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1949-09-12 第5回国会 衆議院 水産委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年九月十二日(月曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 石原  圓吉君    理事 小高 熹郎君 理事 鈴木 善幸君    理事 玉置 信一君 理事 松田 鐵藏君    理事 佐竹 新市君 理事 林  好次君    理事 砂間 一良君 理事 小松 勇次君       川端 佳夫君    川村善八郎君       田口長治郎君    冨永格五郎君       夏堀源三郎君    西村 久之君       長谷川四郎君    奧村又十郎君  出席國務大臣         國 務 大 臣 青木 孝義君  委員外出席者         総理府事務官  田中  覺君         水産庁長官   飯山 太平君         農林事務官   久宗  高君         農林事務官   松元 威雄君         農 林 技 官 石川 東吾君         通商産業事務官 佐橋  滋君         專  門  員 小安 正三君         專  門  員 齋藤 一郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  漁業法案  漁業法施行法案  水産物集荷配給に関する件  水産資材に関する件     —————————————
  2. 石原圓吉

    石原委員長 これより会議を開きます。  前回に引続き漁業法案審議に移ります。それに先だちまして御報告があります。青森縣魚類積取船團より電報であります。「水産用資材補給金打切りは、水産業はもちろん、運搬船としても重大なる打撃を受け、水産物陸揚物との値幅少き折柄操業不能となり、業者の死活問題である。打切り絶対反対す。あくまで御盡力を願う。青森縣魚類積取船團」以上であります。  次に生活物資局食品課長が御出席でありますから、この場合、最近の生鮮水産物全般にわたる統制の問題につきまして、安定本部としての現在の実情、御方針等の御説明を求めます。
  3. 田中覺

    田中説明員 私経済安定本部食品課長をしております田中でございます。ただいま委員長から御指名がございましたので、簡単に水産物統制撤廃ないしは改善の問題に関する現在までの経緯について御報告申し上げます。  すでに前回委員会におきまして一應の御報告をいたしたことがございますので、その後からの情勢を主としてここに御報告申し上げることにいたしたいと思います。御承知のように、水産物統制改善の案を國会方面等の御要望もあわせ考えまして、政府において立案をいたしまして、関係方面折衝を続けておつたのでございますが、その折衝が非常に手間どりまして、約四箇月も要して、最近になつてようやく関係方面の了解ががとれるというような段階に入つたのであります。しかるに一方今年度の予算緊縮方針によりまして、補給金撤廃問題が新しく登場して参りまして、その補給金の大体の始末のつけ方が、一應補給金は全面的にはずすというような意見が閣議、ことに大蔵省方面で強く主張せられて参りました関係上、この統制改善案を立案いたしましたわれわれといたしましては、もし補給金が現在の情勢のようにはずれた場合に、はたして水産物統制が現在の考え方でそのまま実行できるかどうかという点について、若干疑問を持つ点もあるわけであります。特に補給金をはずした場合には、おそらく資材の値上げとなり、從つてそれは魚價を値上げしなければ、漁業経営の採算が引合わないということになるわけであります。従いましてその魚價を上げるということが結局今の購買力の減退、ことに有効需要の減退しつつある現状において、はたして可能であるかどうか、もしそれができないとすれば、それは結局漁業経営に負担がかかるというようなことにもなります。その結果として、現在の考え方による水産物統制を続けることがはたしてできるかどうかという点に一抹の疑問も持ちますし、また國会方面その他漁業團体等のいろいろ御要望もございますので、実はわれわれとしては、今までこの改善案関係方面折衝して参つたので、これが関係方面の了解するところになれば、当然に実施をしなければならぬわけではありますけれども、新しい補給金問題の登場によつて、この統制改善案実行することに、実は躊躇をするということを率直に関係方面意見具申をいたしたのであります。ところがそれに対して関係方面考え方は、補給金撤廃の問題と水産物統制の問題とは全然別個である。ことに水産物統制をはずすという問題は、現在の情勢から見て困難であるということを率直に言つておるのであります。その理由とするところは、先般の御報告のときにも申し上げましたが、本年の四月野菜統制撤廃いたしましたけれども、その後の野菜價格動きは、関係方岡で期待しておつたような動きをしておらない。すなわち予想外に高い價格を続けてるのであつて野菜統制をはずしたことは成功とは考えておらないという、そういう一つ実績があるという点。もう一つは、現在でも内閣の統計局でやつておりすCPSの調査によりましても、魚の実効價格が相当高い。すなわち配給品價格についても、一部マル公をうわまわつておるものもありますし、また非配給のものについてはマル公を相当に上まわつておる。その結果は消費者が支拂う実効價格が相当マル公を上わまわつておるという実績。それから今後の見通しとしても、かりに補給金をはずしても魚價を上げることは困難だという見通しを持つておるというようなところから、この統制をはずすことはきわめてむずかしいということを関係方面言つておおるのであります。そういうことで、われわれの方と関係方面との間の意見の一致を見ずしてしばらく経過しておつたのでありますが、最近に至りまして、関係方面も大体われわれの意のあるところがある程度わかつたとみえまして、それならば一應この水産物統制に関する根本的な問題については、補給金の処理の問題がきまつたときに一應考えようということでありました。私ども考え方を一應のんだわけであります。そこでさしあたりの問題として、今年の春以來つて参りました水産物統制改善案そのものは、内容的には確かにに改善であることには間違いないのでありまして、ただわれわれがその実施を躊躇いたしますゆえんのものは、補給金撤廃がきまりました場合、かような統制を続け得るかどうかということに一抹の疑惑を持ちますために、その実施を躊躇しておつたわけでありまして、もしこの水産物統制に関する基本的な問題を、補給金撤廃問題のきまつたときに考え直すということにいたしますれば、今までやつて参りましたこの統制改善の案に盛られております内容そのものは、あるいはなまぬるいねかもしれませんけれども、やればやつただけの改善になることは間違いがないという確信を持つておりますので、この際せつかく今まで長い間かかつて関係方面折衝を続けて來たいきさつもありますので、その統制改善案内容はこの際一應実行に移すことにしたらどうか。但しその実行の移し方の問題としては、新しく統制規則をつくつてやるようなことをいたしますと、そこに何か統制根本策についての行き方を示すようなふうにもとられますので、その改善考え方は、単に事務的な一つ改善だという建前をとることにいたしまして、現在の水産物配給統制規則加工水産物配給統制規則、この二つのものをそのまま存置いたしまして、その両者を、先般來議論をいたしておりました一本の統制規則の案に盛つておりました内容で改正をするということで当面の事態を収拾したらどうか。そうして水産物統制に関する基本的な問題に、補給金撤廃問題のきまつたことにあらためて考え直すということに一應いたしまして、ただいま水産庁の方で具体的に條文修正案をもちまして、関係方面折衝いたしておるような次第でございます。なお補給金撤廃の問題に関しましては、現在のところ決定を見ておりません。ただ情勢といたしましては撤廃をするということの方面が強いようでございます。私からとりあえずそれだけの御報告をいたしたいと思います。
  4. 川村善八郎

    川村委員 水産物統制撤廃にからんで、過般來われわれが委員長といろいろ協議した結果、改善案という方に持つて行つたことも、今御説明された通りであります。しかしどこまでも撤廃根本精神として委員会が取上げましたけれども関係方面では何としても了承してくださらないような空気があつたの改善案を持つて行つた、こういうわけなのであります。しかし今回あなたの御説明によりますと、この補給金の問題に大分からんでおるようでありますが、補給金のあるなしにかかわらず統制というものは切り離して行かなければならぬ、私はこういう考えを持つておるのであります。なぜならば、補給金をもらわなければ漁業が成り立たないということはいろいろ理由もありましよう。私に言わしめますならば、今あなたが言われたように、魚價というものはもうこれ以上かりに上つたとしても、購買力その他いろいろな條件において、全般的に上るとは考えられません。しかし現実はどうなつておるかというと、多いものは拒否されて、しかも統制品は特に拒否品で、九〇%まで拒否をされて、末端はどうかというとマル公以上に賣られておるという現実であるので、こんな行き渡らないいわゆる実行の不可能な統制であれば撤廃をする。そういう一つ理由、それからもう一つ漁業が不漁の場合には何ら補償がない。しかも魚がない時分に高く賣るということができるならばまことにけつこうだけれども、それもできないという現実である。また價値のあるものでもマル公に押えられてわれわれが高く賣ることはできない。そうしたようなことを考えますときに、生産者のためにも消費者のためにもならない、ただ中間商人の搾取によつて苦しむ統制であるならば撤廃しろ、こういうのがわれわれの統制撤廃理由であります。しかし一面漁業者漁業資材補給金の問題になりますと、それとは違う。資材を多く使う定置漁業のごとき、あるいは機舟底びき網のごとき、これらは成立たない。これは数字をあげれば長くなりますから申しませんが、成立たない漁業がたくさん出て來る。資材をたくさん使わない漁業というものは、補給金をもらつてももらわなくても大して差がありません。しからば魚の價格を、今まで補給金をもらつてつたものを高くするか、これもできない、また片方を安くすることもできない、こういうようにわれわれは考えるのであります。しからば補給金のないためにできない漁業というものは何十パーセントあるかというと、おそらく全漁業の六割ないし七割くらいあるじやなかろうか、そこでそうした六割も七割も日本水産食糧をまかなうところの漁業が成立たないとすると、日本の食糧問題という大きな問題から考えて、どうしても漁業生産を増強するためには、資材補給金撤廃してはいかぬというのがわれわれの主張であります。從つてわれわれは統制があろうがなかろうが、漁業が成立たないために食糧問題に大きな影響をもたらすものであるから、この際補給金を出せというのでありまして、統制撤廃補給金とからんであなた方が御折衝なされたとすれば、それは大きな誤りであります。しかしそれはあなた方のお考えでありますので、それをどうこうと言つてこの場合は申し上げませんが、でき得るだけ統制撤廃というものを切り離して、あなた方が極力進行させていただくようにお願いいたす次第であります。なお補給金の問題については、委員長初めその他の議員とともに、われわれが政府当局に当つて漁業実態を話をして、そうしてぜひともこの際補給金を切らないというふうにしたいと思つておるようなわけであります。しかし補給金をいただいても、どうか統制撤廃だけは一日も早く先ほど申し上げよたような理由のもとに進まれんことを、特にこの際意見として申し上げておく次第であります。
  5. 松田鐵藏

    松田委員 九原則実行にあたつて今年度の予算は画期的の予算を組まれたことであり、私ども日本経済が現在のような統制経済によるびつこになつておることを、一日も早く是正せんと念願しておるものであります。しかして第五國会においてわれわれがこの画期的な予算を樹立した直後においては、世の中情勢はさほどまで変化を來しておらなかつたのであります。その当時においても、われわれとしては水産業におけりるこのびつこな経済組織による幾多の弊害を述べて、鮮魚統制撤廃を議論したのであります。あの第五國会当時の経済状況と今日の状況は、あなた方政府当局においてもよくおわかりのことと在ずるのであります。要するに現政府の施策がその緒について、今日はインフレの一時の停止を見たのであります。これが金諮りを來したゆえんであり、ここに初めて日本自立経済ができ上つて來たのであつて、もはや自由経済をもつて行かなかつたならば、この状況を克服することができないということをわれわれは考えて行かなければならないのであります。しかしただいまのお話で、いろいろ御苦心なさつたことはよくわれわれも了承できますが、第五國会の当初において政府当局がとりました鮮魚統制問題に大きな誤差があつたと、私はこれを指摘したいのであります。補給金の問題はただいま川村議員からお話がありましたが、それとこれとは絶対に別問題であるということはよく御了承願いたいと同時に、要するにインフレ克服という実体をよく御認識つたならば、経済常道化備をはかるために当局はもう一度考慮する必要がないか。しかして現在の段階といたしまして、鮮魚政府がある機関を通じて調査されておる公定價格よりも高まわつておるということは、これは末端における実体であります。ただいま川村議員が言われたことく、中間にある一部悪徳商人のなせる策であつて鮮魚実体に即していないことを、はつきりと私どもは証言できるのであります。しかもこの統制経済によるありとあらゆる部面から、われわれが常に叫んでおる品質の粗悪なものが市場に出ておるりであります。これらを改善し、すなわちまじめな経済立場に持つて行くことが、自由経済以外に何ものもないという結論がはつきり証明されるのであります。また一方においては、ありとあらゆる統制経済規則があるために、いかに犯罪者を出しておるかということも考えなければならないし、また價格もわれわれの体験から行けば、現在の実態から見て統制経済撤廃したときにおいて必ずや價格は下るものである。私はこれを根拠づける資料を幾多持つておりますが、こうしたことによつてわれわれは統制経済あるがために、自分の創意くふうによつて漁業者自立経済を立て得ることができ得ない実態になつていることを、もう一度よく調査を願いたいと思います。第五國会の当時の世の中経済状況と、今日の状況の差をいま少しく調査をして、一日も早く統制経済撤廃をしなかつたならば、とうてい漁業者の立つて行く道はないであろう。つまりそれには漁業者みずからによる創意くふうによつて初めて鮮度のいいもの、そうして品質のいいものによつて市場において價値づけられることによつてのみ、われわれ漁業者の立つて行く道があるのであるということを、深く私は強調したいものでありまして、一日も早くこの実態調査されて、水産物統制撤廃せんことを要請するものであります。このときにあたつて大臣は特に眞劍にかかつていただきたい。またもう一つつけ加えて申し上げますが、農産物においても、今やいもであろうとあらゆるものに対し統制撤廃價格撤廃を論議されておるときに、それよりももつと鮮度の一日も一時間も急速に保持されなければならない鮮魚において、ことさらにこの必要があるものでないか、この点を強く強調いたしまして、当局の参考に供したいと存ずるものであします。
  6. 冨永格五郎

    冨永委員 ただいま川村委員並びに松田委員から、それぞれ、統制撤廃の一日も至急に実現していただきたいという意見が述べられたのでありますが、私どもは第五國会におきまして、水産物統制につきましては、すでに小委員会を設けまして、慎重審議を重ねたものを、常任委員会改善案として政府当局に提出してあつたのであります。しかるにその後政府当局におきましては、ただたいまの御説明によつてつたのでありまするが、いろいろ苦心、検討をして関係方面に提案されているということでありまするけれども、しかしながらやはり結果におきましては、いまだ何らその実施に移つていないということに相なります以上、してなかつたことと同じことに相なるのであります。今や前申しました両君の意見にもあります通り食糧事情その他から勘案いたして判断いたしまするに、この場合水産物統制撤廃すべきであると考えざるを得ないのでありまして、委員長から、この点について委員諸君にお諮りを願いたいのであります。なお特にこの場合申し上げておきたいと思いますことは、先ほどの説明の中にもそう考えられる節が多々あつたのでありますが、政府当局は、ともすれば統制撤廃補給金問題を関連してお考えになつておるようでありますが、これは両委員からも述べられた通り、全然認識不足でありまして、統制撤廃することと補給金問題とは別個の問題であります。しかも統制撤廃するということは、何か生産者に有利なることであつて生産者のためにしてやるのだというようなお考えがあるとすれば、それもさらに大きな問違いであることをはつきり指摘しておきたいのであります。ことに私ども北海道関係でありますが、北海道といたしますれば、この場合統制撤廃されることによつて生ずる混乱、犠牲の非常に少からざるものあることをしばしば憂慮し、それに対するいろいろの面で対策を講じておることは事実であります。しかしながらそういう不便があり、困難があり、犠牲があつても、すでにこれは統制撤廃をしなければならないという段階に至つておると、生産者考えておるのでありまして、むしろ日本自立再建食糧事情の諸点を考えました場合に、もはや水産物統制撤廃は断行すべきである、しかもそれは生産者のためになるにあらずして、また消費者立場を考慮に入れて、どうしてもこうして行くことが現在の日本再建のために、食糧政策から見て必要である。こういう段階に立つてこれを私どもは主張しておるのであります。これを先般大蔵大臣が臨席をせられまして、補給金に関していろいろ意見を承つたのでありますが、私どもはあくまでもこの補給金水産業発展のためにお考え願わなければならない、しかしながらそれと関連性を持たずに統制はぜひ撤廃してもらいたい、かように考えるのであります。私は水産物集荷配給統制に関する小委員会委員長として、責任もつて動議を提出いたしたいのであります。その動議をこの場合読ましていただきます。「決議水産食糧の最近における生産消費現況にかんがみ政府はすみやかにこれが全面的統制撤廃を断行すべし、右決議する。以上であります。委員長におかれましては、これを常任委員諸君にお諮りを願います。
  7. 砂間一良

    砂間委員 ちよつと御質問を申し上げたいのでありますが、今度の統制改善案によりまして、魚類の生産者價格にどういうふうになりますか。現在のマル公をすえ置かれるのか、もつと漁民生産費を償うような意味で相当大幅に引上げるのか、あるいは反対に下げるのかということであります。
  8. 田中覺

    田中説明員 現在のものをすえ置くという考え方であります。
  9. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 水産物統制の問題につきまして、今富永委員長より動議の提出がありましたが、私ども全面的に賛成であります。この機会に委員長より動議採決ををお願いいたします。
  10. 石原圓吉

    石原委員長 お諮りします。ただいま富永委員長より統制撤廃に関する動議が出まして、それに鈴木委員賛成があります。一應決議文を朗読します。    決 議  水産食糧の最近における生産消費現況にかんがみ政府はすみやかにこれが全面的統制撤廃を断行すべし。  右決議する。     〔「動議内容について意見があります」と呼ぶ者あり〕
  11. 石原圓吉

    石原委員長 本案に対して採決をいたします。御賛成の方は御起立を願います。     〔賛成者起立
  12. 石原圓吉

    石原委員長 多数賛成……(「それは何の採決ですか。動議採決するかどうかについての採決ですか。討議をしないで採決をすることがあるか。」と呼ぶ者あり)……動議通り決定いたしました。     —————————————
  13. 石原圓吉

    石原委員長 次におはかりいたします。北海道より多数の陳情の方が見えおられます。この際審議を中止して陳情を聞きたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 石原圓吉

