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1949-05-13 第5回国会 衆議院 人事委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年五月十三日(金曜日)     午前十一時三十分開議  出席委員    委員長 星島 二郎君    理事 天野 公義君 理事 木村 公平君    理事 藤枝 泉介君 理事 南  好雄君    理事 松澤 兼人君 理事 加藤  充君    理事 逢澤  寛君       小平 久雄君    關内 正一君       高橋 權六君    田渕 光一君       玉置  實君    藤井 平治君       赤松  勇君    坂口 主税君       江崎 一治君    北  二郎君  出席國務大臣         労 働 大 臣 鈴木 正文君  出席政府委員         人事院総裁   淺井  清君         人事院事務官         (法制部長)  岡部 史郎君         逓信事務官         (労務局長)  浦島喜久衞君  委員外出席者         專  門  員 安倍 三郎君         專  門  員 中御門經民君 四月十六日  委員田中啓一君及び二階堂進辞任につき、そ  の補欠として井手光治君及び有田二郎君が議長  の指名委員選任された。 五月十一日  委員成田知巳辞任につき、その補欠として鈴  木義男君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員天野公義辞任につき、その補欠として今  村忠助君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員今村忠助君及び山崎岩男辞任につき、そ  の補欠として天野公義君及び逢澤寛君が議長の  指名委員に選任された。 同日  理事山崎岩男君の補欠として逢澤寛君が理事に  当選した。 同日  天野公義君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 五月十一日  國家公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出第一九五号) 四月二十七日  伊豆七島の勤務地手当地域給特地域引上の  請願土橋一吉君外一名紹介)(第五三五号)  同(松岡駒吉君外一名紹介)(第五九二号) 五月四日  新庄市の勤務地手当地域給支給請願志田義  信君外四名紹介)(第八〇一号)  営林署労務者國家公務員法より除外又は特別  職に任用の請願深澤義守紹介)(第八一一  号)  官廰臨時職員待遇改善に関する請願(風早八  十二君紹介)(第八四七号)  東京中央電話局超過勤務手当支給方法是正及  び増額に関する請願神山茂夫君外一名紹介)  (第九〇一号) 同月六日  玉島町及び長尾町の勤務地手当地域給乙地域  に引上請願星島二郎紹介)(第一一四四  号)  東八田村の勤務地手当支給請願大石ヨシエ  君紹介)(第一一七九号)  國家公務員法の一部改正に関する請願大石ヨ  シエ君紹介)(第二八一号) 同月七日  人事官罷免に関する請願岡田春夫君外一名紹  介)(第一二六七号)  國家公務員法廃止並びに地方公務員法案及び労  働関係法改正法案上程反対請願春日正一君  外一名紹介)(第一二六八号)  稚内市の勤務地手当地域給乙地域引上の請  願(松澤兼人紹介)(第一三五〇号)  勤務地手当地域給に関する法律の一部改正に関  する請願神田博君外五名紹介)(第一四一四  号) 同月十日  山代町の勤務地手当地域給乙地域引上の請  願(永井英修紹介)(第一四五七号)  公務員免職に関する請願土橋一吉君外五名紹  介)(第一五五五号) 同月十二日  古河町の勤務地手当地域給乙地域引上の請  願(北澤直吉紹介)(第一六七〇号) の審査を本委員会に付託された。 四月二十一日  政府職員の新給與ベース確保に関する陳情書外  六件  (第二四八号) 五月十日  政府職員の新給與ベース確保に関する陳情書  (第四一八号) 同月十一日  國家公務員法等の一部改正に関する陳情書  (第四七二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  連合審査会開会に関する件  國家公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出第一九五号)  國家公務員に対する寒冷地手当支給に関する法  律案起草の件     ―――――――――――――
  2. 星島二郎

    ○星島委員長 こ  與謝野 秀君れより人事委員会を開きます。まず御報告並びにお諮りいたすことがあります。  去る四月十六日田中啓一君、二階堂進君が委員辞任せされ、新たに井手光治君、有田二郎君が委員となられました。去る五月十一日成田知巳君が委員辞任せられ、新たに鈴木義男君が委員に選任せられました。また昨五月十二日には天野公義君が委員辞任せられ、今村忠助君が新たに委員に選任せられ、なお本日今村忠助君が委員辞任せられ、天野公義が再び委員となられました。また本日山崎岩男君が委員辞任せられ、新たに逢澤寛君が委員に選任せられたのでありまして、昨日委員辞任せられました天野君及び本日委員辞任せられた山崎組とともに理事でありましたから、この補欠選任を行わねばなりませんが、これは先例によりまして委員長において指名することに、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 星島二郎

    ○星島委員長 御異議ないものと認めまして、それでは委員長におきまして御指名を申し上げます。本日再び委員となられました天野公義君、逢澤寛君を理事指名いたします。     —————————————
  4. 星島二郎

    ○星島委員長 次に國家公務員に対する寒冷地手当支給に関する法律案起草の件を議題といたします。本件は去る四月十二日本委員会決議によりまして、これがすみやかなる法制化大藏委員会にあてて要望いたしたのでありますが、大藏委員会の意向といたしましても、これを本委員会において起草されたい旨の申出がありましたので、本日この件を取上げたいと思う次第でありますが、しかしながら本件の所管につきましては、当委員会大藏委員会との間になお若干の疑義がありますので、当委員会といたしましては、議院運営委員会その他に参りまして、最終的にこれと異つた決定が下されました際には、その決定に從うといたしまして、一應本委員会におきまして、本件を取扱つて行きたいと思いますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 星島二郎

