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1949-07-22 第5回国会 衆議院 考査特別委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年七月二十二日(金曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 大橋 武夫君 理事 小玉 治行君    理事 高木 松吉君 理事 内藤  隆君    理事 神山 茂夫君 理事 石田 一松君       安部 俊吾君    井手 光治君       菅家 喜六君    佐々木秀世君       塚原 俊郎君    吉武 惠市君       聽濤 克巳君    寺本  齋君       浦口 鉄男君  委員外出席者         証     人         (日本國有鉄道         東神奈川車掌区         車掌)     西田 寅藏君         証     人         (日本國有鉄道         中野車掌区長) 愛甲  寛君         証     人         (日本國有鉄道         八王子管理部         長)      松村 丈夫君         証     人         (前日本國有鉄         道労働組合八王         子支部執行委員         長)      鈴木  清君         証     人         (日本國有鉄道         労働組合中野車         掌区分会執行         委員長)    岩崎  博君         証     人         (日本國有鉄道         労働組合三鷹電         車区分会書記         長)      青柳 正雄君     ————————————— 本日の会議に付した事件  國電スト問題     —————————————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 会議を開きます。  國電スト問題につき調査を進めます。昨日時間の都合により本日に延期いたしました、西田融人より証言を求めることといたします。昨日宣誓して御承知のことと存じますが、念のためもう一ぺん宣誓願います。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律につきましてはきのうでおわかりのことと存じますから読むことを省略いたします。あらためて宣誓願います。起立を願います。     〔証人西田富藏宣誓
  3. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 署名捺印してください。     〔西田証人宣誓書署名捺印
  4. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 西田富藏さんですね。
  5. 西田寅藏

    西田証人 そうです。
  6. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは東神奈川車掌区の車掌ですか。
  7. 西田寅藏

    西田証人 そうです。
  8. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いつから……。
  9. 西田寅藏

    西田証人 昨年の八月五日からです。
  10. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 東神奈川駅では車掌区、電車区及び駅頭で、五月の末からいわゆる新交番制でごたごたが始りつて、とうとう六月九日にストに入つて行つたが、それについての大体の模様を話していただきたいと思います。
  11. 西田寅藏

    西田証人 自分は昨年八月五日に轉勤した当時、いわゆる政令二百一号によつて共産党のやつらが暴れて、それで自分に出てくれ、こういうわけです。自分自分自由意思によつて自分はできないから拒否する。それ以來組合大会には思想的におもしろくないので出ないから、そのいきさつは知らない。
  12. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大体あなたの見たり聞いたりしたところで‥‥。
  13. 西田寅藏

    西田証人 新交番制を反対して旧交番でやつて犠牲者がそれによつて出たら、ただちにストに入る、そういうことは皆言つておりました。
  14. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはいつごろから‥‥。
  15. 西田寅藏

    西田証人 六月五日ごろですね。
  16. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが六月三日に何か職場大会を開きましたか。
  17. 西田寅藏

    西田証人 六月三日は公休だつたから知りません。
  18. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 聞いていませんか。車掌区、電車区合同の大会を‥‥。
  19. 西田寅藏

    西田証人 何しろ出ていないですからね、聞いていません。
  20. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 五日はどうしたのですか。
  21. 西田寅藏

    西田証人 五日は、自分は慰休をとつて熱海に行きました。自分品川出身ですから、同期生と一緒に‥‥。
  22. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 やはりその日もごたごたがあつたようだが聞きませんでしたか。
  23. 西田寅藏

    西田証人 私は何しろ組合のことは、胸くそが悪いからみんな聞かないですね。
  24. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから六月九日のストに入つてから‥‥。
  25. 西田寅藏

    西田証人 六月九日は、旧で行くと、五ダイヤという行路があるのですが、その前日に旧の一九ダイヤにあしたは予備にしてくれ、ぼくは新に乘つたけれども、旧と新の人がぶつかる。ぼくが新で行くと、旧のが、たとえば二三という行路がぶつかる。旧の人を押しのけて自分だけいい子になろうということなしに、予備として乘るのはかまわないから乘せてくれと助役言つたら、一九ダイヤ、十時四十六分から乘る行路ですが、乘務前三十分、十時十六分に今日は予備にさせてくれないかと言つたのですが、とにかく來たのだから乘るけれども、じやあしたは二ダイヤ、六時十一分から乘り出しまして、十二時五十三分に上る行路なんです。それでもつて九日の夕方に、あした予備に出るからと牧野助役言つたのですが、六時に出て來たら出務簿西田の判が押してある。これはどういうわけだと言つたら、いや、かまわないから乘つてくれ、そういうふうに言つて、一一五一Aという電車東神奈川ストに入つた自分專用車に乘つておりますから、ヤンキーをおろして、あそこは湘南が通つていますので、湘南に案内した。ところが一般の乘客が、そもそも君たちは愛せられる共産党ならばなぜこういうことをする。ストをやるならば、事前に告示をしてやるならば、かまわない、皆藤音松という共産党の方が——第一次行政処分になつた車掌が、突つ込まれておりましたけれども、結局櫻木町駅まで持つて行つて、上りは回送して神奈川へ持つて来て、初めは新子安まで空車回送して、新子安から客扱いしようところが東神奈川では乘らない。これではおもしろくない。当局の話だと思うけれども、新子安まで回送して來て客扱いしろ、自分白帶車だから專用車を見ていればいい。ほんとうのところを言えば、やつらにできる限りのことをやればいいのですから‥‥。ところが運轉手東神奈川で止めたら電車が動かせないのですけれども、その次の電話でもつて東神奈川蒲田間は車掌乘務でもよろしい、運轉手だけでもつて蒲田から空車で持つて來いというので、東神奈川自分はおりたのです。その降りた時間は十四時三十分、それでストライキに入つて自分はどうのこうのと言いましてもしようがないから、帰ると言つて帰つたんですけれども‥‥。
  26. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで新交番制を実施するということを言い渡されたのは、いつですか。
  27. 西田寅藏

    西田証人 五月三十日です。
  28. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いつから実施する‥‥。
  29. 西田寅藏

    西田証人 六月一日からだけれども、そのうわさは大体二十二日ごろから傳つていたんです。
  30. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこでその命令があつて、六月一日から新交番制に服した人がおりましたか。
  31. 西田寅藏

    西田証人 それは実施できるできないは別として、おれは新交番制に乘るという者が相当おつた。三分の一おつたでしよう。、だけれども、実現できなかつた自分が事実六月一日に出て行つて旧で行きますと、四六ダイヤ、これは連合軍職員輸送と言いまして、連合軍に勤務している職員労働者を輸送する指定列車なんです。これは今京浜東北線は全部白帶車の隣りに婦人專用車、あれを開放して自分たちは持つて行く。だけれども、新で行くと四一ダイヤというものがある。これは十七時十六分ころから始まる行路で、四六ダイヤは十六時四十何分に始まるのだけれども、乘務の三十分前に行つていなければいけない。自分は卑怯だつたのですが、その中間をとつて十六時半に行つたのです。だが山本嘉雄という労組の者が、自分が新交番乘ろうとすると、なぜお前乘るんだ。乘ろうが乘るまいが、自分の判断で乘る。業務命令でいかにあばれたつてしようがない。ぼくは自由意思で乘るんだから、干渉することはないだろう。そうすると、操縦補助の加藤さんという人が個人自由意思にまかせてやれということで、自分は新に乘つたけれども、まだ乘りたい者が相当おつたが、実現できなかつた。あまりにもやつらの一方的の勢力に押されてしまつた
  32. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから九日にストに入つてからどうしました。
  33. 西田寅藏

    西田証人 ストに入つて十四時三十分ごろ帰つて來て、車掌区に十五分ごろおつた車掌区に鉄條網が張つてありましたけれども、公安官と警察官が詰めております。予備電車——入庫電車のポツプを切つてパンダグラフを上げていたが、全部扉を開いて工場の連中が盛んに赤旗を振つてつた。そうして自分は逃げるように帰つてしまいましたが、てめい、今度來たらたたき殺すから覚悟している、ああ、おれはとにかくこんなびしよびしよくしたところにいられないから帰るんだということで帰つちやつたわけです。
  34. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは九日ですか。十日は出て來ましたか。
  35. 西田寅藏

    西田証人 ええ、十日は週休ですよ。金曜が週休制だから、休みになつているのです。五時四十分、ニュースで中央線ストに参加する。参加したくない車掌をかり集めるという話があつたので、一これはいいと思つて‥‥。
  36. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは十日だね。
  37. 西田寅藏

    西田証人 ええ。それで自分品川出身なので、その前に品川行つて中央線京浜線で通つておる車掌がおるわけです。もし自分みたいな者でもよかつたら、信号も何もわかつているから、乘せてくれないかと首席助役言つたのですけれども、分会で相談しなければまずい。東神奈川分会で突つ込まれるから、とにかくあなたの心はわかるけれども、ここで待機していてくれというので、とうとう乘務しなかつたのです。
  38. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それで十日は品川で暮しましたか。
  39. 西田寅藏

    西田証人 十六時三十分ごろから品川から電話をかけてもよろしいのですが、大井町からあすは東へ行つたつてどうせ電車は動かない。それまでに総司令部の方で手を打つだろう。またそうなるのは当然であつて、われわれが言うまでもなくストライキをやるのは妥当ではない。そこで電話をかけたのです。牧野助役渡辺操縦補助がそのときにいたが、牧野助役は耳が遠いので渡辺補助電話に出た、ともかく殺されてもかまわないから乘せてくれと言うと、東の車掌のあなたの心はよくわかるから、ともかく東へ來てくれというので、十日の日は家に帰つて休んだ。
  40. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 十一日は‥‥。
  41. 西田寅藏

    西田証人 十時ごろ出勤したのですが、出勤する前に、もしかすると左翼分子のために殺害されるかもしれない。そういう意味遺書兄貴あてに送つたわけです。それでもつて十時ごろ出勤して十時三十分ごろ車掌区に行つたわけです。それで石井次席助役を通して、自分は東にいてもしようがない、みんなから白い目で見られてはおもしろくないから、とにかく事態が治まるまで、品川に助勤に出してくれないかと言つたら、おれにはわからないから区長言つてくれと言う。区長精神錯乱状態になつてしまつて井上勘一なんかとああじやないこうじやないと盛んに論じているのです。そうしているうちに十一時三十分ごろ労働課長エーミスさんから停止命令が出て、当局から新交番制にしろ、旧交番制にしろ、ただちに乘務しろという電話がかかつて來た。自分はああいう炎天下に出ていてもしようがないから操縦の前にいたのです。そしたらにわかに人をかき集めて來て、電車を出そうということを心ある人が言つた。今度は操縦の前に來てごちやちやつていたら、その指示が來た。すると十一時三十分、ごろ運轉班白帶車班が呼んでいるから講習室に來てくれないかと言つて來た。大体の臆測はできておりましたが、何されるかわかりませんから行かなかつたのですが、三、四回呼びに來たから仕方なく行つて見ると、こんなやろうたたき殺しちやえと、やにわにこんなことを言つて來た。ところがそれをまあまあと言つて伊藤影明さんがとめてくれたわけです。そして井上勘一が、君はなぜ新交番制乘つたのだ、そういうふうに聞かれて來たから、私は今度の整理も政府が惡いのじやない、敗けたがゆえにこういうぐあいになつて來たのだ。そう言うと、みんながそんなことはおれたちは百も知つている、うるさい、このやろうただでおかないぞ、と言つた。そいつらの顔を見てもしようがないから、下を向いていたから、名前もわからないが、そこへ伊藤さんが中に入つて來て、こんなことをしていたつてしようがないから寝室行つて大会を開くべきだ。こんなことを言つた
  42. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのときは電車を動かそうという決議が済んだあとで、中止命令が出たあとですね。
  43. 西田寅藏

    西田証人 そうです。ここでお話が少しずれますけれども、十一時三十分にエーミス電話があつたけれども、東の車掌は乘らないのです。で櫻木町行電車が來たのは十九時四十分ごろです。それで鷹峯へ行くようになつたのです。そして寝室に行くとき二、三人の心ない者の、人民裁判にかける、こういう言葉を聞いて私もはつとしましたけれども、何と言われても仕方がない、それで寝室行つたところが、七、八入の者がいた。そのときの議長は不明なんですけれども、司会に伊藤影明さんが立つて西田さんのことは前々からよく知つている、自分も両親がない——伊藤さんはおやじさんがなくておふくろさんと妹さんをかかえておる。話はさかのぼりますけれども、五月三十日の日に話し合うつたのですが、今度のことは、おれたちはやはり一車掌なんだから、命令が出たらそれに從うのが妥当じやないか、そう話しておつたものですから、伊康さんが、西田君のことはよく聞いておるけれども、こういう態度で出るとは思わなかつた言つたわけです。そうしたら共産党員神保というのが、西田君は反逆的存在である、西田君は鉄道職務パスをなくしたから、当局から首切の対象になるのがいやなために、新交番垂つたということを言つたのですね。それは五月三十日の泊りの日に、お風呂屋さんに行つて帰つて來るとパスがないのに氣がついて、これはとられたんだと思つて人にも話したので、そのことを言われたのですがあとで調べたら冬のズボンに入つていた。、私が忘れたわけです。それですぐ弁解したんです。そうしてとにかく私は反動分子だから、区内追放でやめさせてください——こう言つて車掌区に入らぬ決議をしたとか業務命令に反したというのでないからやめさせられないことはわかつているんですが、こう言つた。そうしたら神尾という京浜運轉車掌が立つて、われわれに対してほんとうにあやまる心がない、とにかくあなたはあやまつたらどうだと言つた。その次に矢野幸世という鬪爭委員つたけれども今度の第一次の整理で首になりましたが、これが、われわれは個人意思をどうすることもできないと言つたんですね。そのときに朝日新聞の某記者が、私が立つて弁解をしているところを写眞をとつて原稿を書いていた。それを見つけられて二、三人で食つてかかつた。そうやつているときにまた自分が、とにかく私は團体的に行動しなかつたことは惡い、しかし自分のやつた行いはちつとも悔いていない、けれどもとにかく皆さんの手前、私はあなた方に対しては罪を犯したのだから、三日の出勤停止を出してくれと言つた。そういうことは組合にできないことは知つておるのだけれども、あの空氣から早く逃れたいために、そういうふうに言つたのです。
  44. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでどうなつた
  45. 西田寅藏

    西田証人 それでフイルムと原稿をその新聞記者はとられてしまつたわけです。そうしていると、皆藤音松という革新のやつが、西田君、われわれと手をとつて行きませんかと言つて來たので、自分もいつまでもこんなことをしていてもしようがない、ともかくここでもつて手を握つて行くか、そういうぐあいにむりに言つたんです。そして皆藤さんはいいと言つたが、分会の中にはおかしな人間がいるから、両手をついてあやまつて泣いた。泣いたのは、自分意思が通じなくてくやしくて男泣きに泣いたんですが、それをみんなは喜んで拍手をした。ぼくにはこの心はわからないんです。そのころに某記者分会長井上さんから、この写眞と記は一切出さないという確約書をとられた。
  46. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではその大会というのは、君の人民裁判大会つたのか。
  47. 西田寅藏

    西田証人 そうです。人民裁判というのは議題じやなくて、心なき人間がこしらえた言葉です。
  48. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その人民裁判で簡單に三日出動停止をやるということはあつたのですか。
  49. 西田寅藏

    西田証人 できないということは重々知つていますが、何しろあの空氣から早く逃げたいから‥‥。
  50. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたの書いた遺書はどういう意味のものですか。
  51. 西田寅藏

    西田証人 先ほど申し上げましたように、極左分子がいても、組合幹部はちつともこわくない。しかしその下つぱにおつちよこちよいが多い。そういう人間は、おれも首になる前にえいやつちまえという人間がいるのです。そういうやつにやられたらかなわない。ですからとにかくその場合、個人自由意思は憲法にちやんとうたつてある。もしおれが殺されて、その犯人が出て來ないということになつたならば、ぼくの葬儀代も出ない。それは親父もありお袋もあつたら、泣きの涙で葬式もやつてくれるが、しかし今義理の兄貴、しかも失業している。それで退職金の少しくらいもらつたつて、二万か三万の葬式代を拂つたあとどうする。そういうときに、國鉄労組東神奈川分会または横浜支部に対して堂々と慰藉料は請求できるのだという意味のことを書いたのです。
  52. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは昨年の八月から面白くなかつたということを言つたのですが、それはどういうことですか。
  53. 西田寅藏

    西田証人 昨年芦田政令二百一号が出たのです。そのとき、これに対して俄然うちの車掌区が反対して、これを総辞職でくつがえそうという腹だつたのです。
  54. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは東神奈川車掌区だけですか。
  55. 西田寅藏

    西田証人 そうです。相当自分も迫られたのですが、とにかく自分自由意思はどうにも動かないのだから、何とも言つてくれるなと言つてちようど鶴見線が來ておつたから、乗つて逃げてしまつたのです。
  56. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのときはストになつたのか。
  57. 西田寅藏

    西田証人 いや総辞職戰術ですから、署名運動です。結局最後は自分個人問題になつておるのだから、お前は総辞職に署名したから、もうお前は要らないと言われたときに、ぼくとしては返ができない、あなた方が何と言おうとかんと言おうと、もう当局は強いのだ、ということを言つたのです。
  58. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで今度は三分の一も賛成しておるのにかかわらず、むり押しをして、新交番制に乗らぬということをきめた‥‥。
  59. 西田寅藏

    西田証人 そのきめたのは、何しろ大会の様子はよく知りませんが、出た者の話を聞くと、大会空氣を左へ左へと持つて行くらしい。だからぼくならぼくが新交番制泣きの涙でのんで、それで次の段階にぶつかつたらどうかと言おうものなら、何を言つている、うるさいと反駁されるから、言いたくても言えないのです。
  60. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうものがやるのですか。
  61. 西田寅藏

    西田証人 組合幹部です。
  62. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 系統で言うとどういうものですか。
  63. 西田寅藏

    西田証人 共産党系が主です。
  64. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうものが主だつたか、名前言つてください。
  65. 西田寅藏

    西田証人 自分は出ていないから、第三者から聞いたのですが、井上勘一であるとか、皆藤音松神保昭三好武、そういう人間がそういう空氣に持つて行くらしいのです。自分はいなかつたからわからないのですが‥‥。それでのちに新聞記者を座敷にあげて、この記事を出さないということを朝日新聞の某記者契約書を書かせたのです。
  66. 吉武恵市

    吉武委員 これは昨日も他の証人から聞いたのですが、まだはつきりしないので、お聞きしたいのですが、白帶車の中で、夜中に組合会議かあるいは共産党フラク会議か知らないが、幹部の者が会議をやつたということを聞いておるのですが、あなたはそういう事実をお知りになりませんか。
  67. 西田寅藏

    西田証人 それは知りません。何しろ自分が新交番に乘るときまつたら、自分一緒に話をしていると共産党系統の者から白い目で見られるのです。だからぼくと話をしたいけれどもできない。だから事実六月二日になつて自分が四十一ダイヤ終了した。私は普通なら頭にポマードをつけていますが、そのときにはかつぱみたいになつているのでかつぱかつぱと言われていたのですが、六月二日にカードを渡すときに、だれ一人ぼくに言葉をかけてくれない始末です。とにかくぼくと口をきくと白い目で見られるから、とにかくそういうことはできなかたのじやないですか。
  68. 吉武恵市

    吉武委員 そうするとあなたは昨年來組合大会とかそういう所へは‥‥。
  69. 西田寅藏

    西田証人 一切出なかつた。何とか言い逃れを言つて……‥。
  70. 吉武恵市

    吉武委員 あなたはそれはいやだつたかもしれないけれども、むしろ勇敢に出て、自分意見を主張することが、やはり正しい意見を伸ばす意味において必要だと思うのですが、もうめんどうくさかつたのですか。
  71. 西田寅藏

    西田証人 とにかく出ても恨まれろ一方だし‥‥。
  72. 吉武恵市

    吉武委員 それは恨まれるだけで、1迫害を受けるとか脅迫を受けるというような意味ではないのですか。
  73. 西田寅藏

    西田証人 そういうものじやない。
  74. 吉武恵市

    吉武委員 今回の神奈川國電ストの一つの特異な現象は、外部の人がたくさんやつて來たということですが、これはあなたはごらんになりましたか。
  75. 西田寅藏

    西田証人 事実見ております。
  76. 吉武恵市

    吉武委員 どういう人がやつて來ておりますか。
  77. 西田寅藏

    西田証人 自分組合運動に参加していないから、よく知りません、が、神奈川懸の工場代表とか、あるいは朝鮮人連盟代表とか、自分たちに言わせればおもしろくない、そういうものが來ておりました。
  78. 吉武恵市

    吉武委員 それは思想的に言えば、どういう系統の人ですか。
  79. 西田寅藏

    西田証人 結局左派です。ぼくに言わせると、日本共産党は暴力的なものが往々にしてあると思います。なぜならば入墨のあんちやんや、アロハのあんちやんが、共産党かぶれしている事実を見ております。うちの組合工作班なんか輿太者で、しようがない。そういう者が共産党に入つちやつている。そういうことはぼくははつきり言えると思います。
  80. 吉武恵市

    吉武委員 それから今までに神奈川懸の方で國鉄や何かの関係で昨年にも政令二百一号についての反対運動があつたが、そのころにもそういう外部のものがやつて來ておりましたか。
  81. 西田寅藏

    西田証人 その時分はないでしよう。あまり深入りしないから、よく知らないですが、最近の現象です。だから自分が六月二日に四十一ダイヤをあげたところが、分会長井上勘一君が、私たち一緒にやらないか、もし西田君が首になつたら、われわれ車掌区がついている、そのあとには工場労働者がついている、そのあとには共産党がついていると言つて來た。それならばなぜ今失業者が出て共産党は手を打たないのか、とぼくは言いたくなる。
  82. 吉武恵市

    吉武委員 それはやつているかもしれない。あなたは御存じないかもしれないけれども‥‥。
  83. 西田寅藏

    西田証人 だからしつつこく言つて來る。ぼくはあなた方と思想的に違うのだから、何とも言つてくれるな、そういうふうに言つたから、その翌日の三日に、皆藤氏が來たときに、ぼくは男の一人としてもう旧交番制には乘れない。だけれどもこれはアメリカのまねもできない。ソビエトのまねもできない。日本には家業があるから、もしぼくに親交が健在であつたら、魚屋なら魚屋という商賣をやつている。そのときぼくが鉄道員をやつてつたおふくろを食わして行けない。子供学校にやつてやりたい。自分学校に行かなかつたから、子供だけは大学にまで入れてやりたい。ところが今の國鉄の賃金ではとうていそういうことはできない。魚屋をやつておればそれだけの收入が上るかもしれない。自分は涙をのんでこういうことになつているのだ。そういうふうに言つたのですが、そういうことは言わないでくれ、と皆藤氏は言つておりました。、だからうちの区長も、自分も現に泣いている、お前が新交番に反対するのはよくわかる、しかしこの責任は区長としてとらなければならない、泣きの涙で頼むから乘つてくれと言つて泣いた。いわゆる家族的考えになれば、親が泣いているのに、子供がよくせきでない限りやはり、そこに服從するのが、日本人じやないか。これは日本人に傳統的に流れたあれじやないですか。
  84. 吉武恵市

    吉武委員 それで君がもしやつてくれるならば、車掌区がついている、そのあとには工場の‥‥。
  85. 西田寅藏

    西田証人 代表がついている、全工場労働者がついているとというわけです。
  86. 吉武恵市

    吉武委員 それからそのあとには共産党がついている。
  87. 西田寅藏

    西田証人 そのときに自分がそういうふうに言つたら、じやあんたは首にならない確信があるのか。まあそのときやつちやおうと思つたのです。ぼくは確かに鉄道は新しい。昭和二十二年四月かに大井町の駅手になつた。いくら西田富藏なるものがお前は年数が浅い、退職金が少くて済むから、そういう人はここでやめちやえ。——やはりそこは忠実に踏んで行くのが妥当だと思つたから私はやつちやつたのです。
  88. 吉武恵市

    吉武委員 わかりました。それからこの六月九日の夕刻ですか、サイレンを盛んに鳴らしたということをあなた聞きましたか。
  89. 西田寅藏

    西田証人 六月の九日ですかに二五一A電車が櫻木町に到着すると、サイレンが鳴つておる。一時でもなく、一時半でも二時でもないのですよ。おかしいな。これは工場の休み取消しのために仕事始めに鳴らしたサイレンかと思つたら、運轉手がこれは神奈川懸の全労働者が應援するために鳴らしたサイレンだと言いました。そのサイレンを聞いて、東神奈川にわんさわんさと集まつて來たのだろうと私は思いますね。
  90. 吉武恵市

    吉武委員 動員の合図のサイレンだね。わかりました。それから、われわれよく聞くのですが、神奈川には産業防衞行動隊という、各工場その他に、そういう組織ができておつて、ちようど爭議中にも防衞大会というものが行われたということを、この間片岡君も防衞隊の会議の方へだれかが出かけて行つたということをたしか言つたように思うが、そういう話はあなたは聞きませんか。
  91. 西田寅藏

    西田証人 産業防衞大会ではなくて、うちの車掌区の防衞大会ですが、六月三日に蒲田車掌区がおとなしく新交番に乘つたものを、——蒲田車掌区というものは人員の多いところではないから、そんなに犠牲者が出ない。人員も足りないからあき交番もあるという始末で、それでもつて蒲田車掌区は乘つたのだ。しかしそれはいけないと、うちの皆藤とか神保とか井上勘一などが蒲田あたりに行つてくつがえしてやる。——十時か九時か忘れましたけれども防衞隊を出したのは六月二日です。蒲田車掌区の新交番を拒否して九人乘せろという。ぼくに言わせれば、防衞隊だか、やじうま隊だか何だか知らないですが、当時ぼくは痔けつが出ておりまして、病院へ通つておりました。耳も惡くしていましたし、これから病院に行かなければならないから、とにかく拒否してしまつたのです。そうしたら蒲田車掌区は六月二日にはつぱをかけられた関係でもつて、五日ぐらいからまた旧交番に逆もどりしたのです。だから蒲田車掌区の心ある者は、東神奈川車掌区を恨んでおるのです。これはぼくは確信を持つていますよ。
  92. 吉武恵市

    吉武委員 車掌区にある防衞隊は知つておるけれども‥‥。
  93. 西田寅藏

    西田証人 だけれども、工場の一般地方人のは知らないのです。
  94. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 さいぜんから西田証人の陳述を聞いておりますと、まことに共産党に対する非常にきらいなような話が出ておるのですが、どういう点で共産党がきらいなのか。感情論ではなく、なぜ共産党がきらいなのかということをお聞かせ願いたい。
  95. 西田寅藏

    西田証人 自分は山岸鬪爭委員より言われたのです。なぜあなたは共産党がきらいであるか。なぜ組合を脱退しなかつたのだ、と自分は言われたのだけれども、とにかく私は共産党を食わずぎらいじやない。ちやんとアカハタとか共産党宣言も読んでおる。そういうことから押して行つて、いわゆる共産党の天下になればいわゆるソビエトのスターリンの独裁主義のごとく、われわれ労働者は今いかに——いわゆる徳田球一さんあたりを出すか知らないが、日本人民政府が樹立したら、その場合に私なら私が共産党員として東神奈川地区を治めた、その労をねぎらつて、ぼくならぼくが行くわけです。何かいい職を與えてくれないか、ぼくはそれを治めちやつたのだから、そういうふうに行くと、ええ、しやらくせえ、てめえなんか邪魔つけだ、これがいわゆる粛正によつて現われておるのですが、そういうことから読んで行つて、ぼくはきらいだと言うのです。ちやんとぼくならぼくが——今ここでお答えしますけれども、自分國鉄におりますけれども、民同でもない。共産党でもない、全部そういうものに入つておらぬ。
  96. 神山茂夫

    ○神山委員 民自党か。
  97. 西田寅藏

    西田証人 民自党でもない。
  98. 神山茂夫

    ○神山委員 何だい。
  99. 西田寅藏

    西田証人 ただ平々凡々たる労働者です。
  100. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 共産党をきらいだということを、アカハタなりそのほか共産一党の文献を相当読んでみて‥‥。
  101. 西田寅藏

    西田証人 それともう一つ、何ごとによらず紳士的に出て來ないのですよ、ああじやない、こうじやない、今度も区長なんか血も涙もない。いわゆる部下として長たるものにいわゆる民主主義の世の中になつたといつても、そういう言葉を使うべきじやないと思うのです。やはりぼくは部下なら部下として区長さん、今度はこうなりました。私どもはおとなしく乘りますから、よろしく出血の出ないように、と來るべきなんです。たとえば東神奈川が九十三人の行政処分を言われて來て、品川車掌区は十四名だということは、いかにこのことを物語つているかということがわかるのです。
  102. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 大体わかりましたが、そういうきらいな共産党が勢力を持つている組合運動には参加しない‥‥。
  103. 西田寅藏

    西田証人 参加しない。
  104. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 そこでいわゆる旧交番に反対して毅然としてわれ千万人といえども行かんという気持ちで新交番を守つた‥‥。
  105. 西田寅藏

    西田証人 いわゆる車掌区には今こそなくなつたと思うのですが、指導車掌というものがおるのです。その指導車掌だけは全部乘つてくれるだろうと思つたが、あにはからんやぼく一人だけなんです。
  106. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 そこで最後に死を覚悟して遺書までも書いて、新交番を守つたというのがあなたの氣持ちですね、わかりました。
  107. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 あなたの大分激しい共産党きらいは、よくわかりました。新交番制にあなた一人乘つたという事実もはつきりしておりますが、なるほど自由意思が、あなたが主張されているように憲法で保障されているというのは事実ですが、しかし労働者自由意思というのは、大体労働組合をつくつておるところから申しましても、やはり集團として意思を決定して、資本家といろいろなことを交渉してやらなければ、もしばらばらになつて、各人が一人々々では自分たちの利益が守れないということから、労働組合においては、常に組合の中に機関を設け、あるいは大会を開き、いろいろなことをして意思を決定してやるというのが組合運動の原則であろうと思うのです。だからその中では組合の決定とか何とかいうものに対する討議やその他においては各人が自由の意思を表明して、討議に参加するということは当然でありますけれども、しかし組合のすべての決定、多数による決定に対しては、これに服從して行くという原則がやはり組合運動の中にはあると思うのです。そこで組合の新交番に反対するというのは、これはあなたの言葉通りそのまま信用しても、これに賛成したのは三分の一だ。ところが実際われわれが今までに聞いたところによると、たとえばスト決議する時なんか満場一致でやつておる、こういうことを聞いておるのですが‥‥。
  108. 西田寅藏

    西田証人 ちよつと待つてください。矢野幸正という鬪爭委員ですけれども、これはストに反対したがために、やはりあなた方の中で白い眼で見られておることを、自分でこぼしたのです。
  109. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 しかし、しかたがないでしよう。いろいろ‥‥。
  110. 西田寅藏

    西田証人 しかしその反対があるのになぜ押しきつて行かなければならないか。ストをやつてはいけないということは、敗戰國で占領下にある以上、絶対的にやつてはいけないですよ。
  111. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 敗戰國においてそういうことの議論は一々している必要はないと思うのです。
  112. 西田寅藏

    西田証人 している必要はないというが、なぜストライキをやる必要があるのですか。
  113. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 ストライキをやる必要がある、ないというよりは、組合を組織している以上は、組合の團体的な統一的行動の中で物事を処理して行くというのが、組合運動のやり方ではないかというのです。
  114. 西田寅藏

    西田証人 たとえば團体で強盗を働く場合、西田富藏がそれに入つた、けれどもチンピラ強盗であるから首謀者が重い刑を受けて、われわれが軽い刑を受けるのは至当でしよう。今度の新交番、旧交番の場合も、これに匹敵するのではないかと思うのです。
  115. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 私の言う趣旨をあなたがそういうふうにお感じになつていることはよくわかるのですけれども、組合を組織してやつている以上、組合の規律や統制の中で團体的に行動して行くのが、組合の原則の最初のものではないですか。その点は、あなたがお考えになつていないかどうか。組合の重要な行動について自由に討議することはいいのですが、そこで決定したすべてのことについて、組合の統制と規律の中で行動して行くということが組合の原則、これは民同だつて共産党つて革同だつてみんな同じことです。その点においてちつとも問題はないのです。あなたに限つて、そういう考えは毛頭持つていなかつたのですか。
  116. 西田寅藏

    西田証人 考えた末に新交番乘つたのです。
  117. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それは当局から言われたから乘つた。あなたはあくまで自由意思だといつて行動していることが、組合員としてちつともかまわないことだ、そういうふうにお考えになつたわけですか。
  118. 西田寅藏

    西田証人 違うのです。組合の言うことも聞かなければならない、当局の言うことも聞かなければならない、平沢みたいな二重の人間ができて來るでしよう。そうしたらやはり國鉄從業員である以上は、当局の言うことを聞くのが妥当だ。もし組合ほんとうに正しいことを言うたのならば、あの福島事件において、首謀者が官憲の手をのがれる必要があるか。自分がこういうことをやつたのだから、自分の首を洗いざらしにするから部下をいじめないでくれ。それが世の中において至当だと思いますね。うちの人民電車の場合だつて四十数名全部やられてしまつたけれども、たれか責任者が共産党から出て、われわれのためを思つて自分がやつたのだけれども、済まないことをしたというようにやれば、全部の人間を引ぱられないでも済んだんじやないですか。
  119. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 あなたの言うことはよくわかりました。あなたがさつき自分でおつしやいましたように、新交番の問題について当局の言うことを聞くべきか、あるいは組合の決定に從うべきか、ここに二つの問題があつたということは、あなた自身言つているわけですね。当局命令に從つたということをあなたははつきりおつしやつているわけですね。
  120. 西田寅藏

    西田証人 そうです。
  121. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 そこで組合の決定を無視し、組合員としての立場をあなたは放棄したのかということを私は聞いておるわけです。あなたの自由意思という言葉の表現は、憲法だとかなんとか大げさなことを言つているけれども、事実これは当局命令に從うために、あなたは組合員であるけれども、組合よりも当局命令を重しとしてやつているのですか。組合員という立場は全然放棄して、組合の決定は無視したということを事実証明しておると思うのです。その通りだろうと思います。  それからもう一つ、組合の問題ですが、あなたは思想的に共産党のやつらがとかなんとか言う。それは共産党員でありますけれども、党員の前にやはり組合員であるはずだ。あなた方の同僚です。あなたの國鉄組合は、あなた自身が言うように何も共産党ばかりいるのではなく、革同、民同いろいろあるわけです。民同の方が数が多い。この組合の中で、それぞれ政治的な立場をとる人が出て來るのはあたり前ですが、組合員であることには何らかわりない。それで、あなたはあなた方の組合でやつている会合には全然出席していない。これなんかは組合員としては、はなはだおかしいことじやないですか。
  122. 西田寅藏

    西田証人 しかし出ようが出まいが、これは自由意思でしよう。
  123. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 ですからあなたの言う自由意思というのは、つまりかつてきままな自由なんですね。つまり組合というものは一つの組織なんですから、組織の運営についてはいろいろな原則があるし、お互いに協力しなければならない問題もあるし、意見が違つても多数決で決定したものには從うというような原則もあるし、いろいろあるのです。ところがあなたは、はなからぼくはぼくだ、ぼくはぼくで自分の思つた通りやるのだというのでは、組合の規律も組織も保てないわけです。その点はあなたお認めになりますか。
  124. 西田寅藏

    西田証人 認めません。それが合法的なやり方なら認めますけれども、しかしなんでもかまわん、ストをやつてしまえというのでは‥‥。
  125. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 ストをやつてしまえというが、ストをやつたのは今度初めてじやないですか。それで去年の八月ごろから組合はおもしろくないといつて、あなたは組合にちつとも出ない。組合員であるけれども、組合費は納めているけれども、組合には関心を持たない。
  126. 西田寅藏

    西田証人 組合費は今まで天引でとられている。八十円か百円か税金と同じにとられているのです。
  127. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 組合費のとり方は組合で決定してやつているのでしよう。それでそういう意味國鉄組合というのは何も共産党がつくつているわけではない。あなた方が組合をつくつているのです。あなた方がつくつている組合意思を決定していることに対して、あなたは何でも組合のやることはおもしろくないという。組合の会合にも出席しない。こういうあなたのいわゆる自由意思というのは一体どこで表現なさるのですか。
  128. 西田寅藏

    西田証人 組合大会ちやんとおもしろく運営されているならいつだつて出て行きますよ。ところがあらゆる政党政派が‥‥。
  129. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それではあなたは組合のことはどうでもいいというのですね。
  130. 西田寅藏

    西田証人 こういう組合ならない方がいいと思いますね。警察にしろ組合のないところに不正がありますか。みな中道の道を歩いているでしよう。あなた方は労働者の弾圧だというけれども、労働者労働者の線がある。その線を越せば彈圧——われわれはそれを彈圧だとは思わないですよ。共産党が言う、仕事はしたくない、賃金はうんといただきたいというのでは‥‥。やはり負けた以上やることはやつて初めて自分の主張というものが通るんじやないですか。
  131. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 あなたはいろいろ意見を持つておるけれども、私も労働者の一人だと思うから労働組合のことを懇切丁寧にあなたにわかるように説明してみようと思つたのですが、あなたは大分話が食い違つておりますからこれ以上はやめます。それからあなたが十一日に欠勤するときに兄さんあてに遺書を書いておかれたということですが、その遺書の内容はどういう趣旨ですか。
  132. 西田寅藏

    西田証人 ですからさつき言つたでしよう。組合幹部というものはちつともこわくない。やはりそれだけの教養もあり学問もある人間なんだから。ただ自分も首になつちやつた行政処分になつたのが九日でしよう。行政処分が來たのでストライキに入つたのだから心がちやんとおちついていない。こんな者は刺してしまえ、どうせおれは首になるのだし、死刑になつて何でも構わないというおつちよこちよいがおるのです。ばかと言つては失礼ですが。うちは兄貴が失業しておる‥‥。
  133. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それはわかりました。だから遺書の中で、詳しいことは言つてもらわなくてもいいが、どういうふうに書き残して行かれたのですか。
  134. 西田寅藏

    西田証人 だからそういうことを書いておいたのです。
  135. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 いつ殺されるかもしれないから。
  136. 西田寅藏

    西田証人 いつやられるかもしれない。じようだんで言つたことかもしれないが、今度お前來たら殺されてしまう、頭を二つ二つなぐられるのが関の山、現に吉田駅長がなぐられておるのです。
  137. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それであなたは、おれはいつ殺されるかもしれないが、殺されてもおれは新交番によつて自分の所信によつてつて行くのだ、だから殺されるかもしれないというので遺書を書いたのですね。
  138. 西田寅藏

    西田証人 はあ。
  139. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それで行つてみたところが何もなかつたのですね。殺されはしなかつた
  140. 西田寅藏

    西田証人 殺されはしないけれども、相当精神的に影響を受けたでしよう。
  141. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 めでたく殺されもしなかつたのでお祝いでもしましたか。
  142. 西田寅藏

    西田証人 何もしないですよ。
  143. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 ストライキが済んだあと組合というものは、やはりあなたは好まないらしい、つぶした方がいいと言つておられるが、組合は依然としてあるのですね。これから後どうなさいますか。しよつちゆう殺される迫害の中で毎日々々遺書を書かなければならない。
  144. 西田寅藏

    西田証人 ぼくは逃げるわけではないですけれども、ともかく皆から白い目で見られる。人民裁判というとなんですが、おつちよこちよいの人間が二、三人騒いだのです。品川に出してくれということを区長に話したけれども、全然受付けないのです。
  145. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 かりによそに行きましてもやはり組合はある。そうなるとどうなさいますか。それでうまく行きますか。どこに行つて組合はありますよ。
  146. 西田寅藏

    西田証人 ありますよ。しかしそれが合法的な、政党政派にまどわされない組合ならいいのです。
  147. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 あなたは労働者だから、私もあなたの言い方は相当乱暴なところがあるのですけれども、それはあまり言うまいと思いますが、質問の要旨に答えてくださればいいのです。今日の状況はどうですか。たくさんの人が檢束されて、あなたはこういう行動をとられて遺書まで書かなければならないほど危險な組合の中で依然勤務しておるのですけれども、毎日々々死ぬ思いで行つておられるのですか。
  148. 西田寅藏

    西田証人 そういうものは簿らいで來ました。組合幹部はばつさりやられたでしよう。
  149. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 組合幹部は、あなたの言葉によると、学問もあるけれども、それが御承知ないのがやはりいるんじやないの。
  150. 西田寅藏

    西田証人 いても、大体自分個人の責任をとられて、ストライキももうやらないという人間がずいぶんいます。労働者は眞に正しいと思つてつた。はたしてどうですか。あれだけの、犠牲を出したのは、だれですか、あなた方ですよ。
  151. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 ところがストライキをやらない所でも何万と首切られてるでしよう。
  152. 西田寅藏

    西田証人 それじやお尋ねしますけれども、あなたが一社長として非能率者を默つて使用していますか。仕事をしないで賃金をたくさんくれと言うような。
  153. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 あなたの仲間のことを無能力者、怠け者で賃金ばかりくれろ、必要もないのに何かと要求を出してガタガタやるためにそういうことをやつてると言うわけですか。、
  154. 西田寅藏

    西田証人 大体そういう線に沿つていますね。
  155. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 もうどれだけ議論してもしようがないですよ。
  156. 神山茂夫

    ○神山委員 あなたは國鉄の人は大体賃金をよこせ、仕事はしないという線に沿つてるとおつしやつたですが、あなたにお聞きするが、さつきたとえ話をしたね。あんたのお父さんかだれかが死ぬときに、もしこういうことを言つたらというたとえ話をしたでしよう。覚えてますね。ひとつ聞きますが、それは單なるたとえ話ですが、お父さんは魚屋さんをやつていたの。
  157. 西田寅藏

    西田証人 そうじやないです。五つのとき死んだですけれども、乾物問屋です。
  158. 神山茂夫

    ○神山委員 あなたはそれから何していたの。
  159. 西田寅藏

    西田証人 それから、小さかつたから幼稚園に行つて、小学校行つて、それから丹澤の報國寮中学に行つて、それから神奈川の材務課におりまして‥‥。
  160. 神山茂夫

    ○神山委員 それは幾つのときですか。
  161. 西田寅藏

    西田証人 十八才から二十二才までです。
  162. 神山茂夫

    ○神山委員 それから今度は大井町にいらしたのですか。
  163. 西田寅藏

    西田証人 そうです。
  164. 神山茂夫

    ○神山委員 それで二年間乘つていらつしやるわけですね。
  165. 西田寅藏

    西田証人 そうです。
  166. 神山茂夫

    ○神山委員 失礼ですが、成績はどうだつたですか。小学校はどうですか。
  167. 西田寅藏

    西田証人 あまりよくなかつたです。
  168. 神山茂夫

    ○神山委員 中学では。
  169. 西田寅藏

    西田証人 まあ普通です。
  170. 神山茂夫

    ○神山委員 あなたに聞きますが、そうするとさつきのたとえ話だが、魚屋ならやつて行けるが國鉄ではやつていけない、そうでしよう。
  171. 西田寅藏

    西田証人 そうです。人員があまり多過ぎるから、その人間に給料も拂わなければならないから少いのだ、だか非能率者を——われわれも仕事はそんなにまじめな方じやない、われわれ普通にやつている者がまじめだと言われる、昔戰前にまじめにやつた者は今では上の上の上の方だ。ぼくみたいにちよつと気の利いたやつはまじめだと言われる、それだけ人間は道徳心がなくなつて堕落している、だからぼく一人の意見じやない、うちの車掌区の中でアロハのあんちやん、入れ墨のあんちやんが首を切られるのはやむを得ない、だけれども今度の関係で、あなたの方の加勢をするわけじやないが、思想的に少しおかしくて、今までの勤務はまじめだつたが切られた、そういう人間にはぼくたち同情する。けれどもどうもアロハのあんちやんだの入れ墨のあんちやんなんというのはまあ人間として認めないですね。
  172. 神山茂夫

    ○神山委員 まあいいでしよう、あなたが認めないのは‥‥。  そこで今度はぐさつとやるという話だが、今どきだれかぐさつとやられた例を知つているか。
  173. 西田寅藏

    西田証人 やられた例は知らないですが、吉田駅長がなぐられているでしよう。ぼくたちみたいにやはり上の人を敬つている人間はそういう人間はたたかないですよ。そこから推して行つてそうだろうなということは大体線に浮いて來ます。
  174. 神山茂夫

    ○神山委員 あなたは下山事件のことをさつきから繰返して言つているが、下山事件を共産党員がやつたということを言えるのですか。
  175. 西田寅藏

    西田証人 それは言えないですよ、事実が判明して來ない限り。しかしうちの吉田駅長をなぐつたということは、区長から言わせればぼくみたいにおとなしい人間——過激な人間がどんな運動をしているか、ぞこから推して行くと、ああいう人間がやるなということがわかつて來る。
  176. 神山茂夫

    ○神山委員 しかし君をぐさつとやるとか言うが、今までぐさつとやられた例があるですか。
  177. 西田寅藏

    西田証人 ないけれども、なぐられた人間はいますよ。
  178. 神山茂夫

    ○神山委員 それから下山総裁は共産党がやつた思つておるか。
  179. 西田寅藏

    西田証人 思つてない。白か黒かはつきり断定が下つたとき初めてこれがわかることであつて‥‥。
  180. 神山茂夫

    ○神山委員 案外話がわかるな。あなたが言わなければ私は何も言う氣はないが、あなたは大分いろんなことを言つた日本が敗けた以上はどうしても仕方がないということを言つた
  181. 西田寅藏

    西田証人 敗戰國のいばらの道ということはわかつておる。終戦後男は去勢され女は強姦されるといううわさがあつた。僕は神奈川懸の林務課におつたが、林務課長の奥さんが疎開荷物を持つて丹沢の山奥に逃げた、そうしてやつさもつさやつたでしよう。さて米軍が來てどんな態度をしてくれたか。二、三の不祥事件はあつたけれども、今安閑としておられるのはやはり米國のお蔭じやありませんか。
  182. 神山茂夫

