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1949-07-19 第5回国会 衆議院 考査特別委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年七月十九日(火曜日)     午前十一時五十六分開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 池田正之輔君 理事 大橋 武夫君    理事 小玉 治行君 理事 高木 松吉君    理事 内藤  隆君 理事 猪俣 浩三君    理事 小川 半次君 理事 神山 茂夫君    理事 石田 一松君       安部 俊吾君    井手 光治君       菅家 喜六君   橋本登美三郎君       福井  勇君    吉武 惠市君       椎熊 三郎君    聽濤 克巳君       寺本  齋君    浦口 鉄男君  委員外出席者         証     人         (日本國有鉄道         東神奈川駅長) 吉田 俊介君         証     人         (日本國有鉄道         東神奈川電車区         長)      佐藤  實君         証     人         (日本國有鉄道         東神奈川車掌区         首席助役)   神谷 仲次君         証     人         (日本國有鉄道         東神奈川車掌区         鬪爭委員長)  井上 勘一君         証     人         (日本國有鉄道         東神奈川電車区         副運轉士)   片岡 敏男君 七月十八日  委員篠田弘作君辞任につき、その補欠として菅  家喜六君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  國電スト問題   —————————————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより会議を開きます。本日も引続き國電スト問題につき調査を進めます。  さつそく証人より証言を求めることといたします。ただいまお見えになつている証人吉田俊介さん、佐藤實さん。  これより証言を求めることになりますが、証言を求める前に、各証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証への宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき出項に関するとき、及び医師、歯科、医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて默黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられかつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。吉田さん代表してそれを読んでもらいます。     〔証人吉田俊介君各証人を代表して宣誓
  3. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 署名捺印願います。     〔各証人宣誓書署名捺印
  4. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 証言を求める順序吉田さん、佐藤さんの順序でお聞きいたしますから、佐藤さんはもう一度元の控室でお待ちを願います。  吉田俊介さんですね。
  5. 吉田俊介

    吉田證人 はい。
  6. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは東神奈川駅長ですか。
  7. 吉田俊介

    吉田證人 そうでございます。
  8. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いつから駅長をおやりでありますか。
  9. 吉田俊介

    吉田證人 昭和二十四年、本年の三月三十一日発令で、現在に及んでおります。
  10. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 本年六月九日からいわゆる新交番制の実施にあたつて、あなたの駅で労働組合人々ストライキをやつたそうですが、そういう事実はありましたか。
  11. 吉田俊介

    吉田證人 新交番制車掌区の関係になりまして、私の駅といたしましてはストライキはやつておりません。
  12. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どこでやりましたか。
  13. 吉田俊介

    吉田證人 車掌区と電車区において……。
  14. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたの駅のですね。
  15. 吉田俊介

    吉田證人 私の駅の構内にあります東神奈川車掌区、電車区においてストライキをやりました。
  16. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのストライキをやつた人々のいわゆる会の所属、または党派別等はおわかりでありますか。
  17. 吉田俊介

    吉田證人 それは私ちよつとわかりません。
  18. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どれくらいの人数の人がやつたかもわかりませんか。
  19. 吉田俊介

    吉田證人 九日と十日の日に馘首された人員だけは聞いております。そのストライキに参加した人というのはわかりません。
  20. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで承りたいのは、そのストライキに入りまする前後の事実について、あなたの方でおわかりになる程度のものを聞かしてもらいたいと思います。
  21. 吉田俊介

    吉田證人 駅の関係駅長関係としまして、大体六月五日ごろの関係から一應話をさしていただきたいと思います。六月五日に私の駅の闘爭委員が、九時四十五分ごろ私の所に参りました。参つた者は副分会長安西、武井、足立、こういう共産党員であります。團体交渉の問題を強調して來たので、私は現場長組合分会とが團体交渉の単位として交渉を持つことはまだきまつていないはずだ、自分のできる相談なら受けると言つて断りました。この日に車掌区の問題が起りましたことを一應述べます。  この朝、新橋管理部業務課長総務課長一行十五名ぐらいだつたと思います。それに公安官二、三十名ぐらいが、新交番の問題で車掌区に來た。その内容経過は知りませんでしたが、晝過ぎに二回にわたつて、第一回に公安官、第二回に課長一行東神奈川車掌区を引上げまして、駅から電車乘つて帰るとき、組合員外部友誼團体が駅の横浜線ホームに入つて、第一回百五十名ぐらい、第二回百名ぐらいが赤旗を数本持ち込んで、撃退騒ぎをしました。第二回の騒ぎは十三時ちよつと前であつたと思います。私が……。
  22. 神山茂夫

    神山委員 委員長議事進行について——駅長さんが参考資料を読まれるのはよいけれども、今見ていると、書いて來たものをそのまま読んでいるように見える。この点やはり事件眞相を知るためには、委員長としても十分考慮する必要がある。すでに労働委員会でも陳述されていたことだから、ダブつたり、違うところもあるだろうが、その違うところが大事なんで、書いて來たものをそのまま読まれるのはどうかと思う。
  23. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大事をとつてお読みになるのだろうと思うが、なるべくはそれを参考にして、事実を述べてください。
  24. 吉田俊介

    吉田證人 私は報告をしなくちやならぬ関係があるものですから、お手紙をいただきまして、いろいろまとめたのですけれども、まだ完全ではないかもしれません。
  25. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大体それを基礎にして述べるということにしてください。
  26. 吉田俊介

    吉田證人 ちようど日曜でありまして、横浜貿易博覧会お客が非常に多かつたのでありまして、私は晝飯を食べてホームに出ておりました。そうしましたところが、電車区の分会員三、四名が私の所へやつて参りまして、私を取囲んで、何だ、駅長業務課長なんか送りやがつて、けしからぬやつだ、こういうように一喝やられたのであります。私は何も業務課長を送つていない。業務課長がどこから乘つたか、おれは知らないと答えましたところが、いや今日はこれからお前、駅長團体交渉があるのだ、皆が待つておるからやつて來いというので、強要されたのでありますけれども、私はそのままホーム駅長事務室の方に歩いて参りました。そして歩いておりましたら、反対側ホームで二十人ぐらいの人間が、何だ、そつちでやるのか、そつちでやるのならそつちでやるような考えがあるのだと、大きな声でどなつておりました。私は事務室へ参りまして、そこにおりました仲手川という助役が当日当務助役でございましたので、一應來てくれというので、仲手川助役と同行して部屋に入つて行つたのであります。そうしましたところが、もう私の部屋入口の戸、窓を全部はずしまして、そのときの人員は百人ぐらいいたと思いますが、いすなどを机の上にやり、またこういうところに全部腰かけまして、長いすなどにも全部立つている。私の所に戸棚があるのですが、その戸棚の上にも一人上りましてラジオに腰かけている。入つて参りましたら、親方來たぞ、通してやれ、こう言うのであります。私は入りまして、ようやく自分いすに腰をかけたのでありますが、私の机の上、本箱の上に乘つている者に、そこをおりてくれないかと命じたのであります。そうしましたら私のすぐ前におりました二、三の者が、何だ、こんなものはみんな國鉄のものだ。いわゆる人民のものじやないか。てめいのものじやないじやないか、こう言つてなかなか聞かないのです。しかしどう言つても、ぼくはやはり保管管理をしているのだ。そういうことをしては困る。ことにそのラジオは私物であるから、おりてもらいたい、こう言いましたら、やつとおりたのであります。それから私のちようど前に、たしか東神奈川電車区の加藤というのが來ておりまして、そのときもう部屋の中から、このやろうはふといやつだとか何とかという言葉が盛んにして來ましたので、あつちからこつちからそう言われても困るのだ。君ちようど前にすわつているのだから、議長格になつて、ひとつ統制をとることができないのかと私が話しましたところが、それがだめで、そのうちにもたしかこのやろう、ふといとか何とか盛んにまた言つておりました。時計を見ましたらちようど十三時ごろで、それから十七時十五分ごろまで、カン詰戰術で、組合側友誼團体も入れかわり立ちかわりになつてつておりましたが、このとき私の見ましたのは、内部組合員関係は三鷹、中野、千葉、田町、蒲田、東神奈川、この車掌区、電車区の人たちじやなかつたかと思いますが、約七十人ぐらいおつたかと思います。これは発言関係でそういうことに氣づいたので、あるいは違つているかもしれませんが……。次に友誼團体は、そのとき神奈川縣工代会議というのをやつておりましたが、その中の東芝の人が名乘つて東芝の赤い旗を持ち込んでいましたから、それはよくわかつているのですが、そのほかの方はどこの友誼團体であつたか、よくわからなかつたのであります。  この交渉内容は、大体次に述べますような二つであつたと思うのであります。その第一は、整理馘首をしないということの現場長確認書をとれという指令が出ておつたのであります。それに判を押せということが、内部側関係では第一の問題であつたと思います。いろいろその問題でも長くやりまして、それがもしできないなら、組合共同戰線をやつたらいいじやないかとか、今度整理人員がおりて來たら、まず第一に駅長、お前の名前を書くことを約束したらいいじやないかということを言つておりました。第一の問題はそういう内部の問題であつたと思います。  第二の問題はポスターを張らしてくれ、友誼團体の人は、われわれは何のために來ている。國鉄労働戦線が破れると、われわれがスクラムを組んでこうやつておることがだめになるのじやないかということを、よく認識しておいてくれということを言つておりました。それからポスターを張ることについてカン詰戰術で、私非常にそのとき集團的の圧力を受けまして、実際初めは何も言わないことにしておつたのでありますが、雑誌でそでをたたくのもおりましたし、私は怒つたのであります。その前に二・一ストのとき、今品川の車掌区長をしております飯田君が、私の前の駅長時代にやはりポスターの問題で、電車区の人に一ぺん顔をぶたれたという話を聞いておりましたし、私もいろいろがんばつたのでありますが、隣にすわつていました助役が、一應私に意見をしてくれまして、まあ一つの場所をきめて、ある程度黙認することにしておいたらどうでしようかということでございましたので、私ももうどうせあぶないと見ましたから、一應今助役の話したようなことを條件つきで黙認することにするから、そういうように承知してくれないかと言つたのです。そうしましたら黙認の確認をよこせとか何とか言いまして、大分やかましいことを言いましたから、ぼくだつて紳士協約をやつておるのだと言い、次に助役が立ちまして、おれもいるのだから大丈夫ということで、ようやくけりをつけたのであります。終りましたのは十七時十五分ごろだつたと思います。私も帰る時間だ、またあした來てやろうかとか言つておりましたが、一應それが済むと、すぐアカハタ特報という、ちようど新聞の半分くらいの紙がありますが、それに分会名前——ここにその当時のものを私全部はとつておりませんが、一部とつております。アカハタ特報とか、横浜民報分会関係とか、友誼團体の壁新聞といいますか、こういうものがべたべた私の駅のホームとか、跨線橋に張られてしまつた。今申し上げたように一部はとつてあります。五日はそれで終りましたが、そのとき便所なんかに行くときも、十四、五人ついて來ますし、このやろう逃してはいけないとかいうので、とてもものすごいのです。どうやら私も早く帰つた方がいいだろうというので、助役に連られて帰りました。  六月九日のもようを一應お話しますが、この日はちようど私のところで、点呼後に幹部会をやるということを、前日にきめておつたのであります。そうしましたら九時四十分ごろ井上分会長ほか数名が、話があるから申込みに來たというので、入つて参りました。その内容は一として、警官の無賃乘車については、組合は取締りをすると警察署長言つておいてくれ。その二には、私参りましてから、いろいろ組合との問題で会つたのでありますが、六月四日の闘争委員会内容知つて、いろいろなことを言つて來ております。三には、駅長は五月十八日の大会共産党はきらいだと言つたが、何のために言つたのか、これは強く抗議を申込まれましたので、私はあのときやはり大会に出席したが、非番の者が出るということになつていたのだ。ぼくも組合員の一員として十八日に出ることにしていた。ところが十七日に君たちが出てくれというのでぼくは出たのだ。そのときの模様も窓なんかはずしまして、車掌区、電車区の者が全部外側におりまして、いろいろ話すと長くなりますから略しますが、私も、共産党関係安西とか、もう一人安立、こういう先生らが勤務があるのに出ている。傍聽くらいならよいが、あしたもやるのだから、勤務勤務でついてくれ。それから傍聽だけでなく発言をするような態度に出ましたから、いかぬじやないか、君らはきよう出番、だから、一應自分の番にやつたらよいだろうということで、私はとめたのです。そういうことで私はあのとき、君らはそういうことをやるからきらいだということを言つておいたはずだ、この点をはつきりしてようやく引取らしたのであります。その引取つた時間は十時十五分ごろだつたと、私時間だけは書いております。  それで十時三十分から臨時の幹部会を開いたのでありますが、これはちようど翌十日から小口扱いの貨物の還元問題で、これは荷役と要員の面につきまして打合せがおそくなつたが、しようということで相談をしておつたのであります。その会議をやりまして打合せ中、十時三十分ごろだつたと思いますが、東神奈川車掌区で十名の馘首者が発表されたということを聞いたのであります。それからしばらくたつて四十分ごろだつたと思いますが、車掌区がストに入つた、こういうことを聞きました、幹部会の方は十二時ごろ閉会したのであります。  それから十二時十分ごろ私が弁当を食べようと思つておりましたら、横浜支部共産党員の成瀬君が参りまして、駅長ちよつと、これは管理部長から聞いたことなんだが、一應話しておこう、今の現場長はセンスが足りない、考えがないのだ、こういうことを私に言いましたから、ああそうか、管理部長課長東大出の方がおられるらしい、しかし御承知のように現場長には大学出も少いのだ、そうかもしれぬと私が言つたのです。そうしましたら今度は、民同の巣であつた神田辺の地区と、民主化を唱える横浜地帶の革命的なところとは違うから、この條件をよく考えて合致することが必要だということを言いまして、ぼくはこれから車掌区の問題で管理部に行くのだと言つて、すつと席をはずしてしまいました。このころ電車の警笛が盛んに鳴りまして、スクラムを組んだ友誼團体——二十五人、三十五人、五十人以下の團体がほとんどであつたと思いますが、続々やつて参りました。もう車掌区の入口のところに赤旗が数本立ててあつたのであります。私はこの赤旗関係ある團体じやないか、こう思つておりました。それからこれは時間がちよつと書いてなかつたのですが、横浜支部のやはり共産党員の荒井君というのがやつて参りまして、労働者二千名くらいが飯が食えなくて、縣廳に押しかけて行つておる、これらの者は失業者だと思うがどう思うか、あるいは一部がこの辺に來るかもしれないだろう、こういうことを言つておりました。そういう労働者の方々と見られます者が、やはり駅の附近には來ております。こういう点でああいう人を指してそういうことを言つたのだなと思いました。  東神奈川の駅の電車関係で一乘務員が二人乘らなくて電車運轉休止のやむなきに至つたのは次の電車でありますけれども、そうなりましたので、管理部助役から報告をしたということを聞いております。それから私の方も駅でとまりました電車お客に対し、いろいろ近所の社線なんかとの連絡をとるとか、そういうような万全の処置をとつたのでありますが、大体京浜線の方の上りは一一六二A、十一時五十分の赤羽行から車掌がおりました。それから下りは一〇六七A、十一時四十八分、これは櫻木町行きの電車でありましたが、それからもおりまして、横浜線の方は一一〇一H、十一時四十七分八王子行きに乘車をしなかつたのであります。  そのとき十二時十分ごろだつたと思いました。横浜地檢紺野清吉檢事から、神奈川署まで來てくれという使いが参りまして私参つたのであります。そうしましたら署長室へ参りまして、当時の状況報告をどんな模様か、駅長さん知つてる範囲で答えてくれないかというので、お答えしました。そのときは署長もおられましたが、先ほど申し上げました六月五日の件を話しまして、そうしてカン詰なんかにあつて警察にうまく連絡ができないこともありますけれども、そういうときはひとつ交番で情勢を判断していただくなり、私もまた私の身辺があぶないときはつとめて連絡をとりますからということで、お願いして帰つたのが、十三時ごろだつたと思います。  そうして夜中にやはり貨車輸送をやりまして、ちようど上りの方の貨車混合列車とが遅れまして、一時二十五分に貨車輸送がようやく終りました。しかしその日はちようど雨が降つたりやんだり、一時強く降つたこともありまして、電車区の構内にありました電車に、雨のために集合しておる方はほとんど乘つたと思います。私もいすにもたれて一睡もしなかつたのですが、私のうしろの方で二時から三時の間相当集合して來た人もあつたと思います。それで六月九日は非常に不安な一夜を明したのであります。
  27. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで先ほどおつしやつた整理に、馘首しないというのは、このあとに來る行政整理ですか。
  28. 吉田俊介

    吉田證人 そうです。これはあの行政整理整理をしない確約書という、組合の方でつくりました印刷物があつたのです。
  29. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはあなた拒否したのですか。
  30. 吉田俊介

    吉田證人 拒否しました。そのときの関係は一問一答で、女の人が四、五人來て速記しておりました。そのときは表へ出てやれ、聞えないぞと言いましたが、マイクロフオンまで持ち込んでいましたから、私は五十人ぐらい相手になつて話したのですが、くたびれましてハンカチを顔に置いて黙つたら、このやろう、ふといたぬきなやつだとか、水をぶつかけてやれとか、大分いろいろ言われました。
  31. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 わかりました。ところが九日の夜と十日の午前とに、駅の構内か前で乘客大会というものが開かれたそうですね。
  32. 吉田俊介

    吉田證人 それは私よく知らないのです。駅の前と言つても、おそらく車掌区のさくの中じやないかと思いますが、私としては見ておりませんし、聞いてもおりません。
  33. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 駅の廣場でやつたようなことはありませんでしたか。
  34. 吉田俊介

    吉田證人 九日も——私のところは戰災のバラックの駅でありまして、部屋ガラス代用ガラスで、外の関係はあけておらないとよくわからないので、それはちよつと氣がつかないのであります。
  35. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではよろしゆうございます。
  36. 吉田俊介

    吉田證人 六月十日、いわゆる人民電車の第一回の日でありますが……。
  37. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いや、順序を追うて聞きましよう。そこであなたはMRS司令部アンダーソン中佐から何か命令を受けましたか。
  38. 吉田俊介

    吉田證人 それは聞きましたが、私直接聞きませんで、助役から聞きました。何か電車区の構内にある白帶車に、そういう人たち乘つているようだ、これを警察連絡をとつて処置せよという話を聞きました。
  39. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはいつごろ受けましたか。
  40. 吉田俊介

    吉田證人 助役から聞きまして、時間はよく記憶しておりませんが、二時十五分ごろ……。
  41. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 九日ですか、十日ですか。
  42. 吉田俊介

    吉田證人 九日の夜ですね——十日の朝になりますね。
  43. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 十日の朝の二時……。
  44. 吉田俊介

    吉田證人 二時十五分ごろだつたと思います。時間はよく記憶しておりませんが、助役警察連絡に行きまして、私あとでそれは聞きました。
  45. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 もつとその内容を詳しく承りたい。白帶車の中へ入つておる者を出す……。
  46. 吉田俊介

    吉田證人 白帶車の中へいろいろな人が入つておるそうだから、それを警察の協力を得て出す手配をしろ、そういう話があつたので……。
  47. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 一つ警察でできなかつたら、他の警察にも應援を求めて出せとかいうような命令があつたとか……。
  48. 吉田俊介

    吉田證人 それは聞いておりません。
  49. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それを受けて、あなたはその白帶車の中へそれを傳達いたしましたか。
  50. 吉田俊介

    吉田證人 私自身はやつていませんで、助役の方に電話がかかりましたので、私のところは不安で電氣を消しておつたのであります。ほかの者は翌日非番残つた者もおりましたし、庶務あたりも全部残しておりましたから、大半の者は横になつたのでありますが、私はあのとき寒かつたし、ほとんど長いすに横になつた程度で、そう寝ていないのです。
  51. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで白帶車におる者に対して、だれがそういうことを通告いたしましたか。
  52. 吉田俊介

    吉田證人 助役が通告に行きました。
  53. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何という助役ですか。
  54. 吉田俊介

    吉田證人 込山という助役が参りました。それをあとで、夜が明けて、こういうことをやつたというので、まあ以後にそのことを聞いたのであります。
  55. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 込山助役はその白帶車のところへ行つて、今こういう命令があつたということを通告したわけですか。
  56. 吉田俊介

    吉田證人 命令があつたからということで、警察連絡をとりに行きました。
  57. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 白帶車には直接言わなかつたのですか。
  58. 吉田俊介

    吉田證人 直接には警察の方が三、四人か來て、それらの人がやつてくれたというように聞いております。
  59. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで警察の方が來て、白帶車に退去するように命じましたか。
  60. 吉田俊介

    吉田證人 そういうように聞いております。
  61. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが出ましたか。その命令によつて……。
  62. 吉田俊介

    吉田證人 それはおそらく出たと思いますが、私その点ははつきり聞いておらないのであります。駅の者も立ち会つていないらしいのです。あるいは電車関係構内でありますから、電車区の関係者立ち会つてつたかもしれません。
  63. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その白帶車には許可を得て入つたりですか。それともかつてに入つたものなんですか。
  64. 吉田俊介

    吉田證人 これは私はよく知りませんが、おそらく許可なく入つたものであろうということが考えられます。
  65. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それに入るときは何かあなたの許可でもいるのですか。それともさらに進駐軍の許可でもいるのですか。
  66. 吉田俊介

    吉田證人 停留電車については、かぎが締めてあるんじやないかと思います。どの程度つたか、その点も私よくわかりませんが、それは電車区長の方の関係になつております。
  67. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 もしそういうものに入るとすれば、日本の法律に触れるだけじやなく、進駐軍の何かにもなるのではありませんか。
  68. 吉田俊介

    吉田證人 もちろん入つたとすれば、そういうことになると思います。
  69. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 かぎが締めてあつたかどうかは御承知ありませんか。
  70. 吉田俊介

    吉田證人 それは今申し上げておるように、電車区の方の所管事項になつております。
  71. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはどういう目的でその白帶車の中へ入つたのですか。
  72. 吉田俊介

    吉田證人 その点は私にはわかりません。
  73. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういう者が入つてつたかもわからぬのですか。
  74. 吉田俊介

    吉田證人 電車の中へは、雨が降つたために外部の友誼團体から來ておりました人がみな入つて、盛んに夜でも警笛を鳴らしておりましたようですが、鳴らし通しに鳴らしたのは六時二十分ころだつたと思いました。勧告文を持つて警官がカッパを來て参りました。このときその電車区の方へ入つていた警官が、こちらに何人くらい來ておつたか私見ていないのですが、カツパを來まして五十人くらいじやなかつたかと思います。その点はつきり数字は記憶しておりませんが、一應入つて來た、こういうことはその日にありました。
  75. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 警官が入つて來ておろしたのですか。
  76. 吉田俊介

    吉田證人 勧告文を持つて一緒について來たということですね。それは聞いております。
  77. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その勧告文によつて出たか出ないかは知らないのですね。
  78. 吉田俊介

    吉田證人 それはおそらく出なかつたと思いますね。それは出ろという勧告文ではなく、ストをやめろというような勧告文じやなかつたかと思うのです。その内容はよく存じませんが……。
  79. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 白帶車のことについてはあまりよく御承知ないのですか。
  80. 吉田俊介

    吉田證人 白帶車のことは助役に聞きました。夜間連絡がありましたので……。
  81. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは電車区の方の仕事ですか。
  82. 吉田俊介

    吉田證人 仕事は電車区の方です。
  83. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その白帶車の管理責任者は、電車区長ですか。
  84. 吉田俊介

    吉田證人 電車区長です。
  85. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが人民電車と称するものが出たようですね。その点はいつどういうことで出たのですか。
  86. 吉田俊介

    吉田證人 お答えいたします。六月十日に駅の分会でも車掌区、電車区の共同闘争に入つておりましたが、入つたのは五月下旬ごろだと記憶しております。私、日はよく覚えていないのですが、九日の車掌区の馘首十名の発表に対して、三分会の連合大会を望むというので、駅での緊急職場大会を点呼のあと、九時四十分ころから開きまして、十二時ころ終つたと思います。そのとき次の事項を決議したと聞いております。駅分会も同調する、その時刻は闘争委員会に一任する、こういうことがきまつたということを聞いております。それから引続きまして闘争委員会をやつてつたようであります。十六時ころ突然、私の部屋の隣に湯のみ所があつて、そこに來ておつたと思うのですが、井上分会長ら数名が現われました。そのとき私の前にちようど毎日新聞の社会部の記者の平野勇夫さんという人が來て、話をしておつたのです。ぽかつと入つて來ましたから、平野さんにこちらへどうぞお願いいたしますというので、いすをかわつてもらいました。そうして仲手川助役を呼びまして、私の隣に坐らしたわけであります。それから私は分会長に用件を聞きましたところが、申入書を持つてつたというので、六月五日に先ほど申しましたような目にあつているので、あぶないと思いまして、うしろの窓ガラスにかぎを二箇所ちやんと締めて、あけないことにしておつたのであります。入つて参りますと、分会——これは共産党で、闘争委員じやないのですけれども、その日休みの石井健というのが、最初平野さんの坐つておる上の窓のかぎをあけたのです。それで私は助役に締めろと言つた。そのときは部屋にはそうお客もいませんでした。分会員も二十名内外しか來ていなかつたようです。そのうちにだんだん明け番の者なんかが入つて來た。またいつの間にかそつちをだれがあけたか、それはちよつと私わからなかつたのですが、今度は私の方の窓を私の前に坐つてつた分会長が立ちまして、自分であけようとしましたものですから、困る、ぼくは身辺があぶないから締めていてくれないか、こう話した。そうしましたら、その点は私が責任を持つからと言われましたので、私も最初そのときはまだ窓の外には五、六人しか人はいなかつたし、またあけた方の窓にもだれもおりませんでしたので、まあ大丈夫じやないかと思いまして、大丈夫かというので、井上君がまたこつちへすわりまして、それから内容を拜見したら、その内容にこういうことが書いてあります。「緊急職場大会の決議に基き次のことを申入れる。電車区、車掌区及び組合の自主的管理による運行その他組合ストに対して阻害するがごとき業務命令は拒否する。」こういう申入書を持つて來たのであります。私は分会長に、駅の分会ストに入つておるのかというふうに、一應聞いたのであります。そしてこんなことは駅長としては受けられないのだと断つたのでありますが、そのときやはり横浜線の間引き運轉について、盛んに言つてつたと思います。しかしながら駅長としては、業務命令に従わないことはできないのだと、重ねて断つたのであります。このとき二十分程度も押し問答したと思つておりますが、駅長はどこまでも業務命令は守ることで一貫したのであります。そうしたところが、仕方がないと言つてつたと思いました。それでは今度はぼくの方から、ひとつ分会長に申入書をやる。それはちようどその日に業務命令で、ポスターをはがせという達しが参りましたので、それを書面にして、これが來たのだから頼むというので話をしましたら、最初わかつたようであります。これは電車分会にもやる、両方連名にしてあるから、電車区会にも届けてくれぬかと言いましたら、初め届けるようなことを言つてつた。そのとき電車区の分会の加藤というのがいつの間にか來ていまして、これは話が違うというので——これは私がうかつだつたのですが、加藤というのは横浜支部の人だと思つていた。大会のときなんかも支部の委員というので状況報告なんかに來ましたので、そうとばかり思つていたのですが、あとで支部の人でないということがわかりました。それは違う、あのときは外部の人にも黙認したことになつているのだ、とにかく証人として電車区の人間を呼んで來いというので、分会長なども立ちまして、それからしばらくたちましたら、車掌区の中に入つた友誼團体だろうと思います。そういう人が百人くらいですか押しかけまして、そのポスターのことは何にも問題なく、いきなり私のところへ電車はどうしたのだと言つてどなりました。そのときは朝早くから私の部屋に、時事新報、報知、交通新聞、朝日、日本経済、神奈川新聞、読賣新聞、共同通信、毎日、東京新聞等の記者諸氏が、車掌区に入ることを断られて、ただ車掌区の中にはアカハタ横浜民報しか入れないというので、私のところにずつと九日にも來ておりました。こういう人たちからいろいろ話を聞いておつたのでありますが、だれだつたかよく知りませんが、今日はここの友誼團体が三十八くらい、千人くらい來ているらしいようですよということを聞いた。バリケートの中にはもう六月の何日ごろからか、車掌区のさくには赤旗が相当立つておりました。そのときには十五、六本立つてつたと思いますが、はつきり数字は覚えておりません。その中の友誼團体の者と称しまするが、私はさくらだと言つたのです。これは地回りじやないかということを言つたのです。車掌分会員、電車分会員等が百人くらいも押しかけまして、この時間がちようど十七時ごろであつたと思つています。いきなりお客さんと称する人十数名が、電車はどうしたのだとどなりますので、私は御迷惑をかけまして申訳ありませんが、本日は横浜線だけは七本運轉しておりまして、その運轉時間は改札口に掲示をしております。こういうことを話したのです。なお御存じのように一部車掌区、電車区のストでたいへん御迷惑をかけましてということを言いますと、数名の人がばかやろう、車掌区、電車区は自主的に運轉すると言うのに、駅長が赤信号を青にすれば電車が動くんだ、文句を言うと叩き殺すぞとか、燒いてしまへとか、いいから早く出せとか、大声で数箇所で聞えますので……。
  87. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは十日ですか。
  88. 吉田俊介

    吉田證人 そうです。これは十七時ちよつと過ぎだと思いましたが、押しかけて來まして、入つてからの問題です。横浜線は前述のような関係もありましたし、それからこの日午前中に到着した電車がたしか五本ぐらいありました。ちようど電車横浜線関係も十五時四十八分から十九時十一分までの聞、電車が事故関係でなかつたのであります。あの辺の労務者の関係考えますと、まず十五時近くに引上げ関係がありますので、一應横浜線ホームに入つている関係を聞きましたら、千名近くお客さんがおられるらしいというので、それじや横浜線関係は何か臨時電車を出す必要があるな、労務者輸送の関係考えまして、八王子管理部横浜線の主管管理部になつておりますので、八王子管理部の運轉課に電話で交渉することにしたのであります。交渉していろいろ話をしておりましても、部屋の中はなかなか騒がしくて、交渉しているのですから静かにしてくださいということを私話したのであります。そのとき向うで、中山までは向うの八王子の車掌をよこす、私の方の駅の車掌経験者を乘せてくれないかという話がありましたのですが、そういうこともちよつと不可能であります。その朝は横浜線乘つて來ました車掌を、車掌区へ引張り込まれた例などもありまして、公安官なども私もそこに頼んではおつたのでありますが、そういう事例があつたので、どうせそういうことは不可能だと思いまして、なおそういう條件でなく、ひとつ東神奈川車掌を指定して、電車を運轉することを承知できないかということを言いましたら、じや相談するからちよつと待つてくれと言いますので、ちよつと待つておりました。そういう電話のとき、大体横浜線はものになりそうだと思つたんだと思います。中にいたお客が四、五人で異口同音に、おれなんかは横浜線じやないよ、京浜線だ、京浜線はどうするんだというので、大分どなつたり騒いだりしておりました。京浜線はその日はもう櫻木町の駅長なんかによく様子を聞いておりますし、ホームにはもちろんお客は一人も入つておりませんし、京浜線お客で私のところへどうして電車が出ないかということを聞いて來たお客もありませんし、いいんじやないかと考えて、京浜線の運轉というのは私は最初からそう考えておらなかつたのでありますけれども、一應横浜線に運轉交渉しておりましたし、助役に、じやその点は隣りの電話——前の庶務係に電話がありましたが、そこへ行つて新橋管理部交渉してもらいたいということを命じたのです。私立とうとしたときに、うしろから鉄棒のようなもので毆られたか突かれましたか、よくわからないのですが、やられました。十八時ちよつと前だつたと思うのですが、ひよつと見ましたら、そのとき十五、六人いましたが、この中のたれがやつたかわかりません。分会長に一喝やつた。こういうことがあるから、さつき注意したじやないか。そうしたら、お客ならしかたがないでしようと言つて逃げましたから、ここはお客が入る場所ではない、おかしいじやないか、ぼくが見てもお客さんとは思わないぞ。そんなことなら交渉をやめてしまうと言つてつたのです。そう言つているうちに、八王子管理部から横浜線電車を運轉していいという承認が來たのです。これは先ほど話した一八〇三Hというので、十八時二十二分の時刻でありますが、二分ぐらい遅れて、人民電車横浜線が一緒に出たのであります。
  89. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その人民電車はどうして出たか、それを聞きたい。
  90. 吉田俊介

    吉田證人 部屋お客さんに、私どもいろいろ交渉して、横浜線が一應運轉しますからどうぞお乘りください、急いでいただきたい、こう話したのです。そうしたら、中には、その次の電車はどうなるのだといつて、私に食つてかかる乘客がいましたが、それは十九時十分にもありますし、そういうことは考えていません。まず労務者の方に迷惑をかけないようにと思いましてやつてつたから、一應横浜線乘つていただきたいということを話したのです。それが静かになりまして、助役の方でも何回か管理部にかけまして——よくわからないのですが、手を握られたりしておつたようであります。それから私のところに新橋管理部の運行係長から電話がかかつて参りました。先ほど助役から電話があつたが、管理部としては京浜電車の運轉については運轉士車掌が新交番で乘る旨の確約書がとれるならよろしい、そうすれば電車関係をやろうじやないか、こういう話でありました。私この旨を分会長とか、前におりました者に傳えたのです。車掌区、電車区の関係は私の配下でありませんので、一應君らの関係佐藤区長さんとか、伊藤君に電話をかけるというので、みずから私がかけまして、両区長が電話に出たのですが、ちよつと伊藤さんに話をしないときに二、三十名残りまして、大分ホームの方に出て行つた。私は負傷して痛むのでそのまま部屋におつて、新聞記者の方も四、五各おりまして、どんなけがをしたというので、上衣をぬぎまして見せたり何かしておりましたが、十八時四十分ごろだつたと思います。当時島田予備助役から、京浜線人民電車横浜線電車と同時刻に、両方前に赤旗を一本掲揚して出た、こういうことを言つて参りました。横浜線ホームに当日電車がなくて、十七時二十分ごろ來たときに、駅の分会の青年部長の中野一郎君が組合員と二十名で自分を囲んで、助役電車を出してもよいと言つた、早く出せ、何をぐずぐずしているのかといつて、中野君自身も私にやはりそれを迫つて來た。そして駅長室へやつて來たそうでありますが、満員でどうすることもできないので、ホームに帰つて、電話で管理部といろいろな電車交渉を強要されたが断わられた。そのうちに中線という、ちようど人民電車が収容してあつた線でありますが、三番線上りホームへ入れかえてすえつけた。それを君知つているかということを聞いたところが、私はわからなかつたと言つたと思いますが、出発信号が進行信号になつて、十八時二十四分に電車は出発した。そのとき出発を自分は制止しようと思つたがどうにもならなかつた。なお電車信号扱所の担当者は松本福藏と鈴本照夫の信号係二名でありましたが、当日横浜線ホーム事務室には、先ほど申しましたように、八王子車掌区との乘務員のトラブルがあると思つて公安官三名來ておつたのですが、当時浅尾君という公安官がやはり電車の信号所へ來てくれておつたのです。信号係が分会長にいろいろ電車を出してくれと言われるし、お客その他から取巻かれて、集團的の暴言と脅迫で身の危険を感じて來たので、第一回の信号は鈴木という信号係が信号機を扱つた、こういうことを聞きました。
  91. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それを出すときに、あなたの方へ乘客大会の決議で出すことになつたから出せ、こう言つて來ているのではありませんか。
  92. 吉田俊介

    吉田證人 それは私聞いておりません。
  93. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは十日の事情ですね。
  94. 吉田俊介

    吉田證人 十日の第一回の人民電車……。
  95. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 十日はそれ一回だけでしたか。
  96. 吉田俊介

    吉田證人 そうでした。
  97. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 十一日には……。
  98. 吉田俊介

    吉田證人 十一日には私暴行されましたので——当時いつ來ましたか、中山という公安官が私服で來ておりまして……。  その前に、ちよつと言い忘れましたけれども、私一應交番との連絡をとつてくれということを頼みましたが、それはどういうふうになつたか存じません。  それから業務課の高田、三橋らに付添いを頼んで、十九時三十分ごろだつたと思いますが、駅は助役に頼んで、神奈川警察署に行くことにした。このときにもやはり分会長ら数名が用事があるから待つてくれといつて引張つたのですが、ぼくはけがをしたから報告に行くのだといつて振り切つて部屋を出ましたら、十四、五人が十間くらいもくつついてやつて來ましたけれども、あきらめて引取つたわけです。  それから警察に参りまして署長に会つて、当時の様子を簡單に訴え、口頭告発の形式をとつたのですけれども、管理部長さんから、やはり書面の告発をするようにお話がありましたので、その足で私は横浜の公安室に一應行きまして、病院がわからないので聞きまして、それらの人についてもらつて植村病院に行つて手当を受けたのです。そして十二時三十六分の横浜電車管理部に参りまして、そのときの事情を報告したのであります。從つて人民電車の出る現状とか、信号係及び島田予備助役お客組合員がどんな状態で脅迫したか、どういうことをやられたか、そういう現状は見ていないのです。
  99. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 十一日は。
  100. 吉田俊介

