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1949-04-14 第5回国会 衆議院 大蔵委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年四月十四日(木曜日)     —————————————     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 島村 一郎君 理事 塚田十一郎君    理事 宮幡  靖君 理事 荒木萬壽夫君    理事 風早八十二君       石原  登君    大上  司君       岡野 清豪君    小山 長規君       北澤 直吉君    佐久間 徹君       前尾繁三郎君    三宅 則義君       吉田 省三君    宮腰 喜助君       河田 賢治君    内藤 友明君       河口 陽一君  出席政府委員         総理廳事務官         (経済安定本部         財政金融局長) 内田 常雄君         総理廳事務官         (経済安定本部         財政金融局次         長)      渡邊喜久造君         法務廳事務官         (法制第一局         長)      林  修三君         大藏政務次官  中野 武雄君         大藏政務次官  田口政五郎君         大藏事務官         (主計局第二部         長)      石原 周夫君         大藏事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         大藏事務官         (理財局長)  伊原  隆君  委員外出席者         農林事務官   野田哲五郎君         專  門  員 黒田 久太君         專  門  員 椎木 文也君     ————————————— 四月十三日  大藏省預金部特別会計外特別会計昭和二十  四年度における歳入不足補てんのための一般会  計からする繰入金に関する法律案内閣提出第  三五号)  開拓者資金融通特別会計において貸付金財源  に充てるための一般会計からする繰入金に関す  る法律案内閣提出第三六号) 同月十四日  國立病院特別会計法案内閣提出第三八号)  貴金属特別会計法案内閣提出第四〇号)  貿易特別会計法案内閣提出第四一号) 同月十三日  自給製塩業者救済に関する請願山本久雄君紹  介)(第二七一号)  同(塚原俊郎君外一名紹介)(第二七二号)  絹、人絹織物消費税軽減請願早稻田柳右エ  門君紹介)(第二七九号)鏡類に対する物品税  の免税点設定に関する請願淺香忠雄紹介)  (第二八二号)  久留米市に煙草製造工場設置に関する請願(龍  野喜一郎君外八名紹介)(第二九七号)  油津港を開港場指定促進請願田中不破三  君外五名紹介)(第三〇五号)  毛織物消費税軽減請願阿左美廣治君外二名  紹介)(第三二一号)  元大山軍馬赤碕派出所跡地及び建築物拂下の請  願(稻田直道紹介)(第三四二号)  ラジオ受信機類に対する物品税軽減請願(山  本猛夫君紹介)(第三五二号)  海苔に対する物品税撤廃請願多田勇君紹  介)(第三五三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  米國対日援助見返資金特別会計法案内閣提出  第三四号)  大藏省預金部特別会計外特別会計昭和二十  四年度における歳入不足補てんのための一般会  計からする繰入金に関する法徒案内閣提出第  三五号)  開拓者資金融通特別会計において貸付金財源  に充てるための一般会計からする繰入金に関す  る法律案内閣提出第三六号)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 ただいまより会議を開きます。  昨十三日、本委員会に付託に相なりました大藏省預金部特別会計外特別会計昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法徒案、及び開拓者資金融通特別会計において貸付金財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案の両案を一括議題とし、政府説明を求めます。田口政務次官。     —————————————
  3. 田口政五郎

    ○田口(政)政府委員 大藏省預金部特別会計外特別会計昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案提出理由を、御説明申し上げます。  この法律案は、大藏省預金部特別会計食糧管理特別会計並びに農業共済保險特別会計農業勘定昭和二十四年度における歳入不足を補填するため、一般会計から、これらの会計繰入金をしようとするものであります。  まず大藏省預金部特別会計におきましては、昭和二十四年度における歳出としましては、人件費及び事務費預金利子通信事業特別会計への繰入金等合計百三億九千六百二十五万六千円を要するのでありますが、その歳入としましては、預金部資金運用による利子、有價証券の償還による益金等合計六十六億四千四百六十万二千円でありまして、差引三十七億五千百六十五万四千円の歳入不足を生ずるので、この不足額一般会計からの繰入金をもつて補填しようとするものであります。  次に、食糧管理特別会計におきましては、農業災害補償法により、農業共済組合組合員支拂うべき農作物共済にかかる共済掛金の一部を負担し、この負担は、これを食糧を消費いたしますものが負担するように、食糧の賣渡し價格を定めることとなつているのであります。しかるに價格政策見地から、從來これを賣渡し價格に加算することなく、保險料一般会計からの繰入金をもつて補填して参つたのでありますが、昭和二十四年度分についても、同樣の措置を講ずる必要がある次第であります。よつて、二十八億九千八百四十八万三千円を昭和二十四年度において、一般会計からの繰入金をもつて補填しようとするものであります。  次に、農業共済保險特別会計農業勘定への繰入金についてでありますが、同特別会計農業勘定におきましては、昭和二十四年度における歳出としましては、再保險料等四十八億九千六百二十万五千円を計上いたしてありますが、その歳入としましては、再保險收入等四十億四千五百五十一万七千円でありまして、差引八億五千六十八万八千円の歳入不足を生じる次第であります。この不足額は、本年度において特別にはなはだしい災害の発生した場合に備えて、十億円の予備費歳出に計上したため生じたものでありますので、この不足額については、そのような事態の発生した場合には一般会計から繰入金をいたし、これを補填することができるようにしようとするものであります。  なお、大藏省預金部特別会計並びに農業共済保險特別会計農業勘定への繰入金につきましては、その性質にかんがみまして、後日、これらの特別会計財政状況が健全な状態となりましたあかつきには、その繰入額に相当する金額に達するまで、予算の定めるところにより一般会計へ繰りもどす規定を設けることといたしたいのであります。  以上の理由によりまして、この法律案を提出いたしました次第であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことを、御願い申し上げます。
  4. 中野武雄

    中野政府委員 ただいま議題となりました開拓者資金融通特別会計において貸付金財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案提出理由を、御説明申し上げます。  開拓者資金融通法による農地の開拓者に対する開拓上必要な資金貸付につきましては、開拓者資金融通特別会計を設けまして、経理いたしておりますが、この貸付用資金は、從來この会計公債発行し、または借入金行つて、調達して参つたのでありますが、健全財政見地から妥当でないと思われますので、昭和二十四年度におきましては、一般会計からこの会計繰入金をいたしまして、この貸付財源に充てることといたしたいと考える次第であります。しかして本年度におきましては、営農資金といたしまして十四億五千十九万四千円、共同施設に必要な資金として、六千二百九十万円合計十五億千四百九万四千円の貸付を予定いたしておりますので、この額を一般会計から繰入れようとするものであります。  なお、この一般会計からする繰入金につきましては、將來、貸付資金がこの会計償還されますので、この繰入額に相当する金額に達するまで、予算の定めるところにより、一般会計へ繰りもどす規定を設けることといたしたいのであります。  以上の理由によりまして、この法律案を提出いたしました次第であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  5. 川野芳滿

    川野委員長 ただいま上程いたしました二法案に対しての質疑は、これを許します。内藤友明
  6. 内藤友明

    内藤(友)委員 開拓者資金融通特別会計につきまして、簡單なことでありますが、ひとつお尋ねしたいと思います。  開拓者営農資金でありますとか、その他の資金は、從來借入金で、つまり國債でまかなつてつたのを、今度は一般会計からこれを繰入れるということになつたのであります。これは國債発行を認められないという原則からしまして、やむを得ないことと思うのでありますが、ただここに心配になりますのは、從來資金計画というものの制約のもとに、この種の金が一應流されておつたのでありますが、今度はこれによりますると、そのほかにさらに一般会計という全体の金繰りの制約を、從來よりも一段そういうものがよけいに加わることになるのでありまして、そういうことになりますると、この資金は希望するような額は出て來ない。まず一般会計制約を受けるものでありまするから、そこでその関門でしぼりとられるということになりますので、從來もこの開拓者資金は非常にきゆうくつなものであつたのでありますが、今度はこういう制度によりまして、さらにきゆうくつになるのではないかと思われるのであります。この点はどういうことでありますか。お係の方の御意見を承りたいと思います。
  7. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 ただいまの点、大藏省の立場から一應申し上げますが、ただいまお話がございましたように、九原則方針に基きまして、借入金というものは原則として行わない。從つて從來借入金をもつてまかなつておりましたところの本会計收入というものを、かわりに一般会計から繰入れるということに方針をかえたわけでございますが、しかしながら、もともと開拓者事業そのものについては、何ら変更を受けておりませんわけでございますからして、なるほどおつしやいますような感じがないでもございませんですが、われわれといたしましては、特に借入金であるから、あるいは繰入金であるからというような氣持ではなく、できるだけ財源の許す範囲においてこれをやつて行きたい、こういう氣持でおります。
  8. 内藤友明

    内藤(友)委員 あなたの方のお答えはそれだけだろうと思いますが、実は一般会計から繰込むということになりますと、一般会計というものがいろいろの関係がありますので、必ずしも開拓者営農資金のところへ、希望するままに來るものではないと思うのであります。從つてやはりこういう制度を設けられるということは、開拓者の方へ金が流れて來ないことになるのではないかと思うのでありまして、そうなりますると、日本開拓事業というものが、制度をかえたということによつて非常な支障を起して來るものと思うのであります。これはあなた方にお話してもしかたがないのかと思うのでありますが、そういうふうなことも心配されますので、十分この法律運用につきまして、ひとつ御考慮おきいただきたいということを、念のため申し上げておきます。
  9. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに質疑はございませんか。——質疑がなければ右両案に対する質疑はこれにて終了いたします。  討論は省略して採決をいたしたいと思いますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 川野芳滿

    川野委員長 それでは討論を省略してこれより採決に入ります。右両案に対する賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立
  11. 川野芳滿

    川野委員長 起立総員。よつて右両案は原案の通り決定いたしました。  なお報告書作成の件については委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 川野芳滿

    川野委員長 それではさよう決しました。     —————————————
  13. 川野芳滿

    川野委員長 次いで米國対日援助見返資金特別会計法案議題といたします。右案については政府当局より率直なる説明を求めたいと存じますし、公表をはばかる点もあると思いますので、この際祕密会にいたしたいと存じます。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 川野芳滿

    川野委員長 それでは御異議なしと認め、これより祕密会に入ります。      ————◇—————     〔午前十一時五分祕密会に入る〕
  15. 川野芳滿

    川野委員長 これより政府委員説明を求めたいと存じますが、祕密会でございますので、率直な御説明を願いたいと思います。
  16. 小山長規

    小山委員 昨日途中で質問が切れたのでありますが、続いて質問をしたいと思います。まず一番先にお伺いしたいことは、今度の予算健全財政予算ということでありまして、歳入歳出は完全にバランスがとれているということの結果、民間その他において資金繰りが相当苦しくなつて來るであろうということが、一應考えられるのでありますが、さらに今度の援助資金が徹底的に民間に還流いたしませんと、さらにさらにそこに資金逼迫が起きて來るというふうに感ぜられるのでありますが、これにつきまして、政府としては、今度の援助資金使い方を、本來さらにインフレーションが進んで行こうとするのを押えるために、この援助資金をお使いになろうとされるのか、あるいはそうでなくして、本來デフレーションに向つて行こうとするのを、この援助資金によつてそのデフレーションを緩和して行こうというふうにお使いなるつもりなのか。その辺の考えをまず最初にお伺いしたいと思います。
  17. 伊原隆

    伊原政府委員 ただいまのお尋ねでありますが、仰せの通り予算バランスをいたしておりますが、千七百五十億というものは、予算の面から言いますと、経済界からは吸收超過に相なつておりますので、これを経済界に全部還元するかどうか、または還元いたします場合にどういう方法をとるかということは、金融政策通貨政策の上に一番大きな問題であります。予算バランスいたしまして、この千七百五十億円の使い方いかんが、日本金融情勢を左右いたしますかぎになつている。この資金がてこみたいなものでありますが、最高発行限度ず三千五百億というようなところに目安を置きまして、通貨谷には増減がないというような運用をしたらどうかというふうに、考えておるわけであります。  なお通貨量のみならず資金還元方法といたしまして、先ほどお示しのように、場合によつてはこれを直接産業投資に充てるか、または日本銀行あるいは金融機関國債をこれで買いまして、それによつて金融機関産業に貸し出すべき手元資金を補充する。そうしてそれを産業の方に流す。すなわち資金計画におきましては、千七百五十億というものは全部経済界還元をする。すなわち産業資金として千七百五十億のうち二百七十億の鉄道、逓信の公債を除きました部分の千四百八十億、これが何らかの形で産業資金還元するというように、資金計画を組んでおる次第でありまして、大体の考え方といたしましては、この資金運用いかんが、インフレにはなりませんが、デフレをどの程度に調節するかということのかぎに相なつておるのであります。これに対して通貨量は大体今年程度、それから直接または間接に全部産業資金還元するということを日本政府としては頼みたい、こう考えておるのでございます。
  18. 小山長規

