○飯山
政府委員 漁業権制度の改正法律案につきまして、閣議提出後の経過並びにその改正の要点を御説明申し上げます。
漁業法の改正は前國会におきましても、第五回國会には劈頭に提案せよという御要望を受けておつたのであります。しかるに
漁業法のすでに
関係方面の了解を得たものはすでに公表したのであります。ところが衆議院における公聽会、並びに協同組合法の実施に伴いまして、各地方のブロツクごとに会合を催して、各地における
漁業者、漁民の声を聞いた結果、その原案では適当でない、かように
考えまして、それらの公聽会における
意見並びに地方における要望をできるだけ織り込んで、そうして修正を加えて出したいというようなことで、実はその
関係先の方面との
折衝が非常に手間どりまして、修正案を
関係方面に出すこと自体に大体問題があつたのであります。ところがいろいろ
折衝の結果、ようやく三月初めにな
つて大体修正を加えて取扱おう、こういうことに交渉が相なりまして、それから修正を加えたのであります。そうして四月五日の持ちまわり閣議においてその修正を加えた案をかけまして、閣議の決定を得て七日にこれを
関係方面に提出したのであります。目下
関係方面において
——実は本日も、
経済課長が担当課長なのでありまして、ここに出席するはずでありましたが、
関係筋に來いというようなことで、実は課長があいにく病気のために、ほかの
事務官が加わ
つて本日も出ておるようなわけであります。われわれといたしましてはできるだけ会期の
関係もありますので、早く
手続の完了を念願しておる。でありますが、今のところいつごろその了解が得られるかということは、
はつきり見通しがついておりません。しかしながら会期にもし十分な時間がないとすれば、國会の
手続きをしていただきまして、継続審議するというようなことで、これを御檢討願いたい。かような
考えを持
つております。
その修正加えました要点は、
漁業制度改革構想の概要というのをお手元に差上げてあると思いますので、これで大体御了承を願いたいのでありますが、その概括を御説明いたしたいと思います。この各項目によらずに、最初に公表されました原案について、大体三点について修正を加えたのであります。
その
一つは専用
漁業権いわゆる根付
漁業権——根付
漁業権というのは今度初めて名称をつくつたのでありまして、大体海草類のようなものを
考えて根付と言つたのであります。それだけを協同組合に許可する。そうして協同組合はみずから経営しなくとも、その権利だけは組合員に行使させる、こういうことにな
つておつたのであります。從來專用
漁業と指定されたものは、全部許可
漁業もしくは自由
漁業にするというのが最初の案であつたと思いますが、この点が公聽会及び地方において最も問題であつたのであります。その点を非常に廣げまして、ここに上げてありまするように
定置漁業権
——これは小型の定置でありますが、大体名称を一級、二級、三級、四級というようなことに、一般の
定置漁業ではわけておりまするが、その第四級というものはきわめて小型な
定置漁業で、これをやはり協同組合に乗せることにいたしました。それから地引、船引、地漕ぎというようなもの、それから築磯、寄せ魚
——瀬戸内あたりにありますが、そういう人工によ
つて、つまり根付の魚を集めるというような、そういうものも專用
漁業として
——專用
漁業という名前はありませんが、それを協同組合に乗せる。その他養殖
関係のものも乗せる、これが最も重要な点であつたのであります。
もう
一つは優先順位の問題でありますが、これの変つた点は、村張というような、大体その村の三分の二以上の
関係者をも
つてや
つているような場合には、優先順位として最優先の権利を與える。第二には
生産組合に與える。ところがこの
生産組合につきましては、北海道は内地と事情が非常に異なりますので、北海道に
限つては特例として、
生産組合の優先はしないということになりました。
第三には補償基準の問題であります。御承知のようにこの法案をつくり始めましたのは一昨年來でありまして、その当時の補償の基準は
昭和二十一年、二十二年、二十三年、この三年間の大体
魚價を標準としてその平均を基準にする、こういうことにな
つておつたのであります。ところが御承知のように、終戰後の非常な混乱した二十一年及び二十二年、二十三年というのでは、必ずしも公正な
数字が得られないというので、二十二年七月一日から二十三年の六月三十日までの実地調査をいたしたのであります。その結果相当正確な資料が得られたので、二十二年の七月一日から二十三年の六月三十日までの一年間の
魚價を基準として補償する。これが從來の原案から最もかわつた点であります。その他はここにあげてありますように、名称が違うというようなことがありますけれ
ども、大体この三点が重要点であります。それらの点を以上申し上げたように修正を加えまして、目下
折衝を続けておるわけであります。なお詳細につきましては岩本説明員の方から説明いたさせます。