○
加藤(八)
政府委員 特別調達廰の
支拂いの
状況につきまして御説明申し上げます。その前に
特別調達廰の
支拂いの
手続が、
日本の
一般官僚の
支拂いと非常に
違つた点がございますので、その点をひとつお含みいただけないと、これから申し上げることがわかりにくいと存じますので、どんな点が
日本の
一般の
官廰の
支拂いと違
つておるかという点を二、三申し上げたいと存じます。
まず一番違
つております点は、
仕事が済みまして、あるいは品物を納めまして、金をもらうには必ず
進駐軍側の
受領官と申しますか、レシービイング・オフイサーと申しておりますが、いわゆるレシートと申しますか、
調達受領書をもらいませんと一切金を
拂つてはいかぬということに、スキヤツピンが出ておりまして、この点がまず第一番に非常に困難なことであります。
一般の
契約者の
方々は、これをなるべく早くとるように
努力をされておるようでございますが、そのレシートには大工が何時間働いたとか、左官が何時間働いたとか、あるいは使いました資材はこれこれを幾ら使
つたというふうに全部詳しく書いたものが出るのでありまして、これをもらいますることが相当時間がかかります。大きな
工事あるいに大きな
作業なんかになりますと、2箇月も三箇月もかかるようなものもございます。軍の方でも、最近これが
支拂い遅延の大きな原因であるということを認識されまして、最近各レシーヴイング・オフイサーに早く出すようにということを督励されておりますので、逐次よくなるとは存じますけれ
ども、これが
一つの大きな
手数でございます。
それから第二の点は、いよいよレシートをもらいますと、
業者の
方々がそれによりまして
支拂いの
請求をいたします。この
請求書のつくり方でございますが、これは御
承知のように法律第百七十一号がございまして、公定價格のないものは全部公定價格のあるところまで分析して價格を出すというような非常に困難な
仕事でございます。それに要しました資材、労務、並びに諸費というようなものを三つにわけまして、それぞれ分解をしなければならぬのでございまして、これはあながち
進駐軍の
仕事に関する問題だけでなく、
一般の
政府支拂いの問題でありますけれ
ども、得別調達廰の
支拂いには特にこれに抵触するものが多いのであります。と申しまするのは、軍に納める品物は
日本向けの
一般の規格と違
つておて公定價格をそのまま適用できるものが少いのでありまして、そのたびごとに例外價格の許可申請をするとか、あるいはそういう
手続をしなければ、
一つのものをさらに分解して公定價格のあるところまで細分して行くというような
仕事がございまして、これには相当
手続がかかりますし、またこれができまして
請求する場合には、釘一本、ガラス一枚まで、全部使
つた数と、單價とをかけた表を出すことになりますので、大きな
工事になりますと、一件書類が五寸にも一尺にもなるというものさえあります。これが
一つの
支拂い遅延の大きな原因にな
つておる次第であります。
その次には、その
請求書をもらいますと、いよいよ
官廰側の方で
支拂の
手続をいたすわけでございますが、現地におけるその
請求書の査定、あるいは
特別調達廰の査定、さらにこれが
大蔵省まで行かないと金がもらえないのでございます。これは終戦処理費の所管大臣が大蔵大臣にな
つております
関係上、従来でございますと、
仕事が済んで、もうすつかり金をもらう段階になりましてから初めて
予算を
大蔵省に要求しなければならないようなことにな
つてお
つたのであります。これでは非常に困るというので、
大蔵省とも交渉いたしまして、本年の一月から一括配賦を受けまして、その中から
拂つて行くというふうにいたしておるのでございますが、今でもなお一番最後に
支拂う場合には、やはり一件書類をつけまして
大蔵省に参りまして、
予算の令達を受けます。その令達を受けて金から拂うというようなことになりまして、遅れて参るのでございます。そのほかいろいろ
進駐軍関係の
支拂いには、ペイメント・データーと申しまして、英文で書きました、使
つた内容の明細を
業者の
方々が出さなければ金を
拂つていかぬとか、いろいろ
手続がございますが、大体大きく申しまして以上のような段階になるのでございます。ちようど昨年の十月末に調査いたしましたものがございますから、その統計を申しますと、この統計はちようど一口百万円以上で、もうその
仕事が済んでおるにもかかわらず金を拂われていないというものを、全國にわたりまして調べたものでございます。これは
特別調達廰だけでなしに、その当時まだ
特別調達廰が現在や
つております
仕事のうち府縣のや
つてお
つたものもございます。その他いろいろほかでもや
つておりましたが、それを全部とりまとめた数字でございます。
仕事がすでに完了しておりますけれ
ども、
進駐軍側のレシートがもらえないというものが、
金額にしまして、比率で申しますと二九パーセントございます。それからレシートはもらいましたけれ
ども、さつき申しましたような法律百七十一号
関係の書類をつくるというような
関係で、
業者の
方々において非常に
手数がかかるものですから、レシートをもら
つたけれ
ども、
請求書を出しておらないというものが三九パーセントございます。それから
官廰側で査定しておるとか、あるいは大蔵大臣の
手続中というような、いわゆる官側の
支拂い遅延の原因でございますが、これがちようど三〇パーセントになるのであります。この結果をみますと結局
支拂い遅延の原因は三
方面にあ
つて、その
一つは、連合軍側のレシートの発行が遅れれておるというのが
一つの原因であり、それが二九パーセント、それから
業者の
方々が
請求書を出すのに手間ど
つておるのが三九パーセント、それから
支拂い官廰側がいろいろ手間ど
つておるというのが三〇パーセントというような数字にな
つてお
つたのでございます。おそらくこの原因が大体現在においてもそんな情勢で流れて来ておるのではないかと存ずるのでございますが、御参考までに、ちよつと古い統計でございますが、申し上げておく次第でございます。