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1949-09-09 第5回国会 衆議院 水産委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年九月九日(金曜日)     午前十時二十七分開議  出席委員    委員長 石原 圓吉君    理事 小高 熹郎君 理事 鈴木 善幸君    理事 玉置 信一君 理事 松田 鐵藏君    理事 林  好次君 理事 砂間 一良君    理事 小松 勇次君       川端 佳夫君    川村善八郎君       田口長治郎君    冨永格五郎君       夏堀源三郎君    長谷川四郎君       奧村又十郎君  委員外出席者         議     員 千賀 康治君         水産廰長官   飯山 太平君         農林事務官   久宗  高君         農林事務官   松元 威雄君         農 林 技 官 石川 東吾君         通商産業事務官 佐橋  滋君         專  門  員 小安 正三君         專  門  員 齋藤 一郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  漁業法案  漁業法施行法案  水産資材に関する件     ―――――――――――――
  2. 石原圓吉

    石原委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き、漁業法案並びに漁業法施行法案を議題として質疑を続行いたします。  本問題に入るに先立ちまして御報告があります。八戸いわし網漁業協同組合より電報であります。「水産資材補給金打切りと聞く。業者の死活問題なり。よつて打切り絶対反対す。打切りにならぬよう御盡力ありたし。八戸い、わし網漁業協同組合。それから同文八戸かつおまぐろ遠洋漁業者組合同文八戸底びき網漁業者組合。以上でおります。  前日に引続きまして、漁業法案第一章第一條より第五條までの御質疑をお願いします。発言がないようでありますから、第二章に移ります。第二章第六條より第五十一條まで。一括して議に付します。
  3. 冨永格五郎

    冨永委員 漁業法漁業生産力発展を庶幾しているという前提から伺いたいと思うのです。六條の定置漁業のところですが、これは各地をまわつた場合に、どこでも出た意見なので、大体そのことをとりまとめて申し上げますが、同僚委員からも、なお漏れた点があつたら御質問願いたいと思います。身網の設置される場所最深部最高潮時に水深十五メートル以上のものと、しからざるものとを区別して、前者を定置漁業として、後者を第二種共同漁業としているのですが、はたしてこれが漁業生産力発展に適するというお見込みでいられるかどうか。もし漁業生産力発展に役立つという御見解であるとすれば、その理由を承りたいと思います。
  4. 川村善八郎

    川村委員 ただいま冨永委員から発言されたことは、私も各地をまわつてその意見を聞いたのであります。ただこの場合立案者に御質問申し上げますことは、身網の設置される場所最深部最高潮水深十五メートルということはわかるのですが、これは北海道に例のあることで、実は私らもその経営をしたことがありますが、沖の方に根がある。そうしてそこが一番魚がつぐところだ、こういう場合に、そこに設置するとすれば十五メートル以上になるが、そこが岩礁とかいろいろなもので設置することができない。その場合にどう綱を設置するかというと、つまり浅い方に身網を置いて、そうして深い岩礁のある部分手網を引く。俗にこれをさかさ網と言つております。こうしたような網も、あるのであるが、そういう場合には、この法律から言いますと、最深部が十五メートル以浅になるからつまり第二種共同漁業権に入るのだということになりますが、実際問題としてそうして効果をあげているところも定置漁業としてあるのであります。これらをただいま冨永委員の言われる増産という面から行くと、つまりわずかの暗礁のない部分身網を置いて暗礁のある部分には手網をさかさにすえて立てた場合には、非常な増産効果がある、こういう場合にはどういう処置をとられる御意思か。これから言うと、はつきりできないということになるが、この点を提案者のその当時の御心境からひとつ御説明願いたいと思います。
  5. 久宗高

    久宗説明員 定置漁業につきまして十五メートルという線が引かれ、これより浅いものは共同漁業権として組み入れられておるのでありますが、これが生産力の面から見てどうかというお尋ねでござい手。たびたび御説明いたしますように、この生産力という問題につきましては、立案いたしました考え方としては、漁場そのものが分割して処理できないということでありまして、結局他の漁業との関係が非常にあるわけでございますので、一定の海区なら海区というものを單位にいたしまして、その水面の総合的な利用ということによつて絶対量を上げて行くということも考えられる、こういう考え方を持つておるわけでございます。從いまして一つ経営をとつてみました場合に、その経営の絶対量がかりにその経営形態がかわつたために落ちるというようなことがあつたといたしましても、他の関係において、まりその漁場における他の漁業関連性考えました場合に、むしろそれを総合いたしまして絶対量が上るという方向をねらうべきではないか、こういうふうに考えておるわけであります。これは現行制度ではこれがなかなかできにくい形になつておりますので、漁場計画の際にそういう問題を考えて行く。またそれの経営主体がそこの漁民國体というようなことになつたような場合に、その網との関連において他の漁川業種類をもつと合理的に一緒にやれるということも考えられる。つまりあるAという経営体がそれをやつていてほかの漁業はその他の人間がやつているという場合には、Aはその経営のことだけしか一應考えられませんので、どうしてもそのAに少しでも支障があると思われる場合には拒否するといつたような形になるわけでありますが、それが多数の漁民意思によつて経営されている場合には、片一方の経営でかりに落ちたとしても、それを補うだけのものをその経営との関連においてその漁場内で行使できるというような形が考えられるだろう。それによつて漁獲の絶対量もあげられるし、漁業種類も多角化できるので、労働の生産性もあげられると考えておるわけでございます。  またこのいわゆる定置漁業といたしましたものと共同漁業との関係でございますが、共同漁業として組み入れておりますものは、いわゆる小定置というような形のものが多いかと思うのでありますが、そういうような場合に、実際問題としまして、現在の制度のように非常に嚴密にここに張らなければたらないというふうに固めてしまいました場合には、海況に應じられないということがあるわけであります。それをもう少し廣い範囲におきまして、海況に應じ、またその経営する方の側の資材関係とか、そういうようなことを見ながら、それに融通性を持たして行くということが共同漁業権の中に小定置を入れた大きな理由でございましてこれによつて資材の節約ということもできるし、海況應ずるということもできるであろう。またその共有主体協同組合という関係でありますので、そういうふうに小定置場所を動かすというような場合に、他の漁業種類との摩擦ということも内部的にいろいろ処理できる、それによつて総合的な生産力を上げて行くということができるであろう、こういうような考え方を持つておるわけであります。ただ大きな網になりますと、それをかつてにいろいろ動かすということは沖出し関係で右や左にいろいろの影響もございますので、これはやはり從來のような定置という形にいたしましてこれを漁場計画の際にきつちりときめて行く、そういうふうにいたしませんと、その漁業経営も不安定でございますし、両隣りに対する影響ということもございますので、これはあまりかつてに動かすわけには行かない、そういう意味でこの二つにわけたわけでございます。  もう一つかさ網の問題でございますがここに書いてございますように、身網の設置される場所水深十五メートル以浅に事なりました場合には、これは共同漁業権内部に組み入れられるわけでございます。從つてただその網の張り方自体がどうこうということではなしに、むしろだれが持つかということの方がもつと大きいのではないか。つまり共同漁業権として協同組合内部においてこれの行使者をきめて行く場合に、その行使をきめられた方が從前さかさ網を張つておられたと同じような形で張ることもできる。共同漁業権の中に組み入れられたために定置と同じような張り方ができないというものではないのでございます。從つて私はそのためにその生産力が落ちるということは考えられないというふうに考えております。
  6. 冨永格五郎

    冨永委員 それから第七條に、入漁権区画漁業権に属する漁業においても、その漁業権内容たる漁業の全部または一部を営む権利というふうになつておりますが、入漁権というものに関する法律上の性質をこの場合伺つておきたいと思います。  それから第八條で、漁業從事者が各自漁業を営む権利を認められておるのでありますが、この規定は一應昨日の第一章の第二條の漁業從事者という定義矛盾しているのではないかというふうに考えられますが、これに関する御意見を承りたいと思います。
  7. 松元威雄

    松元説明員 まず最初入漁権でございますが、これを新しく区画漁業権につきましても認めましたのは、区画漁業権共同漁業権とは一應権利は別にいたしておりますが、ここに列記いたしました区画漁業権は、内容上は組合員が集團的に漁場利用しておる、こういう関係共同漁業権と同じである。たとえて申しますと、のり漁場の使い方は、組合員が毎年行使方法をきめ、あるいは順番あるいはくじ引きできめておる。そういうような團体規整をしております。そういう関係共同漁業権と同じであるという意味で、まず入漁権の設定を認めた。しかもその入漁権と申しますのは、一つ組合区画漁業権を持つておりまして、他の組合がそこに入つて來る。そういう場合がこれらの漁業権についてあるわけでおりまして、これはあとの方で漁業権の賃貸を禁止いたしましたこととも関連いたしますが、たとえばのり種つけ場という問題がございます。これは一例を申し上げますと、千葉縣の青堀という漁業会のり漁業権を持つておりまして、その種つけ場を大森の漁業会利用しておる、こういう関係がございます。これは今後は賃貸できなくなるのであります。これを禁止しないで、從來通り種つけ場として他の組合漁場を使うことを認める、こういう趣旨もからみ合いまして新しく認めたわけであります。  それから第二の、第八條の各自の営む権利ということが漁業從事者矛盾するのではないかという御質問でございますが、この場合は組合員は各自自分の責任で、つまり経営主体として漁業を営むわけで、そういう問題はなかろうと思つております。     〔委員長退席鈴木委員長代理着席
  8. 冨永格五郎

    冨永委員 七條八條もいろいろ意見がありますが、一應質問程度にとどめて進みたいと思います。第十條、第十一條の問題でありますが、漁業調整委員会廣汎な権限を付與されましてかつ行政に関する幾多重要な漁業事務を処理させるということになつておるのでありますが、この調整委員会の問題につきましては、大体質問の際にもしばしば各自から述べられておることなのですが、これほど重要な仕事漁民から選挙されたものに、時間的にあるいは経済的に処理し得るというふうに思われる、その根拠を一應伺つておきたいと思います。また二箇年内に一体どのくらいの経費使つて、どれくらいの人間と、どんな人たち現行制度にまさる再分配の名案を立てられるか。また再分配の結果、現行法より、どれだけまさる結果ができるかというような点を具体的に説明を願いたいと思うのです。それから都道縣ごとに三つまたは四つの漁区の漁業調整委員会ができることになりますが、はたしてこの同一都道縣内対立を生ずるというようなおそれはないかどうか。またこの十條、十一條の問題ですが、免許内容等事前決定というふうになつておりますが、免許漁業につきまして、漁業種類漁場の位置及び区域、漁業時期その他免許内容たるべき事項を都道縣知事は海区漁業調整委員会意見を聞いて、免許事前にこれを決定しなければならない、こういうふうになつておるのですが、これほど大きな問題が現在の都道府縣水産部、あるいは水産課という程度のところで――御承知事通り水産部といえば宮城懸と、北海道だけにしかない。あとは全部水産課程度で処理されているのですが、それからの人々と海区漁業調整委員会人々と、万事手落ちなくできるというふうにお考えになつているのかどうか。しかもこの決定によつて公示したものと異なつた免許申請があつた場合には、免許してはならないという規定がはつきりいたしているのでありますが、一体わが國の免許漁業は、御承知通り毎度これは申し上げているのですが、長年月の間かかつてようやくでき上つた今日の漁業法の実態でありますが、それはどんな堪能な水産技術者といえども、わずか二年やそこそこではずいぶん多難な問題ではなかろうかという点が危惧されるのですが、長官の答弁にも、いやこれよりいい方法はない、これでできると言うておられるのですが、私どもはあくまでその考え方には賛成できない点があるのです。なおこの場合これをはつきり記録しておきたいと思うので質問するのです。事前決定が一体どれだけ漁業生産に役立つかというふうなお見込みかどうか。また事前決定におきましてわが國の免許漁業が、漏れなく理想的に、少くとも現在以上の生産力を上げられるように決定されなければならないのでありますが、決定されるという確信は、どういう根拠に基いていられるか伺つておきたい。なおまたこれが必ずしも理想通りそういうように行われなくて、不幸にして漁業権が余つたというような場合はどうするかしまたこの計画外水面で、新規優良漁場を発見したというような場合に対してのお考えはどうか。それから最後にこの十一條の中に、関係地区という文字が使つてあるのですが、この関係地区という点はどういう範囲のものかを明らかにしておきたいと思うので、お伺いするわけです。
  9. 久宗高

    久宗説明員 たくさんの項目がございますので、一つく別にお答いたします、最初漁民委員主体なつたこの調整委員会で、こういうふうな廣汎な、しかも非常に重要な仕事ができるかというお話でございますが、この委員会を設けました趣旨は、たとえば府縣取締規則というようなものでは、実際問題としてその海区の具体的な、手の届くような指導はできないわけでございます。そういうような意味から言いましても、この調整委員会を通じて、その土地に一番関係の深い漁民方々漁場の実情を一番よく御存じなわけでございますのでわれわれといたしましては、これが漁場調整上最も適当な措置であるというふうに考えておるわけでございます。またその能力は十分にあるはずだというふうに考えておるわけでございます。  第二に、この事前決定関連いたしまして、非常に廣汎仕事をすることになる。その委員会は、一体どのくらいの費用をかけてその準備に当つて行くのかという御質問でございますが、この委員会にどのくらいの経費が出るかということは、ほんとうに実際の漁をやつておられるような漁民の方にぜひ出ていただくためには、相当漁も犠牲にしなければたりませんのて、われわれといたしましても、普通の委員会とは違うのでありますので、特に手当とかそういつたものにつきましても、できるだけの努力をしておるわけでございます。しかしながらこれは行政官廰としての委員会でありますので、ほかの委員会とのバランスがあもわけでございます。從つてこれたけ特別に飛び離れた予算を組むというわけにも参りませんので、現在考えられ得る最高のところまでお願いしておるわけでございます。具体的に申しますと、本年度の予算は、実は法律施行その他が非常にずれておりますので、むしろ來年度予算について現在財政関係方面と一應御連絡のついている程度の金額を申しますと、一委員会あたり年額九十六万円程度になるわけでございます。これはまだこれからいろいろ査定があるわけでございますが、一應本年度にきまりましたものは必ずしも十分とは言えませんので、二十五年度においてはその程度のものを要求しておるということを申し上げておきたいと思います。  それから事前決定そのものにつきましては、もちろんこれは委員会の方でいろいろお考えになつていただく。しかし決定の形は都道縣知事委員会意見を聞いてきめるということになつておりますので、現実には都道府縣の職員が技術的にいろいろ調べ、また各漁民委員の御意見も総合して行きながら、それを固めて行くことになるわけでございますが、これにつきましてぱ漁場の非常に込み入つておる所は、とうてい縣限りの力てその内容を固めることがむずかしいというようなこと予想されるわけでございます。そういう所については、中央において別に予算を組みまして、漁場総合的利用関係というものを相当長期間にわたつて調査いたしまして、むずかしい海区についてはある案を準備しようというふうに考えましてこれについても予算を要求しておるわけでございます。また技術的な測量その他の関係についても、中央から援助をするというふうに予算を組んでおるわけでございます。  それから第三の御質問で、縣内に幾つかの海区の関係が出て來るので、これが対立を生じやしないかというお話でございますが、これは生じ得る場合もあると思うのでございます。しかしながら考え方といたしましては、一應各海区というものを主体にして考えましてその相互間は現実にはやはり縣というものがある程度のまとまりになると思いますが、建前は海区と海区の間の非常に込み入つた問題は、連合海委員会において処理して行くというふうに考えるわけてございます。從いましてその場合に入会その他の関係相当対立も生じ得ることもあるわけでございますが、それは両方の委員会に代表されました漁民意思によつて決定されて行くべきだろうというふうに考えておるわけでございます。  第四に免許内容事前決定の問題でございますが、これは確かに非常にむずかしいように考えられるわけであります。実際問題といたしましては、現在の漁場関係を申しますと、法律のそのままの形には現実になつておらない場合が非常に多いのであります。これは制度そのもの矛盾でございまして、網を張つてある場所が、嚴密に言えば必ず少しはずれるというような所もあり、まれ大きくずれる場合もあるわけでございます。そこで現在においても少し規定とは違つている上に、現在ある網は、やはりいろいろな関係で、初めから計画的に全部の漁場をにらんでつくつたものではなしに、一應基礎には慣行というものがあり、その後新規免許がぼつぼつ個々の申請に基いて行われておりますので、実際やつておられる方は、ほんとうを言えばここに張りたくない、もう少しこつちええ張りたいということが実際にあるのです。そこで現実に漁をしておられる漁民方々においては、ここはこういうふうにしたらいいというものを新たに考えるのではなくて、現実の漁の中におけるいろいろな矛盾から、一應そういうものがあるわけでございますから、むしろそれをそのまま引出して組み足て行く。ただその場合技術的に見まして、一部の漁民方々がそう思つても、もう少し科学的にそれを檢討した場合に、それはまずいという問題も、ありましようし、それからこの綱をこういうふうにしたいと考えておられる漁民が一部であつてそれをそういうふうにしたら他の漁業関係漁民方々に反対があるというような問題もあると思うのであります。そういうような点を総合して現実的な計画ができあがると考えますので、白紙に返してやるというのは形式上の問題でありまして、実際はどうあるべきかということの具体的な内容は、すでに現実漁場関係矛盾の中にあるというふうにわれわれは考えておるわけであります。むしろそれを基礎にいたしまして、それにもう少しこまかい技術的な問題を加えまして、これをまとめ上げて行くというふうに考えておるわけであります。また決定いたしましたあとに、いろいろな変更が行われる、あるいはまたさつき新規漁場の問題も出て参りましたが、それが眞に漁業生産力発展になり、また他事の綱との調整もそれでよろしいといつたような場合には、これは漁場計画を変更することになると思うのであります。変更して新たに免許いたして行くということになると思うのであります。  次に関係地区というものについての問題でありますが、これは逐條のときに他の説明員から触れたと思いますが、内容的に申しますと、別の言葉使つております地元地区というのと同じでございます。すなわちそれを決定いたします要件といたしましては、自然的な條件、社会経済的な條件を総合的に考えて行くということであります。その場合の自然的というものは、その漁の技術なりあるいは回遊とか、そういうものはもちろん、地理的関係も含めるわけでございます。從つてこれは普通常識的に申しますと、大体普通にみんなが申しております地元、これが一番関係が深いわけでございますが、それは嚴密にこの漁場に一番近いところの村というような意味ではないのであつて、たとえば定置で申しました場合には、地元地区という場合に、それがよくどこの地先かということが争いになつているわけでございますが、そういう点ではなくて他の漁への影響雇用関係というようなものを当然含めまして、この網を張ることによつてどこまでそういう漁民生活影響があるかという点を考えて行くわけであります。これは一々こまかく規定するわけに行かないのでありますが、一般的な通念としてはそういうものがあるわけでありまして、そういうようなふうに判断して委員会がきめて行く形になるわけであります。しかしながらここで関係地区といつておりますのは共同漁業権に関するものでありまして、その場合にはこれは、どの協同組合に持たせるかというようなことで、たとえば三分の二なんということを非常に大きな要件といたしておりますのて、その関係法律的にはこれは非常に明確にしなければならない。そこで特にこの共同漁業権につきましては、この関係地区という言葉を使つたわけでありまして、これは先ほども申しましたように地元地区考え方においては同じだけれども、この場合の関係地区というのは、これによつて他法律効果がはつきり出て來るわけであります。この中の三分の二なら三分の二というような要件関連いたしますので、特に別な言葉を使つたわけでありまして内容においては地元地区と違うものではないというように御了解を願いたいと思うのであります。
  10. 冨永格五郎

    冨永委員 第十四條、第十六條、第二十一條、これについてお伺いしたいのでありますが、第十四條第二項の「地元地区」というところの定義に「自然的及び会経済的條件により、当該漁業漁場が属すると認められる地区」こうなつているのですが、これはどういうことになるか、ひとつ明確に、説明願いたいと思うのです。なお「属する」ということと「属すると認められる」というふうに出ているのですが、この点をひとつ御説明願いたいと思います。  それから第十六條六項に、漁民七人以上によつて構成される法人であつて一定條件を備えるものは優先順位を高くしているのでありますが、その理由並びにこれらの法人が他の悪質の資本家によつて操られるというようなことのないように、何かこれに関する防止法が講ぜられているか、どうかという点であります。それから今の場合、に使つている漁民によつて構成されるも法人というのは一体どういうものか、具体的に御説明願いたいと思います。  それから第二十一條漁業権存続期間の問題でありますが、現行法定置漁業権存続期間は二十年になつております。それを五年と改めることは、定置漁業権に関する限りは少くも弱体化になると思いますが、これがはたして生産力増強になり。発展に寄與すると思われる根拠を伺つておきたいと思います。定置漁業経営は大体三年または五年くらいを一期にして進んで行くというのが実情なんですが、五年ではあまりに短かいという意見各地の懇談会において強く、主張されておりましたので、ほかの委員からも意見が出ると思いますが、この点ひとつ伺つておきたいと思います。
  11. 久宗高