    石原委員長 それでは北海道代表の方、どうかここへ來られて、ごく簡単にお願いします。     〔速記中止
  15. 石原圓吉

    石原委員長 速記を始めてください。
  16. 砂間一良

    砂間委員 先ほどの緊急動議につきまして、議事運営の上から言いまして疑議がありますから、その点についてお尋ねいたします。  先ほど冨永委員より決議案作成についての緊急動議が提出されました。この動議を取上げるかいなかについては、委員長はこの委員会に諮るべきである。その諮つた場合に、一名以上の賛成があれば動議を採択いたしまして、そうしてその動議内容につきまして質問を許し、それから討論を行つて採決するのが議事運営規則だと思う。それを委員長動議を採択するかどうかということをも諮らず、その動議内容について質問討論をも省略して、許さなくて、そうしてみそもくそもごつちやにして何の採決だかわからない。この法案について委員会審議するかどうかの採決もやらない。そうしてその決議案内容の可否を採決するということもやらない。じや一体これは何か。これでは全然私は議事規則の上から言いましても無効だと思う。しかも意見があると言つて初めから手をあげて発言を求めておるのに、その方り発言は許さなくて、ほとんど民自党の諸君にばかり発言を許して、そうして、一方的にやつている。こういう議事運営というものはまつたく横暴でありまして、そういうやり方によつては、決して十分なる今後の審議というものは期せられないと私は思う。さしあたり先ほどの決議案採決につきまして、疑議がありますので、その点につきましては、委員会の方から十分ひとつ説明していただきたい。もしその説明が不十分であるならば、私はこの緊急動議の問題につきましてもう一ぺん審議し直していただきたい。
  17. 石原圓吉

    石原委員長 富永君より動議がありまして、それに対する詳細なる説明がありまして(「動議を提出する説明はありました」と呼ぶ者あり)その後砂間君より発言を求められて発言を許しまして、その次に鈴木君より動議を採択するの意義内容説明意義が加えられて、即時決議をすることの動議があつたでありまして、私は合理的であると思いますから、何らあなたの御意見のような不合理な点がないと心得ます。(「異議なし」と呼ぶ者あり)  お諮りいたします。この決議案の取扱いにつきまして、その方法等委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 石原圓吉

    石原委員長 御異議なしと認めます。     〔発言する者あり〕
  19. 石原圓吉

    石原委員長 私語を禁じます。     —————————————
  20. 石原圓吉

    石原委員長 質疑に入ります。この法案の第六章を全部一括して議に付します。御質疑を願います。
  21. 砂間一良

    砂間委員 たくさん質問がありますから、順次やつて行きます。まず第八十五條についてでありますが、この三項二号に、学識経験ある者のうちから二名、公益代表として一名知事が選任するというふうなことになつておりますが、知事が一方的に天くだり的に任命するというふうなことは、本法第一條の民主化という精神からしましても、まつたく相反しておる。私どもといたしましては、こういう知事天くだり任命というようなことはやめまして、やはりこれは漁民の中から選挙によつて出す、こういう原則が貫かれなければならないというふうに考えているわけでありますが、この点についての当局説明を求めます。  それからなお関通いたしまして、第五項の専門委員の選任についてでありますが、これもやはり都道府縣知事が学識経験のある者の中から選任するというふうな規定になつております。しかしこの専門委員は何も知事の諮問機関ではないのでありまして、調整委員会の諮問機関でありますから、これは当然調整委員会が選任あるいに任命すべきものだというふうに考えるわけでありますが、この専門委員の任命を、知事が横の方ふらかつてにきめるということは、法の精神からしてもたいへん矛盾しておる、また実際の運営から言いましても妥当でないというふうに考えるわけでありますが、この点についても当局説明を求めます。
  22. 久宗高

    ○久宗説明員 ただいまの御質問でありますが、学識経験委員並びに公益代表委員につきまして選挙制をとれというお話でございます。しかしながらこれにつきましては、学識経験委員の問題といたしましては、漁場の総合的な利用という点からいたしまして、こまかい学問的な考え方というものを、実際の漁民の経営と結び合せながらまとめて行く必要があるわけでございます。從つてこの委員会におきましては、ただ漁民だけの経営の利害関係けではなしに、そうした技術的な関係も加えて行く必要がございますので、ここでは特に別に学識経験委員というのを置いておるわけであります。そうしてこの選任方法につきましては、そういう点を考慮いたしまして、知事が選任するということにいたしたわけでございます。また公益を代表する委員というのが入るわけでございますが、これに後に出て参ります土地または土の定着物の使用関係どもつて参りますので、その意味からも特に必要になるわけでありますが、いずれにいたしましても学識経験委員、公益委員というのは数でこの委員会を支配することにはならないわけでありまして、別の観点からそういう方面意見代表して、委員会決議に対して、そういう方面からのバツクをするということが趣旨なのであります。  次に専門委員の問題でございますが、やはりこの委員会は利益代表機関という形をとつておりません。特に業種の問題などにつきまして、専門委員意見を聞く必要が出て来るわけであります。その場合の委員の問題にいたしましても、これは経営の利害関係というよりは、むしろその業種についての深い学識経験が問題になるわけであいますので、その判定を知事がいたしまして選任するという方法をとつたわけであります。
  23. 砂間一良

    砂間委員 今の点についてでありますが、専門委員委員会が任命してはなぜぐあいが悪いのですか。
  24. 久宗高

    ○久宗説明員 この専門委員意見を開きます場合には、おそらく相当漁業種類の対立的な問題が起こつて來る場合が多いのであります。またそれが地域的な対立を関連して持つておる場合が多いと思うのであります。それでありますから、委員会においてそれを選任するという形をとります場合に、委員会の構成がそのままこの委員の選任に対して影響を及ぼすことがあり得るということは、十分考えなければならない点でありますので、そこで都道府縣知事が直接選任するという方法をとつたのであます。
  25. 砂間一良

    砂間委員 そうすると海区の調整委員会は利害関係者の集まりというふうに見ておられるわけでありますか。
  26. 久宗高

    ○久宗説明員 海区の委員会は、たびたびお話いたしますように、そういう利害関係者がうしろに選挙母体を持つて、その意思に従つて投票しなければならないという形は適当でないということから、直接選挙にしているわけであります。しかしながらその中には当然にある業種、またある地域を代表する方が出て來るわけでありまして、それが特殊な問題、たとえばその中で定置とつりの問題を議論しよう、こういつた場合に、その委員会の中で、それについてだれを選ぶかといつたような問題が出た場合には、問題が個別的になるので、その選任にあたつて、一方の業種の意見が強く反映してしまうという場合もあり得ると思うのであります。ことに専門的にその問題を議論する、しかもその結果が他の業種にも非常に影響ありといつた場合に、そういう形をとる危険性がありますので、この問題につきましては、やはり網羅的に専門委員いう形をとりまして、その意見委員会に反映させる必要があると考えますので、委員会がこの問題を直接扱うのではなくて、都道府縣知事が、たとえば定置の漁業関係ということになれば、少くともどことどこというふうに規定して、その定置の全体の利益が正当に反映されるような選任方法をとるのが、適当であろうと考えているのであります。
  27. 砂間一良

    砂間委員 ただいまの御説明を聞いておりますと、海区調整委員会の性格について、問うに落ちず、語るに落ちるというふうなことになつて行くと思います。先般來いろんな調整上の諸問題につきまして、この海区調整委員会がやる、あらゆる問題を調整委員会へ持つてつてつたのでありまして、この調整委員会こそほんとうに漁民代表であり、公平に処理するものだというふうに御説明なすつて來たのでありますが、たまたま今の専門委員の任命に関連して、この調整委員会の性格をお伺いしますと、その背後に定置であるとか、いろんな業種別の團体を選挙母体に持つていて、相当利害対立のある委員会の構成になつているというふうに申されて、先般來の説明とそこに非常な矛盾を感ずるわけであります。私どもとしましては、ただ漁民の中から一般的に調整委員を選書するということになれば、当然そういうふうな性格の委員会になるだろうということを予想して、だからこの階層別の委員を出すようにしろという主張をもつて、いろいろ意見を述べて來たのでありますが、今のような御説明であれば、なおさらのこと、階層別にこの委員の数を明確に規定して選挙する必要があると考えるわけであります。この階層別の選挙ということついて、当局の御見解をお尋ねいたします。
  28. 久宗高

    ○久宗説明員 ただ今私の説明が不十分なために誤解を生じたと思うのでありますが、委員会に出て來られる委員の中にはいろいろな方がおられますから、ある業種について十分に知識がないという場合もあり得るわけであります。そこで重要な事項につきましては、専門の委員の方々の意見を聞くいてみて、たとえば定置の方々はこう言う、その関係において小づりの方々はこう言う、こういうつまり専門的な意見を聞いた上で判断するというのがあとに来るわけであります。そこでその専門的な意見を吐く者について、それについて十分知らない方々がかりに選任するという形はいろいろな齟齬が起りやすいから、そこで専門的な委員は都道府縣知事が選任する。そしてその専門的な意見を聞いてみて、これに対して漁民としての一般的な海区の常識から、これはこうであろうという判断を委員会においてする、こういう方式が適当であろうと思うのでございます。  なおただいまそういうことであれば階層別の選挙が必要じやないかというお話がございましたが、これにつきましては、前に委員長の性格そのものについてお話しましたときにお答えしておりますので、省略したいと思います。
  29. 砂間一良

    砂間委員 専門委員が調整委員会の諮問機関であり、補助機関であるならば、これは当然委員会が任命しなければならぬことだと思います。それを縁もゆかりもない一一と言つたら少し言い過ぎかもしれませんが、知事が任命するというのほどうしても合点が行きません。しかしこれ以上申し上げますと意見になりますから、この点差控えておきます。  なお海区調整委員会についてでありますが、私どもといたましては、市町村の調整委員会が必要であるということをこれまでしばくば述べて來たのですが、それが今度の法案には取入れられていない。いないとしますならば、この海区調整委員会の人数を十名ーそのうち漁民代表は七名でありますが、こういうふうに限定するということは非常にまずい。たとえば漁業権についての現地懇談会なんかをやつた場合の漁民意見としましても、どうして各村から一名くらいずつの委員が出せるようなふうにしてもらいたいという要望が非常に強がつたのでありますが、ある場合には、やはりそういうふうな考慮も必要になつて來る場合があると思います。そういたしますと、十名の委員一そのうち漁民より選出する者は七名でありますが、これでは少過ぎる。そこで私は、この委員会の人数をもつて弾力性を持たせまして、海区の情勢によりまして、ある場合には十名で足りる場合もありましよう、ある場合には二十名ないしは三十名にもふやすことができるというふうにした方が実情に適するのじやないか。この海区の調整委員会というのは、今後の漁業権の調整を実際にの船やつて行く非常に重要な機関でありますから、そうしなければ運営がうよく行かないというふうに考えるわけでありますが、この委員の人数の点につきまして、もつとわくを廣げるなり、あるいはどこでもかしこでも十名というふうに限定しないで、もつと伸縮性を持たせ、弾力性を持たせるようなふうにする意思はないかどうかという点につきまして御質問いたします。
  30. 久宗高

    ○久宗説明員 ただいまの委員の数をもつとふやしたらどうか、またそれをもつと融通性のあるものにしたらどうかという御意見でございます。これについてはわれわれもいろいろ考えてみたのでありますが、今のふやしてくれという意見は、主として各部落から、あるいは各村から一人々々の代表を出しておきたいというような意見である場合が非常に多いと思うのであります。しかしながらよく考えてみますと、そういうふうに各村から一人々々出たといたしまして、そしてある問題が出た、ことに部落の対立といつたような形で問題が出たという場合に、部落代表という形で出ておりますと、その内容のいかんにかかわらず、ある部落は自分の部落の点だけを考えて、それについて投票しなければならぬという実際上の形になるわけでありまして、そういうことでは実際部落別に人を出したいと考えている漁民の方々の希望ともこの委員会の性格が実は食い違うわけであります。むしろ問題は、そういうような結果においてうしろに一つの選挙母体を持ち、その利益を代表して投票で数できめるといつたような形では、漁業の問題は納まらないのでにはないか。単に業種の問題のみならず、あるいはそれこそ階層の問題も出て参ると思いますので、むしろ問題は漁民委員の数を比較的少なくいたしまして、結局どちらの立場もとれない、結局公平なる判定者として、しかも非常に責任をもつてその問題について判断をしなければならぬという形に持つて行くのが、最も適当であろうということを考えまして、この数にいたしたわけであります。
  31. 砂間一良

    砂間委員 いろいろの問題もありますけれども、あまり意見になるから述べてもどうかと思いますので、第八十五條についてはその辺でとどめておきます。  次は第八十六條の選挙権及び被選挙権についてでありますが、一應ここにはこういうふうな規定がしてありますけれども、一年に九十日以上というふうな規定が、実際においては非常にむづかしい。この選挙資格及びこの選挙のやり方は、都道府縣の選挙管理委員会が管理するということが第八十八條に規定されてあるのでありますが、都都道府縣の選挙管理委員会というのは、一般の漁民ではない、ほかの方の農民や労働者や、いろいろな人たちの選挙の方も、一般の選挙をも扱つて行く機関でありますから、特に漁業のことに精通しておるというわけではないと思う。その一般の都道府縣の選挙管理委員会に管理させましても、なかなかうまく行かない点が出て來るのではないか。このことにすでに漁業協同組合の設立や、あるいはその役員の選挙という、今現に申し上げておりますあの協同組合の設立過程を見ましても、非常にインチキなでたらめがたくさん起つて来ておるのであります。先般も勝浦の協同組合のことなんかにつきまして、一、二の例をあげて申し上げましたが、これは江ノ島の漁業協同組合の選挙についても同様であります。あるいは三重縣の九鬼の協同組合の設立や、その役員選挙の過程を見ても同様でありまして、九鬼の場合におきましても、江ノ島の場合におきましても、非漁民の連中が正式会員としてずうずうしく入つて来て、そうして幹部になつておるというふうな実例があるのであります。また九鬼の協同組合の役員選挙の実情などを見ますと、旧漁業界の幹部がそ選挙の行われる場合に、寺かどこかに寄りまして、今度の協同組合の幹部には旧漁業会の幹部が全部出ようじやないかという陰謀をたくらみまして、そうして総会の日にはみなでやつて來て、ごそつと漁業会の幹部がそのまま協同組合の幹部になつて出ておる。こういうような実情もあるのであります。從つてこいうふうに單に八十六條や八十八條に一般的な規定をじておるだけでは不十分であります。そういふボス連中がやはり重要な海区の調整委員会の中に割込んで來まして、そうして漁業権の行使や配分について、いろいろなえこひいきな、自分の都合のいいようなことをやる危険性が多分に出て來るのでおりますから、この点についてもう少し詳しく規定する必要があるのではないかというふうに考えるわけでありますが、今申しましたような不純な、選挙資格のない者が入るて來て役員につくというようなことを防ぐには、一体どういうふうな具体的なお考えを持つておられるのか、その点について納得の行くような御説明を承りたいと思うわけであります。
  32. 久宗高

    ○久宗説明員 選挙資格でございますが、農地のように明確に規定し得ないという点でここに従事日数ということが出て來るわけでありますが、こり判定はきわめてむずかしいわけであります。しかしながら実際問題といたしましては、もちろん法律上は都道府縣の選挙管理委員会が市町村の選挙管理委員会を指導しながら、この問題を処理するわけであります。しかしその場合に、おつしやる通り漁業について詳しいものではなし、客観的にもすぐある帳簿によるものでもあり得ないわけでありますので、結局はそこの漁業協同組合とか漁民の團体とも連絡をとりまして、漁民の一般的な常識に訴えまして、あるいはそこに具体的に審査委員会というものを、法制上の形でないにしても、内部でもそういつたものをつくるとか、そういう方法によつてこれが固まつて來るのであります。それによつてその土地における漁民の一般的な常識によりまして、ただいまおつしやいましたような全然無資格者が入つて來るということは排除されて行くであろうと思つております。つまりそういつたような問題は漁民がみずからの力で処理すべき問題だろう、こう考えるのであります。
  33. 砂間一良

    砂間委員 もしインチキな選挙が行われて、おかしな連中が出て来たり、あるいは不正な選挙が行われた場合におきましては、監督官庁はどういう措置をとられるか。これは單に漁業調整委員の選挙ばかりではないのでありまして、現在の協同組合なんかで行われておるあの設立過程を見ましても、ああいうインチキなやり方で出て来た場合において、監督官庁はどういう措置をとられるかということについて、責任ある明言をお願いしだいと思います。  それから次に第四節の中央漁業調整審議会についてでありますが、第百十三條の第四項に「委員は、主務大臣の申出により、内閣総理大臣が命ずる。」というような規定がありますが、この中央漁業調整審議会というのは非常に重要な機関であります。そういうように総理大臣が天くだり的にかつてに任命するということは、漁村の民主化という根本精神にまつたく相反する。これもやはり選挙制によるべきだと思うわけでありますが、この点についての御説明を求めます。  なお第五節雑則の第百十八條漁業調整委員会の費用の点についででありますが、これは調整委員会の一般的な費用は別といたしまして、委員の手当と申しますか、生活保障の点についてであります。この点についてに、先般川村委員からもいろいろ御意見がありましたが、私はまつたくそれと同様の考えを持つておるのでありまして、これをほんとうに零細漁民代表となつて出て調整委員の仕事をする場合には、どうしても生活の保障がなければできないのです。だからこの費用は調整委員の生活保障ということを、十分國費をもつてめんどう見てもらいたい。それがなければいくら選挙権、被選挙権を名目上與えられてみましても、朝から晩まで沖に出なければ飯が食えないという人たちは出ることができないのです。この点についてこれは要望になるかもしれませんが、調整委員の生活保障ということを明瞭に規定していただきたい。その点についての当局のお考え一をお聞きしたいと思います。
  34. 久宗高

