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1949-07-21 第5回国会 衆議院 考査特別委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年七月二十一日(木曜日)     午後一時四十三分開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 大橋 武夫君 理事 小玉 治行君    理事 高木 松吉君 理事 内藤  隆君    理事 猪俣 浩三君 理事 小川 半次君    理事 神山 茂夫君 理事 石田 一松君       安部 俊吾君    井手 光治君       菅家 喜六君    塚原 俊郎君       松本 善壽君    吉武 惠市君       聽濤 克巳君    浦口 鉄男君  委員外出席者         証     人         (日本國有鉄道         東神奈川電車区         鬪爭委員長)  庭田 直道君         証     人         (日本國有鉄道         東神奈川電車区         運轉士)    砂山 和男君         証     人         (日本國有鉄道         労働組合横浜支         部委員長)   城戸崎 亨君         証     人         (神奈川縣工場         代表会議代表) 田中 政司君         証     人         (日本國有鉄道         東神奈川車掌区         車掌)     西田 富藏君  七月二十一日  委員池田正之輔君及び栗山長次郎君辞任につき、  その補欠として塚原俊郎君及び松本善壽君が議  長の指名で委員に選任された。 本日の会議に付した事件  証人出頭要求に関する件  平市をめぐる騒じよう事件調査要求に関する件  國電スト問題     ―――――――――――――
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより会議を開きます。  この際まずお諮りいたします。國電スト問題につき、さらに証人として二十二日中野車掌区長愛甲寛君、八王子管理部長松村丈夫君、八王子支部執行委員長鈴木清君、中野車掌区分会議執行委員長岩崎博君、三鷹電車区分会書記長靑柳正雄君、二十五日に衆議院議長風早八十二君、新橋支部執行委員長木村美智君、國鉄労組中央委員会委員長加藤閲男君日本國有鉄道総裁加賀山之雄君、全國労働組合連絡協議会事務局長渡辺三千男君を証人として決定いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なきものと認めます。それではさようとりはからいます。  次に平市をめぐる騒授事件につきまして、内藤委員より調査要求の申出がありますので、この際これを議題といたします。内藤隆君より説明を求めます。
  4. 内藤隆

    内藤(隆)委員 平市騒授事件に関する調査要求提出理由を簡單に説明いたしたいと思います。  昭和二十四年六月三十日午後二時ごろより午後十一時半ごろに至る約十時間、平市の自治警察署を約五百人の多数が暴力をもつてこれを占拠し、まつたく無警察状態に陥れ、平和的秩序を破壞したる事実につき、その原因及び結果並びに社会的影響調査を要求するものであります。第二、調査範囲につきましては、特記すべきことは、平事件関係事実はもちろん、郡山市、若松市、福島市、仙台市、高萩町その他の平和秩序維持に正当なる協力をなす者を妨害したる事実があります。これらはすべて一貫したる暴力行爲にして、騒授罪に該当する犯行と認められ、國家再建に重大なる悪影響を及ぼすものでありますから、至急調査せられたいということを要求いたす次第であります。ことにかかる事犯は、今や全國所所に起る傾向があるのでありまして、この際特に迅速にこの原因並びにその結果あるいは社会的影響等を御調査願いたいと存ずるのであります。これが私の平市騒授事件に関する調査要求書提出理由であります。
  5. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 本件につきまして何か御意見がありますか。
  6. 小玉治行

    小玉委員 議事進行について‥‥。これから平事件を本委員会において調査するかどうかという点について、各委員討論があると思いますが、本日はこれから國電スト問題について五人の証人を呼び出しておるのでありますから、各委員討論の時間を五分間ぐらいに制限して、そして討論を進めるようにしていただきたいと思います。
  7. 神山茂夫

    神山委員 今の小玉委員提案には絶対反対であります。本日の議事進行は、昨日の理事会申合せに從いまして、十一時から開始することになつていたのであります。私たち自分たち見解を十一時きつかりに委員長報告して、即時開会のできるような準備を整えて來ておるのであります。ところがどういうわけか、多分民主自由党側諸君が定足数に足りないために今まで遅れておる、從つてこの責任を負う者があるならば、それはまさに民主自由党委員が負うべきである。それにもかかわらず、今開会を宣し、そして討論を始めようとするに当つて、早速討論の時間を五分間に制限するがごときは、委員発言権に対する重大な制限で、絶対反対である。從つてたちは平市の問題を今日討論するに当つての時間の制限に対しては、徹底的に反対します。
  8. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは小玉君の動議について反対意見がありますから、採決いたします。小玉委員動議賛成の方の御起立を願います。     〔賛成者起立
  9. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 起立多数。小玉君の動議は成立いたしました。  それでは神山君の発言を許します。
  10. 神山茂夫

    神山委員 まず時間の制限を食つたことに対して満腔の遺憾と憤怒を覚えます。こういうことが将來前例となることは、当國会の名誉に関することで、絶対多数を誇る民主自由党諸君に大いに反省を求めたいのであります。私としては今度の事件が非常に重大でありますので、約三時間にわたつて意見を述べたいと思つて材料を持つて來たのでありますが、時間を五分間に制限されたので、できるだけ委員長の趣旨に沿うような形で見解を述べたいと思います。  第一に、平事件地方行政委員会法務委員会で正式に取上げられ、調査委員を派遣している。この調査委員の中で、地方行政委員から出した大内君の派遣については、私たちは大いに疑問を持つている点がありますが、述べている時間がないから言わない。また法務委員会から派遣された調査團高木君――そこにいる高木松吉君でありますが、彼は自分の地元に調査委員として行つている。こういうことは議院運営委員会の今までの慣例に反することであつて、いかに民主自由党が横暴であるかということの証拠である。さらにこの場合大事なことは、二つの委員会が十分打合わせして、できるだけむだなことがないようにということの決定が、提案者小玉君の目の前で行われていることは御承知のはずである。從つてもしこの問題を扱おうとすれば、法務委員会地方行政委員会と話し合つて、当然ここで結論を出すべきものであると思う。ところがそれをようやらないで、しかも法務委員会のごときは、十三日に開かれたその日に、すぐ花村委員長廣川幹事長会つて、この問題を考査委員会に持ち込もうとしたということが、あなたの方の機関紙である読賣新聞に出ている。こういう事実を見ますと、私が指摘しているように、最近の考査委員会がまつた民自党私物化しているということは明らかな事実である。考査委員会仕事重点は、今までの不当財委仕事に置くべきだということは、今まで強調されている。これに六〇%重点を置くべきである。そうして日本再建阻害という行爲に三〇%、善行に一〇%と言われている。ところが本委員会の前の不当財産委員会から残された事件を、今ここで読み上げることは時間がないのでやめますが、十数件ある。これに対して私どもがどうしたかと言うと、いつも委員長調査中、調査中と言つて逃げている。こういう重大な問題で、民主自由党や民主党の野党派諸君に対してまで痛い問題があると、必ず調査中と言うと逃げる。ところが今度の國電ストの問題や、あるいは内藤君が出した例の上甘田事件のようにものになる、これは非常に調査が敏速である。このことの中に、本考査委員会が超党派的であるどころか、最近ではまつた特定の政党に対する特定の党、すなわち民主自由党共産党に対する攻撃の武器になつていることが示されている。この点についてわれわれは徹底的に反対せざるを得ない。しかも調査の行い方が一方的であるということは、私どもが今まで事実の中で立証している。國電ストの問題のごときは、本委員会が正式に取上げる前に、鍛冶委員長が一方的に六月十三日に調査を行つている。このような一方的な横暴なことをやるやり方には絶対反対である。共産党に対する攻撃ということは、今まで考査委員会が取上げている事実でもわかるように、労働者、農民、さらに中小商工業者まで含むところの日本の全人民が、民自党の今度の政策の結果苦しみ悩んで、その生活防衞に立ち上つたことに対して攻撃を加えている。しかもその場合警察その他を動員して、あらゆる形で攻撃を加えていることは、今度の平事件でも明らかである。平事件内容そのものについては、必要ならば言いますが、今の内藤君の言つたことは荒唐無稽なことである。第一に人数が違つている。不法占拠とはちやちやらおかしい。この問題の動機その他については、全部地方行政委員会に出した報告法務委員会に出した報告そのものが立証しているじやないか。こういう報告さえも取上げて、しかもこういう一方的なやり方をやつて、私たち発言時間をたつた五分間に制限してこの事件を取扱おうとしているそのことの中に、いかに民主自由党がこの考査委員会を一方的な私物と化して、日本の民主主義的な運動と日本勤労大衆業者諸君生活防衞のための廣汎な鬪爭を一方的に取締ろうとしているかということははつきりしていると思う。從つてもしもいまだなお民主自由党諸君が、鍛冶委員長その他がいささかでも良心を持つているならば、本國会の決議に基いた不当財的な機関であるように運営しろ。それができないでこういう一方的なことをやらなければならぬというこのことの中に、この考査委員会がまさに反動的な、しかもこれこそ日本再建を阻害する行爲そのものになりつつあるということを私は強調せざるを得ない。從つてたちは、この問題をここで取上げることそのものに、まず第一に反対せざるを得ない。私は、地方行政委員会及び法務委員会がこの問題を取上げるということが議院運営委員会に出て來ました場合には、満腔賛意を表した。これは小玉君聞いているだろう。なぜかならば、読賣新聞その他によつて飛ばされているデマに対し、眞に公平なる國会調査によつて必ずや眞相が明らかになると思つたからこそ、満腔賛意を表した。ところが実情はどうだ。調査そのもの内容には触れないが、今日たつた五分間で反対意見を述べるというような一方的なことをもつて、なお國会権威云々することができるかどうかということについて、私は大いに疑惑を持つている。從つて委員会においてこれを取上げることには、神山委員としては絶対反対である。聽濤委員は別個の見解を持つているだろうから、聽濤委員は他の機会に発言を保留されるだろと思いますが、私は絶対に反対である。
  11. 高木松吉

    高木(松)委員 ただいま賢明なる神山君からこの問題に対して反対するとは思わなかつたくらいなんです。というのは一体神山君何を考えているか。われわれは事案それ自身、それ自体の本質を取上げなければならない。この事案は先ほど内藤委員から申されたように、まつた日本再建を阻害する重大なる影響ある事案であります。しかも騒授的に行われているということから見て、本委員会としてただちに発動してこの問題を取上げてこそ、われわれ委員会の存在の理由があると思う。その意味において私はただちにこれを取上げて本委員会調査に着手すべきものであると思うのでありまして、ぜひとも全会一致でこれを取上げられんことを切に希望いたす次第であります。
  12. 聽濤克巳

    聽濤委員 私は本問題を取上げることに関しましては絶対に反対いたしますが、その前に本日の議事につきまして、発言を五分間に制限する、しかも多数をもつておる民自党動議によつてただちにわれわれの反対を無視してやるやり方は、すでに私が商工委員会で経験しまして、本会議でこの点を暴露した問題と、まつたく同じ性質のやり方であります。非常に重要な問題の提起があると、そういう横暴な暴力的な議事運営が行われているということは、まことに許すべからざることである。ほんとうに皆さんが多数をもつて正しいことを正しく運営する自信があるならば、民主的なる方法につて諸君の意思が必ず貫徹されるにきまつている。ところがこういう問題になつて來ますと、けさのこの会議が開かれるまでのいきさつを考えてごらんなさい。第一途中で何とかしてくれとわれわれのところに泣きを入れて來ているじやないか。そういうばかげたことをやつていて、多数の集まつた席上では、傲然と五分間とか何とかいう勝手な動議を出している。これはあなた方が無謀なことを考えていることの何よりの証拠だ。こういうことは本委員会のごとき國会権威ある機関運営としては絶対にやるべきことでないとして、私は反対いたします。  さらにこの平事件提出されたこの提出仕方そのものにも、民主自由党諸君の横暴さが非常にはつきり現われておる。大体内藤君の一番最初のこの事件の出し方が、平騒授事件に関して云々と書いてある。騒授事件であつたかどうか、これをほんとう調査するという目的をもつて提出されたならばわかるけれども、初めから平騒授事件と新聞や檢察当局警察言つていることそのまま出して來ておるのは、非常に割引して考えましても、あなた方は多数党を擁しておりながら、まつたく知慧のなさにはあきれ返らざるを得ない。世間ではこんなことは通らぬ。しかも暴力的に市署を占拠し云々ということをこの理由書にも書いてある。しかしながら、こういう認識最初から持つておられること自体が非常にふしぎなものである。なぜかならば、これが問題の出発点になつておりまして、非常に明らかな事実であります。当日は雨が降つて、外に待つてつた人が、署長の許可を得て署内に入つておる。このことは非常に明らかな事実なんだ。その証拠には、時間がたつた後でも、署長からこの人たちに対して退去の命令が出ておるという事実すらもないのです。これは非常に明らかな事実だ。これはだれが調査したつて、この事実はすぐ出て來るはずである。そういう事実があるにもかかわらず、暴力的に警察署不法占拠云々言つて、これを一つ提出理由にしておるようなものは、これは先ほど神山委員の指摘したように、本委員会がすでに國会の公的な機関、超党派的な公平な機関ではなくして、これまさに民主自由党の一私物に化しつつあるということをはつきり証明しておる。第一、大体ここで取扱つておる國電ストの問題にしても、委員長自体尋問の仕方から、個々の尋問事項としてあげておる事柄が、大体あれが労働爭議であるということの認識すら持つていない尋問の仕方であり、まつたく特高的な尋問の仕方であるということは、われわれ両名が、あなた方の発言の途中でも、しばしばこちらから発言を求めている通りであります。こういうやり方は、考査委員会を開いて以來、ずつと一貫した態度である。もう積り積つて非常にはつきりしておる。こういう醜状をさらしながら、一体こういう考査委員会において、まるで事件屋のように、次々と起つて來る、しかもそれが民主自由党政策のおかげで起つて來ている問題だ。それをまるで檢察廳警察のしつぽを追つておるような運営やり方で、こういうやり方が、一体國会機関として、世間に対して何の権威を持つておる。まことに恥さらしである。こういうやり方こそは、本委員会権威を傷つけ、ひいては國会権威をも傷つける――もつとも民自党権威が傷つけられるのは、われわれ一向平氣だけれども、しかしながら、これは決して民自党の一機関ではないのである。國会機関であるということを考えるならば、こういうやり方に対しては、われわれは断固反対する。特に平事件のこういう取扱いに対して、この委員会調査することに対しては、断然われわれは反対いたします。
  13. 石田一松

    石田(一)委員 私は昨日の理事会においても一言申し上げておきました通りに、本委員会においてこの平事件を取上げて、嚴正、公平な立場でこの眞相を究明することに、あえて反対するものではありません。しかし私は、ここに一つ希望意見を申し述べておきたいと思うのであります。それは昨日の理事会でも発言いたしました通り、当委員会は前の不当財産取引調査特別委員会の延長ともいうべき性格を持つていると思うのであります。この前の特別委員会、すなわち不当財産委員会において取調べた多くの事件というものは、檢察廳あるいは政府で問題にし始めた事件を、あとからこの委員会が取上げて調査するという調査の仕方でなく、いかなる権力もこのものを取上げるのに躊躇逡巡するというような大きな事件を、國会の名においてこの委員会が取上げて、これを大胆率直に、徹底的に究明をした。そこに本委員会の、他の檢察廳あるいは他の機関が持つことのできない権威があつたと、私はこう思うのであります。にもかかわらず、最近この委員会が取上げつつあるところの事件というものは、ほとんど檢察廳あるいは警察において取調べつつあり、またほとんどその問題の責任の所在が究明されつつある、その問題をこの委員会で取上げて、むしろそれらを鞭撻し、その他の機関に協力するような、実にこまかい点にわれわれの調査が進んでおるというような感じを持つていると私は思うのであります。そういう点に関しまして、もしこの平事件を本委員会が取上げるとするならば、他の労働委員会とか、地方制度委員会などにおいて、過去において調査した、そのままの資料をここに持つて來調査するのでなくて、本委員会調査員が直接平におもむいて、嚴正公平立場で、あらためて徹底的に事実を調査して、しかる後にその資料をこの委員会提出して、他の委員会調査した観点よりかわつた観点からこの問題を調査する。そういう大きな考えにおいて調査されんことを特に希望條件として付しまして、私は本件を本委員会において取上げることに賛成するものであります。
  14. 猪俣浩三

    猪俣委員 條件付調査賛成いたします。その第一は、今石田委員も申されたのでありまするが、同じ國会委員会でありまする法務委員会が、相当周密に、具体的に平の事件というものは調査してあるのであります。それとなるべく重複しない点において、ことに法務委員会予算関係その他で調査ができてなかつた方面に対して調査をしていただく。それは平事件そのもの一つの大きな氷山の水面に現われた一角であるか、ないのであるが、その平事件が頂点となつて、他に大きな一つの組織、構想を持つものであるやいなやということが、非常に重大な問題だと私は思いますから、この点につきまして、調査重点をそういう方面に置いていただきたい。それからなお、これは小さいことになるかも存じませんが、法務委員会がある事情を察知いたしましたけれども、ただいま申しましたいろいろな制約のもとに、調査できないで引揚げて來た点がありまするので、今回はそれをいま一應お調べ願いたいと思う。それから、これも一つ氷山の現われであるかないかという観点から見ていただきたいことは、平から一里半ばかりのところにあります内郷町の議会におきまするところの運営というものが、はなはだ奇怪きわまる運営やり方をやつておる。傍聽者議事司会係になつたというような、まことに奇怪な、はなはだ反民主的なる議会運営がなされておつたという事実があるのでありますから、その点についても御調査を願いたい。いま一つ、この内郷町にありまして、今度の平の事件におきましての主導的勢力と相なりました矢郷炭鉱労働組合、この組合は三、四百人の組合員でありまするが、組合からの脱退者が、本年の六月三十日現在で五十九名に及んでおる。ところがこの五十九名白水という部落におるのでありまするが、非常に組合員から圧迫を受けまして、家族にまでも脅迫が加わつた。夜になりますと、その部落に寢ていることができずして、近村の知人、親戚のところへみな寢とまりにでかけておつたという事情がある。これを警察は見て見ぬふりして放任しておつた。こういうこともはなはだ平和的、民主的なわれわれの生活から見ますると、おだやかならぬ点であろうと思いますから、その点についての調査も願いたい。なお私が聞くところによりますると、この矢郷炭鉱というのは、矢郷という人物が経営しておるのでありますが、この山主は非常に近代的感覚の乏しい、抽劣なる山主つたそうでありまして、はなはだ炭鉱の経営よろしきを得ずして、この三年來毎月爭議を繰返しておつたというような実情であり、三月以降ほとんど給料の不拂いで、矢郷炭鉱に働いている人たちは窮乏のどん底にあつて、野草を食つて生きておるというような事情もあるのである。この生活苦がいろいろの意味において社会不安をもたらすような一つ原因にもなつたかと思いますから、こういう方面についてもこの委員会としましては調査していただきたい。われわれにまだ調査未了部分が残されておりますから、そういう方面にも調査を進めていただいて、同じ重複した部分はなるべく避けていただきたい。  最後にもう一つ條件は、この委員会においてこれが調査を始めますと、福島地方の人も読々として証人として出て來るかと思いますが、これはやはり相当見方によりまして議論のわかれるところだろうと思いますが、これがどうも今までのやり方のように証人発言委員たちがやじを飛ばして喧々囂々とやるようなことになりますと、國会権威にもかかわるのみならず、議事進行につきましてもはなはだ時間がかかつて、事の眞相ということが把握できないことになりますから、それはどうか理事会できのう申しましたように、お互いに各自が自粛自戒して、さようなことのないように事の眞相をきわめるという立場から、その証人証言に疑問があれば反対尋問をやればよいわけでありますから、あまり喧噪をきわめないようにやるということ、どうしてもこれが改められなければ、法務委員会のごときは、そんな程度ではありません。もつと紳士的に穏やかにやつておりますから、かえつて法務委員会の方が事の眞相をきわめるのには適当だと思いますから、あまり喧々囂々になるうでありましたら、この予算を少し法務委員会にまわしてやつて法務委員会でやらしていただきたい。かように考えるのであります。  最後に今日十一時というのが二時になつたのに、それに対して異論が出たのでありますが、委員長はこれに対して何らの弁明もせずして、五分間に制限されたということに対しては、私は不満が出る点もあろうかと存じますので、以後お愼みあつてしかるべきではないかと考えまして、御忠言を申し上げます。
  15. 小玉治行

    小玉委員 議事進行に関して動議提出いたします。本議題についてはこれにて討論を打切り、ただちに採決せられんことを望みます。
  16. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ただいまの小玉君の動議に御賛成ですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは異議なきものと認めまして、討論を終結いたします。  それでは平市をめぐる騒授事件調査要求に件について採決いたします。本件について調査に着手するに賛成の方御起立を願います。     〔賛成者起立
  18. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 起立多数、よつて本件は本委員会において調査することに決しました。     ―――――――――――――
  19. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ついで國電スト問題について調査を進めます。本件について証人より証言を求めることといたします。  ただいまお見えになつております証人は、庭田直道さん、砂山和男さんであります。これより証言を求めることにいたします。  証言を求める前に、各証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられかつ宣誓した証人が虚僞の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一應このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。庭田さん、ひとつ代表して読んでください。     〔証人庭田直道君各証人を代表して宣誓
  20. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 署名御捺印を願います。     〔各証人宣誓書に署名捺印〕
  21. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 証言を求める順序は庭田さん、砂山さんの順序でございますから、砂山さんはもうしばらく元の控室でお待ち願います。  庭田直道さん、あなたは東神奈川電車区の労働組合鬪爭委員長をやつておいでになりましたか。
  22. 庭田直道

    庭田証人 そうです。
  23. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いつからおやりになりましたか。
  24. 庭田直道

    庭田証人 去年の七月です。
  25. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 二十三年の七月‥‥。現在もですか。
  26. 庭田直道

    庭田証人 現在は定員俸で馘首されました。
  27. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではいつまで‥‥。
  28. 庭田直道

    庭田証人 七月七日定員法で免職されております。
  29. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでおやめになつたわけですね。
  30. 庭田直道

    庭田証人 はい。
  31. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 六月初めごろからいわゆる新交番制の問題に端を発して、東神奈川車掌区でストに入るようになつたということですが、その大体をひとつお聞きしたい。
  32. 庭田直道

    庭田証人 その問題は東神奈川車掌区の問題で、電車区の方は新交番、旧交番ということは何ら問題はなかつた。十九日に車掌区の井上鬪爭委員長が來て、詳しいお話をしたと思いますが、私はよくわかりません。
  33. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうですか、それでは車掌区とともに電車区においてもストに入つた事実はあるようですが、それはいつからでした。
  34. 庭田直道

    庭田証人 それは六月九日の十五時四十二分、東神奈川電車区はストライキに入りました。
  35. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのストは何ですか、支部かどこかからの指令でもあつてつたのですか。
  36. 庭田直道

    庭田証人 ございません。
  37. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなた方の方で決議されたのですか。
  38. 庭田直道

    庭田証人 はあ満場一致です。
  39. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 九日に‥‥。
  40. 庭田直道

    庭田証人 はあ。
  41. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが六月三日に何か臨時合同職場大会が開かれたそうですな。
  42. 庭田直道

    庭田証人 日にちははつきり記憶ございませんがあつたことは事実です。
  43. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その大会でどういう決議ができましたでしよう。
  44. 庭田直道

    庭田証人 あまりはつきり記憶がないのですがね。もう一箇月も前になるし、それからとにかく定員法で馘首されましたし、その間また人民電車の問題で横浜の刑務所に約二週間ばかりぶち込まれたし、その間タバコも吸えませんし、ぼけちやつてまあ鬪爭ぼけという形ですからね、あまりはつきり責任つた回答はちよつとできません。
  45. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 覚えているだけでいいのですが‥‥。ところが國鉄労働組合調査部から出ておる六・九鬪爭経過というものを見ますると、この大会で組合員はただちにストライキ態勢を強化せよという決議をしたとなつているが、これはどうですか。
  46. 庭田直道

    庭田証人 そんなことはございません。
  47. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 なかつたですか。
  48. 庭田直道

    庭田証人 その合同職場大会ででしよう。
  49. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 三日とここに書いてあるのです。
  50. 庭田直道

    庭田証人 ないと思います。
  51. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それじやまたあらためて聞きますが、その合同職場大会はだれが議長になつたのですか。
  52. 庭田直道

    庭田証人 議長は車掌区の人がやつたことは覚えておりますけれども、はつきり記憶ないですよ。
  53. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どんな決議だつたかも覚えておりませんか。
  54. 庭田直道

    庭田証人 はつきり覚えておりません。
  55. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 井上勘一というのは車掌区の鬪爭委員長つたのですね。
  56. 庭田直道

    庭田証人 ええそうです。
  57. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その人がそういうことをすべてやつたのじやなかつたのですか。
  58. 庭田直道

    庭田証人 井上君は経過報告をして、あとあまり顔を見せませんでしたから‥‥。
  59. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 決議の発案者やそういう者は覚えておりませんか。
  60. 庭田直道

    庭田証人 覚えておりません。
  61. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 覚えておらぬならしかたがないが、あなた方が車掌区と合同してストに入るまでの大体の経過をひとつ聞きたいのだが、三日の大会後五日、六日にも、いろいろあつたようですが‥‥。
  62. 庭田直道

    庭田証人 その後の動向ですか。あまりはつきりわからないですよ。それでむしろはつきり答えさしたいとおつしやるのでしたら、もう一度あのときの状態で、ストライキという形でもつて実地にやつてもらわねば――これは余談になりますけれども、何しろ実際私は刑務所へも入つたし、その間うちの家内が正月からずつと心臓弁膜症で入院の状態で、とにかく頭の中がごちやちやして、実際檢束されたことだつてつたく不当彈圧だと思つておりますよ。だからそんなことでごちやちやして、憎しみや、くやしみやで、もう忘れました。
  63. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この間から來た方々に聞きますと、五日に管理部の人だとか公安官などが來て、そのために非常に組合員に対して何というか、反抗を起させるような態度であつた。それから起つて來た、こういうことを言う人があるが、これはどうですか。
  64. 庭田直道

    庭田証人 私もそれは聞いた話です。
  65. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 聞いた程度ですか。
  66. 庭田直道

    庭田証人 ええ。とにかくそういう態度であつたということは聞きました。
  67. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなた方の方はそういうことはなかつたのですね。
  68. 庭田直道

    庭田証人 私の方には公安官は五日の日には來ません。公安官が來たのは車掌区です。
  69. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから六日も七日も、この問題であなた方の方には何もなかつたのですか。
  70. 庭田直道

    庭田証人 ありません。
  71. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは九日にあなた方が合同してストライキをやるという決議をするに至つた実情はどういうことなんです。
  72. 庭田直道

    庭田証人 それは車掌区が九日の日に、時間は忘れましたがストライキに入つています。それで私の方も――とにかく電車が一時運休の状態になつたわけです。
  73. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 車掌区の方で何したから‥‥。
  74. 庭田直道

    庭田証人 何したために、それでたしか十四時ごろだと思いましたけれども、管理部から廻送電車に限つて運轉手は車掌が乗務しなくてもよろしいという業務命令が來た。その規定は貨物列車に限つては、そういう規定云々ということがあるわけです。ところが電車に限つてはそういう規定はないと思います。それで緊急職場大会という形になつたわけです。
  75. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 車掌区の方でストライキをやつた。それについて電車区でどうするか、こういうことになつたのですか。
  76. 庭田直道

    庭田証人 いや、ですから今お話しした通り、新橋管理部からそういう業務命令があつたわけです。今車掌を乗務させなくても、廻送電車に限つては運轉手だけでやつてよろしいというその業務命令を守るか守らないかで、結局緊急職場大会という形になつたわけです。
  77. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうしたらどうなつた
  78. 庭田直道

    庭田証人 そうしたら、そういう規定を無視したところの一方的な業務命令は拒否する。
  79. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 規定を無視したというのはどういうことなんです。
  80. 庭田直道

    庭田証人 規定には結局車掌を乗せなくちやならなくなつておるわけです。
  81. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ああそうか。車掌がなくてもいいということが規定を無視した業務命令だと、こういうことですか。
  82. 庭田直道

    庭田証人 はあ。
  83. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこでまたもとへもどつて聞きますが、六月三日の大会のときに、外部の人も相当入つてつたと聞いておるが、それはどうですか。
  84. 庭田直道

    庭田証人 私がちよつと出たあれでは、おそらく外部の人はおりません。
  85. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 九日の決議をやるときはどうです。
  86. 庭田直道

    庭田証人 外部の人はおりません。私の電車区には‥‥。
  87. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなた方は九日には合同会議はやらなんだか。あなた方のところだけで‥‥。
  88. 庭田直道

    庭田証人 合同会議はやりません。私どもの電車区だけで緊急職場大会をやりました。
  89. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 車掌区から別に申入れがあつたわけではないですか。九日には‥‥。
  90. 庭田直道

    庭田証人 それははつきり記憶ございません。あのときはもう組合員が、緊急職場大会を開くといつたときに、こうこうしてしまつて、あのときの電車組合員の空氣と言つたらものすごい。一度見ていただけばわかるのですが、もちろん見ていただくわけには参りませんが、あのときの空氣を見ていただけばなるほどとうなずけると思います。
  91. 神山茂夫

    神山委員 議事進行について‥‥。証人は刑事被告人になつているのですから、委員長も読み聞かせましたが、私たち專門家から見ればわかると思いますが、初めて見えた証人には自分の刑事事件に関連して不利益と思われる点については証言を拒否しても拒否にならないという点をよく委員長証人に徹底させていただきたいと思います。わざわざ大橋君を通じてその点を平和的に申し入れているのにかかわらず、あなたは知らない顔をしているので、念を押しているのですが、言つてよい点と言わないでよい点ははつきりしているのですから、その点を十分に読み聞かせていただきたいと思います。
  92. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 犯罪に関係のあることで、それを言うていかぬということならそれは拒否していただいてけつこうです。
  93. 庭田直道

    庭田証人 私は全部ほんとうのことを申し上げております。
  94. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでその九月にストになつてから、進駐軍の車、俗に言う白帶車そこに入つて何か鬪爭委員人たち会議を開いておつたので、そこへ入つてつてはいかぬという何か進駐軍から命令があつて、それで退去するに至つた、そういうことはありましたか。
  95. 庭田直道

    庭田証人 そういうことのあつたことは後刻聞いております。しかし私はこのことは警察に行つてもはつきり申し上げておりますけれども、私は痔の病氣を持つているのです。それで九日から――非常にきたない話ですが、肛門が出てしまう、そして歩行が非常に困難なんです。それで鬪爭委員の方々、組合員の方々から鬪爭委員長がここでぶつ倒れてはいけない。鬪爭委員長を護れというので、私は皆に介抱されながら分会控室で横になつて寢ていた。そういうことは後刻聞きましたが、事実警官が來て、ここに入つてはいけないということを言われたのは私は別に聞いておりません。
  96. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういう人が入つていると聞きましたか。
  97. 庭田直道

    庭田証人 それははつきり聞いておりません。
  98. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 やはり鬪爭委員は入つておりましたか。
  99. 庭田直道

    庭田証人 鬪爭委員は入つてつたと思います。
  100. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 外部の人も入つていたということは聞いておりませんか。
  101. 庭田直道

    庭田証人 聞いておりません。
  102. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 鬪爭委員はそこでどういうことを協議しておつたかということを聞いていますか。
  103. 庭田直道

    庭田証人 それもはつきりわかりません。
  104. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから進駐軍からストを中止せよという命令があつたそうですね。
  105. 庭田直道

    庭田証人 それは十日の日の横浜の軍政部のアンダーソン中佐から十時までに渉外局に出頭せよというので、私の方の区長と私が呼び出されました。そのときには命令ではなくてただ希望事項として進駐軍の白帶車だけの運行は確保できないかと言われただけです。
  106. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 別にストをやめろということは言われなかつた
  107. 庭田直道

    庭田証人 言われませんでした。
  108. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは十日の何時ごろですか。
  109. 庭田直道

    庭田証人 軍政部へ行きましたのは十一時ごろです。
  110. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それからあなた方は六月十日の朝から自発的に乗務しようと言われたことがあるそうですが、それはどうですか。
  111. 庭田直道

    庭田証人 そうです。その通りです。
  112. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはどういう意味つたのです。
  113. 庭田直道

    庭田証人 それはやはり國鉄の使命を思い、國鉄は國民大衆のものであるというところで、われわれは正常運行を欠いてはならないというところから、とにかく組合は自発的に十日の初電から正常運行をやろうということになつたのです。
  114. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 九日にストに入つたが、しかし考えてみると正常運行をしなければならないからストをやめる、こういうことですか。
  115. 庭田直道

    庭田証人 それはストをやめるということではないですね。
  116. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ストをやりながら正常運行をやるというのですか、そこにわれわれには納得がいかないものがある。
  117. 庭田直道

    庭田証人 とにかく当時は平塚の電車区の副鬪爭委員長それから鬪爭委員の方がやつてつたので、私は前にお話申し上げた通り、痔病のために寢ていてそういう会合とか会議に顔を出す機会が少かつたのではつきりお答えできないのです。
  118. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それにしてもストをやりながら電車を動かそうというのですが、どういう意味で動かそうというのか、それを聞きたいのです。あなたは鬪爭委員より相談を受けられたと思うのです。
  119. 庭田直道

    庭田証人 組合の業務管理ですね。
  120. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 業務管理をやろうとするならば、どういう方法でやろうということでした。
  121. 庭田直道

    庭田証人 そこまでは別に何もやつておらなかつたのです。
  122. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで業務管理をやりましたか。
  123. 庭田直道

    庭田証人 結局私たちが少くても十日の初電から電車を動かすということに対して、これはあとから聞いたのですが、管理部から平塚の電車区に電車を出さなくてもよろしいという電話があつたらしい。実際私らは一台は電車を出そうと思つて、とにかく東神奈川の上りホームに電車をすえつけたのですが、そこで約一時間半ほど立往生した。
  124. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると当局は業務管理としての電車を動かすことはいかんということだつたのですね。
  125. 庭田直道

    庭田証人 私はそのことは知りません。
  126. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが十日の夕方になつて電車が動いたそうですね。
  127. 庭田直道

    庭田証人 動きました。
  128. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはどういうことから動くようになつたのですか。
  129. 庭田直道

    庭田証人 それは私も電車が動いたということは、その電車が一往復してからわかつたことであつて、私が話に聞いたところによりますと、乗客大会それから京浜地区の労働者の方が帰えりにぜひ電車を出してもらいたいという熱烈なる要望があつたので、私たちとしては電車を出さざるを得なくなつた
  130. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのときにあなたはおらなかつたのですか。
  131. 庭田直道

    庭田証人 私は前に話した通りそのときには寢ていたのですよ。
  132. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 電車区で寢ていたのですか。
  133. 庭田直道

    庭田証人 分会の執行部で寢ておりました。
  134. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 停車場の構内ですか。
  135. 庭田直道

    庭田証人 停車場の構内ですが、駅と電車区とはずつと離れております。
  136. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今言つた乗客大会というものはどういうものですか。
  137. 庭田直道

    庭田証人 別に乗客大会に出たわけではないから知らないです。
  138. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ただそういうことを聞いただけで、乗客大会があつて要求されたので、それによつて動かしたというわけですね。
  139. 庭田直道

    庭田証人 そうです。
  140. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは何かお聞きになることはありませんか。
  141. 吉武恵市

