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1949-04-20 第5回国会 衆議院 災害地対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年四月二十日(水曜日)     午後一時四十三分開議  出席委員    委員長 大内 一郎君    理事 青木  正君 理事 飯塚 定輔君    理事 小金 義照君 理事 小平 久雄君    理事 高橋清治郎君 理事 久野 忠治君    理事 小平  忠君       岡延右エ門君    川端 佳夫君       菅家 喜六君    鈴木 善幸君       野村專太郎君   橋本登美三郎君       加藤 鐐造君    佐々木更三君       長谷川四郎君    林  好次君       池田 峯雄君    逢澤  寛君       大西 禎夫君    井出一太郎君       金子與重郎君    石野 久男君  出席國務大臣         建 設 大 臣 益谷 秀次君  出席政府委員         農林事務官   伊藤  佐君         建 設 技 官 目黒 清雄君  委員外出席者         運 輸 技 官 和達 清夫君         参  考  人         (宮城縣議会副         議長)     鮎貝 盛益君     ————————————— 本日の会議に付した事件  災害地復旧状況に関する件     —————————————
  2. 大内一郎

    大内委員長 これより委員会を開会いたします。  益谷建設大臣に対する御質疑をお願いします。池田峯雄君。
  3. 池田峯雄

    池田(峯)委員 河川氾濫防止ということに対する建設省対策について二、三お尋ねしたいと思うのであります。今度の河川改善費ないし災害復旧費、こういうものが非常に減額されていて、とうていこれだけの少額の予算では所期の目的を達することができないということは、ほとんど國会のすべての人の結論であると思うのでありますが、この少しの予算をもつて本年の災害復旧河川改修に当る、それについての建設省の根本的な対策、これをあらためてお尋ねしたいと思うのであります。聞いておりますところによると、この河川改修は重点的にやるのだというのでありますけれども、今この國会あて地方から請願がたくさん來ております。こういう請願、いずれもその地元人たちにとつては生死にかかわる非常に重大な問題でありまして、お前のは重点的じやないからと言つて除外されることになると、この人たちにとつては大きな問題になるのであります。そこでこの重点的にやるという政府考え方によつて、はたして地元人民を納得させられるかどうか。納得し得るだけの理由を示すことがはたしてできるかどうかということなのでありまして、これは岩手縣におきましても、秋田縣、青森懸においても、関東の大利根の治水にいたしましても、あるいは九州においても、ありとあらゆる河川氾濫しているのでありまして、どこでもこれは重大な問題になつているのであります。重点的にその中のどれかをとつてそれをやるのだというようなことで、はたしてそれに関係ある農民、あるいは漁民その他人民を納得させることができるかどうかということを第一にお尋ねしたいと思うのであります。  第二に、この間の建設委員会におきまして、河川局長が私の質問に答えておるのでありますが、それは、本年の河川改修やり方雨量二百ミリの中洪水程度にたえられる、そういう工事をするのだ、こういうのであります。そういたしますと、二百ミリ以上雨量があつた場合には、氾濫は必至だ、こういう答えであつたのでありますが、これは最近の雨量を調べてみたり、特に去年のあの台風時の雨量を調べてみますと、台風が房総を通過するようなときには、当然二百ミリという雨量を突破しておる。ほとんどの所で二百ミリ以上の雨量があります。そうしますと、本年とにかく台風が來れば、日本河川は全部氾濫をするということは今からわかつていることなのです。今からわかつているような、そういう脆弱な工事に対して経費をかけてやつて行くのかどうか、これははなはだ私たちにとつて不可解なのでありまして、やはり二百ミリというような、そういうところに目安を置かないで万全の対策を講ずるのが至当ではないか。いやしくも政府対策として、二百ミリなら何とかたえられるだろうけれども、それ以上ではもう危いというような、そういう中途半端なやり方では、これは日本國民として政府を信頼することはできないではないかというふうに考えるのであります。從つて二百ミリの中洪水にたえられるようにやるという、そのやり方を、ここの川においては二百ミリの、雨量にはたえられるが、ここの川なら三百ミリ、ここの川はもう当然だめだというように、もつと具体的に事例を示してその対策をお示し願いたい。そうすればわれわれ國会として当然それに対する対策を講じなければならないのでありますが、今までの政府答弁の仕方が、何か二百ミリなら大丈夫だ、二百ミリということの問題があまりはつきりしませんから、まあ何とかなるのだろうというような考えを抱きやすいのであります。そういう意味において政府の現在の対策ではこれだけの災害が必至であるというようなことを具体的な事例に基いて話していただきたい。  第三に、この間私茨城に帰りましたが、茨城東仁連川というところがあります。これは非常に水系が煩雑しているところでありますが、これに対して地元地方事務所長が、建設省の役人から八百万円の予算をもらう手はずがもうきまつている、こういうようなことを申したのであります。一体建設省として、まだ河川改修対策あるいは全國から集まつて來請願に対する対策等も全然きまつていないにもかかわらず、建設省の人がそういうことを地元の人に漏らしているのは事実かどもかということです。これに関連いたしまして、百七十五億。河川改修費、あの大きなわく國会がきめるが、あとに建設省なら建設省でもつてこまかいところは全部やめて行くというような、そういうやり方は、私どもとしては改めていただきたい。もつと具体的に建設委員会なり災害委員会なりに建設省がじかに相談していただいて、そしてその委員会で基本的な方針を立てて、どこの河川にはどれだけ、どこの河川にはどれだけ、そういうこまかいところまで強要するのではありませんが、その大綱については私たちに相談して、いやしくも建設省がまだ全然その予算を使う大綱がきまつていないのに、茨城縣なら茨城縣の者に、八百万円くれると言うような、軽々しいことはやめていただきたい。今後の問題としてそういう問題をどういうふうに運んでいただくか、建設大臣から以上三点について御答弁をお伺いしたい。
  4. 益谷秀次

    益谷國務大臣 池田委員も御承知通り、本年の災害復旧費は金頭が災害に比して比較的軽少であります。まことに國家財政の窮乏いたした現状で、やむを得ないというので私どもこれを認めたのであります。しかして與えられた予算を最も有効適切に使つて行くためには、やはり緊急地点を早く処理いたして参りたいと思うのであります。從つて重点主義と申しまするか、比較的早く復旧いたさなければならぬ方面に力を注いで参りたいと存じておるのであります。從つて地方においては、いずれも熱心に復旧もしくは改修要求いたしておられるのでありますから、各地方にあいてはもとより不服と申しますか、納得できない部面もあるいは生ずるかもわからない。しかしながら國家全般の上から大局的に見まして、急いでやらなければならぬものは重点的に処理いたして参りたいという所存でございます。そうしてでき得る限り地方公共團体等とも十分に協議をいたして、納得していただけるように処理をいたして参りたいと思うのであります。  第二の二百ミリの雨量の問題でありますが、大体二百ミリの雨量基準といたして河川改修あるいは災害復旧をいたす建前をとつているものと私は存じております。これは基準であります。大体この基準目安といたして河川処理いたして参りたいというのが、事務方面考え方だろうと思います。私は実はこの方面の専門的の知識がございませんが、大体の標準を二百ミリに置く。河川によつておのおの特質特性がございます。從つて建設省といたしましては、利根川もしくは北上川というように各河川ごとに緻密なる調査をいたしておるのであります。利根川特性と、また北上川特性とは違てつておるそうであります。その河川ごとに綿密な調査をいたしてこれに対処いたして参つておる次第であります。第三の茨城縣の川のお話でありましたが、これは國会に御審議を願つております河川改修費、あるいは河川に附帯する災害復旧費というものは金額がきまつております。河川費用といたしまして、百六十八億何がしかの金額がある、この内訳がはつきりいたしておりまして、これは予算委員等に資料を出し、各区分をいたして御審議を願つておるのであります。從つて本年。河川改修費はどれだけ、災害復旧費はどれだけということは大体きまつておりますから、予算の御審議を願いました後に、一刻もすみやかに適正有効にこの費用を使わなければなりません。そこでただいまの御例示になつ河川に対する何百万円とか、何千万円とかいうお話でありましたが、大体の腹案を示したものではなかろうかと思います。しかしながら一般公共事業費に対しては、安定本部と十分に協議いたして参らなければならぬのでありますから、最終的には決定をいたしておりません。ただおのおの地元と申しますか中小河川ごときは地方において相当金額負担をいたさなければならぬゆえに、腹案を示してあらかじめこれに対処いたすということもまた必要であろうと存ずるのであります。もしも腹案を漏らしたということが事実であるといたしますならば、さような考えから、漏らしたのではなかろうかと思います。最終的には決定をいたしておりません。  なお各河川について、災害対策委員会皆様方協議をして進むべきであろうということでありますが、もとより建設委員諸君あるいは災害対策委員諸君の御意思はどこまでも尊重して参りたいと思うのであります。しかしながら、個々河川について、この川を改修すればどうであるとかいうことになりますると、ここで、お約束申し上げかねるのであります。建設省といたしましては、各地方公共團体の強い要請がありますので、これを十分調査をいたして、大局的な見地から、この川を先にやるべし、あるいは次年度に見送るというように決定をいたして参つておるのであります。何人が見ましても納得の行くようなやり方をいたして参りたいという考えでおります。
  5. 池田峯雄

