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1949-03-30 第5回国会 衆議院 大蔵委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年三月三十日(水曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 小峯 柳多君 理事 島村 一郎君    理事 塚田十一郎君 理事 宮幡  靖君    理事 荒木萬壽夫君 理事 川島 金次君    理事 風早八十二君       石原  登君    岡野 清豪君       小山 長規君    佐久間 徹君       高間 松吉君    前尾繁三郎君       三宅 則義君    吉田 省三君       河田 賢治君  出席國務大臣         商 工 大 臣 稻垣平太郎君  出席政府委員         大藏政務次官  中野 武雄君         大藏事務官         (官房長)   渡邊  武君         同         (主税局長)  平田敬一郎君  委員外出席者         大藏事務官   阪田 泰二君         大藏事務官   佐藤 一郎君         大藏事務官   山本菊一郎君         大藏事務官   藤本  哲君         貿易廳事務官  前島 敏夫君         貿易廳事務官  稻益  繁君         專  門  員 黒田 久太君         專  門  員 椎木 文也君     ————————————— 三月三十日  國有鉄道事業特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二四号)  公認会計士法の一部を改正する法律案内閣提  出第二三号)(予) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  財政法の一部を改正する法律案内閣提出第一  三号)  酒類配給公團法の一部を改正する法律案内閣  提出第一五号)  貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一七号)  金資金特別会計法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一九号)  会計法の一部を改正する法律案内閣提出第二  〇号)  昭和二十四年の所得税の四月予定申告書提出  及び第一期の納期特例に関する法律案内閣  提出第二二号)  國有鉄道事業特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二四号)  公認会計士法の一部を改正する法律案内閣提  出第二三号)(予)     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長代理 ただいまより会議を開きます。  財政法の一部を改正する法律案酒類配給公團法の一部を改正する法律案貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案金資金特別会計法の一部を改正する法律案会計法の一部を改正する法律案昭和二十四年の所得税の四月予定申告書提出及び第一期の納期特例に関する法律案一括議題といたしまして、質疑を継続いたします。
  3. 川島金次

    川島委員 議事に入る前に注文があります。本日の大藏委員会はきのう理事会申合せ、ことに委員長の申出によつて、十時半の定刻に開くということをわれわれは押しつけられたにもかかわらず、十時半の振鈴とともに、大分われわれは督促を受けて定刻に参つた。しかるに委員長はいない。なお委員長代理すべき申合せになつておりまする與党理事もおらぬ。こういうことではまことにけしからぬと私は思います。しかもきのうわれわれは十時半の開会を十一時ごろにせよ、こういうことを希望的に申し上げてある。しかるに委員長は十時半だと頑強に主張して十時半にきめた。その定刻におらぬ。いかなる事情があるにせよ、委員長が留守になるときには、それにかわるべき與党理事と連絡をして、委員長代理がいつでも勤まるような態勢を整えておくべきであると思う。本日は理事がおらぬので、理事以外の人の委員長代理をわれわれは承認したのでありますが、こういう例は今後われわれは続けたくないと思います。それを委員長代理前尾君におかれましてはとくと御銘記願つて委員長に嚴重にその旨を通告していただきたいということと、もう一つはどこの委員会もさようでありまするが、定足数がない場合でも質疑等のことにはある程度限度を置いて、お互いに了承し合つて來ております。しかしながら定足数がいつでもなくてもあつてもよろしいのだという慣例をつくるのは、われわれは承服しがたいのであります。從つてそういうことについても今後は、與党委員の方は多数なんでありますから、ぜひとも連日全委員こぞつて出て來ることを私は希望します。そうでなくて定足数がない。しかも法案が重大な場合においては、われわれはその定足数を主張して、大いに委員会の粛正を主張する場合があるかもしれませんから、それをも銘記願いたいと思う。それから最後にこれは私の希望でありますが、一昨日の委員会で私から失業者の問題について質疑をいたしております。その質疑に対しましては後刻報告をするということになつております。その用意がありますれば、質疑に入るに先だつて報告を願いたい。これだけであります。
  4. 前尾繁三郎

    前尾委員長代理 最初二つ事項につきましては私十分了承いたしましたので、委員長並びに理事にお傳えいたしておきます。  あと失業者の問題については、前に労働省の人が來ておりましたが、ちようど間に合わなかつたのだと思いますから、なお催促いたしておきます。
  5. 川島金次

    川島委員 他にも質問者がおるようですから、簡單に私は箇條書でお尋ねをしておきます。  まず第一に財政法改正に関する法律案の中で、第一項の組織別予算目的別予算については、目的別予算はこれを廃止して、組織別的な予算の体系一本にするという考え方なのであります。しかしながら目的別予算廃止をしても、歳入歳出予算総計表として別個に予算に添付する、こういうことになつておるわけであります。私はあえてこれに反対ではありませんが、しいてこういうことに改正をしなければならぬという明確な根拠を、ひとつお聞かせを願いたいことが第一。  第二は部局予算流用を認めようというというのが、第二の改正案内容であります。從來とかくみだりに流れがちであつた流用の適正を期するというのが、この改正案の精神のようでありますが、これに反して部局等の各項の経費の金額を流用するということになりますれば、かえつて濫用のおそれを加えることになるのではないかと思う。そういう点について当局の明快な説明がほしいのであります。  それから第三番目には、目節区分を付さなくても、予算配賦ができるという例示を認めたいというのであります。そのうちで終戰処理費賠償施設関係経費公共事業費等特定経費についてだけ、これを認めようとする例外規定を設けようとするのでありますが、終戰処理費賠償施設関係経費公共事業費等——公共事業費等というのでありますから、これ以外にもそういう目節廃止して、便宜に備えようという考えがあるらしいのでありますが、この説明の中に出ておりまする三項目以外にも、目節廃止して便宜をはかろうという考えを持つておるのかどうか。持つておるとすれば、どの程度までこれを適用して行きたいのであるか。それからもう一つは、どうしてこれらの三項目限つて目節が明らかにできないという事情があるのか。それらの点についてまずお伺いしたい。
  6. 阪田泰二

    阪田説明員 お答え申し上げます。最初お尋ねになりました目的別予算廃止の件でありますが、これについては要するに予算形式をはつきりさせて誤解のないようにする。なおかつこれが実行につきましても、その簡捷化をはかつて行く、こういうことが趣旨でありまして、実質的には從來とは何らかわりがないということであります。大体從來甲一号、甲二号とこういう二つ予算を一冊にして配付しておつたのですが、実際その内容を見ますと、同じ予算目的別部局別の縦横からながめて見たようなもので、実体においては同じようなものであつたのであります。それで予算をいろいろな立場から観察してみるという意味から行きますと、いろいろな分類でながめてみるということは、もちろん適切なことでありますが、形式的な予算として、ことにこれを実際会計当事者が執行して行くという面から申しますと、そういうように同じ事項二つの形の予算に組まれておるということは、非常に手数もかかりますし、混乱を起すおそれもあります。また一体どちらの予算がほんとうの予算であるかという疑問も起ると思います。いろいろそういうところがありまして、今までの二年間こういう予算を実施して來ました実績にかんがみまして、今回これを廃止しようと考えたわけであります。それで実際甲一号の方を廃止しまして、部局別つまり大藏省、農林省というような所管があつて、さらにその中にたとえば主計局とか、主税局とか、銀行局とかいう部局に分けて予算が組まれるわけでありますが、その部局の中に組みます予算の中には、それぞれ款項が分けてありまして、その款項には目的別款項がついております。すなわち行政部費であるとか、産業経済費であるとか、そういうような目的別款項がついたものが、部局別予算の中に組まれておるわけであります。從いましてその目的別款項目に從つて集計して見れば、当然今までの甲一号の予算と同じものが出て來るのであります。今まで甲一号の予算をわざわざ一表としてあげておつたのですが、それが実行上、あるいは予算形式上問題がありますので、これをやめたいというわけでありまして、今までの甲一号と同じものが部局別予算款項を集計して見れば出て來る。從いましてそういつたものを参考表として添付する。こういうような形で全体としての形を簡明にし、施行を簡單にして行こうというのが、今回の改正趣旨であるわけであります。  その次に部局別予算流用の問題であります。部局別予算流用につきましては、從來におきましても同じ名称の項につきましては、部局相互間の流用が認められておりましたわけであります。今回は部局相互間の流用を、ややそれよりも廣くなるかとも思いますが認める。なお項の間の流用も認める。ただこの流用ということは、今まで一般に言われております目節流用とは異なりまして、部局あるいは項を移して予算を使用するというような考え方でありますので、今回は移用というような名称にかえましたが、実態は同じことでありまして、部局等予算を移して使うということを認めておるわけであります。実際こういうような移用の必要が起つて参ります場合は、主として給與関係でございます。たとえば大藏省主計局あるいは銀行局で、それぞれ給與予算が組んであります。その場合にたとえば家族手当等について考えますと、家族手当の額は平均家族数といつたようなもので、單價をはじいて計上してあるわけであります。ところが実際問題といたしまして、その予算実行過程におきまして、ある局の職員の家族がぬえるとか、家族が減るとか、いろいろ支障が起つて参りますが、そういうことが全然調整できないようになつておりますると、予算実行支障を生じて來る。そういう支障が生じないように、非常に余裕のある家族数で、よけいに見積つた予算を組んでおくようなことにいたしますると、部局ごとにそういうふうなよけいな予算を組むと、全体の予算が非常にふくれて來るというような問題がありますので、こういうような場合に備えるために、大藏省なら大藏省の各部局の間で、そういうような経費がある部局では不足する、ある部局では余りがあるというような場合に、これを移して用いることができるようにしたい。こういうようなことが基本的な考え方であります。  それでそういうふうな場合に濫に流れはしないかというようなお話でございますが、これにつきましては第三十三條にございますように「あらかじめ予算をもつて國会議決を経た場合に限り」ということがありまして、あらかじめどういうものについて移用ができるかという制限を、予算自体においてはつきりきめておくということを第一段として考えておるわけであります。その次に從來予算流用につきましては、一定俸給手当でありまするとか、交際費でありまするとか、そういつた費目流用だけは大藏大臣承認を受けなれば流用ができない。そのほかの費目については各省、各廳の長限りで流用ができることになつておりましたが、今回はこれを改めまして、目の流用はすべて大藏大臣承認を取らなければ、流用できないようにかえました。なお節につきましても從前と同樣に一定費目につきましては、各省限りでは流用ができないようにいたしまして、流用関係統制を非常に強化する。これによつて実行上濫に流れることがないように、統制して行きたいというふうに考えておるわけであります。なおこれにつきましては別途御提案いたしまする会計法改正案におきまして、支出負担行為等統制ももう少し從來よりははつきりいたすことにいたしまして、この辺からも濫に流れることを抑制して行きたいと考えておるわけであります。  その次に最後お話のございました目節区分をしないで配賦する場合でございますが、これにつきましては例示的にあげられました終戰処理費賠償処理費、それから連合國財産返還費公共事業費というようなもののほかに考えられるものは、價格調整費でございますが、それ以外に昨年度物價補整特別措置費というものがありましたが、二十四年度におきましてはさような科目は設けないつもりでありますので、これは來年度も必要ないと考えております。大体あげられましたもの以外には、價格調整費がこの場合に例になつて來ると思います。これらの経費につきましては、大体來年度予算の総則にも上つておりまするように、目節区分予算においてはまだきまつていないわけであります。從つてこの予算國会議決を経ますると、それが大藏大臣から内閣に通知され、内閣の方から今度は各省、各廳に対してこういう予算決定なつたという配付があるわけであります。     〔前尾委員長代理退席委員長着席國会できめたときには、まだ目節区分が定まつてなかつたものですから、目節をきめなければいけないということになると、國会が済めばただちに配付するという手続が遅れるわけであります。これらの費途についても事務を早く運ぶようにという趣旨から、今回の改正をいたしたわけであります。これは実質問題としては從來とあまりかわらないのでありまして、予算目節を定めることは大藏大臣の権限になつております。これは各省各廳の長というような資格における大藏大臣ではないのでありまして、要するに予算を扱つておりまする國庫大臣としての大藏大臣予算目節をきめる。目節をきめたものを内閣の方へ通知してやる。内閣はその通知によつて各省各廳に、こういう予算配付になるということを通知するよけであります。今回はその順序を逆に、指定された費目だけについては、目節をきめないままで内閣から各省、各廳に通知して、そのあと実質大藏大臣目節をきめて行くというようなことになるわけであります。内閣からの配付手続をとりあえず簡捷にやつておきまして、あと実質上同じように目節決定大藏省でいたそうということでありまして、実体においては何ら從來とかわりがないということであります。
  7. 川島金次

    川島委員 次に酒類配給公團の問題であります。これはこの法案には直接関係ないのでありますが、この機会に二、三お尋ねしておきたいのであります。最近酒類一般配給廃止し、その分を自由販賣にまわしたいという考え方が、大藏省にあるやに傳えられておりますが、その案がありますればこの機会にお聞かせ願いたい。それから一般配給の停止以後における労務者その他に対する特配の問題は、どういうふうに扱つて行くかということと、第三番目には、明年度酒類造石高を若干引上げ対策があるという話を聞いておりますが、そういう具体策が立てられつつあるのかどうか。あるとすればどの程度に造石しようという方針ですか。それからごく最近における酒税徴收実績をひとつ計数的にあげてほしい。同時にまた酒税徴收年度内に予定予算通りに入つて來るかどうか。その見通しについても説明を願いたい。
  8. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 お尋ねになりました酒類配給公團関係の御質問に対してお答え申し上げます。酒類については御承知通り長く配給制度をとつて参りまして、一昨年から一部特價販賣による自由販賣行つて参つたのでありますが、最近の情勢に顧みますと、一般配給の方は数量相当少くなりましたし、実情から申しましても、むしろこの際特價酒値段は若干引下げて、配給をやめた方が消費の実情に即するのじやなかろうか、こういうことが大体考えられまするので、この際公團廃止と関連いたしまして、酒類一般配給の方はとりやめるという方針で、目下案作成中でございます。ただこの際におきましても、労務配給の方はなおしばらく存続した方がいいのじやないかと考えるのであります。工場、鉱山農村方面に対する特配につきましては、公團廃止後においても存続せしむる考えでございます。ただ一方におきましては、酒税相当歳入を期待しなければならないという事情と、それから一般に販賣する酒類値段等関係考えまして、若干特配数量は減少せざるを得ぬのじやないかと考えておりまするが、前年度配給実績に対しまして、大体二割減くらいのところで配給を続けて行きたい。價格の方も配給の方は原料等で実は生産費用は若干上るのでございますが、これを引上げますと、米のパリテイー等にも影響し、また労働者生計費にも影響がございますので、生産費上つて配給品價格はすえ置きつつ、目下案作成中であります。そういう前提のもとに主税局といたしましては、歳入を全体で六百五十億ぐらい確保する考え方で、目下妥当な一般販賣價格決定すべく、最後の仕上げを行つている次第でございまして、まだ最終の決定に至つておりませんので、價格はいずれきまりました上で、この委員会において決定を願いたいと考えております。それから今の労務特配を残します場合におきましては、公團廃止後は大体切符制配給する考えであります。切符制でありますと、配給が若干円滑を欠くという弊害も最初のうちはあろうと思いまするが、なれて参りますと、何とか円滑な配給ができるのじやないかという見通しにおいて、公團廃止をいたしましても、その方面に対してそんな大きな影響はないのじやないかというふうに考えまして、さような方針目下案を進めているような次第であります。  次は明年度酒類生産の問題でございますが、現在の酒類の供給は戰前に対しまして、まだ全体で三割弱ぐらいの数字でございます。これに対しまして、御承知通り相当農村方面のみならず、最近においては都会の近郊におきましても密造酒がふえている、こういう事態でございまして、この密造酒に対しましては、できだけ取締りを行つておりまするが、何と申しましても、根本はやはり酒類の正規の生産をできるだけふやしまして、値段もあまり高くない値段國民に供給するということでなければ、根本的な対策考えられませんので、私どもといたしましては、食糧事情の許す限りにおいて、酒類の増産をはかることに努力いたしたいと考えるのでございます。そういう考え方のもとに、できますならば來るべき年度におきましても、かんしよ、麦、米等について若干の増加を狙いたいと考えている次第でございますけれども、これはいまだ日本の全体の食糧需給計画がきまつておりませんものですから、本日具体的に申し上げる段階には参つていないのでございます。さしあたり予算に組みまする額は、昨年度と同じ原料を使うものとして予算を今編成いたしております。できますならば、それに対しまして相当数量増加ができまして、値段をあまり上げないで、あるいはむしろできるならば引下げて、酒類需給の緩和をはかりつつ、酒税といたしましても相当な財源を確保するという方向に持つて行きたいと考えておる次第でございます。それから酒税徴收実績でありまするが、これはまだ正確に二十三年度全体の実績は、最終的にははつきりいたしておりませんのですが、昨年の秋以來かんしよの供出割当増加になりまして、酒類生産増加いたしました。増加いたしましたものはおおむね配給にまわしております。從いまして配給の方から來る税の收入は比較的好調でございまして、若干私ども予定したものよりも上まわつております。一般特價酒の方は値段等関係密造酒等関係がございまして、なかなか賣れ行きが思わしくなくて、昨年の暮れごろまでは相当な赤が出るのじやないかと心配しておりましたが、昨年暮れから本年一月にかけまして、相当むりをいたしまして、特價販賣いたしましたところ、この方も大分予算通り落ちつきまして、特價酒の方では若干のあるいは赤を生ずるのじやないかと見ておりますが、予算全体といたしましては、酒税としまして、むしろ相当増收が期待し得るような状況に相なつております。なお三月から十月までの状況はわかつておりますので、後に計数によつてお知らせ申し上げたいと存じますが、大体の概況はさようなことになります。
  9. 川島金次

