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1949-03-30 第5回国会 衆議院 人事委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年三月三十日(水曜日)     午後二時四十九分開議  出席委員    委員長 星島 二郎君    理事 天野 公義君 理事 木村 公平君    理事 南  好雄君 理事 松澤 兼人君    理事 土橋 一吉君       小平 久雄君    關内 正一君       田中 啓一君    田渕 光一君       玉置  實君    二階堂 進君       坂口 主税君    保利  茂君       赤松  勇君    成田 知巳君       加藤  充君    北  二郎君  出席政府委員         人事院総裁   淺井  清君         人  事  官 山下 興家君         人  事  官 上野 陽一君  委員外出席者         参議院人事委員         長       中井 光次君         專  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 三月三十日  國家公務員法の一部を改正する法立案参議院  提出参法第一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  國家公務員法の一部を改正する法律案参議院  提出参法第一号)  公務員勤務條件等に関する件     —————————————
  2. 星島二郎

    ○星島委員長 これより人事委員会を開会いたします。  議会に入るに先だちまして御報告いたしておきます。昨日本委員会におきまして議決の上、委員長より議長提出いたしました、人事行政の実態に関する事項についての國政調査承認要求書は、本日議長より承認を得ました。なお本日、参議院提出の、國家公務員法の一部を改正する法律案が本委員会に付託されました。以上御報告いたしておきます。  この際おはかりいたします。ただいま御報告申し上げました参議院提出國家公務員法の一部を改正する法律案は、緊急を要しまするから、昨日委員各位の御了承を得ました通り、ただちに本案議題とし、その審査を進めたいと思いますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 星島二郎

    ○星島委員長 異議ないものと認めます。よつてただいまより参議院提出國家公務員法の一部を改正する法律案議題とし、その審議に移ります。  この際一言申し上げて置きますが、本日特に御出席を煩わしました参議院議員中井光次君は、本案発議者でありますると同時に、参議院人事委員長でありまするから、國会法第六十條の規定によりまして、中井君より本案提案理由説明をお願いいたします。
  4. 中井光次

    中井参議院人事委員長 ただいま議題となりました國家公務員法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  本案内容は、國家公務員法二條第三項第十四号の規定の効力を、六月三十日まで延長いたすものであります。先に第四國会における國家公務員法の一部改正によりまして本号が設けられ、本年三月三十一日までの期限で、人事院指定する公園の職員特別職とすることになつたのでありまするが、その後人事院は、人事院規則をもつて食糧配給公團指定いたし、今日に至つておるのであります。ところでこの規定に三月三十一日という期限が付せられましたのは、各種公團存続期間と合致させる趣旨であつたのでありますが、一方、今回内閣により、各公團存続期間を、一部廃止のものを除きまして、それぞれ三箇月間延長する法律案提出されておりまして、もしこれが両院を通過して法律しなることとなりますと、食糧配給公團職員は、再び一般職となる結果となるのであります。  食糧配給公團職員は元來特別職でありましたものが、公務員法の第一次改正により、一旦しばらくの間一般職となり、前述の第四回國会における第二次改正に伴う人事院指定によつて、もとの特別職にもどつたものであります。このたび再び一般職となりますときは、わずか半歳足らずのうちに、その身分関係が、かれこれと三たびも変更される結果となるのでありまして、かくのごとくしては、とうてい安んじてその職務を遂行することができないと言わなければならぬと思うのであります。今回の改正案は、この弊を防止いたしまするために、公團存続する期間だけ、第二條第三項第十四号の規定有効期間を延長しようとするものであります。  以上の理由によりまして、この法律案提出いたした次第であります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを切にお願い申し上げます。
  5. 星島二郎

    ○星島委員長 これにて提案理由説明は終りました。  引続き、本案議題として、質疑に移ります。質疑は、申込み順によつてお許しをいたしたいと存じます。成田知巳君。
  6. 成田知巳

    成田委員 今私を御指名になつたのですが、私が質疑申込みをしましたのは、あと淺井人事院総裁に四十八時間制の問題その他について、質問いたしたいと思つたからであります。この問題は当然の改正でございますから、質問はないのでございます。
  7. 星島二郎

    ○星島委員長 では土橋一吉君。
  8. 土橋一吉

    土橋委員 公團関係について、これは昭和二十四年の三月三十一日限りにおいて廃止をするというようなことを法律に書いてあつたのですが、その制定当時においては、食糧公團といわず、すべての配給公團というものは、もうこういうことをしようということを事前に考えられておつたのか、それとも一般職特別職関係でこういうことを規定されておつたのか、それをひとつお聞きしたいと思います。
  9. 中井光次

    中井参議院人事委員長 ただいまのお尋ねの三月三十一日と限りましたのは、各種公團規定がございまするが、その中に公團存続期間が三月三十一日というものが多々あります。もともとこの改正につきましては、非常に関係当局において難色がありましたが、公團存続期間が三月三十一日であれば、それまでのことは認めよう。またその間において各種研究もできるから、その間だけを認めようという意味において、三月三十一日という期限をつけたような次第であります。
  10. 土橋一吉

    土橋委員 その間に研究ができるということは、公團廃止するというような意味か、それとも國家公務員の中で、一般職とするか、特別職にするかということについて、その当時の立法者の氣持がわからないので、どういうふうに書いてあつたのかということを聞きたいのです。ただこの公團関係についてのみ、三月三十一日という日を限つておるという内閣意味が、私にはわからない。どうしてこういうことが書いてあるか。
  11. 中井光次

    中井参議院人事委員長 國家公務員法に関する限りにおきましては、他の公團法存続期間と、ある程度合致せしめたということであります。公團法そのものの根本につきましては、私からお答えはできません。
  12. 加藤充

    加藤(充)委員 私どものお聞きしたいのは、今お聞きする相手法が適当な相手方じやないということが、今土橋君の質問のときに問題になつたのですが、私どもが縣念いたしますのは、なるほどこの提案理由の中には、各公團とのつり合い上ということが問題になつて、それについて、これも当然延ばしてもらわにやならぬのだという理由になつています。その趣旨了承されますが、各公團が三月の三十一日限りにやめられるということになりました問題自体が、三月三十一日までには各公團廃止の、大体切りかえの準備が十分できるという目途、目算のもとにやられた問題だろうと思うのであります。そういうふうな各公團廃止の問題については、やはりこの食糧配給公團の面も同じ性格を持つものだと思うのであります。從いまして、基本的に各公團存続を三月三十一日きりだという、こういうきめ方をいたしたい、この基礎づけがはつきりいたさなければ、これを適当なときまで延ばしましても、また不見識にさらにこれを延ばすというような、ただだらだらした不見識な決議で、しかたがないからそれに同調するというようなやり方には、人事委員会のこの権威をもつてしても、どうもわれわれはその点をはつきり確かめなければ、事情了承されますけれども、すぐにOKと言つて承認を與えにくい事情にあるということを、質問の形で申し上げたかつたのであります。從いまして私どもが聞きたいのは、これを一定のときまで延ばせば、延ばした時間には必ずやれるのか、そういうふうな成算目途がついておるのかということを実質的に承りたいというのが、土橋君並びに加藤発言をしたゆえんであります。
  13. 木村公平

    木村(公)委員 今土橋君であるとか、加藤君のお話は、大体人事委員会でやるべきことじやない。公團存続をいつまで持たせるかということは、人事委員会審議すべきことでもなし、それは、この人事委員会において、食糧配給公團特別職あるいは一般職という問題が取上げられたときには、公團のいわゆるとりやめの期限というものと密接な関係があることは了承できるのですけれども公團をいつまで存続するか、六月末日をもつて大体やめることに法律はなつておるけれども、そのときの情勢によつてまた延長したら、これもかえなければならぬじやないか。從つて公團をいつまで存続させるかということは、おそらく政府委員として答えられる人は一人もなかろうと思う。それから、ここでかりにいかように決定いたしましても、拘束力はなし、人事委員会のらち外だと思う。從つて今日公團存続期間をこの人事委員会においてやつていたところで、らちがあきませんから、すみやかにおやめ願つたらよかろうと思います。
  14. 星島二郎

    ○星島委員長 ちよつとお諮りいたしたいと思います。この案はきわめて簡單でありまするし、それから本会議に早く手続を了して行きたいとも思いまするし、本案條文関連したことのみを御質疑願いまして、それを一應終了した上で、またそれぞれの人をお呼びになつて、十分お尋ねしたらいかがでありますか。
  15. 成田知巳