    ○久宗説明員 第一の御質問の、選挙についていろいろ違法の問題があつた場合はどうかというお話でありますが、違法の問題はそれぞれ責任官庁がその段階に應じて処理すべきものだと思います。  第二に中央漁業調整審議会の問題でありますが、これは中央農地委員会の例にならつたわけでありまして、中央漁業調整審議会の性質上、一應これでいいのではないかというふうに考えておるわけであります。  また第三の費用の点でありますが、これで委員の生活保障を考えろというお話であります。これに私どももこの委員会の性格上、委員の手当その他につきましては、特に実際に働いておられるような漁民の方々に出ていただきたいという点からも、特別な考慮を拂うように再々関係者に対して強く要望し、また始終それで争つておるわけでありますが、たびたびお話いたしますように、他の委員会との振合いその他の関係がありまして、特別に生活が完全に保証できるような形にまでは至つておらないのでありまして、この点につきましては、予算その他の審議を通じまして、ぜひこれをもつと増額し得るよう私の方からも特にお願いしたいわけであります。
  35. 奧村又十郎

    ○奧村(又)委員 議事進行について……。先ほどの統制撤廃についての砂間君の発言について、委員長いささか不親切なところがあつたように私には感ぜられます。それと差引するつもりかもしれませんが、私の緊急動議についてこれまた不親切でありましたのは遺憾でありますから、今後御注意を願います。この漁業法の審議についてだんだんと日が延びておりますが、委員長のお考えを一言承つておきたいと思います。現在國会は閉会中であつて、われわれ継続審議であるから、こうして出ておるのでありますが、災害委員会とか、いろいろほかにも委員会ができて來たり、あるいはまた家庭の事情上から近いうちに帰らなければならぬ人も出て來ると思うのでありますが、いまだに修正案その他について正式な何の相談もできておりません。この漁業法案をのむという考えは、おそらくこの委員の中で一人もなかろうと思うのであります。從つて修正案をつくるについては、もうすでに相当われわれ用意をせなければならぬと思うのでありますが、この審議審議として、別に修正案のための小員会でもつくつて、これは夜を日に次いで早く準備を進めたいと思うのであります。なおまたその修正案を通過させるについては、よほどの努力が必要と思うが、これに対していかなる構想でこれをやつて行くか。これらのことについて、もう少し委員長のお腹を聞いておきませんと、この質疑だけでにはどうも物足りしないように思いますので、一應委員長の御意見を承けておきたいと思います。
  36. 石原圓吉

    石原委員長 委員長は第六章までやつと済んだのでありまして、御承知のように、本日の午前中は砂間委員に全部時間をとられたようたわけでありまして、あと七章以下が残つておるのであります。これだけにどうしても逐語的に片づけて行かなければ、その次には移れないのでありますから、せいぜいどうぞご勉強の上…
  37. 奧村又十郎

    ○奧村委員 この逐條審議は、委員質問があればむげにこれを押えるわけにも行かぬので、場合によつてはまた一日も延びるかもしれぬ。それはそれとして、別に小委員でもあげて修正案の準備をしたらどうかと思いまよす。
  38. 石原圓吉

    石原委員長 承つておきます。
  39. 奧村又十郎

    ○奧村委員 委員長のお考えを聞きたいのですが……
  40. 石原圓吉

    石原委員長 承つておくのです。意見を申し上げる限りではありません。またこの質疑をあと七章から十章まで全部終了するまでは私の意見は申し上げられないのです。
  41. 川村善八郎

    川村委員 ただいまの奧村君の御意見もごもつともでありますが、一應われわれは逐語審議を一通りしなければなりませんが、しかしながら各委員とも相当の意見を持つておるようであります。このよまで行けば、もう三日くらいかからなければ全部を完了しないと私に考えます。だが、これを一日も早く完了して、ただいま奧村君が申されたような線に進むとするならば、大体各委員意見を時間で制限するということは、これは諮らたければできないと思いますが、一應皆さんに諮つて、一人一章について十分とか、あるいに五分とか質問をするようにして、理由討論等で十分言い盡されるにことと思いますから、なるべく議事の進行をそういうふうにはかるように皆さんに諮つていただいた方がいいと思いますが、その点についてお諮り願います。
  42. 石原圓吉

    石原委員長 第六章に対しては質疑應答は終了…
  43. 川村善八郎

    川村委員 第六章は五分間くらいでいいのです。
  44. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私は質疑はありますよ。
  45. 石原圓吉

    石原委員長 それでは継続するより仕方がない。質疑があるのを中途でやめるわけにに行きません。
  46. 川村善八郎

    川村委員 ですから、今後委員発言は十分とか五分とかに調整して行かぬと、きよう中にできないと思うのだが、その点を皆さんと相談されたらどうですか。
  47. 石原圓吉

    石原委員長 その御意見があるならば、その動議を出していただいたら、それを採決します。委員長が独断でそういうことを制限すべきものでないと私は思う。
  48. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 午前中はこの程度で打切りまして、議事進行に関しては休憩中に打合わして、スムーズに、しかも迅速に審議を終わらせる方法を講じたいと思いますので、動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  49. 石原圓吉

    石原委員長 午前中はこれで休憩して、午後一時半より再開します。     午後零時二十五分休憩     —————————————     午後一時五十九分開議
  50. 石原圓吉

    石原委員長 午前に引続き漁業法案審議に入ります。  お諮りします。第六章のうち審議未了の分並びに第七章、第八章、第九章、第十章の雑則、これを一括して議に付することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 石原圓吉

    石原委員長 しからば一括して議に付します。  なお本日審議を終了したい見込みでありまして、それにつきましては、一人の御質問時間を五分以内にとどめていただきたいと思いますが、いかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 石原圓吉

    石原委員長 さよう決しました。富永君。
  53. 冨永格五郎

    冨永委員 簡単に伺いますが、第八章の内水面漁業のところで、第百三十條に内水面漁場管理委員会とありますが、この漁場管理という意議を明らかに御説明願いたいと思います。なお松元説明員の説明には、しばしば漁場管理という営業を使つておるのですが、ずでに逐條審議が済んでおるので、重複するようですが、実は関連しておりますから、漁場管理という言葉の用い方でお伺いしておきたいのです。区画漁場の場合でも、やはり協同組合が漁場管理できるもの、そうでないもの、それから個人その他組合の権利となるもの、こういうふうに三いろに説明しておりますが、それは一体どういう理由によつてこういう区別が生ずるのか。漁場管理という言葉に関連して、以上お伺いいたします。
  54. 松元威雄

    ○松元説明員 漁場管理と申しますのは、漁場の使い方をどうきめて行くか、そのきめ方でございます。この場合、これは実は少し字句が悪いのでありまして、漁場と申しますのは、この法律内では、内水面漁場管理委員会、ここを除きましては、すべて現行法の漁場権のあの漁場を意味しておるわけであります。なお今まで私の説明中しばしば漁場管理という言葉を使いましたのは、実はこの法律で使つております漁場より少しラフに使つたわけでありまして、ほんとうはその場合使つた漁場という意味は、漁場権の漁場の意味ではなくして、もう少し廣い意味の水面というわけでありまして、水面管理と言えばもつと正確かもしれませんが、水面と申しますと漁場以外にいろいろ水面を使つております。そこで水面を漁場に限定いたしまして漁場と少そ説明はラフでございますが使つたわけであります。この内水面漁場管理委員会というのは、ほんとうはこれも字句は悪いので、これは内水面において水産動植物の探捕または養殖をいたします一一業としてではなく。探捕または養殖を致しますのを含めまして、河川り使い方をどうきめようか、その場合漁場つまり業として致しますものだけに限りません。それ以外のものがございますので、漁場管理委員会とは言えなかつた從つて少し不正確とは思つたのでありますが、漁場管理委員会という用語を用語を用いたわけでございます。
  55. 松田鐵藏

    松田委員 第七章土地及び土地の定着物の使用というのに、第百二十條から百二十四條までが関連されておるようでありますが、「漁業者漁業協同組合又は漁業協同組合連合会は、左に掲げる目的のために必要があるときは、都道府縣知事の許可を受けて、他人の土地を使用し、又は立木竹若しくは土石の除去を制限することができる。」一十一條にはこれをまた使い道を書かれておつて、二十二條には「又は支障となる木竹を伐採し、その他傷害物を除去することができる。」條文にはこういうように書かれてあるが、もしこれを悪用されることがあつた場合はどうするか。この問題は、現在の方位というものがはつきり固定してあるものであつて、それにその方位はいつでも標識がはつきりなつておるはずである。ところが将來免許をする場合において、この法を悪用する憂えはないか、こういう点が多分にこの点に対しては疑問が生じるではなかろうか、これはどういう見解を持つておられますか。
  56. 松元威雄

    ○松元説明員 ただいまの御質問まことにごもつともでございまして、実はこれは百二十條から百二十六條まで関連いたしまして、すべて他人の土地あるいは土地の定着物に対してある程度の制限を加える行為でございます。從つて悪用の危険がないかと言われますと、その点につきましては一應知事の許可制を布いておるのでありまして、許可制で制限して行きたい、こう考えておる次第であります。
  57. 玉置信一

    ○玉置委員 私も今の第七章の、ただいま松田委員から質問されたことに関連いたしまして、この免許漁業の場合には、協同組合漁業でもそうでありますが、特に定置の場合においては、岡場所がなくては漁業経営が成り立たぬ。ところが岡場所を所有しておるものがたまたまその免許を得られぬ場合に、土地の使用を拒否したという場合に、民法上の所有権との関係がどうなるか。もう一つは、第六章の中の海区の関連において、北海道の場合は町村単位に一應基本的に海区ができるわけですが、その中で漁業組合が二つがきた。甲の漁業組合の会員は、従来乙の漁業組合の地先で仕事をしておつた。ところが二つにわかれて甲に行つたために、今度仕事をすることになりますと、乙の部面に進出しなければならぬという場合に、乙がそれを拒否するというような場合も出て来るわけですが、当然そこで調整委員会の調整によりて解決されることでありましようが、そうした場合の関係について伺いたい。
  58. 松元威雄

    ○松元説明員 ただいまの御質問で定置漁場の経営には岡場所が必要である。にもかかわらず岡場所を所有しておる者が使用を組んだらどうなるか、同様な場所が協同組合を分離した場合起り得るわけでありますが、この場合所有権は依然としてその所有者にあるわけであります。この法律ではそれに対して使用権の設定を認めまして、つまり使わせてもらう、そういう措置を講じておるわけであります。所有権までは移せない。土地使用法などでは土地の使用まで規定いたしておりますが、これは所有権を侵さない。たた必要な限度で使用権を認めるということにいたしておるわけであります。
  59. 玉置信一

    ○玉置委員 使用権はもちろんこの法で規定されているのですが、どうしても本人が拒否して應じないという場合にたとえば鉄道なんか敷く場合に、土地使用法を適用してやる場合が今まで往々にしてあつたのですが、この土地の使用の点に関してはそこまでこの法で実行できるかどうか、お願いしたい。
  60. 松元威雄

    ○松元説明員 ただいまの説明ちよつと私ポイントを狂わしたようでございまして、もし委員会が裁定いたしまして、使用権を設定したにもかかわらず、向うが拒んだ場合は、これは委員会が裁定いたしますと使用権が設定されたことになるわけであります。從つてそれをもし拒んだ場合には、裁判所に訴えまして、裁判所の執行の手続でやつて行く。土地使用法で使用いたします場合も同様で、一應使用いたしましても起り得るわけで、あとは裁判所の手続きになるわけでございます。
  61. 川村善八郎

    川村委員 第八十四條、五條、六條に調整委員会等の委員の選挙のことが書いてございますが、方法はまた別に書かれておりますけれども、たびたび選挙があると思いますが、この選挙費用はどこで持つか。いわゆる管理委員会の選挙費用はどこで持つか、それが第一点。それから第八十六條に「特定の漁業につき、前項の漁業者または漁業従事者の範囲を拡張し、又は限定することができる。」となつておりますが特定の漁業とはどういうものなのかという点。それから第九十五條には、都道府縣の議員委員を兼ねることができない。こうなうておりますが、その理由はいかなる理由か。それから次に中央漁業審議会の委員は何ら制限がないようでありますが、一一いわゆゆ公職者の制限がないようでありますが、都道府縣会議員が兼ねることができるか、できないか。それから第百三十一條の第二項に「漁業を営む者を代表すると認められる者」、「水産動植物の採捕をする者を代表すると認められる者」と、非常にあいまいですが、この判定はだれがするのであるか。大体以上のことについてお答え願います。
  62. 松元威雄

    ○松元説明員 選挙費用の御説明は久宗説明員から説明いたします。他の御質問中、特定の漁業と申しますのは、特にこれといつて今予定いたしておるものはないのでりあります。これは漁業種類ことに、こういう意味でございます。たとえて申しますと、北海道におきましては、いかつりはげた屋も学校の先生も行く、そうした場合、日数が九十日を越えても選挙権は認めないという考えで、漁業種類ことに選挙権を廣げたり縮めたりする、こういう意味でございます。それから第九十五條の都道府縣会議員の兼職の禁止でありますが、これは立法と行政の分離という意味でございまして、これは農地調整法の第四十三條の三にも同様の規定がございますが、縣会議員は一應縣内の立法の任に当る、それでこの海区委員会は縣の仕事でありますから、行政と立法を分断する、こういう思想でございます。從つて中央審議会につきましては、中央審議会は國全般のことを審議いたす、それに対しまして縣会議員は縣内の立法でございまするから、縣会議員と審議会の委員の兼職はもちろんさしつかえありません。それから第百三十一條の第二項の「漁業を営む者を代表すると認められる者」以下「認められる者」、この認める認定権はだれにあるかという御質問でございますが、これに一應知事が責任をもつて認定いたす、かように考えております。
  63. 久宗高

    ○久宗説明員 第一の選挙の費用の問題でございますが、これにつきましては、本來ならば全國選挙管理委員会の方で予算をとるのがほんとうかと思うのでありますが、現在におきましては、これを水産廳の予算としてとりまして、それを向うにお渡しするという形になつております。
  64. 川村善八郎

    川村委員 では大体第百三十一條は知事が認定するというふうになつておりますが、立案者はそういう心立てで立案したのですか、またそれには知事がやれるのだという精神のもとにあなたがこう立案されたのか、この点伺います。
  65. 松元威雄

    ○松元説明員 この文章を書きました当事者といたしましては、知事に認定権がある法律上そういうふうに解釈するつもりで書いたわけであります。もちろんはたしてこれでいいかどうか、いろいろ問題がございまして、選挙制にしたらどうかというような意見がありましたが、海区委員会と違いまして、どういうふうに選挙をやつたらいいか、なかなか技術的にむずかしいといろので一應知事にまかせるというふうに考えたわけであります。
  66. 川村善八郎

    川村委員 それでは私の質問はこれで終りました。
  67. 奧村又十郎

    ○奧村委員 第百二十七條によつて内水面の漁業は区画漁業以外の漁業は免許をしないということになつておりますが、そうなりますと、従來やつている区画漁業以外の何と申しますかえりやな類などの漁業は認めないことになるわけでありますが、これは全國的に相当この法案に反対の空気が強いのであります。それでこれらの漁業が大体どのくらいこの法案実施によつて整理になるか、お見通しをお伺いしたい。
  68. 松元威雄

    ○松元説明員 ただいまの御質問中えりやな類はどうなるかという御質問でございますが、これはこの法律によりまして、免許はできない。從つて許可制にする予定でございます。数を減らそうということに別に考えておりません。漁業権とするのではありませんで、許可漁業とするというつもりでございます。
  69. 奧村又十郎

    ○奧村委員 同じ條文の中で、「湖沼においては、協同漁業の免許をすることができる。」とあるのですが、この共同漁業の問題については、やはりほかの規定と同じように、協同組合に持たせるということになるのですか。
  70. 松元威雄

    ○松元説明員 御質問通り協同組合にしか適格性はございません。
  71. 奧村又十郎

    ○奧村委員 第百十八條、漁業調整委員会の費用は、免許科、許可料の中に含まれるその血金額をもつて一應調整委員会が運用されるような規定になつているわけですがが、こういう委員会の費用を免許料、許可料などの形でもつて國が取上げることは、この漁業法の規定以外に、ほかに何か例があるたら参考のためにお尋ねしておきたいと思います。
  72. 久宗高

    ○久宗説明員 そういう例はございません。
  73. 奧村又十郎

    ○奧村委員 第百九條に瀬戸内海の海面を規定してあるのですが、この規定した第二項の「一、和歌山縣紀伊日の御岬拝」云々とあるのですが、これに対して和歌山縣方面から非常な反対があるのです。私もまたその土地の実情を調べて見ますと、この区域を入れるじやなしに、もつと大阪湾の方へ入つて、今のこの規定の区域はむしろ瀬戸内海の区域からにはずして行つた方が実情に沿うじやないかと考えるのですが、政府当局の御意見を承りたい。
  74. 久宗高

    ○久宗説明員 この問題につきましては、和歌山縣並びに徳島縣から再々陳情その他があるわけであります。しかしながら私ども考え方では、ここで問題になつております海域につきましては、瀬戸内海の資源とも非常に関係が濃厚であるという点と、さらに入会い関係も複雑な関係を持つているのであります。それでこれを管轄外というふうにいたしますことは、漁業の調整上いろいろ支障があるという考え方を持つておりますので、從來の瀬戸内海と同じ区域にしておるわけでございます。しかしながら実態を伺つてみますと、そこが内海性ではなくて外洋性を帯ぴて來るというお話がありまして、確かにそういう部面があるわけでございます。しかしながら、さらによく調べてみますと、その外洋性を帯びますものが期間によつて相当移動があるということなのでありまして、これを制度的に規定いたそうといたしますと、どうしても管轄権は一番先のところまで及ぶことにいたしておきまして、その内部において規定の適用を季節的に移動させるといつたような措置が具体的にとらるべきではないか、こういうふうに考えますので、規則からすつかり除いてしまうという行き方にとらないと考えておるのでございます。
  75. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ただいまの御説明によりますと、そういつた手心を加えるというお言葉がありましたが、その場合、瀬戸内海の統制に入れる場合は、瀬戸内海の沖合海区調整委員会の決定に基く。その必要のない場合は海区調整委員会は独自に働く、こういう意味になるのでありますか。
  76. 久宗高