    川島委員 今主税局長説明によると、明年度酒造計画は本年度わく内で大体やる。多少考えている余地もあるようでありますが、原則として本年度わく内でやる。それで六百五十億の歳入を見積りたい。そうすると端的に申せば、現在のわく内で酒造をやる。しかも今の説明によれば、一般酒類販賣價格を若干引下げたい。こういうことになりますると、原料の方では生産費は若干上つておるのだが、販賣價格は引下げたい。そうして歳入税收の方では上げたい。こういう矛盾した事柄になるわけであります。そういうことになりますと、結論を申せば水増しの酒、すなわち酒精度を落して、いわゆる水増し酒一般に出す、こういうことにならざるを得ない。常識的に言うとこういう結論になるのですが、そういう計画でおるのですか。
  10. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 配給酒類を前年と同じ計画にいたしまして、そうして歳入を六百五十億というような考えをいたしますと、お話のようなことになるのでございますが、一般配給はやめまして、現在の特價酒よりも少し低い、下まわつた値段一般に販賣することにいたしますし、それから労務特配を若干減らしまして、從つてその方面から現在の配給酒に比べて相当増收が出て参りますから、全体といたしましては、私の申し上げましたような結果になると思います。なお具体的には近く提案する際に詳しく申し上げますが、その程度計画でございますれば、さほどむりなく行けるのではないかというふうに考えております。それから今申しましたように、酒類生産費が上りましただけ配給値段を上げるということになりますと、それによりまして、十七、八億か二十億くらい計数違つて來ますが、この方はさつき申しましたように、労働者生計費に及ぼす影響米價等に及ぼす影響考えまして、すえ置いた方がいい。かような考え方計画を進めておる次第であります。
  11. 川島金次

    川島委員 そういうことになりますと、こういうことが言えるのです。なるほど農村労務者鉱山等特配はとりやめない、継続する。しかし一方に一般國民配給をとりやめて、特價酒を若干引下げて、六百五十億の予算歳入を認めようとして行くならば、その販賣格の引下げというものは、きわめて僅少な程度になるということだけは予想されます。そうすると一般國民配給をやめて、そのやめられた國民が今度酒をあがなうときには、相当配給價格よりも上まわつた高價なものを、一般國民が購入しなければならぬという形になる。というのは労務特配農村特配はきわめてこれまた少い。少いので從つて特配以外の酒をおおむね買わなければならぬという結果になる。しかるにその酒は非常に高いものであるということになると、大衆にとつてはそれが大きな負担増になるという結果になる。從つて私は、この機会特價酒を若干引下げると言うのでありますが、從來國民配給に対する價格特價酒を引下げる價格、その具体的な目安はどこにあるかということをお聞かせ願える程度のものであつたならば、この際聞かしてほしいと私は思うのであります。
  12. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 値段の点は先ほど申し上げましたように、まだ最終確定をしていないのでございますが、大体目下研究いたしておりますところを申し上げて、御了解を願いたいと思います。從いまして、後に若干の変更はあるかもしれないということを申し上げておきます。値段のきめ方につきましては、清酒の一級酒あるいは雜酒の高級酒、つまり高級酒につきましてはなるべく引下げ方を少くいたしたい。それから、これに反しまして、大衆の消費しますしようちゆう、それから二級酒というような種類のものにつきましては、なるべく引下げ方を多くしたい。こういう考え方目下案をつくつておりまして、大体のところにおきましては、現在一級酒の特價酒値段が九百七十五円ですから、それを九百二十円くらいに引下げる。それから今年新たに特級酒というものを設けることにしたのでありますが、これは從來の一級酒が一部振りかわるわけですが、それの價格從來より引上げて、千百五十円くらいにしたらどうか。從つて高級酒につきましては、最近の需給状況から見まして、若干引上げるということになつております。そうして二級酒は現在八百十円くらいのものを六百五十円くらいに引下げる。合成酒については七百五十円を五百五十円に、それからしようちゆうについては七百八十七円のものを四百五十円くらいまで引下げる。しようちゆうは特に引下げて一般大衆の用に供すると同時に、この際密造酒の取締りを特に嚴重にいたしたいといふ考え方でございまして、このしようちゆうの自由販賣というものはなるべく下げたいと思います。もつとも從來のしようちゆうの配給値段は大体三百六十五円でございますから、それに比べますと若干上りますが、大体自由販賣値段からいたしますと、相当の、三百円以上の引下げになるわけでございます。さようなことをいろいろ織りまぜまして、全体といたしまして、できるだけ一般自由販賣酒にいたしましても、適正な値段にいたしまして酒類の消費の円滑化をはかるように、努めたいと考えております。
  13. 川島金次

    川島委員 これに対しましては私も意見がございますが、他に質問者があるようでございますから、また後の機会にいたしまして、次にお伺いいたしたいのは貿易資金の関係であります。これは貿易資金法に直接の関係はないのでありますが、この機会にちよつとお伺いいたしておきたい。それは問題のレートの設定であります。これはいろいろ新聞紙上に報道されて、三百四十円説あるいは三百二十五円説等もあるのであります。政府は最近の閣議において何か具体的に決定したかのごとく、われわれ聞き及んでおるのでありますが、そのレートの最終的決定價格はどの程度になつておるか。きまつておるならばそれを報告してもらいたいということと、それからレート設定後における輸出入に対する調整の関係、輸入品に対してどういう調整をするか、輸出品に対してはどういう調整をするか、輸出入ともに調整がなくてレート一本で進んで行くのかということであります。  第三番目には、このレート設定の場合においてわが國の輸出産業に及ぼす影響、言いかえれば輸出産業がどの程度整備をされなければならぬような結果になるか、こういうことをまず第三番目にお伺いしたい。  第四番目には、この法案によりますと資金が非常に不足を生ずるので、この法案が出て参つたのでありますが、この資金不足の具体的な詳細な説明が欠けております。その事柄についてもつと詳細に説明をしてもらいたい、これが五番目であります。
  14. 稻益繁

    ○稻益説明員 ただいま御質疑ございました最初の三つの問題は、非常に根本的な問題でございまして、私本日この場で御納得の行くような御説明は申し上げかねるかと思いますが、現在までにわかつておりますことを、簡單に一應御説明申し上げたいと思います。  第一の一本レートの問題でございますが、現在のところ政府としてレートの決定的な問題はまだ何ら考慮されておりません。大体の作業の基準として、いろいろ輸出補助金あるいは輸入補助金というような関連いたします問題について、計算の基礎として作業をいたしておるにすぎないような段階でございます。從いまして第二の補助金の問題にしても、ある仮定のレートにおいてこの程度の補給金ということを考えておるだけでありまして、現在のところまだ決定的な一本レートと補給金の額というものは決定いたしておらない、かように承知しております。  第三の御質疑のございました一本レートの場合の輸出産業における影響でございますが、それぞれの仮定いたしましたレートにおいて、輸出産業がいかなる影響を受けるかということを、やはり同じように仮定をもととして作業をいたしておるのでありまして、たとえば三百三十円というようにレートがきまりました場合に、輸出産業としてはほば五割ないしは五割五分程度が行けるという、数字的な結果が出ておるにすぎないのであります。  第四の資金計画の詳細でございますが、お手元に差上げてございます昭和二十三年度貿易資金計画表、二枚の表でございますが、これによつていささか詳細に御説明申し上げたいと存じます。第一表に掲げております左側の欄の当初計画は、前回の昨年の十一月の國会で御審議いただきました百億限度拡張当時の資金計画でありまして、当時の貿易の見通しをもととして作成した資金計画であります。その定時の予想としては輸出物資の買上は年間五百九十億、國有纖維の加工賃が三百十八億、CPO納品買上げ、その他貿易外の支拂いが三十九億、輸入の諸掛が八十六億、原材料貿易公團の保有いたします資金が九億七千万、進駐軍の円ドル交換用の回轉基金が五十億、総計千九十五億を支出の予定といたしておつたわけであります。これに対してその後の事情の変化によりまして、右の欄にございますように改訂計画後においては、輸出物資の買上げが若干増加いたしまして六百二十六億、纖維加工賃は錦花の輸入の減少その他がございまして、二百二十二億に減少いたしております。その他CPO納品買上げ等を含めました貿易外で二十九億、若干減少をいたしております。輸入諸掛八十九億、その他若干の出入りはございますが、総計いたしまして拂出しの合計額においては、当初の計画と改訂計画におきましては、わずか二千万の相違にすぎない状態であります。ただこれに反しまして受入れの方でごらん願いますればわかりますように、輸入物資の賣却が九百十三億を予定いたしておりましたところ、改訂計画においては今日判明いたしまする限りにおいて、輸入物資の当初予定が相当減少いたしまして七百八十六億の受入れと、そのほか資金のこういう逼迫した情勢に対應いたしまして、手持ちいたしております輸出物資の國内放出を司令部に懇請いたしまして、現在までその資金回收が可能になつておりますものが約六十億、それを合計いたしましてほぼ八百六十二億の受入れ総額になり、総体といたしまして拂出しの方においては、当初計画とほとんど大差ないのでございますが、受入れにおいてほぼ五十億の資金不足を來したということが、今度の五十億の借入限度拡張の原因である、かように御了承願いたいのであります。簡單でございますがこれで一應御説明を終ります。
  15. 川島金次

    川島委員 ついでにお尋ねをしておきたいのですが、一本レートの問題はわが國の経済安定復興の上にとつて、非常に重大な問題である。國民関心の焦点になつておるのですが、一説によれば一本レートの設定実施を四月にするという説、あるいは秋になるであろうという説もある。この関係をめぐつて國内の産業関係者はもちろん、一般企業に携わつておる労働階級にとつても、重大な関心事であるのであります。それが政府においてすでに昨年から一本レートの計画作業等をいろいろ進めておるのであります。しかもその筋との折衝の上においていろいろの事情があつて、いまだ決定の運びになつておらぬということは想像されるのでありますが、この問題が早急にきまる、きまらぬということは、ひいと日本の國内の産業及び労働大衆にも、大きな不安を抱かせておるような事柄である。そこで政府はどういう方向でこれをきめて行くのか。そうしてきまるとすれば、いつごろこの問題が正確にきまるという見通しを持つておるのか。そういうことについての見通しについてあなたが御承知であれば、この機会お話を願いたい。もしあなたにできなければ、しかるべき責任のある大臣なりにこちらに出ていただいて、明確なそういつた問題についての方針なり見通しなりを、この委員会において説明を願いたいと思う。
  16. 稻益繁

    ○稻益説明員 ただいまの問題は先ほど申し上げましたように、非常に大きな根本的な問題でございまして、私としてはこの場で何とも御説明いたすような資料も何も持つておりません。
  17. 川島金次

    川島委員 さだめしそういうことであろうと思いまするが、この問題はきわめて重要であり、今後の貿易資金計画について密接な関係がある問題でありますから、この法案を審議するにあたりましても、私はきわめて看過のできない重大問題であろうと思いますので、この法案の審議の必要上、関係責任大臣が本委員会に出席されまして、その点についての詳細な説明を願いたい。それに基きまして私その他の関係委員から、それぞれ重要な問題でありますから、質問があろうと思います。どうぞ委員長におかれましては、早急にこの委員会に、これに関する責任大臣の出席を求められまして説明されるよう、勧告を申し上げておきたいと思います。  さらに続いて御質問を申し上げます。次には第四番目に金資金の関係であります。この金資金につきましては、わが國が一本レート為替によつて、國際的に一本立ちになる前提になるのでありますが、それとともに將來必要となるのは金資金の問題であります。この金資金については現在政府はどのくらい保有しておるのか。それから買上げ價格は現在一キロあたりどの程度であるか。拂下げ價格はどのぐらいの程度であるか。それから現在の國内における資金の状況、將來の見通し、年産どのぐらいの産金の現況になつておるかどうか。それから政府は將來この産金事業についてどのような計画を持つておるかということをお尋ねをいたしたい。
  18. 藤本哲

    ○藤本説明員 お答え申し上げます。第一点の、金資金特別会計の現在持つております金の額をお答え申し上げますと、ただいま手元にございます資料は本年二月末の資料でございますが、数量はあまり大きくございませんで、二トン三百三十三キロであります。それから第二点の買上げ價格及び拂下げ價格の問題でありますが、これはこの前の議会におきましてもお答え申し上げましたように、金は現在グラムを單位にしまして、グラム買上げ價格が三百二十六円、政府がこれを拂下げます價格も、同價格の三百二十六円になつております。第三点の産金の現状並びに將來でありますが、終戰以來産金につきましては政府として極力増産をするように、努力はいたして参つたのでありますが、まだ意にまかすような増産ができておりませんが、終戰以來の金の生産状況を一應申し上げますと、昭和二十年が、これは終戰前からの関係になつておりますが、三トン九百九十四キロ、二十一年は非常に落ちまして八百六十六キロ、二十二年が二トン五十五キロ、二十三年、昨年は三トン三十五キロ、こういう数字を示しております。さらに今後の資金の見通しにつきましては、ただいまお話のございましたように、遠からず一本為替がきまりますと、金が國際決済手段として非常に重要性を持つて参ります関係もございまして、政府としてはこの機会に一層金の増産をはかりたいという考えを持ちまして、商工省等と打合せまして、できますならば昭和二十四閣度の國家資金計画におきましても、産金事業に対する資金の割当等が相当できますように努力しておりまして、これは目下進行中でございますが、金につきましては極力民間業者とも連絡いたしまして、その増産方策を目下考究中でございます。具体的な問題を申し上げますと、実は戰時中金鉱業整備によりまして相当整備されまして、休止されておつたところの鉱山を復元しようというもくろみがございまして、昨年以來すでに北海道においては一箇所復元に着手しておりますし、來る年度におきましては、伊豆並びに九州方面において二箇所ほど復元に手をつけたい、こういう話がございまして、業者の方並びに政府当局といたしましても、ともに手を取合つて、できるだけ金の生産に力を入れたい、こう考えております。
  19. 川島金次

