○
小峯委員 株式
讓渡所得税を廃止していただきたいという
請願の
趣旨の弁明をいたします。
税金は税自体合理的でなければならないということはもちろんでありますが、私どもの
見解によりますと、その税の行われる社会的、経済的條件、言いかえますと、社会政策や経済政策とも調和されることがぜひ必要であると考えます。この株式
讓渡所得税は
所得者のあるところ必ず税が伴うという
見解から行きますれば、まことに当然でありますが、税の合理的な性格から考えてみますと、その対象の捕捉が非常に困難であるということ、その徴收にあたつては、かなりいろいろな面でむりが伴うというふうなことから、税自体の立場から考えても、考え直す必要があるのではないかと考えます。と申しますのは、この
讓渡の差益に対する
税金でありますが、これは実際問題といたしますと、株式の賣買によつて利益を得る場合、同じ当事者が引続いて損失をするような場合、税の
趣旨から言いますと、そういうものを全部差引いて申告をして、総合して納めるようなことに
なつておりますが、実際上の問題について見ますと、その税を免かれるために、名義を詐称したりあるいは賣買の口数を非常に小さくわけてやつたりいたしまして、上手に逃れているような事態が非常に多かろうと考えます。そこで私どもの
見解によりますと、そういうふうな可能性のあるとり方より、現に移轉税を買い方から徴收しておりますから、賣り方に対しましても同じような
性質のものを
課税することにし、かつ差益税によつて上ると予想される金額に概当するぐらいの率まで、その移轉税並びに
讓渡税の率を引上げることにいたしまするならば、むしろ
課税対象の捕捉の困難ということから來る不合理をやめて、効果的に徴税できるように考えるのであります。株式に関する
税金は、株式配当に関する源泉
課税もあり、かつその配当の合算
課税もあり、加えてこういう差益に対する
税金がありますと、種類がきわめて錯綜いたしておりまして、税自体といたしましても不合理に
なつて來ているように思うのであります。そういう意味で税自体の観点から言いましても、この問題はぜひ考慮をしていただいて、たまたまシヤウプ使節團も見えられておりますから、その使節團のサゼツシヨンで全面的に税を
改正する場合に、ぜひ以上申す
趣旨を織り込んで御檢討を願いたいと思います。
なお、今申し上げたのは税自体に関する問題だけでありますが、今日有價証券市場の重要性というものは非常に高まつているように思います。先に本院を通過いたしました予算によりますれば、財政と金融とがはつきりと選別されるようなことに
なつておりまして、金融による産業資金の調達ということもなかなか困難な状態であります。そこで貿易の振興に関連する、あるいは産業の復興に関連する長期産業資金というものは、どうしても有價証券による調達にまたねばならないような状態であります。しかるがゆえに、先般司令部からの御意向もあつて、
取引所も正式に再開されているわけでありますが、そういう環境に應じまして、衆議院におきましても証券民主化議員連盟というふうなものを再結成いたしまして、有價証券の市場が公平に、合理的に育成されることを考えておるのであります。そういう意味から言いますと、この差益税というものは、投資者に対しまして不当に不安をもたせたり、あるいは営業、財産の祕密に対する観点から、かなり臆病にしていることも見のがすわけには参らないと思います。かつこの税法を実際に実施するにあたりまして、財務局長からの依頼を受けて、証券業者は百株以上の
取引について報告するようなことに
なつておりますが、この点からも、業者自体からも、また賣買をする人たちからも、先ほど申し上げましたような営業、財産の祕密に対する点から、非常に異端が出ているのであります。以上申し上げたことによりまして、税自体の問題としましても、ここで考え直していただく方がよくはないか。また証券市場を正しく育成して、長期産業資金をまかなう、上にも、この税法は考え直していただく方がいいじやないか。かような意味で、私の
紹介名には
なつておりますが、証券民主化議員連盟の諸君は相共通する
考え方から、この
請願に及んだ次第であります。
政府のこれに対する御
見解を伺いたいと思うのであります。