    ○星島委員長 御異議ないと認めます。それではさように取扱いをいたすことに決しました。幸い委員長の手元におきまして、事務当局として作成いたしました案がございますので、それを読み上げることにいたします。    國家公務員に対する寒冷地手当支給に関する法律案  第一條 國家公務員法昭和二十二年法律第百二十号)第二條規定する一般職に属する職員寒冷地に在勤し常時勤務に服する者に対しては、政府職員の新給與実施に関する法律昭和二十三年法律第四十六号)に規定する給與の外、寒冷地手当支給する。  第二條 前條の寒冷地手当支給地域支給額支給期間支給方法その他支給に関し必要な事項は、人事院規則で定める。  第三條 新給與実施本部は、人事院規則の定めるところにより、前條の人事院規則規定する事項実施についての総合調整に関する事務をつかさどる。   附 則  1 この法律は公布の日から施行する。  2 この法律規定による寒冷地手当支給は、昭和二十四年から実施できるように、措置されなければならない。 以上の通りでありますが、これにつきまして何か御発言はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 星島二郎

    ○星島委員長 それでは本案についてお諮りいたしますが、本案を一應本委員会成案として決定し、関係方面との手続の終了した場合においては、本案を本委員会成案として決定し、委員長提出法案として手続を進めることに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 星島二郎

    ○星島委員長 御異議ないものと認めます。よつてさよう決しました。なお本案條項に大して影響のない字句の修正等がありましたならば、それもおまかせ願いたい、かように思う次第でございます。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  8. 星島二郎

    ○星島委員長 これより去る十一日本委員会に付託になりました國家公務員法の一部を改正する法律案議題として審査をいたします。  まず淺井政府委員より提案理由の説明を聽取いたします。
  9. 淺井清

    ○淺井政府委員 ただいま上程になりました國家公務員法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げたいと存じます。会期の迫りましたときに新たな法案の御審議を願いますことはまことに恐縮に存じますが、これは他の法案との関係上出て参りましたやむを得ざる案件でございますから、この点は何とぞ御了承願いたいと存じます。この法案は今次第五國会に提案されておりまする内閣法の一部を改正する法律案総理府設置法案等が成立いたしましたあかつきにおきましては、現在の行政機関機構名称等が変更せられることになりますので、これに即應いたしまして國家公務員法中これらの諸法案関係のある條項に所要の改正を行うことといたすものでございます。  その内容について簡單に申し上げますならば、まず第一に「内閣官房次長」を「内閣官房長官」に、また「総理廳」を「総理府」に、「宮内府」を「宮内廳」に改めようとするのでございます。  次に連絡調整事務局臨時設置法廃止せられまして、その機構が外務省の機構の中に包攝されることになりますのに伴いまして、國家公務員法二條に掲げてございます特別職の中から連絡調整中央事務局長官を削除しようとするものでございます。  次に内閣官房長官に秘書官一名が置かれることになるのに伴い、その職を特別職にしようとするものでございます。  次に緊急失業対策法制定に伴いまして、同法に基いて失業対策事業のために公共職業安定所から失業者として紹介を受けまして、國が雇用した職員、それから公共事業のため失業者として國が雇用いたしました職員で、技術者技能者監督者及び行政事務を担当する者以外の者は、これを一般職として國家公務員法の適用を受けさせますことは、種々不適当なる点がございますので、これらのものを特別職として第二條第三項に加えようとするものでございます。  次に從來経済安定本部令にかわりまして、経済安定本部設置法制定され、その機構総理府から離れることになりますのに應じまして、経済安定本部総裁も各省各廳の長と同様にその部内の職員並びにその外局の長に対しまして、任命権者としての地位を持つものであることの規定を設ける必要があるのでその点を改正しようと存ずるのでございます。  以上がこの法律案内容でございますので、何とぞよろしく御審議の上、御賛成あらんことを希望いたす次第でございます。
  10. 星島二郎

    ○星島委員長 次に質疑に移ります。——委員長よりちよつとお伺いしたいと思いますが、ただいま淺井政府委員よりお述べになりました以外に、目下大体成案ができて、すでに國会提出されんとしております参政官制度決定いたしたのでありまするから、これはこの法案の通過を見ないでも、ここにそれがおおよそ出ることにきまつておりますれば、ただいまの中に参政官というものを加えられてはいかがでありましようか、その点はいかがですか。
  11. 淺井清

    ○淺井政府委員 ただいまお示しの点は参政官特別職に加える、こういう趣旨のように存じておりますが、これはほんとうにけつこうだと存じておるのであります。私どもといたしましては異議はないのであります。
  12. 藤枝泉介

    藤枝委員 人事院総裁にお伺いいたしますが、食糧公團設置が來年の三月三十一日まで延びるような法案提出になつて、これもおそらく決定すると存じますが、その際第二條の第三項第十四号の規定改正する必要があると思うのでありますが、その点についての御所見を伺いたいと思います。
  13. 淺井清

    ○淺井政府委員 まことにごもつともの御質問でございまして、この点はわれわれも氣づいておりました点でございまするが、從來この点につきましては國会側の御発議の改正でずつとやつて参りましたのでありまして、これは関係方面に対しまする関係等によりまして、その方が好都合だと私どもは存じておりますので、その点の改正をここにお加えくださいますことは、たいへんけつこうだと思います。
  14. 江崎一治

    江崎委員 臨時職員はこの給與規定において非常に不利な條件になつておるようですが、人事院としてはどういうふうに考えておられますか。
  15. 岡部史郎

    岡部(史)政府委員 お答えいたします。お尋ね臨時職員の範囲の問題でございますが、御承知通り從來嘱託として設けられておりました職員は、嘱託制度廃止に関する法令の実施に伴いまして、これを臨時職員としてとりあえず取扱うことにいたしまして、これをその必要の存する間それぞれ他の一般職員と同じように待遇し、定員法その他の制定と相まちまして、他の職員と同じわくの中に入れ込むことになつておるわけでありまして、この臨時職員に関します限りは、今後特に差別的に取扱われることはないと存じております。
  16. 加藤充