    吉田證人 それは十日でございます。十一日は私がそういうわけで管理部に行つた留守でありましたけれども、やはり同じような関係で脅迫を受けた。
  101. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だれが脅迫を受けたのですか。
  102. 吉田俊介

    吉田證人 信号係も島田助役も脅迫を受けた。もうしかたなく、そのときの信号扱者はちよつと反対の松本というのがやつたというように聞いております。やはり六両編成で、朝七時三十八分ごろには鶴見へ参りまして、鶴見でとめられた。第二次の人民電車お客さんと見られる方は百人くらい、組合員が七十人くらいで百七十人ぐらいじやなかつたかと思います。第一回のときは言い落しましたが三百人ぐらいだつたと思います。
  103. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういう人々が乘りましたか。
  104. 吉田俊介

    吉田證人 その当日は切符はもちろん賣つておりません。ですから、もしお客とすれば私は友誼團体の方々のうちで、定期でもお持ちになつているお客さんではなかつたかと思います。
  105. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 普通のお客は乘らなかつたのですね。
  106. 吉田俊介

    吉田證人 普通の乘客は第二回のときは乘つていなかつたのじやないかと思います。これは私おりませんで、よくわかりませんが、そう考えられるのであります。
  107. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 第一回も、第二回も……。
  108. 吉田俊介

    吉田證人 第一回の方も私はおそらくほんとうにお客さんとして乘られた人は、そういないのじやないかと思われるのですが——これは自分考えであります。
  109. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういう模様であつたか、あなたごらんにならなかつたのですね。
  110. 吉田俊介

    吉田證人 先ほど申しましたように表に出る元氣もなく、すわり込んで新聞記者の方と話しておりました。
  111. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこでその運轉士とか車掌をどうしてきめたか御存じありませんか。
  112. 吉田俊介

    吉田證人 そういう点わからないのです。
  113. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 先ほど言つた乘客大会ということも聞いておりませんか。
  114. 吉田俊介

    吉田證人 聞いておりません。
  115. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたに出せと言つたときは、乘客大会の決議であるといつて來ませんでしたか。
  116. 吉田俊介

    吉田證人 私のところには言つて來ません。縣工代とかそういうような人がやはり出すときに來ておつたように思いますから、そういう友誼團体の方もお客さんであつたかもしれません。電車を出すことについて同意されましたから、そうであつたかということは考えられますが、ちよつと私自身聞いておりません。
  117. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 よろしゆうございます。何かお聞きになりますか。
  118. 吉田俊介

    吉田證人 それからこれは御参考までに——六月十日に分会から申入書をよこしているのですが、その申入書は  「分会闘争委員会は六月十日緊急職場大会の決議により貴官に対し次の事項を申し入れる。  今回の車掌区における不当なる首切りはひとり同分会の問題のみならずわれわれ組合員と不可分な関係にあると信ずる。われわれはかかる当局の一方的通告による弾圧政策には断固反対するものである。しかしながら平和的解決の一日も早からんことを念ずるがゆえに貴官はわれわれの氣持を了とせられ首切りを撤回し平和的解決をはかるため当局と強力に交渉せられたい。  以上申入れに対し六月十一日九時までに回答なきかまた不満なる回答に対しては最後的段階に突入することを申し添える。」これを六月十日に國鉄労組横浜支部東神奈川駅闘争委員長の名で私のところに持つて來ました。
  119. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはあなたがなぐられたときにそれを出したのですか。
  120. 吉田俊介

    吉田證人 私が入るのを制止するときに渡したかつたのじやないかと思いますが、私が帰りましたあとで、これは助役に渡しておきました。
  121. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは貴官というのはあなたですか。駅長ですか。
  122. 吉田俊介

    吉田證人 そうです。私は電話がかかつて参りましたから、それについてはすぐこういう回答を書面で書いて送つておいてもらいたいというので返事しましたが、申入れの内容東神奈川車掌区の問題で、当事者でないから当か不当かはわからない。局長、部長または区長が正しいとしてやられたのであるから、側面から私は批判を交えることは好ましくない。駅長は駅の組合が健全で正常な職場の確保を努力している限りは、部下に対して最大の誠意をもつて行く。こういう回答をいたしました。これによつてか、駅は最後までストには入らなかつた
  123. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 わかりました。
  124. 小玉治行

    ○小玉委員 六月十日に暴行を受けたのですね。
  125. 吉田俊介

    吉田證人 はあ。
  126. 小玉治行

    ○小玉委員 その際は何人くらいであなたに暴行を加えたのですか。
  127. 吉田俊介

    吉田證人 それは先ほど申しましたように、私は暴行を加えられたあとずつと見ましたら、窓の外に十五、六人くらいいたと思います。そのうちのだれかがやつたと思います。
  128. 小玉治行

    ○小玉委員 げんこか何かでなぐつたのですか。
  129. 吉田俊介

    吉田證人 いや、鉄棒みたいなものでやられたと思います。
  130. 小玉治行

    ○小玉委員 鉄棒で……。
  131. 吉田俊介

    吉田證人 鉄棒か何か、それはすでに見たときは何もわからないのです。
  132. 小玉治行

    ○小玉委員 どこをやつたのです。うしろからですか前からですか。
  133. 吉田俊介

    吉田證人 左肩の背部を突かれた……。
  134. 小玉治行

    ○小玉委員 突いたのですか。
  135. 吉田俊介

    吉田證人 私はなぐつたと思つたのですが、あとで見ると突いたかどつちかわかりません。なぐれば、部屋にいましたそういう人たちが見えたのではないかと思うのですが、これはあとで氣がついたことで……。交渉に夢中になつておりましたので、そういう点は……。
  136. 小玉治行

    ○小玉委員 それで負傷しましたか。
  137. 吉田俊介

    吉田證人 負傷しました。負傷しまして私は六月三十日まで治療を受けておりました。
  138. 小玉治行

    ○小玉委員 休んだか。
  139. 吉田俊介

    吉田證人 ずつと休みました。
  140. 小玉治行

    ○小玉委員 医者の手当を受けましたか。
  141. 吉田俊介

    吉田證人 植村病院で手当を受けました。
  142. 小玉治行

    ○小玉委員 出血はしましたか。
  143. 吉田俊介

    吉田證人 骨は折れてはいないが、ひびが入つているということで、レントゲンに三、四回かかつています。
  144. 小玉治行

    ○小玉委員 皮下溢血はあつたか。
  145. 吉田俊介

    吉田證人 それはよく知りません。
  146. 小玉治行

    ○小玉委員 とにかく背中の骨にひびが入つていはしないかというくらいに、ひどく突かれるかなぐられかしたか。
  147. 吉田俊介

    吉田證人 そうです。
  148. 小玉治行

    ○小玉委員 何回もやつたのですか。
  149. 吉田俊介

    吉田證人 一回です。
  150. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ほかにありませんか。
  151. 神山茂夫

    神山委員 今のけがの話ですが、けがはお氣の毒なことですが、あなた胸の病氣はありませんか。
  152. 吉田俊介

    吉田證人 ありません。それは一應私も最初かかつた先生に、こういうことでは肋膜になるかもしれないからとおどかされまして、横浜の先生に今度かわりまして、レントゲンの写眞も写してもらい、いろいろやつたのですが、その当時はただ先生が、ひびが入つておるかもしれないと言われた。一番最初は写眞を写すことができなくて透視で見てもらいまして、そのあとに写眞をとつてもらつたのであります。二日ぐらいたちまして写眞をとつてもらつたのであります。今までは胸の病氣をやつたことはありません。急性肺炎はちよつとやりましたが……。
  153. 神山茂夫

    神山委員 けつこうです。その棒ですが、あなたはこの前衆議院の労働委員その他の諸君にお会いになつたときに、ただ棒だとおつしやいましたね。
  154. 吉田俊介

    吉田證人 いや、鉄棒みたいな……。
  155. 神山茂夫

    神山委員 それはあとになつてそう考えたのですか、あなたが……。
  156. 吉田俊介

    吉田證人 いや、そんなことはありません。初めから警察でも私自身そう述べているし、私の名前でそういうことをはつきり書いて、告訴しております。
  157. 神山茂夫

    神山委員 いや私は、この前前田君、三浦君、石野君、梨木君の議員諸君があなたにお目にかかつたでしよう、そのときの速記録を見て尋ねておるのですから……。
  158. 吉田俊介

    吉田證人 それは言葉が足りなかつたかもしれませんが……。鉄棒のようなものだということは知つています。これは警察の告訴状を見ていただけばはつきりわかります。
  159. 神山茂夫

    神山委員 それで今日あなたの話を聞いておりますと、五日の日と十日の日が詳しく言われているわけです。これは委員長がそういうふうに聞いたのだからしてそうなりますけれども、あなたはそういうふうな問題が起つて來る原因、どうしてこんなことが起つたかということについて、どうお考えになりますか。
  160. 吉田俊介

    吉田證人 その点は、私は今、何か共産党の諸君は私に好意を持つていないのではなかろうかということも一應考えます。
  161. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今お尋ねしたのは……。
  162. 吉田俊介

    吉田證人 彈圧的駅長は……、こういうことを支部の人は言つておるのです。圧制的なやつだ。それから分会の前に大会なんか持ちましても、法規を守ることによつて駅長の首が飛ぶかもしれないというようなことも言つておりますし、私はそのくらいのことをやられるのじやないかということを、先ほど言つた成瀬君もそういうことをはつきり言つております。ですから、私は反共運動者だというようなことを組合の一部の人は考えていたかもしれませんね。私はそういう点においては、もうはつきり、仕事は仕事ということでやつていますから……。
  163. 神山茂夫

    神山委員 私がお尋ねした意味はそこではなかつたのです。あなたが日ごろから非常に反共的だということは、私も知つております。ですからそのことをお尋ねする必要はなかつた、あなたが反共的かどうかということはここで関係がないのだから——それよりも、神奈川車掌区でああいうような問題が起つた。そのとばつちりをあなたがお受けにならなければならなかつたという大きな原因は、神奈川車掌区やまたあなたの駅の從業員諸君にとつて、今度の新交番制の與える影響が相当大きかつたのじやなかつたか、それをお尋ねしたのです。
  164. 吉田俊介

    吉田證人 この新交番の問題は、私自身の問題ではありませんし、私の方は八時間労働は一月からやつておるのでありますから、——そういうことについては、あるいは車掌区その他の方はそういうことがあつたかもしれませんが、私の駅については、私はそういうことは考えていないのです。
  165. 神山茂夫

    神山委員 駅の方はなかつた車掌区の方はあなたが直接担当していないからわからない、そういうことですね。  それから白帶車のことがここで問題になつておりますが、今委員長があなたにお尋ねしたことを私繰返すわけではなくて、これこそあなた方の言葉でいう確認を願いたいのですがね。
  166. 吉田俊介

    吉田證人 確認は実際私は違うと思います。確認という言葉は私は使つたことはなかつたと思います。共産党の方で今まで言われたことはたくさんありますが、先ほど言われたように、黙認の確認まで言われましたけれども、私自身は今までそんなことを言つたことはありません。
  167. 神山茂夫

    神山委員 興奮されてはいかぬ。
  168. 吉田俊介

    吉田證人 興奮はしませんよ。私はこのくらいのことで……。
  169. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 簡單に、言われることにだけ答えてください。
  170. 神山茂夫

    神山委員 たまにはいいです。どうぞ遠慮なくやつてください。  アンダーソン中佐命令というのですがね、あなたは自分でこの命令をお受けになつたですか。
  171. 吉田俊介

    吉田證人 先ほど委員長に申し上げた通りです。
  172. 神山茂夫

    神山委員 自分では知らないわけだね。その命令が文書その他で來ておるかということは、あなたは知らないわけだね。
  173. 吉田俊介

    吉田證人 電話で來ておるということは、助役から聞いております。
  174. 神山茂夫

    神山委員 これは命令ですか。
  175. 吉田俊介

    吉田證人 RTOを介してそういう話があつたということは聞いております。
  176. 神山茂夫

    神山委員 私こだわるわけではないですけれども、アンダーソン中佐は、ほかの場合でもなかなか指令というものを出していない。十二日、十日、それから十一日の場合も、御承知のように、渉外課の諸君を通じて、こういうことを希望するとか、こういうような意見を持つておるというように、いろいろ言つて來ておるが……。從つてこれが命令であつたのかそれとも希望であつたのか、あるいはこれが指示であつたのか、こういうことが重大な問題になるわけです。從つてこれが命令であるかどうかということを、あなたがどうお開きになつておるかを、私お聞きしたい。
  177. 吉田俊介

    吉田證人 それは先ほど委員長に申し上げたように、私自身がその電話にかかつておりませんで——今までのやり方は命令はなかなか出していません。ですから、何であつたかよくわかりません。しかしあるいは命令であつたかもしれませんが、とにかく私自身がそれには関與していなくて、あとで、こういうことがあつて警察連絡をとつて処置をしたという報告を受けたのです。
  178. 神山茂夫

    神山委員 それがわかればいいのです。あなたの方には行つていませんが、尋問要項というものがありまして、その中には命令ということがはつきり書いてある。あなたの先ほどのお答えがはつきりしておりませんと、実際に命令があつて、それに基いて処置が行われておるというように解釈されますから、お尋ねしたのです。今のお答えでわかりました。
  179. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは命令と聞かれたのでしよう。命令があつたと……。
  180. 吉田俊介

    吉田證人 電話でははつきりRTOの命令ということを聞きました。しかしアンダーソン中佐命令であつたかどうかということは……。
  181. 神山茂夫

    神山委員 委員長、そこが大事なんだよ。     〔発言する者あり〕
  182. 神山茂夫

    神山委員 やじるときはこつちを向いてやじれ、証人がびつくりするから……。  それから、人民電車の話ですね。あなたの今のお話で大体要領はわかりましたけれども、これはあと組合員諸君からも十分に事情を聞きますから、あなたの御意見だけですぐきまることではありませんが、その中でたつた一つ特に問題になるのは、第一回の場合も第二回の場合も、あなたの今のお話だと、乘客ではない……。
  183. 吉田俊介

    吉田證人 まあ乘客では……、駅では当日切符を賣つておりませんから、定期の人があつたかもしれないということははつきり申し上げます。
  184. 神山茂夫

    神山委員 言えましよう。
  185. 吉田俊介

    吉田證人 あつたかもしれませんが、それはわかりません。
  186. 神山茂夫

    神山委員 ですから、その点が、先ほどあなたは、第二回と第一回の場合と、ことに第二回のときは普通客はいないのではなかつたかと思う、こういうふうに言われるのです。
  187. 吉田俊介

    吉田證人 いや、そうではありません。第二回は、私が聞きましたのは、私はいなくて報告を聞いたのでありますが、乘客らしい方が百人と組合員らしいのが七十人、合計百七十人だということを先ほど申し上げたのです。これは速記録を見ればわかります。
  188. 神山茂夫

    神山委員 第一回の方はどうですか。、
  189. 吉田俊介

    吉田證人 第一回は約三百人くらい。
  190. 神山茂夫

    神山委員 ですから、問題は、さつきのお話の一番結論的なところに、第一回も、第二回目の場合にも、普通客はいないのじやないかというような印象を與えるようなお話があつたのです。それで私はあなたから確認を願つたのです。
  191. 吉田俊介

    吉田證人 普通客というのは、私は鉄道屋ですから、定期のお客でない人を普通客と普通言つております。
  192. 神山茂夫

    神山委員 それならけつこうです。一般に聞きますと、定期の人はいなかつたというような印象を受けます。
  193. 吉田俊介

    吉田證人 先ほどはつきり申し上げましたが、定期を持つた人は入つております。
  194. 神山茂夫

    神山委員 第一回、第二回とも、定期を持つた人はいたということは認めておく必要がある。  それから駅長さんに一番最後に聞きたい。それは井上君のことです。井上君が九日にあなたに会つたとき、井上君自身はあなたに対して暴行するとか何とかいうことはなかつたのでしよう。
  195. 吉田俊介

    吉田證人 それははつきり申し上げました。窓をあけたのは井上君自身があけた。井上君自身に私がそういうことを警告しておいたのです、それをあえてあけたのですから、私自身は計画的であろうということを井上君自身にもはつきり言つております。警察でも述べております。
  196. 神山茂夫

    神山委員 井上君が計画的にそういうことをやらせたというふうにお考えですか。
  197. 吉田俊介

    吉田證人 井上君自身が証言を私にしておるのですから……。
  198. 神山茂夫

    神山委員 そういうことは一應考えられますが、ただ井上君はそのとき、あなたがあぶないからといつて窓をしめたときに、そういうことはおれが責任を持つと言つたことは認めていたでしよう。
  199. 吉田俊介

    吉田證人 それは認めております。責任を持つと言つたのですが、それでやられたときは、おれは知らない、お客だから知らないですといつて、たかをくくつて変な顔をしておるから私は怒つたお客が行くところではないのです。ですからさつき電車の話もありましたけれども、あの辺に入つてつた人をお客とすれば、これはもう六月になりまして、車掌区のもので、五月二十七日だと私は記憶しておるのですけれども、そのころからずつと外部團体が多少にかかわらず來ておつたようですから、そういう点ははつきり來ておるのじやないかと思います。
  200. 神山茂夫

    神山委員 その外部團体ですがね。あなたが言われなければいいと思つたのですが、外部團体も先ほどあなたがお話になつたところでは、横浜民報も來ておる、アカハタもおる……。
  201. 吉田俊介

    吉田證人 そういうふうには言いませんよ。
  202. 神山茂夫

    神山委員 そういうものもいたかもしれませんが、あなたがさつきお話になつたのは縣労会議の諸君が中心だというようにお話になつたのでしよう。
  203. 吉田俊介

    吉田證人 縣労会議の人がいたことは事実、中心ははつきりしておりませんが——中心だということは言いませんよ。ですけれどもいずれも「あかはた」に関係のある友誼團体だということははつきり言つております。
  204. 神山茂夫

    神山委員 それではここではつきりしておきたいのだが、あなたが「あかはた」というのは、新聞のアカハタなんですか、赤い旗なんですか。
  205. 吉田俊介

    吉田證人 それはバリケードの所へたくさん立つていたのだから、だれがやつたか、みんな知つております。
  206. 神山茂夫

    神山委員 あなたのおつしやるのは共産党アカハタなのか、それとも赤旗を持つていたから……。
  207. 吉田俊介

    吉田證人 それは團体名がはつきり入つておりましたから、あるいはその團体の中のそういう方とか私の所に來られた人も、全部がアカハタだと、そういうことは考えられないかもしれませんけれども、やはり常識的に大体赤旗を持つておる方は共産党の党員が多いと私は認めております。
  208. 神山茂夫

    神山委員 最後に聞いておくが、あなたの相手にしておる國鉄労働組合の旗は赤ですか、白ですか。
  209. 吉田俊介

    吉田證人 そういうものは私のところにはありませんが、赤旗組合でこしらえておりまして、それを持つている人は、今申し上げたように引揚者を出迎えるときにそういうことを見たのですが、ホームで振つていますのは私の方の人なんかは、みな党員ばかりです。
  210. 神山茂夫

    神山委員 それではつきりしました。あなたが引揚者を見たと言われるのは六月九日の後でしよう。
  211. 吉田俊介

    吉田證人 ですけれども六月九日以降に見ても、——その点はちよはつとつきり……。
  212. 神山茂夫

    神山委員 そこが大事なんだ。あなたがこの一件に関連している六月五日の日に見た赤旗と言われるのは、労働組合や他の民主團体が持つていた赤旗を含めて言つているんじやないでしようか。
  213. 吉田俊介

    吉田證人 これは新聞にも出ておりましたが、中にはそういう人が入つていたかもしれないと思いますが、私はそういうことを見ております。これは私の認識が悪いのかもしれませんが、個人としての私の認識で……。
  214. 神山茂夫

    神山委員 悪い、悪い。あなたの個人として持つている認識が悪いということが明白である以上、よけいに問う必要はないから……。     〔発言する者あり〕
  215. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 私の聞きたいのは、証人が先ほどの委員長の質問に対して答えておつたときに、あなたは組合員でもあるとおつしやつたが……。
  216. 吉田俊介

    吉田證人 私は六月一日に非組合員になりましたので、五月十七日、八日の大会では……。
  217. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 ところでちよつと途中で切れておるわけですけれども、それまでは組合員であつたわけです。駅長であり組合員であつたということですけれども、するといろいろ立場上苦しいところがたくさんあつただろうと思います。ところで組合員でもあつた時代に、すでに新交番制の問題も起りかかつて來ておるし、今度の行政整理の問題が非常に大きく出ておつたと思うのですが、それについては組合員としてあなたはどういうふうな態度をとつておられたか。
  218. 吉田俊介

    吉田證人 新交番制の問題は、私のところの問題ではないから、私はタッチいたしませんでした。馘首問題については、私も六月五日の状況を——先ほどお話申し上げましたようにいろいろいじめられて來ておりますから、それには私はどこまでも一貫した答えをして來ております。これは駅長としての考え方もはつきりしております。向うでもまた判をとりたいというのは、私が駅長である非組合員としての立場を、組合は追究して來ていないのじやないかと思つております。
  219. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それはあなたは業務命令とか上から。命令とかで、どうにもならないというような態度をとつておられたでしようが、組合員として、この行政整理の問題に対してどういう態度をとつておられたかということです。
  220. 吉田俊介

    吉田證人 そういう点は組合の者がよく知つていると思います。
  221. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 私は知らないのだからそれを聞いているのだ。
  222. 吉田俊介

    吉田證人 それは今回の定員法というものが國会できまつたのだ、しかも多数國民が支持しているのだ、こういうことははつきり六月五日にも話しております。
  223. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 あなたは行政整理による首切りは当然なことだという態度をとつておられたか。
  224. 吉田俊介

    吉田證人 当然なことというよりもお互いに戰争に負けたのだからということで、私は考えております。     〔発言する者あり〕
  225. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 質問中ですから、ひとつ静かに願います。
  226. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 証人に申しますが、私がこれを聞きましたのは、この前千葉車掌区の加瀬という助役が來ましたときにも、私は二重人格的になつて非常に苦しんだ、その態度は非常に反労働者的たと言われていて、というふうな陳述を非常に率直に言われて來た。こういう点で、やはり組合との関係や何かで、あなたとの間にいろいろないざこざがあつただろうということが想像されるので、私念のために開いたのであります。
  227. 吉田俊介

    吉田證人 その点は私ははつきりしておりますから……。
  228. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それからもう一つはこれは私はよくわからないのでありますが、人民電車の出る前後赤信号を青信号にしてくれという申入れを受けたと言われておるが、この赤信号を出したのは管理部命令によつて赤信号を出したのか。
  229. 吉田俊介

    吉田證人 そうです。
  230. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 八王子管理部では許可が出て、新橋管理部の方は断られたというのは、どういうふうな事情にあるのですか。
  231. 吉田俊介

    吉田證人 それは新橋管理部は、業務命令以外の電車は運轉しないということをはつきり言うておる。ですから業務命令でない電車、しかもその当日はそういうお客の態勢を、私自身現場を預かつておりまして、そういうことを考えておりませんでした。ですからこれはあと人民電車が出るだろうということは、信号係の供述を見まして私知つたのでありますが、電車区に行つたときにそういうようなうわさをしておつたということを言つておりました。これは私があとで聞いたのです。私自身が考えたのは、先ほど申し上げた申入書によつて、そういう判断を一應したのであります。ですから管理部はさらに電話の交渉をもつて助役から運轉させてくれということを言つたとき、やはりそういう同じような赤信号を出しておるということも聞いております。
  232. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 ところでこの事件の起つたとき、すでに組合の方では今までやつておりましたストを打切つて、十日は初発から正常に運轉するということをすでに申し入れていたという事実も御存じですか。
  233. 吉田俊介

    吉田證人 私所管が違いますので、そういうことは聞いておりません。一部の人が——ということは聞いております。だから大半の人は新交番制にならないために、事がそうなつたのだというふうに、車掌区の問題は聞いております。
  234. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それはいいですが、そういう事実は御存じだつたのでしよう。
  235. 吉田俊介

    吉田證人 今の運轉をするとか何とか言われたことについては、私は聞いておりません。
  236. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 そうですかね、ちよつと不思議なような氣がする。ところでその上さらにあなたは乘客大会の計画は知らぬとおつしやいましたが、とにかくそういうことが行われたのは御存じですか。
  237. 吉田俊介

    吉田證人 それは知りません。
  238. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは、さつきから知らないと何べんも言つている。
  239. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 そうして赤信号を青信号にかえてくれと言われて、あなたは新橋管理部に電話か何かで、これを何といいますか許可してもらいたいということを、あなたの方から要求されたわけですか。
  240. 吉田俊介

    吉田證人 それは先ほど申し述べましたように、私は助役に一應してみろと言いました。言いましたけれども、実際あの場合身の危険ですよ。ですから、そういう処置をとらなくちやならぬと思つております。
  241. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 そうすると、あなたが電話で申請されたのは、身の危險を感じてされた……。
  242. 吉田俊介

    吉田證人 ええ。
  243. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 終始一貫脅迫や身の危險や……。
  244. 吉田俊介

    吉田證人 現に私がやられているのですからね。私が暴行を受けていなければ別ですけれども、実際暴行をされているのですから、私は憤慨したのですよ。同じ組合員の中で、そこまでやらなくても話はわかるじやないかと、こう思つたのです。
  245. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 ところで、あなたは終始上からの命令を非常に尊重されて行動されたということは明らかなんですね。あなた自身も組合員であつたにかかわらず、組合員の意思や何かは別として、あなたは駅長として上からの命令を忠実に行動された、それは非常によくわかるのです。非常に忠実に実行しようとすれば、あなたは、人が大勢來たから、棒でつつかれたからといつて、それで意思を飜して、電話で青信号にかえてくれという要求をしたということは、ちよつと筋が立ちませんね。
  246. 吉田俊介

    吉田證人 そうじやありませんよ。今あなたのお話のように、六月一日から組合員でないということをはつきり言つておる。ですから、組合員というのは駅の組合をさして私は言つている。ですから駅の組合員が、私自身は組合員でなくても、そんな暴行、暴言をもつてやらなくても、私はできると思う。私の部下ですから——そういうように思つたのです。ところが最近の行動を見てみますと、非常に私遺憾に思うところがあります。
  247. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それを聞いているわけではないのです。あなたは終始一貫してそのことを話しているのですから、それはわかつている。しかし、あなたが上の命令に非常に忠実に行動して來た。しかし人間が大勢來て脅迫されたりすると、その意思に從う。そういうことはどうですか。
  248. 吉田俊介

    吉田證人 そうではありませんよ。それは先ほどもお話したように、私が八王子管理部交渉を持つた点については、委員長にはつきり申し上げております。
  249. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 その点は、今私が質問した場合に、赤信号を青信号にかえてくれということの許可新橋管理部へ電話で要求したということは、これは身の危険を感じたからそうしたのでしよう。
  250. 吉田俊介

    吉田證人 それは、私自身はそういうふうに言いませんよ。
  251. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 いや、今そう言つたでしよう。ではどういうのですが、もう一ぺん聞かしてください。
  252. 吉田俊介

    吉田證人 では、あなたの質問をもう一ぺん聞かしてください。
  253. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 赤信号を青信号にしてくれと要求があつたわけですね。こういう要求によつて、とにかくあなたは新橋管理部許可を求められているのですね。
  254. 吉田俊介

    吉田證人 私は許可を求めていないのです。助役に一應交渉してみろということは言いました。私自身は、京浜電車というのは、その当時必要はないと思つたのです。ですからその点は、私自身は運轉せなくちやならぬという情勢じやないと思いました。それは、そのような状態のとき、お客さんが駅長室へ來るとか、電車はどうしたのだといつて、前日のようなときには、途中でストに入つたために、そういう交渉はあつたかもしれませんが、その日は朝からなくて、御迷惑はかけたかもしれませんが、お客さんは一應納得しておられたのではないかと思つています。
  255. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 要求したのは直接要求したのではないというのかもしれませんが、直接新橋管理部交渉されたことは事実ですね。
  256. 吉田俊介

    吉田證人 私自身はやつておりませんけれども……。
  257. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 そのときに、あなたは交渉した方がよいと判断されたのは、どういうところから判断されたのですか。
  258. 吉田俊介

    吉田證人 それは、あまり暴言で、どうにも收拾がとれないので……。
  259. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 脅迫で恐ろしくなつたので、命令ははつきりしておるけれども、そうした。
  260. 吉田俊介

    吉田證人 私の氣持ははつきりしておつたのです。けれども、やつぱり暴言脅迫といいますか、実際あれでは、どうしても一應そういう形をとらなくちや治まらない実情だつたのです。ですから私自身は、横浜線のは交渉をしておるのでありますが、私が手を組んで、これを助役にやらしたというわけじやないのです。
  261. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 大体それはわかりました。ところが大体の話を聞きますと、すぐ何でもかんでも暴行、脅迫に感じられて、命令があつても、意思はときどき飜るし、はなはだ心もとない性格の方であるということになりますね。
  262. 神山茂夫

    神山委員 字が読みにくいそうですから、ぼくがかわつて聞きますが、それは六月九日の二十時、東達甲五八三号を御存じですか。
  263. 吉田俊介

    吉田證人 ちよつと覚えておりません。
  264. 神山茂夫

    神山委員 それじや読んであげましよう。東神奈川電車区の管理区域を次のごとく変更して來た。櫻木町・大森間を品川車掌区に移管、横浜全線を八王子車掌区に移管、東神奈川車掌区の管理区域を鶴見線全線と新鶴見操車場・高島間の貨物線の二線区だけに縮小する。これは六月九日二十時に出て來た東達甲五八三号ですが、これを御存じありませんか。
  265. 吉田俊介

    吉田證人 番号をよく知りませんが、線区をかえた。これは東神奈川車掌区が乘らないために、どうしても業務命令よりほかない。それで業務命令を聞く品川車掌区に乘せるために、そういう処置をとつたということも、その命令内容ははつきりしておりませんが、私のところに関係いたします横浜線は八王子にかえた、京浜線はたしか品川車掌区ですかにかえた、こういうことは知つています。知つていますが、今あなたのお問合せのように、そういうわけじやないと私は信じております。
  266. 神山茂夫

    神山委員 私はまだ何も言つてない。ただあなたは先ほどから盛んに命令に從う從うと言つておられますから、この命令知つていますかと言うのです。
  267. 吉田俊介

    吉田證人 知つています。
  268. 神山茂夫

    神山委員 それでけつこうです。
  269. 大橋武夫

    ○大橋委員 私は簡單に二つだけお聞きしたい。その第一は、先ほど証人は、六月五日に事務室カン詰になられたとき、交渉内容として整理をしないという確約をしろ、こういうことを要求された。それは指令に基いたものであると、こういうふうに仰せになりましたのですが、その指令というのはどういう指令でございますか。
  270. 吉田俊介

    吉田證人 それは組合の方でそういうことを言つておりまして、指令に基いて來ているのだというふうに言われていた。その指令は見ておりせん。
  271. 大橋武夫

    ○大橋委員 指令は御存じありません
  272. 吉田俊介

    吉田證人 ええ。
  273. 大橋武夫

    ○大橋委員 本部の指令ですか。
  274. 吉田俊介

    吉田證人 本部の指令のように聞いておりますが、よく存じません。
  275. 大橋武夫

    ○大橋委員 もう一つ人民電車の乘客のことをお聞きしたいのですが、あなたは当時駅でその時刻に客扱いをなさいましたか。
  276. 吉田俊介

    吉田證人 人民電車のときには、先ほど申し上げましたように、私けがをしまして、部屋に出なかつたのです。
  277. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうしますと、駅員をして客扱いを開始させましたか。
  278. 吉田俊介

    吉田證人 客扱いはもちろん、かつてホームに入つて行つたのでありまして、そういう正式な業務命令による電車は運轉していないのですから、それははつきり業務命令以外の人民電車を運轉したので、客扱いはしていません。
  279. 大橋武夫

    ○大橋委員 そのときは客扱いはしていない。從つて改札も正規の改札はやつていたい。駅の構内は鉄道の駅員が管理していたわけですな。
  280. 吉田俊介

    吉田證人 はあ。
  281. 大橋武夫

    ○大橋委員 つまり、あなた方の管理しておられるところに無断でもつてつた人たちですね。これは正規の乘客と認めることができますか。
  282. 吉田俊介

    吉田證人 それは、私は正規の乘客とは認めませんね。
  283. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、たといそういう人たちがたまたま懐中に定期券を所持しておろうが、これは正規の乘客と認めることはできませんですね。
  284. 吉田俊介

    吉田證人 それは、今のはわからないです。  それともう一つは業務命令以外の電車を動かすということは、最初から申し上げておるように、これは考えていないのです。ですからそういう点についてはやつばりかつてに……。
  285. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうするとそれらのお客は、——客という言葉をさつき使われておりましたが、結局客にあらずして、不法に鉄道構内に侵入した人たちですね。
  286. 吉田俊介

    吉田證人 まあ考えようによれば……。
  287. 大橋武夫

    ○大橋委員 それがたまたま駅員と一緒に電車内に闖入した、その電車がたまたま運轉された、こういうことですね。
  288. 吉田俊介

    吉田證人 まあ定期を持つておられれば、一應旅客であるということは、定期に対しては言えますが、しかし業務命令以外の電車が運轉されたということについては、お客としての取扱いは、駅はしていないということははつきりしています。
  289. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、それについては、客扱いの責任者であるあなた自身に責任があるわけですが……。
  290. 吉田俊介

    吉田證人 何がですか。
  291. 大橋武夫

    ○大橋委員 そういう客を構内に立ち入らせた。そしてしかも改札口で正規の改札を経ずしてそういう者を入れたということは、あなた自身に責任があるのではないですか。
  292. 吉田俊介

    吉田證人 それは暴力的に入つたのですからしかたがないですよ。とにかく私自身が相当脅迫されておるのですから——六月五日には私どもいましたけれども、制止できないのです。聞かないのですよ。
  293. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、これは一種のお客とかそういうものではなくして、あなたの立場から言えば暴徒のごとき者ですね。そうすると人民電車にあらずして暴徒電車である、こういわなければならぬと思います。
  294. 吉田俊介

    吉田證人 暴徒電車と言うことはそれはあなたの解釈で……。
  295. 大橋武夫

    ○大橋委員 乘ろうという人は、当時の実情から見ますると、一般の善良な人民のうちにはあり得ない実情であつた。そういうような者は共産系の一部の人々でなければ、そういう状態のもとにそういう行為に出ようとする人はなかつたということをあなたはお考えになりませんでしたか。
  296. 吉田俊介

    吉田證人 そういう極端なことは……。一應そういうことでやつておると、この前のようにやられることになりますから、私は返事をあまりしたくないのですよ。
  297. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると今の私の質問に対しては、あなたは答弁の結果によつては、あなた自身に相当危険が迫るおそれがあるから、答弁を拒否されるということであるらしいので、私はこで質問を終ります。
  298. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは済みました。どうもごくろうさまでした。  それでは休憩いたしまして、午後二時から参議院の映写室で人民電車のニユース映画を見ることにいたします。  これで休憩いたします。     午後一時四十三分休憩      ————◇—————     午後二時五十八分開議
  299. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  佐藤さん、たいへんお待たせいたしましたが、これから承ることにいたします。佐藤實さんですね。
  300. 佐藤實

    佐藤證人 そうであります。
  301. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは東神奈川電車区長だそうでありますが、いつからおやりですか。
  302. 佐藤實

    佐藤證人 昭和二十三年九月九日附で東神奈川電車区長を命ぜられました。
  303. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 現在に及んでおるわけですね。
  304. 佐藤實

    佐藤證人 そうであります。
  305. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 五月末からいわゆる新交番制に基いて電車区の方でいろいろ問題があつたようでありますが、大体こういうことが問題になつたのでありますか。
  306. 佐藤實

    佐藤證人 新交番制については、私のところでは問題はありませんでした。これは車掌区だけの問題で、電車区としては問題はありませんでした。
  307. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが車掌区の方かもしれませんが、それがもとで、いろいろごたごたしたので、六月五日からあなたの方で新橋管理部当局との間にいろいろ交渉その他等があつたそうですが、どんなことがあつたのですか。
  308. 佐藤實

    佐藤證人 私のところでは、車掌区がストに入つて電車区も同調のストに入るまでは、ごたごたはありませんでした。
  309. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 六月五日ごろ何か管理部との間で交渉等はなかつたのですか。
  310. 佐藤實

    佐藤證人 それは車掌区と管理部との間にあつたので、私のところとは全然別個のものであります。
  311. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると東神奈川ストへ突入したときも、それは車掌区が最も強硬なもので、電車区はこれに同調したというわけですか。
  312. 佐藤實

