○
金森國會圖書館長 ただいま二件の御
議定を
願つておるわけでありまするが、この
図書館が生れましたのが、
法律上は昨年の二月の初めでありまして、
実質上は昨年の六月の五日からでございました。生れました年次を数えますれば
実質的には一年には
相当足らないという
状況に
なつております。その経過をごく骨組だけ
説明をさせていただきますると、この一年足らずの間に無理に無理を重ねまして、
場所もない、人も整わない、
書物も得られないというような
状況の中で、
皆様方そのほかの
方々の御
協力によりまして、やつと今日ある程度までの状態に到達いたしました。こまかいことは別といたしまして、
図書館として一番主眼といたしておりますのは、
立法に関しまするいろいろな
調査、場合によりましては
法律案までもつくるという
任務、これが
一つの大きな
部門であります。他の
部門は
國会、
行政官廳、
裁判所及び一般の
國民に
図書館で普通扱いまする
文書、図画その他のものを閲覧、参照に供する、こういう
任務であります。
立法調査の方は何分にもまだ
人数も足りませんし、ふなれでありまして、りつぱに誇るに足るという自身をもつたものはあまりないと申し上げるのが穏当でございまするけれ
ども、今日
謄写版によ
つてお
手元に配
つておりますものの中に目ぼしいものの目録が出ておりまするが、数におきまして
相当の数、
種類におきましても
相当の
種類のものを、あるいは活版にし、あるいは
謄写版にいたしまして、必要な方面に御
利用を
願つておるわけであります。
書物の方は、これは実際なかなか
経費もも
つておりませんし、世の中も不便でありますので、十分にはできませんが、現在のところ私の方では直接には三十万冊少し上、おそらく三十二、三万冊と計算いたしまするのが正しいと思いまするが、それを直轄しております。それから各
行政官官廳におきまして、非常に珍奇な
図書を集積しておりまして、これを合計いたしますると、百二十万部ばかりあろうと思います。それに静嘉堂文庫と東洋文庫、この
二つの
図書館は
世界に比類のない程度の、つまり
世界に一冊とか二冊しかないようなものを含んでも
つておりまして、その蔵書の数は五十五万冊くらいと
考えております。これを合算いたしますると、
相当大きなものになりますが、その上にも
つて來まして、今日ここでもし御
議定を願いますならば、
上野の
図書館が私の方に一括されて来ることになりますので、これで約百万冊増加することと思います。
從つて、概算して三百万冊近くの
図書館を
一つの系統の中に納めているということになりまして、外国に行けば珍しいことでないかもしれませんが、
日本の今までの道行きからしますと、かなり日ぼしい、
利用價値の多いものができるものと
考えております。
そのような
実情でありまして、それに基きまして
從来内部の
規則をつく
つて参りましたが、この
規程はさきに申しましたように、
國立國会図書館法の定めによりまして
館長が定めるということになり、定めますには原則としては先にこの
委員会において御
議定を願うということに
なつております。今日差出しました
二つの案もそれと
関係をするものであります。ところが、
議案の最初にあります一部を改正する
規程と題せられておりますのは、これは昨年の暮に、つまり十二月にこれを出す必要が起りましたものであります。と申しますのは、そのときに
最高裁判所に
支部図書館を置くという
意味の
法律が別に出まして、それに合せて私の方でも
最高裁判所支部図書館というふうのものを——これは名義だけでありますけれ
ども、それをつくらなければならなかつたのであります。それから新たに
人事院ができまして、そこに
支部図書館をつくらなければならない。この
二つの
図書館を今年の一月一日から
支部として設けなければならなかつたのでありまするが、時たま
たま議会の情勢によりまして、この
委員会をお開きを
願つてこれを
議定することが困難でありましたので、一應
法律の定むるところによりまして、
館長がこれをきめて、今日この
委員会の御
承認を願いたい、こういう
趣旨であります。事柄は今申しましたように、きわめて
簡單で、
最高裁判所の
図書館が名目をかえたということと、
人事院に小さい
図書館ができたというこの二点であります。
次に第二の
議案の面におきましては、これは
上野の現在の
國立図書館というものは、私
どもの
國立國会図書館の制度が設けられますときに、当時
相当の大きな項目として論議せられたものでありまして、今後
日本には
中心図書館としては
國立のもの
一つを置くのである、それがこの
國立國会図書館である。してみれば、
上野にまた別の
中心的図書館を置く必要はないという理由によりまして、
國立國会図書館法の中に、
上野図書館は四月一日には
國立國会図書館の一部になるものであるというような
規程が現在でき上
つております。つまり遅くともこの三月が済みますれば、
上野の
図書館は
國立國会圖書館の
支部図書館にならなければならないということに
なつております。そこで
文部省の
所属であります
関係から
文部省の方及び上の
図書館の現在の
職員の
方々とよく
協議をいたしまして、円満に引継きの順序が
研究を了しまして、ここに
議案第二号にありますような
上野図書館の
組織規程というものを定めて、この
委員会の御
承認を願う段取りになりました。この
上野図書館の
規程はごらんのごとくきわめて
簡單なものでありまして、大体
職員は現在の人をほとんどそのまま受継ぐという形に
なつております。ほとんどというあいまいま言葉を使いましたのは、將來世間でいろいろな人員についての変化が起り得るというようなことを念頭におきますると、多少のそこに
変更が起り得るかもしれぬという
意味で申し上げたのでありまするが、
実質におきまして現在の
人数を大体そのまま受継いでいる。それから
書物等も大体はそのままにして置きまして、漸次必要な手続をと
つていろいろの
書物が適当なところで
利用ができるようにしたい、こういう計画をも
つて関係部局で
協議をしております。大体
規定にたくさんございますけれ
ども趣旨としてはそれだけのものでありまして、大きな目で見れば
日本の文化の
中心図書館を
一つに統一するという
意味を持
つておりまするし、小さい
意味から申しますれば何とかしてこの
二つの
図書館が手を合せて、あまり
経費をふやさないで、できるだけよけい
図書館サービスをして行きたい、こういう
考えを持
つておる次第でございます。
なお御
質問に應じまして御
説明を申し上げたいと思いますが、一應これをも
つて説明を終ります。