    ○吉武委員 証人に二、三お尋ねしたいのですが、先ほどのお話を聞いていますと、今度の東神奈川のストの事件は、最初は電車区には関係がなくて、車掌区だけであつた、そういうふうに聞いてよろしゆうございますか。
  142. 庭田直道

    庭田証人 國電スト原因ですか。
  143. 吉武恵市

    ○吉武委員 原因ではない。初めの起りは車掌区でそういう問題が起つて、電車区の方はあとからやろうということになつた‥‥。
  144. 庭田直道

    庭田証人 問題の根本は車掌区の問題です。
  145. 吉武恵市

    ○吉武委員 そうすると、今度のストの問題の起りは新交番制の問題から起つておると思うのですが、新交番制は電車区にも行われたわけですね。
  146. 庭田直道

    庭田証人 新交番制が車掌区を六月一日から通れば、当然八月一日のダイヤ改正からは電車区にもそういつたものが必ずおりて來る。ましてや車掌区には新交番、旧交番の問題がおりておるやさき、電車区には檢査期間の延長という問題が起きて來る。この檢査期間の延長というのは、例の三鷹の無人電車の六三型――たとえば今までは七千キロ走つて檢査していたものを一万キロに延長する。しかも今まで局部交番でこまかく調べておつたのを一般的な仕業檢査程度の簡單な檢査に止めて、そこに浮いた人員を整理するというようなことで、電車区には檢査期間の延長ということがおりていたわけで、おそらくこの問題は車掌区が新交番、旧交番の問題でやれば、当然八月一日からダイヤ改正で、新交番、旧交番の問題に関連するということを私たち分会役員として思つてつた
  147. 吉武恵市

    ○吉武委員 だから関心は持つてつたが、今度の新交番それ自体には、電車区の方では將來一應何らか関係が起るであろうという程度で、そのもの自体反対して鬪爭を起そうとは話しはしなかつた、こういうことですね。
  148. 庭田直道

    庭田証人 ですけれども、簡單に問題をそうすぽすぽと取上げてしまうと、ばかに空氣の拔けたような問題になるけれども、その当時の電車区内の空氣、そういつたものもかみ合せてみますと、そんな簡單な問題ではない。
  149. 吉武恵市

    ○吉武委員 いや簡單ではない。私は事実をありのままお聞きいたしたいのです。そこで電車区の方では、それほど問題にならなかつたというのは、直接あの新交番制は電車区の方では実際の勤務時間の変更、その他には大して影響なかつた車掌区の方が多かつた、そういうわけですね。
  150. 庭田直道

    庭田証人 そうです。
  151. 吉武恵市

    ○吉武委員 ところが六月の三日に、いわゆる共同職場大会を開いて、これはおそらく車掌区と電車区の共同職場大会だと思つておりますが‥‥。
  152. 庭田直道

    庭田証人 いや駅の方も入つております。東神奈川駅と電車区、車掌区の三分会です。
  153. 吉武恵市

    ○吉武委員 それはつまり車掌区が主催をされて共同の職場大会になつた
  154. 庭田直道

    庭田証人 そうです。
  155. 吉武恵市

    ○吉武委員 そうするとそれは主として車掌区の鬪爭委員長井上君がやられたのですか。
  156. 庭田直道

    庭田証人 それは井上君がやられたか、だれがやられたか知りません。
  157. 吉武恵市

    ○吉武委員 あなたは電車区の鬪爭委員長でしよう。ですからあなたのほかの人に折衝されるわけはない。鬪爭委員長にそういう場合には折衝される。
  158. 庭田直道

    庭田証人 それは確かにその通りですよ。もちろん鬪爭委員長に來れば問題はないのですけれども、私だつてかごの鳥じやないし、電車区に飼われておるわけじやない。あつちの職場、こつちの職場と歩いておるから、鬪爭委員長がいないと、副鬪爭委員長あるいは鬪爭委員に、こういうやり方がありますからね。
  159. 吉武恵市

    ○吉武委員 それはあるでしよう。ぼくの聞くのは、こういうストに入るか入らないかという重大な問題の職場大会ですから、ほかのささいなことであれば鬪爭委員長がいないなら、ほかの人でよいということもあろうと思うけれども、こういう重大な問題だから、おそらくあなたに直接折衝があつたと思うのだが、そのときあなたに事故があれば、副鬪爭委員長であつたかもしれぬが、あなたに交渉があつたか、あなた以外のだれに交渉があつたか、それをお聞きしたい。
  160. 庭田直道

    庭田証人 私はそのときは聞いておりません。
  161. 吉武恵市

    ○吉武委員 そのとき交渉を受けたのはだれですか。
  162. 庭田直道

    庭田証人 だれだかわかりませんが、私が來たら車掌区の前で合同職場大会があると聞いて私も出た。
  163. 吉武恵市

    ○吉武委員 あなた方の組織の中でだれかしら聞いたというのではなく、あなたでなかつたとすれば、副鬪爭委員長か、だれか責任のある人に話があつたように思うのだが、どうですか。
  164. 庭田直道

    庭田証人 私の方の電車区の副鬪爭委員長と鬪爭委員をでき得るならこの考査委員会に呼んでいただけば一番はつきりする‥‥。
  165. 吉武恵市

    ○吉武委員 はつきりするだろうが、鬪爭委員長が一番の責任者だから、鬪爭委員長に聞くのが筋であるが、どうもおれは全然知らぬし、だれだつたかということであなたが慢然と‥‥。
  166. 庭田直道

    庭田証人 実際私はここへ來て、じやないけれども、これは余談になりますが、私は横浜の刑務所に留置された。その時分私は痔でひどかつた。横浜の紺野檢事は痔が悪ければ拘留に耐え得るかどうかわからないから、とにかく医者の診断を受けろというので、受けましたら、医者が大丈夫だろうという診察をしたわけです。私はきたない話だがほんとうにひどかつた。歩くのにがに股で歩行困難だつた。これから上大岡刑務所に行くか知らぬけれども、留置されたらえらいことになると思つたが、上大岡に入つた。そんなことやら、家からの通報で、家内が心臓弁膜症で、家の中がごたごたしておる。それで二週間もぶち込まれて、くやしくて、くやしくて、出たら何をするかわからぬ、入つてつたときはそういう氣持でしたよ。そんなことでストライキなんというのは、向うの方へ去つてしまいましたよ。ただ何にも理由がないのに、不当檢束でわれわれを幾日間も留置して、罪人扱いをしてと、憎しみばかりの氣持だつた。私は一日三十本タバコを吸うのが吸えないし、ほとんど半ばかになりましたよ。
  167. 吉武恵市

    ○吉武委員 そこであなたは憤慨されたというが、世間的に見れば、ストライキでできないというにもかかわらずストライキをする、あるいはまた当局の方で命じた電車を動かさないでかつてな電車を動かすというようなことは、これは一般の社会から見れば穏やかでないですね、あなたが憤慨されたというならば、あなたには全然実は関係しなかつた鬪爭委員長であつたけれども、実は痔を病んでおつて表に出なかつた間にずるずる何だかそういう問題に引きずられたという点にあなたが御憤慨になるなら、その事情を詳しく聞かしていただけば、われわれにももちろんその点に考えさせられるところがあるけれども、ああいう事態を起して、もしあなたが責任者でやられて、そうしておれは憤慨だと言われても、これはそう簡單にはいかぬ。
  168. 庭田直道

    庭田証人 ですから、あなたに申し上げてもそれは問題にならないと思いますけれども、とにかく労働者とあなたとではりつぱに差があるしね、どうも今問題はかつてに電車をと申されましたけれども加賀山副総裁ですか、この方が下山さんが亡くなつて総裁を代行されるときの訓示に、國鉄は國民大衆のものであるとはつきりうたわれておることはその通りであると思う。その点についてやはり私たちは國鉄の使命というものは乗客または荷物を安全かつ迅速に目的地に輸送するのが最大の目的であるわけです。だからそういうことをわれわれがやはり思えばこそ、十日の初電から正常運轉へもどそうと言つたのに線路に寢たというのは当局ですよ。しかも一應人民電車、人民電車と言われておりますが、その点についてとにかく信号を赤にしたり、あるいは轉轍を反位にしたりして、田町あたりに來るときは、管理部あたりでは課長、部長会議で、えたいの知れないやみ電車が走つて來る、こんな電車はあぶないから脱線さしてしまえと言つておる。脱線したら復旧工事がたいへんだ、それで信号を赤にしてとめてしまえと一時間半もとめておるでしよう。
  169. 吉武恵市

    ○吉武委員 わかつた。あなたのおつしやるように電車は國民のための電車である。だから國民のために運行ができるようにしたいということが、あなたのもし本心ならば、鉄道当局というものはそういうためにできておる。そうでしよう。そのために鉄道当局が新しい交番制を実施して、それに基いて運行しようとしておる。その当局が國民のために電車を動かそうとして新交番制を採用したのに対して、おれらは氣に入らぬぞ、こう言つて車掌が乗らない、これはあなたの方じやない、車掌区の方だけれども車掌が乗らない。もしほんとうに電車区の方が電車を動かそうと思つてつたら、車掌区に行つて、お前たちそれはむりじやないか、いろいろ言い分はあろうけれども、当局からこういう命令が出ておる以上、國民大衆のためにやらなくちやならぬ、だから一緒にやろうじやないか、そういうようにやるのが筋じやないか。その命令の方を聞かないで、おれたちが直接人民の意思を忖度して電車を動かすのだということになると、世のいわゆる行政というものは全部だれの一体命令によつたのがほんとうの國民の意思かわからないね。ですから民主政治の世の中では、國民の代表の多数のものが政府を組織して、その政府の機関がこうだと言つたところに從つて動かなければ、おれが人民の意思をやるのだといつても人民の意思の代表にはならない。だからあなたが人民のために電車を動かしたいという氣持自身の間違つていないが、それはよくわかるが、この世の中にはそういう思想がある。人民のための電車であるとか、人民のための工場であるとか言つかつてにやる。そういう行き方をしたのではほんとうに人民のためを思つても、人民のためにならぬで、それでは人民のごく一部の人のために動かされるということになる。人民のためというのはどういうことですか。正規な民主的な政治のもとに行われた機関の意思というものを無視して、おれたちつてな氣持でやる、そういうお氣持ですか、どつちですか。
  170. 庭田直道

    庭田証人 とにかく業務命令は、もちろん正当な業務命令はわれわれとしては守らなければならないということはわかつております。しかしこれは結局私から言わせれば、とにかくあなたもほんとうに苦しい労働者立場に立つて見ていただけばはつきりわかるのですが、われわれは憲法でもつてはつきり認められているところの基本的人権というものがあるわけです。そういうものをもちろん無視し、また公共企業体労働者関係法というものがありながらそうものを無視して、一方的な業務命令を下すということは、私らとしては納得できないところであります。だから結局あなたと私の立場が違うので、あなたが私の立場に立つておられれば、もちろんそういう質問はないと思うのです。わが身をつねつて人の痛さを知れという言葉がありますが、これはいいことを言つたと思います。私らのようにほんとうに親子四人で食えない七千円かそこらの給料をもらつて電車の運轉をやつておれば‥‥。
  171. 吉武恵市

    ○吉武委員 あまり時間をとつて議論をしたくないのです。そこであなたは今労働者の氣持になつてみなければわからぬぞと言われるが、このたびの國電ストは、先ほどあなたは電車区については大した問題はなかつたのだ、こう言つていられるでしよう。そうするとあなた方がこの間ストをやられたのは、何か労働條件についての要求でもあつたのですか。
  172. 庭田直道

    庭田証人 ですから檢事規定の問題とか、そういう問題がいろいろと次から次へと起きて來ている。それに対して‥‥。
  173. 吉武恵市

    ○吉武委員 反対つたのですか。
  174. 庭田直道

    庭田証人 先ほど委員長さんに申した通り、とにかく廻送電車に限つて車掌を乗せなくても運轉士だけで出せ、そういう規定を無視した業務命令があるわけです。もちろんわれわれ正当な命令は守らなくちやならんと思うが、そういう規定を無視したやり方に当局が出ておるということはおかしいのです。
  175. 吉武恵市

    ○吉武委員 おかしいと言つて、正式に当局が命令をしたことを一々かつて次第にきかなかつたら、世の中の政治というものは行えませんよ。そうでしよう。その点が一つ。それからもう一つの点は、今あなたのお言葉の中に――これはあなたばかりではない、ほかの人もよく言われるのですが、われわれは憲法において保障された人権があるのだから、いわゆる團体交渉もできるのだ、ストもできるのだというお話だろうと思う。これは基本がきまつているので、憲法の二十八條と同時に憲法の十二條もありまして、公共の福祉に反しないという制限を受ける基本的人権だから、何をやつてもいいという憲法はない。これはどこの國でも同じです。日本ばかりじやない。それから特にあなた方の行動については、あなた方としては御不満かもしらんけれども、昨年の七月二十二日にマツカーサー元帥の書簡が出て、一應公務員として一切の團体交渉権を認められていない。しかし國鉄にだけは例外的にストはできないけれども、いわゆる團体交渉だけは許すというので、公共企業体ができたわけです。あなた方は憲法があるからといつておれはストの権利があるからストをやるということは、あなた方が御自分でお考えになることで、ここのいわゆる民主的な國会ではすでに公共企業体ができて十七條で禁止されている。だからその禁止をおれたちは違反をしてかまわないのだと言われれば、これは別ですが、あなたはそのお氣持はないでしよう。あるのですか。
  176. 庭田直道

    庭田証人 公共企業体の十七條にあるのですか。
  177. 吉武恵市

    ○吉武委員 十七條でストをやつてはならぬということは御存じでしよう。これは鉄道の從業員は相当論議されたのですから、おそらく鬪爭委員長が御存じないということはないと思う。
  178. 庭田直道

    庭田証人 ですから問題は、結局もう労働者としていよいよ食うか食われるかのせとぎわに來たら、やはり労働者の最高の武器はストライキでしよう。
  179. 吉武恵市

    ○吉武委員 そうすると、法律が禁止しても侵してやるという御趣旨ですか。
  180. 庭田直道

    庭田証人 それでは憲法によつて保障されておることをはたして政府が守つておるかということをお聞きしたい。
  181. 吉武恵市

    ○吉武委員 守つていないですか。
  182. 庭田直道

    庭田証人 守つていません。
  183. 吉武恵市

    ○吉武委員 どこを‥‥。
  184. 庭田直道

    庭田証人 今度の定員法で私は馘首されております。とにかく今度の行政整理なんかはめちやちやだということをはつきり申し上げます。私は國鉄に二十一年勤続ですよ。そうしてしかも大東亜戰爭が始まつたときには分隊長とか何とか言われて、とにかくお國のため、お國のためということでやつて來た。それでもつてとにかく昭和九年には鉄道へ入つて満州事変の功労によつて鉄道大臣から一月二十五円賜わつた。それから空襲では、あの今時價何百万円という電動車をとにかく燒夷彈の落ちる中で分解して、一両は火災から食いとめて三級功労賞までもらつているのです。しかも今副総裁の加賀山さんから、とにかくあらゆる運轉競技に出て賞状を六、七枚もらつておる。そういう人間を首を切つて、しかも私たち考査委員会で三時間余りも待たされましたけれども、今ほんとうに失業失業でもつてどこへ行つたつて使つてくれないのですよ。
  185. 吉武恵市

    ○吉武委員 それはあなたが過去において大いに奮鬪されたことは認めるけれども、そういうことは一應ほんとうだろうと私も思うから、その点については異議はないけれども、あなたがこの間ストライキをやられたことは法律が禁止している。これを御存じないかどうか、これはどうですか、いろいろあなたの立場から見た見解はあるでしようけれども、十七條の禁止の規定があつたということは御存じでしよう。鬪爭委員長としてあなたはたくさんの下の職員に鬪爭命令を出すからには責任がありますね‥‥(「いいかげんにしろ」と呼びその他発言する者あり)私の質問中は靜かに願います。そこであなたにほんとうのところを聞きたいのですが、あなたが昔から悪い人間であつたように思つておりませんけれども、ただ今度の事件についてどこに一体眞相があるか私どもは知りたいのだ。だからあなたが昔から鉄道に非協力であつたとは思いません。それはあなたが今言われたように、かつては大いに協力された方であつたろうとわれわれも想像するのです。けれどもこの間の事件について、あなたは鬪爭委員長責任にあるわけですから、あのときの眞相を聞きたい。
  186. 庭田直道

    庭田証人 それではちよつとお聞きしたいのですが、作業場閉鎖は公共企業体ではやつてはならないということになつておりますね。作業場閉鎖ということは、現に当局では、東達甲五百八十三号で、車掌区の事業場閉鎖をやつて來ているわけです。これははたして当局が、公共企業体労働関係法を完全に守つてつたか、それともそれを知らぬでやつたものであるかどうかということを承りたい。
  187. 吉武恵市

    ○吉武委員 それはまたあとで時間があつたらお聞きします。その十七條に禁止されたのを、あなたが御存じだつたかどうかということは、これはどうです。どつちでも、知つていたら知つていた、知らなければ知らないと、はつきり言つてもらいたい。
  188. 庭田直道

    庭田証人 公共企業体労働関係法では、罷業権はないということは書いてありますね。
  189. 吉武恵市

    ○吉武委員 書いてあるいは御存じですね。それをあなたは責任がないというふうに、さつきから触れられたのですが、簡單にもう一度おつしやつてください。
  190. 庭田直道

    庭田証人 ですから、ストライキは私がやつたのではないのですよ。私がみんなを集めて煽動して、公共企業体はストライキをやつちやいけないというけれども、ストライキをやらなければいかぬということを煽動したのではない。今言つたように、東神奈川車掌区は緊急職場大会を持つて、そのときの組合員の空氣というものは、ここで今お話を申し上げてもわからないですよ。そのときは、みんなすごいのです。車掌区の問題で憤激しちやつて‥‥。
  191. 吉武恵市

    ○吉武委員 あなた自身はどうだつたかということです。
  192. 庭田直道

    庭田証人 みんなの決意がとにかくストライキをやるのだということになれば、私は鬪爭委員長として当然これは大衆討議に訴えてりつぱにはかつたのだから、やつばりやるということに‥‥。
  193. 吉武恵市

    ○吉武委員 だから、鬪爭委員長として、もし法律的に禁止された事項をすれば、法に触れる。法に触れれば犠牲者を出す。それについては鬪爭委員長としては重大な責任があるんじやないですか。あなた自身が首になろうとなるまいと、それはあなた自身の責任かもしれませんけれども、労働組合ですよ、労働組合において、その組合鬪爭委員長責任の地位にあるならば、その組合を正しく導くか導かないかは、あなた方に責任がある。だから、一般の者がもし誤つた行動をするならば、あなたは、それは間違いであるとして――現に熱海の大会においても、民同派の星加君その他の委員言つておる。われわれは法律の範囲内において労働運動をやり得るのだ、それを法律を無視してやつたのでは、労働組合ではなくなるじやないかということを、現に労働者自身が言つておる。だから、あなたはそれに対しては、どうです。それは意見としてはそういう意見があつたかもしれないけれども、ストをやる、実力行使に訴えるということに賛成して、あなたは鬪爭委員長としての職務を遂行されたのか、それとも反対はしたけれども、みなの意向だからやつたのか、どつちですか。
  194. 庭田直道

    庭田証人 これはりつぱに大衆討議できまつたことですから‥‥。
  195. 吉武恵市

    ○吉武委員 あなたは、きまつたことだと言うけれども、あなたはどちらの態度をとられたのか。
  196. 庭田直道

    庭田証人 賛成も何もないですよ。私が鬪爭委員長だからといつて、別に決定権はないのだからね。
  197. 吉武恵市

    ○吉武委員 決定権はないといつて鬪爭委員長というものは、自分の意思が全然どつちにもないということはないでしよう。
  198. 庭田直道

    庭田証人 それは労働組合の組織というものをあまりよく御存じないのですよ。
  199. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 証人は向うの言うことにきちつと答えればよい。とにかく先ほど猪俣君から言われた通りだ。     〔「そんなことは一方的ではないか」と呼ぶ者あり〕
  200. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 まああとで反問はいくらでもさせますから‥‥。
  201. 吉武恵市

    ○吉武委員 その点をひとつ、あなたは男らしく、とにかく委員長として賛成をしたら賛成をしたと言つたらいいじやないか。反対つた反対だと言えばよろしい。
  202. 庭田直道

    庭田証人 だから私ははつきり言つているではないですか、ストライキに入るということを‥‥。
  203. 吉武恵市

    ○吉武委員 入るということを賛成した。そうすると、法律で禁止されていることは知つてつた。知つてつたけれども自分達はストライキに入ることを賛成した。さように了解していいですね。
  204. 庭田直道

    庭田証人 それはどうでもとつてください。
  205. 吉武恵市

    ○吉武委員 それでは、その点は明瞭になりました。  第二にお聞きしたいのは、これはあなたが直接関係されたかどうか不明なんだから、はつきりしていただきたいんだが、九日の夜に神奈川駅の白帶車の中でフラク会議が行われたというのですが、あなたはこれを御存じですか。
  206. 庭田直道

    庭田証人 知りません。
  207. 吉武恵市

    ○吉武委員 先ほど何か委員長が聞かれたときには‥‥。
  208. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あとで聞いたと言うのです。
  209. 吉武恵市

    ○吉武委員 そうすると、あとで聞かれたのでもけつこうですが、そのフラク会議車掌区だけのフラク会議つたのですか、電車区は関係はなかつたのですか。
  210. 庭田直道

    庭田証人 それはよく知らないのです。私もよく聞いておりません。
  211. 吉武恵市

    ○吉武委員 よくでなくてもいいけれども、あなたの電車区に関係があつたのか、なかつたのか。あなたが出られなかつたら出られなかつたでよい。ほんとうに出られなかつたのですか。
  212. 庭田直道

    庭田証人 ええ。
  213. 吉武恵市

    ○吉武委員 きのうの証言のうちに、片岡君だつたかの証言の中には、確かにあなたの名前が出ていたように思うが、委員長どうですか。
  214. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 入つていたそうです。
  215. 吉武恵市

    ○吉武委員 そうすると、他の証人がそう言つているが、あなたはどうでしよう。
  216. 庭田直道

    庭田証人 だから、私はそのフラク会議には出ておりません。今委員長さんが言われた警官が來てどうこうと言われた、その問題でしよう。
  217. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 白帶車にあなた行つてつたことがあるのじやないのか。
  218. 庭田直道

    庭田証人 その辺のことは、私はあとで聞いたことだし、とにかくわからぬですよ。記憶がないのです。
  219. 吉武恵市

    ○吉武委員 そうすると、前の証人の言われたことは間違いですか。
  220. 庭田直道

    庭田証人 間違いということは私はわかりませんよ。その人が見たのは、私を見たのか、だれを見たのか知りませんけれども、私はとにかく寢ていたのだから‥‥。
  221. 吉武恵市

    ○吉武委員 そうすると、あのときの白帶車の会議は、相当深更にわたつて、数回開かれたというのですけれども、一回も出なかつたのですね。
  222. 庭田直道

    庭田証人 だから、初めからはつきり答えておるのです。あの当時の模樣は今はつきり記憶がないということを‥‥。
  223. 吉武恵市

    ○吉武委員 白帶車の中に入つたか入らないか‥‥。
  224. 庭田直道

    庭田証人 あそこは執行部とつながつていますから‥‥。
  225. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは電車区で寢ておつたので、そこえは行かぬと言うのでしよう。
  226. 庭田直道

    庭田証人 そこをやはり通らなければ――白帶車がとまつておる隣りが分会の執行部です。
  227. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 通つたということと入つたということとは違う。
  228. 庭田直道

    庭田証人 だから、私はその点については、はつきり記憶がないと言うのです。
  229. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 しかし白帶車に入つたか入らぬかくらいは記憶がないことはなかろう。
  230. 吉武恵市

    ○吉武委員 それでは、執行部というのは白帶車の隣りの室を執行部にしたのですか。
  231. 庭田直道

    庭田証人 そうです。
  232. 吉武恵市

    ○吉武委員 白帶車でも別の会議が行われたということをあなたはお聞きになつた、こういうことですね。
  233. 庭田直道

    庭田証人 そうです。
  234. 吉武恵市

    ○吉武委員 執行部には、あなたはしよつちゆうお入りになる‥‥。
  235. 庭田直道

    庭田証人 執行部は分会の事務所ですから‥‥。
  236. 吉武恵市

    ○吉武委員 事務所といつて、列車でしよう。
  237. 庭田直道

    庭田証人 廃車をもらつておるのです。
  238. 吉武恵市

    ○吉武委員 そうすると、白帶車の中にはあなたは入らないと了承してよろしゆうございますか。
  239. 庭田直道

    庭田証人 入らないと思つていますね。
  240. 吉武恵市

    ○吉武委員 その点はつきりしませんね。われわれはあまり時間をとりたくない。だから、イエスかノーか、はつきり言つてもらいたい。
  241. 庭田直道

    庭田証人 私も大体おもだつたことは覚えておるけれども自分は痔で病んで、九日、十日は執行部で寢ていましたから、はつきり自分が参加したかどうかということも忘れてしまつたのです。
  242. 吉武恵市

    ○吉武委員 忘れてしまつた言つても、そういう重大な会議に参加したかどうか忘れてしまうことはないと思うね。今までのあなたの言を聞きますると、自分は今までそこに入つたことはないということでよいですね――わかりました。  それからはなはだ恐縮ですけれども、あなたは今共産党に入党されておりますか。
  243. 庭田直道

    庭田証人 入つております。
  244. 吉武恵市

    ○吉武委員 それは最近お入りになつたのですか。それとも多少前から‥‥。
  245. 庭田直道

    庭田証人 総選挙を控えて入りました。
  246. 吉武恵市

    ○吉武委員 そうすると総選挙後の共産党の動きについては大体御存じだと思いますが、あなたはこの國電のストについて共産党から何らかの指示をお受けになりましたか。
  247. 庭田直道

    庭田証人 いや全然受けておりません。
  248. 吉武恵市

    ○吉武委員 共産党から三月の半ばにも國鉄の整理問題について一つの指令が出ておるのですが。全然あなた方聞いておりませんか。
  249. 庭田直道

    庭田証人 全然聞いておりません。
  250. 吉武恵市

    ○吉武委員 四月の半ばごろにも出ておるということですが、それも聞いておりませんか。
  251. 庭田直道

    庭田証人 聞いておりません。
  252. 吉武恵市

    ○吉武委員 ストをやるまでに一回も共産党から何らの指示もありませんか。
  253. 庭田直道

    庭田証人 ありません。
  254. 吉武恵市

    ○吉武委員 共産党としては大いに産業防衞組織を強化して國鉄の復興をはかるということをアカハタにも書いてあるのですが、あなたはその國鉄の復興鬪爭というものについて今日まで何らの指示もお受けにならないのですか。
  255. 庭田直道

    庭田証人 私はちんぴら鬪爭委員長ですから、そういう詳しいことはむしろりつぱな共産党の代議士の方がこの中にもいらつしやると思いますので、その方々にお聞きになつた方がいいと思います。
  256. 吉武恵市

    ○吉武委員 おえらい方々には追つて最後にお聞きしたいと思うのですけれども、ただいまは神奈川の人民電車と東神奈川のストについての尋問をしておるのです。あなたは知らなければ知らないでいいのですけれども、あなた方は共産党に入つておられればやはり正しき政党としてお入りになつておるでしようから、それから指示があつたかどうかを聞いておる。一度もその間に何らかの指示も受けられないというのは、共産党としてははなはだ怠慢だと思つておるのです。
  257. 庭田直道

    庭田証人 私は受けておりません。
  258. 吉武恵市

    ○吉武委員 それではお受けにならないとしてもお聞きしたいのですが、今度の神奈川のストは職場鬪爭だということを盛んに言つておられますが、職場鬪爭と見てさしつかえありませんか。これはアカハタにもさんざん書いてある。つまり國鉄は中央執行委員会あるいは中央鬪爭委員会という正規の組織があるもかかわらず、これらの組織においてはストについて何らの決議も指示もない。ただ職場において職場の大会の意思によつてストに入られた職場鬪爭だ、こういうふうに了解してよろしゆうございますか。
  259. 庭田直道

    庭田証人 それは地域鬪爭というものが國鉄の大会で認められておるわけです。
  260. 吉武恵市

    ○吉武委員 いつの大会で‥‥。
  261. 庭田直道

    庭田証人 いつの大会かちよつと忘れました。
  262. 吉武恵市

    ○吉武委員 琴平の大会でストをやるという決議はなかつたように記憶しておるのです。あなたのおつしやつたのは鬪爭の方式でしよう。そこで職場鬪爭ではあつたが、同時に今回のストライキの際において一つの特異な現象は、あなた方だけの職場における鬪爭ではなくて、外郭團体がたくさん参加されました。これはあなたもお認めになるでしよう。
  263. 庭田直道

    庭田証人 車掌区へ來たのを見ましたけれども、電車区へ入つて來ません。
  264. 吉武恵市

    ○吉武委員 どういう外郭團体が來ましたか。
  265. 庭田直道

    庭田証人 それは知りません。
  266. 吉武恵市

    ○吉武委員 あなたは國鉄の鬪爭委員長であり共産党員である。お隠しになるなら格別ですけれども‥‥。
  267. 庭田直道

    庭田証人 いや、別に決して隠しておりません。
  268. 吉武恵市

    ○吉武委員 大体われわれの方でもわかつておるのですけれども、あなたに聞きたいのです。
  269. 庭田直道

    庭田証人 裁判ではありませんから私は決して隠しておりません。先ほどお話した通り、現在は失業して頭が半ばかになつております。皆さんのようにりつぱな方がお聞きになればまるでばかだとお思いになるかもしれませんが、実際ばかかもしれません。定員法で失業してえらい半ばかになつたのです。
  270. 吉武恵市

    ○吉武委員 あなたはアカハタその他をお読みになつておるでしようが、最近共産党では職場鬪爭から産業防衞鬪爭というものを展開しております。その産業防衞鬪爭として日ごろから友誼團体との間に緊密な連絡がとられておるが、あなたは、それに全然御関係ないのですか。
  271. 庭田直道

    庭田証人 関係ないのです。ちようど私正月の総選挙のときに入つたのでほんとうにちんぴらです、それで六月の二十九日から刑務所に入つて七月十日に出て來て、現在家内がぐあいが悪いのです。刑務所に入つておるうちに定員法によつて区長から辞令をもらつたのです。そういう関係で現在はずつと病氣で家におるのです。
  272. 吉武恵市

    ○吉武委員 お聞きにならないというならしかたがないが、アカハタその他にも盛んに産業防衞鬪爭ということを発表して、全國に公然の事実となつておる。あなたはお聞きになつたことがあるでしよう。
  273. 庭田直道

    庭田証人 現在私はずつと家におるのです。家内がぐあいが悪くて全然職場に出られないのです。だから全然わからぬのです。アカハタは確かにとつておりますけれども、全然家に入つておりません。
  274. 吉武恵市

    ○吉武委員 そうすると共産党がつくつておる産業防衞隊ということはお聞きになつたこともないし、あなたは関係になつていない。そういうふうに了承してよいのですか。
  275. 庭田直道

    庭田証人 聞いておりません。
  276. 吉武恵市

    ○吉武委員 参加もしていない‥‥。
  277. 庭田直道

    庭田証人 参加もしておりません。
  278. 吉武恵市

    ○吉武委員 ですが人民電車を動かすとき――九日の夕方でしたか、盛んにサイレンが鳴りましたが、それをお聞きになりましたか。
  279. 庭田直道

    庭田証人 サイレンは鳴りました。
  280. 吉武恵市

    ○吉武委員 ところがサイレンが鳴つたら、サイレンを聞いてか、その産業防衞隊が続々と集まつたというのだが、そういうふうにサイレンのもと一ぺんにそのような産業防衞隊が集まるという組織をあなたは御存じなかつたのですか。
  281. 庭田直道

    庭田証人 私は知りません。
  282. 吉武恵市

    ○吉武委員 そこで引続いてお尋ねをいたしたいのでありますが、あなたは御存じないと言われればしかたがないけれども共産党においては職場鬪爭からさらに産業防衞鬪爭ということを盛んに言つておる。今回の神奈川のストにおいて一國鉄の職場鬪爭のみでなくして、これを契機にして附近のあらゆる産業におけるフラグ活動は動員されて、この爭議に参加しておるという点を見ますと、これがいわゆる共産党の言う産業防衞鬪爭への実際の行動が見せられたように思うのですが、あなたはそういうふうにお考えになりますか。そういう計画は御存じないのですか。
  283. 庭田直道

    庭田証人 知りません。
  284. 吉武恵市

    ○吉武委員 産業防衞鬪爭という言葉もお聞きになつたことはない‥‥。
  285. 庭田直道

    庭田証人 産業防衞鬪爭ということを聞いたことはあります。
  286. 吉武恵市

    ○吉武委員 しかしそれがどういうものであつたかは御存じなかつたのですね。
  287. 庭田直道

    庭田証人 私はまだ入つたばかりでそういう根本的のことはわかりません。
  288. 吉武恵市

    ○吉武委員 ところがそれが今度の國鉄ストにおいて如実に現われておるということをあなたはお感じになりませんね。――それでは次にお尋ねいたしますが、今回の神奈川縣のストライキは、この職場鬪爭がさらに産業防衞鬪爭への移行をし、その産業防衞鬪爭からたくさんの大衆が動員されておる。すなわち人民電車を動かすときに大衆が集まつて大会を開いて、大衆の決議によつて人民電車を動かすんだということを言つておる。これはあなたはお聞きになつたでしようし、ごらんになつたでしよう。人民大会はごらんにならなかつたのですか。
  289. 庭田直道

    庭田証人 見ません。
  290. 吉武恵市

    ○吉武委員 しかしさつき乗客大会を見たと言つたではありませんか。
  291. 庭田直道

    庭田証人 聞いたというのです。
  292. 吉武恵市

    ○吉武委員 あなたはぐあいが悪かつたから事務所におつたのですね。聞くのはお聞きになつたのですね。
  293. 庭田直道

    庭田証人 聞きました。
  294. 吉武恵市

    ○吉武委員 その人民大会で、われわれはストライキに賛成する。賃金カンパも大いにしてやる。しかし今日は電車を動かしてくれという決議をしたということをお聞きになりましたか。
  295. 庭田直道

    庭田証人 それは賃金カンパ二百円ですか、カンパは私は見ました。
  296. 吉武恵市

    ○吉武委員 どうですか、そのカンパをしたのはだれでしようか。ほんとうに國民大衆がやつたのでしようか。國民大衆と称して、共産党だけのフラクがやつたのではありませんか。
  297. 庭田直道

    庭田証人 そんなことはないと思います。私もこれは聞いた話ですけれども、東神奈川駅前は黒山のような人だつたというのですが、おそらく共産党だけで黒山のようになつたということは考えられないと思います。
  298. 吉武恵市

    ○吉武委員 われわれはこのたびの東神奈川区のストライキが一車掌区、電車区の職場鬪爭にあらずして、さらにアカハタに言われるがごとき産業防衞鬪爭の実際の実現を見せつけられ、さらに人民鬪爭とかねて言つてつたが、実際の実演を今度の東神奈川の事件においてありありとわれわれ見せつけられたように思いますが、あなたはそういうふうにお感じになりませんか。
  299. 庭田直道

    庭田証人 感じません。これはやはり労働者立場になれば私は共産党も、民自党も社会党もないのですよ。やはりあれだけの新交番、旧交番の問題を契機として、電車区が問題に触れたときの空氣は、今も委員長に申しましたように、あの実態をもう一度実驗そのままに皆樣にお見せすればはつきりすると思いますよ。
  300. 吉武恵市