    ○神山委員 たれが一番初めに米軍が事來たら日本人は強姦されるというような宣傳をしたのか、あなた知つておるか、ぼくはその時分監獄にいたが‥‥。
  183. 西田寅藏

    西田証人 知らない。
  184. 神山茂夫

    ○神山委員 日本の官憲がそういう宣傳をした。
  185. 西田寅藏

    西田証人 日本の兵隊が中國なら中國に行つて向うの女を強姦して殺したりした。それだけ日本人というものは野蛮性があつた。ところがアメリカ人が來て初めてああこうだなということがわかつた
  186. 神山茂夫

    ○神山委員 それじや次に聞くが、敗戰國ではストをやつてはいけないというのはどこから言うのだ。
  187. 西田寅藏

    西田証人 労働関係調整法で縛られておりますね。あれはぼくたち労働者の線を逸脱してしまつたからこれじやまずいというので押えられた。みんなぼくたちが惡い、労働者が惡い。労働者というものは頭が空でばかばかりそろつておるから、口で言つてきかなければ殴る。だからこういう線でもつて行つてこういうことをやつたらわかるだろう、それもわからないでやつてしまつたものですよ。
  188. 神山茂夫

    ○神山委員 そこであなたはポツダム宣言を知つておりますか。
  189. 西田寅藏

    西田証人 知らない。ばかですからね。
  190. 神山茂夫

    ○神山委員 極東委員会の労働組合運動に対する十六原則のあることを知つておるか。
  191. 西田寅藏

    西田証人 知らない。
  192. 神山茂夫

    ○神山委員 日本の憲法を読んだことがあるか。
  193. 西田寅藏

    西田証人 ちつとは見たことあります。車掌の講習でやりますからね。
  194. 神山茂夫

    ○神山委員 それでよろしい。それから親と子の関係をあなたはさつき話した。その中に國鉄ではやつて行けないということを言つておる。やつて行けないのはあなた目の前で見て知つておるだろう。非能率者がたくさんおるからそれを首切つていいやつばかり使えばいいのだ、こう言つたが、しかし國鉄の從業員として二十年以上やつたところの崎山君、支部長の城戸崎君も來て訴えるのだが、國鉄の從業員は昔から國鉄こじきと言われたということを聞いたことはありませんか。
  195. 西田寅藏

    西田証人 しかしそういうことはうわさかほんとうか知らぬが、昔の車掌ほんとうによくてどつかの高級家庭の御令嬢からラブレターをよこした。現在の車掌はペテン帽をかぶり、あるいはへんなかつこうをしておる。僕は今下宿しておる所におりますけれども、私が鉄道員でなく一勤労者として定期券を求めて初めて來るのは改札でしよう。改札の人がそんなふうだつたら、われわれの給料がこの人たちに行くのだ、前には税金だつたが、六月一日からは会社になつたのだから、お客さんが拂つてくださつたものでもつて台所をまかなつて行く。あの車掌はわれわれの賃金の一部分を割いてやつて行くのだというと、少し疑問になる点をみんな一般の國民大衆が持つておるんじやないかと思いますね。
  196. 神山茂夫

    ○神山委員 私の聞いておるのは、國民がどう思つておるかではなくて、あなたが自分の仲間の話合で、さつき魚やなら食えるが國鉄では食えないというお話でしたけれども‥‥。
  197. 西田寅藏

    西田証人 私は現に四千四百四十四円、税金事を引かれて四級の五号俸だから三千九百九十一円、それの三割増し、それから業務手当が七百円程度です。それで三千五百円ばかりの下宿料を拂つて、三食まずいものでも食べてやつておる。そうすると何んだ、三千五百円拂つて生きがいがあるかと言うかも知れないが、私は親父もお袋もいない天涯の孤兒です。ところが今まで一緒に働いていた者は、自分の給料はポケットに入れてしまつて乘務手当は隠している。それで田舎から米を持つて來て町場にばら撒いて、その米を賣つてつておるのが事実なのです。それでもつて花柳界に走る。一夜の享樂に走る。あるいは酒を飲んで陶醉境に浸るのが、今の一部の青年たちですよ。そういう青年たち一緒にやつて行くのはぼくは反対だ。
  198. 神山茂夫

    ○神山委員 あなたの憤慨はよくわかるが、そういう青年が組合運動をやつておるのをあなたは認めるのか。
  199. 西田寅藏

    西田証人 大部分はそうです。中にはぼくみたいなまじめな者もおりましたけれども‥‥。(笑声)これは失言ですが‥‥。、
  200. 神山茂夫

    ○神山委員 あなたがまじめなことはよくわかつたよ。そこで開くのだが、あなたはさつきから事自分が二重人格みたいな立場におかれておるので、当局命令に從うというのが正しい‥‥。
  201. 西田寅藏

    西田証人 正しい、やはり從業員である以上は‥‥。
  202. 神山茂夫

    ○神山委員 区長とあなた方の関係は親と子のようなものだと言つておるが、そう思つておるのだろう。
  203. 西田寅藏

    西田証人 ええ。
  204. 神山茂夫

    ○神山委員 これはいつごろからそう考えておる。
  205. 西田寅藏

    西田証人 軍國時代を飛び越して、生れたときから‥‥。教育勅語にもちやんと謳つてあるですよ。
  206. 神山茂夫

    ○神山委員 教育勅語にちやんと書いてある。これは速記によく書いておいてください。今はなくなつたが、また出かかつておるがね。  それはそれとして、あなたは軍閥時代と同じようなことを組合でやつておるとこう言われたけれども‥‥。
  207. 西田寅藏

    西田証人 ぼくたち若い者は戰爭に行つて七つボタンを着て、ぼくは潜水艦に乘つたのですが、飛行機に乘つて敵に体当りをした。事実特攻隊で出て行く人たちが、お前たち泣いてくれるなと言つて爆雷をハンダ付けにして飛び立つて行く。ああいうものにぼくたちは憧がれていましたけれども、一旦敗戰の現実を眺めて、ああこういうことだつたのかと初めて一方的に走つちやいけない。組合運動も一方的だ。だから自分としては中道を歩んでいかなければならない。
  208. 神山茂夫

    ○神山委員 ところが中道でないね。あなたは当局命令に從う。親と子の関係だと言われるが、あなた自身が軍國主義時代の考えと違わない。こういうことを言つておる。そうだろう、その点を認めざるを得ないだろう。そこでこういうことを聞いておきたい。あなたぱ組合が一方的にきめたらそれに反対することはできない。ちようど戰爭のとき、それにだれも反対しなかつた通り、こういうのだろう。
  209. 西田寅藏

    西田証人 そうです。
  210. 神山茂夫

    ○神山委員 あなたはそれではこの間太平洋戰爭のときに、反対した政党があつたのを知つておるだろう。
  211. 西田寅藏

    西田証人 知つております。
  212. 神山茂夫

    ○神山委員 それはどの党だ。
  213. 西田寅藏

    西田証人 あなたの方がよく知つておることでしよう。
  214. 神山茂夫

    ○神山委員 明らかにわが日本共産党だけが、あの戰爭のときに反対した唯一の党だ。それはあなたは知つておるだろう。それからあなたは共産党のことをさつきちよつと知つておると言つておる。食わず嫌いじやない。結構だ。食つたのは何か共産党宣言を食つたということですが‥‥。
  215. 西田寅藏

    西田証人 アカハタを読みました。しかしあれはあまりにも人を攻撃していてどうも面白くない。やはり人間だから神様じやないから間違つたこともやりますよ。ぼくたち眞面目だつて運轉やつておるときに、東京を新橋と言つて見たり、山手線で新宿と言うのを新橋と言つて見たり、そういう間違いはありますよ。
  216. 神山茂夫

    ○神山委員 とにかくあなたは勉強して宣言というものを読んだことがありますね。これはいつごろできたのか知つておりますか。
  217. 西田寅藏

    西田証人 そういうことは忘れてしまつた。何しろ嫌いですからね。
  218. 神山茂夫

    ○神山委員 そうだろう、だからあまり食つたとも言えないのだな。
  219. 西田寅藏

    西田証人 ちよつとなめた程度かも知れません。あなた方に言わせればなめた程度でしよう。
  220. 神山茂夫

    ○神山委員 それではもう一ぺん最後に聞くが、あなた自身が認めているように、あなたは当局命令ならば從うのか。
  221. 西田寅藏

    西田証人 從います。
  222. 神山茂夫

    ○神山委員 労働組合命令には從わない。
  223. 西田寅藏

    西田証人 從いません。
  224. 神山茂夫

    ○神山委員 それでいい。
  225. 大橋武夫

    ○大橋委員 ちよつと、証人にお伺いいたしますけれども、さつきあなたは組合大会はおもしろくないから出ないことにしたと言われたが、なぜおもしろくなかつたか。
  226. 西田寅藏

    西田証人 思想的におもしろくないから‥‥。
  227. 大橋武夫

    ○大橋委員 どういうところがおもしろくないのですか。
  228. 西田寅藏

    西田証人 自分意思に反したことを持つて來る、ちよつと話は横道へそれるが、今までは見合結婚であつたが、今度は恋愛結婚になつた。あの女は嫌いだけれどもしようがないということだつたが、今は嫌いなら蹴つてしまう。それと同じようにやはり氣が向かなかつたらはねつけます。
  229. 大橋武夫

    ○大橋委員 組合のいろいろな決議があなたの氣に入らないのですか。
  230. 西田寅藏

    西田証人 氣に入らないのです。
  231. 大橋武夫

    ○大橋委員 それだけの理由ですか、組合の運営の仕方があなたに氣に入らなかつた‥‥。
  232. 西田寅藏

    西田証人 政党政派にまどわされておりますから、それと同時に旧交番制絶対支持、新交番絶対反対、いわゆる反対反対へ持つて行く。
  233. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると政党政派にまどわされているというのはどういうことですか。
  234. 西田寅藏

    西田証人 いわゆる共産系に走つているということです。
  235. 大橋武夫

    ○大橋委員 だれが‥‥。
  236. 西田寅藏

    西田証人 うちの分会の‥‥。
  237. 大橋武夫

    ○大橋委員 全部ですか、
  238. 西田寅藏

    西田証人 全部ではなくて、中堅幹部がそういうことをやつておる。だからぼくみたいな者はそつちにくつついて行くことができないのです。
  239. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると組合の中の少数の指導者が共産党に走つて、それが大会を利用して、あなた方何もわからない者を引ずつて行こうとする点が氣に入らないということですか。
  240. 西田寅藏

    西田証人 そうです。
  241. 大橋武夫

    ○大橋委員 それから新交番の問題についていろいろ各方面の証人が今まで來てお話をされているのを伺つておりますと、新交番をすると今までよりも非常に労働が強化され、乘務が苦しくなる。それで自分たちは承知できなかつたのだ、こう言つておられる。ことに今までは二日泊りであつたのが、今度は一週間くらい家に帰れなくなつたということじやないのですか。
  242. 西田寅藏

    西田証人 遠距離の通勤者がそういうことを言つているのであつて、われわれ近距離通勤者にはそういうことはないのです。
  243. 大橋武夫

    ○大橋委員 遠距離の人は五日も一週間も泊らなければならなくなつた人もおりますか。
  244. 西田寅藏

    西田証人 遠距離から通つている人はずつと車掌区に泊つて‥‥。
  245. 大橋武夫

    ○大橋委員 それで非常につらくなつた言つておりますが、あなたもそれを認めざるを得ないのじやないですか。
  246. 西田寅藏

    西田証人 認めておりますが、敗けた以上ある程度の労働強化も日本人である限りにおいてはしようがないのじやないのですか。
  247. 大橋武夫

    ○大橋委員 それではそのことはあとで聞きます。  それから宿舎の設備が非常に惡ビてふとんなどはみなぼろぼろだと聞いておりますが、そういう事実はありませんか。
  248. 西田寅藏

    西田証人 それは使用が乱雜ですからそういうことになるのです。
  249. 大橋武夫

    ○大橋委員 屋根から雨漏りがしているということですが‥‥。
  250. 西田寅藏

    西田証人 しております。
  251. 大橋武夫

    ○大橋委員 どの辺がしておりますか。
  252. 西田寅藏

    西田証人 どの辺とも言えませんが、雨漏りも二、三箇所あります。
  253. 大橋武夫

    ○大橋委員 そういう点があるために新交番に反対せざるを得ない、こういうことを言つてつたことはあなたも御承知でしようね。
  254. 西田寅藏

    西田証人 はい。
  255. 大橋武夫

    ○大橋委員 そこでそういうことを理由にしてあなた方がストに入つたのですか。あなたの全体の感じではやはりストに入るについては、さつきあなトが言われたようにおもしろくない、そういうおもしろくないような傾向でルういう方向に進んで行つたのですか。
  256. 西田寅藏

    西田証人 そうです。自分としては‥‥。
  257. 大橋武夫

    ○大橋委員 組合全体が‥‥。
  258. 西田寅藏

    西田証人 おもしろくない方へ持つて行つたのです。だから鬪爭委員会の中にいる者にも私はストをやるべきではなく、そこまでやらなくても問題は解決するのではないかと言つたら、皆白い眼で見ているのです。
  259. 大橋武夫

    ○大橋委員 そしてストをやろうじやないかと言つてつたたちは、たくさんの犠牲者を出した今日、どういう顏をしておりますか。
  260. 西田寅藏

    西田証人 どういう顏だか自分は顏を合せていないのでわかりませんが、自分つたら当然自分から首になつております。それで伊藤影明さんが引張られて、これは神谷助役、あるいは石井前助役に聞けばわかると思いますが、この伊藤影明さんはおやじがいなくて、おふくろと弟とを食わせている。ところがぼくは天涯孤独でどこへ轉んでもぼく一人くらいは食えるんですから、できるものならぼくの首ととりかえてくれということも言つてあるわけです。
  261. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたがそう言つたのですか。
  262. 西田寅藏

    西田証人 それは管理部の総務部長に聞いても、総務課長に聞いてもちやんと返事をしてくれます。
  263. 大橋武夫

    ○大橋委員 しかし実際あなたから見れば、責任をとらなければならないと思われる人たちが、案外責任をとつていないのですか。
  264. 西田寅藏

    西田証人 全然会つていないから知らないのです。これは未然に防ぐのが至当だと思います。
  265. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたは防衞隊の話をさつきしましたね。
  266. 西田寅藏

    西田証人 はい。
  267. 大橋武夫

    ○大橋委員 そして六月二日に蒲田の新交番を拒否させるために防衞隊に出てくれと言われたが、あなた自身は拒否した‥‥。
  268. 西田寅藏

    西田証人 それは拒否しました。
  269. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたは拒否されて行かなかつたけれども、行つた人は大分あるのですか。
  270. 西田寅藏

    西田証人 相当いますね。
  271. 大橋武夫

    ○大橋委員 どのくらい‥‥。
  272. 西田寅藏

    西田証人 ぼくは帰つたからはつきりしたことは言えないですね。
  273. 大橋武夫

    ○大橋委員 それがために蒲田はせつかく新交番をやつてつたのが、また旧交番にひつくり返つた
  274. 西田寅藏

    西田証人 だから蒲田の心ある人は東神奈川の人をうらんでいる。
  275. 大橋武夫

    ○大橋委員 心ある人というのはたれですか。
  276. 西田寅藏

    西田証人 蒲田車掌区の共産党の小川という‥‥名前は忘れたけれども。
  277. 大橋武夫

    ○大橋委員 蒲田車掌区の共産党員東神奈川車掌区のことをうらんでおるわけですね。
  278. 西田寅藏

    西田証人 そうです。
  279. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると蒲田共産党東神奈川共産党の連中につり込まれて首になつたので、どうもばかを見たというわけですね。
  280. 西田寅藏

    西田証人 だから第一次の発表になつたときにまだ実力行使は早い、——ちようど日本の軍部が敗戰の末期において神風が吹けば必ず勝つと言つたのとちつとも変りがないと思います。
  281. 大橋武夫

    ○大橋委員 結局あなたの言われるところを総合してみますと、今度のスト共産党の一部の人たちが多数の意思を無理やりに押しのけてストに突入させたということですね。
  282. 西田寅藏

    西田証人 そういうことははつきり言えます。
  283. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうしてその人たち組合のそうでない心ある人たちからは今日うらまれておる。ことに共産党員の中でさへも一部のまじめな人たちからはうらまれておるということが言えるわけですね。
  284. 西田寅藏

    西田証人 言えます。
  285. 大橋武夫

    ○大橋委員 わかりました。
  286. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 では済みました。御苦労さまでした。
  287. 神山茂夫

    ○神山委員 ちよつと議事進行について‥‥。昨日平事件を調査するかどうかという問題について私たちは発言時間がわずか五分間に制限されたためほとんど何も言うことができなかつた。だからといつて今日平事件をどうだこうだということを言おうと言うのではありませんが、平事件を審査するにあたつて、ぜひ当委員会で熟考してもらいたい問題について二、三お話してみたいと思うのであります。それは証人の申請に関連する問題でありますから、一應私の意見を十分お聞きになつた上で御考慮願いたいと思います。
  288. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 議事進行に関係がありますか。
  289. 神山茂夫

    ○神山委員 大いにある。平事件を皆様がお調べになるにあたつて、今まで不当財産取引調査特別委員会から引継いだ十六にわたるあの事件を一つも取調べていない。考査委員長は取調べている、取調べていると言つておるけれども、実は一つも取調べていないことに対して満腔の不平を持つておることはその一端は漏らしておいたけれども、今日はそれを言おうというのではない。今度の平事件を多数決によつて調査されるにあたつては、証人の喚問ばかりではなく、調査にあたつて十分に注意してもらいたい点がある。というのは今まで地方行政委員会から大内議員が調査に行つておられますが、昨日も一言しましたように、まつたく一方的な官廳側だけの情報を集めておるわけです。これに対して同僚である高木委員その他がおいでになつた法務委員会からのは必ずしもそうではなくて、ある程度まで民主的な代表意見も聞いておられるということは、これは傳え聞いておりますが、それにもかかわらず報告の内容を見ると、すでに非常に一方的な報告が行われておるということは報告の内容について指摘することができる。もし必要なら今もそれをやつてよいが、多分お望みにならないと思うから省略いたします。從つて事件の調査にあたつては昨日も一言しましたように、單に警察官側だけの言い分、あるいは檢察廳側の言い分、あるいは町の有力君の言い分や新聞記者諸君の言い分だけではなくて、この事件に関係したあらゆる人々、現に共産党の地委関係の人々もあげられておりますが、労働関係の人々の意見も十分に聞いてもらいたいと思う。でなければ私がこの前指摘した下甘田、越路町に関係して反共連盟の調査にあたつては、鈴木調査員の動き方が一方的であつたということが事実として立証されておる。現にわれわれが問題としておりますところの國電スト関係の調べにあたつては、本委員会が正式に取上げる以前においてたれの指示に從つてか知らないが、調査員が一方的な行動をしておることも本委員会によつて立証されておる。やはりその場合にも一方的な調査をする危險性があつたのでありますので、今度の場合の平事件にあたりましてはあらゆる部分から十分調査するように、この点特に強調せざるを得ない。(「賛成」と呼ぶ者あり)同僚の委員も賛成々々とおつしやつておることでありますが、まずこの点は調査委員を督励されまして、ぜひ事実に基いて全体をこまかに調べてもらいたい。そのときは特に今度の事件に関係しておる矢郷の炭鉱労働者、その他の炭鉱労働者が実際今までどのような生活状態、待遇状態に置れておつたか、またこれに対する労働基準法の適用がどうであつたか、さらにここで起りました待遇改善の問題につきまして警察側が不当な干渉をしたということを労働組合の諸君は言つておるのでありますから、こういう点についてはよく調査してもらいたい。特に現在常磐炭田における中小炭鉱は内部が荒廃しておるのでありまして、ここでは落磐その他の危險に脅かされておる事実もありますので、こういうことを調査されるならば大内委員の報告の中にありますところの——私は大内委員の報告を承認しておるものではありませんが、今度の事件の遠因として炭坑労働者の問題がある。さらにもう一つ現在の民主自由党の政治が影響しておるということも、それが眞相であるかどうかがおのずから明らかになるのでありますから、どうぞこの点を徹底的に調査してもらいたい。それからまたこれに関連しまして單にこの平事件だけではなくて、調査要求の中にもありますように、福島、郡山、仙台、高萩、こういうふうな点まで調査範囲を拡大されておるのは、私ほよい惡いの意思表示はいたしませんが、こういうふうに行われるのでありますれば、当然この地域全体における現在の住民の状態をよく調べる必要がある。特に小名浜あたりにおける調査もしてもらいたい。ここで一言言つておきたいのは、あの法務委員会の調査に同僚である高木委員が行つておることは、私は議院運営委員会の申合せ事項に反するということを昨日も強調したのでありますが、民主自由党が今までの自分の選挙地盤に調査委員という名前あるいは調査團として乘り込む傾向があるのでありますが、特に高木君のごときはそういう活動をしておるのであります。これは議院運営委員会の申合せに反しておるということはけしからぬ。知らないでやつておるならまだよい正か、知つておるならなおさらけしからぬ。特に小名浜その他平の全体の経済状態、その他の調査が絶対に必要であると思う。ことにこの問題に関連しましては平の町会議員その他の中にも進歩的な方々もおられるわけでありますし、その人々の証言をお聞きになれば、必ずや平の警察署の者がいかに腐敗し、いかに堕落し、いかに地方の権力と結びつき、ボスと結びついておるかというふうな事実があるのでありますから、当然こういう状態を判定されるならば平事件の眞相は決して明らかになることはないと思うのであります。從つて調査を、付託されるにあたつては、実際にこういうことを起したその前提になるものをよくお調べになる必要があると思うのであります。ことに民自党の内閣になりましてから警察が民衆の生活に対して直接の彈圧を加えておるのは非常に多いが、特にこの平においても矢郷事件その他において警察自身が出て來てこの問題を調査しておる事実もありますので、從つてこういう事案を十分に調査することによつて初めて眞相がわかる。いわんや常磐炭田における市民の生活は日に日に苦しく、産業は日に日に衰退して現に中小企業は危機に陥つておる。これを賢明な高木委員の知らないはずがない。こういう背景がはつきりなつてこそあの日平全体にわたつて大きな影響を與えるような事件の眞の根拠がわかるのでありますから、この点は十分注意してもらいたいのであります。そうしてあらゆる傾向の調査委員をお選びになるようにこの点をまず強調しておきたいのであります。  さらに私は証人の問題に関連して一言しておきたいのでありますが、本考査委員会に証人を呼んで來て、証人の取扱いが不当であるということは今までの事実によつて立証されておる。昨日のごときも六時間半にわたつて証人を呼んで、われわれが指摘して初めて晩飯を食わせるようなことをいつも繰返しておる。こういうことはまことに遺憾でありますが、とにかく証人の尋問にあたつて政党関係や何かをまさにおにの首でもとつたようになつてほじくり返す。事件に大して関係ないばかりでなく、本考査委員会が超党派的な組織であるべきにかかわらず、現に共産党に対する民主自由党の攻撃に轉化しておる。こういうことは本委員会としてまことに遺憾だと思う。從つてあくまで本委員会が超党派的にならず問題の核心をつくことができないならば、それは民主自由党の責任である。こういう事実を徹底的に調査してこそ鍛冶委員長の才腕を発揮されるべきものがあると思います。從つて証人に対する尋問にあたつても政党の所属の関係や何かをがじやがじや根掘り葉掘りするようなことは、憲法の基本的人権の侵害だ。この点を諸君が十分考えて、あくまで議場を混乱させないような態度をとらない限り、本委員会の議事が円満に遂行されないのはあたりまえだ。猪俣委員が昨日言つておるように、問題が政治的になつておるから不必要な混乱を起す。しかも二言目には民主的な團体の代表者に対しては証言拒否とか何とか言うが、さきに納税の問題に関連して、ことに税務官吏の汚職問題に関連して池田勇人君をここに証人に呼んだときにはどうだ、具体的な問題になると知らぬ存ぜぬと逃げていても、民自党や委員長は何も言わない。われわれの質問に対しては一言も答えない。しかも意見を述べるときには政府委員として意見をお伺いしますという不逞のことを言つておる。こういうことは本委員会の権威に関することでありますから、池田勇人君に対して特別の考慮をしたような事実をわれわれは指摘せぜるを得ない。こういうように一方的なことを‥‥。
  290. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 議事進行で演説ぶつては困る。
  291. 神山茂夫

    ○神山委員 演説ではない。それで池田勇人ばかりではない。殖田法務廳総裁に対してもそうじやないか。君たちはこういう一方的な証人の尋問でなく、議事の円満なる遂行を御考慮願いたい。しかもこういうような事実をわれわれが指摘する場合に、現在のような形で証人の尋問が行われることは、あたかもこの委員会が民主自由党の政治的な陰謀の道具になつておるような印象を與えるものである。ことに風早委員を君たちはわれわれの反対にもかかわらず、ここに証人として呼んでこれを聞くにあたつては君たちの同僚であり、さらに彼が現在置かれている地位を十分考慮した上で尋問を当然するだろうと思うけれども、一言われわれが強調しておきたいことは、証人の尋問についてもう少し君たちが公正に進められる必要があることを指摘せざるを得ない。これが議事の運営についていろいろな面に悪影響を與えるような事実をわれわれは強調せざるを得ない。     〔「もうやめろ、やめろ〕 と呼び、その他発言する者多し〕
  292. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 もういいだろう。
  293. 神山茂夫

    ○神山委員 今言つたような点を十分考慮して議事の円満なる進行をやつていただこう、こういうわけだ。
  294. 高木松吉

    ○高木(松)委員 今の神山君の発言中に不穏当な言辞があつたと思います。われわれ当委員会は超党派的にきめるにもかかわらず、(「何を言うか」)默つて聞け、この言葉の中に民主自由党が日本再建に重大な惡影響を及ぼすから、この点に重点を置いて調べるというような言辞は取消していただきたい。
  295. 神山茂夫

    ○神山委員 取消す必要はない。それは政治的な見解の違いだと思う。超党派的であるにもかかわらず、君たちの尋問事項そのものが共産党に対する一方的な攻撃になつているというこの動かせない客観的事実があるということだ。しかも今日の日本の荒廃の直接の原因は民主自由党の政策に関係しているということなんだ。從つて客観的に日本の再建を阻害しているのは民主自由党であるというおれの見解を言つただけなんだ。それを取消す必要はないと思う。
  296. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それを取上げるとは何だ。
  297. 神山茂夫

    ○神山委員 取消す必要はない。これはおれの政治的見解が。取上げるとすればこれこそ取上げるべきじやないか、こういつたのだ。
  298. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 事実があるかね。
  299. 神山茂夫

    ○神山委員 事実は無数にある。言葉の点は大目に見ていただいて、今高木君の言つたような不当な言辞がかりにあつたとすれば、これは私も愼んで削除いたします。
  300. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 お答えいたします。第一に十六の事件で少しも調べていないということですが、調べていないといことは絶対にありません。全部調べております。そうしてときどき君方に報告しておるはずである。ただ思うよに調べはあまり進まないかもしれないが、何べんも報告しております。いつも報告してあります。  それから平事件については、あなたの言われることはわれわれとして賛成ですから、調査委員はあなたの思うように手が届くか届かないかわかりませんが、あなたの方でも資料を出してくださることを歓迎いたします。
  301. 大橋武夫

    ○大橋委員 ただいまの神山君の発言中同僚池田勇人君についてはしばしばその氏名をあげられて申されましたが、國会法の百二十條によりますと議員は互いに敬称を用いなければならぬことになつております。神山君の発言はこの規定に違反した点があると思いますから、お取調べの上善処せられんことを要望いたします。
  302. 神山茂夫

    ○神山委員 私は池田勇人君と必ず敬称をつけたつもりでありますが、もしも私の言葉が足らなくて呼び捨てにしたり、池田というようなことを呼び捨てにしておいて、勇人などということをかりに言つてつたとしますれば、つつしんで御趣旨のように君をつけます。どうぞこの点は惡しからず願います。     —————————————
  303. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ただいまお見えになつている証人の方は愛甲寛さんと松村丈夫さんですね。  これより國電スト問題について証人の方々より証言を求めることにいたします。  証言を求める前に、各証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人の配偶者、四親等内の血族、もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罪を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて默秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられかつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一應このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  愛甲さん、代表して読んでください。     〔証人愛甲寛君各証人代表して宣誓
  304. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 署名捺印を願います。     〔各証人宣誓書に署名捺印
  305. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 しばらく休憩します。一時十分から始めます。     午後零時四十一分休憩      ————◇—————     午後一時二十九分開議
  306. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  証人松村丈夫さんから証言を承ることにいたします。あなたは國鉄八王子管理部長をしておいでになるようですが、いつからでしようか。
  307. 松村丈夫

    ○松村証人 本年の三月一日からであります。
  308. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 現在もそうですね。
  309. 松村丈夫

    ○松村証人 そうであります。
  310. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 五月の末からいわゆる新交番制実施にあたつて八王子、三鷹、中野等いろいろ交渉が始まつたようでありまするが、労組側と大体どういう経過であつたか、まずあらましを承りたいと存じます。
  311. 松村丈夫

    ○松村証人 新交番の問題は中野車掌区のみでありまして、労組との交渉は——交渉と申しますか、話合いは、六月の六日にいたしました。それはちようど六日の十三時から始めまして、今までの経過は、新交番というものは、行政整理の対象ではなくするものだということを話したのでありますが、組合の方といたしましては、ちようど行政整理の始まります前でありましたので、それは行政整理の前提であるという考えをもつて、さかんに反対をして來たわけであります。六月の六日の話合いは非常に組合人間も時間とともに多数になりまして、場内の秩序も乱れ、管理部の部課長に対しましても、相当に罵詈讒謗が出ましたので、その事態を一時収拾する意味におきまして、私の責任において新交番の組替えは最初七日に出す予定でありましたが、その準備の業務を九日まで延期いたすように手配をいたしました。この話合いを私どもの方といたしまして一方的に打切るということはできるのでありますが、傍聽しております中野車掌区の数多い從事員にこういう機会によく話をしてやつて、そうして一部の人が言うておるように、行政整理の前提でなくて、ほんとうにこれは今日の事態としてはやらなければならぬという眞意を言い含めて了解させようという意味でおつたのでありますが、その話を途中で一方的に打切りますと、若い從事員に対しましても、その帰趨をはつきりさせないで帰すということは、非常に將來に禍根を残すという考えからして、一時準備作業を中止ということにいたしまして、その日は解散いたしました。
  312. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 十三時から何時までおやりになりましたか。
  313. 松村丈夫

    ○松村証人 十九時半ごろまでです。
  314. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはどこでですか。
  315. 松村丈夫

    ○松村証人 管理部の会議室です。
  316. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 管理部は八王子にあるのですね。
  317. 松村丈夫

    ○松村証人 そうです。
  318. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今おつしやつた中野だけというのはどういうのですか。
  319. 松村丈夫

    ○松村証人 中野の電車区でありますが、電車区の方は交番は違うのでございます。
  320. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 車掌区が‥‥。
  321. 松村丈夫

    ○松村証人 中野の車掌区だけでございます。
  322. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 車掌区は‥‥。
  323. 松村丈夫

    ○松村証人 車掌区は立川、八王子にありますが、立川、八王子の方は新交番に移つております。
  324. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 もう服しておつた‥‥。
  325. 松村丈夫

    ○松村証人 はあ。
  326. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはいつからですか。
  327. 松村丈夫

    ○松村証人 一日からと記憶しております。
  328. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで中野へも一日から新交番を実施するような命令を出されたのでありますか。
  329. 松村丈夫

    ○松村証人 出しております。
  330. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではどうして七日まで延びたのですか。
  331. 松村丈夫

    ○松村証人 これはあと車掌区長が申し上げると思いますが、非公式に最初指示がありまして、五月の二十五日と記憶いたしておりますが、その日に関係の係長に六月一日を目標にしてやれという話が参つたのでありますが、正式に業務命令として來ない以上は、現場の作業が非常にやりにくいというので、車掌区の方で作業を一時中止しておつたのであります。交番の組替えというものは車掌区長においてやるのでありまして、その作業を車掌区長組合から正式に業務命令も來ないのに何をやつておるかということから一時中止さしておりました。そうして三十日に業務命合一が正式に電報で参りました。
  332. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 三十日には一日から施行せいという命令ではないのですか。
  333. 松村丈夫

    ○松村証人 そうです。
  334. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは中野車掌区長の方に來たわけでしよう。
  335. 松村丈夫

    ○松村証人 そうです。
  336. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすれば一日からやらなければならぬわけでしよう。
  337. 松村丈夫

    ○松村証人 交番の組替えと申しますのは相当に準備がいるのでありますので、その準備を始めたわけであります。
  338. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 三十日から‥‥。
  339. 松村丈夫

    ○松村証人 はあ。そうして中野車掌区におきましてはその準備が遅れましたために、七日からやる予定にしておりました。
  340. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 私の聞かんとするのは、ほかの方面では一日に施行できたんでしよう、しかるに中野だけが七日からやらなければならなわつたのは、準備はどこでも準備がいるわけですが、何ゆえか、その点なんですか‥‥。
  341. 松村丈夫

    ○松村証人 これは準備が遅れておつたわけであります。
  342. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 組合で反対が強かつたからではないですか。
  343. 松村丈夫

    ○松村証人 組合で五月の末に車掌区長が準備作業をしておりますときに、何も業務命令が來ないのに、なぜこういうことをやるかというので、車掌区長に相当苦情を申し出ましたので、車掌区長がその苦情を受けたので一時中止をしておつたわけであります。
  344. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで三十日になつて初めてやろうとしたが間に合わなかつた、そういうわけでしよう。
  345. 松村丈夫

    ○松村証人 そうです。
  346. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは組合で反対が強かつたからですね。
  347. 松村丈夫

    ○松村証人 そういうわけであります。そういうことを私は後に報告を受けております。
  348. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 六日のそのときの交渉だろうと思うのですが、いわゆる行路の改正反対についての申入れと、何か補充資材の要求とか‥‥。
  349. 松村丈夫

    ○松村証人 補充資材と申しますのは電車区ではございませんが‥‥。
  350. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのときは中野の方は‥‥。
  351. 松村丈夫

    ○松村証人 中野の車掌区は建物が非常に粗末なんでございます。建物の新築を至急にやつてくれということは申し出ております。そのほかに二、三ございます。
  352. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 おもだつたのはそういうことですね。
  353. 松村丈夫

    ○松村証人 そうです。
  354. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから三鷹の方はどうですか、電車区は‥‥。
  355. 松村丈夫

    ○松村証人 三鷹の電車区は交番の問題と別でありまして、あちらの方では修理資材を十分まわしてもらいたいという要求はございました。しかしそれは私は正式に話合をもつたことはございません。中好の電車区も同じでございます。これは私が現場を巡廻いたしたときに、中野の電車区に寄りましたが、そのときそういう話を組合人間が言うておつたのです。
  356. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうですが。六日の日は中野車掌区だけでございますか。
  357. 松村丈夫

    ○松村証人 そうです。
  358. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで今聞いたように、主だつた要求は、新交番制は困る、その次は建物が十分でない、その次は行政整理の前提でないか、こういうことなんですね。
  359. 松村丈夫

    ○松村証人 そうであります。
  360. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこでそれに対してあなたはどういうお答えをなさいましたか。
  361. 松村丈夫

    ○松村証人 私はこの新交番につきましては、ちようど勤務時間の改正が一月一日から初めて四十八時間になつたわけでありますが、それと同時に交番割というものはかわつて行くべきであります。しかし車掌区などは乘務の関係がありますので、大体四月の初めに電車の時間改正なんかがございますので、それと同時にやるのが好都合であるという考えからして、一月一日から改正しておらなかつたのでありまするが、たまたま今年は四月一日に時間改正もありませんので、この五月末までそのままに持ち越して來たわけであります。ところがときたまたま請負業務の小還元というような問題もございましたので、定員操作の上で人員の生み出しということも必要になつたのでありまして、新交番に切りかえようということに決定して、これが業務命令として出て來たわけであります。それでこれがちようど当時の新聞を見ましても、六月、七月から大体行行政整理が開始されるという時期に、時間的に非常に行政整理と接近しておりましたので、一般的に組合員としましてはそれによけい拍車をかけるものではないかというような氣持から、新交番に対して反対をしておつたのでありますが、これは全然行政整理とは別個の問題でありまして、定員操作の上でただやるのだということをよく説いて話したのでありますが、これは私も組合とときどき話しまするが、こういう問題につきましては話がパラになりまして、ただ一、方的の解釈ということになつて來るわけであります。
  362. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 労働強化ということはどうですか。相当労働強化になるのですか。
  363. 松村丈夫

    ○松村証人 私はならないと思います。と申しますのは一般の官廳の執務時間が八時間になるということがきまつて参りましたならば、それに伴つて交番制割というものは勤務所属長の勤務指定でありますから、その勤務時間を越えて行くものでありません。そういたしますと八時間勤務ということが決定したならば、その範囲でやることは決して労働強化ではないと私は思います。
  364. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが事実上において何かとまりが多くなるとか何とかいうことがあつたそうですね。
  365. 松村丈夫

    ○松村証人 それはよその管内におきまして、列車区間なんかにおきましては四日も、五日も帰つて來ないというような場合がございます。
  366. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 中野では‥‥。
  367. 松村丈夫

    ○松村証人 中野では大体三日目ぐらいに帰つて來る。
  368. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 たいしたことはないですね。
  369. 松村丈夫

    ○松村証人 はあ。
  370. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それからとまることが多くなると、建物が惡くてとてもおり切れぬものだという説までもあるのですが、どういう実情ですか。
  371. 松村丈夫

    ○松村証人 これは中野車掌区は前からいろいろ問題がございました。あそこに大きな建物を建てようといたしましたのですが、用地の関係とか、また予算の関係で遅れておりました。私が三月に赴任いたしまして、たしか四月の末かと存じますが、現場に参りましたときに、そういう要求がありましたが、できるだけそういう本建築の方に努力はするが、しかしこれは相当に今日の日本の財政上から見ましても、多額な費用もいるのであつて、また物資も相当いるからしてすぐ実現ということは困難だろう。しかし相当に粗末な建物であるからして、諸君の職域の環境をよくするということについては自分が誠意を持つて善処してやろうということを話しておきました。それでそういう方の手を打つて私どもの方でも計画しておつたのでありますが、六月六日のときにやはりどうもすぐそれが実現できないからして誠意がないというような話をしておりました。
  372. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 事実上とまり切れないほどに、狭かつたり、きたなかつたのですか。
  373. 松村丈夫

    ○松村証人 それはあそこのみではございません。とまり切れないとか仕事ができないということはございません。それは今日鉄道のある一部の建物には相当に粗末なものがございます。老朽施設そのままのものがございます。中野車掌区のみがとても住まい切れないというようなものではないと私は信じております。
  374. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから行政整理と関係ないということをあなたはおつしやつたが、皆納得しましたですか。
  375. 松村丈夫

    ○松村証人 いや納得いたしません。
  376. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 納得しないのは、ほんとうに行政整理だからたいへんだということなのですか。行政整理にあらざるということがわかつてつたが、行政整理に結びつけて要求したように思いますか、どちらでしたか。
  377. 松村丈夫

    ○松村証人 私は中野の車掌区におきまして新交番をやりますと、あのときの数字で約六十名ほどの人間が浮く形になるわけであります。そうすると、その六十名という人間が新交番をやれば浮くんだから、それは行政整理の対象になるんじやないかというのが組合としての話でありますが、これはその当時の状態といたしまして、各駅、区に過員として持つておりまするが、決してその過員になつておるからといつて首は切つておりません。やめさしておりません。ですからそれと同じ意味におきまして過員として持つて、ほかの業務に充てるという意味であつて、行政整理というものは鉄道全体が受ける一つの線でありますから、それとは全然別個だということはよく話しまして、一部の人間には私はわかつておるように存じました。その百四、五十名の中に私が話しているうちに、やはりそれはむりはないという理解を持つた顏をしておる人間もおりましたが、そういう人は発言しないで、まあ一部の委員であるとか何かが、それは絶対うそだ、これは行政整理の前提であるということを一方的に言つておりますから、全般の声としては私にははつきり聞きとれておりません。
  378. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 われわれ聞きたいのは、それはうそだと言うのはわかつておるのです。それだから爭議になるのですが、ほんとうにうそだと思つて騒いでおるのか、実際は首切りじやないが、首切りということにくつつけて一つ騒ぎを起そうとして言つて來ておつたか、その点です。
  379. 松村丈夫

    ○松村証人 結果から見ますとそういう感じはいたします。
  380. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 首切りにむりにくつつけてやつてつたようですか。
  381. 松村丈夫

    ○松村証人 そうであります。
  382. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから今おつしやつた八王子並びに三鷹の電車区でいろいろな問題が起きたのはどういうことですか。その問題の原因は‥‥。
  383. 松村丈夫

    ○松村証人 これは三鷹の電車区、それから中野の電車区、それから中野車掌区は一貫性を持つたものでありまして、大体相当に大きな同じような系統の仕事をしておる特別区でありますから、お互いにそこにすべてに一緒になるという空氣はあると思います。ことに中野車掌区、電車区というものは、これは運轉するのは電車区の人間でありまして、それからそれを誘導いたしますのが車掌区の人間であります。これは乘務員といたしましても、車掌、運轉とは一体になるべきものであります。そういう関係からいたしましても、車掌区、電車区というものは当然友誼的にも相当濃いと思います。それで中野の車掌区がそういうような問題によつていろいろな行動をするといたしますと、三鷹の電車区、中野の電車区というものは、それに同情と申しますか、一緒に行こう、行動をともにしようという氣持になつて來る公算が多いと思います。
  384. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 特に何か要求事項とか、不満な事項とかはなかつたわけですか。
  385. 松村丈夫

    ○松村証人 私はなかつたと存じます。
  386. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうですか。ところがあなたの方にその交渉をしたときに、車掌区の人だけではなくて、外部團体者が相当入つてつたというのですが、その点はいかがですか。
  387. 松村丈夫

    ○松村証人 それは私の管理部におきまして会見をいたしましたときには欽道職員外の人間は入つておらなかつたようであります。
  388. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうときにこういう者が入つて來たと聞いておりますか。
  389. 松村丈夫

    ○松村証人 それは中野の車掌区におきまして、車掌区長と中野車掌区の分会との折衝のときには外部の人が入つて來た場合もあると存じまするが、管理部におきまして話合いをいたしましたときには、全然そういう人は入つておりません。
  390. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういう團体が入つて來たという報告を受けておりますか。
  391. 松村丈夫

    ○松村証人 元來東神奈川京浜地区と違いまして、割合に中央線の外郭團体は、鉄道の区長組合との折衝のときにはその場合に臨んで來るということは少いようであります。でありますからさしてそう名前はつきり私どもは聞いておりません。
  392. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがそのためにとうとうストに入つたようですが、それはいつからストに入りましたか。
  393. 松村丈夫

    ○松村証人 これはちようどさつき申し上げました六日に会見したとき九日に会つて話合いをしようということでわかれまして、九日にちようど十一時半ごろから話合いを始めたのであります。そのときに中野分会の副執行委員長でありますか、これが東神奈川あたりでストに入つたとか決議をしたとかいう情報を持つて参りまして、私が依然とてその新交番乘務するようにという話をしておつたのでありますが、そこでもう自分たちとしてはそんな話は聞いておるひまがないというので非常に短時間、約一時間ぐらいでその会見は終つたわけです。そうして帰りまして大会をもつてスト決議をしたわけです。
  394. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはあなたと交渉をしておる最中に東神奈川ストを開いたわけですか。
  395. 松村丈夫

    ○松村証人 そうであります。
  396. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どつから情報が入るのですか。
  397. 松村丈夫

    ○松村証人 組合の方に情報が入るわけです。
  398. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうしたら交渉半ばで打切つたわけですか。
  399. 松村丈夫

    ○松村証人 打切りません。私といたしましてはよく新交番に沿うようにという話をいたし、またこれは今後は絶対に猶予しない、このまま即時新交番を実施するということをはつきり申し渡しました。そうしてわかれました。
  400. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこをいつごろあなたの方は引揚げたのですか。
  401. 松村丈夫

    ○松村証人 十二時半過ぎかと思います。
  402. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 十二時半ごろ中野から引揚げて、そうして何時ごろからストに入りましたか。
  403. 松村丈夫

    ○松村証人 それは翌朝の初電車から入つたわけです。
  404. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その日は一日動いておつたわけですね。、
  405. 松村丈夫

    ○松村証人 そうです。
  406. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大会はその日のうちに持つたのでありましようか。
  407. 松村丈夫

    ○松村証人 そうであります。
  408. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから電車区がこれに同調したのはどういうことですか。
  409. 松村丈夫

    ○松村証人 それは中野の車掌区、中野の電車区、三鷹の電車区は合同の大会をもちまして中野のたしか電車区と思うのですが、三鷹からも委員が参りまして三者合同の大会をもつてスト決議をしたわけであります。
  410. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがその決行の際に何か臨時電車を運轉したと聞いておりますが、それはどういうことですか。
  411. 松村丈夫

    ○松村証人 臨時電車は運轉しておりません。
  412. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何か進駐軍の車を動かすのだといつて動かして、進駐軍の車だけあけたてしてあとは全部閉めたままで動かさなかつたと聞いておりますが‥‥。
  413. 松村丈夫

    ○松村証人 これは白帶車の進駐軍專用車並びに進駐軍関係の輸送は絶対確保せよという業務命令を私の方から出しております。それで組合といたしましては、白帶のついた電車は七両編成のものをそのまま運轉しておつたわけであります。それから私の方には業務命令が参りましてその白帶のついている七両編成で乘客を扱うようにという指令が参りましたので、私の方からストライキに入つております車掌を使わずに臨時に手配いたしました車掌をもつて旅客輸送をやつておりました。
  414. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 十日ですか。
  415. 松村丈夫

    ○松村証人 そうです。そうして参つたのでありますが、その間にいろいろと組合ストに入つている人たちと、私の方で臨時手配をいたしました車掌の間にトラブルが起きましたので、公安官を乘せて行きましたがあまり効果的ではなかつたようであります。
  416. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今言つた白帶車のドアをあけたてしてほかのものはやらなかつたというのは、あなたの方で他の乘務員を乘せて動かされたのか。
  417. 松村丈夫