    佐藤證人 今度の行政整理に対して、いろいろそれの阻止運動が組合側からありました。それに対しては四月の二十八日ごろから非常に活発な運動を私のところの分会でやつておりましたが、私のところの分会自体だけでストライキをやるというような氣配は全然ありませんし、六月五日にいろいろ車掌区と管理部の間でごたごたがあつたようですが、ちようど私はその当日博覧会を見学に行つておりまして、その翌日六月の六日に役所に出まして、そのごたごたの様子を聞いたのでありますが、電車区としては何もなかつたわけです。
  313. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうことをお聞きになりましたか。
  314. 佐藤實

    佐藤證人 それは人からの又聞きですから、はつきりしたことは申し上げかねるのですが、私が聞いた範囲内では、車掌区の方で非常に新交番制に対して拒否しているので、管理部から運行係長または営業課長公安官を伴つて出て來て、新交番に乘せるような手配をした、そのときに組合側と相当悶着が起つたということを聞きました。それだけです。
  315. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 組合側とどことですか。
  316. 佐藤實

    佐藤證人 組合側と結局管理部から出張して來た人との間です。
  317. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大体どういう経過でした。
  318. 佐藤實

    佐藤證人 その詳しいことはあまり存じません。大体聞いた話なので、そこははつきりしないのですが、管理部から來ました運行係長または営業課長が、新交番に乘せようとしたところが、組合側は相当多数、また外郭の者が入つて、そこに悶着を起したような話を聞いております。
  319. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで九日にはストに入つたことは御承知ですね。
  320. 佐藤實

    佐藤證人 九日のちようど十時四十五分、私のところの非常用のサイレンが五十五分までの間、十分間鳴り続けました。その間停電がありまして小し中絶しましたが、サイレンが鳴りました。私はこれは何のサイレンだと聞いたところ、車掌区に今度新交番に反対した者に対する馘首が來た、それで非常事態が起つたのだ。こういうことで、私のところの分会長の庭田直道がこのサイレンのスイッチを入れてサイレンを鳴らした、こういうことであります。
  321. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでその時からストに突入したわけですか。
  322. 佐藤實

    佐藤證人 私のところはそのときからでなくして、それよりずつとあとです。それからまた十一時三十五分に電車区の警笛が盛んに鳴りました。私は管理者としてこれを見のがすことはできませんので、すぐ外に飛び出して行つて、その警笛の鳴つている電車一つ一つ当りまして、警笛を鳴らしている者のそばに行つて、なぜ鳴らすんだということを質問したわけです、そうすると鳴らしている者は、車掌区に首が來たのだ、首が來たから、非常事態だから鳴らしているこういうわけで、五名ほど鳴らしておりましたのを、私は全部阻止してやつと収まつたのでありますが、私がその場を去るとまた警笛を鳴らして、非常にしつこく鳴らしました。そうして私があちらこちら走りまわつてとめたのですが、そうするとしまいには、私がおると鳴らさないのですが、姿を消すと電車の汽笛弁の上に石ころとか、または青銅のフレキシユーズを置いて鳴らしておりましたので、私はあちらこちら走り歩いて、その石ころとかそれからフレキシユーズを取除いて、サイレンの鳴るのをやめました。これがちようど十一時五十五分まで鳴らされたわけです。それで私のところがストに入つたのはずつとあとで、十五時四十五分にストに入るということを分会長が申し出ております。その問いろいろの問題がありましたが、これはお聞きで事ありませんから……。
  323. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこでそのときに、何か進駐軍の白帶電を占拠しておつた一群があつたそうですが、そういうことは御承知ですか。
  324. 佐藤實

    佐藤證人 白帶車を占拠しておつた一群といいますのは、このときにはありません。それは九日の夜です。
  325. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうですが。そこでそれに対してMRS司令官のアンダーソン中佐から東神奈川駅長にあてて、何か命令があつたということですが、それはお聞きになりましたか。
  326. 佐藤實

    佐藤證人 それは何も聞いておりません。
  327. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 全然傳聞にも聞いておりませんか。
  328. 佐藤實

    佐藤證人 十日の夜白帶車の中に入つている者を出てくれ、こういう要求があつたことは聞いておりますが、九日の日には聞いておりません。
  329. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうわけで出てくれといつたかは、聞いておらないのですか。
  330. 佐藤實

    佐藤證人 はい。、
  331. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だれが出て行けと言つたのです。
  332. 佐藤實

    佐藤證人 ちようどそれは十日です。十日の午前二時ごろに、……。
  333. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 夜中ですね。
  334. 佐藤實

    佐藤證人 夜中です。私が事務所におりますと、ちようど私の事務所の前に六両編成の電車が、洗場線というのがありまして、そこに一編成入つているのですが、その電車はほとんど外郭團体または友誼團体の者が占拠しておりまして、その中に寝ておつたわけです。そうしてある者がその電車の車側をたたきまして、來たぞ、こういうことをどなりました。そうしたらみな、おうといつて起きて來たのですが、そのときにあとからの話を聞きましたら、警官が二名來まして、進駐軍の白帶車の中に寝ているということは、諸君にとつて不利なことだから出てくれ、こういうことを言うてきたのです。それで白帶車の中におる者はすぐ出まして、そうして、よごれているから、ほうきを貸してくれ、こういうことでほうきをわれわれの方から借りて、その中を掃除して行きました。
  335. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だれが。
  336. 佐藤實

    佐藤證人 その白帶車の中におりました者が。
  337. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは掃除して、きれいに明け渡し、たのですか。
  338. 佐藤實

    佐藤證人 そうです。それは十日です。
  339. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それからその後また中へ入つていましたか。
  340. 佐藤實

    佐藤證人 その後は入つていなかつたようです。
  341. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その前どういうわけで警官が行くようになつたか、そういうことは御承知でないですね。
  342. 佐藤實

    佐藤證人 その前の警官がどういう意味で來たか——その前というといつごろになるのでありますか。
  343. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのときでもよろしゆうございますが、白帶車へ警官が行つて出た方がいいといつて勧告したというのが、それは警官自発的に行つたのか、何か命令を受けて行つたのですか。
  344. 佐藤實

    佐藤證人 それは警官が命令を受けて行つだのだと心得ております。
  345. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 心得ているだけで、実際の事実は聞いておりませんか。
  346. 佐藤實

    佐藤證人 聞いておりません。
  347. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何か六月九日の夜分会闘争委員会ストを引上げて、十日の初発から乘務するということを区長または助役に申し出たということですが、そういうことはありましたか。
  348. 佐藤實

    佐藤證人 十日の……。
  349. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 九日の夜です。
  350. 佐藤實

    佐藤證人 九日の夜ですけれども、十日の午前二時ごろです。それは九日の事ということも言えますが、十日の午前二時ごろに私のところの庭田分会長が私のところへ來まして、十日は初電から電車を動かすということを申し出て來ました。しかしそれは京浜線に限るという話です。それで私は京浜線に限つて動かさぬでも、横浜線も全部動かせばいいじやないか。こういうふうにしないかと言いましたら、それではストライキにならない、京浜線だけ動かすのだ。こういうことを言つて横浜線の問題はだめだ、こういう話だつたのです事。
  351. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこであなたは、それは動かしてはいかぬと言つたのですか。
  352. 佐藤實

    佐藤證人 いや、私はそれは非常にけつこうなことだ。動かすには車掌の手配、それから運轉土の手配は全部できているか、こういうことを念を押しました。そうしたら車掌運轉士も全部できている。こういうことで、私はさつそく管理部の運轉課の電車係長に、十日の朝から京浜線は全部電車を動かすようになつたから……。こういうことを報告しました。
  353. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 管理部でどう言いましたか。
  354. 佐藤實

    佐藤證人 それは非常にけつこうだからぜひやつてくれ、こういう話でした。
  355. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何か新交番でそれをやるというならよろしいが、やりでなくて、かつてに動かそうとするならばいかぬから、乘務させてはならぬとか言われたと聞いておりますが、そういう事実はなかつたですか。
  356. 佐藤實

    佐藤證人 それは十日の朝になりまして、初電を出すときに、初電が二本櫻木町から出るのですが、九日の終電が櫻木町に入つていないので、実際は出なかつたのです。それで私のところから出る電車があるのですが、その電車を出そうとしたときに、電車はありますし、運轉士もおりますから、出そうとしましたら、車掌がいないので出なかつたのです、事実は。それで私は庭田分会長に、お前車掌があると言つたが、車掌がいなくて電車が出ないじやないか。こういうことを言つたら、庭田分会長はそれはおかしい、こういうことで車掌区へ走つて行きました。車掌区へ走つて行つてつて來ての報告は、当局が車掌を乘務させてはいけないというので出ないのだ、こういうことを言われました。
  357. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 乘務させてはいかぬという理由は、どういうことだつたのですか。
  358. 佐藤實

    佐藤證人 その理由は、その時間ははつきりしませんが、十日のやはり未明に管理部から東神奈川車掌区の乘務員の交路を一部品川と八王子の車掌区へ移管したので、東神奈川車掌区の車掌京浜線には乘れないことになつておる、こういうためだと思います。
  359. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはちよつとわれわれにはよくわからぬが、もつとわかりやす説明してくれませんか。
  360. 佐藤實

    佐藤證人 わかりやすくといいます事と……。
  361. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 八王子へ移管すると、どうしていかぬのですか。
  362. 佐藤實

    佐藤證人 八王子へ移管するといけないというのは、東神奈川車掌区が京浜線東神奈川、八王子間の電車車掌乘務を受持つてつたのですが、その業務量を品川と八王子の車掌区に持たしてしまつたのです。仕事を八王子と品川へ與えてしまつたのです。それだから東神奈川車掌区の車掌京浜線横浜線には乘務できないことになつたのであります。
  363. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは先ほど言つたように、新交番制によつて乘るならよろしいが、乘るといつても旧交番制でやろうとするものだから、そういうことならいかぬ、こういうことじやないですか。
  364. 佐藤實

    佐藤證人 その点は私は車掌区長じやないのではつきりしたことは申し上げられませんが、大体今おつしやつた通りだと思います。
  365. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこでいよいよ十日からいわゆる業務管理の形態に入つたというのですが、大体どんなことが起りましたか。
  366. 佐藤實

    佐藤證人 十日の朝私はMRSに呼ばれまして、ちようど二時ごろ事務所のところの闘争委員の高橋輝男というのが電車の運行表に電車の運行ダイヤを四本ほど書き入れまして、今東神奈川電車区、それから車掌区、蒲田の電車区、それから車掌区、この四つの代表の者が集まつて、ここに東神奈川から二本と蒲田から二本と電車を出す計画をした。これで動かそうと思うがどうか、こういうことを私に申し出て來ました。私はその運行表を見ますと、運行表の状態に非常に疎密なところがある。その一例をあげますと、一本の電車を動かし、その次の電車が通るまでに非常に疎なところでは約二時間、それから密なところは一本の電車が通つて次の電車が通るのに約十分間、こういうところがあるので、私は高橋輝男君にこういうふうなダイヤで運行したならばかえつてお客に迷惑を及ぼすじやないか。今電車が通つたから京浜線は動き始めたかと思つてお客ホームで待てば、二時間も次の電車まで待たなければならないじやないか。それからまた動き始めたから、ホームに行こうとすれば、また次の電車が來てすぐ行つてしまう。その次の電車は今言つたようにまた二時間も來ない。こういつたことではかえつて迷惑を及ぼすから、電車の数は自分が今は管理しているからわかつている。、それから車掌運轉士の数が何人あるか、こういうことを君の方で事明らかにすれば、ぼくは管理部に上申をして適当な運行ダイヤをきめてもらうから、そういうふうにしないか、こういうことを私は申し渡した。いやそれじや困る。これは四つの区が合同できめたので、そちらできめられたのでは困る、こういうことだつたのです。
  367. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それで結局それをやつたのですか。
  368. 佐藤實

    佐藤證人 私はそのときまたほかの用事がありまして、すぐ出なければならなかつたので、私はその運行表を返しまして、用事の方に出かけて行きました。
  369. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いつごろ出かけられたのです。
  370. 佐藤實

    佐藤證人 それは十四時五十分ごろです。
  371. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがその日いわゆる人民電車というものが逐に運行されたそうですね。それは御承知ですか。
  372. 佐藤實

    佐藤證人 この人民電車が出た時間は、私は明らかに知らないのです。それはなぜかと言いますと、それまでにストライキを早くやめさして正常運轉に帰らせるように、局長からいろいろ警告文が出でおりました。それで警告文に從つて区員が正常業務に帰るということになつたときに、新橋管理部長から、各個人々々から確約書をとれということで指令を受けておりましたので、私は何とかストを全面的にやめて、この確約書にみんなから署名をとろうと思つて、あちらこちら走りまわつておるときであつたので、人民電車が出たということは、出てしまつてから報告を聞いたわけです。私のおる事務所は駅のホームから大体百米くらい離れておりますし、その間には、私のところの修繕車庫とか、また電車が五本も六本もありまして、見通しもききませんし、何の音も聞えません。そこで私は人民電車が発車したということはその後報告を聞きましたが、その事前の様子はほとんど知りません。
  373. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何かその人民電車を出すのには、業務管理だという以外に、乘客大会というものがあつて、そこで決議したからだと言われておつたそうですが、そういうことはお聞きになりませんか。
  374. 佐藤實

    佐藤證人 九月の晩に私は局長室に呼ばれまして、いろいろ指令を受けておりました。それから管理部長からも何とかして電車を動かさないか、もし車掌が乘らないときには、駅手でもいいから電車に乘せて、電車を出せという指令を受けておりました。それで私は十日朝に、先ほど申し上げましたように、車掌がいないので電車を出すことができない、これじや困るから何とかして出そう、車掌がいなければ、私のところには運轉士がたくさんおりますから、運轉士車掌のかわりに乘せて、電車を出したい、こういう意見を管理部に上申しました。そうすると管理部側からは一應許可が來ました。そしていよいよ電車を出す決心をしまして、指令を出しましたところ、それから三十分ほどしまして、電車運轉士車掌の代務とは認めない、こういう指令にかわつて來ましたので、私はこれはいけないとあわてまして、人に命じておつたのでは間に合わないので、私自身が電車の出庫線に飛んで行つて電車の出るのを阻止しました。
  375. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはいつのことですか。
  376. 佐藤實

    佐藤證人 十日の朝です。それからその次にまた三十分して電話がかかつて來まして、指導運轉士であつた車掌のかわりに乘つて出してもいい、こういう電話がありました。そのときに指導運轉士が私の事務所におりましたが、組合側から乘つて出よという命令もないし、また本人たち乘つて出るという意向もありませんでした。それからまた管理部から、今度は指導でなくても運轉士でも乘つて出していい、こういうことで、私もいよいよ電車を、車掌のかわりに運轉士を乘らして出そうと腹をきめまして、いよいよ電車を出すという指令を出したのです。そうしたらそのときに事務所の外で、駅駅で宣傳をやるという声を聞いたのです。それで私はこれはたいへんだ、私のところからたつた一本の電車が出るのだが、駅々で何の宣傳か知りませんが、宣傳をやられてはたいへんだということで、新橋の管理部の運轉課長に、駅々で何か宣傳をやるそうだが、そういう電車は出しては困るのではないかということを私が言いましたら、それでは管理部も運轉課長電車を出すのはやめようということで、電車を出すことをやめました。
  377. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 乘客大会などということはお聞きになりませんでしたか。
  378. 佐藤實

    佐藤證人 乘客大会では、九日の晩に管理部長から局長室で指令を受けて私は帰りまして、十日の朝からストをやめて、全面的に電車を動かすということを組合の役員に私が申し入れました。そのときに組合内部に、自分は乘客代表だ、こういうことを言つて私に詰め寄つて來ました。それから労組横浜支部の役員もおりましたが、そこで十人ほど私に詰め寄つて、來まして、当局はだまつておれ、おれたちがやるのだ、こういうことを聞きました。そのときの雲行きが非常に険悪になつたので、私は引揚げて事務所に帰つて來ました。
  379. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 乘客代表だと言つてつたのですか。
  380. 佐藤實

    佐藤證人 言つておりました。
  381. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どこのどういう者ですか。
  382. 佐藤實

    佐藤證人 どこのどういう者か、私には一向わかりませんが、三人ほどおりました。
  383. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大会を開いておつたのは、見られたこともなければ聞いたこともありませんね。
  384. 佐藤實

    佐藤證人 私が行きましたのは九日の十一時過ぎから十日の朝、その二時ごろに庭田分会長より、十日の朝から京浜線を動かすと申し出る前に、白帶車の中に相当な人員が入つて何か打合せをしているのを私は見ました。
  385. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから今あなたがおつしやつた運轉士車掌がわりにして、出そう、それにもかかわらず駅々で宣傳すると言つたのですか。
  386. 佐藤實

    佐藤證人 運轉士車掌がわりにするというのは、電車の先頭には運轉士が一人乘つており、一番後尾に車掌乘つております。その車掌が今言いましたように、東神奈川ストをやつてのる乘らないので、その車掌のかわりに運轉士を一番後尾に乘せよう、こういうことです。
  387. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それで動かそうとしたら、なお駅々で宣傳する、こういうことを聞かれたわけですか。
  388. 佐藤實

    佐藤證人 そうです。
  389. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはだれが乘つて宣傳するのですか。
  390. 佐藤實

    佐藤證人 だれが乘つて宣傳するかはつきりわかりませんが、外郭團体友誼團体が相当入つておりましたから、そういう人が宣傳するのではないかと思います。
  391. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 せつかく車掌なりその他の乘務員が乘ろうとしているのに、当局で乘せなかつた、これは事業所閉鎖である、こういうことを言つている人があるそうですが、その点については。
  392. 佐藤實

    佐藤證人 当局が乘せなかつたというのではない。業務命令に從つた運行による電車つたら幾らでも出そう、そういうことははつきり言つておりまする。
  393. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 けれども、それに対して組合側では、事業所閉鎖だと言つたことはありませんか。
  394. 佐藤實

    佐藤證人 事業所閉鎖の問題は車掌区だけの問題で、私のところにはそういう問題はないわけです。、
  395. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 車掌区でそういうことがあつたのですか。
  396. 佐藤實

    佐藤證人 はい。
  397. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはどういうことですか。
  398. 佐藤實

    佐藤證人 事業所閉鎖の問題は、私は最近になつて聞いたのですが、先ほど言いました東神奈川車掌区の乘務行路を、一部分品川と八王子の車掌区に移した問題じやないかと思います。その点について私のところは全然担当外ですから、明らかなことは申し上げかねます。
  399. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 先ほどおつしやつた庭田闘争委員長が乘るというのは、今あなたのおつしやつた交番制で乘るという意味でしたか。
  400. 佐藤實

    佐藤證人 電車区には旧交番制も新交番制もないのです。これは車掌区だけの問題です。
  401. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 車掌区はどういうことであつたか御承知ないですか。
  402. 佐藤實

    佐藤證人 日ごろからもあまり連絡がありませんし、ことにああいう混乱状態のときですから、ちつとも連絡がありませんでした。私としては何とも申し上げかねます。
  403. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 先ほどおつしやつた乘客代表だといつた人に、顔見知りや名前知つている人はおりませんでしたか。
  404. 佐藤實

    佐藤證人 私は横浜へ昨年の九月に來まして、それまでは高崎の方におりました。その前は満州におりましたので、全然顔見知りはありません。
  405. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何かお聞きになることはありませんか——大楠君。
  406. 大橋武夫

    ○大橋委員 今の乘客代表が証人に対して、自分たちで運轉するからだまつて見ている、こう言われた方は、あなたは前から御存じの方ですか。
  407. 佐藤實

    佐藤證人 今も申し上げましたように、私この京浜地帶は昨年の九月に來まして、官舎もすぐ近くにありますので、ほとんど面識もないわけで、そういう人は今まで一面識もありません。
  408. 大橋武夫

    ○大橋委員 全然御存じないですか。
  409. 佐藤實

    佐藤證人 はい。
  410. 大橋武夫

    ○大橋委員 それは共産党の梶原という人じやございませんか。
  411. 佐藤實

    佐藤證人 それはあとから聞いた話ですが、そういうことを言つておりました。
  412. 大橋武夫

    ○大橋委員 この梶原という人は、今度のストの間、しよつちゆう職場大会であるとか、あるいは電車区、車掌区等に立入りして、いろいろと組合員に対して争議上の有益なる指導をしてくれたそうですが、そのことをあなたはお聞きになつたことはありませんか。
  413. 佐藤實

    佐藤證人 その問題はよく聞いておりますが、それもあとから聞いたのです。
  414. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、証人あとから聞いたところでは、この問題については、共産党の一党員が非常に親切にも、組合員をかような不幸な争議に突入させるために盡力し、指導をしておつたということを聞いておられるわけですね。
  415. 佐藤實

    佐藤證人 聞いております。
  416. 大橋武夫

    ○大橋委員 それからもう一つお伺いしたいのは、庭田委員長は、ストが開始せられました当時、このストはなるべく早くやめたいという氣持を持つておられたようなことをお氣づきになつたことはありませんか。
  417. 佐藤實

    佐藤證人 その点は幾分私としても感じておるところがあるのです。それは先ほども言いましたように、六月の十日にMRSに私と庭田委員長と一緒に呼ばれたのです。そのときに横浜支部の役員、それから蒲田の車掌区長、そういう人が呼ばれまして、副官から、これは命令ではないが、京浜線の進駐軍電車を正常業務に復するように希望する、こういうことを言われて私たち帰つて来たのです。そのときにちようど局長から第一回目の警告文が出ておりまして、局長の警告では十六時までに職場に復帰せよというのであつたのですが、その警告を出した時間が十五時十五分であつたのです。それでその間四十五分しか時間がないので、何とか区長の力で局長に上申して時間を延ばしてくれ、こういうふうな空氣でありました。それで区内の空氣は大体ストをやめたいという意向であつたのです。ところが十六時三十分ごろから職場大会を開きました。その職場大会を開きたいという申出がありましたときに、私は、職場大会を開くのはいいが、決して外郭團体を入れてはいけない、区員だけの職場大会をやつてくれ、こういうことを要求したのですが、組合側は私の要求を聞き入れなくて、外郭の者が相当に入つて大会をやりまして、その結果スト続行という決議になつたのです。そのときに、組合の闘争委員が私のところに、ちようど西洋紙半ペラぐらいの書きつけを持つて來ました。その書きつけの内容は、庭田時事委員長がからだの調子が悪いので、先ほどはストをやめるような方向に自分の氣分が向いたということは、組合員に対して済まない。しかし断固決心を新たにして闘うから了承願いたい。こういうふうな意味のことを書いたものを似は見せられました。それで庭田分会長の氣持のうちでは、ストをやめたいという氣持が幾分動いていたということを私は察知しました。
  418. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、庭田分会長の氣持が、職場大会における外郭團体その他組合員中の一部過激分子の勢いで、本來目分の考えていたところと結果的にはそれてしまつたように、証人はお考えになつたのですか。
  419. 佐藤實

    佐藤證人 その点は幾分認められると思います。
  420. 大橋武夫

    ○大橋委員 それから東神奈川におきまして、その後ストが開始せられました後にも、車掌区において、あるいはまた電車区において、乘務をしたいという組合員の希望が当局側において阻止せられて、その結果ストが長く続いたのだということも、一部の人々には言われておるのですけれども、そのときの組合員側の態度、当局側の態度について、もう少し御説明を願いたい。
  421. 佐藤實

    佐藤證人 組合員の中の一部の者の乘務をしたいという氣持は、その個人個人の腹ですから、よくわかりませんが、こういうストの場合には、分会一つの固まりとなつているので、分会長許可がなければ、各分会組合員は乘らない、こういうことをはつきり言つております。それで分会の個人個人のうちで乘りたい者がある、こういうことは私は認められないと思います。
  422. 大橋武夫

    ○大橋委員 そういう点ではなく、組合組合として電車を動かしたい、それに対して当局が電車を動かさなかつた、また動かしてはいけないということを、言つた。これは見方によりますと、ストライキの対抗手段として事業主側が一種の事業所の開銀をしたような形になるわけですが、お前たちがストで乘らないというならば、われわれの方とては逆に電車を取り上げる、こういうことをやつたようにも思われるのですけれども、その双方の態度について、あなたが一番直接しておられましたお立場上、当時の御観察をお話願いたいと思います。
  423. 佐藤實

    佐藤證人 組合側から電車を動かす、こういうことに対して当局が阻止したのは事実ですが、その阻止した理、由は、業務命令に從つた電車の運行だつたらいつでも動かすということを当局ははつきり言つておりますので、当局は組合側が動かす電車をやたらに阻止したとは思いません。業務命令に從つて動かすものなら、いつでも動かすと言つております。
  424. 大橋武夫

    ○大橋委員 それから人民電車の運行についてですが、この電車の運轉は、当局の目から見れば非常に危険なものであつた。しかし組合側としては別に危険でも何でもない、安全に運轉して來たじやないか。こういうふうなことも言われるのですが、およそ当局の責任を離れて業務命令によらずして運轉される電車というものが、交通上どういうふうに危険なものであるかにつきまして、その方の御専門のお立場から御説明を伺いたいと思います。
  425. 佐藤實

    佐藤證人 われわれが列車または電車を動かす場合の安全度というものは、われわれにできる可能範囲の最高のものを選んでいるわけです。そのために管理または特に指令者というものがありまして、電車を出すときは、どこを何時何分電車が出て、次にはどこに着くとい運行表がはつきりきまつて、安全度はわれわれが考えられる最高のものをとつているわけです。ところがその当局の指令に何の連絡もなしに、ただ漠然とある一駅から電車が出るということは、われわれ交通業に携わつている者、または管理している者としては、非常に危険な状態にある。これははつきり明言できると思います。
  426. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうしますと、線路があつてそこを電車が走るわけですが、線路というものはだれが管理しておりますか。
  427. 佐藤實

    佐藤證人 線路は、管理は各管理部長にあると思いますが、実際にそれを管理するのは保線区だと思います。保線区の細部に行きますと、工手長とか、工手とか、こういうものが管理しておると思います。
  428. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、電車が何時にどこを運轉されるということについては、保線区というものは始終全般的に注意しておる、そうなりますか。
  429. 佐藤實

    佐藤證人 保線区は、大体線路の保守に対して常に監視をやつておりま
  430. 大橋武夫

    ○大橋委員 保守ではなく、線路上における運轉についてです。それは一体だれが管理しておるのですか、電車区ですか。
  431. 佐藤實

    佐藤證人 線路上の使用に対しては、結局管理部の運轉課が管理しておると思います。
  432. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、この人民電車は、先ほど東神奈川電車区及び車掌区並びに蒲田の電車区及び車掌区が相談の上運轉されたように伺つたのですがその点はそうでございまますね。
  433. 佐藤實

    佐藤證人 この十日の十四時ごろに私のところに持つて來ました運行ダイヤは、その四区の合同の代表者がきめたのですが、その実際の人民電車は、その四区の合同のものがやつたかどうかは、私としてはわかりかねます。
  434. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうして、その当時きめられたダイヤにつきましては、管理部運轉課が承知しておつたのですか。
  435. 佐藤實

    佐藤證人 十日の二時のやつですか——これは先ほども申し上げましたように、そのダイヤに非常に粗密があるので、私が先ほども申し上げましたように、乘客に非常に迷惑を及ぼす。電車の数は私が握つておるからわかる、それで運轉手と車掌が何名ここにおるから、電車を何本動かしてくれ、またそれを言わなくても、電車がここに何両あめつて、運轉手が何名車掌が何名おるから、それで電車を運行するのだ、こういうことを管理部へ上申すれば、管理部はその電車の数と乘務員の数に從つて適当な運行ダイヤをきめて、われわれに指令を出して來るわけです。
  436. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、普通の場合におけるダイヤというものは、管理部の手によつて作成するものですか。
  437. 佐藤實

    佐藤證人 これは、ここにも待つておりますが、毎年ダイヤ改正のときにダイヤをつくりまして、それをわれわれのところに配付しで來ているわけです。そうして基本ダイヤというものがありまして、それによつて運行をやつております。それに変更があれば、その都度われわれに指令して來るわけです。
  438. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、今度の人民電車につきまして、あなたはそれが正規の手続によつたダイヤによつて運轉されたものであるということの証拠は御存じありませんですな。
  439. 佐藤實

    佐藤證人 今度の人民電車は、正規の手続によつて動いたものでは全然ありません。これは私はつきりと申し上げられます。
  440. 大橋武夫

    ○大橋委員 それはダイヤにおいても……。
  441. 佐藤實

    佐藤證人 これはダイヤにおいてもであります。当日電車はかいもく動いてはいませんから、いよいよ電車を動かすときには、管理部の運轉指令から、何時何十分から電車を動かすからという指令をわれわれのところにおろして來て、初めてわれわれが電車を出庫させ、また乘務員の手配をするのでありますが、当日のものは、われわれはそういう手配を全然しておりません。その電車が出たことについてすら、われわれは知らないのですから、全然これは正規のものではありません。
  442. 大橋武夫

    ○大橋委員 それから話は飛びますが、六月十一日の職場大会で、ストの中止を決定されましたことを御存じでございますか。
  443. 佐藤實

    佐藤證人 局長から第二回り警告文が出ました。これは六月十一日の十時までに職場に復帰しろ、こういう警告文でありました。それで、私がその警告文を十日の夜受取つたのでありますが、これを清書しまして、夜一般掲示に出したら、はがれるおそれがあると思いましたので、十一日の朝六時半ごろ、これを掲示に出しました。そうすると、ちようど九時ごろに職場大会を開催さしてくれ、こういう申出がありましたので、私は職場大会開催はよろしい、しかし外郭團体を入れた職場大会は絶対だめだ、こういうことで許可をしました。そうして私にもこの大会に出てくれ、こういう要求がありましたので、私もそれじや出てやろう、こういうことでその大会に出たのでありますが、初めのうちは、横浜支部の役員が來まして非常にアジの演説をやりました。そのうち管理部から電話がかかつて來ましたので、私は事務所に引取りました。こういうふうにアジられたのでは、いくら組合員の氣持がストをやめる方向に向いていてもむだだ、私はこういう氣持をもつて、事務所に電話がかかつて來たので、引揚げて来たのでありますが、ちようど幸いなことには、十一時五十分に私のところに分会長と闘争委員二名が出頭しまして、ストを中止する、こういう申出があつたわけです。
  444. 大橋武夫

    ○大橋委員 よろしゆうございます。
  445. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ちよつと今の十一時五十分に申し出たが、そのちよつと前に、いわゆる進駐軍からストの中止命令が出ましたね。
  446. 佐藤實

    佐藤證人 進駐軍のスト中止命令は出ましたが、私のところで受領したのは十二時過ぎです。
  447. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると、そこで中止を決議したのは、進駐軍の命令と関系なかつたわけですか。
  448. 佐藤實

    佐藤證人 関係はありません。進駐軍の命令は、ちようど十二時ごろ本部であつたように聞いておりますが、私のところに傳達があつたのは一二時を過ぎておりました。
  449. 大橋武夫

    ○大橋委員 それからもう一点、かような電車が運轉されたということにつきましては、普通の状態にありますならば、電車区長であるあなたに監事上の責任があると事考えてよろしいですか。
  450. 佐藤實

    佐藤證人 普通の場合でありましたら、私に全部責任を負わせるということは、ちよつとおかしいのではないかと思います。責任は当然あります。しかし発車させたり、停車させたりするのは駅長の責任です。私のところは電車の整備と乘務員の交番その他をつかどつておりますので、この電車が何か時に出るのだ、こういう管理部の指令がありましたら、駅まで電車を仕立てて出すのが私のところの役目であります。
  451. 大橋武夫

    ○大橋委員 それから、二の問題につきまして、神奈川の工場代表者会議が、こういう電車が運轉されたことについては、これは自分たちの責任であるという決議をしておるのですけれども、そわ決議については、何かあなたの方に代表者からお話がありましたでしようか。
  452. 佐藤實

    佐藤證人 その決議の様子は、私の方に何にもありませんが、後日新聞でそれを見て私は承知をしております。
  453. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 先ほど聞いた白帶車の問題ですが、さつき駅長に聞きますと、白帶車の管理の責任はあなたにあるように言つてつたが、それは間違いありませんか。
  454. 佐藤實

    佐藤證人 白帶車の管理は私の責任にあります。白帶車の清掃と運轉——途中駅における監督とか、そういうものは車掌にありますが、電車区内における清掃または電車に編成したり、それから電車区内における管理は、私の方に責任があります。
  455. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで、先ほどの命令の話ですが、命令については、助役は、何か傳えたようだが、それは電車区長の責任なんで、あまりよく知らぬと言つたのですが、あなたはそういうことをよく報告を受けておるのではないのですか、その点については。
  456. 佐藤實

    佐藤證人 命令というのは、どういう命令ですか。
  457. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 進駐軍から來た、白帶車から出せという命令
  458. 佐藤實

    佐藤證人 これは私の方に直接來たのではないのです。この命令は十日の夜半二時ごろ、先ほども言いましたように、電車の車側をばたばたたたくので、私もびつくりして外に飛び出したのです。そうしたら電車の中におりました外郭の者が來たぞ來たぞと言つたので飛び出して行つたのです。よく話を聞いてみましたら、たつた二名だということを言つておりました。その外郭の者が二名だというので、何が二名だと思いましたら警官が二名でありまして、そこで外郭の者は警官を取囲んでいろいろ聞いたらしいのです。そうしたら警官が進駐軍の白帶車の中に入つておると諸君が不利になるから、出たらどうだということを言つたらしいのです。助役が聞いたのでも、私が聞いたのでもないのです。外郭の者に警官が言つたのを私たちが又聞きしたのです。
  459. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで白帶車の中でよほど重要なる会議を開いたということを聞いたのですが、どういうことをやるつもりで入つたのか御承知ですか。
  460. 佐藤實

    佐藤證人 それは私としてはその会議に出ませんからはつきりしたことはわかりませんが、そこのところは人から又聞きしたくらいであります。
  461. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その中でいろいろ密議を凝らしておつたことは間違いありませんね。
  462. 佐藤實

    佐藤證人 それは結局十日の朝から京浜線を動かそう、こういうことをその中できめた……。
  463. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いわゆる人民電車ですね。
  464. 佐藤實

    佐藤證人 それは民電車ではなしに、十日の朝から京浜線を動かしたいということであります。
  465. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 はい、わかりました。——ほかにありませんか。
  466. 神山茂夫

    神山委員 区長さんにちよつとお尋ねします。問題が人民電車に集中されておるように見えますが、これはあなたも今御承知のように、新交番制の問題と関連して、五月の末から問題になつておるのでお尋ねするのですが、あなたは五月の三十日に出勤していらつしやるでしようか。
  467. 佐藤實

    佐藤證人 五月の三十日は出勤しております。
  468. 神山茂夫

    神山委員 いらつしやいますね。間違いありませんか。
  469. 佐藤實

    佐藤證人 ちよつとお待ちください。五月三十日は電車区には出ておりませんが、管理部行つております。
  470. 神山茂夫

    神山委員 そうすると組合員諸君に言わせますと、あなたはその日お休みになつたということは間違いですね。
  471. 佐藤實

    佐藤證人 これは私たち組合員に言われないような仕事がありますので、私は助役に実は今日は姉の家に不幸があつて出るのだ、こういうことを言つて出たこともあります。組合員ばかりでなく、助役にまで偽つて出るような仕事があるのです。それで私はそういうことを言つたことがあります。
  472. 神山茂夫

    神山委員 それでは組合員諸君の前でその日は頭が痛くてお休みになつたというのは言えない公用があつた、こういうわけですね。
  473. 佐藤實

    佐藤證人 そうであります。
  474. 神山茂夫

    神山委員 從つて出勤簿は出勤になつてつても、別にふしぎはないわけですね。
  475. 佐藤實

    佐藤證人 そうであります。
  476. 神山茂夫

    神山委員 あなたは引揚者でしよう。
  477. 佐藤實

    佐藤證人 さようです。
  478. 神山茂夫

    神山委員 その引揚げていらつしやる前にどういう仕事をやつていらつしやいましたか。
  479. 佐藤實

    佐藤證人 私は引揚げて來るまではやはり満鉄の鉄道員をやつておりました。
  480. 神山茂夫

    神山委員 おもにどんな関係にいらつしやつたのですか。
  481. 佐藤實

    佐藤證人 今は電車にかわつておりますが、満鉄では機関車の方が専門で、それの機関車課長まで行つて仕事をやつておりました。
  482. 神山茂夫

    神山委員 ずつと鉄道関係をやつていたのですか。
  483. 佐藤實

    佐藤證人 そうです。
  484. 神山茂夫

    神山委員 今電車関係を担当していらつしやるのですが、機関車関係の仕事と電車関係の仕事とは、一口に言つてどうでしようか。似ているという点もありましようが、根本において違うところはありませんか。
  485. 佐藤實

