○田中(織)
委員 主税局長がお見えにな
つているので、前々から一應伺いたいと思
つていた問題がありますが、滯納整理に関する問題で最近和歌山縣に起りました事例について、
主税局長の御方針を伺いたいのですが、
一つは海南税務署で起つた問題でございます。所得の総額が三十五万円という更生
決定でございまするが、その所得の更生
決定にあたりまして、この
対象にな
つておる人は漆器の問屋さんでありまするが、六反ばかり農業もや
つておるのであります。海南税務署の方針といたしまして、協力
委員制度によりまして漆器の
協同組合の
関係で指数をつく
つて、農業所得を織り込んで三十二万円ということで確定申告をいたし、それに相應する十二万八千円ほどの税金額がすでに納められておつたのでありまするが、農業所得の
関係から税額で一万八千円の分について処分が行われたのであります。しかも当日は軍政部から滯納整理の視察に來られておつた
関係もあつたということが判明したのでありまするが、その一万八千円の農業所得の分、これは当然所得額の確定にあたりまして見込まれておるという
関係から、確定申告と同時に納税するとともに、その分に対する
異議の申立てを行
つておる過程におきまして、徴收官の方では十二万八千円のほとんど大部分のもの、ことに確定申告の分が納
つているということが、滯納整理に出発するというときにはまだよく調査してなかつた。向うへ滯納整理に参りまして、いや、私の方は納めておるということで、徴收薄を見ると入
つておる。せつかく來たのだから
異議申立てをしているが、一万八千円だけの分について
執行をするという形で、自轉車三台のうち二台を差押えて、同時に物件を出納官吏が占有するということで、オート三輪車に載せて持
つて帰つたという問題であります。もちろん國税徴收法の
規定によれば、動産は差押え官吏がこれを占有することができるという
規定はあるようでありまするが、差押えの調書につきましても、本人に保管を命ずるということが印刷で刷り込んでおるような実情の場合に、税務署の方の
内部の手違いの点も私はあると思うのですが、ことに十万円以上の滯納整理というので出かけたところが、十二万八千円納ま
つてお
つて、問題にな
つておる一万八千円が残
つておるという場合に、私は一應差押えをすることは当然のことだと思いますが、そういう物件をことに税務官吏が占有をして税務署へ引上げることは、税金は一回限りのものではないので、將來の納税思想の涵養という点から見て惡影響を與える。当日は何十件も滯納処分にまわつたそうでありまするが、物件を引上げたのはそういう特殊な事情のあるのは一件だけ。これは海南市の黒江町という所でありますが、町内で非常に評判にな
つておるために、先般私の所へも來てそういう事情の話をして、大体最近の税務所のやり方が、よくないということで、非常な抗議的なものを受けた。ことに漆器の問屋さんであるので、自轉車を持
つて行かれた
関係から営業上重大な支障を來しておるので、当然
職務権限の範囲を逸脱して行われた行為であるから、営業妨害として告発するのだと言
つて、相当強硬な清見を述べておつたのでありますが、滯納整理についていろいろの悲劇さえ生んでおる状態のもとに、これはなまなましい実例でありますが、きわめて遺憾なことだと思います。こういう点について
主税局長の方では、第一線の收納官吏に対してどういうような指示と方針を示されておるのか、伺いたいと思うのであります。
第二点は同じ滯納整理に関する問題でありますが、これは和歌山市における実例であります。製材工場あるいは鉄工所等に税金の滯納整理に参りまして、まつ先に動力線のスイツチを切る。あるいは製材の製材機だとか、のこをはずして税務署へ持
つて帰るという実例が、数件にわつたておるのであります。製材工場で動力線のスイツチを切られてしまえば事業の
継続は不可能であり、滯納税金を納めるために新しくかせぐにしても、それができなくなるのでありますが、そういうふうに本省から、ただちに動力線のスイツチを切
つて、滯納整理の苦痛を與えろというような指令が出ておるものかどうか。これはわれわれ納税確保という点については、國家的な見地から協力する建前におきましても、そういう実例が出ることがきわめて税務官吏の行過ぎでもあるとは思いますけれ
ども、與える影響は少くないと思いまするが、この際
主税局長に明確なる御答弁を伺
つておきたいと思います。