    久宗説明員 第一の御質問地元地区に関することでございますが、これはここに書いてございますように、先ほどの御説明で申し上げました通り、それをただ地理的にだけきめるということは、この要件経営内容から見、まして妥当ではないと考えるわけであむます。從つて單に地理的だけの條件でなしに、その社会経済的な條件も加えて考えるべきだというのでありますが、ただそれにはおのずからどの範囲まで含むというものが客観的にあるわけでございます。そこでこの「当該漁業漁場が属すると認められる地区」と申しまして「認められる」というのは、そういう客観的に認められるという表現でございます。その判断は一應ここでは実際問題としては漁業調整委員会がするということになるわけであります。  それから第三の御質問は、協同組合の優先についての理由ということであつたと思うのであります。これにつきましても最初にいろいろ御説明しておりますが、結局のところ、もしこの漁場が土地のように分割できるものであつて、そしてそれが他の漁業との関係なしにできるというものであれば別なのでございますが、結局漁場そのもの考えました場合に、実際問題としては、そこの漁民のみんなが関心のある入会漁場の中で、技術的にはどうしてもある一定の水域を独占しなければ成り立たない漁業があるわけであります。そういつたような関係からこれをだれが経営いたしますかということは、非常にそこに漁民生活にとりては大きな影響があるわけでございまして、一番いい方法といたしましては、そこのなるべく多数の漁民にその漁利が均霑され、またそこで労働して対貨を與えられるということが望ましいと考えられるわけであります。また協同組合というような漁民の集團が権利を持ち経営した場合、他の小さな漁業に対する配慮も最もうまく行われるであろうと考えるのであります。これは漁場というものの特殊な構成から來る問題でありまして、そういうことが言えると思うのであります。そこで現実の問題といたしましても、そういうような集團的な経営というものがあるわけでありまして、ただそれが実際においては資金供給がなくてできないというのが現状でございます。そこでその際にこの免許優先順位の中で、特にこれを規定いたしましたのは、今度一應すつかり漁業権を整理いたします関係で、まつたく新たに計画して免許するわけでありますので、そこで現状においてそういう集團的に経営のできているという漁業は、もちろんそういう形をとつて行くというのは妥当だと思うのでありますが、なおかつ相当いい漁場において安定しておるというような所においては、そういうような共同経営というものが延びて行くというのが適当じやないかというふうに考えますので、この免許におきましては、優先順位というものを原則として実際に経営するものに與えるのだという関係になつておりますので、ここに特に優先規定を設けたわけでございます。御質問の点を少しはずしておつたかと思いますので、これはあとお話いたします。  それから第三の点で免許の期間の問題でございますが、これを五年にしたのはどういうわけかというお話でございます、もちろん定置漁業のように危險の多いものでありますと、実際問題としてもつと長くしなければいけないではないかという御意見も多々出ておるのでございますが、これを何年にするかということにつきましては、確かにいろいろ議論があると思うのであります。われわれといたしましは、主としてこれを実際の賃貸関係にあるものがどのくらいの期間でやつておるかということを、一つの標準として見たわけでございます。そしてここに五年という問題を考え。これで一應経営の周期というものを考えて見たわけであります。もちろんこれが絶対的な数字であるかどうかという点については、いろいろ議論があると思うのであります。ただ問題は、今度の考え方として漁場計画的に、総合的に利用して行こうという関係がありますので、そこで漁場海況のいかんによつて、またこれをいろいろ改善して行く必要がある。しかしそれは個々ばらばらにはなかなか取上げられないのでありまして、他の綱にも影響があるということから、五年に一度くらいずつそこで総合的に見渡して見る期間が欲しいわけであります。もう一つ共同漁業権の方は十年ということになつておりますので、これのきれ目と相当の関連性を持つておるわけでありますから、一律に総合的に見る必要がある、その二つの考え方から五年というものをとつたわけであります。
  12. 松元威雄

    松元説明員 ただいまの説明員説明を補足いたします。漁民によつて構成される法人と申しますのは、実はこれは先ほど申し上げたのでありますが、具体的にはまず第六項の方は一應生産組合であります。それと生産組合以外の任意組合考えておるのであります。別に会社を考えておるわけでは、なく、任意組合であります。第九項の法人と申しますのも、第十項の法人と申しますのも、実は内容的には大綱組合を言うので、任意組合考えておるのであります。それをなぜ法人としたかと申しますと、第十六項で、「法人以外の社團は、前十五項の規定の適用に関しては、法人とみなす。」という規定を置きまして、今申しました法人というものの中には、いわゆる任意組合を含めておる。それを正面切つて任意組合と書きませんでしたのは、これは立法技術者の法制局といろいろ相談いたしまして、こう書くべきだというので、このようにいたしたわけであります。
  13. 川村善八郎

    川村委員 関連して――私が質問することはたくさんありますので、一問一答の形式で私も簡單に質問しますから、簡單に御答弁願います。  第一に第六條の共同漁業権でありますが、五種あるのですが、これまでの專用漁業権というものは、海深ではく、沖出しを基準にして免許しておる。この場合沖出しともうたつていなければ、海深もうたつていない。ただ單に定置漁業権のうち、小定置漁業ということについては、海深十五メートル以浅共同漁業権にするということになつております、一体海深で免許するのか、あるいは沖出しを基準にして免許するのかということが一点。  それから第三種共同漁業権に、「地びき網漁業、地こぎ網漁業、船びき網漁業、飼付漁業、しいらづけ漁業又はつきいそ漁業」、こうなつておりますが、あとの区分はわかりますが、地びき綱と地こぎ網、船びきはどういう魚をとるような共同漁業権にするという御意思か、まずこの二点をお伺いいします。
  14. 松元威雄

    松元説明員 まず第一に共同漁業権免許は海深を基準とするか、沖出しを基準とするかという点でありますが、現行法におきましても法律自体としまして、いずれもこの免許方針でやつておるわけであります。これは具体的にいずれをとるかという選択の問題でなくて、両者を勘案して免許方針をきめて行きたいと思つております。  第二点の第三種共同漁業の中の、地びき網、地こぎ網、船びき綱は、いかなる種類の魚をとるかということであります。これは具体的には、いわし、しらすといつた浮魚であります。この点第一種共同漁業権を根付漁業と限る点は、ちよつと均衡を失するように見えるのでありますが、事実は今度の共同漁業権内容は、根つき、磯つきのものだけに限らず、たとえば浮魚でありましても、自分の地先で待ち構えてとるという場合にはやはり含めております。そうすると磯魚をこれに含めたいのは確かにバランスを失するのでありまして、私どもといたしましてもこれは十分に承知しておるのでありますが、具体的に磯魚をどの範囲で区分するのか、技術的にちよつと見当がつかなかつたのであります。そこでやむを得ず免許範囲に入れたかつたこういうふうに御了解願いたいのであります。
  15. 川村善八郎

    川村委員 第十三條の第一項第三号に「不当な集中」というのがありますが、これは北海道に例をとつたら一体どういうのが不当な集中であるか。松元説明員は特にお調べになつたのですから、実例を示していただきたい。
  16. 松元威雄

    松元説明員 お答えいたします。ただいま私の見聞した範囲で、漁業権について不当な集中という例で、私の典型的に記憶しておりますのは、まず北海道における合同漁業の例でございます。しかしながら合同漁業権も單に数がたくさんあるから不当だといつてあるのではなくして、あれが最初にきたのは、にしんの不漁対策として漁業権をたくさん持つて、それを年々に有効に使いわけて行くという意味で、最初はあるいは不当でなかつたかもしれない。その後の事態の変化によつて一應不当とみなされるのではないか、そういうふうに考えておるのであります。
  17. 川村善八郎

    川村委員 第十四條の一、二、三号であります。第一号の漁業法の悪質な違反云々とありますが、具体的に例を示したら、一体どういうのが悪質違反にたるか。罰金と体刑が併用されておりますが、かりに罰金をとられた場合は悪質ではないが、体刑を受けた場合は悪質か。こういうふうな解釈に苦しむものでありますが、具体的にその例を示していただきたいのであります。  それから労働に関する悪質な違反云云とありますが、これも先般の松元説明員のたしか説明だと思いますが、今度は賃金はほとんど歩合制度によりたいという希望ですか、あるいはそういうふうな含みをもつてつくつたのか、わかりませんけれども、つまり歩合制度によるというようなあなた方の御所論が濃厚なようであります。そうすると不漁した場合には、歩合制度というものはつまりよけいわたらないのだ。賃金が不足になるのだ。そうなると生活は保障ができない。しかし一方には生活の最低保障制ということも説明員から言われたようでありますが、不漁した場合にはたして一体最低の生活保障ができるかどうか。こうした場合に悪質の違反となるかどうか。これを常識的に考えるか、あるいはそれを法律ではつきりどの程度が悪質違反と定めるかどうかということであります。  それから第三号に、海区漁業調整委員会の総数の三分の二以上で、漁業権の民主化を阻害すると認められた場合、これは悪質でふるというふうになつておりますが、そういう場合に、かりにその者を海区漁業調整委員会では三分の二以上で追放しろという決議をした。しかしこれは常識的に見て、それは海区漁業調整委員会のその決議がむりなんだという場合には、もちろん行政的処置もありますけれども、しかしこれをはつきり早く判断したければいろいろな問題に支障が行くのでありますが、一体判断をして、これは猶予せよとかやあるいは決議を取消すとかいうようなことは、どこでやるか、この三点であります。
  18. 松元威雄

    松元説明員 最初の二つの御質問にお答えいたします。  第一号の漁業関係の法令の悪質の違反と申しますのは、これは体刑とか罰金という基準だけではいけないと思つております。これは現在の取締りも不十分でありますし、そこは一應社会通念という考えになりますが、もちろんこれは具体的に底びきの違反でありましても、起訴する場合には、どの程度という基準をつけております。たとえばこれの違反を、三回やつた、この程度のものは許可を取消すというようなことを考えております。  第二点の労働の賃金制にかんらだ御質問でございましたが、これはまず歩合制がどうかという問題は、私としましては、現段階では歩合制を認めるつもりであります。但し最低保障つきの歩合制であります。一昨日説明した中で、労働法令の悪質な違反の例として、最低保障をつけない例を申し上げましたが、これは現在漁業では一般的に最低保障というものは行き渡つておりません。そういう段階においては、ただちにこれを法規違反ということで取上げることはしないつもりであります。しかし二年後に漁業権が整理されて來れば、最低保障をつけるという趣旨も普及するであろう。その際に、その附近で一般にやつているにかかわらず、その人間だけやつていたいという場合に、取上げるとしたならば、最低保障をどのくらいにするか。不漁の場合に拂えるかどうかという問題もありましたが、大体最低保障の問題は、労働省の考え方もいろいろ聞いたのでありますが、平均的な收入の六割ないし七割ぐらいを確保してやるべきであろう。これは法律には書いてございませんが、大体労働省の最低保障のきめ方の基準として、そういう線を申しておりますから……
  19. 川村善八郎

    川村委員 不漁で拂えなかつた場合には、それを悪質と見なすか。
  20. 松元威雄

    松元説明員 不漁でどうしても客観的に拂えないという場合には、これは、やむを得ないと思つております。その場合でも單に拂わなかつたという法の形式だけでやるつもりはございません。
  21. 久宗高

    久宗説明員 もう一つの第三号の問題でありますが、これについては「漁村の民主化を阻害すると認められた者であること。」ということにつきましては、昨日説明員の方からお話しましたように、これは一つ一つのケースをみんなかけるのではないのであります。特に非常にそういう問題があるということで問題が起りました場合に、委員会にかけて、その委員会の総委員の三分の二以上によつて認められるということが要件になつているわけであります。ただその場合に、それが不当に行使された場合はどうなるかという御質問だろうと思うのであります。これにつきましては第百三條に「海区漁業調整委員会の議決が法令に違反し、又は著しく不当であると認めるときは、理由を示してこれを再議に付することができる。」という問題がございます。またそれでもまずい場合に、百四條には、一番強い問題といたしまして、解散命令の問題がございます。もちろん解散命令の場合には、中央漁業調整審議会の方からの請求があることになつておりますが、こういう措置が裏についているわけでございます。
  22. 川村善八郎

    川村委員 ただいまの御説明では、法的にはわかりますが、ただそれを中央漁業調整審議会まで持つて行くということになると、半年も一年もかかつてしまう。その間その人が漁業できないということになれば、莫大な損害になる。かつまた生産という面からいうと非常な支障になるので、私が聞いているのであつて、正律的にははつきしりわかつている。ただその場合早くそれを問題を解決つける方法がないかということなんです。これはあわせてあと説明を願います。  次に第十六條に、いわゆる優先順位の中に、「「経驗」とは、その申請の日以前十箇年」云々とあります。しかもこの十箇年のうちに、かりにあとの三年を経営した人がある。それから前七年は別な人がたとえば乙という人が経営しておつた時代があつたということ、つまり後者は現在の三年、前者が先の七年、こういう場合にはどちらをとる御意思かどうか。まずこの点をお伺いします。
  23. 久宗高

    久宗説明員 ただいまの経驗の問題でありますが、第三項に経驗とは云々ということが書いてございます。これはあまり大きな意味がないのでありまして、つまり経驗があるなしということで一應のしわけをする。しかしこの優先順位全体の立て方が、一項から四項まではむしろあまり意味がなくて五項で総合的にやはり判断する必要があるだろうということをたびたび御説明しておるわけであります。そこで今の経驗の問題につきましても、これは幾つかの項目の中の一つとして考えて行くわけであります。それだけによつて云々するものではない。ただ他の條項でほとんどみんな同じだ、たまたまその問題で、どうかという場合には、それは経驗というものがそうした大きな要素になるということは考えられますが、経驗だけで一切を解決するというふうには考えていないわけであります。
  24. 川村善八郎

    川村委員 ただいまの説明は、まつたくどうもわれわれほんとう漁業者から見ると、矛盾もはなはだしいのであつて、一体経驗がないもの――ひとり漁業ばかりじやない。農業でも、すべての生産の業、またもつと大きく言えば、すべてのなすべきことが経驗が大事なんであつて、経驗に附随するというふうなものがあつて、始めてすべてがうまく行くのだ。また漁業でおるならば増産をすることができるのだということになつておりますが、今の説明から行きますと、経驗は軽視しているようでありますが、まことに潰憾でありまして、遺憾の意を表して次に移ります。
  25. 久宗高

    久宗説明員 ちよつと誤解を生じたと思いますので補足さしていただきます。この点私の御説明申しましたのは三項と五項とり関係法律的に申し上げたわけでありますが、ここで三項の中に経驗ということを入れまして、経驗のある者――今まで全然ない者というのははつきり優先順位のところでわかれてしまつたのであります。問題は同じく経驗のある方同士でどちらをとるかという、つまり同順位溝の問題として考えました場合、もちろん経驗ということは重要な要素でありますが、他にここに掲げましたような問題も、優先順位の場合には当然考えられなければならないのじやないかということを申し上げたのであります。決して経驗を軽視すると申し上げたのではないのであります。
  26. 川村善八郎

    川村委員 それでは別な角十度であなしたにお伺いしますが、すべての條件が平等、同一だ。つまり綱にしろ、舟にしろ、その他の設備にしろ、全部同一だ。こういう場合に、私のさつき質問した事項にあなたのお考えを及ぼすときにはどちらをとるか。つまり三年より経驗がない、七年経驗があつたのだ。その三年が現在の経驗者、七年が前の経驗者だ。こういう場合に、どちらをとるか。逆にそれでは賛問します。
  27. 久宗高

    久宗説明員 ただいまの年数で申しました場合には、他の條件が同じならば、それでは七年の方が優先すべきだと思います。但し今の御質問は、前に七年やつてつた。現在その三年目の方がやつているという問題でありますが、それはどういう事情でその七年の方がおやめになつたのか、またどんな事情で現在の三年目の方がやつているのかということを判断する必要が出て参ります。それをどちらに優先すべきかという問題は年数だけではきまらないと思うのであります。それこそ漁業調整委員会が公平に判断して、どちらにとらせるかという問題だろうと思いますが、おそらくおちつく場合には両者の共同経営というところにおちつくのではないかというふうに思うのであります。
  28. 川村善八郎

    川村委員 私はただ年数だけ言つたからあなたはそうお、考えになるだろうけれども、私の言うのはすべての條件が同じで、経驗についても同じ角度で來たんだ。それじやもつと例をあげますが、七年経驗があつて相当の成果をあげて來たんだ。ところが不幸にして後者が七年目に高い金を出してその漁業権の所有者から買つてしまつた。つまり漁業権を買われたんだ。それがためにやり得なくなつたんだ。こうした場合にあとの三年という人は、資力によつてつて、経驗が三年あるけれども、七年よりははるかに経驗が浅いのでおるから、劣つているという場合を私は例をあげて言わなかつたから、あなたはたた年数だけ去々と言うが、私はそうでなく、七年の経驗も三年の経驗も同じ場合のことを言つているのであります。その程事にしておきます。  それから第十六條の、先ほど法人の問題で冨永君から質問されたのでありますが、一体この法律案で法人というものは幾つ認めているか、幾種に見るか、それから法人とみなされるという字句も使つておりますが、大体大別しますと法人は幾つ、法人とみなされるものは、どういうものかということを御説明願いたいのであります。
  29. 松元威雄

    松元説明員 ただいまの法人の具体的内容と、法人とみなされるものの具体的内容の御質問でありましたが、特に優先さしております第六項の法人というのは生産組合考えております。しかしてそれ以外には会社はあまりなかろうか――多少ありましようが、そうはなかろう。そうしますと、生産組合とそれ以外は任意組合が大部分だろうと考えております。第九項の法人と申しますのは、ほとんど任意組合だろうと思つております。第十項も同じほとんど任意組合だろうと思つております。それ以外に第十四項あたりて法人の、優先順位のきめ方を書きましたものは、これは会社ももちろん含んでおります。
  30. 久宗高

    久宗説明員 若干補足したいのでございますが、先日來この條文の説明の際に法人以外の社團をこの十六條内のある種の規定については「法人とみなす」ということがあつてそれを法律技術上の問題だ、こう御説明したわけでありますが、これは一見しますと非常に見にくくなる。また非常にわかりにくいととうお考えを持たれると思うのであります。そこでわれわれこれを整理いたしました際に、いわゆる人格のない社團、こういうものが実際問題としてあるわけでありまして、いわゆる網組とかそういつたものであります。こういうものについてははつきり規定しようと思つていろいろ法務廰の方にもお願いして書きわけて見たわけであります、そうしましたところが、これを書きますと、ますますわからなくなる。というのは、條文が非常にふえるわけであります。むしろそれよりも、この程度にとどめて、一番最後にそういう特に一々人格のない社團というふうにことわらずに、扱いは同じに考えるわけでありますから、つまり経済的に見れば法人と同じ実体を持つているというわけで、一番最後に整理した方が全体としては、見やすいということで、こういう形をとつたわけであります。一度はこれを書いて見たのでありますが、かえつて非常に長くなつて、むしろわかりにくくなるという点から削つたのであります。この点御了解願いたいと思うのであります。
  31. 川村善八郎

    川村委員 次に第二十三條の「漁業権は、物権とみなし、土地に関する規定を準用する。」とありますが、先般も土地に関する規定を準用するならばなぜ農地法と同様にしなかつたかということについての質問に対して、いろいろと説明されましたから、大要わかりました。しかし漁業権を全部買收いたしまして再分配するということについて、二年間のうちに調整委員会を組織し、さらにあらゆる機関を組織して再分配の準備を進めるのでありますが、先ほど冨永君の質問に対してもお答えがありましたが、私は期間の二年間というよりも、絶対的に混乱をしないで、漁民全体が喜びの中に、いわゆる笑つて分配を受けるだけの機構がはたしてできるかどうかということを心配するのであります。その点において自信がありや否やということをお伺いいたしたいのであります、
  32. 久宗高

    久宗説明員 ただいまの御質問は非常に重要だと思います。と申しますのは、漁業権の問題について、非常にこれがやかましかつたころの経驗者が比較的少いという点も、われわれ自身相当問題だと思うのでありますが、ただ今の再割当と申しましても、あるいは事前決定と申しましても、これが全然根拠がない、これから頭で考えて行くという問題でなくて、すでに実体的にそこに矛盾があつてこうしたいという現実の基礎があるわけであります。それを組み立てて行くということで考えるわけでありますから、決して私は、この二年間でこれが不可能と考えないのであります。またできると考えておるわけでございます。
  33. 川村善八郎

    川村委員 できると考えてはおられるが、つまり漁民全体が喜んで再分配上得るような確信を持つておるかというわけであります。二年間で混乱してもやれるというならば、一年でも二年てもよろ上しゆうございますが、喜んで再分配し得るだけの確信があるかどうふということについてお尋ねいたします。
  34. 久宗高

    久宗説明員 一部に御不満が出る場合はあろうと思うのでありますが、大多数の漁民方々には喜んでいただけると確信いたしております。
  35. 川村善八郎

    川村委員 次に第二十四條であります。昨日もこれに附帶して質問したのでありますが、第二十四條には「定置漁業権又は区画漁業権について抵当権を設定した場合において、その漁場に定着した工作物は、民法第三百七十條」云々とずつとおります。一体定置漁業権に附帶した定着物というのは、どういうものか、昨日の質問では定置漁業というのは海の中だと言つております。海の中に、しかも最深部十五メートル以上になる定置漁業の定着物というのに、いかなるものをさすのか、これの具体的説明を願います。
  36. 松元威雄

    松元説明員 お答えいたします。これは私自身といたしましては定置漁業権の場合は、漁場に定着する工作物は存じておりません。にもかかわらずなぜ書いたかと申しますと、現実に私の知識ではないかもしれませんが、理論的にはないとは言えないのであります。そうした場合に、これは法律一般の問題でありますが、法律というものは理論的可能性というものを全部書かなければならないという一つの宿命を持つているわけであります。それで実際の感じはたしかに変であります。それはわれわれ認めるのでありますが、そういう法律の一般の原則から申しまして、端的にこちらの言いたいことをそのまま表現できないうらみがあるのてありますが、一應規定いたした次第であります。
  37. 川村善八郎

    川村委員 ないのだけれども理論的にこれを書かなければたらない、そうしますとこの法律全体が理論的に行つておるのかどうかということを再質問いたします。
  38. 久宗高

    久宗説明員 ただいまの松元説明員説明を補足させていただきます。まずこの二十四條は、これは前からあつた規定なのでありまして、それで特に定置漁業権または区画漁業権と書きわけましたのは、共同漁業権をはずすために書いたものであります。それでこの漁場に定着した工作物というのを特にここに規定しておりますのは、抵当権が設定される場合に漁業権というのはその「漁場」そのものを言つておるわけであります。そのものが一つ権利となりましてそれに対して抵当権が設定されるわけでありますから、それに定着する工作物がどうなるかということを法律的にはきめなければならないわけであります。そこでこういう規定が入つたわけでありまして、例は全然ないということでありますが、たとえばいかりどめをいろいろいたしますが、その場合俵のかわりに何か恒久的なコンクリートのいかりでもおろしたといつたような場合がこれに該当するわけでございます。それで御質問の要点は、定置漁業内容的に見れば、そんな漁場にくつついているものではなくて、陸上施設云々がどうなるかという御質問だろうと思います。この陸上施設は法律上はここでいう「漁場に定着した工作物」には入らない。抵当権の問題といたしましては漁業財團抵当という形で処理さるべきものであります、またそれが実際問題としてわけられては困るという点につきましては、後に土地または土地の定着物という規定が設けられております。これが実際の経営と両方が離れないで行くような規定を別に新たに設けたわけであります。
  39. 川村善八郎

    川村委員 理論的になればそうなりましよう。しかし現行法はこうなのです。逆に私から説明申し上げます。定置漁業というと根拠地がなくてはできないというのが原則なのです。そこでこの根拠地に対する定着物をさしていることであつて現行法は決して海の中の定着物はさしてないのだ。これだけあなた方に教えておきます。  それから次に第二十八條に「相続によつて定置漁業権又は区画漁業権を取得した者は、取得の日から二箇月以内に都道縣知事に届け出なければならない。」以下ありますが、それによつて、つまり適格性を有しない者は一定の期間内にこれを他に議渡しなければならない、こうなつておりますが、一定の期間というのはどういう期間ですか。北海道には現在一月一日から十二日三十一日まで期間がある。そうしますと現在定置漁業はたてこんでおるのだ、その場合に、もし一定の期間をつけても切り上げなければ、一年ぎり絶つていないのだからこれは一定の期間というのは二年も三年も続く。一月一日から十二月三十一日までですからまた翌年の期間も続く。そうするとこういう場合の一定の期間というものはあるようでないことになりますが、一定の期間というのはこの條文は、どのくらいの期間をさして言うのか、具体的にお示し願います。
  40. 松元威雄