    ○久宗説明員 そうではないのでありまして、瀬戸内海の中に含まれますと、当然瀬戸内海の連合合海区委員会の規制下に入るわけであります。また瀬戸内海の取締り規制の適用を受けるのでございますが、その際もちろん徳島及び岡山の両縣の海区の連合委員会ができて、この問題についていろいろ決定するということはできるのであります。しかしそれについて瀬戸内海の連合委員会の方からさらに別の指示が出ました場合には、これと抵触することはできない」こういう規定になるわけでございます。
  77. 奧村又十郎

    ○奧村委員 第八十五條調整委員の中に、「学識経験がある者の中から、」とういうふうになつておるのですが、学識のある者と経験のある者と、これははつきりわかれるはずであります。特に漁業においては学識のある者必ず経験があるとはいえぬ。むしろ学識のある者と経験のある者とにはつきりわかれておる。從つてこの解釈がむずかしい。むしろ学識のある者から一人、経験のある人から一人、こういうふうにしてもらいたいという意見もあるのですが、この御解釈を願います。
  78. 久宗高

    ○久宗説明員 この学識経験者という言葉は普通一本に使つておるわけでございます。しいてこれを学識、経験とわけるようには、他の委員会においてもなつておりませんし、ここにおきましても別にこれをわけるということは考えておらないわけでございます。
  79. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 私は総括して当局にお伺いしたいと思いますが、瀬戸内海に事務局を置くことになつておりますが、その事務所の所在地を神戸とはつきりこれに指定してありますが、これはどういう関係で神戸を指定したものか。瀬戸内海の全海区をながめてみますと、事務の処理の点あるいは経費の節約の点等から考えて、むしろ岡山の方が近くてよいように思うのですが、これはどういうわけで特に神戸に最初から決定したのであるか。  第二点は、有明海も瀬戸内海同様、相当入り会つて複雑をきわめておる地域でありますが、あそこにはこれを置く意思がなくて置いてないのか、あるいはその他何かの事情で置かないことにしてあるのかどうか。  第三点は、第五國会においても私質問したのでありますが、新法の第二十八上相続人の問題であります。これは最初に相続人の適格性を欠くという場合の條件を先に伺つて、あとから本文についてさらりにお伺いいたしたいと思います。
  80. 久宗高

    ○久宗説明員 お答えいたします。第一の御質問で、瀬戸内海の調整事務局を神戸に置いた理由いかん。またなぜ神戸と法文中に書いたかというお話でございます。これはもちろんこの最後の御決定は、國会においてしていただくことになるわけであります。最近のいろいろな立法によりまして、そういうような官廳を設けます場合の所在地につきまして、特にそれを法律中に書くという形になつておりすので、法案を出します際に、どこかを書かなければならないのであります。そこで一應事務局といたしましてこれを書いたわけでございますが、その理由といたしまして、第一に御承知のように、瀬戸内海は非常に幅湊しておりますので、紛争の渦中の縣をなるべく避けて、比較的中立的な立場の縣を選ぼうということで、まず第一に考えたわけでしあります。第二は交通上の問題でございます。これは單に瀬戸内海内部の距離から考えましても、地理的な距離ではなく集合の時間的な便利一一あそこの交通網の関係から、特にそういうことが言えるわけであります。また同時に私どもといたしましては、水産庁との連絡ということも特に緊密に考えたいし、またお集まりになつだ方々が、経済中心地であります京阪神への連絡といつたような意味も、仕事の関係上お持ちになつて来られるといつたようなことも考えて、これを選んだわけであります。またさらに実際これを運用することになりますと、その附属のいろいろな施設というものを、縣にいろいろごめいわく願わなければならない場合が多いと思うのでありますが、これにつきまして実際上やつていただけるといつた見込も必要だつたわけでありまして、ちようど立案いたしました当時において、非常にその問題を具体的に考えざるを得ないという問題があつたわけでございます。また第四といたしましては、試験研究機関との関係、ここには試験場の分場があるわけでありますが、こういうものとの問題も考えまして一應ここに書いたわけでございます。しかしながら繰返して申しますように、これの最後の御決定は國会において当然他の條文とともにしていただくことになるわけでございます。  第二に有明海の問題でございますが、あそこも非常に幅湊しておりまして、調整事務局のようなものがいると思うのでございます。また置かねばならないと考えるのでありますが、ただここの場合には、多少瀬戸内海と遠いまして、もつと非常に技術的な問題をつつ込んで研究して行く必要があるのではないかという点で、多少瀬戸内海の事務局とは、置くといたしましても趣旨が違うのではないかと思うのであります。まよ現在のところは置く準備まではいたしておらないわけでございます。  第三の問題は松元説明員の方からお答えしていただきたいと思います。
  81. 松元威雄

    ○松元説明員 相続人がいかなる場合に適格性がないかということは、第十四條第一項に書いてございまする通常の適格規定に照して判断いたしております。
  82. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 相続人が適格性を欠いた場合は、法によつて譲渡をしいられることになるわけでございます。そうしますとその譲渡によつて補償料をもらえるから、あるいは生活上脅威を感じないのではないかというような考え方も一應成り立つのでありますが、しかしながら今日の情勢下においては、いかなる漁場を持つておる者といたしましても、おそらく補償金が現金で、しかも一度に莫大なものがもらえる規定でもないし、從つて相当生活に脅威を受けることになるわけでありますが、これに対しては何らかの別箇な補償の制度を設けるべきではないか、かように考えるわけであります。農地調整法におきましても、かつて戦争中に息子の一人は教員になつてつた、その下の息子が親とともに農地を耕作しておつた、たまたまそれが召集を受けて不幸にして戦死をした、ところが今度の農地調整法において、その教員なる者がすぐやめるわけにいかないで、しばらく教員をやるておる間、これを賃貸して小作をさせておつたということで全部取上げられた。教員は一定の年限によつて、いわゆる停年制によつて退職しなければならぬことになつておるから、自分は元の百姓に帰つて農地をつくろうとしても、農地がないということで実はとほうに募れておる者が全國各地に相当たくさんあつて、今これが社会問題となつておるわけでございますが、こういうような例もありまして、農地調整法におきましては、こうした面に対し何らか法を改正して補償の制度を設けるべきではないかとうので、議論が相当接頭して來ておると聞いておるのでございますが、漁業法についても、これに類似したような救済策を講すべきであると考えるのですが、当局はこれに対していかなる考えを持つておりますかを、あらかじめお伺いしておきたいと思います。
  83. 松元威雄

    ○松元説明員 この漁業権の場合には、相続人が適格者でない場合は免許をいたさない、しかもこの適格性の理由を見ますと、漁業に関する法令の悪質な違反者であるとか、労働に関する法令の悪質な違反者でありますとかいう理由によつて、免許することが適当でないという場合でありますので、ただいまお話のたまたま教員をして小作をさしていた場合に小作地が買収されてしまつたという場合とは、実情が違うのではないかと思つております。しかも相続人は被相続人と同一人格であるという理由で、漁業権の相続も認められるわけでございまして、この場合もしも相続人が欠格者であつた場合は、本來は直ちに取り消すのを、それをしばらく待つて、他の者に譲渡するのを認めようということにしておりますので、それ以上國といたしまして救済ということは別に考えていないわけでございます。
  84. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 本問題については、第五國会において藤田次長との間に相当詳しく質疑をかわしておりますので、これ以上質問することを中止いたします。
  85. 砂間一良

    砂間委員 第十章の罰則の点について質問いたします。本法はいわゆる漁業の憲法であるというふうに言われておりまして、いろいろ、重要な規定を含んでおるのでありますが、この法律が実行されるかどうかということは、非常に重大な問題であると思います。ところがここに三年以下の懲役だとか二十万円以下の罰金とか、あるいはいろいろ百三十九條にも書いてありますが、この罰金や懲役ぐらいでは今の密漁者は平氣であります。一番はなはだしいのは、犯人の所有し、または所持する漁獲物、製品漁船及び漁具の没収ということでありますが、この百四十條の規定は「没収することができる」ということになつておるのであります。「ことができる」というのはしない場合もある。一昨日も申し上げましたように、瀬戸内海の漁業取締規則などでは「没収することを得」というようなことになるておるのでありますが、検察廳では「することを得」だから、しなくてもいいというので、みなごく軽い罰金でのがしているというような実情でありますから、これを「没収する」というふうにはつきり言き切つた方がよくはないかと思うのでありますが、その点を第一に御質問いたします。  なおそれに関連いたしまして、最近ことに終戦後機船底引きの密漁が非常に増加しておりまして、このことにつきましては先般來たびたび申しておる通りでありますが、それが沖の方でまつたくめちやくちやな漁業をやつて、資源をか枯渇さしているということが、沿岸の不漁の一番大きな原因になつておるのであります。ことに瀬戸内海及び有明海だとか、鹿児島縣の方におきましては、中國の領海から引揚げて來たたぐり船の密漁というものが実に頻繁でありまして、これについて効果あるような取締りをする必要があると思います。機船底びき網漁業取締規則及び瀬戸内海漁業取締規則を改正いたしまして、この罰則を強化し、ことに有明海のごとき内海にもその規則を適用するというふうなことについて、当局はそれを実行するかどうかを第二点としてお伺いしたい。  第三点といたしましては、これはちよつと本法には関係ありませんが、とにかく漁業の取締規則に関連して來ることでありますから質問させていただきますが、農林省は去る五月の四日に告示九十九号をもつて、七十七号のいわゆる制限区域の問題でありますが、それについて部分的な解除の告示をやつておるのであります。申しますと五月一日から五月三十一日まで、九月一日から九月三十日までというふうになつておりますが、これはどういう理由によつてこの告示を出したかということをお伺いしたい。そのお答えによつて、告示の点につきましてはあとでもう一点ちよつと簡單に再質問したいと思います。
  86. 松元威雄

    ○松元説明員 まず第一点の漁具を「没収することを得〕 では実際没収しないから、「没収する」とはつきり規定せよという御意見でございますが、この没収と申しますのは、ここで書いてございます懲役または罰金という主刑に処せられた場合の附加刑といたしまして科するものでございます。從つて法律といたしまして主刑の方も三年以下の懲役または二十万円以下といたしまして、裁判所の裁量権を認めておるにもかかわらず、業具の没収だけは必ず没収するというのはいかがと思いまして、おつしやるような事情は運用の問題といたしまして、法律では「没収する」と規定しがたいと思つております。  それから第三点の告示の問題でございますが、実は私ども担当の係りでございませんので、この問題の内容を存じませんので、もう一度調査いたしましてからお答えいたしたいと思います。
  87. 久宗高

    ○久宗説明員 第二の御質問の点でございますが、底びきの取締りの問題並びに瀬戸内海あるいは有明海におきます特に取締りの問題、これが御質問の趣旨だと思うのでありますが、現在の取締能力の問題、これもひとつ考慮に入れる必要があるわけでありまして、底びき全体の問題につきましては、当然この漁業調整の進むに従いまして、まず誰が見ましても客観的に取上げなければならぬ問題と考えるわけでございますが、ただ、ただいまの有明海あるいは瀬戸内海について、ただちに規則を改正して取締りを強化するかどうかという問題につきましては、戦時中からのいろいろないきさつその他もございまして、これを一律にある線を引くという場合に、現在の状態をそのままにしておきまして、ただちにそこに非常に厳格な取締りを実施するということは、いろいろ問題があると思うのであります。從つてその規則の改正という点とからみ合いまして、取締りの緩急を進めて参りますことが、そこにおける漁民のためにも「必要ではないか。こういうふうに考えておりますので、いまただちにこれを改正いたしまして、しかもそれを厳格に実施するというところまでは考えておらないのでございます。
  88. 砂間一良

    砂間委員 この漁業法が実施されますのは、かりに臨時國会でこれが通過したといたしましても二年先であります。その二年の間に、この大きな漁船がめくらめつぱうに荒らしまわつては、沿岸の漁民はつぶれてしよう。ですからこの二年の間の取締りということも非常に重要でありますから、今政府及び行政官庁で監視船が少ないとか、人手が足りないとかいうので能力がないというのであるならば、むしろ漁民の自警船を認めてやりまして、これに油であるとかいろいろな資材や必要な資金を國の方から出してやる、そして漁民の民主的な取締りにまかせるというふうなことが非常に重要なことでにはいかと考えるのでありますが、この点についてもう一点お伺いいたします。  それから告示九九号は係でないからおわかりにならないというお話でありましたが、その内容をちよつと簡單に申しますと、東経百三十度から百三十三度くらいの間の区間を限つて、さつき申しました五月一日から五月三十一日までと九月一日から九月三十日までの間制制限区域を解除することになつておるようであります。具体的に申しますと、土佐の蹉陀岬から眞南へ下る線と佐賀縣の唐津津から眞南へ下る線であります。これをこの期間解除されておるというので、底びき業者なんかがこの区域に出て行きまして、そうして非常な横暴な乱獲をやつておるのであります。のみならず業者の連中は、告示九十九号によりますと、七七号の制限区域だけを解除するということになつておるのでありますが、それが七六号も同じく解除せられたというふうな口実のもとに、さらに廣範囲な所まで踏み込んで、実に横暴きわまる乱獲をやつておるのであります。私どもとしては、何の理由によつてこういうふうな解除をやつたか了解に苦しむのでありますから、どうかあしたの委員会には十分御調査になりまして責任ある明快な御答弁をお願いしたいということを希望的に付け加えておきます。
  89. 久宗高

    ○久宗説明員 最初の御質問にありました漁民の自治的な取締機関をつくれというお話でございますが、これを現在制度化する考え方はもつておりません。なお告示の問題につきましては、相当の課に連絡いたしまして、明日御説明させるようにいたしたいと思います。
  90. 石原圓吉

    石原委員長 御質問ございませんか。  これで漁業法案は一應質疑を終了いたしましたから、御了承願います。     —————————————
  91. 石原圓吉

    石原委員長 次に漁業法施行法案を一括して議題にします。御質疑を願います。
  92. 川村善八郎

    川村委員 一点だけお伺いします。第十條の第三項に「前項の補償金額は、左の五各号に揚げる額の範囲内において定める。一、昭和二十二年七月一日から昭和二十三年六月三十日まで(「以下「基準年度」という。)」という字句があるのでありますが、前会たびたびの御説明では、一年間の基礎調査が最も正格な基礎調査である。從つてその当時のいわゆる賃貸料その他漁獲、あるいは魚價、あらゆる点を勘案した場合には、その基準年度をもつて補償するのが妥当である。こういう説明でありますが、先ほども問題になりましたが、政府の腹を開いてみますると、漁業資材に関する補償金が、われわれが折衝しておる範囲でありますと、もう手一ぱいがんばつても今年一年でなかろうか、かように考えております。そうしますと、漁業というものは大きな改革を來す場合も予想しなければなりません。この基準年度は大体あの終戦後の混乱がやや治まつて平常に服して、これならば漁業者が安心して漁業ができるという、あなた方の考えも私らの考えも、大体そこにおちついたのでありましたが、本年すでに補給金打切りということが目前に迫つて、今後の漁業経営が少くとも憂慮すべき事態となつて來たことは明らかであります。かような見地からして、昭和二十二年七月一日から二十三年の六月三十日までの基準年度を基礎としていわゆる補償をするというところに、非常な疑義が出て参りますが、この点はあなた方のお考えとして、この基準年度で補償してやつても、将來漁業にいろいろな支障が來ないかどうか、いわゆる補償とそれから今年度の免許の関係もありますので、あなた方の確信のある御答弁を願いたいのであります。
  93. 久宗高

    ○久宗説明員 ただいま補償の際の基準年度につきまして、こういう基準をとるという場合に、これが免許料となつて漁業者の負担になつて來るわけでありますが、それが見通しはどうかという問題であります。これにつきましては、漁業経営一般につきして補給金の問題もございますし、経営そのものが非常に危険に瀕しておるということは、われわれもよく承知しておるわけでございます。しかしながらこの問題につきましては、もちろん租税、金融、資材魚價、すべて関連するわけでありまして、われわれといたしましては、今後の水産行政は漁業経営の安定に対して最も力を盡して行かなければならないし、それができなければこの制度改革もまた実を結ばないと考えますので、これに努力しなければならないわけであリます。これはほかの問題でも当然御承知のことと思いますが、漁業内部で片づかない問題が非常に多いと思うのであります。むしろ國民経済の全体の構造の中で、漁業が置かれている立場というものが、これでいいかといつた問題に関連すると思うのであります。從つて施策はそういう角度から当然取上げなければならないと思うのでありますが、この法案自体について考えてみますと、そういう経営が非常に危機に瀕した場合、それにつきましては長期の見通しとしての漁業者の負担の問題にも触れておりますし、また個々の減免の問題にも触れておるわけでありまして、これ以上は法文中にさらにその漁業経営についての規定を盛るということはむずかしかろうと考えるのでおります。また見通しといたしましては、これは今後の通貨あるいは物價の関係がどうなつて行くかという基本的な問題なので、一々事務当局から申し上げるのは、いろいろ問題があろうと思うのでありますが、起案者として考えておりますのは、もちろん今年の後半期といつたところにデフレの傾向その他が現われると思いますが、長期の見通しを持ちました場合に、日本の國民経済の再生産考えますと、そこに追加的な投資が、何らかの形で繰返されて行かなければならないというふうにわれわれは考えますので、長期に観察にいたしました場合には、漁價の絶対額は漸騰的な傾向をたどるであろうという見通しを立てておるわけであります。また極地なデフレーションによつて、これがその補償料、免許料に関係があつて漁民の負担が非常に重くなるというふうには考えておらないわけであります。また万一そういうふうになりました場合の規定につきましては、この法文中にすでに御説明しましたように盛り込んであるわけであります。
  94. 川村善八郎

    川村委員 今度の法案の全般に関しましては、これが問題となります。すなわち補償料と免許料が大きな問題となりますので、まだ十分に質疑をこらしたいのであります。しかしながら今安本長官も参つたようでありますから、私の重ねての質問は次会に譲ります。
  95. 石原圓吉