    成田委員 今土橋さんと加藤さんの御質問になつたのは、これは私の解釈なんですけれども食糧公團職員特別職になつたのは、それが本質的のものであるかどうかという御質問つた思います。一方御回答の方は、公團法との関係で、事務的な調整だ。木村さんの言われるのも、公團法が延びたから五月になる、形式的なものだというお答えつた。しかし加藤氏、土橋氏の言われたのは、特別職とした理由が、本質的に特別なものであるかどうか、そこを問題とされておるのだと思う。だから質問回答が食い違つているのだろうと思い。この質問に対しては、やはり人事院総裁の方から御回答してしかるべきだと思う。そうなんでしよう。
  16. 中井光次

    中井参議院人事委員長 先ほどのお尋ねの中で、公團法改正に依存して公務員法改正するということになると、六月になつてまたやらなければならないのではないかというお尋ねがございました。われわれもその点については危惧を持つております。六月になつて公團法はどういうふうになりまするかということは、私においては実は予言はできないのであります。しかしながら食糧配給公團状態が今日と同様なる状態であつて、かりに延ばされるということでありまするならば、関係方面との了解をも得ることができるのではないかと、これは私の想像であります。しかしながら公團の形態がいろいろにかわりました場合においては、どういうことになりまするか、私においては予言できません。なお今回の改正につきましても、期限を延ばすということにつきましては、本質的にはたして延ばすことがよいかどうかということは、非常なる関心を持つて質問を受けたのであります。ただそのうちにおきまして、ただいま御説明申し上げましたる食糧配給公團につきまして、人事院指定をしておりまする時日、そしてその食糧配給公團公團そのものが、かなりに多くの人員を持ち、その内容は他の公團とは違つておるということが了解せられまして、特に認められたような次第であります。その点を御了承願います。
  17. 加藤充

    加藤(充)委員 大体了承いたしました。ですけれども、今この人事委員会の問題にすべき性格じやないというような御発言があつたと思うのであります。その点について、今後行政整理その他の問題につきまして、われわれはほかの委員会あたりに付託された議案と、人事委員会として取上げなければならない、それと関連のある性格の問題は、人事委員会としても積極的に、私たちは問題にして行かなければならない、こういうふうな意味合いから考えて、私ども発言さしていただいておるのでありますが、ほかの委員会でやつちやつた。向うがきめちやつたから、おれの方はしかたがない。こういうふうな不見識な人事委員会運営、あるいは議事の進め方、議決のとり方というものは、今後権威ある人事委員会というものを、われわれの努力でやり遂げて行かなければならないときに、何か地方本願的な、あそこでやつちやつたんだから、おれの方はもつけの幸いで、いいんだというようなやり方でありますと、たいへん困ると思う。從いましてわれわれは、関連のある事件については、適宜、細大漏らさず、これをわれわれの委員会の問題として取上げて、そして連合審査なり、あるいはそのほかの調査活動なりも、ひとつ積極的に取上げて、よそでいたしたからしかたがないという問題につきましても、人事委員会としては、こういうふうな認識、こういうふうな理由によつて、こういう決定なり、意思表示をしたのだということが、はつきりとこの委員会において明確にされるように、今後の運営をやつていただきたい、こういうふうに希望する次第であります。
  18. 星島二郎

    ○星島委員長 加藤君の御意見は、委員長においても了承いたしました。多分從來委員会はそういうふうになつておることでありましよう。ただ本日は、法案のみを、とりあえず急いで終了して、そうしてあとで、すでに松澤君、赤松君等から御質疑の通告もあり、本案を離れて、人事委員会としていろいろお聞きしたいことがあるということを、昨日の委員会において申されましたから、そういう意味において申し上げておるのでありまして、ことに本案提出者参議院人事委員長でありまして、内閣ではありません。そうでありますから、一應これは済ましていただきたいと思います。     〔「了承」と呼ぶ者あり〕
  19. 星島二郎

    ○星島委員長 他に質疑はありませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 星島二郎

    ○星島委員長 他に質疑がなければ、質疑はこれで終局いたしました。  これより討論に入ります。
  21. 木村公平

    木村(公)委員 討論は省略して、ただちに採決あらんことを望みます。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  22. 星島二郎

    ○星島委員長 木村君より、討論は省略して、ただちに採決に入りたいとのことでありました。さようとりはからうに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 星島二郎

    ○星島委員長 御異議ないものと認めます。本案賛成の方の起立を求めます。     〔総員起立
  24. 星島二郎

    ○星島委員長 起立総員。よつて本案は全会一致可決確定いたしました。(拍手)  本案に関する委員会報告書作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 星島二郎

    ○星島委員長 本案審査はこれにて終了いたしました。     —————————————
  26. 星島二郎

    ○星島委員長 先ほど成田君等より、淺井人事院総裁に御質問要求がありましたから、この機会にこれを許すことにいたします。成田知巳君。
  27. 成田知巳

    成田委員 淺井人事院総裁に、今問題になつております公務員の四十八時間制の問題、給與の再計算の問題について二、三簡單お尋ねしてみたいと思います。  四十八時間勤務制の問題は、法律によりますと、四十時間を下らざる、四十八時間を超えざるということになつております。審議の状況から言いましたら、当時の勤務時間は平均六・六時間であつた。そう私は承知いたしておるのであります。ところが今年の一月一日の人事院規則によりまして、勤務時間が四十八時間、すなわち最高の四十八時間に規定された。その理由につきましては、人事院規則に一号のところで少しく書いてあるようでありますけれども、この規定だけでは十分私たちは理解できないのであります。なぜ四十八時間という最高勤務時間をとつたか、当時の審議の模様によりますと、四十時間を下らざるという表現につきましても、当時の実情から行きまして四十時間以下のものがあつた場合は、それも何とかして生かそうじやなかいというような努力もあつたらしく聞いております。そういう点から考えますと、現行の労働時間、すなわち平均六・六時間をとるという含みで、最低四十時間、最高四十八時間というものをきめたと解釈しておるのでありますが、なぜ最高の四十八時間をとられたかということをお尋ねいたしたいと思います。
  28. 淺井清

    淺井政府委員 ごもつともの御質疑と存じております。これは法律の面から申しますれば最高四十八時間、最低四十時間で何人も異議のないはずでございます。当時の法律を制定いたしますときにあたりましては、最高の四十八時間ということを実施いたさなければならぬとは存じておりませんでした。しかるところその後連合國最高司令官書簡もございますし、経済原則実施をなすことを必要とする状態になりましたので、これは應急措置緊急措置といたしまして、國家公務員勤勉要求されることになりました。そこでこの四十八時間という最高限度実施するのやむなきに至つた次第でございます。
  29. 成田知巳

    成田委員 ただいまの御答弁によりますと、立法当時の事情から行きましたら、四十八時間をとる意思はなかつた。しかしながらその後最高司令官書簡も出た、あるいは経済原則実施の必要上、官公吏勤勉要求するという意味から、最高の四十八時間をとつたということでありますが、勤勉要求されるということは、ただいまの御説明によりましたならば、結局能率を上げるということだと思うのでありますが、はたして最高の四十八時間をとつたことが、能率を上げるゆえんであるかどうかということについて、私たちは非常に疑問を持つております。と申しますのは、一日のうちで最も能率を上げるのでしたら二十四時間全部働けばよい、しかしながらそれは時間的に言つて一日か二日でくたばつてしまう。一体どれくらいの勤務時間が最も適当であるかということを、十分愼重考慮しなければいけないと思うのでありますが、現在の四十八時間、すなわち一日八時間ということは、住宅の問題、あるいは交通の問題、こういうものを考慮いたしまして、客観的條件を考慮いたしましたならば、八時間をとるということは無理じやないか。社会党はこの問題につきまして四十二時間を主張したのでありますが、周囲の客観的な労働條件を充さないで、最高の四十八時間をとるということが、はたして能率を上げるゆえんであるかどうかということについて疑問を持つております。
  30. 淺井清

    淺井政府委員 ごもつともの御質疑と存じます。この四十八時間制を実施いたしまするにつきましては、その客観條件がお示しのように非常に困難であるということは、私どもも十分存じております。お示しのように住宅の問題、あるいは交通機関の問題その他について御説の通りでございます。しかしながらこの四十八時間制は、ただいま申し上げましたように國民経済原則実施します上において、何人も忍ばなければならない犠牲の一端を、國家公務員にも忍んでいただかなければならない状態にあることを御了承願いたいと存じます。
  31. 成田知巳