    ○松村証人 乘務員が乘れない場合もございます。
  418. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはストをやつている車掌がやつたのですか。
  419. 松村丈夫

    ○松村証人 そうであります。
  420. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それからその公安官が急停車させるとか何とかして騒いだということがあるのですが、それはどういうことですか。
  421. 松村丈夫

    ○松村証人 十日には業務命令で臨時の旅客列車を運轉いたしまして、八王子、東京間を一往復やることにいたしました。これなども乘務員、車掌、機関士につきましても相当にストに参加している人からの妨害と申しますか、そういうことを予想しまして警官の警乘、公安官を派遣いたしましたが、これも各所でいろいろと小ぜり合いがありまして、電車車掌ストライキに入つております從事員と、臨時手配をいたしました車掌との間に同じような小ぜり合いのようなものが起きております。
  422. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 八王子、三鷹、立川、中野等で乘客をホームにあげなかつたような事実があつたということですが、これはどうですか。
  423. 松村丈夫

    ○松村証人 非常に乘客が混みましたのに輸送力がないわけでございます。それで一時乘車券の発賣禁止ということをいたしました。これはお客さんがお出でになりましても、一日に何十万というお客を輸送いたしますのに電車が三十本、列車が五本くらいでありまして、電車の方はほとんど空車で運轉するという状態でありますから、お客さんの輸送が円滑にできません。そうして一時客扱いを停止いたしておりました。
  424. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうことよりか、ストをやつている者どもがお客を乘せなかつたことはなかつたか。
  425. 松村丈夫

    ○松村証人 それはお客さんを乘せなかつたのであります。
  426. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはホームを上るときにとめたのではないですね。
  427. 松村丈夫

    ○松村証人 ホームにお客さまが出まして電車を待つているが、電車に乘るときに乘せない。
  428. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういう方法で乘せないで、乘車を妨げたか。
  429. 松村丈夫

    ○松村証人 進駐車の労務者などは進駐軍の労務者用の証明書を持つておるから乘せるが、他のお客さんに対しましてはドアのところにいる車掌が乘せない。電車の運行がとまつておりますから車掌は相当浮くわけであります。その車掌が各電車に三、四名なり、四、五名乘つておりまして、お客さんの乘車を拒んだのであります。
  430. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そして進駐軍だけは乘り降りさせたのですか。
  431. 松村丈夫

    ○松村証人 そうです。進駐軍並びに進駐軍関係の労務表は‥‥。
  432. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 三鷹駅では、三鷹車掌区の三鷹派出所にいた組合行動隊が、公安官を強制下車せしめたというような騒ぎがあつたそうですが、そういう事実はいかがですか。
  433. 松村丈夫

    ○松村証人 その話は私も聞いておりますが、その詳細についてはちよつと私も今記憶しておりません。
  434. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 組合行動隊または青年行動隊というものがあつたようですが、これはどういう性質のものか御承知ですか。
  435. 松村丈夫

    ○松村証人 行動隊という腕章をつけまして、一部の人間が宣傳でありますとか、よその方の地区に働きかけるというような行動をやつてつたことは聞いております。
  436. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 行動隊というのは普通あるのですか。
  437. 松村丈夫

    ○松村証人 ふだんはございません。
  438. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ストのときにそういうものを特別にこしらえたのですか。
  439. 松村丈夫

    ○松村証人 そういうものと存じます。
  440. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その行動隊の目的はどういうところにあつたのですか。
  441. 松村丈夫

    ○松村証人 これは組合の方としては相当の意見をもつてつたことと存じますが、私どもの想像としては、つまり各所に呼びかけをやり、また宣傳をするというような行動をとるための人間だと思います。
  442. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 お客の乘車を阻止することもやるのですか。
  443. 松村丈夫

    ○松村証人 そういう場合にも、そういう人間が入つておるかも知れません。
  444. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それが主ではなかつたのですね。
  445. 松村丈夫

    ○松村証人 それが今ちよつと私にははつきりいたしません。
  446. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 腕章をつけておつたのですか。
  447. 松村丈夫

    ○松村証人 行動隊という腕章をつけておつた者もありました。それは、ごくわずかでありました。
  448. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 主に若い者ですか。
  449. 松村丈夫

    ○松村証人 若い者です。
  450. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 系統としてはどういう系統のものか御承知ありませんか。
  451. 松村丈夫

    ○松村証人 それはちよつと私はつきりいたしません。
  452. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ストの際あなたの方で臨時電車を動かされたときに、全然車掌の事務を知らない、もしくは運轉の資格のない者までも乘せて、むりやりにやつたと言う人がありますが、これはどうですか。
  453. 松村丈夫

    ○松村証人 そういうことは絶対にございません。これは車掌の腕章をつけておれば非常に身辺に危險が——身辺に危險と言うと語弊がありますが、車掌の腕章をつけて公然と乘つておりますと、妨害されることがあります。それを防ぐ意味からも腕章をはずして、発車のときにぱつとつけるというように、一つの氣轉をきかせてやつた人間もおります。それから資格のないという問題につきましては、私の方で管理部の人間を約四十名ほど臨時手配で車掌に命じて乘務させましたのは、これは全部車掌の資格をもち、または実務をやつた人間のみであります。決して資格のない人間はおりません。ただ服装は、應急の場合でありますから、正規の貸與服もありませんので、服装は多少違つている場合もあつたかも知れません。
  454. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 車掌をやつた経験があるか知らぬが、もうやらないこと十年、二十年で、てんでドアーを開け閉ても知らなかつたということですが‥‥。
  455. 松村丈夫

    ○松村証人 それは物というものは見方がありますから、前とうしろでは大分違いましようが、あの電車のドアーの扱いというものはそうむずかしいものでもありませんし、車掌をやつている人間ならば、ドアーをどうして開けたらいいかというようなことは、これは二日か三日やつてもわかるくらいで、そうむずかしいことじやないと思います。
  456. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 とにかくどういう方法でお選びになつたのですか。
  457. 松村丈夫

    ○松村証人 これほ本人の履歴を調べまして、なお本人の所属長に聞いてやつたわけであります。
  458. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大丈夫だと認めてやつたのですか。
  459. 松村丈夫

    ○松村証人 そうです。
  460. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 よろしゆうございます。何かお聞きになることがありませんか。
  461. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 新交番の問題で組合と管理部長との間にいろいろやりとりがあつたということは、ただいまもお話があつたのですが、それでそのときにはいろいろ議論が最初はあつたろうと思うのですが、だんだん話が煎じ詰められて参りまして、最後にぎりぎりのところまで行つたように私は聞いておるのですが、それは六日の交渉のときだと思うのですが、そのときに業務課長も一緒にいて、そのときの話に、組合の方では、たとえば中野では、新しい行路改正をやつて行くと六十二名浮く、もつとも小口扱の駅還元というやつでは中野の分会では三名だけそれが予定される、しますと差引五十九名というものが余つて來るのだが、この五十九名の処置をどうするのだという話にまでずつと煎じ詰められて行つたというのですが、そのときに業務課長は、それは駅の方で使うと発言している、この事実はあなたも御存じはないですか。
  462. 松村丈夫

    ○松村証人 知つております。
  463. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 ところで組合の方では、それはぜひ確認して欲しい、確認書を書いてくれというか、そういうことの要求をしたらしいのですが、それは拒否しておりますね。
  464. 松村丈夫

    ○松村証人 はい。
  465. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 これなどは、今までの組合の方の経驗から行きますと、言葉の上でそういうところまで理詰でずつと押詰めて行きましても、そのときにあつた発言に対して、これは鉄道だけではなくて民間の会社でも、責任のある回答をしながら、後になると、そんなことは知らない、言つた覚えはないとか言われるようなことでだまされて來た場合が非常に多いのですから、これは國鉄に限らずどこの組合においてもこういうことについては文書でもつて書いてくれと言うことは、今の組合の実情から言つて、また今までの経驗から見て、一番大事な点だと組合の方では非常に重要視しております。それで管理部の方ではそういう発言をしたけれどもこれを拒否しているという事実があつて、そこで組合員が、つまりあなたがいくら新交番は行政整理には関係がないのだとか、簡單に言えば首切りの対象にならないのだということを、言葉をすつぱくして言いましても、こういうふうな事実が組合員をしてあなたの言葉を了解することができなかつたという、やはり根本の原因になつているのではないでしようか。この点は‥‥。
  466. 松村丈夫

    ○松村証人 お答えいたします。その点は、私そばにおつてよく聞いておりましたが、業務課長は新交番のよつて來るゆえんを話しまして、それによつて浮く人員はすぐ首を切るのではなくて、駅の方に配置轉換をするというところまで説明したのであります。ところがその配置轉換という言葉あとにすぐ、それじや首を切らぬで配置轉換するのだなという確認を求めたわけであります。それは話の途中であります。そしてそれが紛糾のもとになつてしまつたのであります。人の思想を発表するには、その目標とする意思と反対の言葉が出て來るのだ、しかしそれは結論まで行つて、話を全部聞いてからでなければいけないのだ、それを人の話を途中で言葉じりをつかむことはいけないと言うたのでありますが、そういうふうに片一方では、もう首を切らない、配置轉換をするという言葉だけで、あとの話はもう切れたわけであります。そのあとに配置轉換をする考えで、定員操作上こういう仕事をしたんだというところまで言えなかつたのであります。その途中で言葉を押えられたのです。それであそこですつたもんだになつたわけでありますが、翌日九日の日にはよくその話をいたしまして、人の話というものは最後まで聞いてよく理解してもらいたいということを話しまして、九日の日には最初から話の途中で切らずに最後まで聞いてもろうように話をして進めたわけであります。ですからその点は、組合としては非常に言質をとつたようでありますが、業務課長なり私どもといたしましては、それは見解の相違とかそういうことをおつしやるかもしれませんが、私としてはその言葉は話の途中であります。その途中で首を切らぬ、配置轉換をするんだという確約を業務課長に追つて來たのであります。ですからして、決してそこまで理論的に追い詰められたというのではなくて、話の途中でそういう状態になつたということをお含み願いたいと思います。
  467. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 ところで、そういう人聞の首を切らずに、駅へ配置轉換をするというふうに発言したのは事実でしよう。
  468. 松村丈夫

    ○松村証人 そういうような意味言葉は出ております。しかしそれはそういう考えで定員の操作をやるわけであります。しかし実際の面ではその配置轉換をせずにそこに人間が残つて、一部の人間は配置轉換になりましようし、一部の人間はその場に残る場合もありましよう。しかしそれは行政整理の対象になるというわけではないのであります。さつき申し上げましたが‥‥。
  469. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 その点はわかつております。前からその建前で話されておりますから‥‥。ただ組合員というものがたくさんいまして、やはりあなたが何とおつしやいましても、組合の立場がら行けば行政整理という方針を政府が大きく出している。それでいつだれが首切られるかわからぬというような、不安な状態にあることはあなたもお認めになりますね。ここで新交番に関係あるかないかは別として、そういう問題が起つているときですから、ここに疑いを一つ持つたわけです。それに対してあなたはそうではないと言うが、ここで駅の方へ配置轉換をやるのだという発言があつたことは、組合員はそれが当局の趣旨ならば、ひとつぜひはつきりと約束してくれという趣旨が、私はこの交渉の中に盛られておると思うのですね。その点をお聞きしておるわけなのですが、それはあなたの方で発言の途中であつたかどうか知りませんが、一度そういうふうに言われておつたが、しかし確認はしないというふうな態度をとるので、管理部長はああ言つているけれどもいつ首になるかもわからないという不安の種を残したままであつたというふうに感じられる。やはり労働者を相手にする場合にそれは非常に重要な点なんですが、そういう点であなた方の態度の中に、組合員を不安に陥れるような態度があつたのではないかと思いまして、私は聞いているのですが‥‥。
  470. 松村丈夫

    ○松村証人 私はその点についてはさつきちよつと申し上げましたが、車掌区の建物の問題につきましても、一方的に当局は誠意がないという判断を下すと同じように、一部の人が——相当に雄弁な元氣のある人が、これは区長が何ぼそういうことを言つても、課長がいかに言つても、これは政府の方針で絶対に反対だということをその場で発表しますね。そうするとほかの人は沈默を守るわけです。そのときの空氣というものは発言した人の空氣になつてしまう。不安に陥れるということにつきましては、私ども心配はしておるのでありますが、確約するというまでには行つていないわけであります。話の途中でありますから‥‥。それでそこを私どもとしましては、組合の人もよく冷静に話を最後まで聞いてもらいたいという‥‥。
  471. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 もつともこれはあなたの場合だけでなくて、千葉だとか東神奈川つたと思いましたが、区長とかの交渉の席でもしばしばそれと似たことが起つているのです。実際話をして見ると、区長もところによりますと、組合員とともに涙を流してまで、これは自分らにもほんとうに困るというところまで行つているところもあるのですが、しかしいざ確約ということになると、みな責任を感じるかどうか逃げている。そういうことが結局、二様の意味で疑いを残している。ああいう態度をとる場合にはやはり首切りが出て來るというのと、責任をとつてしまつたらたいへんだから区長、管理部長が挑げている。どうしてもそれでは首切りが出て來るという現実の問題として不安を残していると思うのです。それはそれでいいのです。それで先ほど宿舎なんかの設備の問題などについて、あなたは誠意をもつてやると言つたけれども、一部の者があんなことはあてにならないと言うと、みんながそういうふうに思う。こういうふうに言いますけれども、しかしそれはどつちが正しいかということになると非常に問題だと思うのです。なぜかというと、実際上あなた方にしても國鉄の実際の実情をお考えになれば、今の政府のやりかたやあるいは今度の鉄道の予算のやり方などで行きますと、今までの國鉄当局の運営の仕方から行きましても、現場でいくらこれだけの資材が必要だと言つても、宿舎の問題だけではありません。レールにしてもその他枕木にしても、必要なものがたくさんある。あなた方がいくら請求してもその請求通り來たためしがないでしよう。そういうことはむしろ現場の人よりも、管理部長の方がよく御存じじやないですか。そういうところで組合員が、あなたがいやおれが誠意をもつてやると言つた、それくらいの言葉で安心しないというのはあたりまえじやありませんか。あなたの方がむしろよく知つているんじやないか。枕木にしても電車の修理資材にしても何も來ない。その中で中野の電車区でありましたか、何日かに突発事件が起つているでしよう。こういう事実もあなたは御存じだろうと思う。決して言葉言つたからといつて納得しないことがむしろ当然だと思うのです。そこであなたがもつと誠意をもつて組合員をほんとうに納得させるような事実上の行動、確約を與えない限り、組合員が納得しないのは当然であります。その点はいかがでしようか。
  472. 松村丈夫

    ○松村証人 それは私が先ほど一部の人間と言いましたが、これは現地におきまして、交渉のときでなくて、私が中野の車掌区に参りましたときにも、建物の要求は出たのでございます。そのときに二、三十名おりましたが、私ほこういうわけで誠意をもつて解決する、しかし問題は大きいのだから、きよう言つてあした実現するということは困難だ。しばらく時間をかしてくれということを言つた。そのときに前の方におりました人間が、そんなことではだめだというて、一言のもとに消してしまいました。そうするとほかの人もわいわい言い出す。人の誠意というものは結果を見なければわからないのだから、しばらく時間をかしてくれという話はしたのであります。そのときもやはり部長はだめだという話でした。ですからそういうことを言わないで、しばらく時間をかしてもらえばわかるのじやないかということを私は感するわけです。
  473. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 しかしそういうことは、こういうことをする前にもおそらく何遍かあつたのだろうと思います。やはりあなたもそういう経驗を持つておられましたら、大勢の人に納得させるような行動や何かを実際に示してやらなければならぬ。
  474. 松村丈夫

    ○松村証人 私はそのときによく話しましたが、今までの部長は相当うそを言つたという話だつたのですが、私は決してうそを言わぬ、今日までの私の職歴なりまた今日までやつて來た仕事を見てもらえばわかる。たまたまそこには私が戰地で一緒におりました某人がおつたわけでありますが、それがこの人はそういう人じやないということをはつきり証言しました。みなもそれではまあ下ろうかというところにまでなつたわけであります。しかしそういうときには頭から否定してかかる。どうもあいつらの言うことはうそだという感じが多いようであります。そういうことを私はさつきちよつと申し上げたわけであります。
  475. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 もう一つお聞きしますが、例の臨時列車か何かで、いわゆる無資格者を乗せたという問題です。これはたとえばこのときに乘りましたのは、管理部勤務の者と、それから機関区の助役だとか、あるいは車掌は信号用のいろいろな手旗とかその他のものを持つていなければならぬ。ところがそういうものを何も持たずに、ただ腕章だけをつけた者が乘つたという事実があるのですが、どうでしよう、それは御存じですか。
  476. 松村丈夫

    ○松村証人 それは車掌の場合に規定がありまして、携行品は整備するべきであります。しかしあのように九日の日に決裂しまして、十日の朝抜打ち的にぱつとストに入られたわけであります。私としてはともかくも部内のことでなく、あの東京の一番大事な中央線をとめるということは申訳ない。いかなることがあつてもごの輸送は幾分でもやらなければいかぬという考えから、應急に車掌をつくつて任命したわけであります。そうしてその前の晩にすでに手配をいたしましたが、朝來た人間もおりますし、携行品と申しましてもそうふんだんにあるわけではありません。それでともかくも列車を運轉するにさしつかえないという程度のしたくで乘務さしたわけであります。これは私の責任におきまして、臨時の手配をとつたわけであります。でありますから、先般も組合の方でそういう話を——私は直接聞きませんけれども、一部にそういう非難がありましたけれども、その非難よりも、まずお客さんを運ぶということが大事じやないかという話をしておきました。
  477. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それはよくわかりました。とにかくそういうことがあつたことは事実ですね。それでお客さんを運ばせることが大事だという点は、また逆なふうに出ているのがあるのです。それはたとえば中野の場合と違いますけれども、東神奈川の場合は、組合の方はとにかく國民のために車を動かそうと決定してやると、今度は管理部の方から乘せてはいけないということを言つて來る。そういうことがありますから、あなたの場合はそうであつたかもしれぬが、当局全体としてはまつたく別なことやつていることがあります。  もう一つは、たとえば運轉台なんかには絶対に資格のある運轉手以外の者は乘つてはいけないということは、非常な嚴重な連合軍か何かのさしずによつて規定ができているそうですね。これはたとえば進駐軍の者といえども乘つてはいけないという非常にきびしいおきてになつているそうですが、あの当日には公安官なんかがやはり相当に乘り込んだりしているのは事実ですか。
  478. 松村丈夫

    ○松村証人 それはやむを得ず乘せました。と申しますのは、職務遂行は妨害を與える人間があるわけです。それで乘務昼を守るためにやつたわけであります。
  479. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 とにかくそういうふうな事実をあなた方は御承知の上で、すべてやむを得ぬとしてそういう措置をとつたと言われましたが、そういうことなんでしよう。よくわかりました。
  480. 大橋武夫

    ○大橋委員 証人に第一にお伺いしたいと思いますのは、平素八王子管内のこれらの電車区なり車掌区なりの組合の動向というものは、ああいつた場合にすぐストに入るというようなことを平素から管理部長は予想しておられましたか。
  481. 松村丈夫

    ○松村証人 私はあれだけ早急に入るということは予想しておりませんでした。
  482. 大橋武夫

    ○大橋委員 もう一点同じような質問でございますが、交渉の経過から見て、車掌区の交渉がすでにストへ入るほど熟しておつたかということが一つ、もう一つは二つの電車区において資材についてのいろいろな問題が討議されておつたそうですけれども、それについての当局との交渉が、同じくストに入るに十分に熟しておつたかどうか、この点についての見込みをお聞きしたいと思います。
  483. 松村丈夫

    ○松村証人 ストに入る入らぬということは、組合の方の受け方によると思います。今日資材という面につきましては多少窮屈な面がございますが、しかし日常の業務に支障しない程度の資材は渡しております。
  484. 大橋武夫

    ○大橋委員 ただいろいろその交渉をやつて行つて、お互いにその交渉について譲らない。そして場合によつてストへ入るというような情勢を示して、それからストが起るというのが一般の労働爭議の形態なのですが、そういう一般的な形態から見て、当時のあの情勢はストに入るに十分熟しておつたかどうか、交渉が十分に予備的に行われたかどうかということについての証人の御感想を伺いたい。
  485. 松村丈夫

    ○松村証人 私は電車区関係につきましてはさほど熟しておるとは思いません。車掌区におきましては、管理その他の会計の話合いのときにも申し上げましたが、たまたま東神奈川でありすとか何とかの情報が入りまして、非常に從業員が興奮しておつたという感じを起しますので、その理由としてはいろいろと議論がありましようが、感じとしては引きずられる可能性が多分にあつたと思います。
  486. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうしますと、大体証人のお見込みでは、当時の八王子管理部、管内のストというものは、新橋管内のストに対する同情ストあるいはそちらの方面に引きずられたストであつた。管内自身の組合の情勢としては、それ自体ストに至るような原因はないし、それまでの経過においてなかつた、こういうようなお考えでございましようか。
  487. 松村丈夫

    ○松村証人 東神奈川あたりから引ずられたというような関係はあまり強くありませんが、ともかくもたまたまそういう雰囲氣にあつたときに刺激を受けたのではないかと存じます。
  488. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると自分自身の新交番の問題よりも、むしろよそがストに入つたから、これは放つておけないとついたような意味の刺激が強かつたというお感じですね。
  489. 松村丈夫

    ○松村証人 そうではなくて、新交番の問題で各所が騒いでおりまして、いきおい東神奈川もそういう関係で騒いでおつたわけです。
  490. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると自分のところも遅れてはいけないという意味からですか。
  491. 松村丈夫

    ○松村証人 自分たちのところも今問題にしているのだからという感じがあるのじやないかと思います。
  492. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると東神奈川なりあるいは蒲田なりと連絡をとつてつたというようなことは考えておられませんね。
  493. 松村丈夫

    ○松村証人 その辺は私もちよつと判じかねます。
  494. 大橋武夫

    ○大橋委員 もう一つお聞きしたいのでありますけれども、このスト中に、あるいはストの後においてこのストの問題に関連して二、三の衆議院議員が電車区あるいは車掌区に行かれた事実があつたようですが、そのことについて何か証人は報告を受けとつておられますか。
  495. 松村丈夫

    ○松村証人 何かお見えになつたようなことはちよつと現場から聞きましたが、ちよつと今私は記憶がはつきりしておりません。
  496. 大橋武夫

    ○大橋委員 いつごろかは記憶していませんか。
  497. 松村丈夫

    ○松村証人 はつきり記憶しておりません。
  498. 大橋武夫

    ○大橋委員 それはストの最中ですか、ストの後ですか。
  499. 松村丈夫

    ○松村証人 ちよつと記憶がありません。
  500. 大橋武夫

    ○大橋委員 その代議士の名前はお聞になりませんでしたか。お忘れになりましたか。
  501. 松村丈夫

    ○松村証人 あれは何か中野附近におられた方のようでした。
  502. 大橋武夫

    ○大橋委員 中野附近に住まつておられる方ですか。
  503. 松村丈夫

    ○松村証人 そのようなことでしたが、それはちよつと私はつきり記憶いたしておりません。もしも間違つて名前を申し上げてもはくないと思いますので‥‥。
  504. 大橋武夫

    ○大橋委員 その方はどういう意味で來られたのか。あなた方にとつてはたいへん歓迎すべきお客であつたか。それとも歓迎できないようなお客でしたか。またどういう意味でお出になつたのか。その感じはどうでしたか。お記憶がなければやむを得ませんが‥‥。
  505. 松村丈夫

    ○松村証人 そのお話がどういう内容であるかということによつても違いますし‥‥。
  506. 大橋武夫

    ○大橋委員 お話と言うと何か演説でもされましたか。
  507. 松村丈夫

    ○松村証人 お見えになつて何かお話でもされておればお出になつたこともはつきりいたしましようが、お出になつた意思が奈辺にあるかということがはつきりしないものですからわかりませんでした。
  508. 石田一松

    ○石田(一)委員 ちよつとお尋ねしますが、六月一日からスト突入を決定した九日まで、あなたの管轄の乘務員は新旧交番のどの交番で乘つていたというり報告をお受けになつておりますか。
  509. 松村丈夫

    ○松村証人 中野車掌区は旧交番であります。
  510. 石田一松

    ○石田(一)委員 それは区長からの報告ですか。(「それはさつき言つたよ」と呼ぶ者あり)中野車掌区は実施していなかつた。それは何か特別の理由があつたのですか。
  511. 松村丈夫

    ○松村証人 さつき申し上げました。
  512. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 結局中野車掌区は九日まで新交番を実施しておらないのです。
  513. 石田一松

    ○石田(一)委員 さつき電車が運行されないで乘客がたいへん混み合つて來たので乘車制限をなさつた。しかもホームには相当の乘客がいた。これを組合員らしい方が電車の中に乘つていて乘車しようという一般の乘客を拒否しようとしていたと言われたが、実際には制限というのでありますから、切符は発賣していましたか。
  514. 松村丈夫

    ○松村証人 朝はしておりました。
  515. 石田一松

    ○石田(一)委員 朝のうりの客がずつと残つていたわけですか。
  516. 松村丈夫

    ○松村証人 それでお客様を誘導して、ほかの交通機関に轉化するようにいたしました。
  517. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうすると切符を発賣なさつたのは、要するに臨時の車掌を任命して臨時運轉をされる電車があるからというので、その範囲内における切符を発賣なさつたのですね。
  518. 松村丈夫

    ○松村証人 新しい切符の発賣枚数ははつきり確認しておりませんが、大した数ではないと思います。朝は通勤の方が多く、切符を賣つて乘られる方はごく少いのですから、その数はあまり確認しておりません。ごく少いものです。
  519. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうするとホームにあふれていたところの人たちが一般來客であるかどうかということははつきりわからないわけですね、
  520. 松村丈夫

    ○松村証人 しかし定期を見てホームに入つておられますから一般の乘客です。
  521. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうすると改札では定期を一々見て中に入れたのですか。
  522. 松村丈夫

    ○松村証人 もちろんお客であれば中に入れます。駅員があそこにおりますから‥‥。
  523. 石田一松

    ○石田(一)委員 そこで私は聞きたいのは、定期を見せたらホームにお入れになる。そのときは上の方から改札をとめないでそのまま入れるというのには、どれだけの電車が動くからこれだけの者は入れてもいいというような考えで入れられたのか、それともただ定期を見せたから皆入れたのかということなんですがね。
  524. 松村丈夫

    ○松村証人 しかしあのとき運轉している電車は一日白帶車のみであります。なお朝二本、晝一本、夕方二本の臨時列車を運轉したわけです。また中央線の定期の列車、これをも各駅停車の手配をいたしました。そうして極力輸送しようという考えでおりましたから、どのくらいの数をどのくらいにとめたというような理論的な調査はできませんでした。
  525. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうするとそのとき輸送力以上の人たちがホームにあふれていたことだけは事実ですね。
  526. 松村丈夫

    ○松村証人 それは各駅によつて状況が違います。
  527. 石田一松

    ○石田(一)委員 それから先ほどあなたが委員長の質問にちよつとお答えになつたのですが、結果から考えると行政整理ということにこじつけてストに突入したという解釈ができるということを御答弁なさつたようですが、これは結果から考えてのあなたか一種見解だと確認して差支えありませんか。これは個人的のあなたの感じです。
  528. 松村丈夫

    ○松村証人 それは言葉の上で多少誤解があるかもしれませんけれども、結果からみまして、あの新交番というものは私どもとしては全然行政整理とは別個だという考えを持つております。ところがあれは行政整理の前提だという見解をもつてああいう結果になつたとすれば、私どもとしてはどうしてもそこに釈然としない氣持があるわけです。そういう意味において申し上げたわけです。
  529. 石田一松

    ○石田(一)委員 それから警察官あるいは公安官というものの出動というものを、管理部長として要求したことがありますか。
  530. 松村丈夫

    ○松村証人 ございます。
  531. 石田一松

    ○石田(一)委員 それで警察を呼んだことがありますか。
  532. 松村丈夫

    ○松村証人 警察の警乘ということはございました。
  533. 石田一松

    ○石田(一)委員 それはあなたたちが臨時にお出しになる列車、電車に警乘してもらつたのですか。
  534. 松村丈夫

    ○松村証人 それは大分後でございます。公安官も手が薄くなりましたし、おろされたりなんかして業務の完全な遂行ができないという状態になつたわけですから、警乘を一部お願いしたわけであります。
  535. 石田一松

    ○石田(一)委員 先ほどあなたは、公安官組合員の行動隊が強制的に下車させたようなことはないかという委員長の質問に答えて、そんなことも聞いたことはあるけれども、よく知らないというような御答弁をなさつておるのですけれども‥‥。
  536. 松村丈夫

    ○松村証人 公安官をおろしたとかなんとかいうことではなくて、乘務員が乘務して作業をしようとするのにそれをおろすわけでございます。乘務員の、業務遂行ができないから公安官をつけておるわけです。それからまたお客さんが乘ろうとするのを中で阻止しているわけです。それをお客さんを乘せるように手配する。お客さんと乘務員の業務遂行を援助する意味において公安官を出しておるわけです。
  537. 石田一松

    ○石田(一)委員 公安官というのは主としてそういうことが任務なのですか。
  538. 松村丈夫

    ○松村証人 それはいろいろあります。
  539. 石田一松

    ○石田(一)委員 私がお開きしたいことは、要するに鉄道從業員の一つの行為に対して、その監督の立場にある部長あるいは局長が鉄道の公安官の出動を依頼し、また命じて、組合員あるいは鉄道從業員を取締るということに使えるところの公安官であるかという、それが問題だと思うのです。
  540. 松村丈夫

    ○松村証人 鉄道職員を取締るというようなことでなく、私の方は乘務員の業務の遂行を妨害することを防ごうというのです。
  541. 石田一松

    ○石田(一)委員 あなたは乘務員の妨害とおつしやいますが、乘務員の業務の妨害をしているかどうか知りませんが、公安官が出てその妨害を阻止しようとなさる。阻止される方は乘務員じやないのですか。
  542. 松村丈夫

    ○松村証人 乘務員じやありません。職員でありますが、駅に五人も六人も待機しておつて、そうしてそういう業務をする人間を妨害する人間もおつた、そういうものを排除したわけであります。
  543. 石田一松

    ○石田(一)委員 それは一種の部外團体というような‥‥。
  544. 松村丈夫

    ○松村証人 職員の中にもそういうのがおります。
  545. 石田一松

    ○石田(一)委員 部外團体にもいますか。
  546. 松村丈夫

    ○松村証人 部外團体は私は確認しておりません。
  547. 石田一松

    ○石田(一)委員 そこで公安官が足りないというので、今度は警察官の警乘を要求なすつたのですか。その警官はどれくらい來たのですか。
  548. 松村丈夫

    ○松村証人 全体の数字はちよつと今私記憶いたしておりませんが、大した数ではありません。
  549. 石田一松

    ○石田(一)委員 公安官の手が足りないので補助として來たわけですね。一電車にどれくらい乘つたのですか。
  550. 松村丈夫

    ○松村証人 場合によつてつております。
  551. 石田一松

    ○石田(一)委員 平均してどれくらい乘つたのですか、一箱に二人か三人ですか。
  552. 松村丈夫

    ○松村証人 そんなにたくさん乘りません。
  553. 石田一松

    ○石田(一)委員 出入口が両方あるから、一方にいても一方から入つて來る。
  554. 松村丈夫

    ○松村証人 それまではとても人員が足りませんからやつておりません。一列車にせいぜい四、五名のものであります。
  555. 石田一松

    ○石田(一)委員 それから先ほど白帶車を動かして、白帶車のドアだけ開けて一般車のドアを開閉しなかつた。その電車を運轉したのは組合員であるということを申されましたけれども、これは間違いございませんか。
  556. 松村丈夫

    ○松村証人 組合員が運轉しております。
  557. 石田一松

    ○石田(一)委員 それは許可なくして運轉したのですか。
  558. 松村丈夫

    ○松村証人 こちら業務命令で動いたわけであります。
  559. 石田一松

    ○石田(一)委員 その業務命令というのは、進駐軍関係の輸送をここで杜絶さしてはいかぬというような意味から、この電車業務命令で動かされているわけですね。
  560. 松村丈夫

    ○松村証人 そうであります。
  561. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうだといたしますと、これはよくないことですが、この組合る人たちスト突入を決議して——いいことか惡いことか別として、決議しているからには、いわゆる進駐軍の輸送目的を阻害しないために運轉しているのであるから、白帶車へ乘れる進駐軍関係の人はいざ知らず、一般乘客の方にはわけを話して、これはこうこうこういうわけで動いているのだ、われわれストに入つているのだから、皆さん乘らないでくれということを言うことは、これは私は組合としたら当然なあり方だつたと思うのですがね。それをやるのはいかぬというので、たまたま進駐軍関係のいわゆる指示命令によつて動かされる電車に一般乘客を乘せて、かれらがやろうとするところの爭議の効果を一應滅殺させるという便法を講ずるために、公安官を動員し、あるいはその数が足りないからというので警察官の出動を要求なさるということに、ちよつと私は疑問があります。
  562. 松村丈夫

    ○松村証人 そればかりでありません。私の方で別に、かりの編成でなく、列車を運轉しておりますが、これの乘務員に対しても相当妨害しております。一時は名古屋の管内から來る車掌は、とてもこわくて乘れないというような意見も出ました。よけいこちらとしてもそういう人の周囲に氣をつけてあげなければならぬというわけでつけたわけであります。
  563. 石田一松

    ○石田(一)委員 最後に、九日のスト突入を決定した組合が、いわゆる責任者である管理部長のあなたとか、あるいは他の正式機関に、明十日の始発からわれわれ組合ストに突入するという、正式通告は出來ませんでしたか。
  564. 松村丈夫

    ○松村証人 情報で得たわけです。
  565. 石田一松

    ○石田(一)委員 正式に通知しない。ただ議決のしつぱなし‥‥。
  566. 松村丈夫

    ○松村証人 ぞうであります。それで私の方では情報を得たから支部に対して勧告しております。
  567. 石田一松

    ○石田(一)委員 そういうことは公共企業体労働関係法で許されないということで警告なさつたのですか。どういう警告をなさつたのですか。
  568. 松村丈夫

    ○松村証人 それは違いました。それは別の問題であります。今のあなたのお話のとは違います。
  569. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうするとこれは全然ストに入るという通告は、組合委員長あるいは執行委員、鬪爭委員というふうな人たちから、責任のある人たちから当局に対してなかつたのですね。ただあなたは情報としてお知りになつただけですね。
  570. 松村丈夫

    ○松村証人 そうです。
  571. 石田一松

    ○石田(一)委員 それでその情報によつて万全の策を講ずるために、臨時の車掌の任命を九日の夜から奔走なさつた、こういうことになるのですか。
  572. 松村丈夫

    ○松村証人 いや、それは私の方は九日の晩に任命したわけじやない。そういういろいろな事態に備えまして、人員を待機させておつたわけです。私の方といたしましては、ストが起きるとか起きないとかいうことよりも、全体の情勢を見て、これは情勢が惡いと思えば、いろいろな手配を打つわけであります。
  573. 石田一松

    ○石田(一)委員 そのいろいろな手配をお打ちになるというのはまことにけつこうなのですが、要するにストをやるのならばやれ、われわれの方にはうした手配はちやんとして、ちつとも困らないのだという強い態勢を整えることもけつこうですが‥‥。
  574. 松村丈夫

    ○松村証人 そういう意味じやありません。
  575. 石田一松

    ○石田(一)委員 それがなされると、私はむしろストに入らなくてもいいものを、ストに追いやるというような‥‥。
  576. 松村丈夫

    ○松村証人 それは私の考えと全然違うのであります。そういうように、私の方が何か組合員に対して刺激を與えておるようにお話でありますが、そういうことは全然ありません。私の方はあらゆる手を打つて、從事員には正常な業務につけという呼びかけもしますし、それからまた万一の事態に備えまして、いろいろなことを考えておかなければ輸送の確保ができません。今日ことにいろいろな輸送があるわけです。それに支障を起してはいけないから、いろいろな計画は持つております。しかし、それによつて現場の人を刺激するということは私はあり得ないと思います。
  577. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうすると、九日のスト突入は正式には通知されなかつた。情報によつて得たのみである。それで先ほどちよつと他の場合だつたとおつしやいましたが、それには何か手をお打ちになりませんでしたか。組合に対して、スト突入を決定したそうだけれどもというような当局の見解とか何とかいうものを、もう一ぺん最後的に警告するというようなことはおやりにならなかつたのですか。
  578. 松村丈夫

    ○松村証人 前からやつております。
  579. 石田一松

    ○石田(一)委員 ストが決定して、九日の晩スト突入と決定されて、あなたの方に何ら通告なしに十日の朝から‥‥。
  580. 松村丈夫

    ○松村証人 そのときに電報を打つております。
  581. 石田一松

    ○石田(一)委員 それはどういう電報ですか。
  582. 松村丈夫

    ○松村証人 違法な、非合法なことをやるな。そしてみな事態をわきまえて正常な業務を行えということを言うております。
  583. 石田一松

    ○石田(一)委員 それは要するに一種の前の業務命令の延長であつて、このスト突入に対する新たなる警告とか勧告とか、もう一ぺん再考の余地を與えるから何とか考え直せというふうな、少くとも‥‥。
  584. 松村丈夫

    ○松村証人 いやそれは、あの事態に入ります前も、入つてからでも、私の方から再三呼びかけております。
  585. 石田一松

    ○石田(一)委員 それはよくわかりました。あなたが誠意を盡していらしたことはわかりますが、このスト突入が決定したときに、そうした今までなされていたような努力がもう一度ここに繰返されたら‥‥。
  586. 松村丈夫

    ○松村証人 それはよくあなたも御了承願いたいと思います。あの興奮したときに、私ども手を打つております。打つておりますが、はたしてそれが、あとからいろいろの批判もありましようが、あの雰囲氣から言うて、やはりそこに反省というものがあるのかどうかということは私は疑問だと思います。しかし私の方はできるだけ反省を求めております。
  587. 石田一松

    ○石田(一)委員 今私はこれは希望ですけれども、電報でなく、もう一度組合幹部か何かに、今まで繰返えされたようなことを‥‥。
  588. 松村丈夫

    ○松村証人 それは支部の方にも話しておりますし、できるだけのことは毎毎やつております。それは九日ストが決定されてから、十日の朝に至るまで‥‥。
  589. 神山茂夫

    ○神山委員 今管理部長さんの話を聞いておりますと、管理部側では終始乘客の便宜をはかつて、一人でもよけい乘客の輸送をはかるように努力した、こういうふうにおつしやつていますが、それは間違いないでしようか。
  590. 松村丈夫

    ○松村証人 そういう考えでおります。
  591. 神山茂夫

    ○神山委員 そういう考えでしようね。それにもかかわらず、十日の日に公安官連合軍專用車以外の車両の扉が閉じられておるやつを開いて一般市民を乘せようという乘務員側の希望、そういう努力を押えたという事実はあなた御承知ありませんか。
  592. 松村丈夫

    ○松村証人 今のをもう一度お願いいたします。
  593. 神山茂夫

    ○神山委員 先ほどの石田委員に対するお答えを聞いておりますと、公安官乘務員との間に混乱が起つたのは、進駐軍列車の白帶のついているあとの列車は全部扉を閉めていた、それに一般の人が乘ろうとするのを乘務員が拒否していた、それを取締るために混乱が起つた、こうおつしやつている。ところが、組合側の報告は、それはさかさまだ。從業員の方は扉を開けて少しでも乘せようとしたのを逆に公安官が押えた、こうなつている。
  594. 松村丈夫

    ○松村証人 それは車内に乘つておりますストに参加している人間が、乘客の乘車を断つたのであります。
  595. 神山茂夫

    ○神山委員 ストに参加した人がそうしたので、公安官がそうしたのではないというのですか。
  596. 松村丈夫

    ○松村証人 そうです。
  597. 神山茂夫

    ○神山委員 あなたはそれを責任をもつて言えますね。
  598. 松村丈夫

    ○松村証人 言えます。
  599. 神山茂夫

    ○神山委員 それではもう少し詳しくあなたにお話した方がいいのですが、第一一二二Aというのですか、これが十一日に、三鷹駅に連絡したところ、駅側は管理部の承認がなくてはそういう運轉はできない、こういうことを言つているのですが、組合側から管理部の運行、電話をかけて、そして何とかしろと言つたが、十分話もできなかつた。管理部長から拒否する旨通話があつた——電話でしよう。組合はこれはいかぬと思つて、ほかの進駐軍関係の編成車の方の車を開放して、乘車しようとせしめて運轉した、こういうふうなことがあるわけですが‥‥。
  600. 松村丈夫

    ○松村証人 それは私時間的に今あなたのお話の列車がはつきり確認できておりませんけれども、たしか十一日と思いますが、一本列車を断つたことがあります。
  601. 神山茂夫

    ○神山委員 そうでしよう。
  602. 松村丈夫

    ○松村証人 これは臨時であります。それけ組合から——あのときは十一日ですか、あの東京都のところでなくなつた橋本とかいう方がありますね、あの人の葬式に行くのだから、電車を一本出してくれというような話があつたが、それはいかぬというので、私は拒否しました。それでなお組合の方から会議あとで、帰りがないから、電車を運轉してくれというような話もありましたが、それも断つております。
  603. 神山茂夫

    ○神山委員 だから、あなたのおつし、やつたことが、かりに全部事実であるとしましても——十一日の人民大会に行くという人の場合に、乘せなかつたということがかりに通りましても、ほかの進駐軍に連結している一般乘客のを開いて乘せようということを断つたということは、その通りですか。
  604. 松村丈夫

    ○松村証人 これはその過程におきましてお客さんと、それから今度中に乘つておりました人との間にいろいろなトラブルがあつたのであります。
  605. 神山茂夫

    ○神山委員 それで三鷹駅で進駐軍関係車のほかの出庫を拒否したというような事実が、やはり十一日にあるのだが、これは御承知ないですか。
  606. 松村丈夫

    ○松村証人 ちよつと記憶しておりません。
  607. 神山茂夫

    ○神山委員 それじやもう一ぺん十日に遡つてお尋ねしますが、十日の初電からストに入つたことははつきりしているのですが、進駐軍連結の列車を確保していた九日から八王子駅で管理部員及び公安官が下記の電車八〇二A、九〇四A、九〇六A、一〇〇八A、一〇一〇A、一一一二A、一一〇〇A、一二〇二A、一二〇四A、一三〇六Aの車掌に対して下車を命じ、下車を拒否した車掌には業務命令違反であるとかいつて、車両を開放しろ、出て行けというよう4ばことを言つた、そのために電車の運轉がじやまされた、妨げられた、こういうことをお聞きになつておりませんか。
  608. 松村丈夫

    ○松村証人 そこまでこまかくは、存じておりません。
  609. 神山茂夫

    ○神山委員 こまかなことは御存じないわけですれ。そこであなたにお尋ねしたいのですが、先ほどあなたが戰地にいたころの友人が見えて、あなたは言つたことは約束を守るとおつしやつたのを私聞きましたが、いつごろから戰地にいらつしやいましたか。
  610. 松村丈夫

    ○松村証人 私に二十一年の暮までおりました。
  611. 神山茂夫

    ○神山委員 それでどちらにいらつしやいましたか。私は監獄におりましたが。南方ですか。
  612. 松村丈夫

    ○松村証人 ‥‥。     〔「関連なし」と呼ぶ者あり〕
  613. 神山茂夫

    ○神山委員 これは松村さん関連があるのですよ。南方なんと言つてはまずければ、あなたは軍政官をしていらつしやつた、私もあなたがどこでどうしていらつしたか知つておりますけれども。それはいいですが‥‥。
  614. 松村丈夫

    ○松村証人 いや、私はかくす必要はありませんが、あまり今の問題と関連がないようですから‥‥。
  615. 神山茂夫

    ○神山委員 いやそれはあなたがそうお考えになるので、私に言わせれば関連がある。今お聞きするのはそこですが、あなたが八王子の管理部長に就任なすつたのは今年の四月でしたね。
  616. 松村丈夫

    ○松村証人 三月です。
  617. 神山茂夫

    ○神山委員 三月に就任なすつて、この事件が起つたのは六月九日ですね。あなたが管理部長におなりになつて、あなたの人格識見が相当なものだということはあなたの友人が組合員諸君に証明なさらなくても私は知つております。と同時に知つていることは、あなたが実際管理部長であるにもかかわらず、個々の問題の折衝を多く課長諸君がやつたということも知つているわけです。そこで組合側の記録や何かをこまかくここで読み上げることは避けますが、あなたももちろん部長さんだから、大局を握つているに違いない。しかし各課長——業務課長や塚原君、総務課長ですか、こういう人が実際上の仕事の処理をしていたのではありませんか。あるいは主として組合側との折衝にあたつていたのではありませんか、この点どうでしよう。
  618. 松村丈夫

    ○松村証人 大事な問題のときは私は連つております。
  619. 神山茂夫

    ○神山委員 それは承知しておりますが、私が今お尋ねしているのは、こまかな問題の場合に、こまかな問題といつても相対的な問題ですが、言い換えればこまかな折衝について、あとは課長諸君にお任せになつたということが記録全体を通じて見えるわけですが‥‥。
  620. 松村丈夫

    ○松村証人 それは組合の方の人も課長でけつこうだという話もありまして、課長が会つて話をしているのもあります。
  621. 神山茂夫

    ○神山委員 一部ではあなたのことをロボットというような失礼なことを言つている。しかし私はそう思つておりませんが、しかしそういう事実が、塚原君というのは相当な古狸だ、(笑声)古狸と言つている。こういう連中が、あなたの意思やあなたの大まかな指示に反して、私が今三つ例をあげましたが、進駐軍関係の車の運轉その他の関係ばかりでなく、組合との実際の接触の面であなたの意思に必ずしも沿わないことがたくさんある、例をあげろと言えばいくらでもありますが、こういうことが問題を紛糾させるひとつの條件になつていると思う、こういう点をあなたは今静かに考えて見て、そういうことをお氣づきになりませんか。
  622. 松村丈夫