    加藤(充)委員 関連事項ですが、これは將來のために、また現在のためにも聞いておかなければならぬことであると思います。人事院総裁に、非常に会期切迫折柄、この政令の改廃に関連してお尋ねしたいことは、先般、いつごろだつたか期日は忘れましたが、新聞も今さだかには覚えておりませんけれども、何かいわゆる社会のリング・リーダーだというふうなことをもつて自認しておる新聞記者團人事院とのいろいろないきさつがニユースになつて新聞紙上に報道されたことを私ども今思い出すのです。それからそれに関係して記者團ばかりでなしに、労働者の方から人事官に対する不信任決議が出されたということを関係組合新聞などで私ども承知しているのですが、これはいろいろな面から、ざつくばらんな言葉で言えば、右からも左からも、人事院というものは、だれの落し子か知りませんけれども、あいまいもことしたもので、最近は行政整理首切り等、それから人事に対する公務員法まつたく羊頭を掲げて狗肉を賣るという結果になつてまつた。これはりくつでなしに現実の実情としてもそう批判されてもいたしかたがないと私ども考える節々が多いのですが、そういうことに相なつて來ておりますときに、やはり私はさきに申し上げた記者團との、相手にしないとかお互いに言つている点、それから労働者側から來る不信任の原因というようなものについて、ひとつ淺井総裁から、淺井総裁の一方的な見解にもせよ、お聞きしておいた方が、人事委員として私どもの今後のいろいろ職責を全うする上に必要だと思いますので、その点をざつくばらんに御報告を願いたい。
  17. 淺井清

    ○淺井政府委員 質疑二つの点にわかれておるやに思います。第一は新聞ニユース制限につきましての、ささやかな問題につきまして國会議員を煩わしまして、まことに恐縮に存ずる次第でございます。これは非常な小さな行き違いで出ましたニユースに関することの問題でございますから、これは加藤さんを煩わすまでもなく、簡單に解決するだろうと見ております。  それから第二の人事官等不信任投票云々の話については私どもも存じておる次第でございますが、一体人事院の標榜しておりまするような公正さをこのむずかしい世の中で立てて行こうとしまする場合は、これは二つ方面からどうしても攻撃を受けるということは、私ども十分覚悟をしておる次第でございます。その一つの攻撃加藤さんの方の攻撃だろうと存じておりまするけれども、その加藤さんの御意見を十分取入れようといたしますと、また他の方面からの攻撃も受けなければならない。結局私ども立場といたしましては、その間に処しまして公正さを欠いてはならないと努力いたしておりまするので、いろいろ御指摘の点はごもつともだとは存じまするが、私どもといたしましてはベストを盡して仕事をやつておるので、こういう所信を変更する考えはありません。
  18. 加藤充

    加藤(充)委員 そのささやかなということで、私はその通りだつたら別にここで問題にいたしませんが、そういうことはさらにまた新聞記者團のいらざる神経を刺激するようなことにならないような配慮のもとに、また現実ささやかな問題であるというならば、私はここでその問題は打切りますが、ただ今の御答弁に関連いたしまするが、あの三月の初めにいわゆる公開審理給與の問題について行われて、その結果についての発表期間も間近に迫つておると聞いておるのでありますが、今の答弁では鋭意努力して、公務員法の本來の趣旨を、特に國家公務員給與の問題については、鋭意真劍に努力されておるというお言葉があつたのですが、あの公開審理の結果がいまだにはつきり発表されてないということは、その結果がいずれにもせよ、どうも私どもには了解ができないのであつて、その点今の人事院総裁のお言葉通りの真劍に鋭意努めておりますということとは矛盾しておるように思うのですが、この点重ねてあわせとお聞きいたしたいと思います。
  19. 淺井清

    ○淺井政府委員 お示しのように三月にやりました公開審理の結果が今日なお発表いたされませんことにつきましては、お示し通りでありまして、まことに恐縮に存じておりますが、そのように遅れておりますのは、その内容が相当重要性を持つておるからでございまして、各方面とも十分打合せしなければならないいろいろなむずかしい問題が含まれております関係上、なおただいままでのところ、その結論をここに発表する段階になつておらないのは、まことに申訳ないのでございますが、さいぜんも申しますように、一日も早く発表の段取りに至りたいと存じておりますので、しばらくお待ちを願いたいと思つております。問題はその内容と同時に、その後においてとるべき措置にかかつておるのでございますから、さよう御承知を願いたいと思います。
  20. 加藤充

    加藤(充)委員 これは言うまでもなく、人事院のおはこである科学性合理性という問題から給與の問題を考えても、私はおのずから結論は明らかだろうと思うのです。それがなし切れないというような複雜手続や何かが残つておるということであるならば、私はまつ先に今度の行政簡素化の中に、人事院そのもの簡素化していなくてはならない。むしろそういうものがあることによつて——科学性合理性の点から見たならばまことにはつきりしておる、憲法の建前から見ても、いろいろなりくつを言うまでもなく、やみ計算だとか、やみ給與だとか、号俸の再計算だとか、切下げだとか、いろいろ問題になつておるのですが、そういうふうなことは結論的に、数字ははつきり言いませんけれども、何とかせなければならぬということがはつきり常識的に大方の結論として出ておりますのに、人事院というようなものがあつて、そのためにいろいろな犠牲負担公務員法の第一條に掲げてあるような点から見てもまことに遺憾なことになつて、とりわけ下級の職員たちがその手続機構のために、生活の中に苦しい條件で甘んじなければならない、犠牲をまるきり押しつれられておるということになれば、まさしく機構簡素化行政簡素化の面から見ても、人事院そのものまつ先簡素化のやり玉に上らなければならないものだと考えておりますが、現実的に考えて、淺井総裁の良識に訴えてそういう氣がいたしませんか。
  21. 淺井清

