○聽濤克巳君 私は
日本共産党を代表しまして、本法案に絶対に反対を表明いたします。
その
理由としましては、第一にすでに社会党の
今澄君からも指摘されましたような、この法案の裏であるところの、
内容であるところの從業員の
生活保障に対して、何らの措置がとられていないという点が第一であります。これはすでにるるいろいろな党の
質問者から指摘されました
通り、
政府においては配置轉換も、就職のあつせんに対してすらも何らの誠意を示してないし、あるいは
退職金につきましても、わずか三箇月でも
つておつぱらうような案を立てております。また解雇の
通告すらも何らの余裕も與えない。こういうふうな無慈悲なやり方でありまして、これは、しかも單に今さしせま
つて問題にな
つておる両
公團だけなしに、今
日本におきましては、
公團は約十五あると聞いておりますが、この全從業員、おそらく十二万にも達するでありましようが、これらの
人たちに対しましても、おそかれ早かれこういうふうな運命が見舞うことを、はつきりと示唆しておるものでありまして、ここに
生活権を剥奪する重要な問題が提起されておるのであります。この意味におきまして、こういうふうな重大な仕事を、國家の
方針に
從つて過去三年間、忠実にその実務に当
つて來た從業員に対して、かくのごとく破れぞうりを捨て去るような、こういう無法な
方法によ
つて、一方的にこの切りかえを行
つて行くやり方に対しまして、まず第一に絶対に反対せざるを得ません。しかもこれはおそらく民自党内閣で計画しておりますところの、これは事実上
行政整理の前ぶれでありましようが、この
行政整理が事実かくのごとく無慈悲な
方法で行われることを表わしていると思うのでありまして、これは実に重大な社会的な問題を惹起する。このことを強く指摘しまして、第一にこの点において反対するものであります。
さらに第二点につきましては、この両
公團を廃止するにつきまして、今まで
公團にいろいろの批評を世間から受けて參りました。事実大資本が官僚と一緒になりまして、これを十分自分の利益のために利用して來たことを、われわれは知
つておるのでありますが、しかし今日では、むしろ
政府のこういう庇護のもとに過去に蓄積されて參りました実力をもちまして、大資本はむしろこの際
公團をじやまものにいたしまして、今までに蓄積した実力をも
つて、今後は自由に市場を独占して、そこで中小企業をぶつつぶそうとする。こういう計画すらもこの中に出ていると
考えられるのであります。事実今までに、すでに統制を撤廃されました、たとえば亞炭の例が示しておりまするように、今日の
段階に置きましてこの
公團を停止するということは、事実上中小企業の全滅をもたらす
状態が必至であります。事実この
貿易公團、特に原材料
公團の廃止につきましては、全國の中小企業から切実な陳情が
政府の手元に来ておるはずであります。これは今後、一般的に申しますれば、大資本というものが再び問屋制度を復活いたしまして、これを直接に支配しまして、そうしてここで市場を独占する。そうすれば中小企業は破産せざるを得ません。事実中小企業におきましては、
公團の廃止に伴いまして、運轉
資金にもま
つたく參
つてしまうでありましようし、またいろいろな販賣の
方法もなくな
つてしまいます。さらに今まで公定で入
つてお
つた資材な
ども、やみ市場に頼らなければならないような
状態になる。おそらく融資の割当すらもなくなる。いろいろな点で事実上、大資本による実に極端な圧迫によ
つて、これがつぶされて行くことは必至であります。最近そういう意味で
公團の廃止あるいは統制の撤廃に対しまして、中小業者がいろいろな産業において反対しているのはすべてこのためであります。私はこの点におきまして、この
貿易公團廃止は、事実大資本の利益のために、大資本を擁護する
貿易に移さんとする
一つの計画に基くものと
考えて、絶対に反対するものであります。
さらに
貿易公團につきましても、あるいは不良品の拂下問題、またこの点は十分明らかになりませんでしたが、未回收金の問題あるいは價格革命金の問題、すべて
公團の
資金の
状態について
政府はどういうように
処置せられるのか。今まで石油
公團の廃止の場合にもわれわれは一部傳え聞いておるのでありますが、こういう
資金の処分についても、不明朗なる事実が現われる危險が十分にあるのであります。こういう点に対する的確な
処置をとることなくして、かかる大膽な
処置をとろうとすることは、ここに大きな疑惑を生む原因となるのであります。こういう点におきまして、私は第三点としまして、とうてい承服できないものであると
考える次第であります。
さらに先ほど次官にお伺いしまして、御明答を得ることができませんでしたが、將來一体
貿易公團をどういうふうにして行こうとしているのか。これに
民間の新聞すらも傳えておるところであるが、
政府に何ら知らぬと逃げておるし。しかしおそらくは何らかの案が進みつつあるということは、四囲の情勢によ
つて明らかであります。すでに鉄道におきましても鉄道公社案があり、あるいは專賣局におきましても專賣公社案があり、傳えられるところによれば
貿易公團についても、通商産業公社案があると言われておる。それにつきましても、事実これがどういうふうな
内容を持ち、どういうふうな
運営が行われるものであるか。これは
日本の
貿易産業、
日本の
貿易に
関係するあらゆる産業の重大な運命にかかる問題であると思うのであります。こういうことも眞劍に
考えることなくして、かかる法案を通すことに絶対にできないのであります。私はこの意味におきましても、さらに反対するものであります。
最後に一言つけ加えておきたいことは、こういうふうな重要な
内容を持つ法案につきまして、先ほ
ども今澄委員から指摘されましたように、本日ここで初めて審議を行いまして、しかも本
日本会議に上程する順序と手はずを整えて、その審議を済ませ、本
会議に持
つて行こうとするというような、こういう不見識なやり方——こういう重要な
日本の産業の大きな運命に関する問題を審議する國会のやり方としまして、私にかかる不見識な態度に対しましては、まずその手続からも絶対に反対するものであります。こういう意味におきまして、最後に各党の皆さん方も、事実この法案については幾多の疑問を持
つておられ、非常に不安を感じられておるのでありますから、とりあえず、とにもかくにも他の
公團の場合と同樣に、これほど重大な轉換が行われようとするこの問題につきましては、ぜひ皆さん方も御協力くださいまして、少くとも
あと三箇月この
配炭公團の場合と同じように、この決定を繰延べていただくことにぜひ御協力くださるように、お願いしたいのであります。私はこれを特に皆さんにお願いし、主張するものであります。これにつきましては、先ほ
ども他の
委員からも
質問がありましたように、民自党の政調会におきましても、それは当然であるという意見を、すでに從業員
組合の人にも言われておるそうでありまして、皆さんにおいても、ほんとうに御異存がないはずだと思うのであります。どうかこの点について、狭い党利党略にかかわることなく、重大な問題でありますから、ぜひ向う三箇月、この期間を延長いたしまして、この間に慎重な
対策を練
つて行くことに御協力くださらんことを、私は特に希望して反対意見を終わりたいと思います。