    ○吉武委員 あなたが言われる労働爭議の雰囲氣についてはしばしばわれわれは立会いましたからわかりますが、しかしあなたは労働者立場からと言われますが、あなた方の國鉄の中においてもすでに民同派に属する方々は今回の東神奈川、あるいは千葉、その他のいわゆる違法ストに対しては批判しておる。ああいうやり方はいけないのだといつて――これはわれわれが言つておるのではない。あなた方の同じ友だちである國鉄のいわゆる合法的の労働組合運動を展開しようとされる方々は、今回の事件に対しては批判をされるばかりではない、猛烈に反対をされておる。これは熱海の大会の決議でもお聞きになつたでしよう。相当の波瀾を呼んでいるわけですね。ですからそれに対してあなた方はそういう合法的の運動には御賛成にならない、やはり法律を無視して実力行使をやるという‥‥。
  301. 庭田直道

    庭田証人 問題は法律を無視するとか、何とか言われますけれども、もちろんわれわれは合法的に労働者の要求通り行けばよい、ところが合法的にやろうと思つても合法的にやれない。そういう場合は何とするか。
  302. 吉武恵市

    ○吉武委員 しかしそれは世の中でわれわれ國民として自分の思い通りに何もかもかなうなら一番よいけれども、一々思うように何かもやれないから、われわれ結局國会に代表として出て、國会の多数の民主的の決定によつて行わせるというのが政治のやり方である。それがために、自分一人の思うことが通らないから、法律を無視してやるということになれば、これははなはだ認められないことじやないでしようか。
  303. 庭田直道

    庭田証人 ですから、結局今度の國鉄の十万の首切りに対してもそうでしよう。これはやはり民自党の数が絶対多数を占めて、一方的にぐつと押し切つてしまつた。それではたしてその首切られた方の失業対策が完全にできておるかどうかということです。(「できているよ」)できておりましたら、ひとつ今出してもらいたい。
  304. 吉武恵市

    ○吉武委員 大体わかりました。証人の言を結論的に申しますと、自分たちは仮に法律で禁止されておることでも、自分たちの権利を守るためには、やむを得ずこれを侵すということのようでありますから、私の質問はこれで打切ります。
  305. 小川半次

    ○小川(半)委員 庭田証人に伺います。証人は精神が相当疲れているようですから、私は事実に基いて二つばかりお尋ねしたいと思います。証人は、私の調査によりますれば、たしか六月五日に、数人の組合員とともに村上助役に相当強硬な申入れをしておられますね。
  306. 庭田直道

    庭田証人 知りません。
  307. 小川半次

    ○小川(半)委員 名前は違うかも知れませんが、ある助役に対して相当強硬な申入れをしておりますね。
  308. 庭田直道

    庭田証人 六月五日ですか。
  309. 小川半次

    ○小川(半)委員 日も間違つているかも知れませんが、大体そのころです。
  310. 庭田直道

    庭田証人 強硬な申入れをしているということは、私には全然見当がつきません。
  311. 小川半次

    ○小川(半)委員 村上助役というのはあなたの方の助役ですか。
  312. 庭田直道

    庭田証人 そうでないのです。
  313. 小川半次

    ○小川(半)委員 電車区に村上助役はおりませんね。
  314. 庭田直道

    庭田証人 村上助役というのはおりません。
  315. 小川半次

    ○小川(半)委員 それでは、ある助役に対して、区長と相談に絶対に應じてはならぬというようなことを申入れたことがありますね。数人の組合員とともに、強硬に申入れておりますね。
  316. 庭田直道

    庭田証人 強硬にですか。
  317. 小川半次

    ○小川(半)委員 確約書をとつておるのだから、相当強硬だと思いますが‥‥。
  318. 庭田直道

    庭田証人 私は別に強硬に申入れた覚えはありません。
  319. 小川半次

    ○小川(半)委員 それじや確約書をとつているでしよう。
  320. 庭田直道

    庭田証人 とつております。
  321. 小川半次

    ○小川(半)委員 確約書をとるために、相当脅迫的なことをしておりませんか。
  322. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だれから確約書をとりましたか。
  323. 庭田直道

    庭田証人 助役さんです。
  324. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何助役さんですか。
  325. 庭田直道

    庭田証人 助役全部です。
  326. 小川半次

    ○小川(半)委員 これは重大な問題ですが、わかりました。とにかく確約書を相当おどかしてとつたということは間違いないですね。
  327. 庭田直道

    庭田証人 おどかしておりません。
  328. 小川半次

    ○小川(半)委員 あなたはおどかす方だから感じないだろうが、相手は脅迫心を受けている。それで仕方なしに確約書を書いた、結論はこれです。それから証人は、先ほどの証言によりますれば、今回のストは車掌区からのろしが上つたのであつて、電車区、特に自分責任ではないと言つておられますが、しかしこのストのことについては、あなたはすでに早くから各分会の鬪爭委員とともに、いろいろ鬪爭方針を協議しておられたのでしようがどうですか。ストに入る前に‥‥。
  329. 庭田直道

    庭田証人 いや、別に協議はしておりません。
  330. 小川半次

    ○小川(半)委員 協議をしておりませんか。
  331. 庭田直道

    庭田証人 とにかく、私らは何のために六月九日緊急に職場大会を持つたかということは、あれはほんの一瞬です。それまでに、われわれは鬪爭方針でこうやるのだ、ああやるのだという具体的なことは全然やつておりません。これははつきり申し上げます。
  332. 小川半次

    ○小川(半)委員 あなたは五日以來数回にわたつて、たとえば車掌区からは井上あるいは栗田、柳川、岡本、川久保、皆藤その他あなたの方から萩野ですか、こういう鬪爭委員とともに、いろいろ協議を数回しておられる。その内容は、大体車掌区などは新交番制に反対というスローガンで、あなた方は身分保障確約という――これはあるいは形容は違うかも知れないが、こういうぐあいに、新交番の関係のない者は何らかのりくつをつけて、共同鬪爭を行おうじやないかという協議をしているのでしようが‥‥。
  333. 庭田直道

    庭田証人 共同鬪爭ですか。それは職場大会できまつております。
  334. 小川半次

    ○小川(半)委員 そうじやない、分会の鬪爭委員が寄つて、いろいろ鬪爭方針を協議しましたでしよう。
  335. 庭田直道

    庭田証人 共同鬪爭で行くということは、合同職場大会できめたのです。
  336. 小川半次

    ○小川(半)委員 分会の鬪爭委員のみの会合で、こういうことは申合せておりませんか。
  337. 庭田直道

    庭田証人 おりません。
  338. 小川半次

    ○小川(半)委員 とにかくあなたは、鬪爭委員として大体スト突入までの責任者ですよ。あなたはただ突発的に、偶然職場大会が持たれて、その職場大会が持たれたものだから自分もそれに參列して、みなの意見がそうきまつたから、やむを得ずストに賛成したと、あなたの卑怯な、あなたの責任回避のような証言をしておられますけれども、あなたはあなたの分会の鬪爭委員長であつて、あなたは一番の責任者であるということを感じませんか。
  339. 庭田直道

    庭田証人 感じております。
  340. 小川半次

    ○小川(半)委員 それじやよろしい。
  341. 井手光治

    ○井手委員 大分お疲れのようですから、ごく簡單に一つ伺います。先ほどあなたは、回送電車に車掌を乗込まぬでもよろしいという事務命令があつたので、これは自分たち見解として規定違反である、だからこれを研究するために、職場大会を開いた、こうおつしやつた。ところが今のお話によると、共同の鬪爭態勢を整えるために、だれが連絡をしたか知らぬが連絡して、それによつて職場大会を開いた、こう二重の開きのある証言があつたが、この点はどつちがほんとうですか。
  342. 庭田直道

    庭田証人 それは私が委員長に申し上げた通りです。
  343. 井手光治

    ○井手委員 そうすると、あとから言つた車掌区と共同鬪爭をするために職場大会が開かれたというのはうそですね。
  344. 庭田直道

    庭田証人 共同鬪爭のために職場大会をやつたのではありません。
  345. 井手光治

    ○井手委員 そうすると、今のあなたの証言は間違つてつたということになるから、その点をよくお含みおき願います。  それから、九日の晩の職場大会によつて、これは神山君が盛んに言つておるが、十日の朝から正常運行するということを決議したが、当局は十日の朝になつてわれわれの運行することを拒否した、こう言われております。そこであなた方の言う正常運行というのはどういうことですか。
  346. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これはさつき聞きました。事務管理とはつきり言いました。
  347. 井手光治

    ○井手委員 そうすると、業務管理による正常運行という主張があつたわけですね。そこで、いわゆる鉄道の一般の電車なり汽車なりの正常運行ということを、あなた方が職場大会できめた業務管理による正常運行ということとは、月とすつぽんとの差がある。あなた方は業務管理による正常運行をするということを申出たが、当局はこれを拒否したと言つておるのだから、あなた方の言われる正常運行というものは、われわれが社会的通念上考える正常運行ではない、非合法的な、業務管理によるものを正常運行と称しておるが当局はこれを拒否したということは、公平に考えて、これは拒否した方が正当である、こう判断してよろしいですね。
  348. 庭田直道

    庭田証人 当局は拒否したからと言われるが、そうじやないですよ。これは私の見解ですが、蒲田車掌区がストライキに入つたので、実質上電車が出せない状態になつてしまつたのです。東神奈川電車区を正常運行に戻すということで、実は区長も非常に喜んで、管理部に電話をかければ喜ばれるというので、区長は大急ぎで電話をかけた、ところが十日の初電から蒲田車掌区がストに入つたので、実際的に電車は動かなくなつてしまつたのです。
  349. 井手光治

    ○井手委員 そうすると矛盾擴着もはなはだしい。九日の晩に職場大会を開いて、十日から正常運行をするということを決議したが、当局は拒否したということですよ、あなた方が正常運行を申入れたのに対して当局は拒否したということになるね。どつちがほんとうですか。喜んだということと拒否したということはたいへんな相違だ。
  350. 庭田直道

    庭田証人 だから蒲田車掌区がみなストに入つた関係上、結局拒否したという形になつてしまつた。われわれは電車を動かそうとしたが、管理部自体がこれを拒否したということになる。
  351. 井手光治

    ○井手委員 これは問題になる。あなた方が言う正常運行ということは、当局の普通のダイヤによる正常運行をやろうとしたのではなくて、われわれは業務管理によつて勝手に電車を動かそうとしたのを、当局が拒否したということなんですね。  そこでもう一つ、先ほど吉武君から話があつたように、鉄道の構内というものは、今まで一般に議論されておるように、たとい爭議の場合であつても何の場合であろうが、爭議の場合ではことにそうなんですが、爭議中には一般的ないゆわる業態の管理というか、電車の管理と言いますか、一般的な維持管理、いわゆる正常な意思による維持管理ということは全然考えになかつたかどうか、そういう点は全然爭議中には無放任であつたのですか。全然あなた方は電車がどうなつてもよろしいというような態度でおられたのか。なぜ私がこういうことを聞くかというと、國鉄職員、部外労働者は全員スクラムを組んでインターを合唱し、全電車はサイレンを吹奏して非常態勢を整えたということが、あなた方の組合報によつて報告されておる。そこで私の聞こうとするのは、そういう爭議行爲だというあなた方の主張の範囲においても、いわゆる正常な財産、いわゆる國民の鉄道だと言われるその公共的財産の維持管理というものについては、あなた方は無関心であつたかどうか、それを聞きたい。
  352. 庭田直道

    庭田証人 無関心でない。
  353. 井手光治

    ○井手委員 そうするとこれは無関心でなかつたが、われわれが最も危險とされている鉄道構内に、どこでどう連絡をとつたか知らないが、多数の人間が入り込んで、勝手にサイレンを鳴らした。そのサイレンははからずもあなた方がストに突入しようとする最後的段階において、それと相マツチしておつたということが‥‥。
  354. 庭田直道

    庭田証人 勝手にサイレンを鳴したわけではない。当局から不当彈圧があつた場合にはサイレンを吹鳴するということはきめてあつた
  355. 井手光治

    ○井手委員 そこで電車のサイレンというものは、おそらく電車の下に足で踏むようになつているのか、手で押すようになつていると思うが、一体電車区の鬪爭委員長であるあなたか――私の考えによればだれかそういうふうな技術的な指図をしないと、しろうとが行つても、どこにサイレンがあるかわからぬので、何かそこに系統的な指図が行われておつたろうと思いますが‥‥。
  356. 庭田直道

    庭田証人 電車の組合員でありましたならば、汽笛のありかは全部知つております。ですから鬪爭委員長がお前行つて氣笛を鳴らせと言わなくても、みんなよく知つております。
  357. 井手光治

    ○井手委員 そういうことはあらかじめ計画しておつたわけですね。
  358. 庭田直道

    庭田証人 計画というよりは、不当彈圧があつた場合にはサイレンを吹鳴するということをきめてあつた
  359. 石田一松

    石田(一)委員 ちよつとお尋ねしますが、あなたは先ほど電車を十日の朝から動かそうとした、それはその前日にストを職場大会で決定しておりながら、その翌日の朝から正常運轉をするというのはおかしいのではないかという委員長の質問に対して、それは大体業務管理のようなものだろうということを、あなたのお考えでお答えになつたのであつて、十日の朝電車を動かすということは、業務管理をするという決議のもとにあの電車が動かされたのではないでしよう。それはあなた方がそういうふうに思えば思い得るということをおつしやつたのでしよう。それはあなたがそういうふうに解釈されたのでしよう。
  360. 庭田直道

    庭田証人 そうです。
  361. 石田一松

    石田(一)委員 今各委員が、業務管理として十日の朝全員乗車を決定したように質問していらつしやる。これは大きな問題でして‥‥。
  362. 庭田直道

    庭田証人 これは鬪爭委員長としての見解ですよ。
  363. 石田一松

    石田(一)委員 それは鬪爭委員長としてのあなた個人の見解ですね。
  364. 庭田直道

    庭田証人 ええそうです。
  365. 大橋武夫

    ○大橋委員 証人は大分お疲れになつておられますから、簡單にもう一度私から改めて申し上げますが、あなたは今裁判にかかつておられますね。
  366. 庭田直道

    庭田証人 起訴されております。
  367. 大橋武夫

    ○大橋委員 裁判になつたときに、あなたがここで話をしたことが証拠にとられて、あなたが不利になると考えるときは、これは拒否されてもいいです。そうおつしやれば私の方で質問を撤回しますから、それをあらかじめ御承知の上でおつしやつてください。  それについてどういう事実が起訴されておられるのですか。
  368. 庭田直道

    庭田証人 新聞などで見ますと、強要罪、電車往來危險罪。
  369. 大橋武夫

    ○大橋委員 人民電車の関係ですね。
  370. 庭田直道

    庭田証人 ええそうです。
  371. 大橋武夫

    ○大橋委員 それでまず先ほどあなたが、電車区においてストに入つたのは、車掌区に対する同情の意味一つと、そのほかに電車区としても要求があるということを言われました。その要求として、廻送電車については車掌を乗せないでよろしいという業務命令があつた、それについて自分たちとしては不満だつたということを言われましたが、その命令はいつ出ましたか。
  372. 庭田直道

    庭田証人 それは九日の――時間ははつきりわかりませんがね。
  373. 大橋武夫

    ○大橋委員 九日にどこから出た命令ですか。
  374. 庭田直道

    庭田証人 管理部です。それは電話通告です。
  375. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたはだれから、その電話通告を聞かれましたか。
  376. 庭田直道

    庭田証人 現場長から聞きました。
  377. 大橋武夫

    ○大橋委員 現場長というと、電車区長ですか。
  378. 庭田直道

    庭田証人 ええ。
  379. 大橋武夫

    ○大橋委員 それは組合の代表としてのあなたに通告があつたわけですか。
  380. 庭田直道

    庭田証人 区長から私にあつた
  381. 大橋武夫

    ○大橋委員 そのときにあなたはどうされましたか。
  382. 庭田直道

    庭田証人 それで私は結局鬪爭委員の人に諮つて、それではすぐ電車区の緊急職場大会を持とうということで‥‥。
  383. 大橋武夫

    ○大橋委員 それは大体の時刻は、電車の話を聞かれたのは午前中でしたか。
  384. 庭田直道

    庭田証人 いや午後からですよ。ストライキに入つたのが十五時四十二分と私は覚えております。その前にそういう命令があつたのです。
  385. 大橋武夫

    ○大橋委員 何時ごろでしたか。お晝御飯よりあとですか。
  386. 庭田直道

    庭田証人 お晝御飯後です。
  387. 大橋武夫

    ○大橋委員 三時ごろですか。
  388. 庭田直道

    庭田証人 三時より前ですね。
  389. 大橋武夫

    ○大橋委員 それから職場大会を持つことをあなたが発議されて‥‥。
  390. 庭田直道

    庭田証人 緊急職場大会を持つた
  391. 大橋武夫

    ○大橋委員 場所は。
  392. 庭田直道

    庭田証人 技工詰所。
  393. 大橋武夫

    ○大橋委員 どのくらいの人数。
  394. 庭田直道

    庭田証人 二百名以上。
  395. 大橋武夫

    ○大橋委員 それは電車区の人だけですか。
  396. 庭田直道

    庭田証人 そうです。
  397. 大橋武夫

    ○大橋委員 電車区は大体全員が集まりましたか。
  398. 庭田直道

    庭田証人 全員です。電車区は三百名ちよつと欠けるのですが、二百八、九十名じやないかと思います。
  399. 大橋武夫

    ○大橋委員 そのとき車掌区の人なんかが代表として臨席、されたようなことはありませんか。
  400. 庭田直道

    庭田証人 鬪爭委員か何かあいさつに一人來たような氣がいたします。
  401. 大橋武夫

    ○大橋委員 それから部外團体からは‥‥。
  402. 庭田直道

    庭田証人 部外の團体は一人も入つていないということは、はつきり記憶しております。
  403. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうしてそのときの決議の結果、どういう要求をされることになりましたか。
  404. 庭田直道

    庭田証人 その業務命令は拒否することにきめられて、そうして車掌区に同調ストライキに入る‥‥
  405. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、そのとき議長はだれがやりましたか。
  406. 庭田直道

    庭田証人 議長は運轉の遠藤という人がやりました。
  407. 大橋武夫

    ○大橋委員 それはやはり鬪爭委員ですか。
  408. 庭田直道

    庭田証人 鬪爭委員じやありません。鬪爭委員は議長はできませんから‥‥。
  409. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、あなたはそれにただ鬪爭委員として、臨席せられた‥‥。
  410. 庭田直道

    庭田証人 そうです。鬪爭委員は全部そうです。
  411. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたはそのとき鬪爭委員として臨席しており大体においてストの決議の方へ議事が進んで行つた。そうしてそのストができた場合、これを実行すれば公共企業体労働関係法の十八條によつて、当局からだれか処分を受ける者がありはしないかというようなことは、考えませんでしたか。
  412. 庭田直道

    庭田証人 そのときは組合員の空氣が非常にすごかつたので、自分も興奮していましたからそんな考えはありませんでした。
  413. 大橋武夫

    ○大橋委員 そういう鬪爭の場合に、自分たちの同僚から、犠牲者を出すというような場合には、できるだけそういうことのないように、そうして組合員の利益をなるべく合法的な、有利な戰術によつて、保護して行くということをあなたは責任上常に考えるのが至当でなかつたかと思うのですけれども、そういう点はそのとき全然お考えにならなかつたのですか。
  414. 庭田直道

    庭田証人 考えません。
  415. 大橋武夫

    ○大橋委員 それより前にそういうことを考えられたことはありませんか。いろいろ首切りの問題などをお聞きになつてからのちに、國鉄の鬪爭としてはストをやつちやまずいとか、場合によつてはストも必要だというようなことについてお考えになつたことはありませんでしたか。
  416. 庭田直道

    庭田証人 私は実力行使は労働者の最大の武器で、これはやむを得ないと思いました。
  417. 大橋武夫

    ○大橋委員 いかにそれがために犠牲者が出ようとも、この武器を捨てることはできない、こう考えておられたわけですね。そうして今日あなたは結果的に見てあなたを初めとしてあなたの同僚の多数が犠牲者として不幸にも馘首せられた、あなたのように二十年から國鉄で功労のあつた方までがこういう目にあわれた、そうしてそれはこの不当なストライキの結果であつたということについて、あなたはああいうストライキをしなければよかつたということは今お考えになりませんか。
  418. 庭田直道

    庭田証人 今そんな考えところじやないのです。
  419. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうして同僚のためにもあのとき何とかとめる方法があつたんじやなかつたか、もしとめておつたらよかつたんじやないかということを今考えておられませんか。
  420. 庭田直道

    庭田証人 おりません。むしろこのストライキはとにかく当局がやつているのですよ。われわれはすぐ十日の朝から電車を出そうとしているのですからね。九日のときのあの空氣は当然われわれも労働者としてストライキに入らなければならぬ、ほんとうにそこまで追い詰められておつた
  421. 大橋武夫

    ○大橋委員 それはなぜ追い詰められておつたのですか。
  422. 庭田直道

    庭田証人 それはあの晩の空氣はなぜといつてもとにかくしようがないんですよ。一人々々がほんとうに決意に燃えていたから‥‥。
  423. 大橋武夫

    ○大橋委員 首切りを受けた方は車掌区のお方ですね。
  424. 庭田直道

    庭田証人 そうです。
  425. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうしてその人たちは公共企業体労働関係法十八條の規定によつて解雇された。それに対してあなた方が憤慨されたというのはどういう意味なんですか。
  426. 庭田直道

    庭田証人 ですからこの問題は結局根本的に考えますと、旧交番、新交番の問題はとにかく本部と当局側と團体交渉によつて円満解決を見るという問題ですね。あれは労働時間とか労働條件に関する問題であつて、それをするために車掌区は再三支部を通じて團体交渉を持つたらしいが、当局はそういう國交にも應じないで、とにかく新交番を押しつけて來た。これは当局自体がすでにわれわれがストライキを起す前に、そういつた公共企業体労働関係法を無視した違法のやり方で出て來ておるのです。その責任を追究しないで、むしろ労働者だけをこうして追究するということはおかしいと思うんですよ。
  427. 大橋武夫

    ○大橋委員 そこでこれは車掌区の問題であつて、あなた方としてはその問題については何ら当局に対して交渉されたことはないんですね。電車区として交渉されましたか。
  428. 庭田直道

    庭田証人 電車区としてはしません。
  429. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、電車区としては無警告ストですね。事業区はなるほどあなたの説明によればいろいろな今までの交渉の経過があり、その後においてストになつた。しかし電車区自体としては何ら事前に当局との間に交渉を持たず、その瞬間に突如としてストに立ち上つた、当局に対して無警告であなた方はストに立ち上つたと言わざるを得ないと思いますが、何かこの問題について交渉されましたか。
  430. 庭田直道

    庭田証人 電車区は新交番、旧交番の問題は一緒にやりましたけれども、電車区だけの問題は檢査期限延長反対の問題で区長とはやつておりました。
  431. 大橋武夫

    ○大橋委員 この檢査期限の延長の問題に対しましては、あなた方は交渉の過程においてすでにストに移るだけの機が十分熟しておると思いましたか。
  432. 庭田直道

    庭田証人 とにかくだれが書いたか知りませんけれども、腹をきめろというようなビラを‥‥
  433. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうして、あなたはそろそろ腹をきめる時期だと思つておられましたか。
  434. 庭田直道

    庭田証人 腹をきめる時期とも何とも、とにかくわれわれはほんとうに心から自分でもわからないくらい自動的に入つてしまつたのです。
  435. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、結局瞬間に時期が熟してストに入つたわけですね。あなたの心持から言えば瞬間に腹をきめざるを得なかつたわけですね。――その瞬間に腹をきめたわけですね。事前には交渉がそこまで進んでいなかつたけれども、こういう事態になつたので、瞬間的に電車区としても腹をきめてストに入つた、こういうわけですね。――そこで私は伺いたいのですけれども、一体あなた方共産党の労働組合運動の指導者として、こういうふうな不当な爭議を起したということは正しいことと思つておるのですか。それとも正しくなかつたと思つておるのですか。
  436. 庭田直道

    庭田証人 それはあなた方から言えば不当とかなんとか言われますけれども、われわれ労働者立場から言えば不当ともなんとも思つておりません。
  437. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、共産党員の労働者立場から言えば不当と思わない……。
  438. 庭田直道

    庭田証人 共産党員の労働者立場とかなんとかいう‥‥。
  439. 大橋武夫

    ○大橋委員 しかし先ほど吉武委員も言われたように、國鉄の組合員といえども、すべての人がこれは正当なものだと思つていなかつたですからね。現にあなた方のやつた戰術というものは……。
  440. 庭田直道

    庭田証人 ですからすべての人がこれが悪いと思えば、おそらくそのストライキの大会の決定も満場一致ではいかなかつたと思うのです。
  441. 大橋武夫

    ○大橋委員 満場一致と言えば、あなた方フラクの活動がうまかつたためで、あなた方の努力の結果であつて、全國の國鉄職員から見れば、これは正当なる爭議であつたという人がはたして幾人あるか。あなた方以外にこれは不当な爭議であつたという論も、星加君が熱海で述べておられるように、そういう論もある。そうすると結局あなた方共産党の労働組合員というものは、將來においても、労働関係法の十七條に違反するような爭議でも、やはり必要があればやらなければならぬと考えておるのですか。
  442. 庭田直道

    庭田証人 今私は失業者ですから、もう今はそんな國電ストに関することは全然考えておりません。
  443. 大橋武夫

    ○大橋委員 それでは一共産党員としてどう思いますか。
  444. 庭田直道

    庭田証人 一共産党員としてどう思つているかと言われても、それよりか今は一共産党員として、自分生活をどう守つて行くかということで一ぱいですよ。
  445. 大橋武夫

    ○大橋委員 その問題のほかに、私の言つた公共企業体労働関係法十七條に違反しても爭議はやるべきものだと思つているのですか。それとも、もう自分は首になつてこりごりだから、これからは決してああいうことはやらないようにしようと思つているのですか、どつちですか。大体あなたの今まで証言された態度その他から考えますと、この委員会では、一、二の例外は別として、大部分の人は、今後においてもあなたはこういう不当な爭議によつて労働者の利益をできるだけ守らなければならぬという決意を持つておられるような印象を受けている。もしそうでなかつたならば、誤解を解くためにもはつきりここで証言をしていただきたいと思う。
  446. 庭田直道

    庭田証人 私たちは正当だと思つております。
  447. 大橋武夫

    ○大橋委員 わかりました。  その次に、あなたは先ほど人民電車の問題について、これは大衆討議の結果として人民電車が運轉されたと言つた。そうしてその準備のために持たれたところのフラク会議については、吉武委員からしばしば記憶を思い出して答えるように督促せられたにもかかわらず、頭がぼけてしまつて思い出せないということを言つておられました。しかしながら、今までのあなたの党員としての立場から見て、この人民電車に関するフラク会議について、全然関係がなかつたということは、常識上考えられないのです。しかしあなたが、それは自分の刑事事件に関係のあることで、不利な証言をすることは困るという意思ならば、私は質問を撤回してもよろしい。
  448. 庭田直道

    庭田証人 その問題は、檢察廳の檢事の方の供述書を見ていただいてもけつこうです。私は痔のためにずつと寢ておつたので、それは全然聞いておりません。
  449. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたのかわりにそのフラク会議に出席した人はだれですか。
  450. 庭田直道

    庭田証人 それはわかりません。
  451. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたは別にだれかに代理を命じませんでしたか。
  452. 庭田直道

    庭田証人 別に代理を命じた覚えはありません。
  453. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたに召集はありませんでしたか。
  454. 庭田直道

    庭田証人 私には直接ありません。
  455. 大橋武夫

    ○大橋委員 だれにあつたのですか。
  456. 庭田直道

    庭田証人 だれにあつたかわからないが、直接あつたとすれば、だれかにあつたのでしようが、わかりません。
  457. 大橋武夫

    ○大橋委員 自然に天の声として召集があつたのですか。
  458. 庭田直道

    庭田証人 私にはございません。
  459. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたのかわりにだれが行つたのかも知らないのですか。
  460. 庭田直道

    庭田証人 この問題はおかしいと思うのです。そのとき大体私は痔病で寢ておつたのだから、ほんとうにわからないのです。
  461. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたは平生だれから連絡を受けているのですか。
  462. 庭田直道

    庭田証人 鬪爭委員からです。
  463. 大橋武夫

    ○大橋委員 その鬪爭委員が何もこの問題についてあなたのところに言つて來なかつたのですか。
  464. 庭田直道

    庭田証人 その後において聞きました。
  465. 大橋武夫

    ○大橋委員 その後にだれから聞きましたか。
  466. 庭田直道

    庭田証人 それは鬪爭委員から聞きました。
  467. 大橋武夫

    ○大橋委員 鬪爭委員のだれですか。
  468. 庭田直道

    庭田証人 名前を言わなければいけないのですか――それは高橋君です。
  469. 大橋武夫

    ○大橋委員 高橋だれですか――その高橋君もやはり党員でいらつしやいますね。
  470. 庭田直道

    庭田証人 その人は現在はどうですか知りません。
  471. 大橋武夫

    ○大橋委員 現在とはどういう意味ですか。
  472. 庭田直道

    庭田証人 今刑務所から出て來まして全然出勤しておりませんから‥‥。
  473. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたが刑務所に入られる前は党員でしたか。あなたが聞かれた瞬間において、聞かれた当時において共産党員であると思つていましたか。党員でないと思つていましたか。
  474. 庭田直道

    庭田証人 これは証人としてやつて來ると、他人のことまでどうのこうのとしやべらなければいかんのですか。
  475. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたの知つていることを伺つているので、知らないことは言わなくてもいいのです。あなたが当時知つていたかどうか、それを聞いたのです。
  476. 庭田直道

    庭田証人 それは党員と思つておりました。
  477. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると党員高橋君から人民電車についてどういう連絡があなたにありましたか。
  478. 庭田直道

    庭田証人 電車を出すから鬪爭委員長承知してもらいたい‥‥。
  479. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたは承知されましたね。承知をされるときに、これが自分たち言つてつた人民のために國鉄を守るというその戰術に沿うたところの鬪爭であると思われましたか。
  480. 庭田直道

    庭田証人 いや、そのとき承知してもらいたいと言われたので、とにかく高橋君頼むと言つただけで、自分はもう非常につらかつたから‥‥。
  481. 大橋武夫

    ○大橋委員 つらかつたとは、そういうことに不賛成つた意に満たないことが行われようとしたために、つらかつたのですか。
  482. 庭田直道

    庭田証人 いや、自分の痔のために‥‥。
  483. 大橋武夫

    ○大橋委員 痔のためにつらかつた――しかしそのこと自体はいいことだと思いましたね。それだからよろしく頼むと言つたわけですね。
  484. 庭田直道

    庭田証人 それは党員としてやるべきことだ、こう思つた
  485. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたにもう一度はつきり伺いたいのですけれども、この人民電車を運轉したことによつて、それを理由として多数の党員、また党員外の從業者、鉄道職員のお方が解雇されたということは御存じでありましようか。
  486. 庭田直道

    庭田証人 知りませんね。人民電車の運轉で解雇されたなんてことは聞いていませんよ。
  487. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすれば爭議の責任を負つて解雇されたことは御存じですか。
  488. 庭田直道

    庭田証人 私らが区長に理由を聞いたときには、國電スト原因だということは言つておりました。
  489. 大橋武夫

    ○大橋委員 そういう人は幾人ありますか。
  490. 庭田直道

    庭田証人 さあ何人あるか私は知りません。まあ私の方の鬪爭委員は全部そうでしよう。
  491. 大橋武夫

    ○大橋委員 さつきの高橋君もやられましたか。
  492. 庭田直道

    庭田証人 ええ。
  493. 大橋武夫

    ○大橋委員 そういうようにたくさんの方が馘首されておりながら、最高の責任者であり鬪爭委員たるあなたが、当時のことは何がなんだかわからないというようなことでは、どうなんでしよう。
  494. 庭田直道

    庭田証人 幾ら鬪爭委員つて神樣じやないのだから、そう詳しくは覚えておらぬですよ。
  495. 大橋武夫

    ○大橋委員 詳しく覚えておらぬというのじやなく、あなたのようにこれだけ大勢の世間の人にも迷惑をかけ、また自分の同僚をも不幸な目にあわせながら、労働組合鬪爭委員長たる者が自分のやつたことは正しいのだという考え方でいいものでしようか。この点について私はもう一度はつきり良心に基いた証言を伺いたい。やはり正しいと今でも思つておられますか。
  496. 庭田直道

    庭田証人 私のとつた行動ですか、それはもう、私は労働者立場になつて、常に正しいと思つていますよ。
  497. 大橋武夫

    ○大橋委員 正しいと思つておりながら、自分がその仕組みをしたところのフラク会議のことなんか、すつかり忘れてしまつたというようなことは、きわめて卑怯じやないですか。
  498. 庭田直道

    庭田証人 ですから、私が仕組みをしたなんということは、私は全然知らないですよ。
  499. 大橋武夫

    ○大橋委員 どうもあなたの共産党員としてのお考えが大体わかつたように思いますが、あなたは、自分のやつたことは正しいと思う、しかしながら、それはすべて大衆討議によつてきめられたものである、そうしてそれについては自分はちつともあずかつておらない、これがあなたのただいまのお答えの全体でありました。そう伺つてよろしいですか。
  500. 庭田直道

    庭田証人 もう一度おつしやつてください。
  501. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたは、自分のやつたことは正しいと言われる。しかしそれは大衆討議の結果としてきめられたことだと言われる。そうしてあなたは、その大衆討議にはあずかつておらない、こう言われた。そうでしよう。この三のことをいずれも‥‥。
  502. 庭田直道

    庭田証人 大衆討議にはあずかつておらぬというのは、どういうことですか。
  503. 大橋武夫

    ○大橋委員 参加していないということです。
  504. 庭田直道

    庭田証人 ストをやるという大会には参加しておりますよ。
  505. 大橋武夫

    ○大橋委員 党員として参加した。
  506. 庭田直道

    庭田証人 党員じやなくて、鬪爭委員長としてですよ。鬪爭委員長は当然大会に参加する。
  507. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたの努力によつて満場一致になつたわけですね。
  508. 庭田直道

    庭田証人 そうではないですよ。
  509. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたは、その決議についてはどれだけの責任があるのです。
  510. 庭田直道

    庭田証人 ストライキの問題は、組合員各個人々々の意見で、とにかく執行部は全然発言しないのですよ。
  511. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたは何らその決議にはあずかつておられなかつたのですか。あなたは全然その職場大会には発言がない、何らその決議ができ上ることについてはあずかつておられなかつたのですね。
  512. 庭田直道