    松元説明員 まずこの一定期間と申しますのはただらに移せ、経営をつぶしてまで移せという意味ではありません。大体この趣旨は相続人が適格性がないからしばらく待つてくれ、こういう意味なのであります。從つて経営をつぶしてまでただちに移せということは申しません。逆に同年の漁期である場合には、いつまでも続くから、永久に譲渡できないではないかという御質問でございますが、これはそういう漁業であつても途中にやめる時期はあります。なぜかというと現在の漁業権でも存続期間満了期はある。そういう時期はあると思つております。それから先ほどの漁場に定着する工作物でございますが、ただいまの川村委員の御説明で陸上の定着物もこれに含まれておるということでありますが、私はそういうことはないと思つております。なぜかと申しますと、その場合には必ず抵当権は二つになつておるわけです。これは二物一権主義ということはあり得ませんで、必ず漁業権の抵当権、陸上の抵当権は二つにわかれておるはずだと思つております。つまり抵当権は一つではなくて二つある。これは抵当権の効力の問題でもございますが、そのように了解しておるのでございます。
  41. 川村善八郎

    川村委員 あとの議論は長官が権威者でございますから、長官と私と二人で議論することにいたします。  次に第三十五條、六條でありますが、一定の漁期以上にわたつて休業するときはこれはあらかじめ都道縣知事に描け出なければならない。そうするとそれにかわつて、第三十六條ては、行使する入がかわつて來るのてあります。休業をするというときには動機が幾多ありましようけれども、つまり今度の法から言うと五箇年である。二年やつてあと三年休業をするのだという場合に、今度のつまり五年後においてまた前者が経営をしたいという場合に出願をするということになりましようが、しかも前者はりつぱな体驗者である。またすべてのものが備わつておるという場合に前者を認めるか後者を認めるかという場合に、あなた方は御見解をどうおとりなさるかお答えを願います。
  42. 久宗高

    久宗説明員 先ほどとも関連した御質問と思うのでありますが、そういう場合の判断につきまして、今の例てまたいろいろ確定していない他の要素があるわけであります。それだけのことで判断するのではなくてもつとほか、の要素もみんな入つて参りますので、これはやはり具体的な事件について各、委員会で判断していただくよりほかはないと思うのであります。
  43. 川村善八郎

    川村委員 それでは次に第三十七條に一免許を受けた日から一年間、又は引き続き二年間休業したときは、都道縣知事は、その漁業権を取り消すことができる」。これは大体現行法にもあるようでありますが、今まで取消した例は私は聞いたことがありません。またまたこの新法に盛られておるこの條文になりやしないかということを考えるのでありますが、この点において、今後ほんとうにこれを取消すという所存でもちろん立案されたことと思いますが、つまり現行法にもあり、ここの法案にもあるとするならば、せんだつて問題になりましたいわゆる二年以上休業している者は、たくさんあるのだということを認めておりながら、最高の監督官廰たる水参廰で、なぜ一体今日まで取消しの手続をとらせなかつたかということに疑問を持つものであります。從つてそれがために今度新免許を受けるところの漁業者は負担が重くなるということは何人も考えられるのでありますが、それに対して久宗課長は重くなるとは考えられないという、私らにすればまつたく解せない御答弁があつたようでありますが、新法案にこうして盛られた以上は、これからでも遅くないから、二年以上休業しておるものはどんどん取消しをしてもらいたいという考えを持つておりますが、この点について特に長官の御答弁を願いたいのであります。
  44. 飯山太平

    ○飯山説明員 ただいま川村委員の御質問で、從來二年以上休業しておるにもかかわらず、水産廰として取消しを怠つておるという事実を指摘されたのであります。御承知のようにこれまでの漁業権は更新によつて、大体從來の者が引続きこれを所有するというようなことになつていたのてあります。從つて、たとえば期間を更新されたというような場合に、長い問この漁場経営して來たというような者が他にあるとするならば、何らかの漁況の関係その他経済事情によつて二年間休業のやむを得ないというような事情があつた場合、ただちにこれを取消すということは、実際の経営君に対して必ずしも妥当な処置ではないじやないかと私ども考えるのでおります。それが今日まで全部だつたかどうかということはここではつきり申し上げられませんが、おそらく從來は使用者が更新して継続して行けるというところに根拠があつたのじやないか。しかし今度の新法では、特に從來のように更新を認めない、こういう根本的な違いがあるのであります。從つてこれからでも遅くないからこれを嚴格に励行せよというような御意見てあります。これはごもつともな御意見でありますが、しかしこの場合においても、五年の免許を受けておつて、その経済事情あるいは漁況というようなことによつて、かりにどなたが経営してもおそらく成立たないというような條件の場合には、これはやむを得ないのじやないか。從つてこれをただちに、事情のいかんにかかわらず、二年休んだ場合には必ず取消すということはかえつて川村さんが先ほどからいろいろ言われているような、実態に即さない点が出て來るのじやたいか、かように私は考えるのであります。從つて何らそこに正当な理由がなくして、二年をいたずらに休業するというような場合については、これ、は御意見通り嚴格にそれを取消すべきものである、かような見解を持つております。     〔鈴木委員長代理退席、委員長著席〕
  45. 川村善八郎

    川村委員 ただいまの長官の御答弁では不満足でありますが、ただ要望いたしますことは、もちろん休業しているのは事情があることは承知しております。ただ免許を受けてから一回も経営していない漁場北海道にずいぶんあるはずであります。それから戰前まで経営しておつたが、戰争のいろいろな悪條件と戰事後の経済状態に支配されて、やむなく休業しているものもあります。條件はおのずからかわつておりますが、戰争前から、自由にやり得た時代からでもやらないという漁業権北海道にたくさんあります。これはひとり北海道だけではないと思いますが、そうしたものに対しては、私は、ぜひ取消してもらつて、今後この法案が通りましたあかつきにおいて、漁民の負担を軽くしていただくように御努力願われんことを、この席で要望しておきます。  次は第三十八條の問題でありますが「漁業免許を受けた後に漁業権者が第十四條に規定する適格性を有する者でなくなつたときは、都道縣知事は、漁業権を取り消さなければならない。」この場合、私だけの例を引いて申し上げますと、大体われわれが議会人として出ております以上、半年も自分の土地を明けなければならぬ。いわゆる漁場の監督がで記さない、そこでそれにかわつて、それぞれ支配人のやつている人もありましよう、あるいはせがれがやつている場合もあるでありませう。こうした場合に、もし支配人なり自分のせがれなりが十分な適格性がない。あつたとしても他の者より落ちるというような場合があつたときには、これはどういう処置をされるものか。御説明を願いたいのであります。
  46. 松元威雄

    松元説明員 ただいまの問題は、これは優先順位ではなくなつて適格性であります。適格性の問題は悪質違反云云、そういうことを問題にいたしますので、そういう事情がなかつたら、ないわけでございますが、單に他の者が、やつたから適格性がないということではないのてあります。
  47. 町村敬貴

    ○町村委員 第三十八條の第三項に「漁業権者以外のものが実質上当該漁業権の内容たる漁業経営を支配しており、」云云とある。ここを指して聞いておる。支配人などを置いた場合にどうなるか、その人が適格性が薄いという場合にはどうなるか。
  48. 松元威雄

    松元説明員 ただいまの私の答弁、若干ポイントをはずしておつたようてありますから、もう一度御説明申し上げますと、この場合は、支配人というのは経営主体ではありません。経営いたします場合には、支配人、番頭、手代、こういうものは当然必要でありまして、そういうものではなくて、川村さんとは別の経営主体の人が共同経世の形で入つて來た場合に、悪かつたという場合を指しているのであります。具体的なただいまのような場合は該当いたさないと思つております。
  49. 川村善八郎

    川村委員 これで私の質問は終りました。
  50. 砂間一良

    ○砂間委員 いろいろ質問したいことがありますが、先ほど來委員長関連質問を許しませんので、若干重復する点もあるとし思ていまするが、やむを得ないので、お聞きしたいと思います。  まず第一は第六條の共同漁業権の点についてでありますが、この点につきましては、先ほど來いろいろ質問や答弁がありまして、ほぼわかつたのでありますが、共同漁業権の第三号によりますと、先ほど松元説明員説明によりましても、たとい浮魚であつても、自分の地先で待ちかまえでとるような、そういう魚は共同漁業権内容として行くというふうなお話でありました。そこで私は、この具体的な事例として、一つ実例をあげてお尋ねしたいと思うのですが、たとえば静岡縣の田方郡の対嶋村の富戸という所一かありますが、あそこでいかがとれる。これは四百何十戸の漁民が一本づりをやつておりますが、昔から魚付林やいろいろ魚類の繁殖、保護に対する施設なんかもやりまして、あそこは非常に陸の方までいかが寄つて來る。それを一年中一本づりをやつておるのでありますが、こういうふうないかに対しましては、たとい回遊性の魚族でありましても、これを共同魚業権の内容として認められるかどうかという点について、一つの事実例でありますが、御所見を承りたい、こう思うわけであります。
  51. 久宗高

    久宗説明員 今具体的な例で御質問なので、これについて決定的な御返答をいたしますことは、もう少しこれのこまかい條件をお聞きしてみなければならないと思うのでありますが、一般的に申しますと、そういうような場合に、確かにこれは共同漁業権の中には漁法としては入つて來ないわけであります。しかしながら問題は、そのいかによつて生活している方々が、内容的に見れば非常に限つてよろしい、また限らなければ生活ができないというような場合につきましては、これは共同漁業権としては処置できませんが、委員会において、それこそ漁場行使方法の指示として、その関係漁民の方方の生活を擁護できるような指示をすべきだと思うのであります。その際に田方のすぐそばに実はもう少しこれに参加させてもよいというような同じような方々があるかもしれません。これは具体的な例でないかもしれませんが、かりの例として、そういうような場合に、今までやつていた方々たけでなく、その範囲を逆に廣げるという場合もありましようし、あるいは今まで貴重な資源であるにかかわらず、乱雑に入漁しておつたというような場合に、ある程度入漁を制限するというような場合も起つて來ると思いま。これは委員会が判断すべきでありまして、共同漁業権としては、今の漁法からすれば入らないのでありますが、御趣旨はそういうふうにして徹底できると思うのであります。
  52. 砂間一良

    ○砂間委員 対嶋村のいかの問題につきましてはいろいろありますけれども、あまりこまかい具体的なことになりますから、省略いたします。  次に第十一條関係地区及び第十四條の第二項の地元地区の点でありますが、これも先ほど來いろいろ問題が出まして、一般的な説明はわかりました。関連質問をしたがつたのでありますが、委員長が許しませんでしたので、やむを得ず質問するわけでありますが、たとえば静岡縣の賀茂郡の濱崎村という所でありますが、ここで天草がとれるのであります。ところがこの天草をとりに行くあま、これは外浦という所の人たちが大部分数十年來行つてつておるのです。ところがその外浦は、濱崎村に属しましても、ずつと山の方にあつて、ほかに畑も田も少いものですから、ほとんど一年中そこえ行つて天草をとつて、それを業としている。ところがその海に面した部落は、ここは田も畑もあるものですから、自分のところで天草の権利だけを持つておりまして、あまの人たちにとらして、その権利金をとつておるのですが、生活は百姓をやつたり何かしておる。ところが今度漁業法がかわるというので、そこの海に面した人だけが協同組合をつくりまして、そうして外浦の人は、お前らは山の方だから、漁師でも地元地区でも何でもないからと言つて除外してしまつて、なれもしない天草を自分たちでとる。あるいは外から人を撰んで來てとるというようなことを考えておるのでありますが、これは第十四條の第二項の「自然的及び社会経済的條件」の社会経済的條件という点から考慮すれば、当然一つ協同組合をつくらせるか、あるいはこの外浦の人たもにもこの、大草について採取できるようなふうに措置を講じなければならぬと私どもは考えるわけですが、これもやはり委員会の判定にまかせられるべきことかどうか。これに似たようなことは各地にもありまして、三重縣の北牟婁郡の長島へ行きますと、長島町がそこの定置漁業権を持つておる。ところが定置に行つて実際に働いているところの水夫は山本という全然別の部落の人たちが來てそうして数十來そこの水夫をやつていた。またいろいろ熟練の経驗を持つているわけです。ところがやはり賀茂郡の場合と同じで、今度長島の人たち協同組合をつくりまして、二年後になれば定置漁業権はおれたちのものになるからというので、なれもしない長島の人たちが網を張つていて、そうして山本の部落の人たちは数十年來の経驗があるにもかかわらず、これを締め出して、それでその定置に参加させないというふうな事例がありまして、こうい事例は、今後現実の問題として方方にたくさん起つて來ると思いますが、こういう問題を考えましたときに、地元区とか、あるいは関係地区とかいうことが、言葉の上の説明では一應わかるようでおりましても、実際の運用の面について相当紛糾が起るのではないか。これについて、海区調整委員会に何もかもまかせればいいのだと言いましても、漁区調整委員会が神様みたいなほんとうに公平な人、正義の人が出て來てもらえば、悪い問題もうまく解決できると思うのですが、なかなか解決できるいろいろな関係がありして、中には運動したり、何かしまして、うまく行かない場合が出て來ると思うのでありますが、こういうような点について、法文解釈をもう少し具体的にきめておく必要があるのではないかというふうな点で具体的な事例をあげて見解をお尋ねするわけであります。
  53. 久宗高

    久宗説明員 今二つの具体的な事例につきまして、地元地区ないし関係地区の問題が出たわけでありますが、その場合にはこうだということを申し上げるのには、私の方といたしましても、もつと詳細に具体的な他の條件も考慮してお答えしないと、不測の誤解を生じてもいけないと思いますので、そのお答えは差控えさしていただきたいと思います。ただ根本的な考え方といたしまして、関係地区地元地区というものの考え方については、特に地理的な條件を大きく考えるべきことは当然であろうと思いますが、それだけではないという意味で、社会的経済的な條件を加えたわけでありまして、この場合の一般的な考え方としては、私は廣く解釈すべきだと思うのであります。これを非常に狭く解釈した場合よりも、むしろ廣く解釈すべきが当然であろうというふうに考えております。よく起る争いは、本來持つべきでないと申しますか、ほんとうは実際には漁をあまりしていないような所が、たまたま地元地区あるいは関係地区を地理的に解釈して、今度は自分たちの方に來てしまうのだというふうに考えておる場合が、実際問題として非常に多いと思うのであります。ここで考えておりますのはそういうようなことではなくてもう少し廣く考えて行く。たとえば今の從業者の関係一つたようなものも、それがやはり生活的には非常に依存するわけでありまして、綱の大きさその他にもよりますが、そういうようなことを考えますと、これは全般的に見て廣く解釈すべきだと思うのであります。ただその場合に共同漁業権というようなことになりますと、個々の漁民組合内部規定によつてほとんど全部操業いたしますので、相当これは問題になるわけであります。そこで関係地区につきましては、委員会意見を聞いて、都道縣知事がきめる。つまりあらかじめきめなければならないことの中ではつきり言つておるわけであります。共同漁業権については、知事が最後の主任を持つてどこかに線を引かなければならぬことにしておるわけであります。これはいろいろ不測の問題から、多数の漁民に対して混乱を生じさせたくないというので、特にこれを法律上は都道縣知事事前規定しなければならないというふうにいたしたわけであります。もちろん委員会意見を開いてでございますが、そういう措置をとつております。
  54. 砂間一良

    ○砂間委員 それから第十四條の一号、二号、三号の問題でありますが、これも先ほど來いろいろ問題になつたことであります。この漁業に関する法令の悪質な違反、労働に関する法令の悪質な違反、ここのところを明らかにするというのでありますが、この判断がなかなかむずかしい。これ委員会の判断にまかせるということでありますが、労働に関する法令の悪質な違反などにつきまして、先ほど松元説明員の方から一、二の具体的な例をあげて説明があつたのでありますが、少し抽象的過ぎると思うので、もう少し具体的にこれを指定する必要があるのではないか。あらゆる場合を列挙することは、立法技術上の点から行きまして困難があると思うのですが、これだけではあまり漠然として、何もかも調整委員会にまかせると一言いましても、この法の終りに規定されておるような選挙のやり方で調整委員を選挙して行つたら、必ずその地方のボスや反動的な資本的な連中が出て來るにきまつておると思うのであります。そうすれば事実労働に関する悪質な違反であつても、悪質でないと解釈するおそれが非常に多い。たとえば昨年清水で金六丸というきんちやくの争議があつたのでありますが、労働組合をつくつたということだけでそれを弾圧してつぶして、漁夫六百八十何名を解雇して労働を失わせたという事例があるのです。これは何も最低賃金とか歩合制度、最低保障をきめなかつたという点だけではありません、漁業労働者が労働組合をつくることは労働法の精神から言つてあたりまえのことですが、こういうようなものまで阻害しぶつつぶすということは、これは一介の事例であつても労働違反であると思う。しかし静岡縣の縣水産業会や今度選挙によつて出てくるであろう調整委員は、あれは何でもないと言つて通すことは明かだと思うのです。この点につきまして関係筋の方からも、入江法制局長を通じて五月十二日の委員会におきましていろいろ注意があつたので、もう少し具体的に規定を充実する必要がある。それでなかつたならば、ただ委員会の判断にまかせると言いましても、委員会の判断だけでは不十分である。法の上に列挙することができなければ、後に法を解釈する場合の参考にするために、一、二、三項について具体的事例をあげてこういう場合は悪質なりということをはつきり記録に止めていただきたいと思います。
  55. 久宗高

    久宗説明員 ただいま一、二、三項についての具体的なものをというお話でございますが、これはもちろん基準があるわけであります。しかしそれは社会的にきまつてぐると申し上げるよりほかに方法がないわけであります。と申しますのは、再三御説明しておりますように、漁業に関する法令の悪質な違反ということにつきまして、これを法務廳その他と打合せました際も、何年の刑に処せられたというふうに明確に規定すべきだということであつたのでありますが、それをいたしました場合にはむしろ実質的には不公平になるということが考えられるのであります。形式的に言えば、そういうふうに何年の刑に処せられた、あるいは何條に違反してどうこうというところまで書くべきがほんとうでありますが、それはかえつて漁民にとつて不当な行為になるではないかということから、それを避けたのであります。ただ悪質な違反の問題につきましては、漁民自身にとつて一つの通念としてあるわけでありましてこれを委員会において判断します場合にも、そのときにおいて悪質であるかどうかという一つの祉会的常識があると思うのであります。それに訴えて行きたいという考え方を持つているわけであります。
  56. 砂間一良

    ○砂間委員 今の点にりきまして当局の方の考えがそうであればやむを得ません。あと意見があるので申し上げます。  次は第十六條の八項の北海道除外の規定についてであります。この点につきましては、五月十二日の委員会において、入江法制局長を通じて北海道を除外する理由がないとその筋の意向が述べられ、それに対して川村委員からもいろいろ質問があつたのです。その川村委員質問に対しましても、入江法制局長は五つの理由をあげて反駁しておるわけであります。実は私北海道の事情に暗いので、北海道を除外する理由について詳細なる御事説明を願いたいと思います。
  57. 久宗高

    久宗説明員 北海道に特例を設けましたことにつきまして、いろいろ問題があるわけでございますが、私どもといたしましては、これを次のように考えておるわけであります。関係方面の御意見というものも別に出ておりますが、私どもがこれを考えましたのは、まず第一に、主として北海道漁業の重要な問題であります定置漁業の場合を考えてみます場合に、そこの労働者が大半が内地からの出かせぎ労働であることなのであります。これはもちろんそういうような出かせぎ労働の問題は内地においてもございますが、非常にこの質が違うくらい大きな部分が依存しておるわけであります。これは北海道のああいう特殊な産業と人口構成から出て來たものだと思うのであります。その際に、これをむりやりに共同経営体ということをとることがいいかどうかという点をわれわれとしては考えたわけであります。つまり生産組合というものを考えました場合に、これは一番純粋な形は個々の小さな小生産者が、その小経営の不合理性を打開するために、あくまでも共同経営体をつくつて行く形が一番普通の形だと思うのであります。内地におきましては、それほどではないのでありますが、北海道におきましては、むしろ非常に資本的にこれが相当発達したわけであります。それでそこにおきます労働者と経営者の関係を見ますと、まつたく段違いでありまして、それを一つの共同経営体というふうにまとめあげること自体が、むしろ労働保護にならないのではないかというふうに考えたわけであります。つまり共同経営体ということによつて現在法律で要求されておりますような、労働保護という点にもむしろ実質的に欠けるという点を考えまして、北海道の実情から見れば、むしろ資本的な経営でやつている場合が相当ある。その場合に現在の法規によつて認められておりますように、経営者はその義務を負い、また労務者の方も労働法規によつて規定されたような保護を得る方がむしろ妥当であろうという考え方から、これを特に共同経営体というふうにまとめあげない方が適当であろうと考えたわけであります。またその際に、こういうふうに生産組合というものは、一應法規の上ではごく少人数で出來て來る関係もありまして、これをいわゆる封建的な商人とか、その他あるいは流通部面の資本がそちらに出て参りまして、ほんとう漁民でないものを組織化してそして漁民権利をとつてしまうというようなきらいもあるわけであります。こういうようなことにつきましては、もちろん法律の中でそれをチエツクする規定は設けておりますけれども、実際問題としてそれの適用が非常にしにくいという北海道現実の状態から考えまして、私どもといたしましては、生産組合の、優先規定を設けた場合の弊害の方を一應強く考えてみたわけであります。ただ問題は、それでは生産組合は絶対につくつてはならないのかというと、そうではないのでありまして、ほんとう地元漁民が共同経営体でこれを持つて行こうという場合には、当然つくつていいのであります。ただその場合に特に優先という規定を設けなかつたのは、優先規定を設けることによつて、むしろそうでない、つまり移勤労務者を主体としていろいろな曲げられた形に生産組合が持つて行かれるという心配の方を恐れまして、ここに例外規定を設けたわけであります。
  58. 砂間一良