    成田委員 問題は経済原則実施する上において、犠牲を忍ぶことに問題があるのじやないと思う。いわゆる経済原則を、いかに有効適切にこれを行つて行くかというところに、問題の本質があると思うのでありますが、労働時間の問題にいたしましたならば、やはり單に苦しい思いをするだけじやなしに、苦しい思いをすると同時に、能率を上げるということが問題だと思うのであります。私の御質問申し上げましたのは、今淺井総裁の言われたように、労働條件の充たされていないものがたくさんあるということを言われましたが、こういう状態において能率を上げ得るかどうかということをお尋ねしているので、單に犠牲を甘受するという問題を論議しているのではないのでありまして、この四十八時間によつて能率を上げるかどうかという問題であります。これは淺井さんも全官公労の代表者の方が参りまして申し上げたときに、お聞きになつたと思いますが、念のためにもう一度申し上げてみますと、全財の調べでありますが、約百七十名について、この四十八時間制の問題を調査しております。そのうち起床時間が從來より早くなつたというのが、十五分から三十分早いというのが百四人、三十分から六十分が五十一人、就寢時間につきましては、十時就寢八十七人、十一時四十五人、八時が一人、九時が二十三人、結局早く起きるようになつて寢るのは遅くなつている。それから遅刻が非常に増加した、その遅刻もたいてい十分以下の遅刻である。相当無理して勤務しながらこの四十八時間制のために遅刻が増加しているということが伺われるのであります。これは問題は能率の点でありますが、能率が向上するかどうかという問題の回答は、労働意欲が出たというのが四人あつたそうです。これは例外です。変りなしというのが七十人、労働意欲が減じたというのが八十一人、まつた労働意欲なしというのが十四人、この例外の四人というのは調べによりますと、局長さん、課長さんであつたそうでありますが、これは問題ないのであります。こういうように能率は向上していない。仕事の量はどうか、仕事の量が変つていないというのが大部分なんです。しかも衛生状態はどうかというと、変化なしというのが八名で、前よりも疲れるというのが百十三名ということになつております。四十八時間制を実施したために能率が上つていない。苦しい思いをしながら能率は上つていないということになるわけでありますが、この点につきまして、はたして総裁の方で能率が上る見透しがあるかどうか、また現在上つているとお考えになつているかどうかということについてお聞きしたい。
  32. 淺井清

    淺井政府委員 お示しの数字はよく了承いたしまするが、また他面から見ますれば、私は必ずしもこれまでの官廳職員勤務やり方というものが、決して完全であつたとは考えておりません。この四十八時間を実施することによりまして、よい面が出ていることも御了承願いたいと思います。それはすなわち官廳と接触いたしておりますところの國民の面から見ますと、これがために官廳との接触における事務が從來よりも能率が上つているというようなことも、重々聞いており次第でございます。
  33. 成田知巳

    成田委員 淺井さんは一部能率が上つているという御解釈をさなり、私たち能率が上らないという解釈をいたしております。水かけ論になりますので、この問題はこの程度にいたしまして、具体的な問題といたしまして、ここでは全逓の調べなのでありますが、四十八時間制が実施されたにもかかわらず、從來から問題になつております特定局にことであります。これは昔の三等郵便局で、封建的な労働関係というので非常に問題になつておりますが、この特定局労働時間を調べますと、十二時間から、ひどいのは二十四時間働いておる、こういうのが非常に多数あるそうです。この八時間以上働かす特殊の場合は、仕事性質上やむを得ないという場合に法律では限つているはずであります。この仕事性質上やむを得ないというのは、たとえば國鉄機関士なんかの場合でありますが、特定局の從業員は仕事性質上ややを得ないとは言えないと思います。そういたしますと、こういう十二時間あるいは二十四時間というような、長時間の勤務をやらしているというようなことについて、人事院の方でお調べなつたかどうか。
  34. 淺井清

    淺井政府委員 その点についても若干聞いておりますが、それは御説の通りよくないと存じております。
  35. 成田知巳

    成田委員 よくないというお話でございますが、これに対して何か処置をおとりになりましたかどうか。
  36. 淺井清

    淺井政府委員 これは人事院といたしまして処置をとるよりも、まず所轄廳において処置をとるべきものであろうかと私は考えております。
  37. 成田知巳

    成田委員 この特定局の問題はもう從來問題になつていることで、この労働條件は非常にやかましく言われているのです。ところが逓信省の方では、まだこれに対して何ら手を打つていないという状況にあるわけでございますから、まず所轄廳の方に求めるというのは、今までの例から言いますと、むりだろうと思う。人事院の方で適当にこのことについては勧告していただきたい、そう思います。
  38. 淺井清

    淺井政府委員 よく了承いたしました。
  39. 成田知巳

    成田委員 それからこの四十八時間の問題に関連いたしまして、サンマー・タイムの問題について、ちよつと人事院総裁の御意見を伺いたいと思うのであります。四月三日から夏期時間が実施されることになつておりますが、去こ年れが実施されましたときに、後の輿論調査によりますと、ほとんど勤労者は、このサンマー・タイムというのは労働強化であると言つて、非常に強い反対意見があつたということは御記憶だと思うのです。現在四十八時間制で相当労働強化をやられておるにもかかわらず、さらに四月三日からサンマー・タイムを実施するということになりましたならば、非常に大きな問題ら起すのではないかということを考えておるのでありますが、これについて何らかの処置をおとりになるというようなお考えはあるかどうか。
  40. 淺井清

    淺井政府委員 人事院といたしましては、ただいまのところ何らかの処置をとる考えはございません。この勤務時間を定めましたのは、人事院といたしましては、一週四十八時間ということを人事院規則で定めるのでございまして、その割振りにつきましては、総理廳令でやることになつておりまして、その方面においてすぐに十分その問題を研究いたしてきめておる、こういうふうに私は了解をいたしております。どうぞひとつそちらの方へもそのことをお話願いたいと思います。
  41. 成田知巳

    成田委員 ただいま総理廳令で適当に時間の繰上げができるというお話でございますが、各省の方でこの問題について從來通りやり方もやりまして、勤務時間について考慮しないということになりました場合に、人事院総裁の方で御監督なさる御意思はありますか。
  42. 淺井清

    淺井政府委員 このサンマー・タイムの問題につきましては、ただいま申しましたように、総理廳すなわち各省大臣としての内閣総理大臣の方で取り扱つておりますので、私の方へは、何も各省から申して参つているところはないのございます。從いましてこれにつきまして、私としてここで意見を申し述べることを差控えたいと存じております。
  43. 成田知巳

    成田委員 私が申し上げたのは、現在の四十八時間制を実施しながら、四月三日からサンマー・タイムをとることがはたして妥当であるかどうかといす点について、人事院総裁の御意見を承つているのです。
  44. 淺井清

    淺井政府委員 私は大体におきまして時間は繰り上りますが、一方退廳の時間も繰り上るわけでございまして、全体におきまして御懸念のような点はそうないのではないかと思います。
  45. 成田知巳

    成田委員 今のお話では一時間繰り上るのはプラス、マイナス同じだという御意見でありますが、日本の地理的な條件、氣象條件を考えましたら、四月三日から一率に全國このサンマー・タイムをとることは非常に氣候的にもおかしい、たとえば北海道、東北地方、こういうところは非常におかしい。それでは人事院総裁は、一時間繰り上つて終りも一時間繰り上るのだから同じだというようなお考えですか。     〔委員長退席、關内委員長代理着席〕
  46. 淺井清

    淺井政府委員 おしからを受けたのでございすまけれども、それはそもそも夏時刻法それ自体が問題に相なつて來ると私は存じでおります。
  47. 成田知巳

    成田委員 それではこの夏時刻法の矛盾というようなものについては、人事院総裁は大体お認めになるわけですか。
  48. 淺井清

    淺井政府委員 私はその点につきまして何も発言する権限を有しないのでありまするが、四月三日から夏時刻法を適用することに從つて起る問題でございまするから、これは夏時刻法の問題になると私は了解いたします。
  49. 成田知巳

    成田委員 四月三日から適用することについて非常な問題があると言われた。結局これは労働條件勤務時間に非常に関係のある問題でございますから、四月三日から適用することについて、私も人事院総裁と同じような懸念を持つておるのです。でき得れば六月から八月ころという考えを私たちは持つておるのでありますが、人事院総裁の方で、この点について各官廳と御折衝なさる御意思があるかどうか。
  50. 淺井清

