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砂間委員 私はこの機会に、二、三の点につきまして飯山長官に御
質問申し上げ
たいと思います。
第一は、政府は八月二十八日政令を発布いたしまして、漁船
操業区域制限に関する
取締規則を
実施されておるのでありますが、これによりますと、五十トン以上の漁船は毎日正午その出漁船の位置を、無電によ
つて監視船に報告する
という義務を負わされておるのでありまして、もしこの報告を怠
つた場合におきましては、その漁船の船長は三年以下の懲役、二十万以下の罰金
というような重い刑罰を受けることにな
つておるのであります。ところがこの無電装置をやる
ということがなかなか
たいへんでありまして、少くとも一隻につきまして八十万円ないし百万円くらいの費用がかかるそうであります。すでに以西その他の底びきにおいて、一たん
許可しておきながら、今突如として中間でこういう政令を発布いたしまして、そうしてこの報告を怠ればそういう罰金に処せられる
ということにな
つたのでありますが、特に
小型の漁船の中には、この装置がなかなか今の金詰まりの時代におきましてできないものが多々あるのであります。少くとも
以西底びきだけをも
つて見ましても、百三十隻ぐらいの漁船は現在無電装置がないのでありまして、それを新たにとりつける
ということがなかなか
たいへんであります。ところがそれをとりつけて毎日その報告をやらなければ出漁ができない
ということになれば、事実上
許可を取消されることにひとしい、こういうことにな
つておるのであります。大体こういう重大な
内容を持
つておる
規則を、單なる政令によ
つて政府が発布する
ということ自体が、少くとも新憲法の精神に
違反しておる憲法
違反の疑いが多分にあると思うのでありますが、この政令を発布した根拠について第一にお伺いし
たい。
第二には、無電装置をやる
ということについて、現在でも
操業が非常に困難になるような漁船に対する救済
措置をいかにするか
ということであります。
それから第三にお伺いしておき
たい点は、第五國会の終了以後、この六月以後からでありますが、
以西底びきの三割五分減船について、新聞紙上をの他にしばしばいろいろな報道がなされておりまして、私
どもはまだその詳細な
内容について、何らの報告も
説明も正式には聞いておらないのでありますが、その
内容について、この機会に御
説明願い
たい。もし
農林省がこの減船を上から押しつける
ということになりますならば、現在の
漁業の法規をも
つてしましても、一たん
許可したものを政府が一方的に取消す
というふうな
規定は、私は現在の
漁業法規にはないように見受けるのであります。
從つてこの点につきましても、もしこれを強行するならば、憲法
違反の疑いが多分にあると思うのであります。しかしまたもし民間の
業者が自発的にそういうことをやるとするならば、これは事
業者團体法
違反の疑いが多分にある。事
業者團体法の第五條五号には、一一定の事業分野における現在若しくは將來の事
業者の数を制限し、又はその制限に着手すること。」
という
規定があります。またその八号には、「構成事
業者の機能若しくは活動を制限し、又はその制限に着手すること。」
というふうな
規定がありまして、こういうことはできないことにな
つておる。
從つてもし
業者が自発的にやるとするならば、事
業者團体法
違反の疑いが多分にあるのであります。現在この
以西底びきの三割五分減船問題はどういう
状態にな
つておるか
ということにつきまして、実情の御
説明をお願いし
たいと思います。
それから次に第四の点につきましては、先般來いろいろ問題にな
つております。
漁業手形、あるいはつなぎ資金、あるいは共済基金制度についてでありますが、この案の
内容につきましてはいろいろ
意見もありますが、時間の
関係もありますので、きようは省略しますけれ
ども、しかしこれを各地で
実施しておる
業者のいろいろの
意見を聞いてみますると、危險
負担を
業者の弁済基金によ
つてやる
というが非常な
負担になる。これをぜひひ
とつ國の方で肩かわりしてもらい
たいという
要望が非常に強いのであります。私はその点について、もう一ぺん水産庁の方で案を練り直して、場合によ
つたら次の臨時議会に提案いたしまして、もつと改善するような意思はないかどうか。ことにあの資金の使用につきましては、
資材調整事務所の扱
つておる
資材とか何かに限られておりまして、あるいは漁船の建造
という点に限られておりまして、運轉資金その他の金詰まりの打開
ということには、あまり直接には役立たない形にな
つておる。たとえば使途の場合におきましても、あのがわに使う浮き、竹なんかを購入する
ということは直接には該当しない、あるいはわら工品
という点があるのでありますが、こういう点を改善しまして、そうして單に任意に、自発的にやらせる
というのでなくして、もう少し政府がめんどうをみてやる
というふうに改善しまして、あらためて提案する意思はないかどうか
という点であります。
その次に第五点としてお伺いしておき
たい点は、先般來いろいろときどき断片的に言われております水産資源枯渇防止
法案についてであります。これは新聞紙なんかによりますると、次の臨時国会に提出する
ということにな
つておりますが、その概貌と、実際提出する御意思があるかどうか
という点についてお伺いし
たい。以上五点について御
質問いたします。