    ○砂間委員 今の答弁はちよつと納得しないのですが、私は北海道の実態を知らないためかもしれませんが、移勤労務者といえども、秋田や山形あたりから出ておる出かせぎの人々であつても、その漁期に現実にそこでにしんなり、さけなり、ますなりの漁業に從事する者は、その労務者なんですから、その労務者が加わつた生産組合が、内地と違つて除外されるということは、労働保護という点から言つてあべこべになるような氣がしてしようがないのですが、これは実は私北海道の実態を知らないものですから、あべこべであつたならば深く追求しません。それはそれでおきます。  その次に第十九條についてでありますが、十九條の眞珠の問題であります。眞珠の問題につきましては、これは実は七月一日に三重縣の津におきまして漁業権についての現地懇談会をやつたときにも、二つの意見が出ておりました。これは協同組合に優先して與えてくれという意見と、もう一つは資力のある個人と申しますか、それに與えて欲しいという意見が出ておりまして、それが陳情や懇願の形でもいろいろの文章となつて、たくさん皆さんのお手元にも來ておると思いますが、私はこの眞珠の問題にしましても、三重縣の方も約十日間、全國あつちこつちぐるぐるまわつて見て來たのでありますが、眞珠の問題につきましても、特にこういうふうな経驗を非常に強調したりして、そつちに重点を置くという理由は、何ら発見することができない。ことに海面の総合的利用という点からいたしまして、この眞珠の採取がそつちの方に権利を與えてしまいますと、つり籠をずつと水面に張つてしまつて、そうすれば下の方に日光が通らないために、下の母貝の育成だとか、繁殖、あるいは採取というようなことにも非常に重大な関係を持つて來る。よく業者の方々は経驗がどうとか、あるいは輸出のあれでどうとか、あるいは加工がどうとか、いろいろな理由をあげておりますけれども、それらの経驗というものは、御木本さんが最初始めたころと違いまして今では相当一般化しておる。從つて何もそれを独占排他的に個人に與える理由は何らないと思うのであります。眞珠の養殖の場合におきましても、これを協同組合に優先的に與えて、協同組合に管理させて行くという行き方で最も合理的に解決できるし、また本法の精神であるところの漁村の民主化だとかあるいは漁業生産労の発展という点にも合致するところだと思います。それを眞珠の問題に限つて十一九條で特例を設けて、こういうふうな優先順位をきめておくという点は、第一條にうたつてある漁村の民主化ということからしましても、非常にそぐわないように思うのです。この点について眞珠を特に優先順位をこういう規定に置いた点についての積極的な理由を納得の行くように御説明願いたいと思います。
  59. 久宗高

    久宗説明員 第十九條で眞珠の養殖業についてなぜ漁民の團体優先を設けないのかという御質問であろうと思うのであります。この眞珠養殖業と申しますのは、これは眞珠貝の養殖業ではないのであつて、「眞珠」そのもものの養殖業を言つておるのであります。從つてわれわれとしましてご承知通り、今のお話にもありましたように、眞珠関係漁民のことを考えてみますと、結局母貝そのものは零細な漁民がしつかり持つべきではないかというふうに考えております。母貝そのものはそれこそ漁民が團体的に規正するのが一番適当である、そうしてただ眞珠そのものの商品としての性格を考えてみました場合、このような國際性を持つた商品であつて、そういうような非常に價格の変動、その他の影響を受けやすい商品を、直接零細漁民の生活と結びつけるということは、非常に危險があるのではないかという点を考えたわけであります。もちろん技術的に見まして、眞珠をつくるのに、技術はもう一般化していてそんなに重要な要素じやないというような意見もいろいろあると思うのでありますが、漁民の立場でこれを考えました場合、一番大事なのは、そこの区画漁業権にとりかわつた場合の、その下すなわち海底の使用関係をどうするかという問題だと思うのであります。母貝の問題もございましようし、他のいろいろ底を使かわなければならない漁業があるわけでございます。結局突き詰めて言えば、その底をすつかり使いたい、これが漁民ほんとうの御意見だろうと思うのであります。そこでむしろそういう問題だと考えますので、眞珠そのものをつくる所を自営しなければ持てないという形で、そういう意味の商品としてのいろいろな危險性のあるところまで追い込むよりは、むしろ私としましては、母貝並びに海底の使用権というものをしつかり持つて、そしてその最後の段階というものはそういう危險性にたえ得る資力、また商品としてのいろいろな特殊性、販賣綱、商標といつたような相当問題になる点について考えまして、そこを二つにわけて考えるべきじやないか。その方がほんとう意味漁業業の民主化になるのじやないか、こういうふうに考えるわけであります。また区画漁場のつくり方そのものを、漁業計画の際に、他の零細漁業を阻害しないように十分考慮して、その漁場計画のときにそれをつくつて行くべきじやないか、そういうふうに考えるわけです。
  60. 石原圓吉

    石原委員長 ちよつとその場合、私久宗君の説明に対してただしておきたいことがあります。眞珠養殖業を区画漁業として、養殖業者に與える。そうしてこの漁業者團体、漁業協同組合等には與えないという場合には、母貝の價格を維持するということについて何か構想がありますか。その点お考えがあつたらこの際説明を願つておきます。
  61. 久宗高

    久宗説明員 一貫した一つのものでありますから、最後の商品である、たとえば首飾りからずつと價格が波及して來るということはやむを得なしと思うのです。ただ問題は、それをどこでプールするかということでありまして、それが眞珠の養殖業という形で、直接的に零細な漁民がその危險負担を全面的にかぶるということではなしに、二つの形態にわかれた方がいいのではないか。そこに輸出業者とか加工業者とか、相当に負担能力のある方もあるし、その商品の組合せ方によつて眞珠そのものの價値維持という方法がいろいろあると思うです。そこ問題は眞珠の販賣過程、輸出をどういうふうにして行くかという機構の問題であると思うのです。それは零細漁民にそのところまで直接的に響かないようにするということの方が、むしろ大事ではないか。これはもちろん眞珠の價、格維持という点につきましては、これをいかにどういう機構で輸出して行くかということが別途に考えられなければならないと思うのですが、漁業権の問題といたしましては、零細漁民は母貝を完全に掌握して、價格変動の波及をそこで喰止める。むりに養殖部面まで自覺して、危險負担を直接的に結びつけない方が適当であろう、こう考えたのてあります。
  62. 石原圓吉

    石原委員長 ちよつと私の質問と的が違つておるようであります。私は眞珠養殖を漁業協同組合の手を離してやらす場合に、この母貝を生産する側が打撃を受けない方法について適当な案があるか、たとえば今年一應貝を入札した。その入札を落札者が取消して受取らなかつた。そうしてその次には相当安い價格できめられた、こういうことが今年現実にあるのですが、今後養殖をする権利はいわゆる養殖業者にある。貝を生産する漁業者は養殖に賣る以外に道はない。そうした場合には区画漁業を営む養殖をする人々の手段によつては貝が暴落する。安く買收されるということが起り得る傾向にあるのでありますが、それを防止するという点について、立案者は何か考えがあるか、こういう点なのであります。
  63. 久宗高

    久宗説明員 これは特殊な商品の問題でありますので、價格の形成に他の意思が入つて來るということは、現在のところは、現在のところやむを得ないと思うのであります。ただ機構として考えました場合には、これは漁民の側から申しますと、これを文字通り販賣部面の協同といたしまして、協同組合を通じて販賣して行くという以外に、機構としては方法はないと思うのであります。ただ問題は、輸出の段階まで含めて價格政策を如何にするかという問題と思うのであります。
  64. 砂間一良

    ○砂間委員 今の久宗課長の説明はちよつとおかしいと思うのです。漁業権の対象となるのは、そういう眞珠を養殖したりとつて來ることの方が対象になるのであつて、それを首飾りにしようが、磨きをどんなにかけようが、イギリスに輸出しようが、パリーに輸出しようが、それは今御木本さんなんか一貫した作業でやつておるかもしれませんが、しかし漁業権を問題とする場合はうそこまでタッチしなくてもよいので、かつおなんかとつて來て、それを、油に入れて罐詰にして、イギリスに賣ろうが、スイスに賣ろうが、それはいろいろ貿易業者がやることでしようが、それを一貫してやつている業者もありましようが、そこまで心配して、これはイギリスに出すまぐろの罐詰だから何の業者にやらせなければ危險負担が漁民に行くということまで考える必要はない。私どもが漁業という立場、漁業の本質をなす漁業権という点から考えるならば、眞珠の養殖にしても――それは母貝のことも、下の魚だとか下の漁業ということも関連して來ますが、これはやはり一貫して漁民にその管理権を與えるという思想が貫かれなければならないと思つておる。それがこの法案の精神だと思う。從つてそれをやらしたからといつて、何も危險負担が零細漁民にまで來るという心配は少しもない。何か眞珠が特殊な國際商品であつて、貿易がどうとかこうとかということを理由にして、團体に優先して與えない。そうして個人に與えて、独占排他的にやらせて行くということは、あべこべの結果となると思う。たとえば母貝の價格の点につきましても、今石原委員長が言わたような実例が現に生じておる。それは買いたたかれるにきまつておる。あの大きな御木本さんや何かのああいう独占的な企業が非常に大きな資本の力をもつてつておるのです。ですから、それを排除して漁民全体に、利益を均霑せさ、生活を向上させるという点からすれば、十九條の、こういうふうな眞珠の問題についてだけ特例を設けるという点は、少し私は当らないと思う。この点、漁業法の第一條の精神から行きましても、非常に矛盾を感ずるわけであります。
  65. 久宗高

    久宗説明員 今のお話、また委員長から御質問に対する御答でもあるわけでありますが、たまたま價格の問題が出まして、それが非常に買いたたかれた、こういうような事実が出て來るのは、結局母貝を漁民が持つていない場合に起る問題だと思うのであります。つまり母貝を漁民がはつきり掌握してないために起る問題だとわれわれは考えるわけです。從つて一番最後の線で價格を維持するという問題も、一番最初の母貝を漁民がしつかり持つということが一番大事であろうと考えるわけなのであります。
  66. 石原圓吉

    石原委員長 母貝は確実に漁業者が確保しております。母貝を何人が漁業会以外に持つておりますか。そういう認識不足のことを基礎にしたらたいへんです。母貝を漁業会以外の何人が確保しておりますか。
  67. 久宗高

    久宗説明員 現実の問題としては母貝を漁民が一部は握つてない場合があるのであります。そのためにこういう問題が起り得るのではないかと私は考えるわけであります。
  68. 石原圓吉

    石原委員長 絶対にそういうことはありません。ただ養殖のつり籠の一部に派生的に生れるくらいのものは漁業協同組合以外にあるけれども、全体としての養殖に要する母貝なるものは、九九%まで漁業協同組合の、確保しているところであります。
  69. 砂間一良

    ○砂間委員 母貝のことだけ漁民関連して考えて、養殖の事業を全然切離して考えているのはおかしいと思う。あなた方は一遍三重へ行つてよく見て來てもらいたいと思うのです。あと意見になりますからこのくらいで打切りますが、とにかくこれはおかしいと思います。
  70. 石原圓吉

    石原委員長 それでは午前はこれは止めます。午後は一半から開きます。     午後零時三十三分休憩      ――――◇―――――     午後一時四十八分開議
  71. 石原圓吉

    石原委員長 午前に引続き会議を開きます。
  72. 小松勇次

    ○小松委員 数項にわたつてお尋ねをいたしたいと存じます。前質問者となるべく重複をしないように努めまするが、ふに落ちない点は、重ねてお尋ねすることをお許し願います。  第六條におきまして三の定置漁業定義を私はいま少しはつきりとしたらどうかと思うのであります。この第三項には「「定置漁業」とは、漁具を定置して営む漁業であつて左に掲げるもの」としてありまするが、およそ定置漁業は、先ほど來もお話のございましたごとく、漁具を定置して営む漁業定置漁業とということにした方がはつきりすると存じます。さような意味よりいたしまして、この第二種共同漁業、いわゆる水深十五メーター未満のもの、こういうものは当然私は定置漁業の部類に入れるべきではなかろうかと思うのであります。これを定置漁業に入れずにして、かように共同漁業の部類に属しておくということは、かえつていろいろな地方的に混乱が起るものをつくるのではないか、かように考えますので、この点を重ねてお伺いしたいのであります。  それから定置漁業にはおよそ魚の誘導のために、その他また綱が浮動性であるために、多少の保護区域というものを設けることが至当だと准じますが、この法規には定置漁業の周囲に対する保護区域というような規定條項はさらに見当らないのでありまするが、そういう点について何か別途にお考えがあるのかどうか、この点。  それからこの区画漁業においても、共同漁業においても、ほとんど一区画漁業において申せば、一種二種のごときはほとんど同様の種類のものと私は思うのであります。ただ一定の区域内に石や、かわら、竹を施設するものと、その施設の中で営むものの二つにわけてあるだけで、こういうぐあいにわざわざ同一の種類のものをこういうふうにわけるという必要がどこにあるか。いかにも煩雑ではないか、かように考えますので、この点をお伺いしたいのであります。
  73. 久宗高

    久宗説明員 第一の御質問であります定置漁業の問題でございますが、これは先ほどの川村、委員の御質問に対しましてお答えいたしました中に申し述べたのでございますが、御質問共同漁業権の中に実際には定置と同じようなものが含まれていて、それではかえつて混雑になるのではないか、こういう御質問であろうと思うのであります。これにつきましては、十五メートル以浅のものについては、むしろ海況の実情に應じまして機宜の措置がとれた方が、他の漁業との調整のためにもよろしい。それから小定置のためのいろいろな資材その他ついて、合理的な経営という点からもその方がいいのではないか、すなわち組合内部規則によりまして行使した方が、実際の生産面から見ても適当であろう、こう考え共同漁業権の中に組入れたわけでございます。  第二の点、つまり保護区域についての問題でございますが、これは從來のように個々の申請に基いて無計画漁場がつくられます場合には、非常に意味があつたと思うのでありますが、今度のように計画的に漁場の設定をいたします場合には意味が比較的薄くなるであろうと思うのであります。しかしながら依然として、綱の前方における問題、その他の問題がございますので、これにつきましては根本的には漁場計画作成の際の考慮、その後は委員会の指示ということで行くのが、最も各網の実情に適すると思うのでございます。ただ一般的には府縣の取締り規則の中で、保護区域について一般的な規定をしておるのが通常でございますので、それができるような場合には、府縣の締り規則の中で、保護区域を設けるということもかまわないと思うのであります。ただこれは実際問題といたしまして、むしろ各綱の状況に應じられないという意味で、委員会の指示に待つた方が適当であろうというふうに考えておるのでございます。  それから第三の区画漁業種類の問題でございますが、これは一應法律の概念といたしましてやはり違うのでございまして、その内容につきましても、從前の、つまり現行法におきましては、これの種類をこまかく限定しておりますが、それをごらんになつていただいても、一種と二種の内容というものは非常に業態も違うわけであります。從いまして、こういうような区分につきましては、これを踏襲いたしたのでございます。
  74. 小松勇次

    ○小松委員 いろいろ種別の問題については議論にわたりますから避けまするが、この保護区域は私はぜひ必要なものだと思うのであります。委員会の指定にまつという行き方は、なるほど民主的な行き方かもしれませんが、せつかくこういうような嚴密な法案をつくる以上は、当然委員会としてその措置がとれるような方策、方法を法案に明記すべきではなかろうかと思うのであります。過去のいろいろの経驗から見ましても、先の網、あるいはあとの綱等にも、いろいろの距離関係、あるいは沖出し関係等から紛争が絶えなかつたのであります。そういう経驗に徴しましても、この保護区域というものは、ある程度重視すべきであろうと私は考える。これは結局保護区域を含めたものが漁場の位置というような意味において、その必要を私は感ずるのであります。  それから第八條でありますが、第八條のしまいの方に、「魚類養殖業又は第三種区画漁業たる貝類養殖業を内容とするものに限る。」それからまた「入漁権範囲内において各自漁業を営む権利を有する。」この入漁権範囲内において各自が漁業を営める。そうしてもちろん共同漁業権を持ち、区画漁業権を持つておる組合員は当然できるのでありますが、区画漁業権共同漁業権を持つておる協同組合員、それから入漁権を設定したものはできるということに、ここに権利を有するとしてある以上は、その地区においても協同組合でない者は漁業を営む権利を有しないということに反面解されるのでありますが、さように解してよろしいか、そうしてその権利を有せざる者が、この漁業を営んだ場合には、これを罰する法文がなくてはならないが、これを罰するのは罰則の百三十八條ですか、これを適用してよろしいのか、この点をお伺いいたします。
  75. 松元威雄

    松元説明員 御説の通り協同組合組合員でない者は、当然にはその内容の業を営むことはできません。從つて一般的に申しますと、もし営んだ場合には、これは漁業権侵害になると思います。百三十八條定置または区画に関するものでありまして、共同漁業権とは違つております。從つてこれは漁業権の侵害ということになりまして、不法行為になりますから、損害賠償の請求権がある。それから物件的請求権で、お前は出ていつてくれという請求もできる。なおかつ第百四十三條によりまして罰則も課せられておるというふうになつております。  なおこれに関連して申し上げますが、このように協同組合組合員でない者は、当然には共同漁業権等の内容たる海業を営むことはできないのでありますが、これは協同組合が三分の二以上であれば、共同漁業権等を持てるわけでありますし、なおまた協同組合は自由加入である。そうしますと協同組合に入らないと共同漁業権内容たる業は営み得ない、こうなりますので、この点を調整いたしまして、必要があつた調整委員会組合員以外の者であつても、ある程出その漁業をや、れるようにいたしましたのが、第十四條の第八項の措置であります。しかしこれは委員会が指示をいたしますれば、その反射的な効力といたしまして、ある程度、その漁業をやれるわけでありますが、当然の権利としてはやれないわけであります。
  76. 小松勇次

    ○小松委員 第十一條についてであります。先ほども関係地区ということについてのお尋ねがあつたのでありますが、関係地区とは地元地区と同一の意味のようなお答えがあつたが、ここにあります関係地区とは共同漁業を営むところのその漁場の区域を言うのか。この点をいま少しはつきりお伺いしておきたいと思うのであります。
  77. 久宗高

    久宗説明員 この関係地区と申しますのは、漁場、つまり海の上の問題ではないのでありまして、背後地、つまり漁場をこうだときめますと、それと対應して関係地区はこうだというふうに、陸の方の区域となるわけでございます。場またそれを特に関係地区言葉をかえておりますのは、この関係地区の中に住所を有する漁民何人といつたようなことが、免許をあたえる要件になつておりますので、共同漁業権については、都道縣知事がきめてこれを公示しなければならないというふうにいたしておりますので、特に言葉をかえておるわけでございます。
  78. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、ここにあります共同漁業権については、その関係地区をあらかじめ定めるということは、共同漁業を営む区域ではないということがはつきりしておるわけですね。
  79. 久宗高

    久宗説明員 その通りでございます。つまりおつしやる意味漁場の方は、ここに別に「漁場の位置及び区域」と書いてございます。関係地区と申しますのは、具体的に申しますと、何部落何部落ということになると思うのでございます。
  80. 小松勇次

    ○小松委員 わかりました。これも先ほど問題になつたことでありますが、第十三條の第三号に「漁業権の不当な集中」ということがあります。この不当な集中ということは、その地方たんによつていろいろその実情が異なると思うのであります。しかしながらこの立法の局に当られたあなた方は、同一地区内においてどのくらいの漁業権を持つておるものを不当なる集中であるというお考えのもとに、かような法文をつくられたか。その当時のあなた方のお考えを一應お聞きしたいのです。
  81. 久宗高

    久宗説明員 御説の通り、これはその地方の実情に即して判断すべきものなのでございますが、これを数学的に表現しろという話も実はあつたのであります。しかしこれはまさに画一的な形になるわけでありまして、そういうことではいけないのであります。われわれが考えておりますのは、やはり数学的には表現できないのでありまして、結局そこにおける漁場の資源の関係、またそこにおります漁民の人口構成とその操業の実態から見まして不当であるか。どうかという判断をせざるを得ないと考えるのであります。これがかりに多角化というような問題と衝突しないかということは、そこの漁民生活の確保になり、生産力を上げて行くという両方の面から考えまして、妥当性を持つということもあり得るわけでありまして必ずしもそれが不当な、集中のためにできないということにはならないと考えております。
  82. 小松勇次

    ○小松委員 第十四條の九項についてお尋ねいたします。第九項は特に設けられた特例だと私は思うのでありますが、かように慣行によつて今まで專用漁業権を有しております市町村または財産区であつて、特別の事情によりこれに免許することが妥当と認められたものは、第六項の規定にかかわらず、第一種共同漁業権免許の適格性をお認めになる。して見ますと、かような実例は全図にまれだと思います。從つてこういう実情にある町村あるいは部落が、その適格性を有するものに対しては、優先順位の項におきまして協同組合優先順位事の第一であるといたしましても、かような特殊の町村あるいは部落が優先第一の取扱いを受けることが至当だと思いますが、この点どういうぐあいにお考えになつておるか、お尋ねいたしたいと思います。
  83. 久宗高

    久宗説明員 慣行によつて專用漁業権を持つております市町村の問題でございますが、この規定によりますと、一際適格性がある。しかし優先順位の項で協同組合の方が優先してしまうではないか。それはごく特殊な例であるから、優先順位の項でもはつきりこれを認めたらどうかというお話だと思うのであります。これにつきましては、こういう慣行によつて市町村が持つている場合が幾つかあるわけでございますが、そういうところは、内部においていろいろ古い関係があり、漁村の構成が漁民とその他のものとあまり分化していない。村全体としてそういう漁業に從事するといつたようなところもあるわけでありますが、その内部においてこれしが分化いたしまして、漁民として協同組合として権利を持つた方がよろしいというふうになつてきたものに対しましては、やはり協同組合主体になつて免許を受くべきではないかというふうに考えているわけであります。從つてその問題は村の内部で、他の理由によつて協同組合が必要である。しかしこの関係においては村として権利を持ちたいという場合には、協同組合が申議しなければ村に行くわけでございます。村も持てるわけでございます。その意味で適格性ある所は認めておきまして、協同組合として持つか村として持つかという問題につきましては、内部において漁民主体になつて行くのが至当であろうという考え方から、この二重の規定を設けたわけであります。
  84. 小松勇次

    ○小松委員 第十七條についてお尋ねしたいと思います。十七條に区画漁業に対する免許優先順位をおきめになつておりまするが、その第一は「漁業者又は漁業從事者」ということになつております。そして第二が「前号に掲げる以外の者」ということになつており、第二項に「前項の規定により同順位である者相互間の優先順位は、左の順序による。」という、今申し上げたこの順位のものの相互間の優先順位をおきめになつておりますが、その第一に漁民というものがある。漁業者または漁業從事者を言うことは、私はこの法の上で承知しております。この漁業者または漁業從事者の相互間で、申請優先順位を定めるときに、漁民ということだけでは私ははつきりしないと思う。漁業者及び漁業從事者漁民である。その漁業者及び漁業從事者のうちいずれを先にするか、漁業者のうちでだれを先にするか、漁業從事者のうちでだれを先にするかというときに漁民を第一に持つてつた。ここに漁民という字句がある。漁民とは漁業者及び漁業從事者を総称する言葉であると私は思う。これはどういう意味でこの順序が定められたか、その点を伺いたい。
  85. 松元威雄

