運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1949-06-25 第5回国会 衆議院 考査特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年六月二十五日(土曜日)    午後四時八分開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 池田正之輔君 理事 小玉 治行君    理事 辻  寛一君 理事 内藤  隆君    理事 小川 半次君 理事 神山 茂夫君    理事 石田 一松君       大橋 武夫君    高木 松吉君       福井  勇君    吉武 惠市君       赤松  勇君    田万 廣文君       徳田 球一君    小松 勇次君       浦口 鉄男君  委員外出席者         証     人         (下甘田農業         調整及び農地委         員)      山田 喜一君         証     人         (農業)    星澤權次郎君         証     人         (越路農業調         整委員)    表  宗雄君         証     人         (越路農地委         員長)     田中 平治君     ————————————— 本日の会議に付した事件  証人出頭要求に関する件  石川縣下における耕地面積不正申告事件     —————————————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより会議を開きます。  前回委員会において、運輸省資材省外拂下げ事件につき証人として出頭を求めることに決定いたしました斎藤喜作君が二十七日は出頭できかねるので、國鉄労組本省支部執行委員太田有一君に変更せられたい旨の申出がありましたが、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なきものと認めます。それでは太田有一君を証人として來る二十七日に本委員会出頭を求めることといたします。  次に石川縣下における耕地面積不正申告事件につき、本日四名の証人出頭を求めておりますが、さらに本件につきまして敬田省三君、泉淺吉君池田修君、柳川正一君、石川縣副知事土井登君の五名を二十九日証人として出頭を求めることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なきと認めます。さよう決定します。  ただいまより石川縣下における耕地面積不正申告事件につきまして、証人の方々より証言を求めることといたします。
  5. 神山茂夫

    神山委員 本日の議事に入る前に一言しておきたいことがあるのであります。それは本件が扱われる場合に、ぜひ委員諸君はもちろん、委員長に聞いておいていただきたいのでありますが、考査特別委員会理事会は、取扱事件をできるだけ外部に発表しないというだけではなくて、お互いの間では嚴密に紳士協約に基いて、委員会にかけるまでは秘密を守つて來たはずであります。それにもかかわらず本件につきましては、種々新聞報道がされている事実があるのであります。ことにこの下甘田村の事件につきましては、もう皆さんも御承知のように、先日読賣新聞内容の一部の非常にねじ曲げたものが出ているのであります。これを調べてみますと、この新聞記事が出るについては、二、三非常に遺憾の点があるのであります。それはこの調査のために出発した調査員である鈴木君と、それからこの事件について本委員会に提出されました大森玉木代議士鍛冶委員長——これは多分偶然同行されたことと思いますが、それからまたそこにこれも偶然だと思いますが、読賣新聞の記者が同車で行つたという事実があるのでありますこのために迷惑をこうむるのは、單に委員長個人あるいは大森君自身ではなくて、考査委員会超党派的性格に対してこれが第一に大きな疑惑をかけるということを私どもは遺憾とするのであります。さらに鈴木君の調査の足取りを私たちはこまかに調べてみたのでありますが、今一々こまかに言うことはしませんが、非常に一方に片寄つているという事実があるのであります。さらにもう一つつけ加えなければならないことは、鈴木君は向うにおいて茜雲会の一部の人たち座談会をし、ここに事件について一部見解を発表している。また越路町においてもそういうことがあるといううわさも傳えられております。これが單にうわさにとどまればけつこうでありますが、もしこういう事実があつたとすれば、非常に遺憾なことだと思います。さらにこれに加えまして、六月十八日の北國毎日新聞には、ここにも赤い対立と題しまして相当大きな四段抜きの記事が出ておるのであります。この記事内容を見ますと、六月二十日の本委員会理事会に報告されたことと、内容と言いますか、項目の一部が非常に似ている新聞記事が出ている。こういうことはだれの責任かということを私は言うのではなくて、こういう事実があるということをお互い十分考えなければならないと思うのであります。しかもまた傳えるところによりますと、この問題が考査特別委員会に提訴されるやいなや、地方新聞では、すでにこの問題が考査特別委員会にかけられたということが出ていたという話もあります。また某代議士のごときは自己演説会においてこれが考査委員会に提訴されたということを語つたといううわさもあります。私はこういう事実をあわせて考えます場合に、本委員会がこの事件を審理されるにあたりましては、あくまで冷静なる事実に基いて、冷静なる判断を下すということが特に必要じやないかと思います。なぜかならば、今言いましたような経過を虚心坦懐に見ますならば、特定の人がこの事件自己の政治的な活動に利用しているのではないかという疑いがある。また第二にはこの前の委員会にも言いましたように、事務当局調査員の中に一方に偏した見解を持つている者がいるのではないかという疑いがある。この二点を解くような方法で本委員会が運営されることを、心から希望しておきたいと思います。
  6. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 神山君のお説には私も賛成でありまして、とくと調査して善処したいと思います。なお資料がありましたらお知らせ願います。  本日お見えになりました証人の方は表宗雄さん、田中平治さん、山田喜一さん、星澤權次郎さん、以上四名の方です、それでは皆さんにあらかじめ文書で御了承願つておきましたが、前回委員会におきまして正式に証人として決定いたしましたので、さよう御承知願います。  これより石川縣下における耕地面積不正申告事件について、証人より証言を求めることといたします。  証言を求める前に、各証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以上の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一應のことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います  お手元に宣誓書が出ておりましようから、表さんひとつ代表して読んでいただき、各証人署名捺印を願います。     〔証人表宗雄君各証人を代表して宣誓〕     〔各証人署名捺印
  7. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 山田喜一さん、星澤權次郎さん、表宗雄さん、田中平治さんの順序で調べますから、山田さん以外の方は外の控室でもうしばらくお待ち願います。     —————————————
  8. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは石川縣羽咋郡下甘田農業調整委員農地委員農業協同組合理事村会議長上棚農民組合長、これだけの職についておいでになりますか。
  9. 山田喜一

    山田證人 ついております。
  10. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで承りたいことは、下甘田農地委員会において、昭和二十二年買收計画実施にあたりまして、採草地として地主から買收し、ついで小作人に賣り渡しました面積は三町九反二畝二歩と聞いておりますが、それに相違ありませんか
  11. 山田喜一

    山田證人 下甘田農地委員会として、採草地として扱つた面積は四町一反五畝十歩と記憶しております。
  12. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 採草地ですね。
  13. 山田喜一

    山田證人 そうです。これは田畑です。
  14. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは下甘村上棚だけでそれだけあつたのですか。
  15. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  16. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがその中に実際は耕作に適した田圃もあつたということですが、それはどうですか。
  17. 山田喜一

    山田證人 このことにつきましてはこういう事実なのです戰爭中は非常に應召とか徴用とかありまして、労力が非常に低下しておりまして、そこへ過重なるところの供出、こういうものが來るために耕作放棄するものがたくさんおまして、そうしてまた十九年及び二十一年度の二度の大洪水のために、流域水田の流失によつて相当に莫大な荒蕪地があつたことは事実です。それで今のお問いの件につきましては、昭和二十二年の農地開放事務を開始するにあたりまして、一筆調査をやりました。その結果としてどういうものが現われたかと言いますと、大体米が歩一合五勺というような劣等田がありまして、これをどうして今度の自作農創設にもつて行くかということを農地委員柳川と私と永田の三名で協議をして、また大体農民の方からも意向を聞く、そうするとそういう劣等田はいらないという、それで農地委員長は非常に困惑しまして、縣の農地部の方へ出頭して取扱い方を照会したのです。そうしたらそれでは採草地として取扱うようにと言われたものですから、実際田圃には間違いありませんが、そういうものも縣の農地課の指示だという柳川氏の言葉によりまして取扱つたことは事実です。というのはイの六十二の乙というものはその当時田圃の形をしておりました。私は調査したのですが、稻がはえているけれども実際問題として耕作しても收支の償わぬ田圃、それが台帳面では何年この方山になつております。こういうものを買つてくれないかといつた場合に、それは買わしていただいても私はあとの会計は持てんから、どうもならん、これは地主が持つてくれ、そこで柳川氏は縣の農地部へ相談に行かれたわけであります。そして返答を持ち帰つて來られ、また部落常会地主さん、農民組合員、その他の小作人、これらが全部寄りまして、そういうことはそういうぐあいに取扱つてもらうようにという決議のもとに取扱つたわけなのです。そういう状態で、そして私だけが取扱つたものではなくして、これは農地委員会の正式な決議ができているはずですが…。
  18. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると悪くても田圃はどれだけほどあつて、山はどれくらいあつて採草地はどのくらいあつたかおわかりですか。
  19. 山田喜一

    山田證人 それは私の記憶にはございません。大体採草地として取扱つたものはどれだけだということはつかんで來ましたが、田圃をどれだけ扱つたかということは、私の取扱つた分だけはちよつと持つて來ましたが、もう一ぺん部落帰つて昔の帳簿から整理して行かなくては……。上棚は廣い関係上私は私の班のやつと、鹿島路村の一町村を担当して持つていたわけです。
  20. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今のところでは大体わかりませんか。
  21. 山田喜一

    山田證人 歩数はわかりませんです。
  22. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたの方から出ておる上申書に、上棚区民耕作分として採草地三町九反二畝二歩となつておるが、あなたのさつきおつしやつたのは間違いありませんか……。それはそういうことに承つておきましよう。  それから今あなたのおつしやつたその買收計画にあたつて部落常会を開いたというわけですか。
  23. 山田喜一

    山田證人 部落の寄合いです。
  24. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこでその部落責任者はだれになつてつたのですか。
  25. 山田喜一

    山田證人 それは部落駐在員であるところの大石義保です。
  26. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこでその人が縣の方へ、その部落会決議に基づいて紹介したと、こういうことになるのですか。
  27. 山田喜一

    山田證人 いや、そうじやないのですが……。
  28. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 縣の方はだれが……。
  29. 山田喜一

    山田證人 縣の方は農地委員長柳川正一氏がやられたのです。
  30. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで縣の農地部のだれへ紹介したのですか。
  31. 山田喜一

    山田證人 それは私は存じません。柳川氏が……。
  32. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで実際において採草地としてやりましても、ほんとうの採草地田圃になつている所とあるとすれば、田圃になつている所は幾らか値段もよくなるし、ほしがるわけですが、そういうものを割当てるのには、どういう方法でおやりになつたのですか。
  33. 山田喜一

    山田證人 それはそのとき、やはりそういう上田取扱つたわけじやないのですから、つくつておる人の條件によつて調査によつてできたものでありまして、大体私は書いて持つて來ましたのですが、読んでみてよろしゆうございますか。
  34. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ええ。
  35. 山田喜一

    山田證人 スの二八、一畝十九歩、現在は採草地です。スの三〇、九歩、スの三二、一畝十七歩、スの三三、一畝十二歩、スの三六、十歩、以上坂井與四太郎……。
  36. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは何ですか。
  37. 山田喜一

    山田證人 採草地として扱つたものです。
  38. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それで現在は……。
  39. 山田喜一

    山田證人 現在は、スの三〇は二十三年度に開墾しております。
  40. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではその当時は採草地つたのですか。
  41. 山田喜一

    山田證人 そうです。スの三三というものは、これも二十三年度に開墾しております。スの三六も二十三年度に開墾しております。現在採草地はスの二八と三二、それからサの三三、六畝十八歩、藤田政造、現在はその六畝十六歩のうち、採草地が三畝歩と、劣等田にひとしい、收穫の二合かそこらしかあがらないものが三畝十八歩田圃になつております。それからミの七、一畝二十八歩、これはやはり藤田政造で、二十三年度に開いております。メの一五五、二畝二十三歩、これは劣等田として柳川氏が縣へ行つて指令を受けており、その基準によつてきめたのです。メの一五六、一畝二十一歩、これも劣等田であります。メの四七、二畝四歩、現在採草地、メの五一、五畝二歩、二十三年度開く、以上藤田政造への七、八、九合併、二畝二十六歩、原田長松、これは今年の割当する時分にまた採草地であつたのです。それからへの一〇、二十五歩、これも原田長松に賣り渡したのでありましてこれは二十三年度開墾しております。それから二七、二二の乙、五歩、荒木直一、これは今年の割当後に開いております。それから二七、二四の三畝歩、これも今年の春開いております。トの一一八、面積は九歩、上田八郎、現在採草地、トの一三三の甲、一畝三歩、これも現在採草地です。ヲの六九、現在——と申しましても、これは今月の十日ごろ調べたもので……。
  42. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはみなここに細かく書いてあるのですか。
  43. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  44. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 元田圃であつたとか、劣等田であつたとか、そういうことを書いてあるのですね。
  45. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  46. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ちよつと見せてください。
  47. 山田喜一

