○
中野政府委員 ただいま
議題となりました
関税法の一部を
改正する等の
法律案について、
提案の
理由を御
説明いたします。
わが國に輸出入されるすべての貨物は、
関税法第三十一條の
規定により、税関に申告し、檢査を経て、その免許を受けることと
なつており、税関はその面において最終的取締り官廳とも言い得るのでございますが、他の法令で、輸出または
輸入に関して、それぞれ当該行政官廳の
許可、承認等を要する旨を
規定している貨物については、その取締りの万全を期するために、税関檢査の際、その
許可、承認等を受けたことを証明するか、または証明の上、その認定を受けさせるようにし、もつて行政効果を最も確実にする必要がありますので、この趣旨を
関税法に
規定しようとして新たに一條項を設けたいのであります。
次に郵便物中、小形包裝物等に対しては、郵便物による密輸出入を防止する
見地からも、その輸出入に際して税関の檢査を受けさせる必要がありますので、これを法制化することとし、また收容貨物を税関で処分し得る期間は現在六箇月でありますが、それではあまりにも長期に失し、現状にそぐわないきらいがありますので、これを三箇月に短縮し、もつて港頭上屋の
利用の回轉率を高めるとともに、收容貨物の早期活用をはかるためと、これら收容貨物または腐敗のおそれのある收容貨物及び犯則事件の差押え物件も、公益上必要があるときは、その貨物につき統制機関のあるものはまずその統制機関に賣却し、統制機関のない場合は、税関長の適当と認める者に随意契約をもつて賣却し、なお一層の早期処分をはかるために、
関税法に
所要の
改正を加えようとするものであります。
次に現在外國貿易実績の相当量に上つている細島、津久見両港はこれを開港に指定して、その利便に資するとともに、開港の指定が
関税法と横須賀港を開港に指定する等の
法律(
昭和二十二年
法律第百九十二号)の二本建に
なつているのを、この際
関税法で一本としてその整理をはかり、かつ外國貿易の消長に伴つて、開港の中にもその價値を失つて來るものも生ずるので、一定の閉鎖條件を定めて自動的に開港の整備を行い、
從つて税関支署等の整理をなし得るよう
規定したのであります。
次に本邦に入出國する旅客に対し、その旅券の査証を行つて、身分等を確認し、もつて税関檢査の完璧を期するために、新たに
規定を設けるとともに、現在税関で行つている外國貿易等に関する税関統計の作成につきこれを法制化して、もつて税関にその作成を義務づけ、税関統計をさらに権威あるものとするために、その
規定を設ける必要があるのであります。
次に朝鮮、台湾等は密貿易取締り及び税関統計作成上の
見地から、
関税法の
手続面では現在も外國とみなされているのでありますが、
関係方面の意見も一致しましたので、当分の間これを
関税法上全面的に外國とみなし、あわせて
関税定率法、トン税法上も同樣外國とみなして、これらの地域をわが國
関税法規しまつたく外國と同樣の
取扱いをしようとするのであります。
次に
現行トン税率総トン数一トン七銭は、現在の経済情勢から見てあまりに低きに失するので、これを五円に改め、もつてその適正をはかり、あわせて租税増收の一助とするとともに、その他税関の
事務遂行上及び最近におけるわが國貿易事情から見て、
関税法に
所要の
改正を加える必要があると考えられますので、本
法律案を
提出した次第であります。
何とぞ御
審議の上、すみやかに御賛成あらんことを希望いたします。
次に國の
所有に属する
物品の賣
拂代金の
納付に関する
法律案提出の
理由を御
説明申し上げます。
從來國の
所有に属する
物品の賣
拂代金の
納付に関しては、
会計法の施行
規定である
予算決算及び
会計令及び
政府から物件を賣り拂う場合の代金の延納に関する勅令の定めるところに
從つて、実行して参つたのでありますが、これらの
規定は、現下の状況から、その
内容について変更を加える必要もあり、また國有
財産の賣
拂代金等の
納付については、すでに國有
財産法の
改正の際、これを整備し、
法律中に
規定しました
関係上、
物品の賣
拂代金納付の原則についても
法律で
規定することが望ましいので、今回その整備をはかるため、この單行
法律を
制定しようとするものであります。すなわち賣
拂代金の
納付に関しては、從來も当該
物品の引渡しのときまでに
納付させることに
なつておりますが、この原則
規定を
法律に引き上げまするとともに、從來特に
制限を設けられていなかつた賣
拂代金の延納に関し、第二條に列挙いたしましたごとく、必要やむを得ない
範囲においてのみこれを認め、担保の提供を
免除する等の場合におきましても一定の條件を付し、必要最小の
範囲にとどめることといたした次第であります。なお延納の特約をしようとするときは、從來の
通り大藏大臣に協議を要するものとして、さらにその濫に流れることを防止することを考慮いたしております。
以上の
理由によりましてこの
法律案を
提出した次第であります。何とぞ御
審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
次に
協同組合による
金融事業に関する
法律案の
提案理由を御
説明申し上げます。
協同組合による
金融事業につきましても、その健全な経営を確保し、預金者その他の債権者の
利益を保護し、健全な一般の金融秩序を維持いたしますために、
