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1949-04-25 第5回国会 衆議院 大蔵委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年四月二十五日(月曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 小峯 柳多君 理事 島村 一郎君    理事 塚田十一郎君 理事 宮幡  靖君    理事 田中織之進君 理事 荒木萬壽夫君    理事 風早八十二君       高間 松吉君    岡野 清豪君       小山 長規君    北澤 直吉君       前尾繁三郎君    三宅 則義君       吉田 省三君    中崎  敏君       河田 賢治君  出席政府委員         大藏政務次官  中野 武雄君         大藏事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         大藏事務官         (主税局國税第         一課長)    原  純夫君  委員外出席者         農林事務官   井上 綱雄君         專  門  員 黒田 久太君         專  門  員 椎木 文也君     ――――――――――――― 四月二十三日  國営競馬特別会計法案内閣提出第一〇六号) の審査を本委員会に付託された。 同日  美術展覧会に対する入場税撤廃陳情書  (第二九七号)  入場税に関する陳情書  (第三〇八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  揮発油税法案内閣提出第五七号)  酒税法等の一部を改正する法律案(  内閣提出第五九号)  國営競馬特別会計法案内閣提出第一〇六号)     ―――――――――――――
  2. 川野芳滿

    川野委員長 ただいまより会議を開きます。  去る二十三日本委員会に付託に相なりました國営競馬特別会計法案議題といたしまして、政府説明を求めます。中野政務次官。     —————————————
  3. 中野武雄

    中野政府委員 ただいま議題となりました國営競馬特別会計法改正する法律案提出理由を御説明申し上げます。  さきに第二回國会におきまして、公正な競馬を行うため新たに競馬法を制定し、從來日本競馬会の行つておりました競馬國営とするとともに、競馬に関する経理のうち、勝馬投票券の発賣に関する歳入歳出は、一般会計と区分してこの会計において経理することといたして参りましたが、國営競馬全体の收支を明らかにいたしますためには、國営競馬業務に関する歳入歳出をも、この会計において経理することが一層適当であると考えられ、今回國営競馬特別会計法に所要の改正を加えようとするものであります。     〔委員長退席宮幡委員長代理着席〕  すなわち從來この会計において経理しておりました勝馬投票券の発賣に関する收入金及び拂戻金等は、これを投票券勘定として整理いたしまするとともに、これまで一般会計に所属しておりました業務に関する收入支出は、これをこの特別会計に移して業務勘定とし、業務勘定においては投票券勘定からの繰入金入場料登録料及び免許手数料競馬用施設貸付料及び競馬に関する刊行物の発賣による收入金等收入歳入といたしまして、一般会計への繰入金事務取扱費競馬開催諸費競馬用施設の拡張、改良、維持及び補修費競馬を行うに必要な物件の借入料及び都道府縣または市町村に対する入場税等交付金等の費用をもつて、その歳出としようとするものであります。そのほか、地方競馬の監督に要する経費も、その性質上この会計の所属とすることが適当であると考えられ、これに要する規定を一項加えました次第であります。  以上の理由によりまして、この法律案を提出した次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを希望いたします。     —————————————
  4. 宮幡靖

    宮幡委員長代理 それではただいまから前会質疑継続なつております税法改正二案を議題といたしまして、質疑を継続いたします。河田賢治君。
  5. 河田賢治

    河田委員 主税局長にお尋ねいたしますが、これまで滯納処分者に対してただちに差押え、競賣等が行われまして、特にはなはだしいのに至つては、死んだ者などもたくさんありますが、京都府などにおきましても、たとえばお百姓さんが牛をとられる。あるいはわずかばかりのこうもりがさの修繕屋さんなどが、二歳になる子供のおもちやを差押えられる。そうして競賣される。あるいは着ておる作業服まで差押えられたというような事実があるのであります。こういうふうに比較的生活に困難な人に対する滯納処分に対しては、ただちに差押えあるいは競賣等が強行されておるのでありますが、先ほど本委員会に提出されました一千万円以上の大口滯納者の名簿を見ましても、相当あるのでありますが、こういう大口滯納者に対して、税務当局はどういうふうな滯納処分をされておるか、その辺を承りたいと思います。
  6. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 租税の滯納が多いことは先般も申し上げた次第でございまして、私どもこの税法の建前からいたしますと、実は直接税になりますと、これはまず申告で納まることを期待しておるわけでありますが、なかなか申告では納まらない。そういたしますとつ更正決定をせざるを得なくなります。更正決定をいたしました税額がさらに納税期日までに納まらないということになりますと、どうもはなはだ不本意ながら差押え処分をせざるを得ぬのが現状であります。これにつきましては今御指摘のごとくく、私どもはまず大きな方から先に片づけるという方針はとつておるのでありまして、先般お手元資料を配付いたしましたが、これにつきましてもその相当な部分は、おそらく差押えを現にやつておると考えます。また現在大口のものについてすでに差押え、公賣等により片づいた分も相当ございます。現に執行中のものもございまして、まず何と申しましてもやはり相当零細な納税者方々にまで、差押えをせざるを得ないときにおきましては、まず大口の方から差押えをするという方針でやつておるわけでありますが、何しろ税の負担が重いせいか、金繰りに困られるせいか、やはり次々に滯納が発生して、根絶することができないのははなはだ残念に思つておるますが、今後も極力かような方針滯納を片づけるようにして行きたい、かように考えております。
  7. 河田賢治

    河田委員 法人税の問題につきまして、特に地方府縣事業税などの関係でありますが、多くの法人会社相当整理されていなくて、税務署の方からまだ税額決定していないというので——もちろん地方事業税は別箇の見地からこれを取立てることができるのでありますが、徴税の技術的な関係その他で、大体は各会社の営利その他によつて税務署決定したものを土台にして、事業税を取立てるという方針を大体とつておるようであります。ところが税務署の方で、法人税徴收が非常に遅れておるのです。たとえば京都あたりでは二十一年のころから決定していないのが大分ある。いわんや二十二年度においては、ほとんどざらにあるというようなことを言つておる。そのために地方事業税を取立てる場合に、大体税務署税額を基礎にしてかけるのであるけれども、それがなかなかできない。そのために事業税を予定通り取立てるために、小さい方によけいかかるという実情なつておるのであります。この点について法人税取立て等について、どういうふうに行われておりますか、お伺いしたいと思います。
  8. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 法人税につきましては、たしかにところによりまして税務署事務の遅れておるところが、相当あるようであります。その結果御質問のように、事業税課税まで少し遅れがちになるということも考えられますので、本年度といたしましては特に法人の遅れたものの決定を促進するようにというので、すでに先般も通牒を発したのであります。税務署事務計画よろしきを得まして、遅れた分につきましても極力決定を促進しまして、御指摘のようなことがないように、私どもとしましても努力いたしたい、かように考えております。
  9. 河田賢治

    河田委員 こういうことを聞くのであります。たとえば税額の大きい、少いによつて、これは署長級が取扱うとか、あるいは課長級が取扱う。また法人税などになりますと、非常に大きいのは財務局で取扱うという話を聞くのでありますが、事実そういう何か内示、申合せのようなものがありますか。
  10. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 今税務署でやつておりますのは、やはりそれぞれの税務署において、主として重要なる法人でございますと、比較的上級者が分担しておるのが多かろうと思いますが、あくまで担当官責任者でありまして、係長、課長署長が監督して参る、かようなことをいたしております。本年度といたしましては、すぐから実行することは困難でありますが、できる限り早い機会に、大きな会社についてはむしろ財務局に直接調査官をおきまして、財務局がみずから調査をいたしまして、せつかくその責任ある調査を進めて参りたいと、目下計画をいたしております。
  11. 河田賢治

    河田委員 昨日社会党の川島委員からもお話がございましたが、農業所得に対しまして、農業性質から言いましていろいろ畑の乾いたところ、濕つたところ、できのよいところ、惡いところというのを、大体どこの税務署でも、地方によりますと反当り八千円から一万二千円、あるいは畑作は幾らというふうに税額決定して、そのままこれを各村などの有力者あるいは村政機関を通じてとつておる。これも私ども違法だとは思いますが、こういうようなことを今年はできるだけ解消されまして、やはり個人申告についておやりになるかどうか。これを原則としておやりになるかどうか。第二には、昨年大藏省あたりではたしか農業所得に対してこまかく十五、六項目にわたつて、どういうものを生産費必要経費に入れるかというので、比較的親切なものが出ておつたのでありますが、しかし税務当局はこれをほとんど各地方農村あたりの人を集めて、納税のいろいろの説明をしても、これを十分説明していない。單に必要経費は何割だというようなことを言つて、やはり必要経費も頭割りで來ておるところが多いのであります。そのためにたとえば農業所得必要経費の中に、作業衣などは十分これを必要経費の中に含めることができるということが書かれておるにもかかわらず、そういう説明をしないために一般農民諸君十分納税の知識がないために、そういう必要な引ける経費まで引かないというような実情なのであります。こういう点についてどのように指導がなされておるか、この二点についてお伺いいたしたい。
  12. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 農業所得の点につきましては、たびたび御説明申し上げましたが、私は將來は各農家相当帳簿記載をするようになりまして、これに基いて申告をしていただくということになりますれば、あえて標準率等公開をいたしまして、それによつて申告を指導するということは必要がなくなる。またそういうふうに行くのが理想だと思いますが、現在のところなかなかさように参らないと思うのであります。從つて標準率のつくり方、適用の仕方については、先般も申しましたように、なお一層檢討を加えまして、各人の実情に合うようにいたさなければならぬと思いますが、やはり方法といたしましてはかような方法を続けて行きまして、極力申告所得税が納まるように指導して参り、改善をはかつて行きたいと思います。これは決して違法だとは考えておりません。いま一つ農業所得計算方法については、税務署も必ずしも大藏省の指令した方法通とやつていないという御指摘でございますが、これは極力私ども徹底をはかつておりますが、今後におきましてもなおさような点につきましては徹底をはかりまして、あくまで各地方実情に即し、かつ各農家のほんとうの所得実態に即應するように計算方法等をやるように、指導して参りたいと考えておる次第であります。
  13. 河田賢治

    河田委員 この点に関しまして特に、もちろん個人申告原則でありますが、今過渡的な状態としていろいろ標準的なものをつくるということも、これは妥当なことだと思うのであります。ただこれまで多くの税務署あたりにおきましては、各同業組合に頭から割当をする、あるは農家に対してもそれぞれ農業機関を利用してこういう割当をする。この間においてやはり直接税務署と非常に緊密な関係を持つておる人々は、多くは自分税額をきわめて安くして、ほかの方にたくさん割当てるという傾向があるわけであります。このことは農村におきましても、また各種の同業組合においても始終あることでありまして、今後この点に対して税額公開というものをできるだけはかつていただきたい。そうしてできるだけ公平な徴税の方に努力していただきたいということを、一應希望として申し上げておきます。  さらに更正決定の問題であります。これが今日の法規上では、これは取引高税の問題でありますが、修正異議申請をした場合に、その更正決定をする期間が全然設けられていない。從つて納税者としても非常にその間不安な氣持でおる者が多いのでありますが、この点について政府は何らか期限を切るというようなことは、お考えなつておりませんか。
  14. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 現在所得税等更正決定に対しまして、相当異議申立てが出ておりますことは、先般もお手元に配付しました資料でおわかりだろうと思いますが、これにつきましては極力よく実態調査しまして、適切な処理をするようにということで目下指導いたしております。大体のところにおきましては、本年度審査につきましても五月一ぱいに極力片づけたい。ただ非常に多数審査が出ておりまして、ケースがむずかしいところにおきましては、なかなかさように行かぬ節もあろうと思いますが、できる限り五月一ぱいに片づけるようにということで、目下財務局を指導いたしまして鞭撻さしております。ただ片づける際に、單に團体等と机の上で話合いをするのは非常に弊害がございますので、よく実態を調べてその上で処理する。かような方針でいたしておりますので、なるべくそれによりましてあとの納税も促進するようにいたしたいと考えております。
  15. 河田賢治

    河田委員 今度新しく納税準備預金制度を設けられたということでありますが、これに対して大体どのような構想を持つておられるか、これをお聞きしたいと思います。これは一面においては非常に大きな問題を含んでおると思いますので、この点を大まかな構想だけを伺いたい。
  16. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 納税準備預金制度を設けました趣旨は前にも御説明申し上げましたが、どうもやはり今の納税者実情を見ておりますと、納税期におけるさしあたり手元資金の用意がないということが、納税を困難ならしめている相当大きな理由のように見受けられますので、なるべく定期にあるいは早いうちから、一定資金納税準備預金として積み立てておきまして、納期に至つてその資金を振りかえて納めるということにいたしますれば、相当重い負担も何とか苦痛が比較的少くて納められるのじやないか、という趣旨で設けておることでありまして、從つてこの預金制度につきましては、たとえば営業者ならば毎月賣上金額の一定額預金に振りかえておくというような行き方、それから農業所得者でございますれば、供出代金が入つたときにその一部を納税準備預金に振りかえておく。こういう方法によりまして納税期になりました場合におきまして、実際の苦痛が少くて納まるようにいたしたい、さような方向をあらゆる方法によつて指導して、納税を容易ならしめるように努める、かように考えておる次第であります。
  17. 河田賢治

    河田委員 今度は少しこまかいことをお尋ねしたいと思うのですが、先般タバコなどについて、一應お聞きしましたので、今度は酒につきましてお尋ねしたい。酒の配給が今度若干労働者農村向け——これは漁村も含んでおるのじやないかと思いますが、これが現在の價格で大体配給されるということになりましたが、その割合はどのくらいになつておるのか。それをお聞きいたします。
  18. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 こまかい配給計画については、目下経済安定本部と打合せ中でございますので、細目はまだ申し上げるまでに至つていませんが、大体配給の方に全体の二五%、自由販賣の方に七五%供給するようにいたしたら、どうであろうかというように考えております。
  19. 河田賢治

    河田委員 やはり酒のことについてでございますが、從來官廳用の酒などは相当出ておるようでありますが、これはどのくらい出ておるものか。また今度の新らしい價格においては、やはり特配としての配給で渡されるものか、その点を聞きたい。
  20. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 今後家庭用の方は特別な場合にやるかやらないか目下檢討中でございますけれども原則としてはやめる。その他のものにつきましては冠婚葬祭用とか官廳用とか若干ございますが、この方は目下関係方面と協議いたしておりますが、若干のものは残した方が大体においていいのじやないかという考えでございます。ただ数量におきましては相当縮減しまして、供給するようにいたしたらどうだろうと思つております。この方は直接の責任経済安定本部なつておりますので、その方と打合せた上で決定いたしたい。かように考えております。官廳用数量は全体といたしまして、前年度実績は約二、三万石くらいだと思つておりましたが、後ほど調べまして御報告申し上げます。
  21. 河田賢治

    河田委員 まことにお手数ですが、酒その他重要なものだけでけつこうですから、原價を少しお知らせ願いたいと思います。
  22. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 私どもが先ほどの要綱に書いております價格を算定します場合の、大体の原價の内訳を申し上げますと、清酒の一級は製造者原價が百三十二円、卸の差益が二十五円、小賣の差活が約四十五円、これだけが酒類の價格の中の税金以外の分でありまして、その他の分は酒税取引高税、それから地方酒消費税等が加わりまして、大体清酒の一級の場合でございますと九百二十円くらいの價格になる。かような関係でございます。
  23. 河田賢治

    河田委員 今度輸入砂糖非課税ということになる。それから輸入砂糖補助金税額より差引くと、この予算説明書の方にはあるのですが、この辺の関係をちよつと御説明願いたいと思うのです。
  24. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 砂糖については昨年の追加予算の編成の際に、輸入糖に対して消費税課税するということで、それまで免税しておりました法律案を正修して、課税することにいたしたのでございますが、ただその後におきまして、やはり砂糖は何と申しましてもガリオア資金から入つております関係上、國内の消費税課税するのはどうも妥当でないというような考え方と、いま一つは今回為替レート設定によりまして、砂糖輸入原價が高くなりますので、これをあわせ考えて今回砂糖消費税非課税にした方がよかろうということで、非課税にする提案をいたしておる次第であります。これに伴いまして砂糖の國内の消費者價格に若干の変更があるかと思いますが、今の見当から申しますと、税を全部免除いたします結果、消費者價格は若干下るのではないかと思つております。目下物價廳においてその案を作成中であります。
  25. 河田賢治

    河田委員 今度はガソリン税が一〇〇%とられることになりますが、これは運賃その他についての影響は、どのようにお考えなつておりますか。
  26. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 ガソリンについては十割の消費税がかかることになりますが、現在トラツク燃料としてガソリン以外の燃料も実は相当使つております。運賃に及ぼす影響は比較的軽微でございまして、トラツク料金について総合平均いたしますと六%程度、それからバスの料金でございますと、二%程度値上げ影響があろうかと考えておりますが、この程度でございますと、運賃その他に重大な影響があるとは考えていないのであります。
  27. 河田賢治

    河田委員 今度取引高税を毎月申告をするということになり、また、更正決定も毎月ということになりますので、相当煩鎖事務なつて行くと思うのです。現在でさえ徴税の問題についていろいろ問題を起しておりますが、こういうことによつてさらに問題が複雜化するのではないかと考えられます。この点についてはどういうふうに考えておりますか。
  28. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 取引高税從來印紙でやつておりまして、印紙の事務は実は郵便局とかあるいは納税者方々相当手数をかける反面、役所の方はそれだけ手が省けたわけでございます。申告のようにいたしますと毎月納税者納税状況納税の結果を調べなければならない。こういう手数がふえますので、確かに役所手数從來納税の場合に比べてふえます。從つてこの仕事をいかによく能率的にやるかということについては、目下われわれはいろいろな見地から案を立てつつあるのでありまして、更正決定等についても毎月だらだらやるようにしないで、適当なるときになるべく所得税事務等と歩調をそろえて、有効な処理をいたすようにいたしたい。かようなことを考えまして極力手続の簡略をはかりつつ、実効をあげるようにいたしたいと考えております。
  29. 河田賢治

    河田委員 今度お茶税率変更になりましたが、のりとか茶のようなものは今日では生活必需品の一部をなしておるのでありまして、ことにのりなどになりますと朝鮮あたりから相当輸入しておるようでありますが、消費者に轉嫁できないために生産者が税を全部負担しなければならぬ。そのために不漁に加えて、ますます経営が困難になつて來るという陳情も、相当つておりますが、これに対して当局では必需品であるのりとか茶のようなものの物品税を、廃止する意向をお持ちでないのか、その点お聞きしたいと思います。
  30. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 物品税につきましては、先般も申し上げましたように、もしも財政事情相当許すようになりました場合におきましては、税率をだんだん逓減して行くという方向に行くべきものじやなかろうか。從いまして、その際におきましては、必需的な性質の濃い物から除外して行くというのが、これは考え方としては当然な行き方だと考えます。現在の状況におきましては、これは財政事情がそこまで参りませんので、相当高率な課税もいたしかたないと考えております。  のりにつきましても、いろいろ要望がありますことは御指摘の通りでございますが、現在の消費実績に顧みまして、他の食料品と比べますと、やはり若干の担税力を見出すということで、現在の段階のもとにおいてはいたしかたないと考えまして、今回はのりにつきましては修正を加えないことにいたしたのでございます。  お茶につきましては、課税方法が今まで非常に困難な点が多くありまして、トラブルを起しておりましたので、今回は若干負担を軽くしまして、從量税に変更いたした次第でございます。
  31. 河田賢治