    池田(峯)委員 ただいま大臣の御答弁の第三点の問題、腹案を示したことと思う、こういう御答弁でありましたけれども、ここで私たちが非常に不可解なのは、建設委員の者も、またここにおる國会議員も何らそういうことについて関知しておらない前に、地元河川関係者が、おれのところには八百万円もらうのだということをすでに知つておる、ここを私ははなはだ不満に思う。われわれこそ、日本河川をいかにして改修するかということについて眞劍になつて考えておる。國会議員は、人民の代表として眞劍になつて考えておる。その國会議員があそこの河川に幾らもらえるのかわからない。請願がたくさん出て來る。その請願に付してどれだけ來るかわからないというのに、すでに地元の方でわかつておるということに、これは國会議員を無視しておるのではないかと思うのであります。私お願いしたいのは、とにかくこまかいのを皆出せというのではないけれども、どこの河川にどれだけを出す腹案を持つておるということ、その腹案建設委員なり、災害地対策特別委員なりにお示しを願いたい。このことを大臣はいかがお考えでありますか。
  6. 益谷秀次

    益谷國務大臣 先ほどもお答え申し上げました通り國会において協賛をせられるならば、一日もすみやかに予算を適正に使つて行かなければならないのであります。そしてこれは率直に申し上げますと、各地方いずれも熾烈に改修、もしくは災害復旧を要請されるのであります。從つてあらかじめどの河川にとれだけ、どの河川にとれだけというようなことは、なかなか実際の事務処理の上からは困難でございます。さらに先ほども申しました通り建設省独自の考え処理できないのであります。安本とも十分に協議をして、最終決定をいたさなければならぬのでありますから、災害地対策特別委員会で、各河川個々について建設省考えを申し上げて、そうして御審議を願うということは、今日の段階においては至難であろうと思うのであります。
  7. 池田峯雄

    池田(峯)委員 どうも私は大臣答弁が前後矛盾しておるのではないかと思う。私が第一に質問した点につきまして、大臣の御答弁は、大局的に見て急いでやらなければならないものをやりたい。それについては地方公共團体とも十分協議する、こういうのであります。地方公共團体十分協議できるのだつたら、なぜわれわれ直接國会においてあなたたちと一緒に相談しなければならない任務を持つておる建設委員並びに災害地対策特別委員と、なぜもつと具体的に協議できないのかというのです。協議できるならば、われわれはあなたたちの、重点的にやるというその大綱的な方針が誤つておるのかおらないのかという問題は、これは具体的な問題をとらえて行かなければできないのです。だからその具体的な問題を出してもらえば、それであなたたち重点施行というこの大綱方針が誤つておるかどうか。日本災害に対して最善の措置であるかどうかということを十分検討をすることができるのであります。この具体的な問題を打さない以上は、あなたたち方針が間違つておるかいないか、これでもつて日本災害復旧対策が万全であるかどうかということを絶対に保証することはできない。ですからそういう具体的な問題を出してください。われわれは何もそれによつてお前のところはだめだからといつて地元人たちを騒がせるようなことは絶対にありません。問題はそういう大綱方針を立てる上に具体的な問題が必要だから、あの川にはどれたけ出す。この川にはとれだけ出すという腹案があつたらお示し願いたい。それができないということははなはだおかしなものだと私は考える。大臣の御再考をお願いしたいと思います。
  8. 益谷秀次

    益谷國務大臣 地方公共團体と十分に協議をいたすということを申し上げたのでありますが、これは池田君も御承知通り直轄河川を除いては全部地方相当金額負担をいたさなければならぬのであります。從つて建設省がかつてにこの川を改修するのだ。この川を処理するのだということは事実上できないのであります。地方にはおのおの地方の事情があつて、縣で申しますれば、縣民の声を十分に聞いて、そうして河川に対する態度を決定するのであります。しかもただいま申しました通り地方は、この財政窮乏の際において相当莫大な金額負担しなければならぬのですから、私ども地方十分協議の上、最も取急いで処理しなければならぬ方面から仕事をいたして参りたいということを申し上げておるのであります。また河川については、どの川にどれだけ投ずるかということでありますが、これは各河川ごとに御提言申しますることは、今日の場合においては、遺憾ながらできません。最終決定はいたしていないのであります河川局河川局としておのおの予算が通過いたした際に、これを有効適切に使わなければなりませんから、あるいは腹案を所持いたしておるかもしれませんが、私自身はまだ決定いたしておりません。また安定本部とも最経的な協議をいたしていないのであります。
  9. 池田峯雄

    池田(峯)委員 そういう大臣の御答弁では、われわれ災害地対策特別委員会任務は、はなはだ不明確な、またきわめて力の弱いものになつてしまうと考える。地方公共團体十分協議するというのは、地方中小河川というものは、地方公共團体が主となつてつておるのだから、地方公共團体十分協議した上で、地方に対する國庫補助金といつたようなものの額をきめるという大臣の御答弁でありますけれども、それはどこの地方でもそうなんです。どこの地方でも、どこの縣でも、中小河川復旧のために実に頭を悩ましておる。しかし全國の各府縣のそれら要求を今度の予算では全部満足させることができない、きわめて僅少な予算です。その僅少な予算を厖大な要求に対していかに配分するかというところが問題なのです。その点について建設省最高方針なるものをわれわれとしては聞きたい。その最高方針を聞く上に、具体的に茨城縣はこれだけの災害があるからこれだけを配分したい、栃木縣はこれだけの災害があるからこれだけを配分したいという、その具体的な事実に基いて、僅小な予算がいかに公正適切に全國の各府縣に割当てられているかという、その具体的な事例について、私たち建設省方針が正しいか、誤つていないかということをお聞きしたい。具体的な例がなかつたら、われわれはそれを判別することはできない。だから各府縣別——河川別とは限りません、各府縣別でもけつこうです。それから直轄河川においては各府縣別にどれだけの対策を講じなければならないかという具体的な方針を私がお聞きするということが、はたしてむりでございましようか。私は大臣答弁に付してはなはだ不満であります。
  10. 益谷秀次

    益谷國務大臣 私の答弁不満であることはまことに遺憾であります。ただいま河川局長も見えましたが、災害費に対しては、いまだ腹案と申しますか、各府縣に割当てる金額は、毫も決定いたしていないそうであります。ただいま例示されたのは、中小河川改修の問題であるそうでありますが、災害については御承知通り、昨年の災害地方民は苦き体験を持つておられること、もう一つは本年は天候等に恵まれましたために、工事予算以上に進捗いたして参つております。從つてその状況も十分に調査をいたさなければなりません。また各河川について建設省といたしましては、十分に個々調査をいたして参らなければなりませんので、今日においてはいまだ各府縣に配分する、と申しますが、交付すべき金額決定いたしておりません。
  11. 池田峯雄

    池田(峯)委員 それでは最後に、はなはだくどいようでありますが、そういう問題をいつ発表していただけるか。絶対に発表しないで、あなたたちが秘密でおやりになるのか、私たちには相談しないで、あなたたち最後決定をしてしまうものか、その点についてお聞きしておきます。
  12. 益谷秀次

    益谷國務大臣 從來建設省といたしましては、安本その他関係方面協議をいたして災害費地方に交付するのでありますが、これは公示をいたしたことはかつてございません。ございませんが、おのずから公示と同様のことに相なるのであります。すなわち何人が調査に参りましても、また各府縣ごとに相談に参りましても、各府縣の割当が決定いたしました際には、これを発表するのでありますから、公示の方法はとつておりませんが、事実上茨城縣はどれだけ、また千葉縣はどれだけということははつきりわかるのであります。
  13. 大内一郎