    石原委員長 お諮りします。ただいま青木安本長官がお見えになりました。なお通商産業維持局の綿業課長もお見えになりました。この際安本長官にお尋ねをいたしたいと思います。この問題につきましては、安本長官にお尋ねしたい要点は、統制撤廃に関することと、漁業資材補給金に関することと、この二点がおもなるものであります。どうかさようご承知の上で御答弁願います。
  96. 冨永格五郎

    冨永委員 安本長官に要点を簡單に述べてお尋ね申し上げたいと思います。水産常任委員会は、本日午前中の会談におきまして、水産物統制政府は至急撤廃してもらいたいという決議をいたした次第でございます。私どもは第五國会におきまして、水産物の集荷配給、並びに統制に関する小委員会を設けまして、私が委員長として委員において慎重審議いたしまして、根本的には統制撤廃してもらいたいのでありますけれども、そのときの事業情勢におきまして、それをただちに私どもにおいて決定することには、多少時期尚早の感もあつたので、私どもはでき得るならばほとんどその趣旨を体する集荷、配給統制改善案をつくりまして、これを水産常任委員会の本会議にかけて、政府当局要望申し上げたのであります。その後数箇月を経ました今日におきましても、なおこれが改善実行に移つておらない実情でございます。從つて午前中安本食品課長からのいろいろの苦心努力のあつた点は承つたのでありますけれども、結果におきまして何らその改善を見ておらなかつたことは事実であることは、御了承願えると思うのであります。しかしながらもはや今日の日本自立経済食糧事情とを勘案して考えました場合に、方法論であるとか、あるいはその内容改善するという域をすでにでまして、まつた統制撤廃すべきであるという結論を私どもは持つものであります。從つてどもは午前中の委員会におきまして、常任委員諸君にもお諮りを申し上げて動議を提出して、ただちに政府はこれが施策を実行してもらいたいという決議をいた加えて申し上げてきますことは、午前中にも、申し上げたのでありまするが、ともすれば政府当局におかれましては、あるいには統制撤廃補給金の問題をからんでお考えになるように見受けられる点がないとは申されないのでありますけれども、これは全然別個の問題でございます。補給金が削られる限りにおいては、日本の現在の水産業の継続発展に非常に困難であるという点は、あくまで安本長官としては御認識を願わなければならない問題であります。もちろん水産業者といたしましては、統制撤廃することが水産業者の利益であるからという批点に立つて統制撤廃を私どもが申し上げておるのでは決してないのであります。私は北海道関係の者でおりまするが、少くとも北海道に関しましては、統制撤廃するごとによつて非常に大きな犠牲に到達することは疑うべくもないのでありますけれども、それにそれといたしまして、私どもは対策を講じてなおかつ消費者のために、また水産将來のために、日本自立経済、食糧の事情を勘案して、統制撤廃をすることを決議し、かつ要望しておる次第でございます。從いまして安本長官におかれましては、われわれの意のあるところを御了承くださいまして、いかなる御認識を持つておられるか、またその統制撤廃の時機等につきまして、はつきりした御答弁を願いたいと考えるので御質問申し上げたのであります。
  97. 青木孝義

    ○青木國務大臣 ご承知の通り、私も皆さんと御同様に、党の政調会長当時から、魚等の統制についてすみやかに統制撤廃すべしというような意見を持つてつたものであります。從つて漁業関係における統制をすみやかに撤廃するということについての御意見には、もとより反対の者ではございません。從いましてそういう意味で私が経済安定本部長として就任以来、各般の部面につきまして、御承知の通り統制を漸次撤廃して参るという方針を貫いて参つておる次第であります。この点特に御了承置きを願いたいとともに、また当面する水産関係統制を解くということついて、私もいろいろと努力をいたしておる次第であります。ただ問題は物價全体という観点から見ますると、すベての統制を一時に解くというようなことは、なかなか容易にできないということはよくわかつておられるであろうし、またわれわれ、もまたそういうふうに今日のところ考えておる次第でございます。そこで水産関係で問題になつておりまするのは、水産関係の各般の統制を解け、こういう御要求である。しかしながらそうではあるけれども、形式的にはほとんど関係がないと考えられる補給金の問題であります。これは実質的には補給金統制價格等の統制を解くかどうかということについては関連を持つておるのであります。問題は形式的には関連がないと言つてさしつかえない。しかしここで私が申し上げておきたいことは、私も実は魚のごときものの統制は、一日も早く解くほうが市場関係においても、一般消費者にとつても適当ではないか、そのことは統制がなければ消費者においては自由に選択的にこれをあがない得る、こういう利益であります。もう一つは、かりに統制があつても、國民消費者にとつては、必ずしも予定通りにその配給が行き渡つていないという実質的な観点から、そういうふうに考えておりますが、私ども経済安定本部として先方との折衝中におきまして、実は今のところこの点について全部統制を解くというような了解がついていないのであります。絶えず折衝をいたしよして、そういうふうな努力をいたしておりますけれども、まだそういうふうに合いなつておりません。そこで私どもは、この八月末ごろからいろいろと折衝をいたした結果、この際の行き方としては、二十数品目を残しあとは全部統制撤廃する、その種目については一々私は存じておりませんので申し上げられませんけれども、これは事務当局をして説明さしてもさしつかえないことでありますが、ともかくもそういうような段階に今のところおるのであります。そこでわれわれとしては、順序から申せばもちろんできるだけ早くこれを解いてしまう、そういう方針で臨んでおりますから、その点はそういうふうにご了承いただいてよかろうかと思います。ただ先ほど、一体いつになつたらこれをはずすのだ、期日の点をはつきりさせろ、こういう御質問でございますが、実はわれわれは先方というようなことに言いたくないのでありますが、事実そういうような折衝のうちにありますために、それではいついつこうするというようなことをこちらがかつてにきめましても、その方に了承してもらえなかつた場合、そういうことが考えられるのであります。またかりに私どもの方がかつてにそういたしましても、それがかえつて今後の折衝の上にじやまになる、こういうこともおそらく皆様が御承知だろうと思いますので 私どもとしてはなるべく早くこれは解いてしまいたい、こういう考えで努力を拂つておりますので、いましばらく皆様の御鞭撻をいただきながらおまかせを願いたい、こういうことであります。実はわれわれの今折衝し、話し合つておる点は、いつごろというようなことも話し合つておるのでありますけれども、ここでそれはいつだとはつきり申し上げれば、私どもの方としても当然責任ができます。責任がができるからといつて責任のがれを申上げるのではありませんが、かえつてその事柄ができにくくなるということから、その程度でお許しを願いたいと思います。  それからなお漁網等についての價額調整費をどうするか、すなわち補給金をどうするかという問題になりますが、これも実は私農林省、水産庁、農林大臣ともいろいろ話合いをし、大蔵大臣とも実はこの間の閣議のあとで話合いをいたしました。それではこれもどういうことにするかということでありますが、これは大蔵省の方では比較的早急のようであります。私どもとしては、あるいは農林省としては、それではちよつとと困る。この漁網の價額調整費を早くとつてしまうということになりますと、水産業者にとつてもいろいろとその準備等も必要であろうし、また事実マニラ麻とか、あるいに綿糸とか、そういうふうに区別してわれわれが考えることはちよつと困るので、私からここで率直に申し上げますと、これはもうちよりと私どもに預けていただいて、別な方と言うとおかしいのですが、他の方も予定のように價額調整費を滑つて出すから、もう少しがまんしてくれ、こういうことを実は大蔵大臣に申し入れておるようなわけでありまして、ここで申し上げてよいかどうかわかりませんが、率直に申し上げればそういう実情下にあるのでございます。さようなわけですから、私としてはもう少しそれを譲つておいてもらいたいということを結論に申し上げるほかはない。それからなおいろいろとまた話もありましようが、私の立場としては、先ほども申し上げ、また繰返して申し上げますが、実は農林大臣と私と大蔵大臣で話合いをつけて、別の方で何とか努力するからこれをもう少し待てと繰返して申し上げたわけであります。そういうふうな話合いになつておる状態であります。今後またそこが変更いたしますれば、機会を見て御説明あるいはお答えを申し上げたいと存じております。
  98. 松田鐵藏

    松田委員 私は安本長官、農林大臣がいま少し熱意を持つてこの問題について折衝していただきたい、かように考えるものであります。ただいまも大臣お話の中にありましたが、大臣は政調会長としてこの一月の総選挙にあたり、民主自由党のあり方をはつきりと國民に声明しておられるのであります。明治維新より昭和十二年まで自由経済によつて日本の國力が世界の一等國にまでなつたのでありますが、誤れる戦争のために、今日敗戦國としてこの苦しみをお互いにわかち合わなければならない責任を負わされておるのであつて、われわれの考え方一つ一つ自分の思うように行かざることは、敗戦國民であるがためによくこの問題を存知しておるものでありますが、敗戦維新の今日において、あの明治維新より昭和十二年までの自由主義経済による以外に、このびつこな世の中を救い得るものはないのであるという固い快意を持つて選挙に臨み、またこの民主自由党の政策に対して、國民は二百六十八明の代議士を選挙されたのであります。かかる実体は國民の輿論であることをわれわれは痛感し、これに責任を持たなければならないのであります。しかしてわれわれは、この鮮魚統制撤廃に対しては、第五國会において初めて自立経済の確立を見、しかも九原則実施によつて、われわれが日本経済を自立せんとするときにあたつて、いまだ今までの状況と第五國会の当初においての環境がありますかわらなかりた当時においてさえ、鮮魚統制問題はわれわれの議論となり、國民の議論となつて統制経済撤廃を叫んだのでありますが、事態はそのようにまで行かずして、その折衷案のような案をわれわれ委員会は決定をして、政府当局に申し入れたのでありました。しかるに今日においては、この状況は等しく変化して、わが民主自由党の唯一の政策の対象であるインフレはもはや停頓されたのであります。このときにあたつてわれわれは、この敗戦維新を一日も早からしめんと、これに努力しなければならない。いな努力をしているものであります。だがあやまつたこのびつこ的な経済が、われわれの鮮魚水産物において、現在まだこれを是正することのでき得ざることは、われわれ水産常任委員として國民に対してまことにかんばせがないことであるのであります。また現在のこの状況に、もはや農産物においても、明年になつたならば、いもの統制撤廃されんという議論も出ておるのであります。ありとあらゆる公園も廃止するのがわが民主自由党の政策であります。こうした統制経済を一一明年になつたならば、主食であるいもの統制までも撤廃せんという議論が出ておるときにおいて、この國民の必需品である鮮魚が、今日市場においてあの鮮度の落ちておる、しかも不良品のたくさん出ておる、また市場においては統制経済を名として、いたずらにその中間業者のみが利益をむさぼつりておる現状であるのであります。しかも統制品に対する價格というものは、現在絶対に維持されていないのであります。きようも拒否品、あすも拒否品、かようなことで市場においては拒否品をもつて自由販賣になつているのでありまするが、その鮮魚が、また水産物が、一旦小賣商人の手に渡つた場合において、消費者としては公定以上の代價によつてこれを買わなければならないというような、こうした悪徳の幣が、統制経済があるがために、今日なお公々然として現われておるような実態であるのであります。ここにわが民主自由党内閣は、この実態調査して、そうしてこの鮮魚統制を一日も早く撤廃することこそ國民に対する公約の実行であると私は考えるものであります。しかもわれわれは今までいろいろな苦難を過ぎ去つて参りました。鮮魚に例をとつて申し上げますならば、にしんにおいて生身欠きとして市場に出したときは、簡單に二日か三日においてそれを処理し、しかしてあのおいしい味をもつて市場に賞賛されておつたものが、統制経済なるがために二本どりの身欠きとなり、それも赤さびのついた見にくい姿となり、またしぶい身欠きとして今日市場配給されておるのであります。しかもその配給はほとんど拒否されて、この二本どりの身欠きなどというものは、もはや肥料に販賣されておるような現状であるのであります。かかる実態が公々然として、今日本経済をびつこな経済に導いておるのでありまして、かような実情であるならば、生産者はいかに創意くふうをいたしましても、その生産に対して少しもその効果のあがることはないのであります。先ほど冨永委員北海道あたりのものは、統制撤廃されたならば、來春においては必ずまずい結果になるだろうということを申されましたが、同じ製品をつくることによつて、必ずや混乱の事態が起きるものと覚悟するのであります。まだ統制撤廃されたならば、必ずや價格は下落するものであると私は確信しておるものであります。ところが、ただいまにしんの一例を申し上げるがごとく、くふうによつていい製品をつくる者のみが、また鮮度の新しい鮮魚市場へ出す者のみが、初めてその創意くふうによつてりつぱな商品とし、市場から喜ばれることになるのであります。今や石炭が、無煙炭であつた石炭も、選別された石炭も同じ價格において、販賣される場合において、消費者は倍の安い、つまり半額の石炭を買うのと同様の結果になつておるのであります。鮮魚においても、加工水産物においても、統制されたときおいては、目方の價格において、場合によつては高くとも、その商品價値において必ず價格の半値以下の安いものになることは、あの石炭を対象として見てもはつきりするのでありまして、統制経済のいかに下劣なる政策であるかということがはつきり立証されるのであります。かような意味からも、一日も早く水産業者に明るい光明を與えることこそが、われわれが國民の絶対輿論を勝ち得た信頼に報ゆべき唯一つの責任であると私ども考えているものであります。また第五國会において農林大臣もこの委員会において、肥料の統制はこれを撤廃すべきである、そういう意向を持つているということを言われておつたのであります。だが、この肥料品に対しては、その御意見がはなはだしく今日の実態に即していないのでありまして、肥料の價格においては、生産者の半額にも満たないような状態でありまして、これを米のリンクに買い入れ、しかも一俵半のものを一俵に買い入れる、かような状態であるのでありまして、今や北海道生産地においては、肥料を製造した者は、おそらく倒産のうき目を見ない者は一人もないのであります。また北海道の夏の魚は、おそらく加工品にするか、または鮮魚として凍結して市場に出すか、さもなければ、大漁のときはこれを肥料として販賣する方法を考えているのでありますが、肥料を製造したものは生産價格の半分にも満たないような実際の價格においてこれをとられている。しかも公園においては、それらに対する何割という利益をもつて、かれらのただ机の土で事務をとる者の給料となり、手当となつているような現状であるのであります。  私はもう一つ申し上げたいことは、先日も申し上げたのでありますが、ピターン一万單位の魚油で、生産者が三万三千幾らのものが、集荷機関は三万四千幾らとなり、しかも公園においては六千幾らの利益をとつているのであります。これがいざ輸出されるときにおいては九万七千幾らというおよそ生産者の三倍の價格をもつて外國に輸出されているのであります。しかしてその利益は、建前は生産者にかえるような仕組みになつておりますが、一銭だにいまだにかえりて來ない。そしてこの統制機関ないしは中間にある機関の者どもが、この利益をとつているような現状であるのであります。かかる日本経済をびつこにする統制経済に対し、何をもつて水産物統制を解除できないか。この点に対しては、私は安本長官及び農林大臣は、いま少し熱意をもつて國の輿論をお聞きとりくださつて、実情を調査の上、即時統制撤廃を断行していただくということに献身の御努力を願いたいと思うものでありまして、先ほどわれわれが統制撤廃決議を議決したことも、一にこの意思にほかならないのであります。何とぞ安本長官及び農林大臣におきましては、この実情をおくみとりくださいまして、一日も早く、いな即時撤廃の氣運に導いていただきたくお願い申し上げる次第であります。
  99. 砂間一良