    松元説明員 漁民とは漁業者及び漁業從事者を言うのではなくしてその個人たるものを言うのであります。これは第八條で「漁民漁業者又は漁業從事者たる個人をいう)」というふうに言つておりましてちようど協同組合法の定義と同じであります。具体的にもつと申し上げると、漁業者と申しますと、法人つまり会社が入るのであります。從つてこの意味で会社経営は個人経営よりも優先順位が落ちるというわけであります。ただし会社と申しましても漁民会社、漁民が株主になつております会社、これはあとの準用規定によりまして個人つまり漁民と同じ扱いをいたすわけでありますけれども、確かにおわかりにくいところでございます。
  86. 小松勇次

    ○小松委員 漁民とは漁業者及び漁業從事者たる個人を言うことは、私も承知しております。ここでは私はやはり個人もあればまたその他の團体もあると思います。そういう場合には、漁民のこれらの図体を第一優先順位にするということに解釈してよろしいのですか、漁業團体でなくて、個人を第一順位にする、かよう事に解釈してよろしいのですか。
  87. 松元威雄

    松元説明員 その通りであります。
  88. 小松勇次

    ○小松委員 そうするとそれは漁民漁業者たる個人同士で出願した場合は、今度はいずれを先になさいますか。
  89. 松元威雄

    松元説明員 その間の優先順位が次の第三項、第四項、第五項、及び第六項、ずつと規定いたしてあるわけでございます。なお念のために、ただいまの漁民という問題は非常におわかりにくいと思いましたので、あらかじめ印刷物で差上げてございます。
  90. 小松勇次

    ○小松委員 第三十條に「漁業権は、貸付の目的となることができない。」と規定されております、当然定置漁業権にしても、その他の漁業権にしても、漁業権を所有する者が自営するということが原則であるということは承知いたしておりますけれども、かりに零細な漁民が組織する國体が大型の定置経営せんとする場合には、相当の資金を要するのであります。資本を要するのであります。零細な漁民の集まりの團体が、かような大型の定置等の経営は困難だという際に、ただちに漁業の自営はできないけれども、ある期間猶余を與えるならば、自営ができるというような組合に対しては、その特別な扱いによつて自営の猶余期間というものを認めるお考えはないか。
  91. 久宗高

    久宗説明員 御説のような必要はたしかにあるのであります。ただその間、つまり自営の準備期間として、権利だけ持つて貸付けて行くという問題につきましては、この法案が今日までかわつて参りましたいろいろな経緯からお察し願いたいと思うのでありますが、できなかつたのでございます。そこでそういうような問題につきましては、実際問題としてここに二年間の準備があるわけでございますが、いよいよ再免許という場合に、いわゆる資本的には足りないという場合に、協同組合と他の経営体との共同経営というようなものも、その漁民國体の自治性が損じないような範囲内において認めて行きたいと考えまして、それを定置漁業優先順位の中にも、書いておるわけでございます。今のお説のような、貸付を臨時的にやつて、ある期間まで待つというふうにはいたさなかつたのでございます。
  92. 小松勇次

    ○小松委員 質問を終ります。
  93. 石原圓吉

    石原委員長 お諮りいたします。千賀議員が、特に発言を求められておりますから、これを許したいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 石原圓吉

    石原委員長 御異議ないようでありますから、どうぞ……
  95. 千賀康治

    ○千賀康治君 私のお尋ねすることは、答弁と全部合せましても五分間以内で済むと思いますから、どうぞしばらくお許し願います。私はこの水産委員会に御厄介になつておりましたが、そのときも水族保存のために発言をさせていただいております。委員会の所属はかわりましても、私の思想と私の主張は依然としてかわつておりません。このことにつきましては、常々皆さまとも心配をいたしておりますが、同時にこのことは実行のみならず、一つのゼスチユアーといたしましても、現在の國際間におきましていかに日本の漁業を強くする意味において必要であるかは、皆さんの方も私以上によぐおわかりになつておるところでございます。そこで文部委員会にかわりまして以來、私はこのことを常々考えておつたのでございますが、ちようど文部委員会の所管する中に、天然記念物保護法というのがございますが、これで一つの暗示を得たのであります。うわさによりますと、当委員会も、やがては水族絶滅防止法案、名は違うかもしれませんが、そういう意味の法案を上程になつて、愼重審議なさるということも聞いておりますが、まことにけつこうで、私はこの点につきましては、満腔の賛意を表しております。また敬意も表し、その法案が必ず実現することを念願しておるものでございますけれども、水産廰の部局長とこのことについて意見を闘わして見ますと、相当にこの問題の困難性を予想する方が多いのでございます。現在行われておる漁業権その他習慣、あらゆるものに対しまして、この水族絶滅防止法なるものは相当な掣肘を加えることでございまするから、これが必ず成功するかどうかということ、あるいはそれの実現までには、相当な時間と歳月を要するのではないか、こういう心配をしておられる向きもございます。これもごもつともであろうと思いますが、國際関係の事態は、在荷日を延ばすことは許されない状態で、わが漁区を拡張いたしますには、どうしても外國の同情、外國の強い理解が必要であり、日本はいたずらに掠奪漁業のみを企てるにあらずして水族保存についても画期的な考え方をしておるのだという認定を得ることが、非常に必要なのであります。そこで問題は、私どもが実現を念願しております水族絶滅防止法案をいたずらに延ばすようなことがありますならば、この目的からも相当に不本意なことになるのでございますから、私の考えつきましたことは、その法案の実現が延びるようであれば、天然記念物保存法とタイアップをいたしまして、とりあえず各縣の水族保存に必要な箇所を最小限度に取上げていただいて、天然記念物保存法の方で取締つてつてはどうか、それからおもむろに水族絶滅防止法案ができてくれば、その方に移管するということで、とりあえずできるのではないか、そこで水族の保護がはたして天然記念物保存法ではまり得るかという点につきましては、文部当局とひたいを集めて研究をいたしてみましたが、できるようでございます。やつてもさしつかえないようでございます。ただこれ以上は私の権限では、ございませんから、かような道もあるということを皆様に認識をしていただきまして、この水族絶滅防止法案の審議をなさる参考としていただきたいのでございます。御答弁は当局でなければ委員長でもけつこうでございます。
  96. 石原圓吉

    石原委員長 ただいま千賀議員の御発言の趣旨はしごくごもつともでありまして、われわれその必要を感じて、何らかの処置を急速にとりたいと考えておる次第であります、千賀議員の御趣旨のあるところを十分取入れて善処いたしたいと思います。  お諮りします。昨日の綿糸その他の資材関係につきまして、繊維局の綿業課長に出席を求めましたところ、御出席になりました。なお水産廳の資材課長も御出席になりましたから、法案審議を一時事中止して、この方の御審議を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 石原圓吉

    石原委員長 さよう決定いたします。  それでは前日より問題の資材の件について審議いたしたいと思います。
  98. 奧村又十郎

    ○奧村委員 昨日から審議継続の二・四半期漁網チケットのメーカーによる拒否問題について、私の調べました点を御報告して、なお御当局に御質問をいたしたいと思います。  この二・四半期のチケットがメーカーによつて全國的に拒否されておるということの原因を調べてみますと、これは非常に奥深い事情がありまして第三・四半期からは受注生産制をとる、從つて根本的に制度がかわる。そこで二・四半期までの各メーカーの保有綿糸を二・四半期までのチケットによつて清算するというやり方が業者に徹底されておらぬ。また通産省と水産廰との間に十分な連絡がとれておらぬ。そういう根本的な事情からこういうことになつておりまするので、この委員会でよほど愼重に、また徹底的に調べておきませんと、このチケット拒否の問題は、おそらく私は解決できぬだろうと思うのであります。その原因と考えられますのは、まず一つは、通産省の綿業課と水産廰の漁網課とが事務の上において、あまり深い連絡がない。たとえば二・四半期の割当について、いまだに通産省と水産廳との間に連絡がない。しかもチケットと原綿との割当の、関係において水産廰の出したチケットの還元のほかに、通産省の綿業課だけで、たとえば新設の機械に対する保有とか何とかいろいろな名目のもとに、水産廰とは何ら関係なしに、通産省がとりはからいをして保有綿糸を渡しているということが相当原因になつている。從つて元をただせば、もともとわれわれのきめた漁網の生産及び配給が水産廰一元で実現されておらぬからこうなるのでありますが、これは今日論ずる時間もありませんので、次の機会にわれわれ水産委員会としてあらためて取上げていただきたいと思います。  そこで今までの保有綿糸を二・四半期までのチケットによつて清算することが不徹底になつているから、こういうことになつているのですが、私がお尋ねいたしたいことは、五月であるか、七月であるか、とにかく現在の各漁網メーカ―の保有綿の現在量を調べてもらいたい。また今まで出されたチケットで未回收のものの数量を知らせてもらいたい。そうしてこの保有綿と未回收のチケツト――これは二・四半期のチケットも、含みますが、そのチケットの数量をにらみ合わせ、どういう結果を生ずるか判断するのが第一点であります。この点については、どうもまだ綿業課の方でも、その資料は用意できないようでありますが、それではこの審議が進められぬので困るわけでありますから、ここでその数量をどういうふうに出してくれるか、あるいは一日なり二日なり延ばして出してもらうことにするか、一應この点をお尋ねいたします。
  99. 佐橋滋

    ○佐橋説明員 ただいま奧村代議士から御質問のありました点についてお答えいたします。  二・四半期の切符の不渡りの点につきまして、水産廰と連絡が悪いというようなお話でありましたが、私の方としては一十分なる連絡をいたしておるつもりでありますが、昨今漁網の横流し事件が、一昨々年からの問題が今警視廰で盛んに取上げられておりまして資料を全部持つて行かれております関係上、不本意ながら十分なる連絡ができなかつた点もあると思いますので、その点はおわびをしたいと思います。私の方としましては、第二・四半期の切符が全面的に拒否されているということはちよつと承知いたしておりません。と申しますのは、御承知のように第三・四半期から受注制に移行しますが、これは農林省で発券される購入券を集めました量によつて、機械的に割当をして、行くという行き方になるわけであります。從來の割当は、漁網業者が出荷をしました数量に應じて、通産省の方から一方的にメーカーに割当をいたしまして、漁網業者が糸を持つている所へ行つて、農林省の方から発券される購入券をもつて賣うのだ、こういうシステムで今まで來ておつたわけでありますが、二・四半期までの分を受注制に切りかえるということは事実問題として不可能であります。と申しますのは、たとえばAという事業は糸がないのだ、しかしかなり注文が來ている。Bという業者は糸は持つているが、注文は來てないというような事態もありますが、これを急速に調整しようということになりますと、糸の移動命令を頻繁に出さなければならないわけであります。結局こちらに持つておる糸を取上げて、注文のおる方へとつて渡すというような措置を講じなければなりません。これは非常に全般に混乱を來させるおそれがありますので、一應受注制を三・四半期にしきますと同時に、從來までの方策は、二・四半期までのものにつきましては、そのまま並行してやつてつて、來年の三月一ぱいまでに、糸を持つている者は二・四半期以前の切符に充当して製品を出せ、こういう措置をとつているわけであります。そして來年の三月末一日までに二・四半期以前の切符に充当目して漁網を出さない業者に対しましては、そのときには綿糸を取上げるということを受注制の要領の中でうたつて関係方面には通知をしておるわけであります。そして水産業者が二・四半期の購入券を持つてつて、漁網業者の方が糸を持つているにもかかわらず渡さないという事例がありますれば、これは水産廰と協力をいたしまして、できるだけその品物が渡るような措置を講じたいと思つております。奧村さんからの御質問の点でありますが、現在わかつておりますのは、第二・四半期の割当をいたしましたときに、五月末日現在における各メーカー別の保有糸の数量はわかつておりますが、七月末日の数量は現在のところちよつとわかりかねます。と申しますのは、結局水産廰の方へ漁網の還入して來た数量がわかりますれば、それで計算上は七月末の保有糸の数量は出ますし、それから未回收チケットの量も出ますので、一両日時間をいただいて、きようは金曜でありますから、來週の月曜日には持つて來たい、こう考えておりますから、その点御了承を願いたいと思います。
  100. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それではその数字は來週持つて來ていただくことといたしまして、ただいまの御説明によりますれば二・四半期のチケットをメ―カ―が拒否するわけがない。またそういう事実を綿業課としてはあまり聞いておらぬ。こういうお言葉でありますが、これはもう昨日この水産委員会で問題になりましたので、私どもの福井縣からは爾報で二・四チケット現物困難至急手配という電報、それでもつて水産廰に参りましたところ、水産廰ではいや全國的にそういう通知があり困つておる。こういうことであります。幸い水産廰資材課長がここへ見えておられるから資材課長にその事実をお伺いしたいと思います。  なお昨日この水産委員会に全國から各業者が陳情に來ておりましたが、その各業者が口をそろえて、二・四半期のチケットの現物困難を叫んでおります。その点水産廳の責任の方にお尋ねいたします。
  101. 石川東吾

    ○石川説明員 奧村議員から御質問の点でございますが、まず先ほど御指摘の、業者に対する趣旨が不徹底だという点でありますが、これは今通商産業省の、綿業課長からお話がありました通り、先般漁網用並びに漁具糸用綿糸需給割当実施要領、こういうものができましたときに、私の方に連絡があると同時に、たしか六月の二十九日と、もう一回別の日に全國のメーカーを集めて会議をやりまして、昭和二十四年度の第二・四半期の割当の取扱問題についていろいろ協議をしておりますし、そのときにいろいろ起きる問題を予想して、私からもいろいろ話をしておりますので、まずメーカーに対する趣旨の徹底は十分やつておると思います。なお漁業者に対する趣旨の徹底は、一應は全國の資材調整事務所を通じてかような問題を知らせると同時に、その後綿糸の割当問題で各地区のブロック会議をやりましたときにもいろいろ注意をして、末端の漁業者まで徹底するように話をしておりますので、まず私の方としては、大体関係者に徹底しておるのではないかというように考えております。なお通商産業省との連絡不十分の点は、現在農林省、通商産業省の二本建になつておる点でいろいろ不便はありますが、おそらく現在の機構としては、私どもとしてはできるだけ緊密な連絡をとつておるつもりであります。  それからただいま御質問の第二・四半期の漁業者の注文に対してメーカーが拒否しておるという問題でありますが、これは私どもとしては、当初からこういうことが起きることをある程度予想しておりました。それからまた現実の問題としては、非常に観念的な、一般的な話はぼちぼちと大分前から聞いておりました。但し遺憾ながら具体的の問題、具体的の事例を把握しておりませんので、具体的な手を打つことができなかつたということであります。但し私どもとしてそれについて全然手をこまねいておるわけではありませんでして、これについてはまず第一に一應緊急にとりたいと思つておりました措置は、メーカーに対する現実の綿糸の割当の状況、それから還元して來ました切符、その差額、現在理論的には、どれだけの数量の原料をメーカーが手持ちしておるか。こういう数字をできるだけすみやかに調べて、これを印刷物か何かにして全國の漁業者にできるだけ早く配付したい。これは場合によれば新聞紙上を通じて知らせますし、また場合によれば資材調整事務所を通じて、かかる末端の漁業者に知らせる。こういうような措置を講じて、漁業者が大体どこのメーカーにまだ原料が余つているということをなるべく知らしたい、こういうふうに実は考えているわけであります。ただそういたしましても、一應理論的にはこれだけの原料があるが、その後すでにこれだけの注文が來ているから、もう注文を受けられないと言つて断るメーカーもあるかもわかりませんが、しかしながら現在のところでは、各メーカーが一應現在の手持ちの数量の範囲内上か注文がとれぬという建前になつておりますので、場合によるといい口実を與えますから、その一つの反駁といいますか、需要者側に有利な資料として、一應今のような現在におけるメーカー別の原料の保有数量を表にして配るならば、ある程度までその点は解決できるのじやないかというので、実は急いでやつているわけです。ただそれが非常にむずかしい点は――漁網の場合はいいのですが、漁具糸とそれから漁網の原料にするより糸との関係が非常にむずかしくなりまして、私どもの方では、何かより糸関係がわからぬというので、実は通商産業省の担当官といろいろ御連絡しているのでありますが、今綿業課長の言われました通り、やつぱり通商産業省の方にも手もとに資料がないというような関係つたと思います。実は私連絡がうまく行きませんので、いまだにその表ができておりませんのは遺憾と思いますが、これはできるだけ早くつくりまして全國に配付したい。大体漁網と漁具糸については、來年の三月末までに全部これを処理するというように目標を立てておりますので、できれば毎月末現在のそういう表をつくつてはその都度全國に配付したらどうか、このように考えております。
  102. 奧村又十郎

    ○奧村委員 なるべくお座なりの御答弁は勘弁してもらいたいと思います。私も荒げたことは言いたくないが、一應調べることは調べておるのです、誠意のある御答弁を要求します。水産廳の方に商工省の綿業課の方から第二・四半期の書類が來ておるということを言われましたが、商工省の綿業課の方で第一・四半期までできている書類が第二・四半期はまだできておらぬ、水産廳の方に行つておらぬ、大まかな数字は行つておるかもしれぬが具体的な数字は行つておらぬ。それをあなたは來ておるというようなことを御答弁になりますが、ほんとうに來ておるなら持つてきて見せてもらいたい。
  103. 石川東吾

    ○石川説明員 私は今第二・四半期の書類が來ているとは申し上げません。私が今言いましたのは、今の受注割当制の要領の連絡については少くともできるだけの連絡をとつたということを申し上げたので、今の二・四半期の資料は私ども受け取つておりません。
  104. 奧村又十郎

    ○奧村委員 二・四の割当はすでに七月に行われておる。もう九月も十日近くになつていまだに綿業課から水産廰の方に連絡がない、その数字が行つておらぬ。特に商工省の綿業課の割当なるものは、水産廰の出したチケットの数量に應じて割当てるものである。そのかんじんの水産廰に、各メーカー別の割当の数量及び基礎数字が行つておらぬというばかなことがあるか。第二番目にこういう綿糸の横流れとか、あるいは不法割当とか、これが割当の一番日本國中で問題になつて、疑惑の的になつている。そういう重大な仕事をやつておられる綿業課におかれても、私は荒げたことを申し上げるのはいやだが、残念ながら言わざるを得ない。第二・四半期の割当の根拠になる数字の表を、行つても見せていただけない。あるいは警視廰へ行つてつた、それも口実でしよう。なぜ写さない。またそれを水産廰にも連絡しておらない、また見せていただいた印刷した数字が、すでに大きな誤りを生じている。割当ててもらうすでに一箇月も二箇月にもなつたその書数が、私が計算して初めてその間違いが現われて來ている。そんなことで國民が納得できるか、これらのことについては、まだかんじんの数字が月曜日にならなければ御報告がしてもらえないということであるから、それまでに十分用意をされたい。  私のお尋ねしたいことは、水産廳とは別に、綿業課の方で、メーカーに対してそれぞれ適当にやつておられるところの保有綿の総数量、これは少くとも水産廳に御相談あつてやるべきであるのに、水産廳にも相談がない。われわれが表を見ましても理解のいかぬ保有綿の割当のやり方がある。しかしこれは見解の相違でありますが、ここで保有縞を精算せられる以上は、一應その総数量をたしかめておきたい。また二・四半期までのチケットにおいて、それを精算すると言われるのであるから、その保有綿の数量と、チケットの数量と、それを対象してどういう数字が出るか、これをまずお伺いしておきたいと思います。しかしてこれは來週の月曜日にお伺いいたします。  第二番目としてかなりうわさされておりますことは、そのメーカーに與えられているところの保有綿が、すでに今日までに相当量横流しされておるということを各地で承つております。そういうことのないように私は望んでおりますが、もしあるとするならば……。もう一つは盗難にひんぴんとかかつているということで、そういう数字が相当莫大に上つているとするならば、つまり原綿とチケットのさやなるものは一体どうなるか。それを解決せずして、二・四は保有綿で解決するということを官廳でうたわれましても、事実上全國の漁業者がチケットを現物化することは、おそらくできぬであろうと思う。その点についていかなる御処置をとるかお伺いいたします。
  105. 佐橋滋

    ○佐橋説明員 ただいまの御質問の、当時の商工省でありますが、かつてな割当をやつているというような御発言がありましたが、現在の割当の仕方は、受注制に切りかわる前は、一應リンク割当をやつておるわけでありまして、業者のところにいわゆる水産廳から発券せられる購入券が環流して來た数量に按分して割当てておるのでありまして、これは業者を全部寄せました正式の審議会にかけて、基準を決定して、あとは機械的に数字をはじいておるのでありまして、決してかつて氣ままにやつておるわけではありません。保有糸につきまして適当にやつておるのじやなしいか、こういうようなお話がありましたが、われわれの方としてはメーカー、漁網業者が逐次機械の増設の許可を受けて、設備が地方の通産局によつて確認されて動き出すという状態になりました、いわゆる新規業者でありますが、これに対しましては、いわゆる環流クーポンというものはありませんので、新規業者に対しては別途割当てる必要がありますので、これは当該区の農林省が発券せられる購入券を集めてきた数量、能力の四割を限度として割当をすることになつておりまして、この分につきましては、今度の受注制と同じように切符を集めてきたものの切符を確認して、能力の四割を限度として割当てておるのでありまして、決してつかみ出し配給をやつておるというようなことはありません。その点御了承願いたいと思います。
  106. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ただいまの御答弁がございましたが、それについては具体的に例をあげてお尋ねをいたしませんと、ここで御質問しても何にもならぬと思います。しかし私の次にお尋ねした問題、すなわち横流し、それから盗難によつて保有綿糸がなくなつた、そういう関係上、数字上の保有綿糸と、工場の実際の現物と合わない点が生じて來る。従つてそれによるチケットのにらみ合せがつかない、それによつてチケットが不渡りになる。これに対する対災をお尋ねしたが、御答弁がありません。
  107. 佐橋滋

    ○佐橋説明員 ただいまの盗難と横流しの問題でありますが、横流しの方はこれはまあわれわれの方としては、ちよつとつかみにくいのでありまして、おそらく業者が糸を横流しした場合には、水産業者が持つておる何と言いますか、購入券自身をやみ買いをするというような形でつじつまを合せておるのじやないかと考えるので、その点はわれわれの方としては全然つかみ得ない状態にあります。盗難品につきましては、次期において水産廰の方との連絡で購入券の発行を、それだけのものをセ―ブするとかいうようなことで調整をいたしております。
  108. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私の質問はいずれ資料を明細に調べた上、來週の月曜日にいたしたいと思います。
  109. 石原圓吉

