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稻垣國務大臣 総理の施政方針演説は、目下なお
関係筋との
折衝も残しておりますので、しばらく後にこれを行うことにお許しを願いたいと思うのであります。それから
商工行政につきましてどういうように
考えておるかという御
質問でありますが、御
承知のように、われわれは今日
企業三
原則と
経済九
原則を、忠実に実施して行く立場に置かれておるのであります。そこで
経済九
原則なり、
企業三
原則を忠実に実行する
建前から申しまして、まず
商工行政といたしましては、どこまでも輸出
産業に重点を置いて行く。こういう
建前から、近く商工省においては、輸出を中心とした
行政機構にかえて行きたいという
考え方を持
つておるのであります。輸出を重点的に取扱う。同時に今日この九
原則を実施するにあたりましては、どうしても集中生産方式を採用いたさなければならぬと存じておるのであります。但し集中生産ということは、大
企業に集中生産ということではありませんので、いわゆる
企業の
合理化であります。
企業の
合理化を促進いたしませんければ、單一為替レートが設定されましたときに、日本の
産業が衰微する、あるいは日本の
産業が輸出に耐えないような立場になることをおそれますので、どうしても
企業の
合理化を促進して行く
方法をとりたいと存じておるのであります。もちろん
企業の
合理化ということは、私の
考え方といたしましては、優秀なる製品と低廉なるコストによる製品をつく
つて行く。こういうことに相なろうと存ずるのであります。そういう
意味合いにおいての
合理化に対して、できるだけの力を盡す。たとえば技術の導入にいたしましても、あるいは機械、設備のとりかえ、そうい
つたものについても、われわれは力を盡しますと同時に、ある場合におきましては、コスト安の工場に生産が集中されることもやむを得ないではないか。かように
考えておる次第であります。もとより輸出
産業に重点を置くと申しましたけれ
ども、輸出
産業をして可能ならしめるところの
基礎産業は、十分に培養して行かなければならぬと思うのであります。それで
石炭でありますとか、
電力でありますとか、あるいは
金属、鉱山その他の点につきましての
基礎産業は、これは日本の資源自体によ
つてや
つて行くことでありますから、こういう面についても力を入れませんければ、輸出
産業そのものが成立
つて行かない。こういうことに相なろうと思うのであります。そういう
建前で、概括的に申し上げまして、そういう
考え方から出発をいたしたいと思
つておることを御
了承願いたいと存じます。