○津々良
参考人 私は
労働組合を代表いたしまして、特に職場が
配炭公團でありますので、その
方面の知識から申し上げたいと思います。今日ここで開かれました
商工委員会で、
炭價の
メリット主義の問題についていろいろ議論がされるということに
なつておりまして、今日まで
各位からいろいろ皆さん方に御説明がありまして、おおよその概要というものはおわかりに
なつたと思いますが、メッリトの
考え方が違うということがはつきりおわかりに
なつたと思うのであります。しかしながら
メリット問題を今ここで私は特に申し上げる必要はないと思いますが、ただ私
どもが具体的な事例として申し上げるのは、今度の
メリット炭價を五月一日から暫定的にやろうとしておりましたけれ
ども、実はこれが全然だめに
なつた。七月一日からのいわゆる單一
メリツトの強行
処置も実は見通しが困難に
なつて來た。こういう事実を申し上げておきたいと思います。というのは先ほど説明になりましてように、中小
炭鉱ではこの暫定
メリツトをやりましても、マイナス三百円、三百円は今の
炭價から安く買われてしまう。ところが大手筋の
炭鉱に行きますと、大体六百円プラスになる。黒字が六百円になる。こういう
結論が出ております。たとえば
北海道の夕張
炭鉱で見ますと、これは十月から二月までの五箇月の
実績の
数量にぶつかけて、約一億六千万まうまるもうか
つてしまう。ただこの
炭價の操作をしただけで一億六千万がもうかる。あとの大
炭鉱はおして知るべしという
状態だ。これはあまり露骨であるということがはつきりわかりまして、
石炭協会の中にも中小
炭鉱の皆さんが反対されたばかりでなしに、一般に
政府でもこれはあまりひどいということが、だんだんわか
つて來たということが実情でありまして、おそらくあちらさんの方でも大体その眞相がわかるにつれまして、これはどうもおかしいということに
なつて來たのではないかと思うのでありますが、これをあまり追求すると、実は
炭鉱をもつと下げられるかもしれないということに気がつきまして、大体
政府もあるいは大手筋の方にも、あまりこの問題については熱心にならなく
なつたということを聞いております。これは
メリツト炭鉱の現状がこういう方向にきているということの情報でありますが、現在問題に
なつているのいはそれじやなくて、実はこの二、三日中に
国会に提案されようとしている
石炭公團法の改正によ
つて、四千
カロリー未満の
石炭を公團取扱いからはずすという問題、無煙炭、煽石も当然これと一諸にはずされますが、それが実は
メリツト炭鉱と々ような
意味において重大な関心事に
なつておるということは、先ほど來の御説明でおわかりの
通りでありますが、これによ
つておそらく数字的には四千
カロリーという
石炭の格つけが全然ないので、どこからこんな数字が出て來たかわかりませんが、これでは現在公團としての職務からい
つて、四千
カロリーがどのくらいの
炭鉱にどのくらいの
数量に影響するかということを、正確に調べることができないほどの全然無
意味な数字であ
つたのであります。それのしても大よその検討をつけますと、大体二百鉱以上の山がこれでも
つておそらく路頭に迷
つてしまう。それで大体月産三十万トンの
数量がこれによ
つて影響されるおいことが言えるのではないか。しかももしこれを公團取扱いからはずす。公團は
價格操作をや
つておりますから、プール
價格をきめて操作しておるので、こういう
石炭をはずしてしまうと、今まで
赤字加算ということをや
つてコストを補
つてお
つたのでありますが、こういう
炭鉱がはずされてしまえば、それだけプールが余
つて來るから、大体一億から二億くらいの金が余
つて來る。それは残
つた大
炭鉱が当然適当にししのわけ前にあずかるということに
なつてしまう。こういうことが大体において行われそうな
状態に
なつて來る。これは一体どういうことがもとでこういうことが起きたかといいますと、大体低
品位炭というものは、非常に余