    大内委員長 それでは大体その程度で御了解をいただいて次に逢澤君。
  14. 逢澤寛

    逢澤委員 大臣が御出席ですからお尋ねいたします。ただいま前委員から大体のお話が出たのでありますが、災害対策に対する本年度の予算は、例年より例の九原則によりまして少い結果になつておる。一体災害を予想するということは何人も不可能なことでありますが、すでに発生した災害復旧には予算があるのですが、將來起る災害に対する考え方が、從來日本予算編成方針とは違つた方針を立てておるやに拝承いたしておる。そこで私ども、特にこの委員会といたしまして心配いたしますのは、もし突如として予想しないような災害が起つた場合に、当局はどういうような対策を立てられるか、今どういうような方針を持つておられるかということを第一点にお伺いしたい。予想できるものはよいが、予想できぬ大災害が起つたときにどういう方策でやるかということを今からこの委員会において研究すべきだと思う。そのときにいかなる方策をもつて緊急に予算をこしらえてすぐ仕事ができる措置を今から考えておかなければいかぬと思う。私ども災害対策委員会としてはそれが一番必要なことであろうと思います。從つて当局は起つた災害に対して迅速にどういうような手を打つて措置をとるかということをお伺いいたしたいと思います。  それからただいま前委員からもお尋ねになつたのでありますが、本年組まれておる予算で重点的におやりになる。むろん少い予算だからまんべんにやることはできない。まんべんにやればむしろ何にもならないことになるので重点的におやりになるということは了承いたします。しかし從來建設省としましては全國に何十という河川が、直営あるいは縣に委託してやつておりますが、もし今編成なすつておる予算だけでやるということになると、非常に重要な所でも仕事を中止しなければならぬような結果になりはしないか。今現実に被害がある。ところがそれを修理するだけの予算がないということになると、あるものは残さなければならぬことになる。これは神様といえども非常に困難だと思う。いわんや人間が——建設省には優秀な技術関係の方がいらつしやるが、予算が少く、被害予算のバランスがとれていないのだから、どこかを残さなければならぬことになる。そこで私ども、特に災害対策委員会として心配いたしますのは、実際良心的に建設省の係の方が調査をなすつて、困難な時代ではあるが、どうしてもこれだけのものは建設省として獲得しなければ、國民は安心して寝ることができないというものが私はあると思う。切り詰めた予算ではありましようか、どのくらいまであれば大体危險な所だけは防止することができるという、この考え方があると思う。この二点をお聞かせ願いたいと思います。
  15. 益谷秀次

    益谷國務大臣 第一点、御承知曲り從來予算には予備金等があつたのでありますが、今回の予算には予備金り制度がなくなりまして、從つて不慮災害に対しては、予算の上では從來ごとく処置することは不可能になつたのであります。われわれは與えられ予算で、前來お答え申し上げております通り、有効適切に最も効率的に使つて参りたいと思つておるのであります。不幸にも万一災害が起りますれば——これは財政当局の意見も聞かなければなりませんし、また政府全般の問題でありますから、私一存で申し上げることはいかがかと思いますが、公共事業費わく内の始末はできるのでありますから、不幸にも災害が勃発するようなことになりますと、一般公共事業費のやりくりによつて應急措置だけをとつて、すみやかに議会を召集して國会の承認を得て、適当な財政的処置を講じたいと存じておるのであります。  それから第二の点はおのおの考え方によつて、あるいは計算の基準によつて金額に変更があるだろうと思いますが、大体今年は、先ほども、池田委員にお答え申し上げました通り、各地方において、熱心に非常な犠牲拂つて仕事を進めておられるのでありますから、これに対して一日も早く交付金を交付いたさなければならぬ。そうして地方においては、第二第三の交付金に対する期待を持つて緊急、應急なる地点仕事をしてもらいたい。かように思つておりますが、全体の予算は御承知通り乏しいのでありますから、地方地方におきましては、相当犠牲を忍んで参らなければならぬかと心配をいたしております。詳細の数字については、必要があれば、河川局長が見えておりますから、大体の建設省におけるお考えを申し上げたのであります。
  16. 逢澤寛

    逢澤委員 ひと通り大臣答弁で了承できるのですが、災害の問題はさきほど私が申し上げましたように、大臣が今お考えになつておるような軽いものではないと私に思うのです。從來は大体、前年度の予算をもつて編成なさつておつたものがちつとも組んでないことになります。しかしながら公共事業費は、これを利用することができるからというような考え方もある、私は決して皆さんとともに災害を望むものではありませんが、日本の歴史は不幸にしていつも大きな災害があるのです。從つておよそ災害があるということは建設当局としてはお考えくださつておると思うんだが、それをいろいろ計画の中に入れておいていただきたいと思う。もし一朝不幸にして災害があつた後の対策をひと通りわれわれに得心の行くような説明をしていただきたいと思う。私は前質問者の仰せになつたように、どこの数字をどこの河川にどうするというような具体的なことはいらぬ。しかしながらもし大災害があつた場合には、臨時復旧措置としては先ほど大臣の仰せになりましたように、公共事業の方から一應支弁する。その次にすみやかに臨時議会を招集しておやりになる、こういうひと通りのことはこれは了承いたします。しかしながら実際の面において、すみやかにこういうようなことをやるんだという対策は、十分平素からお立てをいただいておきませんと、いつ大きな災害が起るかということは仮想できるのであります。それだけの対策をやつておいていただきませんと、平常の場合とは本年度の予算編成にあたつては非常な違いがあるということを私はひとつ申し上げまして、私の質問を終ることにいたします。
  17. 小平久雄

    小平(久)委員 大臣に一、二点だけお伺いしたい。まず第一に今年度も非常に問題になつておりますが、公共事業費のことにつきましては、特に災害復旧費の問題については、年々同じような問題が繰返されておるのでありますが、遺憾ながら國家の財政事情からすれば、はなはだ僅少にすぎない。ところが一方これが必要なことは、食糧事情等から考えましても、國民だれもがひとしく認めておるところでありますし、政府当局ももちろん認めておられるところと思うのでありますが、ただいかんせん財源がないという一点にせんじ詰めればなる。そこでこの財源の問題でありまするか、もとより大藏当局とも関係があるかと思います。私はこういつた災害復旧費等の財源につきましては、別個に何か目的税式なものを、——もちろんこれは財政法などとの関係もありますが、どうしてても何とかこの財源を確保して、早期に災害復旧をやるという策をどうしてもとらなければ、今後におきましても、おそらく同じような状態を続けて行かなければならないじやないかと思うのであります。これをたとえば、災害復旧の問題は同時に治水の問題でありますから、そういつた大局から見て、どうしても確固たる財源を確保するという算段が必要だと思うのであります。そこでたとえば電力等につきましても、年間にはおそらく三百億キロワット・アワー以上消費しているのではないかと思いますが、こういうものに若干の附加をして財源を確保するとか、あるいは供出米、特に配給米等についてもそういうことを多少考慮してもよろしいのではないかとか、いろいろ考え方があるのではないかと思いますが、何とか確固たる財源を捻出する、そうして復旧と見合つて行く、こういう考え方を特に建設当局においてお考えになつておられないかどうか。この点をひとつつてみたいと思います。
  18. 益谷秀次

    益谷國務大臣 小平さんの御意見一面ごもつともであろうと思います。建設省といたしましては、電力を目的税的に電力料金と申しまするか、その一部を災害復旧費に充てるという案も作成研究いたしてみたのでありますが、結局電力料金を災害復旧費の目的税のために引上げることになりますと、おのずから物價に影響を來すというような関係上、今日なお結論には到達いたしていないのであります。米價の点になりますと、一層電力以上に物價に非常な影響を及ぼすので、これはほとんど不可能であろうと存じておる次第であります。
  19. 小平久雄

    小平(久)委員 それにひとつなお御研究願うことにいたしまして、災害対策の方法の問題でありますが、もちろんこれは堰堤が切れておる所を修復するとか、そういうことは應急対策として当然やらなければならぬ問題でありますが、御承知通り、全國的にすベての河川といつてよいくらい多くの河川が河床が上昇しておるということが、また災害を引起す非常に大きな原因になつておるわけであります。從いまして、堰堤の補強改修ももちろん必要でありますが、私は一面河床の浚渫につきまして、もう少し重点を置いてやつてもらつた方がよろしいのではないか。と申しますのは、河床の上昇の結果として最近ではさほどの出水でない場合におきましても、この堰堤外の水がはけないという事態が各所に起つておる。そのために農産物に非常に影響しておるということが近年非常に多くなつてつておるのであります。從つて少しくらいの水ならば、堰堤外に水をたたえないでも済むという程度に少くも各河床を浚渫してもらうことが、現在のごとき財政状態のもとにあつては必要ではないかと思う。この浚渫という点につきまして、当局としてはどんなお考えを持つておられるか承つてみたいと思うのであります。
  20. 益谷秀次

    益谷國務大臣 御承知通り、山林の濫伐、過伐のために雨が降りますと、土砂が流れて各地の河川が非常に川底が上つてつております。從つてこのために災害が起るという結果になりますので、建設省といたしましても、でき得る限り河床浚渫に力を注ぎたいと存じておるのであります。一例を申しますと利根川ごときは、今日約三隻の浚渫船をまわしております。近く河床浚渫のために浚渫船をさらに新たにこの川に向けたいという考えを持つておるのであります。やはり堤防のかさ上げのみでは目的を達成することかできません。同時に河床の浚渫をいたして参りたいという考えを持つております。
  21. 小平久雄

    小平(久)委員 その浚渫船の問題について、一体現在どのくらいあつて、どんなふうに配置されておるのか、また本年さらにどのくらい増して、どんなふうに配置する御計画なのか、もしわかつておりましたら御答弁を願いたい。
  22. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 今全國的の資料の持合せはございませんが、利根川の例を引いてみますると、大体今の浚渫は佐原附近を中心に下流の堆積土砂を至急にとつて、上流に向つて仕事を進めて参りたいと考えております。先ほど大臣の話の三隻というのは、主として下流に使つておるのであります。
  23. 小平久雄