    山田證人 劣等田と書いてあるのは、その当時劣等田田圃扱つた分です。
  48. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これはいつの現実を調べてこしらえられたのですか。
  49. 山田喜一

    山田證人 六月の十日前後です。
  50. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 前後にこしらえたのですか。
  51. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  52. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではこれに相違ありませんね。
  53. 山田喜一

    山田證人 ありません。
  54. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは預つてよろしうございますね。本人の持つてつた採草地明細書とでもいうものですね。
  55. 山田喜一

    山田證人 そうです。それでこれを私がつくつたわけではなくして、部落からこういう問題が起きて來たものですから、調べてくださいという……。
  56. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 では大体これに間違いありませんね。
  57. 山田喜一

    山田證人 それで間違いないつもりでおるのですが、私は一々当つて見たわけではないのです。
  58. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 わかりました。
  59. 山田喜一

    山田證人 そこで買收計画明細書というものはつくられましたが、そのときは農地委員会書記の方でつくりました。
  60. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その賣收書土地所有者に渡つておらぬとかいうことですが、これは渡さなければいかぬものじやないですか。
  61. 山田喜一

    山田證人 私は委員会委員の一人でありまして、それは当然委員会書記責任だと思います。渡すようなことになつておるのです。渡してくれと私も再三忠告したことがあります。
  62. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで、渡つておらぬという話は聞きましたか。
  63. 山田喜一

    山田證人 はあ、聞きました。
  64. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうわけで行かなかつたのですか。
  65. 山田喜一

    山田證人 それは書記事務が滞つたわけです。
  66. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 理由はおわかりになりませんね。
  67. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  68. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 現在まだ、このうちで二十町歩荒地が残つておるとかいうのですが、採草地かどうか知らぬが、荒地としてあなたの方にまた二十町歩あるとか言つておるそうですね。
  69. 山田喜一

    山田證人 そういう調査はしたことはありません。
  70. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたが持つておられる一反二畝二十一歩は採草地となつておるそうですが、このうちにたんぼが入つておるのではありませんか。
  71. 山田喜一

    山田證人 それは入つておりません。
  72. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 全部採草地ですか。
  73. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  74. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 永田小四郎の八畝二十八歩は……。
  75. 山田喜一

    山田證人 それは記憶ありません。
  76. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 山田作平一反一畝二十六歩は……。
  77. 山田喜一

    山田證人 それも記憶はありません。
  78. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 山田清一の方の一反四畝十六歩は……。
  79. 山田喜一

    山田證人 それは現在田圃になつておるか、採草地であるかということをお聞きになるのですか。
  80. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうことです。
  81. 山田喜一

    山田證人 数字的には、今何畝何歩と言われても答弁できませんが、アの九、アの十の甲、それからメの一の一部、アの部は全部現在採草地で、メの一というものの一部に採草地があります。その他のこまかいことは……。
  82. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 田圃も入つておますか。この表では山田清一劣等田が三筆で、現在採草地というのは一つだけですな、あなたのこれによると……。
  83. 山田喜一

    山田證人 そうですか。そうすると、大体私の言つておるのは今年の事前割当したときのこれで答弁したのです。
  84. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 山田清一というのは御承知ないですか、五畝十三歩……。
  85. 山田喜一

    山田證人 それは現在田圃になつておるかどうか、はつきりしませんですが……。
  86. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 去年、二十三年度の割当のときには、実際田圃であるものが採草地として申告されておるとかいうのですが、それはどれほどありましたか。
  87. 山田喜一

    山田證人 申告の点につきましては、私はわかりません。しかし、田になつておる田圃——いくら收穫不定な土地でも、收獲があると思つておるのは全部一筆残らず供出割当をしております。
  88. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうことはだれが一番よくわかるのですか。
  89. 山田喜一

    山田證人 それは部落駐在員であるところの大石さんが御存じだろうと思います。
  90. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 申告はまとめてやるのですか。調整委員会か何かでやるのでしよう。
  91. 山田喜一

    山田證人 それは村長責任で、どういう方法でその申告を求めておるか知りません。
  92. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それじや上棚地区耕作面積は、役場申告された反別は御承知ありませんか。
  93. 山田喜一

    山田證人 知りません。
  94. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなた方の方で、調整委員会でそういうものをきめてやることに……。
  95. 山田喜一

    山田證人 調整委員会で、土地実態を知りたいがために、私は二十二年、二十三年、二十四年にわたつて、村中の一筆調査と、それから実態調査することを、食糧調整委員会に強く主張しております。だが私の動議はその都度却下されております。私としてもこの調査を知りたいがために、いつもこういうことを主張しております。やらなくてはならぬ問題です。
  96. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこであなたが実際のことをやれと言うと、あまり実際のことをやりたがらないのですか、みんな……。
  97. 山田喜一

    山田證人 まあそうでないかと思うのですが、私の動議がまとまらぬ以上は、そう私としては考えておるのです。
  98. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大分違つて申告していますか、去年も……。
  99. 山田喜一

    山田證人 それは私はわかりませんが、あるのではないかという疑義は抱いております。
  100. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこであなたの方の実際耕作面積と、役場供米割当基本反別とに、どのくらい差があるか、御承知ないですか。
  101. 山田喜一

    山田證人 基本反別というものは、大体私の知つている範囲内では、村から地方事務所に出ておるところの面積は、今はつきりした数字は記憶ありませんが、大体毎年村の部落割当するときには見ております。だが部落ごとの相違は、それはわかりません。それはどういうことかというと、村では二十二年來、村の調整委員会としては面積を基礎にして割当てておりません。これは、その一筆調査をしろというのを採用せぬのですから、面積が出ておらぬわけです。
  102. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういう方法でやつておるのですか。
  103. 山田喜一

    山田證人 それで、今までの実績、これに保有米の増減ということを十分に考慮して、正しく割当てているように思つておるのですが、これはまた責任者村長ですから……。
  104. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 責任者村長だが、あなた方調整委員だから、調整委員で調べて村長へやつて行くか、それで村長はあらためて地方事務所へ行く。
  105. 山田喜一

    山田證人 それでその面積を知りたいがために、いつも一筆調査要求しているのです。
  106. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 要求言つて、あなた方委員会で調べるのじやないですか。
  107. 山田喜一

    山田證人 そうです。私は委員会にやらないかという動議を出しておるのです。
  108. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうするとほかが……。
  109. 山田喜一

    山田證人 まとまらないです。やらないで決がとれぬのです。
  110. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 まとまらないのだね。何かあなたの方では、事前割当と同時に、さらにそのほかにまだ操作米として見込割当というものをやつておるそうですね。
  111. 山田喜一

    山田證人 そういう見込割当というのはやつておりません。見込割当とはどういう意味なんですか。
  112. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 つまり届出はこれこれくらいだが、まだほかにこれだけ出す余裕があるから、部落操作米として出してもらうようにしよう、こういうことをきめておると聞いておるのですが。
  113. 山田喜一

    山田證人 そういうことはきめておらぬと思うのです。しかしそこに割くず——割くずと言うとおかしいですけれども、計算して行くと、そこに少量のものが残つておるのは事実らしいです。私らは大体割る基準反別の方をきめて、これは部落の各階層から出ておるところの役員がその計算はやつておるのです。
  114. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 たいてい割当が重いというので、実際割当だけは出されぬと言うておるのでしようが、そういう余裕があるものですか。
  115. 山田喜一

    山田證人 それは八斗くらいだということを聞くのですがね。それは割くず——どう言つていいですかね、私らの方では計算して五合とか三合とかいうものの——またそれを再割当するのが非常にむずかしい関係上、そういうふうにしたということを私は報告を受けております。
  116. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 実際に事前割当なつたものがかりに一石五斗とすると、それはそれとして、もう一斗くらいも加えて出すようにというのですか。
  117. 山田喜一

    山田證人 そういうことはやつていません。
  118. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうことをやるのか。
  119. 山田喜一

    山田證人 ここに何反何畝ある。そこで割当基準はどういうことにするかといいますと、大体反別生産量の何分かを出す。そうして上棚村の割当というものは、昔から合盛というものがあります。地方によつて合酌とも言います。これに何割か割る歩合をきめて、それはもう部落としては基準が出ておるのです。
  120. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたの村には相当のものがあつたようではありませんか、昨年度というか、今年だがね。
  121. 山田喜一

    山田證人 そういうことは、今度も私は、ちよつとこういうことを聞きましたから聞いたのですが、これは八斗くらいだということを聞いておるのです。
  122. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 八斗ぐらいあつた。
  123. 山田喜一

    山田證人 これは下甘田の村にもあります。
  124. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その米はどういうところに使うのか。
  125. 山田喜一

    山田證人 それは災害があつたとかいう場合に、また補正量なんかをもらう場合にはそれとなにして、昨年の分については数字は覚えておりませんが、昨年も大なり小なりあつたものと記憶しておるのです。それを補正が來たときにあわせて補正に使つております。
  126. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすれば、やはり何か計画的にとつておるのではないか。そうではなかつたか。
  127. 山田喜一

    山田證人 そうではありません。
  128. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どうしてとるのか私にはわからぬ。
  129. 山田喜一

    山田證人 私もどうも口が下手なのか頭が悪いのか、それは当時の割当責任者についてただしてもらえばいいと思います。
  130. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 実際そういうものは、村の祝とか何かに使つておるのではないか。
  131. 山田喜一

    山田證人 そういうことはありません。
  132. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすれば、余れば余らせておくのですか。災害でもあれば別だが。
  133. 山田喜一

    山田證人 災害でもあれは超過供出として出しておるのです。
  134. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それが余つたら……。
  135. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  136. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 星澤權次郎に対して、供米割当が非常に不当だつたといつて、何か問題が起つたようですね。
  137. 山田喜一

    山田證人 その件については、私の方から言いたいのです。昨年の割当については、大体昨年の十二月に供米完納をした形式になつておりますが、実際米を出さずに、どういうことでそうなつたかは知りませんが、三俵の米を出さずに完納したことにしております。そうしてこれは、今年の五月の六日にわかつたことなのです。農業会の理事会の席上で、自治監査をやらせたらわかつたのです。それで不当な割当をしてかつがせたということはないと思います。
  138. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 一体どれだけ割当をしたのですか。
  139. 山田喜一

    山田證人 それは今記憶はありません。
  140. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 こつちで調べたところによると、權次郎の所有は一反八畝で、そのうち松田半兵衛というものに六畝、西島作太郎というものに五畝つくらせて、三人でつくつておつたものを、全部權次郎のものにして割当が來たと言うのだが、そういうことではなかつたのですか。
  141. 山田喜一

    山田證人 それはこういうことなのです。星澤權次郎氏は二十二年の一筆調査のときに、再三農地事務をやつている人の方から申告をするように言い、私も言いましたが、申告をしなかつたのです。それでその当時、一筆調査の状況では申告しないし、鹿島路村と共同の西島というのは、鹿島路村の農地委員長にも、つくつておるのではないかと聞いてもつくつておらぬと言う。また松田半兵衛というのにも図面を見せて、どれとどれとをつくつておるかと聞いても、それをつくつておらなかつたと言う。つくつておるとはつきり言明も申告もしませんから、一時一筆調査のことはそこへ食い込んでおきました。それは二十二年の八月です。それから供米割当については、二十三年度にはその面積を採用したわけです。それでそれはつくつておるかおらぬかという事実は私にはわからぬのでありますが、部落から一里くらい離れて、そうしてさらに山へ五、六丁入つて行かなければならぬのです。それでまあ星澤氏にも再三向うの委員と立会いでもう一度一筆調査をさしてくれ、こういうことも私は向うに言つたことがありますが、現在そういうことはできておらぬので、面積の点はわかりませんが、不当な割当てをかつがしておるとは思いません。
  142. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それで何か、今言う松田とか、西島というのはそれぞれの村でその分を皆供出しておつたというのですか。
  143. 山田喜一