    小山委員 たいへん御丁寧な説明でよくわかりました。そういたしますと、要するにデフレ的傾向に向おうとするのを、この援助金還元によつてそれを緩和して行く、こういうお考えのようでありますが、そういたしますと、ガリオアイロア物資によつてつて來ますものが、月別にどのくらいずつ放出されるかということがおわかりでありましようか。それともう一つは、それが貿易会計に入りまして、援助資金会計にさらに入つて來る。つまり何月ごろからこの援助資金放出が可能になつて來るでありましようか。最近におきましてこの援助資金放出が可能になつて参りましようか。そういうようなことがおわかりになりましたら、お聞かせ願いたいと思います。
  19. 伊原隆

    伊原政府委員 ガリオアイロアがどのくらい入るかと申しますことは、昨日も速記なしで申しましたように、千七百五十億がどういう暫定の根拠かということは、これは推定でございますか、現在の輸入の賣拂い代金三百三十円というものを還元いたしますと、五億三千万ドルというものが想像されるのでありますが、その大部分は、アメリカの今年の七月一日に始まる会計年度において決定せられる、対日援助予算できまることでありまして、現在はつきりきまつておらないわけであります。ただそれでは、四、五、六というものに金がないではないかということになるのでありますが、四、五、六はアメリカの現在の会計年度において、すでに許容されました予算範囲で入つて來ておりまして、この四月からすでに貿易廳ではガリオアイロア物資区分わけをいたしておるようであります。大体の目途としまして、四、五、六では三百億程度の金が見込み得るのではないかというふうな推定を立てております。これははつきりしたことはわからないのでありますが、千七百五十億の四分の一より多少少いその三分の二程度、すなわち三百億程度のものは第一・四半期に見込み得るのではないか。そうしてこれの資金繰りでありますが、これはまだやはりきまつておりませんけれども、船が着きまして、貿易資金から、倉糧なら食糧管理特別会計に賣拂います。これは大部分食糧でありますから、賣拂います。その他のものは肥料であるとか、石炭であるとかの公團を通じ、または直接産業界に渡すのでありますが、それをできるだけ現金ベースにしまして、半月以内くらいにできるだけ貿易資金に金を入れて、それをとりまとめて翌月の初めくらいに援助会計に入れてもらう。そのときに輸入補助金も一緒に入れるというような構想で、今折衝中でございます。なおあと渡邊君の方から補足さしていただきます。
  20. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 大体今理財局長からお話がありましたから、それに盡きるのですが、もう少し申し上げますと、貿易特別会計輸入物資を今お話のありましたように、食糧管理特別会計、あるいは公團なり、その他一般に賣るわけであります。現在話がされておりますのは、大体引渡し後十五日を期限にしまして、現金拂いにしたらどうかというお話であります。從いまして、その代金貿易資金特別会計に入つて参ります。ただその場合におきましては、輸入補助金であります分は、補助差引いた金額が入つて來るわけであります。一般会計の方としましては、大体一月くらいをまとめまして、その補助金に相当する金額を、貿易資金特別会計に繰入れたらどうかというようなことが、今相談されております。そうしますと、今度だんだん貿易資金特別会計たまつて來る現在の制度でございますと、ただ輸入物資ガリオアで入つて來たのか、あるいは普通のコマーシャル・ファンドで入つて來たのかという点は、金が着いたその際にはまだすぐにわからぬらしいのです。大体一箇月といいますか、一定期間まとめまして、ガリオアで入つて來た分がこの程度であるということがはつきりしますから、そのときにおきまして、大体今お話のありましたように一月分くらいまとめまして。見返り資金会計貿易特別会計から繰入れることになりまして、逐次見返りの方で特別会計に改まつて行くことになると思います。
  21. 小山長規

    小山委員 一番先に放出可能になる時期はいつごろでございますか。
  22. 伊原隆

    伊原政府委員 これは正直に申しまして、なかなかわかりかねるのでございますが、資金的には、この法律を通していただき、なおどういうふうな運用をするとか、手続その他がきまりませんと、なかなかむずかしいのではないかと思います。金としては四月分が五月の上旬には入れられるようになるのではないかと考えております。ただ何分初めでございますので運用を一体どうするか。産業資金としましてもどういうふうなものに使うかということが、日本側としまして要請いたしますについても、いろいろ相談をしなければなりません。しかし日本側としては復金活動停止後の金融は、非常にむずかしいことでございますので、できるだけ早くこの資金を使うことを懇請しなければならぬと考えております。
  23. 小山長規

    小山委員 先ほどのお話では援助資金でもつて金融逼迫を緩和して行くというのであつたのが、この四、五、六に三百億見当が出るというお見込みでありながら、四、五、六には実際上出ないかもしれないということが想像されるのでありますが、その間の金融逼迫はどういう方法でこれを緩和して行くお考えでございますか。
  24. 伊原隆

    伊原政府委員 今申し上げました四、五、六に出ないとは私どもはわかりませんので、四月中ということはなかなかむずかしいのではないか。初めは金が足らぬといたしましても、繰入れ自体が今申し上げたように、五月の上旬に初めて金がある程度出て來る程度でございましようから、四月中ないし五月の中旬以後になるのではないかと考えております。なおお示し復金活動停止以後の資金活動までの間というものは、非常に苦慮いたしておるのでありますが、どういうふうな方法——まず第一に政府支拂いと直接の関係にある産業につきましては、こちらで御審議願いまして、五十億の金が四月の二日に入りましたので、これをどうにか今拂つております。終戰処理費支拂いも非常に進めておりますので、政府支拂いを促進するということ、それから企業をできるだけ自己資金でまかなつてもらうという意味におきまして、増資とか社債の発行を何とかして可能ならしめる方法考えて行きたい。しかし増資についてはいろいろ障害があります。企業再建整備集中排除というふうな点につきましても、基幹産業については、これをたとえば、こまかい話ですが、整理計画の認可前に増資ができるような処置を、今司令部に求めているようなわけでございます。
  25. 小山長規

    小山委員 次にお尋ねいたしますのは援助資金使い道でありますけれども、使い道についてはこの間からのお話で、具体的にはおきまりになつていないようでありますが、産業資金にどの程度を使うか、あるいは直接投資はどの程度にするか、その割当いかんがそろそろわかつているのではありませんか。
  26. 伊原隆

    伊原政府委員 こちらとしてこのくらいお願いしたいという考えはまだないでもないのでありますが、大体きまつているのを申し上げますと、昨日も申し上げましたように二百七十億は確かと思います。それから復金債償還は、六百二十四億何がしか日銀で持つております。市中にあります復金債三百億を政府の出資の方でまかない、あとの六百二十四億何がしという復金債を返さなければならない。これを日銀が持つているのでありますが、交付公債一般会計発行いたしまして返すことになつておりますのを、まず援助資金でこれを買つてもらうということを、一つ目当に現在のところなつております。これは確定いたしておりません。しかしながら六百二十四億何がしはこれで買うということになつたのではないかと思います。あとの残りの八百五十六億というものでございますが、そのうち一体幾ら直接投資に頼み、幾ら國債を返すことによつて金融機関からの産業資金として貸し出すかということは、ちよつと今のところきまつておりません。
  27. 小山長規

    小山委員 そのお尋ねあとの機会に讓りまして、きのうもお尋ねいたしました取扱い機関の問題ですけれども、きのうのお話では日本銀行に全部扱わせるというお話でありましたが、実際問題としては日本銀行は貸出しをするについて、調査をしたり審査をしたりする機能をもつておりましても、從來経驗はもつていない。從つてこういう問題はわくがきまれば市中の金融機関なり、あるいはそういうような從來貸出しになれたものに扱わした方がいいではないか。また政府の方で特別の機関を設けてやるようにいたしますと、また復金の二の舞を演ずる、こういうようなことで資金のわくなり、その投資対象というものがきまつたならば、それはたとえば公債償還によつて金をまわしまして、そういうものは市中の金融機関、その他從來取扱いになれたものにやらした方がいいのではないかということが、一般産業界なり金融界の意向でありますが、政府としてはやはり日本銀行だけに扱わせる考えでございますか。
  28. 伊原隆

    伊原政府委員 ただいまのお話の問題でございますが、実は大体の考え方として産業資金にまわしますものは、非常に大口の、たとえば電力の開発でありますとか、そういうふうなきわめて大口の、そしてどこでどういう設備をどうするかというふうなことのようなものでありまして、個別の産業資金については、金融機関が自分でできるようなものにつきましては、金融機関の手元で公債を直接買うなり、日銀で買うなりしまして、金融機関の責任において、自分の金として産業資金に出して行くということが建前でございます。從いまして、直接貸し出すものにつきましては、相当大口であり、かつその生産にそれの資金の効果がきわめてはつきりするもの、援助資金によつてこれだけ日本の復興ができたのだという点が非常にはつきりする、しかも基幹産業というようなことになるのではないかと思うのであります。そこでそれでは貸出し機関をどうするかということは、日本銀行を使うという決定に至りますまで、四つ五つのものが考えられたわけであります。一つ政府が自分で何か部局をつくつてつて行くということ、第二は復金と同じような種類の特殊の貸出し機関を設けるか、これはドイツとイタリアでありましたか、そういうふうな機関があるようであります。それから市中金融機関に代理貸しと言いますか、ああいうようなことをやつてもらうかどうか、特殊の経驗がある興銀とか勸銀にやつてもらうかどうか、それから日本銀行にやつてもらうかどうかと、いろいろ考慮いたしたのでありますが、政府みずから大きな機関をつくつてやるということは、役人の仕事としてきわめて適当でもありませんし、また役人の給料でいい人を得て來るということもなかなか困難でありますので、そういうことはむずかしい。それから市中金融機関に代理貸しをお願いするということも考えたのでありますが、これは銀行行政上、市中金融機関というものはできるだけサウンド、バンキングのベースに置いておく方がいい、こういうふうな代理貸し的なことはしない方がいいのではないかという意見が強く、しない方がいいのじやないか。興銀なり勸銀ということも考えたのでありますが、興銀も特殊銀行ではございませんので、一つのプライベート・バンクになるわけですから、特にそこに頼むというのもおかしい。從いまして、大口の、しかも産業復興に関係のある大口のものに限りますので、政府の責任におきまして安定本部等が各省の意向をまとめて、決定をいたしましたものを、日本銀行が実際の事務といたしましては貸出しの審査とか、回收とか、監理ということに当つてもらうのが一番適当であらう、こういうふうに考えた次第であります。
  29. 風早八十二

    ○風早委員 昨日いろいろこの法案審議にあたつての議事につきまして、ちよつと列挙し始めたのでありますが、途中で休憩に入りまして、そのままになりましたから、少しばかり前にさかのぼるかもしれませんけれども、あらためて質疑をいたします。きようは祕密会のことでもありますし、どうかひとつ、つつ込んでお答えを願いたいと思います。  その前にちよつと非常にこまかい問題でありますが、今千七百五十億というものの中に、六百十六億という補給金がもぐり込んでおるというようなことでありますが、この千七百五十億はどうしてできたか、それの算定の基礎はどうであるかという小山委員でありましたかのお尋ねに対して、政府委員の方からは、大体それは三百三十円の換算でイロアなり、ガリオアなりの合算された二十四年度の外資というものを予想しておいて、それの円表示であるというような意味のお答えがあつたと思うのであります。そういたしますと、六百十六億というものはその中に含めなければならないというのですね。ちよつとしろうとで考えますと、それならば千七百五十億プラス六百十六億でもよさそうに思う。片一方は一般会計の経費でありまして、全然出口が違うわけです。財源も違うわけであります。そういうものが知らない間に千七百五十億の中に含まれておる。つまりそれから引いた一千億余りというものだけが、結局は生でもらえるものというふうな勘定になるようにも思われるわけであります。その点についてもう少しわかるように説明していただきたい。
  30. 伊原隆

    伊原政府委員 御説明が少し足りませんで恐縮ですが、アメリカの援助を受けております食糧それから肥料、石炭その他ガリオアイロアで入つて参ります物資につきまして、これを幾らでもらつて、國内で幾らで賣り拂うかという問題は大きな問題でありますが、大体どの程度の換算率で受取るかということは、新聞にも出ておりましたように、大体三百三十円で切つて受取る。そうしてそれを、たとえば食糧を三百三十円切つたままで、國内の消費者——われわれに放出をいたしますと、食糧の値段が非常に上つて参るということに相なりますので、國内の價格政策といたしまして、三百三十円で切つたものを食糧管理特別会計のそのままで賣つたのでは、食糧の値段が非常に上る。肥料でも三百三十円で切つて、そのまま農民に流したのでは非常に高くなつて、急に物價が上つてしまう。これは他の輸入補助金も同樣でありますが、八百三十三億の輸入補助金というものが計上いたされておりますことは、予算で御存じの通りであります。その八百三十三億のうちガリオアイロア物資に見合うものは六百十六億でございまして、それを輸入の今の一應の換算率三百三十円で賣り拂つたのでは、國内の物價にも非常に影響いたしますので、これを價格調整ということで六百十六億円を加えて調整をする。つまり國内に流すときには、逆に言いますと差引いて賣るわけです。食糧について申しますと、食糧管理特別会計で向うから入つて來た物を三百三十円で渡したのでは、食糧の値段が上りますので、それから食糧補助金差引いて食糧管理の方で賣る、こういうふうなわけでございます。実際六百十六億円というものは、ほんとうは千七百五十億円で賣るのが適正でありまするけれども、國内の價格政策上六百十六億円というものを差引いて、現在の物價水準を維持して行く、こういう意味でございます。
  31. 風早八十二