    小平(久)委員 本年増加する見込みがありますか。
  24. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 本年は上流に向つては手が伸びない予定であります。
  25. 小平久雄

    小平(久)委員 昨年から船をつくつておるという話ですが。
  26. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 昨年からつくつておるのが最近できるわけです。さらに本年の予算において、新規の船の注文をいたしたいつもりでおりますが、まだ確定しておりません。
  27. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 ちよつと大臣に今の浚渫関係で伺いたい。一昨年來私の郷里は非常な水害のために、工事当局に対して御協力を願つて、慰謝しておる縣でありますけれども、ただ実際の工事面から見ますると、川底が上つておる。しろうと目から見ましても、これをもう少し掘つてもらえれば、新しく堤防をつくるよりも水の流れが非常に順調になるし、何とかしてそういうふうにやつてもらえないだろうかという地元民の希望もありますけれども、実際の工事を担当する業者が悪いのか、そういうふうに川底を掘るというよりも、工事のしやすいように、欠けたところだけを補修するというような傾向が強い。そういうことのないように、ひとつ今の浚渫船で川底を掘るばかりでなく、災害の修復に対しても、川底を掘つて川の中に水を流してやるように当局としては指導していただきたい。もうひとつお願いしたいことは、災害が起つてからの工事復旧、これは非常に早くやつていただかなければならない大切な問題でありまするが、災害が起つてからばかりでなく、予防的な立場としてどういう御計画があるのでありますか、特に本年は予算が詰まつておりますから、あるいはその方まで行かないとおつしやるかもしれませんけれども、将來は予防方面に特に力を入れていただかなければならないと思いますが、この点大体の御計画をお答えを願いたい。
  28. 益谷秀次

    益谷國務大臣 災害が起きてそれに対して復旧するというよりは、根本的に川を治めるということが最も緊要であることはただいま仰せになつ通りであります。そこで本年の予算におきましても、中小河川に対する改修の補助費、また直轄河川に対する改修費を相当金額——もとより建設省といたしましては十分とは考えておりませんが、直轄河川改修費には三十億五千万円、中小河川改修費には九億六千万円、これは北海道を除いております。その他河水統制に対する事業費、それから直轄河川の維持費、災害防除施設事業の補助費というものをおのおの見積りまして、予算の上に現わしておるのであります。そうして災害復旧いたしますると同時に、河川の維持工事をやつて参りたい。これは早期に災害箇所を発見いたしまして、これを直して行くというような方面仕事であります。またただいま申し上げました災害防除の方面予算を組みまして、災害を防除して参りたい、こういたしますると、比較的僅少な費用災害を防止もしくは軽減できると存じております。なお法案といたしましても、今回建設省といたしましては水防法案を議会に提出をいたして、御審議を願いたいと存じておるのであります。それは水防の活動を強化して、災害を減少いたして参りたいという考えでおります。予算方面を離れて、こういうような活動により災害を軽減して参りたいという計画を立てておる次第であります。
  29. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 堤防のみの復旧をやらないで、同時に浚渫もやれ、そういうふうに指導をしろというお話、これはごもつともでありまするが、堤防のみをやつておるということは、おそらくそれが災害を受けました直後の復旧仕事だろうと考えております。浚渫の方は他の費目、すなわち改良費あるいは維持費をそこにつぎ込んで行かなければならぬのでありまして、それと同時にちようど仕事がうまく行きますれば非常にけつこうでありまするが、たいていの場合は一應こわれた所を復旧して、しかる後にさらに改良費を投じてその河川を直して行くのが順序でありますが、そこに多少時間的なずれが起ると思います。御趣旨はごもつともでありまするから、よろしくわれわれはそのつもりで指導して行きたいと思つております。
  30. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 予防という方面から考えまして、これは建設省ばかりの問題でない、農林省の治山の方面も一致して行かなければ、ほんとうの予防ということはうまく行かないだろうと思いますが、何か農林省と大臣の間に連絡とか、そういうお話合いがあるならば、参考までに伺つておきたいと思います。
  31. 益谷秀次

    益谷國務大臣 今回政府といたしまして、植林の方面に力を入れて、根本的に山林を直して参りたい。私の方から申しますと、水源地を直して参りたいというので、山林の費用についてはとぼしい財政のうちから相当金額の見積りがございます。砂防についても、側面砂防と申しまするが、山林砂防は農林省で担当いたし、河川砂防いわゆる渓流砂防については私の方の所管でございまするが、私の考えといたしましては、これはどうしても今後緊密なる連絡をとつて参らなければならぬという考えを持つております。幸い今回わが民主自由党を中心とする内閣ができておりまするので、各所管大臣の間において緊密なる協議を進めて参ることができると考えまして、ただいまの御質問のように砂防については山の方面と川の方面十分協議を進めて参りたいと存じておる次第であります。
  32. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 ただいま大臣のお言葉の中に、民自党を中心とした内閣であり、緊密なる御連絡をとつておやりになるということを言われましたが、まことにけつこうなことと思います。ただ今の水源地、山林の問題ですけれども、今の開拓関係のことで、相当に水源地に重要な所であるように考えられる、ことにまた若い植立てして間もないような山林地帯も、開拓という面から見れば相当開拓の予定地になつておるような所も各地方に見受けられますが、こういうことは大臣が閣議の席上でも農林大臣等に特に御注意を願いたい。私の希望を申し上げます。
  33. 益谷秀次

    益谷國務大臣 これは第一次吉田内閣の成立直後、閣議の問題として取上げられまして、無謀な、水源地を荒すような、まつたく木材と補助金を目当にいたす開墾があるように、私ども地方におつて、各所において見聞しておるのであります。これは厳重にさしとめるということで、第二次吉田内閣成立直後に閣議決定をいたし、農林大臣からそれぞれ厳重なる達しがあると心得ておるのであります。先ほども農林省の政府委員の人とこの話をいたしますると、今よほど厳重になりまして、各方面の専門の技術家が協議をいたし、これならばよろしいというところで農地委員会か何かで諮つて開墾いたしておるそうであります。
  34. 小平久雄

    小平(久)委員 災害予防という点で、関連してちよつとお尋ねしたいのでありますが、今回政府の企図しておられまする行政整理の関係で、中央氣象台等につきましても、その他の氣象台の氣象観測に従事されておる方々についても相当行政整理があるやに承つておるのでありますが、災害防除という点からだけ考えましても、この氣象測候の設備というものは非常に重大なる役割を果しておることは申すまでもございません。そういう点から考えます。ときに、われわれはこの部面の行政整理については相当慎重なる考慮を要するのではないかに考える。この点につきまして、もとより氣象台関係は運輸省の管轄になつておるかもしれませんが、從來運輸省関係と建設省関係で何か御交渉がありましたならば、その経過、あるいは今後の建設省としての対策等について御所見を承りたい。
  35. 益谷秀次

    益谷國務大臣 氣象台と申しますか、運輸省の所管のものがあるということを聞きまして、それに対する行政整理について各方面から熱心な反対の陳情が参つております。私の方といたしましても災害、水害を防ぐ必要な機関と存じまするので、非常に関心をもつて行政整理の成行きを見ておる次第であります。運輸大臣とは直接話したことはございませんが、これは一般に行政整理として閣議に上程せられるのでありますから、私といたしましては非常に関心を持つておるということだけを申し添えておきたいと存ずるのであります。
  36. 和達清夫

    和達説明員 ただいま御質問になりましたように、中央氣象台は実人員の三割以上をこのたび削減され、予算においても人件費を除きますれば消耗品費は七割四分、役務費は三割三分、備品費は二割一分という小額に編成されております。それで中央氣象台でやつている仕事はいろいろありますが、そのうちでも最も大きな仕事はこの災害防止にあります。すなわち暴風、洪水、高潮、つなみ、火災、雷雨その他いろいろな天災がありますが、そのうちも最も大きな金額になるところの災害は、水と火によるものと思います。それで洪水におきましては洪水予報組織というのが近ごろ組織されまして、利根川北上川、最上川、淀川はすでにこの洪水予報組織ができております。中央氣象台、建設省、その他鉄道、電力会社で協力して、洪水の來るのをその前に予測し、警報を発して應急対策を施すという組織であります。この洪水予報組織は、他にも石狩川、木曽川・飛騨川、吉野川、信濃川、大野川などをただいま準備いたしております。このように一例を洪水にとりましても、また火災警報など今日実施しておるものも御存じのように相当の成績を上げておると思います。その他氣象警報、特報等の農業に関するもの、いろいろ災害防止ございます。このような削減を中央氣象台が受けて、はたしてこれらの災害防止上低下することがないかということを御心配くださるのも当然と存じます。われわれの仕事といたしましては他にも仕事があるのですから、最重点をこれに置きまして、災害防止という点においてはこの今度の行政整理におきまして國家の損失にならないように、できるだけ努力いたし、能率を上げ、重点を置いてこの方面に御不便をかけないようにいたしたいとは存じておりますが、これだけの削減を受けますと、どうしても資料の不足、從つて精度の低下、あるいは一般のサービスの不十分その他の不便を多少まねかれないかと思いまして、非常に残念に思つております。
  37. 池田峯雄