所要の規律を設ける必要があると思われるのでありまして、從來この点につきましては、当時立案いたしておりました金融業法におきまして、他のすべての金融規律とともに、
所要の規律を設けるという方針で進んで來たのであります。しかるにこの金融業法は、さらに別の観点から再檢討することになりまして、金融業法としては今
國会に
提出しないことに
なつたのであります。今般農業、水産業及び消費生活
協同組合以外の
協同組合の組織法でありまする
中小企業等
協同組合法案が、今
國会に
提出されることに
なつたのでありますが、これは
中小企業等の
協同組合の民主的な組織化をはかろうとするものでありまして、
金融事業の監督に関する規律がまつたくなく、このままでは
協同組合による
金融事業の健全な経営と一般金融秩序の維持は期し得ないのであります。
從つて本法によりまして、
協同組合につきましては、銀行等と同じように、
金融事業を行うにあたつては、
大藏大臣の免許を要することとし、その行う
金融事業に関しましては、おおむね銀行法または貯蓄銀行法の例によりました規律を設け、もつて一般金融秩序の中におきまする
協同組合による金融の健全な発達をはかろうとするものであります。
以上
協同組合による
金融事業に関する
法律案の
提案理由を御
説明いたしたのでありますが、すみやかに御
審議の上、御賛成あらんことをお願いいたします。
次に
國庫余裕金の繰替
使用に関する
法律案提案の
理由を
説明申し上げます。
現行会計法規におきまして、短期資金を一時
借入金または融通証券によつて調達するものと定められている
特別会計は、総計二十一に上るのでありますが、そのうち右の調達方法にかえ、
國庫余裕金を繰替
使用することを認められておりますのは、
專賣局及び
印刷局特別会計外七
会計にすぎないのであります。これがため
政府收支の年間推移の過程におきまして、相当巨額の
國庫余裕金が発生し、その
利用の道に苦しむごとき事態を生ずるとともに、一方には短期の資金繰りに苦しみ、融通証券を発行し、または一時
借入金を起さねばならぬ
特別会計が、多々存在する
実情と相
なつておるのであります。ゆえに
國庫余裕金の繰替
使用の
制度を、右の二十一
特別会計のすべてに拡張いたしますとともに、融通証券または一時
借入金の期限前償還のためにも繰替
使用を認めることといたしまして、
國庫金を合理的かつ効率的に運用し、あわせて融通証券または一時
借入金の利子
予算を節減することを、可能ならしめたいと存ずるのであります。
以上の
理由によりましてこの
法律案を
提出した次第であります。何とぞ御
審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
次にただいま
提案されました
興業債券の
発行限度の
特例に関する
法律案につきまして、
提案の
理由及びその
内容を御
説明申し上げます。
インフレーシヨン克服のため、本
年度予算においては、
復興金融金庫は著しくその機能を縮小することに
なつたのでありまして、これに伴い、産業の必要とする長期資金の供給は著しくきゆうくつと
なつて参つたのであります。他面経済の安定復興のため、長期産業資金の円滑な供給を要することは論をまたないところでありまして、このような状況にかんがみ、日本興業銀行の
興業債券発行の
限度を
引上げることといたしたのであります。從來、日本興業銀行は、日本興業銀行法の
規定によつて、拂込
資本金額の十倍を限り、
興業債券を発行することができることと
なつておつたのが、
昭和十二年以降は別途臨時資金調整法によつて、さらに一定額までの
興業債券の発行が認められることに
なつて、
昭和二十年には同法の認めるその
限度は百億円まで拡張されたのであります。しかしながら、臨時資金調整法は昨
昭和二十三年に廃止されましたので、從來の原則であります拂込
資本金額の十倍という
限度に復したのであります。爾來、再建整備後の
資本金五億円の十倍すなわち五十億円の
範囲内で債券を発行し、長期
事業資金の需要に應じて來たのでありますが、本年三月末現在における発行残額は約二十三億円と
なつたので、発行余力も少く
なつて参り、かたがた前に申し述べましたように、特に最近の情勢によつて、日本興業銀行の長期産業資金供給能力の拡大が強く要望されることと
なつたのであります。これがためには
資本金の
増加も一方法でありますが、こればかりでなく、
発行限度の倍率を
引上げることが必要と認められるのであります。このような事情から、現在の日本興業銀行法による
興業債券の
発行限度である拂込
資本金額の十倍を、二十倍にすることといたしたのでありますが、全般的な金融
制度については、かねてから再檢討を要請されておりますし、債券発行銀行についての恒久的な
制度としては別途考究する必要がありますので、とりあえずの措置といたしまして、暫定的に
昭和二十五年三月までの期間を限つて、日本興業銀行の債券
発行限度を二十倍とする
内容の單行法を
制定することとして、この
法律案を
提案いたした次第であります。
以上申し上げましたように、ただいま
提案されました
興業債券の
発行限度の
特例に関する
法律案は、最近における長期産業資金の需給状況にかんがみ、その調達を容易ならしめて、経済の安定復興に資するため、まことに緊要なものでありますので、何とぞ御
審議の上、御賛成あらんことをお願いいたす次第であります。
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