    ○風早委員 たいへんよく説明していただきましたが、そういたしますと六百十六億というのは主として食糧の賣拂い値段、國内拂下げ値段というものの調整費、主として食糧の補給金というふうに大体考えておいて間違いありませんか。
  32. 伊原隆

    伊原政府委員 数字につきましては、大藏省の方から差上げました昭和二十四年度予算説明の附表十一ページをごらん願いますと、輸入補助金八百三十三億のうち、食糧が四百六億円の輸入補助金が出ておる。ただしかし食糧の中にはガリオアイロアで整理されて入つて來る以外に、すなわち日本の輸出によつてつて來るのもありまして、工業用にまわるものもありますので、実際ガリオアイロアに対する輸入補助金は幾らかとお尋ねになりますと、四百六億円より少し少いのではないかと思います。
  33. 風早八十二

    ○風早委員 そうしますと六百十六億は、この四百六億足らずの食糧、肥料、特に食糧、特に主食関係でしようか、そういうものの價格差補給金である。それとプラス、イロアの若干の資金だというわけですか。
  34. 伊原隆

    伊原政府委員 これをガリオアでどういうものが入り、イロアでどういうものが入るというのはなかなかめんどうな問題でありますが、要するに食糧のほかに御存じのように肥料——硫安でありますとか、カリ塩でありますとか、燐鉱石であるとかの肥料、それから石炭、銑鉄、鉄鋼石、生ゴムというふうなものがガリオアイロアで入れられて参るわけであります。食糧以外のものはそういうふうなものがあるわけであります。
  35. 風早八十二

    ○風早委員 ちよつとはなはだこまかい問題でもつて皆さんにも恐縮なんですが、これはやつぱり將來にとつて大事な問題ですから、ついでのことでお聞きしておきたいのですが、その四百六億の食糧以外の物資の主要なものの品目と、それからたとえば肥料にいたしましても——よく調べれば私もわかるのでしようけれども、ちよつと今手元に資料がありませんからお聞きするのですが、大体肥料の為替換算率というふうなものにつきまして、ついでにお答え願いたいと思います。
  36. 伊原隆

    伊原政府委員 輸入計画がどういうふうになつておるかということははつきりいたしておりません。そしてただいま利用し得る資料は、この十一ページにございます輸入補助金の八百三十三億の内訳にありますところの、このうちからどこのところがガリオアでありイロアかということについては、まだ最後的区分がございません。それから輸入物資を幾らで計算しておるかということは、たびたび申し上げましたように、三百三十円で計算しております。ただこの補助金を取つたレートは幾らかということでありますが、これは私まだやつてありませんが、差引計算で、補助金差引いてドル價で割つてみるとわかると思うのですが、平均いたしまして二百円超えるのではないかと思います。從來百三十円見当だつたと思います。
  37. 風早八十二

    ○風早委員 私の今まで知つておる限りでは、大体この輸入物資の大半の拂下げ價格というものは、三百三十円で換算いたしました場合には、それよりも円高になつておると思うのです。これは食糧だけではなしに、また肥料だけでもないと思います。でありますから、この方針を徹底して行きますと、結局ほんとうに千七百五十億を手にするためには、ほとんどそれに近いほどの輸入補給金をもつて貿易資金特別会計から入れて行かなければ、やつて行かれないようなものになりはしないか、そういう点をちよつと懸念しておるのであります。なおいずれにいたしましても、千七百五十億円といわず、とにかくこういう外資が入りますということは、少くもそれだけそれに比例して、この輸入補給金というものが非常に増大するという、この関係だけははつきりして來たように思われるのです。  さてこの問題はそれで打切りまして、今日せつかく祕密会になつておる関係からいいましても、特に有効にその時間を使うために一つお聞きしたいわけです。これは昨日大藏大臣にもお聞きして、若干のお答えはあつたのでありますが、この法案というものが國会の審議権に対する重大な侵害を含んでいはしないかという重大なる疑いなのでありまして、特に第四條の第六項で連合軍の最高司令官の承認を要するということになつておりますが、しかもその使途につきましても、運営につきましても、これは非常に嚴重な制限が付されておるわけであります。私は他面におきまして、またこの法案の一切の予算書というものが國会に提出せられ、あるいは大藏委員会にこれが提出される。そこでわれわれが審議をしなければならぬ。その場合に審議権というものに影響があるのかどうか。結局いくら審議してみたところで、これはもう向うさんの承認があるのだからどうにもなるまいというようなことで、われわれはやむなく審議を遠慮しなければならぬというふうな事態が、起りはしないかという問題なのでありまして、これにつきまして大藏大臣としては、そういうふうなことはない。それは予算一般審議と同樣にはからつてもらつてよろしい、こういう趣旨のお答があつたと思います。これは速記録をおとりにならなかつた部分であるかもしれませんが、明らかにそういうふうに言われた。この点をそんなに簡單に樂観していいものであろうかどうか。もともとこれは先ほど小山委員その他も質問の中に述べておられますように、これはいまだかつてその例を見ないような法案でありまして、政府委員の方では、何か金資金法案について同樣な例があると言われましたが、これとそれとはまつたく違うのでありまして、直接われわれの審議権を侵すような非常に重要なものであるのみならず、この資金というものが全予算を動かすてこであるということは、しばしば政府としても言明せられておるのでありまして、そういう重大なるものについて、しかもこれによつてもしも万一審議の権能をわれわれから奪われるということになるならば、これはわれわれが全予算審議する意味がなくなつてしまう。こういう重大な問題でありまして、この國会で、またこの委員会で、この法案をそういう意味において疑いを存じたままで通してしまうということになりますと、將來非常な災いを残しはしないか。そういう点を憂えるために、ぜひもう一度この点についてひとつ忌憚のないところをお答え願いたいと思います。
  38. 伊原隆

    伊原政府委員 憲法論の方は、法務廳の方から御説明申し上げることにして、その前にちよつと風早委員が、米國よりの輸入物資千七百五十億は、ほとんど補助金ではないかということをちよつとおつしやいましたので、その点については、千七百五十億のうち補助金によつて物價の補正をいたしますのは六百十六億円であるということを、もう一度申し上げておきたいと思います。それからこれは國内の物價政策上そうなつておりますので、向うからの援助はドル額によつて実際上食糧が幾ら入つたか、幾ら肥料が入つているか、幾ら石炭が入つて來るかという物自体に目をつけるのが当然でありまして、それを國内の物價政策上幾らに賣るか、安く賣るためには補給金がいる、そういうことになるのではないかと思います。その点はちよつとつけ加えておきたいと思います。
  39. 風早八十二

    ○風早委員 ちよつと今の大きな質問にお答えを願う前に、今理財局長からお答え願いました点だけについて、私もう一度はつきりさせたいのですが、それはたしかに現在は、千七百五十億は明らかに六百十六億の補給金が含まれているだけでありますけれども、しかし事柄の性質上六百十六億円をそこにお含めになりましたその理由からいたしましても、結局これは輸入品の國内拂下げ値段との價格差に基くものであるという限りにおきましては、大部分輸入品というものがほとんど三百三十円を割つて、つまり円高のものであるというふうに考えられるのでありまして、その限りでは結局押して行けば六百十六億では済まなくなるのじやないかということを申し上げただけの話なんです。その点ははつきりしていただきたいと思います。そういうふうな懸念が多分にあります。それからさらに物が問題である。要するに金は國内の操作であつて、物が入りさえすればそれでいいじやないか、結局物が入るのだから、こういうお話でありますけれども、この場合に私どもが問題にしているのは実は物じやない。どこまでも千七百五十億という——これは政府はてこだと言われますが、われわれが判断したところでは、これは見せ金にすぎない。大体こういうふうな金というものが問題なのでありまして、この金の操作の根源が実はほんとうの実質のある金じやないのじやないかという点が、まだはつきりさせられておらない点でありまして、そういう点で初めからもうこれが実質を伴い、まつたく向うからこれだけのものが日本の國富に対しまして、そつくりそのまま入つて來るのだ、プラスになるのだというふうに考えることに、根本的な間違いがあるというふうに、私には大体考えられてならないのでありまして、そういう点からもひとつもう少し納得の行くように、説得していただきたいという考えなのであります。それはこれからだんだんとここに出します質問によつて、お答えを願うことにいたしまして、それでは先ほどの國会の審議権というものと、この法案とが矛盾しはしないかという点についてお答えを願います。
  40. 林修三

    ○林(修)政府委員 実は私御質問の際にちよつと席におりませんでしたので、今ほかの方から伺いましたところでお答えをいたします。あるいは御満足が行くかどうか、多少疑問でありますが、御了承を願います。今のお話でございますと、この法律規定が國会の審議権を侵すものではないかということでありますが、法律的に見ましてこの規定がありましても、法案並びに予算等を國会が審議される権限には、何ら触れておらないと思います。この点は別段矛盾は起らないものと考えております。
  41. 風早八十二

    ○風早委員 今のお答えではますますはつきりしなくなる。はなはだまた自信がなくなるようなかつこうではないかと思うのであります。さらにこういうような法案がありませんでも、すでに事実上の問題といたしましていろいろな制約のあることは、これはお互いに十分に承知しておることであります。しかもこれをこの法案の中にはつきりうたつて來るということになりますと、それでなくても非常に遠慮深い國民の性質といたしまして、また國会の議員にしても、なかなかこれは審議をやりたがらなくなつて來るという危險が、多分にあると思うのであります。そういう点で政府はこれは重要なことではないという、ただ一片のきわめて法律形式上の点だけから御回答になつたのでは、これはだれも納得が行かぬのじやないかと思います。もう少しつつ込んで、いやそれにはこういうふうな了解があるとか、あるいはまた実は了解がないというならないでも、またやむを得ないかもしれませんが、そういう点をもう少しざつくばらんに話していただきたい。実際問題としてこれはどうなるのか。これはこの問題を祕密会にしなければならぬということ自身が、すでに問題を示しておるのでありまして、それほど遠慮しなければならないことならば、これはやはり事実もうそのことによつて、反証されているのでなかろうかということも考えられるのでありまして、もう少しわれわれに國会議員としての確信を與え得る御回答を願いたいと思います。
  42. 林修三

    ○林(修)政府委員 先ほど私が申しましたのは、実は純粹に法律に申したのでありまして、この法律がありましたとしても、もちろんこの國会に出ました予算についての審議予算の款項目の審議について問題はないと思うのでございます。ただそれを実行上運用するについての連合國最高司令官の承認でございますが、これは法律的には関連はないということを申し上げたのであります。ただ、ただいまもお尋ねの実際上どういう事情で、こういうことがあるのかということにつきましては、私の方で法律的に申し上げるよりは、大藏省からお答えする方が適当ではないかと思います。
  43. 伊原隆

    伊原政府委員 私はあまり專門的ではありませんが、第四條の六項、七項に対するお尋ねであります。これは國会に御審議つております昭和二十四年度特別会計予算の中の、米國対日援助見返資金特別会計の内容について、國会が予算審議権に基きまして、自由に御審議なさることを、何ら妨げるものでないと私は存ずるのであります。
  44. 風早八十二

    ○風早委員 そういたしますと私は特にこの第六條と、それから第九條の第一項というものとの関係を言つておるのでありますけれども、第九條第一項では「この会計予算を作成し、一般会計予算とともに國会に提出しなければならない。」私どもはそれを受け取つてここで審議をするわけであります。そうしますとすでに承認を経て——この間の政府委員の御説明のありました通り、いろいろ複雜なルートを経て、たびたびいろいろな承認と了解を得た上で、ここに提出せられたこの予算書がここで審議される。そうしていろいろ資金が大口のある特定の、甲なら甲という人に使われるという場合に、それは困る。乙の人に使つてもらいたいというようなことを、ここで論議しかつ決定したとした場合、その結果政府はどういう立場に立つわけでありますか。それは今はそういうことは事実上ないでありましよう。今は一應民自党が與党として圧倒的多数でありまして、それは終極においてどうにか問題は片づいて行く。しかしそういうふうな政治情勢ばかり続くとは限らないのでありまして、今だけのことを考えるわけには行かないのであります。いろいろな場面もあるのでありまして、非常に錯雜した連立的な政情のもとにおきまして、政府が板ばさみになつた場合には、一体どこにだれが責任を負うて行くのか。そういう場合には当然政府は責任を負うて、ほんとうに政治的責任を負われるのかどうか。これはそういう点も関連して來ると思うのであります。そういう意味でただ現在の事情だけからでなく、もう少し先を見通して御回答願いたいと思います。
  45. 石原周夫