    佐藤證人 それはただ電車と機関車とがかわつただけで他のあらゆる方面は同じです。、
  486. 神山茂夫

    神山委員 あなたは今日はなかなかよいことをおつしやつてくださつておりますが、九日の晩の東達甲五八三号、——先ほどから大橋委員がなかなかこれに食いついておるのですが、あなたのところへ從業員諸君が電車を出したいといつて來たのがこの五八三号で、これが一つの原因となつて乘れなかつたという事実は認められませんかな。直接あなたの方に関係はないでしようが、間接的に関係はなかつたのですか。
  487. 佐藤實

    佐藤證人 五八三号といいますとどういうあ……。
  488. 神山茂夫

    神山委員 これは先ほど大橋委員が言つた……。
  489. 佐藤實

    佐藤證人 それは車掌が乘れなかつたというのが原因です。
  490. 神山茂夫

    神山委員 乘れなかつたことですね。
  491. 佐藤實

    佐藤證人 そうです。はつきり乘ることを当局から止められておるから乘れなかつたのです。これは明らかです。
  492. 神山茂夫

    神山委員 その点で車掌区の区長さんもあなたと同じことを言つております。この東達甲というものがじやまになつて従業員の方で乘りたいといつても乘れなかつたということを言われたのであります。これ以外にあなたはお聞きになりませんか。蒲田や鶴見で電源を切つたとか切らないとかいう話があつたのですが……。
  493. 佐藤實

    佐藤證人 私は事務所におりましたので、もしあつたとしたら管理部にあつたと思う。私はそれについて全然関知しません。
  494. 神山茂夫

    神山委員 話は聞いていらつしやいませんか。
  495. 佐藤實

    佐藤證人 話は聞いておりますが、どこでどういう手段でやつたか聞いておりません。
  496. 神山茂夫

    神山委員 けつこうです。お聞きになつていることについてお尋ねしたいのですが、原町田で五月二十四日、六三型電車が火をふいて焼けたことがありますが、この原因は知りませんか。
  497. 佐藤實

    佐藤證人 事実二十四日に焼けております。この原田は電車のつなぎ箱のところに欠陥がありまして、そこから火をふいたのであります。このときは非常に雨が続いたあとで、雨水が侵入してその車との間にデッド、アースして火をふいたという断定をくだしております。
  498. 神山茂夫

    神山委員 先ほど駅長さんが見えて、人民電車が出たとき、信号手などが非常に脅迫されたというような話をしていましたが、これはあなたはお聞きになつたことはありませんか。
  499. 佐藤實

    佐藤證人 それは聞いております。この指令電話というのは管理部から一つの受話機を上げて電話をかけますと必要な個所々々に一ぺんに電話が通ずるようになつているようです。そうして私のところの助役の受話機を上げて電話を聞いていたときに、駅の信号係から非常に脅迫されたような言辞を管理部の方に報告しておるのを、私の方の助役が聞いたということを私のところに報告しております。
  500. 神山茂夫

    神山委員 それはお聞きになつたわけですね。ところが一方組合側では、この出発信号を、管理部のさしずでずつと赤にしつぱなしにしていた。從つて当局側こそ電車を出させないもう一つの原因をつくつていたのだということも言つておりますが、あなたの御見解は……。
  501. 佐藤實

    佐藤證人 私の見解としましては、管理部が業務命令に從つた電車であれば、いつでも信号は青にして電車を発車させるだろうと私は思います。業務命令に従わない電車が出るのを恐れて赤にしたの、だと思います。
  502. 神山茂夫

    神山委員 非常にはつきりしていてよろしいと思います。それで、こんなことはないと思いますが、日時や場所のことは抜きまして、青年部の人に対して、あなたが高崎から轉勤なさつて來たのは、当局の命によつて神奈川電車区の組合が強硬なので、これを弾圧するために來たのだというふうなことをおつしやつた。そしてあとになつて、先日のはじようだんだというふうにお取消しになつておるらしいのですが、こういう事実は……。
  503. 佐藤實

    佐藤證人 そういう事実はあります。それはこういうわけです。組合側から、今度の行政整理に対して確約闘争が相当ありまして、確約闘争に対しては私のところが一番初めに三月半ばごろからこれが出ていたわけです。それは支部とか本部指令によるものでなしに、私のところの分会だけでそういうものをりくりまして、謄写版でちようどこれくらいの紙に刷つて私のところに持つて來ました。そのときに私は、自分としてはそんなものに判を押すことはできないということを言いました。そうすると組合の者はこういうのです。お前が判を押せないのは、東神奈川電車分会というのは、非常に組合活動が強くて、さきに專從者問題でもめたときに、組合の看板を東鉄の局長室まで持ち込んだことをお前知つてるたろう。こういうことを言われて、ぼくも知つておる。これほど組合活動の強い東神奈川にお前轉勤して來たのだから、その轉勤して來たことに対しては、当局から相当言われて來ただろう、こういうことを言われたのです。それは私は言われて來た、こういうことを言つたのです。そしてその言われて来たことに対して、ここで判をついてはお前首があぶないのだろうと、こういうことまで言われました。
  504. 神山茂夫

    神山委員 今度はその次ですが、ぼくはもう話の中でわかつているからいいと思うのだが、委員諸君多数の希望ですから、その希望に沿つてはつきり認めてほしいのですが、そうしますと、あなたはこれはおつしやつたことはないと言うのですか、いつかじようだんで取消したということは、ほんとうなのですか。
  505. 佐藤實

    佐藤證人 これは私の方から言う前に向うから言つて來たので、そうお前たちが認めるなら認めろ、こういうことを私は言つたわけです。
  506. 神山茂夫

    神山委員 そこで認めるなら認めろと、ついおつしやつたので、放言をしたなんて組合員諸君は言うし、これをビラに書いて、そこらに張つたでしよう。
  507. 佐藤實

    佐藤證人 張られました。ビラは一ぱい書いて張られましたが、私はそれを張る指令も、私自身としても張りもしなかつたし、そんなものは、雨と風が吹けば一週間ではがれてしまうと私は放つて置きました。それからそのほかもつと申し上げたいことは、謄写版でザラ紙一枚にずつと私の人身攻撃を書いたビラを、私の住んでいる官舎全体にも配られたのであります。ところが、私はそんなものを書くやつは放つておけ、私はそんなことで驚きもしないと放つておいたのです。
  508. 神山茂夫

    神山委員 そのビラの内容はどういうものか知りませんか。あなたの日常の問題についてやはりいろいろなことを言つておるし、私たちも組合員諸君も知つておりますが、それをここで言う必要がないから、私は腹の中に収めておるのです。それから区長さん、あなた認めていらつしやることですが、十日三時三十分に東神奈川電車区は十日に正常に運行する、乘務するということを申し出ておりますね。このことはもう一ぺんあなた自身からお答え願いたいと思います。
  509. 佐藤實

    佐藤證人 十日の朝から京浜線は正常ダイヤで乘務するということは申し出ております。
  510. 神山茂夫

    神山委員 それから十一日に連合軍から指令が出たことは御承知でしようが、これは何時ころであつたか御記憶ありませんか。
  511. 佐藤實

    佐藤證人 私は何時ごろに出たかは存じませんが、私のところに指令が届いたのは十二時過ぎであります。
  512. 神山茂夫

    神山委員 出たのは十一時に出ておりますが、その前に組合側は、支部の大会の決定によつて自発事的にストライキはやめるというふうにきめておる点は御承知ですか。
  513. 佐藤實

    佐藤證人 それは先ほど言いましたように、十一時五十分にストをやめるということを私のところに申し出ておりまして、私は間髪を入れず管理部にそれを報告しております。
  514. 大橋武夫

    ○大橋委員 先ほどの問題なんですが、それは東神奈川車掌区の管轄を八王子と品川の車掌区に切りかえた、こういうことを管理部でやられておりますが、これは当時の様子をいずれあと車掌区長さんがおいでになりますから、その方からお聞きすれば一層はつきりすると思うのでございますが、当時の実情は、こういうふうにでもしなければ、実際問題として業務命令による適正な電車を動かすことがむずかしかつた。そこで管理部としては、やむを得ずこういう処置をとるに至つた、こういうふうに私ども聞いておるのですが、あなた方はどう御観察になるでございましようか。
  515. 佐藤實

    佐藤證人 これは私見ですが、東神奈川車掌区に乘務行路をゆだねておいたら、いつストがはてるかもわからないので、ストがはてなければ正常運轉というものは確保できないと思います。その正常運轉に幾らかでも早く返すためには、乘務行路の移管をやつて車掌のあるところにそれを持たせて行けば、正常運轉に返れるものと私は思います。
  516. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうしますと、その当時のかような措置は、もし東神奈川車掌区が明白にストをやめたということになりますと、そのときには、ただちに元に返すということが当然考えられておつたと思うのでございますが、それは関係者の間ではどういうふうな感じを受げられましたか。
  517. 佐藤實

    佐藤證人 それに対して私は全然局の意向を存じませんので、何とも申し上、げかねます。
  518. 大橋武夫

    ○大橋委員 結果的には、ストをやめたら、ただちに原状に復したということはございませんか。
  519. 佐藤實

    佐藤證人 結果的には、ストをやめて十二日にはその達を取消しておりますからはつきりしておると思います。
  520. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 では済みました。御苦労さんでした。
  521. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ただいまお見えになつた証人の方は神谷仲次さん、井上勘一さん、片岡敏男さんですね。これより國電スト問題について証言を求めることにいたします。  証言を求める前に、各証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び、医師、歯科、医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられかつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一應このことを御承知になつておいていただきたいと思います。   では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御事起立を願います。     〔証人神谷仲次君各証人を代表して宣誓
  522. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 署名捺印願います。     〔各証人宣誓書署名捺印
  523. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 証書を求める順序は神谷さん、井上さん、片岡さんの順序で承りますから、神谷さん以外の方はもう一度元の控室でお待ち願います。  神谷さんですね。あなたは東神奈川首席助役をしておいでになるようですが間違いありませんか。
  524. 神谷仲次

    ○神谷證人 はい。
  525. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いつからですか。
  526. 神谷仲次

    ○神谷證人 首席助役の年月日だけでよろしゆうございますか。
  527. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 けつこうです。
  528. 神谷仲次

    ○神谷證人 昭和二十四年一月二十八日附でなりました。
  529. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それで今日に及んでおるわけですか。
  530. 神谷仲次

    ○神谷證人 さようでございます。
  531. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 五月末からいわゆる新交番制の実施にあたつて組合側といろいろごたごたがあつたようですが、それについて六月五日に新橋管理部当局と何か交渉がありましたか。
  532. 神谷仲次

    ○神谷證人 交渉といいますと、どういう……。
  533. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 組合との交渉もしくはあなた方との交渉が何かあつたのじやないですか。
  534. 神谷仲次

    ○神谷證人 六月の五日には管理部から十一時ごろと思いますが業務課長総務課長、旅客係長、運行係長、その他公安官が、何名ぐらいでしたか人数はわかりませんが、人のうわさに聞きますと、三、四十名のようなことを聞いておりましたが、車掌区へ参つた日だと思います。
  535. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはどういうために出て参つたのですか。
  536. 神谷仲次

    ○神谷證人 これは新交番制がなかなか実施できないような状態でありましたので、管理部からその実情を調査し、並びに新交番制によるように処置するといいますか、そういつた意味合いで來たことと思います。來たときには私たちはほとんど各課長とは一言も話をかわしませんので、その内容についてはよくは聞きませんでしたが、私はそう考えております。
  537. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 組合側と会つて何か折衝いたしましたか。
  538. 神谷仲次

    ○神谷證人 私は車掌が乘務するときの点呼の——要するに当務助役いすうしろ業務課長並びにその他の係長、総務課長がおりまして、そのまたうしろに私とそのほかの助役が立つて、その実際を見ておりました。業務課長が操縦助役のところに行きまして、そうしてどうか新交番乘つてもらうように……。
  539. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 車掌を集めてですか。
  540. 神谷仲次

    ○神谷證人 はあ。そこに車掌がおりますから——。しかしいた者はほんの数名であります。車掌区は駅みたいに全部一括しておりませんので、その都度出勤して來ますから、多いときでも十人か十二、三人が顔を合せるぐらいだろうと思います。交代時間でないときは二、三人の顔しか見えないような勤務状態でありますが、そこにおりまして、そうしてどうか新交番によつて乘つてもらいたいということに努めておつたのであります。そのときに組合の闘争委員の前へ來まして……。
  541. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 闘争委員のだれですか。
  542. 神谷仲次

    ○神谷證人 あのときは当時の闘争委員の人がほとんど顔が見えたと思います。井上勘一君や粟竹君の顔も見えたと思います。川久保正夫君、皆藤音松君、それから大木由春君も見え事ました。それから柳川一夫君もいたと思います。そのほか車掌区の勤務すべき車掌は当時少いのでありますが、そのほかの人でもつて操縦の前後はほとんど一ぱいでありましたから、それ以外にははつきりとわかりませんです。ことに電車区からも大勢の人が一緒に参りましたものですから、結局そこで押し問答をしたわけであります。
  543. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 組合の方からは新交番制は受諾できないという理由でも並べておりましたか。
  544. 神谷仲次

    ○神谷證人 はあ。とにかく旧交番でやつてもらうという総意にによつて、旧交番でやるということになつているのだから、われわれは電車をとめようとしているのではないのだ。電車を動かすという趣旨で言つているの、だが、とにかく皆が新交番はいやだと言つておるのだから、どうしでも旧交番でやるのだと言つておりました。業務課長としましては、これは業務命令で出ているのだ、ことに管理部長から業務命令によつて六月一日から新交番制によれということを掲示を出しているのだから、どうして新交番をやれないのかということを、業務課長組合の者に言つておりました。そのときに電車区からも来まして、大体今日こうやつて来るのはわれわれを威嚇しに來るのかとか、あるいは公安官を何のために連れて来るのかというようなことで、新交番、旧交番ということよりも、むしろ管理部が大勢来たということに対しまして、そういうことをしなくてもいいじやないか、いやそういうように君たちをおどかすとか何とかいう意味合いでわれわれは來たのではないのだ、とにかく業務命令によつて交番を実施するということで來たのだということで押し問答をして、結局同じようなことで時間を過ぎたのであります。
  545. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 新交番制のよしあしの議論よりか、そういう出て来たことに対する議論の方が多かつたわけですね。
  546. 神谷仲次

    ○神谷證人 まあ、そういうことになります。
  547. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それに対して組合側は、当局の態度がその際はきわめて挑発的で、逆に事態を紛糾せしめたのだと言つているというようなことが、いろいろなものを読んでみると書いてありますが、あなたはその点をどうお思いになりますか。高圧的に出ておりましたか、それともできるだけ穏やかに、ひとつ開いてもらいたいというような態度に出ておりましたか。
  548. 神谷仲次

    ○神谷證人 高圧的ということはちよつと認められないですね。     〔発言する者あり〕
  549. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 答弁中はそういうことはやめてもらいましよう。
  550. 神谷仲次

    ○神谷證人 高圧的ということに対しては私感じませんでしたが、とにかく新交番を実施しようということに対しまして、まあ管理部として大勢によつてそれを説得しようということで來たと、そう私感じましたから、公安官を連れて来たということに対しましては、あるいは考えようによつては、威嚇だととられる方もあるかもわかりませんが、私はそういうふうには強くそのときには感じてはおりませんでした。ことにああいう大勢の中にまじつておりまして、幾人くらい公安官が來たのか、公安官が大勢表に——公安官は中に入らず、表におつたのですから、公安官が幾人来たとか、あちらでは大勢だとか、こちらでは何とかと言いますが、三十人か二十人くらい來たどいうことは聞きましたけれども、幾人來たという数字は私は知りません。
  551. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのときはとうとう話はまとまらなかつたのですか。
  552. 神谷仲次

    ○神谷證人 結局横浜の支部長さんが來られまして、とにかくこういうことは穏やかでない、話合いで行こうじやないか、話をしようじやないかということになりまして、総務課長と支部長さんとが区長の机のところに行きまして、そこで何か話し合つてつたようですが、私はその場に行きません。二人だけにしようということで行きまして、それで話をつけまして、ちようど十三時、ごろですから午後の一ごろになりますが、ひとまず公安官に帰つてもらおう、そのかわりに外郭團体その他の者は支部長の手によつて帰すから、公安官の件についてはあなた方の責任において帰すということにきめた、ということで、公安官はそのまま帰つてもらい、それからまた外郭團体その他の方には、横浜の支部長さんの言葉によつて無事に帰つてもらつたという状態で、その間、時間はちようど十一時ごろだつたと思いましたから、午後の一時ちよつと過ぎまで、約二時間と少しの時間です。
  553. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこであとは何もなかつたですか。
  554. 神谷仲次

    ○神谷證人 あと組合の者があとに残りまして、区長が呼んだというふうに誤解したのだと思いますが、区長のところに來て、何もこんな大きなことをして、車掌区だけのことに対して公安官などを呼ばなくてもいいじやないかというようなことを区長に言つておりましたが、区長は、いや僕らは呼んだのじやない、管理部として來たのだ、僕らの知つたことじやないのだということを説明しまして、その話も、納得したかしないか、その点はわかりませんが、ひとまずそれでわかれました。何事も別になく……。
  555. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何か話しておつたところに、外郭團体の者がずいぶん大勢押しかけて來たというようなことはありませんでしたか。
  556. 神谷仲次

    ○神谷證人 そのときは電車区の外郭團体というのは、どこの何が來ましたか、私には部外者の顔はよくわかりませんけれども、公安官ちようど立ち去るときには、朝連の人が六、七名区長さんのところで区長と話しておりました。執拗にいろいろと話をしておるので、区長さんも困つてしまつておるので、私がすぐに業務課長のところに行きまして、朝連の方が大分区長さんのところに話を持つて來て、区長さんも困つておるようだが、今の話を聞くと、公安官引取る、外郭團体の人は支部長さんの手によつて帰すということに話がきまつておるようだから、どうか業務課長さんから支部長さんに話をして、支部長さんの手でとにかくあの朝連の方を帰すようにしてもらいたいということを、私は表に出まして、業務課長のおるところに行つて実際話しました。支部長さんがいたものですから、その場ですぐ支部長さんに、外郭團体が残つておるそうだが、ひとつ帰してくれよということを話しまして、支部長さんが來まして、話は大体わかつた。私があとでまだいろいろ話をするから、ひとまず帰つてもらいたいということを朝連の方に言つたのです。じやとにかく私たちは帰りましようということで帰つた
  557. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 穏やかに済んだわけでありますか。それはどういうふうにきまつたのでありますか。
  558. 神谷仲次

    ○神谷證人 いや別にそこではきまらないのです。
  559. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうことがきまつたわけですか、支部長と何とでは……。
  560. 神谷仲次

    ○神谷證人 支部長とは、これは総務課長といずれ話合うということであつたと思いますから、そこではとにかくその場を治めるためにお互いに責任を持つて引下る。とにかく公安官も帰る、外郭團体も帰るということでもつて、その後は残つておりませんから。——管理部業務課長の人も、総務課長の人も……。
  561. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 業務課長かちも何か命令をして帰つたのですか。
  562. 神谷仲次

    ○神谷證人 それは追つて支部と話合うことにするからというので、結論は何も言わずに帰つたのであります。
  563. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると交番制の実施は、どういうことになりますか。
  564. 神谷仲次

    ○神谷證人 やはり新交番制によれなければ、区長の指定した行路によれという業務命令でありますから、結局区長としては旧交番を認めるということは異議ないのでありますが、それができないためにああいうふうなものまで行つたのでありますから、とにかく区長の指定による、そして依然三日、四日というような状態を継続したわけであります。
  565. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 六日、七日も……。
  566. 神谷仲次

    ○神谷證人 そうでございます。
  567. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが九日に行つて、えらい爆発したそうですが、それはどういうわけですか。
  568. 神谷仲次

    ○神谷證人 それはちようど当日九日は、区長さんが原町田のRTOの呼び出しを受けまして、九時ちよつと過ぎの横浜線でもつてRTOに出頭して、留守になつたのであります。ちようど十時十五分過ぎだと思います。管理部長から電話が來まして、区長を呼びました。区長は今RTOに出頭していない。そうしたところがそれでは首席助役でよろしい。それで私は頼まれた。今発令を言うから書き取つてくれ。そこで私は十人に対する免職の発令を、十時十五分に電話でもつて部長から直接受けました。区長はどこへ行つた、原町田のRTOに行つてちよつと帰りはわからない。それでは区長を待つていられないから、君から今分会にいる者に対してそれを口頭で傳達しろ、必ずするか。いたします。幾人したか返事しろ、こういう話で承知しましたというので、そばにいた石井儀八助役を通じまして、分会にいる方にちよつと用があるから來てもらいたい。そうしたところがそのときにちようど関根國松というというのが物品に用があつて來ておりまして、それがそばにいたものですから、関根君といつて呼んだときに、井上勘一君と、それから皆藤音松君、それからいま一人は……、これはちよつと記録を見てよろしゆうございますか。
  569. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ええ。
  570. 神谷仲次

    ○神谷證人 関根國松君、皆藤音松君、それから柳川一夫君に井上勘一君、この四人だけ來ましたので、その趣旨を口頭で傳達いたしました。それは十時の発令で部長から、日本國有鉄道法第三十一條及び公共企業体労働関係法第十八條により免職する、こういう発令があつたからひとつ承知していただきたいということを、四人に私が傳達いたしました。そのときに分会にはだれがいましたか、建物は違うので、私にはわかりませんが、そのときにはたしか水口君もいたと思います。粟竹君もいたのじやないかと思いますけれども、四人一緒にまじつて來ませんので、傳達が遅れておりました。そうすると井上勘一君がああそう、じやいいよ、とにかく名前を書かしてくれといつて電話を受けて、書いた名前十名だけを皆藤君が書き取りまして、そうして分会へ引上げて來ました。そうすると十一時五分か、十分ごろだつたと思いますが、大分建物の外であつちこつちと人がかけるようになり、ざわめいて來たわけであります。これはどういうことになるのかと、実は私も心配しておりましたところが、結局電車区へも連絡をとりに走るといつたようなぐあいに、あつちこつちへ連絡に走つたように見受けておりましたが、やがて電車区から電車の汽笛であります。あれが何箇所で鳴らしたか知らぬが、とにかく鳴り始めました。ちようど空襲を思わせるような氣分になつたのでありますが、空襲当時の……。そうこうしているうちに十一時四十分に到着する電車で、区長が帰つて参りました。私すぐにその発令の趣きを傳え、なお四人に傳達したことを傳えました。区長はそうか、それではすぐにほかの者がいるかどうか見て來いということでおりましたところが、水口君と栗竹君の顔が区長のいる建物の事務室で見えましたので、私呼びまして、ちよつと来てくれと言つた。そうしたところがそばへ來ました。それがちようど十二時五分であります。十二時五分に二人來まして、区長が発令の趣きを傳達いたしました。水口君、粟竹君はそんなことはわかつている、いいです、いいです、そんなことはいいですと言つて、区長の前を立ち去りました。でストに入つたのはたしか十一時四十分から五十分までの間だつたと思いますが、電車番号は、これは私が実際に見たのじやないのです。あとからの情報で聞いたのでありますが、京浜のつまり櫻木町行、南行電車言つておりますが、下り電車一〇六七A、上りが一一六二A電車、つまり東京方面横浜線は区長が乘つて来たその電車の折返しになる電車一一〇一H、鶴見線が十二時をちよつと過ぎまして一二〇三という電車から、電車がとまつたように聞いて参おります。それから以後ト状態になつております。
  571. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこでずいぶんいろいろ聞いてみますと、ほかの方面ではそれほど騒がなかつたのですが、車掌区だけが特に新交番について問題が起きたようですが、これはどういうわけなんですか。
  572. 神谷仲次

    ○神谷證人 それはちよつと話がまたさかのぼりますが、五月十八日に新橋管理部、八王子管理部内の車掌区長会議、これは事務上の連絡でありまして、もう二、三年このかた継続して、毎月一回一日の日に開きましたので、一日会という名前をつけてやつておりますが、実際はいつも一日に開けないで十日過ぎになつておりますが、幹事としまして毎月各車掌区を巡回しておりまして、ちようど久里浜の車掌支区が五月の当番に当ります。十八日にただいま申し上げました新橋、八王子管理部車掌区長、並びに首席助役が久里浜に集まりましたときに、東京鉄道局の業務部の総務課の車掌区の行路関係の担当者室伏と申します、これがちようど出席しておりまして、そのときに今度の新勤務時間制によつて交番が相当少くなるについて、その数を大体お話をするから、それによつて準備して交番を組み直す方法をとつてもらいたいということを各区長が受けまして、私そのときには列席をしておりましたけれども、末端におりまして、あとで区長からそういう話を聞かされました。しかし京浜、東北においては蒲田も乘つているので、同じ歩調で行かないとまずいからというので、蒲田の助役の椎野という人に私話しまして、同じ歩調で行くことにして、いずれ担当助役からあなたの方に連絡をとつて相談をする。それについて案を大体こしらえてもらおうじやないかということでわかれまして、十八日に帰つて参りました。十九日の朝に出勤しておる各担当の助役だけには、その旨を話しておきました。電車と汽車との予備率というものが今まで違つておりまして、電車は三割九分五厘、汽車の方は三割五分五厘であつたのですが、今度新勤務制によりまして同じ予備軍になり、電車が三割五分五厘になる関係上、京浜に乘つておる組に対しては何名というふうに、合計四十という交番がとにかく少くなるわけであります。その準備を各担当助役がやつておりましたが、ただ汽車の方は予備率に変更がありませんで、一部行路をいじくりませんと、汽車はたしか九名でしたか、九名の交番があかないのでありまして、その件につきまして鈴木という担当助役が局へもいきましていろいろと相談をして、この交番をいじくることは区長の権限においてやれるのであります。委任されておるのでありますが、行路の内容をいじくることは局長でなければできないのであります。少しでもいじくることは局に相談をして、局の指示を受けなければできないわけであります。それがために局に行きまして、一部それを直すということでございましたが、その交番制をやることにつきましては、汽車に乘つておる組の懇談会を、人を集める関係から、三十一日でなければ開けない。三十一日の日に汽車班の懇談会を開くから、そのときに内容を検討しようということになつてつた関係上、どうし   ても六月一日からは実施ができない状態にありますので、汽車に限つては六月五日に実施してもらわぬことには、事務上できないということを管理部に申しまして、承認を受けました。そうして電車は六月一日から、汽車は六月五日からということで、準備を進めたのであります。とにかく明けと公休の人がおりますので、どうしても電車を一日からやるのには五月三十日の午前中、午前も朝早くですが、すつかり交番表の割当をやりまして、だれが何に事乘るということをきめて一般に確認をとらないことには、一日から実施できないのであります。というのは、とまりの者が三十日に明けで休んで、その次が公休になつて六月一日から出勤するということになりますから、どうしても三十日の軌までには一般に確認の判をとるという状態に置かなければできないのであります。それで全部その準備だけは、謄写版もありますし、いろいろと仕事上の準備ができましたが、六月一日から実施をするという通知を、二十四日の午後三時ごろだと思いますが、管理部の担当の松島という人、から私は電話で受けまして、せんだつての一日会で新交番をやる話を局から聞いておるだろうが、あれは今局からの命令で、六月一日から実施するということになつたから、ひとつそのつもりでいてもらいたいということを二十四日に受けました。そうするともうほんとうに三十日の朝までには、すつかりこしらえなければならないので、非常に日が短かいのであります。全部準備が済みましたのは二十七日の日だと思います。区長がちようど不在でありましたが、分会長井上勘一君外数名の方が私のそばに來ました。いよいよ六月一日から新交番制によつてやるそうだが、それだけの人間をどうするのだ、要するにそれだけ浮かせということは、首切りじやないか、私たちには、そう考えられる。これが首切りになる前提じや承服できないから、これはひとつ返上してもらいたい。それからまたこれはどうしてもやらなくちやならぬ問題なのか、他ではやらないような車掌区もあるように聞いておるのだが、こういうような話を言つて來たのです。これは局からも内示もありましたし、また管理部からも一日からやれということで、首切りということは決して当局では言つてない。新勤務時間の改正に伴うもので、八時間制に伴つて駅とか車掌区の庶務係はすでに実施しておる。ただ乘務員だけがいろいろの都合で延びておつたのを、ここでやることになつたのであつて、決して首切りじやないということを当局で言つておるのだから、ぼくはそう信じておる。まあひとつそう思つて、時期が遅れておつたということでやるよりしようがないだろうということを、私はそこで言いました。しかし今日は区長もおらないから、明日区長が來たら、あなたの來た趣をよく話すということでおつたのです。それでそのことは区長にも傳えたのです。二十九日はたしか日曜だつたと思いますが、その日曜の日に水口君と井上勘一君が午前一回——午前一回は井上勘一君だけですが、午後二時五十分ごろですが、東神奈川ホームにある車掌の休憩所に私がおりますと、そこへ來まして、方々の車掌区を聞いてみると、どこもやつておらぬ、この車掌区だけがやる、何もほかでやつてないものをこの車掌区でやる必要はないと言うので、いやそんなことはない、とにかく六月一日から一済にやるということになつておるので、これはひとり東神奈川車掌区に限つたことではない、これはみんなやるんだ、ぼくはやるつもりで信じていると申しましたら、それならばあなた聞いてみなさいというわけで、ひとつ確かめてみようということになつた。しかし区長さんや助役さんに聞いたつてだめですよ、区長さんや助役さんはもちろん管理部や局に対しては、やつておるということにして内たは認めておるから、とにかく車掌に開いてみなければいけない、車掌ならば眞実のことを言うだろうと言うのですが、しかしそんなことはできないじやないか、事実はわかつておる、交渉してちやんと操縦の前に判こを押すように交番順序が出してある以上は、そんなうそはお互いに言えないだろう、しかしほかがやらないでいいならば、何も東神奈川車掌区ひとりだけやる必要はないので、管理部へ話してできるものならば了解してもらうよりしようがない、これは、ひとつよく確めてみようということになつたのですが、私の考えとしてはそんなばかな話はないと実はそのとき思つてつた。だから結局どうしてもわきでやつておるからやつておるからと言いまして——新鶴見の助役にも会つたとき聞いてみましたが、やはりやつておると言いますし、それに東京は伊東線が電化になりましたのが五月の十五日だと思いますが、それに伴つて一部乘務方がかわつた機会に、新交番でやつたそうです。品川はどうせやるならば早くやろうじやないかという名のもとに、五月の二十四、五日ごろ移つたそうです。それも話したのです。品川と東京は、どうせやるならばというので、もうすでに品川などは始めたというわけなのだと言うと、いやあそこはだめだ、あれは何でも区長の言いなりになつているので、あそこはもうやつてるかもわからぬ、そのほかのところはやつてない、矢向もやつてないと言うのです。矢向は聞いてみましたところが、あそこは東京競馬で非常に臨時電車が動いておる、それがために人が足りないで、ことに八時間制以上のような勤務を代務でやらなければならぬような、人のきゆうくつがあるので、東京競馬が終つてから実施するということで、管理部の承認を得ておるからそれまではおれのところは実施してないのだという話を聞きました。そうしてみると、あとはどうもみなやつてるように思えるので、私としてはどうしても六月一日から業務命令通りやるのだというふうに信じておりました。
  573. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのようにほかでやつているのに、特に東神奈川とほか一、二箇所あるようですが、どうしてそういうふうにやかましく言つたか、その眞因がどこにあるかをあなたは見きわめになりましたか。
  574. 神谷仲次

    ○神谷證人 みなやつておりました。ただ矢向だけは東京競馬の関係で、これは承認を得て延ばしたというだけで、あとはもうやつてることは私信じておるのです。
  575. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ことに東神奈川は強く反対したのですか。
  576. 神谷仲次

    ○神谷證人 そうです。
  577. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはどういうところから出たのですか。
  578. 神谷仲次

    ○神谷證人 結局私たち認識して——これは首切りだ、その四十名出たものは首を切られる前提なんだ、こういうことで反対だということだと思います。
  579. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それもほかではそういうことを言わなかつたでしよう。
  580. 神谷仲次

    ○神谷證人 ほかでは言わないでしようけれども……。
  581. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 東神奈川だけがそういうことを言うのは、どういうわけですか。
  582. 神谷仲次

    ○神谷證人 それはどういう氣持で組合がそこに結びつけて言つているのだかわかりませんけれども……。
  583. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 事実はどういうことでそういうことが現われて來ましたか。強くなつたのは……。
  584. 神谷仲次

    ○神谷證人 強くなつたというのですか。
  585. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 組合の方が……。
  586. 神谷仲次

    ○神谷證人 つまり新交番に移らないように強くなつたというのですか。これは三十日だかの日に、車掌区内で分会の青年部大会を開いて、そこにおいての決議によつて総意、だということで、結局旧交番でなければいやだ、新交番には移らないということできまつたのだということを申出て來たのです。その線に沿つて三十一日の——先ほど申しました高島に車掌の休憩所がありますが、そこで懇談会を開いたときにも、やはり青年部においても新交番は拒否するということになつたので、車掌としましては一應人数も少くなるのだし、今までの交番のままで行くならば、どつちかというとその方がやつて行くのになれている交番でありますからいいのでしようし、一應その線で旧交番を支持するということになれば、支持するという氣持になるかも知れません。
  587. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこでいよいよ九日からストに入つたのですが、ストに入つてすぐ十日の朝——十日の朝というか、九日の眞夜中、今日の始発から乘車するということを申出たのですね。
  588. 神谷仲次

    ○神谷證人 乘車ということですか、十日の朝からですか、それは聞きません。私としては実は九日、十日、十一日の私の行動についてお話をしたいと思います。  九日はそれからストに入りまして、ずつといました。ところがあとで聞いた話ですが、管理部から何か勧告を管理部員二名によつて車掌区内へはれということで、つまり業務命令によつて早く復帰しろというのを、管理部長からだと思いますが、はるということにつきまして、夕方來ることになつておる。そのときだと思うのですが、警察官が大分大勢車掌区のところへ來まして、外郭團体その他車掌区の分会員とスクラムを組みまして、小ぜり合いでも始まるというような状態になつたのであります。そのときに区長と私、実は抜け出したのでありますが、それが晩の七時ごろだと思います。私はそのままその状態を管理部に話しに行くべく、区長が先に行けというので、私はすぐに管理部に走りまして——ストでありますから、あちらの乘物、こちらの乘物と乘りかえまして、初め横浜の市電で鶴見、鶴見から京浜線の会社線で品川、品川から都電というふうにして、管理部へ着いたのは夜の八時半ごろであります。そして今までの状態を管理部報告しました。今警察官が、雨はひどく降つておるし、どのくらい来ておるか、こちらの人数も多いし、その中にまじつているので、よくわからないけれども、とにかく大勢で、どういう拳に出るつもりで来たのか、私にはわからないけれども小ぜり合いでも始まるような状態になつて來たので、今までの様子を報告かたがた管理部へ來ました。区長はどうした。区長はあとから来ることになつておりますということで行きまして、いろいろとそういつた話をしておるうちに十二時ごろになつて、都電にしろ、会社線の京浜線にしろ、終電もないので、車掌区へ帰れませんので、その晩とまつてあした早く帰れということで、区長と私は管理部へその晩とまりました。  そうすると朝六時半ごろに、石井儀八という助役管理部へ來まして、実は神奈川警察署から、十日の八時半までに出頭しろという呼出状が來ている。八時半に間に合わなければちよつと遅れてもいいだろうが、とにかく神奈川警察署へ区長とともに出頭してくれ。だれが呼び出しを受けたのかというと、管理部業務課長総務課長、労働係長と私の区長と私と石井儀八助役と、この六人が呼出状を受けたので出頭してください、こういう話を受けましたので、管理部の自動車によりまして六人が管理部を出ましたのが、九時ちよつと前だと思います。神奈川警察署へ参りました。そうして発令の当時のことや、それからストへ入つた状態を、各主任警部補からめいめい一人ずつ聞かれました。私の終つたのちようど十日の二時ごろでありました。区長は一時ごろに終つた。その前の日に輸送司令部だと思いますけれども、区長、電車区長、労組の方の人も來いという呼出しがあつたそうですが、かわりに助役の森田という人が行つた関係で、どういう話だかよくわからぬから、十日の警察の調べが終つてから、区長がこれからMRCにちよつと見に行く、助役で用が足りたかどうか見に行く、すぐ帰るから君は待つていてくれというので、待つていますと、午後の三町ごろに森田助役警察署へ参りまして、あと三人免職の辞令が出た。区長もおらないし、首席もいないので、本人たちには口頭で私が傳達をし、掲示を出した。ところが午後の四時までに車掌区員全部職場に復帰せよ。もし復帰せざる場合は処分をするというような意味の、管理部長からの達しが來た。しかしあと一時間ぐらいしかない。その間に全部復帰しろといつたところで、みな散らばつているので、もし四時までに復帰しなければ困つたことだというので來た。とにかく区長はMRCへ行つているから、すぐ連絡するというのでMRCへ行つたところが、午前中だけで午後はだれもおらない。区長が來た形跡も、聞いてみたがない。これはどうしたのかしらと思つてすぐに引返し、神奈川警察署へ帰つて來ましたところが、ちようど四時ごろでした。警察署の方の情報としまして、車掌区長だか電車区長だか、車掌区の入口でだれかのためになぐられて負傷した。こういう駅前の交番からの電話がかかつて、終つたところへ私が帰りましたので、警部が外郭團体が相当大勢來ているようであるから、もう少し眞相を確めるまでは、君車掌区へ帰らない方がいいだろう、少しここで様子を見ていらつしやい。こういうわけで私神奈川警察署におりました。そうしたところが第二回の情報で、今のは誤報で、別に区長はけがしないという話を聞きまして、それじや私はひとまず帰りたいと思う。区長も行つていることだしするから帰りたいと思うがと言つたら、ああそうか、なるたけ氣をつけて行つた方がいい。そのときに何か人民電車を運轉するそうだということを、警察署で言つていることを私は聞いたのであります。それで晩の七時十分ごろに警察署を出まして、車掌区へ帰りました。それで十一日には九時半に虎の門のCICへ私呼ばれておりますので、十一日の朝九時年ごろに車掌区を出まして、管理部の渉外課へ行きまして、ともに虎の門のCICへ行きました。車掌区へ帰つたのが午後の二時半ごろだと思います。ですから九日、十日、十一日の私の状態はそういうぐあいで、車掌区にあまりおらなかつた
  589. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 十日の夜半に、あすの一番から乘ると言つたが、担当助役が拒絶したということで、事業所の閉鎖であるとか何とか、抗議を申し込まれたということを、これは御承知ありませんか。
  590. 神谷仲次

