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1949-05-13 第5回国会 衆議院 大蔵委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年五月十三日(金曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 小峯 柳多君 理事 島村 一郎君    理事 塚田十一郎君 理事 宮幡  靖君    理事 荒木萬壽夫君 理事 田中織之進君    理事 風早八十二君       石原  登君    岡野 清豪君       小山 長規君    北澤 直吉君       高間 松吉君    前尾繁三郎君       三宅 則義君    川島 金次君       宮腰 喜助君    河田 賢治君       河口 陽一君    内藤 友明君  出席政府委員         大藏政務次官  中野 武雄君         大藏事務官         (主税局國税第         二課長)    山本菊一郎君         專賣局長官   原田 富一君         大藏事務官         (專賣局塩脳部         長)      磯野 正俊君  委員外出席者         厚生事務官   岡林 諄吉君         專  門  員 黒田 久太君         專  門  員 椎木 文也君     ————————————— 五月十二日  未復員者給與法の一部を改正する法律案内閣  提出第一五一号)(参議院送付)  酒類配給公團法の一部を改正する法律案内閣  提出第二〇一号) 同 日  愛知郡に税務署設置請願早稻田柳右エ門君  紹介)(第一五八九号)  西春日井郡に税務署設置請願早稻田柳右エ  門君紹介)(第一五九〇号)  塩の賠償價格引上等に関する請願三宅則義君  紹介)(第一六〇九号)  陸上運搬業者に対する取引高税免除に関する請  願(金光義邦紹介)(第一六三二号)  歯科医業に対する課税軽減請願花村四郎君  紹介)(第一六四九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  請願審査小委員及び小委員長選任に関する件  たばこ專賣法案内閣提出第一三二号)  塩專賣法案内閣提出第一三三号)  未復員者給與法の一部を改正する法律案内閣  提出第一五一号)  しよう脳專賣法案内閣提出第一六八号)  酒類配給公團法の一部を改正する法律案内閣  提出第二〇一号)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  まず、昨十二日付託されました未復員者給與法の一部を改正する法律案、及び酒類配給公團法の一部を改正する法律案の両案を一括議題として、政府説明を求めます。  なお未復員者給與法の一部を改正する法律案につきましては、すでに予備審査付託のときに政府説明を聽取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 川野芳滿

    川野委員長 御異議ないようでございますので、さよう決定いたします。中野政務次官。     —————————————
  4. 中野武雄

    中野政府委員 酒類配給公團法の一部を改正する法律案提案理由について、御説明申し上げます。  まず改正の第一点は、酒類配給公團事業年度予算及び決算に関する規定改正であります。從來酒類配給公團事業年度は、一箇年を前期及び後期の二期にわかち、その人件費及び事務費國庫交付金によつてまかない、剩余金は各期ごと國庫に納付していたのでありますが、公團等予算及び決算暫定措置に関する法律の施行に伴いまして、いわゆる独立採算制をとり、公團事業年度は年一回となり、その予算及び決算は、本年度分から國の予算及び決算の例にならつてこれを作成し、國会の議決を受け、それに從つて実行することとなつたことは、すでに御承知通りであります。從いまして、この措置に應ずるため、酒類配給公團法の会計に関する規定に所要の改正を加えることとしたのであります。  改正の第二点は、酒類配給公團法廃止の時期を政令の定める日とすることであります。酒類配給公團法有効期間につきましては、今國会の初めにおきまして御審議を得て、さしあたり本年六月三十日まだといたしたのであります。公團廃止後の販賣機構改編酒類徴税機関整備等につきましては、目下鋭意研究準備を進めておるのでありますが、これらの整備につきまして、なお若干の時日を要する見込みであります。政府といたしましては、これらの整備をまつて経済安定本部総務長官命令によつて酒類配給公團を解散し、同時に酒類配給公團法廃止したい考えでありますので、法律廃止の時期を政令によつて定めることとしたのであります。  以上はなはだ簡單でありますが、酒類配給公團法の一部を改正する法律案提案理由説明を終りたいと思います。何とぞすみやかに御審議の上可決されんことを希望いたします。
  5. 河田賢治

    河田委員 まず酒類配給公團法の一部を改正する法律案の問題についてお尋ねいたしますが、この前、本議会当初におきまして、やはり改正法律案が出たのでありますが、その当時政府当局におきましては、六月三十日までに公團廃止をするという見通しに、相当確信を持つておられたようであります。ところが本日この提案がございまして、またこれを延期するというように、一議会の中において二度も三度も法律が出るということは、きわめて不見識な状態であると思うのでありますが、この法律以後におきましては、およそ何箇月ぐらいをもつてこの公團廃止される見通しがおありになりますか。またこれは政令によつて決定されるのでありますが、この際において、この酒類配給業者あるいはまたこれに関係しておりまするところの從業員に対する処置などにつきまして、どのようにお考えになるか、この点をお聞きしたいと思います。
  6. 山本菊一郎

    山本政府委員 今回酒類配給公團法の一部を改正する法律案につきまして御審議をお願いする趣旨については、ただいま政務次官より提案理由を御説明申し上げました通りでございまして、当初各公團につきまして、さしあたり六月三十日までの存続期間という法律の御審議願つたのでございますが、その後、公團廃止後の販賣機構改編酒類徴税機関整備等につきまして、いろいろ研究準備は進めておりますが、なかなか大きい問題でございまして、思うように運ばない点があるのでございます。また一方徴税機構全体につきましては、御承知のように今般シヤウプ・ミツシヨンがその研究参つて、いろいろと処置を講ずるということに相なつておりまして、その研究をまつてきめなくてはならない点もあるわけでございます。そういう意味におきまして、さしあたり酒類配給公團法廃止時期を政令をもつて定めるということに、お願いをいたすわけでございます。酒類配給公團法七條によりますと、酒類配給公團経済安定本部総務長官命令によつて解散するという條項がございますので、準備ができ次第、なるべくすみやかにこの第七條を適用いたしまして、公團を解散させ、それと同時に政令を出しまして法律廃止して、意味がなくなつた法律整理をやるというような考えでおるわけであります。なお從いまして、その時期等につきましては、今から確たることを申し上げることは困難であると御了承願いたいと存じます。なおその際におきましては、もちろん販賣機構の点についても、徴税機構の点につきましても、万全の処置を講じますと同時に、この前の御審議の際御答弁申し上げましたように、その場合の小賣業者ないし公團職員等に対する処置につきましては、十分親切にめんどうを見て参りたい。またその関係等について、無用の摩擦ないし混乱を起さないようにいたしたいと考えておるような次第であります。
  7. 河田賢治

    河田委員 未復員者給與法改正につきまして御質問いたします。今資料を私は持つておりませんが、未復員者の大体の総数、それから現在未復員者は大部分ソビエトあるいは中共の地区におるように言われておるのでありますけれども、なお南方諸国方面にも、日本の元の軍人軍属あたりが残つておるような新聞記事もときどき拜見するのでありますが、大体どのくらに未復員者数があるか。それから本法律によつて給與を受けている者が、どのくらいおるかということをちよつとお聞きしたい。
  8. 岡林諄吉

    岡林説明員 ただいまの御質問に対しまして、概要をお答えいたします。現在未復員者の元軍人軍属は、樺太、千島等を含みましたソ連関係が約四十万でございます。それから主として満洲の中共地域の未復員者につきましては、これは確実なる人員が把握できないのであります。從つて公式発表ちよつと差控えざるを得ないのでございますが、一般の邦人を含めまして、約六万ということになつております。それから南方関係復員は、一應全部終つておるということになつておりますが、いわゆる状況不明として現在探求中のものが約三万あるのであります。そのほかいわゆる戰犯の関係で、現地で服務中の者、あるいは未決で抑留中の者というものが数千あるのであります。
  9. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに質疑はございませんか。
  10. 河田賢治

    河田委員 どのくらい給與法支給されておるのですか。
  11. 岡林諄吉

    岡林説明員 現在給與実施の対象になつております者は約三十二万でありまして、そして給與の中で、一般給與の一番大きなものは扶養家族手当でございますが、それは現在約八万世帶になつております。
  12. 川野芳滿