    淺井政府委員 これは総理廳において所管をいたしておりますので、私といたしましては、これについて特に考えておる点はございません。
  51. 成田知巳

    成田委員 どうもその点わからないのでございます。人事院総裁は全國の公務員を保護する重大な責任があると思う。それで最も重大な労働條件の一つである勤務時間の問題で、單に形式的な所管が違うからということで逃げられるのは、非常におかしいと思うのでありますが、非常にお苦しいようですから、これ以上私は質問いたしません。結論といたしまして、この四十八時間制の問題については、人事院総裁も相当現在の労働條件から言つてむりだということはお認めになつておる。しかしながら現在耐乏を要求されているという意味で、四十八時間はやむを得ないというような御意見であるかどうか。
  52. 淺井清

    淺井政府委員 それは御説の通り、この規則の中にも初めに前書きのようなものを特につけてうたいました通り、これは緊急措置である、こういうふうに考えておりますので、私どもの理想といたしまする執務時間、平靜な状態における執務時間が四十八時間であつて、今後永久にそれが継続するのだというふうな考えは毛頭持ち合せておりません。
  53. 成田知巳

    成田委員 やはり緊急措置として一時の措置だ、四十八時間というものは現在の状態からいつたら少し不服であるというようなお考えのように承りましたので、この四十八時間の問題についてはこれで打切りまして、あと二、三ごく簡単に、給與の再計算問題についてお尋ねしてみたいと思います。この問題は長くなるので端的にお尋ねしたいのでありますが、この三月初めごろ給與問題公開審理会をお開きになつたと思いのです。そして今井給與局長、それから浦島さんその他をお呼びになつて淺井さんがその点について意見を徴されたと思うのですが、その結論といたしまして、私はその速記録をいただいて読んだのです。淺井人事院総裁は今回の給與の再計算が妥当であつたかどうかということについて、いかなる御判断をお持ちになつたか、その淺井さんの御判断を承りたい。
  54. 淺井清

    淺井政府委員 その点につきましては、非常に大きな問題でございまして、人事院といたしましては、こと点について相当重大に考えておる次第であります。從いましてこの点に関しまして結論をはつきり出したいと思つております。その結論に從いまして、人事院が自分でやれることにつきましては強力なる措置を講じたいと思つておりますし、また國会にお願いしなければならぬことにつきましては、國家公務員法に許されておりまする勧告等の方法によつてお願いいたしたいと思つておりますが、この結論は相当重要性を持つておりますので、まだはつきりと到達しておらないのでございますから、ここで今日申し上げる段階になつておりません。
  55. 成田知巳

    成田委員 まだ結論に達しておられないというお話であります。しかしながら裁判などでも同じと思いますが、公判を開きましてあとあまり時間がたちますと、やはり印象が薄れて、かえつて正しい結論が出ないと思います。もう開かれまして一月近くになりますが、あのときのなまなましい印象からされまして、淺井人事院総裁はどういう結論を持つたか。まだ結論に至る過程にありましたら、現在の過程で結構でありますから、印象なり、現在の御心境を承れたら伺いたいと思います。
  56. 淺井清

    淺井政府委員 いわゆる再計算ということにつきましては、從來やり方は必ずしもよくなかつたと存じております。それがために人事院といたしましては、突然月給の袋がからになつたり、あるいは十一銭しか入つていなかつたというような悲劇を生じましたことにつきましては、非常に責任も感じますし、また非常に憤慨をいたしておる次第でございます。
  57. 成田知巳

    成田委員 人事院総裁から今のお言葉をいただきまして、私たちも非常に意を強くするのであります。最後に四十八時間制の問題と関連しておるのでお尋ねしたいのでありますが、この六千三百七円というのは、大体あの当時の状況といたしましては、六・六時間というそのときの現行の労働時間を標準にした六千三百七円だつた思います。ところが四十八時間になつたわけでありますから、この六千三百七円にかける六・六分の八と、約二割くらいのものが、筋合いから言つて増額しなければいけないと考えるのでありますが、その点について人事院総裁はどうお考えになつておりますか。
  58. 淺井清

    淺井政府委員 ごもつともの御質疑と存じております。法律の面から申しますれば、あの御制定くださいました新給與法は、四十時間ないし四十八時間の給與でございますけれども、ただいまお示しのような事情もござまいして、ことに非常に多く働いて参りました特別給與表の者と、そうでない者との間に不均衡を生じておるという点は、何人も認める点だと存じます。從いましてその点に関しましては、人事院として考慮をいたす必要があるだろうと考えております。
  59. 赤松勇

    赤松委員 二、三の点で成田君の補足質問をしてみたいと思うのであります。これは後に四十八時間制の問題につきまして、社会党といたしましては、今國会に相当の決意をもつて、何らかの措置をとりたいと考えておりますので、参考のためにお伺いしておくのでございますが、ただいま人事院総裁は、経済原則の問題と結びつけて、四十八時間制をやむを得ずやらなければならなかつた。しかもこれはそう非合理なものではないというようなお話がございました。そこでお尋ねいたしますが、当時淺井人事院総裁は、四十八時間制をしくことが妥当であるかどうか、もうすでに経済原則が出ているのでありますから、どうしても四十八時間制を実施しなければならない客観的な情勢、必然性と申しますか、そういうものを御認識なさつてつたかどうかということをお伺いしたいのであります。
  60. 淺井清

    淺井政府委員 その点でありますが、あの國会給與法を実施いたします場合は、まだ経済原則がどのように発展して参り、どのように相なるかということは、おそらく何人もわかつていなかつたであろうと存じておる次第でございます。それがあの当時と、その後との情勢が急激にかわつて参りましたことになろうかと思つております。
  61. 赤松勇

    赤松委員 それでもう一度確認いたしますが、この四十八時間制の問題は、人事院総裁として妥当とお考えになりますか、それとも妥当でないとお考えになりますか。
  62. 淺井清

    淺井政府委員 應急措置といたしまして、これはぜひ國家公務員にこれだけの犠牲をはらつていただく必要が、現在の状態にあろうと存じております。しかしこれは人事院規則はつきりと書きましたように、緊急の措置であると存じております。
  63. 赤松勇

    赤松委員 お尋ねいたしますが、経済原則実施に伴つて人事院総裁として、どうしても四十八時間制を実施することが必要であるとお考えになつて、まつたく自主的な判断でおやりになつたのか、それとも関係方面からの示唆でもあつておやりになつたのか。
  64. 淺井清

    淺井政府委員 関係方面人事院との接触がどうございましたといたしましても、この四十八時間制というものは、人事院規則をもつて制定いたされておりまして、これをこしらえましたのは人事院でございますから、この四十八時間制の実施に関しましては、人事院は全責任がある、かように存じております。
  65. 赤松勇

    赤松委員 そうだといたしますならば、当時大体四十八時間制の問題は予測できなかつたとおつしやいますが、六千三百七円ベースというものは、御承知のように社会党は、現行の勤務條件を維持するということで、一應そういう線で関係方面の了解を得たのでございます。その後四十八時間制に切りかえられましたが、成田君の質問のように、六千三百七円ベースはこれで実質的に非常な切下げになつておる。これに対しまして、淺井人事院総裁は何か國会に対してベース引上げ等の勧告をなすお考えがあるか。
  66. 淺井清

    淺井政府委員 その点につきましては、さいぜんの成田さんの御質疑に対しまして、お答えいたしました通りでございまして、これは人事院といたしましても、重大に考慮しなければならないと存じております。
  67. 赤松勇

    赤松委員 考慮しなければならないというのは、物價が上昇するにつれて賃金が切下げられるというような場合に考慮するというのではなくて、現実にすでに四十八時間制はしかれておるのでありまして、実質的には賃金はずつと切下げられておるのであります。從つてこれから考慮するというのではなくて、すでに今までもそういう実質的に切下げられた賃金の穴埋めについて、勧告するのお考えがあるかどうか。
  68. 淺井清

    淺井政府委員 ごもつともではございますが、それは結局今度の、いろいろな調査を今やつておりますが、その調査の結論として、再計算等とともに現われて來るということになるだろうと存じております。人事院といたしましては、すでに今年四十八時間制を実施いたしまして以來、この問題を決して忘れたことはないのでございますが、これはいろいろな方面に関係を持つてまいりますので、ただいまここで今日どういう結論になるかを申し上げる段階には達しておりません。
  69. 赤松勇