    池田(峯)委員 氣象台長に御質問いたします。現在氣象台は人が余つておりますか、それとも足りないで、実際に労働強化のやむなきに至つておるかどうかという点をまず第一に具体的にお話願いたい。  それから大体三割減つた場合に能率を上げ、そうして重点的に不便をかけないようにやりたいけれども、なかなかそう思うようには行かないというようなお話でしたけれどもその点についてももう少し具体的にお話願いたい。たとえば人間が三割減つた場合に、仕事の方でどういうことになるのか。仕事が減つた場合に私たちとして考えられることは農業関係、水産関係、それから運輸とか、そういう関係に非常に重大な影響を及ぼすであろうということが予想されるのでありますけれども、氣象台のそういつた方面に対する今までの仕事、農林関係とかいう点についても、もう少し詳しくお話願いたいと思います。以上二点についてお聞きいたしたいと思います。
  38. 和達清夫

    和達説明員 第一番にただいまの人数でもつて仕事をどうしておるかというお尋ねでありますが、私どもは自分の仕事をしておる立場から申しますと、現在の仕事はただいまの人員で一ぱいの仕事をしております。なおしたい仕事を持つております。但し私は國全体と見まして氣象の仕事は非常に廣範多岐にわたつておりますので、そういうことは論じません。私の立場として申せば、これは一ぱいに働いておる人数だと思つております。  その次にもう少し具体的にこの三割というような人数が減ればどうなるかという御質問でありますが、これは私どもがこの仕事をしておる専門の立場から申しましても、非常にむつかしい問題であります。なぜなれば資料というものは、とれだけあればどれだけということかはつきり申し上げにくい。多々ますます弁ずるという仕事でありますから、その点が非常に申し上げにくいのでありますけれども、実際三割の人、あるいは予算がなくなりますれば、三割の労力、三割の資料というものが減るのであります。  もう一つ、一面むつかしいことは、今の社会情勢というものは、單なる業務上の人数の勘定ではどういう仕事ができるということをしにくい。御承知のように、事務も非常に煩瑣であります。職員の生活も非常に困難であります。そういう意味において單なる概念的の勘定で、何人の人でこの仕事ができるということは、非常に困難であります。そこではなはだ漠然とお答えいたすようで恐れ入りますけれども、結局重点をいくら置きましても、それだけの手薄はまぬかれない。しかし重点に力を一生懸命置きますれば、それで全然できないというわけではないというお答えであります。もう少し詳しいことについては他日資料を書き上げまして、提出いたしたいと思います。
  39. 池田峯雄

    池田(峯)委員 関連して質問がありますから、留保しておきます。
  40. 青木正

    ○青木(正)委員 氣象台長に今お話を承つたのでありますが、先ほどお話に定員を三割削減されるようになつたからというお話があつたが、御承知ごとくまだ定員法は出ておりませんので、その点で疑問を持つておるのであります。予算の方から見まして、それくらいの減員になるのではないかというふうに、御勘考になつたのではないかと思う。定員法の関係がはたしてとうなつておりますか、ただ予算かそれくらい削減されるのでおそらくそうなるのでにないかというような、その程度の問題で、あまりはつきりしないと思うのですが、三割削減というふうに現わしまして、そのために動揺しておるのでないかという氣もいたすのであります。内閣委員会の方にもいろいろ聞いてみたのでありますが、まだ定員法はきまつておりませんので、その点どうなつておりますか、ちよつと伺います。
  41. 和達清夫

    和達説明員 実はこの定員の査定はただいま大藏事局の予算案が議会に出ております。それがこの人員予算の三割減でありますが、また別に行政整理本部で査定されたのは、二割になつておると聞いておりますが、まだ閣議を通つておりません。それで私どもは最悪の場合、ただいまこの議会に提出されておる、これが通ると仮定して、今この予算の人数でとういたそうかと計画中であります。
  42. 池田峯雄

    池田(峯)委員 ただいま三割減つた場合、仕事の方がどうなるかという私の質問に対して、その点については具体的にはつきり申し上げることは困難であるという御答弁でありますが、これに対する中央氣象台長としてのお答えははつきりきまつているのではないか。たとえばどこの観測所、測候所は廃止して、規模をこれだけに縮小する。そうして人員をこれだけ整理するというような案がおありではないかと思いますが、そういう点をひとつお聞きしたい。
  43. 和達清夫

    和達説明員 仰せの通りどもは與えられたる予算で、仕事を現実にしなければならない立場に立つておるのでありますから、この予算人員でもつてただいま氣象事業の相当大きな機構の改変、あるいは業務の縮小を計画いたしております。それによりますと、今計画いたしておりますので、確定はいたしておりませんが、氣象観測所も全國で約二十程度は廃止、あるいは閉鎖しなければならない。また一つの仕事に当る人員も平均的に言えば三割でおりますけれども、重点でいろいろ違いますが、とにかくそれに当る人員も減る。そうすればたとえば予報に使うところのいろいろな図面をつくるにもそれだけの制約があります。また資料の整備その他につきましても、また一般へ予報を知らせるということにつきましても、この三割がそのまま三割に行くわけではありませんけれども、その程度はいたし方ないかと思つております。
  44. 池田峯雄

    池田(峯)委員 そういうことになりますとたとえば漁船なとが港を出て行くについても、非常に氣象台の予報に頼つていたと思うのですが、こういう点はどうなるのか。あるいはまた、魚群が移動するという場合に、暖流寒流が密接な関係を持つているのですが、これも氣象台などで予報して漁業界と連絡してやつていたのであります。將來こういつた点はどうなるのか。あるいはまた農村関係なとで非常に問題になるのは、雪とか、あるいは早い霜すなわち冷害ですね。それから雪、雷等もやはり氣象台が天候を早く察知して、予報対策を講ずるというようなことも今までおやりになつていたと思う。そういう点はとうなるか。このことは非常に私たち人民の中でも、特に農民とか魚民とかに密接な関係を持つておられた氣象台が、重点的に業務を遂行して行くという、この重点的という言葉の意味から言つて、そのような問題がとういうふうに今後かわつて行くかということをひとつお聞きしたいと思います。     〔委員長退席、飯塚委員長代理着席〕
  45. 和達清夫

    和達説明員 お答えいたします。漁船あるいは農村の災害の防止、漁船の海上保安のために警報を出したり予報を出したりすることは、最大の重点でありますからかわりはありません。そういう災害防止に対する三割という削減はもはやぎりぎりのところと私は思つております。どこへそれでは影響が來るかと言いますと、それをつくる資料の正確度、これを扱う人の面よりいたしまして、その事柄はたといどうなりましても、一つでも落すことはないように心がけて参りたいと思います。
  46. 池田峯雄

    池田(峯)委員 そういうものは残るけれども、その正確度、質は非常にかわつて來る、こういうふうに理解していいわけですね。
  47. 和達清夫

    和達説明員 そうでございます。
  48. 池田峯雄

    池田(峯)委員 それから傳え聞くところによりますと、山岳地帯の測候所などは二十箇所も閉鎖されるということでありますが、それはどういう観点に基づいて閉鎖されるのですか。
  49. 和達清夫

    和達説明員 わが國では諸外国に比べて、山岳の観測所を相当多く持つております。それらはそれぞれ役目を持つてつたのでありますが、近代は無線探索氣球といつて、上空の氣象は、氣球を上げてそれらの無線でとるというシステムが採用されたのであります。山岳はまた独自の任務を持つてはおりますが、今日こういうような予算人員を縮減すべきときにあたりましては、やむを得ずこの高層氣象観測という、山岳の観測所を減して無線氣球に頼らざるを得なくなつて來ておるのであります。この点はわれわれとしましては、山岳は山岳の任務はあると思いますが、しかし時代とともにかわるべきものか少し早く來たというような点で、山岳観測所の廃止はこういう時勢ではやむを得ないかと思つて大分減らしたわけであります。
  50. 池田峯雄

    池田(峯)委員 そういたしますと、民主自由党としての行政整理の方針は、役人が多過ぎるから役人の首を切るのだと考えられていたのでありますが、実際はそうではなく、今の氣象台長のお話をお聞きしても、役人は多過ぎない。やりたい仕事はたくさんある。それにもかかわらずやはり首を切る。首切りということが前提條件であつて、首切りという至上命令のもとに、こことここの観測所を減らさなければならないというふうに考えられる。首切りが主でありまして、仕事の方は從である。こういう民主自由党の人の考え方はうそだと思う。そうではなくて役人が多過ぎるから首を切るという考えだと思います。それでなければ私は逆だと思います。これは本委員会におきまして……。
  51. 飯塚定輔