    ○淺井政府委員 人事院があるために人事行政事務が滞つておるのか、人事院がなかつたならばどのようになつておるのかは、加藤さんの御判断にまかせたいと思つておりますが、ただ一つ申し上げますならば、もし人事院がなかつたならば六千三百七円ペースになつていなかつただろうということであります。
  22. 赤松勇

    赤松委員 二つの点でお尋ねいたします。第一点はただいま人事院総裁人事院があつた場合と、なかつた場合の例をあげておるのですが、あつた場合にこういう不都合な人事院規則が出ておるのであります。これは五月九日に施行されましたが、大体内容は「職員は、法第百一條に基き、勤務を要しない時間又は前項の規定による場合の外、あらかじめ承認を得た休暇時間中においても、次に掲げる行為を行うことができる。一、職員團体に加入すること、二、職員團体の結成に参加すること、三、職員團体役員選挙その他の投票に参加すること、四、職員團体の会合に参加すること、五、法第九十八條に規定する当局との交渉の準備その他の目的で、職員國体代表者と会合すること、六、その他職員團体の業務に参加すること」、こういう人事院規則が発せられまして、ただいま全官公労の諸君は、この規定のためにはなはだしく集会の自由が制限されておるのでございます。これは私河合厚生大臣当時に労調法の問題に関連いたしまして、当時労働者集会の問題と憲法において規定されております集会の自由の問題とを政府に質問いたしました際に、当時の政府は明瞭に勤務中といえども集会の自由はあるということを言つておりますし、憲法の精神から申しましても、当然集会の自由が勤務中といえども與えられなければならないと考える。そういう抽象的な意味でなく、具体的に実情に即して考えますときには、たとえば淺井人事院総裁は、労働組合を結成し、もしくはそれに参加することが許されておりませんので、そういう御経驗がないと思うのでございますが、実際の労働組合運動をやつております者には、先般人事院が出しました勤務時間の延長、つまり四十八時間制の問題と関連いたしまして、朝もしくは出勤前、あるいは仕事終つた後において集会をすることは、事実上困難であることは十分御承知であろうと思う。ことに非常に緊急性を要する場合には、その職場における職員組合代表者が集まりまして、その意思を統一いたしまして、当局者と折衝することは、組合運動運営の上からいたしましても望ましいことであると考えておるのであります。昨年の暮に人事院で試案が発表されました政治行為制限に関する驚くべき反動的な人事院規則をわれわれは見たのでございますが、一体そういうものが今どうなつておるか。それから五月九日に出されました人事院規則は明らかに憲法で保障されておる労働者集会の自由を侵犯するものであると考えるのでありますが、これらについて人事院総裁の御答弁をいただきたいと思います。
  23. 淺井清

    ○淺井政府委員 赤松さんのお尋ねにお答えをいたします。まず第一の人事院規則の問題でありますが、從來あまりに自由であつた組合活動に対して若干の制限を加える結果になつたことは、まことにお示し通りでございまして、これが赤松さんの御主張になる、憲法に保障した集会の自由に違反するものかどうかは、ここで論議をいたしませんが、御趣旨はよくわかつたと存じますが、人事院立場といたしましては、一体國家公務員はその勤務時間中におきましては、國家事務に専念すべき義務があるということは、これ國家公務員法の明文のよつて明らかなことでございます。しかもその意味におきまして、國民全体は國家公務員に対しまして給與を支拂う重い租税を負担しつつあるというその使用主立場も、私は國家公務員考えなければならないのではないかと考えております。その意味におきまして、公僕といたしましては、その組合活動勤務時間中は制限されるというようなことがあることは、これはやむを得ぬことではなかろうかと思つております。もとより組合立場から申しますれば、たとえば組合大会等が実際に行われなくなるのではなかろうかというようなお言葉でございますれども人事院といたしましては決して適法な適正な組合活動を、あの人事院規則によつて阻止するというような考えは毛頭持つておりません。ただそれがただいま申しましたような趣旨のもとに許されるべきものなりという一線を守りたいと存ずるためでありますが、なおああいう規則を出しましたために、これが末端におきまして濫用せられて、正当な組合活動が圧迫されるというおそれはないかとの組合側の御主張は、まことにもつともだと思いますが、人事院といたしましては、人事主任官会議等もございますから、そこにおきまして十分この規則の適正な運用につきましては考慮するということを、私は組合側人たちに今朝等も話して参つた次第でございまして、そのような考えでおる次第でございますから、何とぞその点を御了承願いたいと存じます。
  24. 赤松勇

    赤松委員 ただいま人事院総裁からお話がございましたが、これは一方において現実にこういうことを強要される條件があるのでありまして、人事院総裁としては自分の良識から出た言葉ではないと思います。この前試案として発表されました政治行為制限の問題、あの人事院規則をあのまま出すのかどうかというのが第一点。第二点といたしまして、今運用の面を云々されましたが、現実には各官聽でこれが非常に惡用されているのです。あなたが善良な意図で出されたとしても、現実には非常にこれが惡用されて、そうして労働運動を著しく圧迫しているという事実は歴然たるものがある。あなた自身も十分御承知だと思うのでございますが、その運営の面についてあなたはどのように考慮されておるかということを、もつと具体的に、簡單でよろしゆうございますからお聞かせ願いたい。
  25. 淺井清

    ○淺井政府委員 かつて國家公務員法制定いたしますときに、國家公務員の政治活動の禁止の條項が問題になりまして、これに関する人事院規則制定するということになりましたときに、その内容について御質疑がございまして、きわめて不完全ながら、試案を当時の人事委員会へ出しましたのは、御承知通りでございます。それよりただいままでの経過におきまして、この國家公務員の政治的活動をある程度制限することは、どうしても必要であるということの考えはかえておりません。ただその内容がいかにあるべきかということについては、いろいろ考慮をすべき点がございますので、今日までのところまだ決定には至つておりませんが、ただいまの段階におきましては、赤松さんのお示しになりましたところのあの最初の案とは、非常にかわつたものになつておる。このように御承知を願いたいと存じます。次にただいまの人事院規則の運用の点でございますが、これはここに逓信省の労務局長も御列席でございますが、どうぞ各官衙側において適正な組合活動を圧迫することのないように願いたいと思います。とともに人事院としては、それに対して人事主任官会議等におきまして、適当な指示をし、また助言をし監督をする考えでおります。
  26. 星島二郎