    川島委員 他に質問者がおありでありますから、もう一点だけお伺いして私の一應の質問を終りたいと思います。主税局長が見えておりますので、この機会にお伺いいたしたいと思いますが、それは予定申告の時期を延ばすことになつたようでありますが、この予定申告については、六月になると記憶しておりますが、この六月の予定申告を行い、そして順次納税の時期を三回に分けて行くのでありましようが、最近この予定申告、ことに最後の確定申告に対して更正決定を行う場合に、どうも天くだり的な傾向がきわめて強いのです。たとえば都会地における営業者の同業組合等に対して確定申告をさせて、それに対する税務当局が更正決定をする場合に、機械的に、一律的に予定申告に対する仮更正の價格に対して一万円とか三万円とか、平均的に、機械的に、天くだり的に更正決定をする。こういう傾向が全國的に強いのであります。しかもその上に、税務当局がかつてに專断的に行います確定申告に対する更正決定額に、いわゆる加算税を課して來る。かつてに天くだり的にきめて税額に対して、納税者に税金をかけて來る、税の上にまた税をかけて來る。こういうことが法律上一應できるという形にはなつておりますが、私はこういう問題は相当政治的に取扱うべき性質のものであろうと思います。その更正決定が、これはどこから押しても間違いのない査定であり決定であるというならば論外であります。しかしながらそうでないことが非常に多いという実情は、主税局長もよく想像されておると思うのであります。そういう問題に対して一体大藏当局は、各税務署に対してどのような指導方針をとつているのか、これについて主税局長考え方を御説明願いたいと思います。
  20. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 今回提案しております法律案は、実は所得税法律につきましていろいろ研究中でございますので、さしあたり四月の申告及び納税を六月に延ばすというだけの法律案でございます。從いまして後刻さらに申告の時期、納期等につきましては成案を得まして、本年度どうするかという法律案を別途にお出ししまして、御審議を煩わすつもりでございます。今回出しましたのは、さしあたり納期が迫りますので、それを二箇月だけ延ばすというだけの法律案でございますので、その点御了承願いたいと思います。最も重要な問題は、お話の更正決定の問題であろうと思いますが、所得税法の建前から申しますと、川島委員承知のように、実はすべて申告によるという建前に相なつております。予定申告といい、確定申告といい、すべて税法の規定に從いまして、納税者が自分で所得を計算し、税金を計算し、申告して納める。実はこれが所得税法の根本的な建前でありまして、本來はそれによるのが本筋なのであります。税法の趣旨もそういうふうに行くべきものなのでございまするが、ただ残念ながら、実はまだ税法の普及徹底が十分でないということ、それから税金が相当高いとか、その他いろいろ理由があろうかと思いまするが、申告の状況は実は私どもいろいろ調べてみますと、相当不足しておるのが現状でございます。もつとも昨年度は、農業所得等につきましては、標準率を公開いたしまして、申告の指導を相当活發にいたしました結果、ところによりましては、申告だけで済んだ地方が多数ございます。たとえば北海道のごときは、相当多くの部分が申告だけで納税を完遂いたしております。東北、北陸等にもそういう地方が大分ございまするが、しかし全体として見ますると、なかなか申告が思う通りに出て來ないのが現状でありまして、一月の確定申告におきましては、営業者の申告は、大体私どもが予想いたしました税額に対しまして、三割強、四割弱と言いますか、——その程度の申告しか出ていない、こういうのが、状況でございます。そこで私どもとしましては、平素から極力申告によつて納まるということを本位として宣傳し、今後におきましても、さようにして行かなければならぬと考えておる次第でございますけけども、これも一挙にしてなかなかそういうわけにも行くまいということも考えられますので、平素からいろいろ税務署は調査いたしておるわけでございますが、この調査に基きまして、実は更正決定をせざるを得ないという実情でございます。できますならば、將來におきましては、ほとんど納税者の七、八割までは申告だけで税金が納まつて、わずかの人について丁寧に調べ上げまして、更正決定をする。こう行きますのが実は理想だと私考えております。これを計画的にやつて参りたい。どうも現在の状況から見ますと、一挙にそこまで行きますのは困難でございます。ことしは昨年よりも、來年はことしよりも、さ來年は來年よりもよくするというような方法で、さようなところにもつて行きたいと思いまするが、最近の状況から申しますと、なかなかそういうことに参りませんで、むしろ原則と例外がやむを得ず轉倒せざる得ないという実情でございます。そこでこの更正決定につきましては、納税者の実態をよく調査いたしまして決定するようにということを、極力やかましく言つております。実額調査と言つておりますが、納税者の実態について実額調査をやりまして、それについて更正決定をやるように言つております。しかし何しろ数多い納税者につきまして、時期も早く決定せざるを得ないという先ほど申し上げましたような状況でございますので、それを放任いたしますと、実は歳入が遅れてしまうということになりますから、どうも確定申告に対しましても、二月末ごろまでには何とか決定せざるを得ない。そうしますと、調査期間がやはり三月かそこいらしかないという状態でございまして、全部納税者につきまして、実額調査をすることは、なかなかむずかしいというのが現状でございます。しからば決定を延ばすということになりますと、これまた大きな歳入欠陷を生じますので、これも私ども理想でないと考えておるのでございますが、極力與えられた期間内におきまして、ベストを盡して実額を調べ、実額を調べたものに基きまして、さらにその実額調査のできなかつたものにつきましては、按分権衡等の方法によりまして、適当なる額を檢討して、それによつて更正決定をやるようにということで、指導いたしておる次第でございます。遺憾ながら現状は納税者の側におきましても、帳簿がなかなかはつきりしていない人が多数ある。それから税務署もなかなか熟練した官吏が十分でない。こういうことからいたしまして、非常にうまく行つておるどころか、相当直すべく点があるようにも見受けられます。しかしながら現在の段階におきましては、さようなことで推し進めませんと、歳入の確保がなかなかむずかしいということになつておりまして、これは年を追いまして改善を加えて参りたいと考えておりますが、さような考え方で與えられた期間内にベストを盡して課税の公正を期して、それによつて徴收の確保をはかつて行こうという考え方で、指導をいたしておる次第でございます。その際におきまして加算税の問題がございましたが、さつき申しましたように、所得税は元來申告で納むべき税になつております。実は一月の確定申告の際に、全部の税金が納まるべきはずだという税法の建前に相なるわけであります。從いまして税務署が調べまして実際の申告額と違う決定をした場合につきましては、その差額につきまして申告すべきものが漏れておつたということになりまして、その部分は初めにまじめに納めた人と不権衡になりますし、またそれを放任しておきますと、納税促進になりませんので、遅れただけやはり加算税をつけまして、それによつて一面におきましては極力申告で納めるようにすると同時に、遅れたことに対するそれだけの金利的な負担をかける。かような考え方に相なつておるわけでございます。ただ追徴という制度がもう一つございますが、この方は現在の状況からあまり嚴重に行きますのは、妥当を欠く点がございますので、この方につきましては、若干運用で法令の許す限りにおきまして適切な措置をとるように、指導いたしておる次第でございます。大体今さような考え方で指導いたしておることを申し上げまして、御了解を願つておきます。
  21. 川島金次

    川島委員 この問題は非常に重大な問題なので、いずれこの問題についてもつと掘り下げた意見も述べたいと思うのでありますが、この機会は省略しておきます。  最後一つお伺いしたいのは、政府は——と言うよりは民自党は総選挙を通じまして、われわれも同樣主張して來たのでありますが、今日の所得税の問題が往々にして國民の経済生活の実体にそぐわない。税が生活費に著しく食い込んで來るという破綻的な税になつて來ておる。そこで國民経済の均衡をはかり、大衆の最低生活を保障するという意味合いにおきましても、ことに所得税改正をはかつて大衆の負担を軽減するということを主張して來たのであります。そこで政府は二十四年度においてこの税制の改正を実現するということを國民に公約して参つて來たので、おそらく政府においても、その事柄について努力をいたしておるのでありましようが、未だに具体的な税制改正に関する内容がわれわれには傳わつて來ておらない。事務当局においてこの問題についてどのような研究をされておるのか。そして所得税改正を二十四年度に早急にやる計画をもつておるのか。やる計画をもつておるとすればその内容はどういう程度であるか。ことに所得税の基礎控除の引上げ、あるいは扶養家族の控除の引上げ、あるいは勤労控除に対するところの税率の問題等々いろいろあろうと思いますが、そういう事柄についての具体的な研究が進んでおるのならば、この機会説明を願いたい。  最後でありますから一括して御質問申し上げますが、今後一般の納税者の納税を簡便にしてやろうという趣旨のもとから、政府は納税証券というようなものを発行するというふうに新聞は傳えております。その計画があるかどうか。  それからもう一つは最近の新聞紙上によりますと、いわゆる脱税者の通報制をもつと廣く活発に活用いたしたいという趣旨のもとから、通報者に対する報奬金と言いますか、奬励金と言いますか、それに対しては從來は最高二十万円と私は記憶しております。それを五十万円くらいに引上げて通報制の活発な活用を期したい。そして大に脱税所得を徹底的に捕捉したい。こういう考え方があるように聞いておるのでありますが、そういう計画が現在あるのかどうかということと、さらに第三番目には、私どもの調査と政府の調査、ことに安本及び大藏省の調査によりますると、昭和二十三年度國民配分所得におきまして、被課税所得というものがおおよそ一兆五千億ほどあるように、私は記憶いたしておるのであります。ところが最近読賣新聞の紙上で私は瞥見をいたしたのでありますが、その非課税所得というものは脱税ではないという直税課長かたれかの名前において、ある種の投書欄に対して明言をしておるのであります。ところが一方私が昨年手に入れました大藏省の責任によつて発行しておりまするところのパンフレツトによりますと、昭和二十二年度においてさえもおおよそ一兆八千億の脱税がある、こういうことを明記しております。從つて二十三年度をわれわれは通算いたしますると、どういう計算を立てましても一兆以上の非課税所得がある。非課税所得があるうちの大部分とは申し上げませんが、大体半分以上の額というものがいわゆる脱税所得であるということは、想像にかたくないのではなかろうかと、私は数字の上から見てとつておるのでありますが、この事柄に対して大藏省は一体どういう考え方を持つておるのか。一方においては非課税所得というものは脱税ではない。ところが一方大藏省の名前を書いたパンフレツトにおいては脱税だということを言つておりまして、まことに明確でないのであります。私どもから言いますと、非課税所得の大部分に近いものは、私は脱税所得だということを推定いたしておるのでありますが、主税局長はどういう考え方でおりますか。その点をひとつ最後に詳しく説明してもらいたい。これで私の質問を終ります。
  22. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 税制の改正につきましては、大藏省におきましても税制審議会を今年の初めに設けられまして、所得税、法人税等につきましていろいろな研究を実はいたしたのでございます。いろいろの研究をいたしまして、一方歳出等の状況もにらみ合せつつ、極力その実現をはかりたいということで、私どもとしましてはいろいろ突きとめて参つたのでありますが、どうも歳出がなかなか捕捉できないような事情もございまして、税制改正の問題はしばらく今後の研究にゆだねることに実は相なつたのでございますがこれは近くアメリカからもその道の專門家が見えるらしくて、そういう際に私ども今まで研究しました結果、あるいは今後におきましてもさらに適切な研究を重ねまして、極力税制の合理化をはかるべく努力いたしたいと考えておる次第でございます。  それから納税証券の問題につきましては、そういうことも研究いたしておりまするが、いろいろ研究してみますると相当手数の点もございまして、はたして実効が上るかどうかにつきましても、まだはつきりした結論を得ておりません。なお今後におきましてもよく研究してみたいと思つております。ただ納税証券の制度だけについては、これは比較的手軽にできますので、ぜひ実現をはかりたいと思いまして、目下法律案の準備をいたしておる次第でございます。  それから報奬金の問題につきましても、税制改正の問題等に関連いたしまして、昨年二十万に上げたのですが、もう少し引上げた方がいいかどうか、目下研究中でございます。  最後國民所得と課税所得の問題につきましていろいろ御意見がございましたが、これはなかなかむずかしい問題で、あるいは簡單に行かぬかと思いまするが、概括的に申し上げますると、私も脱税があるという事実は認めておるのです。率直に認めまして調べましたところによりましても、相当大きな脱税もあるようです。昨年査察簿をつくつたのですが、一億円以上一会社で拔けておつたという例もございます。從いましてそういう向きに対しましては、私どもは勤労者その他農業者等まじめに納めていただいておる現在におきましては、できるだけ調査を徹底いたしまして徴税を確保するつもりでございますが、ただ國民所得と課税所得の單純な比較からいたしまして、その全部が脱税所得、しかも大口の脱税所得だというように認定しておられる向きがあるようでありますから、それは私どもとしましてそういう見解はとりにくいということを実は言つておるだけのことでございまして、どこに幾ら脱税があるかということがはつきりわかれば、話は非常に簡單でありますが、なかなかそうわからないところにこの問題のむずかしさがあると思います。從いましてこの問題はまた適当の機会に、少し御説明申し上げてもよかろうと存じますが、今日はさようなところで一應終えさしていただきたいと考えます。
  23. 川島金次

    川島委員 最後に一言税制改正はそうすると当分やれないということに理解してよろしゆうございますか。やるとすれば一体いつごろやられるのかそれを伺いたい。
  24. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 結論を得次第なるべく早くやるということに相なるかと思いますが、歳出の状況その他もにらみ合せて、結論を下さなくちやならぬということに相なりますので、今この席で私から何月ごろできるだろうということまでは、申し上げにくいことを御了解願います。
  25. 川野芳滿

    ○川野委員長 荒木萬壽夫君。
  26. 荒木萬壽夫

    ○荒木委員 私は遅れて参りまして、他の委員の御質問のあつた点と幾分重複する点があるかと思いますが、簡單にひとつお尋ね申し上げたいと思います。まず財政法の一部を改正する法律案でございますが、その改正の第一点として目的別予算、すなわち甲一号を廃止するということに相なつておりますが、目的別予算及び組織別予算一号、二号を合せまして、國会予算の審議が完璧を期せられて、今日に至つておると思うのでありますが、目的別予算すなわち甲一号をなぜこの際廃止せねばならないかということが、提案理由だけでは十分納得が行きませんので、もつと具体的に御説明を願いたいと思いますことが一つ。  さらに第二の改正点になつておりまする予算流用規定の改正でありますが、各項の流用は旧憲法時代といえども禁止されておつたと承知いたします。この各項の流用をどういう理由でまたこの際認めねばならないか。もとより予算で決議をしました場合にということになつておりますが、そうしますならばあながち流用のことを特に認める意味での改正は、必ずしも必要でないようにも思います。この点に関しましてさらにもつと具体的に、御説明をいただきたいと思うのであります。
  27. 阪田泰二

    阪田説明員 目的別予算廃止いたします点につきましては、先ほどお尋ねがありまして一應御返事申し上げたわけでありますが、一應御説明いたしたいと思います。從來甲一号、甲二号というように予算がわかれていたのでありますが、これは実質的には同じ予算目的別の面からながめたもの、部局別な面からながめたもの、こういうものが出ておつたわけであります。それで実際問題といたしまして甲二号の方を見ますと、甲一号の方も自然に出て來るという形になつておるわけであります。それは甲二号の方が部局別でありますが、部局の中に産業経済費行政部費公共事業費とかそれぞれの事項上つておりまして、そういうものを集計すれば当然甲一号の予算はできる。ただ集計するのに手数がかかるわけでありますから、そういう形になつていたわけであります。今回も甲一号は廃止いたしますが、そういうもので集計いたしました甲一号と同じものを参考としてお配りする、こういうように考えておるのであります。それで廃止しました理由は、要するにそういうような同じ予算二つの形で出て、どちらがほんとうの予算かわからないという、予算の観念としては非常に不明確な点があるし、それの実行上におきましても、予算二つもあるものですから非常に手数がかかる。予算実行あるいは決算の処理という点において、今までいろいろ支障が起つて参りましたので、その辺を考え事務を簡捷にいたしたい、こういうところが今回の改正の要点であります。  それから項の流用の問題でありますが、これは先ほどもちよつと御説明申し上げておいたのですが、部局流用從來からも認めておつたのですが、項の流用を認めることにいたしましたのは、やはり同じようなことでありまして、ことに今回は部局別予算に統一いたしましたために、特にこのような問題が出て來たわけであります。例を申し上げてみますと、たとえば農業省に農政局という局がありますが、その局の経費の中にはちよつと名前が合うかどうかわかりませんが、農村振興費とかあるいは農業改良費というような項がある。いろいろそういうふうな項がたくさんあるのですが、その各項に農林省農政局に勤めておる人の俸給とか、家族手当とか、勤務地手当のようなものが入つておる。從いまして一方で支弁されておりまする職員につきまして、家族の数が予定以上に多かつたので、家族手当予算が足りない、他方では余つておるというような場合には、これの流用を認めませんと、どうしても予算実行ができない。それを予想して家族手当等を非常に多額に見込んでおくということになりますと、予算全体として非常にふくれてしまう。そこでどうしてもその辺のところは彈力性を持たしておかないと、予算実行が実際問題としてできないということに相なるわけであります。御承知のように二十三年度予算におきましては、行政共通費という事項がありまして、これによりまして所管全体としてそういうようなところの調整をやつておつたわけであります。ところが今回は甲二号だけにしまして、部局別ということに決定いたしまして、あらゆる経費部局別にはつきりと計上することになりましたので、その関係からも流用が特に必要になつて参つたという状態であります。
  28. 荒木萬壽夫

