○表
証人 その問題で当時
地方事務所へ電話をかけて
——役場へ電話をかけて、彼らはさわいだのですが、私もさわいでから、初めてははんと思いついたのですが、実は
役場では、いわゆるだれが
農業調整委員の選挙権があるのやらはつきりしたものが把握できないのです。やろうと思えばできるかもわかりませんが……。
実情は大体できないのです。耕地が移動しますから、一反歩しておるかせぬかという
境目がわからぬ。それで私の方へ、いわゆる白紙のものを持
つて來るわけであります。選挙人の登録名簿というやつか、登録用紙というやつか、私はつきり覚えておりませんが、大体これくらいの大きさの紙であ
つたと思いますが、
農業調整委員、選挙人登録名簿ですか、こういう印刷がしてありまして、たれそれが何反歩の
耕作面積があるということを記入して、名前を書いて、判こをと
つて、
役場へ提出せよという仕事が私の方へ來たわけであります。この仕事は私は
実行組合長、農業組合長以外の末端の、小使いというか、世話係をしているその仕事から果したわけです。ところがそればかりではないのですが、何事によらず拒否するのです。書類上で判こをとらなければならないものある。
報告書類とか、いろいろなことに判を押さすのに、使丁を非常に困らす。私も非常に困る場合があるので、これは現に
役場の
人たちで御存知の方もありますが、作物
報告事務所の書類とか、いろいろなことに対して判この必要なときには、私がその
役場の吏員についてもらいに行かなか
つたら、判こもくれない。そういうときに判こを押さないと、そこまで親切に私がやらなか
つたと言いますか
——こういうときもあるのです。判こをそのとき押さなか
つたのは事実なのです。それであとから判こを押しに來る場合もあります。場合によ
つては、うちは留守中は絶対に判を押すなと言われておる。それで判は押さない。あとから判を押すというようなことがあ
つて、判こを押さないから、これが登録されなか
つた。記名捺印をしない者は選挙人名簿に登録されなか
つた。そこで選挙権が名簿に載らなか
つた。
役場としても選挙人の名簿の閲覽をや
つたのですが、その日に閲覽にも行かなか
つた……