    河田委員 各地方における事業税の問題でございますが、たとえば長崎だか靜岡だつたかと思うのですが、漁業労働者に対してやはり事業税をかけておる。こういうところがあるのでありますが、各地方におきましては大工あるいは左官、こういうふうな比較的日雇い的な労働者的の性質帶びている人に、各地方によりまして事業税をかけておるところもあれば、ないところもあるようで、非常にこの問題はあちらこちらで問題になつております。言うまでもなく事業をやつていない漁業労働者、あるいは日雇い的な建築に從事している労働者、こういうものには大体事業税をかけるべきでないと思つておりますが、この点について大藏省はどのようにお考えなつておるか。明確にこの点をお答え願いたいと思います。
  32. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 漁業に從事いたします労働者所得は、御指摘のように、その性質を見きわめるのになかなか困難な場合がございます。これが單純な純粹な、單に労務の提供ということだけでありまして、それによりまして單に給料が歩合給等によつてきまつておる、という場合でございますれば、これは私は事業所得と見るべきにおらずして、やはり日雇い労務者賃金等と同じように、源泉で課税して行くべきものと考えます。ただ実際問題として、それらに属しない漁業労務者相当ございまして、漁業用具自分で持つていて経営に從事をしまして、それから歩合給收入を得るといつたような場合も相当ございますので、かような場合におきましては、やはり事業所得として認定せざるを得ぬ場合もあろうかと存じます。現実の経営及び從業の仕事の仕方によりまして、事業所得であるか、そうでない所得であるかの、認定をせざるを得ぬ現状でございます。先般もさような御質問がございまして、そういうような趣旨で、目下適正な運用をはかるべく相談いたしております。
  33. 河田賢治

    河田委員 今の問題につきまして、長崎縣の例ですが、やはり勤労所得税を拂つておる。そういう場合にも各地方廳がとにかく財源が苦しいからとか何とか言つて、いろいろな名目をつけてこういうところからとつております。こういう明らかに不当な事業税を課して來ているというようなところがあるわけであります。おそらく政府としても、こういう場合にははつきりした態度をとられるのではないかと思いますが、その点についてこの際明確にお伺いしておきたいと思います。
  34. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 昨年事業税を新しく課税するようになりました関係上、若干トラブルが起きたようですが、先般もそのことにつきましては、はつきり地方財政委員会の方とも打合せしておりまして、先ほど申し上げましたような解釈に一定するようにしております。從いまして、そのように決定しますれば、紛爭は少くなつて來るのじやないかと思います。それから問題は、事実の認定がなかなかむずかしいのでありまして、單純な雇用労働的な労働であつて、單に報酬が歩合給と申しますか、工場のでき高拂い制度式なものであるか、それ以上のものであるか、事実の認定がなかなか困難でございますので、そういう点につきましては、極力実情に即して、適切な処置を講ずるように、今後とも指導して参りたいと考えております。
  35. 宮幡靖

    宮幡委員長代理 次は田中織之進君。
  36. 田中織之進

    ○田中(織)委員 同僚諸君からすでに質問が出ていることと思いますが、主税局長に対して、ことに徴税方法に関した問題その他で二、三伺いたいと思います。  まず第一に、これは私ただ單に主税局長その他大藏当局を、非難する目的で言うのではありませんけれども、今日の租税負担は、都市農村を通じまして、すでに担税能力の限界をはるかにオーバーしていることは、言うまでもないのであります。ことに課税の不均衡、不公平というようなことが、常識的に非難されていると思うのでありますが、こうしたことの非難が出て來る原因は、やはり最前線の税務官吏のいわゆる課税態度の不公正、調査の不十分、不当課税というようなものに基いていると思うのであります。こうした税務官吏の不公正な問題、あるいは調査の不十分というようなことに対して、どういう監察方針をとつておられるか。私は民間の声を聞いて十分反省すべきものがあると思うのであります。私の居住している近くの海南市で、二十三年度所得税の問題につきまして、おそらく一億円以上の資産を持つており、あらゆる面で相当独禁法に触れるかもしれないと言われるくらい、いろいろな事業関係している人の所得が、わずかに十八万円程度で、それに対して小運搬の、農耕のかたわら兼業的に荷馬車をひいている者に対して十四万、十五万という査定が行われているのであります。こうしたことが一般國民に対する納税思想の上に與える惡影響は、非常に重大であると考えるのでありますが、この点について、特に末端税務署の税務官吏のいろいろの徴税方法の問題等に対する監察方針について、当局はどういう方針を持つているかを、まず伺いたいのであります。  さらに各財務局、各税務署に対する努力目標の一定のわくがきめられているのでありますが、これが不当な、また実質的ないわゆる割当課税ということになつていると私は思うのです。これではほんとうに実質的な所得に対する課税でなしに、一種の想定所得、想像所得というようなものによるところの更正決定がなされる、こういう結果に相なつておると思うのであります。いわゆる努力目標というものは單なる努力目標で、この点の質問が毎回繰返されるわけなのでありますが、われわれは、この努力目標が達成できないために、あるいは達成できないところの税務署長や署員が、昇給だとか昇進だとかいうような道をふさがれている、というようなことすら聞いておるのであります。最近和歌山税務署においても、この問題で相当大量的にいわゆる配置轉換が行われて、税務署内で紛議を起しているという事実の報告を受けておるのでありまするが、私は第一の質問として、いわゆる税務官吏の課税態度の不公正、調査の不十分、不当課税等に対する監査方針をどういうふうにしておるかという点と、各財務局税務署に示しておるところの努力目標というものは、あくまで努力目標であつて、これが達成できない場合においては、目標を達成できない税務署長、署員等の昇給あるいは昇進の道をふさぐ、こういうような圧迫を加えている事実はないかという点について、まず主税局長にお伺いいたします。
  37. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 ただいまの点につきましては、たびたび実は御説明申し上げたのでございますが、非常に多数の納税者につきまして、何しろ相当短期間に調査しなければならない関係上、率直に申し上げまして十分な調査ができてないことがありますことは、御指摘の通りであります。これにつきましては私ども極力早くから調査に着手いたしまして、適実を期するようにという方針で指導いたしておるのでございますが、何しろ現在のところ申告状態がそれほどよくない。それに対しましてそのままにいたしますと、非常に申告所得税の納まりが惡い。勤労所得税は源泉ですから比較的納まりがよいのですが、申告所得税の方は非常に納まりが惡い関係上、ここに相当短期間に多数の納税者につきまして調査して、更正決定をいたさざるを得ない現状でございます。その場合におきましては、もちろん今まで申しましたように、極力実態をとらえて課税するという方針でいたしておるわけでありますが、なかなかそう行かない場合も率直に申し上げましてございます。もしもさような場合において重大な過失、あるいは故意にさようなことをいたしておる場合においては、これはもちろん私ども適当な責任をとるべきものと考えております。現在、ごく最近これは始めたのですが、東京財務局においてはまずこの間署長級あるいは少くとも課長級以上の人物を、監督官として五名特別任命しまして、そういうものに始終税務署をまわらせまして、さようなことにつきましても調査をいたさせております。それで一般的な税務署事務の進捗、ならびにそういう不適当な措置等に対しまして適当な檢査を加え、極力さようなことがなくて納税が円滑に納まるように、今後とも努力いたしたいと考える次第でございます。  それから努力目標につきましては、これもたびたび申し上げたわけでございますが、御指摘の通り税法從つて各税務官廳が相当努力をしまして、努力目標通り行かなかつたという場合でありましたら、別段私ども責任を問うつもりはございません。ただ十分な努力をせずして、十分な調査もせずして、その結果目標に達しなかつたといつたような場合におきましては、これは適当に功罪の処置を問題にするということはあり得るかと思います。問題は、努力目標はあくまでも努力目標でございますから、相当ベストを盡してやつたが行かなかつたという場合におきましては、別段そのことについて問題にすべきものじやない、かように考えます。
  38. 田中織之進

    ○田中(織)委員 努力目標の点につきましては、主税局長は毎月同じような御答弁をなされるのでありますが、私はこれが実際は都の割当課税なつている。そのために結局納税思想全般に惡影響を及ぼしている。そういう努力目標を決定するには、いろいろなデーターというものに対する十分の用意をしてきめるべきである。そういう点についての努力を私は要請しておきます。納税者の最も不平を言うのは、やはり課税の不均衡と税務官吏の不親切ということに盡きると思うのでありますが、私はさらに最近の税務官吏の未熟さというものに対する一つの不信頼もあると思うのです。平均年齡二十二、三才、平均就職年限にいたしましても三年そこそこにしかならない税務官吏が、戰後経済の混乱と無政府的な経済状態を十分把握して、かつ所得の所在をつかみ得るかどうかということはきわめて疑問だと思うのであります。この点についてこうした第一線におる税務官吏の再教育ということは、絶対に必要だと思うのですが、この再教育の施設あるいは方策について、何かお考えを持つているかということをお伺いいたしたいのであります。
  39. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 ただいまの御意見は非常にごもつともな御意見でございまして、私どもまつたく第一の欠陷は、熟練した税務官吏が少いということに、一番今の行政の難点があると考えております。從いましてこの点につきましては改善についてベストを盡してみたいと考えておりますが、本年度予算におきましても一億数千万円の特別訓練費を御協賛願いまして、特別な計画をやつてみたい。それにつきましてはまず今中央、地方に講習所がございますが、この講習所の施設を全面的に利用いたしまするほか、中堅職員——中堅と申しましても二、三年の経驗のある職員に対して、実地調査の能力、これをさらに一段とよくなるようにことしは特別訓練をいたしてみたい。その他職員にしましても、少くとも税法のことくらいはすぐわかるような職員にするようにいたしてみたい。さらに一方多数を集めまして教育いたしますることは、仕事の関係上もなかなかうまくできませんので、本年度新たに通信教育を施してみたい。一年くらいの期間を限り一定の基本的な税法、及びその調査方法等について通信教育を施しまして、それによつてその成績次第では適当に上の方に任用して行くという方法をとりまして、極力税務官吏の素質の向上に努めたい。それから新たに採用いたしまする場合におきましては、なるべく高等專門学校以上の相当学歴もあり、かつ場合によつては世間の経驗もある諸君をこの際相当多数採用いたしまして、そのことによりまして極力御指摘のような欠陷を、一刻も早く矯正するように努力してみたい。さように考えております。
  40. 田中織之進

    ○田中(織)委員 次に異議申立て処理状況が、どういうようになつているかということを伺いたいのであります。この点は私は税法の審議に入ります前に資料を要求しているのでありますが、この資料が出されたかどうか。大体一千万円以上というような資料は、私は別のところで拜見をいたしておるのでありますが、私の言うのは少しめんどうかもしれませんが、私は税額百万円以上の滯納関係を報告を願うように要求しておるのでありますが、全國的に相当異議申立てがあると私は思うのであります。そういう処理状態が一体どういうようになつているか。それから異議申立て課税せられた税務署を経由して、財務局長あてに出すことになつておりますが、多くの場合に財務局まで行かずに当該の税務署にとどめおかれる。場合によると異議申立てに行つた者を税務署員が脅迫と言うか——いわゆる百姓なんかは税務署はこわいものだと考えている。そうしたことを利用して異議申立てを引込ませるというような形になつていると思うのでありますが、この異議申立てを当該の税務署ではなしに、別な形においてこれを処理するというような方法考えられないものかどうか。相当異議申立ての件数が多くなつていることは、私も承知じておるので、むずかしい問題だと思いますが、たとえばアメリカにある租税裁判所というような形のもので処理する。やはり現実にあらゆる面に徴税機構の欠陷、税務官吏の不熟練というような関係から出て参りまする、そうしたものを処理するために、課税当局者でないところの第三者的といえば語弊がありますが、何かそういう機関を設置するお考えはないか。これはたびたびわれわれの方から意見を出すのでありますが、そういう意味で税に関する苦情処理機関というようなものの設置を眞劍に考えて行かなければ、今年も、われわれ反対いたしましたけれども、しやにむに議会を通つてしまつたところの厖大予算の税收を確保するという見地から見ましても、相当こうした問題が今までにない増加を示すだろうと思いますので、その点を考えてみてもらいたいと思うのであります。  それから承りますと、國会が中心になつてできております租税完納運動本部で、産業別、地域他の租税協力委員会というようなものの設置、それから納税積立金制度の活用、あるいは帳簿の公開整理、そうしてようなことをこの委員会の手によつてつて税務署事業所得調査に協力し、また三回にわかれておるところの申告納税の普及に役立てたい、というようなことを考えておるようでありますが、こうしたことを主税局長として何か連絡をとられておるかどうかという点を、異議申立てに関連して伺つておきたいと思うのであります。  その次の問題は、これは相当各委員から論議されたことと思うのでありますが、滯納整理の問題が小額の滯納者にきわめて苛酷である。子供のおもちやまで差押えたというようなことが新聞に報道されておる反面に、私は相当大口滯納者がまだ未整理のまま残されておると思うのでありますが、これもきわめて重大な問題でありまして、ことに源泉所得税滯納が行われておる。私はこれは明らかに公金横領罪だと考えておりますが、さらに入場税物品税——入場税地方税ではありますけれども、こうした一箇月分の入場税を、十日一割くらいでやみ金融をしておるというような話さえ聞くのでありますが、同時に滯納者の整理、競賣というような問題につきまして、ことに大口滯納者に対する整理がきわめて不十分にしか行われずに、百性の牛を差押えてみたり、子供のおもちやみたいなものを差押えるというような最近の滯納整理の方針は、ちよつと私は常軌を逸しておると思うのでありますが、その点について主税局長の見解を伺つておきたいと思います。
  41. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 審査の請求、異議申立ての計数につきましては、先ほどお手元資料をお配りしておきましたが、本年度は全國で約百三十九万件出ております。根本の方策は、何といたしましても私ども異議申立てが出ないような更正決定をするということを、第一の將來の理想にいたしたいと思うのでありますが、これだけ出ているものにつきましては、先ほど御説明申し上げましたように、なるべく早く実地について調べまして、片づけるという方針でいたしておりまして、本日も直税部長会議を開きまして、少くとも本年度更正決定分に対するものは、特別な、非常な手のかかるものは除きまして、五月一ぱい中には全部片づけるように、嚴重に命令しておいたような次第でありますが、その際の処理方法といたしまして、他のものにやらせたがよいかどうかということは、確かに一つの御意見だと思います。私どもも少くとも同じ税務署の中におきましても、調査担当官以外の者に審格の処理をやらせるという方法も、まずひとつ考えてみたいと思つておりますが、さらに同一段階のものといたしましては、民間の委員等を入れました諮問機関をつくるかつくらないか、これも目下研究いたしております。この問題は申告納税制度及び所得税制度の根本とも関連して参ります関係上、なかなか簡單に結論が出ないのでございますが、しかし実際問題といたしまして、さような機関がございますれば、すみやかに処理し得る要素も非常に多いと考えますので、最後の責任はあくまでも役所がとらなければなりませんが、そういう一定機関にかけてやるかどうかということにつきましても、目下檢討いたしております。なおさらに別個の機関として、訴訟を解決するための政府の独立機関をつくるかつくらないかということも、一つの問題だと思いますが、アメリカなどの実情におきましても、まず最初は担当官廳で目ぼしいものだけをやりまして、解決のつかぬものを最後にそういう機関にかけるようですが、そういう点につきましては、日本では普通の民事訴訟法でできるようになつておりますので、そういう組織ができるかどうかということも、確かに檢討に値すべき問題であります。しかしとにかく審査の請求、異議申立てについていかに敏速適切に処理するかということに、さらに一段と勉強いたしますと同時に、組織等につきましても研究して行きたいと考えております。  それからいま一つは、完納運動本部の納税協力委員、そういうお考えのようでありますが、これは民間におきまして極力納税準備預金等の運用につきまして、そういう組織ができることは非常に賛成であります。ただその課税につきましては、組合にあまり責任を持たせますと弊害がございますので、前々から申しておりますように、いわゆるほんとうの意味の團体折衝と申しますか、團体に責任をつけるような考え方原則としていたさない。意見はよく聞きまして、責任政府がとりまして決定する、かようなことにしておるわけであります。さような点と混合を來さない範囲内におきまして、極力納税組合のようなものができまして、納税準備預金の運用と相まちまして、納税が促進されるというようなことに相なりますれば、私どもといたしましても非常に好都合と存じております。それから滯納整理の問題につきまして御意がありましたが、これは先ほど河田委員から御指摘になりましたように、大口滯納がありますことは事実であります。ただこれは相当片づけましてもまた毎月出て來る。ここにリストが出ておりますが、一年ぐらい前の計数と今日の計数とは大分違つておりまして、相当これも公賣等もいたしております。差押えももちろんいたしておりますが、何しろ毎月の物品税とか源泉所得税等におきましては、一度整理してもまた次にすぐ滯納が出て参る状態であります。大きな会社どもなかなか資金に困つておりまして、金詰りが非常に大きいのでありまして、次々に出て來ることは遺憾と思つておりますが、方針といたしましては御指摘の通り、まず大口滯納から先に片づけるということは当然なことでありますので、極力今後もそういう方針によりまして、滯納の整理に努力して行きたいと考えております。
  42. 田中織之進

