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1949-03-25 第5回国会 衆議院 商工委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年三月二十五日(金曜日)     午後一時四十三分開議  出席委員    委員長事代理 理事 神田  博君    理事 澁谷雄太郎君 理事 村上  勇君    理事 今澄  勇君 理事 川上 貫一君       阿左美廣治君    岩川 與助君       江田斗米吉君    門脇勝太郎君       小金 義照君    高木吉之助君       多武良哲三君    福田  一君       永井 要藏君    橋本 金一君       水谷長三郎君    石田 一松君  出席國務大臣         大 藏 大 臣 池田 勇人君         商 工 大 臣 稻垣平太郎君  出席政府委員         商工政務次官  有田 二郎君         商工事務官         鉱山局長    長谷川輝彦君         商工事務官         電力局長    玉置 敬三君         石炭廳次長   渡邊  誠君  委員外出席者         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事互選  石炭鉱業等損失補てんに関する法律案(内  閣提出第九号)     —————————————
  2. 神田博

    神田委員長代理 これより商工委員会を開会いたします。  本日は委員長におさしつかえがございますので、私が委員長職務を行います。議事に入るに先だちまして、諸般の御報告をいたします。昨二十四日長谷川四郎君が委員を辞任せられ、新たに田中伊三次君が委員となられました。  なお昨日委員長より議長に提出いたしました商工行政に関する事項についての國政調査承認要求書は本日承認を得ました。以上御報告いたします。  次に去る十九日の委員会理事互選に際しまして、理事一名の委員長指名が留保されておりましたが、この際御指名を申し上げます。            橋本 金一君 を理事指名いたします。  それではただいまより昨二十四日本委員会に付託せられました石炭鉱業等損失補てんに関する法律案内閣提出第九号を議題とし、その審査に移ります。まず本案の趣旨について説明を求めます。稻垣商工大臣
  3. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 ただいま議題と相なつておりまする石炭鉱業等損失補てんに関する法律案提案理由を、御説明申し上げます。  政府は先般來石炭鉱業等の新勘定赤字処理方針について、鋭意愼重な檢討を進めて來たのでありますが、その一環といたしまして、ここに石炭鉱業等損失補てんに関する法律案國会に提出いたしまして、御審議を仰ぐ次第であります。  昨年の春経済力集中排除法具体的実施段階に入りました際、石炭企業等の新勘定に巨額の赤字の累積しているものは、同法によつて企業分割を企図しても、法律技術的に不可能なことが問題となつたのでありまして、これが新勘定赤字が問題とされるに至つた端緒であります。  次に昨年の秋いわゆる企業原則が提示されまして以來企業合理化が強く要請されることになり、この面から過去の新勘定赤字を急速に処理し、將來合理的経営基礎を確立すべきことが、必要とされるに至りました次第であります。さらにこれと同時に、復金融資の性格に関して根本的な反省が加えられ、過去の赤字融資的色彩を一掃して、健全な金融機関として育成すべきことが要請されることになり、この面から過去において累積した復金融資の返済について、政府において何らかの措置を講ずる必要が、生じたわけであります。  以上の三つの観点から、新勘定赤字処理方策檢討して來たのでありますが、石炭鉱業金属鉱業電氣事業の各企業の過去の厖大なる赤字処理を、企業自体責任において行わせることは事実上不可能であり、また過去の赤字をしさいに檢討いたしますると、その発生原因から見まして、企業責任に帰することが、明らかに不合理であると認定される部分が存在するのであります。これらは主として過去における日本経済の悪條件下において、これら業種所属の各企業が、その與えられた生産目標達成のために、避けることができなかつたものでありまして、政府において何らかの措置を講ずる必要があると認められるものでありまして、その額を綿密に檢討いたしました結果、石炭鉱業については百七億九千四百万円、電氣事業については二十九億九千二百万円、金属鉱業については三億三千八百万円を、政府補償により処理することといたした次第でございます。  本法案におきまして右の政府補償全額登録國債によつてまかない、しかもその大部分復興金融金庫に対する債務の弁済に引当てるように規定しておりますのは、今回の損失補償金見合いの額は、すでに過去において復金をして赤字融資を行わせてあつたためでありまして、これによつて政府は、補償の実を失うことなく、しかも復金赤字融資の償却の方策をとつたものであります。  以上が大体法案を提出する理由と、その内容の概略でありますが、本法案による補償金の支出によりまして、石炭金属電氣の三業種損失を相当程度補填することができ、各企業の経理の健全化達成の大きな要因となると、確信するものでございます。  なお最後に御了解を得ておかなければならないのは、明年度健全財政建前からいたしまして、國債の発行を極力抑制する考えでおりますし、本法案による登録國債も、ぜひとも三月三十一日までに交付しなければならないという時間的制約がございますので、この点十分御了察くださいまして、本法案の御審議につきまして、最大の御便宜を供與していただきたいと存ずる次第でございます。  以上提案理由を御説明申し上げます。
  4. 神田博

    神田委員長代理 これにて政府説明を終ることにいたしまして、引続き質疑に移るのでありますが、発言発言順位從つてこれをお許しいたしたいと思いますので、それらの点につきまして、理事会でちよつと御相談をいたしたいと思いますから、暫時速記をとめたいと思います。     〔速記中止
  5. 神田博

    神田委員長代理 速記を始めてください。都合によりまして三時まで休憩いたしたいと思います。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 神田博

    神田委員長代理 では三時から再開いたします。     午後一時五十六分休憩      ————◇—————     午後三時二十七分開議
  7. 村上勇

    村上(勇)委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  私が委員長職務を行います。ただちに質疑に移ります。神田博君。
  8. 神田博

    神田委員 二、三お伺いいたしたいと思います。本法案対象なつております産業將來並びに関連産業に及ぼす影響が、きわめて重大でありますので、数字檢討もいたしたいのでありますが、時間的関係等も考慮して、可及的に簡單に、かつ総合的にお尋ねいたしたいと思います。  まず石炭鉱業についてでありますが、第一は赤字発生原因でありまして、これを除くことがどういうことにあるかということが問題だろうと思います。今回の御提案によりまして、過去の赤字補填しようということでありまして、しかもこの赤字をつくつたということが、政府の慫慂に基いてやつた。すなわち言いかえれば、業者責めに帰さないものである。そこで政府補償するのだというような構想のように承つたのでありますが、だんだん伺つて参りますと、この補償対象なつておりまする赤字の発生した時期が、片山内閣あるいは芦田内閣当時にできた赤字が大部分でありまして、石炭のごときはほとんどそれで占めているというようなことでありまして、かようなことをなぜ今日まで放置しておつたかということが一つ。  それからもう一つは、これでこの赤字が消される。その時期の赤字は消されるのでありますが、その後の赤字が配付された資料を見ますと相当できておりますし、將來においても赤字が形成されるのではないかと考えられるのでありますが、まずこの点につきまして商工大臣から的確な御答弁を願いたいと思います。
  9. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 ただいまの神田君の御尋ねに対してお答えいたします。  まず昨日の懇談会でも御報告申し上げたのでありますが、赤字補填する額の出ました原因は、御指摘のように一昨年の六月の千八百円べースから四千三百円にかわりましたその当時の差額につきまして、政府がある程度これを特殊労務並びに物件費については、一應これを赤字融資いたしておく。しかし將來これを補填するといつたような約束であつたように聞いております。続いて先般も申し上げましたように、昨年の六月になりましては、今度は價格の改訂が行われたわけでありますが、その後につきましては、御承知のように賃金補給という形で、これは十月から今年の二月にわたつて、二十四億円の補給金が昨年の暮れの議会予算内に繰込まれまして、御承認を得たようなことになつております。なお御指摘のように約八十億円の赤字がなお残つております。これがすでに関連産業の方への負担に相なつておるのであります。このできました原因は約九十四億円にわたります政府が命じました建設の中で、企業原則以來その建設を打切られた面がありまして、それが約三十億円に相なつております。三十億円をのけたあと五十億円が、運轉資金赤字なつております。その三十億円につきましては目下関係筋交渉中でありまして、これの補填についていろいろ考えているわけであります。なお運轉資金赤字につきましては、これも何らかの措置を講ずる必要がありはしないかと考えております。  それからなぜしからば一昨年の六月から今年までの片山芦田内閣にわたる補填を、今日までほうつておいたかという御質問でありますが、この点につきましては、当時からの樣子を承りますと、関係筋に対して折衝を繰返えしておつたという事柄と、また一面におきましては業者との間の数字の突き合せといつた問題で、今日まで遅延いたしておつたような次第であります。はなはだ遺憾でありますが、そういう事情でありまして、あしからず御了承を願いたいと思うのであります。
  10. 神田博