    赤松委員 忘れられないのは一般公務員でございまして、ちよいちよいあなた自身もお忘れになる傾向があると思うのですが、この問題につきましては、はなはだ責任を感じておると言いながら、実際にはあまり責任を感じておられないようにもわれわれはお見受けするのであります。問題は再計算の後において考慮するというのではなくて、すでにもう十二月の末でしたか、これが実施されており、ずつと賃金は切下げられておる。これに対してあなたは、公務員を保護する立場にあるならば、当然これは合理的に解決するための御用意がなければならぬと思つておりのでありまして、將來のことではありません。今までのことをどうするかという点について、あなたはどうお考えになつておるか。
  70. 淺井清

    淺井政府委員 ごもつともではございまするが、これは給與体系の変革を生ずる重大問題でございまして、これはある時期に達しなければ、そうかりそめにやれることではないと存じておりまするから、時間的にずれて参りまして、その点についておしかりを受けて恐縮に存じまするけれども、われわれといたしましては、その点を一日も早くやり得るように努力いたしておるつもりでございます。
  71. 赤松勇

    赤松委員 それならば今までの分は全然考慮しない。將來そういう点で考慮するのだ。今までの分は全然これを補填する考えはない。こういうふうに了解してよろしゆうございますか。
  72. 淺井清

    淺井政府委員 そのように逆の方面から仰せられると、ちよつと恐縮するのでありまするが、その点については、ただいまここに御答弁をいたす段階になつておりません。
  73. 赤松勇

    赤松委員 答弁する段階に至つていないと言つても、四十八時間はとつくにいかれておるのでありまして、はなはだ無責任だと思います。マツカーサーの書簡及び経済原則ということをおつしやいましたので、さらにお尋ねいたしまするが、われわれが関係方面へ折衝いたしました当時の情勢といたしましては、必ずしも四十八時間制を実施しなければならぬというようなことではなかつたことは、あなた自身十分御承知だつた思います。それがあなたの責任において、人事院規則を出されて、四十八時間制をしいたのだ、こうおつしやいますが、いわゆる関係方面、特にマツカーサー司令部の公務員課等の意向はどうであつたかということを、この際明らかにしていただきたいと思うのであります。
  74. 淺井清

    淺井政府委員 その点については、私はここに言明する自由を持たないのでございまするから、どうぞあしからず御了承くだされたいと存じます。ともかく四十八時間制の責任者は人事院でございまして、その点についてわれわれは少しも責任を回避するものではございません。
  75. 赤松勇

    赤松委員 そういたしますと、具体的にマツカーサー書簡によつて、こういう四十八時間制を実施しなければならなかつたその必然性というのは、一体何でございましようか。それをひとつ具体的にお話し願いたい。
  76. 淺井清

    淺井政府委員 あのマツカーサーの書簡にもありまするように、日本國民に対して耐乏生活を要求し、すべての人間の勤勉要求しておる。ことに九原則実施は、官廳事務が非常にふえることを意味するものでございまするから、國家公務員勤勉要求されるということは、当然だと存じております。
  77. 赤松勇

    赤松委員 当時淺井人事院総裁は、すなわちわれわれが人事院のある勧告案を支持したのでございまするが、あの勧告案の中には、四十八時間制をしくということは規定していなかつたのであります。從つてあなたは当時四十八時間制をしくというお考えは全然なかつたわけなのです。それでマツカーサー書簡勤勉というような抽象的な意味は、しからばあの当時は一般公務員勤勉でなかつたというようなお考えであつたでございましようか。そうでなくて、四十八時間制をしかなくても十分であるということで、あの給與法案に規定されておりまするような勤務時間を、人事院総裁の責任において勧告されたと思います。そうだといたしまするならば、あなたは後に至つて公務員勤勉でない。從つて四十八時間制をしいて、そうして勤勉にしてやるのだというようなお考えにかわつたのですか。
  78. 淺井清

    淺井政府委員 私はそれ以前において、國家公務員が決して勤勉でなかつたとは申しておりません。より一層の勤勉要求せられた。このように申したつもりでございます。
  79. 赤松勇

    赤松委員 その当時の法律規定はどうですか。四十八時間制ということはうたつてないですか。
  80. 淺井清

    淺井政府委員 それはその後情勢が急変をいたしたことによるものでございます。
  81. 赤松勇

    赤松委員 その情勢の急変の内容をひとつお話し願いたい。
  82. 淺井清

    淺井政府委員 それはすなわちただいま申し述べましたように、最高司令官書簡等によりまして、この経済原則実施が急速に押し進められなければならない。そういう状態なつたわけでございます。
  83. 赤松勇

    赤松委員 四十八時間制にしなければ、経済原則がうまく行かないその理由を、ひとつ示し願いたい。
  84. 淺井清

    淺井政府委員 それはちよつと逆論法でございまして、経済原則実施をいたすためには、いろんなことが要求されております。決して四十八時間制だけが現在行われておるわけではございません。非常な思い税金を國民全体が負担しておること、石炭のきわめて多額の増産が要求されておること、農作物のきわめて嚴格な供出が要求されておること、すなわち國民のたれもが要求されておりその一環としてであると御承知を願いたいと存じます。
  85. 赤松勇

    赤松委員 勤勉という抽象的な文字を、あなたはきわめて反動的にこれを解釈されておるようでございますが、私は淺井人事院総裁の人格に対しては実は敬服しておつた一人であります。ところが先般來私人事院総裁をお訪ねしまして、社会党を代表してこの問題についていろいろ抗議をし、また御意見も伺つたのでございますが、そのときのあなたの御意見と、ただいまの御答弁を伺いまして、御意見の間には、相当大きな開きでなく、まつたく相反するような答弁があるのでございます。われわれは党の代表で参りまして、公の席上で公の話合いをいたしたのでございまして、國会における質疑も、人事院総裁の部屋におけるわれわれの質問も、別に公の点においてはかわりはないと思いますが、あなたがはつきり当時われわれにおつしやつたのは、自分のとしては四十八時間制を実施するということは実際好ましくない。しかしながらあり方面の示唆があつたためにこれをやらざるを得なかつたのである、こういうふうにおつしやつて、さらにわれわれの抗議に対して、自分はできるだけ四十八時間制はむりであるから、これを何とか是正するように努力したいと思う。大体こういう線まで行くのではないかと自分は考えておるというという、その内容はあなた自身のお立場もございましようから申しませんが、いわゆる合理的、科学的に公務員を保護してくださる人事院総裁としたいましては、まことにありがたい御返事を私は承つた。ところが先ほどからあなたのお話を承つておりますと、そういうところがみじんもない。まつたくこれは自分の責任において人事院規則を出してやつておる、マツカーサーの書簡勤勉と書いてあるから、公務員勤勉ではなかつたとは言わぬが、さらに一層勤勉にしてもらうために四十八時間制を実施した。そうして六千三百七円ペースを二割ないし三割切下げても勤勉してもらうのはやむを得ない、こうおつしやつておりますが、あなたのような御返事で三百万の公務員がはたして納得するでしようか。もしあなたがそういうような態度で、そういうような考え方で、これから人事院仕事をおやりになるとするならば、これは公務員にとりましては、將來まことに恐るべき結果になると思う。その点につきまして、いわゆる情勢が急変したという言葉をお使いになつたが、前の第四國会が終つて、そうして直ちに総選挙が行われるその直前でございましたか、國会の休会中に四十八時間制の問題が人事院規則でもつて出てしまつた。これは國家公務員法によつて人事院規則でどんどんやるということになつておるから、それ自身決して違法ではございませんが、そういう点はわれわれのもつと納得の行くような形で、ひとつ説明を願うことはできないか。今あなたが成田君並びに私に御答弁くださつた答弁全体が、ほんとうのあなたのお考えであるかどうか、さらにくどいようでありますが、もう一度あなたの御心境なり、御見解なりを承つておきたいと思う。
  86. 淺井清

    淺井政府委員 赤松さんからだんだんと御説がございましたが、先日社会党の代表として、赤松さんその他の方がお見えになりまして、いろいろ申入れを受けたわけでございますが、その中に四十八時間制の問題に関する点がございました。すなわち社会党としては四十八時間制は反対であつて、実働一日七時間、四十二時間制をもつて適当とする、人事院としてはすみやかにこれを実現するようにせよ。こういう申入れがございましたが、私は非常に敬意を持つて御説を拜聽いたした次第でございます。すなわち人事院といたしましては、四十八時間制はこの人事院規則にございますように、これは緊急措置としてやつたものでございますから、社会党のお申入れのような勤務時間が、一日も早く実現するよう客観的情勢が好轉することを、私は十分希望いたす次第でございます。
  87. 關内正一