    ○荒木委員 次に酒類配給公團法改正する法律案につきまして、これまたあるいは重複することがあるかとも思いますし、かつまた先ほどの川島委員の御質問に対する御回答によつて、非常に明らかになつたわけでありますが、念のため簡單にお伺いいたしたいと思います。今までこの公團がありまするために、資金繰りが非常に円滑に行きまして、いわばそのおかげをこうむりまして、酒税の怠納も着々減つて來るということになつておりましたし、かつまた運賃諸掛りあるいは自減り等の負担等も、その公團がありまするがゆえに滯りなく、支障なく決済ができておつたように承知いたしております。そういうことでこの公團廃止される前提のもとに、七月一日まで存続させようということのようでありますが、廃止されました後の受入態勢がどういうふうになるか。資金の面におきましても公團があつたときと同じように行きますれば、資金に関する限りは一應問題はないのでありますが、聞きますると受入態勢に関しましては、種々御檢討中ということですが、独禁法その他の関係で、なかなか思うように行かないとも拜聽いたしております。そういうことに関しまして現在大藏当局において、およそどういうふうな構想を持つておられるか。資金調達についても支障のないようにやられる見込みがあるかどうかという点について、お伺いいたしておきたいと思います。
  29. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 今御指摘の点は、実は公團廃止と関連して、私ども一番苦心いたしておるところでございます。今までの公團は御承知通り酒類値段の中で、八割くらいは税金だという非常に大きな税がかかつておるわけであります。從いまして資金の回收がうまく行かなければ、業者はうまく行かないと同時に、政府の方も困るということになりますので、この機能をいかにして廃止後におきまして円滑にやるかということにつきまして、実はいろいろ研究いたしておるのであります。問題は結局大都市方面におきまして、荷受機関のしつかりしたものができるかできないかということに、大体帰着するのではないかと思つておりますが、荷受機関の確実なものができますと、大体において今のところはやつて行けるのではないかという見通しをつけております。從いまして荷受機関につきまして、独禁法との関係もございまするが、場合によりますれば若干の例外的措置をやつてもらいまして、できるだけ確実な荷受機関をつくりまして、それによつて御指摘のような心配のないようにいたしまして、公團廃止後に対処いたしたい、さように考えておる次第でございまして、なお具体的なことにつきましては、さらに成案を得ました上で、御説明をいたしたいと思います。
  30. 荒木萬壽夫

    ○荒木委員 大体今の御説明で一應了解いたしますが、受入態勢を整備しまするについての成案を得られまして、その間に受入態勢はこれで十分だという見通しがついてから、この法案を審議してもいいように思うのでありますが、そういうことに関しまして、もつと提案の時期を延ばすというようなことにはなぜできないか。この点をはつきり御説明願いたいと思います。
  31. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 私どもの見通しといたしましては、何とかやつて行けるのではないかという見通しで、目下いろいろ具体案をつくつておりますが、それによりますれば、その心配はそう大きくなく実現できるという見通しのもとで進めておりまして、公團廃止の問題は全体の問題に関連しまして、今の政府といたしましては重要な政策の一環になつておりますので、極力私どもといたしましてもその線に沿いまして、円滑に行くようにいたしたいと考えております。案の方法といたしましては、大都市におきまする卸賣機関は、実は今も免許制になつておりますが、この免許制の運用を適当にやつて、大都市等におきましても卸賣業者の濫立を避けまして、相当確実なものに限定して免許する。その卸賣機関は、場合によりましては酒税の一部を徴收するというようにいたしまして、相当信用を付與する。そうしますと遠方の製造業者も、安心してその卸賣機関と取引できる。そういう取引機関ができますれば、小賣の方からも資金の回收が確実に行くことに相なる可能性も十分にございまするし、それによりますると遠方から酒を送るにしましても、それほど不安がなく送れる。それによつて業者の資金の回收はもちろん、税金も何とか納め得るのではないか。目下そういう方向で成案を急いでおります。從いましてこれは非常に問題があるところでございますが、見通しといたしましては何とか解決可能ではないかと考えておりますので、さしあたり三箇月延ばすことにいたしておりますが、そのあと廃止できるのではないかというように見ておる次第であります。
  32. 荒木萬壽夫

    ○荒木委員 一應これで打切ります。
  33. 島村一郎

    ○島村委員 これは前に御質問があつたかと思うのでありますが、もし御答弁が済んでおりましたら御答弁を必要といたしません。公團廃止後の出荷の状況につきまして、何か懸念するような向きがあるようでありますが、このことに対して見通しを伺いたい。
  34. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 出荷につきましては今申し上げましたように、大消費地に出荷することにつきまして一番懸念があるわけであります。現在は公團がございまするので、公團に賣りさえすれば安心して賣れる。資金も確実に回收できるわけでありますが、今後は大消費地に関しましては、しつかりした卸賣機関がないものですから、はたして取引が確実に行くかどうかということに非常な不安があるのであります。從いまして先ほど申しましたようなことでやりますれば、何とか不安なく取引ができるのではないか。最初のうちは若干の混乱と申しますか、摩擦は避けがたいと思いますが、なれて來ますれば何とか行くのではないかというような見通しをつけております。
  35. 川野芳滿

    ○川野委員長 それでは午前中はこの程度にいたしまして、午後はまことに休憩時間が短かくて恐縮でありますが、午後一時まで休憩して、一時から再開いたしたいと存じます。なお午後はほかの委員会との関係もございますので、第二委員室において再開いたしたいと存じます。御了承願います。     午後零時三十一分休憩      ━━━━◇━━━━━     午後一時四十七分開議
  36. 川野芳滿

    ○川野委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  午前中よりの質疑を継続いたします。
  37. 風早八十二

    ○風早委員 財政法改正案についてお伺いしておきたいことがあります。いろいろな御質問の中でも大体出ておつたのでありますが、今度目的別をやめて、組織別一本にして編成して行くという形の問題のようでありますが、実は非常にこれは大事な問題なのです。いろいろその理由は述べられたのでありますけれども、はなはだその理由が貧弱でありまして、私どもは目的別予算というものの意義は、國民の側から言いまするならば、非常に大事な問題だと思うのです。一應政府の立場としては、組織別のわけ方だけで、それで事は足りるかもしれませんが、目的別がはつきりしておらなければ、どういう目的にそれが使われるかということが、きわめて不明瞭になりはしないか。いろいろまた不必要な誤解その他も生れて來ると思うのであります。これにつきまして政府は、一應目的別についても資料としてこれを添付するというお話であります。しかしながらその場合の目的別の資料というものは、これはどういうふうな性質を持つ資料であるか。われわれはこの組織別の資料に対して要求し得るいろいろな責任問題、これを今度出される資料としての目的別予算に対しましても要求してよいものであるか、こういう点についてちよつと御質問したいと思います。
  38. 佐藤一郎

    ○佐藤説明員 ただいまの点についてお答えいたしますが、今までたびたびこの問題は御質問がありましたので、私から少し詳しく申し上げておきますが、御承知のように旧憲法の時代におきましては、從つて会計法のもとにおきましては、予算目的別だけで編成せられておつたのでございます。それが新憲法に基きまして、附属法規として財政法が制定せられました際に、新たに目的別予算のほかに、部局別予算というものを併立されておくことにいたしたわけであります。なぜ部局別予算というものを置くことを考えたかと申しまするに、從來目的別予算だけでは事柄の目的ははつきりするが、しかしそれは一体いかなる役所の部局が使つて、そしてその責任はだれが背負うのであるかという、いわゆる実行面における責任というものが、明確にならなかつたうらみがあるのでございます。そこで財政法におきまして、この目的別のほかに、部局別予算というものを立てたのでございます。しかしながら、それをさらに檢討いたしてみますると、その部局別予算目的別予算は、実は一つのものなのであります。言いかえますと、目的別予算部局別予算の集計を表わしたにすぎない。数字的にはその結果であるのであります。実際の操作もまたそういうことになつておるのであります。ただ從來目的別の間に部局別の表現がはさまつたために、目的別の総合的な数字が早くつかめないというだけのことで、目的別予算を別に立てておつたのであります。しかし考えてみますると、予算というものは二つある。どつちがほんとうの予算なのであるかという点になりますと、はつきりしないのであります。そこでこの際予算というものは、ともかく形式部局別予算に限る。そしてこれをすべての予算の観念の中心に持つて行く。これは從來のように予算の編成というものを通じただけで、実行が監督できるという次第でありませんので、むしろ政府の各機関の責任をはつきりさせるという要求から、当然のことである。言いかえますと、部局別予算というものを非常に重視した、政府の実行上の責任を非常に重視した、こういう結果になるのであります。  そこで、しからば目的別予算というものは全然必要ないかということになるのでありますが、この問題を二つにわけて考えてみますと、一つ目的別予算というものがはつきりしておりませんと、國会における審議をなさる際に十分でないということになろうかと思います。そういう意味におきましては、國会における審議の便をはかる意味において、参考ないしは添付書類といたしまして、この参考表として目的別の集計したものを差出すということにいたしたい。なお、しからばただ審議の便、計数の整理ということだけでなく、目的別予算を組むことを実行上確保される措置がさらに講ぜられねばならぬ、こういうことになります。しかし、これは実は必ずしも表現が適当でないからかもしれませんが、この部局別予算というものは同時に目的別予算であるのであります。すなわち部局の中におきまして、各項というものにおいて目的を表わしておるのであります。言いかえますと、從來のただ項だけでできておつた予算に、何々部、何々局と、部局を挿入いたしましたために、やや総合的に把握することがまぎらわしいというだけでありまして、今申し上げましたように、項を中心にして目的別に政府が拘束せられることにおいては、從前と少しもかわりがない、こういうことになるわけでありまして、これを要するに、部局別予算を重視いたしまするとともに、予算二つあるというまぎらわしさを避けまして、どれか一つをとる。それは実行上において十分國会に対して政府が責任を背負い得るような予算でなければならぬ。こういうので、今國会提出したわけであります。御了承を願います。
  39. 風早八十二

    ○風早委員 今の御説明で第二の点、この新しく出される目的別予算というものの性質について、まだ御答弁がなかつたと思います。
  40. 佐藤一郎

    ○佐藤説明員 これは正式予算ということでございませんで、参考表という意味において出したい、こう思つております。
  41. 風早八十二

    ○風早委員 それできわめて問題は明確になつたのでありますが、今まで目的別と組種別と二つあつたと言われますが、結局今の御説明でもわかりますように、これはどこまでも同じものなのでありまして、別にそのためにだれも國民の側から、これが二つあるのでまぎらわしいというような問題は出しておらないと思います。でありますから、何がゆえに目的別をこの際に正式の予算としてはずしたかという理由は、今の御説明では結局わからないことになつてしまつております。しかも結局目的別というものが一体であるというのに、その方を全然正式の予算として認めないということになりますと、これはわれわれがこの目的に使うために、この予算額を承認しておるというふうなことも言えなくなつてしまう。参考のためだけである。ただ官廳の非常にこまかしい組織上の部局によりまして、その責任がとられるというだけでありまして、全体としてこの予算というもののそれぞれの目的に從つた遂行についてのわれわれの檢討ということが阻止せられてします。こういう大きな弊害を生ずる改正であるというふうに考えられるわけであります。そういう点につきましては、政府はどういうお考えであるか、御説明を願いたい。
  42. 佐藤一郎

    ○佐藤説明員 実は私どもはそう考えておりませんのですが、簡單に申し上げますと、この予算部局別の名前というものを、かりにすつぽりとつてしまいますと、あとに今までの目的別予算が残るだけなのであります。言いかえますと、部局別だけを縛るのではなくして、部局の中にさらに項というものを置きまして、そこにおいて明らかに目的別を表わし、かつそれによつて拘束をするということになつておるのであります。御承知のように、從來目的別という意味は、部、款、項とございますが、項によつてすべて終局的には目的がこまかくわかれておるのでありまして、その点においては從來と少しもかわつておりません。
  43. 風早八十二

    ○風早委員 今の御説明では、依然としてなぜ目的別を今度は削除してしまつたかということの説明にはならないと思います。これは今の御説明の大体の経過から見まして、これ以上私は同じ問題を繰返したくないのでありますから、それに関連してお聞きしたいことは、流用という規定がいろいろな点で改正せられて参りますが、この流用というのはどういう点で嚴重になり、どういう点で緩和せられたか、こういう点につきまして、一括して御説明願いたい。
  44. 佐藤一郎

    ○佐藤説明員 法文をお読み願いますとわかりますように、部局別並びに項につきましての流用は、從來流用という言葉を移用という言葉にいたしました。そして從來流用という言葉は、目、節以下の場合においてのみ流用ということに、まず言葉をわけたわけでありまして、そういたしまして、前の移用の点におきましては、部局別、あるいは項の間におきまして、國会予算において承認を得られました範囲に限りまして、大藏大臣承認に基いてこの移用をすることができるということにいたしました。これは、從來部局別につきましては、一定の制限のもとにおいて、すなわち同じ項の名前のものであるならば、部局別間の流用ができるということは從來通りでありますが、さらに今度は、項の間においても移用ができるという点において、改正になつておるわけであります。  それから今度は、目、節の流用におきましては、從來交際費でありますとか、補助金でありますとか、あるいは俸給でありますとか、これを他に流用することが予算審査の目的に沿わない、弊害を生じるというおそれのあるものだけ、つまり特殊のものだけを大藏大臣承認にかけておつたわけでありますが、今回はあらゆるものにつきまして、また特に重要と思われる節につきまして、その流用をすべて大藏大臣承認にかける、こういうことにいたしたのであります。大体それが改正の点であります。
  45. 風早八十二

    ○風早委員 大藏大臣承認を要すると言われますが、裏を返せば、大藏大臣承認すれば、そういうあらゆる項目について流用ができるということであります。今の御説明は大体抽象的なのでありますが、具体的に、たとえばここに失業救済費というようなものがある。あるいは六・三制費用というようなものがある。こういうふうな費用を新しく捻出したいというような場合、ほかの全然、その本來の目的なり、あるいは組織なりが違つた費用から、これを流用するというようなことは、これから実際上できる法的根拠になるのであるか。たとえば價格調整費であるとか、貿易資金であるとか、こういうふうなものがありまして、そういうものからでもこれらを流用できるのかどうか。こういう点について、今度の改正はその法的根拠を考えておられるかどうか。この点についてお伺いいたしたいと思います。
  46. 佐藤一郎

    ○佐藤説明員 まず各省の間において流用することはできません。從いまして、失業救済の経費を六・三制の経費にまわすというようなことは全然考えておりません。  それから、各省のもとにおきましては、場合によつてはこれをなすことができる法的根拠になります。しかしながら、ここに断つてございますように、それはただ予算におきまして、國会承認せられた範囲にのみ限定せられておることになつております。
  47. 風早八十二

    ○風早委員 もちろんこれは各省——まさかほかの省からの予算を、ほかに流用するということはできないでありましようが、しかしながら同じ文部省なら文部省におきまして、他の建設費用というようなものが六・三制に流用されるということはできるのですね。それからまた價格調整費も、もちろん各省にわかれて、これが実際に実行せられるわけでありますが、同じ省内であれば、これが六・三制にも、あるいはまた失業救済費、あるいは失業保險費というふうなものにも、流用できるということは明らかなのでありますね。
  48. 佐藤一郎

    ○佐藤説明員 形式上はそういうことになります。しかしながら、たとえば價格調整費のごときものをむやみに流用するというようなことは、ただいま考えておりません。
  49. 風早八十二

    ○風早委員 もう一つお伺いしたいことは、この財政法改正におきまして、新しく大藏大臣の権限が相当強化されたかのごとくに感ぜられるのでありますが、どういう点で大藏大臣の権限に変更があつたか。この点をやはり一括してわかりやすく、ひとつ御説明願いたいと思います。
  50. 佐藤一郎

    ○佐藤説明員 項の流用につきまして、國会の認めました範囲内において、大藏大臣がその流用承認することができるという点が第一点でありまして、第二点は、從來特定の費目に限られておりましたものが、すべての費目につきまして、その流用につき大藏大臣承認をするという点が第二点であります。
  51. 風早八十二

    ○風早委員 時間もあれでありましようから、次に移りまして、貿易資金特別会計の一部改正に関する法案について伺いたいと思います。  これにつきまして、いろいろ問題があるのでありますが、まず第一に五十億円というものは、私どもの見るところによりますれば、結局追加予算であると考えられるのであります。こういうふうな法案はまだ他にもあると思うのでありますが、この点について政府の御答弁を求めたいと思います。さらに、もししかりとすれば、私は追加予算全体の全貌を明らかにしていただきたいということを、重ねてお願いしたいのであります。
  52. 佐藤一郎

    ○佐藤説明員 追加予算の全貌を今もちろん申し上げる機会でありませんが、予算委員会等においてすでに提出されたものにつきましては、審議が行われておることと思いますから、その方に讓つていただきたい、こう思つております。
  53. 風早八十二