    ○神谷證人 私聞きません。抗議を申し込まれたとか、拒絶したということも聞きません。拒絶するわけはないと私は思いますね。
  591. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 先ほど電車区長から大体聞いたのですよ。あなた御承知かと思つて聞いたのです。そこであなたが今おつしやつた区長がなぐられたとか何とかというのは、誤報だと言つたが、実際は何か人民裁判にかけられたというが……。
  592. 神谷仲次

    ○神谷證人 それは帰つて來まして、区長、何か警察署でもつて区長さんがなぐられたと言つていましたが、ほんとうになぐられたのですかと言つたら、いやそうじやない、ちよとつつかれたように背を押えられた、だけだ。ああそうですが、けがをしたというから私もびつくりしましたが。そんなことはなかつた。何か人民裁判にかけられたというように聞いたが。いやそんなことはない、ゆうべ車掌区を出て今帰つて来た。その行程について、どういう勤務をして、今までどこにいたかということを、みんなの前に拡声機で話をしろということを言われたん、だ、こう言つておりました。
  593. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでやつたんですか。
  594. 神谷仲次

    ○神谷證人 その点まで私は聞きませんが、ほかの人から聞くと、何か区長は旧交番制、新交番制について、一時間でもないですけれども、四、五十分話したと言つておりましたが……。
  595. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 むりにひつぱり出されたのではないですか。
  596. 神谷仲次

    ○神谷證人 あるいはそうかもしれません。あのときは寝室に分会大会か何かあつて、大勢集まつていたと言つていましたがね、その日には何かそこで説明しろとかいうようなことで、それでマイクの前に行つて、今までどう歩いて来たのだ、どこを逃げまわつていたのだということに対して、ここでもつて釈明しろというようなことを言われたと、区長は言つておりました。
  597. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大勢で詰問されて、大勢の前で釈明されたのは事実ですか。
  598. 神谷仲次

    ○神谷證人 そうです。私も帰つて來ましたら、八時前でしたが、今までどこに行つていたのだ、ゆうべから留守だが、どこに行つたか話してくれ、警察へ行つたか、管理部へ行つたかというようなことを言われた。その程度のことを区長もやはり言われたのじやないかと思つたのです。
  599. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたはひつぱり出されたことはありませんか。
  600. 神谷仲次

    ○神谷證人 ありません。
  601. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから先ほどおつしやつた人民電車が動いたということですが……。
  602. 神谷仲次

    ○神谷證人 それは警察署で、何か人民電車を運轉するなんて言つているそうですよという話を聞いたのですが、私帰つて來たのは今お話した通り、神奈川車掌区には七時十分過ぎですか、ニュースが始まつたのを半分聞いてから出たのです。七時十分過ぎに出て、あそこを歩いて帰ると約十分かかるから、七時三十分ごろ帰つて來ました。だからいつ出発してどつちの方向に行つたか、別に聞く余地もなく、わからなかつたのですが、その晩おそくになりまして、何かマイクでもつて、今無事に人民電車は到着した。非常に成功のうちに終りました。沿道においては非常に一般のお客さんからの歓迎を受けた。ただ東京でもつてMPと公安官が出場しておつて、赤い旗は一應とられたが、その旗はおそらく返してもらえぬのじやないかと思うけれども、赤羽まで行つて非常に成功した。ただそれだけのことを皆さんに御報告します、ということを拡声機で話しているのが、自分の席にいて耳に入つた
  603. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは車掌区の闘争委員言つてつたのか。
  604. 神谷仲次

    ○神谷證人 だれの声か、マイクですからわかりません。
  605. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 人民電車を動かすについて、何か乘客大会というものを開いたということですが、それをお聞きになりませんか。
  606. 神谷仲次

    ○神谷證人 それは開いたかどうか、十日は晝間ほとんど車掌区にはおりませんので、警察署でもつてほとんど取調べや何かで終つてしまつたので……。
  607. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうことをあとで聞きませんか。
  608. 神谷仲次

    ○神谷證人 乘客大会ということは聞きませんね。
  609. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何か乘客大会の決議によつて人民電車を動かせという要求があつたから、それで動かす、こういうことを言つてつたそうです事が……。
  610. 神谷仲次

    ○神谷證人 それは私全然そういうことは知りません。
  611. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところで十一日になつてストが中止したようですね。その中止に至つた前後の事情を……。
  612. 神谷仲次

    ○神谷證人 それは私ただいま申しました通りCICに呼ばれまして、午後の二時三十分ごろ車掌区に帰りまして、そのときにはもう……。あの日には何か大会を朝九時半でしたか開くことになつてつて、私大会が始まる前に車掌区を出てしまつたものですから、そのときには始まつておりませんが、十時に始まつたか十時半に始まつたか、そこで旧交番制か新交替制か、あるいはストを継続するかということをやつたと思います。帰つてから話を聞きますと、その結果をまだとらないうちに、スト中止の指令が連合軍の方から來たので、ストは打切りということになつたんだということを聞きました。
  613. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなた何時に帰りました。
  614. 神谷仲次

    ○神谷證人 二時三十分ごろだと思います。
  615. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではストは解除になつてつたね。
  616. 神谷仲次

    ○神谷證人 そのときはストは解除になつておりました。私が帰つて來たときは、車掌区に入れないために、操縦助役の前と区長の室の前の窓をはずして、外へもう一ぱいおつて電車を出せ電車を出せとせがんでおつた
  617. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういう者がせがんでおつたか。
  618. 神谷仲次

    ○神谷證人 分会の者、あるいは車掌区の者、外部の人も見えたようです。
  619. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 車掌区の顔振れでない人がですか。
  620. 神谷仲次

    ○神谷證人 それが制服でなく私服ですけれども、わきの鉄道の分会の者か、あるいはほんとうのお客さんか、どこの者かわからないのでありますか……。
  621. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 十一日ですか。
  622. 神谷仲次

    ○神谷證人 十一日に中止になつてから後になつてです。
  623. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 スト中止になつたらいつでも、乘れば動くのではないか。
  624. 神谷仲次

    ○神谷證人 それは管理部長さんから、とにかく業務命令によつて業務をいたしますという確認をめいめいからとらなければ困るという話で、区長は個人々々から、業務命令によつて乘務いたしますという見出しを書いた確認書に半を押し、その数が乘つてもいい状態になつたならば、別途管理部から指令を出すということで、乘る者の指示は管理部から出すという話であつた
  625. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それをやつたのですか。
  626. 神谷仲次

    ○神谷證人 それで私が帰つてから、さつそくこしらえたのですが、何しろ私が帰つたときには、車掌区の前は一ぱいで、ああでもない、こうでもないと大きな声でどなり合つていて、そういう確認書をこしらえるというおちつきもございませんし、暇もございません。私帰つてから一時間くらいは、そんなことで何だかんだで過してしまいました。一時間ほどはかからなかつたかと思いますが、ひとますそれをこしらえまして、操縦助役の前において、それから各自からそれをとつて……。
  627. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それをとろうとしたら、とる前に電車を動かせと要求したのではないか。
  628. 神谷仲次

    ○神谷證人 そんなものはいいじやないか、どうせ乘るようになつたんだからいいじやないか、とにかくストは中止になつたから、それよりも早く電車を動かしたらいいじやないか、こういうことでしたから、それはいけない、そこをはつきりしておかなければいけないということで……。
  629. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 結局とりましたか。
  630. 神谷仲次

    ○神谷證人 とりました。とにかくみんな業務命令によつて電車に乘るという氣持ですから、だれ一人拒む人なく、判だけはみんな押した。
  631. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大体わかりましたが、さつき神奈川だけで車掌区が強くこれを反対したことについて、青年部とおつしやつたですが、青年部がまずまつ先にやつた……。
  632. 神谷仲次

    ○神谷證人 青年部の大会が三十日に……。
  633. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは、青年部というのはどういう系統の連中が多いのでしようか。
  634. 神谷仲次

    ○神谷證人 系統と言つても、どうも私には内部的のことがよくわかりませんが、いずれにしても二十五くらいから以下の人か、あるいは三十くらいの人じやないでしようか。そういう者で、大体私のところは年寄りよりも若い人が多いのです。終戦後にはそういう関係で、家族慰安会を開催するときに賣店を開いたり、何をするといつても、青年部が主体となつてつておるような状態であります。それで絶対数が多いですから、青年部で決議をとつてしまうと、年とつている人もそれで一緒に行くということじやないでしようけれども、結局数においてはそういうことになるのではないかと思います。
  635. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 青年部においてはどういう系統の者が多いとかいうようなことはありませんか。
  636. 神谷仲次

    ○神谷證人 青年部の系統といつても、はつきり申し上げますが、私たち実際だれが共産党であるか、だれが民自党であるかということは、ほとんどわからないのです。実際問題としてわからない。そういう関係でだれということはあやふやには言えませんが……。
  637. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ではよろしゆうございます。それから先ほどおつしやつた外郭團体が働きかけて来たことだけは、間違いありませんね。、
  638. 神谷仲次

    ○神谷證人 これは間違いありません。区長さんのところにも大勢來まして、もちろん組合旗でありましようが、赤い色の旗をあそこに十六本立てて、それに皆所属の労組の名前が書いてあります。これを撤去しなければいけないということになりまして、労組の手で要求を出しましたが、どうしても撤去しないので、管理部公安官の手においてこれを撤去しました。しかし少くとも組合旗でありますから、そう粗末に取扱つてはいけない、丁寧に巻いて所属にお返ししなければ、いかん、それについてはどこの所属であるかがわからないから、一應所属の名前を書いておかなければならぬということを区長から言われたので、私と他の助役二、三名と公安官で所属の名前をここに書いてあります。そういうぐあいに最高十六本の旗を数日間出しておりましたし、私として受けましたのは、区長の不在中に日産の青婦人会に分会もまじえて——そのとき浅野ドックも合同だと言つて來ましたから、それもまじえまして、代表という名前で約四、五十名來ました。それから新鶴見地区という名前で、これもやはり共同闘争を申入れたというので、ちようど区長不在で私が会いました。いつも少いときで四、五十名、多いときで二百名ぐらいでありました。
  639. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 わかりました。何かお聞きになりますか。
  640. 小川半次

    ○小川(半)委員 証人にお尋ねいたしますが、新交番制は業務命令であるということは、もちろん常識でもわかるのですが、正式な書類の通知が参つたのですか。
  641. 神谷仲次

    ○神谷證人 電報で参りました。
  642. 小川半次

    ○小川(半)委員 参つたのはいつごろですか。
  643. 神谷仲次

    ○神谷證人 第一回は五月三十一日の十六時に、達第四一号陸運関係勤務時間及び休暇規程改正に伴う車掌区常務員番割は、かねて内示の要員により六月一日から改正しこれを実施するという、管理部長からの電報を私のところで受けまして、第二回目が六月の……。
  644. 小川半次

    ○小川(半)委員 わかりました。そうすると、五月三十一日の十六時に受取つて組合員と申しますか、あなたの部下にこれが大体徹底したのはいつごろですか。
  645. 神谷仲次

    ○神谷證人 部下に徹底したのは、先ほども言いました通り、五月二十四日に管理部から電話で言つて來ておるのです。これによつて全部準備が済みまして、三十一日の朝、前の晩とまりの人が六時、七時、八時ごろに確認するまでに間に合うようにしてあるのですから、確認の時間に対しては落度はない。
  646. 小川半次

    ○小川(半)委員 わかりました。二十四日に通牒が來て、およそ皆わかつているはずですね。
  647. 神谷仲次

    ○神谷證人 わかつております。交番順序というものに対しての確認——自分は一日から幾時に出動するのだということはわかつております。
  648. 小川半次

    ○小川(半)委員 わかりました。それから先ほどあなたのお勢いろいろ聞いておりますると、大体六月九日のストの空氣が険悪になつたころからは、あまり職場におられなかつたようでありますが、あなたの方の伊藤区長が組合員多数及び外郭の團体から取巻かれて、非常に険悪な状態に陥つた場所に、あなたはおられなかつたのですか。
  649. 神谷仲次

    ○神谷證人 おつたときもあるし、おらないときもありますが、とにかく一日以降はますます……。
  650. 小川半次

    ○小川(半)委員 わかりました。ではあなたがおつた場合の状況を、ちよつとお話願いたいのですが……。
  651. 神谷仲次

    ○神谷證人 これは先ほども言いました通り、区長を取巻くときには、分会の者だけでも四、五十名は最少限度であります。多いときには二百名、三百名が窓を外からはずしまして、狭いせいもありましようが、ほとんど身のそばまで内外から取巻きました。そうして短かいときでも一時間、長いときは二時間半、三時間ぐらいやつて來ました。もう夜もほとんど寝ませんし、私たちはしまいには抜けがらみたいになつてしまつて、家にも帰れない、飯もろくろく食えない、風呂にも入れない。立つのは小便に行くのが関の山ぐらいでありました。実にひどい目を受けたのであります。ろくろく寝もしない日もありましたし、日もいつかわからぬという状態でありましたが、九日以後はストでもつて目をぱつちりあいて、こんなことではいかんという氣になつたのですけれども、もう六日、七日、八日時分には倒れる手前で、恥かしい話ですけれども、私神経衰弱になつてしまいまして、診断書も書くというぐあいでしたが、ああいう攻撃を晝もなく夜もなく受けたのではたまりません。一回や二回じやないのですから……。
  652. 小川半次

    ○小川(半)委員 わかりました。それでは事実上これらの人たちから、一つの威嚇を受けたといいますか、要するに無形の暴力に接したと言つてさしつかえないですか。
  653. 神谷仲次

    ○神谷證人 つまり賣り言葉に買い言葉で、あの域をもう一歩こつちで強く出たらば、なぐられやしないかというどたんばまで行つているかと私は思つております。ですから私精神的には恐怖心を抱きました。それで結局新交番を返上しろという目的だけでなく、首切りに反対するという確約書へ判を押せということの強要を受けた。外郭の人が來ても新交番、旧交番というものは、私たちは鉄道部内ではないのですからわからぬ。しかし話を聞くと、新交番によることは結局首切りの対象になるのだから、その首切りというものに対してはわれわれ労働者は反対だ。だからあなた方は現場長である以上、監督者である以上、私たちとともに手をつないで、そうして闘うために確認証に判を押せということで常にやられた。
  654. 小川半次

    ○小川(半)委員 あなたがおられた場所か、あるいはあなたがおられなかつたときかわかりませんけれども、こうした人たちが区長に対して、めんどうだからお前をばらしてしまうとか、あるいは車掌区も官舎も焼き拂つてしまうのだと言つて、非常に威嚇して迫つたということですが、これは大体事実らしいですが、あなたはその場所におりましたか。
  655. 神谷仲次

    ○神谷證人 私、それは聞きました。それは水口君が、これは大きな問題になるぞ、車掌区や区長さんの家は灰になるかもしれないということを言いましたし、それから外郭の方ですが、だれだからよつと私どこの人だかわかりませんが、せんだつて判任官の発令があつたときに、自分は來るものと思つていたところが、來なかつた。これがために丸太ん棒を持つて、その助役になぜおれを判任官にしてくれなかつたかと、要するに桐つ葉をくれなかつたかということで、追つかけまわしたという実例がある。わずか桐つ葉一つでさえも丸太を持つて追つかけまわしておる。ことに首切りをして生死がわからないということになると、あなたどうなるかということを考えてごらんなさいということも受けました。これははつきりしております。
  656. 小川半次

    ○小川(半)委員 これだけぼくは聞いておけばよいのです。
  657. 大橋武夫

    ○大橋委員 東神奈川の新交番の反対運動に関連いたしまして、東神奈川車掌区における車掌の宿泊所の設備が、現在非常に不完全である。こういうことを聞いておりますが、この点について御説明を願います。
  658. 神谷仲次

    ○神谷證人 不完全といえば不完全でありますけれども、これはバラックであつて、新築をするということが前提でありますが、実は延び延びになつてつて、これは横浜移轉という問題がなければ、あるいはもつと早く本建築ができたのではないかと私思うのであります。最初から横浜へ移轉するという問題がありましたが、他所の行き詰りでもつて、これはどうしても実現できないのであります。これはだれが見てもできない。もう労組としましても、私の方としましても、地所の問題についてはありとあらゆる手を盡し、努力をしたのですが、どうしても地所がないのであります。それがためにそういつまでも不自由な所にいるわけにもいかないので、ひとまずこの位置に対して建案をしようということになつております。今の寝室で、増築ということは実はしないのでありますけれども、指定のとまりだけの人数でありますれば、さしたる不自由は私はないと思うのです。指定の人——勤務上のとまりということでしたら、そう不自由はないと思います。
  659. 大橋武夫

    ○大橋委員 それで大体幾畳敷ぐらいの所に、指定のとまりのお方は毎晩どのくらいの数がおありですか。
  660. 神谷仲次

    ○神谷證人 車掌区のすぐそばに建つております寝室が、三十六畳敷であります。それから高島に車掌の休憩所というのがありまして、これは汽車組が行つてとまつておりますが、これは二十四畳敷であります。それから車掌の休憩室が別途にあつて、これは分会が半分一部屋つておりますが、そこにも畳が敷いてあつて、それは四畳半數であります。それから鶴見線のとまりの人、これは鶴見の車掌区派出解ですが、これも畳が敷いてあつて四畳敷であります。それから弁天橋にも大宮にもありますので、いずれにしても所定のとまりの人は所定の所にとまりますが、朝早いからとまる。夜家へ帰ることができないからとまるという臨時の、指定以外のとまりの人がこの車掌区にある。三十六畳敷の寝室に寝るか、さもなければ汽車の方の高島の二十四畳敷の方に行つて、寝ているのであります。ところがこれは不同なのです。所定通りならば毎日向台の人はとまるということになりますから、数はきつちりなのでありますが、指定以外の人といいますか、近距離の人はとまらなくても済むのでありますが、特に遠い人が、ちようど夜ばかりぶつかつたようなときに、初めて多くなるのでありますから、とまりが一定していないのであります。大体において二十五名から、特に多いときでも三十名か三十一名ぐらい、一々申し出て、宿帳と一口に言つておりますが、だれが何名とまるということで、そこに名前を書き入れます。それが今言つた数字であります。
  661. 大橋武夫

    ○大橋委員 ただいまの三十五、六名が四つの所へ分宿されるわけですか。
  662. 神谷仲次

    ○神谷證人 そうではありません。三十六畳のところと高島のところへ行くわけです。車掌区の方の寝室は、電車乘つておる人が大体とまります。汽車の方は高島の方に行つてとまりますので、電車の方が多いからといつて、その人が高島に行つて特にとまるということはないのであります。それで二十五人くらいでとまるのですと、別にそう大して困難なことはないのでありますけれども、たまたまそういうふうに遠距離の者が、ちようど夜間にぶつつかつてとまつたりすると、ちよつと多くなるのであります。車掌区へとまる指定は十七名になつております。これは改正後の六月三十日現在であります。それから家に帰れないから、あるいは朝が早いからとまるというのが、平均にならして十名と見ておりまして、合計二十七名というのが平均のいいところであろうと思います。これは今言つた遠距離、近距離の関係で少し狂います。
  663. 大橋武夫

    ○大橋委員 その数字は新交番の場合と旧交番の場合とで、非常に違いが出ておりますか。
  664. 神谷仲次

    ○神谷證人 そうさしたる違いはないのであります。一名か二名くらいは多い。それも今言つた通り遠距離の人同士がぶつつかりますと多くなります。これは私はちよつとふに落ちないのですが、ただ居流しが長い長いと言います。なるほど本人の立場からいいますと、居流しが長いかもしれませんが、しかし当然終列車までに帰れるのに帰らない。あるいは朝一番で來れるにかかわらず、朝一番で來ると家の者を早く起して悪いとか、あるいは冬ならば自分も寒い思いをする。それよりもここにとまつた方がいいというのでとまることがある。これを居流しと見るかどうか、これを居流しと見たら、大勢のものになつてしまうのです。せんだつてもあつたのですが、区長のところへ個人面接にやつて來た。そのときは九時だつたのですが、君、どつから來ているのか。私は川崎です。川崎なら今から帰れば十時までに帰れるな。いや、帰れますけれども、あしたは早くて家の者に迷惑をかけますから、私はここでとまつてあした乘ります。あしたはそんなに早いのか。そう早くはないけれども、やはり御飯をたいてもらつたりするには、どうしても五時には起きなければならない。こういうことを言つておりましたが、そういうものまで居流しとするかしないかによつて、大きな違いが出て来ると思うのです。
  665. 大橋武夫

    ○大橋委員 よくわかりました。それで宿泊所に宿泊されたときの食事の手当、食事のせわなどは、どういうふうになつておりますか。
  666. 神谷仲次

    ○神谷證人 食事は、これはもう各自で持つて來ることになつている。私も長く車掌をやりましたが、食事はみんな各自で食べられるように持つて來るのが建前です。燃料にしましても、そういうふうに大勢來て飯をたいたりする燃料というのは、特別にはないのであります。燃料にしましても三月一ぱいまでは——去年の十一月ごろにまき、炭、その他が来ておるのです。ところが寒い寒いでもつて、保管するところも——何しろ量が多いですから、保管するところもなく、積んで置いた。それをむぞうさに使つて、結局年末のうちにほとんど使い終つたというような状態になつて來まして、從つてそういうふうに飯をたく人も不自由するのです。予算としましての燃料は、三月一ぱいまでの分は当時來ていたわけでありますが、使用率が非常に多かつたために……。
  667. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうしますと、労組側の説明によりますと、新交番の反対の一つの理由として、宿泊所の設備が非常に悪い。そうして新交番によると、今まででも狭いところへ持つて來て、今度新交番の結果として、毎日の宿泊者がふえる、それで困る。こういうことを言つておりますが、それについて……。
  668. 神谷仲次

    ○神谷證人 私は特に新交番なるがためにきたないとか、あるいは足りないということは、ちよつと考えられないと思います。これは新交番になろうとなるまいと、早く本建築をして、そうしてわきの車掌区、焼けないところの車掌区のような設備をしてもらいたいというようなことになつております。ことさら新交番になつたから、特に悪くなつたという問題ではないと私は思います。
  669. 大橋武夫

    ○大橋委員 それからやはり設備の点ですが、今屋根のぐあいがたいへん悪くて、雨漏りしておるということですが、その点はどうですか。
  670. 神谷仲次

    ○神谷證人 今雨漏りはしてないと思います。それであすこへできた当時、バラックができまして、上へ紙みたいなものをやりましたので、そのときにはたいへん雨漏りしましたが、今はスレートで張りかえましたから、雨漏りはないと思います。
  671. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると事件の問題のあつたときは、雨漏りはなかつたわけですか。
  672. 神谷仲次

    ○神谷證人 なかつたと思います。
  673. 大橋武夫

    ○大橋委員 労働組合の方で雨漏りがあるというのは、虚偽のことを宣傳して、一般世間の人を欺いて、いたずらに同情を引いておる。こういう卑怯きわまるやり方であると言つてよろしいですね。これはおそらく車掌としてあなたは長らく御勤務のことでありますから、よく実情を御承知でありましよう。また車掌諸君の多数の中には、こういう虚偽を言いふらして、自分らの不当なる労働争議を合法化し、正当化するというやり方は、常に卑怯未練なるやり方であつて、こういうやり方は労働者としての名誉のためにも潔しとしないというお考えがあろうと思いますが、この点はいかがでありましようか。
  674. 神谷仲次

    ○神谷證人 私はもうとにかくどうこうというのではなく、この雨の漏る問題といいましても、ことさら事をあげて、雨が漏るからいかぬとか何とかいうことを、新交番と結びつけてやるべき性質のものでないと思いますし、ことに車掌区の人間であれば、もし雨が漏るような所があつたら、区長にでも、あるいは当直助役にでも、こういう所が雨が漏るから、直してもらいたいというような注意をしていただいたらいいと思います。宣傳してよいものかどうか、そういうことは私にはわかりませんけれども、もしそういう宣傳をしておる人があつたとしましたら、これはちよつと間違いじやないかと思います。
  675. 大橋武夫

    ○大橋委員 これはあなたは車掌区の助役として、たくさんのお方をおせわなさつておるのですから、私も特に御注意申し上げたいのですが、共産党の有力なる代議士が、本委員会においてそういうことを言つておられましたから、あなたもひとつお帰りになりましたら、十分に屋根をお調べになりまして、この親切なる共産党の代議士諸君の親切を無にしないようにお願いいたします。
  676. 神谷仲次

    ○神谷證人 承知しました。私どもも及ばずながら一生懸命、皆さんに不自由させないように努力いたします。
  677. 神山茂夫

    神山委員 ちようどそれに関連してお尋ねしますが、私は屋根の問題であなたといざこざ言おうというわけではないが、労働組合の諸君が区長あて、あるいは管理部あてに出しておる要求の中に、設備その他の整備の問題が出ておるのは御承知でしようか。
  678. 神谷仲次

    ○神谷證人 出ております。
  679. 神山茂夫

    神山委員 寝具や燃料の問題は、やはり新交番に関連があると組合側言つておる。ところが今非常にけつこうなことですが、私が宣傳したようなことを言いますが、組合側が、要求の中に入れておる。これに対して管理部の見解はあなたとそつくりだけれども、彼らは訴えておる。しかもあなたが今日お見えになつたのは非常に残念なんで、伊藤さんに來てもらいたかつた
  680. 神谷仲次

    ○神谷證人 ほんとうに区長さんが……。
  681. 神山茂夫

    神山委員 というのは、伊藤さんが、やはり衆議院の労働委員会の質問に対して、窓を入れて應急にいろいろ改造した。ふとんも今までは非常にひどかつたが、最近は直した、ストの後に——。こういうことを言つておりますが……。
  682. 神谷仲次

    ○神谷證人 ストの後と言いますが、ストになつたものだから直した、そう一朝一夕に……。
  683. 神山茂夫

    神山委員 私が言つておるのは、伊藤さんがそう言つておるということだ。この点あなたは大まかに認められますか。要求があつたからどうこうというのでなしに、窓を入れかえたいということを伊藤さんが言つておる。
  684. 神谷仲次

    ○神谷證人 最近はとにかく担当者にしても、私にしても、区長さんにしても、悪いところはどんどん修繕に出せということを言うておりますから、だんだんよくなりつつあります。
  685. 神山茂夫

    神山委員 非常にけつこうです。今のことはあなた方から見れば、労働條件に大して関係がないと思われても、組合員諸君があなた方に出した要求の中にも現に含まれておる。そとにも訴えておる事実を、あなた方御承知でしよう。それで居流しの問題に関連しますが、新交番制について私たち相当参考書類をもらつて見ておるのですが、どうも見たところ全体として居流しがふえたことは、否定できないのでないでしようか。
  686. 神谷仲次

    ○神谷證人 一名や二名、あるいは一週間に一人というようなぐあいにふえることだけは。——減るということはおそらくないと思いますけれども、そうことさらに不自由を感じて、寝るところもないというような状態までにふえるとは、私は認めませんので……。
  687. 神山茂夫

    神山委員 それはあなたの考えで、一方労働者諸君はそういうふうで困つておると言つておるわけです。さらにあすこの吉武委員は、二言目には今度の新交番制は大した影響がないと言つておるが、あなたのところの平均を見ますると、約十分間延びておるな。
  688. 神谷仲次

    ○神谷證人 大体そのくらいです。
  689. 神山茂夫

    神山委員 ところがあなたのところの定員は三百七十名ですか、三百五十から七十というところに、休暇とか病氣とかがあるので、大体出て來ておるのが三百人、そうすると一人当り二十七、八分延びると組合員諸君は匿えておるが、あなたは首席助役として見て、不当でしようか。公に言えば十分間ずつ延びたのですが、実際には十分以上あるいは三十七、八分くらい延びるのでないか。
  690. 神谷仲次

    ○神谷證人 それは実際の時間から言えば、休みが多くなれば予備の人が乘るのですから、乘務しておる時間だけの合計を見たなら、確かに乘らないより乘つた方が時間が長くなることはなります。しかし勤務時間は予備八時間を含めておるのですから、乘つたから多くなつた。乘らないから小くなつたという考え方は、考えられないと思います。勤務時間から言えば——
  691. 神山茂夫

    神山委員 さらにあなたのおつしやつた、川崎の人がとまつてつたという例があるでしよう。そのように從業員諸君には家まで三時間かかる人もあれば、四時間かかる人もありましようが、大体五分の三は遠距離通勤者じやないですか。おおまかな見当で。
  692. 神谷仲次

    ○神谷證人 二時間以上の人というのは、駅を発車してから自分の家までの距離ですか。そういうことも考えなくちやならぬので、家を出る時間か、もより駅を発車する時間か。
  693. 神山茂夫

    神山委員 もより駅だ。とにかく私は組合側から出ておる資料を見てあなたに話しておるのですが……。
  694. 神谷仲次

    ○神谷證人 しかし通勤者で、駅から発車して二時間以上が五分の三という数字は、私見ておりません。それまでに徹底的に……。
  695. 神山茂夫

    神山委員 半分でもよい。資料を見ればありますけれども、そのうち半分にしても、相当の人が二時間以上は通勤時間を必要としておることを、あなたは御承知でしよう。
  696. 神谷仲次

    ○神谷證人 まあ駅からおりて自分の家まで三十分歩く人、一時間歩く人もありますから、なるほど車掌区から出て自分の家に帰るまでの交通はたとい一時間でも、家まで歩く時間が一時間半とすれば、二時間半くらいかかるという人もあるわけです。しかし交通だけの時間でもつて二時間以上というものは、そう多くは私考えられないと思います。
  697. 神山茂夫

    神山委員 その点あとから組合員の資料を見て……。ただそういう点であるということ、従つて居流し時間が部分的に長くなつて、今度は家に帰つたり帰れなくなつたりする場合に、帰れなくなる可能性が多くなる。從つて居流しも多くなる。従つて今あなたがおつしやつたように、どしどし改革しなければならない、設備の不完全なところで宿泊する、時間多くなるということが、この要求の中に反映しておるのじやないか。このことをあなたにお尋ねしておく。
  698. 神谷仲次

    ○神谷證人 もう一つ居流しの件について、私が常に考えておるのでありますが、私は新宿車掌区の出の者であります。新宿車掌区では、本人の勤務による過労というものを主体として交番順序をつくつてつて、私たち十二年間新宿車掌区で育つて来たのであります。ところで東神奈川車掌区へ赴任した当時意外に思つたのは、すべて交番順序を組むのは車掌の便宜のいいように組ませる。もちろん区長権限にあるのですから、区長がどうせやるのなら、君たちの都合のいいようにやつたらいいだろうということで、すべて職員に行路の数をまかせて、どうにでもかつてに組めということで、ずつと東神奈川車掌区でやつていて、なるだけ本人の都合のいいように——私たちは十二年間新宿車掌区でやつておりましたが、とにかく新宿では過労の状態で勤務してはいかぬという建前からして、そういう交番順序をかえるときには、大体において本人たちの希望だけを聞いて、これを受入れられるか、受入れられぬかということによつて、区長がきめて出したのであります。そうでないと、今実際の面で行きますと、本人にまかせますと、たとえばからだが疲れても何でもいい。どんどんやつて、休みをうんととろうというつくり方になるのです。そうしますと、夜おそく上つても、翌日続いて、ろくろく寝る時間がなくても翌日早く乘つてあとの時間をまとめてなるだけ休もうという時間に組むか、新宿みたいに、今日おそくなつたから明日ゆつくリ乘るように組んで、その間に一々平均の休養静間を挟んで交番を組むようにして行くかによつても、もし居流しが多くて困るというのでしたら、そういうふうに直しても防げる問題じやないかと思うのです。
  699. 神山茂夫

    神山委員 そういう点は、これからあなた方が実際に從業員諸君と話し合つて、あなたのその新宿の経験を大いに活用してもらいたいのです。ただあなたが、十二年間新宿で働いておられたときには、國鉄労働組合はもちろんありませんでした。そして物資や何かの点の不自由さも、今と違つておりますから、おれは働いたと、そのときのことをすぐ助役さんが持つて來て……。
  700. 神谷仲次

    ○神谷證人 それはいけません。けれども今言つたように、めいめい乘るという個人を対象として組むか、勤務状態に過労の行かないように組むかということになるのであります。
  701. 神山茂夫

    神山委員 それはわかりました。それで私はたくさん聞くことがあるのですが、あまり聞くと悲鳴をあげる人がいますから簡単にしますが、今日あなたに委員長が聞いたことは、大体六月五日の公安官が來てからのあの一件ばかり聞いておるのですが、今日のあなたの御説明で大体わかりましたように、問題は今日急に始まつたのではなくて、すでに新交番制の問題は今年の一月にきまつておる問題で、しかもその実施はいろいろの方法でほかのところで行われていて、特定の車掌区だけ残つたのであります。それで五月十八日の久里浜の車掌区以來、ずいぶんお骨折りになつたと思うのですが、全体として組合との間に十分話合いをして、納得ずくで行かせる点は、あなた方としては十分盡されたつもりでしようが、組合側から言わせれば十分でなかつたというふうな点を、あなた今になつて考えにはなりませんか。
  702. 神谷仲次

    ○神谷證人 十分でないと言いましても、準備を整えるのにそう簡單に交番順序とか、あるいは汽車のようなくあいに予備率の減つただけやれるのならいいのですけれども、予備率を減らさないで——つまり待合せ時間によつてそれだけの数字を浮き出すということになりますと、これは事務上にいろいろと仕事がありまして、これを準備するのに担当助役もそれ專門にかかつていればいいでしようけれども、当直もあり、明けもあるというぐあいですから、いつも定例の行路改正のときには、もちろん十分諮つてやりますけれども、今度のことについては、二十四日に六月一日と言われまして、二十五日からとにかく三十日の朝までに間に合わすべくやるので、不十分ではありましようけれども、一通りの手配だけはしてあるつもりでしすし、ことに張り出すときには、組合の問題も、もちろん組合ですから、だれもみな組合員ですけれども、とにかく組合員の役員にこうこうと言わなくても、そのうちの汽車にしても、電車にしても、あるいは電車の中にも京浜線班、横浜線班、鶴見線班とありますが、そういう長く敬虔を持ち、相当の世話役の立場にあるような人には、一應みな諮つてあります。
  703. 神山茂夫

    神山委員 ただそれが徹底しなかつたために……。
  704. 神谷仲次

    ○神谷證人 そうして掲示にも、少いながらも一應出しました。そしてその掲示に、もしこれに要求があるのだつたつたら、三十日までにこしらえなければならぬので、すぐ担当助役に申し出てもらいたいということもつけ加えておきました。
  705. 神山茂夫

    神山委員 ですから、そのことは先ほどもおつしやいましたし、あなたの方は手を盡したつもりでしようけれども、二十九日の二十三時に確認書に捺印を求められて來た場合にしましても、組合の方ではむりにこういうふうにさせられたというふうなことを感じておるわけです。しかもこういうふうなやり方が、交渉の経過の中に出て來ておるわけです。たとえば三十一日に管理部長に会つて組合側が新交番と旧交番をどういうふうにやるかというふうな問題を話し合つたときですが、これは組合側報告ですから、あなたは別のことをおつしやるかもしれませんが、そのときに管理部長は、車掌区長から新交番に移行した報告を受けておる。從つて現在諸君が旧交番で乘務しておるとは考えぬ。組合も適当にやつてもらいたいというふうなことを言つておる。これがあとでもめる種になつたことは御承知でしようか。あと管理部長がそういうことを言わないということを二日に言つたために……。
  706. 神谷仲次