    神田委員 いろいろやつてつたが結局こういうことになつたという御答弁でありますが、はなはだ私どもといたしましては満足できない。行政部がいろいろ行政をなさるのに、お約束をなさるようなことはあり得ることだろうと思います。しかしながらかようなことはできるだけすみやかに、予算の伴うものは何らかの措置立法部にとるべきものであると私は考えます。だんだん赤字がふえて來る。につちもさつちも動かなくなつてしまう。その間に内閣が二度もかわつておる。そうして突如として立法部にこういう跡始末を持つて来る。こういう考え方が私は非常に非民主主義的な考え方じやないかと思う。政府の施策といたしましても、いろいろ重大なことも私は多いだろうと思う。その中から非常に急ぐからというので、お出しになつたようでありまするが、そのお急ぎになる理由は私はどうもよくわからない。なぜかと申しますると、三月三十一日までにこれが通らなかつたならば、交付公債の時機を失してしまつて來年度になるとこれは出し得ないのだというようなことは、どうもわれわれ立法部側としては了解しにくい問題である。そこで大藏大臣は他に御用があつて、お出かけになるように聞いておりますので、大藏大臣からひとつこういう交付公債を急いで出さなければならないということに御同意なさつたいきさつを、述べていただきたい。
  11. 池田勇人

    池田國務大臣 神田委員にお答えいたします。お話通り、今回百五十億円の交付公債を出して、跡始末をしなければならないという立場になつた原因は、片山内閣芦田内閣の物價政策、労働政策の破綻でございます。私としてこういうことをお願いするのは不本意と存じます。しかし石炭鉱業あるいは電氣工業等、わが國の産業基礎をなすものにつきまして、いつまでもこういうふうなものを置いておくことは、これら企業再建整備に支障がありますために、こういうものはできるだけ早く片づけたいと考えた次第でございます。なお御承知通り吉田内閣経済安定九原則によりまして、來年度はかかる交付公債によらなければならないような措置は、絶対にとらないことを期待しておりますために、あとくされのようなものは本年度でやつてしまうという氣持でございます。
  12. 神田博

    神田委員 大藏大臣の御答弁で、この問題を処理された氣持の一端を知ることができたのでありまするが、さらに両大臣にお伺いいたしたいのであります。われわれはまだこの数字を当つておりませんので、これが正確であるかどうかということはしばらく別といたしまして、石炭電力非鉄——ただいま現われておりまするこのものにつきまして、もうこれで補償が全部終了してしまうのか。あるいはまだあとくされが残つておるのか。残つておるとするならばどの程度の額があるのか。このあとくされのものにつきましてどういうようなお考えを持つておられるのか。この機会に両大臣から明確な御答弁を得たいと思います。
  13. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 ただいまの御質問でありますが、まず電氣関係につきましては、御承知のように昨年暮れの議会で三十五億円の補給金のわくがとつてあります。ところが賃金に対する争議の問題が結末がつきませんので、そのまま保留してある金額が八億一千万円であります。これは今中労委裁定をいたしておりますので、中労委裁定でその点がまとまりますれば、この八億一千万円は支出することになると思います。但しこれは本二十三年会計年度内に支出すべき性質のものであります。それから金属鉱山につきましては、やはり同じような関係で昨年暮れに賃金補給に関する費用として、二億九千万円がとつてありましたが、最近これを支出いたしました。石炭につきましては先ほどお答え申し上げましたように、関連産業について八十億円の赤字があります。それについて今の三十億円は長期建設の問題がありますので、これの融資について考えておりまするが、補給する考えは持つておりません。
  14. 池田勇人

    池田國務大臣 この基礎産業につきましての従來の労賃引上げによりまする補給金は、商工大臣からお答えになつた通りであります。前議会において認められましたこれら三十五億円に上る金額は、将来は一切出しません。従いまして、これらの産業に従事しておる労働者賃金につきましては、相当移動があると思いまするが、かかる移動につきまして財政負担はお断りいたします。
  15. 神田博

    神田委員 よくわかりました。そこでなおお聞きいたしたいのでありますが、この政府責めによつて生じた損害補填するという。しかしながらその補填方法の問題でありますが、今日炭鉱業者のごときは、特に自分関連産業に対するところの未拂いの問題で、炭鉱経営者自体も困つておることはもとよりでありますが、関連産業の困つていることは言語に絶するものがある。そこで伺いたいのでありますが、さような重大な段階におきまして、政府自分責めに帰するものとして補償するというような場合には、重要な問題でありますので、石炭増産をやる、あるいはまた非鉄増産をやるということでありまするならば、関連産業支拂いについて、相当これはおもんぱかつてやらなければならぬものじやないか。しかるにこの補償案を見てみると、復金肩がわりをするようなかつこうになる。もともと復金は、損害があれば政府が負うべきものでありまするから、復金にもしこれを返すのだというだけのことであるならば、急いで考えなくてもいいじやないかというような氣もする。これは大藏大臣からそういうわけに行かぬという御説明があるだろうと思う。九原則関係で、そういうことだと、このあとではできないのだというように、あるいは御答弁なさるかもしれませんが、私どもがこれを見ますると、自分の方の取立てに使つてしまう。手取り早く言えば復金に返す方に取つてしまう。右手でやつておるが、左手の方では復金にそれを巻き上げてしまう。これでは石炭増産なり非鉄増産というものが十分できるかどうか。むしろ政府責めによつて炭鉱その他が赤字を持つておる。しかもそれらの赤字がやはり因となり果となつて、そうして関連産業に対する支拂いが遅れておるのだから、むしろこういう方面にこれを流させて、そうして健全企業に導いてやるというような方向をとることが望ましいのじやないか。しかるにこの法案を見ますると、やることはやるが、それを復金償還に取上げてしまう。これでは親心がどこにあるかというような氣もする。石炭のことについては大分努力もされたとは言つておりますが、われわれは石炭についてはまだまだ努力を要求してよろしい。もつとこれはがんばらせなければならぬ産業であると考えておるのでありますが、こういう措置にあたりましても、今申し上げたような点についてはどういうようなお考えを持つておらえるのか。ことに最近坑木の問題にいたしましても、関係業者はもうこれ以上協力できないというような声をわれわれ聞いておる。これらの点につきまして両大臣はどういうようなおもんばかりをされて、こういうような立法をされたのであるか。ひとつ率直に御答弁願いたいと思います。
  16. 池田勇人

    池田國務大臣 今回の交付公債によりましたお金は、これは現在炭鉱業者が困つているのを救うという案ではないのでございまして、あとくされを早く片づけようというのでございます。炭鉱業者金融につきましては、お話のような点をたびたび聞いております。この問題とは別個の問題に考慮いたしております。炭鉱に限りませず、わが國の産業は今度はどうしても考え方をかえて、自分でやつて行くような計画を立てて行つてもらわなければならぬと思います。政府はこれに対しまして全幅の支持をいあす考えであります。なお現下の金詰まり問題につきましては、われわれとしてできるだけの措置とつております。しばらくその結果を見るまでお待ち願いたいと思います。
  17. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 神田委員の御質問にお答えいたします。先ほど大藏大臣が御返答相なりましたように、今度の補給金の問題はいわゆるあとくされをなくすという意味であります。と同時にまたこれは炭鉱業者にとりましても、借金というものが一つ重荷に相なつておると思うのであります。そういう点でこの際はつきりあとくされをなくすという意味での整理であります。そこで御指摘関連産業その他が非常に困つておられるという点は、まさにその通りでありまして、それによつてまた炭鉱業者自体が困つておる。未拂いがあるためにこういういわゆる関連産業から物を買うことができない、というような事態に立至つております。この金融措置についてはいろいろ苦心いたしております。ことに建設の面におきまして九十四億円を六十億円で打切つたという点において、実際は業者は九十四億円の長期設備をやつたというような点におきまして、その差額の三十億というものの融資について、目下関係筋交渉をいたしておるようなわけであります。できるだけ融資についてはわれわれ心配いたさなければならぬと思つております。それはひいては関連産業にも及びますので、この点は特にわれわれ心配いたしておる次第であります。  なお今後のことにつきましては、今度の経済原則なり、あるいは企業原則、ことに、企業原則炭鉱業に対しても嚴重に実施しなければならぬと考えております。またわれわれはそういう意味合いでのメモランダムも、最近関係筋からもらつておりますような次第で、早急に炭鉱業企業合理化について業者と懇談いたしてやつて行きたい。かように考えております。
  18. 神田博