    ○風早委員 予算委員会では、私も委員でありますが、出ておりません。どこまでもこれはやはり追加予算の一部である。少くもその性質上一部であるとしか考えられないものでありまして、財源の問題もあります。いろいろな裏づけの問題がありまして、容易にこれはここだけを切り離して問題にすべきことでないと思います。こういう意味におきまして、追加予算の全貌を予算委員会にかりに將來出されますにしたところで、ここで参考資料としてぜひとも御提出願いたい。そのうちでこれがどういうふうな関係に立つているか、この財源はどうであるかということもまた明らかになると思います。今その資料を提出いただくまでの間に、とにかくこの五十億円だけにつきまして、その財源の問題について御説明を願いたいと思います。
  54. 川野芳滿

    ○川野委員長 風早君に御相談申し上げますが、資金課長があとで見えるそうでございますから、ただいまの問題は資金課長が見えましてから答弁していただくことにいたしますから、さよう御承知を願いたいと思います。
  55. 風早八十二

    ○風早委員 私は大藏大臣の御説明は、実はぜひ要求したいのでありまして、予算委員会にあるいは出ておられるかもしれませんが、予算委員会はまだ始まつておらないと思いますので、大藏大臣をぜひ呼んでいただきたい。  それでは次に、大体二十四年度予算案に関連いたしまして、貿易資金特別会計というものがどうなるかという点を、簡單にでも御説明願いたい。そうでないと、われわれはもはや二十四年度予算案の討議にさしかかつておるのでありまして、それと無関係に今倉皇としてこういう法案を出すということは問題だと思いますので、その点をお伺いしたい。  さらに、借入金、証券発行が、この法案のうちで問題になつております。そこで今の問題とも関連いたしまして、新しい経済九原則に基く二十四年度予算案の根本方針、こういうものにおきまして、借入金、証券発行の問題はどういうふうに扱われておるか。どういう方針になつておるか。そのことと、この法案の理由というものとの間にどういう関係があるか。この点について御説明をお願いいたします。
  56. 佐藤一郎

    ○佐藤説明員 ただいまの数字の御説明でございますが、貿易廳の資金課長が見えましてから、ひとつお願いしたいと思います。
  57. 風早八十二

    ○風早委員 これは数字だけではないです。問題は数字の問題よりも借入金、証券発行というものの内容というよりも、この際にこれをなされることであるのか。來年度予算案編成にあたつての政府の根本方針というものと、それが矛盾することになりはしないか。そういう点についてつつ込んだ疑問を今私はもつておりますので、それに対する大きな根本問題について御説明願いたいと思います。これもやはり大藏大臣説明を求めたいのでありますが、しかるべくそれにかわるべき代理者でも一應はけつこうです。
  58. 佐藤一郎

    ○佐藤説明員 簡單に御説明申し上げます。ここに御説明申し上げましたように、本回の特別会計法の一部改正は、いわば二十三年度における始末をするための法案でございます。從いまして二十四年度におきましては、全然別な構想に立つて予算を組みつつありまして、その全貌はもちろんまだ明らかになつておらないわけでございますが、ただ仕組みといたしましては、貿易資金特別会計というものは一應やめることになつております。そうしてこの特別会計は、御承知のように資金の問題は全然特別会計に組入れてございませんで、一定の人件費でありますとか、事務的な経費でありますとか、こういうものだけが特別会計に現われておつたのを改めまして、この特別会計以外で経理しておりました資金の全貌を、明年度においては予算に現わすという計画でございます。名前も一應暫定的に貿易資金特別会計を貿易特別会計という構想でもつて、新年度予算として提出したい、こういうことになつておる状況でございます。新年度予算につきましては、またそれが提案せられました際にひとつ御審議を願いたい、こう思つております。
  59. 川野芳滿

    ○川野委員長 この際ちよつと皆樣に御通知申し上げておきたいと思いますが、内閣事務官から正誤の通知が参つておりますので、念のため読み上げますと、財政法の一部を改正する法律案印刷物中、一ページ六行目の次を次のように加えるべきの誤まり、第二十四條中「計上しなければならない」を「計上することができる」に改める。以上であります。
  60. 佐藤一郎

    ○佐藤説明員 ちよつと今の点、條文がお手元にないと思いますので、補足しますと、第二十四條の中の最後の字句だけを訂正しますのを、ここに追加するというのです。これはもともと落ちておつたのです。二十四條に予備費の規定がございまして、「予見し難い予算の不足に充てるため、内閣は、予備費として相当と認める金額を、歳入歳出予算に計上しなければならない」こうあるのでございます。つまり予備費を歳入歳出予算に計上しなければならない、こういう規定が二十四條にございますが、この一番終りのところで、ただいま委員長が申されましたように、「計上しなければならない」というのを「計上することができる」こういうふうに改正する予定になつておりましたのを、印刷上落しましてまことに申訳なかつたわけであります。
  61. 風早八十二

    ○風早委員 引続きまして貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案に関して御質問申し上げます。この会計の黒字、赤字の場合、その一般会計との関係をもう少し数字をもつて具体的に説明してもらいたい。それからなおガリオア資金などの一般会計への繰入れというふうなことにつきまして、これに関連してぜひこの際説明していただきたい。
  62. 佐藤一郎

    ○佐藤説明員 一般会計との関係でございますが、ここにございますように、これは借入金の限度の問題でございますので、さしあたつて一般会計との関係というものは、それだけからは生じて参りません。それから繰入れにつきましては、これは從來一般会計に入れるべきはずのものを、この資金に繰入れるということでございまして、これも今さしあたつて直接の関係は出て参りません。なおその全体の資金の関係につきましては、貿易廳の資金課長から御説明した方が適当と思います。
  63. 川野芳滿

    ○川野委員長 資金課長がお見えになりましたから、どうぞ……。
  64. 風早八十二

    ○風早委員 それじやお願いいたします。先ほどの質問もあわせて、わかりやすく詳しく願います。
  65. 稻益繁

    ○稻益説明員 お手元に差し上げております昭和二十三年度貿易資金計画表でごらん願いたいのでありますが、第一表に計上いたしておりますように、当初計画、昨年十一月に百億の限度拡張をいたしました。同時に私どもとして予定しておりました貿易計画、それに基きます資金計画が大体当初計画案に計上いたしておりますような、輸出物資の買付け五百九十億以下のような金額でございます。その後貿易の振興とともに輸出あるいは輸入の情勢がかわつて参りまして、ただいま予定せられまする三月末までの実績は、第二表に計上いたしております。大体輸出物資の買上げが相当増加いたしました。國有纖維の加工賃が減少するという内容の変化はございますが、貿易資金としての拂出しの面ではほぼ同額になつております。ただ受入れの方で輸入物資の賣却が相当額減少いたしまして、これは私ども一應この計画の基礎といたしました貿易計画、特に輸入計画が若干減少したということから起つておるのでございますが、九百十三億の輸入物資賣却代金が、実際には七百八十六億程度しか見込まれないということに相なつたわけでございます。ただこういたしました結果、非常な資金の逼迫を來しまするので、昨年の末からでございまするが、輸出物資の國内における放出を懇請いたしまして、現在までに大体その資金化いたしますものが六十億見当あるということに相なつております。合せまして大体九百十三億の受入れ收入に対しまして、回轉計画におきましては八百六十二億、ほぼ五十億の受入れの不足を來す結果になりまして、とりあえず三月までの資金盛りといたしまして、五十億借入限度拡張をお願いいたしたい、かようになつたわけでございます。
  66. 風早八十二

    ○風早委員 五十億円の要求は大体追加予算と同じ性質のものであると、私は考えるのでありますが、そういう場合に追加予算の全貌がわからなければ、この法案の審議もはなはだ困難であると考えるのでありまして、追加予算の全貌を明らかにしていただきたいということが一つ。そしてその場合の財源はどうなつておるかという点であります。
  67. 稻益繁

    ○稻益説明員 ただいまの御質問でございまするが、本來貿易資金特別会計法におきましては、歳入歳出をもつて計上いたしております貿易経費面と、そのほかに資金の運用で参ります面と、この二種類の資金があるのでございまして、私どもこの五十億の借入限度拡張をお願いいたしておりまする方は、もつぱら歳入歳出によらず、資金の運用をもつてつて参りまする貿易資金の方の経費でございまして、ただいまお話のございました追加予算というような観念と、いささか違うのではないか、かように考えます。運轉資金は大体輸入物資の拂下げ代金によりまして輸出物資を買上げて行く。そのほか支出に充てることになつておりまして、その際資金が不足した場合には日本銀行からの借入金による。その借入限度を何百億に定めるという法律の建前になつておりまして、その意味で限度拡張として五十億をお願いしたようなわけでございます。
  68. 風早八十二

    ○風早委員 先回の國会におきましてこの限度が決定して、それはそのときの予算趣旨に見合つてできておるわけでありまして、今新しく借入金をやられる場合におきまして、それの一切の政府負担というものは、新しい財源がなくちややれないことであります。これは從つて新しく追加せられた予算でありまして、私はそういう意味で追加予算と同じ性質のものだと言うのであります。実はこういうふうなものはほかの法案にもいろいろ織り込まれておりまして、これらを合せると相当多額のものに達するのではないかと考えるわけであります。それにつけましてもやはりそれらの一括した全貌を明らかにされたい。なお政府は追加予算を出されるという話でありますが、まだ予算委員会には出ておらない。この追加予算の全貌がわからなくて、追加予算と同じ性質を持つたこの法案の支出にわれわれが調印するということは、なかなか困難なことであります。少くもこの五十億円の問題につきまして、その財源についての見通しをはつきりと御説明願いたい。
  69. 佐藤一郎

    ○佐藤説明員 ちよつとその点を申し上げたつもりであつたのでありますが、先ほど申し上げましたように貿易特別会計というものは、いわゆる貿易資金というものを歳入歳出として表に立てる仕組みになつておらないのであります。言いかえますと、貿易特別会計の歳入歳出は人件費と一定事務経費でございまして、いわゆる本來の貿易資金の受け拂いの動きというものは、貿易資金の経理として予算とは別箇にとりはからつておるわけであります。從いましてただいま御質問のように直接予算の面には出て参らないわけであります。それを二十四年度からは、從來そういう仕組みでありました資金の動きそのものも予算に組みまして、特別会計の從來の資金というものをかえて行きたい、こういうことを先ほど申し上げたようなわけでありまして、從來から二十三年度まではこういう建前で常に法律の制度ができておるのでありますから、その点は御了解願いたい、こう思つております。
  70. 風早八十二

    ○風早委員 私の伺つたのは結局その負担というものは必ず政府がここでするわけでありまして、それがどこでどうしてやるか、その見通しであります。その点についてまだ御説明がなかつたのであります。
  71. 佐藤一郎

    ○佐藤説明員 貿易資金の全体の動きについてはこれは別に説明をしていただきますが、要するに現在までのところある程度の剩余金が出る見込みになつておりまして、そうしてそれを明年度において新しい姿にかわるところの特別会計へ引継ぐという状況になつている。詳しい数字についてはまた説明いたします。
  72. 風早八十二

    ○風早委員 私は詳しい数字を今すぐ出してくださいということもむりだと思いますから、それは差控えますが、そうすると結局剩余金を財源にしておられるということですね。
  73. 稻益繁

    ○稻益説明員 ただいまの五十億の借入れ限度につきまして追加予算というお話がございますが、これは歳入歳出ではないのでございまして、貿易資金としての運用上損益勘定がどうなるかという面にかかわつて來るわけでございます。貿易資金の本來の損益勘定を出しまするには、外貨面との見合いがなければ決定的に出せないわけでございまして、現在のところ私どもとしては円勘定のみを運用しておりまして、外貨資金の面が判明いたさないわけであります。從いましてこの円の勘定においてとりあえずの損益勘定はどういうことになるかということは、法律で別表の第二というところで第一類、第二類とわけてありまして、一應の損益計算らしきものを円の面においてのみ出すという仕組みに法律がなつております。從いましてその面からいたしますると現在手持ちいたしております輸出物資を、あるレートで仕切つて計算して見ますれば、ほぼ五十億の借入れを入れましても一應損益はバランスがとれるという建前に相なるかと思います。この法律によります損益の計算はまだいたしておりませんので、確実なことは申し上げかねるのでありますが、大体の見通しとしては借入限度拡張によりまして、ただちに財源としていくばくを必要とするいう問題にはならないと思います。
  74. 川野芳滿

    ○川野委員長 ちよつと風早委員に御相談申し上げます。午前中お約束の三十分が過ぎたようでありますので、簡單に御質問願います。
  75. 風早八十二

    ○風早委員 各委員も今十分お聞きのように、政府の御説明がはなはだあいまいでありまして、おそらく皆さん方も納得が行かないと思うのであります。これは納得さえ行けばいつでもこの問題については打切りますから、ちよつと一つだけもう一度つけ加えさせていただきたいと思います。同じ問題です。それは今あたかもこの問題が予算外であるというような御説明があつたのであります。これはたいへんなお間違いである。一般会計には関係ないということを言われるならばとにかくといたしまして、やはり特別会計としてこれはりつぱな予算の問題でありまして、予算外であつて、それは全然金に関係がないという、そういう問題ではないのであります。この点についてはもつと眞劍に御回答願いたい。私はもちろんこの場合において特別会計の問題でありますから、特別会計の新しい負担に関してその財源にはどうかということを伺つたわけであります。  さらに先ほどまだお答えのない問題といたしまして、借入金や証券発行というものが、つまり新しい予算編成の方針では、これが一應否認せられるものであるというふうな趣旨の御説明があつたと思いますが、そうしますと、この法案がやはり來年度予算編成にあたつての根本方針とは矛盾するということを、十分に御承知の上でこの際これをやるという性質の法案であるか、この点を承りたいと思います。
  76. 佐藤一郎

    ○佐藤説明員 ただいまの点は確かに明年度そういう問題が、おつしやられますように非常にきつくなつて來るわけでありますが、しかしながら年度も二十三年度につきましてはすでに終るわけでありまして、政府として十分なる跡始末をしないというわけには行かないのでありまして、そういう一般原則の問題はともかくといたしましても、一應ここでもつてしつかりと片づける。こういう氣持でやつておるわけであります。
  77. 風早八十二

    ○風早委員 大藏大臣もおられませんし、時間は経過いたしますし、私も一應この質問を打切りまして、次の酒類公團の問題に移りたいと思います。この問題は大分酒の專門家も大勢おられるようでありますから、あまり多くを伺いたくはないのでありますが、今酒の業者は全國でも数万を数えるのでありまして、こういう人たちがこの公團廃止によりまして、非常な困窮を生じやしないか。このことを伺うのは、果実酒の統制撤廃後、やはり非常な混乱を起しておるように私どもは見ておるのでありますが、そういう点についての実情を伺うと同時に、酒の公團の問題につきまして、はたして政府ははつきりした跡始末について見通しをもつておられるかどうか。この受入態勢、受入機構というものについて、今までの御説明では、はなはだわれわれはもちろん一般の酒の業者は、非常な不安におびえることであろうと考えるのでありまして、この点についてはもう少し親切な御説明を願いたいと思います。
  78. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 公團廃止に伴いまして、少くとも家庭配給をやめるということに相なるわけでございますが、そういたしますると小賣業者の面におきましては、やはり今までの登録制はやめるということに相なることと思います。そういう観点からいたしまして、今まである程度配給酒を取扱いまして、とにかく登録店として堅実な経営をやつておりましたのが、そういうものがなくなりまして、今後は自由販賣になるというので、小賣業者の方面におきましても、相当いろいろ心配しておることはお話通りであります。それは確かにそういう面はあろうかと思いますが、しかしながら酒が全体として減るわけではないのでありまして、これはやはり全國的に一定値段でそれぞれ販賣されるわけで、まじめな業者である限りにおきましては、相当の酒をやはり取扱うことができるということに相なるかと思います。それからその間におきまして、今酒税法によりまして、小賣の免許制でございますが、この免許制は、相当高い税金を賦課されている酒でございますので、やはり今後とも続けて行きたいと思います。その免許制の運用によりまして、不当な小賣業者が非常にふえて競爭が不当に行き過ぎにならぬように、注意を加えて参りたいと考えておりますので、さような面につきましても今までよりも若干勉強していただかなければ、競爭に負けることになろうかと思いますけれども、それは一面から申しますと、統制撤廃のいいところでありますので、そういう点はそういう点といたしまして極力勉強していただきまして、少くともまじめに正常な営業をやつている限りにおきましては、そう大きな不安なく堅実の経営を続けていただくように、私どもといたしましても極力さようにやつて、努めて行きたいと考えているわけであります。それから免許の方におきましては現在は公園がございますので、先ほど申しましたように、とにかく一定のものを賣りますれば必ず資金の回収ができる。それが今までよかつたわけでありますが、これは御賣り業者のしつかりしたものができなければ、資金の回収がむずかしくなるというおそれがあるわけで、その点は消費地等におきましても極力荷受け機関をしつかりしたものをつくることによりまして、そういう不安を極力少くして、業界に対する惡影響を最少限度にとどめつつ、公園の廃止自由販賣ということをやつて行きたいと考えているわけであります。
  79. 風早八十二