    ○松村証人 そういうお話を承りますと一言申し上げたいのですが、私はどちらかと言うと自由な氣持で、そうしてなるべく廣く組合員にも話をしたいという氣持を持つております。それで、組合の折衝につきましてもどちらかというと私が來る前ようも私が來ましてから会う方の人員なんかも多くなつている。そしてだんだん多くなつて來まして、六月の六日の日には実に乱れた形になつたわけです。それで私としてもちようど終戰直後の組合運動のような形になつたものですから、これではいかぬ、これだけ自分が誠意をもつてみんなと会つているのに、こういう乱れた形になつてはいけないというので、六月六日の会見の後、七日にすぐ組合に申入れをしまして、こういう乱暴な無統制の行き方じやいけないからと言つて反省を求めて六月九日には紳士的にやつたわけであります。でありますからその点いろいろ御批判もありしようが、私どもの氣持としては何もそう押えて行くとか、またいろいろ高圧的なこともやつておりませんし、また塚原君もいろいろ言つたこともありましようが、そういうような人間じやないと私は信じます。
  623. 神山茂夫

    ○神山委員 それはあなたの氣持はそう思うし、あなたが就任以來組合の諸君に対して比較的民主的にやつていらつしやるということはよく承知して、その上で私言うのですが、今失礼な言分かもしれませんけれども、あなたの意思に反して古い課長諸君が事態を紛糾させるようなことをやつたのではないか。一例をあげるとこれはあなたが直接御存じなくともいいのですが、中野車掌区のことですけれども、二十七日の交渉である程度まで話がついた問題を、三十日になつて今度はまたひつくりかえす、これは業務命令があつた場合に、あり得ることかもしれませんが、こういう事態が起つた場合に、あなたの知らないところで、すなわちあなたの氣がつかない下の方で紛爭が起るような條件がだんだん熟して來ているわけです。あなたのお話を聞いておりますと、あなたの場合は單なる新交番でなくて行路の改正だつたのでしよう。
  624. 松村丈夫

    ○松村証人 交番だけであります。行路の改正はどこもやつておりません。
  625. 神山茂夫

    ○神山委員 その新交番の実施を、話し合つてなめらかに行くというふうにお考えになりましたか。しかしほかの方では、ことに中野車掌区の諸君は、今私は一つの事実を指摘したわけですが、二十七日と三十日では区長の言うことが違うというようなことがあつたために、その後に問題を紛糾させる條件があつたわけです。從つて私は一般的にあなたの意図に反した、あるいはあなたの指示が十分徹底しないような事態が今度の場合あつたのではないか。ことに私は先ほど三つの例をあげましたが、新車の関係、車の運行に結びついている一般乘客の扉をあけるあけないの問題についても、私は一般乘客が乘るというのを組合員が押えるから公安官が押えたんだ、こういうふうにおつしやつておりますが、組合側では逆に言つているという三つの例を私はあげたのでありますが、これはあなたのお考えにかかわらずこういう事実があつたということは考慮してもらいたいと思う。それについてもう一度お尋ねしたいのですが、六月三日十三時五十二分に新宿大久保間の事故ですね。御承知でしよう。電車番号は六三三九三号、こうなつております。
  626. 松村丈夫

    ○松村証人 列車分離ですか。
  627. 神山茂夫

    ○神山委員 ええ、これはどういうわけで起こつたのですか。
  628. 松村丈夫

    ○松村証人 これはちよつとお答え申し上げかねます。と申しますのは、私は実は急いでおりますので、今のこの問題だけにしていただきます。
  629. 神山茂夫

    ○神山委員 これは管理部長ともあるまじきお答えだと思います。これはあなたから強制的に証言を求めるというのではないが、車掌区の場合には交番制という問題があつた電車区には電車区としての要求があつた。現に六月三日の場合における電車事故の問題は、本件に関連がないのではなくて、電車分会が立ち上るための一つの條件になつた。それでお尋ねしたわけなんですが、しかしあなたの業務上の関係や何かがあつてきようは答えたくないということは、私個人はかまいません。委員会がどう考えるかは別として‥‥。
  630. 松村丈夫

    ○松村証人 私は今の問題はストに関係がないと思つたものでありますから‥‥。
  631. 神山茂夫

    ○神山委員 私の考えによれば、これは関係があるというのは、現に六月六日、これは組合側と業務課長その他が團体交渉を行つておる。これが六日まで入つておるわけです。  こういうふうな事実がありますから、九日に車掌区で問題が起つて來るという場合に、この原因は、私は專門家でありませんから詳しく申し上げませんが、相当車が荒廃しておる。またこれをすぐ復旧するにあたつて資材がなかつた。こういう事実があつて、何とかして資材をよこせということが問題になつた。ところがこれは工機部に行かなければならない。工機部は割当をよこさないからない。それでボールトやピンがないために、復旧が遅れたというような事情があつたでありましよう。こういうことが從業員の日常の要求と結びついておる。しかも業務課長がこれに眞に適当な解決を與えていないということが六日にあつたからこそで、九日の日に立つという條件があつたのじやないか。この点こういう判断はむりでしようか。関連がないとは私は考えられないのですが‥‥。
  632. 松村丈夫

    ○松村証人 それは見方によりましようけれども、電車事故の原因が直接ストまで持つて行くというふうな重大な意味はないと思つております。、
  633. 神山茂夫

    ○神山委員 それはそうだ。ただ事故そのものがすぐ解決すれば問題はなかつたのだが、六日の日に管理部側と交渉したときに、資材その他の手を打つという確認が得られなかつた。こういう不満や日ごろのいろいろな問題がありましようし、たとえばこれはあなたのところでも檢査期限の延長などが多分出て來ておるのじやないかと思うが、こういう問題と関連して、一方では定員法の問題で首切りの問題が迫つておりますし、相当緊迫した空氣が從業員諸君にあつたのではないかと、私たちは常識的に考えるわけなんですが、その点について管理部長さんが非常にデリケートな問題だからと言つて、先ほどからしぶつていらつしやるならけつこうです。何も証言拒否とか何とかいう問題でなく、わかりますからけつこうです。
  634. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 では済みました。     —————————————
  635. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 愛甲寛さんですね。
  636. 愛甲寛

    ○愛甲証人 さようでございます。
  637. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは中野車掌区長をやつておいでのようですが、いつからおやりでしよう。
  638. 愛甲寛

    ○愛甲証人 昭和二十一年の二月末であります。
  639. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今日までに及んでおりますか。
  640. 愛甲寛

    ○愛甲証人 さようでございます。
  641. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたの方の労働組合側とあなたの方と、新交番制の実施にあたつていろいろいきさつがあつたようでありますが、その大要を述べていただきたいと思います。
  642. 愛甲寛

    ○愛甲証人 五月十八日に車掌区長会議——これは新橋管内と八王子管内の車掌区長だけの業務上の会合でありますが、この会合の席上で、東京鉄道局の車掌の方を担当しておられる方が出席しておられまして、その方が、今度新交番制になるのだと言われまして、新交番に移つたときの定員の数を内示があつたのであります。そこで私は五月二十一日助役を全部集めまして、今度東京鉄道局の内示によつて交番を変えることになつた。ついては大体六月一日に実施ができるように準備を進めてもらいたいということを言い渡したのであります。助役の方でも私の意を体しまして、着々準備を進めておつたのでありますが、局の方から示、されまました人員ではなかなか交番が組めなかつた電話でもつて東京鉄道局のその方の係の方に打合せ等もしていましたが、なかなかこの交番がえをすることが困難な状態で、そのうちに労働組合の方で、この新交番実施によりまして浮き出た人間整理の対象になるのではないかというような聞き込みをどこからかしたと見えまして、私の方へ來てそういうような話があつたのであります。そこでこれはそういうような種類のものではないのだいずれはこの交番順序の変更というやつは、諸君に示して、相談しなきやならないと思うのであるが、せつかく今のところ助役の方でいろいろ檢討中なので、また発表の時期になつておらぬが、決して整理の対象というような種類のものではないというような説明をしたわけであります。ところが私の方では電車班とか、列車班とか、あるいは荷物電車班とかいうような各職種によりまして班をつくつておりますが、各班の方でこれは行政整理の対象だというようなことで、頻繁に会合を持ち出したのであります。
  643. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこであなたの方と正式に会合したのはいつでありますか。何かあなたの区長官舎へ押しかけて來たそうですね。
  644. 愛甲寛

    ○愛甲証人 それはまだあとのことであります。
  645. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その前に何かありましたか。
  646. 愛甲寛

    ○愛甲証人 二十七日でありましたか、電車班の会合等もあり、それから一日と、そういうような会合が種々あつたわけでありますが、六月の四日でしたか、八王子の業務課長が新交番実施督励のために來られ、午後の二時ごろ盛んに私と打合せしておりました席上べ、組合員の者が先頭に組合の旗など立てまして部屋の中にたくさん入り込んで來たことがございます。それで今仕事中だからといつて制止したのでありますけれども聞かずにどつと入つて來まして、業務課長のまわりを巻いて新交番の実施をやめろと非常に詰め寄つて來たことがございます。
  647. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたの方では行路改正をやろうとせられたことがありますか。
  648. 愛甲寛

    ○愛甲証人 行路改正をやろうとしたことはありません。
  649. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがそのときに第一には行路の改正はやらない。またその次は新交番制を実施しない、こういうことを確約せよとか言つてつたそうですが、そういうことはありませんか。
  650. 愛甲寛

    ○愛甲証人 それはつまり労働組合の方で私のところへ來た場合には、行政整理の対象になるような、そういう新交番の実施の命令を拒否しろということを強く言つて來るわけであります。そういう場合には、今の書いた紙あたりに、命令を拒否するというようなことを、はんこを押せというようなことはありました。
  651. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはあなたに迫つたのですか。業務課長に迫つたのですか。
  652. 愛甲寛

    ○愛甲証人 四日の日は業務課長に迫つたわけでありす。
  653. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 行路の改正もやるんだというようなことを言わなかつかたですか。
  654. 愛甲寛

    ○愛甲証人 そういうことはございません。
  655. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうことが書いてあるものがあるのですがね‥‥。そこであなたの方では新交番は四日に実施しておりませんでしたな。
  656. 愛甲寛

    ○愛甲証人 さようでございます。
  657. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 一日から実施するというので準備までしておつて、それまでできなかつたのはどういうわけですか。
  658. 愛甲寛

    ○愛甲証人 先ほどの話の続きになりますが、たしか二十七日の日に電車班の大会がありまして、そうして私に、新交番を実施しますと整理の対象になるんだ。ですからこいつを拒否してもらいたいというようなことを強く言つて参りましたので、それはできないんだ、また新交番というのは決して整理の対象であるわけはないんだと、いろいろ説明しましたが、なかなか納得しないで、そういうような命令はいつ出したかというようなことを聞いて來たわけであります。これは六月二十五日に電話で管理部の方から命令を受けておりましたし、また内示もあつたので、その旨話しましたけれども、書面でそういうような命令でも受けておとかというようなことを強く言われましたのでそれはそのとき、いろいろ局の方とまた折衝するような、前にもお話しましたような関係もありましたし、かつまた命令の書面も受取つておらないというようなことで、それじや一時保留にしようということを話したのであります。その翌日東京鉄道局の担当者のところに参りまして、そういうような話をしまして、この新交番実施にあたつては、人員の方も、内示の要員ではちよつと困難であるように思う。ついてはもう少し増員の方を何とかできないものか、あるいはまた何かそのほかの方法はないかどうかあわせて今の命令というようなものを早く出すようにしてもらいたいというようなことを話しまして帰つて來たわけであります。その後いろいろ組合の方から話もありましたが、三十一日にこれを一日から実施しろという電報が参りましたので、さつそくまたその日から準備を始めたのでありますが、そのときは大体七日ごろから、実施をする。実際は五日に交番表を出して実施はするのでありますが、乘り移りが七日になるのでありますが五日に実施しようというような目途のもとに三十一日あたりから準備をしたのであります。
  659. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 三十一日に電報が來ても、一日にはとてもそれは実施できないものなんですか。
  660. 愛甲寛

    ○愛甲証人 やはりそう簡單にはできない事情があります。
  661. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それらのことは、すべて八王子の管理部と協議の結果、やられたことですか。
  662. 愛甲寛

    ○愛甲証人 はい。それで八王子の管理部の方と打合せもしましたし、また私が八王子管理部の方に呼ばれまして早急に実施しろというような命令も受けたようなわけであります。
  663. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがほかの方は、八王子なんか皆一日から実施したようですね。
  664. 愛甲寛

    ○愛甲証人 そう、一日から実施したようであります。
  665. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたのところだけできなかつたのは、やらぬ前から組合の反対があつたからじやないのですか。
  666. 愛甲寛

    ○愛甲証人 組合の方から実際に相当強く反対もありましたし、また一面交番を組むのに人員がちよつと足りないようなところもあつたので、それの打合せの関係もあつたのであります。
  667. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで先ほど聞きました四日の日の会合ですが、よほど長くかかつたようで、すね。
  668. 愛甲寛

    ○愛甲証人 午後の二時ごろから夜の十時半ごろすでかかつたのであります。
  669. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 八時間半やつたわけですね。
  670. 愛甲寛

    ○愛甲証人 はあ。
  671. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで先ほど言つたようなことを確約せよ、こういうのですか、確認せよというのですか。
  672. 愛甲寛

    ○愛甲証人 新交番の実施の命令を出すのを引込めてもらいたい。こういうような話でありました。
  673. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 先ほどあなたがおつしやつたように、管理部長の命令があつてもこれを拒否せよ。こういうのじやないですか。
  674. 愛甲寛

    ○愛甲証人 私に対してはこれは拒否せよ。課長に対しては、——課長は管、理部長代理として來ておりますから、——その命令を出すのを引込ましてもらいたい。こういうぐあいに言つて來ました。
  675. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これはどこでですか。車掌区の事務室ですか。
  676. 愛甲寛

    ○愛甲証人 車掌区長室に來られたのであります。いろいろ打合わせをしておる席上にどやどやと組合たちが最初は二、三十人入つて來たが、しまいには、七八十人も大勢入つて來まして、そうして暴言をはくようになつたのです。
  677. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 八時間半もどういうような暴言をはきましたか。
  678. 愛甲寛

    ○愛甲証人 私もそばで見ておりましたが、課長はきようはその話はできない、六日の日に團体交渉があるはずだから、そのときに話を譲ろうじやないかと言つたのでありますが、それを聞かずに盛んに強いるわけです。しまいには何か紙に書いたものを持つて來ましてこれに判を押せというようなことを言つて來るわけです。そうして課長の坐つておる前に全部あぐらをかきまして、机の上には全部労組員が上づてしまう。また謀長が坐つておるすぐそばの窓の上にも立つてつて、上から何かハンドルのようなものを持つて、おれは氣が短いのだからというようなことを言つたのもおりました。遠くの方の見えないところではなぐつてしまえとかいうようなことを言つて、もう聞きあきるほど盛んに暴言をはいておりました。
  679. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 結局どういうことになつたのですか。
  680. 愛甲寛

    ○愛甲証人 それで話をいつまでも——しまいにほ業務課長はだまつてしまつたわけです。押し問答のうちにだまつてしまつたもんですから、話がらちがあかぬと思つたせいですか、十時判ごろ私の方の副執行委員の岩崎君が音頭をとつて、いつでもこういう者と話をしておつてもだめだというようなことで、それから解散をしたようでした。
  681. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのときに組合員以外の外郭團体もその中に入つておりましたか。
  682. 愛甲寛

    ○愛甲証人 外郭團体はそのときは見受けませんでした。
  683. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 もしくは中野分会以外の鉄道労組員‥‥。
  684. 愛甲寛

    ○愛甲証人 これは來ておりました。
  685. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どの辺から、來ておりました‥‥。
  686. 愛甲寛

    ○愛甲証人 中野電車区とか、あるいは三鷹電車区それから何か盛んに千葉縣から來たぞとか。東神奈川からも應援に來たぞとかいうようなことを方々で盛んにどなつておりましたけれども、私は顏がわかりませんので、どれが東神奈川の者か千葉の者か、それは見当がつきませんでした。
  687. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから先ほどちよつと聞いた、この四日のほかに三日かまたそのほかの日にあなたの官舎に押しかけて來たことがあるそうですね。
  688. 愛甲寛

    ○愛甲証人 それは五日の日なんです。五日のたしか午後の七時ごろでありましたか、私の官舎へ押しかけて來たのであります。それで最初はまあおとなしく話をするようですから、玄関で話をすれば納得が行くだろうというわけで、私もそこへ坐りまして、いろいろ新交番実施のいきさつを話しまして、納得するように説いたのであります。ところが何かその日に來た者が言つておりましたが、千葉の車掌区へ行つたら、そこで区長がわれわれの切実な頼みを聞いてくれ、きようから親交番を実施するやつを旧交番に切りかえてくれた。こういうような同情のある千葉の区長がいるのだ。それでひとつあなたもここでわれわれのために、もうあんたも鉄道にいくらも勤められないのだ。あとはわれわれの方で引受けるからひとつここで鉄道をやめてもらいたいというようなことで、新交番の実施をひとつ拒否してもらいたいということを入れかわり立ちかわりやつて來るわけであらいます。それが夜の十時半ごろまでも続きました。
  689. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで六月の九日にいよいよスト決行というようにきまつたようですが、そのときはどういう状況でありましたか。
  690. 愛甲寛

    ○愛甲証人 六月の九日に管理部の方へ團体交渉に行つてつた労組たちが、たしか午後の一時ごろですね、團体交渉が終つたというような通知を受けまして、これは間もなく帰るぞ。その日は東神奈川でもうすでにストをやつたというような情報もありましたし、非常に帰るのを心配いたしておつたのでありますが、たしか二時か二時半、)ろ帰つて來たと思います。帰つて來ましてすぐに鬪爭委員会というのを開いて、さつそくストをやるかやらぬかという相談をして、これは十五対六というような多数決でストをやることに決定をしたわけであります。鬪爭委員会に続いて、職場大会に移つて、たしか十八時ちよつと過ぎ、午後の六時ごろです、六時ごろに大会でも何か百八十六のストに賛成、ストの反対が十三というような結果でストに入るというような状態になつたわけであります。
  691. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そしてストは十日の初電よりやることにきまつたのではありませんか。
  692. 愛甲寛

    ○愛甲証人 その後大会の席上では、何かストの時刻あるいは方法等は三鷹あるいは中町の各選出された委員の間で相談した上できめようということになつたようであります。
  693. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それで結局いつから‥‥。
  694. 愛甲寛

    ○愛甲証人 十日の初電からストを施する‥‥。
  695. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが九日のうちに何かあなたの駅で乘客の乘車拒否をやつたというようなことがあつたのですか。
  696. 愛甲寛

    ○愛甲証人 聞いておりません。
  697. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あるいは中野でなくてもどこかでありませんでしたか。三鷹とか立川とか八王子とかで。
  698. 愛甲寛

    ○愛甲証人 私は聞いておりません。
  699. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 一一一四列車に乘ろうとしたお客を拒否したということが出ておるようでしたが。
  700. 愛甲寛

    ○愛甲証人 九日の日には、それが旅客列車だとしますと、そういう事実はないと思います。
  701. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで十日からいよいよストをやつたようですが、どういうことで行われましたか。
  702. 愛甲寛

    ○愛甲証人 電車の方は白帶車と申しまして進駐軍專用車のついておる電車でありますが、白帶車のついておる電車だけは平常通りの運轉をする。但し進駐車関係のみで一般客扱はしない。それから貨物列車の方は進駐軍の貨物を連結してある列車のみはこれを運轉する。つまり進駐軍の荷物の搭載してある貨車だけはこれを運轉する。以外のものは運轉しない。旅客列車は普通の通り運轉はしておりましたが、全部組合の方で業務管理をして、中には甲府まで乘る、中には八王子まで垂るというようなことをやつておりました。
  703. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 一般乘客は乘せない、こういうのですか。
  704. 愛甲寛

    ○愛甲証人 一般乘客は旅客列車は乘せたのです。つまり車掌の方の業務管理であります。私の方で業務管理というのは、長野まで行く列車は長野まで乘るとか、あるいは松本までの列車は松本まで乘るとかいうようなことをやるのが車掌乘務なのであります。それを全部甲府まで乘るとか、あるいは八王子で打切つて、以後は甲府の車掌がこれに乘るというような、つまり車掌乘務方法管理であります。
  705. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 管理部の命令でやるのでなくて、労働組合命令でやる、こういうことになるのですか。
  706. 愛甲寛

    ○愛甲証人 まあそういうわけです。
  707. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは汽車だけですか。
  708. 愛甲寛

    ○愛甲証人 それは汽車だけです。
  709. 鍛冶良作

  710. 愛甲寛

    ○愛甲証人 電車は運轉はしますが、進駐軍関係の方以外の一般乘客は乘せないということでやつておりました。
  711. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでどういうことで動かしておりましたか。やはり進駐軍の戸だけあけたてするのですか。一般はあけましたか。
  712. 愛甲寛

    ○愛甲証人 それはたしか二両日の車だと思いましたが、進駐軍の労務者用のがあるのであります。この方だけは特別な何か出入証のようなものを持つておられますので、この方に対しては二両目の車に乘せておつたようであります。
  713. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あとは全部乘せなかつたのですか。
  714. 愛甲寛

    ○愛甲証人 そうであります。
  715. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうことをして乘せないようにしたのですか。
  716. 愛甲寛

    ○愛甲証人 それは電車に戸の開閉をする装置があります。それを操作すれば自分の欲するものだけがあいて、ほかはしめておくことができるのです。
  717. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうやり方をして動かしていた。
  718. 愛甲寛

    ○愛甲証人 さようであります。
  719. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところで管理部の方で臨時列車を出したようですね。
  720. 愛甲寛

    ○愛甲証人 出しました。
  721. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それについていろいろ妨害があつたようですが、それはどういうものでした。
  722. 愛甲寛

    ○愛甲証人 このときは私ほかに用事がありまして、ホームの方へは出なかつたのであまりす。妨害があつたということは聞きましたけれども、現実にどういうことをしてどういうような妨害があつたということは実際に見ておらなかつたのであります。
  723. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところでこのストが始まつた、もしくはストが始まるまで、先ほど四日のときは聞いたが、外郭團体は來なかつたとおつしやるが、その後外郭團体が來て声援したり、氣勢を上げたりしたということですが、それはどうですか。
  724. 愛甲寛

    ○愛甲証人 十一日のストをやめようという大会をやつたときに、何か私の所へ一人入つて來られたようです。そのほかはあまり私の所へは見えなかつたようであります。
  725. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 風早代議士があなたの駅へ來て何か演説をやつたことがあるそうですね。
  726. 愛甲寛

    ○愛甲証人 ストのあつた日はちよつと忘れましたが、午後の五時ごろ助役が私のところへ來まして、風早代議士が何かあそこで演説をやつておるようだがどうしましようか。こういうことを言つて参りました。そのときは全部部外者は立入つてはならぬ。すべて管理者の承認を経なければ入つてはならぬというような大きな張出しをして置いたときなんで、どなたでも私の承認なしに入ることはお断わりしてくれと言つたのであります。そこで助役が何か御注意申し上げたそうでありますが、やはり依然としてやつておられるというので、私が今度出かけて行つて、はなはだ失礼ですが、やめていただきたい、こう申し上げたのであります。ここは仕事をする場所である。区長室の隣の部展で操縦助役室と申しまして‥‥。
  727. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 部屋の中かね。
  728. 愛甲寛

    ○愛甲証人 そうです。ここでそういう政談演説のようなものをされたのでははなはだ困る。私自身もこういうようなところで、かつて車掌区の者を集めて訓示のようなことをやつたこともない、まして部外のあなたがこういう、所でやられたのでははなはだ迷惑します、やめていただきたい、こう申したのであります。ところが何か中野車掌区の方に対しては非常にお骨折りをかけたようだからごあいさつをしておるというような話である。とにかくごあい、さつか何か知らぬがここでやられると非常に迷惑しますから早速やめていただきたい。こう申し上げて私はそこを立ち去つたのであります。その後五分ぐらい過ぎて帰られた。
  729. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何のあいさつだつて
  730. 愛甲寛

    ○愛甲証人 何が中野車掌区の方がいろいろお骨折りになつたようだから、そのお礼にちよつとごあいさつというようなことであつた
  731. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 車掌連中が働いたからそれのお礼に來た、こういうのですか。
  732. 愛甲寛

    ○愛甲証人 そういうようなことを言つておられたと思います。
  733. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その日は忘れましたか。——ストの最中ですか、それともストあとですか。
  734. 愛甲寛

    ○愛甲証人 ストの済んだあとです。
  735. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 十日という人があるが、十日というのはストの最中だ。二度來たのじやないですか。
  736. 愛甲寛

    ○愛甲証人 その後にも來られたのです。その後は、これも日はちよつと記憶しておりませんが、何か私の方の大会か中鬪委員会をやつた時でありましたが、そのときにも今度のスト騒ぎで免職になつた者は入れないので、入れなければ建物のうしろに寝室があるのでありますが、その寝室の中でやらしてもらいたいということを組合の方から申し出て來たわけであります。ストに参加した者、つまり部外者を入れなければ許すということで許可したわけであります。ところが助役が盛んに前申したようなことを言つて來ましたから、私はこれは困つたなと思いましたけれども、だれも私よりほかに行つてとめる人はありませんから、勇氣を振つて出たわけです。そしてこれはやめてもらいたいと話したところが私どもの労働組合の連中が阻止して、そうして話をさせなかつた。とにかく私外へ出されたようなかつこうになつたわけです。
  737. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そして風早君が演説をやつてつた‥‥。、ところがあなたがあべこべに出された‥‥。
  738. 愛甲寛

    ○愛甲証人 そうです。
  739. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういう演説でした。
  740. 愛甲寛

    ○愛甲証人 内容は私聞かなかつた
  741. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは何の会でしたか。——労働組合としてはどういう会なんですか。
  742. 愛甲寛

    ○愛甲証人 これはあとで記録を見ればわかりますが、やはり鬪爭委員会か大会か、大分人が集まつてつたようであります。
  743. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたの車掌区では三鷹だとか、また中野の電車区から見ると、比較的共産党系の人は少いとかいうことを言つておりますが、それはどうですか。
  744. 愛甲寛

    ○愛甲証人 共産党であるかないかということは事実判別がつかないのです。これは聞いても言いませんし、私の認めておつたのは、二人か三人くらいであります。あと共産党に入つて、いるのか、入つていないのか全然見当がつかないような状態であります。
  745. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうことを、割合少いのだとか、三鷹の方が多いのだとか、そういうことは聞いておりませんか。
  746. 愛甲寛

    ○愛甲証人 そいつは見当がつきません。
  747. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それからその結果相当馘首者が出たようですね。何人出ました、あなたの方から‥‥。
  748. 愛甲寛

    ○愛甲証人 六十三名であります。
  749. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いや。このストの騒ぎでですよ。
  750. 愛甲寛

    ○愛甲証人 ストの騒ぎで馘首になりましたのは十一名であります。
  751. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは幾日に発表になつたのか。
  752. 愛甲寛

    ○愛甲証人 十日のたしか、午後の五時だつたと思います。
  753. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたちよつとし今おつしやつたが、免職させられた者はあいかわらす組合と連絡をとつたり何か騒ぎをしたりしておりますか。その事実はどうですか。
  754. 愛甲寛

    ○愛甲証人 それを盛んにやりますので、非常に困つております。
  755. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今でもやつていますか。
  756. 愛甲寛

    ○愛甲証人 まだやつております。
  757. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その馘首された者で、おもにやつている者はだれですか。騒ぐ者の親方、中心と見られるものは‥‥。
  758. 愛甲寛

    ○愛甲証人 私の見るところでは、岩崎君とか、我伊野君とか、それから早坂正雄、諏訪喜雄‥‥。
  759. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで十一日にようやくストがやんだようですが、スト中止になつた実情はどういうことなんですか。
  760. 愛甲寛

    ○愛甲証人 これは十一日に中止命令が出たのでありますが、組合の方では何か戰術轉換だというようなことで、そのストを中止するというようなことで鬪爭委員会とかあるいは大会を持つたようであります。
  761. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 戰術轉換だとすると、鬪爭はやめないが電車だけ動かす。こういうことですか。
  762. 愛甲寛

    ○愛甲証人 そのときに非常に心配したのでありますが、依然としてやはり業務管理はやるのだというようなことを言つてつたんです。
  763. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 スト中止の決議は何時ごろいたしましたか。
  764. 愛甲寛

    ○愛甲証人 これは午後の、たしか三時か四時ごろだつたと思いますけれども‥‥。
  765. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そんな遅いのですか。
  766. 愛甲寛

    ○愛甲証人 これは鬪爭委員会と大会と両方持つてつたようなことで、たしか三時か四時ごろだと思います。
  767. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが、その前に十一時ごろ総司令部からスト中止の命令が出たそうですな。それはあなたいつお聞きになりました。
  768. 愛甲寛

    ○愛甲証人 これは管理部長の方から電話が参りまして、時間ははつきりしませんでしたが、たしか十時半ごろだつたと思いますけれども‥‥。
  769. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで組合側のスト中止の決議をしたのはこの命令があつたためにやつたのですか。それとも命令の有無にかかわらず別にやつたものであつたのか。その点はお知りになりませんか。
  770. 愛甲寛

    ○愛甲証人 これは想像になりますけれども、やはりこの命令が大きな影響を來しているのじやないかと思うのであります。
  771. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで先ほど戰術轉換と言われたが、それはどういうようなことをやられましたか。
  772. 愛甲寛

    ○愛甲証人 それは旧交番でやつております。
  773. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それからそのほかは‥‥。
  774. 愛甲寛

    ○愛甲証人 旧交番だけであります。
  775. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 中野車掌区でほかよりか特にきわだつてここまで行つたのですが、中野車掌区がきわだつた根本原因はどこにあると思いますか。車掌たちの言い分では休養設備があなたの方は非常に惡い、こういうことが一つの原因だというのですが、そういうことは原因の一つとは認められませんでしたか。
  776. 愛甲寛

    ○愛甲証人 確かに設備は惡いのでありますが、そう直接の関係があるものとは考えられない。
  777. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 要求の中には、親交番制を実施してもこんな休養所ではとまることが多くなるから間に合わぬとか、そんなことはありませんか。
  778. 愛甲寛

    ○愛甲証人 私の方へは親交番の実施はそんなに仕事がえらくなるからいやだというようなことを一つも言つて來ない。行政整理の対象になるからいかぬというようなことで‥‥。
  779. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何かありますか。
  780. 大橋武夫

    ○大橋委員 まず風早代議士の來られたときの話をもう少し詳しくお聞きしたいのです。風早代議士はストが済んでから來られましたか。
  781. 愛甲寛

    ○愛甲証人 ストが済んでから來られました。
  782. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうするとそれは十一日ですか。それとも十二日ですか。
  783. 愛甲寛

    ○愛甲証人 ストが済んだあとです。
  784. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは十一日くらいだね。
  785. 愛甲寛

    ○愛甲証人 十一日ほまだごたごたしておりましたから‥‥。
  786. 大橋武夫

    ○大橋委員 それではそれはよろしゆうございます。そのときに車掌区に対して部外者の立入りを禁止しておつたということは事実ですか。
  787. 愛甲寛

    ○愛甲証人 事実であります。
  788. 大橋武夫

    ○大橋委員 それはどういう方法で告知してありましたか、張札か何かしてありましたか。あなたがただそうきめておつただけですか。
  789. 愛甲寛

    ○愛甲証人 これは東京鉄道局の方から命令があつたので、管理部の方で特に大きな板、二尺の二尺五寸くらいの板に、今回退職になつた者及び部外者は管理者の許可なしには入つてはならぬ。
  790. 大橋武夫

    ○大橋委員 そういうふうに書いてどこに張り出してありましたか。
  791. 愛甲寛

    ○愛甲証人 これは入口に‥‥。
  792. 大橋武夫

    ○大橋委員 どこの入口に‥‥。
  793. 愛甲寛

    ○愛甲証人 今の操縱助役の入る入口と、それから区長室の入口、もう一つは庶務の入口、三箇所に張つてありました。
  794. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると風早代議士が演説した場所に入る間に普通の通り道から行けば何箇所にその掲示が出ておりましたか。
  795. 愛甲寛

    ○愛甲証人 中野の駅の方から歩いて参りますと、操縱助役室が突当たりにあるのです。
  796. 大橋武夫

    ○大橋委員 どういう色で書いてありましたか。
  797. 愛甲寛

    ○愛甲証人 黒で書いてあります。
  798. 大橋武夫

    ○大橋委員 白木に黒。
  799. 愛甲寛

    ○愛甲証人 そうです。
  800. 大橋武夫

    ○大橋委員 それはよほど目の惡いお方でも見える程度に書いてありましたか。
  801. 愛甲寛

    ○愛甲証人 これは相当大きな字で書いてありますから‥‥。
  802. 大橋武夫

    ○大橋委員 それから共産党の町の中の掲示などにはちよつと読めないような字がありますが、そういう不体裁な字でなく、読みやすい字で書いてありましたか。
  803. 愛甲寛

    ○愛甲証人 読みやすい字で書いてありました。縱
  804. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると風早代議士もこれを見て読まれたら入られなかつた程度の掲示が出ておつたのでおりますね。
  805. 愛甲寛

    ○愛甲証人 そうです。
  806. 大橋武夫

    ○大橋委員 その次に指導助役があなたのところにどう処置しようかと言つて聞きに來たのですね。
  807. 愛甲寛

    ○愛甲証人 そうです。
  808. 大橋武夫

    ○大橋委員 そのときにあなたは断つてくれと言つて‥‥。
  809. 愛甲寛

    ○愛甲証人 そうです。
  810. 大橋武夫

    ○大橋委員 そのときにどう言つて断られたのですか。ここへ入らないでもらいたい、それとも演説をただやめてくれ‥‥。
  811. 愛甲寛

    ○愛甲証人 やめてもらいたい、こういうようなことを言つたと思います。
  812. 大橋武夫

    ○大橋委員 それで聞かないからあなたが行かれた。
  813. 愛甲寛

    ○愛甲証人 そうです。
  814. 大橋武夫

    ○大橋委員 そのときにあなたは風早さんにお会いになりましたか。
  815. 愛甲寛

    ○愛甲証人 会いました。
  816. 大橋武夫

    ○大橋委員 どうして風早さんだということがわかりましたか。
  817. 愛甲寛

    ○愛甲証人 前に演説も聞いたことがありますから‥‥。
  818. 大橋武夫

    ○大橋委員 そのときどういうごあいさつをなさいましたか。部屋から出てもらいたいということをおつしやいましたか。
  819. 愛甲寛

    ○愛甲証人 私はそのとき助役がただいまお断りしたはずでありますがということを冒頭言つたと思います。
  820. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうして中味は演説をやめてもらいたいということですか、この部屋から退去してもらいたいということですか。
  821. 愛甲寛

    ○愛甲証人 ここでは政談演説みたいなものは一切してはならないことになつておる。区長自身もこういうことでは全然話をしたことはありません。ましてや部外のあなたは‥‥。
  822. 大橋武夫

    ○大橋委員 その点はわかりました。あなたは管理部からの命令でその部屋に部外者を立ち入れることをとめられておつたわけですね。
  823. 愛甲寛

    ○愛甲証人 そうです。
  824. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたはその職務を執行されましたか。風早代議士は明らかに部外者ですから、その人に対して出てくれという要求をされましたか。
  825. 愛甲寛

    ○愛甲証人 要求しました。
  826. 大橋武夫

    ○大橋委員 要求された、それによつて初めて退去されたわけですね。
  827. 愛甲寛

    ○愛甲証人 さようです。
  828. 大橋武夫

    ○大橋委員 それであなたが出てくれと言つたことは、確かに風早代議士に通じていますか。最初のときは‥‥。
  829. 愛甲寛

    ○愛甲証人 最初よしていただきたいと‥‥。
  830. 大橋武夫

    ○大橋委員 さつきまではお話していたのを伺つておりますと——今ははつきりわかりますが、先ほどなどはお声が小さくてわかりませんでしたが、そういうようなことでは、通じないことはなかつたか、はつきり通じておりましたか。
  831. 愛甲寛

    ○愛甲証人 やめていただきたいと申し上げまじたところが、司会者に話をしてあるから‥‥。
  832. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはいつだね。最初のときは‥‥。
  833. 愛甲寛

    ○愛甲証人 最初のときはそんなこと言つておられなかつた‥‥。
  834. 大橋武夫

    ○大橋委員 二度も‥‥。そうするとあなたがはつきり風早代議士にやめてほしいということを言われたのですか。
  835. 愛甲寛

    ○愛甲証人 これはさえ切られながらやめていただきたいと言つたところが、風早さんが、司会者の許しを得て入つて來たのだ、司会者ではだめなんであります。管理職である私の承認なしにはだめなんですということを言つたのですけれども、二、三百人わいわいと騒いでいて‥‥。、
  836. 大橋武夫

    ○大橋委員 それでは通じたか通じないかわからない。その辺で逃れるつもりだなきつと‥‥。  それからもう一つお伺いしたいことは、ストが收まりまして、ただいまだんだん車掌区のお方も落着いて來られたと思うのですけれども、車掌区の今残つておられる人たち空氣は、このストについて非常にあのスト自分たちのために有意義なストであつた、こういう感じを持つておられるか、それともあのストはちよつとまずかつたという感じを一般に持つておられるようにあなたはおとりになつておられますか。あなたの御感想を伺いたい。
  837. 愛甲寛

    ○愛甲証人 それはストをやつて非常にまずかつたという感想を持つております。
  838. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると今では相当後悔している方が多い。そういう人たちが何かこのストをけしかけた人たちに対してどうもひどい目にあつたというような恨みがましい感じを持つている人もないわけでもなかろうと思いますが、その点はどうですか。
  839. 愛甲寛

    ○愛甲証人 非常に自己反省と申しますか、しておるものが多いように感じました。
  840. 大橋武夫

    ○大橋委員 よくわかりました。
  841. 神山茂夫

    ○神山委員 ちよつと愛甲さんにお尋ねしたいのですが、小渕沢にあるお身寄りの方はどんな関係になりますか。
  842. 愛甲寛

    ○愛甲証人 これは私の家内の父に当ります
  843. 神山茂夫

    ○神山委員 あなたのところに列車手の岡田という人はおりますか。
  844. 愛甲寛

    ○愛甲証人 おります。
  845. 神山茂夫

    ○神山委員 岡田君に何かお頼みになつたことがありませんか。
  846. 愛甲寛

    ○愛甲証人 岡田君には頼んだことはございません。
  847. 神山茂夫

    ○神山委員 なければないでいい。あるという人があつたときにはあなたのおつしやつたことがうそをついたということになるだけですから、お頼みになつたことがなければいいです。  それから考査委員会の調査部の人があなたのところへ行きましたな、調査員の人が。
  848. 愛甲寛

    ○愛甲証人 はい。
  849. 神山茂夫

    ○神山委員 いつ來ましたか。
  850. 愛甲寛

    ○愛甲証人 日は忘れました。
  851. 神山茂夫

    ○神山委員 今月へ入つてからですか、先月ですか。
  852. 愛甲寛

    ○愛甲証人 先月一回お会いしましたが、たしか今月だと思いますが、私どもの労働組合の方へ來ておられたことがある。
  853. 神山茂夫

    ○神山委員 先月おいでになつたのは、ストライキのすぐあとですか。
  854. 愛甲寛

    ○愛甲証人 自分は日ははつきり覚えておりませんけれども‥‥。
  855. 神山茂夫

    ○神山委員 まあ、先月で、そうしてストライキあとでしよう。まさかストライキの前には見えないだろうから‥‥。すぐあとですか、何か御記憶ありませんか。
  856. 愛甲寛

    ○愛甲証人 ちよつと記憶がありませんですな。
  857. 神山茂夫

    ○神山委員 要するに二回、そうして一ぺんは先月‥‥。
  858. 愛甲寛

    ○愛甲証人 二回目のときは労働組合の方に尋ねて來ておつたので、そのときは岩崎君が部屋の中に入つてつてつたのであります。そのときに一應注意をしたのです。これはこういう方が見えてそういうお話をされるなら、一應私のところへ承認を受けに來い。何でもかんでも断るというものではないのだということを注意のために言つたときに、調査員の方にちよつとお会いしました。
  859. 神山茂夫

    ○神山委員 一回目にお会いになつたときはどんな話をなさいました。
  860. 愛甲寛

    ○愛甲証人 最初のときは先ほどいろいろお話がありましたが、ストの経過等についていろいろお尋ねがあつたわけであります。
  861. 神山茂夫

    ○神山委員 それはそれでけつこうです。  本委員の決定する前にどなたの指示か知らないが、調査員がだれかに指示されてやつたと思うのだが、こういう事実が続々と上つて來るのは考査委員会の建前上調べておかなければならぬ。これだけはつきりしておけばいいと思います。  それからあなたは先ほどから建物がバラツクだとおつしやつておりますが、從業員側からこのバラツクを何とかしてくれというような要求が出たことはありませんか。
  862. 愛甲寛

    ○愛甲証人 これは從業員の方からも出ておりますし、私自身も現在のバラツクでは非常に困るというようなことから、管理部長にも、あるいは東京鉄道局の方にも何とか新しい車掌区を建ててほしいということは再三申し上げておる。
  863. 神山茂夫

    ○神山委員 それから今度は從業員側からせめてその家ができるまで雨漏りはなくしてくれというような要求が、あなたの方に行つたことはありませんか。
  864. 愛甲寛

    ○愛甲証人 そういう話がありまして、関係の建築の方に書面あるいは口頭でお願をしております。
  865. 神山茂夫

    ○神山委員 区長さんとしては、新築とか雨漏りの修繕等についてはいろいろ手続きをされたでしようが、組合側が今度の爭議に入る前に出している四つの要求の中に、廳舎を早くつくれ、その間雨漏りをあすにでも直せ、もう梅雨の時期も迫つておるからと、こういう要求が出たことは御記憶ですね。
  866. 愛甲寛

    ○愛甲証人 これは組合の方から直接私の方にそういう話を持つて來たことはないのです。これは区長の方を介さずに、直接管理部長の方に話を持つて行つたようであります。
  867. 神山茂夫

    ○神山委員 あなたは先ほど委員長から組合内の活動を聞かれた際に、非常に詳しかつたから、多分このぐらいのことはあなたが担当しておることでもありましようし、管理部長に言つたにしても御承知だと思つて聞いたのです。第一次の要求の中にも第二次の要求の中にも必ず廳舎の問題と雨漏りをすぐ直せという事実が出ておることは認めますか。雨漏りしていることは認めますか。
  868. 愛甲寛

    ○愛甲証人 屋根の雨漏り、廳舎を新らしく建てていただきたいという問題は、十分よく承知しております。
  869. 神山茂夫

    ○神山委員 それで先ほど委員長のあなたに対する質問は非常に片手落ちで、何か六月九日のストライキが急に起つたように印象づけるために行われているような氣がする。なぜかと言えば、非常に大事な意味を持つている六月六日の團体交渉が、全然触れられていない。この團体交渉があつたことはあなたはお認めになりますか。
  870. 愛甲寛

    ○愛甲証人 管理部長との團体交渉‥‥。
  871. 神山茂夫

    ○神山委員 業務課長もおりましたね。
  872. 愛甲寛

    ○愛甲証人 はあ。
  873. 神山茂夫

    ○神山委員 そこにあなたは出ていらつしやいませんでしたか。
  874. 愛甲寛

    ○愛甲証人 六日の團体交渉には出なかつたのです。
  875. 神山茂夫

    ○神山委員 全然出ていませんか。
  876. 愛甲寛

    ○愛甲証人 四日の日に業務課長が見えまして、そうして先ほどお話したように、二時から十時ごろまで、新交番を拒否してもらいたい、引つこましてもらいたいという話をしたときに、これは六日に團体交渉がある予定になつておるから、その席上で、君たちのそういう眞撃な要求を言つた方がいいじやないか。ここで課長にいくら言つたところで、課長自身としてもどうにもならない問題だ、課長も区長と同じように命令を受けてやつている仕事であるので、課長自身も、これをそのまま引つこましてしまうようなことはできない。だから團体交渉をやるのは六日の日だから、その日に言つた方がいいのではないかというようなことも、四日の日に出ております。
  877. 神山茂夫

    ○神山委員 それはよく承知しておりますが、今お尋ねしているのは、六日の管理部長との交渉の際にあなたがいらつしやつたのか、いらつしやらないのか。私の方の調べたところでは、あなたがいらつしやつていることになつているのですが、いらつしやつておらなかつたならばそれでよろしいのだが‥‥。
  878. 愛甲寛

    ○愛甲証人 私は六日には行つておりません。
  879. 神山茂夫

    ○神山委員 絶対問違いありませんね。
  880. 愛甲寛

    ○愛甲証人 絶対間違いありません。
  881. 神山茂夫

    ○神山委員 それではお尋ねしますが、五月二十七日に、電車区の諸君と話し合いになりましたね。そのときにあなたは、新交番の問題は電話でお受けになつたと先ほど仰せになりましたが、そうでしようか。
  882. 愛甲寛

    ○愛甲証人 管理部の方から六月一日から実施しろという電話を受けたわけであります。
  883. 神山茂夫

    ○神山委員 電話が、あなた方の方では実際上文書に似たような関係を持つのでしようが、しかしさらにそれをはつきりと文書で示してくれというようなことはなかつたのですか。
  884. 愛甲寛

    ○愛甲証人 それが三十一日に電報で、六月一日から実施しろということを言つて來たのです。
  885. 神山茂夫

    ○神山委員 それで二十七日の交渉の場合に、いろいろ話はいたしましたでしようが、組合側では、あなたがまだ正式業務命令ではないからすぐ新交番にはしないというふうに言われたと言つているのですが、そういうことはありませんか。
  886. 愛甲寛

    ○愛甲証人 これは最初の予定が六月一日で準備しておつたわけですが、それが今の二十七日の電車班の大会に、まだ正式の命令は出ていないのだからということで、命令の來るまで一時留保しようと申したのです。
  887. 神山茂夫