    ○星島委員長 赤松君、労働大臣が見えましたが、すぐ他の委員会へ行かれる関係がありますので、ここで鈴木労働大臣に対する御質問を願いたいと思います。
  27. 赤松勇

    赤松委員 総裁の御答弁不満でございますが、労働大臣もお見えになつておりますので、政府の御都合もありましようからあとは後ほど御質問いたします。ただ一点だけ、実は教育公務員の特例法施行令第十六條は、教育職員で公選による公職にある者は、昭和二十四年六月三十日または地方公務員法施行のときまでは兼職できるということになつておるわけです。これは國家公務員法の場合でも同じでございますが、現に教育職員だけで地方議員を兼ねておる者は、全國で二千五百名ある。從つてこの点につきましては、当時われわれがフーバー氏と折衝いたしました際にも、これは六月までというのはほんの臨時の措置であつて、それまでに十分実情を調べて考慮をする。言いかえれば六月が最終の期日ではなくて、六月まで実情を調査して、その後適当な方途を講ずるということになつておつたのでございますが、その点について淺井人事院総裁はいかにお考えになつておるかお答え願いたい。
  28. 淺井清

    ○淺井政府委員 質疑の順序の都合もございますから、この問題はまた重ねてお尋ねを願うといたしまして、ごく簡單に申し上げたいと思います。一体議員が他の公職を兼ねるということの線は、なるべくこれをしないという基本的な一つの考えがございますが、これについて除外例を設けるという部面もまた必要になつて來るということは、よく了承をいたしております。それについては当方といたしましても、いろいろ研究中でございますが、今日のところまだ結論に到達していないということを申し上げなければならぬのは非常に遺憾だと思つております。
  29. 赤松勇

    赤松委員 労働大臣にお伺いします。労働大臣は同時に民主自由党の党員でもありますので、私は現政府は民主自由党の大会の決定なりあるいは民主自由党の総選挙における公約の上に立つて、現在のいろいろな政策が行われておるように了解しておるのでございますが、昨年十二月の臨時党大会におきまして緊急政策が決定された。その緊急政策中に、労働対策の第四項の中に、大規模な建設作業と自由企業の中に失業群を吸收する措置をするとともに、失業保險制度の充家と活動國家の全責任において行う。それから應急失業対策の中に、生産的公共事業の拡充、大資本の負担による社会保障制度の確立、生活困窮者に対しては國費により更生をはかる。こういうことがうたわれておりまして、保守反動——と申しますとその辺の方に怒られるかも存じませんが、保守政党としてはまことに進歩的な一つの様相を備えた政策が決定されておるのでございます。ところが現実に吉田内閣の政策実行の面で現われております現象は、これはまつたく緊急対策と相反しておるものが出て來ておる。そこで先般來労働委員会等におきまして、労働大臣はこの失業対策、あるいは労働対策全般につきまして、いろいろ御答弁をなさつておるのでありますが、大体労働大臣の御答弁を要約して申しますと、百七十万人の失業者を予想している。そのうちとりあえず七十万人を吸收して、百万人は來年度にまわす、そこで百万人を來年度は吸收できるのだ、こういうような御答弁をなさつておるのでございますが、來来度の百万人を吸收し得るその見通し、それから昨日もあなたは内閣委員会におきまして、二十万人を輸出産業に吸收する自信がある、こうおつしやつた。為替レートの設定の伴つて、ただいま輸出産業方面はいろいろな変化が起きておるのでございますが、具体的にいろいろなものは示されておりますが、こういう失業対策についてどうも御答弁が非常にあいまいでございますから、この際ひとつこういう点を明瞭にしていただきたい。なお先般たしか労働委員会だと思いますが、見返り資金の中から失業対策費を出すのだ、失業保險を含めた二十九億の失業対策費では、もちろん足らぬことはだれが見てもわかる。その失業対策費を見返り資金の中から出すのだ、こういう御答弁でございましたが、御承知のように見返り資金というのは物がこれから違つて参りまして、その物が金になつて、それが政府の吸收されて、それからである。それまでは日銀のつなぎ資金でやつて行くということになつておる。一体そういう点について見返り資金のうちからどれくらい出す。あるいはそれはいつごろ出せるのかということについて具体的な御答弁をひとつお願いしたいと思います。
  30. 鈴木正文