    石原(周)政府委員 今お尋ねの点は、しばらく会計法の條文がかりにこのままであるといたしまして、その上で今提出されております予算に対しまして、いろいろな原案と違う決定をいたしたらどうなるかということについてお答え申し上げます。御承知のように予算は款及び項というものがあるわけでありまして、その金額なりあるいは款項の問題で違う御決定に相なるということは、もちろんあり得ることであり、それはもちろんなし得ることだと思います。でございますから、政府司令部関係はどうなるかというお尋ねでございますが、政府としてはそういうふうに國会で御決定になりました使途、すなわち款項の配分についてその運用上第四條の第六項、第七項にございますような運用の実施面における承認の問題が残るだけであります。
  46. 風早八十二

    ○風早委員 第九條の第二項について、これも昨日大藏大臣にお聞きして、きわめて形式的の御回答があつたのでありますが「前項の予算には歳入歳出予定計算書を添附しなければならない。」こうあるのであります。從つてこの法案を提出する場合には、必ずこの添附書がついておらなければならないのであります。また事実それがなければわれわれはこれを審議するわけに行かない。便宜上今われわれは審議を承認してそれに入つておりますけれども、行かないわけです。政府は数日中にはお出しになるといつても、おそらく出せないのではないかと私どもは懸念します。この予定計算書をつくるにつきましては、いろいろな條件があります。まず千七百五十億というものも未確定であるし、いわんやそれをどこへどう使うかということにつきましては、そこにいろいろな方面からの意見が入らなければならないわけでございます。こういうふうな事情を考えてみますと、この予定計算書がこの際できるということは、客観的実情としてはほとんどあり得ないように考えられるのであります。そういう点もあわせ考えてみますと、問題はさらに廣がつて來るのでありまして、そういう計算書をはたして数日中に出されるのかどうか。そういう点が一つ。それからそれをお出しになりました場合、さしずめそれに対して私どもの審議の余地は事実残されるものであるかどうか。そういう点を伺いたいわけです。それが結局政府の責任の問題にもつながつて行くわけでありまして、この点については眞劍にお答え願いたいと思うのであります。
  47. 石原周夫

    石原(周)政府委員 歳入歳出の予定計算書は、どういうものが出るかというお尋ねでございますが、その内容は先日來いろいろ御質問がございまして、ある程度政府委員からも申し上げてございますように、現在なお未定のことに属する事項が相当ございます。これは御指摘のような連合國司令部関係もございまするし、先ほど理財局長から御説明申し上げましたような、今後の運用のやり方によりまして、その前提となりますいろいろな條件がございます。從いまして今日予算を提出いたしますにつきまして、明細なものが出せないという実情にあるのであります。どういう形のものが出るかということは、出ましてから願いたいのでありますが、卒直に申し上げまして、どういうものに幾ら出すということは、今日なお未定でございますから、そこまでの詳細なものは出すことができない。そういうような書類に対して、國会の審議を仰ぐことは、よろしくないではないかという御議論はもちろんあるのでありますが、現在の実情上やむを得ないのでありして、公共事業のごときもあるいはその一例かと存じますが、それに比べればもつとはなはだしい状況にあるのであります。先日來申し上げておりますような状況下におきましては、一切について非常に詳細なものを出すわけに参りかねる状況になつておるということを、御了承願いたいと思います。
  48. 石原登

    石原(登)委員 ちよつと関連して……。第四條の中でも特にこの六項と七項の問題は重大な問題だと考えておるのです。そこでこの問題をよく了解させる方法としまして、今アメリカからヨーロッパ諸國に出している援助資金の協約といいますか。その内容がここで説明されると、その間に條文を了承する上に非常に有利じやないか、かように考えておるのでありますので、この問題について理財局長から御説明願いたいと思います。
  49. 伊原隆

    伊原政府委員 ただいまお尋ねがございましたので御説明申し上げますが、ただ現在のところ、外國からの資料が十分手に入つておらないことを、御了承願いたいと思います。  まずヨーロッパ諸國におきましてはどういうふうに行われているかといいますと、アメリカの援助を受けておりますものは十数箇國に上つておりますが、その援助の根本は、一九四八年のアメリカの対外援助法、それの第一編の一九四八年経済協力法というようなものに基いておるようであります。これは條文で百十五條にわたりますが、この経済援助法の援助條件というところを、ちよつと御説明申し上げたいと思います。  経済援助の條件といたしましては、まず多角協定と双務協定を結ぶということが書いてございまして、援助が実施つれる前提として、被援助國相互間に、自助と相互協力に基く共同復興計画を達成するための多角的協定、並びに被援助國と米國との間に援助目的を達成するための双務協定が締結せられる。その双務協定の内容といたしましては、双務協定は國務長官が協力局長官と協議の上個別的に締結する。但し協力局長官が就任前は一應暫定協定を締結する。上記の双務協定は、被援助國が援助目的を支持することを定め、さらに同國の義務として次の事項に関する規定が含まれなければならない。すなわち米英協定、米伊協定といろいろございますが、英國、イタリア、フランスその他の國は、次のようなことを義務として協約の内容にうたわなければならない。第一は、自立化のための工業及び農業生産を促進すること。ことに石炭及び鉄鋼、輸送施設、食糧増産を規定すること。第二に、通貨の安定、正当なる為替相場の設定、維持。通貨制度への信頼の回復、その他必要なる財政金融に関する措置を講ずること。日本で言いますと経済九原則の実行と同じようなことを、被援助國はみな義務づけられているようであります。それから援助が贈與される場合には、右に該当する金額を被援助國の通貨で特別勘定に積み立て、これを米國との間に協定する目的に從つて同國内で使用する。すなわち法文で申しますれば、連合國最高司令官の承認を経てということと実質的に同じでありますが、米國とイタリア、米國とフランス等の間で同意のあつた目的によつて使用する。使用する目的は、通貨の安定、生産活動の促進、新資源の開発並びに援助に伴う経費支弁に限られる。その他援助に関する情報を米國の要求のあるときに提供する。米國と被援助國の天然資源の公平な消耗を目的として、米國の不足資源を米國に供給するとか、米國民が自國民と平等の立場で経済に参加するというようなアメリカの國力法がありますが、このアメリカの國内法に基きまして各國が協定を結んでおのるであります。二番典型的の例はイタリアとアメリカの双務協定のようでありまして、イタリアとアメリカの双務協定におきましては、いろいろなことがうたつてありますうち、日本援助資金に相当するような部分は、第四條にイタリアに対する贈與として、イタリアの利用し得る援助の対價たるイタリア通貨の預金に言及して、イタリア政府は特別勘定を設け、米國の援助についてそのドル額に相当するリラ額を積み立てる。このリラは復興計画に関して在伊米國側の行政費用、アメリカの経済協力局の出先機関が被援助各國に駐在しておりまして、協力局長官の出先機関の費用を五%だけみな拂うようになつております。それから被援助國の救援助物資の輸送費用その他イタリア内の生産力の発展、米國の不足物資、生産の探究ないし開発、國家債務の返済等、インフレーションとならない種々の目的であつて、しかも米國の同意を得たものについて使用される。そのほかイタリアの中におけるアメリカ人の旅行を奬励しろとか、それから経済九原則のようなことを守れとかいうことが、被援助國の協約上の義務に相なつております。從いまして、きのうも御説明申し上げましたように、憲法論等いろいろございますが、実質的には連合國最高司令官の承認を受けなければならないというのが、日本アメリカとの間において、合意が達成せられたる目的に使うという諸外國の例と、実際的には同じであると存じております。ただ法文にうたうのはどうかというようないろいろな問題があると思いますが、実際はイタリアにしましてもフランスにしましても、イギリス、オーストリア、十数箇國はみなこれと同じようなアメリカに対する義務を持ち、またアメリカの出先機関たる協力局の出張所の人が承認をし、最終的には協力局長官のところまで承認書が行つて、そこで承認した上、また返つて來るというふうな樣子になつておるようであります。
  50. 風早八十二

    ○風早委員 それに関連して、ギリシャ及びトルコとのアメリカの援助協定の内容を、ひとつできるだけ詳しく説明していただきたいと思います。
  51. 伊原隆

    伊原政府委員 私どもただいまわかつておりません。
  52. 風早八十二

    ○風早委員 それはどういうわけでしようか。そういうことは十分に理財局長の方は、專門に調べておられる部局であると思うのですが……。
  53. 伊原隆

    伊原政府委員 ただいまの情勢のもとでは、資料がまだ手元にございません。
  54. 風早八十二

    ○風早委員 それをお聞きしましたのは、むろんこのフランス、イタリア並びにイギリスとアメリカとの援助協定の、そのラインというものは、日本の場合にも非常に参考になつていると思います。けれども、大体いろいろな政治條件から見まして、ギリシャ、トルコとアメリカとの援助協定の内容というものは、もつと密接にわが國の場合に当てはまる性質のものだと考えられるのでありまして、ぜひともその内容をひとつなるべく早い機会に紹介していただきたいと思います。
  55. 伊原隆

    伊原政府委員 協定で援助を受けております國は、イギリス、フランス、イタリア、オランダ、オーストリア、ギリシャ、デンマーク、ノルウエー、ベルギー、ルクセンブルグ、アイレの十一箇國と、西ドイツ、トリエストというふうな國になつております。ポルトガル、スイス、アィルランド、トルコ、スェーデン、ただいまお示しのトルコは、ただいまのところ贈與を受けておらないのであります。從いまして、貸付の形を受けておるのではないかと想像いたされますので、贈與の形の場合と、貸付でございまして返さなければならぬというふうな場合とは、樣子が違うのではないかと想像しております。
  56. 風早八十二

    ○風早委員 ちよつと今の最後のお言葉ですが、そうしますと、この千七百五十億は贈與という前提で、どこまでもやつておられるわけですか。大体は、大藏大臣の昨日の御答弁でも、贈與になるであろうということを予想されておることはわかります。大体今までの例で見ますと講和会議の際に結局なしくずしにしてもらつたという例もあるから、これも結局返さぬでもよかろうというような、非常に樂観的な見通しで、贈與ということを仮定しておられるということはあると思います。しかしほんとうに今のお答えのように贈與という前提をとつていいわけですか。  ついでながら申し上げておきますが、これは実は昨日も予算委員会で、共産党の他の委員からこの点を指摘申し上げたのでありますが、この前のマッカーサー元帥の一昨年二月二十二日、コングレスあての書簡の中ではつきり言つております。ガリオア資金でも、これは贈與ではない。慈善ではない。これについてはアメリカの納税者にはびた一ドルも御損はかけないのだと、こういうようなことが明記してあるのであります。それらから見まして、われわれがこれは贈與であるということを、簡單に今からきめてかかつておるということは、はなはだ危險ではないかと思う。いわんやマッカーサー元帥の書簡の中には、それと結びつけて、先取特権ということもはつきり書いてあるわけでありまして、場合によつては、先取特権の行使をわれわれは辞するものではないと書いてある。そういうことも書いてあるはずでありますから、これは講和会議の將來というものはわかりませんけれども、どういう場合があり得るかということはまつたく未知数である。それにもかかわらず、なお贈與という前提をはつきりとつていいのでありますか。もしいいのならば、どういう根拠でそういうことを考えられるのであるか。それをちつとお答え願いたい。
  57. 伊原隆

    伊原政府委員 はつきり申し上げておきますが、私もこちらで贈與であるということを申し上げたことは全然ございません。贈與であるか贈與でないかは、おそらくきのう大藏大臣がお答えになりましたように、講和條約のころにきまるのではないかと思われますので、繰返して申し上げますが、贈與であるというふうに申し上げたつもりもございませんし、申し上げるだけの事情にもないわけでございます。ただ援助見返り資金の勘定を設けておるという点におきまして、欧州の諸國にも似た例がたくさんございます。そして、それはマーシヤル、プランのうち贈與の部分について、こういう見返り資金が設けられておるのであるという例として申し上げたのでありまして、日本に対する援助が贈與であるかどうかというふうなことは、私ども申し上げる立場におらないということを、はつきり申し上げます。
  58. 川野芳滿

    川野委員長 風早委員にちよつと御相談申し上げますが、実はあと内藤委員、荒木委員、お二人の質問通告がございますので、できるだけ簡單にお願いいたします。
  59. 風早八十二