    神田委員 先ほど大藏大臣お話で、政府責めに帰したのであるから、これは関連産業で困つていることも承知しているが、この方が筋が通るのだというような意味答弁でありまして、大藏大臣としては私はその通りだと思うのであります。大藏大臣財政健全化考えておられるのだから、御自分の方が健全になるように御努力されることは、もとよりだろうと思うのですが、私は商工大臣としての今の御答弁をお聞きしておりますと、どうも非常に消極的なお考えじやないかと思う。関連産業が困つている。政府責めに帰して、これだけの赤字が出ている。そこでその責めに帰している分は、復金償還に持つて行けばいいじやないか。私どもから言わせれば金にかわりはない。どちらに償還しようと、負担炭鉱業者なり非鉱金属業者なりが軽くなるのだから、復金借金を返そうと、あるいは未拂いを返そうとかわりないと思う。しからば同じ金を使うのに、どつちが増産になるか。こういう問題になつて來れば、やはり借金を返すことも大事でありますけれども自分の未拂いを整理することが、私は今後事業を継続する上になお大事なことじやないかと思う。そういう重大な問題を財政的に処置して、右から出して左からそれをとつてしまう。ここのところが商工大臣としてもつと御努力の筋があつたのではないか。言いかえれば、これは炭鉱なり電力なり非鉄なりが、將來どういうような状態になるかは別といたしまして、復金の最終の責任者政府なのでありますから、政府責めに帰したのを、政府がそれを支拂つて政府が取上げてしまう。そういうやり方よりも、政府責めに帰したものを、その責めによつて赤字が生じておつて、しかも関連産業が非常な金融の重圧を食つておる。自分支拂いをしてもらえないというような方面に、自分債務を完済したい。またさせるようになさることを商工大臣として十分御檢討なさつたのかどうか。どうも今の御答弁によりますると、ただ肩がわりをすればいいではないかというような氣持で御処理になつたとしますと、これはわれわれとして、そこが納得できない。この点ひとつもつとつつ込んだ御答弁を私は願いたいと思います。
  19. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 神田委員お話もつともと私も存じます。ただこの融資が起きましたときの原因が、一時復金融資で立てかえて拂つておく。こういつたような建前にありましたので、起つたときの原因にさかのぼつて、やはりこれを復金に返すという建前になりました。またこれは業者といたしましても、復金責任赤字重荷があるということは、今後の金融処置の上におきましても、非常にたえがたいことであろうと思いますので、関連産業については、今申し上げましたように融資方法をできるだけ早くとりたい。こういうことで彼此合せてやつて行きたい。こういうように考えておる次第であります。あしからず御了承を願いたいと思います。
  20. 神田博

    神田委員 どうもぴんと來ないのでありますが、あとの今お述べになられました関連産業の資金の問題、この未拂いの問題については十分考えて行きたい。これはあとの問題として考えて行きたいということでありましたが、私どもに言わせると、これは非常なさしあたつた焦眉の問題だろうと思う。これらについて、大分確信のあるような御答弁でありましたが、何か具体的な構想でもお持ちになつておられるのでありましたら、その内容を明らかにしていただいて、そうしてわれわれの納得するような御説明を願いたいと思います。
  21. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 先ほども申し上げましたように、八十億円のうち三十億円については関係筋に今交渉中で、その了解を得ましたならば、できるだけ即時その手続をはかりたい。かように考えておるのであります。なおあとの五十億円につきましても、融資についていろいろ考究いたしておりますが、とりあえずは、この配炭公團の中の余剩金をその方へ立てかえて融資しようかということについても、檢討を加えております。その点お答え申し上げます。
  22. 神田博

    神田委員 檢討を加えておられるということだけでは、私どもはよくわからないのでありますが、関係方面との折衝をなさることも、もとよりでありましようが、どの程度檢討を加えておられるのか。商工大臣としてはどういうような構想を持つておられるのか。ただ事務的にそれらのことをお述べになられましても、私どもが納得するに骨が折れる。もつと骨が折れないように納得をさしていただく御説明はできないものでありましようか。
  23. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 ただいま申し上げましたように、この三十億円については、ぜひわれわれは出したい。かように考えて、関係筋了解をとることに努力いたしております。この点はとれれば、ただちにその手続はとれるだろうと考えております。それからこの配炭公團の余剩金を一時融資するという点につきましては、これはやはり向うの了解を得られなければなりませんけれども、向うの了解を得られ次第、ただちに実行できることだと、かように考えているわけで、今その了解を得るために向うと折衝中であります。
  24. 神田博

    神田委員 向うと折衝折衝とばかりおつしやるのでありますが、こつちの方は一向折衝なさらずに、突如としてお出しになられる。どうもはなはだ議会軽視の観が強いことを、私は十分御警告申し上げたいと思います。向うとの折衝も、わが國の現下の情勢としては大事だと思いますが、しかし立法府を軽視されるということは、やはり究極において、本案なりまた関係法案審議を遅延することになりますから、向うと折衝なさつたことをこちらの方にも十分お話なさつた方が納得が行くのじやないか。こういうふうに考えますが、これはよく御了承願いたいと思います。  そこで話をかえてお尋ねいたしますが、この補償法案をおつくりになつて、政府補償金額を決定されたわけでありますが、これらについては業者が納得された金額であるかどうか。言いかえれば、御相談の上でまとまつた話かどうか。もしまとまつた話でないということになりますと、政府が一方的に、自分補償したつもりであつても、業者はそれは全体の何割の補償である、というようなことであつてはならないと思います。先ほど來も、これ以上拂わないのだ。三原則、六原則あるいは九原則で拂わないのだというようなことを言つておられるようでありますが、民主主義の新しい憲法下においても、政府補償すべきものは、これは補償するような建前なつておりますので、そう簡單には参らないのだろうと思う。ただ予算措置をするかしないかというような問題があるかもしれないが、この点については、どういうようなことになつておるのか。業者が納得ずみでこれができたのか。そうしてあとくされがないということも納得ずみであるのかどうか。そういうことを明確に商工大臣から御答弁願います。
  25. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 先ほどもこの法案の出るのが非常に遅れましたので、おしかりを受けたようなわけでありますが、それは業者との間にも——業者は二百四億円の赤字であるということでありまして、われわれの方の考え方との間に非常な開きがあつたのですが、それが折衝の結果、両者の間に話が落ちつきまして、この金額に相なつたわけであります。業者としてはその点は十分了承いたしておる次第であります。
  26. 神田博

    神田委員 これは拂う者と受ける者との立場が違うので、考え方の食い違いがあることはあり得ることでありますが、納得ずくの話だということでありますので、そういうように了承いたしておきます。そこで商工大臣にお伺いいたしたいのでありまするが、片山内閣の際に、石炭國管法案というものを強硬に議会を通したことを御記憶になつておられるだろう。ことに商工大臣は当時参議院の鉱工業委員長をなすつておられて、非常に御熱心におやりになつたことは私どもの記憶にとどまつておるのでありまするが、石炭國管法が昨年の四月から発動しておる。一昨年は三千万トンの目標でありましたが、三千万トンが確保せられた。昨年は——昨年といいましても、本年度になりますが、石炭國管法が施行されまして、三千六百万トンの目標は達せられないということが、もう現実の問題になつて來て、おそらく三千五百万トンを割るのではないかというようなことが言われておりますが、私ども当時、石炭國管法をむりに強行して行くならば、石炭増産にならぬ。むしろ減産のおそれがあるのではないかということで、政府に警告を発したのであいますが、遂にこれはわれわれ少数のために破れた。今日これを施行しても満一年になんなんとして、しかも目標を達することができなかつた事態になりましたことを考えてみますると、石炭國管法が石炭増産についてどのくらいのプラスの役割をしたのか。むしろマイナスの役割が多かつたんじやないか。いろいろ非難をされている点をわれわれは承知しておりまするが、きようはそれらの例をあげませんが、これについて商工大臣はどういうようなお考えをお持ちになつておられるか。はつきりした御答弁を願いたいと思います。
  27. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 ただいまの國管法がどういう影響を持つたかという御質問でありますが、これはなるほど昨年の四月一日から実施されたのでありまするが、実際の仕事にとりかかつたのはたしか七月ごろだと承知いたしております。そこでまだ一年になつておりませんので、その成果いかんという問題は、軽々には申されないだろうと思います。ただ私自身この商工省に入りまして、その事情を目下いろいろ檢討いたしておるのでありまするが、たとえばあの管理委員会といつたような制度につきましては、実際は生産命令は関係筋から出ておる。そこで生産会議を管理委員会でするといつたようなことが、あるいは意味をなさないのではないかといつたような、たとえばそういうような個々の点については大いに指摘すべき点があるようにも考えております。從つてこの國管法というものが石炭増産のために効果があつたか、なかつたかということの具体的の数字は、実際出せないと思いまするけれど、も、感じから申し上げまして石炭國管法というものが石炭増産のために大きな力を盡しておるとは考えられないのであります。しかしながらまだ一年たつておりませんので、私といたしましてはなおこの國管法の可否と言いますか、國管法の実効いかんという問題について、さらに研究いたしたいと、かように存じております。
  28. 神田博