  13. 高間松吉

    高間委員 今未復員者ソ連関係中共関係はお伺いしましたが、南方関係について、詳しくはおわかりにならないと思いますけれども沖繩本島宮古島、あの附近におつた兵隊についてですが、台湾から沖繩引揚げて來た者、並びに宮古島に現在おつた者は、復員したことを聞き及んでおるのでありますが、沖繩本島の北部におつた者引揚げて來た者は耳にしたことはないのであります。現在沖繩本島日本内地でないというような関係で、その点詳しくはどうかと思いますけれども南方のうちで詳しくわかる範囲の未復者模樣を、政府の方でお調べになつたものがありましたならば、お聞かせ願いたいと思います。
  14. 岡林諄吉

    岡林説明員 ただいまの南方関係で約三万と申し上げましたが、その内訳につきましては、現在資料を持つておりませんので、資料をとりそろえて申し上げたいと思います。  沖繩の未復員関係のことについて御質問がありましたが、これはやはり状況不明者として、ただいま申し上げました三万のうちに含まつておるものと考えております。その数字等は後刻御返事を申し上げたいと思います。
  15. 高間松吉

    高間委員 沖繩本島におつた者と、それから宮古島に居住しておつて、現に東京に住まつており、両親が宮古島におつた者を、うちで五人ばかり使つてつたのでありますが、終戰後一箇年ばかり過ぎまして、沖繩あるいは宮古島引揚げて、また再び帰つて來た者の話によると、沖繩本島に約一万の兵隊が残つておるという話を私どもは聞いておりますが、その点、今ここに資料がおありにならないとするならば、後ほどでもわかる範囲の詳しい資料をお示し願いたいと思います。
  16. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいま議題になつております二法律案につきましては、もはや質疑もないようでありますから、この際質疑を打切り、審議を進められんことを望みます。
  17. 川野芳滿

    川野委員長 宮幡君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 川野芳滿

    川野委員長 御異議ないようでございますので、両案に対しての質疑はこれにて打切ります。     —————————————
  19. 川野芳滿

    川野委員長 それでは未復員者給與法の一部を改正する法地案議題として討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。宮幡靖君。
  20. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいま議題となつております未復員者給與法の一部を改正する法律案につきましては、もともとこの提案はしごく妥当なものでありまして、いまだ未復員者給與法につきましては改善をなすべき幾多の問題があろう、さような意見がわき出て來る以外に、この原案に対しまして、いささかも反対の意思を持つ考えはございません。從いまして全面的に原案に対しまして、わが民主自由党賛成の意を表明する次第でございます。
  21. 川野芳滿

  22. 河田賢治

    河田委員 この未復員者給與法の一部改正につきましては、共産党を代表いたしまして一應賛成ではありまするが、現在医療費支給の運営の面におきまして、非常に保險医あるいはその他の医者たちへの政府支拂いが遅れるために、今日医療やり方が非常にぞんざいになつて來ている。また行く方にしましても、結局そういうところからいろいろなむりが出て來る。こういう点で、現在保險医などのやり方が、政府責任によつて医療が十分全うされていない、この趣旨に沿つていないという点が、今日大きな問題になつて來ております。この点においても十分政府は留意せられまして、この医療費支給などは遅滯なく実行して行く。さらに今議会には出ませんでしたが、現在物價がどんどん騰貴し、いろいろ生活費が高まつて來ておるにもかかわらず、この未復員者に対する給與は全然上つていない。わずかに未復員者に対しては百円を、妻が六百円、その他の家族が四百円ということでは、これは生活ができないのであります。戰爭の犠牲者であるこれらの人々の生活に対して、われわれは十分なる責任を負わなければならぬと思います。この点につきまして今後政府は來るべき議会にでも、根本的な改正提案されるように希望しまして、この案に賛成するものであります。
  23. 川野芳滿

  24. 荒木萬壽夫

    荒木委員 私は民主党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまする未復員者給與法の一部を改正する法律案につきましては、この法案そのものとしては異存は持ちません。賛意を表する次第であります。
  25. 川野芳滿

    川野委員長 田中織之進君。
  26. 田中織之進

    田中(織)委員 未復員者給與法の一部を改正する法律案につきましては、社会党といたしまして、これに賛成をいたしたいと思います。
  27. 川野芳滿

    川野委員長 討論は終局いたしました。   暫時休憩いたします。     午前十一時二十八分休憩      ————◇—————     午前十一時三十二分開議
  28. 川野芳滿

    川野委員長 再開いたします。  たばこ專賣法案塩專賣法案しよう脳專賣法案の三法案一括議題として質疑を継続いたします。風早八十二君。
  29. 風早八十二

    風早委員 私の質疑に入る前に修正案が出て來ておるようでありますから、これについて簡單でいいですが、その修正の眼目が一体どういうところにあるのか、一々條文を読まなくてもいいですから、簡單に御説明願いたいと思います。
  30. 川野芳滿

    川野委員長 それではこれはまだ向うの〇・Kをとつてないようでありますから、速記を中止して政府委員から説明を伺いましよう。速記をやめてください。     〔速記中止
  31. 川野芳滿

    川野委員長 速記をとつてください。
  32. 田中織之進

    田中(織)委員 議事進行について……この專賣三法関係におきましては、政府提案は大きな点で修正しなければならぬような事態参つて來ておると思います。これは本來なら、これだけ廣範にわたつて修正しなければならぬような事態が現実に発生して來ておるとすれば、政府はむしろ政府原案修正して國会審議にかけるべきだと思う。從來國会の側ではそうした点につきましてある程便宜的な取扱いをいたして、國会側修正という形で参つて來ておると思うのでありますが、ことに罰則問題等につきましては、われわれも刑法の免責規定等が、專賣三法のこの非常に重い罰則の中に適用されておらないということは、重要な問題だと思うので、財政罰というような観点だけでなしに、政府として大いに考え直さなければならない筋合いのものだと考えるのです。從來の專賣制度というものに対する非常に強権的なイデイオロギーが、そのまま現在の罰則強化の面に現われて來ておると思います。從いまして委員会修正という形でこういう重大な修正をやることは、私は不適当だと思いますので、むしろこの問題は政府の側において原案修正して、國会に出し直すという形をとつてもらいたい。
  33. 宮幡靖

    宮幡委員 午前はこの程度において休憩せられ、午後日本銀行法の一部を改正する法律案公聽会終了後再開せられ、ただいま議題となつておる三法案質疑を継続せられんことを望みます。
  34. 川野芳滿

    川野委員長 宮幡君の動議のごとく決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 川野芳滿

    川野委員長 それでは午前はこの程度にして休憩し午後は公聽会が終りましてから委員会を再開することにいたします。これにて休憩いたします。     午後十一時四十五分休憩      ————◇—————     午後四時五十三分開議
  36. 川野芳滿

    川野委員長 午前に引続き会議を開きます。  まず未復員者給與法の一部を改正する法律案は午前中討論を終局しておりましたので、これから採決に入ります。本案賛成の議君の起立を願います。     〔総員起立
  37. 川野芳滿

    川野委員長 起立総員。よつて本案原案通り可決いたしました。  なお報告書の作成その他につきましては、委員長に御一任願います。     —————————————
  38. 川野芳滿

  39. 風早八十二

    風早委員 お諮りをいたしますが、今まで再々質疑を継続しかけて、その途中でいろいろ議事進行の御都合で切れてしまうのでありまして、非常に不経済質疑継続をやつているわけであります。また今日も今本会議で、前國会で大問題となつておりました労働法案の上程があるわけでありまして、現に上程されておりまして何どきみな本会議へ出なければならぬかもしれないのであります。そういう状況でまたまたこの質疑は途中で打切られるというおそれが多分にあるのでありまして、願わくはこの際一應散会にして、本会議が終り次第やる、あるいはまた明日徹底的にやるというふうにしていただければ、きわめてありがたいと考えます。
  40. 塚田十一郎

    塚田委員 風早委員からの御提案は実際ごもつともだと思います。しよつちゆう風早委員質問の中途で打切られておることは私どもこれを認める。しかしまたそれと同時に、風早委員がしよつちゆう質問を打切られるのは、風早委員の御発言が一番多いものですからして、しよつちゆうそういう災難にあつているわけでありまして、会期も非常にせつぱ詰まつております今日ですから、時間一ぱいだけ御質問願つて、そうして質問も上手にやつていただいて、いつどこで切られもあまり実害をお受けにならぬように、これは風早委員の御自身の御裁量で、よろしくお考え願いたいと思います。
  41. 川野芳滿