    ○風早委員 それではなるべく時間を省いてひとつ……。  そこで、今政府委員のお言葉なんですが、それは贈與であるということははつきり言うわけではない。その点はよく了承いたしました。しかし先ほど私は援助協定について——贈與協定とは言わないのです。援助協定について、ギリシャ、トルコの例を示していただきたいと言つた場合に、わざわざあなたはトルコを非常に引き離して、これは貸付の場合であるから別問題だ、というようなお話がありましたから、私は特に申し上げたのでありまして、その点は十分に御了承願いたいと思います。これは貸付であろうと、贈與であろうと、もちろんあなたの言われておるように、この勘定の問題です。勘定の問題でありますが、問題の重点は、この勘定を設定するについてわれわれが引受けなければならない條件です。この條件というものがどういうものであるかということにつきましては、貸付の場合であろうと、贈與の場合であろうと、他の諸國の例はたしかに参考になります。特にギリシャとトルコの例が、一方は贈與、一方は貸付であるかもしれませんが、非常に参考になるであろうと考えるので、ぜひともその忌憚のない具体例をはつきり示していただきたいのです。何もそれを知つてどうこうということはない。ただわれわれが今世界の政治情勢を考えますと、ギリシャ、トルコに対するアメリカ関係と、極東におけるわが國に対する関係というものとは、はなはだ近似しておるかのごとくに感ぜられるのでありまして、当然これら両者に対する協定條件というものにも、またはなはだ近似があろうと考えるので、お聞きする次第であります。その点は十分にひとつ御了解願いたいと思います。できるだけ早い機会に、もう資料はもちろん大藏省にお帰りになればあるのでありますから、さつそく引続き午後にそれをお示し願いたいと思います。  問題を先に進めまして、そうしますと、かりに贈與であるといたしましても、債務であるといたしましても、これはいずれの場合かに、つまり貸付である場合、いずれの場合かに限られると思うのでありますが、ただ漫然と天から降つて來るものは一つもないのでありまして、必ず何らかの法律的な形式をもつてこれが與えられるものでありますから、贈與か貸付以外には考えられない。そうした場合に、今の政府は一体どういう権限に基いてこれらの金を受取つておられるか。今度の千七百五十億の見返り資金の原本になるその外資に限りませんが、一体今までのガリオア並びにイロアというものにつきまして、これは一体法律的にどういう形式であるのか、この点を一つ伺いたい。そしてそれについて、政府はこの國会との関係におきまして、どういう権限で今までこれを扱つておいでになつたかということ、これはこの法案が出される前提として、はつきりしなければならない問題だと思います。そういうふうな贈與か貸付か、何らかの形でこの金があるということによりまして、初めて、この法案というものが問題になるのでありまして、この原本が一体どういう政府の権限によつてここに出て來たのか、その点を聞かせていただきたいと思います。
  60. 石原周夫

    石原(周)政府委員 御承知の通り、ガリオアイロア物資でありましても、あるいはそれ以外の一般物資でございましても、現在のところ日本政府会計といたしましては、外貨の関係につきましての直接の取得あるいは支拂いという関係は持ちません。日本側会計の整理といたしましては、円の整理をいたしておるわけであります。ただ最近民間貿易が行われるようになりまして以來、事柄の実質におきましては、外貨、為替を買取るということとほとんど同じでございますし、しかしそれでもなお外資貨自身を、この債務自身が貨負うということにはなつておりませんので、法律上では外貨請求権という言葉を使つておりますが、外貨そのものではないという趣旨であります。そういうことを申し上げましたのは、外貨の関係を一應ウエストいたしまして、円の会計で円の收支をしておるわけであります。從いまして輸入品は司令部からのレリースを受けまして、そうして貿易廳の所有に移る、こういう関係に相なつております。そこで貿易廳としては、そのものを所有いたしましてそれを賣却いたす、こういう関係であります。將來はつきりと外貨関係が確立せられるということになりますと、これが違つた形になるかと思いますが、今のところは、そういう形で経理をせられます。
  61. 風早八十二

    ○風早委員 今の御説明では、結局援助関係というものが、かたがた先ほど私がちよつと触れました輸入補給金の問題とも関連して、為替の問題だとか、為替の買取りの関係だとか、これは輸入補給金なんかの場合には、結局しいて言えば為替のダンピングと言つてよかろうと思うのでありますが、こういうふうな性質のものであるということを裏書きされたわけでありまして、私のお尋ねしたのは、それはいずれでもよいのです。とにかく事実はそれだけの金がもしもらえるというのであるならば——それは貸付でもよい、贈與でもよいのでありますが、もしもらえるならば政府は今為替の関係でやつておるということを言つて、問題をすりかえられたように考えられますが、そうではなくて、為替の関係でもよいのでありますが、これを一体どういうふうな権限で政府はやつておられるか。というのは、これがすべて債務、ことに貸付である場合におきましては、明らかに債務を背負うのでありまして、憲法並びに財政法でわれわれ國会が嚴として認めました國の債務負担を生ずる一切の行為に対しましては、契約であろうが契約でなかろうが、どういうものであろうが、とにかく國会の承認を得なければならぬ。あらかじめ原本なるものにつきまして、國会の承認がありまして、そしてそれがもとになりまして、こういう法案を出されることが、筋道が通つておると思うのでありまして、そういう点で、政府は一体どういう権限で今までそれを受取つておられるかということです。贈與の場合でも問題は本質的にはかわらないのでありまして、やはり贈與であるならば、その口座を何銀行に設定するとか、あるいはまた教会を建てるということだけに使うとか、いろいろな條件が贈與の場合でもあり得ると思いますが、そういう場合でもやはり國会の審議権に対する関係が起つて來るのでありまして、この贈與を受けることを、政府はこれは日本にとつて得だというふうに確信してやられるのでありましようが、それはそうならないかもわからない。そういう場合もありますから、やはり國会がこれに審議、承認を與えなければならぬ。そういう点で政府のやられた今までのその行為について、その権限はどういうふうなものであるかということを伺いたいのです。
  62. 石原周夫

    石原(周)政府委員 今早風委員お尋ねになりました点は、実は最初に貿易の特別会計をつくりましたときに、いろいろ議論をいたした点であります。おつしやいまするように、將來これが貸付であつて償還を要するというものでございますれば、憲法、財政法の建前からいたしまして、少くとも國庫債務負担行為をするであろうという議論もありました。しかしながら当時並びに現在におきまして、まだ日本側アメリカに対しまして債務を負うとか、負わないというような筋道の段階には至つていない点が一つ、もう一つは先ほど來御議論があります贈與とか、貸付の問題が未定であること、そういう問題は講和会議以後において明らかになるという点を考えまして、その当時から、今日においてやり得ることは、どうも債務負担行為のとりようがないではないかという趣旨におきまして、その当時國会において御説明申し上げたかと思うのでありますが、円だけの收支を整理するという、先ほど申し上げたような自主的やり方になつております。
  63. 風早八十二

    ○風早委員 そうしますとフェ、タコンプリ、ただ既成事実が逐次積み重ねられて行つておるにすぎないという関係で、原本というものが、何かなしにあるのだということになるのでありますが、百歩を讓つてそういうふうになつたといたしますればなおさらのこと、第四條の第六項並びに第七項でありますか、こういうものをわざわざここに入れて來るということは、そういう事実を——今は全然契約もできなければ、もちろん協定はできない。商賣上の契約もできなければ、またそのほかの法律的な処置としてはできないのだといつたようなことをそのまま法律の中に入れて來て、それによつて國会を拘束するようなことになるのではないかと思います。端的に言いますと、私は立法論として、もしくは意見として言つているのではないのでありまして、ただそういうふうになるのではないかということを申上げているのですから、御了承願いたいのですが、第四條の第六項並びに第七項というものは、全然とつてしまつた方がよほどすつきりしやしないか。そして事実上のモラムダがあるのでありますから、これは対外関係としてまたフェ・タコンプリとして、政府はやはり情勢に應じて適当に処置されるがよろしい。しかしいやしくも対内関係において、ことに國会の権限におきまして、それをいたずらに結局法的拘束するというような建前にしてしまうことは、はなはだ妙なものではないか。それは全國民として、全國会議員としてだれしも妙なものに考えざるを得ない問題ではないか。そういうふうにも考えられる。でありますから、政府は大体第四條の第六項並びに第七項、こういうものを省いた場合にはどうなるか。省かれるような意思は一体持たれないか。これからもそのことについて考えてみられる余地はないか。そういう点もひとつ伺つておきたい。
  64. 石原周夫

    石原(周)政府委員 第六項、第七項がなかつた場合にどうであるかという点につきましては、大体今風早委員がおつしやつたように、ディレクティヴにも残つているわけであります。從いまして政府といたしましては、司令部に対する承認の問題が、若干字句は違いますが、残るわけであります。それにかかわらず、そういうことを入れることがいいか惡いかということにつきましての議論が、いろいろあるかと思うのでありますが、先日大藏大臣からお話がありましたような経緯をもちまして、今のところ入つておるわけであります。ただつけ加えて申し上げておきますることは、それでは逆に第六項、第七項が入つておりまするために——それによつて受けまする感じの問題はしばらく別としまして、法律上の議論といたしましては、そのために國会の審議権が拘束されるということは、生じないというふうに考えております。
  65. 風早八十二

    ○風早委員 そういうふうに断定してしまわれる限りは、この問題は水かけ論になりますから、私はこれでおきたいと思います。ただこの國会審議権の問題というものは、ようやく戰後におきまして自主的な國会の審議権というものを、少くも法的にわれわれが獲得した新しい國民の資産でありまして、これをこの一片の法案によりまして今年度から踏みにじつてしまうようなことになる危險だけは、十分に警告しておきたいと思います。その責任はすべて政府が將來とも負わなければならない。日本の歴史で負わなければならない問題があるということを警告しておきます。それで私は実はこう思うのです。もう少し、メモランダムもメモランダムでありますが、これだつて一通りあるのです。ですからせつかく祕密会で全部、他の人もいないのでありますから、まだ今はいいのです。いろいろ交渉のいきさつ——私はいつも言うのでありますが、政府当局が交渉される場合におきまして、自分の頭と力でもつてやろうというふうにいつもされておる。これが初めから今までのいわゆる官僚主義というものの傳統でありまして、從つて國会なり、委員会なり、こういう権限を持たされた主権者をほんとうに背景にし、この主権者の総力を結集して当つて行くということをなされないか。そうすればもつと私は有利に交渉が展開されるのではないかと信じている。そういう意味で、何でも祕密々々でなさらないで、若干そういうような交渉の顛末なんかもこの際に打明けていただいて、そうしてそういうふうに実は今のところになつているのだということを、ざつくばらんに言つていただければ、問題が問題でありますから、われわれもともどもに十分に心配し、そしてそれに対して知惠をしぼつて行きたいと思うのです。要はこれによつてさしずめまず國会の審議権が奪われるので、その意味においても日本の國会が、世界に対して非常な不名誉を負うということになるだけでなく、やはり実質上の問題がある。これは次に私は質問いたしますが、実質上の問題としていろいろあるのでありまして、そういうふうな点を考慮いたしますと、実に重大な問題でありますから、ぜひともざつくばらんに政府はそれらのいきさつを、われわれの前に披瀝していただきたい。そうして御相談を願いたいという趣旨であります。しかしまあ先へ質問だけ進めて行きます。  次には、この前申し上げましたように、この法案が結局もたらすでありましようわが國民経済に対する影響であります。これは法理上並びに憲法上の疑義の問題の一つの裏づけをなすものでありまして、ただ私どもは概念法学的に、法律論をもつてあそんでおるわけではないのであります。そういうことで政府をどうこうするというのではないのでありまして、実際この千七百五十億円というものをてことして、あるいはまた私に言わせれば單なる見せ金にすぎないのでありますが、見せ金でとにかく動き出す結果、日本の國民経済にどういう影響を及ぼすか。この点について政府はどういう見通しを持つておるかという点であります。私はフランスやイタリアまたドイツというような國々において、一体どういうこの影響が——ギリシャ、トルコにつきましては私自身もよく知らないので、先ほどから伺つておる次第でありますが、このマーシャル計画というものが、結局たとえばフランスなんかの産業に対して、一体どういう問題を起しておるか。こういう点については、先刻御承知と思いますけれども、これは御参考に申し上げておきたい。そうしてこれと同じようなことがやはり日本でも起り得ないかどうか。そういう点についての政府の見通しを伺いたいというわけであります。「速記をやめて聞いたらどうか」と呼ぶ者あり)たとえば政府が向うさんといろいろ交渉される顛末は、われわれも絶対責任を持ちます。また向うさんにも関係がありますから、そういうものはどこまでも、祕密会でもよろしいし、速記をやめてもよろしいし、やつてけつこうなのでありますが、今までのところは、何もさしつかえなかろうと思う。今までいろいろな委員の方からも多少御要求があるようですから、議事の進行の点につきましては委員長に私は御一任いたしまして、積極的にこの法案が実際に運行し始めることによつて日本経済に対してどういう影響があるかということについて、私の大体見通しをお話した上で、政府の見通しをお聞きしたいと思います。それでありますから、食事の関係もあるでしようし、その辺のことは一應委員長の意見を伺いました上で、決定したいと思います。     〔「休憩」と呼ぶ者あり〕
  66. 川野芳滿

    川野委員長 午前中祕密会及び午後開く予定の祕密会における政府の発言中、特に祕密を要すると認めました都合については、これは公表をせず、委員長の手元に保管いたしたいと存じますが、その取扱いその他の点については、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 川野芳滿