    神田委員 研究の結果を待たなければその結論を得られない、目下研究中だというお話でございますので、この問題についてこれ以上お尋ね申し上げても同じことだと思いますし、これは議論にもなりまするからやめまして、なおその次に移りたいと思います。  電氣事業の問題についてちよつとお尋ねいたしたいと思いますが、電氣事業関係におきましても、三十億ほどの補填を見込んであるようでありまするが、電力の國家管理をするというときに、当時政府といたしまして、低廉にして豊富な電力を供給することが必要である。こういうことを盛んに声明せられまして、そうして強力に発電関係を、あるいは送電関係等も國家管理に強行した形でありまするが、今日は情勢も非常にかわつておりまして、電力料金も見方によつてはまあ低いじやないかというようなことも言い得るかもしれませんが、しかし考え方によつては何も設備をそうたくさんやるわけではないんだし、むしろ高いんじやないかということも言われるわけであります。これはなかなか議論があるだろうと思います。ただこの際お伺いいたしたいのは、これはきのう懇談会でも川上君からもお尋ねがあつたようでありまして、政府責めに帰すべきことに対して損害が出たのだから補償する。こういうのでありますが、これはもう政府責任で國民が非常な損害をしておるということは、この三事業だけじやないと思う。あらゆるものが今日のような統制をおやりになつておられると、また今日のような行政機構のもとにおいては、國民が迷惑することが多いので、これはもう大いに改善すべき問題だと思いまするが、特にこの電力関係等においては、昨年から今年にかけまして非常に情勢が好轉しておるわけであります。そこで電力会社等においては相当それが数字に現われておるんじやないか。言いかえればこれは独占事業でありますので、三十億くらいの金を、政府約束した責めに帰すべきものであるから、やるという一つ考え方も、もちろん私は必ずしも否定しようというのではありませんが、そういうこともお考えの上でただ責任数字だけつかまえる。あとのことは考えないというようなやり方であつてはならないと思いますので、そういうことはお考えの上でお組みになつたのかどうか。それらのことを一つ方針として、大臣から御答弁願いたいと思います。
  29. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 電力の問題についての御質問でありますが、まず第一に神田さんの御質問は、電力が実際に國家管理式の方式でうまく行つているかどうか、という御質問であつたかと思うのでありますが、この点については私自身も商工大臣として、前から個人といたしましていろいろ意見も持つておりますので、一体電力をどういう形で持つて行くかということについては研究をしなければならぬ。これは電氣委員会にかけられて、その答申がほぼ出ておるようでありますが、しかしながらその答申の通りにこれを実行するの可否といつたような問題も、考えてみなければならぬと思つております。なお御承知のようにこの電力会社には従來の外國の旧債があります。この旧債と関連して、この電氣事業をどういうように編成すべきかということも、考えてみなければならぬというように考えておりますので、根本的の電氣企業の方式については、これを國管式にやるべきであるか、あるいは自由な民間企業にやるべきであるがというような点については、大いに研究しなければならぬと、かように考えております。  それから今の補給金の問題でありますが、大体九月末まで三十九億円ほどの赤字が出ておるのであります。ただ下期は非常に水の都合がよろしかつたので、下期においては黒字が出ておるのでありますが、常に電氣事業では上と下との間に赤黒の違ひがありますので、それを平均いたしますると、どうしても前の補給金は一應償つてやらなければならないのではなかつたか、と考えておる次第であります。しかしながら今後電氣料金の値上げということについても、なかなか関係筋了解を得ることができないような立場にありますので、どうしても今度は企業の強力なる合理化にようて、電氣経費を安く仕上げて行くということでなければ、実際に今後赤字が続くことになると思うのでありまして、その点は業者に対して十分警告を発して、やつて行くつもりでおります。きよう御了承を願います。
  30. 神田博

    神田委員 そこでもう一つお尋ねいたしたいのでありますが、この三企業に対して政府責任をとる。すなわち補償をするということを言われておるのであります。またこの補償する原因も物價の改訂のずれにある。あるいは早期に政府が確約をした。だからその当時の口約を果すのだということを言われておるのでありますが、先ほどもちよつと触れましたように、かような統制経済の現状におきましては、政府の施策によりまして、国民がいろいろ迷惑しておることが多いと思う。卑近な例をとりますならば、價格形式の際におきまして原料を先にきめる。そこでだんだん一次製品から二次、三次ときめて行く。その間非常なずれを伴つて行く。そのずれによつて受けるだんだん末端の業者損害というものはきわめて大きい。そういうのは数も多いし、計算もむずかしいかもしらぬが、全体として考えればむずかしいので、一工場として考えればこれは簡単に出て來る問題なのです。そこで私としてお聞きしたいことは、大工場である、大産業であるから政府補償してくれる。小さいものは泣き寝入りであるということがあつてはならないと思う。今までのやり方をずつと見ておりますと、物價の改訂期にはいつも末端の方が犠牲にされておる。もちろん第一次産業においても相当犠牲を受けることはあり得るのでありますけれども、特に二次、三次と下つて行くほど大きいように考えられる。政府はこれらの重要産業補償に関しまして、かような中小企業と申しましようか、末端の方までそういう政府の政治の仕方によつて大きな打撃を受けておるということをお考えの上で、おやりになつたことであるかどうか。心構えの問題にもなりますが、こういうふうに大きいものは補償されておる。小さいものは見て行かないのだというようなことは、もしこれを社会的に考えました際には、國民の道義が低下しておる際、好ましくない感を起させはしないか。そういう各般のことまでお考えの上でおやりになつたのであるかどうか。どういうお心構えであつたかということを、ひとつ商工大臣から率直に所見を伺いたい。
  31. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 今の神田委員の御質問の点は「私もまつたく同感であります。一つの第一次製品を物價廳できめた場合に、第二次製品、第三次製品に対して非常なずれがある。それがために各末端に至りますほど迷惑するという点は、まさにその通りでありまし事て、こういつた点は十分考慮しなければならぬ問題だと私は考えております。  それからまた大企業に偏して中小企業にはおろそかにする。こういつたことがあつてもならないと存ずるのであります。ただ今後いわゆる経済原則下に、商工行政としては輸出産業に重点を置くということに相なつておりますので、自然輸出産業に資金、資材が集中される傾向はあると思うのであります。しかしそれは何も大企業とか、中小企業ということを区別した意味合いではありませんので、輸出産業に対して重点を置いて行くという形で、商工行政をやつて行くことに相なると思うのであります。  それからなおこの三つのものが特に補給金をもらつたということについては、先ほどの御質問のときに私はお答えを落したかと思いますけれども、これは石炭鉱業なり、これらのものに対して、当時政府がその仕事の上に介入しておつたということがおもな原因でありまして、刑に他の企業と区別したということではないのであります。この点お含みを願います。
  32. 神田博

    神田委員 もう一つつておきたいと思いますが、炭鉱復金借入れの残高調べによりますと、いろいろ用途別の資金の運用の表が出ておりますが、炭住の一例をとつてみますと、百四十一億六千万円が炭住資金として出ておるようであります。またこれを年度別に見ますと、二十二年度の下半期には約一億九千七百万円、二十二年度の上期では二十三億七千八百万円、またその下期には二十六億、それから二十三年度の上期では五十四億六千万円、二十三年度の下期では三十五億三千五百万円という数字なつておりますが、炭住の建設計画というものは一應これで完成したというふうに見てよいのかどうか。私どもこの表によつて、大きな目の子算になりますが、炭鉱の従業員が今日四十四、五万というふうに押えますと、一人当り少くとも三十数万円に相当しておる金額であります。今日の金額からいえば、これはいろいろ疑問がございましようが、しかしこれは二十一年からやつておられる仕事なのであります。相当りつぱなものがたくさんできたであろうと私は想像する。今後もおやりになる計画がおありかどうか。あるいはこれでよろしいのかどうか、りつばに行つておるのかどうか。大臣はどういうふうにお考えなつておるのか。また詳細なことは政府委員からお聞きしたいと思います。
  33. 渡邊誠

    ○渡邊(誠)政府委員 ただいまの神田委員の御質問にお答えいたします。炭住の住宅はりつぱと由しますればりつぱであります。十二坪程度のものを建てております。支出された金額に対しての住宅建設は、炭鉱の各種の施設建設の中で、最も完全に一番早く完成いたしたわけであります。そうして今後どういうふうに相なるかと申しますと、現在の炭鉱の労働構成を見ますときに、先ほどお話通り、四十五万の労務者がおりますが、このうち坑内夫は五六%であります。坑外夫が四四%であります。そこで今後の増産と能率を考えます場合に、この労務構成を六○対四○で少くとも持つて行かなければならないという関係上、坑内夫については増員をして行く必要があると思うのであります。坑外夫については戰時中に比べまして、相当の著しい増加を示しております。その人員につきましては今後増員を行わないという原則で参ることになります。住宅は今後どういうことになるかと由しますと、新しく開かれる炭鉱につきましては何もないわけでありまして、非常に能率のよい、しかも優秀な資源を持つておる新炭鉱を開く場合には、新たに住宅が建設されて行くと思います。なお從來からございます炭鉱の住宅の中でも、三十年くらいの年月を経過しておるものも相当数あるわけであります。それに現在住んでおる人たちもおるわけであります。これは順次新しい家にとりかえて行かなければならぬということになるだろうと思います。しかしながらそれにつきまして、ただいま御指摘のような百四十億ほどの金額復金から融資いたしまして、急速に住宅建設をやつたというような行き方とは違つて、今後の分はその企業がその住宅を新たに建てる資金能力があり、すなわち償却の見込みあるりつぱな企業体である能力のある場合に、その企業のまかなえる範囲内において建てて行く。こういう形になつて行きます。
  34. 神田博