    川野委員長 委員長として風見委員にお願いいたしますが、質疑続行を願います。
  42. 風早八十二

    風早委員 大藏大臣質疑をいたしたいのでありますが、今大藏大臣がおられないから、それで質疑を打切るというような妙なことはいたさないつもりであります。この間から大藏大臣出席を要求しておりますが、依然として大藏委員会にはなかなか敷居が高いとみえておいでにならぬようでありますからせつかくお見えになつておる原田專賣局長官にお尋ねいたします。  まづ塩の問題につきまして、私はどうしても最近の政府政策が、この外塩に非常な比重を置かれて、そのために國内にあらゆる犠牲負担しわよせが行われているという点に、特徴を見出すものでありまして、この点を中心にして今まで実は質疑をやつて來たつもりなんであります。さて同じこの外塩によるにいたしましても、現在のその輸入先はあまり不経済なものではなかろうかと思います。それで地中海その他の船賃の高いところからでなく、中國の塩を取入れるとかいうことを、ぜひ断行すべきであると考えるのでありますが、そういう点についての政府見通し、あるいは御見解を承りたいと思います。
  43. 原田富一

    原田政府委員 外塩輸入先の問題につきましては、私どもといたしましてはできるだけ安い塩が入つて來、また塩の質もなるべくよいものをという園を持つて來たのであります。お話の、近い中國の塩につきましても、御承知のように戰前これは日本の力で塩田の拡張整理をやつて参りまして、それで増産ができて、それが日本に入つてつたのであります。終戰後こういう状態になりまして、今日では大して入つていないのであります。それでも台湾塩あるいは中國塩。多少は入つて來ておつたのでありますが、何分にも中國の状況がああいうふうでありまして、よくわからぬ点もあります。また大丈夫積み出せるという話がありまして船をまわしてみても、現品がなかつたりいろいろの都合で、結局向うから積んで來れないという事情もあつたりいたしまして、遺憾ながら円滑に行つていないような状態なのです。今後中國の状況がだんだん治まるにつれまして、できますれば近い塩を入れることを十分に考えたいと思つております。
  44. 風早八十二

    風早委員 たとえば大阪地方專賣局監視部の次長をやつておられます村田博君の談として、外塩の依存はだんだんそういう政策をとつて來つつあるけれども、はなはだ不経済であつて、むしろ國内塩を起す方がはるかに有利であるということにつきまして、かなり詳細に証明をした談が出ておるのであります。政府はこういつた大藏事務官見解については、どういうふうに考えておられますか。政府として最高の方針を立てる場合におきましては、これは、もう少し眞劍考えてもらわなければならぬと思うのです。そういうふうな見解大藏事務官方面から出ておるということは、御存じでしようか。
  45. 原田富一

    原田政府委員 ただいまのお話は、今正確に記憶はないのでございますが、たしか專賣局で毎月出しております「財政專賣」という小雜誌にあつたことかと思うのでございます。外塩内地塩價格比較を申しますれば、外塩は一ドル三百六十円で、この前風早先生からもお話がありましたが、大体六千八百円程度國内塩予算の上で申しますと一万一千円です。今度は、外塩を粉碎するとしますと一トン四、五百円程度経費がかかるのであります。なおまた、一ぺんかん水に溶かして再製をいたしますと、トン当り大体二千円くらいかかるのであります。それからCIF六千八百円、積みおろしにもある程度経費がかかりますので、再製すると國内塩と大した價格の差はなくなつて來るのではないか。これは一應日本の円の價格との比較でございますが、また一面、日本の乏しい外貨を使つて入れるということを考えますと、お話のように、今後十分檢討しなければならぬということになります。
  46. 風早八十二

    風早委員 價格の問題だけから見ましても、これは大してかわりはないのでありますが、さらに現在のような情勢で、輸入塩の割合がほとんど大部分を占めてしまう。二十二年度におきましてもすでに八七%を占めておりまして、國内生産によるものはわずか一三%といつたようなことになつて來ております。こういう状態では、國内の製塩業者はつぶれてしまうということは——現にもう始まつておるのでありまして、これは放置できない。こういうふうな観点からも、國内の産業を復興する観点からも、政府はぜひとも根本的に考慮される責任があると考えるのであります。その点については、原田長官は一應考慮されると言われるのでありますが、政府政策はまつたくそれと矛盾しておるのでありまして、われわれは今の政府の行き方に対しては、遺憾の意を表せざるを得ない。これは討論にわたりますからこれくらいにしておきまして、次はタバコの問題に移りたいと思います。  タバコ專賣権の一部を外國資本に讓渡する方針だということが新聞に報ぜられたので、私はさつそく本委員会でも原田長官に、その点について政府見解を伺つたわけでありますが、どうも要領を得なかつた。ところが、その後何度か新聞紙上に、吉田総理大臣の談としてこれがまたしても出て來て來るのです。それは吉田総理大臣一個の見解であるのが、あるいは政府方針であるのか、その辺の関係を今日あらためて承つておきたいと思います。
  47. 原田富一

    原田政府委員 タバコ專賣を民営にするとか、あるいはタバコ專賣に外資を入れるとかいうことを、私はちよちよう見たり聞いたりするのでありますが、現在私の承知しておる限りでは、これに関する政府具体的方針というものは、何らないと思うのであります。吉田さんのお話新聞に出たりいたしておりますが、私はまだこれを直接お聞き申しておりませんし、具体的のことは何ら承つていないような次第であります。
  48. 風早八十二

    風早委員 專賣関係についての最高責任者である原田長官自身の問題にもなるので、どうかと思うのでありますけれども、いやしくも内閣の首班である吉田総理がしばしばああいう言明をしておられるのであります。これに対して全然関知しない、新聞に出ておることは見ておるけれども吉田首相との間にこのことについての何らの談合がないということは、だれも考えられない、納得の行かないお言葉でありまして、まずこれに対してはいなか應か、一應の御見解はおありになると思います。もしもあれが吉田個人の方針であると考えましても、とにかく吉田総理の方針が、やはり政府方針になるという予想があるかどうか。そういう点について、なお見解を伺いたいと思うのであります。
  49. 原田富一

    原田政府委員 ただいまのお話に関しましては、私は大藏大臣にもたびたびそのことについてお伺いしたりしたのでありますが、政府方針としてそういう方向に向うかどうかということについては、まだ全然何もない。私の知つておる限りでは、そういうふうでございます。
  50. 風早八十二

    風早委員 このタバコ專賣法案というものは、今私が申しました外國人へのタバコ專賣権の一部讓渡ということを、予想される点は全然ないとお考えになるわけですか。
  51. 原田富一

    原田政府委員 お話通りでございまして、ちよつと申し上げますと、たばこ專賣法案の第二條に、「たばこ種子の輸入、葉たばこの一手買取、輸入及び賣渡、製造たばこの製造、輸入及販賣並びに製造たばこ用巻紙の一手買取、輸入及び販賣の権能は、國に專属する。」ということがありまして、第三條には「前條の規定により國に專属する権能及びこれに伴う必要な事項は、この法律及び日本專賣公社法の定めるところにより、日本專賣公社の行わせる。」それから十五ページの第三章でございますが、製造というところに、第二十七條「製造たばこは、公社でなければ、製造してはならない。」ということがはつきり書いてあるのであります。これは外資の導入と申しましても、いろいろの面から考えられると思いますが、何としても中心になる問題は、工場の問題、タバコの製造の問題だと存ずるのであります。これにつきまして、今申しましたように、二十七條で「公社でなければ、製造してはならない。」ということをはつきり書いてあるのでありまして、外資導入というものを予想して、この法案考えておるわけでは全然ございません。
  52. 風早八十二

    風早委員 このタバコ專賣の実際の機能が公社に移る。この公社に対しては、政府が全額出資でやつて行くということになつておると思うのであります。將來この政府出資にかわつて、その一部が外資によつて出資せられるというようなことは、予想としておられないかどうか。また表面政府出資でありましても、事実現在全予算の運営というものにおきまして、この外資の息が非常にかかつておるのでありまして、その限りでこの公社への政府出資というものに、おのずからこの外資のコントロールの方針というものが入つて來るというふうなことを予想するのは、まつたく杞憂に属するとお考えになるわけでありますか。
  53. 原田富一