    砂間委員 けさほど統制撤廃についての決議案がなされたのでありますが、実は私あのとき発言する機会がなかつたのでありましたが、私にこれに対して別個の反対の考えを持つておるものであります。ただいま松田委員も申されましたけれども統制撤廃するならば、おそらく魚類の價格というものは今よりももつと下つて行くであろうということを申されましたが、事実その通りなのです。それからまた現在の統制機構におきまして、中間機関の搾取というものが非常に大きい。生産者からは非常に安い価格で出させておいてそうして消費者の方は、マル公を割つても、むしろ実効價格においてはマル公を上まわつておるような割合で買わなければ、口に入らないというふうな状態でありまして、中間の搾取が非常に多いということを申されましたが、その点についても同感であります。しかしながら、だからと言つて松田委員のような結論には私はならないと思うのであります。民自党の諸君統制撤廃ということが党の大きな、政策の眼目でありまして、これまでもそういうことをしばしば叫んで來られ、けさほども魚類の統制撤廃についてそういう決議もされたのでありますが、しかし現状におきましてただちに統制撤廃したならばどうなるか、これに今松田委員が例にあげられた石炭の場合を見てもはつきりしていると思うのであります。なるほど三井、三菱系統の大手筋の炭鉱は、今度のメリット制によりまして、非常に大きな利益を得ております。しかし中小炭鉱は総くずれであります。この一例をもつて見てもわかりますように、沿岸の零綱漁民、あの力のない零細漁民が、今日辛うじてマル公によつりて支えられている魚價すらも買いたたかれるということになつたならば、漁民の生活の困窮というものは今後さらにはなはだしくなつて行くということは明らかでありまして、これは問屋資本であるとか、あるいは仕込み資本であるとか、そういう中間の商業資本等がますます横暴跳梁をほしいままにいたしまして、そうしてこの零細漁民犠牲にされて行くということは明瞭だと思います。ただその反面におきまして、日魯であるとか、日水であるとかああいうふうな資力のある漁業の大資本家は、十分対抗して行くことができると思うのでありますが、零細漁民はその反対の結果になる。但し今日の官僚統制がいろいろな面におきまして非常な不合理と大きな矛盾をはらんでいて、その弊害が至るところに出て來ているということは事実であります。今日の官僚統制を排除することにつきましては、もとより依存はないのでありますが、しかし一律に統制撤廃するということにつきましては、私ども反対であります。むしろ統制は今後残しておく、残しておくけれども、それはこれまでのような官僚統制でなくて、もつと民主的な統制に切りかえなければならぬ。この民主的な統制の仕組みにつきましては、私は去る五月の第五國会におきまして、森農林大臣出席しておるところでもるる述べたのであります。今時間の関係もありますので重ねては申しませんが、会議録を読んでいただけばはつきりわかる。たとえば價格の点にいたしましても、今ただちに統制撤廃すれば、これは確かに松田委員が言われるように買いたたかれる。むしろ價格統制なんか残しておいた方がよろしい。少くとも今の魚價は相当程度、生産費を償う程度に引上げる必要がある。一方において魚價を引上げるならば消費者が困るではないか。あるいは現在のように大衆の購買力が落ちているときに、マル公でさえも九十パーセント割つているような現状において、さらに賣れなくなるのではないかという意見を申される方もあるのでありますが、しかしそれは民自党の政策が、行政整理や企業整備によつて労働者を首切り、大量の失業者を出し、集中生産において中小産業を破壊して行く、あるいは農民に対する天くだり供出や過重な税金によつて、大衆生活を破壊して行く。そういう点からこの購賣力の低下というのが起つておるのでありまして、そつちの方を改善するという問題とは、これは関連した問題ではありますけれども、別途に考慮さるべきである。少くとも魚價は今日不当に安い。他の独占價格に比べまして不当に安いのでありましてこれは大幅に引上げる必要がある。ただ引上げるにいたしましてもそれをいつも金國一様に、一年中固定しておくというのではなくて、弾力性のある幅を持たせまして、出荷、供出あるいは配給の面におきましても、もつと民主的な統制に切りかえて行くということによつて、初めて零細漁民の生活というものが確保することができる、こう私ども考えておるのであります。この点につきましては、おそらく安本長官などは別個の考えを持つておられると思いますが、とにかく私どもの見解をここに一應明らかにしておきます。  それから補給金の問題についてでありますが、この補給金の問題につきましても、先般大蔵大臣出席されましたときに、共産党の発言だけはさせてくれませんでしたので、簡單にここで触れてみたいと思うのであります。なるほど現在の補給金をすぐ断たれますと、それがただちに資材の面に続いて、非常に漁業が困難になるということは明きらかであります。しかし今出ている六十一億五千万円の補給金が、一体だれのふところに行つているか。この行き場を追求することが私は具体的に一番大切だと思います。一番もうけているのはまず紡績、この連中が大半をふところにねじ込んでいる。その次は製鋼業者である。これらの中間の連中が不当に利潤をむさぼる今日、率如として補給金撤廃しますならば、この連中はただちに價格をつり上げて、自分の利潤の減つて行くだけのものを、價格をつり上げることによつて埋め合せて行こうということになつて漁民はその犠牲にされて行くわけであります。しかしもしここに政府が政治力をもちまして、この第一次製品、第二次製品の製造業者に対して、ある程度利潤を減らしても價格の騰貴を押えるというふうな策を講ずるならば、補給金はかりに半減いたしましても、必ずしも資材價格はすぐ二倍に上るというふうな結果は起こらなくて済む、ここにも問題があると思うのであります。さらに現在の貿易の実態を見ますと、はなはだしく不当な高價になつている。もつと安い原綿を輸入するような手配をとるとか、あるいはこの貿易の船舶についてでありますが、船舶の運賃も相当低減できると思うのであります。  從つて輸入の原價を高くしており、さらに今日漁民の生活を圧迫しているのは單に資材の値上がりという点だけではないのでありまして、單に金融の面だとか、あるいは税金の面だとか、あるいは食糧の配給が不足しておるとか、いろいろな点があるのでありまして、そういう面を改善して行く、つまり大衆課税を撤廃するとか、あるいは金融をもつと國家が低利資金で、あるいは無利息で潤沢に供給してやるとか、それから漁船の建造だとか、あるいは加配米なんかも、必要なだけどんどん出すということにするならば、補給金をたとい打切りましても、十分生産は成り立つて行くというふうに考えるわけであります。ただ松田委員の何でもかんでも統制撤廃すれば、自由経済にすればよくなる。日本の資本主義は明治維新以来昭和何年まで自由主義によつて発展して行つたから、統制さえ撤廃すれば繁栄して行くということは、歴史にも経済にも暗い……
  100. 石原圓吉

    石原委員長 砂間君討論会とは違いますから……
  101. 砂間一良

    砂間委員 そういうようなことは、今日独占経済の時代のそれは一つの幻想にすぎない。今日のようにただちに統制実施したならば、これは諸君が期待しておられるとは逆に、零細漁民がますます困難に追い詰められるということは、三箇月を待たずして実際の経験が明らかに示すところである、こう考えておるわけであります。
  102. 川村善八郎

    川村委員 私は簡單に補給金の問題と漁業資材の所管の問題について安本長官にお伺いしたいと思いのであります。遠洋漁業資材の所管の問題については、安本長官が直接政調会長の時代から非常にお骨折を願つて、大体七十一億四千万円、そのうち眞に漁業資材にまわされているものに六十億程度になつておるのであります。その補給金があつたために、今日漁業資材の額が減ぜられまして、われわれが漁業を続けて参つたのであります。もちろん水産物統制あるいは鮮魚統制の問題に実情と抵触する部面もありますが、それはそれといたしまして、補給金の問題のみを申し上げますと、この補給金の問題が國家的な大きな見地から行きますと、打ち切るということが建前でなければならぬと私は考えております。すなわち國家の自立経済という点から行きましても、國民全体の負担の軽減という点から行きましても、私はかように考えるのであります。しかし漁業に御承知の通り非常に特殊な関係がありまして、日本の現在の漁労方法をもつてしては、また資材を今日まで搬入にまたなければならないとすれば、この補給金を打ち切られますと、全然なり立たない。いわゆる漁業を廃業しなければならない。また船は繋船をしなければならぬということが起きるのであります。すなわち資材を多く使うところの定値漁業のごとき、また機船底びき網のごとき、資材をよけい使つて、よけい魚をとらなければならぬという日本の漁労の方法から行きますと、非常に大きな脅威が漁業者にあるのであります。從つてその六割以上の漁業者が休業のやむなきに至りますならば、日本食糧事情、特に蛋白質の食糧については、國民の栄養に支障ができる、かように私は考えるのであります。廣い地域にある國でありますれば、動物性の蛋白質をとるのも簡單だと思いますが、日本ではどうしても魚類の蛋白質によらなければならないという現状からいたしまして、何としても漁業の特殊性を認めて、漁業の大増産をはからなければ食糧問題は解決しないのであります。ところでくどくどしく申し上げるまでもなく、その生産が減つた場合には、いわゆる食糧問題に大きな影響があり、また資材價格をつり上げても、漁民にとつてはさらりに魚價がそれだけつり上げられればそのバランスがとれますから、決して経営を休むことはないのでありますけれども、現在の日本の國民経済状態から行きますと、價格を上げて蛋白質の補給をした場合においては、経済のバランスはとれない。言いかえれば買えない。極端に言うならば、それだけ國民に購買力がないのだ、こうしたような面から考えますと、私はたとえ統制撤廃したところで價格が上がるというようなことは決して考えられません。生産漁業者漁業経済のバランスがとれないという点と、國民の生活のバランスがとれないという両面から行きましてて、どうしても漁業だけは特殊な扱いにしなければならない。すなわち言いかえれば、補給金をまだ持続しなければならないということをこの際主張せざるを得ないのであります。もちろんこのことについては、先ほど安本長官からるるこの問題について、農林大臣とともに大蔵大臣折衝を続けておつて、やや確保ができるやに言葉の上に現われておるのでありますが、われわれも少からずこれについて努力しておるのでありますから、何としても昭和二十四年度だけは、ぜひとも補給金の獲得のために御盡力あらんことを、特にこの席上からお願いしておく次第であります。またこの補給金統制の問題については、形式上はもちろん安本長官の言われるように関連性はないのでありますが、実質はやはり伴うという見解もまたわれわれが持たないわけでもないのでありますけれども、われわれは統制を解こうが解くまいが、先ほど申し上げましたような事情からぜひとも補給金を獲得しなければならぬのでありますから、どうか一大決意をもつて、農林大臣とともに御折衝あらんことを重ねてお願いする次第であります。なお漁業資材の行政の間、特にマニラ原料、それから綿糸、綿網の原料等の所管の問題でありますが、第五國会中の閣議におきましてこの所管についての問題が取上げられて安本長官に一任されたということを承りましたので、私は当時水産常任委員会漁業資材の小委員長をしておつた関係上、私は單独でお会いした時分にも、それは私にまかせられておるということの言葉を承ちましたので、その報告を申し上げ、かつ私は一人で聞いたのでは安心ができないということから、委員長、それから鈴木善幸君並びに玉置信一君との、四人でしたか五人でしたかわかりませんが、あなたのところに御訪問申し上げて、再度その確認方を要求した、ところがあなたのおつしやられるには、それはもうはつきりしたのだ、來週は私がその問題を解決し、農林の水産庁におまかせをする、行政は一任するというふうに判をつくということをおつしやられたのでありますが、今日までにそのことが実現できないことを、私らははなはだ遺憾にたえないのであります。この漁業資材の所管についていろいろ私は申し上げたいのでありますけれども、時間の関係上特に安本長官がよく御存じでありますので、事詳しく申し上げません。どうかそれぞれ漁業者漁業資材を使うにしましても、あるいはそれを製造なり加工なりいたしますにしましても、一元的な行政に持つて行かなければ非常な不自由があるのであります。從つてこの場合、その問題が今どこで停頓しておるか、簡單でよろしうございますからお答え願いたいのであります。なお将來どういうふうになるかという点も、どうかお答えを願いたいのであります。
  103. 青木孝義

    ○青木國務大臣 ただいま川村委員から御質問の点でありますが、これにこの間の國会の当時に、漁網等についての水産庁移管という問題で実は私に御依頼があつたのであります。ところがその御の経過におきまして、いろいろと商工省の方の御意見もまたこれに反対の意向が大分強くなりまして、ただいまのお言葉によりますと、私が全部引受けたように御了承のようでありますが、実はその後の経過としてか、多少私に思い違いいがあるかもしれません。しかし私の了解しております、あるいは私の記憶の上では、当時私にまかせるということでありましたので、そのような話を進めて行つたところが、どうも農森大臣もなかなかお譲りにならない、まかしたとおつしやりながら譲らないし、商工大臣の方もまかしたと言つておきながらどうもまかしたにならぬといいうようなことになつて、私としてははなはだ皆さまに対して申訳ないというふうに考えて、たびたび話をしてみたのですが、どうもまかしたと言つておりながらまかしたのではないというような結果になつてしまつて、実はその後國会が一應終了いたしましたので、そのままになつておるということは、私どもも非常に遺憾に思つておりますので、ここでお話がございましたから、なおあらためてまた私から通産大臣及び農林大臣にもお話をいたす考えでございますが、どうもさような経過でございまして、あとはまたおれたちで決するのだというような方向に向かつてしまつて、まことに申訳ない次第でございますが、さような経過でございますから、なお私といたしましても責任上もう一度両大臣にひとつお話をいたしまして、その結果またあらためてお答えを申し上げたいと存じます。さよう御了承願いたいと思います。
  104. 川村善八郎

    川村委員 実は前の商工省、今の通産省が強なくつたというようなことは私も聞いております。私が調査をし、また他から情報をとつたところによりますと、通産省でメーカーを呼びつけて、お前は農林省に移管することに賛成かどうか。そう言つて圧迫を加えた。そうして通産省に置くことに賛成しなければ、さも今後の割当について心するぞというようなことをほのめかしたというようなうわさを聞いておるのであります。実は水産資材の行政については、もろちん水産常任委員会が取上げておつたのでありますが、メーカーに関係のありますところの五島君は、多数のメーカーの代表を、第五國会において委員会に連れて来たのであります。そうして私が所管に当たつておりましたので私に対して、メーカーはこの通りであるから水産委員会とすればぜひやらなければならないというので、メーカーも水産の代表たるこの委員の方々も一致してあなた方に折衝したのであります。もちろん農林大臣にもその旨を訴えたのであります。ところがその後先ほど申しましたような、通産省一一その当時の商工省でありますが、商工省のやり方と、さらにメーカーに不正があるというあのことからぐらぐらになつてしまつた。五島君のごときはあの問題は何とかひとつお考え願いたいのだかという、非常な、何と言いましようか、先の意見とはまつたくかわつた弱みになつたのであります。それに慮を得たのが通産省だと考えております。しかしいやしくも安本長官に公平な立場から、漁業資材に関する限りはどこの所管に移すべきかという公平な立場で御判断を願わなければ、いろいろな内容のあることをいつまでも心配されては、すべての行政の一貫、行政の最善を盡すことができないという強い信念のもとに、一日も早く御決定を願われんことを切にお願いすると同時に、私の聞いた範囲、調べた範囲の情報をお知らせする次第であります。
  105. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 統制撤廃の問題、補給金打切りの問題、これは今度の当水産常任委員会において、非常に大きな問題として取上げています。補給金打切りの問題は閣議において対立しておる。安本長官はまかせてくれと言つても、他の閣僚はまかせないというお言葉であります。まかせないのだと言う方もませてくれという方も、この内容について十分に調査研究しての結果であれば、権威ある閣議であるからわれわれも安心してまかせておいてもいいだろうと思います。けれどもこれがまことに不安にして、どうも安心してまかせておれないのだという点があるから、この水産常任委員会においてこれを取上げたのてあります。たとえば、ちようど二十日ばかり前であります、この問題は非常に大きな問題ですから、農林大臣と会つてじつくり意見を聞こうじやないかといつて、いろいろ意見を交換をいたしました。なかなか大蔵大臣は強硬にしてわれわれの手にはどうも終えない。そのうちにマニラ麻の分は譲歩してもよろしいんだが、綿糸の分をなんとか考えてくれぬかという交渉の顛末をちよつと伺つたのであります。私この内容を聞いて驚いた。今各委員から説明しておる補給金打切りによつて生ずる六〇%の生産減、あるいは失業問題、この中でも最も多数を占めておるものはマニラを使うところの以西底びき、以東底びきである。そうしてこの生産は大体どのくらいあるかというと、私の考えでは三五%くらいじやないだろうかと思う。これは全生産です。これが事実上壊滅状態になるということを知つておるか知らないのか。これは知らずに言つたに違いない。もし知らずしてそういうような、譲歩しようということを農林大臣みずからおつしやつたとすれば、それはもう水産に対して全然まだ御調査になつておらぬという点から見ても、商工大臣の御意見もあつたのでしようが、すべてが水産に対する知識を持つていないのだ。そういう方々が閣議でいかに議論したところで、割切れるはずがないだろうと思います。そのために水産常任委員会においてこの問題を取上げたのであります。私ども主張するところは、経験から明出した、最も正しい意見であるということをはつきり申し上げておきます。もしこれを一歩譲つたならば、事実上日本の水産は壊滅状態になるということであります。それがしばしば各委員から論ぜられたいわゆる自立経済一一ドツジラインとかそういう関連性において自立経済に相反する方向に行くんじやないだろうか。いわゆる破壊経済に持つて行かれる心配があるだろろということであります。昨日もいろいろ質疑應答のとに私申し述べましたが、これは大きな政治問題である。失業問題、生産減、これほどう大きな問題はないのである。ぞれでただ大蔵大臣の所管の財政面から見ただけのそれによつてこれを断ずるというこは当らない、こういうことを私申し上げました。その通りであるだろうと存じます、水産常任委員会がこれほど熱心にこの問題を取上げて審議することは、ただいま申し上げたように、閣僚諸公は水産に対して十分なる経験も認識も持るておらぬのである。ために心臓の強い方が勝つおそれが多分にあるということです。それで簡單に片づけられたんではたいへんなこどになりますので、十分に大蔵大臣においてはその認識を深め、そうして安本長官は大体私どもの味方のように考えておりますけれども、まだはつきりしない点があるいはあるかもしれないと存じましたので、本日この委員会に御出席を願つたのでありまして、各委員の申されることを十分に御聴取になつたことと存じます。繰返して申し上げますが、この問題は些々たる問題ではありません。大きな政治問題化するということであります。失業問題、生産減、そうして壊滅状態になることは決して経済の自立の戦に沿うものじやないのだ。この点を御記憶を願いたいと存じます。次の閣僚の御出席の際には、水産常任委員会は総意をあげて一大した金額ではないのでありますが、その程度の金額によつて大きな政治問題化する、それをどつちをとるかといえば、結局この大きい方はこれにたいへんな問題になりますから、予算の面において打切るということはいかぬと言つておるのは当然だろうと思います。もしそうじやなくして、どうしても補給金打切りをすることになつたならば、それに政治家としてやるべきことではなくて、結果として恐るべき事態に突入することを私どもはここに言明しておきます。  なお統制撤廃の問題であります。これは何ら論議の余地はないのでありまして、砂間君が生産者のために云々とか言つておりますけれども、これは統制撤廃することによつて自由の競争になるために、消費者が安いものを食べて、生産者は、安くなる場合もあるだろうけれども、反対に高いものをつくる場合もあるということになりますので、結局統制撤廃は、自然の競争の勢でそういうふうに整理、調整されるということであつて、今のように、統制によつて中間のボロイもうけをする者が整理されるということになります。これは関係筋の方といろいろ御折衝になつておるのでありましようけれども、これまでしばしば行われた関係筋の方との御折衝は、ほんとうに正しき理論のもとに、信念と責任を持つてその任に当るならば、いかに現下の情勢下においても、それが正しい政治であるという判定が下されないはずはないだろうと思います。最後に行つて政府がこの責任をとるのだ、どうぞまかしてくれろという一言があつたならば、それでもまかせることはできないというようなことはないだろうと思います。そうして政府が強くこれを主張することによつて、國民は必ずこれに対して協力するでありましよう。その協力態勢をもつてこの経済を正しい軌道に乗せることこそ正しき政治であると私は考えております。統制撤廃問題はすでに事務的な折衝を離れております。政治的に安本長官はもつと腰を据えて、眞にわれわれの責任においてこれを軌道に乗せ、われわれの責任においてこの結末をつけるのだ、まかせてくれろというような、もつと強力な政治力を展開されんことを希望するものであります。
  106. 奧村又十郎