    神田委員 渡辺政府委員からの御答弁がありましたが、一人当り三十数万円の予算なつておるように見ておりますので、相当りつばなものができたということを聞いたのでありますが、りつぱであるともりつぱでないともわからない、ごたごたした御答弁でありますが、すいぶん莫大な金が出たものであるということを、私は出した方も御存じかどうかというふうに実はお尋ねいたしたのでありますが、そこで大臣からも答弁してもらうというつもりであつたのでありますが、これはまた他日の機会にゆずつて質問いたしたいと思います。  話をまたかえまして、昭和三十四年度石炭の生産計画は四千二百万トンを確保したいということを傳えられておりますが、その通りであるかどうか。そこで四千二百万トンであるということでありまするならば、それは今年度が目標三千六百万トンを達成できないというような状況、それからまたいろいろこの三原則、六原則、九原則によつて相当多くの努力を講じなかつたならば、増産をして行くということは、これはむずかしいのじやないかと思う。根本の問題は今政府委員からも御答弁がありましたけれども、坑内夫と坑外夫との比率が十分じやない。また一人当りの石炭の出炭量もきわめて向上しておらぬというような状況のようでありますが、いろいろ配付を受けました資料を見ますると、どうもわれわれ憂慮にたえない面が相当ありますので、これらについて商工大臣はどういうような構想をお持ちになつておられるか。來年度の出炭計画、またこれを確保することについての構想といいましようか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  35. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 ただいまの御質問の四千二百万トンという問題でありますが、これは最近司令部のメモランダムによりまして、四千二百万トンを二十四年度においては実現するようにということを、言つてつておるのであります。それに対しては現在の石炭消費者價格及び補給金を増加することなく、また赤字融資によることなく、この目的を完成することが必要である。こういう意味合いのメモランダムが参つております。これが実施は御指摘のように本年三千六百万トンが三千五百万トンにしか参つていないような現実でありまして、なかなか至難であろうとひそかに憂えておるのであります。しかしながらこれはどうしても達成することに、われわれは努力をいたさなければなりませんので、その方法といたしましては、業者にできるだけ早く企業合理化を行つてもらうことを、慫慂いたしておるのであります。それは結局はやはり先ほど渡邊君から申し上げましたように、坑内外夫の入れかえ——入れかえといいますか、比率の轉換ということが最も必要に相なつて来るのではないかと考えておるのであります。その点についての措置を強力に実行いたしまするならば、この点ではこの目的を達成せられるのではないか。実際問題といたしましては、御指摘のように一人当りの生産が六トン六分くらいの程度でありますけれども、しかしながらこれを時間当りにいたしますると、能率は相当に上つておるのでありまして、採炭夫につきましては、戰前の能率を超過いたしておる次第でありまして、今数字は渡邊君から御説明申し上げますが、そういつたわけでありまして、ただ採炭夫が非常に少いということが、大きな原因なつておるかと思うのであります。その点に力を入れまして、業者との間に折衝をいたしておるような次第であります。
  36. 神田博

    神田委員 四千二百万トンが来年度の目標であるということが、ただいまの御答弁で明確になつたのでありまするが、四千二百万トンをお出しになることを強行するつもりである。しかしこの手段方法としては業者と十分連絡を密にして、納得の行く方法によつてその目的を達成しよう。こういうお考えのようでありまして、これはもちろんであります。技術の導入とか、機械の購入とかいろいろあるでありましようが、そういうことはもとより当然でありますので、それはそれといたしまして、そこで大臣業者と密にしてやるとおつしやつておられるのでありまするが、不幸にして業者の方から四千二百万トンに対しまして、確約できないというような際には、今の國管法がそのまま続いて参るといたしますれば、業務計画の変更を命ずるというような事態も起るだろうと思います。そういう場合に業務計画の変更を命じて、出炭四千二百万トンを確保するということを強行して、そのために業者損害をこうむつた場合においては、むろん補償するというだけのお腹をきめてお考えなつておられるか。そういうことにはならぬということでお考えなつているか。その辺の見通しはどうなんでありますか。
  37. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 ごもつともの御質問であります。一体私はある目標なら目標を達成せしめるということのために、強権を発動してやるといつたようなやり方では、実際に実績は上らないものだという考え方を持つております。この点は業者の納得の行かれるようによくお話を申し上げ、ぜひその目的達成のために御協力を願う。こういう建前とつて行きたいと思います。強権を発動いたしましても、かえつて実績を上げるゆえんにはならないと私は考えておりますので、どうしても私は業者の方に訴えて、この際ぜひ四千二百万トンの目的達成に御協力を願うように、努力して行きたいと考えているわけであります。
  38. 神田博

    神田委員 ただいまの商工大臣の御答弁はぜひそういうようなやり方で成果を上げていただくことを、われわれも期待しているのであります。なおいろいろお尋ねしたいこともありますが、非常にお急ぎのようにも承つておりますし、他の質問も出ているようでありますから、一應事務的な方面は——大臣にもう二、三お尋ねしたいこともございますが、ここで留保いたしまして、次の質問者にお讓りいたしたいと思います。
  39. 今澄勇

    今澄委員 それでは商工大臣に、できれば総理大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、今日の石炭赤字補償法案審議に入るに先だつて政府の施政方針の演説もない。それから商工省が今後の商工行政をどのように運営するかという大きな見通しもつかない五里霧中の中で、この法案が昨日急遽委員会開会中に議会提案されて、本日の審議に入つているような状態であります。もとより予算その他の問題で遅れるということも、われされは了承いたさないわけではないのでありますが、それらの一切の責任はあげて政府にあるのであつて、われわれ國会審議を求めるに先だつて商工大臣はこれらの問題について一言のあいさつがなかつた次第であります。何ゆえに政府はそのような政府の施政方針なり、あるいは商工行政に関する大臣の一端の意見なり、あるいはそれらのもののでき得なかつた弁明なりがなくて、この審議が開始されたかということについて、商工大臣の意見をただしたいと存ずる次第であります。
  40. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 総理の施政方針演説は、目下なお関係筋との折衝も残しておりますので、しばらく後にこれを行うことにお許しを願いたいと思うのであります。それから商工行政につきましてどういうように考えておるかという御質問でありますが、御承知のように、われわれは今日企業原則経済原則を、忠実に実施して行く立場に置かれておるのであります。そこで経済原則なり、企業原則を忠実に実行する建前から申しまして、まず商工行政といたしましては、どこまでも輸出産業に重点を置いて行く。こういう建前から、近く商工省においては、輸出を中心とした行政機構にかえて行きたいという考え方を持つておるのであります。輸出を重点的に取扱う。同時に今日この九原則を実施するにあたりましては、どうしても集中生産方式を採用いたさなければならぬと存じておるのであります。但し集中生産ということは、大企業に集中生産ということではありませんので、いわゆる企業合理化であります。企業合理化を促進いたしませんければ、單一為替レートが設定されましたときに、日本の産業が衰微する、あるいは日本の産業が輸出に耐えないような立場になることをおそれますので、どうしても企業合理化を促進して行く方法をとりたいと存じておるのであります。もちろん企業合理化ということは、私の考え方といたしましては、優秀なる製品と低廉なるコストによる製品をつくつて行く。こういうことに相なろうと存ずるのであります。そういう意味合いにおいての合理化に対して、できるだけの力を盡す。たとえば技術の導入にいたしましても、あるいは機械、設備のとりかえ、そういつたものについても、われわれは力を盡しますと同時に、ある場合におきましては、コスト安の工場に生産が集中されることもやむを得ないではないか。かように考えておる次第であります。もとより輸出産業に重点を置くと申しましたけれども、輸出産業をして可能ならしめるところの基礎産業は、十分に培養して行かなければならぬと思うのであります。それで石炭でありますとか、電力でありますとか、あるいは金属、鉱山その他の点につきましての基礎産業は、これは日本の資源自体によつてつて行くことでありますから、こういう面についても力を入れませんければ、輸出産業そのものが成立つて行かない。こういうことに相なろうと思うのであります。そういう建前で、概括的に申し上げまして、そういう考え方から出発をいたしたいと思つておることを御了承願いたいと存じます。
  41. 今澄勇