    原田政府委員 出資等の面につきましても、お話のように、法文の上でも明らかに政府の全額出資となつておりまして、外資の入るということは考えていないのであります。お話のようにそういうふうな表の面からではなくて、別の面に外國資本と申しますか、その手が入るかどうかということにつきましては、それはタバコ專賣の大きな方針の問題だと存ずるのでありまして、そういう点は十分日本の國全体として考えてやらなければならぬことだと私は思つております。從つてそういう大きな方針の問題につきましては、やはり國会等で十分な審議を経た上でなければ実行すべきことではないと、私としては考えておる次第であります。
  54. 風早八十二

    風早委員 その問題についてはこれで質問を打切りまして、次にこれはかねがね原田長官にお願いしておいた件でありますが、この製造タバコの原價計算であります。これについては私がちようど欠席しておりましたこの委員会において、一部御報告があつたように承つておりますが、実は詳細にはわかりませんので、この点はなるべく重複を避けることにいたしまして、ただその際に、生産者が、たとえばピースについては六円何がしということだけ報告せられたように、私は承つておるのであります。問題はその六円何がしの生産費の内訳でありますが、その点についての資料をひとつ簡單に御報告願いたいと思います。
  55. 原田富一

    原田政府委員 実は先日、これは風早さんからもお話があつたことで、それまでに準備すべきであつたのでありますが、この前本委員会で申し上げた程度資料しか手元にありませんので、後刻これは調書をつくりまして、お手元に差上げたいと存じますから、御了承願いたいと思います。
  56. 風早八十二

    風早委員 それははなはだ残念であります。あらためてその資料はぜひ御提出を願いたいと考える次第であります。しかしながら、いずれにいたしましても、現在ピースは六十円に賣られておる。生産費が六円何がしであるということになりますと、その幅というものは販賣價格に対してあまりに大きいと思うのであります。おそらく生産費と言われるからには、その中には賃金もあれば平均利潤というものも当然含まれておるはずでありまして、それを除いてさらに五十何円という莫大なる超過利潤がつけ加わつておる。結局これはいうまでもなく國家独占價格でありますし、本質的には間接消費税にほかならないものでありますが、それがあまりに幅が大きい。私どもタバコ好きでありますから、もう日々、一日に二箱は必ずのむのでありますが、おそらくこの日本タバコのまずいことは、世界にもまれではないかと考えるのです。昔はこんなことはなかつたのですが、現在は非常にまずい。最も高いピースにしてもそうであります。ほかのタバコなんか、とうてい、のめやしない。ところが最近——これは頂戴いたして何でありますが、この委員会にも皆樣方に大藏当局、專賣局からタバコが渡つたと思います。あれを見ますと、ここにも一本くらい残つておりますけれども、これはけつこうな品物で、おそらくアメリカのタバコよりもとは言いませんが、とにかくアメリカのタバコに少くとも匹敵する味だと、非常に感心してのんだわけであります。こういうタバコが一体日本でできるわけですか。できるのに今のようにまずいタバコを賣り出して、それでもつて巨利を博しておる。税金をとつておる。こういうようなことは、はなはだ遺憾だと思います。ただタバコというものを税金の対象としてのみ考えられる。國民のタバコに対する嗜好なんというものは、今日はほとんど米を食べるのとまつたく同じ必要に基いておるのでありますが、こういう点をまつたく無視されて、まずいタバコをただただ税金のために、その意味で、材料その他についても、きでるだけ生産費を削つて、ただただ間接消費税部分を非常に増大させておる。こういうことは、はなはだどうかと思うのです。政府のこの点に対する根本方針は、どこまでも税金にのみ從属して考えておられるのか。そうでないと一應は言われるでありましようが、それをもう少し説明していただきたいのです。
  57. 原田富一

    原田政府委員 タバコ價格の問題は、仰せの通り終戰後非常に高くなつて参りました。戰前におきましては日本タバコは、そうむちやくちやに高いところまでは行つていなかつたのでありますが、國民の所得の中のタバコの消費額を調べましても、非常に今日は高くなつております。本年度の予算で申しますと國民所得一兆九千何億のうち、大体五・七%にタバコの消費額が上る計算になつております。これが戰前の常態のときを申しますれば、大体國民所得の二%程度でございます。アメリカあたりでも大体二%あるいはその前後というところが、大体普通の状態のようであります。イギリスあたりも戰前はそういう状態であつたと思います。今日ピースも高いし、ほかのタバコもそういう面から考えてみますと全体が割高になつておる。ことに高い品物が高くなつておるということはお話通りでございます。ピースの原價は本年度の予算で計算いたしますと五円四十八銭三厘、これが十本あたりの原價でございます。昨年度は六円何がしでありましたが、本年度製造数量を非常にふやしました関係で、原價が下つておるのであります。それが定價が六十円でありますが、政府賣渡價格ひ五十七円六十銭でありまして、從つて五十二円何がしかの益金、税に当るものをとつておりますが、九五%ばかりの税率といいますか、收益率はお話のように非常に税として高いわけであります。私どもといたしましてこれまでやつて参りましたのは、戰爭で製造能率が非常に低くなりましたので、できるだけ早く製造能力の復旧をはかりまして、畳の上においてまず早く戰前に復したい。そうして量が多くなりますれば、專賣益金といたしましても、割合に價格を上げないでも、相当の益金が出る計算になりますので、そういうことを考えて今日までやつてつたのでありますが、一方財政上の事情からいたしまして、かような高い値段にせざるを得なくなつたようなわけであります。私どももできますれば値段はできるだけ低いところに今日の状態では持つて行きたい。今後日本財政経済事情がだんだんよくなつて來るにつれまして、あるいはタバコの数量ももう少し多くなるにつれまして、できますればそういうふうにタバコ價格を低めるように努力したい。こういうことを考えておる次第でございます。今日までは遺憾ながら高くせざるを得ないような状態であります。  それから品質の点につきましては、お話のように戰前に比べて非常に劣つております。これは原料の生産も少くなりましたし、また肥料等の問題も戰前に比べて事情がかなり惡くなつておりまして、原料のいいものがなかなかできにくいのであります。それにまた戰前の巻タバコには相当主としてアメリカ産の原料葉が入つておりました。これはそうたくさんではありませんでしたが、それでも戰前のホープ、チエリー等でも半分くらいはアメリカのヴァージニア葉と申します原料が入つてつたのであります。日本でもアメリカのヴァージニア葉の種を輸入いたしまして耕作し、種々研究いたして、これはかなり古くからやり今日もやつておるのでありますが、日本の今日の耕作の技術では、アメリカほどの品質のタバコが遺憾ながらでき得ないのであります。これは土質、氣候の関係もあり、いろいろ研究はいたしておるのでありますが、これまではアメリカには及ばないような状態であります。それで今日私どもはこの数量の点におきましても少しふやしたいのでありますが、数量の点につきましては、かなり戰前に近いところまでの数量ができるようになつて参りましたので、今後は品質の点に十分力を入れまして技術の向上をはかり、良質なタバコをつくりたいと考えております。製造技術につきましても、香料の問題もありますし、巻紙の改良の問題もありますし、あるいは製造技術の点の改良の問題もあります。そういう面と相まちまして、なるべく良質なタバコをつくりたい、こういうことを考えておる次第でございます。お話のピースの見本的な特製品とでも申すようなものを、試製してみたのでありますが、これはアルミ箔もある程度アルミが入手できるような状態にありますし、それから品質も現在のよりはある程度よくできる見込みもほぼ立ちましたので、この見本に差上げたような品物にかえて行くようにしたい。近い機会にかえたい。こういうふうな計画を立てておるような次第であります。
  58. 風早八十二