    ○田中(織)委員 ちよつと方向がかわりますけれども、次に証券賣買差額税の問題について、主税局長の見解を伺つておきたい。申すまでもないことでありますが、証券市場を通じての産業資本の調達ということが、経済九原則の実施の前提になつておると思います。最近税務署が各地の証券市場に対して、二百株以上の株式の賣買者の氏名を業者に届け出でしめておるようであります。さらに百株までも届けしめるような指名をしたということを聞いておりますが、これははたしてそうしたことをやつておるのかどうか、主税局長責任でおやりになつておるのかどうかを伺いたいのであります。私はやはり國家財政の円滑なる確保という点から、貯蓄の問題の重要性も取上げられ、預金の機密性というものが確保されるのであつて、税務関係においてもこれは嚴たる事実だと思います。ところが株式賣買について一々税務当局に届けしめるということになりますと、一般の大衆が証券投資から逃げるというような結果に、なりはしないかと思うのであります。先般もこの委員会が中心になりまして、証券民主化に関する議員連盟等もできておるわけなんでありますが、そういつた証券民主化の線からも後退することになると思うのであります。これをまた法律の建前から考えてみましても、証券の賣買によるかりに所得があるといたしまするならば、これは申告納税をすべきものでありまして、もしそれが脱税しておれば脱税に対する処罰というものが私はあると思う。これを一々業者に報告させるということは私はいけないと思う。またしかもその手続というものがきわめて煩瑣なものになつて、勢い偽名だとか他人名義というような、いいかげんなものになつて行けば、それを追究する方法はないと思う。私はそういう不確定な、いわゆる証券賣買差額税というようなものは、税制の建前から見ても成り立たないように考えるのであります。私は財源確保の点からこれについて考えてみまするならば、むしろ賣方に対しましても移轉税は当然考えられておることでありますが、これを私は差額税ととりかえるべきだと思うのでありますが、この点はそういう二百株以上の株式の賣買を、一々税務署に届けさせるということに現実になつておるのかどうか。やつておるとすれば一体それはどういう権限に基いてやつておるのか。私はこれは証券市場を民主化し、証券市場を通じて、勢い今度は政府資金で産業資金の方へまわされる部分が、きわめて問題にならない程度に微々たるものでありますから、そうしたものを確保しなければ、一体税金によつて七割をまかなうといつても私はできつこないと思います。この点に対して主税局長にひとつつておきたいと思います。
  43. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 証券の賣買差益に対しましては、御承知の通り所得税法の規定によりまして、その差益の半分を取得としまして課税するというような規定になつておりますので、この規定につきまして御承知のように、源泉で取得課税するというような適当な方法はないか、という御意見が確かにございますが、これはどうもやはり最近相当証券の賣買によつて利益を得ている向きがあるようでございますし、一律に取得をもとにして課税するというのではなかなかそういう目的が達成できないのではなかろうか。やはりこの際証券の賣買によりまして相当な利益を得ている者に対しては、今日あらゆる税が重い際でございますから、應分の負担をしていただくことはやむを得なかろう。所得税制度としてはこの際そういう制度をかえることにつきましては、私どもとしてはいまだにわかに賛成をいたしがたいのであります。たとえば株式を賣買しながらおそらく数百万円以上をもうけた者は相当おると思いますが、そういう場合を考えてみますと、課税所得源泉で行きますれば、わずかな税金を納めることしか実際上行かなくなつて、所得税の本旨、目的を達成することができないのでございます。ただ調査につきましては必ずしも何でもこまかいものにわたつて調査する、というような考えは持つておりません。ただこれはそういうまとまつた利益のあつた者に対しまして、適当な方法課税の適正をはかつて行く、こういう方向へ行くべきものと考えております。そういう方針でおります。  今資料の提供の仕方につきましてお尋ねがございましたが、これは所得税法に基きまして、各財務局が必要に應じまして税務署を指導いたしまして收集させておりますが、あまりこまかい資料を收集させておるようでありますならば、私どもの方から適当に指導いたしてみたいと思いますが、本省から今具体的に何株までというような指導は直接にはいたしておりません。私どもといたしましては、今申し上げましたように相当株式の賣買によつて、まとまつた利益のあるような者に対しましては、この際よく調査徹底いたしまして、課税の適正をはかる必要がある、かように考えておる次第であります。
  44. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その点は一律に二百株以上の賣買を全部市場から税務署へ届けさせる。そういう形で資料の提出を求めておるのではないわけですか。その点をちよつと伺いたい。
  45. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 税務署によりましては、必要に應じてそういうことをいたしておるところもあるかもしれません。ただ全國一律に、私ども方針に基きまして一定以上の株数を出せということにはいたしておりません。各地の実情によりまして必要な資料を提供せしめるようにいたしております。ただ方針といたしましては、先ほど申したようにあまりこまかいのはあとまわしにいたしまして、なるべくまとまつて相当の利益があつたものに対しまして、調査徹底を期するように私どもといたしましては指導いたして行きたい、かように考えております。
  46. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私あとの問題は、実はこの委員会が中核になつてつくつておる租税完納運動本部と、税法の議案説明に当りました政府当局からも出ておりますように、やはり納税確保の國民運動を展開してもらいたいという問題との、関連に関する問題でございますので、できれば大藏大臣に御出席願いたいと思います。この問題は私の持ち時間の中からできるならば除外して、午後にでも大藏大臣が出られれば一、二その問題について御質問を申し上げたいと思います。その点を保留いたしまして、私の質問は終ります。
  47. 宮幡靖

    宮幡委員長代理 ただいま田中委員の御要求でありましたが、先刻御要求がありましたので、午後に大藏大臣の御出席を願うように連絡をいたしてあります。時間の点につきましては、なるべく他の方を削りましてもお盡しを願いたいと思つておりますから、どうぞよろしくお願いいたします。次は中崎敏君。
  48. 中崎敏

    ○中崎委員 時間の制約がありますので、きわめて簡單に大体大まかな問題だけを、御質問いたしたいと思います。  まず第一に租税全体の問題でありますが、昭和二十三年度におきましては、三月末においてすでに税收から見ました予算額の五十億も突破した実績の金額を徴收されておる、ということが報告されております。さらにこれが四月末一ぱい徴收されるものが残つておるはずでありますが、それを合計しての見通しはどういうふうになるか、その数字をお示し願いたいと思います。
  49. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 三月末の成績につきましては、先ほどお手元資料として配付いたしておきました。これによりましておわかりのごとく、大体予算を突破いたしましたのは、源泉所得税法人税と酒の税金でございます。申告所得税の方はまだ遺憾ながら三月末で八割七分の程度でございまして、予算に達しておりません。從いまして四月に入りますものは大体申告所得税の分が大部分だと思います。その他の諸税は大体において二十四年度分になろうかと思いますが、この税がどこまで参りますか、目下のところ的確な見通しはつけがたいのでありますけれども、今のところ予算に対してやはり予算通りなかなか行かないのではないか、という見解のようでございますが、極力努力させてありますので、その成績がわかりませんとちよつと具体的な計数は申し上げられないことを、御了解願いたいと存ずる次第であります。
  50. 中崎敏

    ○中崎委員 新聞の報道するところによりますと、四月末までに徴收されるものを見込むと、約二百億の予算よりも超過するのではないかというふうに言われておりますが、大体こまかい数字は別として、この程度の見当は当局においてつけておられるかどうかを、お示し願いたいと思います。
  51. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 もしも申告所得税が大体予算通り入つて來る、予算に近く入つて來るということになりますと、その程度の数字になろうかと思いますが、まだ私ども責任のある数字はちよつと申し上げかねることを、御了解願いたいと存じます。
  52. 中崎敏

    ○中崎委員 もしただいまの数字があまり実際とかわらないということになりますと、一面いわゆる自然増加といいますか、取引高あるいは所得等の増加によつて予算よりも超過したということも言えるわけでありますが、私の考えをもつてすれば、当局は、一つの目標額といいますか、天くだり的に一定の金額を割当てて、機械的に税金を徴收するところに、その原因の多くがあるのだというように考えておるわけであります。最近におきましては、産業界に大きな行き詰まりがあるということは、すでに御承知の通りでありまするし、そのほか一般勤労大衆も生活苦にあえいでいるという状態であります。これはもちろん九原則が峻嚴に行われつつあるということの一つの証左でもありまするが、一面におきましてはその税金があまりに高いために、しかもそれが公平でなしに、天くだり的に不当に割当徴收されるというところに、その大きな原因を見出すことができると思うわけであります。そういう意味におきまして、目標額といいますか、予算に盛られた金額をはるかに超過してとられる。しかもこれが一般勤労大衆並びに中小商工業者に対して、不当に大きな圧迫となりつつあるという現実を考えてみましたときに、これらの税金の徴收のやり方については、政府側において十分に御考慮されるべきであつたと考えておりますが、これについての政府側の見解を伺いたいと思います。
  53. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 先ほども申し上げましたように、予算に比べて今相当越えておりますのは、勤労所得税が三月末で約百二十億、法人税が約六十億、酒の税金が約七十億でございまして、こういう税金が実は予算よりも好成績を示しておる。これはいずれも私率直に申しまして、目標と相当関係があると言えばありまするが、むしろ法律が相当適正に執行された結果であろうと私ども確信しております。なお先般から問題になつておるものの大多数は、申告所得税のようでございますが、これは相当税務官廳が努力し、納税者の御協力を仰いでおるにかかわらず、三月末ではなお八割七分の成績でございまして、この四月末までには何とか予算額に達するように行きたいと思つておりますが、行けるかどうか、目下のところなかなかそこまで行き得ないのじやないかという見通しもあるのでございまして、御指摘のごとく、徴税目標が非常に税の公平な徴收ということに、惡影響を來しておるとまでは考えないのですが、ただ目標があるために他方いろいろの欠陷があるということに対しましては、先ほどからしばしば申し上げておりまするように、今後におきましても極力適正な目標額をつくると同時に、目標額の運用について善処いたしまして、そういうことのないようにいたしたいということを、重ねて申し上げておきたいと存ずる次第でございます。
  54. 中崎敏

    ○中崎委員 勤労大衆に対する正当な課税ないし租税負担の軽減ということをやるためには、大口脱税者あるいはやみ利得による脱税者等に対しまして、当然峻嚴な徴税の手を延べられるべきだと思いまするが、現在におきましてのこれらに対する徴税実績、並びに政府のとりつつあるこれらに対する対策について、大要御説明願いたいと存じます。
  55. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 昨年から國税査察部というものを中央、地方に設けましていろいろやらせておりますることは、中崎君御承知の通りでございます。これの最近の実績でございまするが、ちよつと詳しく申し上げますと、最近までに査察部全体で、約六十一億八千三百万円の申告に対する脱税額の発見をいたしております。そのうち、法人税が四十億八千万、所得税が十六億四千万円、物品税その他の税金が四億五千九百万円、合せまして六十一億八千万円となつておりますが、件数におきまして千九百八十八件で、査察部といたしましては、最初に設けましたものとしては、相当成績をあげつつあると私は考えております。今後におきましてもこの査察部の機能をさらに一層強化いたしまして、大口の脱税法人に対しましてはできる限りの調査徹底をはかり、その中で惡質なものについては刑事訴追の方法によりまして、一般納税をよくするように努力してみたいと考えておる次第であります。
  56. 中崎敏

    ○中崎委員 次に二十四年度の租税の問題についてお伺いいたします。今度の予算によりましても、税金は二十三年度に比べて、相当大幅に引上げておるようなことになつて参つておるわけであります。ところでただいま申し上げますように、最近における金融難あるいは九原則による事業の倒壞、行詰り、さらにまたやみ物資というものが漸次減つて参りまして、やみをやる余地がなくなつて來たということになりまして、所得も漸次減退して來る。これらの事態を見ましたときに、今度の租税の見積りは相当に過酷ではないか。実際においては苛斂誅求をしいるという結果になり、さらに予定の税收は得られないのではないかということを懸念しておるわけでありますが、これについての見通しをお尋ねしたいと思います。
  57. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 本年度の租税收入は全体で五千百億円ぐらいになつておりますが、私はその中で申告所得税を除けばさほどの困難は少いのではないかと見ております。勤労所得税負担相当重うございますが、課税が非常にはつきりしておりますし、現在もすでに毎月百億近くもあがつておりますから、年間千二百億は何とか徴税できるのではないか。ただ負担が重いことは事実でございますから、できるだけ軽減するような方向に持つて行きたいと思つております。その他の租税につきましても、最近の状況から考えると、大体そう困難はないのではないかと思つておりますが、一番問題は申告所得税だろうと思います。これが本年は千九百億ほど予算に計上しております。この見積りも、最近の物價、貸金の状況がこのまま推移するということと同時に、他方現行税法をすえ置くというこの二つの前提に立ちますると、実は計算上は千九百億の数字はそうむりなく出て來るわけでありまして、先ほど塚田委員にも申し上げましたように、実際の賦課額の七六%程度年度内の歳入になりますれば、あの数字は獲得できるというように考えておるわけであります。ただ実行にあたりましては、いろいろ御指摘のありましたように、政府としても極力公平な徴税に努力しなければならぬと考えております。と同時にやはり納税者の積極的な協力なくしては、なかなか実行が困難かと思いますので、今年度は新しく設けました納税準備預金等の制度と関連いたしまして、できる限り円滑にしかも適正に納税ができますように、懸命の努力を重ねて参りたいと考えておるのであります。
  58. 中崎敏

    ○中崎委員 政府におきましては大衆負担の軽減のために、特に所得税でありますが、近くアメリカの税制視察團の來朝を機会に、税法改正するという意見もあるやに承つておりますが、その点について政府の御説明を聞きたいと思います。
  59. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 その点はたびたび大臣からもお話になつておりますように、視察團が見えましたならばなるべく早い機会に結論を得て実行に移したい、かようなことに私どもとしても進んで行きたいと思つております。
  60. 中崎敏

    ○中崎委員 その場合におきましては、さらに追加予算等が出されるのかどうか伺いたい。
  61. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 歳出の方につきまして相当檢討を加えられるように、大臣よりもお話がございまして、この結論を得ました上におきましては、若干の補正予算と一緒に出ることになるのじやないかと思つておりますが、これは一つの私の観測でございます。
  62. 中崎敏

    ○中崎委員 取引高税の問題でありますが、最近私は一、二の事例を見たのであります。たとえばほんとうに正直に取引高税申告して納めておつたところが、今回更正取引高税の名のもとに、思いもよらぬような高額の取引高税がかかつて來た。税務所で調査をしてみたところが、実際は手が足りないので実情調査はできなかつたが、從業員の拂つた勤労所得税を根拠にして、取引高税更正決定したという言明を得たような事例があるのでありますが、これらはきわめて不当なものでありまして、こういうふうなことがすなわち國民から、怨嗟の的となつて來るようなことになるのだと思うわけであります。こういうふうな事例を私は現実に目の前に見ておるわけでありますが、こうしたやり方が正しいかどうか、もし正しくないとすれば、これを是正することについて、当局で適当な措置あるいは指令を発するとかいうふうなことをやられる用意があるかどうかをお聞きしたい。
  63. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 取引高税の取引額につきましては、あくまでも税法に規定いたしまする取引額を調べて、更正決定をすべきものでございます。從いましてもしもそれに反するようなことをいたしておりますれば、それは私は正しくないと考えます。ただ実際問題としまして、取引金額もある程度推定によつて調べる場合もあろうかと思います。しかしそういう場合は、もしも万一間違つておればただちに直すべきでございますが、できるならばなるべくそういう方向で、取引額を決定して行くという方向に行くべきものだと考えます。御指摘のような例を最近大分聞きますので、取引額につきまして、根拠のない数字をもとにして適当な認定をやることは差控えるように、すでにたびたび注意いたしておりますので、その点御了承を願います。
  64. 中崎敏

    ○中崎委員 最近地方負担もなかなか重いようでありまして、ことに先般の地方の配付税の税率変更されて、その金額も結局実質的に減少されるというふうな形にもなつておるわけでありますが、同時に税制改革のときには、地方税等の問題をもあわせて考えられるべきものだと思います。さらに最近における財産の著しく変動を來したというような事態にかんがみて、政府において名目財産税というようなものをやつてみるような考えがあるかどうかを、お尋ねしたいと思います。
  65. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 地方税は当然國税と一緒に、檢討の対象になるべきものと私ども考えております。名目財産税の問題につきましては今現に地方税としまして地租、家屋税が、これは一種の收益税的財産税、財産税の性質を帶びたある種の收益税でございますが、この税との関係をどうするかという問題がいろいろございまして、檢討を要する点が多いと思いますが、國税としまして名目財産税をこの際起すということについては、私どもはまだ結論を得ておりません。ごく額の少い名目財産税のために非常な手数を要するというようなことは、現在の状況においてはいかがなものかというように、むしろ消極的にどちらかというと考えております。
  66. 中崎敏

    ○中崎委員 大体予定の時間のようですから私は遠慮しまして、この程度にいたします。
  67. 宮幡靖

    宮幡委員長代理 それでは午前の質問はこの程度で休憩いたしまして、午後は一時三十分より再開いたします。     午後零時二十四分休憩      ━━━━◇━━━━━     午後二時十七分開議
  68. 川野芳滿

    川野委員長 午前に引続いて会議を開きます。前尾繁三郎君。
  69. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 政府委員がお見えにならぬようでありますから、問題を限定してお聞きいたしたいと思います。  まず第一に、固定資産の再評價の問題でありますが、根本問題はあとでお聞きすることといたしまして、先般の税制審議会で、再評價の限定を五割というところに、目安を置かれておるのであります。おそらく腰だめではありましようが、一應その辺におとめになつ理由をお伺いいたしたいと思います。
  70. 原純夫

    ○原政府委員 御説明申し上げます。抽象的には、再評價をいたします場合に、あまり水ぶくれにならないように、從いまして堅実な再評價が必要であるということなのでありますが、これをどの程度に堅実にするかという問題が、ただいまお話のありました五割にするか、何割にするかという問題に相なるわけであります。この点は非常に判断のむずかしい点でありますが、当時五割と考えました理由を一應申し上げます。もつともその後税制審議会といたしましても、五割は少し低過ぎるというので、七割程度までにいたしたらどうかという意見になつておりますので、その点もお含みおきいただきたいと思います。一應五割と考えましたのは、やはり正常な経済の状態においては、会社の固定資産というものの帳簿價格は、そのときの時價よりも若干低目につけられておることに相なつております。御存じの通り、経済の通常な発展段階と申しますのは、何といいましても緩慢ではありますが、物價は長い間には若干ずつ上つて参る傾向にありますので、そういうことに相なるわけであります。そこで戰爭前について、そういう関係の値上りがどのくらいであろうかということを調べたわけであります。その調べ方をこういう考え方でとりました。固定資産の平均耐用年数というものを考え、そしてある時現在における総体の固定資産の経過年数が、大体どのくらいであろうかということを考えたのでありますが、まず一應それを二十年と押えますと、二十年間の物價の値上りぐあいを経済の平常時について顧みて、統計をとつてみることによつて、その当時におけるある時現在において、固定資産の帳簿價格が時價よりもどのくらい低くなつているか、ということがわかると考えたわけであります。そういう意味におきまして、戰前における二十年間の物價の値上りぐあいを、各年につきましてとつてみまして、これをたしか日露戰爭当時までさかのぼつたかと思いますが、それを平均いたしてある数値を得たわけであります。その数値がたしか一八六%であつたと、記憶いたしております。つまりこれを二〇〇%と考えますれば、通常の発展過程にあつた時期においては、会社の固定資産というものが時價に対して二分の一程度のものであつた。これは当初において経過年数二十年ということを仮定しておりますので、これがなお檢討されなければなりませんが、大体そういう目安で一應考えられたということを御説明申し上げます。
  71. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 会社の計算で申しますと正確な減價償却をやつており、税務署では税務計算で資産全体を一應目安に置いておりますので、あるいはその点はやむを得ないかとも思うのでありますが、いずれにしても私は五割はあまり消極的に過ぎる、と考えている次第であります。  次に未償却残存率につきましては、定率法ではなしに定額法をとつた方が、むしろ実情に合うのではないか、あるいは両者のうちその選択にまかせるのが、むしろいいのではないかと考えているのでありますが、それに対する主税局の意見をお伺いいたしたいと思います。
  72. 原純夫

    ○原政府委員 未償却残存率を定率法によるか定額法によるかという点につきましては、ただいまお話の五割という限度がきつ過ぎるのではないかという点と関連いたしまして、前回の税制審議会においてもいろいろ意見が出たわけでありますが、御存じの通り現在の法人税における償却の見方が、定率法の原則としてやつておりますので、この際定額法で再評價の関係処理するということと、その後における、あるいは前における定率法による法人税行政とのつながりというような点において、相当疑問があると考えられましたことと同時に、ただいまの五割というものとの関係においての判断という態度もあり得るということから、先ほど申し上げましたように、税制審議会の終りごろになりまして定率法で参りたい。ただ五割をそのかわりに七割にゆるめて、御指摘のような点の趣旨をできるだけ生かそうというようなことになつて來た次第であります。
  73. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 資産の再評價の根本問題になるわけでありますが、調整勘定にしておいて、それを三年間に限つて資本金にあるいは準備金に繰入れるという場合に、軽減した税率をとりますることは、いつかはやらなければならない問題でありますが、三年間に限るということは私は実情に沿うものではないので、むしろその時々の情勢に應じて最後の仕上げにおいて考うべき問題で、それまでは調整勘定としてそのまま置いた方が、いいではないかと考えるのでありますが、それに対する主税局の御意見はいかがでございますか。
  74. 原純夫