    ○關内委員長代理 ちよつと速記をやめて下さい。     〔速記中止〕
  88. 關内正一

    ○關内委員長代理 速記を始めて下さい。
  89. 赤松勇

    赤松委員 まだまだ質問があるのでありますが、あとに共産党の諸君もおられますし、私の同僚にも質問がありますので、もう一点だけお伺いしておきます。  六千三百七円ベースを第四國会審議しておりました当時、岩本前國務大臣が、行政整理の問題を出した。この問題とベースの問題とは別に関係はなかつたのでございますが、その後に至つて四十八時間制の問題が出て参りまするや、これは行政整理の問題と実はひつかかつて來たのであります。これは大体おわかりになつておると思います。私、先般ある雜誌の座談会で、都官房次長とお話いたしました際に、都官房次長もこの事実を認めまして、四十八時間制になつたために、人員整理がさらにふえるということを言つておる。私は実際に余つておる者を整理するというならば、何もそれを承認するわけではありませんが、失業対策その他の問題として、一應納得ができるのでございますが、あの当時岩本前國務大臣が発表いたしました一般会計三割、特別会計二割、公團二割、地方行政二割、大体ひつくるめて約六十万人を首にする。その後四十八時間制がしかれたために、さらに首切りがふえて來るんだというような話があつたわけなんです。ただいまやつておりまする吉田内閣行政整理は、きわめて反動的で、無暴にひとしい。何らの準備もない。たとえば行政機構の改革は全然なつていないし、失業対策はでたらめであるし、まつたく一方的な行政整理である。殊に公務員國民とを対立させて、その対立を利用するような面も見受けられるので、この点についてはおそらく淺井人事院総裁もそういう反動的な行政整理賛成をなさつたり、それに利用されたりすることは万々ないと思うのでございますが、この四十八時間制をしいたことが、もし政府の行政整理に利用されるというような場合は、人事院総裁としてどういう対策をお講じになりますか。
  90. 淺井清

    淺井政府委員 行政整理についてのお話がございましたが、人事院といたしましては、現段階において行政整理に少しも関係はいたしておりません。また四十八時間制というものが、行政整理と少しも関係がないものだということは、当時赤松さんも給與法の審議に御関係でございましたから、よく御了解の点があるだろうと存じております。
  91. 赤松勇

    赤松委員 ですから給與法案と行政整理の問題との間には連関性がない。その後四十八時間制の問題が出て、行政整理の問題にひつかかつて來て、政府は四十八時間という、つまり労働時間を延長したために人員整理が非常にふえる。これは非常にいいことだからといつて喜んでいる。それに対してあなたは、不当な、反動的な、無暴な行政整理をやらせるために、四十八時間制をしいたわけではないでしよう。勤勉をより勤勉ならしめるために、四十八時間制をおしきになつたと思う。それが吉田内閣の、きわめて反動的な、無暴な行政整理に利用されるようなことは、私はないと思うのですが、客観的にはどんどん利用されて來ておる。それに対する人事院総裁としての対策があるのかないのか。あるとすればどういうような対策を持つておるか、こういう点を聞いておる。
  92. 淺井清

    淺井政府委員 これはちよつと御答弁がしにくいのでありますが、私はまだ内閣の方から人事院といたしまして行政整理について、公に何ら相談を受けたことはございません。またこの行政整理を一体やるのかやらないのか、それからどれだけの人を行政整理をするのかという問題は、私は現在において政治問題だろうと思つております。なぜこれを政治問題かと申しますと、もしここに人事院の意図いたしております職階制というものが完全にできまして、どこにどれだけの人間が必要であり、どこにどれだけ余つておるということを、はつきりつかむことができましたならば、私は國家公務員法に書いてございます科学的な人員減少といつたことができるであろうと存じております。ところが現在はまだこの職階制というものができておりません。これはどのように急ぎましても、この冬の通常國会になるだろうと思つております。そういたしますと、ただいまの三割とか二割とかいう数字は、人事行政の科学から來た数字でなくて、政治的な数字だろうと思つております。もしもこれが政治的な数字でございましたならば、これは國会内閣とがおきめになるべき数字でありまして、人事院としてはこれを担当することはできない。そのように存じております。
  93. 赤松勇

    赤松委員 よくわかりました。これは將來の問題ですが、もしもそういう問題が起きた場合でも、人事院総裁としてはそういう問題に対しては全然関與しない、また勧告する意思はない、こうおつしやるのですね。
  94. 淺井清

    淺井政府委員 行政整理をせよとか、するなとか、あるいはどれだけの行政整理をせよとか、この二点につきましては人事院は何も申さないつもりでございます。
  95. 赤松勇

    赤松委員 まだ社会党といたしましては松澤さんの質問も残つております。私自身もまだ残つておりますが、質問を留保いたしまして、本日は人事院総裁に対する質疑を一應打切ります。
  96. 關内正一

    ○關内委員長代理 松澤君より発言の通告がありますが、御質疑なさいますか。
  97. 松澤兼人

    松澤委員 この際関連いたしまして伺つておきたいのです。前から成田君、赤松君の質問で大体その内容はわかつておりますが、第一にお聞きいたしたいことは、六千三百七円を実施いたしましたときには、人事院総裁としては八時間制を実施するということは何も考えておらなかつた。少くとも四十時間から四十八時間になり、現行の労働時間で行くというふうに考えておられたと了解するのでありますが、その通りに了解してもよろしゆうございますか。
  98. 淺井清

    淺井政府委員 その通りでございます。
  99. 松澤兼人

    松澤委員 そういたしますと、先ほども質問がありましたように、それが四十八時間になれば実質的に六千三百七円というものは崩れたというふうに考えてよろしゆうございますか。
  100. 淺井清

    淺井政府委員 ただいま繰返して先ほども申しましたように、法律の面から見まして、この給與は四十八時間までの給與でございます。しかしながらこの給與の中において不均衡が時間の超過によつて生じておるということは認めるわけでございます。
  101. 松澤兼人

    松澤委員 それではさらに第二点でありまするが、われわれは六千三百七円を決定いたしましたときでも、すでにもつと高いペースというものをもつていたのであります。しかもあの客観的な情勢の中において、少くとも政府の五千三百円というよりは高いものをもつて公務員の福利を増進したいと考えておつたのであります。しかるにその建前が崩れてしまい、しかも先ほどお話のありました四月三日からは夏季時刻で、さらに家族及び本人の負担が相当苦しくなる。しかもそれ以來物價は漸騰して参りまして、おそらくはこの物價騰貴によるところの二十八條及び六十七條の、給與の改訂に対する勧告をしなければならない時期が到達しつつあるというふうに考えているのでありますが、百分の五変更あつた場合には勧告するという時期がいつごろであるか、その見通しがありますかどうか、及びそれについての操作はどの程度まで進捗しているか、この点について伺いたい。
  102. 淺井清

    淺井政府委員 ごもつとものお尋ねでございます。お示し通り百分の五以上動きました場合には、人事院國会に対して勧告をしなければならないということになりまして、これは人事院におきましてただいま研究を進めておるのでございますが、人事院といたしましては國会に勧告した場合には、必ず國会でお取上げくださるように、十分準備を整えてやるべき事柄だと存じております。これはただいま研究を進めておるわけでございまするが、これをいつ國会に勧告ができまするか、今日まだ申し上げることができない段階でございます。
  103. 松澤兼人

    松澤委員 物價が漸騰しているということは事実でありますし、そのために人事院においても、その研究の操作をして行くという点は了解できたのであります。御承知でもありましようが六千三百七円を決定したときには、すでに六千三百七円では食つて行けないような状態になつておるのであります。從つて今後百分の五改訂する事情が生じて來た場合に、給與はどの程度になるかわかりませんが、給與の改訂をしようとするときには、すでに物價はそれ以上に上りまして、上つただけでは食えないという結果になるのであります。從つてどもといたしましては、準備はできるだけすみやかにこれを完了いたしまして、そして少くとも給與が上つたときに、公務員が安心して生活ができる程度にしなければならないと考えているのであります。從つてその時期がいつであるかということは今日ただちに言明できないといたしましても、予算の面から考えてみましても、相当に物價は騰貴して、生活の内容が苦しくなるということは、当然考えられることだと思うのであります。從つて現在予算及び政府の財政政策の中に現われておりますところの方針が、この國会において決定されたといたしますならば、そこからどの程度の物價の騰貴が現われて來るお見込みでありますか、この点について伺いたい。
  104. 淺井清