    山田證人 それは私はわかりませんが。
  144. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうことを申出たのではありませんか。
  145. 山田喜一

    山田證人 私は聞いておりません。
  146. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それを申出たら、あなた方の方で委員会へ出して調べてくれぬ。全然……。
  147. 山田喜一

    山田證人 それは私は聞いておらぬのですが……。
  148. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今あんたの言われた三俵云々というのは、これはあんたの方から出ておるのですが、それは星澤兼太郎じやないですか。
  149. 山田喜一

    山田證人 兼太郎というのは權次郎の父です。權次郎と一緒の世帯です。
  150. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 親子ですか。
  151. 山田喜一

    山田證人 そうです、まだほかにそういう供米不正は村長責任においてあります。
  152. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あんたの方で上棚部落農民組合をつくつておるのですか。
  153. 山田喜一

    山田證人 つくつております。
  154. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それで星澤權次郎もその中にはいつてつたのですね。
  155. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  156. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 除名したのですね。
  157. 山田喜一

    山田證人 それは事実です。
  158. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはどういうわけですか。
  159. 山田喜一

    山田證人 それは農民組合の主張といたしまして、要するにあの当時、土地解放が一番の仕事になつておつたわけです。それでさつきから話を述べました一筆調査には妨害こそすれ、協力はしなかつた。それからこれは部落の実情から、昔からのいきさつを話さしていただかねばわかりにくいだろうと思うのですが、少し駄弁になりますがよろしいですか。
  160. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 簡潔に願います。
  161. 山田喜一

    山田證人 上棚部落というところは大体山が四百町歩あまり、それから田地が百三町歩台帳面にある部落なんです。それを生活の基盤として立つておる部落なんです。その山林、田地というものは二十五名からなる議員様——要するに地主、そういう方々によつて大半が占められ、そうして部落の政治一切はその方々に専断されておつたわけです。そうして村の人なんかの話を聞きますと、年に一度の初寄合というのは旧の正月、要するに二月ですね。こういうときに初寄合というのをやりますが、そのときに小作人というものはどういうみじめな生活をしておつたかということになるのですが、その初寄合のときなんかにも二十五人の議員様の方はぶりを切り、ぶりをさしみにし、焼物にし、にわとりをつぶし、二枚脚の高いお膳を奥座敷に並べられて、二十五人の議員様が座ぶとんをしいてそうして酒盛りをやられるのですが、その反面小作人はどうかと言えば、これは勝手の方の隅の方で小ちやくなつて、にしんのいりつけをはしでつまんで手にのせて、そして冷や酒でコップに一ぱいいただいて、その部落常会の初寄合というのを終るというような状態だつたのです。その話においてまたこういうことがあるのですが、小作人の方からどうせ飲む酒だから、冷や酒ではまずいから、燗をさして飲ましてくれ、燗をするからそれを許してくれと言つたところが、貧乏人に何がわかる、こういうぐあいに非常なおぞい目にあわされた人もおるそうです。それから上棚村の一番の地主というのが徳山武雄さんという方ですが、この人なんかの家に入るときにも非常な封建的な礼儀作法がありまして、城みたいな塀がきをめぐらしてある。その塀がきの角をまがつて、まだ玄関までに相当の開きかあるのですが、角をまがつたときに手ぬぐいをかぶつておつたら手ぬぐいをとつて腰に下げ、笠をかぶつておつたら笠を脱ぎ、身を正して入つて行かなかつたらいかぬ。それも玄関から入つて行けぬ。便所の横に細い通路があります。それから入つて行かなかつたら大目玉を食うというような、礼儀と言うか、何と言うか、封建的なそういう部落つたのです。これ以上のことを私はどう説明申し上げてよいか、いろんなことも聞いておりますが、この話はこのくらいにして、戰爭中私はおらなかつたのですが、終戰後帰つて來て、話に聞いてみたところが、まだその専制政治というものを利用して、そうして自分の山を背景にするところの森林組合というものは、徳山氏が組合の長になつておられる。その下には某という専務理事がおられる。その某という専務理事が大体その森林組合の実権を握つておられた。それについて、その森林組合の仕事に貧乏人が行かぬと、すぐさま徴用にやられたという者も八名だつたか九名だつたかおりますが、そういうような暴政を戰爭中においてしかれておつたのです。それで私は終戰の年の九月の一日に復員して帰りまして、そうして村の状態を眺めますと、非常にみじめな陰惨な生活、そうしてその年のいつだつたか。ある小作人が、徳山氏に、お前の屋敷はそれはだれの屋敷だと言われた。何か氣にいらぬことをしたのでしよう、だれの屋敷だと指さされることは置いてやらぬという反語を言われると同じ意味になるのだと私は解釈しておつたのですが、そうしておるうちに、二十一年の最初の衆議院の選挙があつたのです。そのときに私は某という専務理事のところに呼ばれまして、酒をよばれました。そうしてあとからいわく、某代議士の選挙運動をしてくれぬか。こう言われたのです。私はまつぴらですと断わりました。その某という専務理事はたしか民主党系であつたかと思います。そうしておるうちに第一次の農地改革とかいうようなものが、何かうわさに上つた。そのときにまた呼ばれまして、今度の農地委員の配分はこういうふうにやろうじやないか。土地の改革はこういうふうにやろうじやないか、こういう相談を受けました。それも私のふに落ちませんために断わつた。だが今度いろいろなことで私をまた巻き込みにかかつたのですが、私は正義に対してまた耕作農民に対してどうしてもその協議に臨むことができず、良心から訴えて協議に乗ることができず、そうこうしておる間に二次改革でない前の農地調整法の解説がありました。それは縣から何と言われましたか記憶はありませんが、役人が一人と縣の農業会から一人來て、その農地調整法を解説していただきました。そのときに実際はそういうものであるか。農地調整法というものはそういうものであるかとそのときに初めて農地調整法の内容を実感したのであります。そして今まで聞いておつた話と非常に違う。それでうちの部落はこういうような状態だと縣の方に言つたら、それは農民組合をつくつて大いにやれ。こういうような激励を受けましてその帰りに多数でこれは農民組合をひとつつくろうじやないか。そのときに発起人会というものをつくりまして、準備委員会、そして結成したのはたしかに五月五日だつたと思つております。そして農民組合を結成するや、地主の方々は地主組合をつくられた。そうしてわれわれに申すには、今まで山林にたき木の仕入れに行くのはのこぎり以外は持つてつてたき木にしてたいてもよろしい。こういうぐあいになつておつた慣例を、山に一切入ることはできない。そうして冠婚葬祭にも出入りをするな。それから森林組合の人夫にも使わない。こういうようなことを地主組合の方から農民組合として直接組合に言渡しては來なかつたのですが、組合の大半の人がそういうことを地主の方から言われておるのです。  それから除名の問題に入つて行きますが、そうしているうちに、やはりそのときに部落として農電を入れようじやないか。大体部落の有志、ところどころにその話がきまつておりました。それも地主組合をつくられてから、この自分の土地は電柱も立てさせられぬ、電線も通させられぬという。私としてはそういうみつともない話はまずいから、どうです、星澤氏にあなたも組合員だし、大石幸一というのも組合員だし、またそのときの地主の徳山さん、大地主のこの人も仲よくやつて行こうじやないか、こういうように話をまとめまして、そこに電気工事、農電を入れたわけです。その農電を入れるときの話としては……(「農電というのは農業電氣か」と呼ぶ者あり)そうです。そのときに事業の分担としては、大石の方は電氣工事、変圧器からいろいろな方の仕事をやつてくれ、徳山氏、星澤權次郎氏はほかの方をやる。そうしてできたところで清算して協同でやる、こういうことになつておりました。それをさつき申しました一筆調査、それを申告しない。それを今度その大石幸一というのが事務に携つておつた。そのために今度そのまま、昔格下であつたものを上げたから、このうらみとして電氣にまぜない、まぜないという意味……。
  162. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 使わせないという意味ですか。
  163. 山田喜一

    山田證人 そうです。そうして三人共同で入れたものをメートルを二キロの変圧器に二馬力のモーターを入れて、大石が使われぬ状態にしてしまつた。そしてそういう話が農民組合の内部に傳つて、これは非常に非民主的な男だ、こういう非民主的なものは組合員としては置くことがならぬから除名しようじやないか。こういうことにしたのです。
  164. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがあなたの方の組合は、組合員の耕地は組合で管理する、組合から離れるものは耕地を渡さなければならぬという規約があつたそうですね。
  165. 山田喜一

    山田證人 それはありません。
  166. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがそれで除名すると同時に耕地を取上げたのではないですか。
  167. 山田喜一

    山田證人 それは取上げておりません。
  168. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 池田清司というのにも何かそういう問題があつたそうですが、それはどういう問題ですか。
  169. 山田喜一

    山田證人 それは組合としてはあまり農地の問題は関係していないのですが、組合としては耕作権の所在には法律の示すままに主張するということになつておりました。
  170. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 池田というのと組合と紛爭か何かあつたでしよう。
  171. 山田喜一

    山田證人 別に紛爭はありません。それでさつきからの話の続きになりますが、そういう非民主的な地主組合が合同をしてわれわれを経済封鎖、そういうような風説まで立つておりました。それでわれわれはそうあの人たちに使つてもらわなくても、われわれはわれわれで仕事をしようじやないか、こういう申合せをしておつたのです。
  172. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何か星澤も池田も前の地主ですか。
  173. 山田喜一

    山田證人 池田さんは地主じやない、小作人です。疎開者です。
  174. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その紛爭はどういうのだ。
  175. 山田喜一

    山田證人 その紛爭は、別に組合として耕地をどうするの、こうするのということはないのです。その耕作権の所在を明らかにするという決議だけはとりました。だが池田清司というものに対してはわれわれは何の話もしておりません。耕地の問題では星澤力松、由太郎という男が地主の池田清司に耕作権の返還を要求しておつたということは聞いております。
  176. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何か組合で由太郎のところへ渡せと言つてやりたいというのでありませんか。
  177. 山田喜一

    山田證人 それは結局農地調整法の解釈のいかんで、主張は、渡せと池田清司には言いませんが、農地委員会の問題になつたら農地調整法というものにただして、そう法の示すままにわれわれが主張するということになつてつたのです。
  178. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこであなた方の方で池田にそれを渡せと言つたそうだが、結局提訴したら池田の耕作権になつたそうじやありませんか。
  179. 山田喜一

    山田證人 それは星澤由太郎というのが受け項つた書類の通知にはそういうことが受け取つてありません。それは話に聞くと、この委員会から調査に行かれた鈴木さんに口答でそういうことを言われたそうです。しかし縣から來た通知には、文面通りは言われませんが、大体こういう意味でなかろうかと記憶しておるのです。その紛爭の土地については、今年は前年の耕作者につくらせて、そのあとに事件の解決をするという意味の文書でなかつたかと覚えております。
  180. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 以前というのは、池田清司につくらせるということになつたのですね。
  181. 山田喜一

    山田證人 そうです。けれどもつくらせることに決定したとは、われわれ考えておりません。
  182. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今年だけはつくらせることになつたのですね。
  183. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  184. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 藤田甚太郎というのにもそういうことがあつたそうですね。
  185. 山田喜一

    山田證人 記憶にありません。
  186. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何か組合で決議したから渡せと言つたことがあるそうですね。そういうことは覚えていませんか。
  187. 山田喜一