    ○飯塚委員長代理 池田君に御注意いたします。本委員会においては首切りの問題をやつているのではないので、御注意願います。
  52. 池田峯雄

    池田(峯)委員 中央氣象台長に聞いておるのです。そうして提案をしたいのです。
  53. 飯塚定輔

    ○飯塚委員長代理 あなたが提案したいと思つても、これはそれとは問題が違うじやありませんか。
  54. 池田峯雄

    池田(峯)委員 これは関係があります。災害と人員整理とは重大関係があり、それを氣象台長も言つておるから、われわれは議論するので……。
  55. 飯塚定輔

    ○飯塚委員長代理 氣象台長に対する質問であれば許します。但しあなたのはあまりに発展したご質問だと思います。
  56. 池田峯雄

    池田(峯)委員 そこまで行かなければならない問題でしよう。行政整理という問題と、これは関係づけなかつたならば、どうして災害対策をやつて行くのですか。行政整理をやるから、氣象台の職務が縮小される。それは災害に対して重大な影響を持つて來るから、それを行政整理そのものと災害対策として取上げなければならないと考えるから、そういう意見を出しておる。     〔「委員長、注意してくれ」と呼びその他発言する者多し〕
  57. 飯塚定輔

    ○飯塚委員長代理 委員長は注意しております。なるたけ簡單に願います。
  58. 池田峯雄

    池田(峯)委員 ですから、行政整理をやるということが、氣象台の業務に重大な障害を來すというただいまの氣象台長の御答弁と理解してさしつかえございませんか。氣象台長の御意見を承りたいのであります。     〔「答弁ずみだよ」「答弁する必要なし」と呼びその他発言する者多し〕
  59. 飯塚定輔

    ○飯塚委員長代理 それではただいま建設大臣がお見えになるそうですから、それまでちよつと休憩いたします。     午後三時九分休憩      ————◇—————     午後三時十九分開議
  60. 大内一郎

    大内委員長 それでは休憩前に引続き会議を開きます。  この際宮城縣宮城縣会副議長鮎貝盛益君から災害復旧の現状その他について、参考人として意見を聴取するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 大内一郎

    大内委員長 それではさように決します。
  62. 鮎貝盛益

    ○鮎貝参考人 私はただいま御紹介をいただきました宮城縣会の副議長鮎貝です。昨年、一昨年にまたがりました水害に関係いたしましては、他地方でもたいへん水害をこうむりまして、悲惨な状況になつておるところがあるのでございますけれども、東北におきます度合は他の地方に比較いたしまして最もひといものであることが承知できるのであります。土木関係並びに耕地関係の災害復旧いたしますのには、特に皆様方の絶大なる御協力を頂戴しなければならぬのは当然であります。過般の経済九原則などに基きまして、相当の削減あるいは絶無と言われるような予算措置が講ぜられるのではないかと伺いますのにつけ、われわれ東北に住んでおります者たちとしては、どんな形においてかこれらの復旧行事をすみやかにやつていただきませんことには、現在の生産を増強して経済を立て直すこともとても望み得ないのではないかと考えるのであります。幸いに昨年、一昨年とそれぞれ予算を頂戴して工事が割かたはかどつております。しかしながらただいま申し上げましたようなことによつて、かりに工事を中絶しなければならぬことに相なりますれば、水増しどきを目前に控えている。今日、堤塘決壊を見るに至るのではないかと思います。こういう現状におきましては生産増強どころか、ただちに一大減収が招來されることは当然の帰結だろうと思います。かかる意味におきまして一般土木に関しましては、あるいは削減ということが國家の財政から考えてやむを得ないとすれば、これもいたし方はございませんけれども、少くとも耕地復旧に関しましては、われわれ農民の代表として出ておられる方におかれましては、特にこの点は十分考えていただかなければならぬと存ずるのであります。仕事もおかけさまで大分進捗しているような状況ではございますけれども、今ここに予算措置が講ぜられないために仕事を休まなければならぬ。しかしこの仕事は当然なさなければならぬところの継続事業ではないかと思われます。また先ほど申し上げましたように、ほんとうに生産の増強をはかるのには、どんなことがあつても予定の計画に基いた措置を講じていただかなければなりません。幸いにここには委員諸公がお出になりますし、また建設大臣並びに農林大臣もお見えでございますので、何とぞ東北の現状を眺められまして、ほんとうにあらゆる面からこれらの貫徹を期していただきたいのであります。そうでなければわれわれが日本再建という大きい旗じるしを立てて行きましても、これを十分に現わすことができない、こう断言してもはばかるところはないと存ずるのであります。なおこまかい点についてはここでは申し上げませんが、何とぞ現在の東北におきます單作地帯の農民を皆様方のお力によつてお救い願いますように格段の御協力を願いたいと存じます。貴重な時間を頂戴いたしましたことに対しまして心からお礼を申し上げます。(拍手)
  63. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 先ほど委員会におきまして最も災害の大きかつた縣を二三歩いてみようというので、理事会に移されておるとのお話でありますが、その理事会でいかなることになつたか承りたい。その具体的な問題といたしまして群馬の問題を取上げてみまするのに、二十二、三年にわたる災害が六十億強でありまして、二十二、三年、今年に財源の処置がついて支拂つた金、また工事がどのくらいできておるかと申しますと、この七月までにでき上る工事が二十四億円強であります。財源の処置がついて、支拂つた金が十二億円、現在まだ銀行等に借りておる金が四億円、そうして現在どうしてもこの七月までに支拂わなければならない金が十四億円ばかりあるのであります。このようなことになつておりますので、現在群馬縣といたしましては、この配分される金額においてはとうてい忍びがたいのでありまして、これでは工事がすでに八〇パーセント進んでおるところをこの財源のために打切らなければならないというようなことになつておりますので、何とかこの方の処理をしたいと私は念じておるのであります。從いまして委員各位はもちろん大臣といたしましても、このたびの予算については大いなるご努力をお拂いになつておることはよくわかるのでありますが、さらに認識を改めると言つてはまことに申訳ないが、これらに対してこに処置方法をどうしたらいいかということについて委員各位に二三御出張を願つて、つぶさにこれらを御研究願つたならば、おのずからそれらの解決方法も現われるだろうと思うのでありまして、ぜひともこれを実現させていただくようお願い申し上げるのであります。委員長にその視察する日取りがきまつたかいなかをお伺いいたします。
  64. 大内一郎

    大内委員長 まだ日取りはきまつておりません。いずれ重ねて理事会を開いて、御希望に沿うようにしたいと考えております。
  65. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 なるべく早目にやつていただきたいと思います。
  66. 大内一郎

    大内委員長 了承しました。
  67. 小平久雄

    小平(久)委員 農林省の開拓局長さんがおみえですから、この際二十二年、二十三年の災害によつてできました農地関係の被害復旧状況等について御説明をまず承りたいと思います。
  68. 伊藤佐

    ○伊藤政府委員 ただいま二十二年、二十三年とのお話でありましたが、前からの分もちよつと残つておりますので、一括して申し上げたいと存じます。大体本年度、この四月一日以降に、從來災害——二十二年、二十三年が主でありますが、その以前の南海の震災、古いものは昭和十八年のほとんど島根縣一縣に集中されました災害、二十年の災害というような、まだ残つておる分も含めまして、事業量として三百六十七億残つておるのであります。それに対しまして本年度の予算といたしましては、三十一億補助金として認められたのであります。この三十一億は、農地の関係で申しますと、農地そのものの復旧と、農地に附随しております水路、あるいは取入口、あるいは溜池等の災害でやられましたものの復旧費と合せたものが從來補助金で参つてつたのであります。こまかくなりますが、補助率は今申し上げました共通的な施設に対しましては、六割五分の國庫補助、耕地そのものの復旧に対しましては、五割の國庫補助が参つてつたのであります。ところが本年度の予算におきましては、予算編成方針で、安定本部を介しまして、司令部と折衝の結果、きまりましたものは、耕地に関する災害復旧については國庫補助金は全面的に落されたのであります。理由といたしましては、耕地そのものの復旧、改良といつたようなものは、農家個人々々の利益になることであるから、補助金によらずして融資で行け、こういつた考え方のもとにそういうことになつたのであります。これにつきましては、われわれとしては、別な意見を持つておりまするが、結果においてそういうふうになつたのであります。從いまして、ただいまの三十一億というのはこれは事業量からいたしますると、大体事業量の六割五分に当るものでありまして、換言いたしますと、三百六十七億のうち約四十億あまりになるのであります。從つて残り三百二十億あまりが、本年度の現在の予算で参りますれば、來年度以降に持越されるということに相なるのであります。
  69. 小平久雄

    小平(久)委員 耕地関係で、面積関係はわかりませんか。
  70. 伊藤佐

    ○伊藤政府委員 面積関係で申しますと、現在の耕地の復旧、これは助成金が出ておりません分でありますが、残が六万六千三百町歩あるのであります。
  71. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 ただいまの御説明のうちで、残の三百六十七億の内訳、先ほどの耕地そのものに対する残存高と、それに附属した耕地事業量との内容を御説明願いたい。それからただいまのお話ですと、総司令部の方では耕地に対しては全面的に削減しておるので、今回の予算には載つておらないということですが、この問題は非常に大きな問題であつて日本從來の農業需要に対する政府の施策とは相反する結果になつておる。この点政府当局としてはどういう考えを持つてつて行かれるつもりか。この総司令部当局の説明に從つてつて行かれる方針であるか。かつまた先ほど融資で行けというようなお話であつたけれども、その融資の方面もしくは内容に関してはどういう意向を持つておられるか。その点について御説明を願います。
  72. 伊藤佐

