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川上委員 本議案に対しては反対であります。その意見をごく簡單に述べたいと思います。
これまでいろいろ
関係当局の
説明なり
答弁を聞いたのでありますが、結局するところ
石炭企業に対する
赤字、これをいろいろの名目によ
つてこの際に棒引きにしてやろうということが一つと、それから復興金融公庫の改組がおそらくあるでありましょうが、これは今後
貸付金を強力に回収する方向になるだろうが、その場合に
石炭企業だけはこの
赤字の補填によ
つて、その回収の圧力からま
つたく逃れる。こういうふうに仕組まれてある。だからほかの
赤字融資に対しては考慮しないが、
石炭に対しては考慮しておるところに、非常に大きな政治的含みがあり、このこと自体に対して賛成できないものがあるわけであります。つまりこれは簡単に申しますと、独占資本そのもののしりぬぐいを、國民の
税金によ
つて持
つて行こうという従来のやり方の延長であり、しかも来年からはこれができないから、この年内に、このどさくさに
あとくされがないように片づけて行こうという御
説明であるが、どうしてもこれは承服することができない
説明である。
第二の理由は、原價計算が非常に不正確であ
つて、先にも申しましたように、この中に含みがあり、あるいは
業者のやりくりがあるということは、これは一般的な常識にな
つておる。このことは詳しくいくらでも例があるのでありますが、これに手をつけない。とにかくこの方面には一つも手をつけないで、ただそれだけはそのままにしておいて、
赤字だという問題にだけはどこまでもこれを
補償してい行こうというような形が出て来ている。このこと自体が、従来日本の
生産を上げ得なか
つたし、従来
石炭を中心として
資本家の
生産サボを来たした大きな理由である。その結果は、
資本家たちの中では、復興
融資は借りた金ではなくて、くれた金である。返さなくてもいい。こう言われておるのが常識なんである。こう
考えられている。そのために
炭鉱資本家などはできるだけ
石炭の
生産原價の水ぶくれをや
つて、
赤字となれば
赤字となるほど
復金から
融資を受けて、しまいには何らかの方法で自分たちの
負担にならない形で解決されるんだ。こういう形で今までもや
つて来たのであります。そこで今またここでいよいよしりぬぐいをしてやろう。ところがちょうど今大藏
大臣そのほかも御
答弁なさ
つたように、ここで國の経済、財政、
産業構造そのものを非常に大きく切りかえて、そして日本の
ほんとうの
生産の復興の礎を築かなければならぬというような段階にな
つて来ておるといわれておるときに、来年になれば出せぬというものを、このどたんばにな
つて、今まで持
つて来られたものをこのどさくさにや
つてしまおうというところに、これは非常にある
企業、ある資本を特に保護しようというような意図がありありと現われている。この点においてこの法案はきわめて不適当である、こう
考える。さらに交付
公債は来年度発行することはいけないということを大藏
大臣は言われた。その
公債の発行もいけないものを、これをここに来てやるということは、はなはだ不適当でありまして、これは二十四年度の一般計画で片づけるべきものである。これはこのどさくさに片づけるべきものではない。こう
考えられます。
その次には、今
補給金を出すというのでありますが、これを出したところで片づくものではない。今日日本の
産業、日本の
生産の
関係がかような形にな
つて来たということは、こういう行き方を従来や
つて来た結果が積り積
つている。それを改めるのではなくて、やはりそういうものをここに持
つて来ようとしている。今のようなやり方、こういう機構では、そのこと自体が所詮ここで交付
公債をや
つても、あるいはそのほかの操作をしても、これは片づくものではない。おそらく来年の
予算も近く提出されるでありましょうし、
産業計画も出るでしょうが、一体それで
ほんとうに日本の
生産と
産業の復興は庶幾できるかどうか。この形ではできつこない。どうしてもこういう大きな
企業に対する方策というものは、國営人民管理の線に移してやらなければ、
補給金を出すとか、交付
公債でこれをごまかしておくとか、こういう形では、とても日本の再建、復興はできるものではない。こういう
考えを強くわれわれは持
つているわけであります。その点からもこの法案に対して賛成できかねる。こういう理由によりまして、この法案の通過には反対であるということを、
はつきり申し上げておきたいと思います。