    山田證人 いつですか。
  188. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 二十二年の四月に問題が起きたらしいですね。
  189. 山田喜一

    山田證人 それは不法取上げをやつたのです。その不法取上げについては、私は組合としては、これは組合に耕作権があるのだから、人はだれか覚えておりませんが、返してくれるように交渉しました。
  190. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どんな交渉になつたのですか。
  191. 山田喜一

    山田證人 返してもらうことに交渉になりました。向うからそれは自分の考え方が間違つておつたということもはつきりそのときに証言しておられて、何か一筆書いてもらつたかのように考えております。家へ行つて探せばあります。
  192. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 山か何かでもらつて納めたそうじやないか。山林か……。
  193. 山田喜一

    山田證人 それは農地委員長を通じて、君たちはどこにも收入がないのだから、もらう飯米もないのだから、田の飯米だけつくらしてくれという申入れがありまして、委員長の仲裁で少しあげたかのように記憶しております。
  194. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何かそういう契約でもないのですか。中に入つてあなたと——柳川というのは農地委員長だつたね。あなたのとこでそういう話をしたそうじやないか。
  195. 山田喜一

    山田證人 箇所はどこか記憶がないですが、話をしたことは事実です。
  196. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 山林を提供したら田をつくらせてやる……。
  197. 山田喜一

    山田證人 それは提供したらじやないのです。大体向うから台帳面で田の面積の三倍よこすからつくらせてくれ。柳川氏もそういうことでよかろということで解決になつたかと思います。
  198. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがそれでは山林は今だれのものにしたのですか。登記までしたそうですね。
  199. 山田喜一

    山田證人 それは当時の耕作者、田を出した人のものにしたと考えております。
  200. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 高見幸平、池田音次郎、藤田政造、そういう者にやつた……。
  201. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  202. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが山林をやつたら今度はほんとうの田をよこさぬそうじやないか。
  203. 山田喜一

    山田證人 いやあげました。
  204. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いいところを除いて、悪いところを……。
  205. 山田喜一

    山田證人 それは違います。それはわれわれに対する誹謗です。
  206. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうことはないのか。
  207. 山田喜一

    山田證人 ありません。
  208. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから何か星澤權次郎はそういうことがあつてから、たいへん税金が上げられたそうですね。
  209. 山田喜一

    山田證人 それは反対でしよう。今年ですね。この下甘田の税の協定をして下甘田に五百万円の預金の税金の不足面があるが、上甘田は下甘田の四分の一を占めておつて下甘田の場合、四分の一の戸数を占めておる上甘田の部落が、一割に達せん貯金しかない状態なんです。そうして二百五十万円の借財を上甘田で半分抱えておるという逼迫した経済状態にあるときに、星澤權次郎氏というものは、鈴木さんも行つて見られただろうと思うが、莫大な邸宅を建てております。その新築税が私の羽咋の地方事務所の某という檢査官に聞いたときには、六万円以上はかかると言つてつたのが、二万九千円になつたとかいうことを聞いておるのですが、それは反対の言葉じやないかと思うのです。
  210. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何か仲間はずれした者の方に耕作の手傳いに行つたらいかぬということを組合の方でやつておるそうですね。
  211. 山田喜一

    山田證人 そういうことはありません。
  212. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 監視員が何かをおいて行つたという……。
  213. 山田喜一

    山田證人 そういうことは事実無根です。ありません。
  214. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ほかに何かお尋ねがありますか。
  215. 石田一松

    ○石田(一)委員 私はただいまの証人の言と反対側の立場にある方の証言を聞かないで、そういうことを断定することは早計であるという委員長の言葉があるかもしれませんが、ただいままで聞きますところ、本件理事会において取上げるかどうかということについてたいへんな論議がありました際に、われわれが非常に心配したことは、今証人の言葉によつて如実に持ち出されておると思います。それは現在代議士になつておるある者が、自分の以前やつていたいわゆる組合の内部の問題であるその組合の從業員の問題をここに持ち出して、自分の選挙区の地固めをし、自分の手柄を保持せんがために、これを委員会に持ち出したものである。しかもこういうものを取上げるには理事会で多数をもつて押切つて、まつたくわれわれが今ここで聞いているところによると、実に言語道断なことである。こういうことはこの際ただちに取やめて調査を打切られんことを望みます。
  216. 神山茂夫

    神山委員 私はゆつくり質問しようと思つたのですが、ちようど石田委員が適切な発言をされたので、二、三補足的にお尋ねしたいと思います。先ほど証人は陳述の中で某なる者に呼ばれて、某なる代議士の選挙運動を委嘱されたというふうに言われましたが、その某なる人はだれであるか、はつきり言つていただきたい。
  217. 山田喜一

    山田證人 私が頼まれた人は、岡山喜六大体森林組合の専務理事です。それから運動を頼まれた人の名前は大森玉木氏の運動を頼まれたのです。
  218. 神山茂夫

    神山委員 それでは続いて名前が出ましたから聞きますが、その岡山喜六という人はいかなる政党に属して、どういうふうな役割をしておられますか。また村における勢力、そういう点を聞きたいのです。
  219. 山田喜一

    山田證人 政党の所属は、何党に入党しておるか、私はわかりませんが、民主党の人の選挙運動を依頼されたから、民主党でないか、こう自分では思つております。事実はどうかわかりません。それでどういう勢力関係か、もう一度……。
  220. 神山茂夫

    神山委員 私の方で調べたのでは、森林組合の理事となつておる、もと警防團の團長、こういうふうになつておりますが、これは事実ですか。
  221. 山田喜一

    山田證人 事実です。
  222. 神山茂夫

    神山委員 それではもつとお尋ねいたしますが、この人があなたの村の四人残つたいわゆる反動的な地主の人だ、そういう人の中心だということも事実ですね。
  223. 山田喜一

    山田證人 背後勢力ではあるということは私は考えております。
  224. 神山茂夫

    神山委員 本件の中に再々出て來る徳山正雄という人はこの人のロボットだと言われておりますが、その点はどうですか。
  225. 山田喜一

    山田證人 森林組合の内容について、最近私は森林組合員かどうかわかりませんが、たとえば森林組合員であるところの幹事その他の内容はどういうことになつておるか、徳山組合長のところに聞きに行つたら、私は何も知らぬ、岡山のところに全部の書類が行つておる、こういうぐあいに言つておりました。
  226. 神山茂夫

    神山委員 それでわかりました。今度はまた別のことをお尋ねします。村長さんは民主党に属しておるというふうに言われておりますが、この点あなた御存じですか。
  227. 山田喜一

    山田證人 あの人の甥にあたる人が前の石川縣の縣会議員で、前の縣会副議長をしていた吉野幸藏さん、この人の叔父にあたるから民主党系でないかと考えております。
  228. 神山茂夫

    神山委員 それでは続いてお尋ねいたしますが、現在の村会議員の勢力分布、これがもし今記憶を呼び起されれば伺いたい。たとえば共産党系何名、民主党系同名というふうに言つていただきたいと思います。
  229. 山田喜一

    山田證人 大体共産党の議員は五名おります。それから今年の選挙に党派をあげたからそう考えておるのですが、民自党が一名と民主党が一名、その他は無所属でです。
  230. 神山茂夫

    神山委員 民主党系という人は何名ですか。
  231. 山田喜一

    山田證人 系とわれわれが感じておる人は大体四名かと思つております。
  232. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 全部で何名なんだ。
  233. 山田喜一

    山田證人 十六名です。農民組合関係から農民組合の組合長が一人出ております。     〔「共産系は何名だ」と呼ぶ者あり〕
  234. 山田喜一

    山田證人 共産系と言いますとおかしいのですが、大体民主戰線側、われわれが感じておるものは共産党を入れて大体八名、嚴正中立が二名、あと六名、二名、五名、こういうぐあいに私は考えております。
  235. 神山茂夫

    神山委員 ここに茜雲会という集まりがあるそうですが、茜雲会というのはどんなものですか。
  236. 山田喜一

    山田證人 茜雲会というものの内容は十分に知つておりませんが、今まで権力と結びついておつて、いろいろなわがままをやつた事実があるのです。そういう会合のように私は考えております。一つ申し上げますれば、最近徳山正雄氏は今言いましたところの供米三俵、またほかに九俵何がしという米を、やはりその人たちの勢力範囲に出しておらない米を出したかのように装い、米を出さずに金をとつておるというような仕事の方に入つてつたのではないかと考えております。その九俵の米の事実は、監査の結果そういう不正があるということで、あとから専務理事と組合長にお尋ねしたのですが、昨年の十月末日には出ていなかつたことは事実だ。三俵の米については四月四日に徳山専務理事がわしが配給の分としてもらつた、こういう答弁をしました。
  237. 神山茂夫

    神山委員 それでは今度は先ほど藤田甚太郎氏のことに関して委員長から二、三御質問がありましたが、これに対してあなたのお答えになつたことは私たちは了解しました。そこでもう一つお尋ねしたい。本件考査委員会に提出されまして、これに対して陳情書が出ております。この陳情書は各委員諸君の手元に配つてありますから私はあえて読みませんが、その結論にこういうことをうたつておるのです。初め召集やその他で労働力もなく村が非常に荒れて來たけれども、その人たち帰つて來たし、労働力が豊富になつて、現在は当時の荒廃地の五割以上が旧形に復して、なお將來も開拓の傾向が顯著でありますと書いてあるのですが、これは事実ですか。
  238. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  239. 神山茂夫

    神山委員 この陳情書の第一に署名しておられるのは、先ほど問題になつた藤田甚太郎氏ですが、このことは間違いありませんか。
  240. 山田喜一

    山田證人 ありません。それは事実署名をされて捺印していただきました。
  241. 神山茂夫

    神山委員 それでは最後にもう一つお尋ねしますが、本委員会に提出されました大森玉木代議士調査要求内容を申し上げますと、こういうことになつておる。「一、普通田を採草地として農地委員会に於て決定した不正事件石川縣羽咋郡下甘田村に於て面積三百筆の普通田を採草地として農地委員会に於て決定した事実であり、價格は採草地十四倍、普通田四十倍にして、差格金は多数でもつて着服したり。調査相成度く」、こういう調査要求によつて調査が行われたわけでありますが、この点についてあなたの陳述そのものが先ほどから反駁しておりますが、その点もう一辺確認していただけませんか。
  242. 山田喜一

    山田證人 それは十四倍というのはうそです。十八倍です。それから着服しておるということは神明に誓つてありません。
  243. 神山茂夫

    神山委員 それから二百筆というのはどうですか。
  244. 山田喜一

    山田證人 それは二百筆ではなくして……。
  245. 神山茂夫

    神山委員 先ほどあなたのお述べになつた通りですか。
  246. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  247. 神山茂夫

    神山委員 委員長、私はあとに証人尋問の権利を保留しながら、一應提案します。今までの質問ですでに明らかになつたことでありますが、この問題は今石田委員が指摘されましたように、非常に党派的な色彩の強い問題であります。ことに本件の提出者である大森代議士が今日ここにいないということは非常に残念でありますが、私が開会劈頭に申し上げましたように、本件があたかも自分の選挙運動の道具に使われておるように思われることは、大森君の意図いかんにかかわらず地方新聞等に出ておる事実からも明らかであります。しかも今証人一人しか呼ばれておりませんが、当の関係者である山田君の発言だけを通じても明らかなことは、日本の農村を法令に基いて民主化して行こうという農民の動きと古い地主との間の闘いであり、しかも地主そのものの中にさえすでに同調者が出ておるという事実であります。これは九地主のうちの四名だけが反対意向を持ち、他の地主諸君は陳情書の署名人になつておるという事実からも明らかであります。從つて石田君の指摘されましたように、一部の人の勢力を代表するために本考査委員会にこういう問題を提出したということを私たちは痛感せざるを得ない。從つてもしもこの調査をさらに継続されるとすれば、もちろん私たちは十分な調査資料を持つておりますからあくまでも眞相を徹底的に追究するにやぶさかはありません。しかしもうすでにこれほど明らかであり、しかもこれほど政治的な意図がはつきりしておる案件を、当考査委員会がこれ以上取上げることは、考査委員会の超党法的の性質に反する。このことを強調せざるを得ない。從つて石田君の動議に賛成し調査打切りの意見に賛成するものであります。
  248. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 石田委員の御説ではもはや事件内容が明瞭なごとくおつしやいましたが、ただ一人の証人を尋問してこれで明瞭だとは、あまりに委員会は無責任であると考えます。山田君にお尋ねします。あなたは今村会の分野を見ると神山君の質問に対する御答弁によりますと、五人の同志がおられるということでありますが……。
  249. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  250. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 その五人の共産党の一人でありますか。
  251. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  252. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 それでは共産党の一人の話を聞いて私たちはただちにこれを全面的に肯定するわけには参りません。かような見地においてその動議に対しましては反対であります。
  253. 池田正之輔