    ○原政府委員 御指摘の通り、ただいまお話の点が実は先般の税制審議会の中間報告にございます再評價問題で、一番の核心かと存じております。いろいろ痛烈な議論がございました末、ああいうぐあいになつたのでありますが、その間の事情またわれわれの考え方を率直に申し上げますと、再評價の問題は、税の問題として税金をとるという見地から考えられてはならないこと、もちろんでございますし、われわれもそういう見地だけで考えてはおらないつもりであります。しかしながら御存じの通り現在の日本の経済のあり方、その上に乘つております税制のあり方が、なかなかいわゆる名目的利得とかいうものに全然税が手を触れないということでは、といもやりきれないというのが日本の國の実情でございます。そのために所得税その他におきましても、名目的な利益がどうしても課税の対象になるということころまで、参らざるを得ないような実情にあるわけであります。法人税につきましても同樣な問題がございます。それで今回の再評價に伴う評價益というものは、まさにそういう意味で名目的利益のものがほとんど全部なのでありますけれども、全体の態勢とのバランスを考えると、これを全然課税の外に置くということは、相当問題があるのではないかというふうに考えましたこと、なおこれを税理論をもつて申し上げますれば、社会一般がある程度はかかるという前堤で、経理計算をしておるという場合におきましては、税がかからないということになると、この種の資本関係のものにおきましては、資本價値が非常に高騰いたします。端的に申し上げますれば株價が非常に上るということに相なります。これは前尾委員よく御存じのことでありますが、資本関係の税についていわゆる税率あるいは税のやり方によつて、資本價値が非常に動くということをいたしますのは、社会公平の観念からいたしましても、いかがであろうかという点が問題であります。そういうことを考えたのが一つと、もう一つは、再評價が先ほども指摘になりました堅実性を確保しなければならないという必要に基きまして、五割、七割あるいは定率法、定額法というような点の押えを打ちますけれども、税務官署の現在の人員と事務の量をもつていたしまして、全國の会社の再評價の詳細について基準をあてはめてこれを押えることは、なかなか言うべくして実行のむずかしい点が多多あるわけでございます。そういう意味におきましても税の存在が、妙な形でございますが、ある意味で自動的な調節瓣になるだろうというような見地もありまして、税を再評價益にかけることについては、審議会といたしましてはやはりはつきりとかけるという態勢で、しかもそれをいつまでも調整勘定というかつこうで置いておかないで、一定の期間にはつきりとるというふうにやることが必要であるというのが、この委員会の大多数の御意見でございます。そういうふうなわけで、非常な論議の末でありましたけれども、御指摘の三年という期間が、報告の中に入つて來たような次第であります。
  75. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 御趣旨はわかりまするが、私は三年と限ること、また名目的な支出の増加について課税をするんだという意味ではありません。これはもちろん法人税として課税するのは、どうであるかという疑問はあります。財産増加税というような形態で実際はとるべきものでありましようが、そうでなしにとるといたしましても、それはさしつかえないのでありますが、ただいろいろ経済情勢の変化で、私はむしろ三年を待たずに課税をすべき事態が來るのではないか、ということも考えるのでありまして、三年がはたして妥当であるかどうかということ、またそのときどういう形態でとるかということに対して、非常な疑問を持つておるわけです。むしろこうはつきりしておいたのでは、最後の整理がかえつてやりにくい。もうすでにはつきりそういうふうに税法でうたつておるということになると、それがために最後の仕上げの場合にやりにくいということを、懸念しておる次第でありますので、そういうような意味合いからして、どういうようなお考えをお持ちになるか、一應お伺いいたしたいと思います。
  76. 原純夫

    ○原政府委員 あるいは御質問の趣旨を取違えておつたかもしれません。たいへんただいまのお話は、われわれといたしましては、実はできるだけこういう税をとりますならば、早くまとめてとつてしまうという方が、お話の將來の措置等の関連もありますし、望ましいとは考えておるわけでありますけれども、御存じの通り、先般の中間報告案は、物納というものは、從來のいろいろな経驗から考えましても望ましくないということで、現金で納めさせるという考え方でありまするので、こうなると再評價いたしました会社は、再評價による増資株式をやはり相当部分市場に出しまして、それによる手取金の中から税を納めるということに相なるであろう。そういたしますと、やはり政府といたしましても、市場がそういう株式を消化する可能限度というものを一應見当をつけまして、それのこなせる程度において税を納めていただくという見地に立つのが、穏当ではなかろうかというふうに考えまして、最近における市場の新規資金のこなし方の程度を大体見ました上で、ただいまお話の出ました通り、三年というあたりのところが穏当ではなかろうかというふうに考えて次第であるということを、御了承願いたいのであります。
  77. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 主税局長がお見えになりましたから、ひとつ主税局長にお伺いいたしたいと思います。もうすでに各委員から問題についてはほとんど出し盡されておりまするので、ごく端折つて、二、三の点をお伺いいたしたいと思います。もうすでに話もあつたのでありまするが、担税力の限界点という問題について、私は主税局長がいろいろ雜誌等にお書きになつておるのを見ますと、依然として國民所得に対する現在の日本の租税收入の割合は、他の英米の諸國より低い。英國は二七%であり、アメリカは三七%にも達しておるが、昨年度で言いますと日本では二〇%だ、こういうふうに言つておられる。すでに本年度におきましては二六%でありますから、英國にも匹敵するような相当な割合になつておるのでありまするが、しかし私は、世間でも盛んに言われておりますように、國民所得の割合で租税負担の重いか軽いかということは言い得ない、かように考える次第であります。と申しますのは、その歳出が、英國のように衞生施設とか、保健制度というような社会的な支出に充てられるということになりますれば、租税が相当重くても、その重圧は割合感じない。ところが日本のようにその歳出がほとんど大衆とあまり関係のない——というと語弊がありますが、そういう方面に出されるということになりますと、これは非常に事情が違うわけであります。またことに日本の現在の特殊事情から申しますと、戰災によつて、その戰災の復興をしなければならぬという面があるわけで、たとえば衣料を調達するとか、住宅を建設するということは、最小限度においては、ほとんど必要経費と異ならないような状況であります。これらを國の方でめんどうを見るということであればいいのでありますが、そうでない場合には、確かにこれが資本的支出として、所得として課税せられるのは理論上は当然でありまするが、その間に税負担というものが重いか軽いかということが、非常に違うのであります。ことに私は最近の勤労所得の例で言いますと、すでにそのうちで給與水準をきめます場合に、税金額というものは大きなフアクターとして考えられておる。そしてむしろ税引きの所得をきめて、しかる後に逆算して税込み所得の水準をきめなくてはならぬというところまで、実情は行つておるのではないかと考えるわけであります。從いまして、もうまつたくその限界点に達しておる。現在の給與水準から申しましても、たけのこ生活と言われておるのでありますから、もうすでに給與所得において水準をオーバーして、担税力の限界を逸脱しておるのじやないかというふうに、考えられるわけでありますが、その他の事業所得等につきましては、いわゆる勤労控除もなし、またほかに事業所得税というような地方税の負担もある。これをまつたく税法通りに課税するということになれば、それによつて勤労所得以上に税の重圧を感ずるわけであります。私は税金によつて現実の生活費というものが脅かされるかどうかということにかかつて担税力の限界を測定しなくてはならぬというふうに考えておるのでありまするが、今までの御説明でありますと、多少樂観的に感ずるわけであります。それについて主税局長としての御意見をお伺いいたしたいと思います。
  78. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 担税力の限界がどこにあるか、あるいはいかに考えるべきかという問題は、これはなかなかむずかしい問題でございまして、私ども、この点につきましてはいろいろ研究はいたしておりまするが、実際問題といたしまして、具体的に計数をもつて、どの辺まで來れば限界に達したか、あるいは達しないかということは、なかなか言いにくい、むずかしい問題であろうと考えます。それで御指摘の通り、その税をいかなる用途に歳出として出しておるかということも、これは確かにそういう場合の判断の一つの材料になるかと思います。  それから実際におきまして、一番考え方の基本になりますのは、國民所得言つておりますが、國民所得に対する割合というのが、一つの判断の基準になりますけれども、私ども單にそれだけでは判断していないのでありまして、國民所得が一体過去と比べて実質的にどういう変動を受けておるかという問題、これは非常に大きく考えなければならぬ問題だと思います。今日は生産が一般に戰前に比べましてよほど低いので、実質的な國民所得というものは、まだ戰前に比べましてはるかに減つておる。なかなか推計はむずかしいのですが、絶対額から言いましても、おそらく七、八十パーセント台じやないかと見ております。これは人口がふえておりますから、一人頭にいたしますと、さらにそれよりも下まわつております。実質國民所得が減つておるのに対しまして、パーセンテージは昔から申しますと大分ふえておる。戰前は十二、三パーセント程度でございましたのが、二十三年度は二〇%強、二十四年度は今のままで行きますと、二六%になるのでございますから、これは相当負担が重くなつているということは、私どもも率直に認めておるわけであります。一方國民の生活の実際から申しましても、生活水準は生産の下つたことに應じまして相当低くなつておる。これに対しまして、比率から申しますと高い負担をしておる。こういう実情考えなければなりませんし、また企業にいたしましても、御指摘の通り、戰爭によりまして資本が非常な消耗をしておりまして、これをとりかえなくちやならぬという時において、相当な税を賦課するわけでありますから、重圧感が、普通の場合に比較いたしまして、同じパーセンテージであつてもなかなかひどいだろうという点につきましては、私どももそのように考えております。從いまして考え方といたしましては、極力負担を合理的に軽くするという方向に持つて行くのが、本筋ではないかというふうに考えておりますが、ただ一方におきましては、やはり相当歳出を出さざるを得ないということになつて來ますと、他方において相当重い負担も、やはり場合によりましてはいたし方がないということになりまして、それを負担によらずして資金を調達いたしますと、結局インフレという形で、違つた意味の負担で問題を片づける、ごまかしの方法によつて片づけるということになりますし、その辺の問題と関連して、全体の負担をどうするかという問題が結局出て來ると思うのであります。從いまして本年度といたしましては、極力歳出の合理的な調整に努めました上で、この相当重い負担をできるだけ合理的に低減するという方向に持つて行くのが、行き方としては正しいのではないか、かように私としては考えております。
  79. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 それと関連しての問題であり、また他の人がお聞きになつた問題でありますが、現在の税率があまりに高過ぎる。所得税にいたしましてもあの急角度の上昇率で上つて行きます累進税率では、相当上の方と申しますか、中堅階級が非常に負担が重い。それから基礎控除が非常に少いために、下の方の負担も思いというような現況にあることは、率直にお認めになると思うのでありまするが、それがすべて現在の脱税の誘発ということになつておると私は考えるのであります。また消費税につきましても、御承知のように物品税も非常に高過ぎる。外國の例と比べると必ずしも高くないとおつしやるかもわかりませんが、物價の事情が違つて、物價の水準が高い。そこへ持つて來まして高率課税がかかるということになりますと、これまた消費税として、全体の購買力から考えて行つた上の物價が、高くなるという関係にあるわけであります。その点はもうすでに酒の消費税で十分おわかりのことであり、たばこのピース等における状況から十分わかつておられると思うのであります。率直に私は、現在の税率は高過ぎる。從つて徴税強行をやるためには、これをまず適正な税率に引直して、しかる後におやりにならなければ、いつまで経つても現在の税務行政は、行き詰まつたままで打開されないというふうに考える次第でありますが、それに対する主税局長の御意見をお伺いいたしたいと思います。
  80. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 御意見まことにごもつともでございまして、私ども極力税率等につきましては合理化をはかり、他方本委員会においてもたびたび問題になりました課税漏れ等につきましては、適正な調査徹底せしめまして、それによつて全体としてできるだけ税率を確保しつつ、財政需要に應ずるようにいたしたい。税率の合理化、適正な税務の運用というものは、これはうらはらのものであると考えますので、さような方向に向つて今後努力いたしたいと考えております。
  81. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 ただいま課税漏れの話が出たのでありまするが、すでに五千六百億の事業所得における課税漏れと申しますか、そういうものがあることは、主税局長もおつしやつておるわけでありまするが、私はこれは非常に誤解を招いておるのではないかと思う。もちろん脱税については、すでに六十数億あげておられる。おそらく相当な額に達しておるということは、明確であるわけでありますが、もし実際にすべて所得税で捕促されるということになりますれば、間接税その他の消費税、あるいは他の補完税をとるという、複税制度をとる意味はないので、ある程度課税漏れということはやむを得ないことでもありまするし、また國民所得の推計上の過程において、いろいろ課税所得の計算と食い違いがあるのではないかというふうに考えるわけであります。從いまして私は五千六百億というような大きな課税から漏れておる所得があるのだということが、いろいろ誤解の種になると思うのであります。その点は、この席上で御説明を願えればけつこうでありまするが、もつと研究していただいて、はつきりと世間に誤解のないように、またある程度のものについては、もちろん複税制度をとる理由等をはつきりせられて、世間の誤解を一掃されることが必要だと考えるわけでありますが、これについてその所見をお伺いいたします。
  82. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 今の五千八百億の理由につきましては、先日もこの委員会でも事柄を明らかにしておいたのでございますが、五千八百億と申しますのは、一應安本で計算しておりまする営業とか、法人とか、そういう種類の部門における國民所得と、課税所得との開きが五千八百億になつておるということを申しただけでございます。私はそれが脱税だとは決して申しておりません。そのうちに脱税が入つておるかもしれないし、あるいは國民所得の計算に正しくないところがあるかもしれないし、具体的に脱税が幾らであるかということは、はつきりしたことは申し上げがたいということは、たびたび申しておるわけでございまして、相当の脱税があることは、これは私が前から申し上げておる通りでございます。ただ計数で五千八百億の脱税があるということを申し上げたわけじや全然ございませんので、そのことを誤解がないように、重ねて申し上げておきます。
  83. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 もちろん私も五千八百億が脱税額だと思つておるわけではないのですが、世間にはそういうように聞えるので、いろいろ推計の仕方の違いとかがあるわけでありますから、そういうような点をできるだけ世間に知れるようにしていただいた方が、むしろ税務行政としてやりいいのではないかという点で、申し上げた次第であります。  次に、直接税と間接税の比率の問題でありまするが、これは私の非常な独断で恐縮と存じまするが、こういうような経済混乱の場合には、むしろ直接税と間接税は半々で、お互いに相互に補完的な役目をやつた方がよいのではないか、というふうに思つておつたわけであります。もちろん理想的から言えば、直接税が中心になるということは必要でありますが、最近の傾向はやはり直接税に重点が置かれて、間接税の比重が少くなりつつあるような感じがするのでありまして、もちろんこれは税務行政のやり方、ことに本年は特殊な事情で間接税が軽いのではなく、直接税が重いというような意味から、そういう結果が出て來ておるのだと考えるのであります。いずれにしてもこういう経済混乱期を前提とした場合には、そういうような点についてある程度考えなつた方がいいのではないか、というふうに考える次第でありますが、直接税、間接税の比率の最近の動きを数字的におつしやつていただいて、それに対する御意見を一應お伺いいたしたいと思います。
  84. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 直接税、間接税、それから流通税的なもの、その他というように大わけにわけてみますと、わが國の四九年度予算額、もちろんタバコ專賣益金を間接税に加えた数字でございますが、それによりますと、直接税が五三・四%、間接税が三七・四%、その他が九・二%という数字になるようでございます。これに対して前年は、直接税が四九・六%、間接税が四二・四%、その他が八%ということでございますので、本年度は直接税の方がふえております。少し前にさかのぼつて見ますと、昭和十九年、これは直接税の比率の方がずつと高くて、六五・二%、間接税が三〇・六%、その他が四・二%というときもございます。その後漸次直接税の比率が低下して、今年度さらに上昇しておるというような傾向になつております。外國では、アメリカは圧倒的に直接税が多く、これに依存しておるわけであります。なかんずく所得税が多くの部分を占めております。イギリスは前は六十四、五パーセントを直接税に求めておりましたが、最近は日本と状況をよほど類似して來まして、直接税の比率が漸次低下して、四八年度は直接税が五三%、間接税が四四%その他が三%、こういう数字になつておるようであります。そういう傾向から、これは一つの観測でございますが、やはり経済の情勢が非常にノーマルであつて、しかも相当発展しており、生活状態も若干好轉しつつあり、ビジネスの状況もいい、こういう場合においては、直接税が相当多くなるという傾向になつて來るのは当然でございますし、また税制としてもそういう税制がいいのではないかと思うのであります。それが生産も非常に落ちて、経済も相当混乱しており、生活水準も下つて來ておる。しかもなお財政需要は相当高からざるを得ないという場合においては、ある程度間接税の比率が高くなつて來るというのは、税制としてはいたしかたない。場合によつてはかえつてその方が実際の状態に應ずる税制だ、ということもできるかと考えるのであります。從いましてこの直接税、間接税につきましては、單純に理想通り行かないので、そのときの経済情勢なり國民の実際の生活状態と関連して、あわせて財政需要と関連して判断さるべきものではなかろうかと考えられますが、最近の傾向として、ある程度間接税の方がふえて行くということは、傾向として必ずしも惡いとは言えない、かように私は考えております。
  85. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 先ほど法人の資産の再評價の問題を原君に御質問したわけでありますが、総括して、私はこれは疑う余地がなく現在資本の食いつぶしをやつておるのだと思う。超過所得関係から申しましても、減價償却の関係から申しましても、今のままで行つたのでは、絶対に縮小再生産になるというふうに考えておるわけであります。それについて先ほど御発表になりました税制審議会の中間報告は、再評價の限度も五割にとどめる。いろいろ説明があつて、ある程度五割というのも根拠のあることはわかりますが、五割にとどめる。それから未償却残存率についても、定額法によらずに定率法による。あるいは三年間にたとえば資本金に繰入れるなり、積立金に繰入れれば課税をする。非常にテイミツドな行き方であつたと考えるのであります。もちろん株價の暴騰というような変則な状態を起すことは、好ましいことではありません。それに対する警戒というような意味合いでは、あるいは適当な措置であつたかもわかりませんが、私はやはり調整勘定は調整勘定として、それはそのかわり警告を発して、いつどういうふうな処理をされるかということについては、そのときどきの経済情勢に應じて考えるのだということで、もう少し大胆におやりになつた方がいいのではないか、というふうに考えるのでありますが、その点についての主税局長としての御意見をお伺いしたいと思います。
  86. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 法人課税におきまして一番不合理なのは、減價償却が実際帳簿價格によつておりますので、ほんとうの減價償却としての意味を持つていない。それから資本金が非常に会社によつて区々であつて、実力と一致していない。新会社相当多い資本金を持つておりますが、古い会社は非常に少い。こういうところが、インフレーシヨンの結果法人の税制における最大の不合理になつた点だと、私ども考えております。これはもうできるだけ早い機会に修正いたしたい。從いまして先般税制審議会で案をまとめてもらいまして、実は私どもの氣持としては、ぜひ今度の改正案に盛り込みたかつたのでございますが、諸般の事情でこれを延期せざるを得ない事情に相なつたのでございます。しかしこの問題はもはや長く置いておきますのは、あまりにも不合理でございますから、なるべく早く結論を得て実行に移したいと考えております。ただその際の行き方として、やはり現在においても企業によつて若干違いますが、また企業の操業條件あるいは経営の將來の見通し等が、実は完全につきかねている企業がまだ相当あるのでございます。紡績業その他一部の非常に先の見通しのいい企業については、比較的はつきりしたことが言えると思いますが、重工業方面においてまだはつきりしないものが相当ございまして、そういう際において完全と申しますか、これを一ぱいの措置をとることは、また少しどうも行き過ぎの点がありはしないかということも、一方においては考えまして、先般発表にありましたのは、ごく漸進的に再評價の措置をとるという方針で、案ができております。ただ評價増の限界を時價の五割にとどめておりますが、これを七割くらいまで上げるか上げないか、これは研究の余地があろうと考えます。それから調整勘定を置いておく期間、それから本勘定に移した場合の税率程度等につきましては、相当なお研究の余地があろうかと思いますが、とにかくしかしもう日本の経済もここまで來ました場合においては、減價償却等についてもほんとうに資本の蓄積、維持ができるような償却を認めるようなところまで持つて行きたい。ただ一挙に完全なものは全部の企業にはまだ少し行き過ぎの点もございますので、そこまで行けないと思いますが、相当なところまでは少くとも行くべき措置を、一刻も早くとるようにいたしたい。かように私どもとしては考えておる次第であります。
  87. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 次に申告納税制度の問題であります。先般來一番ここに問題が集中されておるのでありますが、この申告納税制度をとりましたのは、実は私の責任で、はなはだ恐縮でありますが、その後の執行のやり方についてかなり問題があると思うのであります。最近おやりになつている方法は、結局罰則の適用、これは九原則がはつきり示しているところでありますので、やむを得ないのでありますが、査察部を設けて大いに威嚇して、申告を慫慂するという態度であるわけであります。もちろん現在の状況にはそういう点も必要ではあるのでありますが、この制度を、最後にほんとうに有終の美をなさして行くというためには、私は何としても指導をおやり願わぬといかぬのではないか。むしろ査察部より指導部、あるいは指導班というようなものが、各地をまわつて家ごとに指導して歩く。もちろん現在帳簿組織が完備していないのは、やみ取引その他の関係もありまするが、やはり帳簿から指導して行くという必要があるのでありますが、そこまで行かぬにしても、各戸に指導班というようなもので指導して歩いていただく。税務署実情から申しますと、権衡調査で一括しておきめになるというのは、ある程度やむを得ないのでありますが、しかしそれにしても四半期ごとの申告について分割して、年中小範囲の権衡をとりながら、一業種目ごとに指導的に更正決定をおやりになる、こういうような方法で行かなければ、結局年末になつて一齊に大量に更正決定をやると、そこで大きな混乱が起つて來るわけであります。そういうような意味合いからして、私はあくまで指導というようなところに重点を置かれて、また各戸に個別的に年中更正決定をやつて行くという方法をおとりになるのが、いいのではないかと考えるのでありますが、それに対する主税局長としての御意見を、お伺いいたしたいと思います。
  88. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 申告納税制度の運用がなかなかうまく行かないことにつきましては、先般來本委員会においてもしばしば議論の出たところでございまして、私どもの基本的な考え方は、たびたび申し上げておいた通りであります。しかし二年間の実施の成績から考えましても、若干の向上は私はいたしておると確信しております。たとえば農業所得税としては、地方においてはトラブルを起しておりますが、昨年の一月に比べまして、本年の一月はよほど申告の提出状況がいいように思います。これは一方において納税者の関心が非常に高まりましたのと、他方におきまして、問題でございますところの所得の標準等をあらかじめ公開しまして、それによつて極力申告をしてもらうように指導に努めたということも、確かに一つの有力な理由だと思つております。その間まじめな團体等におきまして協力していただいたということもございますが、そういうことによつて相当成績を上げつつございます。農業所得につきましては、さらに一層標準のつけ方なり、適用のつくり方なり、計算の仕方なりを強勉しまして、実情に即したようにもつて行きまして、本年度はさらに一層向上をはかりたいと考えております。一番むずかしいのは何と申しましても営業者申告状況でございまして、この点になりますと從來の長い間の経驗もありまして、どうもまだやはり所得税というものは税務署がきめてくれるものだという観念が、拂拭しかねておるのでございます。自分でまず正しいものを計算して出すという観念になつていただくのが、何としましても先決問題でございます。そのためには御指摘の通り税務官廳といたしましても、よほど丁寧に指導して行かなくちやならぬことは、もちろんのことと私ども考えております。本年度六月の申告にあたりましても、極力そういう方向申告が出るように大いに勉強してみたい。かように考えております。ただ今前尾さんのお話のように、個人につきましてばらばらの更正決定をやつて行くということの方法も一つの方法ですが、何しろ数多い納税者のことでありますし、税務署事務を能率よく進めて行く上におきましては、今のところやはりある期間まとめて調べまして、ある期間そろえて更正決定するのでなければ、なかなか事務の運営がよろしきを得ないのではないか。先ほどから大分非難を受けておりましたが、ばらばらにやりますと法人税更正決定みたいなものになるおそれがございますから、その間また相当不公平が起る懸急もございますので、できるだけ是正して適当な申告をやる。その申告が十分でないものにつきましては、できるだけ的確な資料に基いて、個人ごとに更正決定をやつて行く、こういうこと以外にないのではないか。これの決定につきましては、先ほど來たびたび申し上げておりますように、大部分の納税者はまず申告納税制度をとつて、あとの少数者に限つてこれを徹底的に調べ上げて更正決定をする。こういう状況に一刻も早くもつて行きたい。その計画ですべての仕事を進めて行きたいと思つておりますが、一年、二年くらいではなかなか効果は上らないのじやないか。やはりその間におきましては、さつきたびたび出ておりますように帳簿をつけてもらうような、そういう指導をいたしますとか、納税者税法に対する知識も必要でございますし、そのほかいろいろなことが整いまして、初めてさようなことになり得ると思いますが、極力そういう方向に向つて努力して行きたい。かように考えております。
  89. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 私の申し上げたのは、かような考え方でおやりになつておるかどうか。一年間に一まとめにして、最後に全部を更正決定をおやりになるよりも、六月申告なら六月にさかのぼつて、これは年度関係はありますが、その全一箇年を更正決定する。また九月申告の場合には九月申告で、また九月から前年九月まで、というふうにやつて行きますと、結局一年間を四つにわけて更正決定ができる。多少切符の関係とかそういうようなめんどうな点はあるかもしれませんが、そういうようなことをすれば、ある程度時期的に分割してしまうよりは、うまく行くんじやないかということを、御提案申し上げたような次第であります。しかし時間がありませんから次の問題に移ります。  一つは地方の問題でありますが、地方税についてはいろいろ問題はあると思いますが、現在酒等の消費税地方税として設けられておる。先ほども直接税と間接税の関係の話も出たのでありますが、そういうような意味合いからしますと、消費税のごときは地方税というよりも、当然配付税という観念で行くべき問題じやないか。配付税に直接税と消費税を織り込んで行くという方が、むしろ実情に沿つておるんじやないか。入場税につきましても、むしろこれは配付税で、そのかわり全額適正に配付するという行き方の方がよかつたのではないか、という考え方をするわけでありますが、主税局としての御意見はどういうふうであるか、伺いたいと思います。
  90. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 各種の税源を國と地方團体とどういうふうにわけるかということは、なかなかむずかしい問題でございまして、前尾さんも御承知のように、やはり各地それぞれ行き方が違つておるようでございます。御指摘の間接税につきましては、いずれの國も大体において中央政府で取るということを、原則にいたしておるようでございます。ただ、アメリカはステーツという特別な、地方團体とむしろ言えない一つの團体がございまして、そこでは相当間接税で徴收いたしておりますけれども、その他の國におきましては、ほとんど間接税は大体中央の政府徴收して、地方に交付する。中央で徴收されるのが原則でございます。そういう点から考えますと、私どもはやはりそういう方向へ行くのが、一つの有力な参考になろうかと思います。ただしこの問題は、全体として要するに地方團体と國との間に、財源をいかにして配分するかということが問題でございまして、なかなか簡單には申し上げられないことをこの機会に申し上げておきます。さらに税制の根本的改正の際に檢討しまして、申し上げたいと思います。
  91. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 時間がありませんので、最後に一つだけはつきりさしていただきたい問題がございます。例のプレミアム課税の問題でございますが、これは御承知のようにすでに判例等において、形式的に見れば、利益金であり、実質から見ると資本金という関係で、課税非課税の問題がわかれておつたわけであり、その中をとつて変な制度でありますが、半額課税というような方向に來ておつたわけであります。私は課税非課税、どちらにしてもいいと思うのでありますが、しかし現在租税特別措置法でその規定が設けられておりますので、本法に織り込む際の参考というとおかしいのでありますが、これを非課税とされた理由をはつきりここで速記録にとどめておくのも、必要があるのではないかと思うので、お尋ねする次第であります。
  92. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 今回プレミアムの課税につきまして、臨時措置法で全額積立金を繰入れた場合に、非課税とすることになつておりましたのは、根本の理論の問題で、これは法人税の損益計算の根本にも関係する問題でございますので、一應そこには触れないで、当面さしあたつてとにかく会社としましては、資本金が少くて相当資金の調達をする必要がある。なかんずく公募方法によりまして資金の調達をする必要がある。そういう場合におきまして、理論は別として、とにかくプレミアムについてはこの際積立金として積立てた場合には、課税しない方が妥当だ、こういう意味合いにおきまして法律案を提案いたした次第でございまして、法人税課税の根本的な建前等につきましては、さらに今後檢討した上で適当な断定を下した方が、妥当じやないかと考えております。
  93. 川野芳滿