    川野委員長 それでは午前はこの程度にいたしまして、午後二時より開会いたします。    零時三十九分休憩      ————◇—————     午後三時九分開議
  68. 川野芳滿

    川野委員長 午前中に引続き祕密会を継続し、質疑を続行いたします。荒木萬壽夫君。
  69. 荒木萬壽夫

    ○荒木委員 まず私は風早委員質問されておりましたことで、大体見当はつきましたけれども、念のために一、二お伺いしたいと思います。すなわち第四條の第六項、第七項の問題でございますが、私もやはり、何と申しますか、現在日本は独立國ではございませんので、非常に特殊な考慮を必要とするとは存じますけれども、日本の占領されております今の統治状況は、連合國の軍政下にあつて、しかも憲法が施行せられて國内政治、行政の面は日本人の責任において憲法に從つて運営する。いわば間接統治の軍政の形がとられておりまして、すべて憲法を通じて、憲法に基く法律制度によつて運営される、こういう形で終戰以來一貫しておると思うのでありますが、憲法が施行されます以前は、ポツダム勅令その他によつて憲法ないしは憲法以上の威力を持つて動いておりますけれども、憲法施行後は、先ほど申し上げるように、やはり憲法の條章に從つて國内政治、行政が動いておる。こういうことについては、一貫しておるように存ずるのであります。そこで今議題になつておりますこの法案に、おそらくは初めて第四條の第六項、第七項のごとき連合國の最高司令官が國内法上表面に出て、一種の行政処分をなすというがごとき形がとられたかと私は思います。寡聞にして私はほかに何があるか存じませんが、その意味において、前例があるのかどうかということをまずお伺いしたいと思います。
  70. 石原周夫

    石原(周)政府委員 先般理財局長から申し上げましたが、「占領軍の管理下から解除された貴金属等」云々という法律の中に「連合國最高司令官の指示に基き」という規定のあるものがあるのでありますが、これは必ずしも正確にこの規定と同じような趣旨ではないようであります。從いましてこういう規定が入りましたのは、あるいは正確に申して最初であるかと存じます。
  71. 川野芳滿

    川野委員長 ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止〕
  72. 川野芳滿

    川野委員長 速記を始めてください。
  73. 荒木萬壽夫

    ○荒木委員 私は実は風早委員の國会審議権との関係の意味で論ぜられました、御趣旨には、必ずしも賛同しないので、これがあろうとなかろうと、審議権そのものは実体的には影響なかろうともちろん思います。しかし、はなはだ意見にわたつて恐縮でございますけれども、連合軍最高司令官というのはわれわれに與えられております憲法以上の存在、換言しますれば、ポツダム宣言に基いて日本に軍政を行うための存在でありまして、その最高司令官が間接統治の前提のもとに動いておる。憲法に基いての國内法に率然として出て來て指示に基きというさつき御例示になられたような事柄ならば実害もないし、また法理的に言つてそれはどのおかしさを感じませんが、第四條の第六項のごときは、明らかに日本の行政官廳として一種の認許処分をするという立場でございますから、この規定が國内法にありますことは、そのことができるできぬという以前に、本來の最高司令官としての権限に基いて、メモランダムもしくはディレクティヴの形で意思を表示されるならば、必然的にそれが百パーセント動かねばならない條件下にありますので、少くともこれは日本の國内法として無用ではないか、先ほどの御説明によりまして、いろいろな御折衝の事情もしくは大藏当局の御苦心のほどがもちろんわからぬではございませんが、日本の國内法の形から申しまして、そういうことが現われておる。條約の根拠に基いて國内法に取入れられることはありましようけれども、今はそういう時期ではない。さらに換言しますれば、先ほども申し上げますように、國内法の規定をまたずしても、より以上の強力な権限を本來持つておられる方でありますから、立法技術として、意味のなさないものをことさらに入れるということそれ自身につきましては、GHQの方にも御再考を願うのが至当であると私は考えるのでありますが、國会の総意において、あらかじめGHQの方にそういうことを申し入れ、改正案を提出するというふうなことについて、政府側としてどういうふうにお考えでありますか。率直に伺つてみたいと思うのであります。
  74. 石原周夫

    石原(周)政府委員 ちよつとその点は……。
  75. 荒木萬壽夫

    ○荒木委員 ただいまのお尋ねは幾分やぼなお尋ねでありまして、自分でそう思いながら、ついそう申し上げたのでありまして、意見にわたりますが、私は一應そういうふうに考えるのであります。問題は、それを離れまして、今までの石原さんのお話によりますと、三年間の間に約十億ドルばかりの輸入超過になつておる。さらに一月、二月、三月——年度としましても、三月までにはそれにプラス何がしかの入超になるかと思うのでありますが、二十四年度以前の二十三年度までの入超額に対しましては、見返り勘定的な取扱いをされることがありはしないかと、ちよつと懸念するのであります。と申しますのは、先ほど來ガリオアにしましてもイロアにしましても、それが贈與であるのかあるいは借款であるのか、もとよりこれはうかがい知り得ませんけれども、少くとも今後二十四年度以降のファンドに対しましては約一千七百五十億を予定して、いわば借款としか考えられないような形で整理されるわけですが、そのことが過去に遡及して國民の負担において、同じような勘定の中に繰入れると申しますか、そういう取扱いになりはしないかということを、私だけかもしれませんがちよつと懸念いたしますけれども、そういう点について、政府当局はどういうお考えでございましようか。伺つておきたいと思います。
  76. 伊原隆

    伊原政府委員 過去の問題につきましてこういう整理をするというふうなことは、正直に言いまして聞いておりません。過去におきます取扱いが、つまり今まで援助として相当安く入つて参りました金——輸入超過に相当する部分が漠然と輸入補助金、輸出補助金に化けてしまつて貿易資金の経理の内容が非常に不明確でありましたのが、今度はあらためてはつきりさせるという点に意味があると思います。過去の分はもう新しく整理をし直すというふうなことは、全然ないと思われるのであります。
  77. 荒木萬壽夫

    ○荒木委員 その点に関しまして、私も大体漠然とはそう思うのでありますが、こういうふうな取扱いをすることにつきまして向う樣から何らかの指示がありました場合に、この法律が、予算にも関連いたしましようが、予算なりこの法律なりを一体としまして、こういう手はずが整つた日以後に、両ファンドを引当てに物が入つて來たやつについて、そういう取扱いをしろというふうに明確に言つて來ておりますかどうか、この点お伺いしたいと思います。
  78. 伊原隆

    伊原政府委員 お手元に差上げましたメモランダムにもあると思いますが、一番初めに四月一日以後と書いてございます。
  79. 荒木萬壽夫

    ○荒木委員 その点は一應はつきりいたしました。過去につきましてはそうだといたしまして、一千七百五十億円の引当てになつておりますものは、今後向うの年度としては六月末に終りまする年度、プラス七月一日に始まります一九五〇年予算によつて認められたものを合せて、日本の二十四年度内には、おおむね五億三千万ドルぐらいのものが來るであろうという推定に基いておるのだということを、伺つておるのでありますけれども、過去のものに遡及しないであろうということ、換言しまして俗つぽく申し上げれば、過去三年半はアメリカの対日援助、さらに換言すれば一種の宣撫工作期間というふうな氣持で理解されるのでありますけれども、千七百五十億に相当しまする対日援助だけで今後は打切られるものかどうか。仄聞しますると、七月一日以降はもう日本には具体的な援助をしないのだというふうなことを、向う樣のしかるべき方が言われたようでありますけれども、そういう点につきまして、政府としましては明言ができるものではないと想像しますけれども、そういうふうなことも仄聞しまする関係上、大体政府当局は千七百五十億以後に來るものは全然期待できないかどうか。現実はその以後にも期待できるのでなければ、日本人は餓死するにあらずんば、餓死に近いような生活水準の切下げをせざるを得ないことは必至であると思うのであります。こいねがわくばほんとうの意味で自立できる、許される生活水準を維持できるまでは、援助をしてもらいたいという願望はだれしも持つておりますけれども、今までの輸入超過は、過去のことは問わない。今後については千七百五十億を限り見返り勘定を設けて、ぎつちりそれを言わば國内的なファンドとして、回轉基金的に動かして行くのだという意思が、初めて明らかにされたようなことと思い合せまして、それ以後に続くものがないかのごとくにも思えまするが、そういう意味において、政府御当局はどういうふうにお見通しであるか。率直なところをお聞かせ願えればと思います。
  80. 伊原隆

    伊原政府委員 千七百五十億は、先ほど御質問ございましたように、終戰以來ただいままで貿易資金の経理上非常に不明確に使われておつたのを、はつきり対日援助の部分を出すということであります。また二十五年度以降はどういうふうかというお尋ねでありますが、この間のあのドツジ氏の声明にもあり、その後いろいろ政府から池田大藏大臣がお会いになつた結果として、だんだんいわゆる竹馬経済の足を短くして行きたい。——アメリカの國民の租税負担において、日本に対する援助というものが行われておるのでありますから、できるだけ早くだんだん少くして行きたいということのようでありますけれども、しかし再來年度から全然打切つてしまうというふうなことは、日本としては困る点でありますし、そういうことは全然ないのではないか。経済九原則等の実行によつて経済がだんだん安定して参れば、あるいはガリオアイロアの配分率等がかわつて、だんだんイロア資金が多くなるということはあるかもしれませんが、援助が急に打切られるというようなことはないと思います。ただだんだんに減らして行くように日本としては努力し、また先方もそれを望んでおるだろうということは想像いたされるところであります。
  81. 荒木萬壽夫

    ○荒木委員 それはそのくらいにしまして、実は見返り勘定がどういうふうに運用されるか。運用の機構等を新聞紙上にも散見いたしますれども、これらはあえて祕密会を要しない問題でもありますから、それは祕密会が解かれた後に讓りまして、私のただいま御質問申し上げることは以上で打切りたいと思います。
  82. 石原登

    石原(登)委員 まず最初にお尋ねいたしたいのは、この千七百五十億円の計算基礎です。大体邦貨換算三百三十円だというようなお話ですが、これに見合いますところの五億三千万ドルに対する意見の表示というものはどういうような形で行われておりますか。まずこの点から聞きたいと思います。
  83. 伊原隆

    伊原政府委員 千七百五十億円というものを今度の予算に計上することは、承認されたのでありますから、その千七百五十億円程度がことしの円資金として浮んで來るだろう。現在までのところは、輸入物資は一ドル三百三十円で切つて計算しろということになつておりますので、逆算いたしますと、五億三千万ドルという数字が出て参ります。現在の日本予算上の見積りとしてはこういうことなのであつて米國の來会計年度、つまり一九四九年七月一日から始まります会計年度の対日援助予算というものは、アメリカの議会で今審議中でありますので、向うの議会の審議によつて、正直に申してどうかわるかわからない。しかし大体このくらい見込んでいいのじやないか、こういうことだろうと思います。從いましてくどいようでありますが、形式的に申し上げますと、あちらの議会の審議権をこれによつて縛るとかいうようなことにはならないのであります。向うの審議いかんによるのであります。それは経済九原則をどの程度実行するかというふうなことにも非常にかかるのであるから、経済九原則の実施を急速に徹底的にやることが、必要だというふうに了解しております。
  84. 石原登

    石原(登)委員 それからこの根本になります千七百五十億円の使い道ですが、実はいかなる場合においても、金融の面が産業経済に及ぼします影響が非常に大きいのであります。特に今年度のこの予算において、千七百五十億円が受持ちますいわゆる範囲と申しますか、これはおそらく日本の全経済を支配するようなことになる。かように考えるのであります。從いましてこの運用、あるいはこれが企画というものは、日本の國民生活にも非常に全面的に影響を持つ。こういうことになるのであります。われわれ仄聞するところによりますと、これに対しますところの政府の方策だとか、あるいは当局側のいろいろな制肘がある。これは当然だとは思うのでありますが、この制肘と、われわれ國会が持ちますところのいわゆる判断と言いますか、その間の問題がどうも明らかにならないということを、非常に残念に思うのでありますが、こういうものに対して審議というよりもむしろ企画立案の面に國会の意思を盛るということに対して、何か御考慮が拂われておるかどうか。この点についてお尋ねしておきたいと思います。
  85. 伊原隆

    伊原政府委員 千七百五十億の運用日本経済、ことに通貨信用政策に非常な影響のありますことは、石原委員の仰せの通りであつて、これの運用の仕方によつて産業界経済界は非常な影響を受けるわけでございますが、これの運用方法といたしまして、まだどういう機構をつくつてどうするかということが、きわめてはつきりいたしておりませんが、昨日の閣議で一應きまりました点を、安定本部の方から御説明願うことにいたします。
  86. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 昨日も御説明申し上げたと思いますが、現在政府の方で考えておりますところは、安定本部が中心になりまして、各省の意見を聞いてこの運用計画をきめまして、閣議の了解を得て司令部に承認を求める、こういうことを考えております。それからそのあとでは財政法三十四條の財政法上の手続をとりまして、そのあと資金管理者としての大藏大臣が個々の申込みを受け、貸付の場合でありますと、貸して行く。その場合に具体的な一件々々につきまして、司令部の承認を受けるということになつております。
  87. 石原登