    ○奧村委員 先ほど川村委員から漁網の生産配給の所管一元化の点について、安本長官にお尋ねがありまして、安本長官から御答弁がありましたが、私はいま一段と責任のある御答弁を承りたいと思います。確かに第五國会で、この水産常任委員会において、安本長官から、この一元化を実現するという言明があつたように承つておるのでありますが、それは別といたしまして、ただいまの御答弁によると、所管両省の間に妥協がつかないから、どうもしかたがなかつたという御答弁であります。それでは責任のある政府当局の答弁ではなかろうと思う。一元化がどうしても必要だということであるならば、あくまで政府の責任において一元化を実現させるのが当然であります。またその線に沿うて御答弁あつてしかるべきと思うのであります。つきましては、二元化しておるがために今日いかなる困難を生じておるかということについて、なおつつ込んで申し上げまして、長官の御答弁を煩わしたいと思います。実は第二・四半期の漁網のチケットが全國的に現物化が困難になつておりまするのについて、水産常任委員会において、四、五日前からこの問題を取上げて連日審議をし、今日もここにごらんの通り通産省の綿業課長、水産庁資材課長以下関係の方々を煩わして、根本の原因を追求すべくお越しを願つておるわけであります。これはいずれ明らかになりまするりが、根本の原因は所管が二元化しておるということであります。水産庁の方では、ただ漁業者に対する、漁網のチケットの割当のみをやつております。從つてメーカーにおける漁網の割当、あるいはメーカーにおける現在の漁網の手持数量、それらのことについてはほとんどわかつていない。これはもちろん両方の所管において十分の連絡があるべきはずでありますが、残念ながら実際においては連絡がないのであります。それで今日問題になつておるのでありまするが、すべてそういうわけである。またメーカーにしましても、水産庁には何ら関係はない。從つてチケットは出されても、そのチケットがいかなるメーカーにどういう径路で渡つて行くか、水産庁関係しておらぬ。メーカーに対しては綿業課の方で関係しておる。チケットの方は水産庁の方で勝手に出しておるのであるからして、メーカーに対するチケットの分配はどうなつておるか、今度は綿業課の方はわからぬ。こういうふうに、実際面においてはなはだ不合理な現状に立至りておる。現在においてメーカーにおける手持数量が明きらかにならなかつたがために、過去三日間調査をやつているわけでありますが、こういう点は一元化であれば何ら煩わしいことはないのであります。いろいろな統制資材のやみ流しがありますが、綿糸、綿漁網のやみ流しは、全國で一番注目の的であり、從つて犠牲が多い。官庁の係官もひつぱられておる。またメーカーの工場の者もひつぱられておる。代議士もひつぱられておる。そういうことの起つた根本原因もまた二元化しているがためであり、両方とも取締りに十分に手が届かぬというところにあると思うのであります。すなわちこれは、一元化をいまだに実現しない政府に責任があると思うのて、この際政府はいかなる方針を持つているか、いつになりたら一元化を実現されるお見込であるか、責任ある御答弁をお伺いしておきたいと思います。
  107. 青木孝義

    ○青木國務大臣 ただいまの御質問なり、前の御質問なり、御質問の要旨は私もよくわかります。但し、私が申し上げたいのは、本問題における皆様の御要望がその通りに達成せられれば、その決定に対しては承認するが、そうでなく、商工省の言い分が相当に強いという場合においては、それは承認でなぬ、自分たちの利害と一致せぬというような意味であみならば、この問題はなかなか解決しにくいのであります。もし一元化するということについて、從來商工省がやつている点ではおもしろくないのだ、それではうまく行かないのだ、だから自分たちの希望通りに決定しろということであれば、中間に介在する者としては、なかなかその通りにはできないということが現実であります。そこで私がとつおいりしている間に、結局どうもおれたち。要求通りにはなりそうもない。だからお前ではきまらないのだという。ことになつたのだと思います。從つて一私としては、私の方におまかせを願つたことであるなら、いかようにきめようともそのきまつた結果については承服するのだ、こういうことでなければきめられないということになつておるのでありまして、商工省もなかなか譲らない、また農林省関係においても譲らないということで、途中で私にまかせられた形になつておりながら、実はまかせられていないのだ、こういうことになつているということを正直に申し上げたのであります。むしろそれであれば、この委員会代表の方なりが、農林大臣あるいは商工大臣にお会いをして、あなた方の御主張になつているところについて、もう一ぺんお聞きを願えれば、むしろ私から申せば幸いでありまして、ともかく長々從來やつて來たという歴史的な関係があり、また生産の面において商工省に、それから消費、使用の面においては農林省にというようなことで、簡單にこれが決定されるものならば、これはまことにけつこうなることなんですが、そう簡單でないところに問題が存するのでありまして、私の苦心も実はそこに存在いたしたのであります。なおこのほかに実は農機具の問題と、二つの問題が依然として残されておるわけで、ここには直接関係はございませんけれども、皆さんおそらく御承知のことであろうと思います。でありますから私が、余分なことに今となればなつておるかもしれませんが、一應大臣お話を申し上げて、もう一ぺん一一この問題はおそらく來るべき臨時國会においても当然問題になるだろう、こういう私の予想のもとに、また皆様の今日の御要求を、私はこの間の関係ではこういう行き道であるから知らぬというような態度はとりません。なお私からもう一ぺん話をしてみまして、そうしてその結果どういうふうに処理するかという問題について、また両大臣の意向をもお傳えしたい。こういうこと先をほど申し上げた次第でありまして、決して責任のがれだとか、あるいは無責任な言動をしておるものとは、自分は考えておりません。経過から申せばさうようなわけでありますので、どうか今日のところではさように御了承を願いたい、こういうことであります。
  108. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私のお尋ね申し上げたことは、政府としては、漁網の生産配給は一本で所管すべきだというお考えであるのではないか。そうであるとすれば、政府の責任としてこれを実現すべきであるのではないか、こういうお尋ねでありますから、安本長官としての御答弁はそれでいいのかしれませんが、一方國務大臣の御答弁としては、私は不満足であると思います。しかしこれ以上お尋ねしてもいたし方ないので、いずれ吉田総理大臣にでもお尋ねいたします。
  109. 小松勇次

    ○小松委員 私はこの際安本長官に、水産関係の災害復旧についてお尋ねしたいと思います。近来相次ぐ災害の被害がいかに大きいかということ、その数字等については、すででに長官もおわかりのことと存じます。ことに最近のキティ台風の被害は、今までの災害のごとくただ降雨によつての被害だけでなく、あの台風は海岸地帯の激浪によるところの被害がきわめて甚大なるものがあるのであります。八十、九十の人でさえ、未だかつてかような大波の打寄せたことを知らないというような波が押し寄せて來まして、ほとんど海岸地帯の漁港、船だまり等は壊滅いたしておるのであります。ことにこれらの漁港、船だまりの被害をさらに大きくしたものは、一つは今までの災害復旧の工事が半ばであつた、完成しなかつたというような点が、さらにこの被害を大きくしておるように思うのであります。かような点は、災害復旧に対するところの政府の御処置が非常に手遅れであつたという原因を、私どもは言及しなければならぬと思うのでありますが、それはさておきまして、これらの災害に対しましていかなる御対策を立てられておるか。ことに公共施設のかような災害に対しましては、私は今までのような國庫の僅少な補助額でなくして、ぜひともこの際は全額の補助をお願いしたいと思うものであります。ことに水産関係に対してさような点を私が強調いたしまするゆえんは、私ども今日ここに漁業法の審議をいたしておりまするが、この漁業法のうちには、今回國が漁業権を買収せんとするところの補償費、それのみならず國の行政費までを、水産関係の者が免許料あるいは許可料によつてこれを納付しなければならぬような状態に相なつておるのであります。かような漁業法の精神から行きましても、重税に重税、過重の税金にひとしいこの免許料をおとりになるならば、水産関係の施設に対しては全額の補助があつて当然のことと私は思うのであります。今までのように國が五割、その他地方において五割というような補助額であつては、現在の府縣の財政といい、あるいは地元町村の財政といい、とうていたえられない実情にあるのであります。ことに地方、地元町村の負担というものは、その多くは町村が負担するのでなくして、今までの漁港、船だまり等については、漁業界が大半これを負担しておるのであります。その漁業会は、すでに漁業権が漁業界の手から離れて、そうして今まで漁業料の収入等によりてかような負担ができておつたものが、さような負担が今後はできないような実情に置かれておるのであります。さような際でありまするから、特にそれらの全額補助については、長官に私は最前の御努力を願いたいと思うのであります。また資材の問題でありまするが、漁港、船だまり、船等を流失したと同時に、この漁網その他漁具を大半流失しておるのであります。これらの漁具おるいはロープ等に対して特配を急速にしていただきたい。そしてこれらの特配に対しましても、漁業家はいずれも今資金難で資金に悩んでおるのであります。さような際でありまするから、願わくば政府資金の融資の道はないか、こういう点についても御考慮を願いたいと思うのであります。長官の御意見をお伺いしたいのであります。
  110. 青木孝義

    ○青木國務大臣 キティ台風によるところの船だまりあるいは漁港、こういうものの破砕、被害、そういう問題について、國家が全額補助しろというお言葉でございます。はたして全額になりますかどうかということは、私がここで保証することはできませんけれども、しかし私どもとしましては、いろいろ陳情も各方面から受けておりまするし、全力をあげまして、できるだけこのことのすみやかに達成されるよう努力をいたしたいと存じております。  それから台風被害等に対する資金等をすみやかに出せ、これはまことにごもつともな話でありまして、そのことのためには実はわれわれも非常な努力をいたしまして、一日もすみやかにそれが使えるように、應急措置としてはどうするかといつたようなこともこれまで相談をし、その決定を急いだ次第でありまして、二十一億がすでに決定済みであることは御承知の通りであります。なお足りない部分につきましても考慮いたしたいというような考えでただいまおりまするし、御承知の通り、この台風についての早速の措置といたしましては、公共事業費中からこれを出す。これをすみやかに役立てて災害の復旧をいたしたい、こういうことであります。それらの点についても、いろいろとわれわれはその手続きをとり運んでおる次第でありまして、建設大臣も群馬縣から長野縣、あるいは富山縣とも聞いておりまするが、各方面に実地調査に参りました。私も先般は他の方面一一栃木縣方面へ参つてこの被害の状況を調べたような次第でありまして、特に漁港、船だまりの問題について、閣議におきましても私の今日承りましたことを、特に明日発言いたしたいと存じます。
  111. 小松勇次

    ○小松委員 資材の特配はぜひ御配慮を願いたいと思います。
  112. 青木孝義

    ○青木國務大臣 資材の点もあわせて……
  113. 石原圓吉

    石原委員長 質問は盡きたようであります。この場合委員長より安本長官に希望を申し述べておきたいと思います。  第一の資材補給金の問題でありますが、われわれは委員会代表して、大蔵大臣並びに党の首脳部に痛切に懇願をいたしたのであります。しかるにその場合における大蔵大臣の態度は、全然水産に理解を持たないという感じを強くうけたのでありまして、これがこのままに終る場合は、必ず第六國会には政治問題になることには明らかであります。また個の綿糸資材の所管の問題でありまするが、これは日本の國の産業経済を建て直すところの一つの大きな問題であります。ただ業者の折合いとかという問題でなく、いわゆる経済安定の本部であるところの青木安本長官においては、どの部門に漁業用の資材は所管せしむべきであるという、根本的な方針を立ててもらうことを強く要請するのであります。その点が確固たるすべての産業に対する重要な問題であると私は信じるものでありまして、ただ中間の労をとるとか、仲裁の立場に立つとかいう問題では断じてないと信ずるものであります。この点もややともすれば第六臨時國会には、水面の重大問題として政治問題となると私は信ずるのでありまして、どうかこの二つを特にご考慮を仰ぎたいのであります。元來水産行政なるものが長官制であつて閣議において水産そのものが直接に長官より主張ができないという制度の欠陥ということについても御考慮を仰がなければならぬのでありまして、ただ農林大臣が所管のうちの一部として閣議で主張する、そのことがいろいろの変化及び不都合なる結果を來すということはしばしばあるのであります。かつて運輸省における魚船法案の問題のごときは著しいのでありまして、どうか安本長官におかれましては、日本のこの重要なる水産業一一御承知のように、どの方面も閉鎖されて、漁区はふさがれておるのでありまして、この場合に、しばしば台風の損害を受け、また金融が梗塞し、まつたくここに水産は死地に瀕するというような状態に向つておるのであります。どうかこの点を特に御考慮あらんことを強くお願いをいたしまして、私の希望とする次第であります。
  114. 奧村又十郎

    ○奧村委員 通産省の綿業課長並びに水産廳の資材課長がお見えでありますから、先般来審議中の二・四半期漁網チケットの現物化の問題を議題にしていただきたいと思います。
  115. 石原圓吉

    石原委員長 奧村君発言を願います。
  116. 奧村又十郎

    ○奧村委員 二・四半期の漁網の割当については、各メーカーにおける原材料をもつてそのチケットに充てる、こういう御方針であるようであります。そこでその各メーカーの原材料の合計、それから二・四半期のチケット並びにそれ以前の未回収のチケットが大体見合うものであるかどうか、この点数字をもつて説明願いたいと思います。
  117. 佐橋滋

    ○佐橋説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。第二・四半期の割当をいたしましたのは、五月末現在の原元数量に対して割当てておりますので、その数字から申し上げます。  二十二年度の第二・四半期以来第一・四半期までの割当ての総数量は五百四万五千九百九十三たまであります。これに対して現物化しました数字、すなわち業者の方から購入資材が還元をして來まして、農林省を通じて私の方へ報告を受けた数字が四百四十万五銭二百九十三たまであります。從つて五月末のメーカー、製網業者あるいは撚糸業者における手持ち数量は六十万七百たまということになつているのであります。それ以来この前の委員会において説明を求められました六月、七月の還元数量がわかりましたりで、七月末現在における業者手持ちを御報告いたします。第二・四半期の割当総数量は七十二万六千二百五十八たまてあります。六月、七月における還元数量は三十六万千六百一たまであります。それで前に申しあげました五月末の総割当量に今申しました七十二万六千二百五十八たまを加えますと、今年の第二・四半期までに割当しました総量は五百七十七万二千二百五十一たまになりす。それから七月末までに現物化しました数量は四百八十万六千八百九十四たま、結局七月末現在における製網業者あるいは撚糸業者の手持ち数量は九十六万五千三百五十三たま、こういう数字になつております。現在わかり得る一番新しい数字はこの数字であります。
  118. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それでメーカーの手持ちは七月末現在合計九十六万五千三百五十五たま、水産庁の方へお伺いいたしますが、二・四半期のチケットをこめで未回収のチケット全部はどれだけになりますか。
  119. 石川東吾

    ○石川説明員 二十四年の七月末現在の未現物化数量ですが、それまでの割当数量が四百七十七万四百十九たま、そのうち現物化数量が三百九十三万五百八十一たま、あとちよつと端数がつきます。差引きまして八十三万九千八百三十七たま、ただいま一番おしまいに申し上げました数字が未現物化数量であります。さらにこの中に入つておりませんが、二十四年の二・四半期の割当は六十六万八十たまになつております。
  120. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そういたしますと、水産庁資材課長のお言葉では八十三万九千たまが一・四半期までの未現物化数量、それから二・四半期が六十六万たま、合計約百五十万たま未現物化になつておるわけですね。そうするとメーカーの手持ちは九十六万たま。これは七月末ですが、このほかになお割当があるのですか、お伺いいたします。数字が大分かけ離れて來ております。
  121. 佐橋滋

    ○佐橋説明員 今の資材課長の御説明の数字は五月末の数字でありまして、私の申しあげましたのは今奧村委員の御指摘になつたように七月末の数字であります。大体六月、七月についての数量が私が説明いたしました。五月末の現物化数量に加えて申しますと、若干の食い違いはありますが、大筋においては、資材課長の未現物化数量に対する引合いのものがある、こういうふうに考えます。こまかい点では多少数字の食い違いがあるように思います。
  122. 奧村又十郎

    ○奧村委員 この約二十万たまの食い違いについては、いま一つお尋ねしたいと思いますが、問題がこまかくなりましたのでまた別の機会に譲りたいと思います。ただ私がこの際特に申し上げ、なおお伺いしたいことは、われわれが今回これを取上げてお尋ねしたからこういう問題が起つて來たので、もしわれわれ水産常任委員がこれを取上げなかつたら、この両者の関係はいつ連絡がとれるのであるか。この二・四半期のチケットの問題については三・四半期から全然切りかえになるのだから重大な問題である。この打合会がすでに六月末にあつた。その六月の打合においてこの数字をお互いに持ち寄つて、大体こうなつてこうだからこうするという話があつたのならよろしいが、今われわれが九月になつてこれを取上げて、初めてお互いの連絡がついた。こういうことであるから、メーカーに対してもまたその他に対しても連絡もつかず、取締りも適当に行われぬと思う。結局これによつて漁網行政の所管一元化をわれわれは追求しておるわけでありますが、これはただいまお越しになりました関係官に申し上げてもやむを得ぬところでありますから、深く申し上げませず、ただ私の希望といたしましてここまで数字をお伺いするのに三日以上かかつたということについては、はなはだ遺憾であります。その間の事情としては、どうやら行政整理によつて係官が首になつたとか、いろいろな事情もおありでしようが、水産庁との連絡だけはもう少しとつていただきたい。こうして計数をいつでも見せていただけるならば、われわれもここまで何度も繰返してお越しを願う必要もなかつたのであります。その点今後御注意を願いたいと思います。しかし問題は二・四半期チケットはおそらく依然として現物化困難であろうと思いますので、その対策についていま一應責任のある御答弁を承つておきたいと思います。
  123. 佐橋滋