    川野委員長 小山長規君。
  94. 小山長規

    ○小山委員 二、三質問いたしますが、シヨープ・ミツシヨンが参られた場合、減税ということをたびたび大藏大臣、主税局長がお話になり、それは大体價格調整費の節約によつて、何とかできるつもりであるというふうに言われておるのでありますけれども、三百三十円に想定されておつた為替が、三百六十円に相なりまして、價格調整費が足りなくなりはしないかというふうに考えられる折から、なおそのシヨープ・ミツシヨンが参つた場合には減税の措置をとることがありましようか、その辺のところをお伺いしたいと思います。
  95. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 價格調整費につきましては大臣もたびたびお話になりましたように、実行にあたりまして根本的に檢討して、極力節約をいたすように運用をはかることになつております。今回三百六十円ときまつたので、輸入補助金をどうするか。これは一つの問題でありますが、これも私は見当だけで、そうふえなくて済むのではないか。國内の價格調整費につきましても、相当実行上適切にやり得る余地もあるように感じますし、為替のことに関連しまして、今までの説明で、非常に実現困難であるというふうには考えておりません。
  96. 小山長規

    ○小山委員 そうしますと價格調整費の節減を、どの程度に見込んでいらつしやいますか。
  97. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 その点は大臣もたびたびお話のように目下檢討中でありまして、ある程度の見込みありとしておりますが、具体的に幾らだということは、今のところ申し上げかねるわけであります。
  98. 小山長規

    ○小山委員 そうすると具体的にはわからないけれども、減税の余地は三百三十円が三百六十円になつてもある、そういうふうに確信を持つておられるわけでありますか。
  99. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 確信というお話でございますが、見込みはある。かように考えておる次第でございます。
  100. 小山長規

    ○小山委員 それはそれとしまして、もう一つ納税準備預金制度が、今度設けられたのでありますが、ことに農村方面におきましては、たとえば米の供出のときとか、あるいは家畜のせり市、その他のときに非常に一ぺんに金が入る。入りますが、從來それはそのまま農民に渡される。そうしてあとでまた税金として課せられて非常に苦痛だつたのであります。この辺のところはそういうような農産物の供出代金が入つたとき、あるいは家畜のせり市で大金が入つたというときに、納税準備予金を利用して相当活発にといいますか、半強制的にといいますか、これをやられるつもりなんですか。
  101. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 今お話のような場合に、納税準備預金制度は最も活用の余地があろうと思いまするが、農作物につきましては供出の代金をもらつた場合とか、あるいは今お話のように一時に賣却して收入のあつた場合におきましては、何割かの部分を納税準備預金として振り込んでおいていただきますならば、納税者としてもあとで非常に納めやすいのではないかと思います。私どもも極力そういうことになるように指導して参りたいと考えます。
  102. 川野芳滿

    川野委員長 次は北澤直吉君。
  103. 北澤直吉

    ○北澤委員 大藏大臣に対する質問があるのでありますが、後ほど大臣がおいでのようでありますからして、これを留保しまして二、三政府委員にお尋ねいたします。  第一点は法人税の問題でありますが、今回の税制改正案によりますと、法人のプレミアムにつきましては税をかけないということであります。これは資本の蓄積を奬励するという見地から必要だと思いまして、私は非常にけつこうと思います。思うに大東亞戰爭におきまして、日本は巨額の資本を消耗し、また戰後のインフレによりまして、資本の食いつぶしが非常に行われまして、今日日本におきまして最も足りないものは資本であろうと思います。先般のドツジ公使の声明の中にも、今日日本で最も必要なことは資本の蓄積であると言つておりますが、その通りだと思います。今後日本の再建、日本の経済復興のために労力が非常に必要でありますが、労力にも劣らず資本が必要だと思うのであります。労働の生産性を上げるにつきましては、どうしても設備の改善、あるいは技術の改善が必要でありまして、このためにはどうしても資本の蓄積ということが、最も大事であろうと思うのであります。そういう意味におきまして、將來の日本の再建を考える場合におきましては、國内においては國内における資本の蓄積をはかりますとともに、外は外國の資本をなるべくよけいに日本に導入することが必要だと思うのであります。ところが最近の情勢を見ておりますと、米國の日本に対するいわゆるガリオア、イロア資金、これによる対日援助はいつまでも期待はできないという情勢にあると私は思います。というのは、アメリカが見ております日本の戰略的價値ということにつきましていろいろ議論がありますが、今日アメリカではヨーロツパ第一主義、東洋第二次というふうに考えておりまして、ヨーロツパの復興ということを第一義的に考えておるようであります。にもかかわらずマーシヤル案によるアメリカの対欧援助ということにつきましては、アメリカの議会におきましてもこれを削減しろというふうな意見が大分ありまして、今年の七月以降のマーシヤル案によりますと、ヨーロツパ援助の資金について政府の要求したのは五十五億でありましたが、議会ではこれを二億何千万ドルか削減したのであります。そういうふうにアメリカとしましては、ヨーロツパに対する援助に相当の金がいる。特に最近は北大西洋條約に参加したヨーロツパの國々に対しましては、その軍備の拡張のために、アメリカが相当な援助をしなければいかぬ。これにつきましても今議会で問題になつておりますのは、大体十何億ドルかの金を西ヨーロツパの國々に與えて、これらの國々の軍備を拡張しようというふうに、ヨーロツパに対しまするアメリカの援助の金は多くなるのであります。ところが一方アメリカの國内におきましては、だんだん景氣も後退しつつある状態でありまして、物の値段もだんだんと下りつつある。從いまして國民の間には、何とかして國民の税の負担を下げてもらいたいというような希望が、大分あるのであります。こういう状況を見ますと、このガリオア、イロア資金による日本に対する援助資金というものは、そういつまでも日本としては期待できない。今後日本が外資の導入というものを考えるにあたりましては、どうしてもアメリカの民間資本を導入するということに、重点を置かなければならぬのであります。ところがアメリカの民間資本を日本に導入するにつきまして考えなければならぬことは、皆さん御承知のように資本というものは非常に臆病であります。安全でもうかるところであれば資本は行きますけれども、安全でなく、しかももうからないというところには資本は参りません。ガリオア、イロアの資金のように、政府が多少損をしてもこれをやろうという場合にはいいのでありますが、民間資本を日本に導入する場合におきましては、どうしてもアメリカの資本家が日本に投資する場合においては、安全でしかも利益のあるという状態でなければ、アメリカの資本を日本に導入するということは、期待できないと思うのであります。そういう次第でありますので、私どもは今度の税制改革にはないのでありますが、今度シヨープ・ミツシヨンが來まして、日本の税制全般の檢討をするという際におきましては、日本における資本の蓄積、特にアメリカの民間資本を日本に導入するということを考えまして、税制全般の改正というものを考えなければならぬと思うのであります。特に一昨日為替がきまりまして、一ドル三百六十円というふうに單一為替がきまりますと、外資の導入に関しまする大きな障害が除かれたわけであります。從いまして今後われわれはこの機運に乘じて、アメリカその他連合國の民間資本を日本に導入するように、積極的にいたさなければならぬと思うのでありますが、そういう点から考えましても、私はこの日本の税制改革にあたりましては、資本の蓄積、特に外資の導入、外國の民間資本の導入ということを考えて、いろいろ改正しなければならぬと思うのでありますが、こういう点に対しまする政府当局構想がもしありますれば、お伺いいたしたいと思うのであります。
  104. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 外資導入の問題に関連しましては、実は昨年度の税制の改正によりまして、今まで外國法人に対する税率は、内國法人に比べますと、普通税で百分の十だけ高かつたのですが、それを内國法人と同じに改正いたしたのであります。それから配当に対する課税も若干外國税率は高くなつておりましたが、これも同樣にいたしたのでございます。こういうわけでありまして、外國人なるがゆえに高くするということは、現在の税法ではありませんので、まつたく一率になつております。  それから今回のプレミアムの問題も、新しく法人が入つて、新株主として参加しようという場合においては、プレミアムの値上げということは相当その促進に役立つと考えます。プレミアムが課税されるということになりますと、そういう点がなかなか困難になりますが、その障害を排除する一つの方法とも考えます。しかし現在としての直接税の負担が、アメリカ等に比べてどうであろうかということにつきましては、今後よく研究いたしまして、できる限りの外資導入に支障がない税率にいたしたい、かように考えております。
  105. 北澤直吉

    ○北澤委員 先だつても日本におりますアメリカの実業家の團体でありまする商工会議所の代表から、マツカーサー司令部に陳情を出しまして、どうもやはり日本におきまする税は高過ぎる。こういうことでは外資、特にアメリカの業者が日本に金を持つて來て仕事をするのが非常にやりにくい。もう少し外國の商賣人の資本に対しまして、税を軽くしてもらいたいというような陳情を出しておるようであります。現状のままにおきましては、アメリカあたりの業者も、もう少しこの税の方面で特に考慮を拂つてもらわないと、日本に対する民間外資の導入はなかなかむずかしいようでありますが、この点につきまして、政府として積極的に何か措置をとるお考えでありますかどうか、もう一ぺん重ねてお尋ねいたします。
  106. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 この問題は結局法人税なり所得税の主として税率の問題になつて参りますので、全体を檢討いたします際に、そういうことも考慮に入れて、結論が出るように行くべきではなかろうかと考えておる次第であります。
  107. 北澤直吉

    ○北澤委員 この問題はこれだけにしまして、次に砂糖消費税の問題についてお伺いしたいと思うのです。二十四年度予算は成立したわけでありますが、今後たとえば六・三制実施に関する予算の確保、あるいは公共事業費の増額とか、あるいは所得の軽減というようなことがありまして、どうしても財源の確保ということは非常に必要であります。こういう関係におきまして、輸入砂糖を特に非課税とし、この大きな財源をとることをやめる理由はどこにありますか。お伺いをいたします。
  108. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 その点は先般もちよつと申し上げたのでありますが、一つは為替レートと申しますか、換算レートがはつきりいたしまして、とにかく輸入原價が高くなりますので、税金をそのままにしておきますと、砂糖の値段を引上げなければならぬという事態が起りまして、これを解決いたしますことと、いま一つは何といたしましても砂糖は、ガリオア資金で救済物資として入つて來ております。救済物資として入つて來ておるものについて、しかも配給されるものに対して高率の課税をするのは、いかがなものであろうということを考慮いたしまして、結局輸入砂糖というものは、非課税にいたすということに相なつたのであります。非課税にいたしまして、先ほどお話がありましたように三百六十円にいたしましても、あるいは若干値段は下がるのじやないかと思つておりますが、目下價格の点につきましては物價廳と檢討いたしております。
  109. 北澤直吉