つておるということが言われておりまして、事実
貯炭が相当あります。
大阪でも関東でも相当の
貯炭がある。
大阪では二十五、六万トンはあるはずです。この数字は必要によ
つては申し上げますが、ところでこの低
炭鉱がどうして余
つているかと申しますと、先ほど來説明がありましたように、実は、発券制度、クーポンを発行する。これが技術的の操作がまずい。これを抑制しておいて、余
つた貯炭を買いたい人はたくさんあるのですけれ
ども、買わせない。だから低級炭の場合には、東京の場合でも
大阪の場合でもそうでありますが、発券制度を直しまして、自由発券というか、地方の
石炭局で発券できるという制度を低級炭にと
つてみたいのでありますが、そうしますと
貯炭が半減してしま
つた、そういうような実情でございまして、発券制度が惡か
つたんだということがはつきりとしておる。また
炭價が少し高過ぎる。これは現在
需要家の
方々が少し高過ぎる。これは現在
需要家の
方々がはつきり言
つておるのでありますが、
炭價については五百円から七百円くらい、安ければ幾らでも買いたいということをはつきり言
つておる。たとえば長野県の製紙業者というのは、もともと
石炭を使
つて仕事をしておりますが、現在では亞炭であるとかまきであるとかを使
つておる。こういう人々も五百円安ければ
石炭が使えるということを言
つております。こういうわけで実は発券制度とか
價格政策がまずいために、売れなく
なつて來ているということが現状であるわけであります。なお製塩業等においては昔はずいぶん低
品位炭を使
つていたのですが、現在はほとんど割当てられていないことに問題があるのでありりまして、そういう
事情があるにもかかわらず、それをとめておいて余
つた余
つたということを言
つている。無煙炭の場合のごときも余
つた余
つたということに
なつておりますけれ
ども、実は外国から米国の無煙炭が二十二
年度は十九万トンも入
つておる。これは御
承知の
通り今の相場から見れば非常に高い。それがたとえば硫安の工場、ガス工場に行く場合には、特殊値引きとい
つて値引きして売るから、一万円以上の
石炭がわずか千円に
なつてしまう。内地の
石炭にしても特別
産業値引きということが実は行われておる。四千九百円くらいの
石炭が硫安工場やガス工場へ行くわけである。それでできる硫安と、
石炭業者が四千九百円の
石炭を使
つてつくるところの
石炭とは
値段が非常に違う。
従つて採算が合わない。非常に高いものに
なつてしまう。だから硫安ははけるけれ
ども、
石炭はちつともはけない。農家は硫安はあまりいらない。
石炭はほしいけれ
ども購買力がないからあまりいらない。こういうような
状態に
なつております。煽炭の場合にも無煙炭が使われるのだけれ
ども、ガスと比較してみると、ガスの方は
石炭を千円で買えるから安くあがるが、煽炭の場合はやはり無煙炭を普通の
値段で買わなければならない。こういうところに
産業別の燃料におけるいろいろな差等がつけられている。こういうようなことが現状に行われているので、これさえ解釈すれば十分こういうような低級炭とか無煙炭、煽石の活用の道あり得るということを、皆さんにぜひ
承知していただきたい。先ほど來中小
炭鉱の業者や労働者がはつきり言
つておりますように、從來までの中小
炭鉱の
努力によりまして、戰前における中小
炭鉱のいわゆる出炭目標は大体完遂されておる。ところが大手筋
炭鉱の
上級炭、中級炭以上の
炭鉱は戰前に比べてほとんど半分くらいしか達成していない。どこに
生産サボタージユがあるのか。一生懸命掘
つた人間はこういうふうに
メリツト制で殺されようとしておるし、今度は
配炭公團法の改正で四千
カロリー以下はつつぱなしてしまうことで、ほんとうに手足をもがれて路頭に迷わされてしまう。ソビエトの方には例のあかつきに斬るというやつがありまして、ノルマを達成しない者はあかつきに斬るという刑罰を受けた。現在の
日本ではノルマを達成し、
生産目標を達成した中小
炭鉱の