    鈴木國務大臣 御質問のお答えが前後しますか知れませんが、一番最後にお聞きになられた見返り資金の問題からお答えいたします。それは昨日の内閣委員会だつたかと思いますが、御承知のように失業対策の中心的の事業として、私の方からあれを御説明申し上げたのではないのでありまして、本來公共事業というものが問題になつて公共事業費が少いじやないか、これを失業対策を強化する意味において増加する、こういう考え方を持つておるか、こういう御質問があつたわけであります。それに対しまして、お答えしましたのは、公共事業の費用は御承知のように物價の騰貴というふうな面からもにらみ合せると、かえつて減つたと言えるくらいの状態である。これはその通りであります。しかし今ここに予算の組みかえなり、補正予算を出して、そうして公共事業費をふやすということは、これは直接大藏大臣の問題であるが、きわめて困難であり、特に所管外の私らが申し上げることではないが、ただここに一つの公共事業的の、失業対策に対して彈力性を持つたもう一つの部内が考えられる。それは見返り資金によるところの事業である。いわゆる公共事業として予算の面において同じ扱いはしてはおりませんけれども、ただいま計画されておる部門が電源の開発とか、それから公益中心の道路、港湾というものの開発という一連の相当大きな計画のもとに進んでおるからして、そういうものが進んで來れば、いわゆる從來意味における公共事業以外に、この面も直接的ではないにしても、失業対策の一つの彈力性として考えることができるのではないかと思つております。こういうことをお答えしたわけであります。同時に御指摘のようにあれは物が入つて來てから資金化して、それから実際の資金になるものであるということも御指摘の通りであります。この点につきましては、これも大藏大臣の所管でありますが、失業対策のことでもつて、私と大藏大臣が列席して質問を受けたときに、そういうことも考慮して、日銀その他に対してつなぎ資金の援助という方式を考えておる。そうして見返り資金の資金化という問題との時間的ずれという問題に対しては、ある程度考慮しておる。これは大藏大臣の考え方でありますが、私列席して聞いておつたことでありますからお傳えしますが、そういうことも考えておるから相当役立つのではないかと考えております。時期の問題は何月何日ということは大藏大臣は言いませんでした。おそらく目下大急ぎで計画を決定しつつある段階だと思います。  それから最初にもどりまして、民主自由党が社会保障制度の完成までも含めた大きな労働政策を掲げたのではないか、そうではないか、その通りであります。民主自由党も決して保守反動の政党であるはずはないのであります。保守党といえどもあそこまで政策が行き得るはずでありますし、当然だと思います。民主自由党があの政策を掲げておかしいと考えられるのがおかしいのでありまして、当然だと思います。ただ現在の財政の状態、いろいろな点から考えますると、一挙にそこまで持つて行けない。たとえば失業保險の制度におきましても不十分だという御批評もありましたけれども、現在許され得る條件のもとにおきましては、最大限の態勢を整えまして、すでに衆参両院においてそれが成立していることも御承知通りであります。その他の問題は同様に條件が許す限り、現在の情勢とも考えあわせまして、その方向に民主自由党も私どもも進みたい。  それから百七十万云々、これはおそらく赤松さんの質問の中心をなすものと思いますけれども失業者が相当出るということはむろん考えられますけれども、いつどこでどれだけ出るかということを具体的に時間的に地域的にはじき出すということは、おそらくだれもできないだろうと思います。百四十万ないし百八十万という数字は、漫然と想像したわけではないのでありまして、安定所の動きを通じ、從來の労働省の経驗を総合し、それから安本、商工省方面の各産業の係とも檢討いたしまして得た数字でありまして、現在におきましては共産党の諸君からは一千万人の失業者が出るというふうな、角度によりいろいろな見方もありますが、私どもは現在のあの数字によるのが根拠があり、妥当なものと依然として思つておるわけであります。來年度百万人の國民経済の雇用量が開かれるかどうかという問題も、見方によつては開かれないという考え方も一應も二應も成立つでありましようけれども、これは安本が計画しつつあるところの再編成されたところの新しい計画とにらみ合せまして、最初は百十万、それからだんだんしぼつて來て、今では九十四万人となつておると思いますけれども、そういう数字は來年度において一應出るという見通しをあえて労働省だけではなしに、安本、商工省とも檢討した結果知り得た数字でございます。
  31. 赤松勇

    赤松委員 見返り金資、口を開けば政府は見返り資金だけを相手にしますが、ほかには何もないのでありますか。見返り資金、見返り資金ということを鬼の首でもとつたように申しておりますけれども、実は千七百五十億という見返り資金は、おそらくアメリカの國会でもまだ承認されていないのじやないかと思うのです。そしてしかもこの見返り資金の使い方に関しましては嚴重に監視されておる。しかも日本政府はこの見返り使金の使い方については、ただ安本の一部の官僚が案を立てているだけで、政府全体としましては、ちようど予算の分取りと同じような形になつておりまして、政府全体としての総合的なこの資金の運営に関する方策はできていないと思う。実はこういうことを労働大臣にお尋ねするゆえんは、何もこの点を明白にしてくれというのではなくて、あなたが見返り資金の中から失業対策費を出すのだ、こうおつしやると、一般失業者、半失業者、あるいはやがて出るであろうところの失業者の諸君は、それに対して非常に大きな希望を持つわけであります。そこで私はこの点を明白にしておきたいと思つて、あなたに御質問したのですが、あなたの口から明白にならないとすれば私の質問はその程度で終ります。  第二の点、來年は多分百万人ぐらいは吸収できるであろう、今その計画を安本が立てておるのだ。こういうお話でございますが、御承知のように、労働省というのはサービス省である。あなたは労働者の保護の立場に立つておられるところの大臣である。從つてあなたは、一面は吉田内閣の行政整理、あるいは資金面その他から來る民間企業の整備、それによつて出て來る失業者、これに対する十分な保護をする義務があなたに負わされておる。ただいまの御答弁によれば、多分百万人ぐらいは、來年は何とかなるだろう、見返り資金の中から何とかそういうものも出て來るのじやないかと、こう考えておる。こういうことであつては、鈴木労働行政が、一体具体的に何であるかということが明瞭になつて來ない。(「どうすればいいのだ」と呼ぶ者あり)どうすればいいかということをわれわれは聞いておる。今あなたの当面するこの失業対策について、二十九條の予算では足りないということは万々わかつておる。それでもつと具体的にこの百七十万あるいは八十万の——われわれの見込みでは四百万と見込んでおる。この百八十万もしくは七十万の失業者に対して、労働大臣としてどのように救済したらよいか、いまだ案が立つていなければ、あなた自身のお考えでもけつこうでございますから、この点を明瞭にしていただきたい。
  32. 鈴木正文