    ○神山委員 そういうようなことをおつしやつたわけですね。ところが三十一日に電報が來た。從つてあなたとしては、今度は業務命令が來たのだから、どうしてもやらなければならない、こういうふうにおつしやつたわけですか。
  888. 愛甲寛

    ○愛甲証人 はあ。
  889. 神山茂夫

    ○神山委員 それであなた方専門家の立場から考えて、新交番を実施するためにはどのぐらいの日数がいりますか。あなたのところでは五日ぐらいかかりますか
  890. 愛甲寛

    ○愛甲証人 新交番に完全に移るまでには三日かかります。
  891. 神山茂夫

    ○神山委員 それで二十七日と三十一日の間に、あなたのおつしやつたことが、初めは電話命令であつてあとは正式に電報で命令が來たので、あなたはそれを守られたので、惡い言葉で言えば官僚的、普通で言えば法律を守られたというわけですが、当然あなたが一生懸命やろうとされたことはわかりますが、組合側の方から言えば、区長のこの間言つたことが今度はひつくり返つたということに受取られても仕方がないというようなこともあるわけですね。組合側ではそういうふうに受取つている。その点いかがですか。
  892. 愛甲寛

    ○愛甲証人 その点、私も困りまして、正式の文書で局あるいは管理部の方からもらつた方が仕事がやりいいというようなことで、局及び管理部の方に頼んだのであります。
  893. 神山茂夫

    ○神山委員 そういようなことがはたから見てすつきりしなかつたのでしようが、さらに五日の晩のことですが、組合の諸君に言わせれば、五日の晩にはあなたに泣いて頼んだと言つておりますが、泣いて頼みましたか。
  894. 愛甲寛

    ○愛甲証人 泣いて頼んだ者もありした。
  895. 神山茂夫

    ○神山委員 先ほどのお話のように、あなたの子供さんたちには大分心配させたかもしれませんが、頼んでいる諸君にしてみればあなたをほんとうに親のように思つているかもしれない。從つてあなたに泣いて頼んだということもあなたはごらんになつたわけですね。
  896. 愛甲寛

    ○愛甲証人 見ております。
  897. 神山茂夫

    ○神山委員 その場合にこれは何もそのときそうだつたからというのであなたにどうこう言うのではないのだが、組合側は、あなたがやはりその場合自分たちの事情をよく聞いてくださつて、そして新交番の実施が相当にむりだというふうなことをあなたもおつしやつたと言うのだが、そういうことはありませんか。
  898. 愛甲寛

    ○愛甲証人 これは先ほど申し上げたように、新交番に、反対したのは行政整理の対象になるんだというのが、私の方の組合の大きな反対の理由だつたわけです。それで内容についてはこういうようなことになるというようなことは言つて來なかつたわけです。
  899. 神山茂夫

    ○神山委員 でもあなた自身も五日の日にはやはり首切りになるということを認めたというふうに、組合員諸君は言つているけれども、どうですか、そのときにとらわれず、結果から見ても首切りになつたじやないですか。この点あなたはどういうようにお考えになりますか。
  900. 愛甲寛

    ○愛甲証人 これはむりにこじつければ行政整理に関連がないとは言えぬと思いますけれども、実際に新交番制の実施はほかに目的がありましたんで、行政整理と別にこれは出されたものでありますから、これを実施するしないはそのあとに來る行政整理とは関係はないんだというふうなことを、私自身も説明したこともあります。
  901. 神山茂夫

    ○神山委員 そこであなたはそうおつしやいますが、組合員諸君の方では、あなたも組合員とともに泣かれたということを言つている。また今の問題につきましても、あなたがある程度まで認めてくれたということも言つているのですが、しかし今になればあなたは脅迫された、こわかつたということを主としておつしやつているわけです。それはそれでいいのですが、六日の日は相当重要なんですが、さつきから六日のことを聞きたいと思つたが、委員長もひとつも聞かれないのでこまかな点まで聞きたいのですが、これはまたほかの人から聞いてもらいたいが‥‥。
  902. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 六日は出勤していない。
  903. 愛甲寛

    ○愛甲証人 六日には管理部の交渉に出ております。
  904. 神山茂夫

    ○神山委員 それからひとつ、これはあなたが直接関係していらつしやることでないので、聞くべきではないことを委員長が聞いたので、私聞いてみたいのですが、実力行使の開始されたのが十日四時十分でそれから実際行われたわけですね。それからそれが打切られたときは十一日十一時二十分だつた、この事実はあなたは御承知ないですか。
  905. 愛甲寛

    ○愛甲証人 電車の方へ車掌が乘り出したのはたしか十七時ごろだつたと思います。
  906. 神山茂夫

    ○神山委員 しかし組合側としては一應あなたがさつきおつしやつた戰術轉換ということをもう十一日にきめまして、十一時二十分にははつきしりと実力行使をしないということを、打切るということをきめているわけなんですね。これはまたあとであなたも組合員からよくお聞きになるといいのですが、そうしますと、先ほどあなたのおつしやつた連合軍司令部の意向がエーミス中佐によつてはつきりされたのが大体十一時というふうに言われておりますが‥‥。
  907. 愛甲寛

    ○愛甲証人 これは時刻はもう少し遅れておつたかもしれませんが‥‥。
  908. 神山茂夫

    ○神山委員 そうでしよう。あなたの方に達したのは遅れておる。東京が十一時、神奈川が十二時‥‥。
  909. 愛甲寛

    ○愛甲証人 決議は三時ごろにした、こういう‥‥。
  910. 神山茂夫

    ○神山委員 決議が十一時二十分だということをぼくは言つているのだ。申入れしたのが‥‥。
  911. 愛甲寛

    ○愛甲証人 大会が三時ごろやつた
  912. 神山茂夫

    ○神山委員 だから君が聞いていることをはつきしりさせるためにぼくは聞いている。今の時間の点がはつきりすれば組合が自主的にスト態勢そのものをやめようとしていたことがわかる。あなたが先ほど進駐軍の命によつてやめたとおつしやつたのだが、こういう事実がはつきろすれば、どちらが正しかつたかもはつきりするからいいのです。最後に一つあなたに確認願いたい点は、結局あなたは今度乘車するに当つては旧交番で行く、これはあなたおつしやいましたね。その点責任を持つて言えますか。
  913. 愛甲寛

    ○愛甲証人 これが今の大会で旧交番でやるんだというような決議つたのであります。
  914. 神山茂夫

    ○神山委員 そうでしようが、しかし同時にその決議にはこういう意味のことがついていた。これはお聞きにならないですか。吉田内閣の挑発に乘らないために、当局の出した新交番に対しては、結論を出さない。やるとか、やらないとかいう意思表示をしていない。それをあなたは聞きませんか。
  915. 愛甲寛

    ○愛甲証人 それは聞きませんでしたね。
  916. 神山茂夫

    ○神山委員 いずれあと組合員側から聞きますからいいですが、この点もひとつあなたが將來御研究になる必要があると思います。  最後に、十日の初電からストに突入した、これはわかり切つたことですが、進駐軍連結の電車だけは動いていた、これはあなたは御承知ですな。
  917. 愛甲寛

    ○愛甲証人 はあ。
  918. 神山茂夫

    ○神山委員 ところが九時から、八王子駅で管理部員や公安官が相当の数の電車——名前を一々言いませんが、その車掌に対して下車を命じて、下車を拒否した者は業務命令違反であるといつてひつぱりおろそうとした、こういうふうなことがあつたことはお聞きになりませんか。
  919. 愛甲寛

    ○愛甲証人 先ほどお話したように、私ホームにおりませなかつたものですから、実際の状況はわかりませんけれども、何か貨物列車に管理部の者が車掌のかわりとして乘つてつた。それを私の方の労働組合の者が、これは車掌じやないのだろうというので、私の部屋まで連れて來て、私ちようど不在だつたものですから、何か私の方の主席助役と話合いをしたということはあとで聞いたのでありますが、これは管理部の者が乘つてつたので、私の方の労働組合の者がそれをおろして区長室まで連れて來たというような話なのです。
  920. 神山茂夫

    ○神山委員 私が今聞いたのはそれと違つて、列車の番号を読むのはめんどくさいから読みませんけれども、約八本ばかりの電車に乘つてつた車掌たちをひつぱりおろそうとした。これはあなたはホームにもいらつしやらない。いわんや、これは八王子に起つたことですから、あなたは御承知ないかもしらないが、こういうことを報告なり、あるいは事実として傳えられたことはありませんか。
  921. 愛甲寛

    ○愛甲証人 そのことについては実際私は聞いておりませんでした。
  922. 神山茂夫

    ○神山委員 それと関連したことなのですが、四三五列車、これに車掌が乘つていないで発車しようとした、そういうふうなことはありませんか。
  923. 愛甲寛

    ○愛甲証人 これは新宿でありますか。     〔「場所を聞いているのだ」と呼び、その他発言する者あり〕
  924. 神山茂夫

    ○神山委員 場所はどこで起つたか知らぬ。
  925. 愛甲寛

    ○愛甲証人 もし新宿であつたら、私はよくわからないのですか‥‥。
  926. 神山茂夫

    ○神山委員 それじやもつとはつきり言いますが、二十時二十分、中野駅、國家警察官が四、五十人乘つた四三五列車、それに車掌が乘つていなかつた、そういうことは御承知ないですか。
  927. 愛甲寛

    ○愛甲証人 四三五とはつきり言われますと、ちよつと返事に困るのですけれども、何か私の方の車掌が乘つておらないというようなことで列車に飛び乘つて、列車を停止せしむる手配をした。これは夜でしたが、そういうような報告をあとで聞いたことがあります。
  928. 神山茂夫

    ○神山委員 区長さんとして、列車に車掌が乘らないで発車するというようなことはどうなのですか。
  929. 愛甲寛

    ○愛甲証人 これもあとで聞いたのでありますが、車掌は乘つてつたのだそうです。これは中野で聞いた話なのですけれども、その前に大分車掌がおろされるようなことがあるので、中野では危いというので、客室の中に入つてつた。そして助役さんが、出発しても差支えない状態になつたの車掌に知らした。それを確認してその車掌、が出発の合図をして出した。そこで私の方の車掌が、車掌室に車掌が乘つておらぬというようなことで、乘つてとめたということをあとで、聞きました。
  930. 神山茂夫

    ○神山委員 それじや乘つてとめようとした人は、車掌が中に入つておるのでそれがわからないために、自分が乘つたわけですな。(発言する者多し)それからあなたのところの主席助役さんは何といいますか。
  931. 愛甲寛

    ○愛甲証人 山田。
  932. 神山茂夫

    ○神山委員 この人はどこから轉勤して來ましたか。
  933. 愛甲寛

    ○愛甲証人 これは八王子の駅から來ました。
  934. 神山茂夫

    ○神山委員 この人についていろいろのうわさを私どもは聞いているばかりでなく、事実も持つているのですが、この人があなたの下にいることが、從業員諸君の意思を、あなたに疎通させないとか、あるいは從業員が区長さんや助役さんに対して、あなたのところは助役さんが九人いるけれども、それに対してさつぱりしない氣持を持たせる一つの原因になつていはしませんか。
  935. 愛甲寛

    ○愛甲証人 私はそう考えておりません。
  936. 神山茂夫

    ○神山委員 それじや、山田君についてのいろいろのうわさを御承知ですか。
  937. 愛甲寛

    ○愛甲証人 聞いたことはない。
  938. 神山茂夫

    ○神山委員  一番初めにあなたに聞いたのも、あなたもおわかりだろうけれども、実はあなたについてもいろいろうわさがある。山田君にもいろいろうわさがある。こういうことはやはり組合員諸君がいろいろ折衝するときに、あとから見ればお互い言い分はあるかもしれないが、興奮している中で、お互い約束したことがかわつて來るといつた場合に、お互いが対立的になる一つの條件になつていはしませんか。そういうことは全然ないとおつしやいますか。     〔発言する者多し〕
  939. 愛甲寛

    ○愛甲証人 私あるいは山田主席助役に何か評判がある、それを認めるか、こういう‥‥。
  940. 神山茂夫

    ○神山委員 そういうやぼなことは言わない。そういうことを言うんだつたら私はたくさん言うことを持つている。しかしそういうことを言つて、あなたは別としても、山田君の名誉を傷つけようなんという氣はない。そうでなくて、今私が指摘したように、二十七日の約束と三十日とうまく行つてない。そうでしよう。初め電話命令があつた。それを電報で確認して來た。電話つたらあなたはまだ含みがあると思つて言うたことと、三十日に電報で正式命令が來て、態度を違えなければならぬ。そうでしよう。それから四日の態度と六日の態度は、管理部側の態度が違つている。管理部は六日には、新交番の問題は一時延ばそうと、あなたに業務命令を出している。九日になつたら交渉が決裂してくる。こういうふうないろいろなお互いの意思の疎通を欠いて対立を深くすることが一方にあつて、その中の小さなものとして、あなたや主席助役に関するいろいろなうわさが絡まつておれば、自然さつぱりとした氣持で問題が運ばなかつたんじやないかという氣持で、附随的な氣持で取り上げている。決してうわさを取り上げて國会であなた方に言うような氣持は毛頭ありませんから、私は大まかに全体として十分意思の疎通がなかつた、交渉の経過が非常にジクザグといいますか、電光型に揺れて來ておる、こういうことがあつた。あなたの場合としましても二十七日におつしやつたことと三十一日と違いますし、五日の晩に從業員におつしやつたことと、國会の考査委員会において言われたことと違いますし、いろいろつらいこともあつたでしようが、そういうようにすつきりしたものをお互いの間に與えなかつた、この点だけをしお認めになりますか、こう言つておるのです。
  941. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうことがあつたかないかをお答えになればよろしうございます。     〔発言する者多し〕
  942. 愛甲寛

    ○愛甲証人 あつたかないかでなくて、それは今おつしやつたことが、ストに関係があるのではないかというような‥‥。
  943. 神山茂夫

    ○神山委員 いやいや、そういう大きな問題でなく、お互いの話がうまくぴつちりついていないで、きめたことが何べんもひつくり返つておるのが、九日に決裂する場合も一つの條件になつてないかということを言つておる。
  944. 愛甲寛

    ○愛甲証人 そうは考えておりません。
  945. 神山茂夫

    ○神山委員 これ以上惡いことは言いません。
  946. 石田一松

    ○石田(一)委員 さき神山委員がお尋ねしたことですが、この委員会の調査員が今月になつて組合に來た。そのときにその調査員は組合の部屋に入つたり構内に入つたりしておるのですが、そのときには部外者の立入禁止の札は出ていないのですか。
  947. 愛甲寛

    ○愛甲証人 そのときは出ておつたんです。出ておつたので私の方の助役がその入つて來られた方に、あなたはどちらさんですか、こういつて聞きましたところが、こういう者だといつて名刺を出された、こういうような用件で來たんだ、その旨私の方に持つて参りました。そういう方ならばというので私承認したわけです。
  948. 石田一松

    ○石田(一)委員 あなたが許可なさつた‥‥。
  949. 愛甲寛

    ○愛甲証人 そうです。
  950. 石田一松

    ○石田(一)委員 しかしあなたがさつき組合側の岩崎と会つて話をしておつた。そのときにあなたはだれもかれも断るというのではないのだ、部外者でも人によつたらお入れするのに一ぺん断つてくれなければ困るじやないかということをおつしやつた証言なさつたでしよう。
  951. 愛甲寛

    ○愛甲証人 それは岩崎君は入つてならない、つまり免職者なんです。
  952. 石田一松

    ○石田(一)委員 岩崎君自身にそうおつしやつた‥‥。
  953. 愛甲寛

    ○愛甲証人 そうです。
  954. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうすると入つたあとからでも衆議院か何かの名刺を出して私はこういう者だと言えば事後でも承諾はしてもらえるのですね。入つてさしさわりないとか、さしつかえないことがあれは、入つたあとからでも名刺を出してこういう者だという御了解を得れば、あなたはこの人ならいいだろうとお考えになればいいわけですね。立入禁止は‥‥。
  955. 愛甲寛

    ○愛甲証人 入られる前にやるのが原則なんです。
  956. 石田一松

    ○石田(一)委員 しかしこの場合は例外的にこうなさつた‥‥。
  957. 愛甲寛

    ○愛甲証人 そうです。
  958. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 済みました、御苦労さまでした。     —————————————
  959. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ただいま、お見えになつておる証人の方は鈴木清さん、岩崎博さん、青柳正雄さん、これより國電スト問題について証人の方々より証言を求めることにいたします。  証言を求める前に各証人に一言申し上げます。昭和二二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証書等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係にあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき及び医師、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて默秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないこととなつております。しこうして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一應このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。  それでは鈴木さん、代表して読んでいただきたい。     〔証人鈴木清君各証人代表して宣誓
  960. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 署名捺印を願います。     〔各証人宣誓書に署名捺印
  961. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 証言を承ります順序は鈴木さん、岩崎さん、青柳さんの順序でありますから、鈴木さん以外の方はしばらくもう一ぺん元の部屋でお待ちを願います。     —————————————
  962. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 鈴木清さんですね。
  963. 鈴木清

    ○鈴木証人 そうでございます。
  964. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは國鉄にお勤めのようですが、國鉄のどこでどういう役をやつておりますか。
  965. 鈴木清

    ○鈴木証人 現在は東京鉄道局八王子機関区電気機関士の職でございます。
  966. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは國鉄労組の八王子支部の執行委員長をやつておられるそうでありますが、そうですか。
  967. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点につきましては、省電問題の当時はやつておりました。しかしながら六月の十四日支部委員会におきまして辞任いたしました。
  968. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いつからおやりになつておりましたか。
  969. 鈴木清

    ○鈴木証人 支部の委員長を勤めました時期は、たしか昨年の十一月一日からやつたと記憶いたしております。
  970. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると二十三年十一月一日から、二十四年六月十四日までですね。
  971. 鈴木清

    ○鈴木証人 そうです。
  972. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうわけで辞任せられたのでありますか。
  973. 鈴木清

    ○鈴木証人 辞任の問題につきましては今回の省電事件の問題が主たる原因でございまして、いろいろ申し上げれば長くなると思うのでございますが、その内容を‥‥。
  974. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大体でよろしゆうございます。
  975. 鈴木清

    ○鈴木証人 これは私の考えでございますが、今回の省電事件にからみまして八王子支部の第六回、第七回鬪爭委員会のその内容の問題につきまして、実は当時私支部の責任者といたしまして、いささか自分らの考えと違つた方向の決定があつた。それらの主たる原因につきましても、私が当時の八王子支部における責任者であつたという建前から、それらの責任を一應とるという意味において辞任したわけでございます。
  976. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 東京鉄道管理局内では五月の末からいわゆる新交番制の実施に当つていろいろな問題が起きたようでありまするが、あなたの八王子の車掌区では六月の一日から命令通りこれを実施したようですが、ほかの方面ではいろいろこれに反対があつてごたごたしたということですが、それは御承知ですか。
  977. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点につきましては八王子管理部の管内に三つの車掌区がございます。一つは中野車掌区、一つは八王子車掌区、一つは立川車掌区でございますが、この三つの車掌区のうち立川車掌区及び八王子車掌区は六月一日から新交番によつてつたということを聞きました。
  978. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 中野はどうして乘らなかつたのでしよう。
  979. 鈴木清

    ○鈴木証人 中野が新交番乘務しなかつた点につきましては、実は私ども支部に執行委員長としておりまして、五月の末ごろから、來るべき六月一日からの新交番の問題につきましては、中野車掌区の労働組合と、それから管理側である八王子管理部との間で、あるいはその上局である東京鉄道局長との間におきまして、新交番乘務問題でいろいろな交渉をやつておるということを聞いておりました。しかしながら六月一日からなぜ乘らなかつたかということにつきましては、はつきりした私ども原因を実は六月一日現在には聞いておりませんでした。
  980. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 反対の根本原因はどこにあつたかお知りですか。
  981. 鈴木清

    ○鈴木証人 反対の根本原因につきましては、これは私の観測でいございますが、当然この親交番乘務問題につきまして、その後六月一日以降でございますが、管理者側と私ども八王子支部といたしましても若干の話合いをいたしました。それらの話合いの内容を通じて私の考えを申し上げるわけでございますが、もちろんこの問題につきましては労働組合側の意向と当局側の意向と相当内容を異にしておつたということはございます。で二つの意向があるということを考えております。  それで労働組合側の意向は、私どもが聞いておりました点につきましては、まず第一番に行政機関定員法が國会を通りまして、それが近く実施されるであろうということを当然われわれは感知いたしておりました。從つて労働組合側といたしましたならば、旧交番から新交番に移ることによつて、そこに人的余裕ができる。從つてこの余裕ができることは、この行政機関定員法によるところの首切りの第一段階をなすものである。こういう考えから労働組合側としては反対しておつたというぐあいに私ども感じておりました。  次に管理者側の考えでございますが、管理者側といたしましては、私どもその後いろいろ聞いたわけでございますが、この六月一日からの新交番制の移りかわりの件につきましては、実は時期が六月一日というように遅くなつておるような状態で、定員法による行政整理が接近して、組合の言うことも一應わかるけれども、しかしながらこの新交番の件につきましては、はつきりした時日は忘れたのでございますが、今年になつて行われたところの官吏の四十八時間勤務制の問題、このときにたしか乘務員もともどもに四十八時間といつたようなレベルになおすべきであつたけれども、これはやはり乘務員はすぐ明日から新交番に乘ることは当然できない。その関係におきましていろいろダイヤといつたようなものも組まなければならぬ。そういう状態からそれがただ時間的にずれただけであつて、それに対しましてたまたま六月一日になつて新定員法による首切りの時期に接近したというわけで、組合側がそういう誤解をするのはやむを得ない。けれどもこれは行政整理とは全然別個のものであるという考えを実はしておりまして、いわゆる四十八時間右へならえといつたように考えて、今まで遅れて來たのでやるんだということをたしか主張しておつたように記憶しております。
  982. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが立川や八王子は、それを難なく受入れたのに、中野だけがそういうことで紛爭を起したというこがわれわれにわからぬのだが、これはどういうところから起つたのか。
  983. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点につきましては、私も支部の責任者といたしまして、中野車掌区及びこれと立川あるいは八王子車掌区が、片一方は新交番に乘り、片一方は旧交番を固執しておつたということにつきましては、やはり交番の内容も相当関連があるということを考えておりました。と申し上げますことは、新交番によつてたとえば八王子車掌区が、現在車掌が百人いると仮定いたします。その場合皆さんよく御存じかどうか知りませんが、交番というものは車掌が百人おつても、全部が全部毎日乘るという状態には仕組まれておりません。たとえば九十人が乘る状態にあつてあとの一割である十人は予備といつたような状態におかれておると。交番というものはこういうような状態にあるということをわれわれは知つておるわけであります。それで立川車掌区と中野車掌区がどういうわけでそういう見解、——中野と八王子車掌区とどうしてそういうかわつた状態が出て來たかと言いますことは、この交番の変更の場合、たとえば中野車掌区が新交番に移ることによつて今までちようど一ぱいだつたものが約二割ぐらい余つて來た。ところが八王子車掌区は今までやはり一ぱいだつた。ところが新交番によつて一割しか人間が余つて來ない状態であるといつた場合に、ある程度の見解の相違がこの場合に出て來るものだろう、そういうぐあいに考えておりました。
  984. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなた方でも行政整理の前提であるといつて相当不安に思つておりましたか。行政整理とは全然関係のないものであるということを考えておりましたか。
  985. 鈴木清

    ○鈴木証人 この点ははなはだ重要な点でございまして、当時私が支部の委員長をしておりまして、この問題がはたして分会車掌区労働組合の言うがごとき状態であるか、あるいは管理者側の言うところのような状態であるかということにつきましては、やはり双方とも一理があるという考えを実は持つてつたわけでございます。しかしながら私の考えといたしましてはやはりわれわれも労働組合の役員といたしまして、当然各分会の声を傳える。もしくはこの交番の点につきましては、当局の言いましたところの時間的なズレだけでそういう状態になつたので、行政整理の一環ではないということも、一部はわかるのでございます。しかしながらやはり時間的にそこまで持つて行つたということ、もしくは八月一日に時刻改正があるということを知りながら、どうしても六月一日にそれを強行しなければならないという事態、これらのいろいろな諸問題を考えましたときに、やはり何らかある程度の行政整理というものに対して関連性があるであろうということを当然私どもは私どもの立場において考えておつたわけであります。
  986. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それについてあなた方として関連のないということを、八王子やあるいは立川は承知したのですから、関連があるとすれば八王子や立川も承認しないものと思いますが、関連のないということを確認されるのでありますか。
  987. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点さつき私が申し上げた中野車掌区と立川及び八王子車掌区の間に見解の相違が出て來た。その点でございますが、立川車掌区あるいは八主子車掌区におきましてもこれが確かに行政整理の一環でないという考えのもとに新交番乘務したものではないと私どもは考えております。ただいおいろな関係で中野車掌区ほど大きな打撃と申しますか、動揺がなかつたという状態から、またその組合に属しておりましたところの組合員あるいは役員の考え方の深さ。浅さの度合いによつて、そういう考えも出て來たのではないか。しかしながら今申し上げました通り、立川車掌区あるいは八王子車掌区におきましても、これは行政整理の一環ではないのだ。ただ時間的のズレである。当局の言う通りであるといつたような考えのもとに新交番に乘つたとは断じて考えられないと私は思つておりました。
  988. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで六月三日に東鉄車掌区連合会というものが持たれて、そこで相当激烈な確認決議がされたようでありますが、これは御承知ですか。
  989. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点につきまして、ただいま委員長の言われましたごとく、六月三日に東鉄車掌区連盟と申しますか協議会と申しますか、そういう種類の会合がございまして‥‥。
  990. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どこでやりました。
  991. 鈴木清

    ○鈴木証人 今申し上げます。その点につきまして、私その会の性格あるいは目的あるいは当時会合をやつた場所、時間等、またどういう人間が集まつたということにつきましては、はつきりした話を聞いておりませんでした。それで相当後になつて、実は省電スト前後になりまして、そういう話を二、三承つたという程度でありまして、そのときは深くその問題につきましては、関心を持つていなかつたわけでございます。從つて今御質問のありましたように、どういう性格の人間がどれだけ、いつ、どこに集まつたということに対しましては、はつきり聞いておりません。
  992. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 決議の内容は御承知でしよう。それも御承知ないですか。
  993. 鈴木清

    ○鈴木証人 決議の内容につきましては、時間的にいつだからよつと忘却いたしましたが、たしか相当後になつてそういう会に、実は親交番に乘らないといつたような相談があつたという程度で聞いただけでございまして、こういうぐあいにはつきりきまつたのだ。それをあるいは支部あるいは本部に持つて行つて、こうするのだというようなことを、はつきり聞いておりません。ただそういう種類の会合であつたということを、相当後に聞いたわけでございます。
  994. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 六・九聞鬪爭計画は御承知ですね。
  995. 鈴木清

    ○鈴木証人 知つております。
  996. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その七十ページに六月三日十一時、東鉄連絡会を開催、(中車)千葉車掌区出席、指令(一)新交番を実施しているところは力関係で乘務管理に入る。(二)現行のところはそのまま押す。(三)電車連盟、機関車職務に共鬪を申し込むことを確認した。こうへなつております。これは御承知ですか
  997. 鈴木清

    ○鈴木証人 ただいま委員長の御質問のありました当時の会合におけるこまか、決定事項につきましては、私、当時八王子支部におりまして何ら聞いておりません。
  998. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが、いよいよ六月九日になつてストに突入することになつたのですが、この点について、どうして突入するに至りましたか、御承知なら承りたいと思います。
  999. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点につきましては、実はこれは六月九日に入るまでのいろいろないきさつがあつたと考えらます。院人参ない寺、ぐつがありた〕こ考、え、ら、れます。それで八王子支部といたしましては、実は六月六日に対管理部との中野車掌区の新交番乘務問題につきまして團体交渉を持つたわけであります。当時私は東京地方評議会という一つの会議におきまして、共同鬪爭委員会が開催されますのでそれに出席いたしました関係上、副委員長並びに書記長に後を託しまして出かけました。大体その交渉はお晝ごろからたしか七時ごろまでやつたというようなことを後ほど帰つて聞いたわけでございまして、その交渉の内容は私が直接耳にしたものではございません。あとで開いた程度でざいます。その交渉の内容は新交番に乘る、乘らないの問題、あるいは行政整理の一環である、ないの問題で相当もめたということを実はあとで聞いたわけであります。そこでやはり何とかしてこの問題の解決点を見出さなければならない、私六月六日に僻帰つて参りましてすぐこういうことを考えまして、とにかく何とかしこの問題について、対管理部との交渉を持ちたい、こういう考えから六月九日に再び対管理郡との交渉を持つたわけであります。そこで新交番の件をめぐりまして当局側の見解あるい組合側の見解、両方の見解の相違点が、依然として六月一日におきましても並行線となつて出ておる、こういう段階で実は團体交渉をやつてつたわけでございます。ところがたまたま摸皆様御承知の通り東神奈川車掌区、あるいは東神奈川電車区というものが、たしか團体交渉をやつている席上、お晝近くであつたと考えますが、そのころにストに入るという話を聞きまして、それから会話の状態は俄然險惡の度を加えまして、当時團体交渉をやつておりましたところの中野車掌区の組合員の、一應この会議はきようは打切つてはどうかという要求もございましたので、私もやむを得ないであろうという考えから、実は六月九日の團体交渉を一應打切つたわけでございます。それでただちに私どもは支部に帰り、中野車掌区の方は中野に帰つたわけであります。その後中野車掌区もしくはそれに隣接するところの中野電車区あるいは三鷹電車凶の空氣が相当險惡であるということを、いろいろ情報によつて聞いたわけでございます。從つて当時八三子支部の執行部といたしましても、そこにおりますところの執行委員をもつて構成する鬪爭会議という名前において二、三の指、令を出しました。なおこれは執行部が担当するところの鬪爭会議だけではこの問題を処理するのには少し事態が急迫しておるし、また問題が大き過ぎるという観点から、その夜八時ごろから鬪爭委員会を招集するという考えで鬪爭委員会を招集したわけでございます。それで八時四十分ごろですか、その頃から鬪爭委員会の本式の会議が始まりまして、夜を徹して九日から十日にかけてやつたわけでございます。この途中におきましても、中野とかこれらの地区のいろいろな險惡な空氣が傳えられ、あるいは八王子支部以外の各地の情報もいろいろ傳えられたわけでございますが、当時の私の考えといたしましては、現時中野車掌区、あるいはそれらの分会が險惡になつて行く、この状態においては、何らかの実力行使というものがあるいはあるのではないか、しかし少くとも八王子支部としては、八王子の一万という組合員が納得した上において私ども何らかの実力行動をやるのならばやりたいのだ、こういう考えのもとにこれらの分会が單独で入るということは実は反対であるという考えも持つておりまして、直接鬪爭委員会でそういう意思表示を私もいたしました。そういう論議を鬪爭委員会でしておつたわけでございますが、遂にその鬪爭委員会の結論が出たのは朝の四時ごろであります。そのときにやはり時期尚早であるという鬪爭委員、会の結論が出たわけでございまして、すぐにこれを打電するとともに、私直接三分会代表の方を呼びまして、こういう状態で支部としては時期尚早であるときまつた、何とかして待つてもらいたいということを言つたわけでございますが、当時の三部会の代表者、お二人でございましたが、もう事ここに至つてはどうにもしようがないという御返答があつたわけでございます。そういう状態で初電からストに突込んだという状態になつたと記憶しております。
  1000. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると三分会、中野車掌区、中野電車区、三鷹電車区で、八王子は入らなかつたのですね。
  1001. 鈴木清

    ○鈴木証人 入リません。
  1002. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これはいわゆる地域鬪であつたわけですね。
  1003. 鈴木清

    ○鈴木証人 分会の地域鬪爭であつたかどうかという御質問でございますが、地域鬪爭というものの定義につきましても、いろいろ各労働組合の内部におきましては、この地域鬪爭とはどういうものであるかということは、やはりいろいろな人の意見によつていろいろな見解が出されております。今委員長の御質問になりました地域鬪爭という御発言であるが、それがそうであるかということは、やはり私の意見によつても、またほかの方の意見によつても違う状態になつて來るのではないかと考えますが、しかしながら今委員長の言われました各分会が個々に地域鬪爭に入るという状態になつたかどうかという問題は、当時私鬪爭委員会に出席されておりましたこれらの分会代表者の方が、今後の中野地区の行動につきましては中野地区防衞会議——たしか防衞会議と申されましたが——というものを結成して、この防衞会議の運用によつてきめるということを聞いておりましたので、從つて、私の考えではこれらの、たとえば中野車掌区あるいは中野電車区あるいは三鷹電車区という、おのおのの分会意思表示をして、それらの分会意思表示を集めて中野地区の防衞会議なら防衞会議という一つの機関と申しますか、そういう一つの機関と申しますか、そういう一つの寄合いによつて最終的の結論を出して、それで行動に入るという状態になつたのではないかと考えるわけでございます。
  1004. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが十日に支部指令第十五号として、各分会はただちにスト突入態勢を整え逐次実力行動に入、れ、こういうものが出ておるというのですが、どうですか。
  1005. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点につきましては、六月十日の午後三時より第六回の鬪爭委員会を開催いたしまして、大体晩の八時ごろ、正確な時間はたしか七時三十分過ぎだと思います。そのころいろいろな問題がこの委員会で討論されたわけでございます。新聞紙に出ました通りこの第六回の鬪爭委員会が七時半ごろ終了いたしまして、その後その会議の内容につきまして私は意を決したものがございましたので、実はその会議から退席したわけでございます。これは新聞紙上に出た内容の問題でございます。それで私が出ました後、すぐにかわりの者によつて次の鬪爭委員会が開催されまして、この鬪爭委員会の席上で今委員長の申されました通り、逐次実力行動に入れという内合が指令として出されたということは、実は私おりませんでしたが、後ほど聞いたわけであります。
  1006. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたはどうして退席せられたのですか。
  1007. 鈴木清

    ○鈴木証人 私が退席いたしました原因につきましては、当時の新聞あるいはいろいろ会議等おきまして論議もされ、あるいは発表もされておつた点でありますが、まずこれらの点につきましてはあるいは正確なものもあるし、間違つた点もあることをあらかじめ申し上げるわけであります。そこで私が退席いたしました主たる原因は、今申し上げた委員会が、私の考えから申し上げましたならば、はなはだ非民主的である。こういう考えから私が当時支部の委員長でございまして、当然委員長が議長をやつております関係上、議長といたしましてこういう非民主的な委員会を今後運営して行くことは——私も現在まで組合運動を三年有半、やつておりますけれども、とても私委員長、あるいは議長といたしましてこの席におることはしのびない。從つて何とかして一時も早くこのような非民主的な鬪爭委員会は解散させなければならない。こういう考えから当時招集の責任者でありました私が退席することによつて、この委員会は今後持たれないであろう。あるいは明日に持ち越されるであろうと考えたわけでございます。当時の状態を申し上げますと、実は六月の六日からこの車掌区の交番の問題が相当重大化して参りまして、実は私ども当時支部におりました執行委員も、その当時から毎晩々々ほとんど寝ておらないという状態でございました。ほとんど三日も四日も徹夜に近いような状態でおつたわけでございまして、私が退席いたしましたときにいたしましても、相当私も精神的に、あるいは肉体的に疲労しておりましたので、私第六回の委員会が、私の考えから申し上げましたならげ、私どもが從來本部の大会、あるいは本部の中央委員会、あるいはよその委員会をいろいろ見聞きしました点におきまして、かつて見たことのないような非民主的な委員会であるという考えを持ちました。しかも今申し上げました私が支部の責任者といたしまして、このままとどまつて、こういう非民主的な委員会を私が運営することは絶対にしのび得ない。何とかしてこのへんで委員会をやめさせたいということも委員会が終るちよつと前あたりから何べんも考えておつたのでございますが、遺憾ながら私の志と違いましてとうとう七時半過ぎまで続行されたわけでございます。たまたま最後に採決をとりまして休会になりましたときに、会が一時閉鎖の形になりましたときに、ここだという考えがございました。またほかに種々複雜な事情も申し上げなければおわかりにならないと思いますが、主たる私の退席の動機は少くとも組合会議というものは、たとえば八王子支部の鬪爭委員会は総員三十九名で構成いたしております。しかも鬪爭委員会の権威たるや相当の権限を持つているわけでございます。鬪爭委員会の決定によりまして、八王子支部がストライキに入れと言つたならば、一万の組合員はただちにストライキに入るという状態が組合の機関の権威でございます。そういう約束によつて組合の機関ができておるわけでございます。從つて鬪爭委員会の構成はたかだか三十九名でございますが、この機関の決定は一万の組合員の動向を決するという状態になるわけでございます。しかもこのような重大な性格を帶びたところの鬪爭委員会が、私がさつき申し上げた通り果して組合の本旨に添つた正しい運営によつてつたかどうかということに対しましては、相当私は疑問を持つておりまして、何とかやめたい、こういうために少くとも組合の機関の正しい運営というものをここで守らなければならない。これ以上進めることによつて、果して組合の正しい機関の運営というものが保持できるかどうかということに対して、重大な疑問を——私は自信を持つことができなくなつた。こういう状態から何とかこれを一應やめさせて、明日に譲るとかまたは後日に譲るということが、一番私の取る立場といたしましては正鵠を得た立場ではないかと考えて退席したのであります。
  1008. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その非民主的ということはどういうことですか。
  1009. 鈴木清

    ○鈴木証人 非民主的であると私が今自分で考えたという点につきまして、ただいまの御質問につきましてお答え申し上げます。さつきもちよつと触れましたごとく、六月九日に大体二十時から第五回の鬪爭委員会というものを開催いたしました。この点から申し上げなければちよつとおわかりにならないではないかと考えますから、これから申し上げます。そこで第五回緊急支部鬪爭委員会におきまして、中野車掌区の問題、先ほど申しましたごとくこれは六月九日でございますので、管理部の團体交渉はもう決裂に近いような伏態になり、中野車掌区の組合員の方々はそれぞれ職場に引上げる、八王子支部といたしましては中野あるいは三鷹方面のいろいろの情報を察知しておつたわけでございますが、險惡な空氣がいろいろ傳わつて來る。こういう状態から支部の鬪爭会議、常任の執行委員で構成しておるところの鬪爭会議でもつて、二回にわたりまして、待つてもらいたいといつた内容の指令を出したわけでございますが、どうもいろいろの状態を開聞いておりますと、中野車掌区としてはどうもストに入るといつた傾向が見えるといつたことを聞きましたので、さつき申し上げましたごとく、執行部としてはこういう重大問題を当然処理できない、こういう考えから第五回鬪爭委員会を大体二十時近くに招集したわけでございます。
  1010. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 第六回でないのですが、さつきのが‥‥。
  1011. 鈴木清

    ○鈴木証人 九日のは第五回でございます。今のは九日でございます。九日に、第五回鬪爭委員会は八時ごろから招集したわけでございます。これは徹夜で審議した鬪爭委員会でございますが、このときにおきましても、これは從來の関連を申し上げなければわかりませんが、大体組合の機関につきましては、どういう運営をやるかということでございますが、大体現在の國鉄労働組合は單一であります関係上、支部あるいは分会というものは大体本部の会議の運営をならつてつておるという建前をとつておるわけでございます。從つて本部の大会の運営につきましては、大会議事規則によつて運営されておる。あるいは中央委員会におきましても、大会議事規則に大体準拠されて運営をされておる。こういう状態から当然支部、あるいは分会組合の機関の運営につきましても、これに準じて運営されておつたわけでございます。そこでまず傍聽者の点でございますが、傍聽者が正式な組合の機関に参りまして、発言を求めたり、あるいは発言の妨害をすることは、当然その機関の正確な構成上、正しい構成者というものが、これらの傍聽者をも含めた正しい代表でありますので、これらの傍聽者は特に発言を求めなくても、その会議に出席されておるところの代表が、それらの方々の意見を休して当然発言をし、あるいは採決に加わられる約束で組合の機関ができておるわけであります。從つて何も傍聽者が特に発言を求めたり、あるいは傍聽者君にやじられたりといつたような状態は好ましくないと私は考えておりました。そこで私支部の執行委員長でありました関係上、支部中心の問題を申し上げますが、支部の大会、あるいは支部の委員会、あるいは支部の鬪爭委員会の運営につきましても、傍聽者には発言を許さないという建前で実はやつて参りました。傍聽者がその会場に現われて、それを傍聽するということに対しましては、別にそれは禁止をしておりませんでした。それは会場の関係いかんでございまして、会場が廣ければ大勢入つてもらつて、傍聽してもらうということも実はございました。しかしながら会場に入りましたが、傍聽者が、いろいろ発言、やじと申しますか、そういうものをやりまして、議事の進行に妨害があるならば、当然それらの傍聽者に対しましては、発言を禁止したり、やじを禁止したり、あるいはそれでも聞かなければ退去してもらうことも当然やり得るという考えでいろいろ会議をやつて参りました。ところがそれまでは大体そういう大きな問題は現れませんでしたが、大体第五回の今申しました鬪爭委員会あたりからは、從來八王子支部といたしましても、実際にストに入る入らないといつたような関係が議されることは、鬪爭委員会としていまだかつてあまりやつたためしもございませんために、相当大きな問題、いわゆる八王子支部といたましては未だかつて討講されたことのないような状態で討議されるという状態から、第五回の鬪爭委員会には相当傍聽者が見えておられたわけでございます。そこでこの傍聽者が会議の進行するに從いまして、いろいろ自分の私見あるいはそのとき感じたことの自分の感覚と申しますか、そういうものを率直に表わすことによつて、議事の進行が遅れたり、あるいは傍聽者の挑戰に乗つて正式な構成員がつまらない発言をしたりといつたことにもなるわけでございまして、傍聽者が熱心で來られることはいいことでございますが、熱心のあまり出過ぎた行いをやることは当然感心しない状態でございます。そういう状態第五回の鬪爭委員会には実は傍聽者がおいでになつたわけでございます。そこでたしかその会議の途中であつたと思いますが、私も傍聽者に対しまして、一時は相当第五回の鬪爭委員会におきましても傍聽者が騒がれるという状態がございましたので注意を與えたこともございました。第五回の鬪爭委員会におきましては、傍聽者のために会議が運営できないというような事態であつたわけでございます。そこで第六回の鬪爭委員会でございますが、これは十日の午後三時過ぎから開かれました。実はこの鬪爭委員会を開いた理由といたしまして、当時十日はすでに初電から中野地区あるいは三鷹電車区がストに突入しております。從つて当然これらの地区の方々はその日もたれるところの鬪爭委員会に対しまして大きな期待あるいは関心を寄せられておるということもわれわれも考えておつたわけでございます。果せるかな大体鬪爭委員会の開催される三時近くになりましたならば相当数の多い傍聽者が鬪爭委員会を開催する部屋に入つて來た。そこで八王子支部の鬪爭委員会をやりました建物の状態を若干お話しなければならないのでございます正が、現在も支部の事務所に使つておりますが、大体三方が路になつており、片方は別の部屋がくつついております。從つて傍聽者が外から見れば相当内容が見える。そこで三時ころになりまして、傍聽者が大会前から相当入つておりまして、もうそのときすでにふだん閉めてある、三方の路になつておる所の戸もみな外されておつた。外から全部見えます。だれが外したのかわかりません。そこでいよいよ三時過ぎに第六回の鬪爭委員会を開催いたしました。そこで鬪爭委員会内容で議されたことでございますが、今申し上げました通り、当時すでに中野車掌区あるいは三鷹電車区あるいは中野電車区がすとをやつておりました状態であつたということ、從つてこれらの組合員の方が実は鬪爭委員会をやる前におきましても二、三十人の方が一團となつて、八王子支部またはよその分会というような所へストに入る入らないの問題で啓蒙宣傳運動に來られたという事態があつたわけでございます。それらの問題がありまして、これはちよつと余分かと思いますが、とにかく三時過ぎに相当傍聽者が支部の部屋の中に入つてつたという状態でございます。そこでそういう内容の鬪爭委員会を開催いたしました。八王子支部といたしましていまだかつてきめたことのないような重大な内容の問題をきめる。從つてこれはすべての会議がやつておるということを聞いておりましたように、会議が重大になればなるほどその会議の正当な構成員が外力の影響によつて自分の発言が遠慮されるような状態になるとか、あるいは影響されるというような状態になることははなはだ好ましくないという、私も議長といたすまして、この会議の内容が重大であるだけにそういう考えを持つておりましたわけで、会議を始めまして暫く経ちまして私たしかこういう発現をいたしたと記憶いたしております。本日の鬪爭委員会はきわめて重要な鬪爭委員会である。從つて公開非公開の問題を論議する必要があるかないかということを考えておるということを議長として申し上げたわけでございます。そのときたまたま八王子檢車区の岩崎という鬪爭委員が発言いたしまして、会議の内容が重大であるからこれを非公開にすべしという意見が出たわけでございます。ところがその後またいろいろな方のご意見で非公開にするか公開にするかについて論議がありました。そのとき、再び私も議長といたしまして、とにかく私は非公開にすることを提案すると申し上げたわけでございます。そこで採決をとつた結果、大体構成員が三十六名で秘密会とすることに賛成の方は二十票ございました。公開という方に賛成の方は十五票ございました。  今申し上げた通りで、鬪爭委員会の決定といたしまして今後は秘密会でやるということに決まつたわけでございます。そこでこの問題、秘密会あるいは公開ということをきめる過程におきましも各委員いろいろ論議したわけでございますが、当時傍聽者の考えといたしましても、当時自分らがもうすでに入つて関心をもつて見ておる自分らが外に出されることに対しては、当然芳しくないという発言がありまして、若干威嚇的な発言もあつたわけでございます。そういう最中に一應決をとりまして今申し上げたような結論によりまして非公開に決まつたわけでございます。そこで議長といたしまして、権威ある鬪爭委員会の決定によりまして非公開ということにきまつたから、傍聽者の諸君は、その氣持はわかるけれども、出ていただきたいと申し上げまして、一時休憩のような形になりまして傍聽者の方は初めは立去らなかつたような状態でございましたが、そのうちそろそろ出て行つたという状態であつたのでございます。そこで傍聽者が一應出ましたので会議を続行しようという考えであつたわけでございますが、先ほど申しましたごとく、傍聽者は部屋を出ましたけれども、三方路である所の窓ガラスは全部取拂われておるという状態で、出られた傍聽者はみな窓口に寄つて、中の会議の発言は全部聞える、だれがどういう発言をしたということも手にとるごとくわかるという状態で、これならば外に出ていただいても中にいてもらつてもかわりはないと考えたのでございます。しかし支部の事務所の発言の聞えないような遠くに行けということをそこで強調できないような状態に遺憾ながらそのときすでにあつたということでございます。從つて、私はそういうことによつてなお傍聽者の諸君あるいは鬪爭委員会の諸君の感情を刺戟することを考えましたので、強いてそれらの支部の建物のまわりを取巻いておる傍聽者に、もつと向うに行けということを言えなかつたわけであります。
  1012. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 戸を入れたらいいじやないですか。
  1013. 鈴木清