    庭田証人 発言権はありますけれども発言しませんでした。
  513. 大橋武夫

    ○大橋委員 それぢや、そのときに発言された党員はどなたですか。
  514. 庭田直道

    庭田証人 党員々々と言われますけれども、私はだれが党員で、かれが党員でないということは知らぬですよ。
  515. 大橋武夫

    ○大橋委員 だれが発言しました。ストをやろうと最初に言い出されたのはどなたですか。
  516. 庭田直道

    庭田証人 最初に言い出した人はわかりませんな。
  517. 大橋武夫

    ○大橋委員 だれが言つたか、ちつとも知らないですか。
  518. 庭田直道

    庭田証人 言つた人は大勢ありますけれども‥‥。
  519. 大橋武夫

    ○大橋委員 大勢の中で一人二人名前をあげられますか。
  520. 庭田直道

    庭田証人 名前はわかりませんね。どこにだれがいたか全然思い出せませんね。
  521. 大橋武夫

    ○大橋委員 それでは、幾たりくらい発言しました。
  522. 庭田直道

    庭田証人 ストに入るという発言は大半の人がやりました。
  523. 大橋武夫

    ○大橋委員 発言の趣旨は、どういう趣旨でありました。
  524. 庭田直道

    庭田証人 発言は、ぶつ込めという発言ですな。
  525. 大橋武夫

    ○大橋委員 ぶつ込めということがストライキに突入ですね。
  526. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ほかにありませんか。聽濤君。
  527. 聽濤克巳

    聽濤委員 大方証人お疲れのようで、お氣の毒なんですが、ここへ出て來た駅長だとか、区長代理とか、こういう人たち民自党諸君と非常に氣合いがよく合いまして、しよつちゆう脅迫された、脅迫されたということを言つておるのですがね。大体組合の團体交渉とか、職場でのそういう交渉のことを実際御存じない。またあまり知りたくないらしいのですが、そのために特に團体交渉の場面なんかで、組合員が一緒になつて、区長なり駅長のところに、首を切られたり、労働強化を一方的に押し付けられたりする問題をひつさげて、必死になつて交渉をやりに行くのを、脅迫だ脅迫だとみんな言つておるのですが、これは労働組合のことを全然知らない何よりの証拠なんです。大体ここで労働爭議として問題をちつとも扱おうとしてしない。そういうことを大分あなたはいろいろ聞かれて、さぞ迷惑されただろうと思うのですけれども、私はこの点でお聞きしたいのですが、たとえば六月の五日、これは電車区には直接関係はなかつたかもしれぬが、車掌区なんかには公安官数十名、管理部の腕節の強そうなのが数十名やつて來て、有無を言わせずこの新交番をのめ、こういうふうにやつて來ておる事実もあるし、あるいは六月十日の問題のときには、警察隊も相当來ているということを聞いておるのですが、そのときの組合員の氣持、状態、こういう点、あなたの率直な感想を承りたい。
  528. 庭田直道

    庭田証人 六月五日に公安官が八十名くらい來たというのは、業務課長、管理部長、総務課長が來まして、公安官が車掌を呼んで、新交番で乗るか、旧交番でやるかということを、むしろ公安官で取巻いて、車掌一人々々を脅迫したように‥‥。
  529. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 さつき、その点につきまして、こちらに來なかつたので、ただ來たということを聞いただけで、詳しいことを知らぬと言つたんじやないですか。     〔発言する者多し〕
  530. 聽濤克巳

    聽濤委員 六月十日は。
  531. 庭田直道

    庭田証人 十日に夜中に來たのですがね。サイレンを鳴らしたというのは九日の日に來たのです。
  532. 聽濤克巳

    聽濤委員 それはどういう状況か、もう少し具体的に話してもらいたいと思うのですが、どういう状況のうちで警察隊が乗り込んで來たのか、そのことをお聞きしたいのです。
  533. 庭田直道

    庭田証人 九日の日は、警察隊が來たのは、まだ電車区はストに入つたかどうか、はつきりわかりませんけれども車掌区がストに入つたので、警察隊がトラツク四台くらいでずつとやつて來たのです。勧告文を持つて來まして、ゲートルを巻いて、あごひもをかけてやつて來たのです。
  534. 聽濤克巳

    聽濤委員 労働者のそのときの受取り方、電車区長だとかいろいろな人たちは、團体交渉をさせろ、それを脅迫された脅迫されたと言うのですが、しかし実際上一体脅迫されておるのはどつちかということを聞いておるのです。要するに最初に労働強化問題で、これに從わなければ業務命令違反で首を切る、こういうことを言つておる。  しかし労働爭議の最中に公安官を使つて刺激的にやつて來たり、警官隊を数百名動員して、何も刑事事件が起つておらないのに包囲したりするということで労働者の憤慨を高め、ますます爭議決意を固めなければならなかつたようなそういう実情を全部拔きにして、労働者のそのときの氣持やその状態、そのよつて來る根本の問題をここではつきりひとつお聞きしたいと思います。これが一番大事なところだと思います。
  535. 大橋武夫

    ○大橋委員 議事進行について‥‥。ただいま聽濤委員から証言の要求がございましたけれども、先ほど承りますと、証人は強要の罪によつて起訴されておるそうでございます。從つて聽濤君のただいまの御質問は刑事被告人に対しましてその被擬事実について尋問されることになるので、私はこの質問に対する証人証言というものはその信憑力が全然ないものと思われますので、委員長においてしかるべく処置せられるようにお願いいたします。
  536. 神山茂夫

    神山委員 議事進行につきまして、ただいまの大橋君の意見は世にも奇怪しごくなものであると思います。証人が強要罪で起訴されておる、往來危險罪で起訴されておるということは、先ほどから承知の上であろう。往來危險罪にひつかかつておる問題は、六月十日及び十一日のいわゆる人民電車に関連しておるのだ、その問題については微に細をうがち、しかも政党の内部事情までも調べておる。今の強要罪に関連するということを一方的に言つて、聽濤君の尋問に答えさせないということははなはだ一方的であると思う。この問題は、証人自身が自分の刑事事件に関係があるからという自主的な判断に基いて、どういうふうに述べられるかわれわれは知らないが、述べられた限りは、信憑力があるかどうかは別個の問題であると思います。そうして今の信憑力があるなしということは、もしそういうことを言うとすれば、今までの証人の言つたことは信憑力がないということになる。從つて今までの尋問全体に対してそういう詭弁をここで弄することでなくて、証人の自主的判断によつて述べさせることがあなた方のためにもよいと思う。
  537. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのつもりでききましよう。
  538. 聽濤克巳

    聽濤委員 信憑力がないというのならば、今までやつたことは全部取消して、速記も削つてもらいたい。それは全部統一されてしまつたらよいと思います。
  539. 庭田直道

    庭田証人 十日の公安官の問題は先ほど委員長へお話した通り実際痔でもつて執行部に寢ておつたのです。ですから副分会長の飛田という人をここに呼んで聞いていただきたいと思います。そのときの公安官のとつた態度とか、そういうものがはつきりするのです。
  540. 聽濤克巳

    聽濤委員 それから先ほど石田委員からも質問があつたのですが、人民電車のことはあなたは知らないとおつしやいましたね。ところが業務管理の形でやつて行くという意見は私の個人的な感じ方であるということを言われたのですが、御承知のように業務管理ということを何かひつかけようひつかけようとしておるようですが、実際組合の決議の中で、業務管理云々という趣旨で正常運轉に返すということが決議されたということではないとあなたは証言しておるのですが、しかしあらためて聞きたいのは、大体新交番制、旧交番制というのは、もう大分前から組合の中で当局といろいろな方法で交渉が持たれたり、あるいはすぐそれが爭議推進の直接の問題になつていたわけですね。それが未解決のままに――これは見方によつて言う人によつていろいろ違うのですが、労働者はただ業務命令の一点張りで、事情も何も聞かないので、労働者を非常に悲慘の状態に陥れるこういうものを受入れることはできないということで、遂にストライキにまで追い込んで行つたわけです。しかしそれはあくまでも爭議上の一つの問題ですね。一日ストライキが行われたが、やはり労働者としても國民のために電車を動かしたい、こういう決意からこの新交番制、旧交番制という爭議上の問題を拔きにして、とにかく今まで通り正常の問題にもどそうというのが組合の決議の趣旨であつたのじやないですか。その点は非常に重要な点だと思います。
  541. 庭田直道

    庭田証人 あれは結局私の個人的の鬪爭委員長としての見解だということです。
  542. 聽濤克巳

    聽濤委員 とにかく今まで通りの正常な状態に運轉をもどしたいというのが組合決議の趣旨であつたのですね。
  543. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 同じことについて何べんも聞きますと、かえつて証人が困りますから‥‥。
  544. 神山茂夫

    神山委員 同じことについて何べんも聞くなというのは、公平な立場つたら大いに了解するよ。ところが君が聞いたことを大橋君、吉武君が何べんも聞いておつて、一方的な印象を與えておる。それに井手君が一方的に上塗りをする、これを正しい形に返すために同じことを言うのは当然だ。それを一方的に共産党のことだけをどうこう言うのはどういうわけだ。超党派的じやない、大いに注意してもらいたい。
  545. 庭田直道

    庭田証人 その点については私は詳しいことはわかりませんから、むしろ今言つた飛田副分会長の方がはつきりわかつておると思うんです。
  546. 聽濤克巳

    聽濤委員 組合がそういうふうな態度に出て、そうして区長に申し入れたところが区長はたいへん喜んだ。その意味は電車が動き出すという事実を見て喜んだというふうに解するのがあたりまえでしようね。
  547. 庭田直道

    庭田証人 私もとにかくそのときは区長に十日の初電第一ダイヤから運轉するから、‥‥と分会長ありがとうと言われたのですよ。そのときの区長の氣持は正常運行にもどすことができて嬉しかつたのであろうと思います。
  548. 聽濤克巳

    聽濤委員 だがそのとき実際は人民電車というものを除いて動かせない状態になつてしまつた。その理由は何であるか。
  549. 庭田直道

    庭田証人 結局管理部から東達甲第五八三号が下つて東神奈川車掌区の車掌はこの東達甲五八三号のために実質上品川車掌区に移管されてしまつた。だから本人が自発的に乗ることを申し出た場合に、品川車掌区長の承認がなければ乗ることはできないのです。それから東神奈川の車掌区は横浜線は八王子車掌区へ移管、あとは鶴見線の一部と貨物線の一部を除いて、実質上東神奈川車掌区はあつても、東神奈川の車掌は乗務してはならないということになつたのです。
  550. 聽濤克巳

    聽濤委員 それは結局東神奈川の全体ではないにしても、重要な部分について、よく民間の交渉などにあるように、当局も労働爭議に関しては事実上これは当事者の一人です。使用人にすぎないのですから、労働者の鬪爭に対する対抗手段として、よくロック・アウト、工場閉鎖ということをやりますが、これもそれと同じ意味を持つものであるとあなたはお考えになりませんか。
  551. 庭田直道

    庭田証人 そうです。結局事業場閉鎖のような対抗手段という形ですね。
  552. 聽濤克巳

    聽濤委員 そのときあなた方はなぜあの電車が運轉できないのか。ほんとうの根本原因はその日はおそらく知らなかつたろうが、あとになつてみれば、これが出たために実際上電車が動かせなかつたというのが眞相ではありませんか。
  553. 庭田直道

    庭田証人 初めは東達甲五八三号がどういうものかわからなかつたが、いろいろのことで五八三号はこういうものだと車掌区から聞いた。だから東神奈川の電車区で電車を出そうとしても、東神奈川車掌区の車掌は乗せないということがあるから、われわれが電車を出そうとしても一方的にあくまで押えるようなことを管理部がした。これをはつきり申し上げておるのです。
  554. 聽濤克巳

    聽濤委員 五八三号というものを、あなた方はいつおわかりになりましたか。
  555. 庭田直道

    庭田証人 日ははつきり覚えておりません。やはり車掌区の人から聞いたのです。
  556. 聽濤克巳

    聽濤委員 組合の方であとでこの五八三号を問題にしておりませんでしたか。そのときにはパクられておつたのですか。
  557. 庭田直道

    庭田証人 五八三号の問題はとにかくこれは事業場閉鎖であるということは、支部も言つておりました。そのときに第一次民電車の運轉士の檢束がちようど始まりましたので、私はむしろその方に行つておりましたから‥‥。
  558. 石田一松

    石田(一)委員 ちよつと関連して‥‥。今の東達五八三号という行家命令は電車区には來ていない、車掌区だけに來ておる。車掌区だけが品川とか何とかに編成がえされておる。あなた方は相かわらず東神奈川の電車区の運轉士として残つておる。あなた方はまだストとか何とかいうことは言われていないのですね。九月にストをやると決定した後にこれが來たのですか。それはストをやる後ですか。前ですか。
  559. 庭田直道

    庭田証人 その点車掌区のことですからはつきりわかりません。
  560. 石田一松

    石田(一)委員 あなた方は乗ろうと思えば乗れる態勢にあつた、乗ろうと思うたが、車掌区だけ行つたので‥‥。
  561. 庭田直道

    庭田証人 そうです。
  562. 小玉治行

    小玉委員 実は私先ほど途中から参つたのでありますが、公共企業労働関係法の十七條で公共企業体の組合員はストを禁止せられておるということは御存じですね。それあるにかかわらず、ストをやることは私としては正しいと思う、こういうことを今あなたは言われておつたのですが、そうですか。
  563. 庭田直道

    庭田証人 一つの公共企業体のわく内の問題で考えますと、たしかに違法だということがはつきりするのであります。それ以上に憲法ではつきり認められたいろいろの人権とか、あるいは労働組合の正当なる運動とか、そういうものが憲法ではつきり認められておるにもかかわらず‥‥。
  564. 小玉治行

    小玉委員 違憲だという見解つたのですね。違憲だから從う必要はない‥‥。
  565. 庭田直道

    庭田証人 当局がそういうものを無視して一方的にやつて來ておるというわけです。憲法にも違反し、公共企業体にも違反しておるのです。
  566. 小玉治行

    小玉委員 五八三号というものは事業場閉鎖なりという見解をあなた方はおとりになつたのですか。
  567. 庭田直道

    庭田証人 そうです。
  568. 聽濤克巳

    聽濤委員 その解釈はあなた個人で、あなた自身でお考えになつたのか、あるいは組合員で協議した考えか、ないしは共産党の指令か何かでそう解釈しておるのか、どうですか。
  569. 庭田直道

    庭田証人 これは別に組合員の協議ということはございません。横浜支部の鬪爭委員会としても、支部の委員会としても、明らかに五八三号が公共企業体に違反するところのものである。
  570. 小玉治行

    小玉委員 決定したというのは、違反するという見解委員会でとつたというのですか。
  571. 庭田直道

    庭田証人 支部長がそういう見解を漏らした‥‥。
  572. 小玉治行

    小玉委員 どこの支部長ですか。正確に言つてもらいたい。支部長の名前は‥‥。
  573. 庭田直道

    庭田証人 横浜支部長の城戸崎亨ですよ。
  574. 小玉治行

    小玉委員 その人がそういう見解を漏らした。そのことについて無批判的にその通りだというのですか。研究されたのですか。
  575. 庭田直道

    庭田証人 無批判的ではありません。私はその通りだと思います。実質は事業場閉鎖です。とにかく車掌区長自体がおれのところはなくなつたのだよというかかる態度をとつてつた
  576. 小玉治行

    小玉委員 そういう際にはいわゆる違反であるということについては國鉄当局と折衝するという方法、いわゆるその指令を出した元、國鉄のどこから出ておる、その根源に行つて交渉する方法はとらなかつたのですか。
  577. 庭田直道

    庭田証人 だからそれがストライキ前に出たものであるか――むしろ車掌区がストライキに入つてすぐ東達五八三号というものが出たのだと思います。
  578. 小玉治行

    小玉委員 それを根源に行つて抗議する方法をとらなかつたかどうかというのです。
  579. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それについて何か交渉しなかつたかというのです。
  580. 庭田直道

    庭田証人 それはわかりません。
  581. 小玉治行

    小玉委員 あなた方としてはやらなかつたのですね。
  582. 庭田直道

    庭田証人 そうです。
  583. 神山茂夫

    神山委員 どうも先ほどから民自党諸君が主として聞くところでは、全体として非常に脅迫とか強調があつたというふうに印象づけるようなことを言つておる。ことに小川半次、この人もそのことを言つておられるのだが、脅迫とか暴行とかいうようなことを一方的に言われておるのだが、しかしあなた方にすれば首は切られる、公安官は來る、あなた方自身が脅迫されるように思つていたのではないか。一方的にあなた方が区長やなにかばかり脅迫した。これは失礼な言い方ですが区長を殺すに刃物はいらぬ。大きな声を出せばすぐ死んじやう。そんな区長ばかり來て皆組合に脅迫されたと言つておるが、私たちが考えると、両方とも殺氣立つている時なんだから、あいこじやないか、こう思うのだ。どうなんだ。
  584. 庭田直道

    庭田証人 もちろん組合員にすれば、実際鉄道公安官が來たとか何とかいうことは、組合員自身は相当恐怖を感じただろうと思います。
  585. 神山茂夫

    神山委員 それから今度は確認証をとつたのは、全部脅迫してとつたように言つておるが、組合員の方は全部確認証をとられておるのではないか。確認を求められておる場合、区長たちは――これは國会議員が関係者全部から聞いて來た速記録の一部ですが、成瀬君という人なんか自分で経驗したことなんだけれども、区長側に言わせれば、組合員が信用できないから確認証をとつた。確認証をとつたりとられたりするのは、鉄道從業員諸君だれでもやることじやないのか。だから組合側も確認証をとつておるということなんだ、確認証をとつたということを一方的に言うのは行き過ぎじやないかと思います。あなた方もとられているんだろう。
  586. 庭田直道

    庭田証人 確認証をとられております。
  587. 神山茂夫

    神山委員 それから脅迫ついでですが、あの信号を赤にしたとき、赤にしろというので脅迫されたとここで言つておるのだけれども、あなた方ほんとうに信号関係の人を脅迫したことがあるのか。
  588. 庭田直道

    庭田証人 それは人民電車が出るときでありまして、私は執行部に出ておつたから状態はわかりませんが、これは私のあれですけれども、信号機の提示は東神奈川の出発信号機は、電車が前におるときにはもちろん赤を提示するし、電車が閉鎖区間におらないときには、注意または進行信号を提示しておるのです。これを赤に切りかえたことは、要するに当局自体が業務妨害をやつておるということなんです。
  589. 神山茂夫

    神山委員 よくわかりました。
  590. 庭田直道

    庭田証人 正常運行を電車のダイヤの数字にしつかりはめて運轉したのですから、しかも運轉手は五年以上八年くらいのものが、当局から一箇月俸給六千円なり七千円なりその人の技術を買われて、とにかく五年以上乗務したと思いますけれども、そういうりつぱな運轉手が、しかも自分の箱庭を運轉するように、線路の状態、信号の状態、あるいは諸規定の嚴守、そういつたものを完全に守つて出て行つたのですから、全然危險というものは感じないと思います。     〔発言する者多し〕
  591. 神山茂夫

    神山委員 ほかの委員がああいうふうにやじつても荒唐無稽な言いがかりですから、あなたは良心に從つて答えてくださればいい。それで今のような無某なことをやつたことに関連して、さつきもあなたお話になつたが、廻送電車に限つて車掌を乗せなくてもいいという指令を現場に流しておりますね。これは規定違反だろう。
  592. 庭田直道

    庭田証人 そうです。
  593. 神山茂夫

    神山委員 その点はつきりしておかなければいけないと思いますが、どうもこのごろこの委員会は、白帶車とか進駐軍のことばかり言うが、それならそれでよろしい。  それからアンダーソン氏が命令を出したかということを先ほど委員長が聞きまして、あなたもある程度までお答えになりましたが、はつきりしてもらいたいのは命令か、命令ではなくて希望的事項であつたのか、こういう点がはつきりしておらないと、あとでいろいろ困ります。
  594. 庭田直道

    庭田証人 アンダーソン氏は命令ではなくて希望事項として申し上げる、こう言つておりました。
  595. 神山茂夫

    神山委員 それははつきりしておりますね。それでは今度命令のことを聞きますが、十一日の十一時にエーミス氏の名前によつて命令が出ておるのは知つておりますか。
  596. 庭田直道

    庭田証人 それはちようど私らがストを中止した後に出たということを聞いております。
  597. 神山茂夫

    神山委員 だから私が聞きたかつたのは、あなた方の方がこの命令のあるなしにかかわらず、自分でストを打切ることを決定して、そのあとで、この中止命令を聞いたのではありませんか。
  598. 庭田直道

    庭田証人 そうです。その通りです。その当時は東神奈川電車区の区長もはつきり知つておりますから‥‥。
  599. 神山茂夫

    神山委員 これは確認証もありますから、私の方でわかつておりますが、それで今度は一番問題になつておる九日の日に車掌区の諸君がカアーツと怒つた。それがすぐあなた方にどんと響いて來た。十五時に緊急職場大会を開いて、あなた方がストを決議される直接のきつかけとなつたものは何ですか。
  600. 庭田直道

    庭田証人 それは結局規定違反の業務命令です。
  601. 神山茂夫

    神山委員 さらにそれと十名の首切りだ。
  602. 庭田直道

    庭田証人 そうです。車掌区と共同鬪爭をするということを前からやつております。
  603. 神山茂夫

    神山委員 一方的なことがあつたからこそ、車掌区は全部が自然発生的にストライキに入るし、あなた方としては立たざるを得なかつた。それから、今度は一番基本的な問題を聞いたのですが、あなたの方には新交番制はなかつた。しかし六月一日から行われる定員法の実施に伴う首切りは予感されていた。これが職場に大きな影響を與えていたと思うのですが、それとは別に直接的にあなた方に一つの大きな問題を投げかけていた檢査期間の延長があります。これは実際にどういうふうな影響をあなた方從業員に與えるか、さらにまた電車そのものの安全性あるいは線路そのもの――あなた方電車区だから電車だけ聞きますが、電車そのものの安全な運行の上にどういう影響があるか。
  604. 庭田直道

    庭田証人 ですから、その問題は、結局檢査期限の延長が当局の命令通りに延長されれば、当然この定員法に関連してそこに浮くところの人員は行政整理の対象になる。それではわれわれとしてはまずいということが第一点です。それから檢査期限が延長になりますと、今まで局部檢査とか交番檢査とかあるいはこまかに檢査をしたものが、今度は七千キロ走つたものがかりに一万キロに延びて、しかもその檢査が仕業檢査といつて大体ぐるつと一まわりするような簡單な檢査になる。そういうことになりますと、私もこれは申し上げたかつたのですが、原町田で、ちようど五月の二十幾日かに六三型が焼けております。あれは幸いお客さんが全部原町田の駅へおりまして、からの車を入れかえ中にジヤンクシヨンの、床下のつなぎ目のところから電氣がアースして、バツとバンタグラフに燃え移つた。ああいう事故で、お客さんが乗つておらなかつたのでよかつたのでありますが、六三型は私は運轉士ですから、車両構造はあまり詳しくわかりませんが、あれは戰時中に設計されたもので、前からの電車に比べて、裸線が非常に多い。しかもその線が一本はコンジツト・パイプといいまして一つの鉄の管を通つているやつもあれば、それが裸線でずつと通つているやつもある。それがいろいろ動揺とか何とかいう関係でアースする場合もあるから、特に六三型の電車には、ここで檢査期限の延長なんかやつたのでは、ますますこういつた原町田のような二の舞いの事故が起きる。だからこういつた電車をわれわれはなくすためには、どうしても檢査期限の延長はやめて、今まで通りの檢査期限で、むしろ精密な檢査をして、お客さんに乗り心地のよい電車を出さなくてはならぬということは、常に鬪爭委員会としてもお客さんに訴えております。原町田の事故は私ら堂々と写眞をとり、それをちやんとお客さんにお見せしました、とにかくこういう電車を現在出しておる始末で、われわれは檢査期限の延長によつてこういつた電車がちよくちよく出ることはほんとうに忍びないということを、鬪爭委員会としても、組合員がそれを一人々々お客さんに納得の行くようにお話してまわつたことがあります。
  605. 神山茂夫

    神山委員 從つて檢査期限の延長というような形で、一見しろうとには何でもないことのように聞えるのだが、それが國鉄の安全を脅かすし、一方ではあなた方の直接の首の問題と関連して來る。こういう問題がほかにもあるし、それから一方では規定を当局が無視しているようなことがたくさんあつて、六月九日に皆が自分の兄弟の目の前で首を切られたり、警官におどかされているのを見て、どんとストに打ち込む大きな原因ではなかつたか。
  606. 庭田直道

    庭田証人 私はここへ來て非常に頭のいい大勢の方に質問されたので、ちよつとあがつたような関係もあるが、そのときの空氣ということをあちらの方も申しましたが、結局組合員一人一人がすつかり恐怖を感じたようなあれがあつたのではないか‥‥さもなければあれだけの決意は皆さんからでなかつたと私は解釈するわけです。
  607. 神山茂夫

    神山委員 職場大会の票数はどういうようにきまりましたか、ストに突入する場合に‥‥
  608. 庭田直道

    庭田証人 ストに突入する場合に満場一致で、一人として反対者はございませんでした。
  609. 神山茂夫

    神山委員 電車区も満場一致、あなたの方も満場一致ですね。
  610. 庭田直道

    庭田証人 そうです。
  611. 神山茂夫

    神山委員 これでけつこうです。
  612. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御苦労さまでした。     ―――――――――――――
  613. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 砂山和男君ですね。
  614. 砂山和男

    砂山証人 そうです。
  615. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは東神奈川電車区の運轉士ですか。
  616. 砂山和男

    砂山証人 そうです。
  617. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いつからやつておりますか。
  618. 砂山和男

    砂山証人 昭和十九年の五月一日に蒲田電車区で運轉士になつたのですが、途中南武線が買収になつて、一時そちらへ行つて昭和二十二年‥‥。
  619. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 東神奈川に來たのでしよう。
  620. 砂山和男

    砂山証人 八月二十四日に來たのです。
  621. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 現在もそのまま運轉士をやつておりますか。
  622. 砂山和男

    砂山証人 そうです。
  623. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この間の東神奈川におけるストライキの結果、俗にいう人民電車というものが六月十日及び十一日に運轉されたそうですが、そのことは知つておりますか。
  624. 砂山和男

    砂山証人 知つております。
  625. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 十日は何時ごろに運轉されましたか。
  626. 砂山和男

    砂山証人 十日は午後六時二十二分発です。赤羽行きの一八五〇Bという電車です。
  627. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 十一日は‥‥。
  628. 砂山和男

    砂山証人 十一日は私はうちにいたので知りません。
  629. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その電車にはあなたは乗つたのですか。
  630. 砂山和男

    砂山証人 乗りました。
  631. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは組合がその人民電車をどういうことから動かすようになつたのですか。
  632. 砂山和男

    砂山証人 その点は自分ははつきり知らないのですが、とにかく組合幹部の命令で私が乗つてつたのです。
  633. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その組合幹部が命令を出すには‥‥。あなたの所へだれが言つて來たのですか。
  634. 砂山和男

    砂山証人 それは鈴木千代次という人と高橋照夫という人が言つたのです。
  635. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは組合の何かね。
  636. 砂山和男

    砂山証人 鬪爭委員です。
  637. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 二人ともですか。
  638. 砂山和男

    砂山証人 そうです。
  639. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それらの人は勝手に言うわけでなかろうが、それは何か組合の決議でもあつたのではないですか。
  640. 砂山和男

    砂山証人 それはあとで聞いたのですが、結局お客さんの要望にこたえて電車を出すという‥‥。
  641. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは決議でもしたのですか。
  642. 砂山和男

    砂山証人 それは自分ははつきりとわからないのです。組合の大会にもあまり出ておりませんから。指令されたときに一ぺん出ております。それもしまいの方から出たからちよつとわからんのですが‥‥。
  643. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはどこか大会にでも呼ばれてそう言われたのですか。
  644. 砂山和男

    砂山証人 それは大会か、鬪爭委員会かはつきりしないが、何か会議みたいなものがあつて運轉士の方が全部集つた会議で、それが終つた後に電車を運轉するからというので、砂山と青木が行つてくれと言われたのです。
  645. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今あなたは乗客の意思によつてだと言われたが‥‥。
  646. 砂山和男

    砂山証人 ぼくが聞いたのではそういう話です。
  647. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その乗客の意思ということはどういうことから現れて來たのですか。
  648. 砂山和男

    砂山証人 さあ、その点はぼくは知りません。
  649. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは乗客大会というものが構内で行われたそうですが、そういうことは聞いておりますか。
  650. 砂山和男

    砂山証人 それはぼくは知りません。
  651. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういう人がそういう要求をしたかも知らぬですか。
  652. 砂山和男

    砂山証人 わかりません。
  653. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 神奈川縣工代会議というものが車掌区で行われたそうですが、それはどうか。
  654. 砂山和男

    砂山証人 その点も知らないのです。あとで新聞で読んで、そういうことがあつたということはわかつたのですけれども‥‥。
  655. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこであなたはそう言われたから乗つたが、あなたはその決議には加わつてつたのじやないのか。そういうことがきまつた後で、あなたが呼ばれて、そういうことを言われたのか。
  656. 砂山和男

    砂山証人 ぼくが指名されたときには――青木君にあとで会つたときに、この間聞いたのですが、ぼくと青木君が言われたときには、人民電車というものではなくて、ただ動かすということだけで決議がきまつた。決議というよりも、何というか、動かすことになつておるからというので、十一と十四がそこで指名されたのですけれども、その後で結局自分が出庫点檢に行つた。電車を出庫させるために、助役さんからもちろん出勤点呼を受けて、十一仕業のカードを持つてつたのですけれども、それで出庫点檢をしておる最中に、また何か大会みたいなものがあるから、呼んでおると言うので、行つたのです。途中からだからわかりませんけれども、拍手か何かで決議したように覚えておるのですが、自分はうしろの方に坐つていたのでよくわからないです。
  657. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのときは、これから電車を動かすことになつたから乗れと、こう言われたのですね。
  658. 砂山和男

    砂山証人 ええ、そうです。その出口で、鈴木文平君から、電車を動かすのだけれども、乗つてつてくれと言われた。そして青木君が言うには、その乗る者はもう指名されておる、砂山とぼくが指名されておるというのです。そこでまたはつきりと確認されたわけです。ぼくらが行くということが‥‥。
  659. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこであなたは、じやあ乗りますと言つたのか。
  660. 砂山和男

    砂山証人 断わり切れない状況なんです。
  661. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どうして。
  662. 砂山和男

    砂山証人 組合員だから。私は組合員であつて、やはりみんなが動かすということを結局向うで指令して來るのです。そういうことに対して、私がそこで反対を唱えることはできないと思います。
  663. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その動くのは正常なる運轉と思つていましたか。
  664. 砂山和男

    砂山証人 ぼくは九日の日も横浜線がやはり同じような電車が幾本も動いておるのです。だから同じものだと思つてつたのです。
  665. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 別に正常なものと思つてつたか。
  666. 砂山和男

    砂山証人 しかし途中でもつて正常でないということがわかつた
  667. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのときは、これはしまつた思つたか。(笑声)
  668. 砂山和男

    砂山証人 ええ。
  669. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると、それよりもつと前に、その電車が出るときには信号が赤になつてつたそうですな。
  670. 砂山和男

    砂山証人 それはもちろんずつと前から赤になつてつたのです。
  671. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすれば出られないのだろう。
  672. 砂山和男

    砂山証人 そうです。
  673. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それをどうして出した。
  674. 砂山和男

    砂山証人 ぼくは運轉台に坐つていたのです。発車準備をして、そして出ろというわけで――うしろの方にお客さんだか何だかわからぬですけれども、大勢乗つておる人が、電車を出せと、こう言うのですよ。早く出ろというのです。だからぼくは、出発信号機が赤だから、ぼくはでたらめはできないから、と言つて断わつたのです。そうしたら青木君が代用手信号で行けといつたのです。これは正規の信号が悪い場合には手旗でもつて出すのですけれども、それは駅長の通告権がなければ出られないという運轉規程がある。だから私は断つたのです。そうしたらしばらくたつて信号が入つたわけです。そこで車掌から発車合図があつてぼくは出たのです。
  675. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのときからこれは普通の電車じやないということはわかつてつたのですか。
  676. 砂山和男

    砂山証人 しかし普通の業務でもいろいろ手違いとか何とかあつて、発車が遅れる場合があるのです。
  677. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 信号を出させることになつておるそうだが、そのことはあなたは知りませんか。
  678. 砂山和男

    砂山証人 ぼくは知りません。
  679. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのとき駅長がそういうことは困るといつて、ホームで騒いだのじやないですか。
  680. 砂山和男

    砂山証人 全然知りません。ホームでは騒がなかつたように思います。
  681. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大騒ぎしたそうだが。
  682. 砂山和男

    砂山証人 ぼくの京浜のホームではそういうことはなかつたですね。
  683. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 青にするについて、いろいろ交渉があつたとか何とか、そういうことも知らないのですか。
  684. 砂山和男

    砂山証人 あとで聞きました。そのときは知りません。
  685. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あとでどう聞きましたか。
  686. 砂山和男

    砂山証人 あとで信号係が駅長から何も言われていないから信号を明けることはできない、どうのこうの、それをみんなが了解するように話して、それでもつて明けたというようなことはあとで二、三日たつてから聞いた。
  687. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこでそれに乗つた。どういうような人が乗りましたか。
  688. 砂山和男

    砂山証人 運轉台には運轉手のほかは乗りません。
  689. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 お客さんの方は。
  690. 砂山和男

    砂山証人 お客さんの方はぼくにはわかりません。車掌でないですからね。ぼくは車に対する、何というか運轉だけですから、お客さんの方はちよつとわからないですね。
  691. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 さつきあなたが言つた乗客の意思で出したという意思表示をしたお客だろうと思うが、それはどういうふうな人ですか。
  692. 砂山和男

    砂山証人 それはぼくにはわからなかつた
  693. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それも普通一般の乗客と見ましたか。
  694. 砂山和男

    砂山証人 みましました。
  695. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 外で騒いでおつた人つたかどうか。
  696. 砂山和男

    砂山証人 それはわかりません。
  697. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで電車はどこへ行きましたか。
  698. 砂山和男

    砂山証人 赤羽へ行きました。それから東神奈川に帰つて、そこで交替したのです。
  699. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはよほど時間がかかつたそうだね。
  700. 砂山和男

    砂山証人 そうです。向うへついたのが、九時ごろだつたと思います。折返しをしたのは自分の時計がこわれているので、時計の点は青木君にとつてくれというように頼んでおきました。現在も時計はこわれているから自分の時計はないのです。
  701. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 各駅で歓呼の声で迎えられたと書いてあるが、どういうことですか。
  702. 砂山和男

    砂山証人 そんなことはないと思います。
  703. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 止められたとか何とかしましたか。
  704. 砂山和男

    砂山証人 二度――鶴見の駅の場内停止信号で止まつているうちに停電しました。それから田町の駅のホームで客扱い中に停電しました。
  705. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから停電だけでなくて動かしてはいかぬとかいうことを言われたとか何とか‥‥。
  706. 砂山和男

    砂山証人 そういうことは言われません。業務系統からこの電車はだめだから動かすなというはつきりした指令があれば、ぼくは動かしません。
  707. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 帰りにも。
  708. 砂山和男

    砂山証人 なかつた。帰りには東京駅でおろされたのですけれどもMP、RTO、鉄道の関係者です。その場合は、この電車はどこへ行くのだというので、櫻木町行だ。君の名前はというとぼくは組合の指令で動いているのだから個人的には名前は言いたくないのです。その点は了解してくださいと言つたら、了解するというのです。鉄道の人は相当上の人だと思うのですが、そういう回答だつた。それでじやどこの電車だというので東神奈川の電車で櫻木町行ということは事実だからその点で了解して、それではよろしいというので、ぼくは東神奈川へまた運轉しました。
  709. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その電車には白帶車はついておりましたか。
  710. 砂山和男

    砂山証人 ついておりました。
  711. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 乗つた人はいませんか。
  712. 砂山和男