    今澄委員 先ほど大藏大臣は、今後は石炭のかかる赤字補償のような処置は、絶対とらないという強硬な御意見でございました。もとより当然であろうと思います。そこで商工大臣は、これまでのように、いわゆる資金の面については、商工省の力によつて資金の調達をし、資材の面については商工省の努力によつて資材の運営をいたして、日本の産業経済の再建に商工省が大きな力をいたしたことは、御承知通りであります。ところが今後は九原則並びに三原則その他の問題から、大藏省なりその他の役所の力によつて商工大臣所管の権能と言いますか、それらのものが非常に掣肘を受けることは、今の大藏大臣の御答弁によつても明瞭でありますが、それらの状況のもとに商工大臣は、わが國の産業並びに経済が、今後円満に発展し得るという見通しを持つのでございますかどうか。御答弁を願いたいと思います。
  42. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 ただいまのご質問は、先ほども申し上げましたように、いわゆる輸出産業に重点を置く。それからまた基礎産業にも重点を置いて行くという点につきまして、それらの資材の面、また融資の面についてどうかという御質問であろうと思うのでありますが、短期資金につきましても、いわゆる企業の三原則によりまして、赤字融資は許されないと存じますけれども、黒字の方には、いわゆるある期間の運轉融資、その点について別に大藏大臣においてこれを拒否するというような御答弁ではなかつたと存ずるのであります。これは大藏省と緊密なる連絡をとりまして、輸出産業また基礎産業に対する黒字融資につきましては、十分われわれは相談に乗つて行く考えでおります。資材の面につきましても、先ほども申し上げましたように、主として輸出産業に重点を置く。場合によりましては、ある点では國内産業に耐乏を強いるということもあるかと存ずるのでありますけれども、少くとも輸出産業に対しては資材を集中して行く。またある面につきましては、原料を入れて、その原料をそのまま加工いたしまして、それを輸出いたします。言いかえれば、労働輸出ということも考えられ得るのではないか。これはある意味において失業救済の一面でもありますので、入つた原料を全然國内には使わないで、そのままこれに加工して出して行くといつたようなことも考えるべきではないか。かようにも考えております。その点御承知願いたいと思います。
  43. 今澄勇

    今澄委員 商工大臣は、今日の資金資材のきゆうくつな部面から、勢い働く労働者の上に大きな重点をかけて、一切を労働者の犠牲と労働者の労働力の強化のみによつて切り抜けるというがごとき、わが國の産業再編成の方策をとられるということは、労働省の管下にも及ぼすことでありますが、商工大臣は嚴に戒心をされて、わが國民主主義下の現在において、それらの労働者の立場をもこれを十分重視した産業経済の再建方式が立てらるべきである。私どもはかように考えておりますが、この点についてのお考えもついでに承つておきたいと思います。
  44. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 これはもう仰せの通りであります。勤労者も経営者もこれは一体になりまして今日の耐乏を忍び、日本の経済の事実を上げて行かなければなりませんので、先ほど、いわゆる労働輸出と申し上げたことが、あるいは誤解を招いたかと存じますけれども、これは勤労者のためにも、いわゆる失業対策の一端であるというような意味で申し上げたのでありまして、決して勤労者を度外視する。あるいはこれに重圧を加えて云々ということはないのであります。むしろ勤労者の勤労意欲を向上することを私は念願といたしております。その点については誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。
  45. 今澄勇

    今澄委員 最初の、いわゆる政府の施政方針が遅れておるという問題については、総理大臣の御所管でございましよう。その施政方針の遅れておる根本原因は、予算ができないということである。しこうしてその予算は、最近の新聞紙上を見ると、内示が遅れておるというようなことが書いてあります。その予算案作成の責任者は、今のわが國においてはあくまでも政府である。しこうして政府予算案の作成をなし得ないということに関しては、総理大臣並びに大藏大臣責任を負わなければならない。今日われわれは、そのような施政方針を聞かずして、これらのいろいろの議案を審議しなければならないという立場において、大藏大臣責任ある御答弁を願いたいと思うのでありますが、これは大藏大臣がお見えになりましたならば、その趣旨を傳えられて、大藏大臣より御答弁を承りたいと存ずる次第であります。  そこで私は、この赤字融資の結果生じたいろいろの、石炭関係赤字であるとか、電氣あるいはその他の工業の赤字については、片山芦田内閣の今日に至るまでのいろいろな施政の、これが跡整理であるというような御答弁が、大藏大臣からもございました。そこで私どもはこれらの企業赤字融資、あるいはその他の融資的な援護策というようなものについて、十分檢討して参つたところが、これらの企業が常にその赤字政府責任になすりつけて、そうしてまことに放漫なる経営をいたしておつたということは、今日関係方面指摘にある通りでありまして、これらの業者が、ただ單に赤字を起しさえすれば、これは政府補填に依存するというようなやり方ではどうにもならない。やはり予算の大きな支出面が、このような赤字補填金額に食われているということは、大きなわが國の予算の不健全性を、今日残り僅かになつた二十三年度予算においても、この意味合いにおいて、政府が支出せんとする赤字補填金は十分檢討して、それがどの面から見ても妥当なものであるという、客観的な妥当性がなければならぬと存ずるのでありますが、商工大臣から業者と相談の上、業者も納得したというお話がございましたが、しかく簡單に業者が納得するような数字であるならば、これには非常な含みがありはしないかと考えますが、大臣の御意見を承りたいと存じます。
  46. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 御質問でありますが、この赤字は、先ほど來申し上げましたように、いわゆる賃金べースのかわりましたときに、政府がその貸金べースの裁定に介入した。そのときに、当時の経営者、勤労者両者の同意の上で、政府がある程度赤字融資をしたのであります。そうして大体赤字二百余億に対して、百七億を裁定いたしたわけでありますが、この点に対しては、そう納得したのならばなお余裕があるのではないか。こういうような御質問でありまするけれども、そういうことは私はさらさら考えないのでありまして、これでもある意味において業者にむりを強いておるのではないかというように、私は考えておるのであります。これが結末がつくのが今日遅れまして、皆さん方にわずかな期間に御審議をお願いしているゆえんも、また先ほど神田委員からもなぜ早く出さなかつたかというおしかりをこうむりましたゆえんも、業者との間の折衝に相当ひまをとつたということは、言いかえれば業者が余裕があるからそう簡單に納得したのではないということに、御了承を願いたいのであります。
  47. 今澄勇

    今澄委員 大体大局的な本法案に関する商工大臣の御意思は了といたしました。細目についてはあらためて御質問を申し上げることといたしまして、一言委員長質問をいたしておきます。私は二回も商工委員会に出席をいたしておるのでありますが、大野委員長には残念ながら一度もお目にかかりません。別段他に國会の役員として大きな仕事を兼務されているとも見えない大野委員長は、今後も引続きずつと出られないで、こういうふうな輪番制の理事委員長でおやりになるようなおつもりであるか。それとも大野さんは出て來られるのであるか。ちよつと委員長に御答弁を煩わして私の質問を打切ります。
  48. 村上勇

    村上委員長代理 お答えいたします。ただいま党務が非常に多忙でありますから、ここ数日間の問題だろうと思いますが、党務片づき次第に、必ず大野委員長は出席することになつております。その日に限つて用事ができることについては、われわれとしても何ともお答えすることができませんが、あなたのただいまの御意向はよくお傳えいたします。では川上貫一君。
  49. 川上貫一

    ○川上委員 質問いたしますが、多くの項目にわたります。まず初めに今澄委員から質問がありましたが、やはりこの問題は非常に重大です。これは登録國債の交付となつておりますが、金額は百四十億ですから、そう小さい問題ではないと思います。これは均衡財政の見地から見れば、やはり予算関係する問題であり、國庫の支出であります。それから復金の方に返つて行くというお話でありましたが、復金の機構がどうなるかということがわれわれにはまだわからない。また來年度における日本の産業に対する補給金政策の問題も、一言も政府から聞いておらぬ。どんなことかわからない。そうして今澄委員も言われたように、施政演説も聞かなければ予算もわからぬまま、この法案審議せいという形で出ている。これが一体あたりまえのことであるかどうかということについては、さつきから御答弁もあつたようでありますが、私は納得することができない。そこでこのことについて政府はこれがあたりまえであるとお思いになるか。これは普通のことではないと思われるのか。そのことをひとつはつきり御答弁をお願いしたい。これを商工大臣にお願いするという意味ではなくて、これに対して政府としての見解をはつきり述べていただきたいと思います。
  50. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 ただいまの川上さんの御質問でありますが、当時石炭並びに電力その他については、ある一定の数量を生産することを一つの至上命令なものとして、どうしてもそれをやつて行かなければならぬという立場から、賃金の改訂の場合におきまして、從來は價格があとぎめになつておりましたから、價格の中に賃金の上昇率は含まれておつたのでありますけれども、この價格を前ぎめにすることになりましたために、その後賃金を千八百円から四千三百円に切替えるという事態が起きました場合、その差額について一部は企業努力によるけれども、一部はどうしても政府補償せざれば、予定の三千六百万トンを出す事ことができなかつた。あるいは三千万トンを出すことができなかつた。こういう当時の日本再建のための至上命令といたしまして、基礎産業に特にこういうものを與えるということは、当時の政府としてはやむを得ずこれを約束いたしたことであろうと、私は存ずるのであります。しかしながら今後におきましては、こういう補填補償ということも、企業原則に沿うて嚴重にこれをやつて行くつもりでおりまするので、今後はさようなことをわれわれは考えておりません。ただ今までのことについては、これはそういう立場からやつたことであつて、その政府がやつたことに対する約束を今日ここで相殺しよう。こういう考えであります。
  51. 川上貫一