    ○鈴木証人 あとで考えれば戸を入れることも考えられるわけでございますが、実はそのときはそういう考えもなかつた。ただ傍聽音が表に出たけれども窓際にみな立つておるという状態であつては、何ら非公開も公開もかわりない状態であるということを感じたわけでございます。そういう状態で会議が続行したわけでございまして、それから、大体十分ぐらい経ちましてから、さつき出られた傍聽者の方がまたぞろぞろ入つて來たわけであります。私はちよつと默つてつたのでございますが、どんどん入つて來られ、ちよつと経つたら出て行つてもらう前と同じような状態になつて、傍聽者の方が全部部屋に入つて來たような状態になりましたので、それでは困る。ひとつ出てもらいたいと申し上げたわけでありますが、私の制止もきかなかつたような状態で、私が一言言えば二言、三言、返り言葉が來るという状態になりまして、実は私もそれ以上はもう制止しなかつたわけであります。そこで今申し上げましたようないきさつによつて、続いて討議を開始したわけでございます。その当時の討論の目標といたしましては、第五回の鬪爭委員会で支部の指令として時期尚早、何らかの通知あるまでストを含む実力行使は待てという指令があつたわけでありますが、当然八王子支部の鬪爭委員会として、こういう状態になつた現在おきまして、何らかの新しい態度をきめるか、それともけさ四時にきめましたところの時期尚早という態度を持続して行くか、この二つを討論の目標にきめまして、それに向つて鬪爭委員会がおのあの討論をやつたわけでございます。これは時間ははつきり記憶がなく、議すが、大体その会議は今申し上げた通り三時過ぎから始まりまして、それが傍聽者の問題が今言つたようないきさつになりまして、大体五時ちよつと過ぎであつたと考えております。当時私は鬪爭委員会の議長といたしまして、今委員長の坐つておられるような状態で、各鬪爭委員と向い合つてつてつたわけでございます。そのときに、——これが支部の会議といたしましたならば、議長の横、一間ぐらいを除きまして、あと鬪爭委員のまわりは全部ぎつしり傍聽者が身動きのできないほど入つているという状態でございます。そういう状態で、たしか五時ごろでございましたか、——これは新聞に載つた脅迫の内容の問題でございますが、これは私は鉄道職員だと考えておりますが、あとからいろいろ聞いた話によりましても、たしか制服を着ておつたということを言つておリますが。ある一人の青年、二十五、六ぐらいの男であつたと思いますが、議長をやつておりました私のもとに、「鈴木」という大声を発しまして、大体一間ないし一間半ぐらい離れておつたのですが、半間ぐらいの間に迫つて來た。そのかつこうでございますが、そのかつこうにつきましては、檢察廳にも呼ばれて実演して申し上げたわけでございますが、少し前ここみになつてうありまして、たしか左の手で帽子のようなものを持つており、帽子の下に何か隠すような状態で、「鈴木」と大声して近寄つて來たわけでございます。そこで私、こういう状態で前を見ておつたのでございますが、当時の空氣といたしましても、そうとう險惡なものが感じられましたので、周囲にはいろいろ目を見張つておりました。そこで、その男が今申し上げたようなかつこうで、私の法に目を向けて近寄つて來たので、実は殺氣のようなものを感じた。私立も上りまして、何をするか暴力を振うかという発言をいたしました。その男それで一、二歩うしろに退きまして、私のうしろにいた平林という鬪爭委員が、私の前に出て何か言つてつたようでございますが、そのうちにほかの鬪爭委員の方々もよせよせと言われましたので、その男は自然にもといた位置にさがるという状態になつたわけでございます。その際、その男が短刀よう、あいくちようのものを持つてつた、内容につきまして、私檢事局に行きましても、たしか光つたものを見たような氣がすると申し上げたのであります。ただ光つたものが、あとで開きましたならば、制服ということを言つておりましたので、ぼたんであ、つたか、あるいは帽子に金具がついておるとすれば、帽子の下に隠して——こういう状態でありましたので、その金具が光つたのか、当時傍聽者も多勢おりましたし、うす暗い状態で、晝間も電氣をつけておるようなところでありますので、それらのものが光つたのではないかとも考えられるのでありますが、私としては光つたという感じを受けたが、それがどういうものであつたかは確認しておりません。そこで私もそのとき若干動揺いたしまして、立ち上つてどうしようかと考えたわけでございます。ところが続行々々、早くやれというような声がしましたので、そのまま続いて次の議事を続行したわけでございます。  ただここで申し上げますことは、私の考えといたしましては、当然國会もそうであろうと思いますが、議長の権威というものは、鬪爭委員の諸君も組合員の諸君も、これを守らなければならないという考えを持つてつたわけでありますが、今申し上げたような次第で権威ある議長の席に詰め寄つて、脅迫をしたような男をとがめ立てをしないような鬪爭委員会の雰囲氣であつたことは、これは新聞にも出ましたが、私率直に事実を申し上げるわけでございます。そういう状態で会議を続行し、先ほど申し上げた二つの目標に向つていろいろ討論をいたしておりましたが、たまたま六時ごろでしたか、管理部長からちよつと話があるから來てもらいたいというので、今重大な鬪爭委員会をやつているので、待つてもらえないかと言うと、一時も早く來てもらいたいということでございましたので、ちよつと休憩すると言つて、管理部まで三分か四分の所でございますので、行きまして、その間休憩いたしました。若干休憩いたしまして管理部へ行きましてある書類を受取り帰つて参りました。その書類の内容につきましては、帰つて参りまして皆さんに御報告いたしました。続いてこれらの論議をめぐつて相当皆さんが活発な意見を実はやつてつたわけでございますが、大体七時半ちよつと前、最後の結論を出したわけでございます。そこで財御の結論についてはこういう内容でございます。さつき申し上げました通り、態度をきめるか、態度をきめないかこの二つでございます。態度をきめるということは新しい事態に備えて十日の朝四時ごろ出しましたところの、時期尚早であるというものから何らかの変更を加え、それに対して態度をきめるということ。それであとの態度をきめないというのは変更を加えないということで、そのままで行くということ。この二つを採決いたしました。態度をきめるというのが十六票でございます。これは大体何らかのかわつた行為をやるというふうにみんな解釈しておつたと思います。態度をきめない、その前に出した時期尚早というのは指令十四号と申しますが、それに賛成の方が十九票でございました。そういう状態で一應その会の最後の決をとつた次第であります。その採決をとりました当時は、ほとんどわあわあと言つて委員の発言も聞かないという状態になつておりまして、この決の済みましたあと当然その会議をとじる状態になるわけございますが、ときたまこういう声のあつたことは事実でございます。それは犠牲者、いわゆる三十三名がそのときに知られておりました。私がさつき申し上げた六時ごろ管理部に行きまして、部長から書類を受取つて來て、皆さんに被露したというのが、中野車掌区、電車区、三鷹電車区の三十三名の解雇通知でありました。この解雇通知を六時ごろちよつと休憩してもらつて來て、すぐ皆さんに被露したわけでありますが、すぐこれが問題になりまして、この三十三名の犠牲者をどうするのか、この問題を論議せよという意見もたしか出ておつたようでございます。それからこういう考えもございました。今の態度をきめないというぐあいに出たけれども、われわれとしてはとにかく何とか態度をきめる。もしきめなければ一晩中でもこの鬪爭委員会をやらせるというようなことを言つた人もある。だれがどういうことを言つたのか、はつきりその点は議事録にもないと思いますが、とにかくあつちこつちから発言が出ておりまして、議長の指名によつて発言するという状態ではなく、おのおの鬪爭委員の人もみんな相当発言しておりました。そういう状態でありまして、そのとき私迷つたのでございますが、ともかくこのまま会を続けられるかどうかということをきわめて疑問に思つたのです。そのときこういう一つの声もございます。ここで少し休息して、十分か二十分たつたら開けという声も実はあつたわけであります。当時の私の考えといたしましては、そのときその発言に答えまして、たしかこういうことを申し上げたと記憶しております。ただいまきまつたことであるので、すぐこれを論議することはおかしいということを申し上げたわけであります。結論がつかなければ一晩中でもやるんだということも実はあつたわけであります。そういう雰囲氣において私もしようがないから、何とかして、会議をこのへんでとじなければならないという考えも持つておりましたので、一應こういうことではどうかということを申し上げました。それは大体八時から会議をやるということを言つたわけでございます。そう言わなければ承知できないという会場の雰囲氣であつた。そういう状態でございまして、八時から開くということを申し上げて、一應この第六回の鬪爭委員会を打切つたわけでございます。そこで冒頭の質問にもございました非民主的な鬪爭委員会であつた。どういう点が非民主的かということを‥‥。
  1014. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはわかつた。そこでやめたあとどうなつたのですか。
  1015. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点につきましては今申し上げた通り、第六回鬪爭委員会はそれで打切りまして、休憩いたしました。休憩いたしましたときに、この十六対十九の十六人の方、とにかく新しく態度をきめようという十六人の方を囲んで何とかやろうというような発言が、休憩後にあつたわけであります。そのときに傍聽者の方が視線をそつちに向けました。そのとき実は私の身を心配いたしまして、私の友達の金井という男がそぼに参つておりまして、あぶないから表に出ろと言う。たまたまそういう時期がございましたので、そのときに大体二間半ないし三間ぐらいあると思いますか、室を通つて外へ出たという状態で、私が脱出したということであります。あとは第七会鬪爭委員会でございまして、私のおらない鬪爭委員会でございます。
  1016. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あとは十六票で会議をやつたのですか。
  1017. 鈴木清

    ○鈴木証人 あと会議の点につきまして続けて申し上げます。これは支部から出したところの報告書、平林情報宣傳部長、谷合企画統制部長が八王子支部から執行委員の名前で出しておるものでありますが、こういうことを言つております。「第八回鬪爭委員会」——第七回鬪爭委員会と思いますが、「二十時に開かれた、この際鈴木委員長はかかる状態では組合の権威ある鬪爭委員会も責任ある各鬪爭委員の正確なる判定のもとにはできない。第七回鬪爭委員会を何らかの手段を講じ、阻止せねばならないと考え出席されなかつた執行委員は休憩をたのみ別室にて鬪爭会議を開き、最高責任者たる委員長不在ではわれわれは鬪爭委員会はできぬ。よつて本日はこれで閉会して、明朝九時より開くことを決定、鬪爭委員会に報告したところが、喧々たるスト突入、分会鬪爭委員等の一齊反撃によりこの提案は一蹴された。小田木副委員長の議長代理でやれの声に小田木副委員長着席、議に入つた。まず議時の第一番といたしまして三十三名の馘首者を助けるかどうかをきめようということで実は初めたわけでございますが、この態度をきめるには三十三名をどうして助けるかということは、ストに入る以外にはないという内容であつたということが書いてございます。そのときに八王子電車区の志村委員がこういう提案をたいしております。各分会はすみやかに鬪爭態勢を整え、逐次実力行動に入れという提案をいたしております。傍聽者の満場の拍手のもとに提案されまして、当時傍聽者は赤旗を手に水戸ストに入つた、宇都宮も立上がつた。おおと歓声、甲府支部は八王子の決定を待つているそうだ、おおと歓声、支部は何している。早くきめろ、反対するやつの顏をよく覚えておけ、帰りはただで帰さない、等々、やじ喧噪し分会鬪爭委員は沈默というような状態になつた。志村案の賛成演説は一通りスト派の一郡によつてなされた。いよいよ死を賭しての反対演説が支部一万をこのいたずらなる犠牲より救う熱烈な正義感に燃える叫びが、民同系四執行委員及び青年部長よりなされ、採決に入つた。こういう採決の結果「各分会は速やかに鬪爭体制を整え、逐次実力行動に入れ、これが十九対十四票で決定した。」こういうふうに大体書かれておるわけでございます。これは今申し上げました通り‥‥。
  1018. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 わかりました。そうするとさつきの十九の中にきのうの決議を支持するという人も残つてつたわけですね。
  1019. 鈴木清

    ○鈴木証人 そうでございます。
  1020. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 全部ではなさそうだね。
  1021. 鈴木清

    ○鈴木証人 十九対十四でございました。
  1022. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで聞きたいのはその傍聽者というのはどれほどおりましたか。
  1023. 鈴木清

    ○鈴木証人 私の推測でございますが一番多いときは五百人程度いたのではないかと考えられるのでございます。
  1024. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうものが來ておりましたか。
  1025. 鈴木清

    ○鈴木証人 大体は組合員であつたと考えております。しかしあとで私が聞きました点によりますと、外部の方も若干來ておつた。いわゆる鉄道職員以外の方も來ておつたということを聞いたわけでございます。
  1026. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこでその支部の今言つたそういうものが十五号となつて、指令として出たわけですね。
  1027. 鈴木清

    ○鈴木証人 指令の十五号であろうと思います。
  1028. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはやはり支部全体、各分会を拘束する力があるわけですね。
  1029. 鈴木清

    ○鈴木証人 各分会を拘束する力がございます。
  1030. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがその問題は今あなたの言う非民主的な会議なのだが、これはどうですか、そういう決議であるということを組合員は皆大体知つているのじやないか。
  1031. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点につきましては当時出席しておりましたところの鬪爭委員もある人は当然そういうことを考えたと思います。從つてこういう指令が実はでたわけでございますが、ほんとうならばすぐに逐次実力行動に入るという状態になるわけでございますが、分会におきましてもこの鬪爭委員会の内容が相当論議されまして、少し待とうというような意見分会もあつたということから、すぐに実力行動に入らなかつたという状態にもあるいは考えられると思います。
  1032. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは各分会だから八王子支部全体の分会行つておるわけですね。
  1033. 鈴木清

    ○鈴木証人 そうです。
  1034. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがこれによつて新たに動いたものはなかつたわけですね。
  1035. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点につきましてはこれも後ほど私が聞いた話でございますが、十一日の早朝に一つの分会におきLましては少しこれに類したような、たとえば当然その駅でおろす荷物をおろさずに向うにやつてしまつたというような小さいことがあつたと聞いておりますが、こういうことでこうなつたといつたような大きな話は聞いておりません。
  1036. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこであなたの支部ではそういう組合員だつてそういう乱暴な秘密会だと言つても押しかけて來るようなことで、いわゆる分派別、党別派というものにすると、どういうところの者がどれだけおるという色わけがわかりますか。
  1037. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点の色わけでございますが、これははなはだむずかしくて、やはり私の観測の問題になると考えております。見る人によつてやはり違うであろうと考えられますが、やはり常識といたしまして当然当時第六回の鬪爭委員会あるいは第七回の鬪爭委員会も、中野地区あるいは三鷹地区がストをやりました後の鬪爭委員会でございますので、これに直接関心を持たれるところの中野地区あるいは三鷹地区の組合員が当然圧倒的多数であつたと考えるわけでございます。その内容の党派別でございますが、これはどういう党派ということもはなはだむずかしいわけで政党関係ならば社会党員であるとか、あるいは共産党員であるとかいうことになるわけでございます。あるいは御承知であろうと思いますが國鉄労働組合の内容におきましては、共産党系の人あるいは革同系の人あるいは民同系の人ということになると思います。
  1038. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その鬪爭大会へ出ておる者が多かつたということと、支部そのものの構成員が多いということと違う。私がまず聞きたいのは支部構成員で民同派が幾らで革同派が幾ら、共産党系が幾らかということをまず聞きたいのだが、わかりませんか。
  1039. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点につきましては実は共産党員の方は大体はつきりわかつております。しかしながら八王子支部の鬪爭委員には社会党員というものは、いても一人か二人程度でございます。あとは結局党には入つていないのであるか、組合内部のいわゆる三派の状態から申しますと、民同と言われて、おります。しかし民同と申しましても、私たちも民同と言われておりますが、八王子支部といたしましては、民同のはつきりした組織は確立されておりません。從つて大体民同系と目されるような人物によつて、あれはわが方の陣営だというようなことをふだん考えておるわけであります。はつきり民同組織を八王子支部はつつておりません。そういう関係から大体わが方の陣営であろうというようなことで、フラクと申しますか、そういう会議をやつたこともございます。大体あの人と私と意見が同じであるという考えからフラクと申しますか、民同としてのフラクというよりも、大体志を同じくするフラクと申しますか、そういう会合をやつた事実はございます。
  1040. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは六月二十三日から開かれた熱海の國鉄中央委員会に出席せられて、八王子支部における第七会の決議は暴力によつてつたものだという報告をされたと聞いております。そういう事実はありますか。
  1041. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点につきましてはさつきちよつと申し上げましたが、暴力という言葉はそのところで使つたかどうか知りません。使わぬとも断言いたしません。使つたともはつきり申し上げませんが、議事録を見ていただければ書いてある通りであると思います。
  1042. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 新聞にはそう書いてある。脅迫でやられたと‥‥。
  1043. 鈴木清

    ○鈴木証人 脅迫の点は、そういう事実があるということをはつきり申し上げます。
  1044. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大体は先ほど述べられたようなことであつて‥‥。
  1045. 鈴木清

    ○鈴木証人 そのほかにまだあります。支部の鬪爭委員会で‥‥。
  1046. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 熱海では‥‥。
  1047. 鈴木清

    ○鈴木証人 熱海のときは大体私が今見ております内容について申し上げたわけでございます。当時こういう刷り物が出ておりまして、八王子支部は全國の支部に向かつて、八王子支部はこういう鬪爭委員会だということを書いたわけでございます。
  1048. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは何です。
  1049. 鈴木清

    ○鈴木証人 八王子支部指令第十五号「各分会はすみやかに鬪爭体制を整え逐次実力行動に入れ」を決定した第七回鬪爭委員会の非民主的眞相並びに鈴木委員長退席の眞意という見出しでございます。
  1050. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはどこから出たのです。
  1051. 鈴木清

    ○鈴木証人 八王子支部の平林情報宣傳部長、谷合企画統制部長文責の名前において出ております。
  1052. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 さしつかえなかつたら、それを一部こちらに置いて行つていただきたい。  それからあなたの方で外郭團体がおつたということがよくわからぬと言うが、それと同様に中野または三鷹においても、ストの前後に外郭團体がずいぶん組合に入つて働きかけをやつたということも聞いておるのですが、それはいかがですか。
  1053. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点につきましては今委員長の申されましたごとく、聞いておるという程度であります。私行つて直接見たわけではございません。
  1054. 高木松吉

    ○高木(松)委員 何か重大なことがあると言うから聞いてやつたらどうです。
  1055. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あとで聞きましよう。それから六月十一日に第二回中野、三鷹地方の防衞同盟とか、いうもので何か決定をやつたということがあるが、これは御承知ですか。
  1056. 鈴木清

    ○鈴木証人 もう一ぺん言つて下さい。
  1057. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 中野、三鷹地方で防衞同盟というものをつくつて、何か決議をやつたり、実行をしておつたようですが‥‥。
  1058. 鈴木清

    ○鈴木証人 何日でございますか。
  1059. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今私の聞こうとするのは、十一日の第二回のをやつたというが、その前にもそういう、防衞同盟というのは聞いておりますか。
  1060. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点につきましてはたしか本部の鬪爭指令の内容に、そういう防衞同盟をつくれといつたような指令があつたと私記憶しております。從つてそういう指令のもとに当然つくつておるということも考えられるわけでございます。
  1061. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 防衞同盟とはどういうことなんですか。
  1062. 鈴木清

    ○鈴木証人 防衞同盟ということは、本部の方から指令が参つた内容でございますが、お互いに自分の産業、國鉄自分の力で國鉄自身を守り、関連産業あるいはそういう友誼團体の力で國鉄を守る。國鉄はそれらの團体の方々の産業なら産業を守つて上げようという内容のものではないか。こういうふうに考えるわけでございます。
  1063. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうするともつと言いかえれば外郭團体と連盟を結んで、戰えというように聞えるのでありますが、そうですが。
  1064. 鈴木清

    ○鈴木証人 解訳によつてはそういうことにもなると思います。
  1065. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたがさつき言われた友誼團体と連盟を結んで戰いを展開せよという‥‥。
  1066. 鈴木清

    ○鈴木証人 そういうことだろうと思います。共同鬪爭より若干強い意味があるのじやないかということが考えられます。
  1067. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうですが、初めてわかりました。そうして十一日にストライキ中止の決議をしたそうですね。
  1068. 鈴木清

    ○鈴木証人 はあ。
  1069. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがこのスト中止はストをやめるのじやない。戰術の轉換であるということをきめたそうですが、これはどうですか。
  1070. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点につきましては、実は十一日は私東京の本部、それから東京にございます東京地方評議会というものに参つておりまして、この第八回の鬪爭委員会には列席いたしておりません。從つて小田木副委員長が議長になつたと思いますが、そのときにきまつた内容でございます。ただここに支部の議事録もございますが、当時議長はこういうことを言つております。急変せる事態を乘り切るため三分会スト中止の指令を出す。三分会を除く他の分会へもスト中止の指令を出す。満場一致賛成可決。確認事項として指令第一五号を発した。原因は三分会を孤立させずに救うためであり、三十三名の犠牲者を救うことはかわりなく、今後の團体交渉によることを確認した。こういうぐあいに、なつておりますので、戰術轉換ということは支部においては論議されましたが、採決の確認にはなつていないのではないかということを考えるわけでございます。
  1071. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 各分合一またはいわゆる防衞同盟などでこういうことをきめておるそうですが、そういうことは御承知ありませんか。
  1072. 鈴木清

    ○鈴木証人 そういうことは私は十一日の夕方本部から帰つて参りましたところが、そこにそれらの支部の方々がおいでになつてストをやめるということは、総司令部の方の中止命令が出て、あるいは自分らの考えその他の情勢からストをやめたという結果は負けたのではないのだ。これは戰術轉換であるということをしばしば言われたことを聞いております。
  1073. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで聞きたいのだが、ストをやめるのだが戰術轉換で戰うのだ。こういうとストをやめて何で戰う。それは御承知ないですか。
  1074. 鈴木清

    ○鈴木証人 スト以外で戰うということでございますが、私ども組合役員の常識といたしまして、ストをやらなければ次に來るものは怠業であろうということを当然考えられます。しかし怠業をやらなければ何らかのほかの実力行動もまた考えられる。この実力行動はやはり業務命令の拒否であるとか、あるいは業務管理といつたものに似たものということも当然常識として考えられるわけでございます。あるいは一歩下つて当局と話合い、いわゆる團体交渉、戰術轉換によつてこの問題を解決しようということもまた考えられるわけでございます。
  1075. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで具体的にどういうことであつて、どういうことをしたか。それは御承知ありませんか。こめ轉換の戰術として……。
  1076. 鈴木清

    ○鈴木証人 その轉換の戰術として、当時まだ私は委員長をやつてつたときでございますが、終つてから中野電車区、中野車掌区、あるいは三鷹電車区から当局に出す要求決議文というものを持つて來られました。從つてそれを管理部長に手交いたしました。それらも一つの戰術轉換の現れではないかということでございます。
  1077. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうことを意味しておる。
  1078. 鈴木清

    ○鈴木証人 これは犠牲者の馘首を撤回しろとか、あるいは小屋を修繕しろとか、相当の項目にわたつてつたと思います。十何項目といつたように相当あると思います。
  1079. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 交番制については何とも言つてなかつたか。
  1080. 鈴木清

    ○鈴木証人 交番制のこともたしかあつたと記憶しております。
  1081. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 新交番制には服せないと、こういうのですか。
  1082. 鈴木清

    ○鈴木証人 新交番制の点につきましてはちよつと記憶がございません。これは調べたいと思いますから、保留していただきたいと思います。
  1083. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで三十三名の救済はできましたか。
  1084. 鈴木清

    ○鈴木証人 三十三名の救済ですか、やはり救済の第一義となるものは、当然元の仕事に復職させるということが第一義だろうと思います。どうしてもそれができなければ、そういう交渉をやりつつその間その交渉の貫徹するまで何らかの金銭あるいは物質面による救済であろうということを当然考えられるわけでございます。そういう状態でこの救済ということを使つてあると考えます。それで救済できるかできないかという状態でございますが、これははなはだむずかしい御質問と思います。やはり救済しろ、どうしても救済するのだという氣持は、できるという氣持から出発しておるのではないか。やはりその程度しか私どもとして‥‥。
  1085. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 氣持はわかつたが、事実においては、どう現れたかという‥‥。
  1086. 鈴木清

    ○鈴木証人 事実におきましては、現在國鉄労働組合犠牲者をどのくらい救済しておるかという現実によつて、御判断願うよりしかたがないのではないかと考えるわけでございます。
  1087. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その後八王子支部の青年部員とか、その他ずいぶん組合を脱退するものが続出しておるということが新聞などに出ておるが、それはどうですか。
  1088. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点につきましては青年部員という特定のものが脱退しておるということは聞いておりません。ただ八王子駅電車分会の浅川駅班というのがございます。たしか四十七名、だと記憶いたしますが、その組合員が脱退するということを正式に支部に届けたそうでございます。それは私が委員長をやめてからでございますが、そういう内容を聞いております。しかしながら、特に青年部員、婦人部員がやめたということは聞いておりません。
  1089. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 浅川だけですか。ほかにもあるのじやないですか。
  1090. 鈴木清

    ○鈴木証人 ただいまのところは浅川だけしか聞いておりません。
  1091. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから先ほどの防衞同盟ですがこれはあなたがそれに関係しておるのではございませんか。
  1092. 鈴木清

    ○鈴木証人 特に防衞同盟というものに対しましては、当然私の在任中、中央鬪爭委員会からそういう指示が参つております。それでいずれこういう内容を支部の機関、委員会とか、鬪爭委員会で檢討して、それに対する何らかの指示を各分会に出さなければならないという考えはあつたわけでございます。私の在任中はそれを正式に出してやつたことはないと考えております。
  1093. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 三鷹地区とか、中野地区とかいうものができておるというが、それはあなたは御承知ないですか。
  1094. 鈴木清

    ○鈴木証人 それは当時ストライキのあつた前かあとか知れませんが、相当後であろうと考えます。あとでそういうものができておつたということを何か聞いたことがございますけれども、はつきりしたものではございません。
  1095. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それからもう一つ重大なことが一つあつたとさつき言われたが、それは何か。
  1096. 鈴木清

    ○鈴木証人 それは非民主的であつたというその内容でありますが、その点につきまして、私ちよつとさつき申し述べなかつたわけでありますが、たしか当時の鬪爭委員会といたしまして、会議の内容の重大性を考えまして、実は私今後の会議の採決は全部書面投票でやるということを実は申し上げたわけであります。それでそれ以後は書面投票でやつたわけでございます。書面投票でやつたという理由については皆さんお察しがつくと思います。挙手でやればだれが賛成したとか、だれが反対したというようなことになりますので、これは完全な自由なその本人の意思表示がなければ困るという状態から、書面投票によつてやるということを私は申しました。そのときには異議もございませんでしたので、今後それでやるということをはつきり実は申しまして、それで書面投票によつてつたわけであります。ところが第六回の鬪爭委員会におきましても、実は書面投票でずつとやつてつたわけでございますが、始めるともう傍聽者が入つて來て、たとえば私がさつき申し上げた脅迫を加えられたというような、短刀のようなものを何かやられたということを申しましたけれども、その当時からすでに傍聽者が鬪爭委員の周囲をほとんどぐるりをとりまいておるという状態でございまして、結局私がねらいました書面投票によつて、本人の自由なる完全なる意思表示をさせるということがむだになつたという状態が実はあつたわけでございます。と申しますことは鬪爭委員のすわつておるところに傍聽者がぎつちりつまつておりまして、机の下で書いておつても覗かれる、マルを書くと帰りは承知しないぞというようなことがその当時実は相当に論議せられておつたようであります。その点が実は非民主的であつたということを重大なことだと申したわけであります。
  1097. 吉武恵市

    吉武委員 証人にちよつとお聞きしたいのですが、先ほど申されました防衞同盟に対する指令は中鬪から來たようだとおつしやつたのですが、ほんとうに中鬪から來たのですか。
  1098. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点につきましてはたしか中鬪から來ておつたように思うということを申し上げました。そこで八王子支部といたしましては、私が在任中はその問題を審議した記憶は私はございません。しかしそういう指令が中鬪から出たのではないかということで、分会で自主的に取上げたのではないかということを考えるわけであります。
  1099. 吉武恵市

    吉武委員 ちよつともう一つ、それではその中鬪から指令が來たような御記憶というのはいつごろでしようか。
  1100. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点はなはだ申訳ないのでございますが、私委理長をやつておりまして、なお指令は三十何号というものが來ておりまして、それがいつごろかということははつきりここで申し上げられないのでありますが、それは何かの手続で中鬪で出している指令ははつきりこちらでおわかりになるのじやないかと思います。私はたしか中鬪からそういう指令があつたということを記憶しております。日は忘れました。
  1101. 吉武恵市

    吉武委員 それでは事務局の方でひとつお調べをいただきたい。私がこれをお聞きいたしましたのは、実は共産党ではいろいろの書きものその他において、産業防衞鬪爭ということをしばしば言われておるし、また世間では共津産党フラクにはこういう産業防衞隊とか、あるいは防衞行動隊というものの組織をされるというふうに聞いておるので、はたして國鉄の中鬪から出たものか。あるいは他の組織隊から出たものをお間違えになつておるのじやないかとも思いますので、この点はひとつ事務局の方でお調べいただきたいと思います。
  1102. 大橋武夫

    ○大橋委員 証人は先ほど脅迫をされた当時の状況を檢事局で陳述されたと言つておりますが、それはどういう理由で檢事局に出頭されたのですか。
  1103. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点につきましては実は檢事局と私が申しましたが、八王子の警察にも召喚されております。それで八王子の警察と八王子の檢察廳と両方参つております。それでその理由でございますが、実は当時の第六回鬪爭委員会で私が脅迫された状態は、実はさつき申し上げました通り、何百人もおりました傍聽者のそのまん中で行われました事項でございまして、私どもから申し上げると、その中には新聞記者も多分にまざつてつたと思います。從つてそれがすぐ新聞に出る、その新聞の根拠によつて、こういう事実があつたかどうかということを警察あるいは檢事局に問われたわけであります。
  1104. 大橋武夫

    ○大橋委員 それは一つの刑‥‥件のあなたは一人の被害者として取調べられたと思いますが、一方被疑者というのはあげられておりますか。
  1105. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点につきましては、私檢事局に参りましても、あるいは警察に参りましてもいろいろその内容ついて法律の関係につきましてちよつとお尋ねしたこともございましたが、私さつき申し上げましたごとく凶器のようなものがこういうかつこうであつたということ、光つた程度私は記憶しているということで、それが短刀であるか、あるいはまたほかのものであるかということをはつきり確認しておらないということを申上げましたところ、それがなければこれは刑事々件にはならないのだということを実は向うも言われておつたわけでございます。そこで実はそのときに、その脅迫を加えた者をいろいろその人相とか着衣の状態を聞かれたわけでございますが、今言いましたように、はつきりした凶器の状態がわからない、ではそれは刑事々件にならないであろうということのもとに、本人が逮捕されたりあるいはひつぱられたということは現在まで聞いておりません。
  1106. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、その行動をなした人の氏名等は具体的には御承知ないですね。
  1107. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点私自身、それがどこの分会に所属し、どういう名前人間だということを知りません。ただ知つておりましたのは、着衣の状態、人相の状態、私に迫りました態度、それらを知つておりましたし、ほかの人間に聞けばまだそれ以上のことを知つてつたかもしれません。何百人もおりましたそのまん中でやつたことでございますので、ほかの人間に聞けば知つてつたかもしれません。しかし今申し上げました通り、私どもの組合の中からそういうものが余分に出るということは私はあまり感心しないということで、積極的にほかの者に聞いて調べはいたしませんでした。
  1108. 大橋武夫

    ○大橋委員 もう一つだけですが、十日のストが終つた後ですから十一日か十二日だと思うのですが、風早代議士がストライキをやりました中野の車掌区分会に参りまして、そうしていろいろやつてくれてありがとうという礼のあいさつを組合にされたそうですが、そのことについて支部長としてあなたが管下の分会から報告を受けられたことがありますか。
  1109. 鈴木清

    ○鈴木証人 そういう報告を受けておりません。
  1110. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 あなたの御証言のうちで、鬪爭委員会を退席されたということが一番問題の中心点になつているようでありますが、ところで退席されたのは何時ごろでございますか。
  1111. 鈴木清

    ○鈴木証人 大体七時四十五分ごろであろうと考えます。
  1112. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 その退席のときは休憩中か何かにもう退席したままになつてしまつたのでございますか。
  1113. 鈴木清

    ○鈴木証人 そうでございます。
  1114. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 何か私たちの聞いた話では途中頭が痛いからというようなことで座をはずしたまま行方不明になつたというように聞いているんですが、そうじやないのですか。
  1115. 鈴木清

    ○鈴木証人 身体が少しぐあいが惡いということはさつき申し上げました通り、そのときに申したのではなくて、それ以前に三日も四日も徹夜しておりますので、身体が参つているということを申しておりました。しかし身体が惡いから——最初は休憩するというようなことを申し上げた事実はございません。そのときに‥‥。
  1116. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 休憩になつてからですか。
  1117. 鈴木清

    ○鈴木証人 そのときではございません。
  1118. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それから支部にお帰りになつたのはいつごろですか。
  1119. 鈴木清

    ○鈴木証人 大体十一日の午後五時半ごろであろうと考えております。八王子の機関区の分会に帰つて、ここが出身の分会でございますので、そこに最初に姿を現わしたわけでございます。それから支部に行つたわけでございます。
  1120. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 そこでこれはもう言うまでもありませんが、ストの中止になつたあとですね。
  1121. 鈴木清

    ○鈴木証人 そうです。
  1122. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それで機関区にお帰りになつて何か報告でもされましたか。
  1123. 鈴木清

    ○鈴木証人 機関区へ帰つて、実はすぐ——これはさつきも申し上げましたように、行方不明ということを書かれましたが、実は支部の二、三の者には当然十日の夜の私の行動、十一日の東京における私の行動を十分連絡してございました。從つてつてつたわけでございます。それで特に十一日の五時半ごろに帰つて参りまして分会に報告するという必要もなかつたわけでございます。ただその当時毎日新聞であろうと思いましたが、新聞記者がどこからか聞き込んで参りまして、少し話してくれということで話のできる程度話したことを記憶はしております。
  1124. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それで支部に出られてからはどういう状態であつたのですか。あなたが行方不明になりましたことについて。
  1125. 鈴木清

    ○鈴木証人 支部に出てからでございますが、ほかの執行委員の者も私がどうして行つたのかということをたいして聞きもいたしませんでした。私としてもそういう状態でストは中止になつた。各分会も相当動揺している。それで犠牲者も出ている。こういう関係から一時も早く——なおさつきも申し上げたように、第六回、第七回の鬪爭委員会の非民主的な内容を組合員にもつとよく知つてもらわなければならぬという観点から私も責任を十分感じ、私自身の進退問題についても何らかの態度をきめなければならぬということも考えておりまして、十四日に支部の委員会を招集したわけでございます。そして支部の委員会で一應の決定がなされたというわけでございます。
  1126. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 先ほど檢事局、警察へ呼ばれた、これはあなたが通報したわけではなく、新聞によつたのであろうという話でございましたが、新聞に出たのはいつごろですか。
  1127. 鈴木清

    ○鈴木証人 新聞は大体十一日の夕刊でしたか、十二日の朝刊でしたか、そ、のころに出ておつたと思います。檢事局に呼ばれましたのは、十四日ごろだと思いますが、これははつきしりした記憶はございません。
  1128. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それで十日の晩から十一日の晩にかけてまる一日の間どういう行動をとつておられましたか。
  1129. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点でございますが、大体十日に私がさつき申し上げました通り、午後七時四十五分に支部から退席いたしまして、さつきちよつと申し上げた友人の金井という男がとにかく命が危いからどうかしろということを言つておりましたから、——私は当時自分の命のことは、実は正直に申し上げますと、あまり考えておりませんでした。ただこの委員会のこういう状態を何とかして中止しなければならぬ。ということを考えておりまして、一應さつき申し上げたように、身体も疲れておりましたし、頭も疲れておりました。そういう状態から何とかして対策を考える必要があるということで、実はそこへ行つて少し休んで、何とかいい考えを出そうということで金井の家に行つたわけでございます。行きまして早速私は自分で何かよい策がないかということを考えますとともに、金井に、時間ももう八時過ぎになつておりましたので、支部に行つてみてくれ、どういう状態であるか、あるいは私どもは民同系と言われておりますが、民同系の執行委員に私の安否について言つておいてくれということを実は金井に言つたわけでございます。そこで金井が支部に行つたところが、鬪爭委員会を開いておつて、さつきも申しました通り支部の事務室は三方壁に囲まれてその中にぎつしり、傍聽者が入つて、さらに外にも傍聽者が机とかいすを引張り出すとか、あるいはその横に井戸があるのですが、その井戸の屋根にもぶら下るとかしておつて、夜でございましたが、支部の事務所の明りが一つも表に漏れないというほど傍聽者が鈴なりになつてつたという状態であつたので、本人はどうしても入ることができなかつたというので実は帰つて來ております。そこで帰つて参りまして、こういう状態であつたということを報告したわけでございますが、とにかくもう一ぺん行つて見てくれというので、実は連絡をつけてもろうためにやつたわけであります‥‥(「簡單に」と呼ぶ者あり)それでは簡單に申し上げます。それから分会の私の知つている者あるいは支部の執行委員も私の所へどうしようかということでその晩相談に参りまして、若干相談もいたしまして、とにかくその晩私がやすみましたのはたしかもう二時ごろになつてつたと思います。それから少し‥‥。
  1130. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 そう詳しくなくてもけつこうです。
  1131. 鈴木清

    ○鈴木証人 それからあくる朝十一日は早朝八王子を出発いたしまして、まず東京本部に参りして、本部に向つて何とか事態の收拾をはかつてくれということを申し上げ、それからさらに当日東京地方の共同鬪爭委員会というものが設けられておりましたのでそれへ出席いたしました。本部に行きましていろいろ話をしておつたときに実はマ司令部からこういう内容のものが出ておるということを聞きましたので、そこで私としましては一時も早く支部に帰つてあとの收拾をしなければならないと考えたので、あとはどういう状態になつておるかと思つて実は機関区の分会へも電話をかけて連絡をとりました。そこで東京をたしか三時半か、四時近くになつて引上げまして、八王子に帰つたわけであります。
  1132. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 あなたの先ほど言つておられた中に東京の本部にいらつしやつたということがありました。私らも大体それと似たことを聞いておるのですが、そこで上野の民同派の人たちとあなたが立会つて連絡をとられたというような事実はございませんか。
  1133. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点について申し上げますが、本部で前もつて上野の者と連絡をしたという事実はございません。本部へ参りますと、すでに星加委員あるいは菊川委員というような人が來ておりました。從つてこの人たちに八王子の支部のことを話しました。当時たまたま民同の何かの会議が大宮の八重垣寮である。全國の人が來るのであるから八王子支部のそういう状態を皆様に話した方がいいであろうということを実は言われたわけであります。私は当事すでにスト中止の話がマ司令部から出ておつたので、一時も早く支部に帰えりたいと言つたところが、とにかくもう出たのたから何とかなるよというようなことも当時の中鬪委員から言われまして、一應上野支部一まで行つてみないかというので、実は先に東京地方評議会の鬪爭委員会に行きましてそれを傍聽いたし、それから上野支部に参りました。上野部には一時間くらいおつたかと思います。それから八王子に帰つたわけであります。
  1134. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それでそういうふうにまる一日行方不明になつたが、その間に新聞記者なんかがあなたの所へ來てどうしたのかと言われたのが世間に知られる契機になつたのですか。
  1135. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点でございますが、それはあとで聞いた話でございますが、私が十日の夜からいなくなりましてから、実は夜の八時になつても私が現われないということで、新聞記者がみんなに相当聞いてまわつたらしい。ところが私の所在を知つている私の同志の執行委員あるいは分会の委員というようなものが、私の身を心配するあまり新聞記者のもぜんぜん漏らさなかつた。そういう状態で新聞記者は盛んに私の行方を心配しておつた。またほかの人も、何か鈴木が誘拐か軟禁といつたような目にあつているのではないかということで、一部警察に連絡したというようなことを聞いております。しかし私の行方ル知つている者は当時発表しなかつたという状態で、私が新洲記者に会つたのは、十一日の五時班に会場に帰つて來てから、毎日新聞記者に会つたということになります。
  1136. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 新聞記者はあなたの身を心配して、警察へも連絡したという事実があるわけですね。
  1137. 鈴木清

    ○鈴木証人 そうです。
  1138. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 そこで先ほど言われましたところによりますと、大体退席された主たる理由は、委員会の状態が非民主的であつたということで、いわゆる脅迫されたというような事実もあるけれど、それは別にあなたは氣にはかけていなかつたということですが、非民主的であつたということの中に、傍聽者の問題も入つておりますから、そういう天下分け目のような事態で、どこの組合でもよくありがちのことでありますが、大体今までに八王子支部の機関の運営などに非民主的だということをあなたが感じて來たことが、積り積つてこういうことになつたのですか。それともその時の状態だけであなたはいやになつたのですか。
  1139. 鈴木清

    ○鈴木証人 これは非常に重要な点ですので、率直に申し上げますが、第五回の鬪爭委員会の終りました十日の午前四時の採決は、たしか三十五、六人おりました中で、三十票が時期尚早というぐあいに決定しております。ところがその晩の、大体私が退室いたしますちよつと前の採決は、先ほど申し上げましたごとく十九対十六で、それだけ接近しております。  どういうわけで接近したか。それが非民主的な内容を明瞭に説明するものであると思う。朝の票がその晩にはそれだけ票が接近して來たということか‥‥。
  1140. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 とにかくその場限りのできごとで、あなたがそういうふうに感じられたわけですね。
  1141. 鈴木清

    ○鈴木証人 そういうことです。
  1142. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それから暴力ないしは脅迫の問題はあなたも先ほど言つておられた。何か光つたようなものがあつたが、その点は大して氣にもかけてないというわけなんでずが、そうしますと主たる問題としては傍聽者云々のそういうりやり方が非民主的であつた、そのときの状況なんか総合して非民主的であつた。もうこれでは今後はこの鬪爭委員会を持たないようにした方がよい、そういう考えがあなたにあつたということを言われましたね、その通りですね。
  1143. 鈴木清

    ○鈴木証人 その通りです。
  1144. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 そうしますと大体鬪爭委員会なら鬪爭委員会が非民主的であつたとすれば、普通に組合のやり方からしますれば鬪爭委員会においてそういう事実として出していろいろ論議してかえて行くということをするのが普通だろうと思うのですが、あなたはそのことを全然放棄して、しかもこういう鬪爭委員会は持たれない方がよい、しかも委員が一人入るか入らないというようなことが、組合にとつてはまつたく生死に関するような時期であつた。そういう時期にあなたが今後こんな鬪爭委員会なんか持たれない方がよいとして、その非常手段としてこういう行動をとられたように思うのですが、そうしますとこれは組合の組織的なあるいは民主的な運営という原則から行きまして、むしろあなたの行動の方が組合の組織の運営に対して分派的な行動をとられたことになるのじやないですか。
  1145. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 議論にわたらぬようにしてください。
  1146. 鈴木清

    ○鈴木証人 その点は誤解されておると考えております。と申しますのは、私今はつきり申し上げましたごとく、とにかく鬪爭委員会はストをきめるかきめないかの重要な問題であります。私ども少くとも八王子支部の執行委員長として、そのときの状態は支部はまだ入れないという状態であつたのであります。十日四時の採決では三十対六ですか、時期尚早であるということが決定されております。ところがさつき申し上げましたいろいろな事実によつて結局私が一人頑張りましても、票を決するのは鬪爭委員三十六名なら三十六名の票によつて決定されるわけであります。この票が採決のたびに動いて行くという事実があつたのであります。最後の票をとる前に予備採決をやつております。この予備採決から動いて行くという状態からかようにひつくり返るというような、こういう鬪爭委員会はもうやめなければならぬ、こういう考えで私が出たわけであります。
  1147. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 その点はよしわかつておる。そうしてあなたは非常手段としてこの鬪爭委員会をもうやめた方がよいというので行方不明になつたか知りませんが、とにかく座をはずしてしまつた、この鬪爭委員会をやめさせるために、そのあとどういう手を打たれましたか。     〔発言する者多く議場騒然〕
  1148. 鈴木清

    ○鈴木証人 お答え申し上げます。どういうふうに事態を処理したかということの御質問であろうと思います。さつき私の申しました通り脱出いたしまして、私の知つております金井という男を委員会にやりまして、一時も早くこういう間違つた非民主的な鬪爭委員会をやめるようにと私の同志の者を呼ばせたところが、先ほど申し上げた通り中に入れないという状態で帰つて來た。それでも困るというのでもう一度行つて來いと言つたの行つたわけです。そのときには会議は終わつてつた。こういうことなんです。それでそのときはすでに八王子支部は実力行動に入るのを決定しておつた。そこで私は本部に行つてこういう状態であるということを訴えて、その事態の收拾をしてもらう、あすの朝早く東京に行くといつて早く東京に行つたわけです。
  1149. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それでわかりました。
  1150. 石田一松