    砂山証人 帰りには進駐軍が二、三人乗つてつたように思います。
  713. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どこでおりましたか。
  714. 砂山和男

    砂山証人 運轉台にいるからわかりません。
  715. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 結局東神奈川にもどつたのですか。
  716. 砂山和男

    砂山証人 そうです。
  717. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どこまであまたは乗つたのですか。
  718. 砂山和男

    砂山証人 東神奈川で運轉士が交替したのです。
  719. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それからその日に動いておつたのはそれ一台だけですか。
  720. 砂山和男

    砂山証人 そうです。もつとも横浜の方は動いていますけれどもね、京浜線ではそれだけです。
  721. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 なおそのほかにも動かす計画があつたというが、どうですか。
  722. 砂山和男

    砂山証人 その点計画の方はぼくは知りません。
  723. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何か蒲田から途中でまた動かすとかいう話だつたが‥‥。
  724. 砂山和男

    砂山証人 そんなことは知りません。
  725. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこであなたはそれは業務命令に反する電車だつたということをいつ聞きましたか。
  726. 砂山和男

    砂山証人 それは帰つて來たときに、聞いたというよりもわかつたのです。
  727. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこでそれが問題になつたのはどういうことで問題になつたのですか。
  728. 砂山和男

    砂山証人 自分は問題になつたかどうかということはわからぬです。こうして呼ばれたり何かしているので問題になつているとは思いますが。
  729. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その前にだれかに呼ばれるとか、ひつぱられるとか何かあつたのですか。
  730. 砂山和男

    砂山証人 警察へ呼ばれて十一日ですか勾留されました。
  731. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その前に何か聞かれたりしたことはありますか。車掌区なり管理部なりから‥‥。
  732. 砂山和男

    砂山証人 全然聞かれません。
  733. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この電車を動かしたことについてよかつたとか、悪かつたとかいう議論でいろいろやつたことがあるそうだが、そういうことはあつたのですか。
  734. 砂山和男

    砂山証人 ぼくはそういう会議には参加していません。全然知りません。
  735. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 会議というか、いろいろ言われておつたのじやないですか。
  736. 砂山和男

    砂山証人 そういうところには一ぺんも出ていません。とにかく一ぺん同僚がぼくが家に帰るときに工代会議の代表が会議をやつているから行つて実情報告してくれというようなことを言われたのです。十一日の朝ぼくは早く帰つたのです。そして帰るときに言われたのです。
  737. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 東神奈川に着いたのは何時ですか。
  738. 砂山和男

    砂山証人 十時半ごろじやないかと思います。自分の考えでは‥‥。
  739. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 とまつたのですか。
  740. 砂山和男

    砂山証人 とまらないです。ホームの乗務員の休憩するところ交替するところ、そこにずつといたのです。朝の六時ごろまでございました。
  741. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうしたら工代会議があるからと‥‥。
  742. 砂山和男

    砂山証人 それで帰るときにこつちがストライキをやつて動かないから湘南線で行こうと思つて京浜急行に行つたのです。行く途中に同僚が迎えに来たのです。それで工代会議をやつているから来てくれというのです。
  743. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どこでやつているのです。
  744. 砂山和男

    砂山証人 それはわからぬのです。来てくれと言つたのですが、ぼくは家へ帰るのだから困るからというので、前の日にそれが業務命令でない電車ということがわかつたのですから、ぼくは困るからすぐ家へ帰つてしまつた。それからそういうことはおれは行けないからと言つてつてつて来たから知りません。
  745. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 工代会議というものはどういう会議ですか。
  746. 砂山和男

    砂山証人 知りません。知らないけれどもそういう言葉をもつて呼んで来たから‥‥。
  747. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういう会か知らない。
  748. 砂山和男

    砂山証人 ええ。
  749. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それからこの電車区がストをやるという決議をしたそうですね。それはいつやつたのですか。
  750. 砂山和男

    砂山証人 それは九日の十四時四十五分です。
  751. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 電車区の大会ですか。
  752. 砂山和男

    砂山証人 そうです。
  753. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その前にもストライキはしないという決議を三日かに車掌区と連合の大会でやつたそうですが‥‥。
  754. 砂山和男

    砂山証人 それはぼくは出席していないから知りません。
  755. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうことのあつたのは知つていますか。
  756. 砂山和男

    砂山証人 それも知りません。幾日にあつたかは‥‥。
  757. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 九日だけ‥‥、そのほか大会に出たことはありませんか。
  758. 砂山和男

    砂山証人 ほくはずつと出ません。
  759. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 九日の大会は電車区の人とそのほか車掌区の者は来ていましたか。
  760. 砂山和男

    砂山証人 それが九日に自分が出たか出ないかははつきりしないのです。頭が悪いから忘れてしまつたのです。ラジオの三時のニュースで十時四十五分にストに突入したということは、たしか自分の耳で聞いたのです。だけれども実際に現在出たか出ないかということは自分で忘れてしまつたのです。
  761. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大会の覚えはないのですか。
  762. 砂山和男

    砂山証人 ええ、それで困つてしまつているのです。
  763. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何か警笛を鳴らして集めたとか‥‥。
  764. 砂山和男

    砂山証人 それは集めたというより、夜中に一ぺんサイレンが鳴つたのを覚えているのです。
  765. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 晝間じやないですか。
  766. 砂山和男

    砂山証人 晝間はぼくは知りません。
  767. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 電車区にはずつとおつたのでしよう。
  768. 砂山和男

    砂山証人 一ぺん家に帰つたのです。一日は。それは九日の夕方から夜九時半ごろまで家に帰つた。ストに突入せんとする形勢があるから、どうしたらいいか自分ではわからないから、父に相談しに家へ帰つたのです。
  769. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると晝はずつとおつたのですね。
  770. 砂山和男

    砂山証人 そうです。
  771. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで警笛を鳴らしてずいぶんやつたようだが、お晝前にも鳴らし、午後にも鳴らしたということを聞いておるのだが、そういうことは覚えておりませんか。
  772. 砂山和男

    砂山証人 ぼくはただ九日の夜寝ているときに、何時ごろだかわからないけれども、夜中に一ぺんサイレンが鳴つたのを覚えております。晝は覚えておりません。
  773. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 軍車区なり車掌区の方にいろいろ外部の團体の人々が押しかけて来ていたようだが、この点は見ておられましたか。
  774. 砂山和男

    砂山証人 それはどこの團体かわかりませんが、当時電車区とか車掌区ではない多勢の人が来ていたことは私見ておりました。
  775. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どんなことをしておつたか。
  776. 砂山和男

    砂山証人 どんなことをしておつたか知らぬけれども、とにかくストライキが終わつてからも、乗務員の第二休憩室に公代会議議長という雜用紙に書いた紙が張つてつたのを覚えております。電車区の寝室です。
  777. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこでそういう会議があつたとき、あなたは出もしなければ見もせぬというのですね。
  778. 砂山和男

    砂山証人 出ません。ただそれを覚えているだけです。
  779. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは聞いてもしようがない。ほかにありますか。
  780. 吉武恵市

    ○吉武委員 九日の夜に白帯車の中で会議をしたものがあつたということを、昨日片岡君でしたか言われておつたのですが、あなたはそれをごらんになつたことはありませんか。
  781. 砂山和男

    砂山証人 ぼくは知りません。九日は帰つておりましたから。
  782. 吉武恵市

    ○吉武委員 あとでお聞きになつたことはありませんか。
  783. 砂山和男

    砂山証人 あとで何だかお話を聞きました。
  784. 吉武恵市

    ○吉武委員 どういうふうに。
  785. 砂山和男

    砂山証人 どういうふうにと言つてあなたの質問したように、警察でもあつたらしけれども、お前は知つているかと言つたから、ぼくは知りませんと言つたのです。
  786. 吉武恵市

    ○吉武委員 あなたはその電車に乗つたときに、組合員だから断りにくくて乗られたのですが、そのときにあなたに乗れと言われた二人の―鈴木という人とそれから高橋と言う人は電車区の車掌ですか。
  787. 砂山和男

    砂山証人 二人とも電車区の運轉士です。
  788. 吉武恵市

    ○吉武委員 この人は共産党に入つておる人ですか。入つておらない人ですか。
  789. 砂山和男

    砂山証人 鈴木さんの方は共産党に入つておりません。高橋照夫さんの方は入つております。しかしはつきり覚えておりません。
  790. 吉武恵市

    ○吉武委員 あなたは電車区の大会に出られないというのですが、大体しばしばそういう大会や組合会議があつたようですが、そういうときには出る人と出ない人はばらばらなのですか。たまたまあなたがそれに事故があつて出られなかつたのですか。
  791. 砂山和男

    砂山証人 それは幾日だつたかわからないのですが、一ぺん私に議長をやれと言つて来たのです。ところが私はあけで眠くて、とてもそういう役は務まらないと言つてつたのですが、どうしてもやれと言つたので、そんなら務まらないから帰ると言つて、代議員だつたが帰つてしまつた。あまり一方的だから大会に出ていないのです。
  792. 吉武恵市

    ○吉武委員 そういう傾向はあなただけでなく、他にも一方的に押しつけられることをいやがつている人はかなりあると思いますが‥‥。
  793. 砂山和男

    砂山証人 あります。
  794. 吉武恵市

    ○吉武委員 その押しつけたというか、あなたに言うた人はだれですか。
  795. 砂山和男

    砂山証人 要するに議長を指名するのは、とにかくその場で議長、副議長をきめるのだけれども、どうしますかと言つたら、共産党員である鈴木君―これはさつき言つた鈴木君ではありませんが、鈴木君が執行部に一任と声をかけた。そしたら同じ共産党員である八木利夫君が賛成という声をかけたのです。そして文ちやんが賛成と言つたのです。それでそのまま執行部できめておるして来たのです。
  796. 吉武恵市

    ○吉武委員 次にお聞きしたいのですが、十日の日にアンダーソンから命令があつた。それは命令じやない希望だつたというので、証言が区々になつておりますが、あなたはどういうふうに考えておりますか。
  797. 砂山和男

    砂山証人 それはあとで聞いたわけですが、うそだかほんとうだかわからぬけれども鬪爭委員長が横浜の司令部へ呼ばれて、白帯車だけでも動かしてくれということを言われたという話は聞いたわけです。しかしよくわからぬのですよ。
  798. 吉武恵市

    ○吉武委員 あなたは六月の三日の合同大会には出ませんでしたか。
  799. 砂山和男

    砂山証人 それには出ておりません。
  800. 吉武恵市

    ○吉武委員 そうすると六月の六日にも大会をやつておるようですが‥‥。
  801. 砂山和男

    砂山証人 やつぱり出ておりません。
  802. 吉武恵市

    ○吉武委員 それではよろしゆうございます。
  803. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたは組合では熱心な方ですか、不熱心な方ですか。
  804. 砂山和男

    砂山証人 別に私は不熱心じやないですが、労働組合というものが政党的に動くのはぼくは反対なのです。
  805. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたは労働組合の大会でもつて、執行部一任で議長に指名されておりながら断つたというのはどういうわけですか。
  806. 砂山和男

    砂山証人 だから眠くてそういう大役は務まらないから断つたわけです。
  807. 大橋武夫

    ○大橋委員 一方的というはどうしてですか。
  808. 砂山和男

    砂山証人 だつて二人だけの発言で、そのまま執行部でやつたから一方的だとぼくは解釈したのです。
  809. 大橋武夫

    ○大橋委員 共産党員が二人でやつたから一方的というのですか。
  810. 砂山和男

    砂山証人 そうです。
  811. 大橋武夫

    ○大橋委員 そういう一方的なことはしよつちゆうなのですか。
  812. 砂山和男

    砂山証人 さあそれはわかりません。
  813. 大橋武夫

    ○大橋委員 大会は普通そういうふうにやつて行くのですか。そのときは特に一方的と思われたのですか。
  814. 砂山和男

    砂山証人 そのときぼく自身として判断したのは一方的だと思つたから断つたのです。
  815. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたは政党には入つておられないのですか。
  816. 砂山和男

    砂山証人 いません。
  817. 大橋武夫

    ○大橋委員 しかし政党に入つている人が政党的にやつて行くのはどうもしかたがないのじやないですか。
  818. 砂山和男

    砂山証人 そういうむずかしいことはぼくにはわからないです。
  819. 大橋武夫

    ○大橋委員 とにかくあなたは政党的にやることは反対である‥‥。
  820. 砂山和男

    砂山証人 そうです。
  821. 大橋武夫

    ○大橋委員 特に共産党員が‥‥。
  822. 砂山和男

    砂山証人 別に共産党とかそういうことは言いません。
  823. 大橋武夫

    ○大橋委員 ほかの政党はやらないでしよう。
  824. 砂山和男

    砂山証人 いないのですものね。
  825. 大橋武夫

    ○大橋委員 政党というのは、社会党の人はやりますか。
  826. 砂山和男

    砂山証人 社会党の人もいませんよ。とにかく共産党員が三十人くらいしかいないのです。あとは政党色を帯びている人はいないのです。
  827. 大橋武夫

    ○大橋委員 そういう人が政党的にやることをあなたは快く思つていないのですね。
  828. 砂山和男

    砂山証人 いません。
  829. 大橋武夫

    ○大橋委員 そこで今度のストライキになつて、一体そういう人たちが一方的に動いたことが、こういう不祥事態を起こしたことに役立つと思つておられますか。
  830. 砂山和男

    砂山証人 その点はむずかしくてぼくにはよくわかりませんが‥‥。
  831. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなた自身はどう思つて、おられますか。もしそういう一方的な人たちがいなければ、こういうストライキにまで発展せずに済んだと思つていませんか。
  832. 砂山和男

    砂山証人 それははつきり言明できません。
  833. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、あなたもああいう場合ストに行くのは当然だつたと思つていますか。
  834. 砂山和男

    砂山証人 思つていません。もつと合法的なものがあつたと思います。
  835. 大橋武夫

    ○大橋委員 組合員であなたの親しいほかの人たちは、どういうふうに思つておられますか。
  836. 砂山和男

    砂山証人 ところがぼくの親しい人間はみんな入党しちやつているんです。
  837. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうするとむしろ一方的なということは、あなたの方が一方的じやないのですか。
  838. 砂山和男

    砂山証人 何が。
  839. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたの断つた方が一方的じやないのですか。
  840. 砂山和男

    砂山証人 断る、断らないは個人の自由でしよう、眠くて勤まらないから断つたのです。
  841. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうするとあなたは人民電車を運轉された、結果的にはそれが正規の電車でなくて人民電車だつた、そのとき人民電車に赤旗とか何とかはなかつたのですか。
  842. 砂山和男

    砂山証人 出発のときにはわからなかつた、運轉室の構造上、ぼくのすわつた位置からは見えない、赤羽の折返しも、旗があるかどうか暗くてわからなかつた。東京へ着いてMPにとられたときに初めてわかつた
  843. 大橋武夫

    ○大橋委員 乗つたときにはわからなかつたのですか。
  844. 砂山和男

    砂山証人 ええ。
  845. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたも運轉士として、赤は鉄道の信号に使う色ですから、そんな危險な旗がそういうところにもしあれば、それを運轉していくはずはないでしようね。
  846. 砂山和男

    砂山証人 ええ。
  847. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうするとまつたく知らなかつたのですね。
  848. 砂山和男

    砂山証人 そうです。
  849. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたはそういう旗があることを知らずに運轉した、そうしてほかの人たちは知つていてあなたにそれを運轉しろと言つたのですね。
  850. 砂山和男

    砂山証人 それは知らぬですよ、ほかの人だつて氣がつかなかつたかどうか知らない。
  851. 大橋武夫

    ○大橋委員 だれがやつたのかわからなかつたか。
  852. 砂山和男

    砂山証人 わからなかつた
  853. 大橋武夫

    ○大橋委員 写真で見ると旗のほかに人民電車と白墨で書いてあるのが見えますね。
  854. 砂山和男

    砂山証人 あれはおかしいのですけれども、とにかく発車まぎわに何か運轉台にまたがつて白墨を持つて書いておるようだから、とにかく電車がよごれるから書かないでくれと言つたのです。そうしたらキヤメラマンだか何だかわからないが、その人がそういうふうに書け、こういうふうに書けというので書いてしまつたのです。
  855. 大橋武夫

    ○大橋委員 一体キヤメラマンというのは新聞の人ですか。
  856. 砂山和男

    砂山証人 新聞記者だか何だかわからぬです。とにかくキヤメラを持つていた、映写機を持つていたのです。
  857. 大橋武夫

    ○大橋委員 それが書けと言つたのですか。
  858. 砂山和男

    砂山証人 そうです。それを写したのです。
  859. 大橋武夫

    ○大橋委員 そのとき書いた人はだれですか。
  860. 砂山和男

    砂山証人 それは知らぬ人間です。電車区や車掌区の人間じやない。しかし鉄道の制服を着ていたから鉄道の職員であることは事実です。
  861. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたは人民電車とういう名前をほかに聞いたことはあつたのですか、今度初めて聞いたのですか。
  862. 砂山和男

    砂山証人 六月九日にも横浜線にビラを張つて動いていたのです。白墨でなくて紙へ赤い字で人民電車と書いて、東神奈川車掌区と黒字で書いてあつた。ほかの電車がみな書いてあるのに、ぼくの口から張るなということは、ぼく自身としても一緒にみんなと仕事して行くのだからまずいと思つてそのままにしておいた。
  863. 大橋武夫

    ○大橋委員 それはわかります。そうすると横には人民電車と紙に書いて張つてつたのですか。
  864. 砂山和男

    砂山証人 ガラスに張つてありました。
  865. 大橋武夫

    ○大橋委員 それはだれが張つたのですか。
  866. 砂山和男

    砂山証人 わからない、行つたら張つてつた
  867. 大橋武夫

    ○大橋委員 両側にですか。
  868. 砂山和男

    砂山証人 前とうしろ、前後に張つてつたわけです。
  869. 大橋武夫

    ○大橋委員 それはやつぱり赤い‥‥。
  870. 砂山和男

    砂山証人 赤いインクで書いてあつた
  871. 大橋武夫

    ○大橋委員 そういうものを張つて電車を運轉するということは、運轉士としてあるのですか。白はやはり鉄道の信号の色ですからね。
  872. 砂山和男

    砂山証人 そういうことは関係ないですよ、今までだつて模範電車とか整備電車とか何とかいつて、書いて張つて走ることがあるのです。
  873. 大橋武夫

    ○大橋委員 そのくらいの大きさなんですか。
  874. 砂山和男

    砂山証人 そうです。
  875. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうするとガラスじやないのですね。
  876. 砂山和男

    砂山証人 ガラスですよ、小さいまん中の三分の一です。
  877. 大橋武夫

    ○大橋委員 それはあなたは氣がついたけれども、これをはぎとるとぐあいが悪いということは、仲間に対してぐあいが悪いのですね、つまり一方的な人たちに対してぐあいが悪い。
  878. 砂山和男

    砂山証人 一方的というとちよつと‥‥。
  879. 大橋武夫

    ○大橋委員 人民電車という紙を張つたのも、あなたが組合員の意思だと思つたのですね。そういうふうに思つてやられたのですね。
  880. 砂山和男

    砂山証人 そうです。
  881. 大橋武夫

    ○大橋委員 わかりました。
  882. 浦口鉄男

    ○浦口委員 十日の一八五OOBにあなたが乗るようになつたのは、あなたがこれに乗る順番になつてつたのですか。
  883. 砂山和男

    砂山証人 順番というより、最初の計画は、一番最初高橋照夫君と鈴木千代次さんから言われたときの数字では、一一ダイヤの運行の数字です。所定だから乗つて行けと言われたから支度をしていたら、また途中で呼ばれて再度指名された。そのときは時間が過ぎて六時二十二分発で、高橋照さんがホームへ来て一八五OOBで行つてくれと言われた。それで電車番号があるから、管理部から連絡をとつてあると思つて私は乗つてつたわけです。
  884. 神山茂夫

    神山委員 それでダイヤの関係はわかりましたが、さらに先ほどお話になつたが、出勤点呼を受けたのですか。
  885. 砂山和男

    砂山証人 出勤点呼です。
  886. 神山茂夫

    神山委員 それで電車を動かしている間に、特別に何かなかつたのですか。
  887. 砂山和男

    砂山証人 全然なかつた
  888. 神山茂夫

    神山委員 ただ停電を二度食つた、それだけですね。
  889. 砂山和男

    砂山証人 ええ。
  890. 神山茂夫

    神山委員 それから今大橋委員が大分一方的なことを聞いたと思う。それというのは、あなたが組合、ことにその中の政党色の人に対して何かいいとか悪いとか言わせたかつたらしいが、そういうことは別問題として、今度のストライキをめぐつて、このストのやり方についてあなたは意見があると言われたが、しかし五日のあの公安官が来た話は聞いたか。あなたは知らないかもしれませんが、車掌区に来たんだ。
  891. 砂山和男

    砂山証人 知らない。あとで聞きました。
  892. 神山茂夫

    神山委員 それから九日の日に十何名の人が首になつたのは知つているでしよう。
  893. 砂山和男

    砂山証人 知つておりました。
  894. 神山茂夫

    神山委員 その時にみんながつとやつてしまつたのですね。
  895. 砂山和男

    砂山証人 よその車掌区で首になつたのに、電車区が入つてストライキをやらなくても別の方法があると思う。
  896. 神山茂夫

    神山委員 あなたの意見はそれでいいが、あなたの好きか、きらいかは別として、友だちが三十人―共産党員が何人いるか私は知らないが、あなたのような意見の人はむしろ少数で、大多数の人がかつといつた、これは認めるでしよう。
  897. 砂山和男

    砂山証人 認めます。
  898. 神山茂夫

    神山委員 今度のような事態になるまで当局のとつた態度をあなたは好ましいものと思つておりますか。
  899. 砂山和男

    砂山証人 それはもちろんよくないと思う。電話で解雇したという話も聞いたのですが、電話で解雇したのはいけないといことは、司令部の人も言つておられますが、私ももちろんいけないと思うのです。
  900. 神山茂夫

    神山委員 先ほどあなたのお話を聞きますと、ストに入るときにあなたは今言われたように賛成でなかつた。お父さんに相談したとおつしやいましたね。お父さんに相談したら何とおつしやいましたか。
  901. 砂山和男

    砂山証人 一緒に仕事して行くのだから、あまり反組合的な態度をとるのは、今後仕事する上にまずいから、先頭に立たないで、とにかく休むのはまずいから行けと言われた。
  902. 神山茂夫

    神山委員 誤解であれ何であれ、職場におる労働者として、意見は違うにせよ、大部分の人がやろうというのだから、お父さんに相談して、むりにやつても全部は行かぬかもしれぬ、そういう状態の中からあなたはストに参加されたと思いますが、そうでしよう。
  903. 砂山和男

    砂山証人 個人として私は反対している。要するにストが何かやる決議か何かあると思つたが、決をとらない。反対意見がある方は述べてくれと言つた。しかし年寄りの人が、何という人か名前はわからないが、骨がしやりになつてもやるというくらい、そういうように熱を上げているので、ぼくが反対だと言つたら何をされるかわからないので‥‥。
  904. 神山茂夫

    神山委員 今の話だが、骨がしやりになるまでやると言つたのは若い人ですか、年寄りですか。
  905. 砂山和男

    砂山証人 年寄りです。
  906. 神山茂夫

    神山委員 年寄りまでそういうふうになつていた、こういうことだ。あなたがお父さんに相談したら、お父さんも仲間のつき合いだと‥‥
  907. 砂山和男

    砂山証人 そうじやない。要するにおやじが言つたのをぼくが解釈すれば、うずに巻き込まれるなと言つた。ところが巻き込まれてしまつたのです。
  908. 神山茂夫

    神山委員 あなたのそういう氣持はわかるのですよ。大勢に押されて、自分の言うことも言えぬということはわかる。ここに今まで千葉の車掌区の人も来た。民間の人も来た。その人たちは頑固だから反対だと言つたけれども、あなたはその反対の氣持も現わせなかつた、そういうことですね。
  909. 砂山和男

    砂山証人 そうです。
  910. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 庭田君は、あれは鬪爭委員長つたね、あなたの方の‥‥。あの人は体が悪かつたのか。
  911. 砂山和男

    砂山証人 そのときは知らなかつたのです。あとで聞いたのですけれども、腹が痛くて、ちようどあのときはいなかつたとかなんとかいうことも聞きました。
  912. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どこか夜、電車区の休憩室か何かに寝ていたということはありますか。
  913. 砂山和男

    砂山証人 それは知りません。
  914. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それからあなたの親しい者はみな党色があると言われたが、それは共産党に入つておるのですか。
  915. 砂山和男

    砂山証人 そうです。それはこの間のストで一部乗つた者もあり、乗らない者もあります。
  916. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 首になつた者もありますか。
  917. 砂山和男

    砂山証人 首になつてやめた者は一人です。ストをやつたとかなんとかいうよりも、それはほかの理由だと思いますが‥‥。
  918. 小玉治行

    小玉委員 あなたは政党色がないというのだが、その電車に乗つて行かれた人に、あなた以外はやはり共産党に入つておられない人もあつたのですか。
  919. 砂山和男

    砂山証人 もちろん入つていません。青木君だけが入つていた。八木君が途中蒲山にとまつたときに蒲田から乗つた
  920. 小玉治行

    小玉委員 全部運轉士ですね。
  921. 砂山和男

    砂山証人 車掌の方はぼくは知りませんが、全部運轉士です。
  922. 小玉治行

    小玉委員 運轉士はその人民電車を運轉して行く間に何人かわつたのですか。あるいは何人一緒に乗つたのですか。
  923. 砂山和男

    砂山証人 全部最初から五人ですが、蒲田から八木君が乗つて全部で六人です。
  924. 小玉治行

    小玉委員 そのうち共産党に入つておるとあなたが考えておる方は何人あるのですか。
  925. 砂山和男

    砂山証人 はつきりしているのが青木君と八木君だけです。
  926. 小玉治行

    小玉委員 あとの四人は入つていないのですか。
  927. 砂山和男

    砂山証人 入つていません。
  928. 小玉治行

    小玉委員 そうすると、あとの四人のときはどういう事情で乗られたかわかりませんか。
  929. 砂山和男

    砂山証人 共産党員とかなんとかいうことは別にしてやはり指令されているのですよ。五人指令されているのです。
  930. 小玉治行

    小玉委員 だれから‥‥。
  931. 砂山和男

    砂山証人 それはほかの三人はだれから言われたかぼくは知りません。ぼくと青木君とはさつき言われた通りあの人たちから言われているのです。
  932. 小玉治行

    小玉委員 そういう方も、そういうことをするのは氣が進まなかつたのだけれども、今あなたの言う通り骨がしやりになつてもやるという者もあるし、一般の組合員共産党的あるから、そのときの状況が参加しなければどんな目にあうかわからないという氣持から参加したというのだが、あなたを除く共産党に関係のないほかの三人の方もやはりそういう氣持から乗車されたわけじやないでしようか。
  933. 砂山和男

    砂山証人 それはその人たちに聞いてみなければわからない。個人々々の氣持はぼくはわかりません。神様でないから‥‥。
  934. 石田一松

    石田(一)委員 あなたは十日朝電車にお乗りになつた‥‥。
  935. 砂山和男

    砂山証人 朝じやないでしよう。
  936. 石田一松

    石田(一)委員 晝ですか。
  937. 砂山和男

    砂山証人 晝じやない。夕方です。午後六時二十二分です。
  938. 石田一松

    石田(一)委員 それであなたは運轉士として車庫からこの電車をお出しになつたのですか。
  939. 砂山和男

    砂山証人 車庫というより中線にあるものをですね。
  940. 石田一松

    石田(一)委員 ホームへ持つて来るまでに、あなたは先ほどおつしやつた助役から出勤傳票をもらつた‥‥。
  941. 砂山和男

    砂山証人 そうじやなく、出勤点呼をとつてカードをもらうんですよ。
  942. 石田一松

    石田(一)委員 そうするとあなたの発車するまでの事務的な手続きは、規則に定められたことを全部やつていて、あなたには全然ほかに事務的な落度はありませんでしたか。
  943. 砂山和男

    砂山証人 ないと思います。
  944. 石田一松

    石田(一)委員 それで電車に乗つていて、青信号が出て車掌の信号があればいつでも動かしていいという‥‥。
  945. 砂山和男

    砂山証人 いつでも動かしていいと言いますけれども、一八五OOBと指定された以上、その時刻に運轉するのが妥当で、たとえばその発車時刻前に三分間時間があつてもぼくは出ません。ところが実際の問題として一八五OOBというのは十五分発です。ところが七分遅れた。要するにさつきおつしやつたように信号があかないとか何とかいうぐあいで遅れたと思うのですが、七分遅れたのです。
  946. 石田一松

    石田(一)委員 七分遅れたということだけですね。あなたに関する限り‥‥。
  947. 砂山和男

    砂山証人 遅れたのはしかたがない。ぼく自身どうすることもできない。
  948. 石田一松

    石田(一)委員 そのときは七分遅れましたね。遅れたときにも、車掌からの合図、それから信号があつた、それだけで出していいわけですか。
  949. 砂山和男

    砂山証人 それはいいわけですよ。運轉規定がはつきりあるわけです。
  950. 石田一松

    石田(一)委員 それではあなたの事務的手続には間違いありませんか。
  951. 砂山和男

    砂山証人 間違つていません。
  952. 神山茂夫

    神山委員 今の話で大体、はつきりしたのですけれども、さらにあなたが車からおりたとき、労働者というものはやればできるものだという感じはしませんでしたか。
  953. 砂山和男

    砂山証人 そういう感じはしません。とにかくぼくはへんな電車に乗つてしまつたと思つて涙を出して泣いて運轉したのですよ。だまされて乗つた氣持がしたのです。
  954. 神山茂夫

    神山委員 そこであなたは、区長さんのところへ行かれたわけですか。
  955. 砂山和男

    砂山証人 そうです。
  956. 神山茂夫

    神山委員 何とおつしやいましたか。
  957. 砂山和男

    砂山証人 それはこんなところでいう必要ないでしよう。
  958. 神山茂夫

    神山委員 あなたの考えは、はずかしいから言いたくないのですか。
  959. 砂山和男

    砂山証人 はずかしくはない。
  960. 神山茂夫

    神山委員 はずかしくなかつた言つてもいいでしよう。
  961. 砂山和男

    砂山証人 それは個人対個人の問題ですから言う必要はないと思います。
  962. 神山茂夫

    神山委員 けれどもあなたの言つておることはそうでもない。ここで述べたことに関連しているでしよう。
  963. 砂山和男

    砂山証人 どういうように関連しておるのですか。
  964. 神山茂夫

    神山委員 自分組合の命令で乗つた。それだけのことは言つたでしよう。
  965. 砂山和男

    砂山証人 区長に言いました。それだけわかつていたらぼくに聞かなくてもいいじやないですか。
  966. 神山茂夫

    神山委員 それで何とかしてもらいたいと言つたでしよう。
  967. 砂山和男

    砂山証人 何とかしてもらいたいとは言わない。区長さんはどう思いますかと意見を聞いたのです。
  968. 神山茂夫

    神山委員 それでいいです。
  969. 大橋武夫

    ○大橋委員 今の神山君の質問に関連して、あなたは区長さんのところへ行かれたそうですが、そのときは一人で行かれたのですか。
  970. 砂山和男

    砂山証人 家がわからないので奥村さんという古い人ですが、官舎がそばで、その人に家をおそわつて一緒に行つただけです。
  971. 大橋武夫

    ○大橋委員 それでおりられたときにほかの‥‥。
  972. 砂山和男

    砂山証人 おりたときと言つて、ぼくの行つたのは次の日ですよ―次の日じやない。区長さんのところへ行つたのは新聞に責任者を告発するとかいう記事が出ましたね。ラジオでも言つたですね。その点でぼくは心配になつたから行つたのです。
  973. 大橋武夫

    ○大橋委員 それでそのときにあなたと一緒に、その前の晩の電車を運轉されたほかの人はどう考えられましたか。聞いておりませんか。
  974. 砂山和男

    砂山証人 言つたかどうかは知りません。
  975. 大橋武夫

    ○大橋委員 その人たちとその後話し合われたことはありませんか。
  976. 砂山和男

    砂山証人 それはいろいろ心配しますから、どうなるだろうというので‥‥。
  977. 大橋武夫

    ○大橋委員 ほかの人はだれとだれですか。青木君もそう言つておられましたか。
  978. 砂山和男

    砂山証人 青木君は別に何にも言つておりません。
  979. 大橋武夫

    ○大橋委員 八木利君も‥‥。
  980. 砂山和男

    砂山証人 八木利君も別に何にも言つておりません。
  981. 大橋武夫

    ○大橋委員 他の三人の人は‥‥。
  982. 砂山和男

    砂山証人 他の三人は言わないのですけれども、穂坂君はぼくと親しいからそう言つていた。
  983. 大橋武夫

    ○大橋委員 穂坂君だけですか。
  984. 砂山和男

    砂山証人 ほかの者だつて言つていたと思いますが、直接ぼくの耳には入つておりません。  今言つたのは檢察廳の方ではぼくの記憶違いで逆になつているのですけれども、実際は今言つた通りほんとうなんです。
  985. 小玉治行

    小玉委員 赤羽まで行くのに運轉士があなたを加えて六名乗つてつた。これは平素もよけい乗るのですか。
  986. 砂山和男

    砂山証人 乗りません。
  987. 小玉治行

    小玉委員 平素は何人‥‥。
  988. 砂山和男

    砂山証人 一人です。
  989. 小玉治行

    小玉委員 あなたならあなた、始発の際一人ですね。
  990. 砂山和男

    砂山証人 電車の運轉士は一人で乗務するのが正当なんです。
  991. 小玉治行

    小玉委員 六人乗つたのはやはり組合が乗れといつたので乗つたわけなんですね。
  992. 砂山和男

    砂山証人 そうです。
  993. 小玉治行

    小玉委員 その点について何かその際ふしぎだと思わなかつたですか。
  994. 砂山和男

    砂山証人 ふしぎだというより、今までとまつていた、とまつているから、ぼくとしては一人の注意力よりも大勢の注意力の方が安心だというので乗せたのだろうと思います。
  995. 小玉治行

    小玉委員 電車の運轉について氣をつけて行けというので‥‥。
  996. 砂山和男

    砂山証人 川崎保線区分会の人に線路の犬釘を抜いてあるということを聞いたのです。そういう話を聞いたから、線路妨害がありはしないかというので‥‥。
  997. 小玉治行