    ○川上委員 私の質問の要求からすつかりはずれておるのでありますが、私はそういうことを御質問申し上げたのではない。日本の経済あるいは再建にとつては非常に重大な時期である。二十四年度というものはきわめて大きな問題の生ずる時であろうということは、新聞紙その他によつて感じておりますが、政府から何の一言も聞いておらぬのであります。そうして予算の問題についても、あるいは産業の計画の問題についても、あるいは復金の問題についても、重大な変更があるやに聞きますけれども、しかしながらこのことは一言も政府から聞いておらない。すなわち施政演説もなければ商工大臣の演説もない。予算の提出もない。その場合にこういう数百億に達する重大な支出を即座に審議せいというような提出の仕方をなさることが、あたりまえのことであると政府は思つておられるのか。このことを私は聞いたのです。
  52. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 施政方針の演説、その他大藏大臣なり安本長官なりから、今年度の物動計画なり予算の方針なりを御説明申し上げる機会がまだ参りませんのは、はなはだ遺憾に存ずる次第であります。これはなお関係筋との折衝が残つておりますので、しばらく御猶予を願いたいと存ずるのであります。そういうものをやらぬときにこういつたものを出すのはどうか、という御質問でありまするけれども、これは私が提案理由のときにも御説明申し上げましたように、今後二十四年度から健全財政建前で九原則なり三原則を強く実施して行く。そのときに際しまして、從來のいわゆるあとくされを断つという言葉はどうか存じませんが、とにかく從來実行しなければならなくて実行せずにおつたものを、この際整理いたしておく。こういう意味合で、しかもそれはこの三十一日が期限に相なつておりますので、実は施政方針演説なんかありませんけれども、至急に御審議を願いたい。かように存じて提出いたした次第でありまして、その点はぜひ御了承願いたいと思うのであります。それから今後の商工行政の方針につきましては、先ほどの御質問のときに、大体かいつまんでお答えをいたしたような次第であります。
  53. 川上貫一

    ○川上委員 いよいよ私にはわからなくなつた。來年はやれなくなるからやる。いよいよこれは審議がむずかしいと思う。この日本の再建の方針にしても、九原則にしても何にしても、二十四年度からやれというのじやない。即刻やらなくてはならぬ。來年度になればやれぬから、今年のうちにごたごたと片づけて行く。これは非常にインチキだと思う。こういうことになるのならば、いよいよこれは政府の方針を聞かなければ、この審議に入ることはいけないというふうにしかわれわれには考えられない。來年でもいつでもやれるのだけれども、それはこうこうこういうわけがあつて、この際やるというのであるなら別ですが、もう政治の方針として來年度はやれない。そうすれば日本の建直しの仕事というものは、何だか四月一日までは何をやつてもよいのだ。こういうことにわれわれには聞える。これではやはり私は納得ができない。その点はどうお考えになりますか。
  54. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 同じことを繰返すように相なりますが、私はむろん四月一日を区切つて経済原則が実施されるとか何とか申し上げておるわけではないので、ただ来年度予算にはそれを中心とした予算が盛られるであろう。こういうことを申し上げたわけであります。むろん企業原則は、昨年の秋からすでにこれは実施されておる問題でございますし、またその以前からもそういう心構えであるべきであつたろうと思いますし、また経済原則についても同様であろうと思うのであります。ただこれは古い一昨年以來の問題でありますので、この際これの結末をつけておきたい。こういうことを申し上げたのであります。その結末をつけるのに、年度関係上、この三十一日をもつて年度が切れますので、過去のものは過去の年度処理しておきたい。こういう意味で御審議を願つておるのでありますから、どうぞ御了承願います。
  55. 川上貫一

    ○川上委員 やはり私にはわからぬ。これはそもそも一番最初が昭和二十一年からのものがたまつておる。賃金の値上げに関するだけのように商工大臣お話になりましたが、電氣なんかは二十一年から二十三年六月まで來ております。二十一年から今日まで及んでおる。これは來年にまわしたところでまわせるものに違いない。來年にでもまわして、実際に日本の政治、経済の根本方針が立つた上で処理するというなら、これはわかる。二十一年から今日まで持つて來ておるものを、この年度まぎわに処理しなければならぬというりくつは、これはやはり十分納得ができない。これは來年になれば何もできぬようになるから、どうしても今年の間に片づけておいて、独占金融資本家にこのどさくさに金をくれてやろう。こういうこと以外には考えられないのですが、その点はいかがですか。
  56. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 これはそういう意味では絶対にございません。ただ提案理由にも申し上げましたように、企業自体といたしましても、この新勘定赤字があるならば、集排法の適用におきましてあるいは別箇の会社をつくる。こういつた場合にこの負担があるということは、集排法その他において実際問題として分割をすることができない。こういつたような面もあるわけでありまして、これを強力にやるように、二百万トンを將來出すというためにも、これは企業者自体にとつ処理してあげることが必要であるのであります。そのほかまた復金につきましても、大体復金はこれから整理されるという段階にあるのでありまして、これがいわゆる独占金融資本家の援助というわけではございません。復金は御承知のように政府全額出資でありまして、決して独占金融資本家云々というお尋ねは当らないだろうと私は存じておるのであります。
  57. 川上貫一

    ○川上委員 この点についてはもう少し御質問したいことがありますが、その点は留保しておきます。  第二に、実はこれは総理大臣から御答弁を受けたいのでありますけれども、かわつて商工大臣にお聞きしたい。きよう本会議においても民主党のお方が、大臣の施政演説がないうちに議案の審議をするのは困る。これはおかしい。こういうことは開闢以來まずない。どうもわれわれは納得ができぬと言われた。商工大臣の御所属の政党のお方がですが、商工大臣はこれはあたりまえだとお思いになりますか。あるいは普通じやないとお思いになりますか。
  58. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 民主党のどなたが御質問なさつたか、私実はその席におりませんからよく存じませんが、われわれ民自党と協力して連立をもつて強力にやつて行きたいという側の人は、そういうことを全然考えておらぬことをお答え申し上げておきます。
  59. 川上貫一

    ○川上委員 この問題でもう少しありますが、これは留保いたしまして、二十一年からのものなんですが、これは今一時に百数十億の金を支出するということになる。二十一年から今日まで、さきの商工大臣の御説明では、業者との折衝があつてそういうこともはかどらなくて非常に延びた。こういう御説明なんですが、これは二十一年以降全部そういう形で今日まで延びたのですか。これは元來前回の議会の追加予算において、二十六億はすでに支出してあるわけです。あの時分に処理しなければならぬものであつたのじやないかとわれわれは考える。あの時分には何にも問題がなかつた問題じやない。それをあのとき処理しないで今日まで持つて來ておる。そうして今日になつて、二日三日の間に年度がかわるからすぐやつてしまえ。こういうようになつた理由はどうもはつきりしないのですが、しかもこれが二十一年から続いておるということになるとどうもはつきりしない。これは一体どういう形になつておるのですか。
  60. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 これはいろいろな理由があります。関係筋との折衝の問題もあり、業者との折衝の問題もあり、それからまたその過程におきまして、これは将來の價格をきめる場合に價格の中にこれを織り込もうというような話もありまして、その價格の中に織り込む時期を待つてつたところが、價格の値上げを押えられた。こういつたような点もありまして、その間にいろいろな経緯があつて今日まで遅れたわけであります。
  61. 川上貫一

    ○川上委員 交付公債そのものについてお尋ねしたいのですが、大藏大臣がおられませんから、この問題は留保いたしておきます。  その次にちよつとお聞きしたいのですが、商工大臣の御説明では、これはやはり炭鉱の救済になる。やはり赤字勘定の整理であつて炭鉱の救済だと言われた。大藏大臣は、これは炭鉱には何も関係がない。これは銀行にくれてやる金だ。こういうように言われたのですが、これは両方のお方のお話がちよつと違うと思うのですが、私の聞き間違いでなければその点御説明を願いたい。
  62. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 これはどうもちよつと御質問の趣意がわからないのですが、大藏大臣も、これは銀行の救済になるだけで、炭鉱の救済にはならないのだというような話はなさらなかつたろうと私は思うのであります。炭鉱がこれだけの赤字を背負つておるのが、赤字がなくなるということは、炭鉱といたしましてはその負担がなくなることでありますから、大藏大臣がさようなことをお話なされたか、私も横で聞いておりましたが、さような意味ではなかつたと私は思うのであります。それでありますから、この赤字の救済によりまして、先ほど申し上げましたように、集排法の適用の場合においても、非常に業者は利益をこうむるし、またこれだけの借入金に対する利息もまぬかれるわけであります。ただ先ほど誤解が出ましたのは、おそらく神田委員のお尋ねに対して、しからばなぜ復金へ返さないで関連産業へ返したかというようなお話についての問題と、御混同になつたのではないかと思うのでありますが、関連産業については、私は先ほど神田委員にお答え申し上げたように、他に方途を考究中であります。そこで、大藏大臣は、炭鉱業者には何もならないのだ。銀行業者には云々と言われた。かように仰せられるが、私はさようには存じないのであります。もちろん炭鉱業者赤字がそれだけなくなるのですから、負担が軽くなることはもちろんであります。
  63. 川上貫一