    石原委員長 委員長よりこの場合に発言します。この問題は、昨日馬越説明員よりはメーカーより品が出にくいということを言明されたのでありまして、そのためにメーカーの氏名を提出するように委員長より申し出ておいたのであります。なおその結果本日佐橋課長の御出席を求め、また水産廳の資材課長の御出席を求め、今まで奧村君との質疑應答を聞きますると、少しも明朗にならぬのであります。ますます迷宮に入るような感がするのであります。現に横流しのために問題が起つておるというようなことも公知の事実であります。從つてこういうことであれば、われわれは特にこの綿糸、綿網に対する調査委員会を設けるか、あるいは國会の考査委員会の手に移して調査をせんければならぬという事態になると思います。どうかそういうことに立ち至らないように、この際あるいは秘密会でもよろしいし、いかなる方式でもよろしいから、明朗になるようにひとつ腹を割つて説明あらんことを切に希望いたします。それが徹底しない場合には、あるいはただいま申すような、特殊の調査委員会等の発動を求めなければならぬと考えるのであります。
  110. 川村善八郎

    川村委員 奧村君の質問に対してお答えされたことは、大体ただいま委員長が言われた通り、漠としてわからない点がありますが、ただ一点だけお伺いしたいことは、第二・四半期の綿綱のチケット割当に関する現物化ができないということには、幾多理由がありましよう。いわゆるメーカーの能率が上らないということも原因でしよう。それからもう一つそれよりも大きな問題は補給金が近く廃止されるならば値上りをする。この機会に多大の利益を獲得しようという、陰にひそんでおるところのいわゆる暴利本位の考え方から出さないという点もかなりあると私は考えております。     〔委員長退席、玉置委員長代理着席〕  そこでその問題は、今後あなた方において善処するというお答えでありましたが、ぜひとも監督し、さらに罰則があるならば、最大の罰則を違反した者には科して、どうしても実行させるようにお願いする次第であります。それはこれからでありますが、昨年の綿綱その他の綿糸の配給統制規則は、大体通産省、かつての商工省から事前に原料の割当があつて、業者、すなわち漁業者はチケットを持つてつて、そうして現物化すというような規則になつてつたように記憶しております。そこで実例を申し上げますが、私は昨年チケットを持つて注文をしたところが、これを引受けたが、だんだん納める期間が延び延びになつて、ついにちようど値上りにぶつつかつてしまつた。もちろんあの当時の規則から行くと、その値上りによる利益は國庫に納めなければならぬという規則に多分なつてつたように考えますが、そのことがもし実行ができておらない、言いかえれいばチケットを持つて引受けた。原綿もあつた。だが値上りを見込んでその納期に納めなかつたために、とてのチケットを持つてつた漁業者に高く渡した。これをもしその値幅だけのものを國庫に納めておらぬ、こうしたよううな場合にはどういう処置をあなた方はおとりになられるか、過去であるからそれはかまわないんだというお考えであるか、嚴重に調べて、そうして事実ただいま申し上げたようなことがあるならば、漁業者にその價格差だけもどさせるか、もしくは國庫に納付させる方法をとるか、いずれをとりますか御答弁を願いたいのであります。
  111. 佐橋滋

    ○佐橋説明員 ただいまの御質問に対しましては、一應差益金の処理規則が現在もまだ生きておりますので、メーカーで賣惜みをして、値上り後高い値段で賣つたというような場合につきましては、当然そういう事例があれば物價廰の方が差益金を徴收するという形になつて漁業者の方へ拙いもどすという形にはならぬと思います。具体的な事例をお聞かせ願いたいと思います。
  112. 川村善八郎

    川村委員 それでは近く私が帰りまして、その証拠書類を全部提示しますから、あなた方の方でお調べくださるか、さらにこれをもう一歩進めて経済調査廳に調べさせるか、あるいは檢察廰に調べさせるか、いずれかをとらなければならぬと思いますが、私は決して刑法に触れるようなことをやらせたくないのてでき得れば通産省でお調べを願つて適当な方法を講じたいと思つておりますから、そのときはその方法をとられんことを希望いたしまして、私の質問を終ります。
  113. 砂間一良

    ○砂間委員 綿網業者に対する綿糸なんかの資材の割当は、水産廰でやつておりますか通産省でやつておりますか、まずそれからお伺いしてみたいと思います。
  114. 石川東吾

    ○石川説明員 それは通商産業省の主管であります。私の方は漁業者の関係についてです。
  115. 砂間一良

    ○砂間委員 それでは通産省の綿業課長の方にお伺いいたします。先ほど綿糸の割当は、還元して來たチケットによつて機械的にやつておると申されたが、還元して來るチケットは前半期に発行されたものですか、それともどう、いう性質のものですか。
  116. 佐橋滋

    ○佐橋説明員 クーポンの還流はできるだけ早く割当てをする間近かの時期をとりたいのでありますが、相当下の方が還流して來るために長く時間がかかりますので、最も近い、たとえばこの七―九期の割当をするときに、五月までに下から還流して來たクーポンに按分して割当てる、こういう形になつております。
  117. 砂間一良

    ○砂間委員 今のような還元して來たクーポンによつて割当てて行くという制度は、いつからお始めになりましたか。二十二年の四月ですか。
  118. 佐橋滋

    ○佐橋説明員 二十二年の三・四半期かと思います。その当時綿業課長でなかつたものですからここでしつかり……
  119. 砂間一良

    ○砂間委員 最近の編網業者に対する綿糸の割当を見ますと、出荷したクーポンですか証明書ですか、それに対する割当よりも、ずつと以前の二十二年のころの割当の方が、非常に数量が多いという事実が業者によつてありますが、それはその通りですか。
  120. 佐橋滋

    ○佐橋説明員 ちよつと御質問趣旨がわかりかねたのですが、いつも同じ期間、クーポンの還流をとつているのではありませんので、たとえば第一、四半期の四月から六月までの割当をするときには、あるいは今年の三月以前の半年をとるとか、あるいは今度の七―九期になると一月から五月をとるとか、今度の割当の対象にする出荷量というものは逐次かわつて來るわけであります。
  121. 砂間一良

    ○砂間委員 割当制度を始めてから、そしてこの網なら網をこれだけどこそこへ出した。出したと言つてその実績に應じて資材をもらうというふうにリンクして行けば、それは円満に行くと思うのです。ところが最近における割当の表を見ますと、そういうチケットによつて割当てたものだけでなくて、ずつと以前の昭和二十二年の三月だつたか四月だつたか知りませんが、あの制当制度が始まる以前において出された割当証明書か何かを、二年も三年もたつた今ごろ持つて來て、それによつて割当をもらつておる、こういう事実がありますね。
  122. 佐橋滋

    ○佐橋説明員 今の御質問に対しましては、農林省の水産廰の発券せられる資材の購入券、結局漁網を買つていいという切符でありますが、これには、おそらく有効期限が現在まではなかつたのでありまして、相当前に出された切符も、現在いわゆる法律的には有効でありまして、それに見合つてその切符をとつて品物を出したのだということは、これはちつともさしさわりがないわけであります。
  123. 石川東吾

    ○石川説明員 通商産業省のやり方は、今の切符の還元数量の数字の押え方は、私の方にメーカーからもどつて來る切符を全部集計して、通商産業省の方に知らせておるわけです。それから今の切符は漁業資材配給規則ができてから後の話だと思いますが、その前はないのじやないかと思うのです。
  124. 砂間一良

    ○砂間委員 とにかくずつと以前の切符を今ごろ持つて來てそれに対して六千ポンドとか八千ポンドとかいう莫大な割当をやつておるのですが、その割当の方が最近の供出の実績の割当よりもはるかに多いのです。それは理論的に考えてみて、出したものに期限がないのだから、いつになつてつて來てもいいという解釈もつきますけれども、そうしたら、いつどこべ出したか言えと突き詰めて打つたら、あれはみなインチキクーポンです。それに対してどんどん出しておる。そん不合理はことはない。だからそこからみな横流しやインチキが出て來る。これは静岡縣の数軒の業者について私はその事実を知つておる。現に刑務所に入つておるような人たちが持つて來る、そういう点から言つて、莫大なやみ流しをやつておる。ああいう点はやはり徹底的に改善し、やめる必要がある、それからいわゆるやみクーポンにしましても、たとえばこの静岡縣の編網業者がが網を織つて北海道に出す。出す場合ににしんの綱にちようど適合するような網をやればいいのだけれども、それをわざわざやらないで、役に立たない大きな目のものをやる、あるいはこまかいものをやつてとにかく割当を出し、たことにしておけばいいというので、出して置く。向うの業者は、それを使えない。持つて來ても、始末に困る。そうしてほかの人を出してそれを買いにやる。買いにおやつてマル公を一割か二割上つたくらいの値段で買つて來て、それをまた二重にほかに出荷するというようなことによつて、みな、やみかせぎというやつをやつておるのです。こういう点について、官職はその実情を百も承知でありながら、何でこれを監督しようとしないか。ただ形式的にク、ーポンをそろえて出せばいいというふうなことで、きわめて不明朗である。最近における全國にわたる漁網の横流しということは、やつている業者も悪いでしようけれども、官職においても一半の責任があるということは明白だと思う。これは過去の事実ですが、今度の場合にしても、十月から今度は受注生産制になる。そのことだけだつたら手特ちの綿糸が今幾らあるかというふうなことを、奥村君の言うように明言しておけば、それは後になつてもしインチキなことがあつた場合には、徹底的に追究して行くことができる、その資料にもなりますけれども、これはきのうも言つたことですが、業者自身にしてみれば、近く補給金も打切られて値上りになるだろうという点を見越して、あつても出さないとか、あるいはほかにやみ流しをしてチケットが現物化されない。こういうことになつておると思うのです。こういう点について、役所はもつと漁民に親切な、そうして品物の現実に渡るように、不正ができないように、十分監視監督する義務があると思う。それをあべこべに、何か私らが外から見ておれば、むしろグルになつてつておるという形跡さえ見えて、はなはだ遺遺憾であります。この点についてはもしこういう事態が今後続くならば、先ほど委員長が申されましたように、國会の考査委員会か、あるいは特別の小委員会をつくつて徹底的に洗つて行く必要があると思う。まだいろいろの点もありますけれども、あまり公開の席で暴露することもあれですから、控えておきますが、今後においてこの資材の点や何かについては、もつと明朗に、しかも業者に渡るべきものを確実に渡すということは、行政官廰として、監督官廰として当然やるべきことである。ここに一段と警告を発しておく次第であります。
  125. 玉置信一

    ○玉置委員長代理 この場合皆さんにお諮りいたします。先ほど來の質疑應答の経過から見まして、委員長からもお話がありましたが、いまだ明確を期し得ないうらみがありますので、委員側においても正確な資料を求め、さらに関係当局からもはつきりした説明のできる資料をもつて、あらためて質疑を交わすということにして、今日はこの程度に打ち切ることにしていかがですか。   「1賛成」と呼ぶ者あり〕
  126. 玉置信一

    ○玉置委員長代理 それではそのように決定いたします。  次は漁業法案の審議に移りましてこれより質疑に入ります。小高委員。
  127. 小高熹郎

    ○小高委員 漁業法案業第三十七條の項目について、当局の意見をただしたいと思つております。常識が法律を生み、また常識と社会通念の備わらないところの法律というものは、殷鑑遠からず葬むり去られるという一つの信念をもつて私どもは臨んでいるのであります。その建前からいたしますと、三十七條において「免許を受けた日から一年間、又は引き続き二年間休業したときは、都道縣知事は、その漁業権を取り消すことができる。」と明記してございます。おそらく旧法においてもかような字句があるのではなかろうかと思われるのであります。そこで先ほども川村委員から一つ意見として強力に発言されたのでありまするが、今までの議論中何が問題であるかと言えば、実に免許料、許可料の問題であろうと思うのであります。何ゆえに免許料、許可料をとるのだ、農地の場合と比べてあまりにもひどすぎるのではないか。ことに私も前の國会劈頭において、料理店、歓会店、あるいは旅館等に許可、免許を與えて一本免許料、許可料をとつておるか、漁業者のみ自前というやり方があるかという意見を出したのでありますが、この免許料、許可料という問題に関連してかような案がある以上、これは旧法においてもこういうものがやはりある以上、何ゆえに現在の遊休漁業権を整理しないか。先ほどもこれに対して問題と相なつたのでありますが、遊休漁業にはいろいろのかつこうのものがある。許可を受けてから一回も張らないで、現在漁業権として掌握しておるものもあるし、またこの場所は使わないけれども、他の者に許可申請をされて許可になつてしまうと、じやまになるからというような、防波堤的な事、予防線的な漁業権申請らしく思われるようなかつこうのものも全國には多々見受けられるのであります。かようにほんとうに行わずして――当然生じた漁業権が、事情やむを得ず綱を張らないというた、らば、一應定置漁業の場合ならば認めるとしても、あらゆる角度から檢討して、防波堤的、あるいは予防線的漁業権が何ら取消しも食わず、整理もされないというやり方が一体あるかということを、常識あるいは社会通念に準拠いたしまして、私は議論いたしたのであります、この遊休あるいは適当ならざるところの漁業権が整理されましたならば、おそらく、三百一億余万円の数字予定をもつて目されておるところのこの補償料、免許料の徴收、これらは大幅に削減されるのではあるまいか。また当然削減されるのでありまして、さすれば三分七厘――が昨日も以東底びきにおいておそらく三分七厘は一隻あたり五十五万円に当るであろうという御意見が田口委員から承りましたが、これらの莫大な負担というものが軽くなる。われわれはこの法案を審議するにあたつて、何を中心としておるか、眞の増産であり民主化である。また漁業者の幅利が伴わなければならぬ。しかるにこれらの矛盾を片づけずして、新しい法を施行いたしたとしても、それは殷鑑遠からず、必ず何らかの形においてこの不備を根本的に是正されるときがあるのではなかろうか。かような意味において当局はこの三十七條にうたつてある規則を施行せんとするたらば、必ずそれに関連して、今までの遊休漁業権を整理しなければいかんぞという問題が、まず起ると私は思いますが、これらに対してさようなことは起きないとか、あるいはまたこういうことで断じてさしつかえないというのであるか。それらの点を明確にお答えを願いたいのであります。
  128. 久宗高

    久宗説明員 ただいまの小高委員の御質問でございますが、おつしやる趣旨はまつたくその通りであろうと思うのでございます。一昨日來私のいたしました説明の中で、免許料と関連いたしまして説明が足りないで、誤解を生じておると思いますので、もう一回その点を説明させていただきたいと思います。御承知通り休業の内容につきましてはいろいろ理由があるわけでありまして、川村委員から御指摘のありましたような、もらつてからまだ全然やらないというようなものは当然補償すべき性質のものではないと思うのであります。ただ休業の事由につきましては、ただいまお話の出ましたような、ある綱の経営を守るためにその前に立てるというようなこともあるわけでありまして、又資材関係その他いろいろあると思います。その中には制度そのものの欠陥によつてつているもの、たとえば前網後網の関係などはそうだと思いますが、これなどもあるわけでありまして、これをいかに考えるべきかということにつきましては、相当議論があると思うのであります。これを一律に何年間休業をしているものについては何割引きにする、あるいは何年間は全然しないといつたようなきめ方をいたしますと、相当画一的になるのではないか、そうしてこれによつて影響を受けますのは、免許料の関係で新しい漁業者、それからまたその漁業権を持つていた方に対する補償という両面からみなければならぬと思うのでありますが、これは漁業者が御自身でこの問題について最も妥当な点を考えていただくことが必要であろうと思うのであります。そこで補償の関係から申しますと、これは補償するかどうかによつて免許料に響いて來るわけであります。かりに例をとつてみまして、今のように初めから全然やらない漁業権、こういうものにつきまして補償すべきかという点につきましては、当然補償はいらないと思うのであります。つまりそれによつて何ら損害が生じないと考えられます。そういうような基準を具体的に、こういう場合にはこの程度にする、こういう場合にはこの程度にするということで、その補償の基準額の範囲内において補償委員会決定することができるわけでありまして、ここはたびたび御説明いたしましたように、中央審議会にお諮りいたしまして、非常にこまかい具体的な規定をする必要があると思うのであります。それを法律によつて画一的にきめてしまうということは、実情に即さないと考えましてそういう措置をとつたのでありまして、その結果おそらくただいまのように、初めから全然やらない漁業権というような休業のものは、まつたくゼロに近い、あるいはゼロという評價になる場合もございましようし、またたまたま整理する時期に漁況が悪くて休んでいるのだ。ところがこの漁業権そのものは客観的な價値がある。しかもそれを物権として今までは規定しているわけでございますし、財産権でございますので、これは憲法の関係から申しましても補償する必要がある。むろんそれが新しい漁業者への負担という点も考慮しなければならぬわけでありますが、これはともに漁民に利害関係に直接関連性があると思いますので、これを一方的に、しかも画一的に、この中で休業の事由を規定しなかつたわけであります。なおそういうような中で特に始めからやつてない漁業権というのがわかるのだから、精に取消すべきものがわかるじやないかという御意見もあると思うのでありますが、現在におきましては、この制度切りかえを考えて臨時措置法によつて凍結令を出しておりますので、その漁業権を取消し、取消さないによつて漁場の操業には一應関係がないわけであります。では問題は最後に補償の額にどの程度に組み入れられるかという問題でございますが、この点につきましては、休業の事由について、最も経営その他について御経驗がある漁民方々の御意見によつて、いかにこれを評價するか。つまりこれをあまり低く評價した場合には、一般の漁民方々から考えても不当であるというような問題も出て來ると思いますので、免許料との関係では、休業のものはすべて補償にはならないということでなくてある補償すべき事由の休業については、その額が加算されるでありましよう。その結果そのために休業であつても補償があつてそのために免許料の額に多少ふえる場合もあろうと、こうお答えしたわけであります。決して休業の事由のいかんを問わず補償して、免許料の方をふやして行くという考えは毛頭ないのでございます。この点御了解願いたいと思うのでございます。
  129. 小高熹郎

    ○小高委員 ただいま久宗説明員の御答弁によりますと漁業者の意見によつて適当にきめられるであろうとか、あるいはまた中央漁業審議会において細部を決定するであろうとかいうのでありますが、さようなことではちよつと私どもは了承はいたしがたいのでございます。     〔玉置委員長代理退席、委員長着席〕  なぜならば、これらの漁業権を買上げる額がどの程度に相なるかということになりますと、おおむね百七十億余と、いわれておりますが、これはこれらの遊休漁業権を無視して計算したものであるか、ある程度これらも一つの数字としてみた数字であろうかということを考えまするときに、おそらくこれは、基礎観念として、これらのものが全全白紙的にゼロにに見られておつたのではあるまいか、こういうことを考える。本法の審議にあたつて最大の問題であります免許料、許可料がただちに巡業権買上げてこの数字に関連性がある。ゆえに私どもは、これに対して基礎観念といたしまして大いなる疑義を抱いておるのであります。これについてはさらに私どもただいま一つの数字によつて調査をしておりますので、ときをあらためてまた質問いたしたいと思うのであります。一應基礎的な問題について強く意思を表明しておきます。
  130. 松田鐵藏

    ○松田委員 私は審議会の費用事及び補償費をとる問題に対して、ただいまの小高委員のお話のあるように、この問題は非常に的外れじやないかという考えを持つのであるが、話が少し横道に入りますが、立案者においては漁業の実体をはたして認識されてこの法案をつくられたかどうか。まず現在のあらゆる物價に対する統制経済の面から行く今までの政府のやり方が、一例をあげて申すならば、私はここに資料を持つているのであるが、一つのビタミンの魚油に対しても、一万單位のものが生産者が三万三千二百六十円のものが、集荷機関が三万四千九百二円によつて販費する。それから公團が三万九千七百六十二円でもつてこれを販費する。ただいたずらに中間にある業者のみの利益を、どのような計算によつて計算されたか。しかも貿易業者の販費額がその三倍に該当する九万七千二百円という額になつている。しかしてそれが生活者へ還元されるのがほんとうであるのに、生産者にはほとんど還元されていないような実態である。また先ほどからもいろいろと論議されている綿の問題、漁網の問題であろうが、またマニラロープの問題であろうが――マニラロープにおいてははつきわと二割の過剰があるのである。しかもその過剰に対して販賣業者の口銭は一割二分あるのである。その販費業者というものは、メーカー自体が自分の会社と同じ系統の会社をもつて販費、会社をつくつている。しからばここにおいて工賃以外に二割と一割二分であつて、三割二分というものがメーカーにおいて所得されている実態である。ただ税金を免れんがために二つの会社にしている。こういう実態が今までの社会主義経済によつて実行されたのである。現に日本の経済の実態はありとあらゆる物價が、生産者の供出する金額と消費者が買うべき金額との差がはなはだしいのであつて、倍以上になつているものもある。かような社会主義経済の観念から、かりにこの漁業法が制定されて建網業者は五分の費用を政府に出さなければならないとしたならば、また底びき業者が三割三分七厘を政府に出さなければならぬとしたならば、どのような漁業の実態ができ得るやということを考えなければならぬ。自由経済のときであつても、一切の商費をして利益が二割あつて、税を納め生活を行つて行くのが自由経済のほんとうの姿である。しかるに現在の社会主義経済から言つたならば、二割どころか、官僚にこびればどのようなことでもしてごまかしもきくし、どのような行動もでき得るような今日の社会主義経済があなた方の手によつてでき上つたのである。しかして漁業の実態を知らざるものの考えたことが、現に建網業者に対しては五分の費用を出さなければならぬとしたならば、一年にかりに五百万円水揚げされる建網業者は、その経費はおそらく今日の物價高から言つたならば、五百万円を決してくだるものじやないというのが今日の北海道漁業の実態である。地方面は私はよくわかりませんが、さようなときにおいて秘よりも重い負担金を納めなければならないというのがこの法に盛られている実際の姿である。これに対する現在の政府の機構は、資本主義経済によつて日本の経済を建直さんとはかつている今日において、この問題をいま一應あなた方の手によつて考えあるべきがほんとうでなかろうか。私はかように考えるものであつて意見を伺いたいと存じます。
  131. 久宗高