生産者も労働者も、ノルマを達成したためにあかつきに斬るという刑罰を受ける。すなわちこういうのが現在の吉田内閣の政策である。こういうことをわれわれは指摘せざるを得ない。以上におきまして大体中小
炭鉱の問題が、非常に現在重大な社会問題に
なつておるということを皆さんに訴えるとともにこれに関連しまして中小工場が実は
炭鉱と同じように非常な虐待を受けておる。
石炭を買う工場におきましても、最近においては炭代の回収が非常に苛烈に行われておる。大工場の方もずいぶんたま
つておるけれ
ども、この方にはあまり請求されないばかりでなく、この間日発は三十億も興銀から融資をされて未回収に充てた。これがどんどん大工場に行われるだろうということは、商業新聞にはつきり書いてある。ところが中小工場については、ほとんど
石炭代金を前金で持
つて來なければ配炭をしないということさえ行われている。こういうようなことが行われて、中小
炭鉱の低級炭はますます売れなく
なつて來る。こういうように売れなくなるように仕組んでいる。こういうような総合的な見地から、皆さんは現在行
つている中小
炭鉱の問題を十分に檢討されたい。それは現在の
炭鉱の
メリツト問題を中心にして行われたのではもはや解決がつかない。近く当面するところの
配炭公團法の改正で、何を
政府はもくろんでおるかということは、今の四千
カロリーの問題でその一端が現れているのでありますが、これを十分に理解しなければ、その中小
炭鉱の問題は解決しないということを申し上げたいことはありますが、大体そういうことを申し上げておきたい。
なお特に重要なことは、先ほど申し上げました大工場では、三十億も興銀から融資をするという問題がありまいしたが、先ほど
三菱の方かどなたかがおつしやいましたように、講談には
炭價操作によ
つてプール余剰金がある。それを使うべきだというお話がありました。現在は
炭鉱の余剰金は三十五億ぐらいあるわけですが、この三十五億の金を何に使うかということが、非常に重要な問題であるわけです。それを
炭價政策に使
つて現在の
炭價政策さえかえれば売れるとい
つて、中小
炭鉱の
値段を五百円なり五百円なり安くして、いわゆる総合的な
メリツトをそこに発揮して行
つてや
つたならば、十分に市場が開拓できるのもかかわらず、その三十五億円の金を実はそういう
方面に使わないで、たとえば先ほど言
つたような中小
炭鉱への融資の担保に使
つてみたり、あるいは大
炭鉱の方で
資材代金がたま
つておる。その
方面に回収したり、これは当然
炭鉱が回収すべき金であるから、この三十五億円を
炭鉱に返せという名目で、
炭鉱が工場その他に
資材代金をためておる。それに埋合せをしてくれ、こういうことを言
つておるわけであります。これは非常に重大問題でありまして、こういうことになりますと中小
炭鉱はここで切り離されているから問題はないとして、残
つた残
つた大
炭鉱が大体三十五億を一人占めにしてしまうことになるわけです。これが現在三十五億余
つたということは、
消費者の
販売價格をプールしてつく
つたときに実費と販賣
價格の差、それから出て來る
差額がそこに三十五億円出たのですから、これは当然
消費者が何らか利益するような
方法で使わなければならない。從
つて販売價格その他の操作で現在売れないような炭がある場合には、それに対する操作で十分値引きして売ることが可能であるということが、一應
考えられるわけでありますが、これにつきましてはいろいろ
意見もあると思いますけれ
ども、要するに問題は複雜怪奇でありまして、特に
配炭公團法の改正は、
石炭問題をめぐ
つていろいろな伏魔殿でもありますので、この点は議員の諸公におかれまして、ぜひ事前に十分御審議願いまして、私
どもから專門家も十分差し出しまして御説明もいたしますし、問題の所在をはつきりさせたいと思いますので、きようは時間がないかもしれませんけれ
ども、最近の
機会においてぜひそういう
機会を持たれて、この問題を十分徹低的に御研究願われんことをお願いする次第でございます。