    ○伊藤政府委員 第一点の三百六十七億のうちで耕地と公共施設の関係の内訳の問題でございますが、ただいま手元にこまかい数字は持つておりません。大体の割合は、各縣によりまして違いますが、平均いたしますると、耕地関係が二五パーセント程度、残りの七五パーセントが金額にいたしまして公共施設の関係であります。第二点の融資で行けというが、一体どうするかという問題、それから今後どういうふうに考えておるかこいうお尋ねでありますが、これはお説の通り非常に重大な問題でありまして、過日の各党一致の御決議の次第もありまするし、また参議院におきましても同様な御決議が続いてあつたのでありますが、農林省といたしましては、これは先般農林大臣も申されておつたのでありますが、できるだけ近い機会に何とか財源を見つけて、予算的の措置の必要なものは予算的の措置をとる、そうでない部分につきましては、資金の融通の問題でやつて行く、こういつたような方針でただいま進んでおるのでありまするが、現実の問題といたしましては、予算措置と申しましても、この議会でどうということはなかなか困難であろうかと思います。從いまして私ども考えておりますのは、資金の問題といたしますれば、預金部の資金と対日援助見返り資金、この二つが考えられるのであります。その二つの中ででき得る限り多くのものを、こういつた災害復旧並びに土地改良で今中途で打切られておるのがずいぶんあるので、その分にまわしてもらいたいということで、ただいま安定本部等と折衝をいたしておるような次第であります。
  73. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 大体了解いたしましたが、そのうちなおはつきりせぬ点がある。本年度は予算関係上から中絶したのであつて政府当局としては耕地関係に対する補助政策をやめたものでない、こう解釈してよろしいかどうか。
  74. 伊藤佐

    ○伊藤政府委員 非常にむつかしいお尋ねでありまするけれども、結局政策の面で具体的に現れなかつた、こういうことだと私は解釈いたすのであります。
  75. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 それは本年度は種々なる事情から中絶の形になつておるが、政府方針としては、耕地に対する助成金の制度というような考え方はかわつておらないのでありますか。
  76. 伊藤佐

    ○伊藤政府委員 これはわれわれといたしましてはさようなかわつた考え方は持つておりません。ただ予算の関係で耕地の災害復旧、土地改良を大いに取上げてやるというその二つの政策の面が遺憾ながら実現できなかつた。現在の予算においてはさような結果になつたのであります。
  77. 逢澤寛

    逢澤委員 ただいまの点についてちよつとわかりにくいところがあるのですが、食糧増産と耕地の災害対策ということは不可分の大きな問題だと思うのです。特に主要食糧が政府の任意によつて價格を制定されて、そうして供出をしいられておる。その際にこの根本をなすところの耕地の災害復旧を農民の力でやれということはどうも釈然としないのです。從つてこれはいろいろの施策が講ぜられておるということは今当局お話になりまして一應わかるのでありますが、しかしこれは大きな根本の問題だと思う。ほかの問題のようなわけではない。そこでこの問題に対しては、局長に聞くより大臣にお尋ねすればよかつたのですが、相当決意を持つて臨んでいただきませんと、生産に大きな支障が來ると思う。それから米價に対しても、今ここで陳情が出ておつたあの話を聞きましても、耳新しい感じなんでありますが、ああいうようなことを聞きましても、耕地の災害に対する復旧が、びた一文も出さずに、農民負担によつてやれというようなことは、日本には通らないことだと思う。何しろ向うさんから言われることでありましようから、いろいろの策は考えておられると思う。第一の対策はどんな対策で、第二の対策はどういうようなことで臨むということをひとつ聞かしていただきたい。そうしませんと、現実に食糧増産をやつておる者が不安で政府を信頼することができない。そこで対策としては第一としてどういう対策があるか、第二の対策はどういうようなことで臨むということをひとつお聞かせ願いたい。
  78. 伊藤佐

    ○伊藤政府委員 ただいまの御意見の点はまつたく御同感であります。大きい政策上の問題は大臣からお答えいたすべきだと存じますが、事務的にわれわれが考えておりまする点を申し上げますると、その前にさつきもお話しましたが、でき過ぎというのがある。これは今年の三月末日現在で各縣から報告をとりましたのを集計いたしたのでありますが、全部で事業量にいたしまして、私どもの関係で七十億あります。この七十億のうちで一十億が耕地関係の災害復旧の事業費であります。それから五十億が公共施設関係であります。從いまして耕地関係に從來通り補助金を出すとすれば、十億そこにでき過ぎがある。公共施設の方は三十二億五千万円ここにでき過ぎがある。そこで現在まだ國会で御審議をいただいておりまする予算の数字は、先ほど申し上げました三十一億であります。これは公共施設関係、從いましてでき過ぎに全部投入いたしましても、公共施設の方でまだ十億にならぬ、一縣五千万円ほどはまだ政府の僭越しがあるといつたような状態であります。さらにどんどん事業が実施されておるようでありまするが、今後そういうものを入れますると、相当な量に上ると思います。耕地関係の方は一應全額打切られましたので、今のところでは手のほどこしようがない、こういう勘定になつております。そこでこのままにしておきますと、実際問題といたしまして、地方で私は重大な問題が各所で惹起するのではなかろうかと考えております。現在のところでは町村なり、あるいは水利組合。また府縣当局はあらゆる手を盡しまして、借金をしてそれでやつて來た。これはいずれは國から補助金があることを当然あてにしてやつておられたのであります。これは司令部は昨年の夏ころまでは認証以外の事業をやつてはならないということを厳重に言つておられるのでありますが、災害についてはその後方針をかえられまして、これは実際やむを得ぬということで、災害についてはでき過ぎも、補助金が來ることを目当てにしてやるということも認められて参つたのであります。ですから府縣当局あるいは町村としましては、当然のことを一生懸命やられた。ところがここへ來てみますと、金は全然目当がないか、少くとも今までのでき過ぎがやつと充当されるかどうかという状態になつております。そこでこのままではすでに地方に大きな問題が惹起されますので、われわれといたしましては、事務的にはできるだけ早い機会に——特に災害復旧につきましては、現在の農家の経済状態からいたしまして、自力で全部やれということはとうてい困難であると考えております。これは過去におきましても、現在のような公定價格制度あるいは供出制度といつたようなものがないずつと以前から、災害につきましてはやはり相当の補助金を出して参つたのであります。それに加うるにそういつたようないろいろの制約がありまするし、最近の農家の経済状態はだんだんと下向きになつて來ておりますので、白力でやれというこはとうてい困難であると考えております。できるだけ早い機会に何とか予算的の措置を講じていただきたい、かように考えておるのであります。しかしながらこれはある程度たとい実現いたしますにしても、時期の問題がありますので、その間何とかしてつないでおきませんと、地方財政上ゆゆしい問題が起りますので、先ほど申し上げましたさしあたりの問題といたしまして、預金部の資金の運用、それからの融通、例の対日援助見返資金、このうちから相当の額を災害復旧あるいは土地改良といつたような方面にまわしていただくことを今折衝いたしておるのであります。  もう一段の問題といたしましては、それでもこういうものがきまりまするためには、援助資金のごときはどういうものに貸すとか、どういう期限、どういう利率で貸すとかいうような問題がまだ未決定なのでありまして、從いましてこれがきまる時期までには相当まだ期間があると思うのであります。災害復旧は一刻もゆるがせにできませんので、結局またそれまでのつなぎ資金はある程度のものは出さなくちやならぬじやないかということで、現在大藏省等の方面とさしあたり必要なここ一、二箇月間のつなぎ資金の問題につきまして折衝いたしておるような次第であります。まだ金額、方法等につきましては申し上げるまでには至つておらぬのであります。
  79. 逢澤寛

    逢澤委員 公共事業と耕地の改良の境はどういうようなところですか。たとえていえば堤防が震災であるいは災害で破れたというのは公共事業だ。それから農地というのはどういうところから農地というかをごくあらましでよろしい、一つお聞かせ願いたい。
  80. 伊藤佐

    ○伊藤政府委員 耕地と申しますのは直接田畑であります。公共事業と申しますのはそれに必要な灌漑、排水の水路あるいは河川その他からの取入れ口、溜池、こういつたような共通的な施設であります。
  81. 青木正