    ○池田(正)委員 今の動議は一面もつともであるようでもある。ところがこれは一人の証言によつてどうこうとわれわれがここで決することは早計である。神山君が指摘されるごとく、特定の人によつてこれを利用されるようなにおいがしないこともない。もしそうだとすれば、これはまたゆゆしい問題だと思う。從つてわれわれの委員会として一應取上げた以上は、そういうことが事実だとすればだまつておるわけには行かぬ。委員会としての何らかの処置をとらなければならぬと私は思う。そういう意味から言つても、この審議は続けた方がよろしい。結論としてはこういうことです
  254. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 買收計画明細書なるものは、当然地主に手渡す必要があることを認めておりますが、これをなぜ地主に渡さぬかという質問に対して、その責任書記にあるとおつしやいましたが、あなたはこの村において終戰後のボスとも言うべき非常な勢力を持つておいでになる方であつて、ことに農地組合長をしておいでになるのだが、それを書記のみの責任として済むとお思いになりますか。
  255. 山田喜一

    山田證人 責任ということは書記の仕事だという意味で言つたのです。責任委員会にあります。
  256. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 書記の仕事だと思つた、責任委員会にある、あなたもその委員の一人として責任を感じている、こういうわけですか
  257. 山田喜一

    山田證人 感じているからどうしたかと書記にただした。
  258. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 もう一点、この採草地の賣渡しを受けました人の大体の調べですか、これによりますと純然たる田になつておりまするが、あなたの答弁では、あなたの持つておいでになる一反二畝二十一歩には田がないとおつしやいましたがそうですか。
  259. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  260. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 それから山田作平氏のことは知らぬ。山田清司一反四畝十六歩、これはどうでしたか。田はありませんか。
  261. 山田喜一

    山田證人 さつき委員長に申し上げた通りです。
  262. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 わからぬとおつしやいましたね。
  263. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 それからもう一つ聞きますが、見込み割当をやつたかどうかという委員長の質問に対して、最初はそういうことをした覚えがないという御答弁だつた。ところがだんだん最後に行つて、そういうようなこともあるように答弁を聞きましたが、これはいかがですか。
  264. 山田喜一

    山田證人 その見込み割当見解について私は委員長にもただしました。
  265. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 そこでそういうことはないとおつしやるのですか、あるとおつしやるのですか
  266. 山田喜一

    山田證人 見込み割当というものはありませんが、しかしそこには操作米というものが八斗ほどあるように報告を受けています。
  267. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 昭和二十三年度に二十五石あつたという調べもありまするが、あなたは八斗程度であつたとおつしやるのですね。
  268. 山田喜一

    山田證人 そういうふうに聞いております。
  269. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 それからもう一つ、まず地方帰つて、いわゆる封建的な地主の横暴に憤慨されたか、あるいはまた悲惨な小作人に同情されたか、いずれか存じませんが、ともかくも農民組合というものをつくつた。ところがこれに対抗して地主組合をつくつたとおつしやるが、どつちが早くできたか。
  270. 山田喜一

    山田證人 地主組合が遅いです。
  271. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 ところがあなたの話を聞いていると、その遅い地主組合からいかにも挑戰されたように私は聞きましたが、そういうふうなことは……。
  272. 山田喜一

    山田證人 それは農民組合をつくり、土地の取上げを防止するためにわれわれは活躍したから、取上げをしようという意味か、昔の封建的な勢力を維持しようという意味かしらんけれども、そういうことを組合員の者で聞いている者は大半おります
  273. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 あなたのところへは……。
  274. 山田喜一

    山田證人 私のところへはそういう宣戰布告は聞いておりません。
  275. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 その組合規約の中に、組合員の耕地は組合で管理する、組合から離れた者は組合に耕地を渡すという一箇條がないとあなたは否定されたが、これは間違いありませんか。
  276. 山田喜一

    山田證人 組合員の耕地は組合で管理するという項目はありますが、それを去る者は取上げるとか、置いて行けとかいう項目はありません。
  277. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 組合から離れる者は組合に耕地を渡すという條文もありませんか。
  278. 山田喜一

    山田證人 ありません。
  279. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 先ほど何もないとは聞いたのだが、管理というのはあつたのだね。
  280. 山田喜一

    山田證人 組合員の農地は組合で管理するという條項があることは事実です。けれども組合を出る場合には、その農地を置いて行けとか、取上げるとかいう條項はない。
  281. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 管理というのはどういうことですか。
  282. 山田喜一

    山田證人 管理というのは大体用水からいろんなことをやり、また……。
  283. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうことをやるつもりですか。
  284. 山田喜一

    山田證人 現在管理の実施はいたしておりませんが、管理という意味は大体こういうことじやないかと思います。地主に取上げられたり、いろんなことをされる場合には、協同管理という意味でそういう條項を入れておけば、いろんな場面に発言でき、また……しかし規約の内容をもう一度檢討しなければ……。
  285. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あんたがつくつたのじやないですか。
  286. 山田喜一

    山田證人 みなしてつくつたのです。私一人してつくつたのではありません。
  287. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 組合を出て行けば管理は離れますか。
  288. 山田喜一

    山田證人 耕作権は向うにあるのですから、これは当然持つて帰るでしよう。
  289. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 管理権が組合にある以上は、かつてに持つて行けないことになりますね。
  290. 山田喜一

    山田證人 現在はその管理をやつておらぬ。
  291. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 問題になるのは、管理といえばどういうことになるかということが一番問題になるのだが、あなたはわからぬと言われる。それならば組合を離れて行けば、その者が耕作権を持つて行くと、管理権は残つているかどうか。
  292. 山田喜一

    山田證人 もし必要なら組合員のみなに聞いて御報告いたします。私はこの件について実際やつておらぬから、今具体的に説明しろと言われてもわからぬのです。
  293. 神山茂夫

    神山委員 ちよつと議事進行について。これは組合の規約がここではつきりすれば今の話はすつきりすると思うのです。それで私はその規約をここに持つていますから読んでみます。今のに関係しているのを……。
  294. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この村の規約ですか。
  295. 神山茂夫

    神山委員 そうです。その農民組合規約の第五條にこう書いてあるわけです。本組合員の耕地はすべて組合の管理とする。そこで私はあえて説明することはしませんが、管理というのは所有権を取上げるとかいうのではなくて、ただ扱いを協同してやつて行くという意味だけですから、この点をよく了解してもらいたい。その次に規約の第八條にこういうことが書いてある。組合員は、自己の都合上耕地の返還を欲する場合は、組合に返還し、直接地主に対してなすべからず。このことなんです。
  296. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ちよつと神山君、それはいかぬよ。君が説明しないで、この人がわからなければこの規約を見せて証人に説明させればよいのですから……。そこで君が説明したのでは何にもならない。
  297. 徳田球一

    ○徳田委員 こういう規約のあるのを調べて來ないでどうするのだ。調査員調査して來るのが任務じやないか。それをして來ないから、神山君が出しておるのだ。
  298. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それを出して來ることはこつちは希望するよ。君がそこで説明するからいかぬのだ。
  299. 石田一松

    ○石田(一)委員 それが組合の規約かどうかわかつているのか。
  300. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 こういうものが出ている以上、これはあなたの方に本物があるのでしよう。
  301. 山田喜一

    山田證人 はい。
  302. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは調査員行つたとき出なかつたそうですね。
  303. 山田喜一

    山田證人 調査員が來られたときには、何かそういうものがあるかと言うて事実について何も聞いてくれない。役場で一時間か、二時間ほど調査を受けただけです。
  304. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それがあるならこつちに送つてもらいましよう。あとでお返ししますから……。
  305. 山田喜一

    山田證人 本物は出すとも出さないとも組合員の総意を聞かなければわかりませんから……。
  306. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あることはありますね。
  307. 山田喜一

    山田證人 あります。
  308. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたがそう言われるのならばこつちから取寄せにやります。  今この規約を見ると第五條に耕地は組合員の管理とす、宅地を含むという條項がありますが……。
  309. 山田喜一

    山田證人 あります。
  310. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その意味を私は先ほどから聞いているのです。これはどういう意味ですか。
  311. 山田喜一

    山田證人 それはその耕地を地主に返還するというような場合、これは地主に返還する前に組合へ一應返還していただいて、そうして組合から返還すべきものは返還する、こういう意味です。
  312. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると組合に一ぺん取上げるのか。
  313. 山田喜一

    山田證人 取上げるのではありません。
  314. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは預けるのか。
  315. 山田喜一

    山田證人 預けるのではなく、これは事務的な手続です。
  316. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういう意味ですか。これがどうもよくわからぬ。  もう一つ、さつきも言つたが、組合員が組合から脱退するとあなたの方の管理はどうなりますか。
  317. 山田喜一

    山田證人 今までやつているところでは、事実脱退して出て行く場合には、その耕地はそのまま持つて帰つて來ます。
  318. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 組合に残せというようなことを言つたことはありませんか。
  319. 山田喜一

    山田證人 ありません。
  320. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何かほかにありますか。
  321. 小川半次

    ○小川(半)委員 山田證人にお尋ねいたします。上棚部落におきましてあなたの親族が非常に多いということですが、どれくらいの数の親族がおりますか。
  322. 山田喜一

    山田證人 大体百十四戸のうちで八戸ばかり親族であります。
  323. 小川半次

    ○小川(半)委員 あなたが日本共産党に入党されたのはいつごろですか。
  324. 山田喜一

    山田證人 五月八日付で入党申込書を出しました。
  325. 小川半次

    ○小川(半)委員 それはいつのですか。
  326. 山田喜一

    山田證人 今年の……。
  327. 小川半次

    ○小川(半)委員 あなたは村会議員に立候補されたときに、共産党を名乗つて立候補されたのではないのですか。
  328. 山田喜一

    山田證人 しておりません。
  329. 小川半次

    ○小川(半)委員 そのときは無所属だつたのですか。
  330. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  331. 小川半次

    ○小川(半)委員 実は私の情報によりますれば、あなたは十八歳くらいから軍隊に志願されて、ずつと軍隊生活をしておられて、終戰後もかなり思想的に、やはり軍國主義じやなかつたでしようけれども、非常にそうした思想が強かつたんですが、途中から極左に行かれたこの動機は、どうも農地問題が、農地開放が行われてから急にそういうぐあいに思想的な大きな轉換期が來たのではないかと私は思うのですが、また世間もそういうぐあいに見ておるのですが、大体これに間違ありませんか。
  332. 山田喜一

    山田證人 十八歳から海軍に入つたというのは聞違いです。私は徴兵で入りました。十一年の六月三十日に入りました。現在三十五歳です。
  333. 小川半次

    ○小川(半)委員 それまでずつと……。
  334. 山田喜一

    山田證人 そうです。それで共産党に入つた動機を……。
  335. 小川半次

    ○小川(半)委員 動機ではない、それは意見です。それはさつきあなたが言つたからいいんだ。要するに、その農地問題が起つてから大体共産主義系に走つたというのですか、これが重大なんだ。
  336. 山田喜一

