賢治

    ○河田委員 この物件は五十万トン、價格にしましても約三十二億近い。非常にこれは大量なものになると思いますが、こういう拂下げ問題についてはとかく問題も起りがちでありまして、できればこれに対するごく重要な品目だけでも拾い上げまして、数量あるいは買上げ價格、こういうものの資料を提出願いたいと思います。特別調達廳の方では、こちらにはないけれども、大藏省の方にあるというお話でございました。
  62. 石原周夫

    石原(周)政府委員 私の方でも先ほど來この調べをいたしておつたのでありますが、私まだその報告を聞いておりませんので、正確なことはお答えできないので残念でありますが、調達廳の方になくて大藏省の方にあるというのは、おそらくそうでないと思います。もちろん調達廳の方にもあるわけでありますが、現在ちようど第一・四半期を過ぎまして、第二・四半期の支出負担行為の承認をしておる機会でございますから、その機会に十分チエツクいたしまして、また入りました資料はできるだけ配付いたしたいと思います。
  63. 河田賢治

    ○河田委員 終ります。
  64. 風早八十二

    風早委員 少し補足的に質問したいのですがこの補給金の問題です。今度の米下院の歳出委員会の決定が、もしもずつと実現して行きますと、先ほどのように千七百五十億円が千五百億円程度のものになつて行くという場合に、輸入補給金の問題が当然出て來ると思うのでありますが、新聞で見ますと、大藏省の見解というものが出ておるのでありますが、これは責任をお持ちになるかどうか知りませんが、とにかくここでこれに関係なしに伺つてもいいと思います。この輸入補給金の減額ということにつきましては、どういうふうに考えておられますか。新聞説明だと、新聞で大藏省当局の見解として出されておるところによれば補給金は減額しないというようなことに書いてある。しかし物資の数量がどうあろうとも、とにかく價格が問題でありますから、價格の値下りがあるという場合におきまして、この補給金の減額ということは、当然にこれに附帶すると考えますが、その点はどういうふうに考えております。
  65. 池田勇人

    池田國務大臣 新聞にどう出ておりましても、私の考えは、價格が下つて來れば補給金に影響がございます。しかし御承知通りに、三百三十円の想定レートで計算しておりますものが、三百六十円になりますと、その際にも補給金は相当増額になるはずなのでありますが、本会議その他で言明いたしておりますように、補給金につきましては、その後檢討を加えまして、三百六十円レートなつたら、大体百五十億円ぐらいふえるのではないかと想像いたしておりますが、それになりましても、なお三百三十円から減らすように今努力しておるのであります。これも從來予定しておりました補給金を出す品目を相当分削除したり、從來の輸入の状況またわが國の経済物價事情を見まして、價格補給金の減額には万全の努力をいたしておる次第でございます。
  66. 風早八十二

    風早委員 念のためにどういう品目について補給金を今減額をやつておられるのか。簡單に御報告願いたいと思います。
  67. 池田勇人

    池田國務大臣 ただいま考えておりますのは、きよう閣議決定いたしましたのは、黒鉛とかパーム油、あるいはヤシ纖維、骨粉等の品目だと思います。
  68. 風早八十二

    風早委員 この減額された、またこれからされるであろう補給金は、相当の多額に上るわけでありますが、その補金給はどこへ使われるか。いろいろ今産業資金の面でも、見返り資金の使い方はいまだにはつきりしておらないような現状でありますが、産業資金も問題だし、それから賃金につきましても、現在の賃金ではとうてい最低生活も保障できないのでありますが、賃金の値上げであるとかいろいろな用途があると思うのでありますが、政府は減額された補給金をどこへまわすというお考えでありますか。それを承つておきたいと思います。
  69. 池田勇人

    池田國務大臣 補給金の減額いたしました部分につきましては、まず第一に減税あるいは災害復旧、また文教費等、最も必要な方面に向けるべく考えております。
  70. 風早八十二

    風早委員 一應これで私の質問は終ります。
  71. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに御質疑はありませんか。——御質疑がなければ本日はこれにて散会いたします。     午後四時散会