    ○青木(正)委員 耕地の復旧問題につきまして、農林御当局の御苦心の点は先般來の委員会におきましてよく承りましてわかつたのでありますが、いろいろ予算措置を講ずることももちろんたつていただかなければならないのでありますが、これはなかなかむずかしい。そこで何らか他に方法が立たないものかということを私は考えるのであります。たとえばこれは私の一つの思いつきにすぎないものでありますが、農家が個人で耕地の復旧をやつたという場合には一箇年間米を供出しなくてもよいという規定を設けまして——しかしながら米は政府以外に売れないのでありますから、それによつて出た収穫物は超過供出として政府が買い上げるというような措置でも講じますれば、相当費用が國内措置としてできるのではないかと考えるのであります。何か予算措置が困難であり、さらにまた対日援助の見返資金の援助を仰ぐということもなかなか容易ならぬ問題であると思いますが、そういうふうな他の角度に目を転じられまして打開の道があるかどうかというふうな点についてもひとつ御検討をお願いしたい。何か御腹案なり、御研究なさつたことがありましたならばお知らせを願いたいと思います。
  82. 伊藤佐

    ○伊藤政府委員 ただいま青木委員の仰せのようなことも食糧管理局、農政局等と合同いたしまして研究はいたしてみたのであります。いろいろな点で非常に差支えがございまして、現在の制度のもとでは困難であります。何か結果においてできるだけの方途を講ずることに運用の道で考えられぬでもないようでありますが、あらかじめこういうふうにしてこうやるのだ。一年間供出の対象外にするとかいうようなことで、できて出したものは超過供出の價格で買い上げるということをあらかじめやるということは、いろいろな面から研究いたしましたが、困難なようであります。
  83. 小平久雄

    小平(久)委員 ただいま耕地の改良の関係、公共施設の関係を承つたのでありますが、利根川の水系、特に例の赤麻の遊水池の周辺には河床の上昇の結果、堤外に排水設備をしなければならないところが非常に多くなつて來ておるのでありますが、これの施設費あるいは維持管理費が地方で今非常に問第になつておるのであります。これは当然災害が起るたびにその必要性が増して來る。また河床の上つた結果として、少しばかりの水でも堰堤外に出水が非常に多くなる。その結果せつかくの稲作などがだめになつてしまう。こういう傾向が年々歳々強くなつております。そういう点等も考慮しますときに、今申しました排水施設の新たなる施設費あるいは増設費、さらに進んでは維持管理費というものは、できれば全額國庫負担、あるいは次善策としてはこれが補助ということに、性質上からいつても当然行くべきものだと思いますが、この点について当局がどうお考えになつておるか。また本年度の予算措置としてどんなふうになつておるか。その辺をまず第一点として承りたい。  もう一つの点は先ほどお話に出ましたが、地方における平野林の開拓の問題であります。これも地方の小河川等には非常に影響があるのであります。ところが從來はこれがややもすれば無計画とまでは行かぬでも、とにかく水害関係等をあまり重要視しないでやられて來た傾向もある。ところが昨年の末ごろでありましたか、専門の調査委員会等を設けて今度はやる。これは大変けつこうだと思うが、中には専門委員会を設ける前に町村の農地委員会などで決定してしまつて、専門委員会審議を経なければならぬということになつた後において決定の通知が行つたとか、いろいろそこに複雑な問題が地方にはあるようであります。そこですでに昨年末制度が変革される前に決定はしておつても、まだ開墾に未着手だというような所もある。しかもそれがいろいろ水利の関係あるいは災害関係等から見て不適地だとだれもが見られるような所がなきにしもあらず、中にはややともすれば政争の具に使われて、その結果無理押しにそういうふうになるという所もある。この際これらのものについて、また開拓に未着手だというようなものについては、あらためて専門委員会にかけることにするここが私は最も適当ではないかと思うのですが、ここらの取扱いは当局としてどういうふうにお考えになつておるか。承つておきたいと思います。
  84. 伊藤佐

    ○伊藤政府委員 第一のお尋ねの点でありますが、洪水を受けやすいような所、あるいは低湿地帯における排水施設の問題、これは私ども從來に引続きましてぜひやつて算りたいと考えております。ただ今年の予算は灌漑排水の施設に入るわけでありますから、從來からやつているものでまだ完成されていないものが相当ある状態でありますので、新規にそういうものをやることが必要な所はたくさんありますが、新規のものにつきましてはどういうふうになりますか、ただいまのところ見当はついておりません。從來つておりまして完成していないものについては、できるだけ早く完成したいと考えております。ただ方針といたしましては、新規のものが少しでも許されるような状態であれば、できるだけそういうふうなものもやつて行きたい。  第二の点は、率直に申し上げますれば、從來今御指摘になりましたようなほとんど無計画に近いような状態で入つておつた。そのために非常な悪影響を及ぼしておつたという例が私はないではないと考えます。これは終戦直後のいろいろな混乱した状態。もとにあつたものですから、ひとり開拓のみならず、いろいろな方面でこういうふうなことが多かつたと思うのであります。しかしこれは確かによろしくありませんので、昨年の九月一日附をもちまして、林野当局とわれわれの方と相談をいたしました結果、農林次官の名をもつて通牒をいたしまして、ただいま仰せになりましたように從來は縣の農地委員会あるいは町村の農地委員会だけでこれが適地であるかどうかということを判定いたしまして、買う買わぬを決定したのでありますが、その前に町村におきましては、郡單位の専門御術者をもつて組織いたします——林野関係あるいは一般の土木関係、農事関係、そういつたような専門の技術者をもつて組織いたしまする委員会を設けましてその委員会があらかじめこれならば林野としてよしも、むしろ田畑に開いた方がよろしいといつたようなところを技術的に検討して決定いたしましたものを農地委員会にかけて、そこで農地委員会としては廣い観点から見てこれを開墾適地として買うか買わぬかということにしてやつておるのであります。その前に決定してしまつた分についてはどうかというお尋ねでありますが、現在の法律上では決定しました分につきましてはあとへもどす措置はとり得ないのであります。そこで現実の運用の面といたしまして、昨年からわれわれの方ではそういうふうなところを買いました場合に、一々地域ごとに開拓計画を立てることになつております。計画を立てる際に、これは非常に詳細な計画を立てますので、その際不適地であれば開墾しない。全面的に不適地の場合もありましようし、一部不適地の場合もあろうかと存じますが、いずれにしてもそういつたところを除きまして、いずれは拂下げを認める土地でありますので、そういう際にできるだけもとの所有者に拂い下げるというふうな運営の方針で参りたいと考えております。
  85. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 さつさのお話の中に災害復旧等のでき過ぎに対しては、司令部においてもそれを認めるようになつたというのは、いつごろからそういうことになりましたのですか。
  86. 伊藤佐

    ○伊藤政府委員 私、はつきり覚えておりませんが、昨年の夏ごろであつたと思います。それまでは要するに四半期ごとに事業量を認証いたしまして、これだけの事業量、これだけの金額をこういう事業に対して認証する。それ以上わくの外でやることは絶対に相ならぬということであつたのでありますが、いろいろ説明をいたしまして、災害については例外的にやむを得ないだろう、こういうことになつたのであります。
  87. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 私は秋田縣の選出でありますが、二十二年度の大水害で、その御当局の非常な御援助を感謝しておりますが、実はでき過ぎの問題であります。御承知のように秋田縣は十一月の末から翌年三月の末ごろまでは、雪が降つて仕事の能率が上らないで、その前に仕事に半分とりかかつて冬中休んで、翌年春にやろうとすれば、雪融水が出てこれはほとんど洪水と同じような増水でありますから、ようやくやりかかつた工事もすぐ流されてしまう。そういうような関係から二十二年度の大水害のときには、第三・四半期の末ごろまでに第四・四半期分をやつてしまうというので、これは地方の非常な犠牲的協力によつて復旧に努力いたしました。その結果二十二年度の大水害のときには米だけで五十万石の減収をみたのでありますが、二十三年度においては約三十万石の、取返しがついたのであります。これは結局予定計画の中に今考えてみると、でき過ぎが大分あつたのであります。その結果から考えると、三十万石の増収というような形になる。三十万石の増収ということになれば、これを買上價格に換算してもたいへんな金額になります。こういう点から考えても司令部においてもできすぎを認めるというようなことになつたことは、私としては非常に喜んでおりますけれども、ただ認めるだけで実際は金を渡さないという現状でありますから、この点特に御注意いただきたいと思います。なお融資の関係においても、地方の銀行その他の金融機関においては、非常な金詰まりになつておりますから、今までの未拂分も非常にありますけれども、今年でもさらに災害が起らぬということは断言できないと思いますから、その点も十分御考考願いたいと思います。
  88. 伊藤佐

    ○伊藤政府委員 ただいまのでき過ぎの転は結局方針としては認められたのでありますけれども、ちようど年度の終りに來まして新しい年度で打切られたために、結局金がないということになりましたので、先ほど來申し上げたような、さしあたり何とかして融資の道でも講じたいということで今やつております。なお地方銀行なんか非常に金詰まりであるという点はもつともでございます。われわれの方といたしましても市中銀行は実際問題として当てになりませんので、預金部資金とかあるいは見返資金の方から直接行けるような資金をもつてやりたい、こう考えております。
  89. 大内一郎

    大内委員長 本日はこれで散会いたします。     午後四時五分散会