    山田證人 ちよつと待つてください。心を整理しますから。
  337. 小川半次

    ○小川(半)委員 実はあなたにたいへん失礼なことを尋ねるようですが、要するに農地問題にからんで多数の親族とかあるいは部落民をぐつとアジつて、そして結局自己に有利な方向に持つて行く、持つて行く場合には、やはり多数の團結が必要だ、多数の團結をもつて自分はその自己有利の道を開いて行こう、こういう考えを持たれたのではないかと、そう想像している人もおるし、われわれも、話の結論まで行かなければわかりませんが、現段階においてはそういうことも考えられると思うのです。
  338. 山田喜一

    山田證人 ……。
  339. 小川半次

    ○小川(半)委員 それはいずれまた他の人の証言も必要と思いまするから、さらに山田証人に対しては質問する場合が出て來ると思いますから、一應これでお答えなくともよろしい、また次の機会にお尋ねしますから。
  340. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 小松君。
  341. 小松勇次

    ○小松委員 山田証人にお尋ねいたしますが、あなたの上棚部落は先ほどお話のあつた四町何反歩という土地が非常に荒れておるのですが、この土地の荒れた原因は、洪水のためであるのか、あるいは耕作放棄のために田地が荒れたのですか。
  342. 山田喜一

    山田證人 それは戰爭中のでき事で、私ははつきり答弁はできません。戰爭中は軍隊におりましたから。だが帰つてから人の話では、毎年々々過重な供出により耕作放棄をしたものもおるということを聞いております。
  343. 小松勇次

    ○小松委員 どのくらいの人数がおりますか。
  344. 山田喜一

    山田證人 それは私としては調査をしておりません。
  345. 小松勇次

    ○小松委員 あなたがお帰りになつて、どのくらいの人が耕作放棄をしたか、あなたがお聞きになつたところで……。
  346. 山田喜一

    山田證人 そういうことも聞いておらぬです。何人耕作放棄したかということは……。それをお聞きになつても私としては……。
  347. 小松勇次

    ○小松委員 あなたは農民組合長をしておられるのでしよう。
  348. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  349. 小松勇次

    ○小松委員 農民組合長をしておられて、農民を御指導なさる立場におられるならば、現在のことだけでなくして、過去の村の歴史をよくよく顧みて、いろいろの御計画を立てて、御指導なされるのが組合長のお立場じやないのですか。その人がそういうことを御存じないとは私ちよつとふにおちぬ。
  350. 山田喜一

    山田證人 それははつきりした数字とか、いろいろなことに立ち至れば、これはわかりませんです。
  351. 小松勇次

    ○小松委員 はつきりしなくて、およそでよろしい。
  352. 山田喜一

    山田證人 大体自分が終戰のときに帰つて來た状況から言つたら、ほとんどの農家が——三割なり五割なりという農家は、一應大なり小なり耕作放棄というものを出しておつたのじやないかと考えております。
  353. 小松勇次

    ○小松委員 それはその程度にしておきましよう。それから荒廃地を採草地として買收計画をお立てになつた。この買收計画はすでにもう完了したものと存じますが、何人くらいの方にこれを賣渡したことになつたのですか。
  354. 山田喜一

    山田證人 これは委員長のお手もとに上げてあります。
  355. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、あなたの土地では地主の保有面積はどのくらいを許されておりますか。
  356. 山田喜一

    山田證人 地主の保有面積は、法律にきめられた通り、七反歩です。
  357. 小松勇次

    ○小松委員 これはあなたの石川縣全部ですか。
  358. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  359. 小松勇次

    ○小松委員 それから先ほどもいろいろ皆さんからお話がありましたが、この荒廃地を採草地として買收計画を立てることの縣の了解を得て、そして部落でいろいろ会合されて御相談の結果、農地委員会がさような取扱をしたというようなお話でありますが、その部落の会合において、この指導役といいますか、支配者といいますか、そういう方は、どなたが主になつてこの会合をおまとめになつたのですか。
  360. 山田喜一

    山田證人 それは指導役とか何とか言われますと何ですが、部落の寄合いの会合は、ときの駐在員の方がやりました。
  361. 小松勇次

    ○小松委員 駐在員というのは何ですか。農業駐在員ですか。
  362. 山田喜一

    山田證人 いや、違います。最近何か法令か何かで、常会長とか何とかいうものを廃止して、役場の管轄で駐在員を置いてやるというようなことが、何か出されたのじやないかと思つておりますが……。
  363. 小松勇次

    ○小松委員 部落の方ですか、その駐在員という方は。
  364. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  365. 小松勇次

    ○小松委員 部落の寄合いで、あなたがこの会合のまとめ役をお勤めになつたのじやないですか。
  366. 山田喜一

    山田證人 違います。
  367. 小松勇次

    ○小松委員 柳川さんがお勤めになつたのですか。
  368. 山田喜一

    山田證人 違います。
  369. 小松勇次

    ○小松委員 やはり駐在員ですか。
  370. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  371. 小松勇次

    ○小松委員 駐在員は何という方ですか。
  372. 山田喜一

    山田證人 さつき委員長さんに申しあげておいたですが、大石義保です。
  373. 鍛冶良作

  374. 山田喜一

    山田證人 あれはどういうことになつておるのですかね。
  375. 小松勇次

    ○小松委員 あなたの方であれはおつけになつたのじやないですか。
  376. 山田喜一

    山田證人 縣かどこかで示された名前です。
  377. 小松勇次

    ○小松委員 手当は。
  378. 山田喜一

    山田證人 手当は村から出ております。
  379. 小松勇次

    ○小松委員 今の駐在員ですが、あなたの村には何人おるのですか。
  380. 山田喜一

    山田證人 部落に一人おります。
  381. 小松勇次

    ○小松委員 村には幾人おりますか。
  382. 山田喜一

    山田證人 村に八人おります。
  383. 小松勇次

    ○小松委員 それからあなたの部落に対して。割当の問題でありますが、われわれが聞くところによると、先ほどお話のあつたごとく、二十町歩余にわたる面積の不正申告がある、かように聞いておるのですが、この供出米に対する事前割当については、あなたは農民組合長であり、かつまた農業調整委員であられるから、こういう事前割当についても参加されておると私は想像いたすのですが、あなたは当時これらの問題について参加されたのでありますか。
  384. 山田喜一

    山田證人 部落割当ですか。
  385. 小松勇次

    ○小松委員 部落割当
  386. 山田喜一

    山田證人 村の割当には当然参加しておりますし、部落割当の大体の比率をきめるときには参加しておりました。
  387. 小松勇次

    ○小松委員 あなたは何年ごろからそれに参加しておりますか。
  388. 山田喜一

    山田證人 食糧調整委員会というものができましてからずつと参加しております。
  389. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、あなたの村でかような不正申告があるということは、おおよそ当時あなたは御存じでなければならぬはずだと思うのですが、かような不正があつたということは、当時あなたは全然御存じなかつたのですか。
  390. 山田喜一

    山田證人 部落については、その割当当時、耕地の実態というものを把握して割当しておるので、そういうことはないと思いますが、村としては村長責任であるのじやないかと思われる点もあります。
  391. 池田正之輔

    ○池田(正)委員 君は村会議長だろう。
  392. 山田喜一

    山田證人 村会議長はしておりましても、農業調整委員会には委員長というものがあります。
  393. 小松勇次

    ○小松委員 あなたが全部の責任がある云々じやない。農業調整委員もなさつておるし、農民組合長もかねておられるから、そういうお立場の人は、その部落において二十町歩余にわたる不正申告があるという場合に、これを黙しておるはずはない。その当時からあなたは、こういうことがあるということをうすうす御存じであうたのじやないか。
  394. 山田喜一

    山田證人 それは感じておりました。だから二十二年、三年、四年と三箇年続けて、一筆調査並びにその一筆についての実態調査をやるように、時の農業調整委員長、むかしの食糧調整委員長あてに、その会議の席上で再三主張しております。
  395. 小松勇次

    ○小松委員 あなたの村では事前割当はどのくらいありましたか。その事前割当に対して、農民に対して割当てた数量はどのくらいですか、おわかりになりませんか。
  396. 山田喜一

    山田證人 数字的には記憶しておりません。資料も持つて來ておりません。
  397. 小松勇次

    ○小松委員 大体ほぼ同じような割当になつておりますか、事前割当の量と、農民割当てられた量と。
  398. 山田喜一

    山田證人 どういう意味ですか。
  399. 小松勇次

    ○小松委員 たとえば縣なら縣からあなたの町村に幾らという事前割当が参るでしよう。そうすると、また村においては各部落にいろいろ状況に應じて割当てをするでしよう。部落の所有面積その他作柄等によつて割当てをしましよう。
  400. 山田喜一

    山田證人 作柄ということは地方という意味ですか。割当は今年の一月やつたのでありますから、作柄を見てということは……。
  401. 小松勇次

    ○小松委員 それは実態調査です。それはどうです。事前割当では作柄は見られないわけだ。それに対してどうです。
  402. 山田喜一

    山田證人 どういうことですか。
  403. 小松勇次

    ○小松委員 わかりませんか。
  404. 山田喜一

    山田證人 どうも意味がぴんと來ぬのですが……。
  405. 小松勇次

    ○小松委員 村の割当数量を各部落面積に應じて適当にわけるでしよう。上棚部落ではこのくらい、あなたの方に割当てられた数量は、やはり農業調整委員とか、農民組合等があつせんしてその完遂を期していらつしやるのでしよう。
  406. 山田喜一

    山田證人 それはこういう状態にやつております。もちろん村の農地委員が四名、旧地主二名と、農民組合側から二名と、村へ出ている調整委員がおりますが、このものも参加しておりますが、その主体は、部落を中心として出した、部落のいろいろなことをきめる委員といいますか、旧地生とか、組合員とか、いろいろな人から構成した委員会にわれわれも参加させていただいて、正しい割当をするように努力はしております。
  407. 小松勇次

    ○小松委員 私の伺うのがわからぬですかね。あなたの部落割当てられた数量と同じような数量か、あるいは以下をあなた方が割当てたか、それ以上割当てたか、これを伺うのです。
  408. 山田喜一

    山田證人 さつき委員長にも申し上げておいたのです。大体來た数字を割当てるように計算したのですが、その計算で計算上端数が出て來た、計算したら八斗ばかりよけいになつた。それは計算するのも何だから、残しておいて、後に補正なり、また補正が必要でない場合は超過供出をするというぐあいで、要するに私どもが寄つてやつおるのは、率をきめて、大体われわれの責任割当面積はきめて、あとの計算はその委員から出ておる筆の上手な人、そろばんの上手な人、こういう人を雇つてつてもらつておるのです。それでその結果八斗ほど出て來たということの報告は受けた。このこまかい数字は私はわかりません。
  409. 小松勇次

    ○小松委員 こまかい数字はよろしい。大体割当てられた数字よりよけい來たり、あるいはそれ以下に來たりする部落があるのです。そういうことはなかつたか。
  410. 山田喜一

    山田證人 そういうことはありません。
  411. 小松勇次

    ○小松委員 あなたの部落では操作米という制度は設けられておるのですね。
  412. 山田喜一

    山田證人 いや操作米というような、そういう制度は設けておらぬのです。
  413. 小松勇次

    ○小松委員 不慮の災害とか、追加供出、祝言、出産等に備えて、操作米という制度が設けられておるように聞いておるのですが、そういうことは全然ないのですか。
  414. 山田喜一

    山田證人 ありません。そういう制度はきめられるものでもなし、きめてもおりません。
  415. 小松勇次

    ○小松委員 では農民組合の方々だけでも、こういうことをやつておりませんか。
  416. 山田喜一

    山田證人 やつておりません。農民組合などは非常にタツチしておるようにさつきからお話になつておるのですが、これは全部落一本で、部落駐在員という人の責任でやつてもらつておるのです。大体そういうふうに、石川縣のあの付近の農村はやつておるのではないかと思うのですが、今度も二十二日の日に末端割当の状況を縣から調査に來たのですが、この人はやはり調整委員だけを寄せなくて、部落の末端割当責任者として区長さん、要するに駐在員ですね。区長さんという言葉は昔の区長さんと一緒の仕事を駐在員がやつておるので、一区長さんと口がすべるのですが、区長を駐在員と言うのです。
  417. 小松勇次