    石原(登)委員 何かこれを実行するに際して、特別の機関を設けられるように聞いておるのですが、そういう御計画はございますか。
  88. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 現在としては大藏省の中に特別の局をつくるとか、あるいは特別な管理課をつくるとか、そういう問題はあるかもしれませんが、このために特別の審議会をつくるとか、特別の委員会をつくるということはまだ話題に上つておりません。
  89. 石原登

    石原(登)委員 それから先ほどから問題になつておる第四條の第六項の問題ですが、実はこの問題は考えてみますと、非常にいろいろな意味があると思うのであります。風早会員から何か憲法違反じやないかというような議論もあつたようですが、その問題に関して私ども必ずしもさように考えないのであります。ただ一点特に考慮しなければならないことは、連合軍最高司令官の承認を得なければならない、かようなことになつて参りますと、この承認は國会の審議を一應連合軍司令官に委讓したような形にも考えられる。すなわち國会の審議よりも連合國司令官の承認が上位になりますために、國会の審議というものがある場合においては否定されることも、容易に想像できるのであります。さようにいたしますると、連合軍の最高司令官というものは、日本の國内行政に対して、一つの何と言いますか、干與をすることになり、かようにいたしますと、三年半にわたつて連合軍が日本にとりました態度、すなわち國内行政には干與しない、日本政府日本人でやるべきだという建前を強調いたしておりますし、また吉田内閣においてもそのことを堅持しておる。かように考えるわけであります。そういたしますと、日本の國会でこういうような法律をつくりました場合、むしろ向うさんが迷惑をするのじやないか。こういうふうに行政に干與するということになります以上、その結果よつて來るところのもろもろの事柄に対しても、一應責任を持たなくてはならない。かようなことが言えると思うのであります、この点に対して政府側としてはどういうふうにお考えでございましようか。
  90. 川野芳滿

    川野委員長 ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止〕     〔委員長退席、前尾委員長代理着席〕     〔速記中止〕
  91. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長代理 速記を始めてください。
  92. 風早八十二

    ○風早委員 ただいま法律的に言いますれば、第九條の第一項と第四條の六項並びに七項の関係が、依然として問題になつておりますので、両者いずれが優先するかという問題に帰着すると思うのであります。結局実際問題としてはどこまでも國会の審議権というものが優先するというように、政府は解釈論としてとつておられまして、それによつてこの問題はこのままでもよろしいのではないか。解釈論としては國会は何を審議してもよろしいし、どう決定してもよろしい。こうおつしやるのでしよう。これは異存がありませんね。これは大藏大臣がおつしやつたのですから間違いありません。そうしますと結局第四條の第六、七項よりも、第九條の第一項というものが優先するということになります。そういたしますと実際問題といたしまして、われわれがここでまともに、まじめに審議いたしました場合、ある場合においては最高司令官の権威を傷つけやしないか。こういう問題になるおそれもあるのでありまして、これはわれわれははなはだ迷惑千万である。そういうことはこの際やめてもらいたいのです。われわれとしましてはどこまでも國会の審議に関する限りは、連合軍に関しましては直接責任は負わないのでありまして、その責任はどこまでも政府が全部これを負つておられる。また政府は國会に対しましても、その責任は全部負つておられる。事実上すでにメモランダムがあり、またディレクティヴがあるのでありまして、事実上の関係としまして他との交渉は政府を通じてなされておる。國内的にわれわれが一定の意見を独自に表示することは、これは國会として自由でありまして、もしもそれをもつて政府が交渉の任に当つて、その任にたえないということになるならば、それは政府がやめればいいのです。そうすれば眞に國会の意思そのままを代表した政府当局ができて來て、それが向うとまた交渉すればよいのであります。結局いつも國会に主権があるという法律的な形式だけは、そこで堅持できるのであります。そういう意味におきましてもこれはこのまま出せば、あたかも政府が全責任を負うべきその責任を、國会に轉嫁するかのごとき感を抱かせるのであります。もちろん政府はそういうつもりではないと言われるでありましようけれども、それならばそれでなおけつこうでありまして、こういうような点につきましては今荒木委員石原委員の方からも有益な意見が出ておりますが、われわれとしても第四條の六、七両項というものについて、さらに再檢討してもらえる意思があるかどうか、その点を重ねてお聞きしておきたい。
  93. 石原周夫

    石原(周)政府委員 内部で相談いたしましてしかるべく御返事を申上げます。
  94. 風早八十二

    ○風早委員 非常にけつこうだと思うのであります。それで次には、けさほど私が伺いました質問一つでまだ残つておりますが、ギリシャ、トルコとアメリカとの援助協定あるいは贈與なり貸付なり、この贈與に対する援助協定の内容をぜひ示していただきたい。
  95. 伊原隆

    伊原政府委員 ギリシャとトルコの援助の内容の資料は、正直に申しましてただいまのところ政府として手に入つておりません。できるだけ外國の例を集めるように努力いたしたのでありますけれども、今のところ入つておりません。決して怠るわけではございませんが、できるだけ手に入れたいと存じますけれども、ただいまのところほんとうに持つておりません。
  96. 風早八十二

    ○風早委員 入つていないとおつしやればしようがありませんが、特に理財局長でありまして優秀なる調査部を持つておられるわけでありますから、私どもはきわめて不完全なる委員で調査をやつておりますが、いろいろと努力をいたしますれば、この國際的の資料もわかつて來るわけであります。これはいろいろ方法があると思います。あらゆる便宜を持つておられます理財局といたしまして、速急にひとつ、どうせこの法案はまだなかなか通過には相当かかると思いますから、ぜひ早くやつていただきたい。それはぜひお願いしておきます。いずれにいたしましてもまだこの予定計算書なども添付されておりませんし、これは正式の審議とも考えられないくらいでありまして、いずれまた今、明日も続くと思いますが、ぜひそれまでに間に合うようにお願いいたします。そういたしますと私は最後に一つだけ残つている問題といたしまして、この法案を実際に運営いたします場合において、わが國民経済に対する影響はどうであるか、こういう点について政府の見通しを伺いたい。なるべくいろいろな國際的な先例にも應じて、ざつくばらんに御回答願いたいと思います。
  97. 伊原隆

    伊原政府委員 先ほどお尋ねがございまして、この千七百五十億円の使い方いかんによつて、通貨信用の状態がどうなるかという、きわめて重大なものであることは御指摘の通りであります。先般資金計画をきめます際には、いろいろ内部で議論いたしまして、まず通貨量をどの程度に見るか、産業資金をどの程度に見るかという観点におきましては、この千七百五十億が全部経済界還元いたすようにするという前提でできております。從つて通貨の量から申しますと、昨年來千五百億を超えました通貨が、最近は千百億台になつておるのでありますが、この援助資金を、もし日銀公債等を買入れ、そのまま收縮しつぱなしになりますと、通貨がどんどん減る傾向になりますので、そうではなくて、通貨量は大体年度間を通じて昨年度程度を維持して行くというような考え方、それから最高は三千五百億程度、ことしと同じような最高発行限度程度を維持して行くという考え方で、運用したらいかがかと考えております。  なお産業資金に関連する方法として、このうちの幾分かは直接に産業投資するかつこうに相なると思いますが、他の部分日本銀行公債ないし復金債の買入れ、その買入れをしたそのままで置きますと、信用は收縮いたしますから、その場合には日銀の貸出しをふやすなり、日銀が市中から公債を買いまして産業資金を補充するなり、また直接に金融機関の持つておる公債を買い上げて、産業資金を補充するというような心組みで、運用することを考えておる次第であります。     〔前尾委員長代理退席、委員長着席〕
  98. 風早八十二

    ○風早委員 大体のことは何度もお答えがありまして、私も別にそれは疑問を持つていないのでありますが、大体建設公債方面に使うことはすでに決定になつておりますし、そのほか國債償還と、あと産業資金に使うわけである。直接投資になるわけでありますが、こういう建設公債に振り向けられる場合におきまして、その行く行くの結果はどうなるか。これだけ申し上げたのではちよつとはつきりなさらないかもしれませんが、結局外資によつて日本の今までいろいろな意味において重要な國営事業としての鉄道なり、通信事業がこれから運営されることになつて、その結果は実際どういうことになるであろうかという見通し、及びこれが講和会議なり何なりでいよいよ國際的な負担が決済される場合において、さらに新しい問題が起つて來る。先ほど申し上げました先取特権というような問題も、こういう場合にはまつたく杞憂であるか、こういう点についてもあわせてお答え願いたい。  さらに産業資金については長期資金に一体どのぐらい使われるものであるか。長期資金の問題は今日本の経済再建にとつて死活を制しておる問題でありまして、國民一同、特に実業界におきまして関心が高いのでありますが、この点についてどの程度具体的に出されるつもりであるか。産業資金五百億といつたようなわくが、一應きまつておるというお話もあつたように思いますが、そういつた点についてもう少し立ち入つて説明願いたい。またその場合に——産業資金と申しましてもそれはきわめて特定の企業経営に振り向けられることは、おのずから想像できるのでありますが、そういう場合そのきめ方は、一件ごとに、この企業経営に何百万円、この企業経営に何億円というように、一件々々にこれを振り向けられるのであるかどうか。そうした場合にその特定企業経営がどういうものであるかということがおわかりでありますならば、これをお知らせいただきたい。これは大体おわかりでなくてはならないと考えて、お聞きする次第であります。  國債償還の問題につきましては、これはなかなかややこしいのでありまして、今の復金債償還の問題ともからみまして、いろいろ操作もおありだろうと思いますが、結局は國債償還はどこへどういうふうになつて行つて日本産業資金として動くようになるか。そういう点について少し具体的に御説明願いたい。私どもはフランスやその他の國々の実例を見まして、とにもかくにもいろいろな援助協定ができまして、その結果すでにいろんな実績が現われておるのであります。その場合において、たとえばフランスにおいて非常に國民経済に深刻な影響を與えております。これがフランスの國民経済を非常にへんぱなものにして、生産の発展を不均衡にして、具体的に申しますれば、原料部門というようなものは大いに発展しておりますけれども、一般に加工部門は非常に廣般に沒落しつつある。そういう点をわれわれはすでに見て來ております。これは部門別に一一あげるわけには行きませんけれども、たとえば鉄とか、鉛とかボーキサイトとか、こういつた金属産業にしても、特殊のものについては生産は上つております。しかし他面において、自動車、造船、油脂、皮革、纎維、動力、こういうような部面においては、非常に停滯しております。また特に造船なんかは半減しておりますし、ラジオ、電氣器具というようなものも三分の一になつて來ておる。特にこういう機械器具工業に非常に深刻な影響を與えておる。こういう実際があるのであります。他面におきまして、アルミとかセメント、ボーキサイト、特にアルミのごときものが増大しておる。これは一体何のためであるか。それが國民経済全般にとつて、その平和的な再建にとつてどういう意味があるか、こういうことについては、いろいろな実例が示されておると思います。特にこの場合に、フランスに対しましてアメリカの私的資本もどんどんと入つて來ておりまして、たとえばフォード会社が多くのフランスの自動車会社に投資しております。またメチス会社がトラクターなどの製造に着手しておる。またロックフェラーの石油がフランスの南方行政区の石油採掘独占権を獲得しておる。そのほか機械器具部門や纎維部門、特にナイロンなどにアメリカ資本の進出は相当急激でありまして、その結果そこに非常に深刻な影響を與えております。國内的にも加工工業をやることはあまり意味がない。しかもその原料は増大いたしましても、それは必ずしも國内の加工のために、また國内の需要に應ずるためにこれが使われるというのではなく、あべこべに原料部門の輸出というものがだんだんふえて來るということになりましては、これは再建の見地から、はなはだ問題だと思うのであります。他方におきまして、加工工業は為替一本レートの問題もからみまして、非常に深刻な影響を與えようとしておるのであります。この際ますますそれらがからみまして、きわめて一、二の企業経営のみがこの千七百五十億円の運営についてその恩惠にあやかる、こういうようなことになつたのでは、はなはだ問題だという意味で、それらについてなお具体的に國際的な前例に照し合せ、また日本の実情にも照し合せてお伺いしたいわけであります。特に私は安本長官にも聞いてもらいたいのですが、今日のいわゆる集中生産方式というものに対して、この千七百五十億円という見返り勘定の運営というものは、一体どういう関係に立つておるか、またその結果が実際具体的にはどうなつて行くかということについて、お答え願いたいと思うのであります。
  99. 宮幡靖