    ○佐橋説明員 ただいまの奧村委員の御質疑に対して御返事を申し上げます。今説明をいたしましたように、大体未現物化数量に対してそれに引き合うだけの綿糸の現物というものは、一應メーカーの手持ちになつておるので、理想的に行けば行くわけでありますが、ただいま御指摘のように九月第二・四半期の切符というものは、第三・四半期から受注制に全面的に移行いたしますので、以後こういうしちめんどうくさい問題は出ないかと思いますが、この受注制に移行するために、結局手持綿糸を持つていて、第三・四半期の受注制の切符を集めたいという業者の希望、あるいは補給金の問題がまだはつきりしませんために、安い綿糸を長く持ちたい氣持は十分あると思いますので、二・四中期の現物化は從前のようにうまくは行かないと思います。それでこれに対して現在われわれが考えております案を御説明いたします。われわれの方としましては九月の末日に全メーカーに対して手持受注と申しますか、手持数量とそれから受注量、二・四半期までの切符を幾ら集めたかという報告を受けまして、これを集計して水産庁の方に移管いたしまして、各資材事務所でこれを需要者に対して公示していただいて、ここへ注文を受けに行くということをまず第一段にやつてていただきたい、こういうふうに考えております。  それから今度の農林省の水産庁で発券になる購入券には期限がありまして、十一月十日で一應それが無効になりますので、われわれの方としてはこの日現在で二・四半期の注文を受けていないものは、これをメーカーから取上げて調整用に使つて行きたい、こういう指示を出すつもりでありますので、現在考えております点は、今のように九月末で一ぺんメーカーの手持というものをはつきりさせて、需要者に数のあり場所を示して注文を受けさせる。同時に十一月の十日現在で注文を受けていないで綿糸を持つておるものは、これを取上げて調整用に使うというような方法で処置したいと思います。現在考えておる点はこういう点であります。
  124. 奧村又十郎

    ○奧村委員 水産庁資材課長も大体それで現物化にうまく行くとお考えですか。
  125. 石川東吾

    ○石川説明員 ただいま通商産業省の綿業課長からお話のありました、九月末現在のメーカーの手持数量を御調査の上公表される点は、実は前々から水産庁の方から綿業課の担当官の方に申入れをしておいた事項でありまして、こうすることが全部の解決策にはなりませんが、こういう調査をして資材調整事務所を経て、漁網業者なりまたは販売業者なり、その現在におけるメーカーの手持ち数量を公表することは、この問題の全解決策になると信じております。  それから、さらには、もう少し考えております点は、これは一應九月末現在の第一回の調査でありますが、これは引続いて十月末現在、十一月末現在というようなぐあいに、引続いて一月ごとくらいに継続してやつて、これを公表するならば、相当漁業者にもはりきりしたことがわかるので、今のような第二・四半期の切符が無効になるというような問題は、相当解決できるのではないかと考えております。しかしながら今綿業課長の言われたように、もし十一月十日現在での在庫高を調べて、その綿糸を取上げるという措置を講じるならば、それはもつと抜本的な解決になると考えております。
  126. 奧村又十郎

    ○奧村委員 一應御当局の御答弁として承つておきます。しかし、ただいまの綿業課長の、十一月の一定期日において残つた綿糸ほ取上げる。それを眞にやつてくださらならば、おそらくこれは一番協力な措置だろうと思います。しかし、なお念のため申し上げますが、ほんとうにその腹をくくつておられて、しかもそれが業者に徹底しておるものならば、今日までに全國的にチケット拒否の問題は起らなんだろう、その課長の方針が、今まではおそらく業者には徹底しておらぬ。どうか急速にその意思を御徹底になつていただきたいと思います。それでもなお私は困難な点があろうと思います。なぜかと申しますと、三・四からはチケットによつて業者は現物がとれるが、二・四の分は手持ちとチケットとのすりかえでありまするからして、悪徳な業者においては最後まで逃げるだろう。それをよほど突いて行かねばならぬ。しかしこれ以上われわれは今ここで論議する必要はないと思いますので、水産常任委員会としては、この二・四の現物化問題は最後まで関心を持つてながめておる。どうか官庁においても、そのおつもりでしりかりやつていただきたいと思います。私の希望を述べて、質問を終わります。
  127. 石原圓吉

    石原委員長 これは、委員長としては、もう少し的確なる申入れをするべく、案を立てて、そうして具体的な申入れをするように委員会にとりはからいをいたしたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 川村善八郎

    川村委員 先ほど小松委員から、今度のキティ台風によりまするところの損害の問題につきまして、いろいろ予算化しなければならぬ問題、あるいは資材の割当、配給に関する問題などが、るる力説されたのでありますが、安本長官は了承して行つたように承つだのであります。しかしながら、これを現実に取上げるところは、しなわち水産庁であります。先般私も、現地の者から、被害が莫大にあつて、今後の漁業の経営に大きな支障があるから、早く資材の割当と資金の問題を心配してくれという電報が参つて、その資料も参りましたので、一応水産庁に提示しておきました。ただわれわれは、その資料や電報を提示いたしましても、これを実行に移してもらわなければ、ただ泣く者は漁民のみでありますので、長官におかれましては、もちろん自分の所管にあるところの資材の割当等には、御考慮していただいていることは承知しておりますが、さらにこの復旧資金の問題について、一体どういう方法をとつていただくか、すなわち、予算化すべきものはもちろん政府当局に迫るのでありましようが、さらに今年の資金の問題についてにはどういう方法をとられますか、一應御所見を承つておきたいと思います。
  129. 飯山太平

    ○飯山説明員 ただいま川村委員から、最近の台風被害に対する資材、資金の手当について、水産庁としていかなる方針をとつておるかというようなお尋ねでありますが、御承知の通り、この対策といたしましては、一括して災害対策ということで政府が取上げるわけでありまして、われわれといたしましては、水産庁單独で予算を計上してとるということはむずかしいのであります。從つて、現在としましては、手持ち資材の繰上げ配給と、それから資金の関係は、とりあえずいわゆる漁業手形による。本日も地方の経過が参つておりますが、すでに相当の縣において漁業手形によつて資金の手当を講じておるというような報告も参つておるのであります。私どもは、この際最も近道は、資金関係におきましては、いわゆるつなぎ融資による約束手形の振出しということが一番適切だと思うのであります。この点は、現に行われつつもありますので、特にこの際皆様の関係地方におきましては、これを促進するようにお願いいたしたい。私どもといたしましては、もちろん各縣に向つて、さようにとりはからいを進めてもらうようにいたしております。  それから、予算を幾ら上げるかということについては、これは公共事業関係の船だまり、漁港の関係要望いたしております。しかしこれは一般港湾の関係もありますので、漁港、船だまりだけを取上げるということは、遺憾ながらできかねておるのであります。目下それは折衝を重ねております。どのくらい出るかということは、先般お配りしまして、各台風に対する預金部資金の数字を申し上げたかと思うのでありますが、今度のキティ台風に対しましては、ただいま二十一億というものを安本長官も御説明になつたようでありまするが、そのうちから水産の方にわけてもらう。このわけ方は、各府縣別に大体の数字をわけて、その府縣の中において各産業別にこれをわける、こういう仕組みになつているのであります。私どもとしましては、直接は、幾ら幾らをどこどこの縣にどうという取扱い方は、遺憾ながらできかねるので、なるばくその範囲において水産によけい獲得するように、私どもも大蔵当局にも要望もしておりまするし、各地方においては、水産関係においてこれをできるだけ取上げるように努力してくれ、こういうことを今やつておるわけであります。
  130. 石原圓吉

    石原委員長 速記をとめてください。     〔速記中止
  131. 石原圓吉

    石原委員長 速記を始めてください。
  132. 川村善八郎

    川村委員 ただいまの長官の御答弁では災害に対する問題の資金の解決は金融手形によるということですが、お説はごもつともでそうでなければならぬ、それが一番早いと私も考えております。しかし第五國会において資材資金の問題を心配して取上げた結果、積立金の計画をして、一時資金としてその價額を出してもらう。こういうことでやつたのですが、これは私がこちらに來るまでに北海道はあまり廣過ぎて決定しておらないものか、どうも実行に移されておらないという現状であります。特にに私がこちらに参ります前に拓農の本店にもそれから各関係の支出にも寄つて聞いてみたところが、まことに不徹底であります。われわれはもうすでに自分に與えられた資金だけ出したのであつて、これ以上たとえ金を貸してくれといつて手形を書かれたところで第一にわれわれのわくが與えられておらないのであるから、今のところはわれわれの方ではいかにりつぱな計画を立てて参つても、それに應ずるわけに行かないというのが、先月の二十六日に私が出て來るまでの状況であります。もちろん、これについての説明などは、こちらから部長が行かれたからよく官庁には納得がいつておるかもしれませんけれども、まだ末端漁業者にはもちろんのこと、資金関係を把握しておるところの銀行にも徹底しておらぬというような状態で、そのことがまだ実現に移されておりません。そうこうしているうちに今度の災害で、それとは別個に大きな損害を受けたのであります。從いまして現在の漁業がさらに災害を受けたとすれば、手形を書かれて金を貸してくれといつても、なおさら不安を持つて、金の貸出しをにぶるのではなかろうかということを私は心配するのであります。從つてこれを心配のないようにして、銀行も安心して資金を出すということにするためには、ここで大きな根本的な手を打たなければどうしても実現不可能だ。そこで本委員会でも、これの対策の特別委員会をつくろうというような案も出たのでありますがが、遺憾ながらそれが規則の上で許されないので、國会の災害対策委員会を拡大して、そのうち水産関係だけ特にこちらの方で取上げるようにしようじやないかというふうに一應まとまつたのでありますが、これら今漁業法の審議に当つておりますので、そり時間的の余裕にありませんから、そうした協議に移つておりませんけれども、一日延ばせば延ばすほど漁民が困る状態にありますので、何とか水産庁長官が中心となつて、ここにそうしたような懇談会でも開いて、懇談会といいましてもわれわれとただ長官の懇談会でなく、金融機関その他関係官庁の方々も呼んで、第五回國会で取上げたような方法で、一挙に話をきめて実行に移すというような方法をとられるよう私は要望いたしあます。
  133. 砂間一良

    砂間委員 今の災害復旧の緊急を要する復旧資金に、つなぎ資金制度ないしは手形金融の制度、あの農林省で先般立案して全國でやらしておりますあの制度を利用するということに、少し私は筋道が違うと思う。あの手形制度ないしはつなぎ資金制度は、漁民が船を持ち、網を持つて漁業をやつておりまして、そうしてこれだけの魚がとれる。水揚げがこれだけあるという見込みのもとに一定の金額を申込みまして金を借りて行く。その返済は毎月の水揚げの中から一割以上を返済して行くという仕組みになりておる。しかしそれがしけを食つたり何かした場合などの不漁の場合があるというのを考慮いたしまして、加入者全体が共済基金を五分づつ水揚げの中から試み立てて行つて、そうして不漁の場合危険負担にしようという制度になつておるのであります。この制度は漁民が漁具や漁船や漁網などを持つておりて、正常な漁業をやりているという前提のもとに仕組まれ、その前提の上に立つて地方金融機関が金を貸してやるという仕組みになつている。ところが今度の災害を見ますと漁船は流れてしまう、網はみんな波に持つて行かれてしまつて漁業ができない。漁業を始めるにして、漁船を建造したり、新しく櫂を仕入れたり、船だまりをつくつたりというような、建設的な第一歩からやつて行かなければ、從來のような漁業はできない。そういう災害復旧の緊急資金として、あのつなぎ資金制度があるからそれでやつで行けというようなことを申しましても、それはただ長官が責任のがれに言うだけでありまして、地方の金融機関が貸出しをすることにできない。ですから災害復旧の緊急資金というのは、少くとも國の方で別に低利資金あるいは無利子の金だつたらなおけつこうですが、そういうものを心配してやらなければ、災害を食つた漁民はとうてい復興はできない。再起不能ですが、つなぎ資金制度があるから、これを利用してやつて行けというようなことでは、水産当局としてはなはだ不誠意というか、責任のない責任転嫁の御答弁であるというふうに私は考える次第であります。なおこのつなぎ資金制度に関連して言いますと、あれは実にずるい。ああやつて危険負担を水揚げの中から五分ずつ積立たせて行つて、その犠牲漁民自身に転嫁させるという制度です。これは実に老猾な、狡猾な行き方だと思う。ああいう危険負担はよろしく國家がやるべきで、この機会に災害保険制度あるいは漁業保険等の社会保障制度の確立ということについて、ぜひとも眞剣にこの問題を取上げて、早急に実現できるような方向に御注意を拂つていただきたいということを希望しておく次第であります。
  134. 飯山太平

    ○飯山説明員 ただいまの砂間委員のお説はごもつともの点もあります。しかしながら、私どもは現在何が一番困つているかといえば、漁期中でありますので網を入れてある最中のものが流れたということであつて、これを救うのが一番先だと思う。もちろん船だまり漁港については、計画を立ててすでに要求はいたしております。しかしこの要求を私どもの手だけで完全に実現するということはなかなか容易でありませんので、先ほど川村委員からも建設的な御意見を拜聴したのでありますが、まことにけつこうな御忠告で、私どももできるだけこれに協力させていただきたいと考えるのであります。また今の漁業手形がまつたく責任転嫁の策であるというような御見解については、遺憾ながら実際問題としてすでに数千万円のものが出ているというような事実からいいまして、決してそういうような責任転嫁とは申されないのであります。これは今の手形そのものが責任転嫁だというような点については、遺憾ながら賛成できません。それから私どもはもちろん責任を回避するものではありません。できるだけこれに努力するつもりで、責任の重大なことは自覚いたしております。従りて漁港、船だまりの計画は立てて、要求は現にしておりますが、それを今ただちに水産庁だけで実行できない感がありますので、私どもは責任がありますが、できるならばひとつ賢明なる砂間委員におかれましても、私どもに建設的な、かようにすべきた、こういう具体案をもしお示しが願えるならば、私どもはそれを実行する上において決してやぶさかではないのでありまして、どうかひとつ具体的に、こうせよ、あるいはこうすべきじやないかというような御見解も、あわせてひとつお話を願いたい、かように希望する次第であります。
  135. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 漁業手形のことですが、北海道とか東京都とかいう大地区においては、まだ委員会さえつくられないということを聞いております。青森縣の場合あもうとうに委員会もつくつて、大体七、八千万円ぐらいでできておるでありましよう。三回くらい委員会を開いて、活発にやつております。ある地方では相当活発にやつておる。ある地方はまだ委員会もつくらない。そういう大地区における漁業者は非常な不幸な立場になつておる。調整せんければならぬ、こう私は考えております。地方銀行が貸しぶると申しましようか、そうしたような面から、わくがあるとかないとか言う。わくのあるはずはないのでありますが、そういうような口実を設けて貸しぶる。ために、委員会をつくることを回避するという点があるのじやないか、地方長官が会長ということになつておるようですが、地方長官がこの委員会出席して、いろいろ意見を述べるということにはまずないようです。大体課長級が出るようです。これは実際にふさわしい、生きた仕事をするように、もつと活撥に行動するような組織をやはり考えなければならぬじやないか。この間私は青森縣で、水産庁の方から会長は知事ということになつておるからやむをえないだろうが、副会長は日銀の支店長くらいをやつたらどうか、こういう意見を申しましたけれども、まあ中央の方からこういうふうになつりておるから、まず部長くらいでいいんじやなかろうかということで、商工水産部長がが副会長になつた。ところが商工水産部長も会議にほとんど出たことがない。課長級が出て大体やむを得ないというような始末です。これは、よく行つておる方でその程度です。東京都や北海道という廣い地域の所は、全然われ関せずということ、結局その地方の長官がまだその内容がわからないのじやないかと考えております。いわゆる調整をとるために、またこれをもつと促進するために、何か中央委員会のようなものをつくてこの調整をとる、あるいはこれを促進するというような方法も考えるべきじやないだろうか。そういたしませんと、いいところは非常に恵まておるけれども、だらしのないところは地方長官がそういうようなスローモーをやつておるために、地方の漁民は非常な不幸な目にあう。そういうことになつておる。その点もどうぞひとつ、どういう組織にすればいいか、これは私は注文はいたしませんが、中央にそういうような委員会でもつくつて、これを鞭撻し、調整をとるという方向に持つて行つたらどうか、こう考えております。その点も御研究を願いたいと思います。
  136. 小松勇次

    ○小松委員 私のお尋ねせんとすることは、夏堀君の質問で盡きておりますが、この際ひとつ何つておきたいことは、この漁業手形に対して、往々聞くところによりますと、定置が残ら、何の業種が幾らとかいつて、いろいろ割当をしてあるというようなことを地方で聞くのでありますが、水産庁から、何かそういうような指示でもいたしたようなことがあるのでございますか。
  137. 飯山太平

    ○飯山説明員 それは絶対にありません。
  138. 小松勇次

    ○小松委員 事実そういう問題があるのです。そういう点が非常に漁業手形の利用の障害になつておると思う。現に私の方にある。それからその問題はそれとして、災害の問題でありますが、先ほど來いろいろお話のあつたことく、ひとつ水産長官も、この問題ではふんどし締めて、公共施設に対してはあくまでも全額國庫負担という主張を貫徹させていただきたいと思います。それから委員長、水産委員会としても、この災害対策と今の問題につきましても、ひとつ水産委員会としてのまとまつた結論を出して、それから災害対策委員会の方へお願いするとか、また政府当局要望するとかいうようなお手配を願つたらどうかと思いますが、一度御意向を伺います。
  139. 石原圓吉

    石原委員長 それについて委員長意見を申し述べておきたいのでありますが、この委員会から災害対策委員が五名か六名出ておるはずであります。明日から委員会が開かれるそうでありますから、一應出席していただいて、そうしてこちらの御意見を聞いて、そうしてこの委員会の対策の基礎にしたい、こう私は希望するのであります。その上でこつちとしての対策案を立てるということにするのが順当ではないかと思います。  なお明日は午前中に施行案の審議を終了してもらいたいと思います。さよう御了承願います     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 石原圓吉

    石原委員長 それでは明日午前正十時から開会することにいたしまして、本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時五十九分散会