    小玉委員 それはどこで聞いたのですか。
  998. 砂山和男

    砂山証人 それは乗る前です。
  999. 小玉治行

    小玉委員 妨害は全然なかつたのですか。
  1000. 砂山和男

    砂山証人 そうです。そういうような話もあるから氣をつけて行つてくれと言われた。
  1001. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 済みました。御苦労さんでした。         ―――――
  1002. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ただいまお見えになつている証人の方々は、城戸崎亨さん、田中政司さん、それから西田富蔵さんですね。  これより國電スト問題について証言を求めることにいたします。  証言を求める前に各証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または、証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族、または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受けた者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚僞の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一應このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。城戸崎さんひとつ代表して読んでください。     〔証人城戸崎亨君各証人を代表して宣誓
  1003. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 署名捺印を願います。     〔各証人宣誓書に署名捺印〕
  1004. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 証言を求める順序は城戸崎さん、田中さん、西田さんの順序で承りますから、城戸崎さん以外の方はもう一度しばらく控室へもどつてお休み願います。城戸崎亨さんですね。
  1005. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そうです。
  1006. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは國鉄労働組合横浜支部委員長をやつておいでになるそうですが‥‥。
  1007. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そうです。
  1008. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いつから‥‥。
  1009. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 今年の五月四日からやつております。
  1010. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 現在その通りですか。
  1011. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 その通りです。
  1012. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから鉄道における職は何でありますか。
  1013. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 昭和九年の四月二十八日から勤めております。
  1014. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういう地位においでになります。
  1015. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 ただいまは川崎発電区の技術係を勤めております。
  1016. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなた方の横浜支部と東神奈川との関係をお聞きしたいのですが、車掌区及び電車区の班ですか、分会ですか、あるそうですが‥‥。
  1017. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 分会です。
  1018. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたのすぐ下になるわけですね。
  1019. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 下部組織の分会です。
  1020. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その間には何もないわけですね。
  1021. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 ありません。
  1022. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 六月九日に東神奈川駅と申しますか、車掌区及び電車区等でストに突入したようですが、それについてはあなたの方から何か指令なり命令をお出しになりましたか。
  1023. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 別段出しておりません。
  1024. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると各分会が單独でやつたのですか。地域鬪爭とでも申しますか‥‥。
  1025. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 とにかく分会で行つたことはことは事実であります。
  1026. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは別々にやつたのですか。合同ストライキをやつたのですか。
  1027. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 ストライキに入つたのは車掌区が入つたわけであります。
  1028. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 電車区は‥‥。
  1029. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 電車区は電車が動けなくなつたために自然にストライキ状態に入つた
  1030. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 やはり決議はやつたようですね。
  1031. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 その通りです。
  1032. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたはそこへ出ておりましたか。
  1033. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 私は出ておりません。
  1034. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あとで聞いたわけですね。
  1035. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 当日私は例の警察官の無賃乗車の件について組合本部から指令があつたためにこれをどうするかという問題についていろいろ考えておりました。しかし警察官隅々の生活のことを考えて見ると、單に指令であるからといつて、そのままこれをやることもむりがある。一應國警なり市警なりへ行つて合つてよく当局者の意向も聞き、あわせて警察官の生活が立つような方法において解決したいというので、当日は縣知事、市長、それから國警、檢察廳へまわつておりました。
  1036. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 スト中に、六月十日と聞いておりますが、あなたの方で進駐軍当局からスト中止の命令か勧告か何かそういうものが発せられたということですが、そういうことはありましたか。
  1037. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 それは何日のことですか。
  1038. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 十日と聞いております。
  1039. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 十日の日の十時過ぎに管理部の運行課の方から電話があつて、これから渉外室のアンダーソン中佐のもとに責任者が行つてもらいたいというので参りました。
  1040. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どこから来たわけですか。
  1041. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 どこから来たということはわかりませんが、とにかく管理部から支部の方にそういう電話があつたということです。横浜駅の渉外事務所からそういう通知があつたので、渉外室の自動車に乗つて渉外室の方と一緒に行きました。
  1042. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでどういうことになりましたか。
  1043. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 行つて、渉外室の山本さんが代表して話を伺つて来たが、そのアンダーソン氏から聞いたことそのままを私がここで傳えると言つて、私が今から言うことは命令ではない。希望事項としてこのように行われることを自分としては最低限度で希望し、期待する。京浜線は全面的にとまつている、連合軍の白帯車は運行を確保できないかということを‥‥。
  1044. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 白帯車だけですか。
  1045. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そうです。白帯車は確保できないかということです。
  1046. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたはそれに基いてどういう処置をおとりになりましたか。
  1047. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 このことについてはすでに支部の鬪爭委員会としては九日の日に分会がストライキに入つたというので、入つたものはしかたがない、とめるわけにも行かないけれども、ただちにこの事態を解決しなければならぬので、私は副委員長を連れて、管理部へ事態の収拾に行つたわけです。つまり交渉に行きました。それから残つた人にも、何とかして分会の人をなだめて、夕刻のラツシユアワーまでには一應動かすようにはからつてもらいたい、こう言つて出かけたわけであります。管理部へ行つたところが管理部長がいなくて代行者がいる。会わしてもらいたいと言つたところが、何の用かと言うのです。私は何の用とは、はなはだ不見識なことではないか、今東神奈川でどういうことが起つておるか、あなた方も知つておるだろう。私たちはこの問題を急速に解決するために交渉に来たのだと言つたところ、会えるか会えないかわからないけれども、ちよつと待つてくれ、こういうわけで私どもは四十分以上待つてようやく会つていろいろ話をしたわけです。ところが短い時間で話を済ましたい、あまり長い話はできない。こう言うので、それはまことに困る、われわれとしてはこの機会に事態を収拾しなければ今後に大きな問題になりますから、何とか話をしようじやないかと言つたが、短い時間にやろうということになつて話をしたわけです。
  1048. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは九日ですか。
  1049. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そうです。それから帰つてその晩にやはり管理部交渉の結果をわれわれも檢討してみて、これはストライキを切り上げた方がよろしいという結論になつて、分会にこの旨を申し入れたわけです。これはわれわれが行きまして、分会の鬪爭委員会と連絡会議を持つて、その席上で何とか中止してもらいたい、こういうことを申入れたわけでありますが、御存じの通り分会としては非常な決意を持つてこのストライキ状態に入つたのであつて、われわれが簡單に話をしてもなかなか承認しがたいと思つて、われわれも種々説得してようやく承諾してもらつた。それからおのおの担当者並びに区長にこの旨を傳えた。ところがすでに管理部の方からもう常務しなくてよいという話があつたということです。その後に至つてわれわれは乗務したくてもできない、こういうことになつた。ですからわれわれとしては乗務するということは、九日ストライキが突発して以後あらゆる手を盡して、そういうような方向に持つてつたけれども、管理部当局が事業場閉鎖と言いますが、とにかく東達甲と言いまして鉄道関係の永久命令ですね、こういつたものを出して乗務をさせないというような状態になつている。非常に組合員もその点については憤慨しておつた、こういう状態です。
  1050. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その管理部でだれとお会いになつてどういうお話をなさつたのですか。
  1051. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 管理部で会つたときのことを申し上げますと‥‥。記録がありますから読みます。十日の日に私たちがさつきお話した國警とか知事のところへ行つているときにストライキに入つたという状態を聞いたわけです。即刻分会支部に帰つて来まして、鬪爭委員会を開いてどうするかということを、いろいろ相談したわけです。ただちに管理部と交渉を持つということが一つ、それから現地に鬪爭委員を派遣して事態を収拾しようということにきまつたわけです。その後鬪爭委員会が終つてから私と副委員長の相澤君と二人で管理部に行つて、四時三十分から五時五十分まで管理部と交渉しました。まず労働係長というのがありますが、それに面会を申し入れた。ところが現在部長が不在であつて代行者としても会えるかどうかわからない、用件は一体どんなことか、こういうことを言われたのです。私たちとしては今さら用件とは何事であるか、当然東神奈川の事態収拾について早急に團体交渉の用意をしてもらいたい、では相談しようということになつて、そこで三十七分ばかり正確に待ちました。当局側としては総務課長、業務課長、運轉課長、それから労働係長と対面しました。当局側は非常に忙しいので十分間に限つてお話をしたい、こういうことを言つております。私どもとしては、そんな無誠意なことでどうするか、十分間くらいでこの話がつくと思うかと言つた。ところが、この問題についていろいろやつたわけですが、結局十分間ということはごく短い時間であるということを管理部側が言つた、それもよかろうということで話を進めて、かねてこういうことがあつてはならないというので十分管理部へ通告しておつたにもかかわらずなぜこのような事態を引起したか、このことは東神奈川の車掌区の新交番の問題について、いわゆる労資の紛爭が起つてつたわけですが、紛爭は当然團体交渉あるいは話合いによつて解決されねばならぬ、その話合いの最中において、一方的に業務命令違反であるというようなことを言つて、不当馘首、首切りを七十名発表した。そのことによつてストライキが突発した。だからそういうことがないように、新交番の問題についてはわれわれも再三度管理部と話合いをもつて、お互いにこの問題については慎重にやろう、それはなぜかと言うと、御存じの通り十二万の首切りという大きな問題を控えているとき、組合の氣持が非常に神経が高ぶつているこういうときには、あまりに労働者の氣持をそそるようなことはお互いにやめようじやないか、われわれとしてもこの首切りについてはあなた方とやはり今後鬪わなければならぬ、その前に小さな問題でいざこざを起したくないのだということをかねて言つてつたわけです。それにもかかわらずこういう措置をとつてこういう事態になつたということは、まことに遺憾であるということを言つたわけです。これはお互いに見解の相違がありますから、そこで討論をやつたわけです。まず結論として私どもは事態を早急に平常にもどすためには、首切りを白紙に帰して、旧交番か新交番かについて解決をはかろうじやないか。こういうことを言つておる。ところがそれは承認しかねる。それはできないと言うのですね。但し上の人が私のとつた処置があさはかだと言われるならば別だが、総務課長としては絶対に承認ができない。新交番とか旧交番とかいうことについては組合の言う通り大して問題でなかつた。こういうことを言つておられました。そして私どもは、もちろんその通りだ、組合員が大した問題でないということは、お互いにこの問題を腹で処理したならば、大した問題ではないんだ、こういうことを言つた。六月三日のことです。二日の日に管理部から来て、いろいろ新交番、旧交番の問題について話合いをしたのです。ところがその前の日にも管理部長と交渉しておる。そのときの話と一日の話と――正確に言つたならば一日の日に話し合つたことと二日に管理部の人と話し合つたことの内容が非常に違うのです。その違うことについてあらためて管理部としては意見を統一して返事をしてもらいたいということで帰つたわけです。ところがその電話の回答が非常に抽象的なんですね。抽象的なためにわれわれとしては、新交番、旧交番というものの解決にあたりましては双方がその腹で仕事をしなければならぬという結論を出したためにわれわれは考えた。それはなぜかと言うと、組合としてもやはり新交番よりも旧交番がよろしいのだ、当局としてももちろん旧交番を新交番にしなければならぬということになつて来るわけです。しかしその点において組合員の言うことも、分会で言つておることも納得の行く点があるのだから、新交番の内容をなるべく旧交番に近ずけて、そうして新交番に移れば分会としても自分立場も立つし区長としても自分立場が立つ。また管理部としても面子が立つ。こういう、三者がいいような方法において、お互いに腹でやろうというふうにわれわれは解釈しておる。そのことを言つたわけです。それについてはまた別に話しますけれども、その交渉の席上いろいろ意見の食い違いについて発言があつたのだけれども、とにかく私どもとしてはもう一回お帰りになつて話をしてもらいたい。まことに子供の使いのようで追い返すように考えられるかもしれないけれども、決してそういうことでなくて、問題が非常に重大だから、一應帰つて管理部長の意見を統一して返事をしてもらいたいと言つたわけです。そのときに、それじや帰つて電話で返事をしますということを向うで言つた。ところがうちの書記長が、電話では困る、書面にしてもらいたい。こういうことを言つたわけです。私はそんなことはどつちでもよろしいんだ、電話であろうと書面であろうと、そういうことはよろしい。とにかく今まで討論をして、お互いの意見を開陳したのだから、あとになつてああではなかつたとかこうではなかつたとかいうような不見識なことのないような手段をとろうじやないか、おそらく管理部の方もそういうことを考えておられるようだから、われわれとしてそういう電話とか書面ということは深くこだわつていない。ここで私はこう言つた。ひとつ私の今言つたことも、管理部の方も考えて返事をしてもらいたい。こう言つた。ところがその問題の中心は何かと言うと、車掌区長が前日管理部へ行つて、私のところは新交番で乗つておると言つたというんですね。それを管理部長が言つたというのです。その通りだというのです。私は車掌区長から新交番に乗つているという話を聞いておる。だから組合員もひとつうまくやつてもらいたい。こういう話があつたわけです。ですからこれがやはり私がさつき言つたところの三者の腹でもつてやる仕事だと思つた。ところが十日の日に行つたときの交渉では、管理部長が新交番でやつていると言つたことは、もし新交番でやつていないならば現場長が業務命令違反をやつたのか、あるいは組合が業務命令違反をやつておるということが含まれておるというふうなことを言つておる。ですから私どもはそういうことのないようにあとになつてつけ足りをつけて、あのことはこういうふうな意味が含まれておつた、そういうふうな抽象的なことでなくはつきりとした返事をお互いにやろうじやないか、こういうことを言つたわけです。こういうふうなことがわれわれがくれぐれも指摘した点が、ついに暴露されたわけです。こういう状態になつてこれ以上話が進まないので、私どもとしては一應帰つて態度をきめなければならない、また管理部長はおりませんから、代行者に対して、もつと熟考して処理するようにということを要望して、不本意ながら引上げて来たという次第であります。
  1052. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから東神奈川に来てどうなさいましたか。ただそのままにしておられたわけですか。
  1053. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 東神奈川には、私ども年寄りの方なので、若い人に言つてどもが行つた留守に説得してもらうように処置をとつたのでありますが、若い人たちは年寄りと違いまして口がまわらないというような点があつて、なかなかうまく行かなかつたのであります。しかし何とかしてやろうということは努力しておつたわけであります。
  1054. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこでアンダーソン氏から聞かれてからどうなさいましたか。
  1055. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 アンダーソン氏のお話を伺おうと伺うまいと、われわれとしてはストライキ状態を早く切上げなければならないと考えておつたわけであります。
  1056. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 考え方はそうだが、現実にはどうなさいましたか。
  1057. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 ですから九日に神奈川分会に対して、やめてもらいたい、やめなければいけないということを行動に移したわけであります。そうしてやつておるにもかかわらず、その間にアンダーソン氏の口から希望があつたわけであります。だから当然われわれがやつておることに対してお話があつたわけであります。このことは後に読売新聞にも出ておりましたけれども、私どもがやつたことが非常によろしいというおほめの言葉にあずかつて、このことはマツカーサー元帥にも報告するということまで言つておられるわけであります。
  1058. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 白電車を動かすように努めますと言つて来たのですか。
  1059. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そのときにアンダーソン氏はそれだけのことを山本事務官にお話しになつただけで、希望するということを言われたわけであります。
  1060. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると白電車を動かそうじやないかということまでは言われなかつたわけでありますね。
  1061. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 白電車どころか電車は全部動かそうと思つおつたわけであります。
  1062. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは十日ですね。何か計画をやられたわけですか。
  1063. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そうです。だから九日にさらに晝間の鬪爭委員会できめて、晩に若い人に行つてもらつたけれども徹底しなかつたので、さらに管理部交渉から帰つて来たので、そこで鬪爭委員会を開いて、明日の十日の始発からは乗せようということになつたのです。
  1064. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 アンダーソンに呼ばれたのは十日でしよう。
  1065. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 九日です。事前に九日の晩に、管理部から帰つて来て鬪爭委員会を開いて、明日の始発から何とか乗せようということで分会にその晩行つて話して、分会の人に了解してもらつて、乗ろうと申し入れたところが拒否されたのであります。ですからわれわれがアンダーソンのところに行つたときはすでにそういう計画ができておつた。山本事務官からそういうお話を聞いて、私どもとしては、よくわかつた、しかし当局が乗せないと言うときにどうするかということを言つたのであります。当局が業務命令で乗せないと言つておるけれども、これについてアンダーソン氏はどういうお考えを持つておるか、聞いてもらいたいと言つたところが、それは問題が違うと言つて受取つてお話してくれないので、われわれとしては非常に困却したのであります。だから前の日に計画ができておるから、アンダーソン氏からお話を聞いたときにも、山本氏を通じて話を聞いたときにも、われわれは腹はきまつておるが、とにかく当局が乗せないのだから、このことについてアンダーソン氏の御意見を聞いてくれということを言つたわけであります。ところが山本さんは、話が言いずらいというか何か知らぬが、それは話の筋が違うのだからというので、私どもはそこで山本氏といささか口論をしたというか、物言いをしたわけでありますが、結局らちがあかないので帰つて来たわけであります。
  1066. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 結局そういうことを聞いて来ただけにとどまつたわけでありますか。
  1067. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 聞いて来て、十日の晩にさらに分会にも行き、本部の方にも行きまして、本部の團体交渉に参加して、遅く帰つて来たわけであります。だからはつきり言えば、アンダーソン氏のところに行つてつて来て、そうしてこの問題について早急に解決するように管理部交渉をやるか、局長と交渉をするかと言つたところが、管理部とは前日に交渉したけれどもらちがあかない、それでは局長に交渉しようというので、東京地方協議会を通じて局長に團体交渉を申し込んだところが、できないと言つた。そこで、そういうことを言つたつて、今の事態を収拾するには、できないなんという言葉では済まされない、直接こつちから乗り込んで行こう、むりにも会つて話をしようじやないかというので乗り込んだ。ところが局長がいないという話なので、局長がいなければしようがない、何とかして探そうじやないかと言つているときに、本部と局長の交渉が始まるというので、それならは支部から代表者を入れてもらつて、その交渉に入ろうじやないか、それが一番先決問題じやないかというので本部へ行きまして、本部の中鬪委員に話をしまして、それでは入れてやろうということになつて話をしたわけであります。
  1068. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは十日の晩ですか。
  1069. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 十日の晩です。その晩は交渉の始末を見るまでに十一時過ぎまでかかつた。われわれはすぐにそれから終電車に乗つてつて来まして、今日一日のあつたことをいろいろ檢討して見て、どうするかという鬪爭委員会を開いた。そうしてやはり前日の決定が正しい、やはりあくまでもこれをやらなければいけないというので、分会へもう一回行こうというわけで行つたわけだが、それが十日の夜です。ですから正確に言つたら十一日の拂暁からずつと鬪爭委員会をやつて、夜明けに分会に行つたわけだ。われわれの一番心配したことは、前田は承認してくれたけれども、十一日の朝になつて各所で同じような状態が起きている。そこでせつかくここまで来たものを、おれのところだけやめるのは氣持ちがおさまらないということがあつてはたいへんだからというので、これは何とかして組合員の氣持ちをおさめようというので、行つて説得しまして、どうやら了解してくれたということになつたのであります。
  1070. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 十一日ですね。
  1071. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 十一日の朝です。
  1072. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが今おしやつた十日の始発から乗るということは、今までの証人その他からも聞いておりまして、ストはやめない、けれども電車は動かそう、乗ろう、こういうことだと言つておりますが、それはいかがですか。
  1073. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 電車を止めることはストライキです。
  1074. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ストをやめない、しかし電車は動かそう、こう言つておりますが……。
  1075. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 ストはやめない……それはどうも話がおかしいと思う。われわれの考えとしては、運転は平常状態にもどすということが目的なんですよ。ストライキをやめるとかやめないとかいう問題よりも、現在止つている電車を早く動かそうというのが目的なんです。その方針に沿つて鬪爭委員会が決定しそれを実行しようと努力したわけです。
  1076. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが平常にもどすということは、観念の相違があるかもしれないけれども、とにかくスト状態は続けるのだ、しかし電車は動かすのだ。言うてみれば業務管理で動かすのだということになるのですが、それはどうですか。
  1077. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 われわれとしてはとにかく電車を動かして団体交渉なり何なりをやろう、だからストライキ状態は解消しても紛爭状態は解消されていない、こういう考え方なんです。
  1078. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたとしてはストライキは解消するつもりであつたのですか。
  1079. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 ストライキということは電車が動かないということで、このことは解消しようというわけです。これは常識的なあたりまえの問題なんです。
  1080. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それなら管理部の命令に従つて動かそうといことでしたか。それにはかまわずに動かそうということでしたか。
  1081. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 止まつているのだからいわゆる運転状態が非常な場合に入つている。とにかく旅客のことを考えれば、新交番であろうと旧交番であろうとダイヤにはかわりない。また運転に支障を来すわけではない。新交番、旧交番の問題でここまで話がもつれてそのあげくこういうことになつている。だからその問題を解決しなければ問題の解決に非常にじやまが入るわけなのです。遅くなるわけです。つまりそういつた問題は一應伏せておいて、とにかく電車を動かすことが先決問題だ、こういう考え方です。
  1082. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは旧交番でやるのですか。
  1083. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 分会則としても、新交番、旧交番の問題でここまで来ておるのに、新交番で乗れと言つても承知しないのだから、やはり旧交番でやつてつて、早く平常状態に戻して、そして新交番がいかぬということについて交渉を行う、こういうことになるわけです。
  1084. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その点はわかりました。その点は重大なことですが、組合員が十日の初電から動かすということは、業務管理で動かすということではなかつたのですか。
  1085. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 それは客観情勢によつて、判断する人が業務管理だと言えば業務管理でしよう。そうでないと言えばそうでない。それは一つの考え方によつてきまると思うのです。現れた事実によつて……。
  1086. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 管理部の命令に従つて動かすということか、命令を無視して組合員が自主的に動かすということかで、きまると思うのですがそれはいずれですか。
  1087. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 管理部は車を動かさないということを言つてつたけれども、とにかく動かすような業務命令を出させるということなのです。それが問題ですよ。ですからあとは業務の運用をどうするかという問題について、話合いが残つておるわけなのです。新交番で行くか、旧交番で行くかは、本来労働條件です。ですからそれを話合いすることになつておるのです。業務というものは、やはり責任は当局にあるのです。
  1088. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで管理部としては、管理部の命令に従つて動かすならばよろしいが、そうでなくて、組合員が自主的に動かすと言うから、それでは動かしてはならぬと言つたのじやないですか。
  1089. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 管理部の業務命令に従わないで働かすということならば、何も管理部に話合いはしません。また助役や区長にはそういうことは言わないわけです。自分で勝手に動かしてしまう。われわれが申し入れたということは、管理部の指示によつて動かすということになるわけです。
  1090. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると管理部との違いは、旧交番と新交番の違いだけですか。
  1091. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そうです。
  1092. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 さつき庭田証人は業務管理をやるのだと言つたが、どうですか。
  1093. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 考えてもそうでしよう。とにかくわれわれが一方的な運転をするならば、助役や区長を通じて管理部に乗るかというようなことを言うはずはないわけです。これは常識でわかるはずです。
  1094. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それ以上あなたと議論していてもしようがないが、事実そういうことが現われたから、それをはつきりするために聞くのですが、まあそう承つておきましよう。ところが十一に東神奈川の三分会で、これは新聞に出ておつたようですが、十日いつぱいは地域鬪爭でやつてつたが、十一日からは支部の命令に従つて行動をとるということを書いてあつたようですが、何がそういうことにきまつたのですか。
  1095. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 われわれとしては、十一日からはいわゆる電車を動かすということを自主的にきめるように、われわれが行つて十一日の朝話して、それはそのような状態において運転が継続されておつたわけです。
  1096. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなた方が動かすように言つた。それがつまり支部の指図に従うというか、指令というほどできないが‥‥。
  1097. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そうです。われわれの忠告を忠実に受取つて、電車を動かしたということになります。
  1098. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは正常に動かすようにというあなたの勧告を入れた、こういうわけですか。
  1099. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そうです。
  1100. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが十日の夕方及び十一日に、いわゆる人民電車を動かしたということですが、これはあなたの方で別に指図したわけでも何でもありませんか。
  1101. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 これは私どもの方では指図をしておりません。最前お話しした通り、その日はアンダーソン中佐のもとに行つてつて来ております。それから局長と団体交渉をしようというので、ずつと向うに行つて、本部と一緒に団体交渉をやつてつた。ほとんど支部の首脳部、年輩者、そういつたものは全部行つて団体交渉に加つてつた。こういうことでわかるとと思います。
  1102. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 支部と別に関係なつかたわけですね。
  1103. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そういうことです。
  1104. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうするといわゆる人民電車というものは、まつたくこれは業務管理の電車でしようね。それはどうですか。
  1105. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 業務管理というか、とにかくお客が帰れないから動かしてくれということで、駅長に交渉して、その結果動かしたということになつております。
  1106. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこでそのお客ですが、何か乗客大会などを開いて、要求して来た。それによつてつたということを聞いております。その点は御承知ありませんか。
  1107. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そういうふうに私は聞いております。
  1108. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その乗客大会というものは、どういう人たちがやつたものですか。
  1109. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 私も現地にいないから、詳しいことはわからないのですが、あとからの報告を聞いて、乗客大会があつたというふうに理解しているわけです。
  1110. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その乗客大会だけではなくて、ずいぶん外郭団体が車掌区なり電車区なりに入り込んで、これに癒援したというか、支持したというか、非常に働きかけた事実があるようですが、この点はいかがですか。
  1111. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 これは労働者である限り、一つの会社や工場ににストライキが起きた場合、関心を持つのは当然だろうと思います。しかしその人々の意向によつて、われわれが動くというふうな自主性のない私ども組合ではないわけです。むしろ縣下の労働運動に対してわれわれが指導権を持つて行こうというふうな氣持ちでやつております。ですからそういつた外部団体の威嚇や声援によつて動くものでない。こういうことは言えます。
  1112. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何か産業防衛隊というふうなものを組織してそれが鬪爭を開始して、そこへ乗り込んで来ておつたようですが、そういうことは御承知ありませんか。
  1113. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 それは私ただいま初耳です。産業防衛隊というものは委員長はどこからお調べになつたかしらぬけれども‥‥。
  1114. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 「六・九鬪爭経過」というものに載つているのです。
  1115. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そういつたものは聞いておりません。
  1116. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから工代会議というものを開いたようですね。
  1117. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 工代会議というものはありますが、産業防衛隊は私は今初めて聞きました。
  1118. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 工代会議というのも、車掌区か電車区かへ入つて会議を開いたりしているようですが、そういうことはお聞きになりませんか。
  1119. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 工代会議といつて別に特殊なものではないのです。御存じのように、労働運動には総同盟系と産別系があるわけです。神奈川縣下においては上の方では対立はしている。これは皆さん御承知の通りどこでもそうです。ところが下の方はそうは行かない。ですから産別系とか総同盟系とかいうわくをはずして、各一つ一つの工場がまとまつて話し合いをしようという組織が工代会議です。ですから総同盟傘下の会社工場とか、あるいは産別系統の会社工場とか、そういつたことを一切抜きにして、集まつて話し合いをしようというのが、工代会議です。
  1120. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その工代会議の人々が、これを見ると車掌区と書いてありますが、さつき電車区の部屋のように言つた人があつたがとにかく車掌区なり電車区へ出て、そして工代会議を持つている。そういう事実はお知りならないですか。
  1121. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 それは会場がないから、各單産の会議室を利用して回り持ちでやつてる。労働組合会議なんてものは会場があるわけではないから、お互いの会議室を利用して持ち回りでやつているわけです。そういつたこともあるかも知れません。私の所でやる場合もあるだろうし、また総同盟の組合会議室を利用して工代会議を開くこともある。これはその都度きまるものであります。
  1122. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがこれを見ますと、人民電車特輯号というのですが、これは工代会議文化委員会から出しているいるのだが「六月七日縣下各工場の代表者会議が十七時より車掌室の休憩室で開かれて、車交の問題、東神奈川の問題は自分たちの事と考え、最大の應援に努力する、吾々は今生死の境に立つている。このため考えることばかりでなく鬪うことは行動を示す以外にないと確認された」と、こうなつているのですが、これは今あなたの言つた單なる工場代表者会議ではなくて、この問題に関してどこまでも應援をし、鬪かわなければならぬという決議をしておるのですが‥‥。
  1123. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 労働者の氣持ちをよく表していると思いますね。素直な氣持ちですよ。今労働者がどのような苦しみをしておるかということは、單に国鉄の労働者だけが苦しんでいるわけではない。労働者みんなが苦しい。その苦しんでいる者が一人一人鬪つたのでは鬪えない。やはり労働者というものは団結して鬪う。こういう氣持ちがこの工代会議に現れている。労働者の氣持ちを素直に表していると思います。
  1124. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると、普通の工代会議と違つて、この神奈川県の爭議を應援しようという工代会議をを持たれたことには間違いないですか。
  1125. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 ですから、神奈川県の應援をしようと、どこの應援をしようと、労働者が共通の氣持ちではないですか。労働者の氣持ちはみな同じですよ。
  1126. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのほかいろいろな外郭団体が應援に来たと言われますが、これは御承知ではありませんか。
  1127. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 外郭団体と言つて、工代会議もあれば、各單産もあります。縣労会議というものもあります。労働団体は、ありとあらゆる労働団体が‥‥。
  1128. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 朝鮮人連盟の人たちも来ておつたというのですが‥‥。
  1129. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 その席上に来ておつたかどうかは知りませんが‥‥。
  1130. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それだけではない、ストの始まる五日から十日くらい前から‥‥。
  1131. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 それは来ることもあるでしよう。友誼団体である限りは、火事見舞に親戚縁者が集まると同じように、労働者の問題となると、民主的な團体がみな来るわけです。
  1132. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 われわれにすると、今そうおつしやつたように、国鉄労働の一部ですから自主的にとおつしやたが、どうもそういう外郭団体がその中へ入つて、そういうことをやるとすると、いかにもそこらに働きかけられてやつたように見えて、自主的ということにケチが入るように思われるのですが、そうじやないですか。
  1133. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 それは、やつぱり立場が違うとそう考えるのですね。労働者労働者としてはつきりと腹を持つていますよ。あなた方はそういうように、わきから見るとそう見えるかもしらぬけれども、国鉄六十万の一支部である横浜支部が、そういつた自主性のない、ふぬけな態度はしませんから、そのことは安心してください。
  1134. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 五日の日に、駅長室でたいへんごたごたが起きて、あなたがそこへ行つて、治めたと言つてはおかしいが、結末をつけられたようですが、そのときの模様はいかがですか。
  1135. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 これは夕方じやありません。十時ごろですね。私が、日曜でしたが出勤したわけです。しばらくたつてから電話がかかつて来て、管理部から公安官が大勢来ておる、そうしてその他大勢の管理部員が来ておつて、分会にごたごたが起きているから、すぐだれか来てもらいたいというので、私はさつそく行つたわけです。ところが管理部から、三十名と言つておりましたが、三十名の公安官が大勢やつて来て、そうして待機しておつて、そうしてそのほかに腕に覚えと言いますか、そういつたふうな管理部員が大勢来ておる。そうして新交番に乗るか乗らないかということを言つておる。乗らないならば、すぐにも檢束するというような、非常に險悪な状態になつておる。こういうこたがにように、われわれとしては前もつて管理部と話合いをして、大岡さばきの、三者がよいような方法をとろうということを話合つてつたわけです。ですから、私が行つたときに、管理部の連中がおつて、何とかしてくれ、こういうことを言われたわけです。何とかするといつても、あなた方何でこんな軽率なことをするのだ、きのうまで支部と話合いをして来ていながら、それを一方的に無視して、こういうふうな、いわゆる暴力沙汰によつて業務命令を遂行するということについては、重大な問題だ、とにかく公安官を帰しなさい、そうして穏やかに話を進めたらどうかと言つたところが、それはできない、こういうことなんです。こういうことで、分会員としても非常に感情がかたくなつて、新交番を暴力的にやるということで、いろいろ悶着が起きたわけです。総務課長としては、あなたは私は信用しておるから、ひとつ話し合えば解決点が出ると思うから、何とか話合いをしてくれないか、こういうことなんです。私も最初非常に憤慨したわけなんです。こういうことがないように、よく話合いをしておつたにもかかわらず、こういう状態になつたということについて、そのやり方に非常に憤慨しておつたけれども、とにかく話をしてもよろしいという考えも起したのです。しかし自分だけの考えでこれはできませんから、みんなに、総務課長がおれと話をしたいと言うけれども会つて話をしてよろしいかと言つたら、それじややつてよろしいというわけで、五分と言うが五分でよいかというわけで、五分会つて話をしたのです。いろいろ懇談して、何とか君の腹でもつてつてくれないか、それはよかろう、この状態を平静な状態に引きもどすということについては、私は自信がある、踏まれても、けられても、解散させる、その條件として、まず公安官を帰してもらいたい、公安官を帰して、あらためて旧交番、新交番の問題について、労働條件について話合いをしようじやないか、こういう約束ができれば私はやりますと言つたところが、それはできない、とにかくここのところで新交番に乗らなければ公安官を帰せない、こういうことを言う。それじや話は解決できない、今このような悶着が起きているのも、新交番について悶着が起きているのではないか、その問題を公安官をえす條件にすりかえようとしたところで、分会員が聞きません、それはあなた方よく考えてもらわなければ困る、非常にあなた方のやつていることは拙劣だ、あなたはこういつた労働問題について経験があるかと言うと、ないのだ、実は私は海運局の方から転勤して来て、初めての経験で、わからないと言う。それじやむりはないから、とにかく今までの事態は、私の三年間の組合運動の経験から行けば、公安官を帰して、組合員の氣持を冷静にさしたあかつきでなければ、話合いをして行くわけに行かないから、それをはからつてくれということで、結論としてそうしようということになつて、公安官を帰す、その代りに、そこに来ておつた組合員の人に職場に帰つてもらいたいというので、散会をさしたわけです。
  1136. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは車掌区ですか。
  1137. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 車掌区です。
  1138. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから駅で、駅長に対していろいろあつたということですが、それは御承知ありませんか。
  1139. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 それは、こまかいことは知りません。
  1140. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから、ストがやんだのは、いつどういうことでやんだのですか。
  1141. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 ストがやんだのは、ストライキという形は、りくつを言えば、九日以後われわれの方の意思によるストライキと言いますか、そういつたものはないというふうに考えております。客観的に見ればストライキ状態になつているかもしれないけれども組合としては九日の晩乗るということを申入れており、その後においては当局の方が乗務を拒否しておる。そういう状態においての、いわゆる運転がとまつているという状態ですね。平常運転ができないという状態なんです。客観的に見ればストライキになるけれども、引起したものは、現実にそれをやつておるのは管理部の方というふうに考えておるわけです。その意味で行けば、九日以後われわれの方のストライキはないということは言えるわけなんだけれども、しかし客観的に見たストライキ状態が解消したというのは十一日の朝私どもが行つて再度分会員にはかつた、そうして分会が大会を開いて大衆討議をして、ストライキを切り上げるという決議をしたときです。十一日の日の十二時前後です。
  1142. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういう決議をしましたか。
  1143. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 平常運転にもどすということです。
  1144. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは新交番とか旧交番については何もやらなかつたのですか。
  1145. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 これは管理部と大体話し合つて、旧交番とか新交番とか言つても、今じや始まらないから、とにかく長い短いは抜きにして、まず電車を動かすことが先決であるということが管理部長にようやく通じたわけです。それじやとにかく動きだそうということになつて、運転ができたわけです。その間において、現地に派遣されておつた管理部部員と管理部長との意見の相違があつたり、新交番であるとか、旧交番であるとか、一人々々の確認をとるかというふうなことを言つて、非常に事務的に仕事が遅れてしまつた。このことは大体電車区の区長も認めて確認書を出しております。ですから正確に言えば十一日の夕方のラッシュ・アワーには運転ができたはずなんです。十二時には動くということがきまつた。その後にラッシュ・アワーに間に合わなかつたということは、管理部の方の非常な手違いがあつて‥‥。
  1146. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ほんとうはいつから動いたのですか。
  1147. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 動いたのは二十時ですから八時前後というように私は考えております。
  1148. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがちようどその時分に進駐軍から列車を動かせという命令が出たそうですね。
  1149. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 二十時ごろですか。
  1150. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 十一時ごろ‥‥。
  1151. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 ですからわれわれとしては進駐軍の命令が出る前にあなた方も知つている通り、乗るということがきめてあつたけれども、事務当局の事務上の手続の拙劣さから動けなかつたということになるわけです。
  1152. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 命令の出たことは出ているんでしよう。
  1153. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 それは新聞に出た通りです。
  1154. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それに関係なくあなた方は決議したのですか。
  1155. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 命令の出る前にきまつていた。正確に言えば九日から乗ることにきまつてつたのです。
  1156. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなた方のそういうことがいつごろわかつて来ましたか。
  1157. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 これはラジオ放送があつて、それを聞いて知つたわけです。
  1158. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは臨時ニュースででもやりましたか。
  1159. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 確かラジオ放送があつたと思います。私ははつきり記憶していないが、とにかくわれわれの方としても、命令が出るとか出ないとかという問題ではなくて、とにかくあれだけの声明が出たのだからわれわれもそれは知つております。
  1160. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それで新交番と旧交番にかかわらずやる、こう言われたが、あなた方は旧交番でやるつもりだつたんでしよう。
  1161. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 もちろんこの問題は組合員がこれまで悲壮な決意をしてこれと戦いをしているもので、旧交番でなければ、あるいは新交番でなければ電車が動かないというのなら別ですが、動かないのではない。その問題はあとに残して、今はただ電車を動かすことだけだということで管理部と電話で話し合つて、管理部長に長い短いは言うまい。とにかく動かすことが先決だ。あなたもけつの穴を大きくしてやれ、小さなことを言うな。それではよかろうということになつた
  1162. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 実際は新交番でなければいけないということをあとで言つて来たわけですね。
  1163. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 それはその後の、事態の収まつたあとの交渉過程に入るわけです。
  1164. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 結局新交番でやるようになつたのですか。
  1165. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 結論は新交番でやつております。
  1166. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そして十一日の午後八時から動いたんですね。
  1167. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そうではない。話をよく聞いてください。十一日の八時に動いたということは、とにかくお客さんも電車に乗りたいから新交番、旧交番ということはまず抜きにしようということの約束ができて、話を進めておつた。そうしてやつと動いたのが八時ということなんです。
  1168. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 新交番で動くように‥‥。
  1169. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 だから旧交番で動いておるのです。――臨時交番ですね。ダイヤが乱れておるから、臨時交番で乗つてどんどん動かした。
  1170. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 結局新交番で行つたというのはいつからですか。
  1171. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 新交番で行つたというのは十七日からですね。
  1172. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 旧交番と新交番との合いの子で動いておつたわけですね。
  1173. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そうです。何といつても動かさなければしようがないですから‥‥。
  1174. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ではほかにありましたら‥‥。
  1175. 吉武恵市

