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風早委員 もうあと一点だけお伺いいたします。今の御
説明では
理由としてはきわめて薄弱であ
つて、人員をふやさないでそんなうまいことができるならば問題はないのでありますが、なかなか
実情はそうではないと思うのであります。またそういう
機構の
改革、
内部の
職員の
能率増進が一挙にしてできるものでもないのでありまして、しかもこれは局部的にできるものではないのでございまして、全体の
やり方が
根本的に改まる。その中で初めて解決できる問題だと
考えるのでありますが、それはとにかくといたしまして、この
税務署の
増設につきまして、いろいろ世間には取沙汰もあるのであります。今
提案理由としては、
納税者の
利便をはかるというきわめて
けつこうなる御趣旨でありますが、実際には区民としてははなはだ迷惑千万である。
税務署がこの上ふえたら、またとんでもないことになるという危惧の念の方が実は強いのです。私
どもはその
税務署の
内部のことは知りませんが、
外部の
納税者の側のそういう氣分、動向につきましてはいささか知
つているつもりでおります。それによれば、ま
つたくこの
増設に対しては反対の機運が強いのでありまして、その点は十分に
政府におかれましても御
承知ありたいと思うのであります。一例をあげますと、これは私
どもが
國民の代表として選ばれました地区でありまして、実は特に詳しくその
方面のことを知
つているわけでありますが、まず劈頭に上
つております
荻窪であります。これは
杉並の
税務署とは独立に新しく
荻窪につくろう。こういう場合に新しく
廳舍があるというだけのことが
理由にな
つて、
せつかく店があるのでからそこへ半分移して
能率を上げてやろう。それまでならば
けつこうでありますが、やはりそれからそれへとそういう機械的な問題だけでなく、もつと実質的にいろいろな問題を引起して來るということが
考えられるのであります。
杉並というのは、大体
中小地主が
区政や町政に強い支配力を持
つておりまして、
杉並区会のごときも四十五名の議員の中で三分の二以上は、こういう地主的なボス勢力と言われる者によ
つて占められているのであります。今までこれらのいわゆるボス勢力と、警察と
税務署というものが、あるいは同業組合を通じその他の
関係を通じて、今までいろいろないきさつを起しているのであります。大体ただいまの
実情を申しましても、この同業組合というものも、やはり今までは大体警察の管轄ごとにつくられているのであります。その單位で
税務署を場合によ
つては買收するということも現にあるのです。そうしてまた他面において、それを基礎にして大きな脱税をやるということもある。その
負担というものを、あげて零細な業者の方へ重税としてかぶせて來るというふうなことが事実あるのでありまして、最近
杉並につきましてはいろいろな不正
事件がすでに摘発されつつある。
浦和のさわぎどころではないのでありまして、この腐敗振りというのはもう実に目に余るものがあるのであります。こういう
方面から問題を見て参りますと、わけるということは一体どういう
意味があるか。これははなはだ問題にな
つて來るのであります。この
杉並区内に御
承知と思いますけれ
ども、内田一派という大ボスがある。これは民自党系ではありますけれ
ども、あそこの民自党の最も有力な古川という民自党の党員の方とも
相当に対立しておりまして、いろいろおもしろい問題があるのであります。この内田一派は絶大な勢力を持
つておりまして、
荻窪の
方面では
荻窪の警察
協力会であるとか、あるいはまた
荻窪警察署
管内の商業者連合会であるとか、その他各種の同業組合、信用組合、学校の後援会その他旧町会の勢力を完全に牛耳
つておりまして、そういう勢力を利用して、いわゆるボス
関係の大脱税に多大の便宜を與えているというようなことが、現に上
つて來ているのであります。この内田氏自身も、映画館だとかあるいは
荻窪駅前のマーケツトなどを経営しておりまして、莫大な利益をあげながらも、非常に御
承知のように軽い税金しか納めておらぬということもわか
つているわけであります。私の申したいのは、大体警察署の管轄と
税務署の管轄というものとがピタツと一致いたしまして、一警察、一
税務署ということにな
つて來ますと、今まではこれは常識では一應
考えられないことでありますけれ
ども、
一つの警察が自分の警察の
管内でないところにある
税務署に対しては、
相当の働きをやる。しかしながら同一
管内になると、これはもうわからなくな
つて参ります。そこにいろいろな結託のようなことが行われて來るという
実情があるのでありまして、これはすでに
杉並では一般の区民から、この点については非常な危惧を持たれておるのであります。今年の四月何日でありましたか、非常な重い税金を苦にして、関根道子というげた屋の女主人が自殺をした
事件は、
杉並区民に非常な憤激を與えておりまして、その遺骨と位牌を町民が
税務署だとか警察に持ち込んで、
杉並税務署の横暴とい
つたような声がずいぶん起
つてお
つたのであります。そういうことは新聞にも出ておりますから大体御
承知かと思いますけれ
ども、大体
杉並の
税務署の名前も一々言う必要はありませんがたくさんあが
つております。大体直税課の係員でありますけれ
ども、この
杉並区民の言うところによると、あれは鬼のようなやろうだ、こういうふうに呼ばれているくらい恐怖のまとにな
つている。こういうことを一体
政府当局は御
承知であるかどうか。こういう際に今あらためて
荻窪にできるということになると、今度はその
荻窪の警察と
杉並の警察と
二つにわかれておりますので、
荻窪の警察と
荻窪の
税務署、
杉並の警察と
杉並の
税務署、こういうふうなタイアツプができないものでもないという危惧を区民は持
つているのです。これは私
どもはただ区民から聞くだけでありまして、そういうことについて今の
政府の御
説明だけでは、われわれもとうていこれを納得させるだけの
説明にはならない。こういうまじめな業者が非常に危惧を持つということは、やはりこの
増設問題というものも、もつと
根本的に
考え直して出直すべきではないか、ということを裏づける
一つの
理由になるのではないかと、私は信じております。結局
税務署の腐敗と横暴というものが今までずいぶん否定されておりましたけれ
ども、少くとも
杉並あるいは
浦和について、これは明らかにな
つておる。また中野についても今まさに問題にな
つて來ておるわけでありますが、こういうふうなことはおそらく全國の多数の
税務署について、同樣に言えることではないかと
考えるのです。こういうふうな
実情を十分に勘案せられまして、この問題に対処していただきたい。ただ、今までそう
考えてお
つたから、この際に早いところや
つてしまおうというような安易なことでは、結局また罪の上塗りというようなことにならないとも限らないのでありまして、この点はひ
とつ愼重に再檢討していただきたいと
考えるのであります。大体
荻窪の地区に関する限りは、
税務署の新設ということに対しては絶対に反対しておる。反対運動の機運というものも今起
つて來ておるというような
実情を申し上げて、
政府の再考を煩わしたいと
考える。
部長にお答え願うことは、一体こういう
実情を御
承知であるかどうか。また
説明せよとおつしやれば、幾らでも
説明しますけれ
ども、大体こういう実状を御
承知かどうか。そういうことについて今強引にこの
増設をや
つて行くということが、はたして妥当であるかどうか。この点についてあらためて
所見を伺いたいと思います。