    ○川上委員 そういうわけでありますれば、ここの法案の趣旨を見ても、御説明でも、結局今まで事業家の責任に帰すことのできぬもので、政府が何とかしなくちやならぬようなことになつたものに対して、二十一年以來のものを交付してやる。こういうことになつておる。今実際の状況は、御説明になつたように、くれてやれば企業家には実際の金は残らない。そしてそれは債務償還なつてしまう。こういう御説明つたのです。ところが企業家の責任じやなくて、政府責任で片づけなければならぬ問題は、炭鉱赤字とかいうものだけじやなくて、炭鉱の方は今まで賃金をもらつておらぬ。八割ぐらいよりもらつていない。ひどいころには七割ぐらいよりもらつてない。そこで遅配が頻々と行われておる。関連産業は金の支拂いを受けられないで非常に困つておる。この労働者賃金を受けられないで困つておるというような問題、こういう問題は、これはやはり政府責任だと思う。今のような形で増産を行わせておるという形については、この賃金拂い、あるいは賃金の減額、遅配、あるいは関連産業に対する打撃というようなものは、政府が当然責任を持たなくちやならぬ。政府責任を持つてつて行かなきやならぬものは、資本家の赤字だけじやない。その点についてはどうお考えになりますか。
  64. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 これは先ほどたびたび申し上げましたように、当時この産業政府が介入いたしておりました関係で、これに対して政府補填をする。こういうことでありまして、全体の産業に対して、一体政府責任があるかないかという問題を取上げますれば、あるいはいかなる産業に対しても責任があるとも言えまするし、責任がないとも言えるだろうと私は思うのであります。そういう問題とは少し異なつておるのでありまして、賃金の値上げ、賃金の改訂といつたような問題について介入したときに、これを價格の面で操作することができなかつたために、一時政府において融資をした。その融資政府が当然負担すべきものを負担したのである。こういう形であるのでありますから、その点は誤解のないようにお願いしたいのであります。
  65. 川上貫一

    ○川上委員 そうしますと、これを解決した時分に政府が介入して來た。そうしてそれを処置しなくちやならぬことになつておつたならば、この前の追加予算提出の時分に、そのものは確定しておつた。どうしてその時分に処理しなかつたのですか。
  66. 渡邊誠

    ○渡邊(誠)政府委員 この点につきましては、政府責任に帰すべきもの、企業責任に帰すべきものというのの仕訳をいたしますのについて、なお議論の余地が残つておりましたために、総額が決定しておりませんでしたが、当時明確なるものを、しかも事業に支出することを必要と考えたものだけを分離して、提出したわけでございます。
  67. 川上貫一

    ○川上委員 そうすればそのときには、政府責任に帰すものと企業責任に帰すものとが、はつきりしなかつた。それがはつきりしたのはいつですか。この日にちを伺いたい。
  68. 渡邊誠

    ○渡邊(誠)政府委員 はつきりいたしました時期と申しますのは、日にちは私も本日はつきり覚えておりませんけれども、本年に入りましてから、二月に大体確定したと思つております。
  69. 川上貫一

    ○川上委員 そういたしますと、このものは政府の施政演説をしない、予算も提出しないうちにかけてあるのですが、それをどうしてきのうまでこれをかけなかつたのか。どうせそういうことをするならば、もう少し早く議会を開かれて提出すべきだ。ところがやつぱりこれは提出しない。このごろになつて來てこれを出したというのならば、話は多少わかるけれども、やはり最後まで押しつめて日にちのないようにして、あまり審議させないように、どんどんやつてしまおう。年度内に片づけてしまおう。來年は公債も発行できないようになるのだから、今年のうちにやつてしまおう。こういうような形をとつたとしか考えられないが、これはどういうわけか。
  70. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 これは十九日から開かれたのでありますから、そのときに提出すればよかつたのですが、その間に一週間ばかり日にちが経つております。しかしこれは関係方面了解を得るのになかなか手間が取れまして、昨日も懇談会にしていただいて、ちようど懇談会の席上へようやくオー・ケーが取れて來たという実情でございまして、決してことさらに遅らしたわけでも、あるいはことさらに短かい期間にして御審議を急いでもらおう。そういうような考え一つもないのでありまして、これは早くやつていただくように二十二日に提出したいというつもりで、関係筋折衝しておりましたが、関係筋了解を得るのが遅れましたので、昨日の朝ようやく提出した。こういう次第でありますから、どうかあしからず御了承願います。
  71. 川上貫一

    ○川上委員 その問題についてもなお了承しない点が私にはありますが、これは後日に讓ることにいたしまして、次に赤字の問題についてお聞きしたい。赤字の問題は炭坑、電氣、鉱工業、つねに赤字を言うておる。この点については先に今澄委員からも御質問があつたのでありますが、これについてはいささかお聞きしなければならない点があるのであります。先日この赤字の原價計算の鑑査の問題について、安本の方でやつてつて、その方のやり方については、それを取寄せて回答するという大臣の御答弁があつたのでありますが、この原價計算の場合に、これが赤字の問題に関係して來る。そこでこの原價計算の問題にどうしても触れて來なければならぬ。赤字の問題、そうなればこれは安本だと御答弁になるならば、きよう質問しても意味をなさないのですが、これはいかがでしようか。
  72. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 御希望がありましたので、物價廳の説明員より答弁いたさせます。
  73. 川上貫一

    ○川上委員 そうすれば問題が物價廳の方にあるわけでございますか。
  74. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 そうでございます。
  75. 川上貫一

    ○川上委員 それならばこの問題については、物價廳長官の御出席を要求しておきます。この問題は私は少し長くかかると思いますので、質問はきようは留保いたしまして、長官の御出席をお願いいたします。  その他数点お聞きしたいことがあるのでございますが、石炭増産の問題であります。この増産の問題は、商工大臣の御説明によつても、四千二百万トンの計画に対しては、これは赤字の問題と影響しますから、強権発動ではいかぬ。よくこれは業者その他と十分連繋をとつてやらなくちやいけないという御答弁があつた。ところが業者の問題ではなくて、今労働者賃金を十分にもらつておらぬ。争議ははなはだしく彈圧されておる。そして十分な生き方を決してしておらぬ。その上に実に厖大なる税金をとられておる。その税金はまた政府の方針を聞きませんから、はつきり言えないのですが、新聞紙なんかで聞くところによると、本年度の税金は厖大なる数字ではないかと考えられる。それに対して労働階級が、これは困るということを言うと、はなはだしく押えられている事実も一ぱいあるわけです。こういう形で四千二百万トンの増産が可能であるか。勤労意欲を向上させなければいかぬということでありましたが、こういう形で勤労意欲が一体向上するものであるかどうか。その上に今度の企業合理化が必要だと商工大臣は言われたのでありますが、企業合理化では百数十万の失業者が出るということを政府は言つておられる。実際には数百万の失業者が出るに違いない。官業だけでも六十万を首切りすると言われておる。かような形で強権発動をすると言われましたが、勤労意欲を向上し、相提携して四千二百万トン出る。こういう自信が商工大臣にはおありでありまするか。その点を一つお聞きしたい。
  76. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 御承知のように、各炭坑におきましては生産協議会がつくられております。私が業者ととくと話合つて業者の御協力によつてこれをやると言つた意味は、業者としてはまた山元において、生産協議会において、勤労者との間にもいろいろお話合いになることと私は確信をしております。そこで先ほども申し上げましたように、結局坑内夫と坑外夫の比率の轉換といつたような問題、この轉換をわれわれは希望いたしておるのでありまして、これによつて炭鉱方面におけるところの失業者というものを出さないで、いわゆる炭鉱内の位置の轉換というようなことで行けるのではないかと、かように考えております。從つて私ができるだけ業者と、と廣く言いました意味は、業者を通じて生産協議会をも含んでおることを御了承つて、それでこの目標に向つて御協力を願うつもりでおるわけであります。そういたしますれば、何とかこの目標を達成することができるのではないかと、考えておる次第であります。
  77. 川上貫一

    ○川上委員 私の質問は、今の問題についていま少しありますが、これを留保します。それから交付公債そのものに関する質問は留保します。それから電氣並びに石炭赤字の問題、それから原價計算の問題、この問題については、いろいろお聞きしなければならぬことがありますが、今物價廳長官がおられませんから、これの御出席を願つて質問いたしたいと思います。本日はこれで打切りたいと思います。
  78. 村上勇

    村上委員長代理 本日はこの程度にとどめまして、次会は明二十六日午前十時より再開することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時十三分散会