    鈴木國務大臣 赤松さんの質問が見返り資金や何かに向けられたから、一應それにお答えしたのみでありまして、見返り質金をもつて失業対策の中心的財源であると考えておるというようなことは、考えたこともありませんし、お答えしたこともありません。失業対策は、おのずからこれは一つの授護的な彈力性としてのみ考えられる問題であつて、失業対策の問題自体は、別個に考えらるべきであり、また考えてもおります。その点において初めて御質問があつたと思いますので、お答え申し上げます。  率直に申し上げまして、百四十万人もただちに最終雇用面に向けるということは、日本の國民経済の関係から、でき得ないということだけは、赤松さんにも認めていただけると思います。しかも一方においては、根本的には百七十万か百四十万か、その数字が情勢の変化によつて出て來るでありましようが、それをまずほぼ國民経済の新しい雇用面に吸収し終るのでなければ、失業対策は完成しないという根本原則も、否定しがたいと思うのでありますが、結局はその間の時間的のずれに対して、どういうふうに措置をとつて行くかということが直接的な御質問の中心であり、同時に失業対策の本体をなすものだと考えております。  その点につきましては、まずこれは失業対策の中で、最も消極的な面でございますが、どこの國でもそうであり、日本でも一應も二應も利用しなければならないのは、失業保險の問題であると思います。失業保險自体は、きわめて消極的な失業対策に出ないのでありますけれども、しかし大量の失業者の出て來るときには、これは段階的な一つの有力な方法としては、採用して間違いないと思います。この点につきましては、御指摘のように、現在の予算には二十一億円の國庫負担金が計上されております。これに対して労働者諸君及び経営者諸君側から拂われるところの保險料はその倍、つまり二十一億円の國庫負担金が活用されるときには、四十億円の、一方における保險料の積み立てがなければなりません。この経理は、現在の日本にとつては不幸中の幸いでありますが、きわめて健全に行つておるのでありまして、今年の三月までの剰余金が五十億円ある。おそらくそういう面から行きますと、保險経理はきわめて健全であつて、最大限に去年の剰余金までも動かして、政府の國庫負担金が——これは義務費でありますから、それに対随して動く場合には最大限百十万人の人たちに対する保險を支拂うことができるという経理になつております。しかしそんな数字はとつておりません。今の二十億円で行つた場合には、何人かというと、三十万人であります。しかしこれは義務費でありますから、予算には何も計上してなくても、どんどん失業者ができて支拂う場合には、必然的に政府が何らかの措置をとつて支拂うものでありますから、四十万人ないと七十万人ぐらい、情勢によつて支拂い得るという目途をつけたのであります。最大限にいえば百十万であります。おそらく私どもの見通しでは、百十万人の保險料を支拂うという事態は出て來ないと思いますが、現在二十一億円計上されておるのが少いとあれば、ふやしてもこの面は安全だと思つております。  それからこの消極的な失業対策に対應して考えられるのは、直接的な、段階的な失業対策事業の展開でありまして、この方式は、昨年まで公共事業費の中に労働者所管として計上されておつた、あの公共事業の中の一本を移して來て、一般会計に移したのであります。それが失業対策費として八億八百余万円計上されております。それが少いというのが、衆参両院を通じての議論の中心であつたことは御承知通りであります。これに対しましては、少いということを決して否定しておらないのでありまして、皆様と同様、特に労働大臣といたしましては、あまりにも少いということを明確に認めております。同時に、政府としても、決してそれを否定してはおりません。この問題につきましては、しばしば國におきましてもまた大藏大臣とも話合つております。必要なときに何らかの形で、八億八百万円によつて設定された緊急失業対策費、そうして今度でき上つた緊急失業対策法、この一つの法律を援用しつつ、財源を供給することによつて、直接な失業救済事業を急速に、強力に展開して行きたい。その財源の捻出方法をどうするかということは、どうぞ大藏大臣に聞いていただいていいと思いますが、しかし二つきりございません。補正予算か、あるいは予算内のやりくりか、そういつた問題は、大藏自体が検討していただけばいいのでありまして、政府自体といたしましては、当然の責任であると思います。
  33. 赤松勇

    赤松委員 ただいま六十億の予備金の問題が出ましたが、これは政府が出すのではなくて、政府の出すのは二十一億、あとは事業家や、あるいは労働者が負担するのでありまして、何もわざわざ六十億と言つていただかなくてもけつこうだと思うのでありますが、要するに、鈴木労働大臣のお話を聞いておると、政府の方には何らの対策はない。これから大藏大臣にでもひとつ聞いてもらつて、何らかの対策を立ててもらいたいというのが大体の御答弁の要旨のように考えられます。そこで私はこういう点をひとつ明らかにしておきたい。今現に東芝を初め、大同製鋼でも、日本電氣でも、あるいは日本セメント、こういうふうにずつと企業整備が全面的に行われて來ておる。そこでおそらく労働大臣は、この企業整備の実態というものを十分御存じないと思うのでございますが、先般経済安定委員会におきまして、集中排除法を悪用して、そうして東芝が企業整備、あるいは首切りのためにそれを使おうとした。この点は経済安定委員会におきまして、そういうことは違法であるということが明確になつたのでございます。全國各地のいろいろな、今首切りの起きております工場をば、われわれは調査しまして、その中には多分に黒字になつておる工場がたくさんある。黒字になつておる工場で、なぜ首切りが行われておるかといえば、たとえば大同製鋼なんかもそうでございますが、大同製鋼の星崎工場では十分黒字になつておる。金融資本家が背後におりまして、そうしてこれだけの企業整備をやれば、これだけの首を切ればあとは金を貸す、この首を切らなければ金を貸さないというのです。だから経営者としましては、いやいや首を切つている工場も実際あるわけです。これは非常に不当な労働者に対する圧迫行為だと思う。こういうことが随所に出て來ておる。私たちの労働政策というものは鈴木労働政策のように消極的なものではない。われわれはまず第一に今出ようとしている失業問題、これを積極的にどういうふうに解決するかということは、第一にわれわれは企業内における労働者と資本家の、経理面あるいは企業の合理化の面、あるいは能率化の面、そういう面で労働者が單に賃上げ闘爭だけでやるのではなくして、積極的に生産復興の面で協力する、そのためには経営者の方で経営の実態を明らかにして、ほんとうに労働者が奮起できるような、納得できるような、そういう強力態勢をつくつて行こう、それを通じて雇用量を増大する、そうしてなるべく失業者は出さないようにする。これが当面第一に必要な失業対策ではないかと思う。その次に問題になることは、やむを得ず出て來る失業者に対してどうするか、やむを得ずという言葉の中にはいろいろな解釈があるようでございますが、要するにやむを得ず出て來る失業者についてはどうするか。一般的に言えば、これにつきましてはいろいろな方策があるのでありますが、今そういう形で出て來ている失業者は、大同製鋼なんかは今ハンガー・ストライキに入つている、そして死ぬか生きるか餓死寸前にいる。そういうような情勢でございまして、現に起きている企業整備というものは、單に企業を合理化するとか何とかいうことよりも、たとえば共産党の勢力を排除するとか、産別脱退を強要するとか、あるいは強い労働組合なら強い指導者を排除するとか、そういうきわめて政治的な面が強く出て來ております。労働大臣としましては、そういう資本家の、九原則実施に便乗して反動攻勢に出ている事実を、どういうふうにごらんになるか、一ぺんその点をお尋ねしたい。
  34. 星島二郎