    ○小松委員 駐在員の方が何かの名目で、これに似たようなことで米を集めているというようなことはないのですか。
  418. 山田喜一

    山田證人 私の関知するところでは、ありません。すべての部落のことを私に質問されてもわかりません。
  419. 小松勇次

    ○小松委員 しかし、その百戸か百十四戸の部落の中のことであるし、大体あなたは村会議員でもあるし、あらゆる指導階級の位置にあるあなたは、たいていのことは御存じだと思うから、われわれは伺うのです。これを知らないような人なら、あなたは農民組合の指導者とは言えぬでしよう。
  420. 山田喜一

    山田證人 しかし、知つていることは申し上げますが、知らぬことは……。
  421. 小松勇次

    ○小松委員 知らぬことは知らないでよろしい。およそ小さな百戸くらいの部落で、知らぬことはないと思うのです。
  422. 山田喜一

    山田證人 そうじやないですよ。私たちの村は一周したら一里何ぼあるのです。山の中に九十幾つの田があり、あちらに一軒、こちらに一軒とその間に点在しておるのですから……。
  423. 小松勇次

    ○小松委員 なおお尋ねするのですが、これはわれわれの所に入つた情報で、他の人も今伺つたようだけれども、念のため重ねて私は伺うのですが、あなたの方の農民組合の人たちが、地主いじめというか、地主に対抗的な立場から、地主のところに働きに行くなとか、あるいは反対はのところへ働きに行くなとか、手を貸すなというような、労働封鎖のような挙に出たということを耳にしておるのですが、そういうことは全然ありませんか。
  424. 山田喜一

    山田證人 それは、そういう決議はとりませんが、向うが経済封鎖をやると言つた——さつき部落の概要を申し上げましたが、そのときに、その対抗策として、それだつたら使つてもらわなくてもよろしい、そういうところに、使つてやるのはいやだというところに、お互いに行かぬでいたらいいじやないか、こういうよう申合せはしました。
  425. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 さつき、そういうことはないと言つたが、あつたんだな。     〔「そんなことは聞きやしないよ」と呼ぶ者あり〕
  426. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いや聞いた。さようなことはありませんと言つた。
  427. 小松勇次

    ○小松委員 証人に伺いますが、かような御相談はどなたが指導役でなさつたのですか。
  428. 山田喜一

    山田證人 指導役というものはいなかつたのですが、農民組合の大会で、そういう動議が持ち出されて、そういう申合せをしました。
  429. 小松勇次

    ○小松委員 その農民和合の会合の支配役は、組合長のあなたがお取扱いになつたのですか。
  430. 山田喜一

    山田證人 それは、大会の開会直後、議長というものを選出し、その議長によつてそういう議事はきめております。
  431. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、この労働封鎖のような行為は、今もつて続いておりますか。
  432. 山田喜一

    山田證人 今もつてといつて申合せをして、別にこれを解除するとも、継続するとも、最近確認をしておりません。そういうことは必要のようにも思つておらぬのですが、それは自然に解消したのではないかと思うのですが……。
  433. 小松勇次

    ○小松委員 申合せをあなた方がなすつて、そうしてその申合せを解除する事態にいまだ至らずですね。さように解してよろしいですか。
  434. 山田喜一

    山田證人 それは、どう申し上げてよいか、これは解除するとも、継続しておるとも、私は今も……。
  435. 小松勇次

    ○小松委員 願わくは農村においても、地主の力も、小作人の力も、農村の改善のために盡していただきたいと思うのです。こういう対立はすみやかに解消してもらいたいと思うのです。
  436. 山田喜一

    山田證人 そういうことに進めておるのです。ですから、二十何名のうち四名残して、後はわれわれみんな和氣あいあい、としてやつております。〔「共産党に入つたのか」と呼ぶ者あり〕
  437. 山田喜一

    山田證人 共産党には入らないが、入るか入らないかはその人の自由です。
  438. 小松勇次

    ○小松委員 あなたは農業協同和合の理事をなすつていらつしやるのですか。
  439. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  440. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、今問題の岡山喜六という人に対して、農業協同組合では貸出しを個人に対しては五万円以下あるけれども、何十万円というのをこの人に貸しておるということを聞いておるのですが、こういうことがあるのですか。
  441. 山田喜一

    山田證人 それは、今月の六日に理事会がありまして、七日に自治監査というものをやりました。その結果そういうものが現れたことは事実です。
  442. 小松勇次

    ○小松委員 これは、あなた方が在任中にこういう貸付がきたわけなんですか。あなた方のまだ理事にならない以前からこういう貸付があつたのですか。
  443. 山田喜一

    山田證人 数に少々の異動はありますが、大体四十万円以上のものは——私が受継ぎしたときにはそれより余計あつたのです。
  444. 小松勇次

    ○小松委員 どれくらいの額があつたのですか。
  445. 山田喜一

    山田證人 はつきりした数字は覚えてはおりませんが、六十八万……。
  446. 小松勇次

    ○小松委員 六十三万……。
  447. 山田喜一

    山田證人 それよりは余計あつたのですが、そういうことを最近自治監査によつて発見したのです。
  448. 小松勇次

    ○小松委員 それから、あなたの部落ですが、労務加配米が二十三年度において八万七千二百グラムあつたのですが、これが何ら配給されないで、行方不明になつておると聞いておるのですが、こういうことはあつたのですか。
  449. 山田喜一

    山田證人 それは出しておる。どこへやつたかということは、私はまだ本人に聞いておりませんが、労働者のうちに、わしもああいう仕事をしたのだ、おれもこういう仕事をしたのだが、米をくれぬと言う者はおります。
  450. 小松勇次

    ○小松委員 いや、この地方事務所から八万七千二百グラムの配給があつた、こういうことをあなた方聞いておりませんか。
  451. 山田喜一

    山田證人 それは聞いております。
  452. 小松勇次

    ○小松委員 そうしてそれがだれにも配給されないということも聞いておるでしよう。
  453. 山田喜一

    山田證人 だれに配給されたかされぬか、それは日本人と会つて聞いてみたこともありませんが、われわれの関知する労働者の中に、そういう米をもらつておると言う者はただの一人もありません。それ以外にだれかもらつているか知りませんが……。
  454. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると結局加配米も配給されなかつたというわけですか。
  455. 山田喜一

    山田證人 その結論は私は出せません。
  456. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 さつき私が聞いたときは、ある人のところへは手傳いに行つてはいかぬなどと言つたことはないと言われたが、今はあると言われた。それならばもう一ぺん聞くが、監視員をつけて、そこへ行つた承知せぬと言つたそうであるがどうだ。
  457. 山田喜一

    山田證人 それは事実無根です。監視員を置いたとかいう読賣新聞を見て、事実無根のことを書いておると私は憤慨しておつたのです。
  458. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 監視員というか、名前はどうか知らぬが、それに匹敵するようなことをやつたことはありませんか。
  459. 山田喜一

    山田證人 ありません。
  460. 高木松吉

    ○高木(松)委員 はつきりしないから聞くんだが。あんたの部落採草地というのが幾らあるか。
  461. 山田喜一

    山田證人 四町一反五畝十五歩です。
  462. 高木松吉

    ○高木(松)委員 その採草地が現在水田になつておるところがあるのかないのか。
  463. 山田喜一

    山田證人 あります。
  464. 高木松吉

    ○高木(松)委員 どれくらいある。
  465. 山田喜一

    山田證人 四町何反のうち……。これは大体委員長のところに出ております。
  466. 高木松吉

    ○高木(松)委員 あんたは採草地をお持ちになつておるね。
  467. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  468. 高木松吉

    ○高木(松)委員 何ぼ持つておりますか。
  469. 山田喜一

    山田證人 それはここにありますからそろばんしていただけばわかります。
  470. 高木松吉

    ○高木(松)委員 一反と何ぼかわからないからそれをはつきり聞こうと思つた。
  471. 山田喜一

    山田證人 それであつたらそろばんしていただきたい。
  472. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それではよろしい。その採草地が水田になつておる事実はないんですか。
  473. 山田喜一

    山田證人 ありません。
  474. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それから規約の問題になつて來るが、組合から離れたものは組合に耕地を渡すなんという問題は別として、その前項に組合員の耕地は組合で管理するという條項がありますね。
  475. 山田喜一

    山田證人 規約はあります。
  476. 高木松吉

    ○高木(松)委員 規約があつて農民組合ができて、その組合員は何人あるのですか。
  477. 山田喜一

    山田證人 七十三名おります。
  478. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこで聞きたいのは、組合員の耕地は組合で管理するという組合規約をつくつて、これにお互い調印して、この組合規約が成立しておるわけですね。これはどういう意味ですか。——組合規約をつくつてお互いに調印するという組合の條項を、あなたほどの人が内容がわからぬということはない。
  479. 山田喜一

    山田證人 記憶力が薄いですから……。
  480. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そういうことはない。最前からのあなたの証言で、記憶力が薄いということはだれも思つていない。その管理ということはどういうことですか。
  481. 山田喜一

    山田證人 管理ということはさつき申し上げた通り……。
  482. 高木松吉

    ○高木(松)委員 申し上げた通りと言つても少しもわからぬ。わからなければわからないでいいのです。わからぬものを無理に聞くのじやないから、その点はわからぬなら、わからぬと結論つけてください。耕地を管理すると書いてある内容はどういうことだと聞いているのです。あなたは農民運動の指導者だからこのくらいのことはわかるでしよう。わからなければ無理に言わんでいいのです。無理に考えることはないのです。あなたの頭にぱつと映つてきたものをそのまま言つてくれればいいのです。
  483. 山田喜一

    山田證人 こういうぐあいになります。早く言えばここにAという組合員が耕地を持つておつた、これを地主に返還するというような場合に、一應組合に返還していただいて、そうしてその耕地を地主にお返しするならする……。
  484. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それがわかればいいのです。ぼくが先走りかもしれないがこう聞いたらどうですか、要するに耕地を組合で管理するというのではなくして、組合で共同戦線を張つて耕地を保護するという意味じやないのですか。
  485. 山田喜一

    山田證人 そう言えばそう当るかもしれないです。
  486. 高木松吉

    ○高木(松)委員 その点はあなたははつきり言えないのですね。——  それから今度は、前の段はそれでよろしい、後の段に、組合から離れたる者は組合に耕地を渡すという條項はないと言つているのですね。
  487. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  488. 高木松吉

    ○高木(松)委員 よろしい。ほんとうに全然ありませんね。
  489. 山田喜一

    山田證人 ありません。
  490. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それで管理という言葉で、これが実際上——あなたはどう解釈しているかわからぬが、組合員を組合員の自由意思によらずに拘束するような結果が生れた事実はありませんか。
  491. 山田喜一

    山田證人 そういうことが生れた事実はないと思います。
  492. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこで、あなたは最前からいわゆる農民の民主化を叫ばれておるのでまことにけつこうだと思います。そこで地主農民組合、というよりか、あなた方との対抗上、いかなる手段を具体的に用いて行動したか、今までの大体のことを言つてくれませんか。
  493. 山田喜一

    山田證人 抗爭の事実ですか。地主と抗爭したということは土地問題です。土地の取上げの問題だけです。
  494. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこでいま一つ聞きたいことは、どうしても地主と対抗して抗爭するには自分の味方を集めなければならぬということだけはあなたも考えるでしようね。どうですか。——やはりなければないでいいのです、あなたの心に浮んで來たことでよいんだよ。
  495. 山田喜一

    山田證人 それは盛り上る組合の、また部落民の総意によつてわれわれは行動しておるのであります。
  496. 小松勇次

    ○小松委員 先ほどからあなたから伺つてわかつておるのだが、その総意をつくるのに一人でもよけい同志を獲得しようという考えは持つておりますか。
  497. 山田喜一

