○北澤委員 大藏大臣に対する質問があるのでありますが、後ほど大臣がおいでのようでありますからして、これを留保しまして二、三
政府委員にお尋ねいたします。
第一点は
法人税の問題でありますが、今回の税制
改正案によりますと、
法人のプレミアムにつきましては税をかけないということであります。これは資本の蓄積を奬励するという
見地から必要だと思いまして、私は非常にけつこうと思います。思うに大東亞戰爭におきまして、日本は巨額の資本を消耗し、また戰後のインフレによりまして、資本の食いつぶしが非常に行われまして、今日日本におきまして最も足りないものは資本であろうと思います。先般のドツジ公使の声明の中にも、今日日本で最も必要なことは資本の蓄積であると
言つておりますが、その通りだと思います。今後日本の再建、日本の経済復興のために労力が非常に必要でありますが、労力にも劣らず資本が必要だと思うのであります。労働の生産性を上げるにつきましては、どうしても設備の改善、あるいは技術の改善が必要でありまして、このためにはどうしても資本の蓄積ということが、最も大事であろうと思うのであります。そういう意味におきまして、將來の日本の再建を
考える場合におきましては、國内においては國内における資本の蓄積をはかりますとともに、外は外國の資本をなるべくよけいに日本に導入することが必要だと思うのであります。ところが最近の情勢を見ておりますと、米國の日本に対するいわゆるガリオア、イロア
資金、これによる対日援助はいつまでも期待はできないという情勢にあると私は思います。というのは、アメリカが見ております日本の戰略的價値ということにつきましていろいろ議論がありますが、今日アメリカではヨーロツパ第一主義、東洋第二次というふうに
考えておりまして、ヨーロツパの復興ということを第一義的に
考えておるようであります。にもかかわらずマーシヤル案によるアメリカの対欧援助ということにつきましては、アメリカの議会におきましてもこれを削減しろというふうな意見が大分ありまして、今年の七月以降のマーシヤル案によりますと、ヨーロツパ援助の
資金について
政府の要求したのは五十五億でありましたが、議会ではこれを二億何千万ドルか削減したのであります。そういうふうにアメリカとしましては、ヨーロツパに対する援助に
相当の金がいる。特に最近は北大西洋條約に参加したヨーロツパの國々に対しましては、その軍備の拡張のために、アメリカが
相当な援助をしなければいかぬ。これにつきましても今議会で問題に
なつておりますのは、大体十何億ドルかの金を西ヨーロツパの國々に與えて、これらの國々の軍備を拡張しようというふうに、ヨーロツパに対しまするアメリカの援助の金は多くなるのであります。ところが一方アメリカの國内におきましては、だんだん景氣も後退しつつある状態でありまして、物の値段もだんだんと下りつつある。從いまして國民の間には、何とかして國民の税の
負担を下げてもらいたいというような希望が、大分あるのであります。こういう
状況を見ますと、このガリオア、イロア
資金による日本に対する援助
資金というものは、そういつまでも日本としては期待できない。今後日本が外資の導入というものを
考えるにあたりましては、どうしてもアメリカの民間資本を導入するということに、重点を置かなければならぬのであります。ところがアメリカの民間資本を日本に導入するにつきまして
考えなければならぬことは、皆さん御承知のように資本というものは非常に臆病であります。安全でもうかるところであれば資本は行きますけれ
ども、安全でなく、しかももうからないというところには資本は参りません。ガリオア、イロアの
資金のように、
政府が多少損をしてもこれをやろうという場合にはいいのでありますが、民間資本を日本に導入する場合におきましては、どうしてもアメリカの資本家が日本に投資する場合においては、安全でしかも利益のあるという状態でなければ、アメリカの資本を日本に導入するということは、期待できないと思うのであります。そういう次第でありますので、私
どもは今度の税制改革にはないのでありますが、今度シヨープ・ミツシヨンが來まして、日本の税制全般の檢討をするという際におきましては、日本における資本の蓄積、特にアメリカの民間資本を日本に導入するということを
考えまして、税制全般の
改正というものを
考えなければならぬと思うのであります。特に一昨日為替がきまりまして、一ドル三百六十円というふうに單一為替がきまりますと、外資の導入に関しまする大きな障害が除かれたわけであります。從いまして今後われわれはこの機運に乘じて、アメリカその他連合國の民間資本を日本に導入するように、積極的にいたさなければならぬと思うのでありますが、そういう点から
考えましても、私はこの日本の税制改革にあたりましては、資本の蓄積、特に外資の導入、外國の民間資本の導入ということを
考えて、いろいろ
改正しなければならぬと思うのでありますが、こういう点に対しまする
政府当局の
構想がもしありますれば、お伺いいたしたいと思うのであります。