    風早委員 これは委員各位にも申し上げたいのでありますけれども、大体この國会というものは國民の代表でありまして、みんな政治家でなくちやならないのでありますが、どうも今の現状を見ますと、法案が出たから何とかこれを通すというだけの、法案通り拔け機関のようなことになつておるのでありまして、われわれはまつたくいいダシに使われておるようなものです。初めて國会に出たのでありますから、まだ國会の眞價を十分に拜見しておらないのでありますけれども、今のような状態ではまつたく何のために出て來たかわからないような状態なのであります。今私がこういう問題を出しますのも、やはり專賣というものについて、もう少し國会は根本的にこの際考え直して行く必要があるのではないか。いたずらにこれを單に財務收入の道具としてのみ使うという傾向に対して、これは十分に反省して根本的に檢討して行く必要があるのではないかと考えます。もともとこの專賣というものは、その起りはタバコと塩とでは最初から違いますが、タバコの場合ではいわゆる財政收入を確保する。日露戰爭のために莫大な軍費がかかる。その負担をどこにおつかぶせようかというので、タバコ專賣にして大いに財政收入をあげたわけでありまして、明治三十六、七、八年以後この專賣益金というものが、その功罪は別にいたしまして、財政收入の中に占める割合というものは俄然大きくなつたわけであります。それでもまだ、たとえば明治四十一年には一六・四%、これが最高でありまして、大正七年には一三・六%、明治三年には一五・一%、それからあとはどんどん下りまして明治十五年には八・四%にまでなつております。他方において所得税收入というものの比重が相当高まつております。ところが戰後におきまして、再びこれがひどいことになつておる。御承知かと思いますけれども、二十一年になりますと三一・九%に達しておる。これが二十二年は二三・九%、二十三年も大体同樣でありますが、こういうふうにまたしても戰後においては、ちようど日露戰爭の当時のような專賣政策をとつておられる。これはいわゆるビスマルク的な國有と申しますか、これは半だ專賣的な態勢が残つておる國で初めて可能である。こういうふうなやり方をやつておられるのでありまして、この点はタバコの代金の負担が、主として最も多数を占めております富有でない階段にかかつて來ておることを考えてみますと、これはこの際根本的にひとつ考え直していただきたいのです。大藏省の任務というようなものも、やはりほとんど税金を徴收するというふうなところに中心が行きまして、ほかのいろいろな大藏省の機能がそれに從属して行われておる。專賣のごときはその最も著しい例だと思うのです。もう少し專賣局の当局としてもその独自の立場から、專賣については一應税金という問題を離れて、つまり財政收入という問題を離れてもう少し高所から見ていただきたい。國民の税金負担は決して所得税だけではないのでありまして、こういう見えないところから盛んにしぼられておるのでありまして、これでは生計がますます困難なものになつて行くと考えるのであります。そういう点でいたずらにまずいタバコを、生産費を安くしながら、間接消費税の部分を高めて行くというだけの方針はこの際に一擲していただきたい。この点を切に政府に要望したいのであります。  次はタバコの耕作者に対する問題であります。耕作者の耕作條件については非常に問題があると思うのです。私は今よく記憶はいたしておりませんけれども、たとえば今も農林省におそらく籍を置いておられると思いますが、農学博士近藤康男君がタバコ專賣について大きな論文を書いておりますが、その中にもタバコ耕作者の耕作條件というものについて、詳細な実態調査があつたと記憶しておる。由來タバコ耕作者に対しては非常に苛酷な収奪的な賠償制度でもつて、終始せられておるように考えておるのでありますが、そういう点についてまず現在の耕作條件、そして政府の今日以後の方針というふうなものを、この際に明確にしておいていただきたいと思います。
  59. 原田富一

    原田政府委員 タバコの耕作につきましては、耕作者の方々がほとんど各府縣に現在ございます。耕作しておるタバコもいろいろの種類のタバコがございます。その種類に應じまして生産費の状況も違いますので、專賣局におきましては生産費を十分実際にあたつて調査いたしまして、いわゆる賠償價格政府の買上げ價格を從來きめて参つておつたように次第であります。賠償價格につきましては、昭和十一年に比較いたしまして二十三年の額は大体百十倍程度になつております。これは米に比較しまして——米の倍率をはつきり記憶いたしておりませんですが、タバコの方が少し低いと思つております。一面反当收入を比較いたしますと、タバコは大体二十三年度の全國平均が二万二千六百円を少し越えております。大体二万二千六百円というのが全國平均でございます。米は八千八百円を少し越えた程度と存じます。二十三年度は一應予算の上におきましては一キロ当り二百円程度を見ておるような次第でありますが、今後におきましても十分生産費の状況をときどき調査いたしまして賠償價格を決定し、農民に対しまして生産費を十分まかなうような賠償價格をきめることに、今後とも十分注意をしてやつて行きたいと思つておるような次第であります。
  60. 風早八十二

    風早委員 第十三條には「耕作者は、公社の定める方法により耕作し收獲しなければならない。」とある。大体これで一事が万事公社でさしずして、いわゆる半ば強制的な生産割当その他の條件を決定になつておると考えられるのでありまして、そういうふうな点から、一般の農作に比して非常な負担を、物質的のみならず精神的にも背負つておるわけであります。今までの常識から言いましても、大体野菜をつくるよりはよろしいというくらいなところで、米と野菜とその辺のところを見合つて、自由なる耕作條件の発展を強いて押しとどめておくというような関係があつたと思います。今日は非常に時間も急ぎますから、私は一々申し上げることもできないのでありますけれども、大体公社が一万が万事これについて権限を持つておる。それに從わなければならない。しかも罪則も非常にあるのでありまして、うつかりしたことはできない。こういうふうなことになりますと、どうしても公社はよほどの責任を持たなければならぬ。先ほど私が日本ではタバコが非常にまずくて高いということを申し上げましたが、生産費は必ずしも高くはないのでありまして、生産者はかなり安いのです。今月のこの物價高におきましても、わずか五円か六円でひかりなどが一つできるわけでありますが、いたずらにただ生産費を安くしておくということが結局耕作者のそういう耕作條件、賠償條件というものを非常に劣惡なものにしておく結果、あるいはまた專賣局タバコの從業員に対する待遇というものを非常に劣惡にしておる結果として、そういうふうな安い生産費ができるというだけのことであるならば、これははなはだ遺憾であると思う。実はそうじやないかと思う。品質をよくするということはどうしても耕作技術の向上にまたなければならないのでありますが、この耕作技術の向上ということができないような状況にある。また政府がこれを進んで向上させるというような措置が、とられておらないということがあると思います。そういう点で今まで通りつて行けるという見通しがありますか、どうですか。実際これが市場に出る場合には、また内容がかわつてしまうのかわかりませんが、これを持続して、こういうふうな優秀なものがつくれるというのであるならば、これは別問題であります。しかしどうしても今の状況ではいけないと言われるのであるならば、その根本の原因はやはり耕作者に対する問題だと思うのでありまして、そういう点について政府があまりはつきりした方針を持つておられないのははなはだ遺憾だと思うのです。この第十三條から第十四條、それから第十五條から第十八條、こういうふうなところはいろいろ問題が残つておるのでありますけれども、一應まずこういうところをひとつ根本的に再檢対していただきたいということを申し上げておきます。  次にいろいろありますけれども、どうも今本会議もいよいよ労働法案が上程されたという内報もあつたのでありますが、もう少しばかり質問を継続さしていただきたいのです。災害補償の状況に関して資料は一向出ておらないのでありますけれども、これはどういうふうに今までされておつたか、ちよつと伺いたいのです。——お答えが遅いようでありますから、時間の筋約上次の問題に移りたいと思います。  今すぐ資料がお出せにならないようでありますから、結局災害補償の問題を含めて耕作者の平均的な利回り、耕作者の方の生産費です。言いかえれば農家の経営として一体それが成り立つつ行つておるのかどうか、そういう点についてのお答えを願いたいと思います。
  61. 原田富一

    原田政府委員 災害補償の問題は今数字を持ち合せておりませんので、あとで調べて御報告いたしますが、やり方としましては平年作の七割にその年の耕作実績が達しない場合には、その七割と、その災害を受けたときの実收額の差額の半額を災害補償として出しておるようなわけであります。実績等につきましては調べまして後ほどお手元に差上げたいと思います。
  62. 風早八十二