    久宗説明員 ただいまの御質問でございますが、免許料、許可料の負担が非常に重くなりはしないかという問題と、もう一つはこの問題と関連いたしましてこれは御説によりますと、資本主義経済と違うのではないかという意味の御質問だと思うのであります。その点につきましては、もちろん今の経済社会は資本主義社会でございますし、その内部における制度改革の問題でございまして、明確に限界のあることと思うのであります。そこで現在の免許料の問題がこれとどういう関連性を持つかということにつきましては、現在の漁業権の実施部面で見ました場合に、そこに賃貸料というものが出て参ります。これは一つの資本を動かして網の経営をして行きます場合には、当然そこに一定の利潤が得られまして、その上にこの賃貸料を拂うことになるわけであります。これは漁場の優劣により経済的にきまつて來るわけでございます。つまり非常にいい漁場と悪い漁場におきましては、これは私が御説明するまでもなく、一定経費によつて得られる利益が違いますので、その一部が漁業権者に帰属するという形をとつているわけであります。ただその額がどの程度になつているかという点に、つきましては、平均いたしまして大体水揚高の六%位いになつておるだろうという数字が出ておりますし、また財務当局あたりで、財産税を計算いたしました場合においても、そういつたような全國数字を基礎にいたしておるわけでございます。これは現実に経済融合の中で行われておることでございます。ところで今度の漁業権の切りかえにあたりまして漁業免許して行きます場合に、もしそ場のままに免許いたしました場合には、いい漁場に行つた者についてはもつと悪い漁場に行つた者よりも、同じ経費でそこに非常な和益が出事て來るわけであります。しかもその免許という行政行為の結果、そこに出て來るわけでございますので、これをそのままにいたしました場合には、そこに不公平が生じて來るわけでございます。從いましてこれは決して制度の変革ではなしに、現在の賃代料によつて行われているものが、そのまま、いわゆる不在漁業権者と申しますか、権利だけを持つて貸し付けるということを認めておりませんので、授権の基礎は國になるわけでございます。そこで國がそういうような免許行為というものの結果生じて参りました差益をとりまして、それをもつと一般的に使つて行くということが問題になるわけでございます。またそういうような漁場の切りかえをいたしますことによつて補償がいるわけでございますが、そういう補償の財源は当然その切りかえによつて生じた漁場の利益に均霑するものからとるということになるわけでございまして、その場合の免許料の振り割り方といたしましても、同じ定置漁業者の中でも網の優劣により、そこに差等が設けられるのは当然であろうと思うのであります。ただこの中に行政費が入つて來るという問題につきましては、これは別途にお答えしなければならぬ問題だと思いますし、もう一つは水揚高に対して何パーセントということと、御説のようにいろいろ資材その他の問題、それから魚價の問題、特に漁業経済全体が、國のいろいろな施策の中で非常に弱い位置にあるというために、経営そのものが非常に不安定になり率としてはそのままであつても、具体的にはもつと重い負担になる結果になるわけでありまして、もしこういう制度を実施することになければ、われわれとして漁業経営の安定ということに対して、資金、資材その他の面につきまして、改正の大きな基礎といたしまして、これを強力に進めて行かなければならぬ、こう考えておるわけでございます。
  132. 松田鐵藏

    ○松田委員 私は北海道の例をもつて申し上げてみたいと存じます。北海道における農地改革の問題は、開拓者が、内地の状態と違つて、ありとあらゆるあぶ、蚊に食われ、熊のすむあの北海の荒野において開拓をしたそのりつぱな土地が、今日農地改革の線によつて改革された。その意味から言つて、この漁業法の改正は、これはあの努力、あの行動に対して考えてみるときにおいては、むしろ私はやさしいことだと考えております。だがあの北海道における農地改革の線においての今日の悲劇が、やがて北海道においてぼつぼつ出て來ている。農地改革反対の声として、偉大な力をもつて現在進んでおるのであります。これは民主化ではない。むしろある人たの努力を何ら考慮することなくして、北海道の農地改革を行つたときにおいて、これからの北海道の開拓というものは、政府において、どのような施策をとつたところで、必ずや失敗に終るであろうと識者は言つておるのであります。時にこの漁業法の制定を見るにあたつて、私は開拓者の労苦、開拓者の努力に対して言つたならば、まだやさしいものであると先ほど申し上げたような考え方を持つておるのでありますが、一方漁民の立場から言つたならば、今まで長い間において漁業を営み、これからも営んとして行かなければならないときにおいてこの法案かできて、この改革が成立つて、これを全部没收されてしまうのである。しかもその後に起きるものは、自分らをこの逆境に陥れんとするものの維持費、つまりこの審議会の費用――農地改革においてはこれは國が負担している。だが漁業法の制定されたときにおいては、自分らみずからがこれを負担しなければならないのである。ここに政府の考え方が十分現われているのか。しかも水揚げによつて厖大な費用を負担しなければならない。この水揚げの何パーセントの負担というものは、漁があろうが、不漁であろうが、またいかなる犠牲を拂つて、費用がかかろうが、その費用の中にまで含まれているのである。かつて日本の國の資本主義経済当時における最も弊害とされたものは、貿易業者の利益の壟断であつた。その壟断にありとあらゆる努力をした。その精神からわずかの金融及び証券を持つているがために、五分であろうが、一割であろうが、こうした経費を、いな利金をむさぼつたのである。政府はただいまの御意見から行けば、金融をはかる、またいろいろな施設をはかるように聞こえますが、現在までのこの水産常任委員会において、現在においての金融の問題も、第五國会を経るに及んでも、一向に遅々として進まぬような状態である。わが民主自由党の政策としてかかる状態になつておるのである。われわれこれに対して、民主自由党の所属議員としてまことに憤慨にたえない。しかし國の財政の面からいつてやむを得ないことと考えておる。いかにこの法案ができ上つて、政府委員の説明されるように、今後において金融の面、ありとあらゆる漁業者の福利増進をはかろうとしても、決して日本の経済はさほどまでに簡單に五年や十年では行かないものであると私は考える。また砂間君が常に言うような言葉は、共産党の言うことは、――五十年や百年で共産党は政権をとれるものじやない。その人々の言うことと、われわれの真剣に言う話とは、その幅において違うのであるが、現在のわれわれ民主自由党の内閣においてて、もしこの法案を制定した場合において、漁業者はどのような苦しみをするか。税の問題に対してはこれからもつともつと真剣にかからなければならないが、いかに損害をしておつても、損害のときは所得税はかからぬが、この負担はどうしてもかからなければならないものである。これに対してあまりに過重であるということを私は申し上げておきたい。また政府においては、もつと現在の頭の切りかえのできない社会主義経済による考え方と、自由主義経済による経済の考え方をもう一回考えて、この料金に対する考え方を新たにして見る意思はないかどうか。この点をお伺いしたいと思います。
  133. 久宗高

    久宗説明員 ただいまの御質問でございますが、この法案は漁業生産力を上げ、漁業の民主化をはかつて行くというように第一條で言つてございますように、漁場の実体から、漁業の現在の段階から考えて割り出したものでございます。一つの特定の考え方を前提にしておるのではないのでありまして、全体の漁民生活の確保ということを大きな目標として、現場の漁場関係、これから出たものでございます。この点につきましては、農林大臣の提案理由説明の中にも詳細に述べておりますわけでございまして、一事務官僚から御説明すべきではないと思うのであります。
  134. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員  ただいま松田委員から免許料のことについて、質疑があつたのでありますが、それに関連して一つだけお尋ねしておきたいと思います。昨日の久宗説明員の御説明の際に、免許料、許可料は所得税の面で当然経費として控除されるのであるから、大した漁業経営に重圧を加えるようなことはあるまいと考えるという趣旨の御説明があつたように記憶しております。もとより漁業に利益が生じました際には、常にそのような結末になるのでありまして、所得税でとられるも、許可料免許料でとられるも結果において大した差異がそこに生じない、しかしそうでなく漁業に損失が生じます場合には、この免許料、許可料は当然大きな漁業の重圧としてかかつて來るわけであります。さような意味合いから言いまして、どうしても私どもとしてはこの免許料、許可料の大幅の軽減をはかるような法宏案全体についての措置をとらなければならない、こう考えているわけですが、この所得税徴收の際に、許可料、免許料が当然控除されるのであるから、漁業経営に大きな重圧にならないであろうというような考え方を――説明の不備でありましたためかどうかわかりませんが……。その考え方を修正していただく必要がありはしないか、この点が一つであります。それから全体の免許料、許可料と補助金額というものは当然見合つてきまつて來ると思うのでありますが、個々の漁業権に対する免許料の、個々の漁業権の補償金額と見合つてやはり具体的に差等をつけてきめるのであります。この点をひとつ明確にしておいていただきたい。
  135. 久宗高

    久宗説明員 第一点でございますが、所得税との関係において経費として当然に差引かれるものであるから同じではないかというふうに申し上げたのでありますが、これは一應形式上はまさにその通りなのであります。問題は税の実際のとり方がどういうふうに行われるかということが一つ、もう一つは、今後の漁業経営が所得が生ずるような形になるかどうか。すなわち一般の大衆の購買力に比しまして、魚値はあまり高く賣れないというのに対して経費が非常にかかるというようなことが依然として解決されないままに、全般として非常に経営が苦しくなる。こういう問題であろうと思います。その意味で先ほど松田委員の御質問に対しても、こういう措置をしたのちといたしましても、漁業経営の安定について最も努力しなければならぬ、こういうことを申し上げたわけですが、一應形式的に言えば、所得税との関係においては、経費として差引かれるものならば、從來かりに賃貸しておりました場合で考えますと、賃貸料として支拂つたものを――もちろんそれより軽くなるわけでありますが、そういうものを免許料とてし年々支拂うという形になるわけであります。もう一点、軽減する必要があるじやないかということについては、かりに負担がそれによつて増さないまでも、これを軽くした方がもちろんよいわけであります。しかしそれは同時に補償との関係があつて、軽くできるのには限度があるだろう、もちろん行政費の点につきましては、前申し上げたようなことでありまして。これはいろいろ問題がございますが、一應補償との関係においては、これが軽減し得る限度であろう、むしろあと漁業内部で負うといたしまして、どこでどういうふうに負つていただくかという問題ではないかと思うのであります。それは第二の御質問関連いたすわけでございまして、補償金額との見合いの問題でございます。これは農地の場合で申しますと、その農地そのものを買い上げまして、これを賣り渡すのでありますから、これはただちにバランスがそのままとれていいのであります。しかしながら漁業の場合には、実態的に見ますと、ある綱はほとんど同じという場合もあるでありましようが、消滅しました漁業権とそうでない新しい漁業権との間に直接的には関連性がない、同一物ではないというのがあるわけであります。これは形式的には全部がそうであるわけであります。そこで直接一件一件を結び合せるわけには行かないのでありますが、ただある海区につきまして、そこの定置関係のものを定置で追つて行くということが考えられるわけであります。ですから一應の計算の考え方からいたしましては、そういう、ふうにある漁区を單位にプールして、ある業種である業種のものを負ううという関係のものと、その受益が全般的にわたるもの、たとえば專用漁業権といつたようなものにつきまして、新しい共同漁業権に全部それを直接に結び付けるのではなくて最も受益の範囲が廣い場合に、その受益の範囲の拡大する場合が出て來るわけであります。つまり共同負担という場合が起つて來るのであります。行政費などはそれに類するわけであります。そこでそういうふうにリンクいたしますものと共同のものを両方くつつけまして、これを割りつけるという形になるわけであります。しかしながらそこのところの考え方は、結局一應補償と免許料というものは総額で見合つておるわけでありまして、これを如何に負つて行くかという問題につきましては、新しくその漁場関係から漁業種類の負担、度合いというものを考えて負つて行くのが正当ではないか、この思うのであります。またその場合に漁業権というふうに漁場の特定いたしますものについては、同じ定置の中でも差等が出て來るということが当然地代の観念からも出るわけでございますし、またある許可漁業などから考えました場合に、一隻一隻の差ではなく、一トン幾らというふうにいたしまして、馬力によつて多少そこにごくわずかな差等がつくという場合もあるわけであります。
  136. 石原圓吉

    石原委員長 第二章は御質問はありませんか。     〔「質問なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 石原圓吉

    石原委員長 第一章は質疑を終了したものと認めまして、第三章に移ります。三章全部を一括して議に付します。
  138. 田口長治郎

    ○田口委員 第三章を通じまして、一、二の点につきましてお伺いいたしたいと思うのでございます。この第五十六條の二号、このうちに「不当な集中に至る虞がある場合」これは定置の場合その他にもあるのでございますが、定世その他の場合におきましては非常に複雑なる事情にありますから、ある程度の基準というものを設定することが非常にむずかしい、そういうような意味におきまして、主として社会通念という点について、調整委員会の方に判断をさせておる意向のように承知をしておるのでございますが、この指定遠洋漁業の場合におきましては、非常に事柄が簡單である、こういうような意味からいたしまして、もう少し定置の場合よりもこの「不当な集中に至る虞がある場合」この意味をある程度基準を示されるのじやないか、こういうことを考えるのでございますが、この点につきましていかがでございましようか。  第二に、この「不当な集中に至る虞がある場合」これは生産力に立脚をして、全体の生産力の何パーセントをある人が集中をする。こういうような考え方によるものであると思います。あるいは人によつて甲はこの程度でいいだろう、しかし乙はいけない。人によつてそこに階段を考えられるものでありますかどうか、この二点をちよつとお伺いしたいと思います。
  139. 久宗高

    久宗説明員 ただいまの御質問の第一点の、五十六條第二号の不当な集中の意味でございます。これはお説の通り漁業権の場合には各海区によつていろいろ違いますので、それを形式的にきめるわけにいかぬということなのでありますが、この場合には、お説の通り漁業種類が限定してあります。これの内容につきましてはきめることが可能であろうと思うのでございます。ただそれをきめて行きます場合に、考え方といたしましては、結局今の第二点の御質問関連いたしますが、持つ人によつてかえて行くということではないと思うのであります。その漁業種類の資源と、それを実際にやつておる方とのバランスというものを見て、相対的な意味の集中ということになろうかと思うのであります。それでその場合に、具体的に何漁業では幾らということが実際問題としてきめられる段階が來ると思うのでありますが、それを今ここで法案中に何隻というふうに書いて行くことは妥当ではないのじやないか。むしろ漁業関係のものは、特に中央審議会でいろいろ関連いたしますので、そこの專門委員の間でも十分御檢討願つた上で、そういうような基準というものを設けていただくのが一番妥当ではないかというふうに考えられるわけであります。またさらにこの指定遠洋漁業規定そのものが特殊な関係で入つて來ておりますので、そこに許可隻数をいかにきめるかというような問題が、國際漁場との関係において非常にむずかしい問題があるわけでありまして私どもといたしましては、今ただちにここで何隻というところまできめてしまうのを避けたわけでございます。
  140. 田口長治郎

    ○田口委員 それではただいまの問題は、今は基準を定めていない。その原案がない、しかしいよいよ実行の場合におきましては調整委員会に諮つて基、準をきめるのだ、こういうふうに承知してよろしゆうございますか。
  141. 久宗高

    久宗説明員 この法文の上に委員会できめるとは書いてないのでございますが、そういうような大事な基準につきましては、中央漁業調整審議会の性格から見まして、当然主務大臣としてはそこに諮問して固めて行くということであろうと思うのであります。
  142. 田口長治郎

    ○田口委員 ただいまは何もありませんですか。腹案にお考えになつておる点は……
  143. 久宗高

    久宗説明員 これについてはただいまはございません。
  144. 田口長治郎

    ○田口委員 それでは第二の問題として、第五十八條の四項の「許可又は起業の認可をしなければならない者を二以上の組に分け、各組ごとに許可、又は起業の許可をすべき数を割り当ててくじびきを行い、」とありますが、このく、じ引きに至るまでの経過を一應お伺いしたいと思います。いろいろな方法をここでは御研究になつたと思うのでありますが、やむを得ずくじ引きというところに落ちついたのではないかと思うのであります。公平という点から言いますれば、くじ引きけつこうかもしれませんけれども、しかし実際に仕事をよく伸ばすという点から言えば、公平という点だけを考えた場合いかがかと思いますから……
  145. 久宗高

    久宗説明員 これは漁業権の方で申しますと、適格性があつてあとそれをまた優先順位できめるということになるわけであります。そこでこれも同じように優先順位というものを書けばよろしいわけでございますが、漁業の場合には、その漁場の独占性に基いて、優先順位の中で考慮すべきいろいろ要素があるわけであります。それに対して許可漁業の場合には、これをこまかく書いて参りますと、ある一つの項目だけで振り落して行かなければならないという結果になるわけであります。つまりいろいろな要素があるわけでありますが、それを優先順位できめて行くということになつた場合、一つ一つの項目でだんだん落としていくというやり方になるわけでありまして。それ画一的にきめますと、非常に妙なことになるわけであります。客観的に見れば、だれが見てもこちらの方がいいというにかかわらず、それがある一つの項目だけで落つこつてしまうということになるわけでありまして、われわれとしてはこれは特にこういうことを考えてというふうな勘案項目でも考えまして、そうして行政官廰がそれを判断するというふうにしたい、こう思つたのであります。しかしながらそれは行政官廰の恣意的な考慮が非常に入つて來るという点と、こういうような漁業は、相当漁場の関係から申しますと、一つ一つ経営内容につい漁業漁業権のように特定いたさないために、特にそれを嚴密に言う必要はない。むしろ適格性がある人間が公平な機会を得られて、そのだれがやるということについて、官僚の判断でどつちか左右されることがないようにというような趣旨で、ここに最後に適格性だけを問題にして、くじ引きにしたらいいではないかというところに落着いたわけでございます。これとの関連で、捕鯨の問題が一番最後に出ているわけでございますが、これについては、実はいろいろな問題があるわけでございます。それでただここのところを適用外にいたしましたのは、國際捕鯨條約の履行その他の問題もございますし、また数が非常に少いので、いろいろ総合的に経営内容を見て行かなければならぬ。しかもそれがはつきりどちらが優劣かわかるものについて――もちろんこれに官僚の恣意が入つてはいけないのでありますが、一應客観的にわかる――それをくじ引きにするのはいかにもおかしいというので、ここに除外規定を設けたわけでございます、しかしこれもやはりこの種の漁業の許可について、もしその場合に官僚の恣意的判断が入るということであれば、問題があると思うのでございます。
  146. 田口長治郎

    ○田口委員 どうもこの問題につきましては、いたずらに官廰がくちばしを入れると民主化を妨げるということにおびえられて、こういう方法をとられたのじやないか。われわれの考えによりますと、善良なる官僚の判断というものは、くじ引きよりも非常に業界を伸ばす上においていいのだ、こういうことを考えております。あらゆる條件が同じだというものがあつた場合、こういうこともやむを得ないと思いますが、あらゆる條件が同じであるというものは、おそらくあり得ないと考えるのでございます。そこでからにどうもほかはいいけれども、ある一項について不合格になるという人がいるといたしましても、くじ引きで当てずつぽうに落ちるよりも、まだ科学性があり、合理性があるのじやないか、こういうことを考えるのでございますが、これは意見の相違もあろうと思います。  第三の問題といたしまして、第六十四條の、すでに許可または起業の許可をとつているものが、総体の数が減じたために、減らされる。この場合においては当然國の補償が伴う責任がある。われわれは出さなければならぬと考えるものでございますが、この点についてどうお考えでございますか、お伺いいたします。
  147. 久宗高

    久宗説明員 法律的に申しますと、許可そのものについて補償がいるかどうかという点は、漁業権のようた場合に物権としてきまつているものとは相違があるわけであります。漁業権の場合には、これははつきり物権として材産権という競走がございますから、憲法上も当然補償がいるものでございます。しかしながら許可というものについては、許可すなわちただちに補償がいるとはきまらないと思うのであります。それは現在の憲法によりますと、この許可の内容が貯産権として認められるかどうかという社会経済的な実態の判断になると思うのであります。つまり許可そのものが営業権として――いわゆる営業権、これは法律上の観念ではございませんが、営業権として認められるかどうかということによつて、この補償の問題がきまつて來るであろうと思うのであります。でありますから形式的に許可は補償がない、権利は補償があるとは申せないと思うのであります。そこで今度具体的にこの補償の問題が起ります場合に――補償の問題と申しますよりも、整理の場合の問題といたしましては、その許可の内容が営業権として憲法上の補償がいるか、どうかという具体的な問題になるわけでございまして、ここで許可なるがゆえに補償すべきである云々という御返事はできないわけであります。
  148. 田口長治郎

    ○田口委員 この遠洋漁業の許可につきましては、とにかくある程度の制限がある。許可を受けた者だけができる。こういうような関係からいたしまして、法律上の意味はどうあろうとも、この許可によつて営業をしている、このことだけは事実でございます。私らは、許可によつて営業をしているということによりまして、営業権、これには社会通念上間違いない、こういうことを考えるのでございます。それと第二に、これが一定の数い制限されておる。こういうような関係からいたしまして、この許可を現に賣買をされておる事実があります。そういうことをしてはいけないということになつておりますけれども、実際はそういうことになつております。こういう点から申しまして私らは一種の重大なる財産権だ、こういう点も考えるのでございます。営業権及び財産権、こういう点から申しまして、そこに漁業権が物権であるから当然に補償する。あるいは一方は許可であるからそれで補償の義務なし、こういうような判断は実際において大きな錯誤に陥ると考えるのでございます。いわゆる理論のために実際を忘れてしまう、そういうような結果になると考えるのでございまして、漁業権にいたしましても、あるいはこの許可にいたしましても、とにかくそれによつてわれわれは営業をし、そうしてそれが生活の根源になつておる。こういうような意味から申しましても、多少の疑義がある。こういう程度におきましてこの問題を葬られるということは、はなはだ不本意でございますが、その点につきまして、もう一度明快なる御答弁を要望したいのでございます。
  149. 久宗高

    久宗説明員 この六十四條は、許可の定数がきまりました場合に、どうしても減らさなければならないという場合の減らし方の根拠規定をなしておるわけでございます、ただ実は、ここは各漁業種類ごとに減らし方がいろいろ違うわけでございまして、減らす場合には、そういう事由が起りました場合には特別法がいると考えておるわけでございます。そうしてその特別法の範囲内におきまして今のある漁種が整理されるという場合に、その営業権、その許可を受けてやつておる経営の全体が、憲法で補償を要する営業権と認められるかどうか、こういうことの実態判断がせられるということだろうと思うのであります。つまり許可漁業だから補償はいらないということではない。これは田口委員のおつしやる通り、やはり経済的な実態の判断から、憲法上の営業権としてこれを補償すべきかどうかという問題がきまるものであろうと思うのであります。その場合に補償するといたしましても、その補償の現実の負担を、だれがするかという問題は、その漁業種類によりまして、また整理の方法によりましていろいろ違うと思うのでありまして、個々の、漁業種類ついてそういう事例が起りました場合に、特別法の中で規定したいと思うのであります。
  150. 田口長治郎

    ○田口委員 補償の問題その他は別といたしまして、すでに許可をされておるものを、定数が少くなつたために減らす。このことだけでございますれば、この六十四條でできるのではありませんか。
  151. 久宗高

