○
最上政府委員 輸出の問題になりますと、あるいは通商産業省から
お答えすることが適当かと思いますが、便宜私から述べさしていただきたいと思います。今年の
輸出はどのくらいできるかということは、非常にむずかしい問題でございますが、大体の
見通しから申しますと、実は昨年
生糸として約八万俵出たのでございますが、本年一月一日からアメリカのドルの最低價格が一ポンドにつきまして十セント上りましたので、またそういうことがある程度わか
つておりましたので、昨年の十二月から今年の一月にかけて非常にたくさんの
生糸が一時に出たのでございます。そういう
見通しの
海外の輸入があ
つたことと、その後主として、アメリカにおきまして
絹織物のみならず、
繊維品が
相当大幅な値下りをしました結果、機屋がさつぱり糸を買わなくな
つた。糸の消費が
相当大幅に減少したというのが、二、三月ごろから現在までの実情であるのでございます。しかしながら最近の諸般の情報から判断いたしますと、アメリカの
織物の値下りもやや底をつきまして、
絹織物等につきましても、一部ある程度の盛り返しをしておるという事情もございまして、大体六月、七月ごろからは
相当生糸が賣れるだろうというくろうと筋の
見通しでございます。從いまして問題は、下半期にどれほど出るかということにかか
つておるわけでございます。また昨年も八月、九月が一番よく
生糸が消費された時期でございまして、この下半期、今後の情勢いかんということにかか
つておりますが、私
どもといたしましては、大体昨年程度、あるいにそれより減りましても、そんなに大きな減り方はしないのではないか、かように
考えておるのでございます。と申しますのは、一月から四月までの総計をいたしますと、一月に非常にたくさん出たために、今年の一月から四月までは約一万八千俵出ておるのでございますが、昨年は一万五千俵程度でございまして、現在までの総計は二月、三月以来非常に不振でございますけれ
ども、一月にたくさん出ました
関係上、一月からの合計にいたしますと、昨年よりも減
つていないのでございます。從いまして、今後昨年程度に近いものが期待できますならば、これは今後の
海外の市況いかんにかか
つておることでございますけれ
ども、最近底をついた
見通しがあることなどから総合いたしまして、昨年度程度出るのではないか。あるいはそれより減りましても、そんなにひどく減ることはないのではないか、かような
見通しをいたしております。