    ○吉武委員 ただいまのお話を聞いて大体わかりましたが、六月三日に車掌区で合同職場大会を開いてストの態勢を整えることを決議し、六月六日にはストの決議をいたしまして、実力行使を辞せずと言つておりますが、このことは支部長の方へも連絡がありましたか。
  1176. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 私の方に正式に支部としてもひとつ覚悟してもらいたい、決議してもらいたいということの申入を受けたのであります。しかしそのことについては鬪爭委員会でよく考えてから御返事するということで保留してあります。
  1177. 吉武恵市

    ○吉武委員 そこであなたの話を聞くと、こういふ事態だから管理部へ何とかして電車を動かしたい、だから動かしてくれというように折衝されたことは電車を動かそうというお氣持であつたと思うのでありますけれども、管理部の方からはすでに新交番でやつてくれという命令が出ておる。この出した命令に対して労組の方ではそれにはおれたちは不満である。もしこれが聞き入れられなければストをも辞せずという態度を決定しておる。だからこれでそのまま電車を動かすといつたのでは、これは管理部の方が聞けばいいですけれども、問題は神奈川ばかりではなく、全体として新交番制でやろうというのですから、これをなお強行して電車を動かすということは要するに管理者の意に從わないで勝手に動かすことになりますので、やはりこれは電車は動いても正常な業務の運行にはならないと思うのですけれどもどうでしよう。
  1178. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 業務命令を出すことについて、一つ仕事を考えてみても、業務命令の線と行政行爲ということを考えなければならないその反面に、やはり今日の作業は労働関係というものがいわゆる表示一体のものとしてあるのですから、その反面を考えないということは非常に矛盾していると思う。ですから一つの業務命令を出す場合には業務上のいろいろの手続があるでしようが、その反面にこの業務命令によつて労働者がどういうふうな労働條件になるかということを合せて解決してやつて行くのが当然だと思うのです。そういうような措置をやらずに一方的にやることについて労働者がこれに反感を持つということは、吉武さんも当然御存じのことだと思います。
  1179. 吉武恵市

    ○吉武委員 それはわかりますが、あなたも御承知のように基本的な労働條件についてはすでに勤務規定ができておつて、これは公務員法に基いての実施でありますが、今年の一月にきめられ、実際に組合側とも折衝を数次にわたつてやられて一應きまつた問題ですね。その労働條件のわくの中の個人の交番ですね。それを実施する。ですからそれが一々簡單に納得できればいいと思いますよ。けれどもそういう一人一人の勤務についてまでは一々團体交渉をやらなければならぬというのはどうですか、少し無理ではないでしようか。
  1180. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 業務命令が上の方で出される場合には非常に大まかな線で出される。それが支部末端に行くに從つてそれをどういうふうに具体化して行くかということが管理部の責任でもあり、また区長の責任でもある。從つて末端に行くほど区長の苦労というものは非常に大きくなつて来る。上の方では法文とか法律を扱う机の上の仕事だけれども、現実にその法律文が現地において生きる場合には生のものにかかつて来るわけです。それだけに現場長がやりにくいわけです。ですからそこに十分なる幅があつて、少なくとも個人個人に対してはでき得る限りの便宜をはかり、労働條件をかなえてやるという現場長としての忍耐強さと、それだけの誠意がなければ今のむつかしい労働問題はとうてい解決できない。むしろ逆に上の方で大まかにきめたものを下の方で具体化する努力は十分すべきであると思う。その間のことは團体交渉で当然やらなければならないと思う。
  1181. 吉武恵市

    ○吉武委員 だから私はこの間からの証人――車掌その他のストをやられた方々の話を聞いてみると、個々の交番制も当然團体交渉でやるべきだというふうに考えられ、あるいはそう指導されておるけれども、私としては八時間制の勤務であるとか、あるいは賃金をどうするかという大まかなことは團体交渉できめて、協約にきめられますが、個々の一人々々がどの機械に携るとかいうことまで一々團体交渉を行うということは、私は非常に無理だと思う。その際に本人の意向をできるだけ聞いてやるという態度はいいと思います。けれどもそれを團体交渉で話がきまらなければおれたちは実力行使も辞せず断固これに反対するという行き方にはむりがあるのじやないか、どうですか。
  1182. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 失礼だけれども、あなた方は鉄道の業務についてあまり御存じがないと思います。車掌は全責任を持つて電車を動かしております。電車一本の中には何百人という人の生命があるわけであります。その生命を預かつた立場車掌自分の通勤状態とか、身体の疲労状態というものを考えて、こういうふうにしてもらわなければならないということは單に車掌一人の生活の問題ではなくて、ひいては電車に乗つておる人全体の問題になる非常に重大な問題です。ですから單なる慣行上において、あつちの現場、こつちの現場というような同じ考え方でお考えになると、非常に大きな誤りであると考えております。
  1183. 吉武恵市

    ○吉武委員 ところが今度の新交番制というものは、労働時間については変更はしない。特に電車区については元と同じである。きようも証人から聞いてみても電車区については別に問題がない。電車の檢査の時刻が心配だと言つておる。車掌区の方は多少九分か十分時間が延長になる。それから個々の人についいてはそれはどうこうということはあるでしよう。しかしそれは個人の苦情処理の問題であつて、それが團体交渉できまらなければそれまでは絶対に服従しないというのはちよつとむりだと思います。それは立場があるかもしれませんが、もしそれがために電車を動かさないぞ、スト態勢に入つてもかまわないぞと言うのは、そこに何か意味があるのではないか、意味がなければそれはむりだと思います。
  1184. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 あなたは事実を曲げておられる点がある。そうじやないかもしれませんが、とにかく新交番で乗るか乗らないかでストライキを決議してはいないのです。
  1185. 吉武恵市

    ○吉武委員 けれども六月三日は新交番制に反対してスト態勢に入る決議をし、六月の六日にはこの新交番制に対して実力行使をも辞せずという決議をしておる。何がほかの問題についてですか。
  1186. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 團体交渉をやつてその問題を解決しようということでやつた。今あなたの言われた通り團体交渉をすべきかどうか、それはそれぞれ御見解があるでしよう。しかしながらこの問題を解決する過程を通じて、その間に不当な処置をとられた場合には、実力行使をやろうということを言つておるように私は聞いております。
  1187. 吉武恵市

    ○吉武委員 不当の弾圧というのはどういうことですか。
  1188. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 たとえば一方的の処置をやつて、本人に対して納得のできないような処置をとられた場合です。
  1189. 吉武恵市

    ○吉武委員 しかしちやんと労働條件というものは今年の一月にきめられて、その範囲内において今のような個個の勤務の交番というものをきめるのです。この問題については團体交渉にすべきものではない。もし文句があるならば苦情処理でやるべき問題だと思う。それに対して不服であるならばわれわれはストをやるということで、新交番制に反対して、もし当局から不当な弾圧があれば実力行使をやるぞという決議でしよう。
  1190. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そこに考え方の大きな食い違いがあると思います。それは、私はあなた方に対してなまいきなことを言うようだが、労働関係というものは同時に発生したものではない。労働関係をいかにすべきかということを法律立場に立つて法律がああであるから、こうであるからああしなければならないということよりも、むしろ現実の問題をどう処理しなければならないかということが先決の問題じやないかと思います。
  1191. 吉武恵市

    ○吉武委員 あなたの考えはわかります。しかしぼくは全体から見て今度の事件は――千葉の事件でも同様ですが、区長がこういうことを言つておる。新交番制でやれ、新交番制でやつてもその中には相当の幅があるから、君たち意見もある程度いれられるのだ、だからそんな外郭團体なんか入れて騒がないでも君たちだけなら話がつくじやないかと言つても、車掌の方が反対して解決しようとしない。とうとう外郭團体が脅迫のために押しかけて来た。これは千葉の話ですが、結局新交番制で困るのは全体の人じやないと思います。全体がこの労働條件の中でやり得ることですから、困るのは全体じやない。それに対して実力行使を辞せず、ストをも辞せずというところに何か意味があると思います。
  1192. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 何度口を開いて言つても同じ事です。新交番制、旧交番制というものは全体の問題であると同時に個々の問題になつて来る。非常に幅がある。だから私どもは現場へ行つて区長さんに一回話したこともある、管理部にも話したことがある。その幅の中でうまくいじつて行けば大体従業員の方で考えておる不備な点が修正できる余地がある、それをやつて行けば分会としてもある程度納得ができる。それからまた現場の区長としても一應の弁解が立つ、管理部としても同じような立場から急いでやつて行こうじやないかと言つておる。
  1193. 吉武恵市

    ○吉武委員 この間から証人の話を聞いておると、新交番制はどつちにしても大したことがない。これが前提になつて首を切られる。それに対してストをやろうじやないかということじやないでしようか。ほかに何か意味があるのですか。
  1194. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 だから最前私は一般的な説明をしたときこう言つたでしよう。その問題は單なる新交番の問題じやない。近い将来にある十二万の大量首切りという問題に関連性があるということ、だから現場の人たちもこの問題については神経質になつておる、だから軽率な扱いはやめてもらいたい、お互いに話合つて十分に納得してもらいたいということを言つておる。私ども管理部から来たときに新交番制は今度の人員整理に影響があるかないかと言つたら、それは影響がないということを言つてつた。ところが現実の問題を見てください。やはり新交番によつて四十名が首を切られなければならぬというところに来ておる。
  1195. 吉武恵市

    ○吉武委員 それは新交番によつて首を切られたのでなく、行政整理が國会によつてきめられたからそれに基いてやるわけです。
  1196. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そうです。行政整理をやるための一つの事前工作としての新交番によつて人間が四十名余つて来る。それは今までよりも勤務時間が個人にとつて多くなる。つまり労働強化によつて四十名という人間が浮いて来る。それが来るべき行政整理の一つの対象によつて来る。
  1197. 吉武恵市

    ○吉武委員 それは当局の話によると荷扱いを直営にしたためにその人員を出さなければならぬ。それで新交番制にしたということを言つておる。この点あなたはそういうふうにお考えになるけれども、当局の方としては行政整理それ自身が目的じやない、それは荷扱いの問題であると言つておる。行政整理に反対するという意味であつても、あるいは新交番の勤務に文句があると言つても、いずれにしてもあなたは公共企業体労働関係法の第十七條で鉄道の職員についてはストはできないとして禁止規定があることは御存じでしよう。
  1198. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 知つております。
  1199. 吉武恵市

    ○吉武委員 そうすると労働者の氣持はあるでしようが、その氣持を通すためにその法律があつても、いわゆる実力行使を辞せずということが熱海の中央委員会で決議の際にもあなたの御承知のように組合の中には合法的な方法として法律のらち内でやろうという考え方と、もう一つは基本的な主張をするためには法律を破つてもそれを実行しなければならぬ、こういう考え方が現実にありました。これはあなた方の組合の中にあるだろうと思う。今度東神奈川で決議した自分たちの主張が通らなければ実力行使を辞せずということは、法律のあることは知つておるけれども、通らないときにはやむを得ずストライキに入る、こういうことですね。
  1200. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 私はこの考査委員会の性格を十分に勉強してないのでわからないけれども、とにかくそういつた問題は労働委員会の問題じやないかと思います。一應私も意見を言いますと、合法、非合法とおつしやつたけれども、そのわくをきめたのはあなた方でしよう。その場合にこのようなことが起きるということは労働攻勢が生き物であるということをあなた方がどの程度認識されて法律をきめたかどうかというところに出発点が戻つてしまう。だから私はここでそういうことはあまり言いたくない。私どもは率直に言いますけれども、神奈川縣の労働者です。私たちは鉄道がすきで入つたわけなんです。金をもうけようと思えばたとえば下品な話だが、女郎屋の牛太郎に行つたつてもつと金がもうかる。しかしそういう商賣はいやだ。やはりまじめな商賣につきたいというので、鉄道職員を選んで来た。私もその一人です。ところが私は昭和九年先ほど申し上げた通り鉄道に入つて来て、まず最初に聞いた言葉は何という言葉か。それは職場のすみで聞いたのですが、鉄道こじきという言葉です。これはまことに自分みずからを卑下した侮辱した言葉なんです。なぜかというと鉄道員の生活というものは、鉄道の給料だけではどうしても持たない。そのために親戚縁者に行つて野菜物をもらつて来たり、米をもらつて来たりして生活を補つてやつと切り抜けている。ですから私どもは非番で家に帰つて寝ています。その場合職場に事故があつてすぐ出て来て下さいと言つたら、われわれはこれから何時間行つて何円何銭の超過勤務手当になるということを考えて、すぐとるものもとらずよし来たといつてそこへ飛んで行くわけです。こういう氣持でもつて皆働いておるにもかかわらず、一方においては鉄道こじきというような言葉を言つておる。今は野菜の買出しなど常識になつておるけれども昭和八、九年ごろ、大きなこうりをかついでいなかへほうれん草を買いに行つたり、白菜を買いに行つたりする、そういうふうな生活をやつて来ておる。
  1201. 吉武恵市

    ○吉武委員 それは鉄道ばかりでなくて日本國民が今日の國力のもとにおいて、生活が非常に苦しかつたということは事実です。鉄道だけが鉄道こじきをやるというわけではなくて、日本の國民全般の現象です。
  1202. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 あなたはぼくの話をよく聞かないから言うのだけれども、戰爭中に神奈川というところは大体日本の重要産業、基幹産業と言いますか、それの大体三分の一を持つております。調べればわかると存ずるのでありますが、あの戰爭中のいわゆる戰爭インフレで工場地帯の労働者は、われわれから見てうらやましい生活をしておつた。そのときの鉄道職員の生活はどうかというと、やはりレベルは下だ。戰爭中も内職をしなければ食つて行けない。片方には軍需インフレで太つた施盤工があつた。ところが鉄道職員は默々として働いておつた。神奈川というところは産業の中心だから景氣の変動はありますけれども、いつもその下をまわつておるのは鉄道の階級です。こういう特殊事情が神奈川にはある。
  1203. 吉武恵市

    ○吉武委員 生活が苦しかつたといことは鉄道職員ばかりじやない。私ども日本國民全般がそうだあつた。それだからといつてこの間の新交番制とその話とはどういう関係があるのか知らぬけれども、この間の新交番制を実施するのに反対で、公共企業体の十七條で禁止されてもあえて実力行使する。法律できめたものでもあえてやることはどうかということを聞いておるのです。
  1204. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 私は新交番の問題をあなた方によく理解してもらうために、まずこういうふうな基礎的な條件において神奈川の労働者が生きておつた。非常に苦しい。今苦しいのは皆さんも同じかもしれぬ。一部いい人もあるらしいけれども、大体労働者というものは一般的に生活が苦しい。しかし國鉄の労働者はその中でも特に苦しい状態において、この新交番制になつて来て勤務條件がひどくなり、それから労働強化になり、それからいわゆる手当が少なくなつて来る。そういうふうな條件になつて来ると、この問題は深刻な問題になつて来る。そこを考えないと‥‥。そこを考えないで旧交番から新交番にきまつたと簡單に事務的に考えられると、われわれとしては非常に困る。
  1205. 吉武恵市

    ○吉武委員 そういう條件であるから國会できめた法律であつても無視してストライキをやるということですね。
  1206. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 それはあなたはあまり先へ行つてしまうのです。この問題について皆さんにほんとうに理解していただきたいと思つて‥‥。
  1207. 吉武恵市

    ○吉武委員 はつきり言つていただきたい。反対なら反対でいいのですよ。自分たち法律があつてもそれを無視して自分たちの主張を通す、どちらかおつしやつていただきたい。
  1208. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 私はそういうことをよくわからせるためにずつと話して来ているのです。僕の言いたいところを聞いて下さい。そういうような状態に労働者がおるのだ。自分生活の問題になつて来ると眞剣になつてくる。ですからストライキそのものが目的じやない。やはりわれわれが要求を通すためにストライキということを考える場合もある。しかしそれは最悪の場合なんだ。
  1209. 吉武恵市

    ○吉武委員 だから最悪の場合、通らぬときは‥‥。
  1210. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 挑発される場合がある。ストライキをやらしてしまえという‥‥。
  1211. 吉武恵市

    ○吉武委員 具体的にこの間の神奈川のストについて‥‥。
  1212. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 さつき私が言つた通りなんです。
  1213. 吉武恵市

    ○吉武委員 あなたの見解としては、そういうことだからやりたくはないけれども自分の意志が通らないときはやむを得ずストに入る、こういうことですね。
  1214. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 これは労働者の氣持なんですよ。そこでわれわれとしてはそういうことにならないように努力したのです。
  1215. 吉武恵市

    ○吉武委員 それはあなたが努力されたとは思いますけれども‥‥。  それからもう一つお聞きしますが、あなた方は組合運動を長くやつておられるのでしようが、國鉄は單一組合ですね。だからそういう問題があれば中央執行委員会なり中央鬪爭委員会なりで統制をとつてやるというのが本旨ですが、あなた方神奈川縣の支部長も御存じなくして、あるいは應援は求められたかもしれぬけれども職場の分会でかつてにきめて、そうして入るという点は、あなた方は好ましいとお思いになりますか。
  1216. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 これはやつぱりぼくは当局者に言つてもらいたいと思う。
  1217. 吉武恵市

    ○吉武委員 あなたはどういうお考えか知らないが、鬪爭の行き方は現在の國鉄の中でもはつきりわかれている。合法の線で進もうという行き方と、非合法でもやろうという行き方がありますね。合法で行こうという線は、できるだけ中央の統制をとつたやり方でやろうという行き方をとつているでしよう。ところが非合法で行こうというのは、中央で統制をとるとやりにくいから、職場鬪爭と称して個々の分会にかつてにやらせる。知つていても黙認するいう態度をとるところも私はあると思う。これは過去のストライキにおいて、あなたのところでもそうだつたが、全通においても行われた事実なんだ。それであなたは神奈川縣の横濱の支部長として、どちらの方針をおとりになつているかということです。     〔発言する者あり〕
  1218. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 もう一回。
  1219. 吉武恵市

    ○吉武委員 國鉄の労働組合は單一の労働組合ですから、正常な行き方としては、すべてを中央で統制をとつてやるというのがあたりまえですね。ところが國鉄の中には合法的に運動をやろうという線と、非合法でもやむを得ぬときにはやろうという線とあります。これは熱海の大会のときにもはつきり現れておる。ところが合法的にやろうという人々はそういう職場鬪爭というか、無統制な爭議というものはきらつている。ところがそうではなく非合法でもやろうという者はむしろ中央でやろうという態勢をとらないで、戰術としてかえつて職場の鬪爭をやらせるという方針をとつておる。それについてあなたはどちらのお考えを持つておられるかということです。
  1220. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 今の御質問は非常にわくをはめて右か左かというような‥‥。
  1221. 吉武恵市

    ○吉武委員 だからあなた御自身の御意見を聞きたい。
  1222. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そういう聞き方は不愉快ですよ。答弁はしますけれども一つのわくをつくつてこれでなければこれというようなことは‥‥。     〔発言する者なし〕
  1223. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 支部としての分会に対する態度を聞いておるのです。それさえはつきりすればそのほかは要らないのです。
  1224. 吉武恵市

    ○吉武委員 証人に申し上げますが、私は別にわくにはめて右か左かということを聞いておりません。こういう態度があるがあなたはどうかというのだから、そのわくをはずれてもけつこうですよ。
  1225. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そういう質問に何か私はかた苦しさを感じたから言つたのですが、とにかくわれわれの腹としてはそういうことは好んでとりたくないということなんです。
  1226. 吉武恵市

    ○吉武委員 好んでとらぬけれどもやろうというのか、やらないというのか。
  1227. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 とらないことはやらないことです。
  1228. 吉武恵市

    ○吉武委員 それであなたはとめられましたか。
  1229. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 さいぜんから申し上げた通りです。
  1230. 吉武恵市

    ○吉武委員 しかしあなたのとめられたのは組合の主張通りにやらせるということしか、あなたは交渉しておりませんね。そうでしよう。旧交番で行くということを組合が主張しておる通り。それではとめるのではなく、組合の言う通り拍車をかけることでしよう。
  1231. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 いやそれはおかしい。
  1232. 吉武恵市

    ○吉武委員 組合では旧交番でやろうというのを、旧交番でやらしてくれという交渉をされるのはそうじやありませんか。
  1233. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 労働者が旧交番でやつて行きたいというのに対して、労働組合で交渉する場合、新交番を引受けて来て、君たちはとにかく新交番でやりなさいということを押しつけることはない。それでは労働組合じやないと思う。それじや産業報國会か何かじやないですか。
  1234. 吉武恵市

    ○吉武委員 しかし違反になれば、処分も受ける。現に処分を受けた。そういう点について、もし支部長としてとめられなければ――とめられるはずですけれども、そうでないとすれば、あなたの氣持は、私にはどうもその眞意がよくわからない。
  1235. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 組合の要求にブレーキをかけるようなことはできません。あくまでも当局と交渉して、組合員の要求が通るようにしてやるのが労働組合じやありませんか。その逆の方向をとらないからといつて、私が非合法の処置を奬励したというふうな御意見は、私にはどうも服しかねます。
  1236. 吉武恵市

    ○吉武委員 それでは次にもう一つお答えを願いたい。あなたの組合は縣労会議に入つておりますか。
  1237. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 正式に加盟しております。
  1238. 吉武恵市

    ○吉武委員 それでは支部としてですか。國鉄全体の意見でなく‥‥。
  1239. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 御承知の通り琴平大会でその決定がされました。それ以前はそういう問題はなかつたわけです。ですからこれは各支部の自主性によつて、どこの分会でも琴平大会以前に縣労会議加入の事実はあつたわけです。
  1240. 吉武恵市

    ○吉武委員 琴平大会では‥‥。
  1241. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 入るということにきまつております。
  1242. 吉武恵市

    ○吉武委員 それから工代会議ということについて先ほど委員長の質問に対してお答えになつたのでありますが、現在組合では産別会議とか、総同盟その他中立の組合があるのですが、これらの組合の代表会議が工代会議だ、こういうふうにお話になつたのですが、この六月の何日でしたか、工代会議が開かれたときあなたは御出席になりましたか。
  1243. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 私もあつちこつちの会議に行つておりますので、たいていそういう代表者の出る会議には出るように努めております。これは私の責任上出るべきであると思つておりますが、この工代会議の性格は各單産の代表者が集まるというものではない、各單産というか、金属なら金属という系統立つた組織があります。その一番上の者が集つて話をするというのではなく、産別であろうが、総同盟であろうが、わくをはずして各工場の代表、だから國鉄の場合は、東神奈川の東掌区だとか、電車区、横浜駅という分会單位で、それで集まるようになつておる。
  1244. 吉武恵市

    ○吉武委員 その代表者というのはその組合全体の決議で代表者が出るのですか。ただ代表者として個人が出るのですか。
  1245. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 代表者ですね。工代会議ですから‥‥。
  1246. 吉武恵市

    ○吉武委員 代表者というのは組合長はふつうなら決議をしなくても代表者ですね。ところが組合長が出られるのか、組合長でない人が出られるのですか。
  1247. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 それは組合が、君行つてもらいたいといえば、それが代表になる。
  1248. 吉武恵市

    ○吉武委員 機関の決定によるのですか。よらないでそれぞれ工場の代表者だということで意見を同じとする者だけが集まるのではないのですか。
  1249. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そうではありません。
  1250. 吉武恵市

    ○吉武委員 そうすると総同盟の人もこの間の工代会議に集つたのですか。
  1251. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 それはよく知りません。
  1252. 吉武恵市

    ○吉武委員 日ごろの工代会議に総同盟の人も集まるのですか。
  1253. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 労働委員の選挙という問題では集ります。
  1254. 吉武恵市

    ○吉武委員 日ごろただ何でしよう、産別系統、共産系統のものだけが集まるのではないのですか。
  1255. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そういうことはありません。
  1256. 小玉治行

    小玉委員 先ほど吉武さんからお聞きになつた点に関連するのですが、こには國鉄の中央委員会で決定した事項の指令権の問題、どこで指令権を持つかという問題に関連するのですが、これまでお聞きした点では、たとえば熱海決議で最悪の場合にはストをも含む実力行使を行う。最悪の場合とはこの本部の團体交渉が決裂した場合を言う。ここまではわかるのですが、それから先本部の團体交渉が決裂した場合においてストに突入する、その指令権がどこにあるかという問題について二ような考え方があるということを、この中から言つておる人がある。一つの考え方は中鬪で指令を発しなければ、支部なり分会なりはストに突入することはできないという考え方が一つ、他の一つの考え方は、この本部中鬪からの指令がなくても、各分会なり支部なりに本部團体交渉が決裂した場合には、ストに突入するという命令を発する権態が、本部の中鬪の指令に基ずかずに、各地区において分会ないしは支部において、その命令を発することができるという二つの考え方を述べておる人があるのですが、あなたとしてはどういう解釈をとられて支部なり分会なりを指導されておるかということをお聞きしたいのです。
  1257. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 これは組合の規約の問題というか、組合の内部の問題で、これはおそらく皆さん常識的にご理解になつている通りです。
  1258. 小玉治行

    小玉委員 あなたは指令権の存在についてはどちらの見解が正しいと思つて分会なり支部なりを指導されておるか。
  1259. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 ストライキの指令権というものは本部が発し、それから支部に行き、分会に来るわけです。これは組合の規約によると言いますか、組合の今までのあり方はその通りつておる。
  1260. 小玉治行

    小玉委員 規約にはそうなつておるが、その規約でやるのは規約的であつて承服できない。それは正式な解釈でないのであつて、その規約的でなくて、支部なり分会なりが中鬪の指令に基かずにやる得る機能があるという見方をしておる人がありますが、その見方を正しいと思つておられるか。あるいは規約通りにやられるというのが組合の指令権の存在については正しい解釈であると思われておるか。
  1261. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 それはやはり労働者の客観情勢によつてかわると思います。それは不測の事態ですよ、いわゆる不測の事態が起こり得るということなのです。
  1262. 小玉治行

    小玉委員 不測の事態が起り得るということは、分会なり支部なりが本部中鬪の指令に基かずして行動を起すことがあり得るということですか。
  1263. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 それが労働者の意思によらず、他から誘発されてストライキ状態になる場合がある。たとえば労働者がこれ以上たえることができぬという重大なる侮辱を受けた場合、これは労働者本来のものであつて、さつき私が言つた、法によつて労働関係が発生していない、こういう考えを敷衍して行けば、そういうような状態があり得るわけです。やはりこれが今の憲法で言つておるところの人権を尊重して罷業権を認めたゆえんだろうと思つております。そういうような立場から、他から誘発して労働者がやむにやまれなくなつて自然発生的に立上つた場合にストライキならストライキという実力行動をとるという場合もあり得るということです。
  1264. 小玉治行

    小玉委員 しかしそれは指令権の問題とは別個ですね。
  1265. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 その通りです。
  1266. 小玉治行

    小玉委員 それは指令権とは別個にそういうことが起り得るかもしれませんけれども、それは指令権と離れておる問題である。指令権の存在はどこまでも本部中鬪にあるという御見解ですね。
  1267. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 中鬪にあり、中鬪から委託されたろころの指令によつて働くことができる。
  1268. 小玉治行

    小玉委員 結局は本部にあるということですね。
  1269. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そうです。
  1270. 小玉治行

    小玉委員 わかりました。ちよつと言い漏しましたが、そうしますと、この東神奈川でスト状態に入つたという問題、あるいは千葉で電車に乗せないというような問題が起つたのですが、東神奈川はスト状態であるとすれば、それは中鬪からの指令ではなかつたのですね。
  1271. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 その通りであります。
  1272. 小玉治行

    小玉委員 そうしますと、さつきあなたの申したような外部からの圧力によつてああいうことをたつた。そういうふうにお考えになつておりますか。
  1273. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 外部の圧力というのはどういう意味ですか。
  1274. 小玉治行

    小玉委員 あなたの言いました外郭團体、組合員にあらざるものの圧力によつて、中鬪の指令に基かずしてそれに入る場合があり得る、それは労働者実情からそういうことはあり得る、こうおつしやつておいたが‥‥。東神奈川の例というのはいかに解釈しておるか。
  1275. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 速記者の人はよく注意して書いていただきたいのですが、私はそういうふうなお答えはしておりません。労働者がいわゆる雇い主によつて重大なる侮辱を受けた場合ということを言つたでしよう。他の外部團体とかそんなことを言つておりませんよ。
  1276. 小玉治行

    小玉委員 私はそういうふうに思つたのです。あなたの証言を‥‥。
  1277. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そういうふうなことを言つてやられては困る。
  1278. 小玉治行

    小玉委員 あなたが言つたのがそうでなければ訂正してよろしい。
  1279. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 それは証人を侮辱しておりますよ。
  1280. 小玉治行

    小玉委員 何も侮辱しておらぬ。それならば、それでよろしいが、東神奈川の件は、そうすると雇主すなわち当局が起した問題だ、あなたはそう解釈しますか。
  1281. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 その通りです。
  1282. 小玉治行

    小玉委員 そういうふうに解釈されておる、その点を具体的に話してください。雇主すなわち鉄道当局の挑発によつてつたものだとあなたが断定されるならば、そのことを具体的に述べていただきたい。私は外郭團体その他の挑発によつてやむを得ずやる場合はあり得るというふうに、私、あなたの証言をとつたのですが、それが間違いであつて、あなたの言わんとするところは、雇主の挑発によつてそれが起り得る、その場合を指すというならば、東神奈川の例においては、はたして雇主の挑発によつてつたかどうか、その点についてあなたはそう解釈されるというならば、具体的にそれを述べてもらいたい。
  1283. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 おちついて聞いていただきたい。あなたが最前のような重大な聞き違いをされると、私も話のつじつまが合わなくなつて困るのです。作爲的なことでなく聞いてもらいたい。それは本来團体交渉にのせてやるべきものを、團体交渉いまだ半ばにおいて一方的に結論を出して、押しつけて来た。その結果、十名の不当馘首ということになつて来た。ですからこの十名の人に限らず職場全体の人が新交番には反対であるという意思表示があつた。皆さんが反対であつた。それにもかかわらず單なる十名の人をやつたということは、組合員を非常に侮辱していることになるのです。
  1284. 小玉治行

    小玉委員 業務命令を下すのは当局である。
  1285. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 これは労働者を侮辱することである。労働者の権利を否認した形になるのだから‥‥。
  1286. 小玉治行

    小玉委員 業務命令をくだすこと、あるいは首を切ることが労働者を侮辱するとは、ちよつと聞えない。
  1287. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 あなたは労働者立場に立つて物を考えたことがありますか。ないでしよう。ない方にはおそらくおわかりにならぬと思う。だから最前から私がいろいろな横浜の鉄道こじきまで出して、そうしてあなた方に説明してあげるというつもりで私はやつておるのです。
  1288. 小玉治行

    小玉委員 私はどこまでも法治國であるから、法律の建前から、命令の建前から論じておる。
  1289. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはいわゆる意見の相違でしよう。では松本君。
  1290. 松本瀧藏

    松本(瀧)委員 時間もたちましたし、証人もお疲れのことでございますから、少しダブつた点もあることと思いますが、簡單にいたしますから、その点御了承願います。  十名解雇さえたという案件につきまして、あなたはどのようにお考えになるか、ストをやられたのは不当弾圧のためであるというお考えであるかどうか。そうであるとするならば、旧交番制はどこまでも実施すべきであつたかどうかということ、この二点について簡單にお答え願います。
  1291. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 質問の第一点は十名の解雇が不当弾圧であつたかどうかということですね。それからもう一つ‥‥。
  1292. 松本瀧藏

    松本(瀧)委員 不当弾圧であつたかどうか。次に十七日の日の新交番制になつたというのですが、その間において旧交番制によつて実施されるべきであつたという観念のもとに、あなたがストの解決にたずさわつたかどうか、この二点であります。
  1293. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 最初の十名解雇が不当弾圧であつたかどうかということですが、これはお隣の方にただいま申し上げた通りでありまして、われわれとしては当然労働條件として團体交渉をして双方が歩みよる場合もあると思います。そういうふうな状態において解決すべき問題を、その方を交渉中にもかかわらず打切つて、そうして業務命令を強行したというところに、一つの作業をするについては業務命令の準備もあろうし、また労働條件というものがある。そのうらはらの問題が一方的にしか措置されていなくてやられたということについて、これは交渉したり話合いをするのは当然なのである。それを一方的に措置して、馘首をもつてむくいたということ、これは明らかに不当であるというふうに考えております。これは間違いありません。  それからあとの交番制の問題ですが、交番制の問題は、組合員の氣持としては旧交番で行かなければならないということなんです。しかし旧交番、新交番の問題でいつまでも紛爭を続けるということは本位ではないということです。ですから双方が歩みよつてそこに結論を出したいということでわれわれは措置して来たわけです。ですから新交番に移つたということは――あとからどうせ新交番に移るならば最初から移つた方がよかつたのではないかというあなたの御意見だろうと思いますが、そうじやないですか。
  1294. 松本瀧藏