    ○神谷證人 しかしこれは一日から新交番でやるという、業務命令の動かすことのできない問題である。ところが一日の朝の状態を見ますと、とにかく出勤は新交番の時間でみな來ておる。ところがそこに旧交番を強要しておるのです。とにかく一部の者は旧交番制で行くのだということを、そばでもつてつておる。これは管理部の人がみな見て知つておるから、はつきりしておりますが、そういうふうなぐあいで、徐々に新交番制順序に従うことができない状態になつて來た。それで業務命令にもある通り、新交番制または区長。指定したる行路によれということが出おります。従つて交番制で一定にきめた順序にはとうていやつて行けない状態に、一日の午後あたりからなつて來たので、それで一々区長がこの行路に君は指定するということで、あの点呼表にはやつてつた。その指定した交路によつて行くのだという信念だけのもとにやつて行つたのであつて、事務上ではたまたまそこに旧交番の状態と合致したから、おれの方の車掌区では旧交番でやつたのだ、そういう解釈をするでしよう。しかし私の方としてはそういう氣持ちは毛頭ありません。とにかく区長の指定した行路——新旧抜きにしても、区長が指定した行路という建前なんです。
  707. 神山茂夫

    神山委員 そこが微妙なんだ。だから、あなたがほかの車掌区でもやつておるというふうに、組合員諸君が言つた場合に、お調べになつたでしようか。結局あなたの今おつしやつたような管理者の方から見れば、旧交番じやなくて、新交番でやつておるのだ。しかしやつておるそのことが旧交番と同じなんだ……。
  708. 神谷仲次

    ○神谷證人 それは行路改正みたいに、かりに一ダイヤというものの内容が新と旧と違つておるのならばここではつきりと出て來るのです。ところが行路そのもの、一つの行ろの筋というものは、何ら動かないで、ただ組みかえだけなんです。それですから、新の二十で出て來た時刻は、やはり旧の時刻と同じようになつておるわけですね。ただ順序が違つて来るから、毎日人間が違つて出て來る。
  709. 神山茂夫

    神山委員 それはあなたのおつしやる通り微妙な問題で、これはこの間業務部長も出て来て、はたから見れば新交番なんだが、やる方にすれば、旧交番なんだという問題が出て來た。
  710. 神谷仲次

    ○神谷證人 片方で見れば、あくまで旧交番だと言うでしよう。しかし押せば押すほど私どもの方では、区長の指定した交番ということになる。指定しておるのですから、実際「君は何で出て來た」。そうすると、「二十ダイヤで出て來た」。これは時刻を見て、ほかに予備がいなければ、君二十、ダイヤに乘つてくれということになつて乘つておる。本人は二十ダイヤで乘るべきで、乘るからこれは旧だ、こう言うでしよう。そこに氣持ちとして、やはりこちらは区長の指定した行路ということになる。
  711. 神山茂夫

    神山委員 そこで私が言つておるのは、空氣の上で、もめる一つの原因になつたのは、管理部長が、先ほど私読んだから繰返しませんが、新交番制に移行したと区長から命令を受けておる。しかし君の方は、旧交番だ、乘つている方はそこはうまくやつてくれ、こういう含みのあることを管理部長言つておる。これはあなた知つでいるか知らないかわかりませんが、そう言つている。それをあとで二日の日になつて、昨日ああいうふうに言つたのは、まあ自分考え違いだと言つて、はつきり取消した。そのことが二日以後の組合とあなた方理事者側の折衝の上にも、ひとつ影響しているのですよ。私が今あなたにお尋ねしたのは、そこにあなた方から見ても、非常に微妙なものがあつたということだけお尋ねすればよいのです事から……。  それでその次の問題ですが、これはやはり要求の中に出ているのですけれども、新交番に移行するについても、寝具その他の條件が完備してないということが、問題になつているわけです。それからそれに対する対策や見通しも、管理部として持つてなかつたということ、これは二日の日に組合側と管理都側とり話合いの中に、そういつたことが出て來ているわけです。從つて私は先ほどからあなたがおつしやつたように、宿泊所や宿直室の設備の問題が——これは一箇所ではない、ずつと繋がつ出て來ているのです。その点を御存じないですか。
  712. 神谷仲次

    ○神谷證人 その管理部においての何ですか。
  713. 神山茂夫

    神山委員 こういうような問題がいつも組合とあなたとり間の、ことに管理部との折衝の場合にいつも問題になつている。
  714. 神谷仲次

    ○神谷證人 管理部行つて組合としてはどういう折衝をしているか、一向私は存じませんが、現場としては、ふとんの修理にしても、あるいは請求にしても、そのたびごとに出しておりますし、燃料の請求にしても、ちやんと出しております。
  715. 神山茂夫

    神山委員 それから首切りの問題ですが、これはこの間も千葉の諸君に尋ねてみたのですが、労務者諸君にすれば——今度の場合は組合側のどなたからも聞いてないわけです。今日は駅長さん、車掌区長、それから車掌区長代理としてのあなたにお尋ねしているので、組合側の言い分はまだちつともわかつていないわけですが、いつも今言つた労働條件が問題になつて來る。さらにちようど六月一日といえば、行政整理が始まるというその日だ。これに関連して來ているから、業務課長総務課長組合側が会つている。会つて、そのときに私たちの首を切らないという確約をしてくれるかと言うと、それは確約をすべきことじやないと言つているわけです。それで自然に首があぶないということになつて來ているのですが、こういう点はあなたは今までお聞きになつたことはありませんか。
  716. 神谷仲次

    ○神谷證人 確約しないから首云々というのじやなくて、初めからこの交番によつて四十名という血が出る。これは今度の首切りの対象になつているのだということは、組合では始終言つている。それをぼくらはそうじやない、そうは聞いてない、とにかく新勤務時間の改正に伴つて、八時間制を実施するところだが、乘務員関係については延び延びになつて今日來たのだが、たまたま行政整理の時期に至つたために、それがあたかも四十名というものが首切りになるのだというふうな、誤解を招くような状態にはなつたのかも知れないけれども、ぼくとしても当局が必ず首切りの対象として四十人をあげたのじやないと言つている以上、当局を疑う必要はないということを言つているのです。これはその通りだということをはつきり言つている。あとで担当者に開いて、とにかくこういうふうな人聞を出したということは、どういうことかと言つたところが、小運送の関係やら何やら、他に人の部面が必要になるだろう、とにかく行政整理なんということを考えて、われわれ担当者はやつているのじやないということを、はつきりと言つている。ぼくらもそう思つているということで話したのですけれども、組合としてはそうはとらないのでしよう。
  717. 神山茂夫

    神山委員 そこでこの間に組合側管理部側、または区長さんとの間に、いろいろ折衝があつたわげなんですけれども、三日の日に区長さんと支部の闘争委員長つたと思いますが、あるいは成瀬副委員長ですか、この人たちが懇談していることをお聞きになりませんか。三日の十八時です。
  718. 神谷仲次

    ○神谷證人 三日か四日か日はわかりませんが、始終來てそれを言つておりますから……。
  719. 神山茂夫

    神山委員 それはそうでしよう。それで何もあなたの言葉をひつくり返す必要はないが、あなたも神経衰弱になつたかもしれませんが、しかし一方は首になると思い込んでいたから、向うも神経衰弱になつて、相当あなた方のところに心行つているとおもう。
  720. 神谷仲次

    ○神谷證人 來ております。成瀬さんは数は少いですが、嗣角さんはひつきりなしに……。
  721. 神山茂夫

    神山委員 行かざるを得ない命にかかわる問題だと思つているから……。それで三日の日にいろいろ区長さんと懇談しているわけですが、区長さんは管理部のあいまいな態度——さつき私の言つた問題含むが、管理部が腹のすわつた態度をとつていなかつたこともあるので、組合管理部との間に立つて、非常に困つているというようなことを言われて、自分も十分考えようというふうに言われたたということを組合側は正式の報告文書の中に書いておりますが、こういう事実をあなたは御存じありませんか。
  722. 神谷仲次

    ○神谷證人 それは存じません。
  723. 神山茂夫

    神山委員 四日の日にいろいろいきさつがあつたが、今度は問題の五日ですが、あなたのいろいろなお話を聞いておると、事実あなたのおつしやつた通りかどうかわかりませんが、とにかくいきなり鉄道公安官が三十人も來た。それから管理部員、が三十人も來た。総務課長業務課長、公安係長、この連中が一緒に來て、どうしても新交番制をやらせるのだというふうに、五日の日に持つて來たそうです。
  724. 神谷仲次

    ○神谷證人 どういう事情でできないかということです。新交番制に移れないかというで……。
  725. 神山茂夫

    神山委員 そういう調べにしては、少し大げさじやないか。管理部の首脳部が全部、部員が三十へも出て來——あなたのお説の通りだたとすれば、その通りでもいいが、公安官を外に待機させたことが、非常に従業員を刺戟しておることは、あなたは現場でごらんになつて御存じじやないですか。
  726. 神谷仲次

    ○神谷證人 刺戟といつても、全部が刺戟を受けたか、組合員だけが刺戟を受けたかどうか、それはわからない。     〔「脅迫されたのだ」と呼ぶ者あり〕
  727. 神山茂夫

    神山委員 脅迫々々と盛んに言う人があるので、私もつい聞いてみたいのですが、従業員の諸君に言わせると、業務命令だから新交番に乘れとどなり立てられたという。しかも公安官が來ておるので、組合員諸君は、弾圧するのはやめて、交渉しようじやないかというふうに話を持つてつた言つておるわけです。しかもまた総務課長と、明後日証人に来る城戸崎君とが交渉に入つておる。こういう事実をあなたは御存じありませんか。
  728. 神谷仲次

    ○神谷證人 交渉に入るといつて——今言つた五日に、総務課長と城戸崎さんと区長のところで、とにかくその日の困る事態を収拾する打合せだけをしたのです。このときはだれもタッチしないで、二人でやろうということでしたから、私たちはそばに寄りませんから、どういう話をしたかわかりませんが、結局は公安官はひとまず管理部の手によつて帰す。それから外廓團体その他の、委員以外の人は城戸崎さんの手によつて帰してもらうという話合いをした。
  729. 神山茂夫

    神山委員 内容は今度城戸崎証人に聞きますから、あなたにお尋ねしませんが、とにかく組合員全体の受けた印象は、公安官三十名、管理、部員三十名、課長が揃つて新型交番制に乘れと言つて来た。いわば脅迫的に来たのだ。そういうふうに受取つた。そして非常に興奮しているということもあつて、その事態を収拾するために二人、すなわち総務課長と城戸崎さんとが話し合うということになつた。この内容はこの次に聞きますが、この事実をあなたも御存じでしようね。
  730. 神谷仲次

    ○神谷證人 また繰返すよう事になるが、全部がこういう刺激を受けたかどうか、それはわからないが……。
  731. 神山茂夫

    神山委員 それはいいですよ。それはちようどあなたが、さつきあなたのところの伊藤区長が人民裁判を受けたかといつて、聞かれたときに、いや大したことじやないと、そう言つた。ところがあとからそれに関連して脅迫的なことがあつたかと、言われれば、やはりそれもありましたということになるわけなんだ。それはいろいろたくさんな面があるわけだから、一方ばかりを強調すると、ものにかどが立つので、私は組合員側も、公安官を見てかつとしたということをあなたもお認めになるか、その点だけを言つておるのだ。
  732. 神谷仲次

    ○神谷證人 それは外郭團体や、電車区の人——分会の執行鬪爭委員、行動隊という者が多くて、ほんとうの組合員として乘務する者の方がごく微々たるものでありまして、総数じやありませんから、はたして全部が激昂したかどうか、ちよつとわかりません。
  733. 神山茂夫

    神山委員 あとで全部激昂したことが出て來ますから、それは保留しましよう。それで六日も七日もいろいろ接触があつたわけですが、いろいろの交渉の中に、管理部側ではあくまで自分の意思をまつすぐ通そうとする。組合側では團体交渉その他で話し合いをしてもうまく行かないという状況の中で、九日にもなつたのですね。
  734. 神谷仲次

    ○神谷證人 そういうわけです。
  735. 神山茂夫

    神山委員 九日にあなたも御承知のように、新橋管理部長の名前で、「東神奈川車掌区員に告ぐ、乘務を拒否せる者は断固処分する」というやつがまず出たわけでしよう。
  736. 神谷仲次

    ○神谷證人 そうです。
  737. 神山茂夫

    神山委員 一番初めに九日の日付で、今私が申し上げたような断固処分するが出て、それから十時に例の首切りが出たわけですね。
  738. 神谷仲次

    ○神谷證人 そうです。十時十五分です。
  739. 神山茂夫

    神山委員 それが出たので、今度はみな一ぺんにわあつと来たのじやないですか。組合員諸君に言わせれば、何もストライキを決議しようということじやなかつた。ただ今までのような経過があつて、その上にいきなり首切りがぽんと來られたので、だれ言うともなしに、自動的にストライキに入つた。しかも全員一致だと言つておる。
  740. 神谷仲次

    ○神谷證人 それは私は知りません。あのとき蔭でどう諮つたか、諮らないか、外部のことはわかりません。わかりませんけれども、今からストに入るから車掌をおろしてくれというようなことを、電話でだれかがかけているところを見ると、自動的にめいめいが個人個人の意思でやつたとは受取れない。
  741. 神山茂夫

    神山委員 それはあなたの立場として、あなたはすわつてつたのだ。電話などでお聞きになつただけだから、そうはつきりしたことはわからぬのももつともだ。但し組合員諸君に言わせれば、こうなれば問答無用だというふうな氣持で、そのままストに入つたというようなことを、彼らは言つておるわけです。しかしこれに入つたのに対して、すぐ分会の指導としては、こういう行き方はうまくないというふうに説得し始めた。支部の城戸崎君が來て、こういう話が出て來たのを御承知ないですか。
  742. 神谷仲次

    ○神谷證人 知りません。
  743. 神山茂夫

    神山委員 これはやはり外部との接触をなさるばかりでなしに、組合の中の動きも知つてもらいたい。すぐこの点については、組合側では、こういう行き方はよくない、それでこれを何とかしてまとめなければならぬということを始めているわけです。
  744. 神谷仲次

    ○神谷證人 始めておつても、私の知つている範囲内では、区長さんの所へ、ストに入つて行くから——区長さんの納得のできるようなことをひつさげて來ているとは私は考えられない。これは確かに乘るけれども、乘るのに確認証なんかいらぬ、じやないか、とにかく乘ればいいんじやないかと言うから、区長は、それではいけないのだ、管理部長の業務命令として、個人々確認をして、業務命令によつて乘務するということで、本人が確認したならば乘せろということなんだからと言つたけれども、これでは組合もあの当時の空氣としては納得できなかつた
  745. 神山茂夫

    神山委員 それで両方にそういう問題があつたわけだ。それであとの十一日の場合は、あなた方の希望、ことに区長さんや管理、部長の意向に從つて確認したが、このときにはあなたのおつしやる通りに、実際問題として意見が一致しないで、ごちやごちやしたために、とにかく組合の指導部としては、できるだけ早くストを収拾するという空氣にあつたことは、問題ないわけだ。あなたが知らないというならしかたがないと思うのですが、六月十日の三時半、電車区では、これは先ほど区長さんに聞いたのですけれども、区長と吉野助役に対して、仕事をする、乘るということを言つておるわけです。車掌区では零時十五分当直助役の遠藤さんに、始発から乘務することを申入れている。ところがこれがうまく行かなかつた
  746. 神谷仲次

    ○神谷證人 私は知りません。
  747. 神山茂夫

    神山委員 それでは六月九日二十時に出た東達甲五百八十三号を御承知ですか。
  748. 神谷仲次

    ○神谷證人 それは後日聞きました。というのは、先ほどお話した通り、九日は管理部行つてしまいましたから……。
  749. 神山茂夫

    神山委員 こういうふうなことがあつたので、乘せてくれということであつたが、うまく乘れなかつたという事実もあるわけです。
  750. 神谷仲次

    ○神谷證人 しかしこれは私そう思うのですが、職場を全部剥奪したということにはならない。というのは、またみんながストに入つて乘らないのであつて、しかもまだ東神奈川車掌区には鶴見線並びに貨物線の、横浜線を抜かした以外の乘務線は存在している。ことに臨時に横浜線というものにも乘つてもらうようになるし、それから管理部の方からこういうものに対して乘れという命令が来た場合には、これはあなたの方から手配して乘るのだから、みんな予備にしておけということでありますから、線区がとにかくみんな空白状態になるということは考えられない。
  751. 神山茂夫

    神山委員 いや、それはあなたはあとでお聞きになつたことで、しかもこの問題は非常にデリケートな法律上の問題も含んでいるので、あとからいろいろな人からずいぶんあなたに説明したと思う。しかしその当時おれたち乘せてくれ、乘るのだ、と言つたことも、ぴんと押えられた。しかも裏づけの東達甲、これは永久命令でしよう。これが出ることになれば、従業員諸君にとつては、確かに小さい所が二線区ばかり残つているが、それにもかかわらず締め出されたというふうに受取つても、あなたがお考えになつてもあながちむりではないのじやないか。
  752. 神谷仲次

    ○神谷證人 しかしあのときには、これは乘らないということが建前なんで、その中の幾人かが乘るということになつて来れば、鶴見線、貨物線だけで手配は間に合う。
  753. 神山茂夫

    神山委員 だからそれは乘らないことが建前であるというふうに初めは、確かに九日はやつた。ところがあとで今度は乘るというふうにきめて、明日の始発から乘るよと、区長の所に言いに行つている。さつき電車区長もそれを認めて、いる。それが乘れないような事態に車掌区がしたのです事。車掌区に申し込んで、ことわられた。どうしてことわられたか。東達甲事五百八十三号があつたからである。こういう疑いがつきまとつているので、お尋ねしたのです。しかしあなたはその当時いなかつたから、御存じないのももつと封だ思います。
  754. 神谷仲次

    ○神谷證人 九日、十日に対しては今言う通り、十一日に対してはこれは管理部長の指定した行路に乘るのだということになつています。
  755. 神山茂夫

    神山委員 そこで十一日、もうこれでどんづまりに来たわけです。連合軍側の命令によつて、たとえば車掌区にしても電車区にしても、指令あるいは命令があつたから乘つたというのか、それとも組合側が自発的に決定したのと、指令の出るのと、偶然一致したのか、これはあなたお聞きになつておりませんか。
  756. 神谷仲次

    ○神谷證人 その辺は関係筋に行つておりまして、いません。しかしあとで話は聞いたのです。それはストを中止するかしないかということで、あのときはストを中止しないという空氣であつたところへ、スト中止指令が來た。それでもうストは中止になつたのだという話を聞きました。
  757. 神山茂夫

    神山委員 それはあとで城戸崎君が來ればはつきりすると思いますが、あなたの御参考のために申し上げておきますが、これは電車区でも、あなたの所の車掌区でも、中止命令が來る前に、さつき言つたように、十日の朝から來るのだという決定で、その線で押していて、支部から行つてよく説得したために、自発的に來るという最終の腹をきめたのと、指令の出たのとが一致している。指令を受取つたのは、先ほど十二時、だというふうに電車区長は言つているが、出たのは十一時です。從つてこの点は後日のことがありますから、よくお調べ願いたいと思います。  最後にこれは私はしみじみ今日は伊藤事んに来てほしかつたのだが、こういう確認証を伊藤さんがお書きになつたのは御存じでしようか。「組合からは十三時より仕事につくと通告があつた。運轉のおくれたのは業務上其の他による。六月十一日東神奈川車掌区長伊藤榮一印」という、こういう確認証をお書きになつたということはお聞きになりませんか。
  758. 神谷仲次

    ○神谷證人 全然知りません。聞きもしません。
  759. 神山茂夫

    神山委員 それではあとでほかの人から聞くことにしましよう。それでは私のお尋ねすることはこれで打切りましよう。
  760. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 では済みました。御苦労さんでした。
  761. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 井上勘一さんですね。
  762. 井上勘一

    井上證人 はあ、そうです。
  763. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは東神奈川車掌区の車掌をしておいでになつたそうですが、いつから車掌をして、いつまでやつておりましたか。
  764. 井上勘一

    井上證人 昭和十八年十二月の暮から六月の一九日までやつておりました。
  765. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから車掌区の國鉄労働組合東神奈川車掌区班の闘争委員長、だつたのですか。
  766. 井上勘一

    井上證人 はあ、そうです。闘争委員長でありました。車掌分会の……。
  767. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 委員長も六月九日にやめると同時にやめられたわけですか。
  768. 井上勘一

    井上證人 それは当局の一方的な首切りであつて、私たちはそれには従えないという見解から、また組合員人たちが一應当局の方から首切り通知が來たけれども、その通知が区長を通じて本人の手に渡らないというふうな見解から組合員としては認める、闘争委員長を依然としてやつていてくれということでありますから、闘争委員長もやつておりました。
  769. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今でもですか。
  770. 井上勘一

    井上證人 今でもやはり組合員になつておると思いますが、ついこの間人民電車関係で、一應警察の方の関係によりまして、出て来たばかりで、まだこの点のところははつきりとわかつておりません。
  771. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたとしては、今でも組合員であると考えておるわけですか。
  772. 井上勘一

    井上證人 ええ、そのときの決定通り何とも通知を受けていないし、何とも聞いていないから、組合員としておるというふうに考えます。
  773. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 闘争委員長はあなたのおらぬ間にだれか……。
  774. 井上勘一

    井上證人 私のいない間、闘争委員長は代理をつくつて、闘争委員長代理というふうなかつこうでやつてつたということだけは聞いております。
  775. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今でもその人は代理をやつておりますか。
  776. 井上勘一

    井上證人 今でも代理をやつております。
  777. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だれです……。
  778. 井上勘一

    井上證人 ちよつと名前はわからないですけれども……。
  779. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 たいていあなたたちの仲間だから、わかりそうなものだが。
  780. 井上勘一

    井上證人 ところが、何しろ五十何人かの人たちが全部一ぺんに警察に入つた関係で、大混乱に陥つているから、その辺はわからないのであります。
  781. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 五月三十日にあなたの方の青年部の臨時大会というものを開うこことですが、そういう事実ありましたか。
  782. 井上勘一

    井上證人 ええ、ありました。
  783. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはどういうところからその臨時大会を開くに至つたのですか。
  784. 井上勘一

    井上證人 その青年部の臨時大会を開くに至つた理由というのは、五月二十二日ごろ——五月中は首切りとか何とかと言つていたから、非常に現場の方に刺激があつたわけです。そのときにおきまして、家庭状態の調査というふうなものを区長が独断でやつたわけです。その内容は家族が何人あるとか、あるいは家族はどのくらいの收入を取つておるか、田がどのくらいある、畑がどのくらいある、あるいは通勤駅から何分ぐらいかかるというふうな、基準整理というようなことで一應呼ばれておつたものに全部一触するわけであります。そういうふうなものを区長が独断でもつてつたわけです。われわれとれては区長は税務署長でもないし、人の財産を調べる権利があるかないかということで、團体交渉も持つたわけであります。区長は必ず六月三十日までに提出してくれというようなことを言つたのです。またその下にも書いてあるのですが、われわれの交渉によつて、一應出さなくてもいいということになりまして、それは出さないで済みました。その次に同じく車掌区におきまして教導車掌といつて車掌をあらゆる理論から、実際から教導して行くところの車掌があるわけであります。この教導車掌二名が一應降職というふうな形で車掌に下つたわけであります。そういうふうな関係交渉しているところに來て、今度は新交番というふうなものを示しまして、これによつてやるかということを大体二十九日だと思いますが出して來たのであります。われわれとしては現在新交番によると、大体車掌区三百何人か、忘れましたが車掌がいるわけであります。その中で三十八人の人が浮くわけであります。三十八人の人ということは、望百何時間という時間が浮く。そのことは当然われわれの労働へかぶつて來る、それだけ過重労働になる。現在でも大体二日かあるいは三日ぐらいしか家に帰れない。それによつて時間が延ばされて來ると、ぼくの方の車掌区には、御殿場線関係人たちが大体半分以上占めているわけです。ところが御殿場線は御承知のように二時間に一本くらいしか出ていないわけで、あります。そうしますと、たといこの三十分、一時間とかいうふうに早くなつても、御殿場線から出て來る人は二時間も三時間も前から家を出て行かなければならない。あがつても帰れないというようなことが非常に続くということと、もう一つは、十時までにあがれば日勤というふうなことになつている関係で、とまりのうちに入らないわけであります。十時にあがつた者でも家へ帰れない。その者は当然とまりに行かなければならない。そのときにとまらなければならない。朝の早い者は前日とまりに來なければならないというような関係で、実質的なとまりが多くなつて、どうしてもわれわれは勤まらないい。そのとまりが多くなるにつけて、やはりお米だとか、あるいは飯をたく薪とかがいるというような関係で、その薪なども要求したのでありますが、一本もないわけであります。やみ市が近くにありまして、やみ市に行つてお金を出してたいてもらつたり、あるいは自分の持つて来たお米を外食券食堂にやつて、そこでとりかえてもらうというようなわけで補つていたわけであります。ところがそれで行くとたいへん金がかかる、また自分でたいても一日に百円くらいの副食費がかかる。それで相当金銭上にも、あるいは肉体的にも疲労を來したわけであります。肉体的に疲労を來したということは、終戰前に車掌区は焼けて、休憩所が建つたのでありますが、その休憩所へ車掌の携帯品を全部置くところのボックスを入れたために、休憩所としての役割を果さなくなつた。雨でも降ると全部その狭い一坪半か二坪のところに固まらなければならぬ。四百八十一人を擁しておるところの私たちが、そういう挾いところの体感室ではどうしてもだめだというところから、その休憩所の設置というふうなことも、区長の方へも要求書を出し、管理部長の方にも要求書を出し、支部の方からもやつていただきたいというふうに、あらゆる方面に要求書を出したのであります。ところが依然としてやつてくれないで、一方的にそういう辛い業務を押しつけて來たわけです。これはとてもわれわれとしてできない、八月の一日がダイヤ改正であるというところから、八月一日まで何とか延ばしてくれないかということで再三團体交渉を申し入れたところが、区長の方で入れない。それで青年部の大会で青年部の人たちが、どうしてもわれわれは自分自身が困るのだから、ひとつみんなできめたらどうかということで、大会を開いたわけであります。大会でもつて交番は絶対に反対だ、われわれ自身が認めることは、われわれ自身が墓穴を掘ると同じ結果になるということで、反対を決議したわであります。
  785. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 もう一つは首切りの前提だということもあつたそうですが。
  786. 井上勘一

    井上證人 だからもちろん区長がそういうふうな税務署長のようなまねをしたということと、その前にそのような降職があつたということ、首切りの当然盛んなときでありましたから、そういうことIも……。
  787. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 盛んだといつても、まだ行われなかつたあとで行われるだろうりということで……。
  788. 井上勘一

    井上證人 しかし二名の降職があつたわけです。教導車掌から車掌に下つた。まして区長がそういうふうな通勤駅がどのくらいだとか、田はどのくらい持つて畑はどのくらいで、うちの收入は兄さんがどのくらい、弟がどのくらいというような、いろいろなことを調査した結果、そういうことになつたわけであります。
  789. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなた方区長と團体交渉を持つときには、区長は決して首切りの前提でないということを言つたのではないですか。
  790. 井上勘一

    井上證人 区長としては、一應首切りの前提ではないというようなことをおつしやいました。しかしながら私たちが行つて三十八人人間が浮くということに対して、三十八人浮く人は、当局が、たとえば配置轉換しよう、首を切ろうと思えば、この人間はどうにでもなる人間かと言つたところ、そうだということをはつきり申しておりました。だからわれわれとしてそう考えざるを得なかつたわけであります。
  791. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうだと言つた……。
  792. 井上勘一

    井上證人 ええ、そうです。
  793. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それで新交番制に従わぬという決議をしたわけですね。
  794. 井上勘一

    井上證人 そうです。
  795. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが向うはいわゆる業務命令だといつて來るのですから、その業務命令を拒否するには、どういう方法でやろうということをきめましたか。
  796. 井上勘一

    井上證人 どういう方法でやろうというような、そんな細部にわたつてはきめないわけであります。ただ六月一日になつても、われわれは今の交番表でもつて乘務しようということを決定いたしました。
  797. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが向うは命令——ぜひ新交番で乘れと言つて來ますね。それを拒否する方法は……。
  798. 井上勘一

    井上證人 でありますから、いくら乘れと言つて來ても、現場で電車を動かし、あるいは汽車を動かしているのは、われわれ労働者がやつていることであつて、当局がやつていることではない、当局は机の上でペンを握つてつているだけであります。私たちが乘らない、それには乘れないというようなことからして、ただそれだけ決定しただけであります。
  799. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 乘らないということを決定した。ところが六月五日にそのことに対して新橋管理部の方から、課長であるとか係長が來て、あなた方と何か交渉したそうですね。
  800. 井上勘一

    井上證人 六月の五日に来たのは——その前から話をしないとちよつとわかりにくいのではないかと思いますけれども、五月の二十九日に青年部の大会があつて、五月の三十日は汽車班の大会があつたわけであります。汽車班の大会というのは、大体年寄りの人たちが全部乘つておるわけであります。その人たちも、われわれとしてとても勤まらないというようなところから、これも反対して、毎日團体交渉を持つたのでありますが、しまいに区長の方が團体交渉をいいかげんなことにしてやつたり、あるいは首席助役などは、あなた方乘務員がこの車掌区は主体なのだから、乘務員を主体として考えなければうそだというようなことで——私たちとしては仕事をして行くのだから、業務命令で行かなければならないというようなことが、相当組合員を刺激していたわけであります。團体交渉をやつたのですが、しまいには應じないというようなことで、どうしてもしようがないから、区長に管理部の方に行つてくれ、私たちも行くと言つたが、区長は君たちが一緒ならば絶対に行かない、あるいは君たちが行くならばかつて行つて來いというようなことで、私たちと一緒に管理部にお願いに行くというようなことは、絶対にしなかつたわけであります。そういうようなことも一つの刺激になつたし、六月の、日はちよつと忘れましたが、何しろ管理部行つてくれない。私たちは、区長が管理部行つて、私たちのために何とか骨を折つてくれているのだろうと考えていたのですが、区長が帰ると同時にたいがい公安係長——これは鉄道警察であります。労働運動などに携わるべきでなくて、列車内のすりとか、あるいはかつぱらいというようなものを取締るべき性質のものですが、その公安係長が六月の五日までに三回ほど見えているわけです。それで車掌区の状態を隅の方でぐつと見ておつて、中のるいは運轉係長とか、あるいは業務課長というような管理部人たちも見える。私たちは、区長が行くたびにそういうような人が來るということから疑義を持つた。区長がはたしてぼくたちのために骨を折つているのかどうか、骨を折つているというが、骨を折つているにしてはおかしい。あなたが行つてつて來ると、そういうような人たちが來るというようなことで、なおさら組合員が激怒したわけです。六月五日には総務課長業務課長と公安係長あるいはその他の課長、係長級も相当見えまして、公安官が、勘定もしてみなかつたが、大体三十名以上いたと思います。そのほかに車掌の経驗のあるところの管理部員、これが明けて帰るところをみな集めて、大体これも三十名、これが車掌区のまわりをぐつと囲んだわけであります。私たちはたいへんだというわけで、一体何しにあなた方は來られたのか。まして公安官をこんなにつれて來て、私たちが旧交番によつてつていた間は、列車の一本も、あるいは電車の一本もとまらない。しかしながらあなた方が來たために、もし電車が一本でもとまつたら、それはあなた方の責任であるというようなことを言いながら、早速帰つてくれ、もし交渉があるならば、支部の方と交渉することになつているから、支部の方とやつていただきたい。ぼくの方としては、やはり区長とやるから、そういうふうにしていただきたいというようなことを言つた。しかしながら出勤する車掌に向つて、おい、お前は新交番に乘るかどうかというようなことを盛んに聞いているわけです。そのうしろにはずつと公安係長もいるし、結局われわれは何も武器を持たないところの羊なんです。彼らは武器を持つているところのおおかみである。自由にもおおかみの自由もあれば、羊の自由もある。その羊の自由をおおかみの自由をもつて束縛するというところに大きな危険がある。それでそういうふうなことに刺激されてやつたわけでありまして、六月五日の交渉には、支部の人たちが來た時には、もはや手のつけられないような状態になつたわけであります。というのは、全部が集まつて來て、何しに來た、帰つてくれというような組合員の激怒によつて、どうしても仕事ができなくなつたわけであります。そうして管理部総務課長が、城戸崎さん何とかしてくれないかということで來たが、組合員が言うことを聞かない、あなた方が帰らなければ列車がとまるかもしれない。われわれのまわりに帰れ帰れと言つてみんなが寄つて來たので、結局乘務員が出入りすることも困難になつたわけであります。ぜひ帰つてくれというわけで、支部の支部長と業務課長総務課長が会いまして、それから二、三日後に全部引上げました。
  801. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何かあなた方が非常に高圧的だと見たのは、公安官を連れて來たことが一番惡かつたのですか。
  802. 井上勘一

    井上證人 そうです。その前にも公安係長が二、三回來ておるのです。來るたびにそういう組合員の怒りが発して來るわけであります。そのときはなおさら怒りが発して來て、どうしようもなかつた、結局そういうことがなかつたならば、そういうような激怒もなかつたように考えておします。
  803. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがその日駅長室で、諸君の方で駅長をずいぶんいじめたような話ですが、それはどうですか。
  804. 井上勘一

    井上證人 そのことにつきましては、私は知りません。
  805. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは行かなかつたのかね。
  806. 井上勘一

    井上證人 駅長室へは行きません。駅長室に行つたのは闘爭が一段おちついて、駅長室に大体十分か十五分ぐらい行つたことがあるだけで、そのほかは駅長室に行つたことはありません。
  807. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この日に駅長がなぐられたりなんかして、たいへん騒いだようですが、知らないですか。
  808. 井上勘一

    井上證人 そういうことはわかりません。
  809. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがその翌日に、あなた方で、さらに不当彈圧のあつた場合は実力行使をも辞せずということを決議されたようですが、そういうことはありませんか。
  810. 井上勘一

    井上證人 それは大会によつて決定しました。
  811. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 六日ですね。
  812. 井上勘一

    井上證人 というのは、そういうふうに公安官が押しかけて來たり、警察も、私たちの職場の中には入らないけれども、外の方におるわけであります。ちよちよく見えるのです。これはわれわれが正当に團体交渉をやつて行こうというのに対して、当局が一方的にけつておるのだ。こういうような事情であるにもかかわらず、向うが警察という権力を動かしてやるということはもつてのほかだと思います。そういうようなところへ公安官が來たり警察官もあつちこつちうろうろしておる。業務命令を拒否する者は名前とか何とかをあげろとか、いろいろなことが出ておるわけであります。そういうようなことを考えて、その大会でもつて不当彈圧があれば—不当彈圧とは警察が彈圧すること、あるいは当局が四百八十一人全部の首切りをしたというようなことは、不当彈圧とみなすということで。不当彈圧があつたと認めた場合には、実力行使を用いるということを決議したのです。
  813. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 新交番制をどこまでも押しつけるということも、不当彈圧ですか。
  814. 井上勘一

    井上證人 それは違います。不当彈圧とは、先ほども言つた通り、警察の彈圧ですね、首切りの彈圧ですね。その新交番制のために首切りがあつたというのが、不当彈圧だと思います。
  815. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 実力行使も辞せずというのは、どういうことを意味しておつたのですか。
  816. 井上勘一

    井上證人 実力行使も辞せずというのは、やはり組合員も人間でありまして、これは生のものでどうきまるかわかりませんが、実力行使とは、おそらくストをも含むし、いろいろな行動が実力行使だと私は思います。そのときの事情によつていろいろかわつて來ると思います。
  817. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 法律を超越した行動に出るということですね。実力行使というのは……。あたりまえに何でもないことをやれば問題ないのだからね。
  818. 井上勘一

    井上證人 法を無視したとか無視しないとかいうことをおつしやるけれども、そういうような團体交渉権すらわれわれには認められてないわけであります。法そのものが社会秩序と一致した場合に、初めて法の効果を有すると思います。社会秩序をいたずらに混乱させておるのは、当局だと思います。そういうところから來ておると思います。そういう点についてわれわれが羊のようにだまつてつたまらば、ばたばたやられるわけであります。われわれが正しい主張をし、正しい理由を書いておるにもかかわらず、そういうことをするということは、法を無視したことになると思います。
  819. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それだからこつちもやる、こういうわけだな。
  820. 井上勘一

    井上證人 だからそのときの事情によつてそれは異なつて來ると思います。
  821. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 わかりました。では東京地区司令官のホール中佐からいろいろ命令が出たことがあるそうだが、そういうことはありませんか。
  822. 井上勘一

    井上證人 そのことは記憶にありません。
  823. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたが進駐軍の車、俗にいう白帶車乘つてつたので、それから出なければいかぬという命令が來たそうだが……。
  824. 井上勘一

    井上證人 大月の九日ごろに、何という中佐だか名前は忘れましたが、警察の方が來られて、白帶車乘つてつてはいけない、今から全部見るからというので見ました。
  825. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは警察が來てそう言つたのですか。
  826. 井上勘一