    ○風早委員 そうなりますと、これからやはり銘柄がものを言うのでありまして、灘とか伏見とか、こういう有力な酒造家が今度はぐつと出て参りまして、結局また値段も不当につり上つて行くというようなことは相当想像されるのであります。これについて、今いろいろな方策も考えていると言われますが、ぜひともこの責任のある継承機構というものの確立を要求したいのであります。なお酒というものに対して特に税金がきつい。他の間接税に比較しましても特にきついのでありまして、ただ酒というものを税金の対策としてだけ考えておられる。その増石もまたもつぱら税金の対象としてのみ考えておられるというような今までの政府のやり方を、まだ今後も続けて行くものであるかどうか。そういう点はわれわれ絶対反対なんでありますが、政府の今後のお考えを伺いたい。
  80. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 酒類價格につきましては、一挙に價格統制まではずすということも考えられないわけではないのでありますが、そこまで行きますと、一時に競爭がはげしくなつて、御指摘の通り一部のものはいいが、相当のものが困るということになりましてもおもしろくございませんので、價格の方は酒ははずさないつもりでございます。もう少し安定した後に價格をさらにはずして行く、こういうことで持つて行きたいと考えております。それから酒類につきまして税金の面を重く考え過ぎていやしないか、というお尋ねでありますが、どうもその点は昔から酒税は國庫財政の相当大きな財源になつておりまして、今日のように國民の負担が、全体として相当重からざるを得ないという状況のもとにおきましては、やはり酒に相当の財源を求めるのはいたし方がないと考えております。ただ私どもは決して單に税金だけを上げて、さようなことをはかるということが、いいとは考えておりません。これは先ほども申し上げましたように、原料が主食と競合いたしまする関係上、やむを得ず数量を減らされておる。從いまして食糧事情の許す限りにおきまして、酒類の供給量をふやして——供給量をふやしますと税率は引下げましても、相当歳入が期待できるということになりますので、將來におきましては極力そういう方面に行きまするように、努力いたしたいと考えておる次第であります。
  81. 河田賢治

    ○河田委員 財政法の問題につきまして政府委員の方から何回も御説明がありましたが、しかしこの前の國会におきましてこの財政法通りましたときにこれは新しい憲法のもとにおける非常に民主主義的な財政法として説明されたのであります。これがまた当時の大きな政党によつて、特に吉田内閣のもとに通過したのでありますが、きようのこの改正の問題につきましては、きわめて会計、財政の技術的な面で説明されたのであつて、私どもから申せば、その改正の眞意がどこにあるかということが納得できないのであります。特にこの問題に関しまして、できれば政務次官からなり御返事願いたいと思うのですが、財政を組む場合には、内閣が、政府がどういう仕事をやつて行くか、どの仕事に対してどれだけの予算を組むか、こういう政策なり事業なりをまず目標に置いて、そうしてそれによつて部局あるいは官廳へ割当てるということになるのです。ところが今度の改正法によりますと、これがまつたく主客を轉倒いたしまして、單なる各官廳とか部局の、こういう問題からのみ発足して行くというように考えを抱かせるわけであります。從つてこういうような昔に逆行するところの——財政法が逆行するということはどういうところに眞意があるかということを、できれば政務次官からお聞きしたいと思います。なおもう一つあります。
  82. 川野芳滿

    ○川野委員長 この際先日の川島委員質問に対して、商工大臣がお見えになりましたので、答弁をお願いいたしたいと思います。
  83. 稻垣平太郎

    ○稻垣國務大臣 先ほど川島委員から為替レート設定の時期、内容並びにこれがわが國産業経済に及ぼす影響についての御質問がありましたそうであります。これに対してお答えを申し上げます。  レートの問題、その金額あるいは時期等につきましては、ただいま政府といたしましては、これをいつだというように遺憾ながらはつきりお答え申すことができないのであります。遠からぬうちにレートを設定することが、はかどるだろうと考えておる次第であります。  さてこの影響の問題でありますが、レートをどのように設定するかという金額は、ここでははつきり申し上げることができませんので、從つてどの程度影響するかということをお答え申し上げることも、はなはだ困難でありますが、一般的に申し上げまして、今われわれはかなり円安のレートでやつておる面もありまするので、雜貨類については相当影響するところが多いのではないか、かように考えておるのであります。しかしながらまたこの機会において相当円高にきめるということが、日本の経済の建直しの上にも望ましきことだと、私らは考えておる次第であります。ただ今後為替レートを設定するにつきましては、今日その地ならし的のいろいろの工作をやつておくことが、必要ではないかと考えておりますので、まず第一には、われわれとしてとつております工作を一つ申し上げますと、大体四月一日以降におきましては、輸出品として四百二十五円以上のレートのものは、すべてこれを四百二十五円として承認することといたしまして、輸出品價格の引下げを行うことにいたしている次第であります。第二には、輸入品につきましては可及的最近の時期に、原則として一本のレートを定めることにいたしまして、特に物價政策上必要なものにつきましはて、輸入補給金措置を講ずるように考慮いたしている次第であります。第三にはできるだけ企業の合理化、集中生産の方式を採用いたしまして、為替レート設定の場合に應ずるようにいたしたいと考えている次第であります。大体右お答えを申し上げます。
  84. 佐藤一郎

    ○佐藤説明員 それではただいまの河田委員の御質問にお答え申し上げます。なぜ目的別予算廃止したかという原因でありますが、目的別予算というものは現在でもその実質においてはかわりがない。ただ予算形式をとらないというだけでありまして、予算によりまして目的別にきめられたことは依然として縛られる。たとえば暫定予算として今度出ます場合を考えましても、その目的として項に現われている項目というものは、從來のものは少しもかわつておりません。農政局でございますれば、農村の振興のための経費でありますとか、あるいは農地の調整のための経費でありますとか、從來目的別予算に現われたと少しもかわらない姿でもつて出ているのでありまして、ただその目的別の上に、さらにその目的に使う経費はどこの部局がやるかということだけを明らかにしているのでありますから、御心配のような点はないというように政府は考えております。
  85. 前尾繁三郎

    前尾委員 ごく簡單に酒の公團についてお尋ねいたしたいと思います。酒の公團廃止につきましては、私はもちろんこれは臨時立法でありますし、廃止することに異存のあるものではありませんが、公團創設の当の責任者として幾分老婆心にわたるかもしれませんが、お尋ねをいたしたいと思います。公團をつくりました理由は、御承知のように從來卸賣機関として大日本酒類販賣株式会社がありまして、それが公團に移りかわつた次第であります。そこで公團が今回廃止されることとなりまして、三月間の猶予期間はありますが、それが全然確固たる卸賣機関がないということになりますと、ただちに徴税の不安が出て参るわけでございます。また信用強固でありませんと、酒の生産者からの賣出しということに非常な不安が伴いますので、勢い円滑を欠くことに相なると思うのでありますが、それにつきましては、現在の事業者團体法あるいは独占禁止法というような法律との関係があるのでありますが、それらの改廃あるいは緩和につきまして、政府はどのようにお考えになつておるかということを、まず第一にお問いいたしたいと思うのでございます。第二点といたしましては、そういうような卸賣機関が自然発生的にできるかどうかということに、非常な疑問を持つ次第であります。これには相当政府の経過的に強力な御援助がなければ、とうてい円滑なる酒の輸送あるいはその他の問題が解決しないというふうに考えるのであります。それに対してどういうようなお考えあるいは構想を持つておられるか。ことに第三点としては、そこで大きな資金の問題が起つて來ると思うのであります。折から金融梗塞の強度に強化されるような状況にありまする現在におきまして、政府はそれに対して万全の策をお講じになる意思がありや。またそれだけの見通しありやということをお尋ねいたしたいと思います。  それから次に輸送計画その他について、あるいはまた運賃のプール計算というようなことに、おそらくなることと思いまするが、そういうような点になりますると、市場の價格が非常にまちまちになり、また輸送計画等の面におきまして、酒の偏在という問題も浮び上るのでありますが、それに対してどういうような方策をお講じになるおつもりでありますか。それらの点をお尋ねいたしたいと思います。
  86. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 公團をはずしました場合におきまして、一番問題となる点は、先ほど申し上げましたように、ことに大都市方面における卸賣機関、これがいかにして健全なものができ上るか、こういうことにあることは御指摘の通りでありますが、私どもといたしましては、できる限り從來酒類の業界の人が出資をしまして、なるべく堅実な卸賣機関ができるようなふうに持つて行きたい。ただその際におきまして、一番障害になりますのが、御承知通り独禁法及び事業者團体法との関係でございます。この点は実はまだ細目については話がついておりませんのですが、現在その方面とも相談をいたしまして、極力そういうことに抵触しないで、あるいは場合によりましたら若干の例外を設けまして、健全な卸賣機関ができるようにいたしたい、かように考えております。もしもこの卸賣機関の適正なものができますならば、金融の問題もおのずから比較的容易に解決するわけでありまして、金融につきましては、結局におきまして相当信用のある卸賣機関ができますれば、政府としましても極力それをサポートいたしまして、運轉資金に事欠かないようにいたしたい考えでございます。それからそれに関連しまして、場合によりましては酒税のうちの一部は卸賣機関に徴收せしめる、こういうことをやりますれば、さらにその関係がはつきりして行くのではないかということで、目下そういう考え方で案を研究中でございます。  最後價格の点でございますが、これは一應公定價格は存置するつもりでございます。遠方から來るものにつきましては、適当な運賃加算の制度等を設けて、極力需給の円滑をはかりたいと考えておるのでございます。もちろんこれは公團がある場合に比べまして、若干の合理性を持たなくなるのはどうもいたし方ないのでございまして、それを極力制度によつて解決をはかつて参りたい。一方におきましては、競爭が生じてその方面から非常にいい効果も出て参りますので、他方におきまして若干今までよりも不便なところが出て來ましても、全体としましてはまだやめた方がいいのじやなかろうかというような考え方で、現在は案を進めつつあるような次第でございます。
  87. 前尾繁三郎

    前尾委員 あまり追究するのを差控えまして、ただ希望を申し上げて私の質問を終りたいと思います。  いずれにいたしましても、徴税と非常に大きな関係がありますので、もちろん政府当局は非常に酒のいろいろな問題について御盡力に相なると思いまするが、もちろん將來としまして、自由販賣あるいは自由主義的に運営されるのはけつこうでありまするが、長年統制して参りました酒類につきまして、今回三箇月を限つて、そのままでかなり大きな自由の方向に持つて行こうというわけでありますから、如才はないと思いまするが、よほど計画的に政府が御指導になつて——われわれの恐れておりますのは、われわれが現職にありました当時には、非常に大きな繰上げ徴收の問題があつたり、それを欠損処分にするというようなことで、いろいろな問題があつたわけでありますから、そういうことのないように、特に政府の御盡力をお願いいたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  88. 川野芳滿

    ○川野委員長 小峯柳多君。
  89. 小峯柳多

    ○小峯委員 簡單に貿易資金特別会計に関して質問してみたいと思います。  昨年の末から最近まで、生糸の買上代金が相当に滯つているやに聞いております。これに対して今度のこの上程になつておる案で、その問題は解決する見込みかどうか。あるいはまた新年度、二十四年度からの問題も、どうせまたこんな問題が起るのでしようが、先ほど來のお話を伺いますと、新しい構想でやられるようですが、生糸に関してそういう心配のないようにできるかどうか。その二つの点をお伺いいたします。
  90. 稻益繁

    ○稻益説明員 昨年買上げました生糸代金で、現在未拂いになつておりまする分は、今回の五十億の限度拡張によつて支拂い可能だと考えております。新年度の問題は、今度の予算的な措置で行われまする歳入歳出がはつきりいたしませんと、どの程度買上げ可能であるかは判明いたしません。
  91. 川野芳滿

    ○川野委員長 三宅則義君。
  92. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私は昭和二十四年の所得税の四月予定申告書提出及び第一期の納期特例に関する法律案に関連いたしまして、ちよつとお伺いしたと思います。  先ほど川島委員からも御質問がありましたが、われわれは予定申告をいたしておるのでありまするが、政府は予定申告にかかわりませず、任意にきめて納税者に通知する、いわゆる更正決定をするのでありますが、そのときに、私の考えからいたしまするならば、政府の單独でおきめになることではよろしくない。もつと民主的にするために、前には所得税調査員というものがありましたが、現在ではそれが廃止になつております。私の試案といたしましては、各市区町村に十数名の公選せられたる財務調査員、もしくは同業者から相当の経驗を有する者を財務調査員に任命いたしまして、これらの人々がそれに参與する。たとえば税務署長が原案をつくりまするけれども、これを決定するにあたりましては、この財務調査員が最後委員会の決議によつて決定する、こういうふうにしていただきまするならば、お互いに同業者は内容がよくわかつておりまするから、官吏がかつてにおきめなさいまするよりも、公平に妥当に決定ができるものと私は確信いたしておるのであります。この際政府はそういうような方向に向つて、元の所得税調査員よりももう一歩進めて、民主的な財務調査員を設置なさる用意があるかどうか。この際ひとつお伺いできればけつこうであると思います。
  93. 平田敬一郎

    平田(敬)政府委員 現在の所得税の実際から申しますると、御意見はたしかに一つの有力な御意見だと拜聽いたすのでございます。ただ所得税の理想を申し上げますと、これは非常に建前が違つたことになるわけでございます。所得は各人がやはり自分で計算してわかるはずのものだというわけで、結局申告で納めてもらう。その申告がよいか惡いかは、責任のある官廳がすつかり調べまして、それに基きまして更正決定をやつて正しいところでやる。これが実は本來の所得税の根本的な建前になつております。さようなことをいたしますとその期間が長くなります。現在の実情から申しますと、確かにそういうことをやつた方がよい部面も相当あるかと思いますが、ただ一番大事な問題は何しろ今の所得税予算課税の税法によつております。これはなるべく早く歳入を確保するという建前になつております。從つて一月の確定申告を待ちまして二月末ころまでには更正決定をしなければ、その税金が入つて來ないということになつておりますので、調査委員会相当大がかりなものを設けまして、全部そこに案件を付して決定するだけの時間的な余裕が、一つはないという問題があろうかと思います。これを時間的な余裕を與えるということになりますと、勢い決定を引延ばさざるを得ない。そうしますと來年度の会計年度がもしも六月で終るということでありますれば、あるいはそういうことも一つの方法になろうかと思いますけれども、現在のような建前でございますと、なかなかそうも行かないような事情もございます。從いまして私どもはこの問題についてはさような点をいろいろ考えまして、愼重に研究中でございます。少くとも申告が出たあとにおいて、民間の委員等を入れました審査機関を設けて、そこで処理するといつたような方向ならば、期限が遅れるということもございませんので、そういつたような方向ならあるいは解決が比較的容易じやないか。そういういろいろの問題がございますので、この問題についてはさらによく研究いたしまして結論を下したい、かように考えております。
  94. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 時間がありませんからもう一言申し上げます。ただいま主税局長お話によりますと、たいへん熱心に研究なさつておるようでありますが、これは五月にシヨープがおいでになるそうでありますが、たとえば取引高税の撤廃とか種々の改革があると思いますが、そのときにこの案を織り込んでぜひ民主的に納税せられるように、特に御希望いたしておく次第であります。これをもつて打切ります。
  95. 小山長規

    ○小山委員 貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案について質問をいたします。あるいは前者の質問がありましたならば簡單でけつこうであります。提案理由の第二に書いてありますところの決算上の剩余金は、一般会計に入れないで貿易資金に組み入れて資金の増加をはかる、こういうような提案理由になつておるのでありますが、一般会計への繰入れをやめるという理由がどこにあるのかということが一つ、それからもう一つは貿易資金会計が赤字になりますのは、從來のやり方として標準のレートに対しまして輸出品は高く買い上げる、輸入品は國内に安く放出しておる関係から、赤字が出ておるのでありますけれども、將來單一為替レートが設定されましたあかつきには、現在の日本の輸入超過の現状からいたしますならば、これは相当な黒字が出るはずであると思います。かりに一年に三億ドルの輸入超過だといたしますならば、三百三十円にいたしまして一千億の黒字が出る。それを一般会計に繰入れないで貿易資金にとどめておきますと、民間に対しては非常な金融の逼迫を來しはしないか。これは想定でありますが、その厖大な黒字はやはり貿易資金の特別会計の中で使われるのであつて一般には使わせないということになるならば、一般の金融の非常な逼迫を來すであろうと存じますが、この剩余金は輸出品の買入れとか貿易のみにお使いになるのか。また別の方面にお使いになる道をお開きになるのでありますか。この点をお伺いいたします。
  96. 佐藤一郎