    ○石田(一)委員 ちよつとお尋ねしますが、あなたが委員会の委員長の席から退席なさつたというのは、さつきから私が聞いておりますと、非常にその場の空氣が脅迫的になつて中に好ましからぬ態度をとつた一人のえたいの知れぬ者があつたとか何とかいうことがあつたのですが、途中からあなたが退場なさつたということは、そうした空氣よりもむしろ今までよりだんだん採決の数がかわつて來ている。こういうのがいつまでも続けば困る、みずからの意思によつて採決の際委員長がいないということでこの委員会を流会にして、あすならあすまたあらためて再開させようという意味であなたは退席なさつたのだと私は聞いたが、それが主たる原因ではありませんか。
  1151. 鈴木清

    ○鈴木証人 それも主たる原因の一つに入つております。
  1152. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうするともう一つ別に主たる原因というのは、そこにいたならば危險だということをお考えになつたことですか。
  1153. 鈴木清

    ○鈴木証人 それは主であるか從であるかということは私としてもそこまでは考えませんでした。しかしながら一番大きく頭に來たのはとにかくそういう鬪爭委員会をいつまでも私が采配を振つてつているということはどうしてもできない。私の信念においてできないので、一時も早くこれをやめさすという方向へ努力するということを考えていた。この点が一番大きな原因でありました。
  1154. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 最前から聞いておりますと、六月一日から十日までの間に十回に近いほどの会合を開いておいでになり、その会合を徹宵でおやりになつている。肉体的に精神的に相当に疲労するだろうと思う。われわれは午前十一時から今までやつておりましても非常に肉体的精神的の疲れを覚えますが、あなた方は現在重要な交通上の大責任のある職をお持ちなつてつて、そういう会合をほとんど毎日連日連夜お開きになつておりますが、職務に支障は來しませんでしたか。
  1155. 鈴木清

    ○鈴木証人 今御質問になりましたのは組合会議を開くことによつて職務に何らかの支障があるかというう御質問であろうと考えております。そこで六日一日またはその以前から組合はいろいろの種類の会議をやつております。、しかしながらその会議におきまして各現場におきまして、輪番によつて非番の日、あるいはどうしてもその仕事が抜けられないということになつたらかわりの者にやつてもらうという状態で、実は苦しい中でやつて來ておるのであります。その証拠としては、たまたまいつも鬪爭委員会あるいは委員会をやるにしても構成が一ぱい一ぱいである。ほんとうならばそういう重大な会議に出てくるわけですが、やはり仕事がありますのでなかなかやり繰りができない。從つて鬪爭委員会のメンバーも、そういう委員会のメンバーも委員自体の行為によつて少しずつかわつて來る、こういう事実がある。こうしてやり繰りやつて來ておる。從つて業務に支障あるとは考えておりません。
  1156. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 済みました。     —————————————
  1157. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 岩崎博君ですね。たいへん長くお持たせいたしました。あなたは國鉄にお勤めのようですが、どこでどういう役をしやつておいでになつておりますか。
  1158. 岩崎博

    ○岩崎証人 中野車掌区の車掌をやつておりました。
  1159. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから中野車掌区分会の副執行委員長をやつておるそうですね。
  1160. 岩崎博

    ○岩崎証人 そうです。
  1161. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いつからいつまでですか。
  1162. 岩崎博

    ○岩崎証人 ことしの五月から現在まで。
  1163. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 現在でも副執行委員長ですか。
  1164. 岩崎博

    ○岩崎証人 そうです。規約上は‥‥。
  1165. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 規約上というのはどういうのですか。
  1166. 岩崎博

    ○岩崎証人 組合の規約です。別に何でもありません。規約上の副執行委員長です。
  1167. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 六月三日に東鉄車掌区連絡会というものがあつたそうですが、あなたはこれに御関係なさいましたか。
  1168. 岩崎博

    ○岩崎証人 はい、行きました。
  1169. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはどこでどういう会だつたのです。
  1170. 岩崎博

    ○岩崎証人 お茶の水でやつたです。
  1171. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは全部東鉄管内の車掌区全体ですか。
  1172. 岩崎博

    ○岩崎証人 全部は集つておらないのです。十五、六の車掌——十ぐらいですか、記憶はあまりないですが‥‥。
  1173. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういう決議をしました。
  1174. 岩崎博

    ○岩崎証人 決議は、やつておりません。申し合せですね。
  1175. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういう申し合せでした。
  1176. 岩崎博

    ○岩崎証人 どういう申し合せ、この六・九鬪爭‥‥。あなたの方で言つてもらえば‥‥。
  1177. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 六・九鬪爭の経過を見ますと、一、新交番を実施しているところは力関係で乘務管理に入る、二、現行のところはそのまま押す。三、電車連盟、機関車職務に共鬪を申し込むことを確認したことになつております。
  1178. 岩崎博

    ○岩崎証人 それはミス・プリントがあります。職務というのではなくて、機関車協議会というので職協です。それは間違つております。
  1179. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうことはありましたね。
  1180. 岩崎博

    ○岩崎証人 あります。その中で訂正しておきますけれども、それは私がプリントしたのではないので、プリントミスがあると思います。その中の電車連盟には私自身が行つて共鬪を申し込みました。それから機関車連盟には時間がなくて行かなかつたが、そのままになつております。実質的にはそういうことをやろうという申上合わせはしましたけれども、決議機関ではないですから、決議することができないのです。申し合わせる程度ですから‥‥。
  1181. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところで中野車掌区分会から千葉、東神奈川蒲田車掌区で、このここにある乘務管理の協力をしてもらいたいとあなた行かれたということだが、それはどうですか。
  1182. 岩崎博

    ○岩崎証人 私は行かないです。
  1183. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だれが行きました。
  1184. 岩崎博

    ○岩崎証人 だれかほかの青年部とか、ほかの者が行つたと思います。私はそういつたことの役はちよつと違うわけですね。そういつた共鬪関係の者が行つたはずです。もしお聞きになるならば、後日その本人を連れて來てお答えいたします。私はそのときのだれがどうしてどうなつたという記憶がありません。
  1185. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたがやつたわけでもないですか。
  1186. 岩崎博

    ○岩崎証人 そうです。それは組合の機関でやるのですから、私がやるわけではありません。
  1187. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 確認したということは、申し合せですか。
  1188. 岩崎博

    ○岩崎証人 そうです。
  1189. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この三つのことを確認したとなつておるが、今私が言つたこと‥‥。
  1190. 岩崎博

    ○岩崎証人 お茶の水で起つたことですか。
  1191. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 確認したとあるが、あなたは申し合せをしたと言われるが‥‥。
  1192. 岩崎博

    ○岩崎証人 決議と同じような申し合せをしたということを確認したということですな。確認という言葉は、どこでも使うのですが、申し合せしたということを確認し合つたというわけですね。
  1193. 大橋武夫

    ○大橋委員 お互いに確認したということになりますね。つまり申し合せという‥‥。
  1194. 岩崎博

    ○岩崎証人 そうです。
  1195. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると青年部員が行つたということは、どういう資格でどういうことで行つたのです。
  1196. 岩崎博

    ○岩崎証人 中野車掌区の労働組合の資格で行くのです。青年部とかそういうことではなくて‥‥。
  1197. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは先ほど青年部の者が行つたのだろうと‥‥。
  1198. 岩崎博

    ○岩崎証人 だれが行つたか、青年部とか何とかでなく、皆一括して行つたと思いますが、青年部とか組合員とかわけていないわけです。
  1199. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 中野車掌区を代表して行くというならば執行部ですか。
  1200. 岩崎博

    ○岩崎証人 さあ、それは向こうへ行つた者が組合代表で参つたかどうか私は、わからない。
  1201. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたが知らぬで行くということはおかしいと思うが‥‥。
  1202. 岩崎博

    ○岩崎証人 私がどういうわけで‥‥。執行委員長もいますから、許可を得て行つたかもしれませんが、一々副委員長のところへ行つて來ますと言わないですから、言う場合と言わない場合があります。五百六十名の人間を全部私が管理するわけではないし、私の上に執行委員長がいますから‥‥。
  1203. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 乘務管理ということはどういうことをするのです。
  1204. 岩崎博

    ○岩崎証人 乘務管理をするということは、やはり別に乘務管理をしようということではないと思います。私もあまり記憶にないが、要するに交番自分たちの手でもつてつて行こう‥‥。
  1205. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 自分たちがということは、つまり上の業務命令でなくて‥‥。
  1206. 岩崎博

    ○岩崎証人 組合でもつて管理して行こうということだと思います。
  1207. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 わかりました。  その次は、分会の鬪爭指令第二号として、慰労休暇は当分の間組合で管理するというものが出たそうですね。これば御承知ですか。
  1208. 岩崎博

    ○岩崎証人 そうですな。その当時からちよつと間がたつておりますから、一箇月前ですから、あるいは出たかもしれないですね。
  1209. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これも業務命令によつて休暇をとるのではなく、組合としてだれが休暇をとれ‥‥。
  1210. 岩崎博

    ○岩崎証人 わかりました。その慰体を組合管理したというのはこういうことなんです。つまりあまり業務命令でやると、今交番改正で人が足りなくなつたり、不平が起り、休むと電車が乱れろ。組合がやつていれば休むときはなるべくかつてに休まないで電車の運行がうまく行く。かえつて組合管理をした方が当局にも一般大衆にも便利がいい。問題が起らない。そういう考えだと思います。
  1211. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 要するに業務命令でやるのではなくして‥‥。
  1212. 岩崎博

    ○岩崎証人 業務命令以外にわれわれ電車の運轉を思つてのことなんです。
  1213. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 六月六日は八王子管理部と新交番制に関して何か交渉をやつたそうですな。
  1214. 岩崎博

    ○岩崎証人 六月六日ですね。ええ、やりました。
  1215. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その結果どういうことになりました。
  1216. 岩崎博

    ○岩崎証人 その結果は六月の九日に再交渉をする、そのままの態勢でもう一回九日に再交渉をする。それからそれまでの間に部長が一時交番制の改正に対して準備をとりやめさせる。多分そうだと思います。
  1217. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 準備をとりやめさせる、実施を延ばす‥‥。
  1218. 岩崎博

    ○岩崎証人 実施ということは、別に業務命令も出ていないんですからね。やれという——要するに業務値入委はわれわれのところには出ていない。
  1219. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは議論はよそう。そうでもなかつたように聞いておるが、まあ、いいでしよう。
  1220. 岩崎博

    ○岩崎証人 ちよつと待つてくださいよ。業務命令は出ていないですよ。
  1221. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 三十一日電報で來たとさつきみんな言つた‥‥。
  1222. 岩崎博

    ○岩崎証人 それは管理部長のところへ業務命令が來たかもしれないが、区長からわれわれのところへ業務命令でやれということは來ていない。その点は間違えないでください。
  1223. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その次に分会鬪爭指令第三号として新交番の準備が進み実行されようとしているが、全員は迷うことなく旧交番確認表で乘務せよ。新交番は出されても、確認の必要なしというものが出たそうですが、これはどうですか。
  1224. 岩崎博

    ○岩崎証人 それは何ですな、読んで字のごとし‥‥。
  1225. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 こういう指令が出ましたか。
  1226. 岩崎博

    ○岩崎証人 出ました。
  1227. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると、これは迷うことなく旧交番確認表で乘務せよと言えば、業務命令が出てもそれを退けてやれということですね。
  1228. 岩崎博

    ○岩崎証人 それは解釈——その通りです。
  1229. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは出ても確認の必要がない——これはどういう根拠から出ているか知つておりますか。要するに業務命令でせんでもいいということですかね。これはどういう根拠から出ているのでしようか。
  1230. 岩崎博

    ○岩崎証人 ちよつと質問の内容がわからないですが。
  1231. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 われわれならば業務命令が出たならば、一應はそれに從わなげれはならぬと思うのだが、それに從わぬでもよろしいのだ、こうおつしやるその論拠は‥‥。
  1232. 岩崎博

    ○岩崎証人 その論拠は、結局新交番になれば、われわれが首切りの前提になるし、首になれば、われわれの生活がなくなる。結局こういういたたまれない氣持なんです。やむにやまれない氣持、正当防衞の氣持、これはりくつ抜きの氣持で、これはやらなければだめだから——ここで新交番になれば、われわれは首になつてしまうのだから、ここでもつて守る以外にないという氣持です。
  1233. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 要するに業務命令違反になるけれども‥‥。
  1234. 岩崎博

    ○岩崎証人 業務命令違反とか何とかいうことは考えていないのです。労働者は單純に考えているのです。これをやられたら首になるから守らなければならぬ‥‥。
  1235. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だけれども、正当防衞だからというのであれば、そういうものは守らなければならぬのだが、それを排除してやる‥‥。
  1236. 岩崎博

    ○岩崎証人 それは一方的な誘導質問です。私の方はそれだけで結局‥‥。
  1237. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 誘導質問‥‥。それなら聞くが、その正当防衞をやらなければならぬということは、どういうことですか。
  1238. 岩崎博

    ○岩崎証人 新交番制をやられたら首になつてしまう。だから、今ここで守らなければ首になるという氣持で一ぱいだつた。われわれ勞働者はそれだけなんです。
  1239. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それで正当防衞で、そういうものを排除してやる‥‥。
  1240. 岩崎博

    ○岩崎証人 そうです。これを守らなければだめだ。
  1241. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あまりむずかしいことを言つてつても、時間がかかるからやめます。ところが、九日にストに入つたそうですね。
  1242. 岩崎博

    ○岩崎証人 九日にですか。——十日ですよ、われわれのストに入つたのは。
  1243. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 九日にストに入ることを決議した。そして十日の日からやつたのですか。
  1244. 岩崎博

    ○岩崎証人 そうです。十日の初電から‥‥。
  1245. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その決議はあなた方の方の分会でやつたのですか。またどういうところでやつたのですか。
  1246. 岩崎博

    ○岩崎証人 分会鬪爭委員会、それから分会大会でやりました。
  1247. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは支部もしくは本部の指示に從つてつたものではないのですね。
  1248. 岩崎博

    ○岩崎証人 別に支部とか本部の指令に從うとか、從わぬとかいうことじやなしに、われわれ分会独自の正式の機関にかけてやつたのです。從うとか、從わぬとかいうことは別問題です。われわれ分会分会大会で正式にやつたのです。
  1249. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたはそう言われる。そんなら、國鉄労働組合というものは單一組合なんだから、やはり單一組合とすれば、本部の指令に從つて組合なり分会は動くものとわれわれは思つておるのだが、それはどうですか。
  1250. 岩崎博

    ○岩崎証人 その点長くなりますけれども、いいですか。
  1251. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 できるだけ簡單に‥‥。
  1252. 岩崎博

    ○岩崎証人 問題は今度の職場鬪爭なんです。從つて分会でもつて一番末端の機関が戰いを起して行つた。そこでもつてストに入らなければならぬとか、あるいはそれをやらなければならぬということがきまつて、それが行動を起したときには、それに対して支部、本部はわれわれの戰いが有利になるような処置をとるということですがわれわれの支部に対してどうのこうのと言うことは、言うこと自体がおかしい。かつて職場大会でこうしなければならないのだ、支部の指令に從わなければならぬということを討論したことは一回もない。從つてわれわれが分会でもつてこういう方向に行んだ、そういつたときには、各支部はそれに順應した態勢をとるというふうにわれわれは確認しておるのです。從つてわれわれとしては分会の責任において、大会の責任において結論を出したわけです。
  1253. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それ以上議論になるからやめよう。そこで六月十一日に第二回の防衞鬪爭委員会というものをどこかで持たれたそうですね。
  1254. 岩崎博

    ○岩崎証人 議事録か何か見なければ、いつ幾日にどうだつたということは記憶にないのです。
  1255. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうものがあつたということはおわかりですか。
  1256. 岩崎博

    ○岩崎証人 あつたことはあります。
  1257. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで聞きたいのは、防衞同盟というのはどういうことなんですか。その内容です。
  1258. 岩崎博

    ○岩崎証人 まあ共同鬪爭委員会といつたようなものです。
  1259. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうものと共同鬪爭をやるのですか。
  1260. 岩崎博

    ○岩崎証人 新しく首切りをやられた当時ですから、これに対してお互いに分会一緒になつてつて行こうという共同鬪爭委員会です。
  1261. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 國鉄の各分会ですか。
  1262. 岩崎博

    ○岩崎証人 そうです。
  1263. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうじやないので、ほかの友誼團体もはいるというのじやないですか。
  1264. 岩崎博

    ○岩崎証人 友誼團体はそれには入つていないですよ。
  1265. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 防衞同脚というのは‥‥。
  1266. 岩崎博

    ○岩崎証人 その記録に何と書いてありますか、わたしは記録は‥‥。
  1267. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 防衞同盟を開いたと書いてあるが、そこでその内容をあなたに聞いている。
  1268. 岩崎博

    ○岩崎証人 三鷹と中野駅電と中野車掌区のことでしよう。外郭團体は入つていないですよ。
  1269. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが、事実においては、あなた方のこのたびの鬪爭に対して友誼團体は相当働きかけたようですね。
  1270. 岩崎博

    ○岩崎証人 それは労働者として当然のことですよ。
  1271. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いい惡いを言つているのではないのです。そういうことはあつたことはあつたんですね。
  1272. 岩崎博

    ○岩崎証人 ありました。
  1273. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 おもにどういうことをやつてくれましたか。
  1274. 岩崎博

    ○岩崎証人 そうですね、中野だから、中野区労連‥‥大体そんな程度ですね。あそこには区労連以外に大した組合もないわけですから‥‥。     〔「朝連は」と呼ぶ者あり〕
  1275. 岩崎博

    ○岩崎証人 朝連は來たかどうか、私は記憶にないのですが‥‥。朝連はあそこにあることはあります。
  1276. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 共産党としては援助してくれませんでしたか。
  1277. 岩崎博

    ○岩崎証人 別にこれといつて、援助もなかつたですね。
  1278. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 風早代議士があなた方の車掌区へ來て演説をやつたそうですね。
  1279. 岩崎博

    ○岩崎証人 ストが終つた後四、五日たつて、多分見えたと思います。
  1280. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 二度來たそうじやないですか。もつと前に來た‥‥。
  1281. 岩崎博

    ○岩崎証人 四、五日たつて見えたと思います。ストが終つたときは、立入禁止で、車掌区の中へあまり近寄れなかつたから‥‥。
  1282. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのストが終つて、四、五日たつてから、場所はどこでやつたか覚えがありますか。
  1283. 岩崎博

    ○岩崎証人 日は幾日でしたかわかりませんけれども、職場大会があつたときに、一回風早さんが見えたことは記憶しております。
  1284. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 部屋はどの部屋ですか。
  1285. 岩崎博

    ○岩崎証人 部屋は講習室寝室兼卓球所。
  1286. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その前にどこか区長のすぐ隣りかでもあつたというのですが、それは知りませんか。
  1287. 岩崎博

    ○岩崎証人 四、五日たつたあとに見えたのが風早さんじやないですか。それは大会はもつとそのあとつたか、時間的の記憶はありませんが、二回來たということは私聞いております。そのうちの一回は大会のとき見たので知つております。
  1288. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういう意味で‥‥。
  1289. 岩崎博

    ○岩崎証人 別にどうといつて、いつも共産党の話すようなことを話しただけです。
  1290. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大会へわざわざ党のりつぱな代議士が出るということは、何か目的が‥‥。
  1291. 岩崎博

    ○岩崎証人 それは中野電車区と中野車掌区が風早さん今後の大会で呼ぼうということで、招聘状が多分出たと思う。そこで、じやわれわれの方も、ということで來て話をしてもらつたわけです。内容については、私も一々メモをとつていないので、どんなことを話したか記憶ありませんが、あとで風早さんにお尋ねになつてください。
  1292. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ただ普通の演説ですね。
  1293. 岩崎博

    ○岩崎証人 そうです。
  1294. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 まあいいでしよう。そこで十一日にスト中止の決議をしたそうですね。それはどういうことでした。あなたの方は分会だけでやつたんですか。またほかの分会と合同でやつたんですか。
  1295. 岩崎博

    ○岩崎証人 うちの分会としても大体、意思をきめて、それから中野電車区と一緒にやつたのです。
  1296. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何時ごろにやつたんでうか
  1297. 岩崎博

    ○岩崎証人 十時ころでしたか、あまりはつきりと何時何分という記憶はないですが、大体晝前ですから、十時か、十時ちよつと過ぎてからじやないかと思います。
  1298. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは午前中は八王子で九日の‥‥。いや、これは違うか。
  1299. 岩崎博

    ○岩崎証人 それは支部の鬪爭委員は別の男がやつてつたのですから、私じやないのです。私はスト中はずつと分会にいたわけです。
  1300. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 午後だつたというようなことを言つている人があるが‥‥。
  1301. 岩崎博

    ○岩崎証人 それはたれが言つたか知らないけれども、私の記憶の範囲にお、いては、私さつきここで宣誓した通り、午前中から晝食も食つていないのですから、大体十時ごろだと思います。
  1302. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこでそのストをやめるというときに、これは鬪爭をやめるのじやないのだ、戰術轉換だ、こういうことを合せて確認したか決議したか何かやつたらしいですね。
  1303. 岩崎博

    ○岩崎証人 それは確認ですね。
  1304. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはどういうことです。
  1305. 岩崎博

    ○岩崎証人 要するに、これは鬪爭をやつている最中だから、ストライキばかりが鬪爭じやない、從つてストライキをやめて別な戰術をしよう、これが戰術轉換です。宣傳戰をやるとか‥‥。
  1306. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのとき、具体的な戰術は別にきまつたわけじやないですね。
  1307. 岩崎博

    ○岩崎証人 きまつたわけではない。
  1308. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 交番制については‥‥。
  1309. 岩崎博

    ○岩崎証人 交番制については、そのとき何もきまつでおりません。
  1310. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 旧交番を実施して行こうというようなことは‥‥。
  1311. 岩崎博

    ○岩崎証人 その鬪爭委員会ではきまつておりません。
  1312. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その後はどうですか。
  1313. 岩崎博

    ○岩崎証人 鬪爭委員会ではつきりとストに対する決定がなされた後の職場大会では、交番制についてきめております。
  1314. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうふうにきまりましたか。
  1315. 岩崎博

    ○岩崎証人 旧交番でやるということがきまりました。
  1316. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それと同時にさつき言つた乘務管理もやるときめたのじやないですか。
  1317. 岩崎博

    ○岩崎証人 これは大事なことですからよく聞いてもらいたい。区長は中野車掌区は新交番で行けということは一回も言わない、もし出ておれば、東神奈川のように業務命令違反になるが、中野車掌区では、正式にわれわれ組合員に向つて交番で行けという業務命令は出ていないのです。それが出たの十三日で、われわれはこれ対しては業務命令違反をしておりません。新交番については、それははつきりしていて間遠いありません。東神奈川と私のところとは事情が違うのです。
  1318. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで、その後車掌区分会なり電車区及び駅の分会なりと共同鬪爭でもやりましたか。引続いて‥‥。
  1319. 岩崎博

    ○岩崎証人 別に共同鬪爭委員会とかいうような形式的なものは持つていないはずです。あまり記憶がないのですが‥‥
  1320. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 さつきその日ははつきり覚えがないと言われたが、六月十一日はストをやめた日ですね。その日にさつき言つた第二回防衞同盟鬪爭委員会というものが開かれたのではありませんか。
  1321. 岩崎博

    ○岩崎証人 あまり記憶がないのです。
  1322. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今書類を見たら間違いありません。たしかに六月十一日です。十一日に節六回鬪爭委員会、戰術轉換を確認して防衞合同委員会に臨む、これが最初にあつて、その日に第二回防衞委員会、ストの革命的力を横に伸ばすことを確認し、戰術轉換を決定とあります。
  1323. 岩崎博

    ○岩崎証人 ちよつと見せてくれませんか、     〔証人に書類を渡す〕
  1324. 岩崎博

    ○岩崎証人 これは中野電車区と一緒に持つたやつです。
  1325. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで聞きたいのは、戰術轉換は先ほど聞いたからわかつたが、その次のストの革命的力を横に伸ばすことを確認し、それで戰術轉換をやるとあるから、要するに、この戰術轉換は、ストの革命的な力を横に伸ばすことでやろう、こういうふうにやつたのですね。
  1326. 岩崎博

    ○岩崎証人 それは私がさつき言つたように、議事録を中鬪なら中鬪に報告するのは私がやつたのじやない、書記長がやつたので、書記長がそういう表現をしたと思います。ですからそういうことに対する詳しいことは私にはわからないし、記憶もないのですから、その人間を連れて來なければわかりません。
  1327. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だれがこういう発案をしたり何かしたのですか。
  1328. 岩崎博

    ○岩崎証人 発案とは、議事録を書いた男ですか。
  1329. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうです。
  1330. 岩崎博

    ○岩崎証人 それは我伊野という男です。
  1331. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この決議をしたときに、あなたはおつたですね。
  1332. 岩崎博

    ○岩崎証人 いたつて、それがどういうふうな言葉で集約して表現したということまではわからないので、いろいろ討論したことを後でそういう言葉で集約したのです。
  1333. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だからこの言葉だけじやわからないから、どういう討論の内容であつたか、それを聞きたいのです。
  1334. 岩崎博

    ○岩崎証人 今その討論の内容は、人のしやべつたことや自分のしやべつたことを覚えていないのですメモを‥‥。
  1335. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 決議したことは間違いないですね。
  1336. 岩崎博

    ○岩崎証人 それは、さつき言つた男がそういうふうに集約したのですから‥‥。
  1337. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは、何か御質問ありませんか。
  1338. 大橋武夫

    ○大橋委員 先ほど風早代議士が見えられたというお話ですが、あなたが風早さんの話を聞かれたのは一回だけですね。
  1339. 岩崎博

    ○岩崎証人 一回だけです。
  1340. 大橋武夫

    ○大橋委員 その一回は、寝室職場大会‥‥。
  1341. 岩崎博

    ○岩崎証人 そうです。
  1342. 大橋武夫

    ○大橋委員 そのとき、初めからしまいまでおりましたか
  1343. 岩崎博

    ○岩崎証人 多分いたと思います。初めからしまいまでというのは、大会の初めからしまいということではなく、風早さんのお話の‥‥。
  1344. 大橋武夫

    ○大橋委員 そのときの司会者はどなたですか。
  1345. 岩崎博

    ○岩崎証人 司会者は小柳という人です。
  1346. 大橋武夫

    ○大橋委員 その寝室の管理者は車掌区長ですか。
  1347. 岩崎博

    ○岩崎証人 車掌区長です。
  1348. 大橋武夫

    ○大橋委員 そのときは、区長の許可を得ない部外者でも出入りしてもいいことになつておりましたか。
  1349. 岩崎博

    ○岩崎証人 部外者は一應外におりましたが組合の事務をやる人が区長と交渉して、はつきり確認して、風早さんに來賓として挨拶してもらうということが承認され、われわれも來賓としてその大会の席上に出たのです。
  1350. 大橋武夫

    ○大橋委員 そのとき何分ぐらい風早さんはお話になりましたか。
  1351. 岩崎博

    ○岩崎証人 何分ぐらいだつたか、私は時計を持つていないのでわかりません。
  1352. 大橋武夫

    ○大橋委員 一時間ぐらい‥‥。
  1353. 岩崎博

    ○岩崎証人 いや五分か十分です。
  1354. 大橋武夫

    ○大橋委員 その要領はどういうことです。
  1355. 岩崎博

    ○岩崎証人 私はそのとき隣の人と話をしていたから、よく覚えておりません。
  1356. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたの記憶されている点だけでも‥‥。
  1357. 岩崎博

    ○岩崎証人 そのときだれがどう言つたということは、あまり詳しく知りません。
  1358. 大橋武夫

    ○大橋委員 いや、風早さんの話の要領をあなたは記憶ありませんか。一言も記憶がありませんか。普通言われたようなことですか。
  1359. 岩崎博

    ○岩崎証人 そうです。普通言われるようなことで、別に新しいことはなかつたと思います。
  1360. 大橋武夫

    ○大橋委員 わかりました。そのときに、そこへ車掌区長が入つて來るのを見ましたか。
  1361. 岩崎博

    ○岩崎証人 見ました。
  1362. 大橋武夫

    ○大橋委員 車掌区長は、そのとき何と言いましたか。
  1363. 岩崎博

    ○岩崎証人 車掌区長はわれわれに出て行けと言いました。
  1364. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたは出ましたか。
  1365. 岩崎博

    ○岩崎証人 出ました。
  1366. 大橋武夫

    ○大橋委員 風早さんは‥‥。
  1367. 岩崎博

    ○岩崎証人 風早さんは、組合執行部がいろいろ交渉してOKということになつたと思います。
  1368. 大橋武夫

    ○大橋委員 区長がOKしましたか。
  1369. 岩崎博

    ○岩崎証人 詳しいことは、組合執行部長でも連れて來なければわからない。私はここでこんな問題になるとは思わないからそんなによく覚えていません。
  1370. 大橋武夫

    ○大橋委員 区長はそのときに組合の人から突き出されたということですが‥‥。
  1371. 岩崎博

    ○岩崎証人 それは知りません。
  1372. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたは見ておりましたか。
  1373. 岩崎博

    ○岩崎証人 見ておりました。
  1374. 大橋武夫

    ○大橋委員 突き出されたのを見ませんでしたか。
  1375. 岩崎博

    ○岩崎証人 突き出されたかどうか、それは私は‥‥。
  1376. 大橋武夫

    ○大橋委員 それじや押し出されたということは‥‥。
  1377. 岩崎博

    ○岩崎証人 そんなことは、私は何とも言えない。
  1378. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたはどの辺におりましたか口
  1379. 岩崎博

    ○岩崎証人 私は一番はずれにおりました。
  1380. 大橋武夫

    ○大橋委員 入り口の方ですか。
  1381. 岩崎博

    ○岩崎証人 入り口とは違う。
  1382. 大橋武夫

    ○大橋委員 奥の方ですか。
  1383. 岩崎博

    ○岩崎証人 この間取りで言つたら‥‥。
  1384. 大橋武夫

    ○大橋委員 どのくらいの部屋ですか。この部屋の半分ぐらいですか。
  1385. 岩崎博

    ○岩崎証人 半分でもない、三分の二くらいですか‥‥。
  1386. 大橋武夫

    ○大橋委員 入口は何箇所ありましたか。
  1387. 岩崎博

    ○岩崎証人 入口は一箇所、あとは窓がみんな開いておりましたからそこから入る。
  1388. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなた出ろと言われて出たのですね。風早さんはそのとき残つた‥‥。
  1389. 岩崎博

    ○岩崎証人 風早さんの話が終るころだつたのです。区長さんが來たときにはあと一言か、二言で‥‥。
  1390. 大橋武夫

    ○大橋委員 とにかくそのとき車掌区長が風早さんに何か言つたことだけは見たのですね。
  1391. 岩崎博

    ○岩崎証人 見ました。
  1392. 大橋武夫

    ○大橋委員 何と言つていたのですか。
  1393. 岩崎博

    ○岩崎証人 組合の者と区長が交渉しておつたのです。
  1394. 大橋武夫

    ○大橋委員 風早さんと呼びかけていたのを見なかつたか。
  1395. 岩崎博

    ○岩崎証人 風早さんは要するに組合がやつておる大会に入つたのだから、そのことは何も惡いことないですがね。
  1396. 大橋武夫

    ○大橋委員 よい惡いじやない。そのときの様子を聞きたい。
  1397. 岩崎博

    ○岩崎証人 様子は今言つた程度のものです。
  1398. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたはそのときには組合執行部に対しての責任はなかつたわけですね。
  1399. 岩崎博

    ○岩崎証人 そうです。
  1400. 大橋武夫

    ○大橋委員 どうしてなかつたのですか。
  1401. 岩崎博

    ○岩崎証人 私はそのときは立入禁止、われどわれの組合の仮執行部がつくつてつたわけです。その責任者は小柳という男です。
  1402. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると今は仮執行部というものがあるから、あなたは從つて組合については責任ないのですか。
  1403. 岩崎博

    ○岩崎証人 組合については規約上はわれわれが正式なものですが、事実は違うのです。
  1404. 大橋武夫

    ○大橋委員 しかしあなたはときどき行つておられますか。
  1405. 岩崎博

    ○岩崎証人 ときどき表で会つて話合うことがあります。
  1406. 大橋武夫

    ○大橋委員 どうも車掌区長の話では、ときどきやつて來るので困るという話だつたけれども、よろしゆうございます。
  1407. 吉武恵市

    吉武委員 お茶の水で連絡会議を持たれたときは千葉と中野との連絡会議つたのですか。
  1408. 岩崎博

    ○岩崎証人 千葉も中野も入つておりました。東鉄管内の各車掌区です。全部じやない、十ぐらい。
  1409. 吉武恵市

    吉武委員 千葉からたれが來ましたか。
  1410. 岩崎博

    ○岩崎証人 名前はちよつと記憶ない。
  1411. 吉武恵市

    吉武委員 何人くらい‥‥。
  1412. 岩崎博

    ○岩崎証人 一人か二人、たいていどこも一人‥‥。
  1413. 吉武恵市

    吉武委員 中島君じやなかつたか。
  1414. 岩崎博

    ○岩崎証人 それはほんとうに記憶ない。
  1415. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 慰労休暇というのは從來だれがどういう手続でどこから出ておつたものですか。
  1416. 岩崎博

    ○岩崎証人 大体こつちでは区長か当直の助役が許可をしてもらつておるわけです。
  1417. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 そうすると今度はこの指令第二号によると、慰労休暇というものも当分の間組合で管理する、こういうことに‥‥。
  1418. 岩崎博

    ○岩崎証人 そうです。
  1419. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 そうすると区長業務命令なりを無視して勝手に組合で慰労休暇をつくるということになつておるわけですね。
  1420. 岩崎博

    ○岩崎証人 うちでは助役組合員ですから、解釈のしようによつてはわれわれとしては別に区長の許可を得なくても助役組合員ですから適当にできるわけです。
  1421. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 六月五日に組合分会代表の人が三十人か区長官舎に行つたことは覚えておられますか。
  1422. 岩崎博

    ○岩崎証人 あります
  1423. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それにあなたおいでになりましたか。
  1424. 岩崎博

    ○岩崎証人 私は行かなかつた
  1425. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 そうすると様子はよく御存じないですか
  1426. 岩崎博

    ○岩崎証人 大体報告してありまして、記録簿にも載つてつたはずです。
  1427. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 その程度でもいいが、先ほど中野車掌区長が官舎での会合の話をしたのですが、いろいろ具体的に話されまして、たとえば非常に暴言を吐いて、何か確認書を持つて來ておつて、それに判を押せといつて強要された。あぐらをかいて、机や窓にも立つてつたし、中にはハンドルを持つた男がおつて——おそらく電車のハンドルでしよう、おれは氣が短かいのだからというようなことを言われて、非常に脅迫されたというふうなことを言つておるのですが、そのときの情景のことは知りませんか。
  1428. 岩崎博

    ○岩崎証人 その点この間ここから考査委員の調査委員が來まして、そういつた問題がちよつと出ましたので私も記憶がある。調べて見たが、そのときにはそういうような乱暴なことはない。行つた本人も傍聽者の中にもおるはずです。どういうふうなことをやつたか聞いたときに、今度の交番表に対して反対してもらいたい。非常に人情的にお互い涙を流し合つて話し合つた。しかも区長ほんとうにお前らのためにやつてやりたい、しかし政府がこういう形だからおれとしては命令をきかなければ仕方がないのだ、こういうことで人情論で終始した。もし委員長が許されるならばここにも行つた者がおるわけですから‥‥。
  1429. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 たれですか。
  1430. 岩崎博

    ○岩崎証人 早坂君。
  1431. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 早坂君は許してなかつたはずだが、だれが入れたか、事件に関係があるから入れぬと言つた
  1432. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 あなたは見えなかつたからこれでやめておきましよう。
  1433. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 事件に関係ある人は入れぬと言つたのにどうして入れたか。今後は君の言つて來た者は許可せぬよ。ただちに退席を命じます。
  1434. 大橋武夫

    ○大橋委員 議事進行に関して‥‥ただいま委員長の許可のない傍聽人がある党の通行証を持つて当委員会を傍聽されておつて、ただいま退席を命ぜられました。これは本院の規則に違反した事実でございますから、委員長におかれまして十分調査の上運営委員会にも提出してしかるべき処置せられんことを願います。
  1435. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 承知しました。
  1436. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 青柳正雄君ですね。あなたは三鷹電車分会の書記長をやつておりますか。
  1437. 青柳正雄

    ○青柳証人 そうです。
  1438. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それと同時に八王子支部の鬪爭委員もやつておりますか。
  1439. 青柳正雄

    ○青柳証人 そうです。
  1440. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは今度のの國電ストで免職になつたのですか。
  1441. 青柳正雄

    ○青柳証人 そうです。
  1442. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはどういうわけで‥‥
  1443. 青柳正雄

    ○青柳証人 私の方では別にどういうわけであるかということは私の方としては、正当な行動をやつたと思いますが、当局の方の見解におきまして今回のスト日本國有鉄道法、それから公共企業体労働関係法に違反であるから免職だということを申して‥‥。
  1444. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何かストの指導をやつたとでも言われたのですか。
  1445. 青柳正雄

    ○青柳証人 ストの指導とか何とかそういうことでなく、私どもは執行委員として当然組合の決定に從つて行動いたしました。当局から言わしむるならば、私たちが主謀者であろうというような見解で、やつたのではないかと思つておりますが、組合命令に從うことは私ども執行委員として当然のことであります。
  1446. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今度のストは新交番制の問題がもとになつてこういうことになつて來たようですが、この新交番制で反対したのは八王子支部としては中野車掌区だけであつたようですが、どうですか。
  1447. 青柳正雄

    ○青柳証人 私どもの鬪爭は中野車掌区の鬪爭目標との関連ではありません。
  1448. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 三鷹電車区としてですか。
  1449. 青柳正雄

    ○青柳証人 そうです。
  1450. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうところにあつたのですか。
  1451. 青柳正雄

    ○青柳証人 三鷹電車区の鬪爭の目標といたしましては、中野車掌区の新交番について同情ストをやつたのではございません。これは電車の分離事故の問題から端を発しました。分離事故を起した電車の修繕に対しまして、資材が足りないことを前々から当局に要求しておつたのでありますが、まだ私たちの満足の行くような結果が現われなかつたので、このことを交渉したわけです。これはただ單に資材の不足というような状態でなく、このような資材の不足の折柄われわれが人員整理をされるということではさらに國電の状態が惡くなるであろうという見解から、このことを管理部の運轉課長に交渉におもむいたわけです。そのときにわれわれは現在ような資材の不足の状態では國電の状態が惡くなることを確認してもらいたいといつた。運轉課長といたしましては資材の不足の状態はよくわかる、その点では國電の状態が惡くなるであろうことは認めるといつたのです。それにつきまして私どもは、このような資材の状態においてさらに現在の人員が整理されればますます國電の状態が惡くなるのではないか、これを確認してもらいたいといつたところが、運轉課長は、それはできない、これは行政整理の問題であつて、君の所は人員が多いから整理されてもやむを得ないであろうといつたので、当局の人員整理のことははつきりわかつた。そこで私どもはこのような状態ではわれわれの首は早晩切られるであろうという氣持を持つて六月三日の分会大会では、行政整理の問題について最惡の場合には実力行動もやむを得ないということを確認した。さらに交渉が終つてから六月九日の臨時大会でもつて、このような状態では当局はわれわれの首を切つて來るだろう、これに対してわれわれはあくまで鬪わなければならないという組合の結論が今日のストの大きな原因となつたのであります。
  1452. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その人員整理はまだ起らぬが、あとで起るであろうという、そのことですね。  中野には新交番によつて余る者がおつたのですか。
  1453. 青柳正雄

    ○青柳証人 中野車掌区の新交番の問題についての鬪爭と、われわれの鬪爭とは違います。鬪爭の時期とか方法とかの面についてはあくまでも協同鬪爭をしなければならない。三鷹電車分会の力よりは中野車掌区と二つの力を重ねたものが強いのではないかということはわれわれの鬪爭と中野電車区の鬪爭が一致したのであるけれども、三鷹電車区としてはあくまでも首切り反対のための大きな鬪爭であると考えております。
  1454. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 えらい手まわし早くやつたものだな。
  1455. 青柳正雄

    ○青柳証人 それは組合機関の決定でありまして、私個人の見解でやつたのではありません。
  1456. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 組合機関というのは三鷹電車分会の‥‥。
  1457. 青柳正雄

    ○青柳証人 三鷹電車区の大会の決定です。
  1458. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 三日にすでに最惡の場合は実力行使は避けがたいといつたね。その最惡の場合は‥‥。
  1459. 青柳正雄

    ○青柳証人 六月三日の分会は定期大会です。これは規約上、年に春秋二回の定期大会を開くことになつている。この定期大会におきまして、いわゆる行政整理による首切り、強制的配置轉換にはいかなる態度をとるべきかということがかなりはげしく討論された。最後の結論としてとにかく労働者として首切りということは最大の悲劇である。そういうような観点から、もしわれわれが当局の行政整理による首切りに対抗せんとするならば最惡の場合には実力行動もあえて辞せないということを満場一致で決定したわけです。  そこでそういう時期とか、そのやり方などはあらためて分会大会を開いて組合員大衆の意見によつて決定しようということになつたわけです。
  1460. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その実力行使とはどういうことが含まれているのですか。
  1461. 青柳正雄

    ○青柳証人 六月一日の分会大会におきましてはストを含む実力行動です。ストライキを含む実力行動ということはいろいろあるわけですけれども、六月三日定期大会においては最惡な場合にはストライキを主目にした実力行動ではないか、ストを含む遵法鬪爭とか、ストライキ以外の遵法鬪爭とか、サボタージュとかいろいろなものがある。
  1462. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 業務管理は‥‥。
  1463. 青柳正雄

    ○青柳証人 それは入つておりません。そのとき業務管理という問題は全然議題に上らなかつたわけです。
  1464. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが六月九日にいよいよストに入るというので職場大会を開いたわけですね。
  1465. 青柳正雄

    ○青柳証人 それはちよつと違うのです。六月九日の臨時大会ストライキをやるための大会ではなかつた。これは資材不足の折柄、事故が起きても復旧の資材が倉庫になくて構内に遊んでいたぼろの入場車から密着連結器のピンをはずして流用したわけです。そういうような状態で、そのことを管理部に交渉しましたところが、管理部当局は不誠意な態度をもつて、運轉課長から、お前のところは人員が多いから首を切つてもやむを得ない。首を切つても國電の状態を維持することはできると言われたことを聞いたので非常に組合員大衆が憤慨したわけです。それでこの問題について、とにかくこのような態度でもつては、われわれの行政整理は必至であろう。すでにそのときはわれわれの目的とは違うけれども、東神奈川電車区とか、あるいは車掌区とか、あるいは中野車掌区で、続々として非常に緊迫した空氣があるということが、六月九日になつてわかつた。われわれとしてはこの六月九日の臨時大会において、こういう管理部の態度についてわれわれはどういうような態度をとつたらいいだろう、六月三日の大会で決定した基本的な線をどのように具体的に生かして行つたらよいかということを審議するために、あるいはもし犠牲者が出た場合の救済対策、そのようなものを立てるために、六月の九日に臨時大会を開こうじやないか、そういうようなことをこの前の執行委員会において決定を見ましたので、六月の九日に分会大会を開くということをすでに六月の五日から掲示を出したわけです。そして組合員にそれを徹底せしめた。それで六月の九日に臨時大会を開いたのであつて、あくまで、も六月九日の大会は客観情勢の変化に基いたところの大会であつてストライキをやるための大会ではなかつたのです。
  1466. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこでどういうことをきめましたか。
  1467. 青柳正雄

    ○青柳証人 六月九日の臨時分会大会を開催して、とにかくそのときには、六月九日の十一時から午後にかけて東神奈川の方面が実力行動に入つたストに入つた。それから中野車掌区も新交番当局との交渉が決裂した。そのような情報が陸続として入つて來たわけです。その点にかんがみまして、非常に大会——これは業務中はなかなか大会はやれませんので、仕事が終つてから十七時から大会を開催したわけです。組合員の皆さんにお集まり願つて、なるだけ簡單に一時間かそこらで終ると思つてつたわけです。ところが非常な客観情勢の変化がありましたので、その客観情勢の変化に対應していかにすべきかということについて、執行委員が、私書記長だつたのですけれども、私からいろいろの状況の報告、あるいは飯田委員長から状況の報告をやつたわけです。そこでどうするかという結論はきわめて重大である、今日のような客観情勢では、われわれの主観によつて組合員大衆をリードするわけに行かない。だからわれわれは客観情勢を報告して、さらに組合員大衆の討論によつて、今日三鷹分会の態度を打出そうじやないかということを、前の執行委員会できめたわけです。そこで分会大会に臨んだ。執行部としてはその基本的な態度をかえないで、客観情勢を報告して、われわれとしてはいかに今後鬪つて行かなければならないかということを皆さんに提案したわけです。そして執行部としては発言はしなかつたわけです。ちようど犠牲者の救済の規約を承認していただきまして、そのとき刻々と情勢が緊迫しておりまして、支部から事態急迫したから、とにかく鬪爭態度を整えて待期しておれというような鬪爭指令が参つておりまして、さらに鬪爭委員会を二十時から開催するからすぐ出席してもらいたい、このような連絡がありまして、私は支部の鬪爭委員としての資格がありますので、大会に心を残しながら、鬪爭委員会に出席したわけです。その後の状況は私は見ておりませんけれども、あとで報告を聞きますと、執行委員は発言せず、組合員大衆の熱烈な討論によつてストライキに入るべきである、そしてストライキに入るについては、第一に中鬪の指令によつて全國一齊に行えということが一つ、それから十三電車区一齊に行えということが一つ、支部の指示によつて一齊に行えということが一つ、中野、三鷹地区共同して一齊に行えということが一つ、この四つの案が組合員から出たわけです。これについていろいろ討論をかわした結果、中野、三鷹地区共同して一齊に行えということが、記名投票によつて三百三十三票対二十八粟できまつたわけです。
  1468. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると、先ほどあなたの言われた中鬪または支部指令によらないで、中野、三鷹地区で共同鬪爭をやる、こういうことになつたわけですね。
  1469. 青柳正雄