    ○北澤委員 酒には相当高い税がかかる。タバコにも專賣という意味で相当高い税金が入つておるのであります。辛党には非常に税をかけて、甘党の砂糖には税をかけないというのは、非常に不公平じやないかと思うのです。左に酷であつて右の方に甘い。私はむしろこの際砂糖の專賣でも実施をして、こういう方面から相当財源をとる。そうして甘党にも辛党にも平等にその税を負担さした方がいいじやないか、というふうな考えを持つておるのでありますが、そういうふうな砂糖の專賣あるいはこれに類するような、砂糖というものを大きな財源にするというふうなお考えは、ないかどうかをお伺いいたします。
  110. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 私どももこの砂糖につきましては一般の間接税の負担から行きますと、ある程度の税の負担はさせてもいいじやないかという考え方も、確かに有力な御議論だと思います。ガリオアでなくて自力で輸入し得る時期が一刻も早く來ますと、あるいはそういうことも可能かと思いますが、現在何しろ救済物資として参つておりまして、しかも非常に不十分な部分を一律に配給しておりますので、あまりこれに大きな財源を求めるという考え方は、どうも一時捨てざるを得ないと考えております。
  111. 北澤直吉

    ○北澤委員 輸入砂糖というものがガリオア資金で入つておるということはわかつておるのでありますが、しかしながらこのガリオア資金で來ました砂糖に対しましても、日本は正当な金を拂つておる、それ相当の相場の金を拂つておるわけであります。從つて向うでは大いに救済物資、救済物資というかもしれないが、日本の方としましては相当の相場の金を拂つておる。ただ問題はそれがいわゆる見返り資金の中に入るのでありますが、その見返り資金というものは日本の救済に使わずに、大体において日本の復興ということに使われるわけであります。ガリオア資金というものは救済資金でありながら、その救済資金の見返りの円資金は救済に使わずに、全部復興に使うというちよつとへんぱなことであるのでありますが、私はこういうふうにガリオア資金で入つて來る砂糖については、実際の相場よりももつと安く日本に賣つてもらう。そこで初めて救済という意味が出るのじやないかと思うのでありますが、こういつた輸入物資につきまして、それ相当の普通の相場の金を拂つて、その金を見返り資金に繰込んで、それを救済の方にまわさずに、すべて復興、再建という方にまわすようになつておることにつきましては、一体政府はどういうふうにお考えなつておりますか。こういう見返り資金の中からあるいは日本の救済のために必要な金も、もしできるならば出した方がいい、こういうふうなお考えを持つておりますかどうか、お伺いしたいと思います。
  112. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 その問題は結局インフレをとめつつ、かつ相当の復興をはかつて行くということのためには、今度の予算のような組み方の方がよろしいという見地から、きめられたものと考えております。
  113. 小峯柳多

    ○小峯委員 簡單に二つ三つお伺いいたしておきたいと思います。先ほどの前尾委員の質問は、資産再評價の問題に関してでありましたが、主税局長は諸般の事情からこれが行えなかつたのだという答弁だつたと記憶しておりますけれども、諸般の事情ということはどういうことを指しておるのか、お伺いいたしたいのであります。
  114. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 結局直接税につきましては、主としてアメリカの專門家が見えました上で、よく檢討して結論を下す。再評價の問題は單に税法だけの問題でなく、経済政策全般にも関連して参りますので、そういう問題とも関連してよく檢討した上で結論を出す。かようなことに相なつたのでございます。
  115. 小峯柳多

    ○小峯委員 ところが三百六十円の為替がきまりまして、資本の食いつぶしは一刻も早くやめなければならぬ関係だろうと思いますが、それに関連しまして、もしそういう方法がむずかしいとすれば、償却に対して何か特例というようなものを考える余地がないだろうか、そんなふうなお考えはないでありましようか。
  116. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 実は私どもその点はまつたく償却を合理的ならしめるという方法の一つとして、考えておるのでございまして、償却の部分だけ切り離して適当な措置をやるということよりも、むしろああいう方法によつて問題を解決した方がいいのじやないか。こういう意味でつくつたわけでございますので、できます限りああいうラインでこの問題の解決をはかりたい、かように考えております。
  117. 小峯柳多

    ○小峯委員 今度の予算に関連しまして、長期資金の問題が非常にめんどうであり、またこのかじのとり方で三百六十円の為替を契機とする國際経済への参加にものを言うわけですが、それに関連して有價証券市場の問題でありますが、有價証券市場に対する税の中に差益税を加えるというのがございます。これは賣買の差益に対してかけている税金だと思うのでございますが、これの実体というものはなかなか正直なことろつかみ得ない状態だと思います。財務局から証券業者團体の方に先般いろいろ通牒があつたそうであります。從來三百株以上の取引について報告しろということであつたが、二百株に減らして参つたそうであります。事実差益がある限りは、差益に対して税をかけることは当然なのでありますが、この取引というものはわれわれのふところぐあいに開きがあり、そのために市場の取引をかなり阻害するというような点もあるらしいのでございます。それで私ども証券民主化の議員連盟をやつておるのでございますが、いろいろ話を伺いまして、もしそういうふうにいろいろ弊害があり、また実際問題としまして名前をかえて使つたりしまして、案外成績があがらないものでありますから、それよりはむしろ今までの移轉税の率を上げるか、あるいはまた讓渡税というふうな賣つた場合に拂うような税金に、これを代位した方がよかろう、こういうような意見を熱心に関係者から聞くのでありますが、いかがでございましようか。
  118. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 今の問題につきましては、午前中田中委員にお答えしておいたと思いますが、結論を申しますと、所得のあります限りにおきましては、やはり株式の賣買によりまして相当の利益があつた場合におきましては、今半分を所得として課税することにいたしております。これはやはり課税原則からいたしまして、所得課税することにした方がいいのじやないか。源泉で課税するということになると、非常に低い課税で、しかも損をした場合にも、場合によつてはかかつて來るというようなことになりますので、所得税の建前からやはり今のような行き方の方がいいのじやないか、というふうに考えております。ただこの調査にあたりましては、むやみに小さいものを追つかけまわすようなことは避けまして、極力大口の、しかもまとまつて利益をあげたようなものを、徹底的に調べて課税して行く、こういう方針で行きたいと思います。二百株にした云々ということはまだよく聞いておりません。できる限り手数を省いて、実効のあがるような方法で將來指導して参りたいと思つております。
  119. 小峯柳多

    ○小峯委員 財務局長の方から証券團体の責任者に対して、その面で協力してもらいたい、報告してもらいたいというふうな通牒があつたのを、私ども現物を承知しておりますが、これはどういう法的な根拠でやつておられるのか、伺いたいと思います。
  120. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 これは所得税法に規定がありまして、納税義務ありと認めたものに対し、一定の証券取引関係のあつた者に対して、資料の要求ができることになつております。それに基いておそらく財務局から出したのじやなかろうかと思います。聞くところによりますと、從來三百株ということになつておりましたが、三百株としますと、二百五十株くらいで、わけて取引するというような例が多くあるので、二百株になつたのかもしれませんが、その辺のところは実情をよく調べて、なるべく手数をかけないで、実効のあがるような方法を研究してみたいと思います。
  121. 小峯柳多

    ○小峯委員 もう一つ伺いたいのでありますが、そういうふうに徴税の場合、團体を利用するという方法はありますが、先ほど局長の言葉にもいい團体は利用したいというような言葉があつたように承知しております。また聞くところによりますと、團体が折衝することはこのころとめられたようなことですが、これをどういうふうにお考えなつているか、伺いたいと思います。
  122. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 團体に責任を持たしてきめるようなやり方は避けることにしておりますけれども、反面團体の意見なりあるいは順位等をつけさせまして、税務署がさらに調べて、役所納税者との責任において課税額をきめる。そのためには、極力まじめな團体である限りにおいては、よく意見を聞いてやるようにというふうにしたいと思いますけれども、しかしあくまでも、最後の責任は團体に押しつけるようなことでなくて、税務署納税者で同じような調査を進めて行くようにやつて行きたいと思います。
  123. 小峯柳多

    ○小峯委員 今の御答弁は、それではまじめな團体は諮問機関として十分に活用してやるというふうに、承知してよろしゆうございますか。
  124. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 その通りであります。
  125. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 主税局長がおいでになりますから、簡單に一、二御質問いたしたいと思います。今日税務署納税者に対して更正決定するのは当然ですが、所得收入よりも多く更正決定せられたような場合、それに対して異議の申請をして、間違つておれば訂正なさるのですか。
  126. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 課税異議があります場合は、異議の申請をいたしまして、調べた上でそれが間違つておれば、訂正することは当然のことであります。
  127. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 まことに明快な御答弁でありましてけつこうでありますが、事実はたとえば税務署へ参りますと、相当君らは長くやつておるから收入ガあるだらうと言つて、税の申告をしたにかかわらず、また個別的に收入の総額を書いて出したにかかわりませず、これを眼中に置かずして、いわゆる形式的課税をするという場合が多々あるのでありますが、これはひとつ主税局長の権限によりまして、各地方に対しましても極端にそういう間違いのないように、ぜひやつてもらいたいと思いますが、その辺についてもうひとつ御努力願いたいと思います。  もう一言申し上げておきますが、はなはだ時間をとりまして恐縮であります。私の知るところによりますと、税務官吏の方は割合に若いのでありますから、実情に即していない点が非常に多いのであります。ことに地方におきましても私は痛感することでありますが、これを是正するためにも、また税制改革の根本をつくりますためにも、ぜひこの機会に民間の考えを重要視してもらいたい、かように考えておりますが、それに対して大藏大臣も趣旨には賛成であると言つておられますから、必ず今度やるということを約束願いたいと思いますが、いかがですか。
  128. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 今の問題についてはたびたびお答えいたしました通りでありまして、それ以上申し上げることはありません。
  129. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 もう一言お願いしたいと思います。私の関知するところによりますと、このごろ若い者が、たとえて申しますと共産党の諸君もおられますが、民主自由党に属している者から、相当つてやらねばならぬというふうに考えておる若い税務官吏が、ないではないと考えておりますが、そういう点について極度に不公平のないように十分にやつてもらいたい、かように思つておりますが、いかがでしようか。
  130. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 当然のことでございまして、そういうことはいたしておりません。
  131. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 はなはだ長く申しまして恐れ入ります。私の信じます点につきましてまことに御親切な御答弁がありました。けつこうに存じておりますが、もう一言自分の意見を申し上げておきます。われわれといたしましては納税義務についてはまことに責任を痛感しておるのでありますが、先ほど主税局長が仰せになりました通り、不公平な場合には直すにやぶさかでない、この一言はわれわれといたしましてもまことにけつこうな話であると思いますから、特に各税務署の末端に至りますまで、今の主税局長の御趣旨をこの際御傳達くださらんことを、特に委員長にお願いいたしたいと思います。
  132. 川野芳滿

    川野委員長 承知いたしました。
  133. 宮幡靖

    宮幡委員 大分おしまいの質問になりましたから重複を避けますが、実は先般大藏大臣にお伺いいたしたいと思いましたが、大臣の御都合で伺うことができなかつた。あるいは事務当局にお伺いすることは惡いのかもしれませんが、その点をお含みの上、できる範囲のお答えをいただきたいと思います。  ただいま税の体系をながめて見ますと、國税ではいろいろ学説異論もありましようし、まだわれわれが浅学でわからない点もありますが、直接税、間接税の二大体系ということは長い間のことでありますが、取引高税の実施につきまして、いわゆる流通税というものがここに生れて來た。おおむねこの三つの流れのようでありますが、この流通税というものの性質を勘案いたしますと、これはどうも國税の系体の中に取入れることはいささか間違いではないか、かような感じがするわけであります。また地方税の方をながめますると、物件税という形から目的税に移るのはなるたけやめた方がよい、あるいは絶対に目的税はとるべきでない、かような考え方さえあつたのに、近ごろの流れはだんだんと物件税はもう税源がなくなりまして、目的税に移行しようとするような形勢があるのであります。從いまして國税の中に現われました流通税に属すべき性質のもの、端的に申せば取引高税のごときものは、地方税的ないわゆる消費者轉嫁の税といたしまして、体系を整えて行くべきものであろう、かように考えられるわけであります。そこで取引高税は、税制改革の際におきまして地方税に委讓いたしまして、現在のごとき百分の一というようなことは、徴税費用その他を勘案いたしますると、あまりに低率に過ぎるわけでありまして、むしろ取引高税を存続するならば、百分の二とか百分の三とかにして、しかも納めやすく、そして税源の確保できる状態、ある意味におきましてはこの取引高税を忠実に納税することによりまして、所得の発生の裏づけとなる懸念も除去する意味におきまして、これらを地方税的なものに取入れまして、取引高税地方に委讓しまして、そのかわりといたしまして、ただいま十五割というような課税なつております地方税であります入場税のごときものを國に引上げまして、また遊興飲食税等も料飲店の再開等と思い合せまして、これを國税の中に取入れ、地方税と國税との間の調和等もとりたいと考えておりますが、これは税制の改革にからまる根本的の問題でございますが、この点につきましてすでに大藏当局としてもし御研究の点がありましたならば、この際お漏らしを願いたいと思うのであります。
  134. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 流通税はむしろ地方税の方がいいのじやなかろうかという御意見のようでありますが、不動産取得税も一種の流通税的な性質があるようでございますが、そういうものを例外といたしまして、流通税の方はむしろ外國におきましても、大体國税になつておる例が多いようでございます。取引高税の問題が出ましたが、これも法理だけの段階としますと、あるいは地方税としても成り立つのではないかと思います。今の日本の取引高税のように、あらゆる段階に課税することになりますと、地方税としてはたしていいかどうか研究の余地があろうと思いますか。それから現在の地方税の入場税、遊興飲食税は元は地方財源でありましたのを、戰時中國家財源に引上げ、さらに最近地方財政に移した。私は税率の低いものならば地方財政として適当ではないか、今日のように高率のものがはたして適当かどうか、これは十分檢討の余地があろうと思います。入場税は大阪の市民が西宮に行つて税金を納める。相当高い税金であるから、入場税さえあればほとんどその運動場一つでもつて、その町村のほかの税は軽くするというような例もあるのでありまして、確かに檢討の余地はあろうかと思いますけれども、ただ地方につきましても昨年來仕事を大分地方に移しまして財源難の際でありますから、檢討いたした上で結論いたしませんと、なかなか簡單には参らないと考えております。
  135. 宮幡靖

    宮幡委員 次に取引高税法第十條についてお尋ねいたします。これは主税局長さんの末項のお答えをいただくものでありますが、今度の取引高税法の中の第十條の「交互計算、相殺、代物弁済又は更改、契約により……」というのは、從來取引高税法よりはつきりいたしまして、今度いわゆる債権債務の消滅します方式について、たとい現金の授受がなくも現金の授受があつたものとみなす、こういう條文を設けられたことはまことにけつこうだと思いまして、今度の改正に関する白眉だと思います。しかしながら実際面におきますると、この会社会計経理の面におきまして、これに矛盾する状態が現われていることは、また主税局の方は御承知かもしれませんが、各部門計算をいたしております関係で、購買品はひとつの購買部において共同購入をいたしまして、これを各部へ配付して、もちろん総経費の割掛け等をいたしましてこれを配付して賣り渡す。また製造部門からはこれに対しまして、購買部に対外的には販賣機構を扱わせるという処置によりまして、製品は一應原價計算をもちまして購賣部に賣る。そういうようなことでこの勘定を一定の期間内において相殺いたします。そうするとこの條文によつて、また從來取引高税法に基きまして、かようなものは現金の授受があつたものとみなすべきものであるというので、この相殺計算に対しまして課税をするのだということを強要し、現にこれを行つた事例があるわけです。かような点につきましては、法律を非常に曲解しているものであると私は思いますので、もしそういう事例に接しておられましたならば、この際適切なる御通牒なりを出していただく。これは希望意見でありましてお答えをいただくべきものでございませんが、お答えとしていただきたいのは、そういう同一機構のうちにおきましてのこの相殺、あるいは混同による消滅というものは、第十條の精神が含んでいないということははつきりしておるのかどうか。この点だけであります。
  136. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 今お話の通りでございまして、同じ人格のうちにおきまして取引関係があるとは考えられませんから、そういう際には問題はないと思います。他の人格との間に取引がありまして、その取引をそういう方法で決済した場合の規定であります。
  137. 宮幡靖

    宮幡委員 次は税務代理士法につきまして、ちよつとお尋ねいたしたいのでありますが、本年は税務署に参りますと、他人にかわつて税務の代理相談をいたすことは、税務代理士以外の者はいけないのだとある。税務代理士法を制定したこの間八年くらいになりますが、一向これが徹底いたしておりません。ただいまでは税務署の入口にそういう札が張つてありまして、ようやく法律の趣旨が明らかになつたわけであります。しかしながら税務代理士でなければ他人のためにこれを相談し、あるいは経理をすることを業とすることができない。この趣旨徹底させる半面には、良質の税務代理士を多数養成して行くことが、当然必要になつて來るわけでございます。現在のところ各地に相当数の税務代理士が許可されておりますが、いろいろ事務繁忙の折柄と見えまして、税務代理士許可申請の中にはよい方々もたくさんあろうと思いますが、この許可手続が非常に遅れております。それがために税務代理士でない者が税務代理士の仕事を行う、かようなことでいろいろ巷間にはトラブルが起きておるわけでありますが、大体ただいま大藏省といたしましては、税務代理士の許可をされます機会は年に何回ときまつておるか。その点を明らかにしていただきたい。同時にいろいろな経済事情の変化から言いまして、近き將來におきまして税務代理士法の改正の意図ありやいなや、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  138. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 税法の円滑な施行のために、税務代理士の制度の必要なことはお話の通りであります。なかんずく申告納税制度をうまく育て上げるためには、会計士、弁理士、税務代理士、こういう方々税法につきまして、直接接して相談にあずかつてもらうことが必要だと考えております。從いまして税務代理士の制度につきましても、將來大いに育成の方向へ進んで参りたいと考えております。制度改正の問題につきましてはいろいろ案がございまして、目下研究中でありますが、いずれ研究がまとまりましたら提案いたしまして、御協賛を仰ぎたいと思つております。根本の方針はよい税務代理士を多数出すということで、今後改正することにいたしたいと思つております。それから認可につきましては、現在は大体年四回くらいにわけまして一括審査して進めております。遅れがちでありますことは恐縮でありますけれども、なるべく早く審査いたしまして、一刻も早くよい税務代理士ができるように努力いたしたいと考えております。最近相当な数について一應審査ができまして、認可ができるような手はずになつております。
  139. 風早八十二