    風早委員 それではそれは後ほど伺うことにいたしまして、次には、もうこれで大体やめたいと思いますが、処罰の状況です。大体非常な嚴罰主義がとられておるのでありまして、これについては聞くところによりますと、大体一般の刑法の規定を準用するという方針が望ましいというような意向もあるように聞いておるのでありますが、依然として法案には嚴罰主義がとられておる。かたがた私どもが具体的に聞いております実例によりましても、非常に非常識きわまる処罰、罰金というようなことが実際に行われておる。京都のことでありますけれども、あるおばあさんが自分の手植えのはちにタバコをただ單に慰めに植えておつた。それに対して三千円の罰金が課せられたといつたような実例があつたのです。これは同僚であります河田君が実際につかんでおる実例なのであります。こういつたようなことが一方であるというような状況のもとで、財政犯であるからという理由で嚴罰主義をもつて、年寄りでもまた未成年者でもどんどんと処罰の対象として行くというふうな、いろいろな弊害が十分に考えられるのであります。昔、これはもう大分古い話でありますけれども、私どもは刑法をやつておりました関係で、ちよつとこれに関係しておつたのでありますが、明治四十五年に一厘事件というのがありました。きわめて零細なタバコの——これはタバコの事賣局の從業員でありますが、毎日葉タバコを少しずつ窃盗してうちへ持つて帰つた。これは連続犯なのでありますけれども、総計してその價がたつた一厘であつた。しかるに裁判所はこれに対してやはり入の財物を窃盗したる者は窃盗とみなして、十年以下の懲役に処するというふうなことでやつてしまつておる。これは幸いにして大審院で横田大審院長の、名判官の判断によりまして、結局一厘にしか値しないような財物は社会的に見て財物じやないということで、けりがついたのでありますけれども、そういつたような非常な非常識なことが実際にあるわけです。そういう点から考えてみまして、こういう嚴罰主義というものに対して非常な疑問があると思うのでありますが、こういう点を依然としてこの法案に存続いたしました理由を伺いたいと思います。
  63. 原田富一

    原田政府委員 專賣法の罰則ないし取締りの問題につきましては、お話のように現在相当嚴重にやつておるのでございますが、これが最近のように大いに嚴重になりましたのは、御承知のように昨年、一昨年の秋にタバコの「新生」を発賣いたしまして、相当高い値段で賣り出したために、違反が、それを動機としてと申しますか、急に増発したのであります。ちようどそのときはまだ農家で葉タバコをもつておつた時期であります。その方面からの葉タバコの横流れもありましたし、またいろいろの面から横流れが生じまして、非常に專賣法の違反というものが多くなつたのであります。このままに放置しておきますと、財政上非常に問題になるという点もありまして、取締りを強化することになり、取締り人員等の強化も行い、またその後罰則、罰金の額につきましても、漸次上げて参つたのであります。今度の法律案には三十万円にすることにいたしておりますが、しかしこれは專賣だけというものではなくて、ほかの財政罰とか、統制違反とかと大体権衡をとつた額にいたしておるのでございますが、そういうふうに罰則を強化し、また取締りも強化いたしてやつてつたのでございまして、現在もそれをやつて專賣権の擁護と申しますか、あるいは財政收入の確保と申しますか、こういう面をできるだけやつて参つておるのでございます。今お話のありましたような、いろいろな実際問題の中には、度の過ぎた部分もかなりあることと私どもも推察するのであります。お話のような事件は私が今初めてお聞きしたのでありますけれども、少し非常識のように考えますが、そういう点につきましては取締りに当る人たちを十分指導いたしまして、最高の罰金が三十万円であるからといつて、ただむやみに高い罰金を課するということではなくて、もちろん状況に應じて適切な処罰をするように指導しなければならぬのですが、そういう点を現在大いにやつておるような次第でございます。ただ取締り陣容等も終戰当時非常に少くなつておりましたので、急にふやしました関係上、取締りの仕事になれない者が実は相当たくさんありました関係で、ときどき非常識な、あるいは國民に対しまして迷惑をおかけしたことがあつたかと思うのであります。この点はまことに遺憾に存じます。そういう点はできるだけ注意をいたしまして、今後やつて行きたいと思うのであります。なおまた御指摘のありました專賣法の罰則で、刑法の原則の除外ということは、これは現在都市でよくやみタバコを賣つておるのに、大きなりつぱな男の人が立つてやみタバコを賣つておるという事例は割合に少くて——そういう例もあるとは思いますが、中には未成年者や、子供を使つてつておるのがかなり多いのであります。そこでこれを取締るとき、その子供がつかまえられるけれども、そのもとにいるおとなの人は、実際問題としてつかまらない場合がかなり多いのです。そういう関係もありますので、その未成年者も罰するということにいたしておるのでありまして、これは從來の專賣法におきましても、そういうことになつておりますし、配税法等におきましても、そういうことになつておるのであります。そのために刑法の原則の除外ということを考えておるような次第であります。
  64. 風早八十二

    風早委員 これは考えまするに、結局タバコというものをやはり税金の対象としての、主としてそのためにタバコをつくつておられるということから、結局は税金に対する今日のいろいろなやかましい規定とやはり同じような、非常な嚴罰主義がとられておるのだというふうに私ども考えられるのでありまして、そういう点が根本的に改まらなければ、なかなか改まるものではないと考えまして、その点の根本的な改善の上に善処せられるように切に要望したいと思います。  次はしようのうの專賣問題でありますが、これは簡單質問するにとどめたいと思います。大体このしようのうというものは、世界的には合成しようのうに押されておりまして、これは大きな需要性はこれからはなくなつて行くのではないかと思うのであります。とにもかくにも現状におきましては、しようのうの輸出は非常な飢餓輸出になつておることは、大体政府も認められるのではないかと思います。昨年の秋ごろは一ポンドが六十セント、ところが昨年の末には四十ないし五十セントくらいにだんだん低下しております。政府はしようのう油專賣の必要というものを一体認めておられるのかどうか、まずその点からして問題になると思いますが、御所見を伺いたいと思います。
  65. 原田富一

    原田政府委員 しようのう並びにしようのう関係製品の輸出につきましては、お話のように今度の為替レートの決定でかなり困難な部面もあるのでありまして、これに対しましては業者とも一緒になりまして、私どもいろいろ対策を研究いたしているのでございます。お話のようにアメリカの合成しようのうが戰爭中これは戰爭前からでございますが、かなり発達いたしまして、アメリカのしようのうに相当押されぎみの部面も多いのでございます。しかしこれはやはりしようのうそのものに値打のある部分がありまして、こういうような日本の特産品、これは台湾にもあるのでありますが、この特産品はできるだけその産業を維持して、ことに輸出に向く部面がかなりあり得るのでありますから、今後もこの事業を助長し、海外の発展をできる限り研究いたしまして進めて参りたい。そのために從來からやつて参つた專賣法によりまして、私ども業者と一緒になつて今後のしようのう業の維持なり、海外の発展を研究して参りたいと考えている次第であります。
  66. 風早八十二

    風早委員 研究はきわめてけつこうなのでありますけれども、実際それを裏づける予算の面から見ましても、今度くすのきの造林の助成費というものはまつたくなくなつた。  これは大体協同組合がやつておるわけでありますが、業者としてはやはりそういう点では非常に困つて、それも專賣でなければ当面買上げがなくなつて非常に困るわけであります。この專賣方針をとられる限りは、そういう裏づけの点につきましても、もう少し責任をもつてつていただきたいと思います。当面といたしましては價格の面が問題になると思います。適正な價格をきめられるという点につきまして政府はどう考えておられますか。大体どの程度にこれを考えておられるか。その点についても伺いたいと思います。  塩につきましてこの間價格の問題を出しましたが、それは答えられない、かんべんしてくれというお話でありましたが、やはり業者の要望としては、價格の点について政府がさつぱり明示しないということは、非常に根本的な支障を來すのでありますが、そういう点についてはどんどん明らさまに出していただきたい。少くもその基本方針を明らかにしていただきたいと考えます。
  67. 原田富一