    ○青柳証人 その通りです。
  1470. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ほんとうはこういう重大なことは、國鉄労組というものは單一組合だから、支部とか、さらに中鬪の指令がなくてはそういうことはできないのが建前じやないのか。
  1471. 青柳正雄

    ○青柳証人 そのような考え方もありますけれども、私どもといたしましては、そのような客観情勢に対処していかになすべきかということを組合員諸君にお諮りしたわけです。ですから、組合員の中でも今委員長が言われたような意見が出たわけです。ですから、三電車区が一齊に行え、あるいは中野、三鷹地区共同して一齊に行えという意見も出た。採決の結果、大会において組合員が、中野、三鷹共同して行つた方がよいだろうということがきまつて、私どもといたしましては大会決議に從わなければならぬ。
  1472. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはそうだろうが、組合規約に反しているんじやないか。
  1473. 青柳正雄

    ○青柳証人 組合規約に反しているか反していないかということは、私どもの分会の態度でありまして、分会分会の態度として‥‥。
  1474. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それ以上は議論になりますからよろしい。今記名投票と言われたが、普通は記名投票というのは行わないんじやないですか。
  1475. 青柳正雄

    ○青柳証人 その点について申し上一げます。この点についてなぜ記名投票でやつたか。これも、私はいなかつたのですけれども、執行部でそういうことをしろと言つたわけじやない。これは組合員の方からそういう意見が出たわけです。この問題はきわめて重大である。場合によつてはある程度の犠牲が出るかもしれない。そういう犠牲の出た場合のことを考えて、これは單に委員とか執行委員とか、そういう人たちに責任をおつかぶせる十へきじやない。今次の闘爭は組合員一人々々が責任を持つて闘わなければならぬ。そのような観点から、とにかく最後まで組合員一人一人が責任を持つてわれわれの闘爭に対しては責任を持たなければならない。そのような考えから記名投票にしたということを聞いております。
  1476. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 記名投票にすると、それは非常に意思表示に制限は受けるわけですね。
  1477. 青柳正雄

    ○青柳証人 意思表示に制限を受けるというよりも、責任を持つて意思表示をするということです。
  1478. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのときの職場大会はどれだけほど出ておつた
  1479. 青柳正雄

    ○青柳証人 それは私のところで組合員三名に一人の割で、代議員制になつてつたわけです。当日の大会も代議員制でやろうと思つて、代議員の数は成立したわけです。ところが陸続として代議員以外の組合員大衆が集まつて來たわけです。そこで代議員の方から発言があつて、今次の大会はきわめて重大である。かかる意味から、これは代議員制でなくて、本日だけは特例として組合員総会にして、組合員全部の大会にしなければいけない。そのような提案がなされたわけです。そこで組合全部の大会というと、当時私のところの組合員数は総数五百八十八名で、その過半数で大会は成立することになつております。ですから過半数ならば、二百九十四名なければ成立しないわけです。その当時人員を確めてみましたところ、二百九十四名を超えて二百九十五名か六名おつたことを私は記憶しております。
  1480. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが組合員以外のものが大分入つてつたということだが、これはどうだ。
  1481. 青柳正雄

    ○青柳証人 そのようなことは労働組合を侮辱するもはなはだしいと思う。私どものところでは、組合員以外と申しますと、いわゆる外郭團体の友誼團体の方は見えております。これは私のまわりにおります日本無線であるとか、冨士三鷹であるとか、そういうような工場の外郭團体の方が見えております。これは労働團体として当然のことであろう。來賓としてあいさつに來られただけでありまして、大会を構成しておる人員はあくまでも中野、三鷹電車区の分会員で成立しておるので、発言や決定は外郭團体にはありませんが、外郭團体はあくまでわれわれの大会に対して祝辞を述べたり、あいさつをしたりするために來賓の資格で來ておるのです。
  1482. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それくらいでなくて、出て、大いにやれとか言つて、ずいぶんアジつたそうですが……。
  1483. 青柳正雄

    ○青柳証人 そのような來賓として來た人は、当然労働者としての見解に基いて、われわれの大会に対して祝辞を述べるわけです。アジアとかアジらないとかいうことは見解の相違でありまして、これはあくまでも労働者として……。
  1484. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういう祝辞以外に、やらなければならぬとか、反対する若があつたら承知せぬとか……。
  1485. 青柳正雄

    ○青柳証人 そういうことは絶対にありません。
  1486. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうかね。もつと甚しいのは、投票までもそういう外郭團体の者が……。
  1487. 青柳正雄

    ○青柳証人 そういうことは絶対にありません。
  1488. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ないというなら、それでいいでしよう。しかし二百九十何名という……。
  1489. 青柳正雄

    ○青柳証人 それはおいおいに組合員が集つて來たわけです。私のところでは運轉手など乘務員は始終乘つておりまして、なかなか大会に來られないわけであります。それで乘務員は勤務状態が非常にまちまちでありまして、十七時から大会を開くと言つても運轉士の方は勤務が終らなければ來られないわけです。そこで私が当時出席して、支部の鬪爭委員会へ行く者は、成立人員二百九十六名かで成立しておつた。そして事が重大な空氣になつたので、乘つてつた乘務員が、仕事が終つてどんどん大会に來るし、さらに深夜、徹夜勤務者が作業が終つてだんだん大会へつめかけて來た。そこでだんだん数が多くなつた、そのようなことは、私どもの闘爭委員会でもつて電話連絡を受けた。
  1490. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 間違いないね。
  1491. 青柳正雄

    ○青柳証人 間違いありません。
  1492. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 間違があつたら、さき言つたように重大なる責任がありますよ。
  1493. 青柳正雄

    ○青柳証人 わかりました。
  1494. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いろいろなことを聞いておるのだが、これ以上あなたと押し問答してもしようがない。そこで十日の始発からストに入つたそですね。
  1495. 青柳正雄

    ○青柳証人 そうであります。
  1496. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがそのストをやつておる六月十一日に、あなたの組合で一一二二A電車を特発運轉しようとしたということが言われておるが、そういうことはありますか。
  1497. 青柳正雄

    ○青柳証人 十一日の特発電車のことにつきましては、十日からストライキに入つており、連日支部の鬪爭委員会が開催せられておりまして、私は外部の方にまわつておりましたから、そのようなことは聞いておりますが、はつきしりしたことはよくわかつておらないのです。
  1498. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 出そうということを……。ところが管理部からそれを拒否された、こういうことは聞いておりますか。
  1499. 青柳正雄

    ○青柳証人 それは聞いておりますけれども、どういうわけで出そうとしたのか、あるいはどうして拒否されたか、その点についてはよくわかつておりません。
  1500. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何ゆえにそれを出そうとしたか聞いておりませんか。
  1501. 青柳正雄

    ○青柳証人 聞いておりません。
  1502. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが十一日にストを中止するということになつたそうです。
  1503. 青柳正雄

    ○青柳証人 そうです。
  1504. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いつごろどういうことできまりましたか。
  1505. 青柳正雄

    ○青柳証人 十一日に私支部の方からいろいろ宣傳員が出て、一分の情報をつかむために行つておりましたが、帰つて來たのはお晝ごろですが、そのときに聞いたわけです。とにかくこれはストライキを今このままでやつているよりも、ここで戰術を轉換しなければならない。そうであるから戰術を轉換しめいわくをかけておる大衆を乘せて、戰術を轉換して、われわれがストライキをやつたということの力強い確信のもとに、あらためて團体交渉をしなければならない。そのような考え方から、戰術轉換の意味で、ストライキを、中止しようという意見があつたそうであります。
  1506. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その戰術轉換は、今言われた国体交渉も一つの戰術轉換だろうが、そのほか何か意味があつたのではないですか。
  1507. 青柳正雄

    ○青柳証人 それについては、私はあくまでも十一日においてはストライキをここで中止して、大衆をいつまでも引張つておくよりも、ここで一時戰術を轉換してストライキを中止して電車を動かして、ストライキをやつた圧力でもつて團体交渉をやり、併せて大衆にわれわれの眞意を訴えよう、そういう意味の戰術轉換ではなかつたかと思います。私はその当時の執行委員会に出席しておりませんから、詳しいことはわかりませんけれども、私はそうであつたのではないかと思います。
  1508. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが同じ十一日に、これは中野であろうと思いますが、中野、三鷹合同の第二回防衞同盟闘爭委員会というものが開かれたことは知つていますか。
  1509. 青柳正雄

    ○青柳証人 防衞鬪爭委員会があるということは知つております。ところがいつ、何時に何回開いたかということは、私は防衞同盟闘爭委員会の方に常任闘爭委員として出席しておりませんから、いつそういうことを開いたか知りません。
  1510. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 戰術轉換ということはそこでもきめておりますが、そういうことはあませんか。
  1511. 青柳正雄

    ○青柳証人 この三鷹、中野地区防衞同盟ということは、三鷹電車区と中野電車区、中野車掌区、中野駅連区、この四つの分会があくまでも力を合せて國鉄を防衞するための組織をつくる、そういう考え方でつくつた組織なんです。それで三鷹電車区がストをやめても、中野電車区がやつておるならば中央線は混乱する。中野電車区がやめてもうちがやつておれば中央線は混乱する。そのような観点からいろいろ、戰術の面においても共同鬪爭をしなければならない。そのような観点から中野、三鷹地区防衞同盟の闘爭委員会が開かれたのではないかと思つております。
  1512. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでどういうことを決議されたか聞きましたか。
  1513. 青柳正雄

    ○青柳証人 中野、三鷹地区防衞同盟鬪爭委員会でどういうことを決議したのか私は知らない。
  1514. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 六十九闘爭計画、あなたはそこに持つておるでしよう。
  1515. 青柳正雄

    ○青柳証人 それは持つておりますけれども……。
  1516. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 七十四ページ。
  1517. 青柳正雄

    ○青柳証人 ページが違います。
  1518. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこに第六回鬪爭委員会、十一日の……。
  1519. 青柳正雄

    ○青柳証人 これは支部の闘爭委員会です。
  1520. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いや、六月十一日のところに書いてある順序だ……。
  1521. 青柳正雄

    ○青柳証人 書いてない。
  1522. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その次に第二回防衞委員会……。
  1523. 青柳正雄

    ○青柳証人 ここにはありません。
  1524. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではこれを見せてあげてもよろしいが、これを見たことはありませんか。
  1525. 青柳正雄

    ○青柳証人 防衞委員会というものがあることは知つております。それから開いてどういうことを決議したか知りません。ここに出ておりますストの革命的力を横に延ばすことを確認し、戰術轉換ということは、この点は私は聞いておりません。
  1526. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはよほど重大なことではないですか、あなた組合員としては、同盟組合員は即同盟委員だろうと思うが、そんなことは知らない……。
  1527. 青柳正雄

    ○青柳証人 それは防衞同盟として共同闘爭することは当然であつて、いろいろな戰術の面においても、三鷹、中野地区は密接な関係にありますから、いろいろ戰略戰術の面おいて協議して、とにかく一体となつて動くということが大会の決定でもある以上、中野、三鷹地区が一体となつて動くことは当然です。しかし革命的力を横に延ばすということは知つておりません。
  1528. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは六月二十三日から開かれた熱海の大会に出席されたそうですね。
  1529. 青柳正雄

    ○青柳証人 出席いたしました。
  1530. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その大会で鈴木清八王子支部執行委員長が八王子支部における第六回及び第七回の鬪爭委員会の決議に対して非常な脅迫を受けて、非民生的な決議であるという報告をせられたそうだが、あなたは聞いておりますか。
  1531. 青柳正雄

    ○青柳証人 聞いております。
  1532. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ことに先ほどから聞けば、あなたは執行委員として支部べ行つておられたというのだが、鈴木君の報告がほんとうであつたかそれともどうであつたか。
  1533. 青柳正雄

    ○青柳証人 そのことについてお答えいたします。これは第六回、第七回闘爭委員会において現われた現象であつて、私も第六回、第七回闘爭委員会には最初から出席しております。それで第六回闘爭委員会が開催されました時期というものは、非常に八王子支部管内の各分会の動向が險惡な度を加え來たつていたことは事実であります。それで三鷹、中野地区がストに十日から入つて分会組合員があの三鷹、中野地区の動向を注目しておつたのです。そうしてわれわれがストを決定した六月九日から十一日にかけて各分会で緊急的な職場大会が開催されたわけです。そうしてこの職場大会でいろいろ重大な決定がなされて各組合員の氣持も中野、三鷹の兄弟を見殺しにしてはならないという氣持になつたわけです。そうして支部におきましてこの事態をどうするかということで第六回、第七回の闘爭委員会が開催されたわけです。そのときには支部へいろいろ各分会の傍聽者が多数來られました。支部へ來られましていろいろ彼らも非常に心配しておりまして、中野、三鷹地区の兄弟をこのまま孤立化してはいかぬ。われわれはぜひ中野、三鷹地区に続いて立たなければいけない。こういうことを考えておつて、八王子附近の各分会それから遠くは東飯能、原町田の方面の組合員が陸続として支部の闘爭委員会に傍聽に來たわけであります。そうして第七回、第六回鬪爭委員会が終末に近づくころには——、八王子の管内は分会が三十分会ありますが、その分会のうちの二十三分会の人が——これは私の知つている組合員に何分会來ておるかと聞いたら、二十三分会來ておると言つてつた。これは確実なことはわかりませんが、二十三分会くらいの組合員が傍聽に來ておつたわけであります。そうして第六回の鬪爭委員会において組合員が傍聽席でいろいろ——これはどこの会合でも見られるわけですが、やじる。やじることは非常にいけないことだと私は思うております。しかしあのときの情勢は普通の情勢とは違うわけで、非常に事態が切迫して、労働者としてとにかく中野、三鷹地区の兄弟を見殺しにしてはならないという氣持でもつて、支部執行部の軟弱な態度を批判したわけであります。それで組合員は、礼儀正しい言葉は使いません。しつかりしろとかダラカンという言葉は使つたかもしれませんが、そのような緊迫した雰囲氣の中で、傍聽の人が中野、三鷹地区の兄弟を見殺しにするような態度があるという批判をしたわけであります。私はとにかく組合員諸君に対して静かにしてもらいたいということを訴えたわけです。そうしてあまり喧騒にわたるというので秘密会議にしようじやないかということになつたわけです。そこで秘密会議にするかいなかということになつて論議が続けられましたれども、とにかく組合員諸君が静かにしておればいいじやないかということを私どもは主張したわけです。しかし採決の結果これは一應重大であるから秘密会議にしようではないかということになつて組合員の諸君が外へ全部一旦退場したわけであります。そうして第六回の闘爭委員会をそのまま続行いたしまして、中野、三鷹地区のストに対して——八王子支部はこの前の第五回の鬪爭委員会でもつて闘爭指令の第何号でありましたか忘れましたけれども、いわゆる実力行動は時期尚早であるから中止しろというような指令を出したわけです。その指合を第六回闘爭委員会で確認して、それでスト打切りの指令を出すかどうかというようなことを第六回鬪爭委員会でやつたわけです。
  1534. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはわかつております。今私の言うのは熱海で報告したわけでしよう。
  1535. 青柳正雄

    ○青柳証人 だからそれを言わなければわからないわけです。それでやつたところが、大体その鬪爭指令、第十四号の打切りという指令が確認されたわけです。そのときまた組合員が秘密会議だけれども不可抗力でもつてあけ放してみんな入つて來たわけです。それでいろいろ討論がかわされあた結果、結局第六回鬪爭委員会はそのような結果になつたわけであります。そこで組合員は非常に憤激したわけであります。われわれは三鷹、中野の兄弟を見殺しにしてはならない。支部の鬪爭委員会でそういう決定をしてしまつた。非常に残念だというように言つたわけであります。しかし私はあそこに出席いたしましたけれども、鈴木委員長に対して脅迫したとか暴行したとかいう事実は、私は現場も見ておりませんし、私は支部の鬪爭委員として出席しておりまして、傍聽者が騒ぐので——これは國会でもその通り騒ぐと思いますが(「何を言うんだ失礼なことを言うな」と呼びその他発言する者ある。)静かにしてください、私は証人として出席して発言しておるのです。     〔「何を言うんだ」と呼び、その他発言するものあり〕
  1536. 石田一松

    ○石田(一)委員 議事進行について一言、まことに出しやばるようだけれども、今の議会でもそういう騒ぎがあると言われたのは、一應あなたはお取消しになつた方がいいと思いますが。
  1537. 青柳正雄

    ○青柳証人 じや取消しましよう。それで組合大会、あるいは中央委員会でいろいろ激論が闘わされたわけであります。特に國鉄大会なんかは非常に喧騒がはげしいわけであります。しかし私どもの考えといたしましては、支部の闘爭委員会で相当喧騒いたしましたのは事実です。傍聽者が非常に騒いだことはあります。しかしこれはあくまでも中野、三鷹の兄弟を見殺しにしてはならないという熱情のほとばしりでなかつたかと私は考えております。そこで鈴木委員長が脅迫された、あるいは暴行されたというような事実を私は目撃しておりません。
  1538. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると熱海の報告はうそだね。
  1539. 青柳正雄

    ○青柳証人 うそじやありません。熱海の中央委員会で言つたことは、私は傍聽者が鈴木委員長に対して脅迫したか暴行したとかいうことについては、熱海の中央委員会においては、私はそういうような暴行の事実を知らないということを申しました。それからさらに、たといそういうような喧騒にわたつても、鈴木執行委員長は、とにかく委員長として責任を持つ以上委員長の席にしつかりすわつていてもらいたかつた。労働委員会の指導者として雲隠れなんかしないで、委員長の席にしつかりすわつていてもらいたかつた。もしも委員長の身にそのようないまわしい暴力がふるわれるならば、私は身をもつて委員長をかばうであろうということを私は中央委員会で申しました。
  1540. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だから私の言うのは、そう多く言わんでもいい。結局あなたの言うことを聞くと、鈴木君が熱海で報告したことはうそだということになるんだね。暴行脅迫なんかはないんだ。暴行脅迫があつたというのはうそだ。
  1541. 青柳正雄

    ○青柳証人 鈴木委員長はとにかく暴行とか脅迫の事実があつたということを私たちに申しました。しかし私は暴行脅迫を目撃しておりませんので、目撃しておればあくまでも申し上げます。
  1542. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だからそうすれば鈴木君の報告はうそだつた、こういうわけですね。
  1543. 青柳正雄

    ○青柳証人 うそであるかうそでないかわかりませんが、私は暴行脅迫の事実を見ていないというのです。だから完全に暴行された、脅迫された、ということは、事実をちやんと見て、それが眞実であるという確証まであがれば、これは言えますが、私は見ておりません。
  1544. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 よろしい、それなら聞くが、秘密会議にしたのに不可抗力で傍聽者が入つて來たと言われるのはどういうことなのです。
  1545. 青柳正雄

    ○青柳証人 第事六回鬪爭委員会が終るまで外にいたわけであります。採決が終つた瞬間、もう終つたわけですから、そのとき傍聽者が闘爭委員会は終つたからいいだろうというので入つて來たわけです。
  1546. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは間違いないか。まだ会議をやつておるうちに入つて來たと言つたが。それはどうだ。
  1547. 青柳正雄

    ○青柳証人 さつき第六回鬪爭委員会が終る前に採決したと言つたわけです。第十四号指令を確認すると、指令が確認されたと同時に組合員が入つて來たわけであります。そのときはとめようがなかつたわけです。実際問題として大勢入つて來たので……。
  1548. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 採決してしまえば会議は済む、そうじやなく会議中に入つて來たんだろう。
  1549. 青柳正雄

    ○青柳証人 そのときははつきり記憶しておりません。そのときは非常に混乱しておつて、私はだれが何時ごろに、入つて來たとか、そういうことは記憶しておりません。
  1550. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 第一秘密会と決定したにもかかわらず、不可抗力で押しかけて來たと言うに至つては、それほど大きな暴行脅迫はないと思うのだ。それでも君はそう言われるか。
  1551. 青柳正雄

    ○青柳証人 秘密会に傍聽者が不可抗力で入つて來たとか伝々ということは会が採決し終つてから入つて來たか、採決の直前入つて來たか、そのところははつきり覚えていないのですがね、
  1552. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いずれにしても、秘密会と決定しておるにもかかわらず不可抗力で入るくらいなら、それほどの暴力というものはなかろうが……。
  1553. 青柳正雄

    ○青柳証人 しかし組合員が入つて來たのは、ほんとうに中野、三鷹地区の兄弟を見殺しにしてはならない。われわれも中野、三鷹のあとに続くのだ、そういう熱情がほどばしり燃えて、そういうことになつたのです。
  1554. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは間違いないかね。
  1555. 青柳正雄

    ○青柳証人 間違いありません。
  1556. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 六月の三日に分会定期大会というのを開いたのですね。
  1557. 青柳正雄

    ○青柳証人 はい。
  1558. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 その大会で、最惡の場合ストをも含む実力行使伝々の決議をしたのですな。それは間違いないですね。
  1559. 青柳正雄

    ○青柳証人 間違いありません。
  1560. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 そこで私が考えるのに、六月の二十三日の熱海の中闘委員会においても、最惡の場合ストをも含む云々という決議をしておいでになる。その日は六月の二十三日でありますが、すでにあなた方は六月三日において、二十三日に熱海において決議すると同一な文句をもつて決議をしておいでになるという事実をお認めになりますね。
  1561. 青柳正雄

    ○青柳証人 そうです。
  1562. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 そうすると、私たちが考えるのに、これは何かそこに背後からこの文句を指示した者があるのじやないかということを疑わざるを得ない。この点いかがですか。
  1563. 青柳正雄

    ○青柳証人 六月の三日の分会大会におきまして、やはりいろいろの提案がなされました。執行部として提案もいたしました。そうして執行部といたしましては、この狭いところで行政整理による首切りの問題とか、強制配置轉換の問題とか、そういう問題に対して三鷹電車分会はどういう態度をとつたがいいか、われわれとしては労働者である以上、首切りや強制配置轉換については、納得できないのです。どうしてもこれは反対の態度で進まざるを得ない。
  1564. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 それでわかつた。私の聞かんとするのは、最惡の場合ストをも含むという文句をあなた方みずからお考えになつたのか、何かこういう文句を用いる材料があなた方の手元にすでに入つてつたかどうか。
  1565. 青柳正雄

    ○青柳証人 私どもとしては、私どもの考えによつて組合員に……。
  1566. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 そうすると、あなたの分会定期大会において、独自にこういう文句を定めた。
  1567. 青柳正雄

    ○青柳証人 その通り事です。
  1568. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 そうすると、私の考えではこの熱海の中闘委員会なるものは、あなた方のまだ数段上にある会であると思います。
  1569. 青柳正雄

    ○青柳証人 組織の上においてはそうです。
  1570. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 そうすると偶然と申しましようか、もし弁明すれば偶然と申しましようか、その一番高いところにあつてあなた方を指揮命令しなくちやならないような重大なる立場にあるこの会が、一番末端にあるあなた方の文句をならつて書くというような不見識な、私は一体何事かと実はその中闘委員会の権威を疑わざるを得ない。しかしながらさらに私はそういうことの皮肉を申し上げるよりも、そこに一貫したる何かが背景にあつたというこの事実は、私考えざるを得ないのであります。
  1571. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どうだね。そういうことはあるのかね、ないのかね。
  1572. 青柳正雄

    ○青柳証人 そういうことはどうも私には……。
  1573. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 しかし今言うたような疑いは確かに起るよ。君方の文句にならつて中闘委員会がやつたようになるわね。
  1574. 青柳正雄

    ○青柳証人 そのようなことはありませんです。
  1575. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 おそらくあるというほどの共産党員じやなかろうが、共産党員であるということすら箝口令をはめられておるのだから、そういう者が出たといういことをここで証人が言うことは期待しておりません。しかしながらこの事実を発見したことは、私は大きな収獲であると思わざるを得ないのであります。
  1576. 大橋武夫

    ○大橋委員 今のストをも含む実力行使という決議案、それはだれが起草されまし事か。
  1577. 青柳正雄

    ○青柳証人 ストをも含む実力行使の決定というものは、これは執行委員会で散々論議されたわけです。それで執行委員会で論議が闘わされましたけれども、これは非常に重大なことで、それは何といつても私の考え通り、これを押しつけることはできないわけですよ。どうしても結論を執行部で出すのは間違いじやないか。これで執行部で結論を出さないで、どうしたらいいかということを組合員の皆さんにお諮りして、それで組合員の皆さんの討論によつて決しようじやないかということになつたわけです。それで執行部といたしましては結論を出さないで、最惡の場合にはどうし事たらよかろうか、そういうことを大会に諮つたわけです。それで皆さん方の討論によつて、最惡の場合にはストライキをも含む実力行動をしなければならないのであろう、そういうような結論を出されたわけです。
  1578. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、そのときに大会の進行中にたれがそれを提案したのですか。
  1579. 青柳正雄

    ○青柳証人 それは当然書記長である私が、こういう状態に対して分会はいかなる態度をとるべきかということを皆さん方の討論によつて決定していただきたいということを申し上げました。
  1580. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうしてあなたがそれを紙に書いて読み上げたわけですか。
  1581. 青柳正雄

    ○青柳証人 紙に書いて読み上げたわけではないのです。
  1582. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたが口で言つて……。
  1583. 青柳正雄

    ○青柳証人 ストを含む実力行動を決定したのは、組合員の討論の結論によつて生まれたわけです。私どもがストライキをやれとか、実力行動をやれということを一押しつけたのではないのです。
  1584. 大橋武夫

    ○大橋委員 文句がきまつたのは……。
  1585. 青柳正雄

    ○青柳証人 文句がきまつたのは、組合員の最惡の場合実力行動をしやる、そういう結論が出たわけです。
  1586. 大橋武夫

    ○大橋委員 そういう結論が出ましたね。しかしそれはただみながしやべつただけで、別に速記しておるわけでないから、文句をいうものはない。それを文句にした人があるに違いない。
  1587. 青柳正雄

    ○青柳証人 それは議長が議長席において、組合員大衆が討論をして、その討論の結果、この討論が生み出されて、一つの案が出されるわけです。そうして最惡の場合には、われわれ労働者の首を守るために、ストをも含む実力行動をあえて辞さない。そういう態度を決定すべきである。そういうことの案を出されたわけです。
  1588. 大橋武夫

    ○大橋委員 案を出すのは議長ですか。
  1589. 青柳正雄

    ○青柳証人 議長ではありません。大衆が出したのです。
  1590. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 原案はだれでも出せる……。
  1591. 青柳正雄

    ○青柳証人 要するに原案は——ストをも含む実力行動をやるという原案をわれわれがここに出すことを好まなかつた。そのときは参……。
  1592. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だけれども、だれか出さなければ、討論の中心にならない。
  1593. 青柳正雄

    ○青柳証人 われわれとしては今までの大会の議事の進行みたいに、こつちで書いてみなにプリントを配つて、闘爭方針はこういうふうにするのだということをすると、分会の組会員の大衆は、執行部の提案に同調してしまうようなきらいもあるのではないか。そのような考えから、そういうことをうたつて押しつけるよりも、現在の首切りをどうしたらいいか、そういうことを皆さんに出して、そうして皆さんに……。
  1594. 大橋武夫

    ○大橋委員 そのときのあなたの役目はどうしたらいいかということを聞く役目だつた
  1595. 青柳正雄

    ○青柳証人 そうです。
  1596. 大橋武夫

    ○大橋委員 原案というものは、どうしたらいいかということを、白紙で出したわけですか。
  1597. 青柳正雄

    ○青柳証人 そうです。
  1598. 大橋武夫

    ○大橋委員 それでそのとき、大衆の中から第一発にストをも含む実力行使だ、こういうことを言つたのはだれですか。その役はだれが引受けていた。
  1599. 青柳正雄

    ○青柳証人 だれがそこでそうい発言をしたかということは、私がそういうことを開いたときに皆さんがいろいろ討論したわけですよ。
  1600. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなた方のフラクでちやんと相談ができているのだから、あなたの方から大衆の中にまぎれて、そういう提案をする役割は、だれかなかつたということはあり得ない。それはだれでした。
  1601. 青柳正雄

    ○青柳証人 それは組合員大衆が——私の方でフラクできめたとか、そういうことは全然抜きにして、労働者大会できめたことなんです。ですから、だれが提案したか。どなたが提案したか、とにかくそれは六百人からいる組合員の中からはつきり名前を……。
  1602. 大橋武夫

    ○大橋委員 それではあなたの大会では議事録というものができておるのですか。
  1603. 青柳正雄

    ○青柳証人 これは書記がいて書いております。
  1604. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたが書記でしたか。
  1605. 青柳正雄

    ○青柳証人 私は書記長ですから……。
  1606. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、その議事録を見るとだれが最初に言つたかわかりますか。
  1607. 青柳正雄

    ○青柳証人 組合員の中からだれが提案した、彼が提案したかということは、六百名の組合員の中から自然的にそういう空氣が高まつて來て、とにかく大勢の人がストでなければだめだ……。
  1608. 大橋武夫

    ○大橋委員 熱海大会の議事録なんか見てもわかるように、ああいう空氣が高まつて來ているには、初めにだれがこう言つた、次にだれがこう言つた、次にだれが言つた、そうして結論として議長がストをも含む実力行使についてどうだ、こういうことになつている。あなたは書記長として、またあなたのお手傳いをされる書記が議事録を書く上に、たれがどういう発言をしたか書いてないはずはないでしよう。書記長としてはまたそれを読まないはずはない。
  1609. 青柳正雄

    ○青柳証人 分会大会というのは中央委員会や全国大会と違つて職場大会みたいなわけです。ですからはつきり形式ばつた会議にはならない。
  1610. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなた方はたいていそういう会議でだれが何と言つたかメモをとつておるでしよう。いわんや重要なストをも決定するような職場大会において、だれが最初にその発言をしたかわからないはずはないでしよう。
  1611. 青柳正雄

    ○青柳証人 みんなして言つたわけです。
  1612. 大橋武夫

    ○大橋委員 それではそのとき発言したのはだれとだれですか。
  1613. 青柳正雄

    ○青柳証人 そういうことを今ここで聞かれてもちよつと覚えがありません。われわれの職場大会を一回來て見ていただけばわかりますが、とにかく大勢でわつさわつさと発言する。中央委員会や全國大会みたいに指名されて演壇に上つて発言する仕方でない。とにかくうしろの方は立つている。座つているのは前の方だけだ。二人三人で発言してはわいわいやつているわけです。だれがそういう発言をしたか、はつきり覚えはありません。
  1614. 大橋武夫

    ○大橋委員 はつきりでなくてもよい。うろ覚えでよろしい。私はうろ覚えに知つていることを聞きたい。
  1615. 青柳正雄

    ○青柳証人 うろ覚えといつても、うろ覚えのことを答えるわけにはいかない。
  1616. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたはいかなくても、うろ覚えを聞きたいのが、今日あなたを証人としてここに呼んだ理由なんです。
  1617. 青柳正雄

    ○青柳証人 しかしわからないことはわからない。
  1618. 大橋武夫

    ○大橋委員 わからないことはない。うろ覚えということを言つておるではないか。証人証言を拒否されるわけですか。
  1619. 青柳正雄

    ○青柳証人 拒否しません。
  1620. 大橋武夫

    ○大橋委員 それならあなたのうろ覚えを言つてください。
  1621. 青柳正雄

    ○青柳証人 私は確実なことを答えたいが、そのときは組合員がみんな大勢で発言されておつたので、だれがこう言つたとか何と言つたとか、六百人近い組合員を一々覚えてはいない。
  1622. 大橋武夫

    ○大橋委員 六百人近い組合員を覚えていなくても、そこで発言した数人の者を覚えていないはずはない。しかしそこがはつきりしないならよろしい。しかしあなたはうろ覚えだと言つた。そのうろ覚えを言つてください。
  1623. 青柳正雄

    ○青柳証人 言いませんよ。とにかく大会におきましてはいろいろな方が発言されている。
  1624. 大橋武夫

    ○大橋委員 そのいろいろな方を言つてください。
  1625. 青柳正雄

    ○青柳証人 第一発言にだれがどういう発言をしたとか、第二発にだれが発言したとか……。
  1626. 大橋武夫

    ○大橋委員 順序はどうでもよろしい。発言した人はだれとだれですか。
  1627. 青柳正雄

    ○青柳証人 だれが言つたか記憶に明瞭でない。
  1628. 大橋武夫

    ○大橋委員 証言を拒否されるものと思います。
  1629. 青柳正雄

    ○青柳証人 拒否ではありません。
  1630. 大橋武夫

    ○大橋委員 委員長の開かれた点ですが、八王子の支部の闘爭委員会にあなたが出席しましたね。
  1631. 青柳正雄

    ○青柳証人 出席しました。
  1632. 大橋武夫

    ○大橋委員 その御出席になつた支部の闘爭委員会で、いよいよ最後の決をとる前に、委員長のところへ脅迫があつたという事実をあな事たは見ていないと言われましたね。
  1633. 青柳正雄

    ○青柳証人 見ておりません。
  1634. 大橋武夫

    ○大橋委員 そのとき、委員長に「鈴木」と高声を発して近寄つた一人の若い鉄道職員の服装をした人のあつたのをあなたは見たでしよう。
  1635. 青柳正雄

    ○青柳証人 第六回の鬪爭委員会が終るときに、これはだれだか知りませんけれども、うしろから突き出されて、とにかくあのときは大勢でわいわい騒いだわけです。第六回の闘爭委員会が終つて、休憩に入つたわけです。休憩に入つたときに、傍聽者の中から、うしろの方から押されてよろめいて委員長のそばへ出て來た。うしろの方で騒いでいた人がいるのです。三鷹地区の兄弟を見殺しにするなとか、おれたちあとに続くぞとか、そういう声があつた。そういうように騒いだ人が突き出されて委員長の大体一メートル半くらいのところへ來たのです。
  1636. 大橋武夫

    ○大橋委員 それは休憩中の出來事ですか。
  1637. 青柳正雄

    ○青柳証人 休憩中です。
  1638. 大橋武夫

    ○大橋委員 休憩中じやないでしよう。開会中の出來事じやないですか。
  1639. 青柳正雄

    ○青柳証人 とにかく休憩中だか開会中だか忘れましたが、突き出されてそばへ寄つて、どうしてわれわれと一緒に闘つてくれないのだと、涙をこぼして訴えたことを見ております。しかしそれが脅迫かどうか、私は脅迫だとは思つておらない。
  1640. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ちよつと聞くが、突き出されて來たとすればよろめいて來たんですな。
  1641. 青柳正雄

    ○青柳証人 よろめいてそばべ來たんです。うしろの方で騒いでおつたんです。
  1642. 大橋武夫

    ○大橋委員 だれに突き出されたか
  1643. 青柳正雄

    ○青柳証人 だれかわからない。
  1644. 大橋武夫

    ○大橋委員 どういう理由で突き出されたか。
  1645. 青柳正雄

    ○青柳証人 突き出されたというわけじやなくてうしろの方で大勢騒いでたわけです。それでその人が、鈴木さん、おれたち一緒に闘つてくれ、そう言つて前に出て來たわけです。
  1646. 大橋武夫

    ○大橋委員 「鈴木さん」じやなく、「鈴木」と言つたという……。
  1647. 青柳正雄

    ○青柳証人 それは私は「鈴木」と言つたか「鈴木」さんと言つたはつきり覚えておりませんが、とにかく前に出ようとしておつたことは事実です。前へ出ようとしたから、そこで突き飛ばされてよろめいた。
  1648. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたの言うことを聞いておれば何を言つておるかわからない。実際の眞実を言つてください。あなたは良心に從い眞実を述べると誓つたではありませんか。
  1649. 青柳正雄

    ○青柳証人 眞実を述べるから聞いてください。とにかく鈴木さんに、私たち一緒に闘つてもらいたい、そういうことを訴えるために出て來たわけです。そうして一番前に來たときに、よろけてそばへ寄つたわけです。
  1650. 大橋武夫

    ○大橋委員 そのとき、村林さんとか何林さんとかいう支部の國爭委員はおりませんでしたか。
  1651. 青柳正雄

    ○青柳証人 平林です。
  1652. 大橋武夫

    ○大橋委員 その方がおとめになつたそうですね。
  1653. 青柳正雄

    ○青柳証人 平林君もとめたし私もとめた、ということはとにかくそんなに前へ出てはいけない……。
  1654. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたはなぜとめたのですか。
  1655. 青柳正雄

    ○青柳証人 なぜとめたかというと、闘爭委員会において傍聽者が行つて議長と話をすることは、こつちの鬪爭委員会の関係もありますから……。
  1656. 大橋武夫

    ○大橋委員 脅迫的な話をするというのでとめたんでしよう。脅迫と鈴木君は言つている。
  1657. 青柳正雄

    ○青柳証人 私は脅迫だとは思つていない。
  1658. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたは仲間をかばうために脅迫だと言つていないが、鈴木君は非常に脅迫を受けて、これでは議事が進められないというので休憩したそうじやありませんか。
  1659. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大橋さん、脅迫ではない。後ろからよろめいて出たというのですから、脅迫にならぬことは当然じやないですか。
  1660. 大橋武夫

    ○大橋委員 脅迫でないという点はわかりました。それで部外者も大分さわいだそうですね。
  1661. 青柳正雄

    ○青柳証人 部外者が來ていたかどうか私はよく知つておりません。
  1662. 大橋武夫

    ○大橋委員 部外者が相当來ていたそうですね。
  1663. 青柳正雄

    ○青柳証人 そのときは夜になつておまして、支部の中も闘爭委員会へ電燈が全部集中しておりまして、電燈は支部は少いのですから、まわりが暗くて、私の見たところでは鉄道の制服を着た若い人が大分おりました。
  1664. 大橋武夫

    ○大橋委員 その闘爭委員会は何時から始まりましたか。
  1665. 青柳正雄

    ○青柳証人 第六回の闘爭委員会は三時三十五分から始まりました。始まつたときには議論が沸騰しておりました。
  1666. 大橋武夫

    ○大橋委員 傍聽者がたくさん部屋の中に來ていたのはわかりませんでしたか。
  1667. 青柳正雄

    ○青柳証人 早くから來ていましたけれども、そのときは私の見たところでは鉄道の制服を着た者ばかり來ておりました。窓のそとに鉄道の制服を着ていない人もいました。それは外部團体の労働組合の方です。
  1668. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうでしよう。いたはずです。そう言つてもらわぬと偽証になる。それからあなたは最後に委員会が済んでから人が入つて來たと言われたのですが、第六回の採決をするとき、そのときはびつしり立錐の余地のないほど部外者をまじえた傍聽者が入つて來て、そうして、各闘爭委員の後ろの方から身もすれすれになつて、闘爭委員が無記名投票をしようとしたつて、書いたつて上から覗かれるから、無記名の実が上らない。そのくらいたくさん入つてつた。こういう話ですが、どうでしようその点は。
  1669. 青柳正雄

    ○青柳証人 部外者を、まじえたと言いましたけれども……。
  1670. 大橋武夫

    ○大橋委員 部外者をまじえなくてもよろしい。その数はそのようにたくさん入つておりましたか。
  1671. 青柳正雄

    ○青柳証人 國鉄組合が入つておりましたけれども、支部の方は事務室があまり廣くないわけです。それですから五十人から百人くらい組合員が入るとぎつしりになつてしまう。あまり廣くないので闘爭委員会は三十名くらい集まつてやりましたが、いろいろ机なども置いてありまして、そんなに一ぱい入れないわけです。しかしむりをして相当入りましたが、私は勘定をしたわけではありませんから、何人入つたか知りません、けれども、相当入つて参りました。
  1672. 大橋武夫

    ○大橋委員 採決のときには満員でしたか。
  1673. 青柳正雄

    ○青柳証人 あそこは狭いので、五十人入ると満員になつてしまうです。
  1674. 大橋武夫

    ○大橋委員 五十人くらい入つていたのですか。
  1675. 青柳正雄

    ○青柳証人 五十人くらい入つて、相当熱心にみな來ておりました。
  1676. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、何人入つていたかわからないと言うけれども、そんなことはないでしよう。見込みだけでも五十人くらいということはわかるはずです。
  1677. 青柳正雄

    ○青柳証人 数えたわけではないからわからない。
  1678. 大橋武夫

    ○大橋委員 大勢おつたのですね。
  1679. 青柳正雄

    ○青柳証人 大勢おりました。
  1680. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたは共産党にいつ入られましたか。
  1681. 青柳正雄

    ○青柳証人 共産党に入つたということと、國鉄ストの問題と何か関連があるのですか。
  1682. 大橋武夫

    ○大橋委員 非常に関連があるのです。それがために聞いておるのです。
  1683. 青柳正雄

    ○青柳証人 國鉄ストの問題について私はお答えしておるので、私が共産党に入るということは、憲法に認められた思想の自由で入つたのだから……。
  1684. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたが共産党員であることはわかつておる。いつ入つておるかということを聞いておる。そういうことは調べてわかつております。
  1685. 青柳正雄

    ○青柳証人 私が共産党に入つたのは、二・二ストの前です。
  1686. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると三年ばかりになりますね。そのときは職場はどこでした。
  1687. 青柳正雄

    ○青柳証人 職場は私は技工出身ですから檢車職場です。
  1688. 大橋武夫

    ○大橋委員 三鷹電車区の……。
  1689. 青柳正雄

    ○青柳証人 そうです。
  1690. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたは今三鷹電車区の共産党のフラクとして活動しておるのですね。
  1691. 青柳正雄

    ○青柳証人 私はきようは三鷹電車区の書記長として喚問されたのです。
  1692. 大橋武夫

    ○大橋委員 共産党員としてのあなたの任務は、電車区のフラクですね。
  1693. 青柳正雄

    ○青柳証人 共産党の任務というよりも、私はあくまでも労働組合の役員として活動しておるわけです。
  1694. 大橋武夫

    ○大橋委員 それなら何も共産党に入る必要はないのであつて共産党に入つた以上は、その職場においてフラクとして活動する必要があるから……。
  1695. 青柳正雄

    ○青柳証人 私は共産党員としては事きわめて意識の低いお粗末な共産党員でしよう。
  1696. 大橋武夫

    ○大橋委員 お粗末でも何でも、フラクとしてやはり電車区に属しておりますね。
  1697. 青柳正雄

    ○青柳証人 私は日本共産党に入党しておりますけれども、私が組合の中でやつておる仕事は、共産党の仕事をやつておるわけじやないです。
  1698. 大橋武夫

    ○大橋委員 それは当然です。
  1699. 青柳正雄

    ○青柳証人 國鉄組合の役員として仕事をしておるわけです。
  1700. 大橋武夫

    ○大橋委員 それからやはり電車区の細胞ですな。
  1701. 青柳正雄

    ○青柳証人 そうです。
  1702. 大橋武夫

    ○大橋委員 やはり支部のフラクにもやつておられるのですか。
  1703. 青柳正雄

    ○青柳証人 支部のフラクとか何とかおつしやいますけれども、これは細胞組織がある以上、三鷹電車区の細胞に属しておりますが、支部全体にそんなものはありません。支部全体のフラクということは、支部全体についていろいろ緊密な連絡がとれない……。
  1704. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたは六月一日から六月九日までの間に、フラクの会合を何回持たれましたか。
  1705. 青柳正雄

    ○青柳証人 そういう政治的な会合を何回持つたか、私は非常に病氣がちな人間であつて、細胞関係にはあまり出席しておりません。
  1706. 大橋武夫

    ○大橋委員 一回も持たないということはないでしよう。
  1707. 青柳正雄

    ○青柳証人 一回も持たないということはないけれども、私はあまり出席しておりません。
  1708. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると一回は出ましたね。一回は少くとも出たとあなたはいわれたわけですか……。
  1709. 青柳正雄

    ○青柳証人 そうです。
  1710. 大橋武夫

    ○大橋委員 その一回にだれとだれと出席されましたか。     〔発言する者多く議場騒然〕
  1711. 大橋武夫

    ○大橋委員 一人か二人出席してる人がありますか。
  1712. 青柳正雄

    ○青柳証人 六月一日からいつまでですか。
  1713. 大橋武夫

    ○大橋委員 十日まで。
  1714. 青柳正雄

    ○青柳証人 私は入党してからと思つたのです。六月一日から十日までの間は私健康を惡くして休んでおりまして、きようもむりして出て來ております。六月一日から細胞会議に出ておりません。
  1715. 大橋武夫

    ○大橋委員 すると六月一日以前に最後に出られたのはいつごろですか。
  1716. 青柳正雄

    ○青柳証人 日はよく覚えておりません。
  1717. 大橋武夫

    ○大橋委員 五月中ですか。
  1718. 青柳正雄

    ○青柳証人 五月中には出ましたけれども、六月一日から今まで出ておりません。
  1719. 大橋武夫

    ○大橋委員 細胞会議が開かれるときに連絡はどなたから受けておられますか。
  1720. 青柳正雄

    ○青柳証人 細胞会議ですか、そのときはこれは細胞の責任者から招集されます。
  1721. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたが責任者ですか。
  1722. 青柳正雄

    ○青柳証人 私ではありません。
  1723. 大橋武夫

    ○大橋委員 どなたですか。
  1724. 青柳正雄

    ○青柳証人 しかし、そういうことをお聞きになるのはおかしいと思うのです。
  1725. 大橋武夫

    ○大橋委員 けれどもやはりあなた方のフラクでやつたことが結局組合を通じて今度のストまで発展したのじやないかということが問題なんです。
  1726. 青柳正雄

    ○青柳証人 そういうことはありません。
  1727. 大橋武夫

    ○大橋委員 あるかないかはわれわれが調べるので、あなたが調べるのではない。そこで責任者がどなたであつたかということを聞いているのです。
  1728. 青柳正雄

    ○青柳証人 それは私の方は責任者が招集するというよりも……。
  1729. 大橋武夫

    ○大橋委員 だれが招集してもよろしいのですか。
  1730. 青柳正雄

    ○青柳証人 毎週金曜日に招集することになつております。
  1731. 大橋武夫

    ○大橋委員 責任者はどなたですか。
  1732. 青柳正雄

    ○青柳証人 これは立山という人ですが……。
  1733. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 済みました。御苦労さまでした。  本日はこれで散会いたします。二十五日は十時から開きます。     午後九時十三分散会