    淺井政府委員 これは私專門でなく、また人事院がその点について專門ではないわけでございまするから申し上げ兼ねまするが、物價が急激に上りつつあるという御説もあるようでありますし、物價がまた当分横ばい状態になつてるという見方もありまして、その辺は私もよくわかり兼ねるのでございます。いずれにいたしましても、百分の五以上動きました際には勧告する義務があるということは、これは当然のことでございまするが、物價がどのように相なるかということは、これは経済問題でございまして、私といたしましては御答弁する資格がないと存じております。
  105. 松澤兼人

    松澤委員 その事情はよくわかりますが、すでに新聞などに現われておりますように、運賃が上つただけでも、おそらくは百分の三から百分の五くらいは、生計費も上つて行くに相違ないというようなふうに言われているのであります。從つてこれ以上議論しても仕方がないのでありますが、人事院公務員の生活を安定させるという責任をもつている以上は、物價の騰貴に應じて、ただちに手の打てるような十分な準備をしておいていただきたい。すでに申しましたような事情によつて、今日公務員の生活というものは非常に苦しくなつているのでありますから、もし法律その他の関係が許すならば、少し先走つても、私どもはこの際十分に給與を引上げて、公務員の生活を安定させる必要があると考えておりますので、願わくば手遅れにならないように、ひとつそういう研究の操作などを進めていただきたいということを御希望申し上げまして、私の質問を打切ります。
  106. 星島二郎

    ○星島委員長 質問の通告はこれにて終局いたしました。他に御質疑の御希望もあるかと存じますが、時間が大分たつておりますから、簡單にひとつお願いいたしたいと思います。
  107. 土橋一吉

    土橋委員 淺井総裁にちよつとお尋ねしたいのでありますが、先ほど赤松君がいろいろ質問され、われわれ非常に思い当る点が多々あるわけであります。淺井人事院総裁としては、國家公務員法の第一條の規定をごらんになつていただきたいと思います。この規定の根本的な基準によつて、あなたの方では公務員の福祉なり、利益保護のためにいろいろ今日まで御努力になつておるわけであります。ところが政府の方では、一方的に行政整理を断行しようという段階に來ておる。これについてあなたの方では、その点は行政管理廰なり、あるいは政府の方でおやりになる政府的の問題であつて、私の方は関係しないという御答弁がただいま若干あつたわけであります。私はあなたがほんとうに第一條の規定を忠実にお守りくださり、また実践をするお考えがあるならば、当然現在の國家公務員諸君が首を切られるという問題については、あるいは公團関係も同様であり、地方公務員についてもおそらく同じような考え方をして、政府なり行政管理廰へ適当な勧告なり、報告をなぜなさらないかということを、まずお聞きしたいと思つております。
  108. 淺井清

    淺井政府委員 行政整理がいいか惡いかという問題でございますが、土橋さんは行政整理はすべからずという前提でお話をなすつていらつしやるように存ずるのであります。私はさいぜんも申しましたように、この行政整理をするかしないかは、國会がおきめになるべき問題である。そういうことを申し上げたわけでございます。
  109. 土橋一吉

    土橋委員 そうしますとあなたの方は事前に、第一條の規定によつて、現在の公務員の非常に困つておるということを承知しながらも、政府なりあるいは行政管理廰なり、あるいは國会にそういう勧告をする意思がない。こういうことを申されるわけでありますか、それとも政治問題は國会が決定するから、人事院はそれは知らないというお考えでおるのか、その点を明確にしておきたい。
  110. 淺井清

    淺井政府委員 先ほど申しましたよよに、この行政整理がよいか惡いかという点については、人事院は判断すべき資料を持ち合わせません。もしもさいぜんも申しましたように、職階制が完備いたしておりますれば、この行政整理にどれだけの人をやるべきか、やらなくてもいいのかということがはつきりわかり、人事院も勧告することができるだろうと存じておりますが、さいぜんも申し上げました通りに、それが、まだできておりません以上は、私の方は内閣もしくは國会に対しまして何を言うべきであるか、それは私はわからないと存じております。
  111. 土橋一吉

    土橋委員 そうするとあなたの方の見解によると、職階制の内容がまだ明確にわからないし、事務量の関係についても十分研究もしていないから、そういうことについては何も言えないということである。國家公務員勤務状態なり、あるいは給與状態なりについて権威のある人事院の方がわからない。意見の発表ができない。何も知らない。行政理管廳あるいは各省がこれをやるのだということは、実に奇怪千万である。公務員勤務状態なり、あるいは各省のいろいろなことについて、一番よい御承知になつておるあなたの方で、政府が何らはかることもなくやることに対して、あなたの方では現状のままで安んじて、國会なり政府の対して勧告をされないということは、非常に手落ちではないか。あなた自身は、國家公務員法の第一條の規定を、どういうふうに考えて適用されておるのか。あなたは現在の公務員の公務執行中におけるところの待遇の問題、やめせさせる問題、あるいは退職手当の問題というようなことについては、人事院は関知してないと仰せになつておるが、それはどういう点によつて説明できないのかということを、私どもに明確にしていただきたい。あなたの御説明によると、公務員の職務状態勤務時間、あるいは四十八時間問題等については、あなたの方で一番関心を持つて、勧告なり指令をお出しになる役目でありながら、その指令を受ける政府の諸君がかつてなことをしておるが、何も言わない。こういうことでは、あなたは第一條の規定を忠実におやりになつておらないと言われても説明の予知はないと思う。國家公務員の身分または職階の問題、給與の問題、退職の問題、厚生福利の問題まで、全部あなたの方で考えておるというのが第一條の規定の精神であると思う。そこで國会に対しても、政府の処置については、人事院はこういうふうに考えておるというような腹案を、あなたの方から示していただく誠意がなければならぬと思うのですが、いかがですか。
  112. 淺井清

    淺井政府委員 國家公務員法を施行する義務を人事院が持つておることは申すまでもないことでございます。わけても第一條が最も重要で規定であることもお説の通りであります。私どもは決してこの第一條の、人事院國家公務員の福祉を守つて行かなければならぬということを怠つておるわけではございません。しかしながら土橋さんはすでにきまつた一つの前提から議論をお進めになつておる。すなわち行政整理は悪いものでおる。よつて人事院はこれをとめるようにせよという前提での御発言でございまするが、私どもは必ずしもそうは行かないということを申し上げたのでございます。
  113. 土橋一吉

    土橋委員 それは私の発言をあなたは一方的に独断で解釈なすつておるの制あつて、私はまだ行政整理について絶対にいけないとわ一口も言つていない。あなたはさつき赤松君の質問に対して、職階制については十分な研究ができていないから何とも言えない。また政治的な問題であるので人事院としてはかかわらない、こういう二つの考えを表明されたから、私どもはあなたの方で第一條の規定を忠実におやりになるというならば、当然現代の二百六十万諸君の勤務時間なり、実際の問題については、あなたの方に一番的確な資料が集まつておるはずである、もし集まらぬとすれば、各省であなたの方の指令なり、規則を忠実に行つていないことを証明しておるわけでありますが、その一番よくわかるあなたの方が、各執行機関である政府の諸君に、かつてなことをやらしておる、それをなぜちよつと待つてくれと言うだけの誠意がないかと言うのであります。この問題についてはまず私は反対ですが、しかしながらあなたが、私が反対だという一方的な見解をもつて、そういうようなことを言つては困るというふうな説明では、答弁にはならないと思う。あなたが実際に第一條なり、すべての條文に忠実におやりになるというならば、なぜあなたの方でも、人事院としての適当な行政整理について——結局予算の問題もありましようし、機構改変の問題もありましようが、そうしてあなた自身その方は知らないというならば何をか言わんやでありますが、現実に國家公務員の福祉なり、待遇なり、あらゆるものについてあなたが把握して、促進して行かなければならぬことが、あなたの使命であるならば、当然何かの腹案なり、基準なり、何かの方法を、あらゆる機会にお示し願うことが、最も職責に忠実なるゆえんではないかということを私はお聞きしておるのであります。ただ答弁だけで逃げて行くというのではいけないのであります。國家公務員法第一條は、職階制をつくるだけの問題とか、單の給與の基準の方法について、あるいは勧告するとか、自分の管内の人事委員会における各部の統制をとるとか、そういうことではなくして、國家公務員全体の福祉、基本的な権利なり給與について考えなければならぬが、当然退職の問題、行政の整理の問題、そういうことについても、あなたは確たる腹案なり、計画がなければならぬと思うのである。ところが政府が一方的にただいまやつておることに対して、あなたの方で的確な、こういう考えを持つておる。こういうような方法でやらなければならぬというようなことをお示し願わなければ、第一條の規定に、忠実にあなたがやつていらつしやるということを、われわれは認めることはできないのであります。
  114. 淺井清