    原田政府委員 先ほどお話のありましたしようのうの、主として輸出の問題にかかるのでございますが、大体しようのう関係製品の從來の輸出は、換算いたしますと四百五十円から五百円程度になるわけであります。これが三百六十円になりまして輸出に大きく影響するのでありますが、何と申しましてもしようのうをただ國内で使うだけでは、意義が非常に薄いのでありまして、輸出をできるだけはかりたい。これはしようのうに限らず、御承知のように日本の産業の各部面にあることでありますが、できるだけこれを三百六十円に近くもつて行くようにして輸出をはかりたい。そのような考えを持ちまして、しようのうの生産業の方面、あるいはしようのうから精製しようのうをつくつたりあるいは香料をつくつたり、あるいはしようのうを使つていろいろな製品をつくる方面の業者とも私ども一緒になりまして、どこに合理化し得る部面があるかということを目下研究中でありますので、業者と一緒になりまして、價格をいかにするかというようなことをきめて行くようにしたいと思つて、そういうふうに考えておる次第であります。近く業者とそういうことについて、話合う機会を数日のうちに開くことにいたしたいと思います。
  68. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は時間の関係上割合に簡單質問を終りたいと思います。塩とタバコの二点についてお伺いしますが、第一に塩について御質問いたします。原田局長官におおむねわれわれの意に沿うように、懇切丁寧に御説明あそばすのでありまして、この前私がこの委員会において話しておきました業者の声といたしまして、平がま製塩は一万四千四百円、蒸氣製塩は一万三千四百円、眞空製塩は一万二千三百円というような希望の要綱を掲げておきました。これに対して政府当局は一万一千円が適当であろうということを仰せになりました。その後多少場合によつてはその價格の上下は、物價廳と協定して決定するという御答弁でありましたが、その後いかようなる進行になつておるか。その点をお伺いしたいと思つております。第二点は現在の局長からの仰せによりますと、四十万トンを生産しておるのでありますけれども、事実それ以上の能力があるけれども、現在の情勢ではそれ以上になつていない、またつくる希望がないということを仰せになつておられました。私は率直に申されたと思いますが、塩はすべての産業の基礎になる。ことに藥品あるいは化学的の原料であることは申すまでもないのであります。しからばこれに対しまして適当なる方策を考えて、これの増産に邁進する勇氣と努力を拂う意思がありますか。
  69. 原田富一

    原田政府委員 賠償價格の問題につきましては、風早先生からも先ほどお話がありましたし、三宅先生からもお話がありましたが、予算の面におきまして一万一千円に計上しておるのであります。大体その予算範囲内におきましておちつけるように一應考えまして、政府は賠償價格等をきめるようにいたしたいということで、物價廳と相談し、目下関係方面と折衝中であります。これはもう年度も大分たちまして、五月になりまして、かようにおそくまだきまらないことはまことに私ども申訳ないのであります。実はなかなか関係方面との折衝が遅れまして、まだきまらずにいる状態でありまして、またその見通しの点は遺憾ながら申し上げるまでの段階に至つておりませんが、私どもはできるだけ早くきめるようにいたしたいと思つて、目下鋭意折衝中であります。これはもちろん今月中にはきめたいと思つております。そういうような状態で御了承願いたいと思います。それから國内塩の生産を四十万トンと予算にみております。私ども予算には四十万トンに一應與えておりますが、燃料をできるだけ入取いたしまして、これ以上の増産をはかりたいと考えておりまして、第一・四半期におきましても、これは昨日ですか申し上げたのですが、割合に今年は燃料の入取状況は昨年に比べていいのであります。それでこれが四十万トンをたくさんオーバーするということになりますと、予算が足りないということが起つて來るかもしれませんが、塩專賣会計においても予備費を五億ばかりみておりますので、できるだけ増産がありましたら、その予備費を使うことも考えております。一面塩專賣全体から考えますれば、増産があればそれだけ販賣の方も多くなつて來る。自然そうなりますので、その点は全体の塩專賣会計におきましては損失にはならぬかと思いますが、歳出の面において予算をオーバーすることはできませんので、足らなければ予備費をもつて、來るべき國会に補正予算なりの御審議を願うことになるのではないかと思いますが、そういうことになりましても、もちろん私どもはできますならば増産をはかりたいと考えておる次第であります。
  70. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の原田局長官の御説明によりまして、大体了承しましたが、私は原田局長官に言うのではない。政府一般の方に申し上げたいと思う点がある。役人の方は提案するときは非常に懇切丁寧でありますが、さて通つてしまいますと、なかなか実行の勇氣が少い。そういう例がたびたびありまするから、ぜひ今回は今原田局長官が仰せになりましたように、謙讓の美徳をそのまま実行に移して、どうぞ早く價格の決定をなさつて、一般業者の安定するように、また國民生活の基準が確立するように御努力願いたいと存じます。  次に申し上げたいと思いますことは、タバコに関する点であります。私は過日ひまを得まして、名古屋の地方專賣局を視察かたがた参りました。その点ともう一つ東京の本所の專賣局出張所の二点を、視察かたがた参観いたしたことがあります。それにつきまして感じたことをちよつとお話申し上げまして、局長官の御見解を承りたいと存じます。私の見解によりますれば、今日專賣公社になりまして、從業員がどのくらい減り、また動揺があるかないかという点をお伺いしたい。それからもう一つ思つております事柄は、現在の地方專賣局におきましては、法文系出身の人と技術家出身の人とがあることと思いますが、名古屋の局長は技術出身であると仰せになりますが、事実現在の局長は技術屋が多いか行政屋が多いか、その点もひとつお伺いいたしたいと思います。  もう一つ局長のお話によりまして、私は参考にしたいのでありますが、現在工員を募集する場合に、女子の工員を募集するについては希望者が少いから、事務員という名によつて募集した方がいいのではないかということを言つておりました。これはいかようになるか知りませんが、参考に專賣局で採用する場合の名称等も御考慮になつておるかどうかということを、この際御質問いたしておきたいと存じます。  次に今度はさきのやみタバコの例と関係があるわけでありますが、私は名古屋の局長に、あなたはどういうふうに考えておるかということを御質問いたしました。率直に申されました。このやみタバコに対しては各地方に小さい工場を持つて、一台か二台でありますが、小さいきざみ工場を持つて、それをわずかな女の手か何かを借りて巻いて、これを市中に流すものがあるということを認めておる。これをなくするように全力を盡したいという希望を持つておるという話でありました。もう一つ希望しておきたいと思いまする事柄は、この状況と関連いたしまして、工員がうちに帰るときに持つて帰りはしないかどうか、こういうことを、小さいことでありまするが聞きましたところ、たまにはある。ポケットの底なんかに忍ばしておることもありますが、大体帰るときには檢査を嚴重にいたしておるから、そういうようなおそれは少い、こういうことを言つておりましたが、事実全專賣局管内においての状況などがもしわかりましたならば、この際國民の声の名において御質問いたしておきたいと思うのであります。  最後に申さなければならぬ一点がありまするが、今日私どもタバコに対しまする信頼感は、風早委員の仰せになりました通りでありまして、私どもはなるべく良質なものを、割合低廉に一般に普及するように願つておるのであります。この際專賣公社となつて、やはりこれに対する大藏省の責任があるわけでありまするが、良質低廉をもつて販賣し得られるように、一層注意をするということを長官も仰せになつておるようでありまするが、これを全販賣人にまで徹底せしめ、迅速かつ低廉に販賣するようにやつていただきたいと思うのであります。  次の問題は、本所の專賣局出張所の点であります。本所区というのは燒けておる所でありまして、聞くところによりますと、本所出張所は現在本所、深川、向島、城東、淺草の五区を担当しておるということであります。その中におきまして、わずかに三百五十軒の販賣人であると言つておりました。私はこれらの五区に対して三百五十軒くらいの販賣所では、いくら燒けた所とは申しながら、少し少くはないか、かように考えております。これは一つの例でありますが、長官はもう少し販賣所をふやしまして、國民が自由に買えるようになさる御勇氣があるかないか。この点を申し上げたいと思います。  もう一つ言いたいことがあります。それは小賣店の販賣を申請いたした場合があつても、政府の役人がなかなかやつてくれない。そういつてもなかなか行かぬ。もちろん剩員整理あるいは行政整理を前にいたしました前提といたしまして、なかなか行きにくいという点、足が重いということもありましようが、もう少し長官は各部下に対しまして精励するように、ひとつ嚴重なる警告をお発しになることが、適当ではないかということを考えておるのであります。  以上数点にわたりまして、御質問いたしまするが、どうぞ原田長官の謙讓の美徳によりまして、懇切なる答弁を賜わりまするならば幸いであると存じます。
  71. 原田富一