    松本(瀧)委員 そうです。
  1295. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 その点はやはりわれわれも交渉過程を通じて来て、やはり山というものはあるわけです。ですからあのストライキによつて十名の不当馘首者が出たというような状態を考えて行つて、これ以上続けて行けば、さらにいわゆるぼくの言うところの当局の挑発によつてますます犠牲者が出るということになるわけです。そこでわれわれはその犠牲を避けるために、やむを得ず新交番というものをのんで行く、そうして基本的な問題を團体交渉によつて解決して行くという考え方になつたわけです。
  1296. 松本瀧藏

    松本(瀧)委員 簡單ですからもう一点だけ‥‥。あなたは本席において支部の委員長としての資格で出ておられますが、政党関係についてどの方向で現在おありになるかという一点を‥‥。
  1297. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 私はきようは支部委員長の資格をもつて、支部の労働組合の代表者としてここに出席しておるわけであります。
  1298. 松本瀧藏

    松本(瀧)委員 個人としての資格は、あるいは政党色があるかどうか、あるいは共産党員とか、あるいは何党とか、そういうようなことを伺いたい。先ほどの証人にも言つたのですが、その党籍を明らかにしていただきたいと思います。もちろん自分の不利あるいはその他において、これを答る必要がないというならば、これはあえて求めません。党籍があるかどうかということを伺いたい。
  1299. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そのことは私が今まで申し述べたことにどういう影響があるか、それは知りませんけれども、御存じの通りどもの國鉄労働組合の中には、いわゆる民同があり、マル共あり、あるいは革同があり、こういうふうな組合です。私も横浜支部の中におきまして共産党員であります。共産党員であるにもかかわらず、私は組合員立場に立つてものを考え、ものを行つて来たということになつております。だからこの問題に対して言う必要はないと思つたが、一應申し上げます。
  1300. 石田一松

    石田(一)委員 ちよつとお尋ねしますが、あなたは業務局長に会つて、新旧の交番制の問題を言つておると問題は解決しない、現在電車がとまつておるのを動かそうというのが先決問題であるから、新旧交番制の問題は一應伏せて、とにかく電車を一應動かすということに腹をきめてくれということをおつしやつて、それではそうしようと了解した局長というのは‥‥。
  1301. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは管理部長です。
  1302. 石田一松

    石田(一)委員 管理部長というのは、そのときにはつきりとあなたたちの申出を了承したのですか。
  1303. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 その通りです。私が一回電話をかけまして、あとから副委員長が一回電話をかけてきました。緊急の場合ですから電話をかけたのですがはつきりとその形が現地に出ておるのであります。
  1304. 石田一松

    石田(一)委員 もう一つお尋ねしますが、区長が管理部長に、東神奈川では現に新交番制で乗つているという報告をして来ていることを了承していたようですが、六月一日から九日まで東神奈川ではどの交番制で乗つてつたのが事実ですか。
  1305. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 旧交番制です。
  1306. 石田一松

    石田(一)委員 そうすると、旧交番で乗つていたのを、区長の腹で管理部長に新交番制で乗つていると報告したのですね。
  1307. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そういうふうに解釈がつきます。現実に管理部長はそう言つております。
  1308. 石田一松

    石田(一)委員 管理部長自身としてはそれを了承していたわけですね。
  1309. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そういうわけです。
  1310. 石田一松

    石田(一)委員 もう一つ、これは問題が違うのですが、公安官というのがこの間からずいぶん出て来るのですが、これが警察権のようなものを持つてつて、國鉄ではたいへん威力があるらしいのですが、この公安官は大体國鉄では何をするのですか。従業員を取締るのですか。
  1311. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そういうふうなことは全然聞いておりません。大体公安官というものはすりがあつたり、かつぱらいがあつたり、あるいは迷子があつた場合に、警察の代わりになつて仕事をする、こういうことになつておりまして、労働組合運動の取締りのためにあるとは私聞いておりませんし、そういうふうには理解出来ません。
  1312. 石田一松

    石田(一)委員 この公安官は、どういう人から選ばれて出ておりますか。
  1313. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 大体現職の職員のうち、公安官を希望する者を募集したわけです。
  1314. 石田一松

    石田(一)委員 車掌さんとか、運転手さんとか、乗務員から出ておりませんか。
  1315. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そういう人も一部あるかもしれませんが、大体は、兵隊帰りの人で元氣のいい人を集めているようです。
  1316. 石田一松

    石田(一)委員 どれくらいいるという話を聞いておりませんか。
  1317. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 私細かい数字は今覚えておりません。
  1318. 石田一松

    石田(一)委員 その公安官というのは、すりとか迷子があつた場合に、列車、電車の正常なる運行を維持するためにあるのですが、それがあなた方の運動に対して、要するに三十名ばかり東神奈川に来たわけですね。
  1319. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 三十名ばかり来まして、その後も東神奈川にはずつと入つておりまして、いろいろトラブルを起しております。
  1320. 石田一松

    石田(一)委員 何か武器を持つておりますか。
  1321. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 大体、非常の場合には拳銃を持ち、棍棒を持つということになつているようです。
  1322. 石田一松

    石田(一)委員 そうすると、日本の國家警察、地方自治体警察以外にいるのですね。
  1323. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そういうことです。
  1324. 聽濤克巳

    聽濤委員 先ほどから業務命令、業務命令ということが非常に他の委員で問題にしているのですが、業務命令に違反した、それで非合法だというふうな聞き方が非常に多いのです。しかし大体國鉄あるいは全通なんかでも、こういう官業関係の労働爭議の場合には、これは明らかに当局も使用者の一人に過ぎないと思うのです。ここに新交番、旧交番の問題について紛爭が起つている、ところがそれに対して当局は、業務命令と称して、そして有無を言わさずにこれに從え、これに從わなければ首にしてしまう、こういうやり方は、これはまつたく、非常に善意に解釈しても、ただ当局が爭議に対して、いわゆる組合の行動に対して対抗するための当局側の爭議行爲だとしか考えられない。事実労働委員会においてもそういう解釈がもつぱら行われている。それを称して業務命令だ、こういうことを言うのは、当局はたまたま使用者であると同時に権力者だ、だから彼らは労働爭議に対して正当に行動するのでなしに、いざとなつて自分がぐあいが悪くなると権力行使をすぐ行つて来る。まつたく混同してしまつて、爭議に対して権力行使をやつておる。こういう点が問題の紛糾の大きな原因になつておるじやないかと思われるのですが、組合ではどういうふうに考えておりますか。
  1325. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 その通りであります。私は今までの当局のあり方を考えてみると、当然労資の紛爭として解決すべき問題とか、あるいは当選話合わなければならないことを一方的に業務命令でやつて来ようとしておる。そこにわれわれは最前から申しておる納得のいかない点があるのですよ。少なくとも一つの作業をするという上に立つて者を考えれば、行政上の立場もあると同時にやはり労働者立場も見なければならぬということもあると思う。片一方を見て片一方を見ないという態度である。われわれは今までは團体交渉や何かにおいて組合側の交渉が拙劣であつて、そういうことをさしてしまつたということがあつたけれども、最近はそうではなくして、一つの強圧的なねじ倒そうというような形をもつてつて来ているのですが、それが非常に今の現場の人たちの氣持をこじらしておると思う。この点をわれわれ大きい問題としているわけです。
  1326. 聽濤克巳

    聽濤委員 よくわかりました。その通りだろうと思います。もう一つお聞きしたいのですが、権力行使をやるために事実上今まで新交番の問題についても当局は團体交渉を拒否しているというのは、実は自分たちにはぐあいが悪いので権力行使で行つた方がとにかく組合を力ずくで押さえることができるという、こういう作戦であるということを感じられるのですが、いかかですか。
  1327. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 ストライキまで起きたあと、われわれが事態を収拾しようといつた場合、これは眞劍な氣持で行つた場合に、十分間で話をすまそう、こういうような無誠意なやり方ですね。それからまたその前においてわれわれと会つたときに話をすると非常に物のわかつたようなことを言うわけですね。ですからぼくらが車掌区長のところに行つてとにかく三者でもつて納得の行くような形を打出そうじやないかということを相談したのです。区長さんもいろいろ問題があるだろうけれどもひとつそこまで話を割つてすべきじやないかということを言つたわけです。だけれどもそのとき区長が管理部のやり方も私は納得いかない、今あなた方の言うことを聞くと非常に管理部が話がわかつているようなことを言つているにかかわらず、一方において業務命令を出して来る、私はその中に入つてまことに困るというふうなことを言つてつたわけです。ですからこの点をあなたにも管理部に行かれたときによく話合つてもらいたい、それからまたもし行くなら私も行つて三者が会つて話そうじやないかということまで言つているわけです。こういう状態で、一方において組合と会談するときには非常にうまいことを言つていながら、片一方においては裏から業務命令を出しておるというような非常に矛盾した状態が今回の事件には相当あつたわけです。こういつたものが今回の事件においてますます紛糾を重ねて行く。ですから私は率直に申し上げますけれども、何と言うか、労働行政が未熟であるとかいう問題じやないと思う。これは総務課長が海運局から来られたということで、私も個人に会つていろいろ話をしておりますが、われわれとしても悪辣な人間とは思いませんけれども、とにかくそういうような、反面において片一方から業務命令を出して来るというようなやり方は、何かそこに作爲があつて、そうしてまた局や何か上の方からの指令によつてやむを得ずやつておるのじやないかという筋を考えるわけです。これは労働者のひがみであると言われるかもしれませんが、私たちほんとうに現実の問題として扱つて来てそういうことになつております。私は自慢するわけじやありませんけれども、新橋管理部の高官が轉勤するときは私にいつもあいさつ状ををくれています。これは支部長という立場でなく、さきに申し上げました通り私も精勤賞を持つておりますが、そういうものを超越して私のところにいろいろの手紙をよこします。こういうことからいつて私も努めて管理部の人間を良心的に解釈しようと思つております。しかしもし管理部がそういう氣持でなかつたら、これは高いところからの力によつて労働行政をゆがめようとしておるように感じるわけです。この点はわれわれが議員の皆さんに今後とも鋭く追求してもらいたいと思う。
  1328. 聽濤克巳

    聽濤委員 今日までに十二万人の行政整理をやる大きな問題を控えておりましたから、当局がこの爭議の状態が非常に深刻になるということを考えて、そういうことを意識的にやつているという点、これが私は根本の問題であつて、鉄道の從業員をそういうところに追い込んだ。私はそういう考えを持つておりますが、もう一つお聞きしたいのは、十日の日の朝から正常の運転をやるということを申し入れた。ところが列車が動かなかつた。その状態を業務管理だ、業務管理だと言つて大分さわいでいる人があつた。しかしお尋ねしますが、業務管理という状態だつたら、どういう状態になるか。つまり管理部の命令で動くのではなくて、労働組合がもう全部管理してしまつて、こういう状態が業務管理じやないかと思うのですが、その点十日の日の実情を話していただきたい。
  1329. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 十日の日に朝乗務を申し入れた際ですが、あのときは――そういう声の中にストライキもあれば業務管理もありますが、もしわれわれが業務管理をやるときには、二・一ストのときにストライキ・ダイヤを組んだ、こういうダイヤを組んでやるわけです。しかしわれわれとしては、そういうことじやないのです。とにかく当局に申し入れたということは、最前から申し上げた通り当局のダイヤに乗つて運転しようということです。それだけの違いです。
  1330. 聽濤克巳

    聽濤委員 そこが重要です。あなた方の労働組合の方はそういう行動をとるべく申入れをしたわけですね。
  1331. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 その通りです。
  1332. 聽濤克巳

    聽濤委員 これは明らかに業務管理でも何でもないわけですね。
  1333. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そういうことです。
  1334. 聽濤克巳

    聽濤委員 ところが実際上電車が動かなかつた原因は、どこにあるか。
  1335. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 これは当局が、東達甲五百八十三号を出した。車掌区の仕事の分担がありますが、その分担を全部八王子車掌区と品川車掌区にわけてしまつたわけです、ですから残つたのは鶴見線と貨物線の一部なんです。ですから事業場閉鎖でないと言えば、確かに二箇所残つているわけです。しかしこの事業場閉鎖というような東達甲の五百八十三号ですが、これが十一日以降平常状態に復したら自然解消だということなんです。永久命令であるものは簡單な理由によつて取消しができない。ところが運転が平常状態になつたら自然解消だということは、明らかに紛爭に対して当局がとつた爭議行爲としての事業場閉鎖という作爲のあつたものと私は考えております。
  1336. 聽濤克巳

    聽濤委員 それは結局永久命令の形で出しておきながら、爭議が済んでしまうと解除してしまつたやり口から見ても、つまり当日組合側が正常運転をやろうというのを意識的にとめるために出した‥‥。
  1337. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 その通りです。
  1338. 聽濤克巳

    聽濤委員 ところでもう一つ、当日の問題についてこういうことを言う人がある。当局の方は組合の方で正常運転をやると申し入れて来たけれども、しかし新交番で乗るならば動かすと言つた。これが根本の問題だつたのではないかということを言う人があるのですが、当日組合側に対して、車掌区なら車掌区に対して、管理部なら管理部から、お前の方の申入れは了承した。しかしそれは新交番で乗るなら電車を動かしてよろしいというふうに申入れがありましたか。
  1339. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 それは現地に来ておつた人たちの考え方らしかつたです。現地に来ておつたのは労働課長、労働係長と運営係長じやないかと私想像していますが、これは調べてみます。そのことは不確かであるということは考えておいていただきたい。とにかく管理部から人が来ておつて、そして運行が普通に動くということになつて、まことに意外に思つたらしいですね。当初まさか動かしはしまいと思つたところ動かすということになつてきまつてしまつた。それで当局として事務的にも澁滯しておつたようです。しかし出先に来ている管理部員としては、この際平常状態に復するならば、新交番に服した方が自分の手柄になるのではないかというような考え方から、新交番でやるというようなことを言つたらしいのです。このことはあとで本人が言つたことですが、管理部長は一体どういうような氣持だかわからない、新交番で乗せろというのか、旧交番で乗せろというのかわからないと言つてつた。当局としてはでき得るならば新交番でそのままやつてしまおうと思つてつたらしいのですが、あの混乱の場合には臨時交番で、臨時におる者から乗せて行くということで行かなければならない。ですから、新交番、旧交番ということをそのときに論ずることは非常にばかげたことで、できないことなんです。われわれとしては何でもよいから動かせということになつて、それでは動かそうということになつて臨時交番ということになつたのです。
  1340. 聽濤克巳

    聽濤委員 ところがあとになつてみると、実はそのときすでに東達五百何十号というのが出ておつて‥‥。
  1341. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そうです。
  1342. 聽濤克巳

    聽濤委員 それが実際上は車を止めたという事実ですね。
  1343. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そうです。
  1344. 神山茂夫

    神山委員 今の点に関連しておりますが、あなたは支部長だから御存じないと思いますが、神谷助役がここに来て、新交番で乗るか、旧交番で乗るかという問題をやはり固執しておるわけだ。そうして確認証を皆からとつたということをここで証言しておるわけですが、あなたはそれを聞いておりませんか。
  1345. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 その確認証という意味は、管理部あたりの意向としては、平常状態に復するという確認をとるつもりであつたらしいのです。ところがそれがいろいろかわつて来て、新交番か旧交番かというような確認になつて来たらしいのです。そういうふうに当局側において意思の疎通が欠けておつて非常に紛爭を深めたということが言われておるのです。
  1346. 神山茂夫

    神山委員 あなたの先ほどのお話ですと、十七日になつて新交番が行われた、その間は臨時交番で行かれたと言いますが、神谷助役はその日にみな確認証をとつた言つておるのだ。こういうごたゴタがあつたことが、夕方のラツシユに車が動かせなくて、やつと二十時になつて車が動いたということの大きな原因であつたのではありませんか。
  1347. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そうです。何でもよいから動かせと言つたというように管理部へ私どもが電話をかけて、管理部長と確認したことは、腹でやろう、長い短いを言わずに、とにかく動かそうということになつたわけですが、管理部長のその意向が、現場にそのまま傳わらなかつたわけです。ですから現場においては旧交番だとか、新交番ということを言つて車掌区の区長と、管理部から派遣されている役人の間にいろいろ悶着があつて遅れたわけです。つまり組合車掌区との間に悶着があつて延びたのではなく、当局の間において悶着が起きて延びたということなんです。
  1348. 神山茂夫

    神山委員 從つて車掌区長の伊藤榮一君が、自分の名前を書いて判を押しているという確認証ですね。組合からは十二時から仕事についくと通告があつて、運転が遅れたのは業務上その他によると言つておる、この確認証は本物ですね。
  1349. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 あります。今は持つておりませんけれども、支部の金庫の中にしまつてあります。
  1350. 神山茂夫

    神山委員 それがわかればいいのです。  それから三日の協同鬪爭委員会にあなたはお出になつていなかつたのですか。三日の十時から――これは吉武君が非常に好きで、何とかしてものにしようと思つて食い下つている三日です。この三日の臨時合同、職場大会においでになつていませんか。出ていなければ出ていないでいいですよ。記憶がなければ記憶がないでいいです。
  1351. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 ストライキ態勢を強化せよ――これですか。
  1352. 神山茂夫

    神山委員 そうです。
  1353. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 これには出ておりません。
  1354. 神山茂夫

    神山委員 問題はそこを聞きたかつたのですが、ストライキ態勢を強化せよという決議があつて、それを支部が申し入れて来たでしよう、それに対してどういう態度をおとりになつたか、それを聞きたい。
  1355. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 これはストライキ決議を、合同大会を開いて、私のところに決議文として持つて来たわけです。私はちようど支部にいたので、それを受けて、あなた方の氣持はわかる。しかし問題が重大であるから、鬪爭委員会にかけてお答えをしましよう、というなりになつてつたわけです。
  1356. 神山茂夫

    神山委員 それで今度は五日の日には、さつきから明らかにされた公安官が来たり、管理部員が三十人も来て、もめて、それをあなたが総務課長とまとめたわけですね。その直後の六日、やはりそういうことがあつたので、みな腹を立てて、支部鬪爭委員会もありましたが、分会が決議した。それがさつきからひつかかりになつておるのですが、不当弾圧のあつた場合は実力行使も辞せずと決議しておるわけですね。これは全員一致で決議されておるというように言つておりますが、事実あなたの方にはどういう報告が来ていますか。
  1357. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 このことについては、今実は刑務所に入つていますが、人民電車の件で被疑者として入つておる人が一番よく知つておるのですが、実は僕は十一日の日に、やめてもらいたいということを、大会に行つて話したわけです。そのときに不覚にも涙を流したわけです。
  1358. 神山茂夫

    神山委員 あなたが泣いたのか。
  1359. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 ええ、私が‥‥。とにかく車掌区といえば一應鉄道職員の中ではインテリゲンチヤなんです。中学卒業程度の学力のあるこういう人たちが、よくまあこれだけの決意をしてくれて、鬪つて、ほつぺたをへこましてやつてくれた。その人たちが率直にわれわれの言うことを聞いて、やめてくれるという氣持になつたことを考えると、実際私は涙が出たわけです。それを牧田君がいて、私は涙を流さない、私はこれからますます労働者のために鬪うのだ、と言うので、私は何だか情けない氣持になつて、泣いたわけです。その人が、私はしかし涙を流したことがあると言う。なぜかというと、その決議をしたときといいますから、たしかにこのことだと思いますが、全員がやつたときには涙を流した。しかし今は涙を流さないということを言つておりました。私はこのことを聞いて、僕の涙を流した意味がよくわからないのだと思つて残念に思いましたけれども、そういうことがあつて、とにかく私が今考えておることでは、このストライキを決議したときに、牧田君が涙を流したように聞いておりますので、おそらくはその全員一致でやつたのではないかというように考えております。私もはつきりこうだということは、現地におりませんから、言えませんけれども、話のすじをたどつてみますと、そのときは涙を流したというから、おそらくそのときではないかというように考えております。
  1360. 神山茂夫

    神山委員 それで、そういうふうにみんなが空氣が高まつて来ておるのに、九日の首切りがあつた、そういうわけですね。
  1361. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 そういうことです。
  1362. 神山茂夫

    神山委員 それで今度はまたあつと来てしまつた。だからむしろこれは自然発生的なものではなかつたか。
  1363. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 先ほども私の申し上げた通りですね。
  1364. 神山茂夫

    神山委員 今何と答えたのです。
  1365. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 その通りであります。
  1366. 神山茂夫

    神山委員 それから九日の日に、すでにあなたの方では分会に対して、この爭議をできるだけまとめるようにというふうに言われておりますが、その意思が十分に生かされなかつたのは、六月十日の十二時十五分にまた車掌篠崎君、柿井君、大木君、こういうふうな人がまた首切られたことが、やはり大きな刺激になつていはしないかと思うのですが、こういうことはありませんか。
  1367. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 大体十名の問題で問題が落着けば、それほどのことにはなかつたわけです。これは團体交渉に乗せてもらえば何とかなつたわけです。それにもかかわらず、さらにやられたということが組合員に深い衝撃を與えたということは事実です。どなたがお考えになつても、そのことは納得行くと思います。言葉をかえて言えば、問題がこじれたということになります。
  1368. 神山茂夫

    神山委員 委員長も先ほどから連合軍の指令のことを非常に忠実によく聞くのですが、しかしこの点で一つ誤解があるというのは、アンダーソン中佐の‥‥。     〔「勧告であつた」と呼ぶ者あり〕
  1369. 神山茂夫

    神山委員 いやいや、あわてるなよ。今そこでやじつておりますが、命令でなくて希望であつたということ以外に連合軍の命令によつて管理部側からいろいろ何か言つたような事実はなかつたかということを私はお尋ねしたい。
  1370. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 これは九日にストライキをどうするかという問題で、最前お話した通り、管理部長が不在ではあつたが、代行者と会つて交渉したそのあとの帰りがけに管理部の渉外課長がこういつたものが来ておるということを言われました、私どもそれを聞いて来たわけです。これは組合に対しての命令ではなくて管理者に対しての命令があつたというふうに私ども解釈しております。それに対しての管理部の責任がとられたかどうかということは疑問だと思います。
  1371. 神山茂夫

    神山委員 そういうものが四つばかり来ていると管理部側では言つておるわけですね。
  1372. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 ええ。
  1373. 神山茂夫

    神山委員 今の九日の場合、それから十四時二十分にはも一つ来ておる。十六時二十分にももう一つ、十六時三十分にもこれは管理部の発表に発表によれば四ついろいろな希望條件みたいなものが来ておるらしいのですが、管理部側ではさかんに指令々々と言つておるのですが、これが指令であるかどうか、あなたは確かめたことはありませんか。
  1374. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 確かめたことはありません。
  1375. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 アンダーソン中佐に会つたときの前後の事情から見ますると、前に管理部が連合軍の指令だと言つたものが、実際に連合軍の指令であつたかどうかということについてはどういうふうにお考えになりますか。
  1376. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 私もこの点については非常に疑問に思つておるのですが、最終的なアンダーソン中佐のお話も聞き、なお私ども横浜の地元の軍政部、その労働化の方にもしばしば連絡しております。いろいろの意向も聞いておりますが、直接にはアンダーソン氏からもお話はなかつたわけです。労働課の方に行きましてもそういうふうな話は聞いておりません。おそらくは管理部に来たならば軍政部の労働課の方に行つてもわれわれの方に話があるべきものと思つております。私ども今回の爭議に対しては、横浜の軍政部それから憲兵司令部、これあたりに連絡をとつて行動しておりましたが、その後の問題については、いろいろ折衝は持つております。
  1377. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 先ほど簡單に言われたわけですが、私はその新聞を読んでいないのだが、アンダーソン中佐に会つて話したことが読賣新聞に出たときに、この点はお褒めの言葉にあずかつた。これをマツカーサー元帥にも報告しておくというふうなことを言われた。それが読賣新聞に出ていたということですが、それはどういうことなのですか。
  1378. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 これもくわしく書いてありますが‥‥。
  1379. 神山茂夫

    神山委員 そのくわしいところをちよつて言つてみてください。
  1380. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 これは私が言つたのでありませんけれども、六月の十四日十時より十四時十分まで、第八軍の労働課長のダーテイさんとマチーネス幹部候補生、これに井上通訳女の方ですが、この方と労組側として相沢副委員長、成瀬、その他何名か行きました。いろいろ聞いたりしたときに、たまたまダーテイ氏がこういうことを言つておられます。私が思い出すには、組合も経営者も今度は法をよく知らなかつた。今度のことも法をよく研究していれば別の方法があつた。多少時間はかかると思うが今度の問題は法よつて民主的に解決することができる。特に今日私は横浜支部の人にお礼を言いたい。それはスト期間中非常に協力的であつた労組は早くから職場に復帰する意思があつたことである。私はこのことをエーミス氏に話して、特にマツカーサー元帥に傳えてもらうようにしなくちやならない、私は長い間東洋におつたので、東洋人のことはよく知つている。東洋の人は上からの命令があるとよく動くという習慣があるが、自分で自主的に動くことは少ない。こういうことを私どもは言われたわけです。
  1381. 神山茂夫

    神山委員 それで今の東洋人に関する件ですが、東洋人は上からの命令にはよく從う‥‥。     〔発言する者多し〕
  1382. 神山茂夫

    神山委員 それから警察官、これは上からの命令によく從う。しかもかれらの最近の常套手段は、連合軍が実際に命令を発していないときに、あたかも命令のごとく振れまわつて、またそれを下のものに押しつけるというのが最近のやり口なのです。それで私は本考査委員会で白帶車のことが何度も出て来る。それから連合軍の指令のことが事実かどうか知らなかつたのですが、しかし今のダーテイ氏の一言でこの点が一應明らかになつた。褒められたことがいいとか悪いとかいうことは別として、自主性に組合員諸君がやつたのが不正確であれば、支部がこの点について自主的に認めたいということを私は認めるにやぶさかでない。そういうふうな行き方をして来たあなた方でありますから、問題は十日の晩になりますが、中鬪と一緒に國鉄の当局と團体交渉をされましたときの状態を簡單に話していただきたい。
  1383. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 具体的にこまかくは‥‥。私どもが中鬪と話があつたのですが、われわれの方は支部として参加を許されましたが、中鬪の委員がおられることであるから、あまり出しや張ることはなかろうと思つてつたわけです。問題はまず今回の十三名の方、その他よそにもあつたのでしようが、この方々の首切りを白紙に戻して、あらためて團体交渉をやつてもらいたい。こういうことでいろいろ悶着があつたのです。それはできないということでいろいろ論爭があつたわけです。問題が具体的な東神奈川の問題になりましたので、今私が皆さんにお話したように、この地域の事情からわれわれの組合立場、それから新交番旧交番に対する組合員の関心というものをずつと話したわけです。ところが中鬪としても現地の状態に対しては、いないのですからよくわからない。私の話で大分理解がついたらしい。当局も一應首をかしげて聞いてくれました。私の発言が終つたあとで休憩をしてもらいたいということを言われたのです。私が話したためではなかろうけれども、ともかく横浜支部のものがいろいろ話した後休憩してもらいたい。そのときの長官の顔も大分様子がよくなつて来ておる。それで官側の方々はみな退席された。そのあとで中鬪の諸君が君たちのお蔭でもつて非常に空氣がよくなつた。おそらくこの問題は考えられないのじやないかというふうに、非常に期待をもつて迎えてくれたわけです。私も私らの喋つたことで有利になれば結構なことだと思つてつたわけです。で再開されて、その結論はやはり前とかわらなかつたのです。ですからその間どういうふうな打合わせをされたかしれませんが、一應はわれわれの意見によつて氣持が動いたというふうに組合としては考えておるわけなのです。
  1384. 神山茂夫

    神山委員 その動いた場合私たちの聞いておる点は動いた張本人は、今は氣の毒なことになくなられた下山総裁であつたと聞いておるのですが、これに対してあくどいねじを入れてもう一ぺん蒸し返して来たのはこの次証人に呼びます加賀山副総裁と牛島事務局長、こういうふうな話を聞いておりませんか。
  1385. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 下山総裁といろいろ問題があつて、交渉をしておりましたから、あの人の氣持はわかつておりましたし、大体古い方ならばあの人と一緒に生活をした方が多いわけです。ですからあの人のことについてはいろいろ知つておりますけれども、私が受けました発言から何から言つて非常に威たけだけだつたのは牛島さんです。あの方は非常に頑強な態度をとつておられたように感じます。
  1386. 神山茂夫

    神山委員 それで牛島君のことは牛島総裁といつてもらつて、そのまま速記にとどめてもらつた。これは皮肉ですが、実際に牛島が牛耳つていたということは鉄道の行政全体で――、牛島だから牛耳るのかもしれませんが、全体にこういう印象があるわけで、さて問題の一番根本に帰つて、新交番政の問題が問題になるのですが、あそこにさつきから食いついていたのは吉武君、前の労務次官、この人がいつも言うところによりますと、新交番制になつたつて七分か八分しか長くならないんだ。そんなことは苦にならないはずだ。それから職場の上の方の業務部長だとか、区長あたりまでそういいますが、助役になると少しつらい、こう言う。職場の諸君に聞くととてもつらい。あなたのところはただ八分か、九分時間が延びるだけなのか、また違つた時間が延びるのか、さらにそれが違つて来れば、実際の生活にどういうふうに響いて来るのか、こういうふうな点を簡單に重点だけをよく民自党諸君もわかるように教えてやつていただきたいと思います。
  1387. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 実は私は乗務員関係でなくて、私自身が、新交番を理解するのに非常に苦しんでおるのですから、おそらく大方の皆さんも簡單に御理解できないと思います。私がいわゆる門外漢として考えて、一番重要といいますか、必要と考えた点だけを申し上げますれば、問題は三つあるようです。  一つは休養時間の問題、それからマネーです。マネーは必要ですが、そのほかに休養という問題がある。これは特に運転関係をやつている方々は神経を非常に使つているわけです。私どもの職場は機械工場ですが、旋盤一台を扱つております。旋盤扱つてものを削つておりますが、前の晩夜ふかしをしたり、何かして目が疲れている場合にやつておりますと、切り粉が飛んで来て、目にささるのです。ところが前の晩によく寝ていると神経が働いて、来る間にまぶたがふさがつて予防することができます。こういうふうに労働者にとつて睡眠と休養ということが非常に大きな問題になつて来るわけであります。ところが列車の運転は、車掌は勤務が朝出て晩帰るというようなものでなく、朝出てお晝に帰つたり、また午後に出たりするというふうに一つの型がないわけです。非常に浮動なんです。それから仕事が朝明けてうちへ帰るという場合に、うちへ帰つてお晝のめしを食つても、子供の顔を見てからすぐ出て来なければならない。それよりもむしろ職場で休みたい、こういう氣持になるわけです。ですから極端な話ですが、一番困るのは新婚の方なんです。新しい妻君をもらつてもなかなか家庭的に円満がとれない、こういうふうなものでありまして、非常に交番制によつて勤務される方は問題があるわけです。やはりそういうことを考えまして、十分な休養をとらなければならない。まず休養をとるためにはうちへなるべく帰ることですからうちへ帰ることができなければ、近くに官舎なり、何なりを持つということです。それができないで、結局職場にとまる。職場にとまつた場合に職場の環境はまことに悪い。これは一回おいでになつて、現地を見ていただけばよくわかると思いますが、非常に悪い環境です。そういうふうな状態でもつて睡眠はとれないというので、今度の勤務制になると今までなら二日ぐらいの徹夜、徹夜を繰返して非番になるわけです。非番になつてそれからまた公休になるわけですが、今度はとまり、とまり、とまりというふうに三日を重ねて、その次の日が日勤になる。日勤になるといわゆる予備になつて欠員があつた場合に乗らなければならない。結局三日とまりをやつてうちへ帰れない。四日間というものはうちへ帰れない。最後の五日目にうちへ帰れる。こういう状態になるわけです。ですからもちろん職場にあつて電車、汽車の通る喧騒なところで十分に寝られない。と同時に自分の食糧とか、そういつたもののめんどうを自分でみなければならぬという、非常に苦痛があるわけです。こういう点が休養の問題と設備の問題で彼らの大きな不満の理由になつているわけです。それからもう一つは例を一つの会社にとつてみましよう。常傭で働いておる場合に旋盤工場がある、機械工場がある。それから火つくり工場がある。火つくり工場からでき上つた品物を旋盤工場に運んで旋盤の職人が品物をつくる。ところが火づくり工場の手待ちができる、請負作業なら別ですが、常傭の場合は手待ち時間も勤務時間に入るわけです。それが今度は手待ち時間が一日の手間から除かれる。これと同じような考え方が今度の交番制にあるわけです。それは何かというと東神奈川を発車した電車が東京駅に行きます。東京駅で車掌がおりて、そこの車掌と交替して今度は東京駅から赤羽駅の電車に乗らなければならぬという場合に、乗りかえの時間があるわけです。この時間は当然一日の勤務時間に入るべき時間です。ところが、その時間の半分というものは自分待ちになつて来る。ですから工場における手待ち時間と同じようにこれの半分は自分の収入から減る。また車掌というものは同じところを何回も往復するのではなくて、今お話したように東神奈川から東京へ行き、東京から赤羽に行き、東京へもどつて来てまた鶴見にもどつて行くというふうにダイヤがいろいろあるわけです。乗替えるたびごとに待ち合せの時間の半分というものは損をして行く。これは大きく手当に響き、自分の給料へも響いて来るわけです。それから徹夜の場合もやはり睡眠時間が非常にそういつた意味で減つて行く。こういうところに収入の面においても新交番によると非常にマイナスを來すことになつて来るわけです。
  1388. 神山茂夫

    神山委員 そういう点があつた上に、しかもそれが結果ではもちろん立証されておりますが、交渉過程ではつきりいたしておるように、定員法に基く行政整理とからみ合つて来たということ、そのことがみんなを不安に追い込んだのじやないですか。
  1389. 城戸崎亨

    ○城戸崎証人 これはさいぜんお話したように、とにかく四十名の予備員を出せば残つた人間は労働強化になる。結局予備員をそに持つて行くというと行政整理の下準備ということになるのです。
  1390. 神山茂夫

    神山委員 私は今まで証人を目の前に置いて結論を言つた覚えはないのですが、民自党諸君が大いにやつているから結論をつけたい。今の事実を聞きますと実際に今までも苦しい車掌生活であつた。鉄道從業員一般苦しかつた。いわんや行政整理とからみ合う新交番制は労働條件に直接響いて来る。從つてこの問題を解決するために当局といろいろな形で團体交渉をやろうとした。ところが團体交渉を当局はいつも断つて来た。あるいは無視している。さらに公安官の実態はどうか。すりやなんかを取締まるべきものが職場の從業員の運動を弾圧するようにしている。首切りはどんどんしている。このことが自然発生的に九日の鬪爭に追い込んだ。さらにこの問題を解決するために組合側は終始誠意をもつて努力しているにもかかわらず、当局側があの永久命令なるものを出して来て逆に挑発している。至るところでこういう事実があるということを認めざるを得ない。從つて一番最後に連合軍側からも支部側から、及び從業員諸君がこの問題を解決するために努力されたことは大いに認められている。こういうことになるのじやないかな。
  1391. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それこそほんとうの演説だ。それじや済みました。速記をとめて下さい。どうぞ‥‥。     〔速記中止〕
  1392. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 速記を始めてください。  お諮りいたします。明日は午前十時より開会いたしまして、本日残りました西田富蔵君とかねて決定しておりまする証人を調べることにいたします。  それから二十五日はやはり午前十時より開会いたしまして、田中証人とそれから前にきまつておりまする証人とを調べることといたしたいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  1393. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではさよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後八時三十一分散会