    淺井政府委員 さいぜん私が申しましたのは、行政整理をやるかやらぬか、またどれだけの人数をやるかについて、人事院関係ないということを申し上げたにとどまるのでございます。
  115. 土橋一吉

    土橋委員 行政管理廳で実際行政整理実施本部を置いて、政府の方でやるということについて、あなたは不覊独立の立場において、公務員の利益を守るということがあなたの使命であります。そうであるならば行政整理について、あなたの方の腹案をもつて勧告するなり、あるいは行政各機関に対して指令を発する権限を持つておられると思うのですが、その権限を持つておるかどうかお答え願いたい。
  116. 淺井清

    淺井政府委員 それはお示し通りだろうと思つております。
  117. 土橋一吉

    土橋委員 権限を持つておられるならば、給與の点はもちろんであるけれども、実際行政整理について、なぜあなたは確たる腹案と計画をもつてそれをおやりにならないのでありますか。現在きわめて不十分な資料であるけれども、職階制から考えて、四十八時間もあなたの方で御決定になつておる。この四十八時間を強制することによつて、行政が行政整理を断行するに都合がいいというようなことは、あなたの方でも前もつてお考えでありましよう。賢明な淺井さんともあろう人が、そういうことがわからないので、四十八時間をただ勤勉という文字だけでおやりになつたとは了解できない。四十八時間問題については当時新聞紙上なり、あらゆる委員会等にも出席しておられるので、当然こういうことをすれば、自分はまさに首切淺右衞門になるのではないかというようなことは、十分御考慮になつておられなければならぬと思うのであります。ところが現在の行政整理は四十八時間以上の大問題である。この問題についてはあなたの方で確たる見通し、考えもなく勧告もしないということは第一條違反ではないか、あなた自身職責の不忠実ではないかと申し上げておるのであります。あなたの答弁のように、そういう規則なり、指令を発する権利があるというならば、どういう方法をとるお考えでおられるかを聞きたい。
  118. 淺井清

    淺井政府委員 行政整理の問題につきまして、私の言い得ることはすでにすつかり申し上げたつもりでございます。土橋さんは、さらに人事院から行政整理について何か勧告をしたり、指令を発せよという御意見でございまして、それは國家公務員法第一條においてなさなければならぬ、こういうお考えでございまするが。國家公務員法第一條の職員の福祉を守るという点について、私は決して義務を回避するものではございませんが、私は人事院は今そのような段階にないということを申し上げるだけでございます。
  119. 土橋一吉

    土橋委員 ただいまの御答弁は了解できないのでありますが、ここの條文をごらんになればわかると思いますので、僭越ですが私読み上げます。「この法律は、國家公務員たる職員について適用すべき各般の根本基準(職員の福祉及び利益を保護するための適切な措置を含む。)を確立するということが書いてある。そうして確立をしたものについて、職員がその職務遂行にあたる云々ということが書いてある。基本的に、やはり任用から最後の解職に至るまでの條項があるわけです。同時に行政整理ということもこれに書いてある。公務員の福祉の問題と、利益に関係する問題が主題である。これはどなたが考えても常識上当然と考えられる。その問題についてあなたは何も腹案もない。この問題についてどうすることも考えておらないというのでは、第一條の違反だということを私は言つておる。その点を明確に答弁していただきたい。
  120. 淺井清

    淺井政府委員 土橋さんの御論議は、この第一條の解釈に誤解があるのではないかと思つております。行政整理は必ずしも人事院規則でやるのではなく、國家公務員法第一條の基準に從つてなされなければならないとは考えておりません。國会みずから、かりに行政整理法律をおきめになれば、それでもつと強力にできるわけでございまするから、すべて人事院規則行政整理までもやらなければならない。このようには私は了解できないと存じます。
  121. 土橋一吉

    土橋委員 それは先ほどから三回も申し上げておるのでわかつております。行政整理に関する問題は行政管理廰でもやつておるし、あるいは國会でも問題になるけれども、問題の基準として、あなたの基本的の利益を守るという立場から、当然あなたの方でも何かの腹案があつて國会に対する勧告なり、あるいは行政管理廰に対して、基本的な利益と権利を守るために、何かの処置をしなければならぬではないか。あなたの方が行政管理廰に参画をするとか、國会に行つてどうとかいうことを申し上げておるのではない。あなたが基本的の権利を守るというならば、当然そういう方面にあなたの腹案を持つて、基本的な態度をお示し願うことが、第一條の規定に合致するのではなかろうかというようなことを言つておるのです。
  122. 淺井清

    淺井政府委員 よく御意見は了解いたすわけでございまするが、これに対しましてこの勧告なり、指令を発するというような段階には、今日までのところ到達しておらない、このように申し上げたつもりでございます。
  123. 土橋一吉

    土橋委員 それでは淺井総裁は、そういう時期に至ればやる。またそういう権限もあるのだということを確認せられての、ただいまの答弁であるかどうか、ちよつとお聞きしたい。
  124. 淺井清

    淺井政府委員 それは少しく論議が超越いたしはしないかと存じております。そのような勧告がないこともあればあることもあり、わからぬ、このように申し上げた次第でございます。
  125. 關内正一

    ○關内委員長代理 土橋君にお諮りいたしますが、なかなか一致点を見出すこともできないようですから、次会に保留なさつたらいかがでしよう。
  126. 土橋一吉

    土橋委員 保留も何も、前の御説明ではあたかも権限があり、たとえば規則なり、指令を発する立場にあるような御説明があつて、今の御説明によりますと、そういうことは今の段階においてはどうにも説明ができない、こういうようなことであるが、職階制はまだ不完全で進行中であるけれども、そういうものを通じて四十八時間制を出すということについて権限を持つておるならば、当然行政整理についても、そういう指令なり、あるいは規則を出し得る地位にあるかどうかということをお聞きしたことについて、あなたの御答弁では、ただいまそういう段階にないと言われたのであるが、そういう基本的な第一條の規定から言つても、当然あなたはそういう権限と職責を持つておられるかどうかということを明確にしておかないと、議論にならないと思うのです。
  127. 淺井清

    淺井政府委員 すでにそれは明確に申し上げたつもりでございまして、御意見は十分尊重いたしまするが、私といたしましては、もう申し上げることはないのでございますから、どうぞあしからず御了承願いたいと存じます。
  128. 土橋一吉

    土橋委員 ただいまの問題は、もつと速記録をよく読みますが、非常に不十分な点がありますので、後日の委員会に留保いたします。
  129. 淺井清

    淺井政府委員 いつでもまかり出ますから……。
  130. 土橋一吉

    土橋委員 次の問題をちよつとお聞きしたいのですが、当面一番手取り早いことでちよつとお聞きしましよう。淺井総裁は指令の第五号で、増田官房長官なり、今井給與局長を御招致になりまして、審議会をお開きになつた。私のただいま手元に持つておりまする資料によりますと、ここに書いてあることは、あなたのもとに宣誓をして、給與局長が述べられた当時の状況であるように私はこれを拜承したのですが、これを読んでみれば、この中に、もし宣誓と違つたようなものがあつた場合には—たとえば公述人である今井給與局長の答弁が、全然違うような箇所がたくさん見受けられるのですが、そういうものに対しては、どういう行政措置が行われるか、お聞きしたい。
  131. 淺井清

    淺井政府委員 そればすでに当日申しましたように、申さば偽証罪の適用もあるわけでございます。しかしこの問題はきわめて重大でございますから、ただいまここで、あることを仮定して申し上げることは、遠慮いたしたいと思つております。
  132. 小平久雄

    ○小平委員 大分時間も経過いたしましたし、本会議もすでに開かれておるようでありまするから、本日はこの程度にとどめまして、質疑は次会に延期されんことを願います。
  133. 關内正一

    ○關内委員長代理 小平君より質疑延期の動議が出ましたが、いかがでございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 關内正一

    ○關内委員長代理 では本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十七分散会