    井上證人 そうです。
  827. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなた方が乘つておるところへですか。
  828. 井上勘一

    井上證人 いや違うのです。警察が來て、東神奈川車掌区の中へ入れないで、駅の待合室で私たちと会つて、そういうふうなことを言われて、それから中へ入つて白帶車のついている車を全部調べたのです。
  829. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 乘つていた者があつたことは間違いないでしようね。
  830. 井上勘一

    井上證人 そのときはおりませんでした。
  831. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 もうおりてしまつていたのか。
  832. 井上勘一

    井上證人 調べた結果、一人も乘つてないということを確認して帰りました。もし乘つてれば、おそらく帰らないでしよう。ぼくも行つて立ち会つて、全部乘つてないということを警察の方が確認して帰りました。
  833. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その前に乘つてつたことはあるのでしよう。白帶車乘つていろいろ会合をやつてつたことはあるのじやないか。
  834. 井上勘一

    井上證人 その辺の実情は、外部團体の方が実情を知らしていただきたいということで來られたわけであります。私といたしましては、やはり組合の役についている関係上、そういう人たちに会つて実情を報告した。その前に警察の方が來られたわけであります。労働組合にどうこう干渉するということはわれわれとしてもやめなければならぬし、またこの問題はわれわれの問題と同じだというような観点から、残つていてくれたわけであります。そういう人たちが詰所がないので、一應電車の中を詰所にした関係であるいはその中に入つたことがあるかもしれませんが、警察の方が來られたときには、全然入つておりませんでした。
  835. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 人のことよりも、あなたは白帶車の中入つていろいろ会合を持つたことはないですか。
  836. 井上勘一

    井上證人 何しろそのときは全部が電車の中へ入つてつた関係で、また外部團体の方も、こちらの方も休憩所がない関係電車の中へ入つてつて、ぽつねんとしているのもつまらないので、座談会をやつたり討論会をやつたりして、私もしよつちゆうまわつて歩いておつたので、あるいはそういうふうな会議の席へ入つたかもしれません、進駐軍関係の中へ入つたかもしれませんが、その点は記憶がありません。
  837. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 進駐軍の中へ入つて会合を持つたという記憶はありませんか。
  838. 井上勘一

    井上證人 その点は記憶がないのです。
  839. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 わかつてつてないと言つておると、やはり知つてることを言わないことになる。
  840. 井上勘一

    井上證人 これは前に聞かれたこともあるのですが、何しろぼくは刑務所の方へ二十日入つてつた関係で、相当からだも疲れていて思い出せなくて、帰つて來てまたすぐにこういうふうなことでちよつと思い出せないのです。あとで思い出してみると、何しろ外部團体の大勢來ていた関係で、私はそつちの方面をおもにやつておりましたから、あまり組合の室には行かなかつた。あらゆる会議においては参画していたかもしれないというようなことは言つたことがありますが、その点はまだはつきりしてないわけです。
  841. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 九日の夜、当局側に彈圧の態勢がとられたので、組合側でも車掌区と電車区の組合員を中心に、近隣からはせ参じた國鉄職員、部外労働者は全員スクラムを組んでインターを合唱し、全電車はサイレンを鳴らして非常態勢を備えたということを、六・九闘爭経過に書いてあるが、そういう事実はあなたのですね。ストライキに入つたときのことです。
  842. 井上勘一

    井上證人 ちよつと記憶ありません。九日の夜は……。
  843. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 晝でしよう——。サイレンを鳴らしたというから、晝ではないかな。
  844. 井上勘一

    井上證人 それなら夕方じやなかつたかと思う。ですが—三時ごろだと思います。何しろ警察の方が來られて、相当自動車が—大体あのときトラックが二台、乘用車が三台だかとまつておりました。それに乘つて來て警告文というようなものと張つてつたのです。そのときに車掌区の者と電車区の者と協力して、結局なぜ入るんだというふうなことで、スクラムを組んだことは事実であります。
  845. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その中へは外部の團体も入つてつたのですね。
  846. 井上勘一

    井上證人 外部團体も小数いたことと思います。
  847. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 小数か。
  848. 井上勘一

    井上證人 組合員の方が多いわけであります。
  849. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それからそのあと乘客大会というものが開かれたそうだね。それは駅の前か、講内か、または車掌区のどこかか、そこへ集まつておる者が寄つて、そうしてこれを乘客大会だといつて、やつたことがあるそうだが、それはどうです。
  850. 井上勘一

    井上證人 その点はわからないです。
  851. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 わからない……。その應援をしてくれた外郭團体のおもなるものはどういうものですか。
  852. 井上勘一

    井上證人 おもなるものといつて、ぼくの方は外郭團体との折衝が少いわけであります。これは支部の方でおもにやつておるので、名前はわからないですけれども、東芝あたりが來たことが一回あるのじやないかと思います。
  853. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 神奈川縣工代会議というものが開かれたそうじやないか。
  854. 井上勘一

    井上證人 その神奈川縣下の工代会議は開かれました。
  855. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これはここにも出ておるのだが、それはあなた方のストライキを應援するために、工代会議というものを、そこへ來て開いたわけですね。
  856. 井上勘一

    井上證人 そういうわけではないと思います。外部から、東神奈川はどういうわけで闘爭をやつておるのかといつて、実情を聞きに來て、そのままちよつと様子を見てみようといつてつて、そうして工場の代表の人たちが集まつてつたのじやないかと思います。
  857. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それで、これをあくまで助けてやろうという決議までしたのではないのですか。
  858. 井上勘一

    井上證人 その点はわからないです。その工代会議において、東神奈川車掌区の問題は、われわれ労働者の問題であるというふうなことは言われておりました。しかし東神奈川の問題を助けるとか何とかをきめるということは、私全然知らないでおります。
  859. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 六月七日にもそういう会議を開いてやつたようじやないか。そういうことはありませんか。
  860. 井上勘一

    井上證人 六月七日かいつだかわかりませんですが、何しろ工代会議は一回やそこらじやありません、まだ相当開かれております。
  861. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 人民電車特集号というのに、「六月七日、縣下各工場の代表者会議が十七時より車掌室の休憩室で開かれて、東交の問題、東神奈川の問題は自分たちのことと考え、最大の應援に努力する、われわれは今生死の境に立つている、このため考えることばかりでなく、闘うことは行励を示す以外にないことが確認された。」こうなつておる。そういうことはありましたか。そういうことはなかつたですか。
  862. 井上勘一

    井上證人 日はいつだかわからないですけれども、何しろあの闘爭中、数回開かれているわけであります。いつということを言われても、ちよつと記憶がないですけれども、その車掌区の問題と、東交の問題もやつたときがあるかもしれません。それは普通から言つたら、私たちが國鉄を代表して出るのじやなくて、支部の方から出るわけであります。私たちの一段高い組合員—しかしそのときは私たちの休憩室でなく寢室を使つたわけです。
  863. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 車掌区のね。
  864. 井上勘一

    井上證人 そうです。寢室を使つたのであつて、そのとき、はつきりしないのですけれども、東交の問題もたしかあつたと思いますが、東神奈川車掌区の問題があつたわけであります。
  865. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 外郭團体にあなた方の休憩室とか寢室なんかを使わせることがあるのですか、ちよつとふしぎに感ずるのだが。
  866. 井上勘一

    井上證人 それはあります。区長の方の許可を得てやれば、外郭團体でもできるわけです。
  867. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが十日の夕刻になつて、いわゆる人民電車というものが進発したそうですね。
  868. 井上勘一

    井上證人 人民電車が走りました。
  869. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その人民電車が出たのは、今言つた工代会議と、先ほど私が言つた乘客大会の要請により、九日二十一時二十五分及び二十三時に、横浜線電車組合員と乘客の歓呼の中に出発して行つたと、こう書いてあるが、それはその通りですか。
  870. 井上勘一

    井上證人 私それはちよつと記憶ありません。何しろホームに行つたことがないので、電車の出るようなことは、ちよつとわからないのです。
  871. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この人民電車を出そうというのは、あなた方の決議でやつたのではないか。
  872. 井上勘一

    井上證人 そうであります。しかしながら私は歓呼の中に送られたどうかは、ホーム行つていないからわからないのです。
  873. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それよりまず聞きたいのはあなた方は人民電車を出そうということを決議したのでしよう。その決議するに至つたのは、工代会議乘客大会の要請だといつて、ぜひ出せといつた。この点はどういうのです、その点だけまず第一にお聞きしたい。
  874. 井上勘一

    井上證人 乘客大会をやつたというようなことは、これは言つておりました、私は乘客大会にも行かないし、全然わかりませんが……。
  875. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはその大会の要請だといつて來たことも、あるのはあるのだね。
  876. 井上勘一

    井上證人 それはその人たちの代表が來たかどうか、私はタッチしませんからわかりません。
  877. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなた方に、今こういう要請をしたから人民電車を動かせ、こう言つたのではないのか。
  878. 井上勘一

    井上證人 それはほかの闘爭委員の方には言つたかもしれませんが、私はその場にタッチしておりませんから、わかりません。工代会議は、結局労働者が帰るに帰れない、乘客も困つている、どういうものだというようなことで、同じ労働者でもつて、そういうようないがみ合いをやつているということは、相当不利な結果を招くというようなことでもつて、この問題はわれわれの問題である、絶対に支持するけれども、結局われわれと一緒に闘わなければだめだということで、電車だけは走らせようじやないかということを決定したそうで、われわれの方へ來たわけです。それで私たちも動かすことにきめたわけであります。しかしながら当局が今度は信号を業務命令でもつて赤にしたということは、あとで聞いたのでありますが、何しろ電車を動かさないということを言つているわけであります。私たちとしては、当局は電車を動かすのが目的である、動かさないというのはちよつとおかしいというので、考えられなかつたわけであります。しかしながら帰るのに困るというようなところからして、この電車は当局のものでもないし、また鉄道從業員のものでもない、全日本の労働者のものであり、全人民のものであつて、当局が動かさないというふうなことは、これは預かつておきながらおかしい話であるというようなところから、動かすことにきめたわけであります。
  879. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 全人民のものだと言われるが、だれのものであろうとも、電車は無軌道で動いて歩くわけじやないんですから、規律正しくやらなければならぬものだが、その動かすところの規律がどこから出るかは、わかつておるのじやないですか。
  880. 井上勘一

    井上證人 その点は鉄道の規定によつて、また鉄道のダイヤによつてやるので、われわれがダイヤをしくわけでないし、規定を改正してやるわけでもないし、ちやんとその通りに走らせるわけであつて、無軌道の上を走つたわけじやありません。
  881. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 けれども運轉するには運轉課なり何なりから指示がなければ動かせぬのじやないですか。あなた自身でいつでも動かせるものか。
  882. 井上勘一

    井上證人 私たちは車掌で、運轉士の方がやれば、鉄道にはちやんと運轉規定というものもありますし、あらゆる規定があるわけであります。その規定に沿つて当局の組んだダイヤでもつて動かすことにおいて、無軌道ということはないと思います。
  883. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 規定に從つたのですか。
  884. 井上勘一

    井上證人 規定通りです。当局の規定によつて運轉士運轉士の免状を持ち、車掌車掌の免状を持つているわけであります。
  885. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 免状はあるかしらぬが、動かすときは、何時に出るとか、その次はここにとまるということは、一々命令があるということはわれわれでも十分知つているが、それはあつたのか。何時何十分に東神奈川を出て、その次は鶴見に何時に着いて、それでこうちやんとやらなければならぬものだが、それはあつたのでしようか。
  886. 井上勘一

    井上證人 東神奈川を何時に出て、鶴見に何時に着いてということは、これはダイヤによつて何時何分というような数字がずつと入つているわけであります。その数字通り動かせば、東神奈川を十四時なら十四時、十六時なら十六時に走るわけであります。そのときはその数字によつて時間をちやんと持つておるわけであります。しかるに当局の方でもつてその十日の日は電車を走らせない。そのことはちよつとわからないのですけれども、何しろ業務命令によつて信号機を出さないということをわれわれは聞きました。だから信号機を出さないということは、電車を動かさないというような結果になつたのです。
  887. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それをあなた方かつて命令もなしに動かしていいのか。
  888. 井上勘一

    井上證人 かつてに動かすとおつしやるけれども、当局は列車を動かすとか電車を動かすためにあるわけでありまして、とめるのが本意であるかどうかということは、これはまた問題であると思います。
  889. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 とめたのは、君らがストライキをやつてとめたのではないか。
  890. 井上勘一

    井上證人 われわれがストライキをやつて、一時とめたかもしれません。しかしその次に動かすと言つたとき、なぜ当局が信号機を赤にしてとめたかというようなこともあるんじやないか。十日と十一日は当局がそういうふうにして、やつたわけです。
  891. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 要するに君は命令によつてこれはやつたのではないことはわかつていますね。すると、君方の言葉で俗にいう業務管理をやつたのではないかね。そういつた方が一番わかりやすいのじやないかね。上からの命令を無視して、あなた方がやつたのだから……。
  892. 井上勘一

    井上證人 それはそういうふうな考えにもなると思います。結局当局の方が信号機を赤にしたということに対して、われわれが当局の電車でもないし、どこの電車でもないというような考えからやつたのであります。
  893. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 君らがそう考えてやられたということのよしあしは、現にあなたも起訴されておるようだから、それは向うで調べればいいが、ただ遺憾に思うのは、君方は自分でりつぱにこういうものをやるというにもかかわらず、外部から來た力を利用して、工代会議の決議であるとか、今言う乘客大会の決議であるとかいつてそういうことをやられるということは、これは組合運動の正常なものと思つてやりましたか、私が聞きたいと思うのはその点です。
  894. 井上勘一

    井上證人 組合運動であるかどうかというふうなことをお聞きですが、鉄道は鉄道としての運動でもつて組合運動というものは成立しているのでなしに、全労働者が一團になつたときにおいて、初めて強い組合というものができるわけであります。そういうふうな外部の力が來たから、組合運動がどうとかこうとかおつしやられましたけれども、そういうふうに外部の人たちが來たときに、われわれは同じ労働者でありますから、眞に一致して行く分において、労働組合運動がどうこうということはこれは考えられない。
  895. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 とにかくそれじや外部の力を借りてやつたのだね。それに間違いないね。
  896. 井上勘一

    井上證人 外部の力を借りてやつたというよりも、外部の人たちが実情を聞きに來て、そこに自主的に残つていてくれたということです。私たちが残つてくれと要請したわけでもない、自主的にそこに残つてくれた。そこに労働者の気持があるんじやないかと思います。
  897. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 工代会議の決議で車を動かせ、乘客大会の決議で動かせといつたというのだから、ただ残つておるんじやない、それを聞いておる。
  898. 井上勘一

    井上證人 そこに労働者としての、われわれが残つてくれと要請したわけではないけれども、残つてくれて、そういうふうに工代会議でいろんなことをやつてくれて、私たちの闘爭を見守つてつてくれたということが考えられます。そういうふうに自主的にやつていてくれたということは、労働者としての氣持から出たものであると私は思います。
  899. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何かはかにありますか。
  900. 小川半次

    ○小川(半)委員 証人にお尋ねしますが、五月三十日の青年部臨時大会において新交番制反対の決議が行われましたね。この決議文を、だれが作成し、その説明はだれが行いましたか。
  901. 井上勘一

    井上證人 決議と言われてもちよつと記憶にないんですがね。決議文というのはつくらないと思います。口頭でもつて申込んだのであります。
  902. 小川半次

    ○小川(半)委員 三十日に大会を開いて決定しておつたでしよう。
  903. 井上勘一

    井上證人 そうです。
  904. 小川半次

    ○小川(半)委員 その決議事項を、大体だれかが原案を出しておりますね。あなたは闘爭委員長でしよう。
  905. 井上勘一

    井上證人 そうです。
  906. 小川半次

    ○小川(半)委員 新交番制に反対しようじやないかという決議文をだれかがつくつておりますね。
  907. 井上勘一

    井上證人 そういうふうにこの新交番制に反対だというふうな議題によつてつたわけじやなくて、組合というものはいろいろな人が集まつて構成しているわけであつて、そういうふうな無鉄砲なことはできない。新交番制についてとか、あるいは旧交番制についてとかいうような議題でもつて検討して行くわけであります。そういうような新交番制に反対というような議題は掲げません。新交番制反対というようなことを議題に掲げてやつたわけではありません。議題に出すときは、新交番制ということについてやつたわけであります。新交番制についてどうするかということであつて……。
  908. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だからその議題をだれが出したかという、それを言つている。
  909. 井上勘一

    井上證人 それは私たちが執行委員であります関係でやりました。
  910. 小川半次

    ○小川(半)委員 ところがあの席上、とにかく新交番制に反対しなければならぬという意見をあなた自身が発表しておられますね。
  911. 井上勘一

    井上證人 私がですか。私は経過報告をやつて—区長との團体交渉はこうだと、ずつと交渉をやつた経過を言つております。その反対かどうかということについては、組合員が討論した結果きめるものであります。
  912. 小川半次

    ○小川(半)委員 そういうあなたも、そのときに経過報告をして、反対しなければならぬというように意見を出しておられるのですね。
  913. 井上勘一

    井上證人 反対しろとかしないとかいうことは、私ちよつと記憶にはない。私の考えとしては、やはりそういうふうな私たちのからだを、私たちの生活を脅やかすようなものには、私は反対であります。
  914. 小川半次

    ○小川(半)委員 反対されたことに間違いないことは、これで明らかになつたわけでありますが、あなたは先ほど吉田駅長室へ行つたことはわずか十分か十五分くらいの時間行つたことがあると言つておられますが、多数の組合員とそれから外郭團体人たちと一緒に相当強硬に詰め寄られたことがありますね。
  915. 井上勘一

    井上證人 私がですか、その点の記憶はちよつとないのですけれども——私が駅長さんのところへ行つたのは、駅長さんが管理部の業務命令とかによつて掲示を張られたわけであります。その掲示に、さも私たちが十日過ぎてもストライキをやつているようなことが書いてあつたから、そういうことは事実でないということを言いに行つたことがあります。
  916. 小川半次

    ○小川(半)委員 吉田駅長が背後から何か鉄の棒で殴打されたですね。そのときにあなたはその場におられたですか。
  917. 井上勘一

    井上證人 そういうことは私は全然わかりません。
  918. 小川半次

    ○小川(半)委員 全然ないのですか。それではもう一人闘爭委員であなたと同じ井上という方がいるのですか。
  919. 井上勘一

    井上證人 おりません。
  920. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたの分会でおるのではないか。車掌区でなくて。
  921. 井上勘一

    井上證人 駅の方で年輩の方でおると思います。
  922. 小川半次

    ○小川(半)委員 それからまた委員長からもお話があつたのですが、白帶車にあなたも一緒におられて、話の内容は詳細ではないですが、いろいろ組合員と協議しておられたことは事実のようですが、いかがでしよう。
  923. 井上勘一

    井上證人 その点については、あの九日の日は非常にまわりの空氣も激しいし、外部の團体の方もおられたし、電車の方も全部とまつておられるわけであります。スト中は車掌区の分会も全部とまつているわけです。私は外部團体人たちがせつかく來てくれておるのに、つまらない思いをさせてはならないというので、たとえば毛布を心配するとかいろいろして、電車の中に全部休んでいましたが、白帶車の中にもいたことは事実ではないかと思います。けれども、会議をやつてどうこうというようなことは、ちよつと今思い出せないのです。全部が会議をやつているということは—外部團体の方もやつているし、組合の方も討論とか座談会というようなことをやつておりました。
  924. 小川半次

    ○小川(半)委員 あなたは組合員の方に—これはもちろん多数の組合員の公の場所ではないだろうと思いますけれども、半年か一年もすれば共産党革命が成功し、共産党の天下の時代が來るのだ、從つてストによつて事件を起して牢屋へほうり込まれたことがあつても、いずれ半年か一年で共産党の天下になれば堂々と出獄できるのだ。われわれは投獄されることがあつても、そんなものは名誉の投獄だ。あるいは形容は違つているかも知れないけれども、そういうようなことを言われたことがありますか。あるいは形容が違つているかも知れないのですが、こういうふうな内容の意味の……。
  925. 井上勘一

    井上證人 私はそういうことを言つたことはないと思います。大体共産党がどうこうとおつしやつているけれども、この件に対してそういうふうなことがどうして必要だからよつとわからないですけれども……。
  926. 小川半次

    ○小川(半)委員 あなたはほんとうにないのですか、こういうことを言われたことが……。
  927. 井上勘一

    井上證人 そういうことはちよつと考えられません。
  928. 小川半次

    ○小川(半)委員 多少形容が違つていてもですよ。
  929. 井上勘一

    井上證人 そういうことはぼくは言つたことがないと思いますけれどもね。その点まだはつきりしてないですけれども、——共産党がどうこうなんということは、言つておらないと思います。
  930. 小川半次

    ○小川(半)委員 それじやしいてお尋ねしません。ぼくはこれでけつこうです。
  931. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ほかにありませんか。
  932. 大橋武夫

    ○大橋委員 証人が束神奈川車掌区で新交番制に反対された理由はよく伺つたのですが、この車掌区の新交番制は、東鉄管内でも車掌区が全部で二十五ですか、その中で特に非常に猛烈に反対をしてストまで行つたところは四つ、五つしがなかつた。あなたの勤務しておられるところもその一つである。ほかはなぜ大した問題が起らずに交番制の切りかえが行つて、あなたのところはなぜこういうふうな問題にまでなつたかということについての、何かあなたのお考えを聞いてみたいと思います。
  933. 井上勘一

    井上證人 私の考えですか。車掌区は東鉄管内にたしか二十四か二十五あつたかと思います。車掌区の地位というのは、一應全部助役とか駅長に出る卵のいるところであります。中学出が大半で、教習所でも中等部以上を出た者がいるわけであります。鉄道においては一應中流階級というようなことになつております。それがなぜそういうふうなことを起したかということは、それまでに設備関係とかあろいは給與関係とか、いろいろなものが詰まつてつたというところに、一つの大きな原因があると思います。たとえば休憩所がないとか、あるいは娯楽機関が全然ないとか、あるいは寝室においても、ふとんを夏でも冬でも小さいふとんに三人がごろごろ寝るとかいうふうなことで、全然設備の関係もないのであります。
  934. 小川半次

    ○小川(半)委員 あなたのところが特にね。
  935. 井上勘一

    井上證人 そうです。焼けておりまして、休憩所もボックスが全部入つている。弁当を食うときさえ机を一つ並べて食つているわけです。しかも御殿場線というような遠くの方面から通つている関係で、米の関係とか、あるいは先ほど言つた薪の関係とか、寝具の関係とか、いろいろなものが重なり合つて、そういうふうになつたと私は思います。そういうふうなことはしばしば区長にも要求を出してありますし、管理部長にも要求を出しているわけであります。普通からいつたら、私考えるのに、市掌区においてはそういうふうな闘爭は起きないのじやないか。しかしながらそれが自然発生的というか、そういうふうに起つて來たことは、やはりそういうふうな原因じやないかと考えております。
  936. 大橋武夫

    ○大橋委員 それからあなたはその主張を貫徹されるために、不当な彈圧に対しては実力行使もやむを得ないというような意見を持つておられた。そうしてそれを組合の決議にまで打つて行かれたことは先ほど伺つたのですけれども、この実力行使ということになれば、御承知のようにストとか、サボとかそういうものまで行くのでしようけれども、公共企業体関係法律でそういう行為は禁ぜられているということは、すでに御承知でございましてしようね。
  937. 井上勘一

    井上證人 先ほども申した通り、公共企業体労働法がどうとかいうことをおつしやられますが、決して私も法をどうこう言うわけではありません。しかしながら当局が法を無視して、ただいたずらにわれわれを抑圧して意のままに動かせよう、権力によつて私たちのからだを縛つて、動かせようといつたところに問題があつて、当局自身が法を犯しているのだと思います。私たちがそういうようなことをやつたということは、当局が誠意をもつて團体交渉もして、われわれの眞の窮状を打開する考えをもつてつたならば、こういうことは起らないのではなかろうかと思います。彈圧があつたればこそ、そういうことがあつたと思います。
  938. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、かりにあなたが言われるように、当局が團体交渉に應じないということが当局の不当彈圧だといたしますると、さつきあなたも言われたように、電車というものは当局の電車でもないし、あなた方從業員の電車でもない、これは人民電車であり、全日本労働者電車なのだ。当局という一方的なものがたまたま不当な彈圧をあなた方に対してやつたということによつて、なぜあなた方は全体の国民のための電車をとめていいというりくつが立つのですか。そこいらをもう少し説明していただきたい。
  939. 井上勘一

    井上證人 結局そういうような考えになつたということは、そういう考え方を起させたところの本質があるわけであります。電車をとめたということは現象であつて、その本質を考えるべきが正当ではないかと私は思います。その本質は、そういうふうに電車をとめるというような結果を生ぜしめたところに、一つの大きな原因がある。何も区長が行くたびに公安係長をひつぱつて來たり、あるいは業務命令を出したりしなかつたならば、そういうような結果は起らなかつたろうと思います。私たちがあとから電車を動かしたということは、私たちの同じ兄弟が困るというようなことにおいて、一緒に動かそう、こういう点から來たのではないかと思います。
  940. 大橋武夫

    ○大橋委員 どうもあなたのお話はよくわからない。伺つていると、あなた方のごきげんをそこなうと、すべて不当の彈圧になる。公安官が來れば、なぜそれがあなた方に不当の彈圧になるのか、よく私どもにはわかりませんが、いずれにしても、あなた方のごきげんをそこなうと、全國民は電車に乘れなくなるということになるわけなんだ。國民以外のものがやることに対して、それを全國民が背負わなければならないというところに、どうもおかしなものがある。いずれにしても、人民電車を動かそうという氣持は、一應電車をとめてみたけれども、しかし國民に迷惑をかけるのは惡い。労働者同士の道徳としてもこれは惡い、國民としてもおもしろくないというお考えになつて電車を運轉されたのだろう、こういうふうに私どもは考えます。あなた方の運轉された電車は当局の説明によると、非常に危険な電車であつたと言われるけれども、今言つたような氣持からあなた方は運轉されたのではないかと思つているのですが、考えてみて、これは國民にあまり大きな迷惑をかけ過ぎるのではないか。こういうことから諸君が率然として考え直して、ああいう運轉をされたのではないか、こういうふうに思つておるのですが、あなた方の当時のお氣持を率直にここで申し述べていただきたいと思います。
  941. 井上勘一

    井上證人 私たちがその電車を動かしたということは、私たちも一労働者であります。同じ苦しめられている労働者が、電車が走らないために困るようなことがあつては、われわれ自身としても同じ身内でけんかをするような結果になるのであります。そういうような結果から、私たち市民あるいはそういう人たちのお考えによつて動かしたのであります。
  942. 大橋武夫

    ○大橋委員 もう一つ、サイレンが鳴つたそうですが、あれはどういう方が鳴らしたのでしようか。
  943. 井上勘一

    井上證人 やはり組合員が鳴らしました。
  944. 大橋武夫

    ○大橋委員 その組合員組合の方針に從つて鳴らしたのですが、かつてにめいめいが鳴らしたのですか。
  945. 井上勘一

    井上證人 そういうふうな警察労働組合運動に対する干渉とか、いろんな彈圧があつた場合においては、休憩所がない関係で、電車の中にもおれば寝室の中にもおるし、あるいは講習室の方にもおる、そういう関係で、全般に知らせるために鳴らしたのであります。
  946. 大橋武夫

    ○大橋委員 平生からそういう場合にはサイレンを鳴らすという約束ができていたわけですか。
  947. 井上勘一

    井上證人 その点はやはり闘爭に入つてみて、あちらも足らない、こちらも足らないということに氣がつくわけであつて、ふだん何でもないときにサイレンをぶうぶう鳴らすことはきめてありません。
  948. 大橋武夫

    ○大橋委員 闘争に入つてから、闘爭委員長たるあなたがおきめになつたのですね。
  949. 井上勘一

    井上證人 先ほども申した通り、闘爭委員長が何でも仕事をするわけではなくて、みんなできめたものをやるわけです。それをきめる人はやはり人間であつて、私たちしよつちゆう乘客を扱つているわけですが、思うように行かない。たとえば、ドアが早く締まれば早く締まつたで怒る、あるいは遅れれば遅れたといつて怒る。こういうふうに人間を扱つている関係で、私一人がやつているのでなくて、みんなの氣持によつてつているわけです。
  950. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなた一人でなくて、みんなの氣持によつてサイレンが鳴つた。そうすると、みんなの氣持がそういうときにはサイレンを鳴らすように、初めから何か約束ができていたわけですか。
  951. 井上勘一

    井上證人 そうであります。みんなでもつて、先ほども言つた通り、いるところが一所ではないから通達に困るというふうなことで、不当彈圧のあつた場合にはやることにきまつておりました。
  952. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると不当彈圧以外には、そういうことはやつたことはありませんか。またやる話はできていませんか。
  953. 井上勘一

    井上證人 むろんそうです。
  954. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうするとあのときは馘首という不当彈圧に対して警官が來た。これを不当彈圧として鳴らしたわけですか。そうして集まる場所はどこに集まられましたか。
  955. 井上勘一

    井上證人 集まる場所とかそういう心のは全然きめてなくても、みんな組合員全体が一つにまとまつてつて、あれだけの闘爭が、今考えて見ますればできたわけであります。それで一つ笛を鳴すとやはり二百人足らずの警官が來た、だからその警官の來た方向に集まつたわけです。これは組合員のそれだけの意識だと思います。
  956. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると闘爭中に自然とそういう約束ができて、不当彈圧の際には警笛を鳴らすことになつてつた、こういうふうに伺つておきますが、なおこの人民電車を発車させるにつきまして、あなたはどういう責任をとられましたか。組合闘爭委員長として実際問題としてあれを発車させることを相談するについて、あなたは発意をもつてあれを動かすことをさせましたか、もう一度聞きます。拡大委員会からの要求があつたということをあなたが聞かれまして、そうしてだれに相談されて、組合としてああいう態度を決定されましたか。
  957. 井上勘一

    井上證人 それはもちろんみんなに聞いてやつたわけであります。先ほども申しました通り、この電車は一應人民電車ということになつたのでありますが、そういう電車を動かしたということが、第一に当局が走らすべき電車をとめたというところに原因があつた。私たちがあれを走らしたということは、これは当局が原因である。そこでやはり共同闘爭委員会によりやつたわけであります。
  958. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 決議したのですか。
  959. 井上勘一

    井上證人 そうです。
  960. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると共同闘爭委員会の決議でやつたのですね。
  961. 井上勘一

    井上證人 そうです。みんなでもつてきめて、そうして代表でもつてつたわけであります。
  962. 大橋武夫

    ○大橋委員 それからその運轉士とか車掌はだれがおきめになりましたか。
  963. 井上勘一

    井上證人 その点ははつきりわかりませんが、私が何時何分に電車を動かすからだれか乘つてくれないかと言つたときにおいて、私が乘つてやろうという人がおりました。これは全部こういう人がそろつておりました。これは先ほども言つた通り、それほどに闘爭意識が燃え上つていたということであります。
  964. 大橋武夫

    ○大橋委員 それほどに闘爭意識が燃え上つていたか、それほどにストをやつたことについてみんなが後悔しておつたかということについては、これは疑問ですけれども—それで人民電車を動かすについては、神奈川ばかりでなく蒲田とも相談されたそうですけれども、そういう事実はありますか。もつとも今の人民電車のことは裁判中ですから、それによつてあなたが、自分証言を拒否される理由があると思われるときは、おつしやつていただかなくてもけつこうです。これは先に申し上げるのを忘れましたが、申し添えておきます。蒲田車掌区とも相談されてやりましたか。
  965. 井上勘一

    井上證人 蒲田車掌区と正式には相談いたしません。向うから実情を見に來た人には、そういうことを話しました。あなたの方はどうだ、私の方はこうだということは話したことはあります。しかし正式に向うの闘爭委員長が來てどうとか、闘爭委員が來てどうとかそういつたことはやつておりません。
  966. 大橋武夫

    ○大橋委員 それからもう一つ伺いたいのは、今度の國電スト全体を見た場合、東神奈川ばかりでなく、蒲田でも、千葉でも、三鷹でも、中野でも問題を起しておりますが、その後の各車掌区なり電車区の闘爭は、全体として一つの共同闘爭の形をとつておるものでしようか。
  967. 井上勘一

    井上證人 そういうことはその人の主観によつて考えればいいことで、私は共同闘爭とかそういうことは考えておりません。ただ東神奈川のブロックに対しては、そういうことは考えております。
  968. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうするとあなたの方の闘爭は、新橋支部の指令とは全然関係なしに、あなたの方だけで地域的に発生したものですね。
  969. 井上勘一

    井上證人 もちろんそうであります。先ほども話した通り、私たちは地域的に一番弱い組合なんです。それがそういうふうに立たざるを得なくなつたということですから、上からの指令もないし、全然そういうことはありません。
  970. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなた方が地域的に弱いというのは、どういうことですか。
  971. 井上勘一

    井上證人 そのことは二十五ある車掌区の中で、私たちが立つたということについて、私たち自身は先ほども言つたように、助役になる道も持つておりますし、駅長になる道もあるわけです。駅と助役なんかの間に車掌区があつてその段階を通し越してなるわけです。一應組合員でありますが、いずれ当局側となるわけですから、車掌区が性質上弱いということです。
  972. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると蒲田の爭議については、六月七日に新橋支部の指令が出ていますが、あなたの力は全然受取つた事実はありませんですか。新橋支部から闘爭について……。
  973. 井上勘一

    井上證人 全然ありません。蒲田区はそういうことがあつたかもしりませんけれども、私は蒲田のことは全然知らないし、私の方としては先ほどもお話した通り、自然発生的にそういうふうに盛り上つた力であります。
  974. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 さつき伺つた人民電車を動かそうと決議したというのは、いりどこでやつたのですか。
  975. 井上勘一

    井上證人 それははつきりわからないのですけれども……。
  976. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 わからぬといつて、大事な決議じやないか。
  977. 井上勘一

    井上證人 いやそういうことを突然に言われても、一應考えてみなければわからないのであつて、闘爭が始まつたのは六月一日です。六月二十日から七月の十日まで入つていたわけです。今まで告訴されておつて、そつちの方の関係もあるし、からだの方も衰弱しておつて、やはりそうはつきりすぐぴちぴち出て來やしないです。
  978. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 もつと言うが、何で私が聞くのかと言うと、さつきあなたは白帶車で会合を持つたということははりきりせぬと言うから言うのだが、白帶車の中でそういうことをきめたのではないですか。
  979. 井上勘一

    井上證人 そこがはつきりしないのですよ。たしかぼくは大会で決定したのではないかというふうに考えているのですが、その点もはつきりしないから、これは警察の方にもその点言つてある。
  980. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大会でやつた……。
  981. 井上勘一

    井上證人 大会でやつたという記憶があるのです。
  982. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大会でいつやつたか。
  983. 井上勘一

    井上證人 大会で、九日の晩あたりに、やつた記憶があるのです。
  984. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それを大会へ持ち出そうという話はどこでやつたのですか。
  985. 井上勘一

    井上證人 そういう持ち出そうなんてことは思いませんよ。だから先ほども言つた通り私一人が大会をどうこう運営するわけじやないんですよ。どうも委員長さんの聞いていることは、私が考えると、私一人がやつているように……。
  986. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いやそうじやない、あなた一人とは言わないが、これをひとつ大会に出そうということを、あなた一人できめたとか、だれかと相談してやつたとかということがあるに違いない。
  987. 井上勘一

    井上證人 だから私は工代会議行つて來たわけですよ。
  988. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それからあなた方の大会できめたのでしよう。
  989. 井上勘一

    井上證人 たしかそういう記憶はあるのですが、それがはつきりしておりません。
  990. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで工代会議にかけてきめて來て、それじややろうじやないかということを、どこで相談したのですか。
  991. 井上勘一

    井上證人 だから私は大会でやつたような記憶がしているのですが、それがはつきりしていない……。
  992. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは覚えておるのにそう言つてつてはいけない。それ以上言わないならしかたがありません。
  993. 井上勘一

    井上證人 こういうことは今告訴されているのですから、証言拒否をすることはできると思うのです。
  994. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いや、証言拒否ではない、知つていることを知らぬと言えばやはり虚偽だ。
  995. 井上勘一

    井上證人 今聞かれた問題で、やはりこれは刑事事件で告訴されているわけであります。だからそれについては証言を拒否するとか何とか言つておる、それができるのです。
  996. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それを言うことにおいて犯罪が成立すると思うですか、それならばいいです。
  997. 井上勘一

    井上證人 私は拒否したいという考え方ではない、そういうことは拒否できるかどうかということです。
  998. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 犯罰になるとか、あなたの恥辱になるということならばよろしい。
  999. 井上勘一