    ○佐藤説明員 ただいまの御質問の第一点でありますが、なぜ今まで一般会計に入れておつたものを、今度はこの資金に入れるかということであります。これは実は建前を変更したというほかないのでありまして、御承知のように特別会計の剩余金は、何でもかでも一般会計に入れるんだということに、各省特別会計はなつてつたのでありますが、大体この特別会計の剩余というものをせんじ詰めれば、全体として貿易公團等がその業務をなしまして、資金をもつて運用してなしたところのその利益から生ずるのであるから、これを一般会計に取上げる必要はなかろうということで從來考え方を改めた、こういうことに帰着すると思います。
  97. 稻益繁

    ○稻益説明員 先ほどお話がございましたように一本レートを想定いたしまして、現在の貿易資金の出入りを勘定いたしますれば、輸入超過に対してあるレートをかけた程度の黒字が、ほぼ出るということに相なるわけでございまして、これを現在までは貿易資金特別会計のやりくりといたしまして、輸出物資の補助金あるいは輸入物資の補給金に、使つておつたという結果に相なつておりますが、新しい年度におきましては別個の構想で貿易の方に使う。あるいは何に使うか使途は判明いたしませんが、別個に一應切り離されるというような構想で、進んでおるように考えております。
  98. 小山長規

    ○小山委員 今まではたとえば鉄なら鉄を、輸入價格よりも円においては非常に安く賣つておるというために赤字が出たと思いますが、今度は一ドル三百三十円にかえて賣るということになると、非常に高い鉄を賣らなければならない。そうなると特別会計としてはそれは黒字になつて來るだろう。そうしてその還流する部面があればいいのですが、貿易資金としてだけそれを使うならば、輸出が思うように出ないとなつて來ると、輸入品の拂下げ代金だけが政府に入つて來て、輸出の代金によつて國民にまわつて來る金は少い。こういう結果になるじやないかと思いますが、間違つておりましたら御訂正願いたい。
  99. 佐藤一郎

    ○佐藤説明員 ちよつとよくわかりませんが、レートが高くなるということによりまして引上げられる。また同時にこの特別会計が結局一般会計からの價格調整の補給金というものを受入れまして、これを外部に放出いたすわけでありますから、その点はどういうことでしようか。金が余るとおつしやるのですか。
  100. 小山長規

    ○小山委員 貿易資金会計だけにとどめておくと、政府に金が滯留しやしないかということです。
  101. 佐藤一郎

    ○佐藤説明員 これはこういうことじやありませんか。從來貿易資金特別会計並びに資金の中に打込まれておりましたガリオアとイロア資金というものがありましたが、この資金の全体の趣旨というようなものが明らかにならないということで、明年度は米國からの援助資金については貿易の特別会計とは切り離しまして、名前はまだはつきりしておりませんが、援助資金の見返りの特別会計というようなものを別個につくりまして、それによつて整理をする。それを受けましたところの歳出は新聞等にもございます通り、連合軍司令部のコントローラーが参りまして、どういう方面に使うかということをきめることになつておりまして、その使途につきましては確定したものがございません。たとえば鉄道通信関係の建設公債の買入れであるとか。あるいは國債償還であるとか、その他一般的な経済再建に向けるという考えになつておりますが、これらはまだ内容がはつきりわかつておりません。しかしいずれにしましても、そういうふうに別の経理をいたすことになつております。
  102. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいま議題となつております六案に対する質疑は、大体終つたようでありますから、この際質疑を打切られまして審議を進められんことを望みます。
  103. 川野芳滿

    ○川野委員長 宮幡君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 川野芳滿

    ○川野委員長 それでは本日議題となりました六案に対する質疑はこれで打切ります。  暫時休憩いたします。     午後三時十五分休憩      ━━━━◇━━━━━     午後三時二十一分開議
  105. 川野芳滿

    ○川野委員長 再開いたします。  これより本日議題となりました六案に対し、討論採決に入ります。なお討議採決は各案ごとにこれを行いたいと存じます。まず財政法の一部を改正する法律案を議題とし、討論採決に入ります。川島金次君。
  106. 川島金次

    川島委員 私は日本社会党を代表しまして、本法案に反対の意を表明いたします。その理由を二、三申し上げます。  そもそも財政法は、新憲法の施行に伴つて財政及び予算の明確化を期し、しかしてその予算の執行について、從來の財政予算の執行に伴つた弊害をば根絶をするという精神のもとに立ち、一面には國の財政を國民に明確に、しかも容易に了解把握せしめるという事柄をも含めた精神によつて財政法ができたのであります。しかるに今回の改正法案は、その精神を何となくなしくずし的にくずして行こうという意図があるように、われわれは感ずるのであります。この財政法はわれわれかつて在野のときにも、むしろ現在の財政法の中に一層嚴重なるものをつけ加える方針があつたのでありまするが、それが当時否決されて來ておるのであります。しかしながらでき上つた財政法は、一應たとえに申せば大阪城にもひとしいものであります。その大阪城の外郭である外濠を一つ一つ埋めて、財政の基本的な方針を旧に復して便宜主義にもどそうという意図が、きわめて露骨に現われている点を看取せざるを得ないのであります。むしろ財政、ことに予算の立て方は、先般も答弁にありましたごとく、予算の内外にわたつて縦から見あるいは横から見、さらにあらゆる角度から予算内容を細分明確に、かつ具体的にすることによつてのみ、私はその予算に対する國民の理解と協力とが、得やすい形になるのだと確信をいたしております。しかるにそういう事柄を、繰返して申し上げまするが、はずして行こうとするこの底に流れている精神に対しましては、私どもは遺憾ながら賛成いたしかねるものでございます。ことに部局別予算移用流用、これは予算執行の上においてとかく濫に流れることを防止したいと一方で言つておりながら、実は絶対多数を擁する與党承認を得れば、いつでも流用移用おかまいなしという底意も、ここにきわめて露骨に現われております。こういう考え方は私どもは断じて賛成ができません。さらにまた目節の例外を設けようという案、こういうことは一体どこから來ているのか、私どもは了解に苦しむ。と申しますのは、前段にも申し上げましたように、予算というものはその執行上においても末端に至るまで具体的に、しかも明確でなければならぬ。それがためには政府はあらかじめ財政に対する見通しのはつきりしたものをもつて、できるだけ間違いのない計画性のもとに立つて予算というものはつくらなければならぬ。しかるに目節のことについて例外をここに認めよう、こういう考え方は、私は予算の編成の上から言つても、執行上から申し上げましても、こういう改正はむしろ改惡にひとしいものであるという考え方を持つものであります。  その他なお私は意見がございますが、以上大体かいつまんで申し上げました点にかんがみまして、本改正案に対して、党を代表して断固反対をいたすものであります。
  107. 川野芳滿

    ○川野委員長 荒木萬壽夫君。
  108. 荒木萬壽夫

    ○荒木委員 私は民主党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまする財政法の一部を改正する法律案に対しまして、反対の意を表するものであります。ただいまもお話がありました通り財政法は憲法につながるところの財政の基本法でありまして、よほどの重要なる必要がない限り、朝令暮改すべきものでないと考えるのでありまして、さような意味合いにおいて本改正案を見まする場合に、第一の改正点たる甲一号を廃止して甲二号だけにしようということにつきましては、その目的の点から、及び組織別の観点から、両面から財政ないし予算の執行の適正を期しよう、予算審議権の尊嚴を保とうという趣旨であるのでありまして、これを政府側の御説明にありますような理由において甲一号を廃止するということは、その必要なしと考えます。むしろ廃止することによつて害が多いということを考えるのであります。ことに歳入歳出予算総計表として予算に添付されると言われまする以上、その手数においても何ら逕庭ないものとも考えられまするし、以上の考え方において、この第一点についても不同意であります。同時にまた第二の改正点であります予算流用等に関する規定の改正につきましても、先ほど討論がありましたが、各部局との間または各項の間において流用する必要があらかじめわかつておるならば、予算そのものにおいてそういう仕訳をすべきであり、これをもし概括的に國会承認を得るというのでありますならば、予算の執行上重大なる支障を來す欠陷を包藏するものと言わざるを得ないのでありまして、予算執行の適正を期する上からも、かつまた國会におきまする予算審議の権威から申しましても、賛同しがたいのでございます。また第四点の改正点でございますところの目節区分を付さないで、例外的な措置をしようということにつきましては、いかにも便宜主義的であり過ぎるのでありまして、最初申し上げました財政法の本來の趣旨から申しまして、かような便宜的措置は講ずべきでない。あらゆる努力をして予算面に目節の区別をはつきりつけて、処置せらるべきものと考えるのでありまして、これを要しまするに、財政法の持ちまする國家財政の基本的性質を持つた重要法案でありまするがゆえに、いわば便宜的な改正は軽々になすべきでないという見地から、反対の意を表するものであります。
  109. 川野芳滿

    ○川野委員長 河田賢治君。
  110. 河田賢治

    ○河田委員 私は日本共産党を代表いたしまして、本財政法の一部を改正する法律案に反対の意を表するものであります。  大体理由といたしましては三つあげることができますが、第一はこの改正法によりますと、政府の政策の中心点がどこにあるかということが、この財政法並びに予算を通じて國民に知らすことができないという点にあるのであります。この前の國会におきまして、この法案が政府から提出されましたときには、新しい憲法の制定と実施に伴つて、諸制度の民主化が必要であるという要望にこたえて、根本的な改革をしたものとしてこれが提案されたのであります。そうして当時の政府委員野田卯一君は、財政法によつて國の財政に関して目的別予算区分のほかに、また部局別、組織別の編成方法をとつて予算に対する各部局の責任も明らかにしてある、こういうことも言われておるのであります。その他いろいろ予算の民主化等についても喋々と述べられておりますが、要するにこういうような区別によつて、國の財政の全貌を把握することが最も便利であるということが、当時主張されておるのであります。ところが今度の改正法の説明に対しましては、この根本的な問題にはいささかも政府委員の答弁は触れておりません。些末な財政法の單なる技術的な面にのみ触れて、返答されておるのでありますが、要するにこの目的別に編成した政府の政策がどこにあるか。たとえば公共事業費、あるいは教育費、あるいはその他いろいろ今日重要な問題は、この財政法によつて予算がきまりましたならば、ただちに一般國民は判断し得るわけであります。ところが政府自体では、こういう問題があたかも二つ予算であるかのように思い、また國民が十分これを理解するのに困難だというような詭弁を弄されておりますが、國民自体は前の財政法によりましても、今日この予算に盛られた政策がどこに重点があるかということを、ただちに看取することができるのであります。こういう点から見まして、今日このようにして目的別予算を編成することをやめて、組織別に重点を置くということは、政府の政策自体を國民から隠蔽するものである。こういう点から私は第一に反対せざるを得ないのであります。  第二には、大藏大臣の権限が強化され、そうして國会並びに各官廳及び各部局大臣のそれぞれの責任がかえつてなくなる。この点を私は指摘したいのであります。今度の改正案によりましても、國会が可決しましたものが、大藏大臣承認するかしないかによつて、また決定されるというように、むしろ國会を悔辱したところの一つの意向が現われております。のみならず昨日配付になりました特別会計の暫定予算につきましても、明らかにこれはわれわれ國会職員に対する一つの悔辱であります。なぜかならば、この財政法がまだ改正されないにもかかわらず、されたものとしてあの予算が組まれ、そうして配付されておるのであります。今日このように、政府の國会を無視するところの傾向が、この法律の中に、また現実に今日行われつつあるところのやり方の中においても、現われておるのであります。こういう点が第一重要であります。第二には大藏大臣にいろいろ財政運営の仕事を集中することによつて各省各廳、あるいはそれぞれ部局の長官の責任を、どんどんとなくして行くというところが現われているのであります。こういうことによつて、かえつて各官廳長官のその責任がむしろ無責任になつて來る。また大藏大臣に集中することによつて、かえつて今日よりももつとはなはだしいいろいろな財政の運用における弊害が増して來るということは、明らかなことであります。特に今日のように、各官廳の職員諸君が、非常な低貸金のもとに長時間の労働に追われて生活が困難になつておる。一箇月働いても給料が空袋であるということになれば、少々上の方の責任のある者でも、勢い今日のいろいろ不幸な汚職事件が多々起るような行政を、ますます増大させると私たちは断ぜざるを得ないのであります。從つてできる限り各省部局におけるそれぞれの長に、財政運用の責任を持たせてこれをやつて行くという方が、私たちとしては今日至当だと思うのであります。大藏大臣に財政を集中することによつて、むしろ今度の予算の内示問題に見るように、ますますその自主性をなくして來る。また各官題のそれぞれの長官が、この政府運用の自主性をなくするということになつて、結局日本の全体、また各省におけるそれぞれの責任の所在が、ますます不明確になつて來る。こういう点から私たちはこれに反対するものであります。  第三に、新して憲法下におきまして民主確義的な財政法として提案されたものが、再び先ほど申し述べました理由によつて、後退するということであります。これは先ほど民主党の方から言われました通り、まことに新しい憲法に次ぐこの重要な財政法が、これによつてむしろ憲法の精神に違反するものになつて來る。こういう点を私たちは十分ここに強調しておきたいと思うのであります。この財政法につきましては、たとえば昭和二十三年三月二十四日の委員会におきましても、日本自由党を代表して杉田一郎委員は、新憲法の制定に即しましてまことに妥当なものと認めまして、原案通り日本自由党を代表して賛成するものであると述べられている。また日本進歩党を代表して小野瀬忠兵衞委員が、私は日本進歩党を代表いたしまして、政府提出財政法案丘びに会計法改正する法律案に賛成の意を表すると言つて、当時社会党の川島君の修正案を一蹴して、現在の財政法が通過しているのであります。このようにして当時の日本自由党並びに進歩党の方々も、この原案を最も民主的な財政法として賛意を表せられておるのであります。從つておそらく今日においても私はその通りとは信じますが、こういう重要な観点から見まして、この財政法が今日改正されるということに対して、私は反対するものであります。
  111. 川野芳滿

    ○川野委員長 宮幡靖君。
  112. 宮幡靖

    宮幡委員 財政法の一部を改正する法律案に対し、民主自由党を代表いたしまして、原案に賛成の意を表明するものであります。
  113. 川野芳滿

    ○川野委員長 討論は終結いたしました。これより採決に入ります。本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  114. 川野芳滿

    ○川野委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  115. 川野芳滿

    ○川野委員長 次は酒類配給公團法の一部を改正する法律案を議題とし、討論採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。宮幡靖君。
  116. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいま議題となつております酒類配給公團法の一部を改正する法律案に対しましては、法律案そのものに対しましてわが民主自由党は賛成の意を表明するものでありますが、これが廃止の期間を延期いたします内容としては、質疑の中にも現われて参りましたように、公團の機構の廃止に伴います次の酒類を取扱いますあらゆる機関への移行が考慮せられ、また憂慮せられておるわけでありまして、特にわが党前尾委員からの質疑中にありましたように、御機関の設定、並びに運営等については、信用その他の條件がきわめて重大な関連を持つものでありまして、なお荷受機関等の設定については事業者團体法、あるいは独占禁止法等の関係がありまして、これらの機構改革をスムースに行うためには、関連的にこれらに対する特別な措置も必要であろう、かような点も考慮せられておるわけであります。また酒類の供給、ことに輸送計画あるいは各地域ごとにおいて起りますところの價格差の問題、あるいはこれに密着いたしますところの資金の運営の問題、こういうことについてはあらゆる観点から、政府の経過的な援助が絶対に必要である。かような希望意見が現われました通り、この三箇月間廃止を延期いたします間に、公團廃止後に起るべき酒類需給関係において、資金あるいは供給あるいは輸送、これらの面においてぜひとも遅滯なき計画を、政府において立てられますことをくれぐれも希望いたしまして、原案に賛成の意を表するものであります。なお付言いたしますが、万一この三箇月の期間においてこの廃止を断行するに適当でないような時期が参りましたときには、この公團は他の公團と性質を異にするものでありますから、さらに適当な整備のできますまで廃止を延期する等の時期についても、御考慮を拂われんことを希望するものであります。以上をもちまして原案に賛成の意を表します。
  117. 川野芳滿