    久宗説明員 その場合補償という問題が起りましたときには、それによつて生じた損害を補償するということになると思うのであります。その損害のいかんということになろうかと思います。すなわち物権の場合にはこれを権利といたしまして、その権利を評價いたしまして、つまりその権利によつて得られる所得といつたものを還元して行く行き方で、その補償の額がきまるわけでございますが、このような許可漁業の整備の場合において、それをいわゆる権利と同じような形において補償の額をきめるかどうかという点も違うわけでございます。現実にそこに生じた損害に対して補償して行くという形がとられる。またそれが正当であろうと思うのであります。
  152. 町村敬貴

    ○町村委員 もう端的に御質問を申し上げます。指定遠洋漁業の許可は、船と権利というものはいつでも、同一視されて、船を賣つた場合はその権利も当然譲渡したものと見なして許可するということなんですが、そうしますと、つまりかつお・まぐろの漁船あるいは機船底びき網漁船が、だんだんどうもその漁業に適しなくなつた。こういう場合に、代船を建造するという目的で他にその船を賣つたが、船と権利とが並行するものであるとするならば、その場合当然船を受けた人が権利を獲得して自営できることになるのですが、この点はどういうふうなわけからそういうふうに、いわゆる船と権利というものが並行するようにしたか。あるいは船が譲渡されれば当然権利が移つたも、同様であるという御見解か、まずそれが第一点であります。
  153. 松元威雄

    松元説明員 ただいまの御質問は、船が古くなつた場合にその船をよそに賣つたら、その者が許可を得るのではないかという御質問でございますが、この場合には、船が古くなりましたために、もしその者がその船を……
  154. 川村善八郎

    川村委員 古くなつたというのではない。小さくなつたという場合です。
  155. 松元威雄

    松元説明員 新しく代船を建造して、自分が許可をもらうということは、この代船許可の規定があるわけで、それによつて許可を受けるわけであります。そうしました場合には、前の船の許可は消滅いたします。從つて、消滅してしまつたら前のかつお・まぐろ漁船ではなくなつてしまうわけで、單に船をよそに賣つたからといつて許可がついて参りません。
  156. 川村善八郎

    川村委員 そうすると結局船を買つた者でも、権利の譲渡はないという意味でありますね。
  157. 松元威雄

    松元説明員 そうであります。つまり許可をしても、譲渡すれば権利が移る意味ではありません。
  158. 石原圓吉

    石原委員長 ちよつと速記をやめてくれたまえ。     〔速記中止〕
  159. 石原圓吉

    石原委員長 速記を始めて……
  160. 川村善八郎

    川村委員 先ほどくじ引きのことで田口君が大分食い下つておりましたが、一体すべての漁業を見るときに、條件が同じだということは、観念的にも実際的にも考えられない。だからここではくじ引きとしてありますが、われわれはくじ引きなどということになると、またその間どういうくじ引きをするかという疑念も持つのでありますからその点はくじ引きでない方がいいのじやないかという意見だけを申し上げておきます。  それからさらに最後の補償の問題も同様であります。つまりこれは財産権であるから補償するとか、物権として認められないから補償しないといつたようなことも、田口君の言われた通りであります。いやしくも行政官廰が許可をしておいて、それを漁業行政の都合上減船して許可の取消しをするという場合は、私は当然國家が補償すべきであるという意見をつけ加えまして、私の質問を終りといたします。
  161. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 この指定遠洋漁業の章全般を通じて、各條項を一貫しておるのでありますが、浩岸漁業の場合には、全部國で漁業権を買い上げて調整するのでなければ漁業の民主化は達成されない。こういう方針で一貫しておるようでおります。しかるに指定遠洋漁業の場合にはそのような方式がとられていない。この五十九條におきましても継続許可として現在の漁業法で許可になつておるものは、新法施行にあたりましても、ほとんど大部分許可を継続できるというようなぐあいになつておるわけであります。このように当局の案で見ますと、沿岸漁業の場合と指定遠洋漁業の場合とは、民主化の方法論において根本的に違つた方式をとつておるわけであります。このまつたく異なつた方式をおとりになつたその根本的理由をお聞きしたい。はたしてこのような方法によつても、指定遠洋漁業に関する限りは民主化の目的が十分に達成できるかどうか、その点をまずお聞きしたい。
  162. 久宗高

    久宗説明員 これは私は当然に原則が違つてよろしいのではないかと思います。すなわち漁業権漁業と許可漁業というものは漁場行使方法が違うわけでありまして、ことにまたその中でも、指定遠洋漁業に入るようなものと普通の許可は相当違いがあるのではないかと思います。漁業権の場合には漁場が個別的に特定いたします関係で、いわゆる民主化の内容の中にいろいろな複雑な関係が入つて参ります。ことに一番問題になりますのは漁場のつくり方そのものであります。今度の制度の改正において、生産力発展という問題を、漁場の総合的な利用という点から考えようといたしました場合、どうしても漁場のつくり方を根本的に改めなければならない。そのためには一王漁場を白紙にしなければ、その関係ができなかつたわけであります。同時に漁業権技術的な置き方から出発いたしましてその漁場のつくり方そのものについて、漁民の総意が反映できるような方法をとりたいということが根本になつたわけでありまして、そのために全面的な切りかえということが行われたわけであります。それに対して許可漁業、指定遠洋漁業の場合で申し上げますと、そういうような漁場のつくりかえをやる必要はないわけでありましてむしろ問題はその経営内容にあると思うのであります。また一般的に集中排除といつたような問題につきましては、現在それに携わつている会社その他が、そういうような観点から問題を受けているわけであります。またもつと別な漁業の角度から見た場合、たとえば不当な集中ということが言えるじやないかという問題と、また同時にその経営内部におきましてその経営内容が普通の沿岸漁業よりは、もつと資本的な経営形態をとり得るような形になつておりますので、普通のいわゆる小漁業とはその内部における民主化の内容も違うではないか。すなわちその経営内容の民主化ということが別の角度からできるのではないか、こう思うのであります。從つて捕鯨から一本釣りに至るまでいろいろあるわけでありますが、おのおのその漁業形態の発展段階におきまして、その内部における民主化の内容も具体的に違つて來るはずだ、こう考えておるわけであります。
  163. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいまの御説明によりますと、沼津漁業の場合は生産力の総合的な高揚、漁場の総合的な利用によつて生産力を高めるという、そういう面からの理由として一應考えられるわけでありますが、先ほど私が御質問申し上げたのは、生産力の面には触れずに、民主化の面からこの問題を取上げたわけであります。長官の御説明によると、生産力より民主化に重点を置いて立法したというのでありますが、生産力発展はしばらくおきまして、民主化の面からこれを取上げました場合に、沿岸漁業の場合には全面的な買上げをして、根本的な調整をしなければ民主化ができないが、指定遠洋漁業の場合はそれができる、こういう今の御説明では十分割切れていないように思うのであります。私はこの資本性の指定遠洋漁業におきましても、民主化の観点に立つてこれを檢討いたしますならば、これを継続許可としてやらして行くというような方式で、はたして民主化の目的が達成されるかどうか、こう思うのであります。私はこの指定遠洋漁業経営内容を檢討いたしますと、経営と労働というものが、沿岸漁業の場合よりもきわめて明確になつておるわけでありまして、この資本と労働の間に、はたして利潤の公平な配分が期せられておるか、分配の社会化が期せられておるかどうかという点が、一番明確に。この指定遠洋漁業の民主化を期する場合は取上げられなければならぬ重点だ。こう考えておるのであります、しかるに本法におきましては、ほとんど継続許可によつてこれを認めて行くという方式をとつているのでありますが、この方式によつて、はたしてその資本と労働との間における分配の社会化、それを中心としたところの漁業の民主化という目的が達成できるかどうか、この点をお伺いしたいのであります。
  164. 久宗高

    久宗説明員 この指定遠洋漁業内容を見ますと、大体において資本的な経営に移つているものが大部分なのであります。その内部の民主化の問題にいたしましても、当然そこで今の労働と資本という問題が出て來るわけでありますが、経営の問題といたしましては、一應不当な集中とか独占の排除ということが、別の法律でもできております。いわゆる労働の問題にいたしましても適用の法規が相当違うわけであります。労働基準法でなくて船員法が適用されるといつたような関係で、適用される法令も違いますし、労働の内容も沿岸の小さな経営とは非常に違うわけでありまして、この内部においては、いわゆる普通の船員法の規定、その他たとえば労働組合に関する法令が特に問題になるであろう、こう思うのでおります。そういうようなものにつきましては、今御説明のありました通り、この適格性の中に入れているわけでありまして、そういうようなものにかりに抵触するということであれば、適格性がないということで振り落されるということであろうと思うのであります。これによつて指定遠洋漁業においてはいわゆる民主化というものを内容にして考えられている。これに対して沿岸の場合には、かりに労働関係一つつて見ましても、いわゆる普通の労資の関係ではなしに、それに漁場の独占性と結びつきまして、いろいろいわゆる古い封建的な要素のものが含まつているわけであります。自由な労働力の販費という形にはなつていない、こういつたような問題がありますので、観点も違つて來るわけであります。これは漁業内容によつてかわつて來るわけであります。
  165. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 立法者は、この法案も見ました場合に、日本の漁業を沿岸漁業と指定遠洋漁業、こういうぐあいに割り切つて規定を設けているのでありますが、この間にはマニの段階にあるところのいろいろな漁業があるわけであります。巻網漁業でありますとか、あるいは以東の底びき網漁業でありますどか、そういうような、技術的に申し上げますならば沖合い漁業というようなものがあるわけであります。これらのマニの段階にありますところのこの沖合い漁業につきましては、水面の総合的な利用によつて生産力を高めるという観点から見ますならば、この巻網漁業あるいは以東の底びき綱漁業のように、マニの段階にある最も中堅的な漁業に対するところの調整を試みなければ、この法案が意図しているところの目的は達成できないじやないか。この部分調整委員会の今後の課題としてこの法案から除いているということについては、最もこの法案の欠陥ではないか、こう私ども考えているわけであります。從いまして当局としてはこの指定遠洋漁業のほかに、指定沖合い漁業というものをはつきりと明記いたしまして、巻網漁業、以東の底びき綱漁業のごときものは指定沖合い漁業といたしまして、そして生産諸條件を同じゆうするところの相当廣い海域にわたつて海区を定め、それに対する操業の隻数の計数等を定めまして、そうして総合的な水面利用、それによる生産力の合理的な発展、これを期する御意向がないのであるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  166. 久宗高

    久宗説明員 立案当局が、沿岸漁業と指定遠洋漁業だけに割切つて書いている。そうして許可漁業、ことに以東底びきあるいは巻網漁業関係規定してないのは不備ではないかとおつしやるのは、まさにその通りであります。ただ問題は、指定遠洋漁業は、さつき申し上げましたような特殊な許可の仕方というために、ここに入つて來ておるわけでありまして、一般の許可漁業につきましては、私どもの考え方といたしましては、現段階においては、この許可の運用を制度化するという段階ではないのではないかと思います。つまり入漁関係をいろいろ調整して行く必要もありますし、あるいは以東底びき、あるいは巻網漁業経営内容を民主化して行く必要はもちろんあると考えますが、それを制度といたしまして、この法案に規定するまでには実態がまだそこまで行つていない。つまり制度化化するにそこまでの現実的な準備がないわけであります。つまりそれは結局突き詰めて申しますと、ほんとうの資源というものが明確につかまれていないということであります。これを実情から離れてある形式的に制度化してこの中に織込むことは、むしろ混乱があるではないか、もう少し現状においてそういりような制度化の基礎の準備をいたしまして、それからあとで本格的に制度の中に組み入れるべきである。もちろんその間放置するのではなく、各種の入漁の調整その他を並行してゆく。ただ現段階において漁業調整委員会とこれを直接関連をつけて行くというところまでには行つていない、こう考えるわけであります。
  167. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 久宗経済課長の御答弁もその必要は十分お認めになつておるように承るのでありますが、ただ当局としての資源調整、その他の準備、調査が進行していない。こういう御説明のように承知いたしたのであります、しかしながら前段にお話がありましたように、まだこれらの巻網漁業、以東底びき漁業という許可漁業について、そういうような制度化する段階に至つていない。これは当局に準備がないために段階に至つていないという御答弁であるならば了承するのでありますけれども、日本の現在の漁業制度漁業の実態から見まして、その必要がない、まだその段階に達していないという趣旨の御答弁でありますならば、これはまつたく現在のわが國の漁業の実態を知らざるものである、こう私は断ぜざるを得ないのであります。今日わが國の漁業に重点は沿岸漁業から沖合い漁業に移行しておる。今後ここにわが國の漁業の大きな比重を置いて、この面にあらゆる漁業施策を進めて行かなければいかぬので、いつまでも沿岸、箱庭のような漁場経営しておりましても、決して沿岸三百万の漁民大衆の運命は開拓できない。どうしても沖合の回遊魚をいかに合理的にとるかということに重点を置かなければ、わが國の漁業の眞の発展も、國民生活の安定もあり得ないと私どもは考えます。そうしてすでに今日巻網漁業にいたしましてを、あるいは以東の底びき網漁業にいたしましても、あるいはさんまの流し網、棒受網漁業等におきましても、各地方においてこれを大きな國家的な観点から調整することを要請されており、まさに漁民の要望、これが合理的な調整を早急に当局に要求しておるのであります。私どもはこの漁業法、非常に複雑な関係にある沿岸漁業を二箇年の間にやろうという勇断を持たれるならば、今後二箇年の間に十分資源調査等を推進されて、この漁業法案によつて、少くとも二箇年後には沿岸の漁場調整と同時にこの種漁業調整ができるものとわれわれは確信し、それだけに当局に熱意と準備がなければならぬと思うのでありますが、これに対する御答弁を要求いたします。
  168. 久宗高

    久宗説明員 ただいまの御質問の中に、制度化の段階に至つていないという意味が、そういう実態がそこまで行つていないというのか、あるいは準備の関係が、こういうお話でありますが、これはまつたく実態はまさにそこまで必要があるわけでありますが、ただそれを現実制度化して、しかも実行し得るというだけの準備がないという意味であります。当然この問題はいわゆる制度の中に組み入れないといたしましても、今の現実の施策を見ましても、一番そこに重点が行つておるのでありまして当然調整して行かなければならないのであります。それを確定的な制度として組み入れるのはその後になるだろうという意味であります。またこういうものについて手を着ける意思がないかどうかという話でありますが、これはもちろんお話のありました通り、重要な漁業でありりますし、当然段階を追つて手をつけなければならぬ問題であります。しかもそれは決して遠い時期ではなしに、準備を進めまして、可及的すみやかにやるべき仕事だと思うのであります。先ほどお話の指定沖合い漁業と言われる以下のもの、いわゆる縣の許可漁業については、二年後の切りかえのときには一應許可漁業内容の整理は必要だと思うのであります。ただ許可を受けておる方々の問題をどういうふうにするかという問題につきましては、これは全面的の切りかえという方法ではなしに、やはり詳細にわたれば適格性とか、優先順位をきめるべき性質のものであつて、官廰において恣意的に許可すべきものではないと考えております。ただ現実的に考えますと、沿岸の一番の基礎にあります漁業権を二年間に整理いたして参ります場合に、これに加重して同時にこの問題を取り上げるということは、むしろ非常に危險がある。こう考えますけれども、それを二段の構えにしただけでありまして、決してお話のあつた指定沖合い漁業にいたしましても、あるいは一般の府縣の許可にいたしましても、これは全然ほつたらかすということではないのであります。
  169. 田口長治郎

    ○田口委員 先ほど鈴木委員は指定遠洋漁業は大体許可が継承的になつておる。それは沿岸漁業と同じ方向に持つて行くのが民主的である、そう考えるべきではないかというような御意見があつたようでありますが……
  170. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 そうではありません、それは違います。
  171. 田口長治郎

    ○田口委員 もし違いますればその点は取消しますが、私の考えによりますと、その沿岸漁業の方が実際に行き過ぎておるのではないか、むしろ沼津漁業の方もこの指定遠洋漁業と同じ思想、同じ考えで行くべきではないか、こういうことを心から考えておるものであります。先ほどからの御説明によりますと、民主化をするためには全部御破算にしてしまわなければならぬ。何のために御破算にするのか、それは水面の総合的な利用をはかる。それでなければできないのだ。こういうような御説明のようでございますが、この五日から今日まで、各議員の氣持がどうしても本法に対して割切れない最も大きな原因は、水面を総合的に利用する、この問題が的確に説明されない点にあると考えるのであります。御承知通り、沿岸漁業一つ定置漁業を例にとつて考えてみますと、あの定置漁業が今日あるべき水面にあるまでには、いろいろな海底の傾斜なり、あるいは潮流の関係なり、あるいは風の受け方なり、魚の回遊状態なり、いろいろな條件を年一年と改良いたしまして、ようやくそこに安定をしておる。また人工的に申しますと、せつかくこの場所が非常にいいのであるが、しかし海底の状態がどうしても網を引けない。こういう場合におきましては、少くともいろいろな方法をもちまして海底の地ならしをやり、障害物を除いてようやく網が引けるような状態になる。そしてそこに今日定置漁業というものが設置をされておる。あるいは底びき綱を考えてみましても、今日漁業岩がやつておる状態を見ますと、海底に岩がある、ここまで行つたら岩があるから、一應網を上げて、そうしてその海底の岩を越してさらに綱を入れてひつぱつて行く。あるいはつりの関係考えてみましても、海底の魚がどこにもあるものではありません。瀬があつてその瀬から砂あるいはどろに落ちるその境のところに魚がおる。その境のところはほんとうに特殊な漁業者だけが、山と山とを見通して、そうして初めてその地点を押えることができる。こういう状態におきまして、今日の漁業肴が生産をされておるのであります。それをこの漁業者及び漁業從業者を主体とする漁業調整機構の運用によりまして、ほんとうにその漁業についてわずかの人しか実際の海底までわかつているような專門家がいない。こういうような実情にあるものを、この調整委員会の十名ぐらいの人が、この海面をいかに総合的に利用する方法を講ずるか。こういうところに非常に疑問があるのであります。昨日でしたかあるいは一昨日でしたか、長官も結局現在の状態におちつくのだ、善良なる経営者には、また新しい法によつて漁業権が行くのだ、こういう状態になるだろう、こういうことも申されておつたように記憶するのでありますが、これはもつともな話でございまして、結局今日の漁場を十人程度のこの委員会の人が総合的にやり直す、こういうことができるかできないか。その点について非常に不安があり、そうして見通しがつかないのでございます。この見通しのつかないことをやるために、全部を御破算にしなければならない。こういうようなことになつておると思うのでございますが、初めからいろいろな意見がありますように、どうも農地改革にいたしましても、その他の経済関係の改革にいたしましても、ここに非常に弊害があるから、これをこう直さなければならぬ、こういうようにいわゆる悪いところをはつきりとつかんで、そうしてその点を矯正する、こういうようなことでありますといいのでございますけれども、どうも総合的の利用ということが、はつきりと底がつかめない点があるわけでございます。われわれがど考えてみても、水面の総合的利用によつで漁業生産力発展を期する、こういうことはむずかしい、こう考えておる。そのことを実行するためにすべての漁業権を御破算にしてしまう。そこにどうも割切れない氣持、そうしてほんとうに踏み切ることのできない問題があると私は考えるのでございます。もし、全國のどこでもよろしゆうございますが、一定の海区をとつて、あの海面でこういうおぜん立てをしたら現在よりも生産がずつと上るのだ、こういう一つの模型でも、あるいは計画でもありましたらお示し願いたいと考えるのでございますが、何といたしましても総合的の利用漁業生産力発展させる、この文句がわれわれには割切れないのでございます。この点について何か一海区の問題でもよろしゆうございますが、水産廳で計画しておられる、あるいはおぜん立てをしておられる、そういうようなものがありますれば具体的にひとつ説明をしていただきたいと思います。
  172. 久宗高

    久宗説明員 水面の総合的利用という点について納得が行かない、ことにそれが十人くらいの委員でできるものではない、こういう御意見だろうと思うのでありますが、まずそれを実体としてやります委員会、これはもちろん十人でございますが、これは決して十人だけでやるのではなしに、それに漁民意思が反映するわけであります。つまりその海区の関係漁民の総意が表現されるものと考えておるのであります。また実質的には專門委員もこれに加わり得るわけであります。それから水面の総合利用ということにつきまし、ては、漁場計画という所で申し上げましたけれども、これは決して技術的に網をどうということだけではないのであります。そういうふうにかりにある漁場でもつて、すでにここはよく考えてできておるという場合においても、なおかつその経営内容は問題になるわけであります。この網をだれが経営するかによつて他漁業ができる場合とできない場合、こういうことが出て來るわけであります。ある特殊な経営者がその網を持つてつて、その権利を非常に主張する場合には、どうしてもこれと経営が別であれば他の漁業と両立しない、しかし経営が一本であれば確かに絶対量が上るような運営の仕方があり得るわけであります。また現にあるのであります。そういうものを総合したものが漁業生産力でありまして、ことにそういうようなある大きな権利の帰属者がだれであるかということによつてそこにおける小さな漁というものは非常に影響を受けるわけでありまして、われわれはそういうものを総合いたしまして漁場の総合生産量というものを考えて行きたいと思うのであります。またそれによつて漁民の生活と申しますか操業ということももつと多角的に組合わされて合理化されると思うのであります。從つて決してただ技術的に綱をどつちに持つて行くかということでなしに、それにいろんな漁民の利害関係が反映するわけでありまして、そのために漁場を初めからつくり直すという場合には、当然網の技術的な條件のほかに、そこのいわゆる経済的な関係というものが反映されて來なければならないし、またその意味においてつくられた漁場計画が具体的にだれに免許されるかということが、やはり非常に大きな問題になるだろう、どういう方によつてどう経営されるかということが非常に大きな問題だろうと思うのであります。所有のみでなく経営の問題であり、両者は漁業の場合には切り離し得る問題ではないのであります。
  173. 田口長治郎

    ○田口委員 とにかく現在どの漁業もある程度適当にやつているわけなんです。もしこの一地方、一海区においてそういう問題がありますれば、その点を改正する、こういうようなことが実際的に混乱しないで、生産力を維持あるいは増進する方法でないか、こう考えるべきであります。そういう問題があつたところを矯正して行く、こういうような行き方が最も適切な行き方ではないか、こういう感じがするわけであります。そういうところも確かにありましよう。しかしそういうわずかある問題のために、ほかの、何もそういう必要のないところをこわして混乱させることはどうかというわけなのであります。
  174. 石原圓吉

    石原委員長 本日はこの程度で止めたいと思います。明日は法案のほかに重要な問題もありますし、法案はできるならば明日で審議を終了を願いたいと思います。明日は土曜日であり、速記等の関係もありまして、できる限り正午までに終りたいと思いますから、明日はことさら御勉強下さるように正十時にはどうか出席下さるように特に希望いたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時二分散会