    井上證人 私は罰になると思つて自分の思つていることを隱しているわけではありません。向うの人がそういうふうにおつしやいますから……。
  1000. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 向うの人の言うことなど聞かぬでもいい。  もう一つ聞くが、サイレンの点ですが、あなたは、さつき私が聞いたときに三時ごろにサイレンを鳴らしたと言つておる。ところが十一時ごろにもずいぶんサイレンを鳴らしたと先ほど電車区長が言われたが、二度も三度もサイレンが鳴つたのか。
  1001. 井上勘一

    井上證人 そういうふうな不当彈圧があつた場合には、二回も三回もある場合においては鳴らしました。
  1002. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 十一時ごろにも鳴つた、さつき言われた三時ごろにも鳴つたのか。
  1003. 井上勘一

    井上證人 進駐軍の命令を持つて來たときに、だまつてつて來たから鳴らしたのだろうと思います。
  1004. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 二度くらい鳴つたわけだね。
  1005. 井上勘一

    井上證人 不当彈圧があつたときには鳴らしました。
  1006. 吉武恵市

    ○吉武委員 一言証人にお聞きしたいのですが、あなたは共産党にお入りになつておりますか。
  1007. 井上勘一

    井上證人 この問題は、私たち労働組合としてやつた問題であつて共産党に入つておるか、どうかということが、この問題に関係おるかないかということは……。
  1008. 吉武恵市

    ○吉武委員 今からお聞きしたいので、まずそれを聞いておるのだが、共産党に入つておるかいないか、それをお聞きしたい。
  1009. 井上勘一

    井上證人 ですから、共産党に入つていることが、この問題に対してどういうふうな関連があるか……。
  1010. 吉武恵市

    ○吉武委員 それを今からお聞きしたいから、まず入つているかいないかから聞くのです。
  1011. 井上勘一

    井上證人 それを聞かしていただければ私もお話いたしますけれども……。
  1012. 吉武恵市

    ○吉武委員 証言を拒否されますか。
  1013. 井上勘一

    井上證人 拒否するのでなくて、そういうふうなことを、どういうわけで私が……。
  1014. 吉武恵市

    ○吉武委員 いや、だからそれを今から聞くのだ。
  1015. 井上勘一

    井上證人 共産党がやつたことでもなく、労働組合がやつたことに対して、そういうことを聞かれるということが考えられないから、その点を説明していただきたい。
  1016. 吉武恵市

    ○吉武委員 さつきからあなたのお言葉を聞いていると、いろいろ違つた考えを持つておいでになるよう、だから、今からお聞きしようとする前提として、むだな時間を避けてお聞きしたいから言うのだが、あなたが共産党に入つておられるならば入つておる、入つていなければ入つていないと、その点をはつきり言つていただきたい。
  1017. 井上勘一

    井上證人 だからさつき私がいろいろ言つたら……。
  1018. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたはそれに対して答えるとか、答えないと言えばよいのだ。
  1019. 井上勘一

    井上證人 私は答える答えないということを言つておるのではない、それは第三の問題としてそのことが私たちの爭議に対してなぜ必要かという点を聞かしていただきたい。それを説明していただければ私も答えます。
  1020. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 証人はそういうことを聞く権利はないのだ、聞かれたことを答えればよいのだ。
  1021. 吉武恵市

    ○吉武委員 答えなければ答えないで、ぼくの方ではそのつもりでやります。
  1022. 神山茂夫

    神山委員 何を言つておるのだ。こういう疑問が起るのはあたりまえだと思う。それはいつも出るじやないか。憲法によつて政治活動の自由が保障される限りは、こういう問題はいつも起つて來る。諸君ははつきりしておる。若い人にはそういうふうな問題についての懸念があるから、そういう点で……。
  1023. 吉武恵市

    ○吉武委員 秘密の党でなかつたら、言つたらいいじやないか。
  1024. 神山茂夫

    神山委員 おれは発言しておる。
  1025. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 やじと認める。神山君、それはいかぬよ。
  1026. 吉武恵市

    ○吉武委員 どうです。言えませんか。
  1027. 井上勘一

    井上證人 だからぼくは言うとか言わないとかいうことを言つておるわけではなくて、関係がないので、どうもおかしいから……。
  1028. 吉武恵市

    ○吉武委員 関係があるかないかは、あなたが判断されるのではない。われわれは関係ありと思つて、あなたを呼び出してここで聞いておるのだ。あなたが関係があろうとなかろうと、われわれが関係があれば、國会として証人を呼んで聞くのだ。
  1029. 神山茂夫

    神山委員 一方的だから、だれだつて不服を持つのだ。
  1030. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そんなことは大したことじやないじやないか。
  1031. 井上勘一

    井上證人 大したことではなくても、それに対して疑問をいだくわけです。
  1032. 吉武恵市

    ○吉武委員 何でもないじやないですか。共産党も天下の公党として堂々とやつておる。その党に入つたら入つたということを堂々と述べるのがどうして惡い。秘密の政党であつたならば隱すということがあるけれども、秘密の政党でないものに入つたら入つたということを堂々となぜ言えない。
  1033. 井上勘一

    井上證人 私は隱してもいませんし、また言うのをはばかつてもいません。しかしながらこの國電ストの問題が、なぜさつきあなたが言われた一つの政党に入つておるかどうかということに関係があるのかということ、その点を御説明願えれば、私は特に……。
  1034. 吉武恵市

    ○吉武委員 それはぼくらが判断をするので、あなたが判断をされる必要はない。証人を呼んだ上でぼくらが判断をするのです。何か口どめをされておるのですか。
  1035. 井上勘一

    井上證人 口どめなんかされてはいません。私たちは口どめされていないし、何もしていないですが、それが何で関係があるかということがはつきりしないから聞いておる。
  1036. 吉武恵市

    ○吉武委員 関係があるから今からお聞きしたいのだ。だからあなたが共産党に入つておられるか入つていないかということを、私は聞きたいのです。
  1037. 井上勘一

    井上證人 私考えるのに、党とこの問題と何も関係がないと思うから……。
  1038. 吉武恵市

    ○吉武委員 それはあなたが関係があろうとなかろうと……。
  1039. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 証人、固苦しくなつてはいかぬけれども、証人からそういうことを反問するということはいかぬことなんだよ。
  1040. 井上勘一

    井上證人 そうすると、つまり証人は全然言われたことだけに対してしやべればいいということですか。
  1041. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その通りです。それが証人です。
  1042. 井上勘一

    井上證人 ぼくは警察行つても、供述調書に書くのに、向うから言うこともあるし、こちらから言うこともある。それが参考人として來ておるときに、私は全然言えなくて、言われたことに対してだけ言えばいいということは……。
  1043. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは言うことはいいけれども、それを反駁したりなんかすれば、幾らでも議論しておることになる。そんなことはいかぬ。これに関連してあなたが発言することはかまわぬ。
  1044. 井上勘一

    井上證人 ですから、疑問の点をもし解けられないというのだつたらよろしゆうございます。
  1045. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 向うは必要あるというのだ。
  1046. 井上勘一

    井上證人 ではやはり、私のどういうわけでもつてお聞きになるかという点は、御説明願えないわけですね。
  1047. 吉武恵市

    ○吉武委員 そうです。
  1048. 井上勘一

    井上證人 私、共産党員です。
  1049. 吉武恵市

    ○吉武委員 あなたは共産党には最近お入りになつたのですか。いつごろお入りになつたのですか。
  1050. 井上勘一

    井上證人 去年の六月闘爭に入りました。
  1051. 吉武恵市

    ○吉武委員 そうすると、國鉄参考資料として調査部から出されておるものを見た中にありましたが、共産党では産業防衛隊という組織ができておるようです。産業防衛隊あるいは産業防衛行動隊とも言つておりますが、ここでも産業防衛大会を持つたと書いてある。その防衛行動隊というのは、神奈川にもあるはずだと思いますが、あなたは御存じですか。
  1052. 井上勘一

    井上證人 私はそういうものは存じておりません。
  1053. 吉武恵市

    ○吉武委員 全然存じていない。あなたも入つていない。
  1054. 井上勘一

    井上證人 ええ、そういう行動隊には入つておりません。
  1055. 吉武恵市

    ○吉武委員 あることは御存じでしよう。
  1056. 井上勘一

    井上證人 それは私存じません。
  1057. 吉武恵市

    ○吉武委員 あなたも知らない。
  1058. 井上勘一

    井上證人 ええ。
  1059. 吉武恵市

    ○吉武委員 それではよろしゆうございます。
  1060. 神山茂夫

    神山委員 聞かないつもりでおりましたが、ほかの委員諸君が賢明な質問をされますので、私も一、二質問を発して置きます。聞きたいことがいろいろあるのですが、端折つて聞きます。一番初めそもそもの起りから、あなた方と管理者側の間に意思の疎通が欠けていたのじやないか、一般的に言つて
  1061. 井上勘一

    井上證人 私たちが苦しいというようなことを言つてつても、全然話合いをしてくれないということです。先ほど区長の代理で來ました神谷助役さんなどは、組合員よりも業務命令の方が大切だというようなことを言つて、てんで話になつてくれない。
  1062. 神山茂夫

    神山委員 神谷助役のことを何も聞くのじやないのですが、あなたのところの区長さんと神谷助役とは少し性格が違うのじやないかな。あるいは從業員に対する態度が。というのは、いろいろ調べてみますと、区長さんの方はあなた方の態度をある程度まで考えておる。それはあとで具体的にどういうことかということは質問しますけれども、この神谷さんというのはなかなか強情といつて惡ければ、がんこな人じやありませんか、そういうことはありませんか。
  1063. 井上勘一

    井上證人 ちよつと考えてみまするに、普通は区長がおるときには区長が口をきいて主席助役は口をきかないわけであります。区長がいないとき代行しておるときには、私たちが交渉行つても、私どもの團体交渉とかお願いとかいうようなものを区長よりも誠意を持つてつてくれないというようなことが見られるわけであります。
  1064. 神山茂夫

    神山委員 それで一日の日だつたと思いますが、管理部行つて管理部長からいろいろ話があつたり、またこちらからも注文をつけたりしたことがあつたわけですが、そのときに管理部長がこういう意味のことを言つたのじやなかつたのでしようか。実際は乘つていないのだが、新交番制でみな乘つておるというふうに自分の方は考えておる、旧交番制乘つているとは考えないということを言つているわけなのだ。組合としてもこの点よく考えよというふうに言つておるのだが、この回答を受取つた、あるいは傳えられた区長は、このときどういう態度をとつたかということをひとつ聞いておきたいのです。
  1065. 井上勘一

    井上證人 区長の方として、ぼくたちが行つて、これは相当含みのある言葉であつて、この点に関してお話合いをしようというわけでやつたのですが、そのときは支部の人もたしかいたと思います。区長の方としてどうも実際にはやつていないのであつて、そういうことを管理部長が言うはずはないという考え方だつたと思います。
  1066. 神山茂夫

    神山委員 それで管理部長はそれを二日の日になつて取消したわけですね。
  1067. 井上勘一

    井上證人 そうです。
  1068. 神山茂夫

    神山委員 そのことがまた区長の態度に影響しているわけじやないですか。
  1069. 井上勘一

    井上證人 そういうことだと思います。やはり区長もいろいろ二日目ごろは割に誠意があつたのですが、そのあとすぐ業務命令的なものが來て、また全然話合いに應じなくなつたわけです。
  1070. 神山茂夫

    神山委員 先ほど神谷助役に聞いたのですが、そのときは大体二十四日に実施するときめて、それから世話役の人たちが二十七日までと話したわけですが、そのときに彼らも実際に一週間でやれるというふうに思つていたかしら。あるいはあなた方はそういう話は聞きませんか。一週間でこれをやらせることが実際できることでしようか。
  1071. 井上勘一

    井上證人 私どもとしてこの問題をやつてみるに、大体商賣人といつても、それほどでなくても、一番最低でもつて五日ぐらいかかる。私どもはしろうとでありますから、やはりそれ以上かかると思います。
  1072. 神山茂夫

    神山委員 神谷区長も、やはり一週間かかる、最低三日かかるということを先ほどここで言つておるのですけれども、專門家がやつて三日、しろうとが考えて一週間くらいかかるのでしよう。
  1073. 井上勘一

    井上證人 もちろんぼくたちが考えるに、結局ぼくたちがやるんじやなくて、商賣人に來てやつてもらうのだから、最低五日なくちやだめだということを言つておりました。
  1074. 神山茂夫

    神山委員 それであなた方にすれば、新交番制を全然やめてくれというんじやなくして、一時待つてくれということだつたんでしよう。
  1075. 井上勘一

    井上證人 そういうことでございます。その新交番制組合の方には全然通知がなかつた
  1076. 神山茂夫

    神山委員 新交番制そのものに、あなた方が反対せざるを得ない事情について、先ほど詳しく述べられたから今聞きませんが、あなたの述べたところによると、労働條件に非常にこたえる、しかも今度は首切りにも関連して來ておるというような、いろいろ複雑な問題があつたために、初めからもめて來たわけですけれども、五日の日にみなが非常に激興したのは、公安官警察官が乘り込んで來て、そうしてあなた方から見れば非常に不当彈圧と思われるような態度があつたということが、全体の空氣を非常に鈍くした原因じやなかつたでしようか。
  1077. 井上勘一

    井上證人 その通りでありまして、その來る前までは、平常な運轉でやつていたわけです。來てから車掌のまわりをぐるつと取巻いた関係で、組合員が激情して集まつたわけです。集まらなかつたならば、そういうことも起らなかつたではないかというようなことも考えておりますが、一應刺激されたということが……。
  1078. 神山茂夫

    神山委員 さらに六月六日の分会ですが、ここであなた方は不当彈圧があつた場合は実力行使も辞せずということを決議したことが問題になつておるのですが、不当彈圧ということについても、公安官が來たり、警察の彈圧があつたというようなことを指して言つておるわけですが、この決議は大体どういうふうな形で、また多数決で行われたか、あるいは全会一致でやつたか、あるいはその他の方法でやつたか、その点聞いておきたい。
  1079. 井上勘一

    井上證人 私その大会ちようどいなかつたが、聞いてみたところが、全員満場一致でもつて決議したという……。
  1080. 神山茂夫

    神山委員 それから六月九日にあなた方が激興して來た直接の原因は、やはり、從業員の首切りの問題でしよう。
  1081. 井上勘一

    井上證人 そうであります。從業員の首切りが來たときに、結局神谷助炭さんが、私がやつたわけじやないかというようなことを盛んに言つておるから、何だか話がわからないから、何だと言つたら、紙に書いたものを見せて、こういう電話が來た。公共企業体の十八條とかによつて免職するということが來たというので、組合員が、そんなむちやな話があるか、それで激情して入つたわけです。
  1082. 神山茂夫

    神山委員 それから九日の晩に支部の闘爭委員会があつたのですが、これをあなた方は御存じないですか。
  1083. 井上勘一

    井上證人 ちよつとその点はいろいろの方が來られて、はつきり記憶がないのです。たしか支部の方も來られたということは事実です。
  1084. 神山茂夫

    神山委員 大体支部の闘爭委員会では、皆さんが全体として自然発生的にストライキに入つたのはうまくないというので、これをとめて歩いたことは御承知ですか。
  1085. 井上勘一

    井上證人 そうです。これは支部の方から、結局そういうふりな工代の決議があるから、支部としても、非常に重大なことだから、同じ労働者がいがみ合うような結果になることをおそれて……。そういうことを聞きました。
  1086. 神山茂夫

    神山委員 そこで、職場の中で連絡闘爭委員会が開かれて、そこで結局ストを打切る提案が支部側からされているのです。それを世間では、あたかも人民電車を動かす会議のよ入に解釈している人がありますが、実際そこで討議された内容—あなたにわからなければ、これがあなた方の分会に通達されたものとして、逆に推測ができると思うのだが、人民電車を動かすという決議をここでしたのか、それともストを打切ることをここで主題として論じたのか、この点わかりませんか。
  1087. 井上勘一

    井上證人 九日の日は、電車を動かすとか何とかということは考えなかつたわけであります。何しろ電車を動かすのだから、全部でもつてあしたの初電から乘ろうかということを、確かに言つたとぼくは思うのです。その点はまだはつきりしないのですけれども、人民電車を動かすとか何とかいうのは、たのときは何もなかつたと思うのです。
  1088. 神山茂夫

    神山委員 あなたは大分記憶がいろいろな点で薄れているのですが、さつき電車区の区長も、それから神谷助役も、九日の晩に、電車に乘りたいという意思表示がすでにあつたということを言つているわけなんです。わからなければいいです。  さらに先ほどの質問と関連しますが、伊藤という、あなたの方の区長さんは、管理部とあなた方の中にはさまれて、ずつと動揺していたのではないかな。
  1089. 井上勘一

    井上證人 つまり、相当動揺しておつたのですが、私たちの意見も眞実だから聞かなければならない。たとえば車掌区にとまりに來る人も、区長は全然知らないわけです。それで私たちは、助役の扱う帳簿を見せて、こんなにとまつているのだということを示すと、やはりそれにちよつと打たれて、管理部の方へ行くのですが、また業務命令でも出ると一應強くなつて……。
  1090. 神山茂夫

    神山委員 そういうふうに、一應動揺していたわけですね。
  1091. 井上勘一

    井上證人 はあ。
  1092. 神山茂夫

    神山委員 さらに十一日には、組合は前の晩から会議を開いて、大体午前中に乘務するということにきめたらしいのですが、これはあなた知つていますか。中止命令が出る前に、各分会とも……。
  1093. 井上勘一

    井上證人 中止命令が出る前に大会をやつたことは事実です。大会をやつて、われわれは全員でもつて乘ろうじやないか。向うは乘らせないと言うのですけれども、全員で乘ろうという固い決意をきめたのです。、
  1094. 神山茂夫

    神山委員 乘らせないというのは、どうして起つたか、わかりませんか。
  1095. 井上勘一

    井上證人 それは、闘爭委員長の電話だというので、今君の方の問題で團体交渉をやつているのだと言つて來たから、どういうことかと言うと、君たちは知らないのかと言うから、知らないと言うと、闘爭中に事業所が閉鎖される、つまり横浜線とか京浜線が品川へ行つたり、高島線が新鶴見に移管しちやつておる、私たちの乘る線区がなくなつておるというようなことで、そういうことを、闘爭中に、私たちが知らない間にやつたわけです。
  1096. 神山茂夫

    神山委員 さつき赤信号を出した話はあなたは知つていましたけれども、こういう事実があつたわけですね。これはぼくの方では指令の番号や何かもわかつていますが、先ほど証人に聞いてもこれをどう解釈するかは別としても、こういうことがあつたことだけは出ているのです。さらに今度の事件の経過をずつと見ていますと、あなた方の方にも少し神経質になつていた点があるかもしれませんけれども、当局側が非常に挑戰的に出ていると思われる点が少からずある。それは公安官を入れたり、交路変更をしたり、それから、業務部長がここに來て証言したのだけれども、自分の方で電源を切つたりして、一定の行為に出ている。その中でも特に問題になつたのは、五日の問題ですけれども、五日に東鉄では対策本部を持つたわけです。そこで大体東神奈川車掌区が今まで旧交路で乘つておる、そのことを知つていて、それで、がつと五日に出て來た。そういうふうに考えられるのですが、そういうことはあなたは知らないのですか。
  1097. 井上勘一

    井上證人 対策部があるかどうかということはわからないのですが、何しろ晝ちよつと前に、業務課長が先頭で、全部で六、七十人來たのです。
  1098. 神山茂夫

    神山委員 こういう間にはさまれて、伊藤さんは苦労したわけですが、十一日に確認書を書いているのをあなたは知つていますか。十一日に東神奈川車掌区長伊藤榮一という名前確認証を書いているのですが、聞いたことはありませんか。
  1099. 井上勘一

    井上證人 十一日の夕方、私たちが乘ろうということをきめて、新旧交番は別として、前かはつきりしない業務命令に從うというような、そういうような確約して……。
  1100. 神山茂夫

    神山委員 だから、あなた方にすれば、業務命令に從うということを確約し、また先ほど神谷助役言つているのですが、確認書署名捺印して、事態を收拾した、こういうことがあるのでしよう。
  1101. 井上勘一

    井上證人 そうです。
  1102. 神山茂夫

    神山委員 私が今言つているのは、伊藤車掌区長が、組合側から確約のあつたこと、業務命令があつたということ、運轉の開始が遅れたのは業務上その他によるということを、あなた方の方に確認書というのを渡しているのだけれども、知りませんか。
  1103. 井上勘一

    井上證人 これはちよつと……。
  1104. 神山茂夫

    神山委員 知らなければいいてす。各支部に行つているのですから、このくらいでいいです。  それから、こういうことを、私はあまり言いたくないので、がまんしていたのですが、区長さんや助役さんというものは、うまくないことを大分つている。私の方にも資料があるけれども、あなた方が氣がついている点があつたら、遠慮なくこういうところでさつぱり言つておいてもらいたいのだが……。
  1105. 井上勘一

    井上證人 今私たちが不正の摘発というようなことを—これはできない仕事なんですけれども、やつているのです、車掌区にはそういう問題がうんとあるわけです。これはぜひやれたらやつていただきたいというふうに考えているのですが、終戰のときに軍隊からいろいろな放出物資つて、あるいは乘客の方の非常米というものがあつたわけです。ところが、たとえば非常米なんかは、どうらんという車掌の携帶品入れに入れて持たした。あるいは衣類は、上下配給になるものを、上なら上、下なら下というように区分して残つたものは全部持つて行く。たとえば食用油というものは、一人に五、六合から、多ければ七、八合來るのを、二合ぐらいしか配給しなくて、あとは一升びんに詰めてどつかへ持つて行つちやつて、くつが配給になつても、ぼくらには全然配給がないし、乾パンもそうだ。そういうふうな終戰のそういう問題を、今いろいろ探つているのですけれども、まだこれは二、三証人がいるのですが、はつきりは、まだわかつていません。今のところその摘発にかかつております。
  1106. 神山茂夫

    神山委員 そんなことがあつた。まあそんな小さなのは、本考査委員会の範囲ではありませんが、ことにこのごろ不正摘発なんかやつていませんが……。  それで最後に、あなたは共産党員だから、聞いておきたい。それは、こちらの小川委員から先ほど聞かれた点だ。それに関連するから、あなたが言つたか言わないかは別として、あなたは共産党員だから、あなたの常識から考えて、そいうことがあり得るかどうかということを答えてもらいたい。それは、こういうことだ。さつき小川委員が言つた共産党が半年もしたら天下をとる、そうしたら監獄からでも何からでも出してやるということを言つたというのですが、共産党はいまだかつて一度として、共産党が天下をとるということを言つたことはない。われわれは人民的な、民主的な政権をつくるということを言つているのだ。そうすると、君がもし共産党員でありながら、党の方針に離れたことを言つたということであれば迷惑だ。もし共産党が天下をとるなんということを言つたかどうか。これを、一年間も党にいたらわかつていると思うが、一言答えてもらいたい。
  1107. 井上勘一

    井上證人 私はそういう共産党が天下をとつたらとかどうとかいうことを言つたことはありません。
  1108. 神山茂夫

    神山委員 そういうようなばかなことは考えない。われわれは全人民的な政府をつくるということを言つているのだから—。どうも御苦労さんでした。
  1109. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたは共産党員でいらつしやるそうですが、今度のスト考えてみて、共産党の党員として、こういうストはあなた自身正しく闘つて來たと思いますか。それともあなたのやられた闘爭によつて—まず第一に、ストを起す前に、すでに業務命令違反の闘爭によつて、あなたの同僚が十名馘首せられておる。これは非合法の闘爭をした、すなわち公共企業体労働関係法を無視したような闘爭をした、そういうことによつてあなたの同僚が馘首されておるのです。あなたは闘爭委員長として、こういう不幸なる同僚に対して、どういう感じを持つておられますか、責任を感じておられますか。それを一言、共産党員としての考えを伺つておきたいと思います。
  1110. 井上勘一

    井上證人 私は闘爭委員長として、皆さんの考えによつて私が行動したのであつて、私一人でもつて行動したわけではない。皆さんの意思を私がただ執行してやつただけです。私は何も悔いてはおりません。
  1111. 大橋武夫

    ○大橋委員 するとあなたは、共産党員として党の方針に從つていろいろやつたけれども、しかし最後には大会の決議といういわゆる民主的な形によつてこれをやつたのであるから、從つて自分一人でこの責任は負わないのである。この馘首された各人がただ不運であつたというだけで、それはあなたには責任はない、こう言われたわけですね。
  1112. 井上勘一

    井上證人 共産党から指令があつたとか何とか言つているけれども、そういうふうなことは全然ないのです。
  1113. 大橋武夫

    ○大橋委員 私は指令があつたと申し上げたのではなくて、あなたが党員として自分の是なりと信ずるところに從つて闘爭しただけだ。それは確かでしよう。
  1114. 井上勘一

    井上證人 私は、この車掌区の四百八十一人の方が全部こうだというふうな決議によつて、その方向に私自身が動くことは、これは私何も悔いておりません。
  1115. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、あなたは、ただ全員の意見をまとめただけであつて、その闘いえ全部を持つて行くために努力はちつともしなかつたと言われるのですか。
  1116. 井上勘一

    井上證人 それはきめられたものは、私は執行機関でありますから執行いたします。しかしながら私が先ほども申した通り、こうやるのだといつて四百八十人もの人たちを動かすことはできない。だから先ほど話した通り、ドアでもつてはさまれればはさまれたまま、遅れれば遅れたままというような組合員であつて、そういうような人たちを扱つているので、私一人で何ごともきめるということはできない。
  1117. 大橋武夫

    ○大橋委員 しかしながらあなた方は、組合内におけるフラク活動というものによつて組合活動を共産党の幹部の考え通りひきずれるように努力している。そうしてその結果、最後的に組合大会の決議になつてきまつたので、これに対して、あなた方がフラクとして責任がないということは、私は言えないと思う。しかしそれから先は議論になりますからやめにしまして、最後にあなた方フラク活動をなすつておられる共産党員の方々が、自分らのフラク活動の結果として起つて來たこの不幸なる犠牲者に対して、何ら責任を感じておらないということをここに伺つたことは、私は日本の労働運動のために非常に遺憾に思うと同時に、日本共産党の名誉のためにも、私はまことに惜しむものであります。
  1118. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 じやこれで済みました。     —————————————
  1119. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 片岡敏男さんですね。おそくなりましたが、またあした來ていただくのもたいへんですから、簡單に伺うことにいたします。あなたは東神奈川電車区の運轉士をやつておられますか。
  1120. 片岡敏男

    ○片岡證人 はい、そうです。
  1121. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いつからですか。
  1122. 片岡敏男

    ○片岡證人 昭和二十二年四月十九日に入りました。
  1123. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 現在も。
  1124. 片岡敏男

    ○片岡證人 現在も、今度副運轉士に降職されまして、勤めております。
  1125. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 やはり東神奈川電車区におられるのですね。
  1126. 片岡敏男

    ○片岡證人 そうです。
  1127. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この間の東神奈川におけるいわゆるストに対して、電車分会車掌分会と共同闘爭を行つたということですが、それはいつごろ、どういうことでそういうことにきまつたものですか。
  1128. 片岡敏男

    ○片岡證人 私の知つておるのは、ちようど六月九日ですか、その日の京浜線の下りが十一時二十分ごろだと思いました、その時分車掌区では、朝の十時だかに闘爭委員の本名が馘首されまして、それで車掌の方が乘務拒否をしたわけです。上りが四十分ごろだと思います。それから車掌区の方が乘務拒否で乘務しなくなつたので、電車区の方としては、東掌が乘務しなければ電車が出せないというわけで、電車区の大会が二時ごろから始まつたと思います。そして四十五分に終つて、それで同情ストに入るということになつた
  1129. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 單に同情ストですか、何かそれに相当理由があつたのですか。
  1130. 片岡敏男

    ○片岡證人 首切り反対の同情ストではないかと思うのです。
  1131. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その程度ですか。ところがストをやつてからでも、電車区の方では、これはやつてもしようがないから、いい加減でやめたらどうかというような氣分があつたと聞いておりますが、そういう事実はありましたか。
  1132. 片岡敏男

    ○片岡證人 私はそういうことは知らないのです。
  1133. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 車掌区とこつちは違うのだが……。
  1134. 片岡敏男

    ○片岡證人 それは、大会のときは、たしか車掌区の川久保正夫ですか、あれが申入れをしに來たわけです。
  1135. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それで同情ストをやることになつたのですか。
  1136. 片岡敏男

    ○片岡證人 そうです。
  1137. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その後でも、これはどうも車掌区だけの問題であつて、われわれはこんなものに乘つてもしようがないじやないかという氣持でおつたのではないですか。
  1138. 片岡敏男

    ○片岡證人 私なんか運轉したのは、上から命令されてしかたなしに乘つたのですが……。
  1139. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうことを聞いておりませんか。
  1140. 片岡敏男

    ○片岡證人 そういうことはあまり聞いておりません。
  1141. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが十日の日になつて、いわゆる人民電車を動かすことになつたですね。そこであなたはそれに乘つたですか。
  1142. 片岡敏男

    ○片岡證人 私の乘つたのは十一日の朝です。たしか発車が七時三十八分ごろだつたと思います。
  1143. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これはどうしてこういうものを動かすことになつたか、聞いておりますか。
  1144. 片岡敏男

    ○片岡證人 それは十日のたしか四時ごろだか五時ごろだか、ちよと時間は忘れましたが、電車区の職場大会があつたわけです。その職場大会の終りごろになつて申入れがあつたわけです。
  1145. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どこから。
  1146. 片岡敏男

    ○片岡證人 乘客の者ですが、私は元鉄道に勤めておりましたけれども、電車を出してくださいと申入れがあつたわけです。それを議長が取上げられて、大会へ諮つて、それが満場一致拍手で決をとつたと思います。
  1147. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはどういう人だつた
  1148. 片岡敏男

    ○片岡證人 そうですね、二十七、八のちよつと……。
  1149. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いや、そういうことより、どこに勤めておるとか、どういう團体におるとか、そういうことは聞かなかつたか。
  1150. 片岡敏男

    ○片岡證人 その人の言つたのは、元鉄道に勤めておつただけです。
  1151. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 もつと詳しいことは聞きませんでしたか。
  1152. 片岡敏男

    ○片岡證人 別に聞かなかつたですね。
  1153. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで十日の午後にそれを動かすということを決議したわけですか。
  1154. 片岡敏男

    ○片岡證人 そうです。
  1155. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこであなたが十一日に乘つたのは、どうして乘つたのですか。
  1156. 片岡敏男

    ○片岡證人 私の乘つたのは、十一日の朝起きまして、ホームで御飯をたいておつたわけです。そうするとそこへ運轉士の鈴木文平、それが一ダイヤから五ダイヤまで乘務してもらつて、二ダイヤの筋で運轉してくれと言つたのです。それで私が二ダイヤですから詰所ヘカバンをとりに行つて助役さんのところへ行つて名札を返して、そうして帰つて來たときに、たしか二番線か三番線で鈴木千代次に会つた。出庫はどこでするかと言つたら、その人はわからなかつたホーム行つて聞きましたら鈴木文平がY線から出庫するからというので、そこで私はY線へ行つて車を出して運轉したわけです。
  1157. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 さつき言つた二番線で会つたという鈴木と今の鈴木文平と、人間が違うのですか。
  1158. 片岡敏男

    ○片岡證人 ええそうです。
  1159. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それであなたは決議があつたものだから、乘らなければならないと思つてつたのか、それともどう思つてつたのか。
  1160. 片岡敏男

    ○片岡證人 決議があつて、それで反対しても、あとで何だかんだと言われるのがいやで、私としても二ダイヤがその日に当つてつたので、やむを得ず乘つてつたわけです。
  1161. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは本心から乘ろうという氣じやなかつたわけか。
  1162. 片岡敏男

    ○片岡證人 そうです。
  1163. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが十四日のアカハタに、十一日の朝の乘客は、同日人民廣場で開催される公安條例反対デモに参加する者であつた、そういう者が多かつたと書いてあつたのだが、その点は知つておりましたか。
  1164. 片岡敏男

    ○片岡證人 そうですね、それに乘つていたのは、私のところへ言つて來たのは朝連が二十人だつたか、二十五人だつたかおりましたね。防衛隊で乘るからと言つて來ました。
  1165. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 防衛隊というのは、何だね。防衛隊というのを知つておりましたか、ただ防衛隊と聞いただけですか。その実質は知らなかつたのですか。それが二十五、六人だつて……。
  1166. 片岡敏男

    ○片岡證人 ええ。
  1167. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 防衛隊というのは、どこへ行くとも言わなかつたか。今ここで言つた公安條例反対デモがあるということは知つておりましたか、知らなかつたか。
  1168. 片岡敏男

    ○片岡證人 知らなかつたです。
  1169. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではよし。  それからそこへ乘つてつたのはどういう人がおもに乘りましたか。
  1170. 片岡敏男

    ○片岡證人 外部團体が、ほかにまだ多数乘つたと思います。
  1171. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 前の日からそこで騒いでおつた外部團体ですか。
  1172. 片岡敏男

    ○片岡證人 そうじやないかと思うのですけれども……。
  1173. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 普通一般の、俗にいう乘客というものは乘りましたか。
  1174. 片岡敏男

    ○片岡證人 乘りました。
  1175. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはどういう人、定期券でも持つている人。
  1176. 片岡敏男

    ○片岡證人 見たわけではないからわかりませんが、定期券で乘つたのじやないかと思います。
  1177. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 別に改札口で改札したわけでなく、出ますぞと言つたら、ばつと入つて來たのか。
  1178. 片岡敏男

    ○片岡證人 そうです。
  1179. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 駅は普通のホームから出たのですか。
  1180. 片岡敏男

    ○片岡證人 そうです。
  1181. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 内容はよくわからないね、いろいろな人が乘つてつた……。
  1182. 片岡敏男

    ○片岡證人 そうです。
  1183. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがその電車は鶴見でとめられたそうですね。それはどういうわけですか。
  1184. 片岡敏男

    ○片岡證人 結局当局から業務命令で、電車を出してはいけないと言われておるわけですが、それを押し切つて出したわけです。それで電力指令で饋電線を停止させたという話です。送電線停止というわけです。
  1185. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だれがやつた
  1186. 片岡敏男

    ○片岡證人 電力指令で鶴見の饋電室で——私はそのとき電車に乘りつぱなしになつておりましたが、ほかの人が交渉に行つたら、そういう話です。
  1187. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ただ聞いただけですか。
  1188. 片岡敏男

    ○片岡證人 そうです。
  1189. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この新聞か何かに載つてつたのだが、その乘客の中に梶原という人がおつたというが、それをあなた知つておりますか。
  1190. 片岡敏男

    ○片岡證人 知りません。
  1191. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それからさつき言われた人民電車を動かそうという決議をした大会ですね、初めはどういう意味でやつた大会つた、どういう意味の大会をやつてつた
  1192. 片岡敏男

    ○片岡證人 それは結局電車を出しちやいけないという業務命令が來たのを、反対したわけです。
  1193. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなた方の大会ですぞ。
  1194. 片岡敏男

    ○片岡證人 十日はそうじやないかと思います。     〔「運轉手が知つておるわけがないじやないか」と呼ぶ者あり〕
  1195. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だれか人が來て電車を出してくれと言つたので出した。その出せと言つた人は、今いう梶原という人だというが知りませんか。
  1196. 片岡敏男

    ○片岡證人 知りません。
  1197. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いつでしよう。  もう一つ白帶車乘つてつて、それに乘つちやいかぬという命令が出たというが、そういうことは知りませんか。
  1198. 片岡敏男

    ○片岡證人 たしか九日の晩だつたと思います。私が知つておるのは、白帶車闘爭委員会のようなことをやつていたのです。それで夜中の三時ごろだつたと思います。警察の方が三人だつたか四人來られたわけです。そうしてある方面の命令白帶車を使つてはいけないというので、使わないことにしたわけです。
  1199. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうしたらおりましたか。
  1200. 片岡敏男

    ○片岡證人 おりました。
  1201. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どんな人が乘つておりました。
  1202. 片岡敏男

    ○片岡證人 その白帶車の中に乘つていた人は、電車区の庭田、岡本、加藤勇之助、川邊、小松あと車掌区で井上勘一に牧田、大木、もう一人車掌区でいたと思いますが、名前はわかりません。
  1203. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それだけの人は知つてつた
  1204. 片岡敏男

    ○片岡證人 それと横浜支部から副闘爭委員長ですか、相澤というのと、青年部長の何というか名前はわかりませんが、もう一人いたわけです。
  1205. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで闘爭委員会として決議か何かやつたわけですか。
  1206. 片岡敏男

    ○片岡證人 私の言つたのはそのときちようど大木があしたの朝—十日ですが、電車を所定に動かすから、車掌の手配をとらなければいけないと言われて、支部の相澤がそれを取消すようにということを言つておりました。
  1207. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それで何かまとまつた決議が……。
  1208. 片岡敏男

    ○片岡證人 それは私にはわかりません。
  1209. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 よろしゆうございます。済みました。御苦労さまでした。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午後八時二十一分散会