    ○星島委員長 各委員会がわかれているのでありますから、本法案関係のないことは関係のある委員会でやつてもらいたい。
  35. 鈴木正文

    鈴木國務大臣 簡單にお答え申し上げます。失業対策と申しますか、労働対策の根本は、労資双方の協力による生産性の引上げにあるという見解に対しては、まつたく同感であります。同感であるばかりでなく、今後の労働行政をそこへ持つて行きたいと思つております。それから九原則あるいは集中排除、そういうものに対する便乗的な、経営の実態から離れた、そういうところの首切りということは、私は正しいと考えておりません。一々の問題については檢討した上でのことでありますけれども、そういうものにつきましては、今申しました労資双方の協力による生産性の向上という責任に照しまして、そういうものがありといたしますれば、そういうものは絶対的に排除すべきであると思つております。
  36. 赤松勇

    赤松委員 具体的にどんなふうに排除されますか。
  37. 鈴木正文

    鈴木國務大臣 適当な行政的あるいはその他の方法をもつて善処いたしたいと思います。
  38. 赤松勇

    赤松委員 その点をひとつ明らかにしてもらえませんか。
  39. 星島二郎

    ○星島委員長 そういうことは労働委員会でひとつやつていただきましよう。
  40. 加藤充

    加藤(充)委員 龍宮の夢物語みたいな大きいスケールの話は、ここで聞いてもしようがないから、聞けばいくらでもあるのですが、やめますが、大体失業保險だなんてなまいきなことでなしに、退職金がきまらないで首を切るということについては、労働大臣はどうお考えになりますか。
  41. 鈴木正文

    鈴木國務大臣 退職金はきめます。
  42. 加藤充

    加藤(充)委員 きまつてないじやありませんか。
  43. 鈴木正文

    鈴木國務大臣 だから同時に一方でもつて政令によつてきめます。
  44. 加藤充

    加藤(充)委員 政令によるとかなんとかいつて、退職金があとまわしになつていることについとはどうですか。
  45. 鈴木正文

    鈴木國務大臣 その問題が解決しなければ、法案がかりにでき上つたといたしましても、手をつけるはずはありませんから、これは同時になりますから、大丈夫であります。
  46. 加藤充

    加藤(充)委員 それはあと議論してもしようがないが、それじや退職金なしに首切ることは困るとか、あるいは退職金については、現在の公務員についてはこれくらいが適当であるとか、あるいはこのくらいの退職金をやりたいとかいうような、人事院方面から、定員法その他を仕上げる前に、あなたの方へ勧告か何かありませんでしたか。
  47. 鈴木正文

    鈴木國務大臣 内閣全体としてはそれは存じませんが、私自身に関する限りでは、そのことは聞いておりません。
  48. 加藤充

    加藤(充)委員 それではそのことについて淺井さんにお聞きしたいのです、そういうようなことについて何か勧告をなさつたことはありませんか。
  49. 淺井清

    ○淺井政府委員 ただいままでのところ、ありません。
  50. 星島二郎

    ○星島委員長 本法案についての審査は、本日は一應この程度にとどめたいと思います。
  51. 星島二郎

    ○星島委員長 次に内閣委員会において審査中の行政機関職員定員法案は、本委員会にとりましても密接な関係を有すると認めますので、この法案につきましては、当委員会と内閣委員会の間におきまして、連合審査会を開きたいと思いますが、これに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 星島二郎

    ○星島委員長 異議ないものと認めまして、さよう決します。なお連合審査委員会の期日につきましては、委員長におきまして、内閣委員長と協議の上、公報をもつて御通知いたすことといたします。  なお本日の日程中の請願及び陳情書審査でございますが、これは後日に讓りたいと思います。これについて御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 星島二郎

    ○星島委員長 御異議ないものと認めます。よつて請願及び陳情書の日程は後日に延期いたします。  なおこの機会に皆さんに御紹介いたしたい人があります。今回当委員会の專門員といたしまして中御門經民君にお願いして、その就任を見た次第であります。同君は長い間衆議院の書記官としてお勤めになり、その後貴族院議員として政治に長い間御関係なつたまことに適任な方と思いまして、当委員会といたしましては、非常にいい專門員を得たことと思います。これを御紹介いたします。  それでは次会は公報をもつてお知らせいたします。本日はこの程度で散会いたします。     午後零時三十八分散会