    原田政府委員 專賣局の機構を專賣公社にかえるに関しまして、從業員等の動搖の問題について御質問でありますが、私は公社にかわるについて、それに関しての動搖はないと思います。ただ公社になりまして、どういうふうな形にかわるのかといういろいろな心配がお互いにあるわけですが、大体において從來とかわらないようにやるのだという根本のもとにおきまして、いろいろの取扱い方についてはきまり次第地方にも連絡し、よくわかるように話しておりますし、また今後もいたすつもりでございます。  それから地方局長、これは全國に十六ばかりあるのでありますが、名古屋の局長はお話のように元技術官であつたのでございます。專賣局は、從來におきましては技術官は局長にしなかつたのであります。いかに古くなる申しますか、相当りつぱになり、技術ばかりでなく事務的才能を持つておりましても、局長にはしなかつたのでありますが、たしかこれは戰爭末期ごろからかと思いますが、事務官、技術官の区別なく適任者は局長にするという建前にかえまして、現在もそれでやつております。ただ現在はやはり行政官の方が少し多いような次第であります。  それからいわゆる工員の採用に、事務員という名前で採用しないと、應募者が少いではないかというお話、私はこういうことは初めてお伺いしたのですが、あるいはそういう場合もあるかと存じます。しかし全國的に申してそういうことはないと思います。ただ一般的に物價の高い都会地におきましては、從業員が、專賣局給與関係から割合に來手が少いという面もございます。これは東京とか京都、大阪あるいは北九州で、六千三百円ベースと民間会社等の給與関係によるものでありまして、私どもは非常に苦心したところでありますが、最近はそれほどではありませんけれども、こういう点で非常に苦心をしたようなことがあります。ただしかしこの工員という名前とかあるいはその他の名称の問題は、別の観点からもいろいろ問題があるのであります。現在は一級官、二級官、三級官、それから雇員と、いわゆる工員と申しましても工場で働く者にはそういうふうに一應名前があるのであります。これに関しましては、公社になりますとそういうことを全然やめまして、全部社員、用員は用員でありますが、あとは全部社員ということにするつもりであります。ごくわずかの見習程度の者を準社員という名前で置きまして、あとは全部一本の社員にすることに大体内定をしております。  それからやみタバコの問題でありますが、これは名古屋で三宅さんのお聞きになつたように、小工場でやみのきざみなり巻タバコをやつておるという例がちよちよいあるように私どもつております。これはほんとうに撲滅しなければならぬことでありますし、これの直接の取締りには相当の危險もあるのであります。警察官なり、あるいは場合によりましては進駐軍の應援を得て、今後も取締りを励行したい。  それから工場からの持出しの問題は、これは実は非常に私ども心配しておることでありまして、こういうことが自分のところから出ることは、これは國家の工場を預つてつてまことに申訳ないことでございまして、絶対にあつてはならぬことでありますが、遺憾ながら間々そういうものがあるのであります。これにつきましては、私ども管理者の立場ばかりではなくて、職員組合あるいは從業員組合が非常は心配いたしまして、一緒になつて取締りをやり、またお互いに氣をつけ合いまして、これが絶滅を期しておるような次第であります。  それから本所区のタバコ販賣人の問題でありますが、私は正確な数字は今存じておりませんが、たしかあちらの方面は燒跡で、復興状況もほかに比べて割合に遅いという点もありまして、販賣人の数が少いのではないかと思います。しかしその次にも御質問されました、販賣人の申請をやつてもなかなかやれないというような状況も、実際には間々あるかと思いますが、これは人手が非常に足りないという部面もそれに関係していると思います。お話のように、こういうことは実際の需要に十分應ずるように、できるだけ増加したいということを考えておりまして、これは昔は、御承知かとも存じますが、一町以内にあつてはいかぬとか、どこでは三町以内はいかぬとか、そういうような内規も実はあつたように私ども記憶しておりますが、現在ではそういうことは全然なく、実情に應じて向い側でもいいということにして、一般を督励してやつておるような次第であります。
  72. 川野芳滿

    川野委員長 北澤直吉君。
  73. 北澤直吉

    ○北澤委員 時間もありませんから、一点だけお伺いします。最近の國際情勢から考えまして、日本におきましては、できるだけ食糧の自給体制というものをつくることが非常に肝要と思うのでございますが、耕地の相当の部分タバコの栽培に充てられている。ところがアメリカにおきましては、くずタバコが相当余つております。從いましてもしこのアメリカのくずタバコの安いものを日本に輸入して、これによつてタバコをつくつて、それによつて從來日本タバコ栽培に充てられておつた耕地の一部を、食糧増産の方に充てるというようなことができると、私は日本の食糧増産に相当効果を持つ、こう考えるのであります。そういうようなことを政府の方で考えておられるかどうか、お聞きいたします。
  74. 原田富一

    原田政府委員 タバコの耕作地は、本年度の反別は全國で五万町歩、昨年度も五万町歩、將來も大体五万町歩か五万五千町歩くらいのところが、タバコの需給関係から見ていいところであろうと思います。これは戰前におきましても大体その程度でございます。タバコは御承知のように、大体今ごろ移植いたしまして——これは九州の方と東北とはもちろん違いますけれども、大体四月から五月に移植をいたしまして、收穫をする時期は、これも所によつて違いますが、七、八月ごろが多いのであります。それで麦のあと作といつて麦の間のうねにタバコを移植いたします。その前作の麦は、普通に收穫できるのであります。そうしてタバコが七月、八月ごろとれて、あとには野菜なりあるいは東北の方では遅くまきますから、また麦をまきます。九州のようなところでは、稻をそのあとにやるところもございます。そのあとにつくりました稻は、普通の水田に比べまして、收穫は所によつては少いし、あるいは所によりましてはそう大して收穫量もかわつてないというようなこともありますが、そういうような形、あるいは水田の利用方法などであります。タバコをやめますと、そこにかわるものはじやがいもなり、あるいは大豆なり、甘藷なりかと思います。それで食糧にどれくらい影響するかと申しましても、米の水田作というのは概して大体少いのでありまして、大した影響——タバコをやらないために食糧の増産がどれだけできるかと申しますと、そう厖大な数字ではないと思います。それでアメリカからくずタバコを入れたらというお話でありますが、現在のレートでは、くずタバコも相当高いのです。日本タバコよりはずつと高い。普通にCIFの價格におきまして、一キログラム一ドル五十セントあるいは一ドル七、八十セントになつております。五百円以上であります。日本の葉タバコは平均して二百円から二百四、五十円だと思います。くずタバコも、これはそういうような價格の面から申しましても比較になりませんし、むしろ日本で葉タバコをつくして、アメリカあたりから食糧を輸入した方が、そういう面から言えば得になることだと私は思います。それでアメリカから葉タバコを入れるとしましても、そういうくずタバコではなくして、あるいは良質なタバコを——これはまた價格にもよりますけれども、くずタバコでも良質なタバコでも、そう大した閉きもないように今のところでた考えられますので、良質の葉タバコを少し入れまして、日本タバコの質をよくするという方がいいのではないかということを考えております。アメリカは数年來、相当原料葉タバコを持て余しているような形のように考えております。イギリスのごときも、アメリカのタバコを外貨資金の関係であまり買つていないようであります。というわけで、われわれがくずタバコを買うのはどうかと思う次第でありまして、食糧の関係におきましても、先ほど申しましたように、そういうふうにしないでもいいのではないか。むしろ原料の方がいいのではないか、かように考えております。
  75. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに御質問はございませんか。——なければ專賣関係の三法案については、これで質疑を打切りたいと存じますが、いかがでございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 川野芳滿

    川野委員長 それでは專賣関係の三法案については、これにて質疑を打切ります。     —————————————
  77. 川野芳滿

    川野委員長 なおちよつとお諮りいたしますが、本日日程に上せました請願百十四件の審査につきましては、請願審査小委員会を設置して審議を進めたいと存じます。この点御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようですから、請願審査のため小委員会を設置いたし、審議を進めることに決定いたしました。  なお小委員及び小委員長の選任については、委員長及び理事に御一任願いたいと存じます。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 川野芳滿

    川野委員長 それではさようにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時二十六分散会