    ○風早委員 税務代理士法に関連して……。
  140. 川野芳滿

    川野委員長 それでは風早君。
  141. 風早八十二

    ○風早委員 税務代理士法の第一條の業の意味が非常に不明確でありまして、このためにいろいろなトラブルが起つている実情であります。これにつきまして一般に業とすというのは、反復継続の目的で所定の行為をすることであつて、有償無償を問わないというような解釈もあります。またこれは昭和十七年二月七日でありまして大分古い話でありますが、日本勧業銀行法中改正法律案外五件の委員会というのがありまして、そこで松隈政府委員が述べておられるのを見ますと、「ここに業とすというのは、たとえば事務所等を置きまして、不特定多数の人の委嘱を受け得るような状態において仕事をする者、こういうふうに解釈したらよろしいと思つております。また從つて報酬を得るということが当然伴つて参るのであつて、報酬を得ないというような場合においては、業とするという解釈には入れない方がよろしいと思つております。」という回答があつたのであります。ところがこの点をこういうふうに私ども理解してよいかどうか、その点について現在の政府当局のはつきりした御見解を伺いたいと思います。
  142. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 税務代理士の業とするかどうかは、結局これは今の建前では裁判所が最後に判定するということに相なるかと思います。不特定または多数の者に対しまして継続反復して一定の行為をするなら、それによつて業になるというふうに私どもは解釈しております。
  143. 風早八十二

    ○風早委員 そうすると、今の報酬の点にはお触れにならなかつたのでありますが、報酬を得ると得ないというのは問わないということですか。一般にわれわれ常識から見まして、業という以上はできてもできなくてもとにかくそれでもつて生活をする、收入を得る、從つて報酬を得るということが当然伴うであろうという解釈は、当時の松隈政府委員の解釈と私どもは今同樣であり、また常識からもそうであろうと考えますが、この点実は共産党の地方組織が、政党の当然の活動として、いろいろ税金で困つている人たちと一緒に税務署に参つて、適正な税金にしてもらいたいというようないろいろの運動をやつているわけでありますが、こういう場合において、これが税務代理士法違反であるというような解釈をとつて、それぞれの最後の判定は仰せの通り裁判所がきめるでありましようが、しかしとにかくその一つ一つにつきまして、現にそれの解釈のもとに実際に違反であるという手続でもつてつておりますからして、非常にわれわれの政党の正当なる活動というものが支障を來し、非常な妨害をこうむる、こういうふうなこともあるのであります。そういう場合に共産党の地方組織といたしましては、何ら報酬を得るというようなことはやつておらない、もちろん業ではないと思つております。これはただ政党の当然なる活動の一つとしてやつている。そういう場合に税務当局としてはこれをどういうふうにお考えになるか、その点恐れ入りますが、もう一度はつきり言つてもらいたいと思います。
  144. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 業としてやつている場合は、おそらく報酬を伴う場合が通常だろうと思いますが、報酬を伴わなければ業と認定できないとは解釈いたしておりません。報酬がない場合におきましても、継続反復してやつている場合には業として認定する場合もあろうかと思います。
  145. 風早八十二

    ○風早委員 それではお答えにならないと思うのでありまして、この点はやはりちよつとまだお答えが拔けておりますから、ぜひこれだけは回答してもらいたい。政党がその政党の当然の行為の中に含まれておるものとしてやつておる、こういう税金に関する活動につきまして、これを同じようにやはり税務代理士法違反というふうに判定して來ることは、その前提として業としてやつておるというふうに判断されるものと考えられる。でありますから報酬のいかんということは別問題にいたしましても、そういうことにつきまして税務当局としてはどういうように考えられるか、現にそれについてトラブルが起つておるのであります。これは全國ではありません。千葉縣のある一部の地域におきまして、たつた一つ起つただけでありますが、しかしこれで今後押し廣められて來たのでは、政党の当然なる活動は——おそらく民自党も大いに税金鬪爭をやられ、またこれからもおやりになると思いますが、そういう場合にも、今度政権の多数がかわりました場合に、またこれが問題になるかもしれない。これはきわめて公平な観念から言いまして、政党の当然の活動として、当然大衆的な活動としてやらなければならないところでありまして、そういう場合にむろん業としておらないつもりでやつておる。むろん報酬は受けておりません。そうした場合にどういうふうに判断されるかということです。もちろんどうしてもこれを税務代理士法違反にひつかけて來られることになれば、また別の方法がありますが、それは別として、とにかくどう考えるか、その点はつきり伺います。
  146. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 業としてやつておる主体は何人であるを問わないと思います。税務代理士法に規定する一定の業として認定される場合においては、やはり税務代理士法の適用を受くべきものと考えておるのであります。なお共産党のいろいろなことをお話しになりましたが、もう少し中央においてよく指導していただきませんと、なかなか地方によりまして税務署は大分弱つておるというところがあるようでありますから、これを機会によろしくお願いいたしたいと思います。
  147. 宮幡靖

    宮幡委員 どうもきわめて簡單に質問を打切ろうと思いましたけれども、大部関連して参りまして恐縮に思います。私の質問はまだ途中でありましたので申し上げなかつたのですが、私はあるいは風早委員とは意見を異にするかもしれませんが、現在の大藏当局にしろ、税務署にしろ、所得税法その他あるいは國税反則処分法なら処分法というものの正條に照しまして、明らかに反税運動であるという行為を取締る点においてはなはだ鈍いと思う。この点は特に指摘いたしまして、毎回私大藏委員会の記録にとどめておる。たとえばそれが日本共産党の所属の方であろうが、わが民主自由党の方であろうが、いずれにいたしましても税務署の門前に立ちまして、今度の更正決定は高いから税金を納めるじやない。もし納めないというならばわれわれの仲間に入れ、われわれがかかつてやる。あるいは神社の境内に大会を開いて、そうしてこの税金に屈服する必要はない。税金を納めることはない。代表者を選んで税務署長に談判すべきである。これが高じましてとうとう税務署長を一日半署長室に監禁いたしまして、われわれが聞き及んで、國家地方警察から武装警官百五十何名かを派遣いたしまして、その囲みを解いた。かようなことでは大藏当局としては、ほとんど反税運動に対して眠れるがごとき感じがするのであります。税務代理士法の改正なんということは区々たるものでありまして、これはわれわれは業者である関係上、たとい仕方がないものでも、信頼して喜んでそれに頼んで抗議したり、告発したりするようなけちな考えは持つておらないのであります。要は國家が税を徴收して、適正な納得行く納税に努めさせるということに現われて参ります。たまたまの間違い、あるいはたまたまの行違い、あるいは税務官吏の素質低下によりまして生れて來ますところのあらゆる欠陷、かようなものをつかまえて來る反税運動に対するところの、大藏当局の取締りが鈍いのであります。この点につきましては絶対に反省せられまして、もつと國税犯則処分法に現われておりますところの反税運動の取締りを、いよいよもつて強化せられる。この辺に重点を置いてやつていただきたいことを、この際切望いたすものであります。  続いての質問をいたします。あとはきわめて小さな問題でございまして、まあどちらかと申すと言わぬ方がいいくらいでありますが、ちよつと関連があるので申さしていただきます。ちようど第二課長さんもお見えになつておりますから、物品税のことを伺いますが、先ほど各委員から輸入砂糖消費税を免税する。これは三百対一というようなことで、これに税をかけると消費價格が高くなるであろうというような御考慮もある。そういうような点はよくわかるのでありますが、そうしますと砂糖と並んでおりますいわゆる代用の甘味料、人工甘味料のたとえばサツカリン、ズルチン、かようなものの課税があわせて考えられます。もちろんサツカリン、ズルチンはこれは染料の製造過程において起ります副製品で、あるいは配給すべきものとして原價はただのものかもしれませんが、ただのものを生かして使うことこそ、きわめて必要なことでありまして、これにただいまのような六千円というような税金がかかりますと、実際のやみで賣りまするところのこの代用甘味料に押されまして、正常なる営業のもとに、正常なる製造のもとに販賣業者というものが成立しないことになるから、当然人工甘味料は輸入砂糖課税を免除するという趣旨とあわせ考えられて、この軽減に特段の御考慮を願わなければならないと考えております。しかしもちろんただいますぐやれというのではない。來るべき時期に物品税等を全面的に再檢討するときに、これをどうしてもやつていただきたい、かような考えでおりますが、御意見はいかがでありましよう。
  148. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 サツカリンにつきましては、昨年たしか税率相当引下げて來たわけでありますが、その後市況がなかなか振わなくて、税の轉嫁に骨折つておるような実情をよく聞いております。從いましてこれは相当檢討の余地はあろうと思いますが、いましばらく状況を見た上でよく檢討いたしまして、必要あれば大いに考えてみたい、かように考えている次第であります。
  149. 宮幡靖

    宮幡委員 次は同じ物品税で、この課税方法において誤謬のある問題でありますが、それは名前で申せば海ののりであります。こののりは大体物品税をかけるというのは加工品である。製品にかけるということが本來の性質であろうと考えております。あの海から採集いたしましたのりというものは、單なる水産物でありまして、物品税をかけるべきものでない。しかるに課税方法といたしましては、これはやはり課税技術上困難があるからという、その点は了解できますが、海にありますのりのたなを一たなと申しますか、それに対しまして幾らだというような物品税のかけ方をしておる。かようなことは明らかに誤謬でありましてこの点についてはのりというものは、加工された製品であるほしのりというようなものに課税すべきであつて、この海の中にありますものを幾らだと見積つて課税するということは、この税法の運用を誤つておるものと考えますが、この点はいかがでございますか。
  150. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 御指摘の通りなるべく加工された後の段階で、物品に課税するということが適当であろうと考えております。ただ最近おそらく中途でどこか適当なところに流れて行くといつたようなものがあるのではないか。そういうものを捕捉するために若干むりな課税法をいたしておるのではないかと思いますが、極力実情を調べまして、適正なる課税をするように努めて行きたいと思つております。
  151. 宮幡靖

    宮幡委員 次は一時所得の問題でありますが、これは大藏委員会でしばしば申し上げておりますが、われわれとあるいは、主義主張を異にする方面では、國民所得に基点を置きまして、そのうちの非課税所得をとつて課税所得を出しますと、その間にまだ数千万円の捕捉できない所得がある。いわゆる脱税があるという御議論が盛んにあるのでありますが、この点はその金額については幾らかわからぬが、あるということだけは認めざるを得ないというのが、大藏当局のいつも同じ答弁であります。しかしてこの一時所得というものが一番捕捉しにくい所得でありまして、しかもこの一時所得を捕捉することが、現在の脱税を防止する面の一番大きな問題だろうと思います。そこでこの一時所得を捕捉するためには、現在の第三者通報というものだけではとうていできない。なおこの一時所得を五割だけ免除するという理由は、私はどうしても発見することができないのであります。一時所得というものは、その所得性質からいつて完全に課税すべきである。必要経費は控除することはよろしいのでありますが、それを五割免除するなどということは、大体税のねらいとして他の方には税の重圧をかけ、一時所得に対して軽減するという趣旨は、どうしても了解できないのであります。近く税制も根本的に改革されなければならないという現在でありますから、現在のこの税制の矛盾だけは根本的に改正しなければならぬと思います。一時所得のごときは、ぜひとも捕捉したらその全額に課税する。これが國民の納得の行く税の執行に対する適正な考え方だろうと思いますが、この点重ねて局長の御意見を伺いたいと思います。
  152. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 一時所得に対する課税につきましては、実はなかなか理論的にも、また実際的にもむずかしいところがありまして、外國の制度等におきましても、いろいろ違つた扱いをしておるようでございます。でございますから、少くとも一時所得にも担税力ありとして課税する方がいいだろうということは、今日大体定説にさえなつております。もつともイギリスにおいては、一時所得については現在においてもなお課税しておりません。アメリカは大体課税しております。日本におきましては半額課税する制度に最近いたしておるわけでありますが、これはしかし宮幡さんの御意見には少しきついところがありはしないか。これはやはりある年に一時所得が出て來ますと、累進税率の上積みの五割より高い税率の適用を受けるわけでありまして、もしも年々生じて行くとするならば、もう少し低い負担で済んだところが、一ぺんに高い負担なつて行き過ぎの点もございますので、半額程度課税するという現行制度がほどほどでいいのではなかろうか。ただ一時所得の問題につきましても、ごく短期間といつたようなものは、これはあるいは全額課税してもいいのではないかという考え方もあろうと思いますが、今のところ根本的にかえることはどうか。むしろ資産の讓渡所得なんかにつきましては、この点が低くなつておりますので、そういうものにつきましては所得の計算上、なお若干の考えを加えたらいいのではないかと考えております。
  153. 宮幡靖

    宮幡委員 今の一時所得の問題でありますが、強過ぎるという御意見は私にもわかるのでありますが、大体一時所得課税するのに、累進税で課税しようと考えておることが、大藏当局の間違いであります。一時所得を全部捕捉しよう。一時所得というのは不特定なものである。不定な金額である。一千万円のときもあれば、十円のときもあるわけですから、これをその所得に上積みしてかけようという観念がいけないのです。これは合算課税を改めて独立課税にする。そういう方法がよいということを、私は前提として申し上げておくのを落したのです。從つて私の申すことは強いのではない。しかも所得税改正は、大体漏れ聞くところによりますと、三親等内の同居親族の合算課税を廃止いたしまして、一親等内の同居親族の合算課税にしたいというような意向もあるということを聞いております。さすればかような一時所得のごときものは、全額課税すると同時に、そういうものは継続的に現れて來ない。從つて所得全額に対して比例税をかけるということが、私は妥当だと思います。この点について御意見を承りたいと思います。
  154. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 一時所得を別にいたしまして、独立な税率課税するというのも一つの行き方だろうと思いますが、しかしやはりこの大きな所得者が一時所得を得た場合と、小所得者が一時所得を得た場合とは、同じ一時所得の額でありましても、負担にある程度の差をつけていいというりくつも、私は十分成り立つだろうと思う。從いまして、現在の案は一種の折衷案になつておりますが、所得額を半分にして、総合して課税するという建前になつておりまして、これを根本的にかえた方がいいかどうか、私今かえた方がいいということには、なかなかすぐにはならないかと思いますので、よく檢討してみますが、さように考えておりますことを申し上げておきます。
  155. 川野芳滿

    川野委員長 田中織之進君。
  156. 田中織之進

    ○田中(織)委員 午前中保留いたしておりました納税宣傳に関する問題について、御質問をいたしたいと思います。大藏大臣は所用のためお見えにならないということでありますから、主税局長から責任のある御回答を願いたいと思うのであります。  一昨年の暮れであつたと思いますが、当時の共産党を除く各派の共同提議によりまして、國会が今日國定再建のために必要な財政の收入を確保するのに、強力なる國民運動を展開するという趣旨で、租税完納運動中央本部が設置せられたのであります。過去一箇年余の実際の活動の経過に照しまして、これが活動の基礎をなす予算の問題が、いつもペンデイングになつておるのであります。ことに二十三年度分の中央本部の予算経費が、ことしの二月に渡されたというような実情であると聞いておるのでありまして、この問題は、政府が今回の厖大なる予算國会に審議を求め、またこの税法改正案の説明にあたりましても、特に強調せられておるのでありまするが、いまだ國民運動の中核体である租税完納運動中央本部の予算の問題が、明確でないようでありまして、政府が、この國会側から自主的に強力な國民運動を展開して、政府の施策に協力しようという運動の意義を、今や完全に抹殺しているのじやないかと、われわれは考えるのでありますが、一体現在まであるような飾りもの的な存在で、國会の方が動いておるのだから、ほおつておけという態度なのか。政府としても、これに積極的に協力を求めるという態度なのであるか。ひとつその点の心構えを伺いたいのでありますが、すでに予算の面では、納税思想を普及するための強力なる國民運動を展開するためという項目で、一億円先般の予算案に計上せられておつたのであります。これの主管の課は、もちろん主税局の監理第三課ということに聞いておりまするけれども、一体從來から大藏省の主税局がやるところのものが、國民運動であるという理解は、われわれは全然できないのでありまして、一億円の予算を計上しておりまするが、一体これは國民運動のための経費なのか。それとも大藏省の主税当局がやるというところの、政府機関として当然やるところの機関経費なのか。その点が明確でないのでありまするが、この際完納運動中央本部をこのままの状態で置くならば、われわれとしても考え直さなければならぬと思うのですが、その点について大藏当局はどういうお考えを持つておるかということを、まず伺いたいと思います。
  157. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 國会を中心に結成されました租税完納運動本部につきましては、私どもも非常にその必要性を実は痛感いたしておりまして、できますならば活発な活躍ができるように、予算上につきましても措置をいたしたいというので、いろいろ各方面とも打合せまして、話を進めてみたのでございますが、今御指摘の一億円の納税宣傳費は、大部分新聞の廣告費、それからポスター、そういう種類の費用に実は相当多額な費用がいるわけでございまして、そういう点からいたしますと、正直に申しまして、租税完納運動本部に相当資金をさくために、なお数千万円の予算を、実は私どもとしましては要求いたしたのでございます。ところが、なかなかこの話が簡單に参りませんで、結局全体として一億円ということに納まつたのでございますが、この中から、私どもの氣持といたしましては、極力予算をさいて、この完納運動本部がうまく活躍できるようにいたしたいと思つておりまするが、この宣傳の方の仕事は、大分あちらこちらに関係が深うございまするので、よく話をまとめた上でございませんと、今ここではつきりしたことは申し上げがたいと思います。私の氣持といたしましては、極力予算を捻出いたしまして、この完納運動本部が有効に活躍できるようにいたしたい、かように考えております。
  158. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私の予想していたような御答弁で、はなはだ不満足であります。これは占領下にある関係から、ことに財政計画の問題でありますから、関係方面等とも十分なる了解を得なければ実施が困難であるということも、われわれ了解しておりまするけれども、われわれの聞くところによりますと、総司令部の関係に対して大藏省から過去一年余の租税完納運動本部の活動状況についても、報告がなされておるやに聞いておるのであります。その報告の結論は、租税完納運動中央本部は何もしていない。やつたつて効果はない。こういうように報告しておるように聞いておるのでありますが、一体どういうような報告をなされておるのか。その点を聞いておきたいのであります。
  159. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 私先ほど申しましたことは、何も違つたことを言つておるわけではございませんで、私どもはやはりこの政府の行ういろいろな納税宣傳のほかに、國会を中心としたこういう一つの國民運動的な機関がありまして、それによつて、先ほどもお話が出ましたが、一部の反税運動等に対しましても、有効に対処していただくということがきわめていいことではないかと、私ども考えておりまして、実は率直に申し上げまして、こういう組織は私ども必要であるということを言つております。從いまして政府の行う宣傳の仕方と、完納運動本部で行いまする運動は、おのずから分野を明らかにし、事柄を明らかにしてやつたらどうかということについては、完納運動本部ともいろいろ意見の交換を行つておりますが、これが必要でない、十分の実績を上げていないというようなことは、私ども考えておりません。むしろ関係方面は私どもよりもさらに直接いろいろ資料を取つて調べられておるようでありますから、向うでどういう判断をしておられるかは別でありますが、私どもとしましては、極力こういう機関の必要性は力説いたしております。ただ、いかんせん、予算が全体として相当圧縮を受けておりますので、この予算の中からいかにしてうまく捻出して行くかというように、問題が残されておるようであります。
  160. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私は先般大藏当局資料要求をいたしました中に、二十三年度の実際の納税宣傳費の使用状況等のこまかい数字も、大藏省からいただいておるのでありまするが、主税当局でやつたという項目の中で、企画からほとんどでき上るまでのめんどうを——たとえば映画の関係等について、完納運動中央本部でやつて來ておることについては、私も委員の一人として、こうしたことに参画した者として、こういうようなことは一種のなわ張り爭いのような関係になりますが、問題は予算の問題に関連して來るので、もちろん主税局長等の大藏当局の首腦部の努力というものは認められまするけれども、私は首腦部だけの努力ではいかぬと思う。直接完納運動中央本部と密接な関係を持つ監理第三課が、もつとそういうような点について、ただ單に一種の官僚独裁みたいな態度をやめて、國会が國民の立場に立つて協力しようということに対して、もう少し誠意と努力をもつて当らなければならないと考えるのであります。私はこの点は今主税局長の答弁の中にもありましたのですが、今年の予算である一億円のいろいろの使用内訳をざつと見ましても、私の手元に参りました資料関係から見て、新聞廣告費に四千四百万円というものをさいておる。私はこの効果を非常に疑問に思うものであります。一年に二十六回くらいで、しかも滯納を納めよとか、密造酒を防止しようとか、所得税申告時期を知らすということは重大な問題でありますけれども、四千四百万円かけて、はたしてそれだけの経費に値する効果が上るかどうかということについても、大藏当局自身としても考え直さなければならぬのではないかと思う。一体すでに一年以上こうしたことをやつて來ておりますから、こうした廣告の効果等があるかどうかということも、一ぺん輿論調査等によつて調べて見る必要があると思う。またポスター代というものが、相当計上されておりますが、われわれの二十三年度実績から考えて檢討してみましても、ポスターの発注所が印刷屋でないところのアストラ社というところに発注しておるのはどうしたことか。そうしたこともわれわれきわめて不可解に思つておるわけであります。また昨年度に宣傳バス等の催しも行つたようでありますが、こうしたものを行つてもやりつぱなしではいかぬので、やつたあとの効果がどういうように現われておるかということについて、調査なされたことがありますか。
  161. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 納税宣傳の仕事は実はなかなかむずかしい点がありまして、たとえば新聞廣告がはたして効果があるかどうか。あるいはパンフレツトの方がより効果があるかどうか。ポスターがよいかどうかという判断はなかなかむずかしいと思います。從いましてお話のように今後におきましては極力調査等もいたしまして、判断の上間違いのないようにいたしたいと思いますが、しかし何といたしましても、新聞は必ず社会の方々が全部目を通されるものでありまして、これを考えますと割合に効果があるのではないかと、私どもは今まで考えていたのであります。從いましてほとんど宣傳費の大部分は新聞廣告に使つてつておるわけでありますが、今後廣告の仕方その他等につきましても檢討を加えまして、極力効果あるようにいたしたいと思つております。ポスターなりその他いろいろなものは、ある宣傳会社、これも一つでありませんで、各種の宣傳会社に請負わせてやらせております。ポスターの図案にいたしましても、役所でやりますとなかなかできぐあいが惡いので、技術的な專門家、ほんとうに能力のある技術家を選定いたしまして、やはり請負わせてやる方が効果としてはよいのではないか。もちろんでき上つたものにつきましては、私ども一應見ました上で決定することにいたしておりますが、役所で全部を引受けて、ただ印刷だけをやらせるということになりますと、なかなか現在のところまだ役所の組織もできておりませんので、極力適正を期しつつ各種の会社にやらせておるような次第でございますから、この点につきましても、極力最も適切な機関をしてやらしめることに、今後といたしましても私ども努めたいと考えております。
  162. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私まだいろいろつつこんでお聞きしたいこともありますけれども、大体この質問は委員長から懇談の席上でどうかという御注意もあつたのでありますが、私はあえてこの点は、國会側の展開しようとする國民運動に対する熱意というものがあることを、記録の上にとどめる必要から申し上げたのであります。それ以上いろいろまだつつこみたいこともありますけれども、私は申し上げません。われわれとしてこの運動に参画している以上、われわれはそれを効果あらしめたいということを心から念願しているのであります。そういう意味でやはり必要経費につきましては、大藏当局においていろいろの接触面もあろうと思うから、その点について格段の努力をしていただかないことには、われわれは現在のような本部委員だというような形で、またかんじんのいろいろな計画を企画し、また地方へ連絡をとつてもらわねばならない中央本部が動かぬ状態では、こうしたものの存廃の問題について考え直さなければならぬような事態に直面すると思います。これ以上多くを申し上げませんが、この点につきましてはきわめてすみやかなる時期に、大藏当局において関係方面との折衝なり、大藏省内の意見をとりまとめ、これが存続するとするならば、強力な運動が展開せられなければ、とうてい大藏当局政府当局が企画しておる今年の予算の施行は不可能だとわれわれは考えるので、この点についてきわめて迅速に、大藏当局が善処することを強く要望いたしまして、私の質問を終ります。
  163. 川野芳滿