    宮幡委員 昨日からの継続で祕密会を開きまして、ただいま議題となつております援助資金特別会計法案を深く掘り下げて、お互いに檢討することになつたのであります。午前中からそれぞれの委員の御質問もあつたようであります。特に風早委員からは微に入り細にわたつた御質問があつたようでありますが、あるいは私の聞き違いかもしれませんが、その質問の趣旨の大要はかねて御研究のものであり、私どもで申し上げれば、風早君の蘊蓄を傾けられての一つの御意見であるように承ります。從いまして法案審議というものは個人の意見ということの討論ではないので、もし本案に対しまする御意見なら討論の機会にやつていただきたい。質問はあくまで質問範囲において進行せられなければ、長い間かかつてあらゆる世界的な事情や、あらゆる関連をこの際引出しまして、それに対する意見を交えておりましたならば、ここでいつまで質問審議いたしましても、はてしのないことであると思います。この点委員長におきましても、あえて私は風早君の言論を抑圧するということを要求するものではありませんが、少くとも質問なら質問という範囲を出でないということを、ぜひともひとつおとりはからいを願いまして、円満のうちに、すみやかにこの審議を終るように切望するものであります。
  100. 風早八十二

    ○風早委員 ただいまの御意見は十分に了承いたしました。しかし私が伺つておるのは、意見を申し上げて居るのでは決してありません。これは質問をするにつきましても、やはり自分でおおよその見解というものはあります。問題を持たなければ質問もできないのでありますから、問題がこういうところにあるのではないかという、その見解は持つております。それを出さなければ政府の御答弁がいつもはなはだ抽象的でありますから、こういうことをお聞きしたい、またこういうことが、この法案審議について大事なんだという意味におきまして、実は説明したのでありまして、その意味をひとつ御了解願いたいと思います。しかし以後十分に注意いたしまして、できるだけ簡略にいたしたいと思いますから、その点は御了解願います。
  101. 川野芳滿

    川野委員長 委員長一つ風早君にお願申し上げますが、御承知のように大藏委員会には相当な法案がかかつておりますし、またかかることになつておりますので、できるだけ法案審議を急ぎたいと思います。風早君には常に質問の時間も相当與えておりますので、今後の質問はなるたけ簡單に、要を得た質問をひとつお願いいたしたいと思います。それではただいまの風早君の質問に対する政府の答弁をお聞きいたします。
  102. 伊原隆

    伊原政府委員 安本の方からも見えましたので、私の方から申し上げる部分だけ申し上げてみたいと思います。なお安本の方からいろいろお話があると思います。先ほどお話産業設備資金の問題でありますが、これは仰せの通り非常にむずかしい問題でありまして、昭和二十三年度におきまして、千百七十五億というようなものを確保しておるが、今年は一体どのくらいかというお尋ねでございます。これは安定本部の方からお答えしていただくことにいたします。  それから國債償還の方の数字につきまして、多少申し上げてみたいと思います。二月末で公債を持つておりますのが、分類表を議会の方に差出してございますが、日本銀行が六百七億、全公債の二三・五三%を持つております。これを買上げますれば、もちろん日本銀行としては、これの見合いに貸出しなり市中の証券を買入れるなりしなければ、信用の收縮になると思います。なお市中は千百六十九億の公債を持つております。ただこのうち二百八十三億は日銀の貸出し——当時二月でございますが、七百二十五億の貸出しの担保に二百八十三億がなつておりますので、これらの部分をそのまま買上げましても、日銀の信用は收縮になりますので、こういう点につきましては、日本銀行の方で信用政策として、再び金融界に還元する。金融界自身が手に入れました資金も、これを産業還元するということがぜひ必要だろうと思います。
  103. 内田常雄

    ○内田政府委員 今年度産業の所要資金につきましては、一昨日ですか、経済安定本部から総合資金の需給見込みとして公表せられております。これによりますと今問題になつております米國の対日見返り勘定千七百五十億のうち、今すでにきまつております鉄道、通信の分が二百七十億あります。これを除いた千四百八十億が完全に使えて、それが直接産業資金として貸出される。あるいはまた公債等の買上げによつて日本銀行あるいは市中銀行に償還される。一旦銀行に返つたものも通貨の收縮をしない限り、また産業界に再び投ぜられるような運命を、われわれは期待しておりますので、この資金を見ますと、大体その他の一般増資あるいは会社の内部保留などを入れますと、四千七百億程度産業資金の供給が可能であるということで計画を組んでおります。この際問題の長期の設備資金としては、理財局長からお話がありました通り、昨年度は大体千百七十五億程度でありましたが、そのうちの大部分は御承知の通り復興金融金庫でありましたが、二十四年度においては経済安定本部が所期する経済復興計画の初年度をまかなうための設備資金としては、現在われわれの見通しでは、最低限千六百億円くらいいるであろう、かように見ております。これの内訳もございますが、むろんこれはまだ最終的なものではありませんが、かりに私どもが作業しておるところによりますと、石炭工業で二百四十億程度資金がいるであろう。これにつきましてはいろいろ問題がありますが、石炭四千二百万トンを掘るためにも、今の石炭というものは坑内、坑外の配分内容があるいは企業が合理化していないから、もつと資金が少くても、四千二百万トンは掘れるというような議論もありますし、その他いろいろの議論がありますが、一應の目算としては今申す程度の供給資金がいると思います。  その次に、鉄鉱業は御承知のように二十四年度においては相当の増産をいたす。溶鉱爐も、今新しく火を入れるということを計画されておりますので、この鉄鉱業関係で九十億程度の設備資金がいる。  それからその次に大きいものといたしましては、電力の関係で、電力の開発あるいは補修資金として四百億程度資金をわれわれは見込んでおります。電力については御承知のように、現在新しい開発に着手しておりますものはございませんで、戰爭以前、あるいは戰爭中から着手しておつた電力増加の分は、おおむねこの春ぐらいまでに完了いたしまして、今後この出力の増加をやるためには、大規模の水力開発地点に着手しなければならぬ。從つて電力の出るのは、これから二年、三年の後になりますけれども、五箇年後の自立経済というものを考えるときには、今年あたりから手を打つて、四百億程度見込まなければならぬ。そうすると今年あたりから大規模な計画をしなければならぬというので、このような大きな数字になつております。  それから船舶の関係でありまして、これが約二百億円ぐらいの資金を要する。さような大きなものを四つ五つのほか、なお肥料であるとか、化学工業であるとか、あるいは機械産業、纎維産業というようなものを合せますと、さらにまた、從來御承知の復金から金を出しまして、農林中金をして貸出しをいたしておりました農林水産の復興金融制度というものがありましたが、その形は復金の貸出しの原則停止となりまして、行われがたいことになりましたが、何らかの形において土地改良とか、農業資金とかいう原始産業方面の長期の設備資金を相当程度出しますと、最小限千六百億ぐらいがいる。かような見込みをもちまして、こ資金見返り勘定の中からも直接に相当に投資されることを期待いたしながら、あるいは預金部であるとかあるいは興業銀行の債券発行限度の引上げ、あるいは農林中央金庫の債券発行増額とか、いろいろな構想を持ちながら、何とかつけて参りたい。かように考えております。  それから集中生産方式の話でありますが、これはむしろ生産局方面からお話を願う方がいいと思いますが、私どもの考えを申し上げますと、集中生産方式は企業合理化、あるいは経済主義の立場から、資材割当等について安定本部が行う建前をとつております。しかしこれと千七百五十億円の見返り勘定からの資金放出する際には、必ずしもこの集中生産が行われる大規模産業だけに、この見返り資金を出すということではなくて、あるいは私限りの考え方でありまして、大藏省方面、あるいはむろん司令部方面とは了解のついておらないこととも思われますけれども、この貸出し方は大きな集中生産をやるものだけにねらい撃ちに貸して行くということをしない、また中規模な産業であつても重要なものには直接貸すという方法をとらないで、たとえば興業債券をこの資金で引受けて、興業銀行を通じて貸出しを行う。あるいはまた農林中金の債券を引受けて、農林中金を通してこの貸出しを行う。こういうことも考えていいのではないか。この金を、集中生産を行う大規模な産業だけにつぎ込んで、へんぱな産業構造を來すということにならないようにすべきだろうと、私どもは考えております。
  104. 風早八十二

    ○風早委員 資金計画全般の御説明として承つたのでありますが、これにつきましては、いろいろ問題がありますから、この際に千七百五十億だけに限つて、私はもう一つだけ伺つておきたいと思います。資金計画の中でも、特に千七百五十億に即して伺いたいと思います。この資金計画の中で資金供給の面は、金融機関からの融資と、政府出資及び政府償還金、直接投資というふうなものもあります。また新規建設公債というものもあります。ことに新規建設公債二百七十億というものがちやんとあがつておる。これでこの供給総額として五千四百五十五億というものがあがつておるのでありますが、この並列してあります各数字は、結局根本におきまして千七百五十億というものが予想通り動かなければ、出て來ないものもあるのではないか。たとえば早い話が、今の建設公債につきましても、二百七十億というものが出ておりますが、これは千七百五十億でこれを引受けることによりまして、できるわけであります。これはその中に入つておるからいいのでありますが、この金融機関の場合におきましても、政府出資及び財政償還金の場合におきましても、——金融機関の場合には、たとえば預金というものが一番中心になると思うわけですが、預金というものにつきましても、その大体の予想額につきましては、たとえば安本関係の御見解と、大藏省関係の御見解とでは、從來とも幅が相当あるのであります。自然そこに何ほどかの水増しという問題も考えられるのでありまして、これらがその予想通りに達成するということにつきましては、やはり千七百五十億円が動かなければ、これは目算の立たないものではなからうかということを予想させるのでありますが、そういう点につきましてどういうことになつておるか、伺いたい。同樣に政府出資並びに財政償還金につきましても、やはり同樣な問題があると思います。また直接投資につきましても、結局七百億というようなことが出ておりますけれども、これはやはり過大ではないかと思うのです。銀行預金の重複勘定といいますか、ひもつき預金といつたようなからくりでやつとこれができ上つておる。こういうものも根本におきまして、この千七百五十億が適当に見せ金として使われて行くというような関係があるのかどうか、こういう点がはつきりしないと、各項目につきまして大分水増しの感を抱かせるのでありまして、こういうふうな非常に大まかな資金供給をもつて、実際に現実にぶつかつてみた場合に、この資金配分が実現するかどうか、これははなはだ疑問になつて來るのであります。そういう点についてもう少し御説明を願いたいと思います。
  105. 内田常雄

    ○内田政府委員 ただいま風早さんからのお話でありますが、もちろんこの資金計画全体あるいは、お話のありました金融機関資金が二百三十億はいるかどうかということは、十分お氣づきのように今度の予算が完全に施行されるという建前でできておるでありまして、その点について今度の予算が、予算としては成立しても動く予算ではないのだ、という頭でごらんになれば、それはこの資金計画通りにはもちろん動かぬことになるでしよう。私どもは今度の予算一つの構想を持つた行き方であつて、ぜひこの予算を動かして参る。具体的にはこの千七百五十億の見返り資金につきましても、やはりアメリカからの援助輸入が現実にあつて、その援助輸入品が賣れて、それに対して御承知の一般会計からの八百三十三億円という輸入補助金も拂い込まれて、またさらにその前提として五千億の税金もとれ、今度の予算の建前は、動くということを前提とする限りにおいては、この仕組みは決して不可能ではない。またこの仕組みが動くようにやるつもりでありますから、御承知を願いたいと思います。
  106. 風早八十二

    ○風早委員 それはもちろんお立てになつた以上、その目標でおやりになることは当然の義務でありますが、お立てになる場合におきまして、最初からもう水増しが予想されるような非常なふくれたものであつては、実際に今度は迷惑する産業が起るのでありまして、そういう意味で私は水増しはこれで大体ないものであるかどうか、特に伺つておるわけです。というのは特にあなたは安本の方ですからお伺いするのですが、安本と大藏省では、予想されております貯金の額というものが、たいへん從來とも開きがあつた。安本の方が少し固いように思う。大藏省の方がきわめて樂観的のように思う。しかし今日預金というものは——私の意見は自然に安本に有利になるかもしれませんが、非常に困難でありまして、もう税金問題では與党の方々も頭を悩ましておられるような現状であることは御承知の通り、それをしいて非常に高い見積りを立てて、そうしてこれはもうできたのだからやるのだということになれば、非常なむりが起ることはもうきまつている。そういう点でむりはないか、水増しはないかという意味で私伺つたので、これは何でもかでもできないというのでなく、できるようにしたいから言つておるのでありますから、そういう意味でひとつお答え願いたいと思います。
  107. 内田常雄

    ○内田政府委員 金融機関の預貯金につきましても、安定本部におきましては、研究過程としてはいろいろ意見もありましたが、この数字は完全に政府として一致した意見でありまして、安本に有利な御発言であつたとも思われません。
  108. 川野芳滿

    川野委員長 風早君に御相談申し上げますが、祕密会でない質問は明日に讓つていただいて、本日はこれで散会いたしたいと思いますが、いかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 川野芳滿

    川野委員長 それではこれをもつて祕密会を終ります。     〔午後四時三十一分祕密会を終る〕      ————◇—————
  110. 川野芳滿

    川野委員長 本日はこれにて散会いします。     午後四時三十二分散会