    ○川野委員長 荒木萬壽夫君。
  118. 荒木萬壽夫

    ○荒木委員 私は民主党を代表いたしまして、ただいま議題となつております酒類配給公團法の一部を改正する法詞案について、賛成の意を表するものであります。ただいま宮幡委員からも御指摘になりました通り、これは行く行く廃止をするという前提に立つて、さしあたり三箇月間有効機間を延長そようという内容でございますが、公團そのものの廃止されますことについては、もとより異存はないのでありますけれども、問題はそのあとの善後処置、ことに受入れ態勢の整備いかんにかかります。ただいまも御指摘がありました通り、資金の面においても、あるいは酒そのものの需給バランスをとります上からも、受入れ態勢のいかんにひとえにかかのでありますから、この点については政府側におい十全の処置を講じていただきたい。ことに三箇月を予定して万事の手配を講ずるというお話でありますけれども、これが実施についてはいろいろと法律的にも問題がひそんでおるようにも承つておりますので、これらの難点を打開されまして、必ず後顧の憂いなからしめるような措置を、ぜひおとり願いたいという希望を付しまして、賛成の意を表する次第であります。
  119. 川野芳滿

    ○川野委員長 風早八十二君。
  120. 風早八十二

    ○風早委員 私は日本共産党を代表いたしまして、この酒類配給公團法の一部を改正する法律案に対して、條件付の賛成の意を表するものであります。その條件と申しますのは、第一に酒類公團そのものについては、私どもは多大の疑問をもつておるのでありまして、要はこの三箇月の経過期間の間に、これがいかなる受入れ態勢をもつて再編成せられるかという点にあると思うのであります。從つてわが党としては、政府がすみやかにこの三箇月間を最も有効に、この受入れ態勢の整備強化をはかるということ、具体的に申しますればまず公團の職員の生活の保障、この点については万遺憾なきを政府に要求する次第であります。さらに今日酒の配給統制の撤廃によりまして、おそらく数万の小賣業者は非常に大きな困難に逢着するものと、十分に想像されるのであります。これは特に果実酒の自由販賣の実施の場合において起つた実例によりましても明らかでありまして、この点についていかなる対策を持つておるか。いろいろ説明もありましたが、この点についてはこの猶予期間内に十分な対策を立てて行かなければならない。政府はこれについて十分な責任をとらなければならない。この点が第一点であります。  第二にこの酒が常に非常な過重な税金の対象になつておりまして、税金が足らなければすぐ酒に税金を増して、それでとつて行くというような今日までのやり方に対しては絶対に反対したい。從つて政府は今後酒税に対する大幅の軽減を行う。その財源は大口脱税でまかなうというわが党の方針に從いまして、政府が適切なる措置を講ぜられるということを條件にいたしたいのであります。これらの條件のもとに、この酒類配給公團廃止を三箇月延期するという延期そのものに対しては、賛成の意を表するものであります。
  121. 川野芳滿

    ○川野委員長 討論は終結いたしました。これより採決に入ります。本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  122. 川野芳滿

    ○川野委員長 起立総員、よつて本案は原案通り可決いたしました。     —————————————
  123. 川野芳滿

    ○川野委員長 次は貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案を議題として討論、採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。宮幡靖君。
  124. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいま議題となつております貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案に対しまして、民主自由党を代表して原案に賛成の意を表示いたします。
  125. 川野芳滿

    ○川野委員長 風早八十二君。
  126. 風早八十二

    ○風早委員 私は日本共産党を代表して、貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案に絶対に反対いたします。その由理は第一にこの法案が結局特別会計における追加予算である。しかも今日追加予算の全貌が少しも明らかでない。その一部としてのこの追加予算をかくのごとき法案の形で、小刻みで出して行くということに対して、まつこうから反対したいのであります。しかもこの場合において、その財源についてきわめて薄弱なる根拠を示しておられるのでありまして、これはわれわれは借入金あるいは証券発行というようなものの、限度拡張ということに対しては絶対反対であります。この借入金や証券発行そのものだけでなく、経済九原則に基く新しい予算編成の根本方針というものに、反対しておるのでありまして、われわれは現在すでに経済九原則は與えられておる。この事情のもとにおきまして、この方針に反する法案をわざわざ今この際に出すということについては、絶対に反対であります。以上の二点の反対理由によりまして、私はこの法案には絶対に反対の意を表明いたします。
  127. 川野芳滿

    ○川野委員長 討論は終結いたしました。これより採決に入ります。本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  128. 川野芳滿

    ○川野委員長 起立多数、よつて本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  129. 川野芳滿

    ○川野委員長 次は金資金特別会計法の一部を改正する法律案を議題として、討論採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。宮幡靖君。
  130. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいま議題となりました金資金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、民主自由党を代表いたしまして原案に賛成の意を表します。
  131. 川野芳滿

    ○川野委員長 風早八十二君。
  132. 風早八十二

    ○風早委員 私は日本共産党を代表いたしまして、この法案に対する反対の意思を表明いたします。理由は大体貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案に対する反対意見の中に、吸收されるのであります。
  133. 川野芳滿

    ○川野委員長 討論は終結いたしました。これより採決に入ります。本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  134. 川野芳滿

    ○川野委員長 起立多数、よつて本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  135. 川野芳滿

    ○川野委員長 次に会計法の一部を改正する法律案を議題として討論採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。宮幡靖君。
  136. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいま議長となつております会計法の一部を改正する法律案に対しまして、民主自由党を代表して原案に賛成の意を表明いたします。
  137. 川野芳滿

    ○川野委員長 河田賢治君。
  138. 河田賢治

    ○河田委員 会計法の一部を改正する法律案に対しまして、日本共産党を代表して反対の意を表明いたします。この会計法改正の根本趣旨は、先ほど財政法の場合においても述べましたごとく、やはり大藏大臣にその権限を集申し、権力を集中することになつておるのであります。たとえば第十三條の第三項に「各省各廳の長は、前條第一項の規定により支出負担行為認証官を指定しようとするときは、これを大藏大臣に協議しなければならない。」こういうふうに一々各省各廳のそれぞれの支出負担の認証官を任命する場合にも、大藏大臣の下風に立つて、これの指示を受けなければならぬというようなことが、原案の骨子であります。このようにして結局各省各廳のそれぞれの財政運用における、また会計の運用における自主性を冐涜する。そうして大藏省自体が、大藏大臣が権限を持つて來るということになつて、結局すべての運用が大藏省の指示のもとにやらなければならぬ。そうすれば結局國会においてそれぞれ振り当てられた予算費用においても、これがまた一々各省各廳が大藏省の指示を受けなければならぬというふうなことになりますので、こういうことではわれわれは絶対に同意することはできないのであります。以上の理由をもちまして反対意見とする次第であります。
  139. 川野芳滿

    ○川野委員長 討論は終結いたしました。これより採決に入ります。本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  140. 川野芳滿

    ○川野委員長 起立多数、よつて本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  141. 川野芳滿

    ○川野委員長 次は昭和二十四年の所得税の四月予定申告書提出及び第一期の納期特例に関する法律案を議題とし、討論採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。宮幡靖君。
  142. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいま議題となりました昭和二十四年の所得税の四月予定申告書提出及び第一期の納期特例に関する法律案に対しまして、希望條件をつけまして、民主自由党を代表し原案に賛成の意を表する者であります。その希望條件については、次の際申し上げようと思いましたが、時間の関係で今申し上げますが、結局予定申告ということを実施いたしました精神は、所得の発生の時期と納税の時期とをきわめて近接せしむる趣旨でありました。しかるところ六月予定申告制度をとるにおきましては、ある意味においては所得の発生と納税の時期とを引離すというような、逆な結果になるのではなかろうかと考えております。と同時に現在の徴税機構の末端までも洞察いたしますと、年に四回の納期を定めることは、いたずらに煩雜を増すのみでありまして、徴收機構の能率向上を阻害するものであろう、かようにも考えられるわけでありますから、むしろこの特別を設くるに先だちまして、さらに一歩を進められ、年二回ぐらいの申告と納期にすることが優るのではなかろうかと考えております。もとよりこの結果として歳入に多くのずれが來る、かような場合におきましては問題にならぬことでありますが、從來の申告納税によるところの実績に徴しましても、國家の歳入を危殆に瀬せしめるような弊害はなかろうと思いますので、当局におきましては、本特例に引続きまして、重ねてこれを二回の予定申告、二回の納期、かようなことにして、税務機構の末だ充実していないときに、完全に納税者をマスターいたしますところの税務行政が完遂できますよう、一段の御考慮を願いたいと考えるのであります。  以上をもちまして原案に賛成の意を表明するものであります。
  143. 川野芳滿

    ○川野委員長 風早八十二君。
  144. 風早八十二

    ○風早委員 私は日本共産党を代表して本案に対して賛成の意を表するものであります。しかしながらこれは無條件ではありません。この申告並びに納期を四月一日から四月三十日までを、六月一日から同三十日までに引延ばすという、この間にいかなる收税が行われるかということにつきましては、政府に嚴重な警告を発しておきたいのであります。今税金の問題は全國民が最も関心を集めておる死活の問題でありまして、特に先ほど政府委員の御説明にもありましたが、この申告制度というものは、やはり根本原則として認めておられるのである。しかしながらその実情は申告制度というものをまるで無視しておられる。申告ということにはおかまいなしに、かつてな査定、更正決定というものが行われておる。こういう実例は枚挙にいとまがないのであります。これについて政府ははたしてその言明のごとく、申告制度を徹底せられるか。税制の民主化、特に納税の民主化というふうなことは、むろんいろいろなしかたも考えられるでありましようが、要は申告制度の徹底でありまして、この申告制度の徹底こそは、眞に納税を民主的なものにすることができると思うのであります。しかも現在の実情はまつたくこれに反して、何のための申告制度か全然意味をなさなくなつておる。こういう点について政府が申告制度というものを、ほんとうに徹底されるということでなければ、いくら申告の期間を延ばすといつても、何も意味がないのです。その意味におきまして、私は政府に嚴重なる警告を発して、この申告制度の徹底を要求し、その條件のもとに本案に対して賛成の意を表するものであります。
  145. 川野芳滿

    ○川野委員長 討論は終結いたしました。これより採決に入ります。本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  146. 川野芳滿

    ○川野委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  なお各案については、衆議院規則第八十六條により、議決の理由を付した報告書を議長に提出しなければなりませんが、右報告書の作成その他については委員長に御一任あらんことを望みます。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 川野芳滿

    ○川野委員長 御異議なしと認めさよう決定いたします。     —————————————
  148. 川野芳滿

    ○川野委員長 次に本日付託になりました國有鉄道事業特別会計法の一部を改正する法律案、及び予備審査のため付託になりました公認会計士法の一部を改正する法律案一括議題として、政府の提案理由の説明を求めます。中野政府委員。     —————————————
  149. 中野武雄

    ○中野政府委員 ただいま議題となりました公認会計士法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を説明いたします。  今回公認会計士法の一部を改正しようとする理由の第一は、同法の施行後の実情に照し、公認会計士制度公正円滑な運営をはかるため二、三の点について所要の改正を行う必要があるからでございます。以下その改正点につき簡單に御説明いたします。  改正の第一点は、会計士管理委員会委員を、公認会計士以外の者のうちからも任命できることといたした点でございます。現行法によりますと、同委員会委員は公認会計士のうちから大藏大臣が任命することになつておりますが、特に公認会計士だけに資格を限定いたしますことは、不必要であるのみならず、適当でないと考えたからでございます。  改正の第二点は、公認会計士試驗の第二次試驗の試驗科目を、整理いたした点でございます。現行法によりますと同試驗の試驗科目は、相当方面にわたりますので、今回その科目を減じ、もつて受驗者の負担を軽減しようとするものであります。  改正の第三点は、特別公認会計士試驗の受驗資格者のうち、会社の会計課長等の受驗資格につきまして、一定の制限を加えた点でございます。現行法によりますと、きわめて小さな会社の会計課長等でも、特別公認会計士試驗の受驗資格を與えられておるのでございますが、これは他の受驗資格者と比較いたしまして均衡を欠いておりますので、資本金五百万円以上の会社の会計課長等にのみ、限定することといたした次第であります。  改正の第四点は、特別公認会計士試驗の合否の決定の際に、筆記試驗の成績の外に、経驗年数をしんしやくすることができることといたした点でございます。筆記試驗のみによりますときは、会計事務について経驗深く老練な人物も、不合格となるおそれがございますので、その救済策といたしまして、原則としては筆記試驗の成績によるのでございますが、一部経驗年数をしんしやくすることができるようにいたしたのでございます。  改正の第五点は、從前の計理士が監査証明業務を除く計理士の業務を営むことができる期間を、公認会計士法施行後十年間に延期した点でございます。現行法によりますれば、その期間は、三箇年となつておるのでございますが、公認会計士の補助者としての会計士補が、十分経済界の需要に應じ得る数に達するまでには、なお相当の時日を必要といたしますので、その間その不便を除く等の必要があると考えたからでございます。  以上が今回の改正点のうち主要な点でございますが、なお附則におきまして昨年十二月二十八日公布されました公認会計士法の一部を改正する法律昭和二十三年法律第二百七十五号)を廃止することといたしました。同法は三年以上計理士の業務に從事しているものに対して、無試驗で会計士補となる資格を付與し、十年以上計理士の業務に從事していた者に対しては、研究報告書またはレポートを審査して、特別公認会計士試驗にかえることができることといたしており、本年四月一日から施行されることとなつておりますが、これらの点は、高度の國家試驗により、世界的水準に達する会計士を誕生せしめ、経済界の信頼に値する企業の財務書類の監査証明を行わしめ、証券の民主化と外資の導入等に資する目的をもつて発足した、公認会計士制度の趣旨に沿わない点がございますので、この際同改正法を廃止することといたした次第でございます。  以上をもつて公認会計士法の一部を改正する法律案の主要な内容及びその理由の説明を終ります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成くださるようお願いいたします。  國有鉄道事業特別会計法の一部を改正する法律案提出の理由を御説明申し上げます。  今回の改正は、國有鉄道事業特別会計の運営を円滑にするための措置と、昭和二十四年度中において日本國有鉄道が設立せられるに伴いまして、必要とする措置を講じようとするものでありまして、そのおもな改正点は次の五点であります。  先ず第一点といたしましては、現在この会計の減價償却引当金の計算整理は、自己資本に含めて計理しているのでありますが、この計理は減價償却引当金の性質に顧みまして、引当金勘定を新たに設けて計理するので適当と認められますので、これに必要な改正をいたそうとするものであります。  第二点は、陸運監督費及び観光行政費は、本來その性質上一般会計の所属とすべきものでありますが、一般会計の財政状況から從來便宜この会計所属としておるのであります。しこうして近く日本國有鉄道が設立されるのに伴いまして、予算作成上の便宜昭和二十四年度予算から、これらの経費一般会計の所属に移しまして整理することとするため、所要の改正をいたしますとともに、これに必要な措置を附則に規定いたそうとするものであります。  第三点は、この会計において支拂い上現金に不足を生じた場合におきましては、一時借入金の借入れまたは融通証券の発行によりまして、一時必要な短期資金を調達し得ることとなつているのでありますが、一時借入金の借入れまたは融通証券の発行を持つことを得ないような火急の場合におきましては、これらに加えて一時國庫余裕金を繰りかえ使用せしめ、事業の運営を円滑にする必要がありますので、昭和二十四年度限つて國庫余裕金の繰りかえ使用の道を開こうとするものであります。  第四点は、この会計における貯藏品の計理は、用品勘定を設けまして、損益勘定、工事勘定及びその他の中間勘定で必要とする用品をあらかじめ購入貯蔵し、これらの勘定において必要の都度、当該勘定に用品割掛費と購入原價との合計額をもつて、使用せしめておるのでありますが、昨年行われました物品の價格等の統制額の改定に伴いまして、この会計の貯藏品保有のための資金に不足を來し、これを補足する必要があるのでありますが、この会計の財政状況に顧みまして、借入金をもつて補足いたしますのは不適当と認められますので、用品勘定で保有する貯藏品の價格一般統制額に準じて改定し、これによつて生ずる資金をもつて資金の増加に充てようとするものであります。  第五点は、この会計におきましては、現在相当巨額の欠損金を有しておるのでありますが、日本國有鉄道が設立せられまして、この会計の資金負債が同鉄道に引継がれます関係上、その際右の欠損金を整理する必要があるのであります。この際の整理方法といたしましては、右の欠損金を一時調整勘定に計上いたしまして、同鉄道に引継ぎ、將來資産の再評價により評價益をもちまして、償却するのを適当と認められますので、これに関する措置を講じようとするものであります。  以上の理由によりましてこの法律案提出いたしました次第であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことを御願い申し上げます。
  150. 川野芳滿

    ○川野委員長 本日はこの程度にて散会いたします。     午後四時十二分散会