    川野委員長 北澤委員に御相談申し上げますが、先般大藏大臣に対する質疑が保留になつておりますが、実は税関係の両法案は本日をもつて質疑を打切りたいと存じますので、大藏大臣に対する質問は後日にお讓り願いまして、保留をお取消し願えませんでしようか。
  164. 北澤直吉

    ○北澤委員 よろしうございます。
  165. 風早八十二

    ○風早委員 資料の要求があります。この前大藏大臣に質疑の際にそれに触れたのでありますが、アメリカ、イギリス、ドイツの所得と日本の所得との比較、それから特に勤労所得税につきましての比率というようなものが、問題になつておつたのですが、これについてのはつきりした資料が大藏当局にはおありだと思うのです。今日でこの税法改正質疑が終了するということになると、あした午前中しかないのでありますから、何とかしてあした午前までに資料を提供していただきたい。これは私どもの調べたものより新しい資料が、大藏大臣の口から出ているのでありまして、ぜひ一つお知らせ願いたいと思います。
  166. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 ただいま風早委員の御要求の資料は、なかなか正確な資料をつくることがむずかしいのでございまして、一つの資料で断定的な判断を下すのは非常にむずかしいのでありますが、一應私ども調べておりますので申し上げたいと思います。
  167. 風早八十二

    ○風早委員 皆さんに印刷して配つていただきたい。
  168. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 これは私ども執務の参考にいたしておりますが、はたしてこれを政府の権威ある資料として出していいかどうか、若干檢討の余地がございます。出し方次第では、反対に判断のあまり強い材料になり過ぎても困りますので、あまり強くないものとして説明だけで御了承願います。それによると最近の調べですが、アメリカの二千八百四十五ドルの人——これは大体アメリカにおける昨年の九月の製造工業の職員の平均收入から計算しました年收、その場合の賃金收入が二千八百四十五ドルで、税額が二十六ドル六十四セントになり、そうしますと、九・四%くらいであります。それからイギリスの場合は同じく全國の工業労働者の平均賃金から出した数字でありますが、これによりますと年間四百八十五ポンドで、所得税負担は三・一九シリングになつておりまして、〇・九%くらいになつております。こういう資料が一つございますが、先日大藏大臣が申し上げられました資料は、アメリカのクラークの平均給料によりますと、これがたしか一・五%だつたと思いますが、資料のとり方によりましていろいろ違いますので、なかなか断定的な資料としては申し上げがたいのでございますけれども、大藏大臣が前に申し上げましたのは、これよりもう少し前に調べましたもので、たしかアメリカの職員の平均給料ですか、そういうものをもとにした計算だつたと思います。たしか一・五、六パーセントぐらいだとお話になつたと思いますが、これはいずれも平均四人家族の場合を計算して出した数字でございますが、ただこの資料は一つの資料としてごらん願いたいのでありまして、万能ではないということを御了承おき願いたいと思います。
  169. 川野芳滿

    川野委員長 先般來揮発油税法案及び酒税法等の一部を改正する法律案の、両案に対する質疑を継続して参りましたが、本日予定通り大体の質疑を終了いたしましたので、以上で両案に対する質疑を打ち切りたいと存じます。  なお明日討論採決に入ることにいたしたいと存じますが、この点御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようでございますから、さよう決定いたします。     —————————————
  171. 川野芳滿

    川野委員長 次に國営競馬特別会計法議題として質疑に入ります。田中織之進君。
  172. 田中織之進

    ○田中(織)委員 國営競馬特別会計法案に関連して伺つておきたいと思います。二十三年度におけるこの特別会計から一般会計への繰入れが、どういうふうになつているかということと、それから今回新しく業務勘定特別会計に入れることが、改正案の中心のように承知しておるのでありますが、業務勘定関係の総額を大体どの程度に押えられているかという点、並びに業務勘定特別会計に繰入れます関係から、この特別会計のしりがどういうふうになるか。從つて一般会計へ繰入れするだけの余地があるのかどうか。赤字が出るのか、黒字が出るのか。黒字が出るとすれば、どの程度のものが一般会計への繰入れになるのか。以上の三点について伺いたいと思います。
  173. 井上綱雄

    ○井上説明員 お答え申し上げます。二十三年度競馬法に基く競馬による一般会計への繰入金が、どれだけかというお話であります。昨年の八月から二十四年の三月までの國営競馬でありますが、その收入といたしましては十億九千六百八十七万二千六百円であります。それから二十四年度の見込みについての御質問でありますが、二十四年度につきましては二十七億九千万円を予定しております。それから業務勘定といたしましては、勝馬投票券の発賣金額は七十五億八千万円になつておりまして、政府收入といたしまして、賣上げは今申しましたが、二十七億九千三十万二千円、これが二十四年度予算で、そのうち経費といたしまして、七億八百万円見込んでおります。
  174. 風早八十二

    ○風早委員 私は政府が出された予算書でちやんと調べて來たのでありますが、歳入の方は、競馬業務收入として二十九億四千万円、そのうち繰入分として二十七億九千万円云々となりますが、これは正確にしてもらいたい。
  175. 井上綱雄

    ○井上説明員 はなはだ恐縮でございました。こちらの方の予算書の調べが粗雜になつておりましたが、予算で要求いたしましたのは二十九億四千万云云となつております。
  176. 田中織之進

    ○田中(織)委員 この特別会計法を出されるにあたつては、改正前の形で行く場合と、改正した形における業務勘定を、特別会計に移した関係において出て來るこの特別会計全体の数字の変化は、どういうふうに現われて参るでしようか。從來のこの改正案によらない場合で行けば、どの程度のしりが出て、これで行く場合は今聞いたのですが、その間どのくらいの開きになつておりますか。
  177. 井上綱雄

    ○井上説明員 それは形式がかわつただけで、内容はかわりません。
  178. 田中織之進

    ○田中(織)委員 内容はかわらないというのですか。そういたしますと、この改正趣旨がちよつとぼやけて來るのじやないかと思うのです。先ほどの改正案提出の説明と、ちよつと食い違つて來るようなのですが、その点はどうですか。
  179. 井上綱雄

    ○井上説明員 提案理由説明のとき私おりませんでしたので存じませんが、提案理由説明したのは多分こういうことだろうと思うのです。今まで投票券勘定だけは特別会計なつておつた。ところが今般國営競馬場における歳入歳出を明瞭ならしめる趣旨から、業務勘定投票券勘定を一括いたしまして、特別会計にするという趣旨でありまして、別段内容がかわつて來ることはないと思うのでありますが、ただ明瞭にいたすということであります。
  180. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その点は了解しました。そういたしますと今度の改正案によりまして、地方経費の監督に関する経費も当然特別会計に入ると思うのですが、その関係経費は大体どのくらい予定されておりましようか。
  181. 井上綱雄

    ○井上説明員 地方経費の監督に関する件も費用もこの中に入るのでありまして、これははなはだ恐縮でございますが、監督旅費だけを計上してありまして一緒になつておりますので、ちよつと調べてから申し上げたいと思います。
  182. 風早八十二

    ○風早委員 この競馬の問題は委員長が一番詳しいそうでありまして、私ども競馬にもろくに行つたことがないのであまりわからないのですが、これはただ大衆娯樂でもなく、大衆娯樂の施設を新しくどうこうするという問題でもないのでありまして、大体この法案の趣旨は、今度はこの会計上今までわかれておつたものを一本にして行くという趣旨であつて、それ自身はたいした問題はないと思うのでありますが、一番実際に問題になりますのは、この國営の運営によりまして、府縣営の競馬との関係がこれからどうなつて参るかということです。実はこの問題につきまして、すでにそれぞれあるいは埼玉縣でありますとか、あるいは千葉縣でありますとか、こういう地方の官廳側からも非常な反対が出ておる。その意味は地方財政を圧迫するという意味でありまして、この点について政府はどういうふうな見通しを持つておるか。言いかえますと、今まで府縣競馬地方收入としてどのくらいが收入なつておつたか。むしろこの点と今出ております國営競馬收入の問題との関連を、ひとつ出していただきたいと思います。從つて今後の見通しといたしまして、この國営競馬が強力に地方に進出して参ります場合には、どうしても地方競馬と食い違いが起つて來る。同じ競馬場でもあり、大規模に國営をやられれば、今まで地方府縣営でありました競馬が圧迫されることはきまつておりまして、この面からもまた地方財政に非常なひびが來やしないか。それは数字で大体の見通しがつくことでありますから、その点についてまず見通し関係を明らかにしていただきたいと思います。
  183. 井上綱雄

    ○井上説明員 地方競馬におきましての收入を先に申し上げます。二十三年九月から二十四年二月までの、都道府縣経営の該当金総額は十四億七千九十九万八千七百五十円、指定市営競馬が十億三千六百二十六万八千四百五十円。これは報告未着のために一部推定が入つておりますが、大体こういう数字であります。ただいま御意見がございました通り、國営競馬がだんだん盛んになりますれば、地方競馬にも相当影響があるというような見方が強いと思うのでありますが、地方競馬自体におきましてもすでに指定市営、都道府縣経営とも両方合せてみますと、現在の状態におきましては適当な時期に適当な日割をとつてやるということが、非常に困難に相なつております。そこでその方の改正法案をお願いしておるようなわけでありまして、二、三日うちに提案になると思うのでありますが、これにつきまして何らか地方競馬自体にも秩序を維持するという方法考えぬと、地方競馬自体が競合いたしまして、それぞれ困難に陷るおそれがあると思うのであります。ただ指定市営につきましてはすでに昨年の議会におきまして修正になりましたので、御承知のようにわれわれといたしましても愼重にいろいろ檢討する時間がございません。一年間の実績を見まして適当な改正を加えたい、こういう意見でおつたものでありますから、ここで御説明するのは少し早いと思いますが、この指定市と都道府縣の組合の経営にいたしまして、その組合が大体開催でき得る回数が現在の回数と同じようにいたしまして、組合が一元的に開催するようにいたしますれば、自然そこに若干の統制がとれて維持ができて來るじやないか、こういう考えでありまして、現行法を改正して参りたいと考えております。一方國営競馬との関係でありますが、國営競馬につきましては從來長くやつておつたのでありまして、なるべくならば地方競馬と競合することのないように日割等をとりたいのでありますが、何分にも地方競馬の方が非常にたくさんな開催回数があるので、どう避けてみてもどこかにぶつかるようなわけで、近いところの地方競馬におきましてはある程度、たとえば今年の一月から四月の十六日までは、國営競馬におきましては若干さようなことを考慮いたしまして避けて來ました。その間におきまして地方競馬といたしましては、昨年末までは賣上げが少かつたのでありますが、非常に賣上げが多くなつて、これはほかにも事情があると思いますが、多少そういう考えでもつて押えて來たのであります。しかしよく考えてみますと、競馬一般フアンは大体多いときでも約四万人であります。競馬が面白い番組を組み、競技が面白くなりますと、さような次第でございまするから、この東京附近について見ましても、一箇所に四万人でございまして、地方競馬の場合には一万五千人から一万人程度でございますので、競馬の内容がよくなれば必ずしもそう大して心配いらぬじやないか。結局競馬の内容の問題で、必ず四万の人間がそちらに行くとも考えられませんので、多少言い過ぎかもしれませんが、特に競馬の内容におきまして、あるいは秩序の維持等によりまして、競合することのないようになるべく努めて行きたい、こういう考えを持つております。
  184. 風早八十二

    ○風早委員 組合経営にするというお話ですが、そういう場合に、特に私どもが今一番問題にしたいのは、地方財政の関係でございます。組合経営にしたために、府縣の財政收入というものがはなはだしくまた削減される。特にこれは非常に特定の府縣に限るのでありますから、その府縣については、特別にこれが大きな問題になつて來はしないかと考えるのであります。現に中山や、柏なんか持つておる千葉縣では、これは非常に問題になつて來ておる。また埼玉縣でも同樣でありまして、そういうふうな縣につきましては特に問題になると思いますが、これが組合経営なつた場合において、どういうふうになるか、この点ちよつとお伺いいたしたい。
  185. 井上綱雄

    ○井上説明員 たとえば中山競馬はただいま三回二十四日開催いたしておるわけであります。もつとも三回と申しましても、土曜日曜にわたりますので、期間といたしましては長うございますが、大体休みをねらつておりますので、若干の支障は出るかとも存じまするが、これがたとえば千葉縣だけで考えませんで、関東一円に縣の組合ができておりますので、われわれとよく協定をいたしますれば、ある程度の日割の協定ができるのではないか、こういうふうに考えております。組合の経営にいたしますゆえんは、今度指定市がたとえば組合をつくられる、あるいは指定市と縣との組合がつくられますれば、一層そこが明瞭になると思いますが、各縣がそれぞれ競爭してやられるのと、われわれの方と國営競馬の方とよく協議いたしますれば、避ける道が出て來るのではないか。さしあたりは大きな影響があるというお話でありますが、だんだんと地方競馬も近ごろ盛んになつて参りましたわけです。新たに國営競馬をやつたわけでもございませんから、ただいま申し上げましたように、地方競馬の内容の改善によりまして避けて行かれる。それから日割の協定等につきましても、單一な主催者でございますれば、そこに非常にやりいいところが出て來る。こういうことを申し上げたいと思うのであります。
  186. 風早八十二

    ○風早委員 独立会計なつた場合、どうしてもこれは收入目当ということになりまして、今もむろん收入目当であつたわけでありますが、決してこれが大衆娯樂として社会施設的な、社会政策的な意味でやられているわけでもないわけです。その点にまたいろいろほかの富くじや宝くじなんかと同じような問題もあるとして、われわれはもちろんこれはあまり感心しないのであります。しかしながら今度特別会計一本になり、独立採算というふうなことになつて來ますと、どうしたつてこれは收入目当が中心になつて來る。そうした場合に、今地方財政の圧迫は地方競馬の質的な改善によつて対抗できるだろうというようなお話もありましたが、これはなかなかそんなふうには行かないと思います。この独立会計になるということとの関連で、われわれは今日はただ会計上の点から推定して行くほかないと思いますけれども、そういうふうな傾向は必ず起り得るということは、推定できると思うのであります。そういう点でまだ今のお話では、この地方府縣からの要求といつたようなものに対抗するに足るとは思えないのであります。こういう点でなお十分納得の行くような御説明を、もしできれば願いたいと思うのでありますが、それ以上なければやむを得ないからこれで終りたいと思います。
  187. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに御質疑がございませんか——ほかに質疑はないようでありますから、本案に対する質疑は打切ります。
  188. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいま議題なつております國営競馬特別会計法案につきましては、法案の性質上きわめて明瞭なものでありまするので、討論を省略してただちに採決せられんことを望みます。
  189. 川野芳滿

    川野委員長 ただいまの宮幡君の動議のごとく決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようでございますから、これより本案を議題といたしまして採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  191. 川野芳滿

    川野委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  なお報告書の作成その他の件につきましては、委員長に御一任願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十七分散会