    山田證人 考えは持つておりますが。
  498. 小松勇次

    ○小松委員 そこなんだ、それを聞くのだ、あとはいいんだ。
  499. 山田喜一

    山田證人 考えは持つておりますがやつたことはありません。
  500. 小松勇次

    ○小松委員 そこで地主に対抗するために種々の言動をもつて同志の心を鼓舞したり、それから同志を獲得するにいろいろなことを言つたという事実、そいつはどうかね。
  501. 山田喜一

    山田證人 どういうことですか。
  502. 小松勇次

    ○小松委員 たとえばあなたは星澤力松という人を知つておりますか。
  503. 山田喜一

    山田證人 知つております。
  504. 小松勇次

    ○小松委員 それにあなたは何か言つたことはありませんか。
  505. 山田喜一

    山田證人 記憶はない。
  506. 小松勇次

    ○小松委員 それじや向うで言つておるのは、おれたちの味方にならなければ土地も取上げるし、村からも追い出す、食えないようにしてやると言われて、これは一大事と思つて、あなた方の組合に入つたりあるいは同志になつたと言つておるのです。
  507. 山田喜一

    山田證人 そういうことは事実無根です。
  508. 小松勇次

    ○小松委員 それからあなたはあなたの村でえらく尊敬されて山田様と言われておつたことがありますか。
  509. 山田喜一

    山田證人 さあ山田——はがきや手紙には書きますが……。
  510. 小松勇次

    ○小松委員 はがきや手紙じやなくて、いわゆるあなたのしておる行動において山田様と言つて尊敬されるようなことをやつた事実はないですか。
  511. 山田喜一

    山田證人 山田言つて、様づけされて呼ばれるような、そういう記憶はありません。
  512. 小松勇次

    ○小松委員 具体的なことを言えばよいのだ。それから將來國際的の対立でもあつて、ある一方が勝利を得た場合において、お前たちは絞首台にでも上せてやるというような言辞を弄して、あなたは味方獲得に奔走したことはなかつたですか。
  513. 山田喜一

    山田證人 それはありません。
  514. 小松勇次

    ○小松委員 なければよい。
  515. 徳田球一

    ○徳田委員 ちよつとお尋ねしますが、共産党に入られた動機はどうですか。
  516. 山田喜一

    山田證人 共産党に入る動機は最近刻々と迫るこの世相ですね、そうしてわれわれの頭上にのしかかつて來るところのあらゆる法律、こういうものに非常に矛盾を覚え、そうしてわれわれはわれわれの生活をこの党で守らなければいけない……。
  517. 徳田球一

    ○徳田委員 そこでここに下甘田村の状況についてというのがあるのですが、これから見るとやはりこの不正のボスと徹底的に鬪う決意をして、こういう不正をやはり一掃するために隠し立てとか、その他の不正を一掃するために入られたというようにこの状況には表現されておりますが。
  518. 山田喜一

    山田證人 村内においてもそういうことは考えております。
  519. 徳田球一

    ○徳田委員 そこで先ほど小川委員から聞かれたのですが、自分の味方をたくさんつけて、親族や同志を集めて、何か自分の利己心を月分が確信をうんと持つて供出も自分の有利にして、うまくやるためにこの農民組合をこしらえているのではないかという不審をもつて聞かれておりましたが、そんなことはありますか。
  520. 山田喜一

    山田證人 そういうことは全然ありません。それがないからこそ村長に対して、一筆調査をあくまで明らかにせいとわれわれは再三要求しておる。
  521. 徳田球一

    ○徳田委員 もう一つこの状況の中にありますが、荒廃地はその後も開拓されているが、現在なお二十町歩ぐらい荒地になつておるということがありまして、その前にもこの嘆願書の中に、当時の荒廃地は大体五割以上は旧権に復して、なお將來まだ開拓し得るところがある。とにかくこの五割ということから考えますと、最初の荒廃地は大体四十町歩ぐらいであつて、これが復旧して元の形になつておるものが大体半分で二十町歩内外、それからあとまだ二十町歩内外、荒地が残つておるというのではないのでしようか。
  522. 山田喜一

    山田證人 二十町歩、それはどこから出た資料ですか。
  523. 徳田球一

    ○徳田委員 最初の部分は陳情書にあるのです。陳情書に現在では当地の荒蕪地の五割以上が旧権に復し、なお將來も開拓の傾向が顕著でありますというのでここへみな判を押しております。それはあなたが書かなかつたかもしれない。書いたと推察する理由はありません。最初はこういうようなものがある。それで……。
  524. 山田喜一

    山田證人 それでこの四十町歩というその数字は……。
  525. 徳田球一

    ○徳田委員 それは私が推定したのです。というのはここに荒廃した土地が大体二十町歩ぐらいで、今残つている土地が二十町歩というのはここに書いてある。うしろには下甘田村の状況についてというのがあつて、ここにいろいろなことが書いてあるのですが、その中に荒蕪地はその後も開拓されておるが、現在なおまだ二十町歩が荒地になつておるというのがありますから、これから推察すると、全体が四十町歩くらい荒蕪地があつて、そのうち半分の五割以上が開拓されていて、將來なお二十町歩くらいは開拓をされる可能性のある荒地があるというふうに、これは私が推定したのです。
  526. 山田喜一

    山田證人 四十町歩という数字はどうして推察されたか知りませんが、上棚に対するところの百三町歩という田地の面積は、大体の中から営利耕作というものが三十数町歩、四十町歩に近いものがあります。それで大体現在の耕作状況は六十町歩以上ある、こう記憶しています。それでその合いの十何町歩になりますかね。四十町歩内外だと思つておるのですから、六十町歩とすると五、六町歩ですね。
  527. 徳田球一

    ○徳田委員 十五、六町歩ですか。
  528. 山田喜一

    山田證人 ただの五、六町歩か七、八町歩です。その数字はわかりません。その数字は荒れたものもありますし、現在道路になつておるものも、また宅地になつておるものも台帳面の数字には三町歩以上あります。これは一部の参考資料として書類を持つて來ました。
  529. 徳田球一

    ○徳田委員 二十町歩というそれほど大きいものじやないですね。
  530. 山田喜一

    山田證人 ありません。
  531. 徳田球一

    ○徳田委員 それならよくわかりました。
  532. 大橋武夫

    ○大橋委員 証人に伺いますが、証人の現在耕作しておられる反別を教えていただきたい。
  533. 山田喜一

    山田證人 田は八反四畝十六歩です。
  534. 大橋武夫

    ○大橋委員 畑は。
  535. 山田喜一

    山田證人 確かな数字はわからぬのですが、畑は一反五畝六歩と思います。
  536. 大橋武夫

    ○大橋委員 それで証人のお宅で終戦前に耕作しておられました反別は幾らでございますか。
  537. 山田喜一

    山田證人 その八反四畝十六歩に二反九畝というものを足した数字がそうです。
  538. 大橋武夫

    ○大橋委員 二反九畝減つたのですね。
  539. 山田喜一

    山田證人 それは弟もともに農業をやつておりましたから、分家するために田を讓つたのです。
  540. 大橋武夫

    ○大橋委員 それに対する昨年、一昨年の供出はどういうことになつておりますか。
  541. 山田喜一

    山田證人 今年も九斗三升三合というものがかかつております。
  542. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 去年は。
  543. 山田喜一

    山田證人 去年は数字はわかりません。
  544. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 一昨年は。
  545. 山田喜一

    山田證人 一昨年は分家しておりません。
  546. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたの家自身は幾らかかつてつたのですか。
  547. 山田喜一

    山田證人 私の家は六斗二升七合です。
  548. 大橋武夫

    ○大橋委員 その六斗二升七合の根拠はどういうことになりますか。
  549. 山田喜一

    山田證人 それは非常に劣等田ばかりつくつておりましてどういうところをつくつているか見ていただこうと思つて、こういうふうに図面を持つて來ました。それはどういう基準によるかといいますと、上棚の全部の生産量の七割五分を合酌に割る、そして二割五分は反別平均に割る、その結果そうなるのです。
  550. 大橋武夫

    ○大橋委員 合酌というのは何ですか。
  551. 山田喜一

    山田證人 合酌というのは藩政時代から何か年貢とか何とかいうもので……。こういう耕地なんです。この地図を見てください、こういうものがずつとあるのです。
  552. 大橋武夫

    ○大橋委員 昨年はお宅の供出は六斗二升七合でございますね。それに対する收穫は幾らありましたか。
  553. 山田喜一

    山田證人 その收穫は十二石五斗四升二合です。
  554. 大橋武夫

    ○大橋委員 残りは保有米というわけですか。
  555. 山田喜一

    山田證人 非常に劣等田ばかりつくつておるために、私が八反何歩つくつてつて、たんぼの枚数は二百何枚あるのです。実際問題として生産費を償わぬのです。だが保有米をほしいからわれわれはこつこつと耕しておるのです。それで反收は大体一石四斗八升です。私の班の状態はこういうような状態なんです。
  556. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それを資料として出してください。
  557. 大橋武夫

    ○大橋委員 その保有米の算出の基礎を伺いたいと思います。お宅の家族は幾たりで……。
  558. 山田喜一

    山田證人 家族が今大人の保有米をとる十七歳以上の者が五名おります。それから七歳から十五歳までの保有米をとる者が一人おります。一歳から七歳までの保有米をとる者が三人おります。それから戦爭の犠牲者であるところの、一人のむすこを戦爭にとられ、徐州作戰で戦死されて、寄るべのない者が一人おります。これは私の父親の兄貴の連合いです。その者を半分養つております。
  559. 大橋武夫

    ○大橋委員 それは五人のほかにですか。
  560. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  561. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると六人ですね。
  562. 山田喜一

    山田證人 それは二分の一です。二人して両方で世話しておりますから。
  563. 大橋武夫

    ○大橋委員 それから九斗三升三合供出されたのは、これは分家された弟さんですか。
  564. 山田喜一

    山田證人 これは自分の弟の二反九畝というものに対する供出量です。
  565. 大橋武夫

    ○大橋委員 この方の家族は。
  566. 山田喜一

    山田證人 大人二人です。
  567. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 山田何というのですか。
  568. 山田喜一

    山田證人 山田米吉というのです。
  569. 大橋武夫

    ○大橋委員 そして收穫は大体どの程度ですか。見当でよろしい。
  570. 山田喜一

    山田證人 これは雑穀も含んでおりますから、生産量は四石三斗七升七合です。
  571. 大橋武夫

    ○大橋委員 それからあなたが海軍においての最終の階級は何でありましたか。
  572. 山田喜一

    山田證人 海軍の上等機関兵曹です。
  573. 大橋武夫

    ○大橋委員 これは志願をされたわけですか。
  574. 山田喜一

    山田證人 徴兵です。
  575. 大橋武夫

    ○大橋委員 そして下士志願されたのですか。
  576. 山田喜一

    山田證人 そうです。そして服役延期で予備役に編入されてそういうふうになつております。
  577. 大橋武夫

    ○大橋委員 予備役ですか。
  578. 山田喜一

    山田證人 應召じやないのですけれども、海軍は三箇年で現役は切れる。そうしてあとは服役延期でずつとおつたのです。
  579. 大橋武夫

    ○大橋委員 するとそれは予備役とは違いますか。
  580. 山田喜一

    山田證人 それは大体予備役に、現役以外のあれは通算されております。
  581. 神山茂夫

    神山委員 先ほど質問を保留してあつた点を二、三だけお尋ねしたいと思います。
  582. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 証人は疲れたからいいかげんにしてくれと言つておりますから、そのつもりで……。
  583. 神山茂夫

    神山委員 わかりましたが、まあ二、三点だけちよつと御質問したい。  読賣新聞によりますと、農地委員会は美田を採草地にしたというふうに書いてあつたのですが、これが事実に反していることは、私知つておりますからあえて聞きませんけれども、この採草地という基準をどういうところに置かれたかという点を聞いておきたい。
  584. 山田喜一

    山田證人 採草地という基準は再三申し上げた通り、ここに部落常会の状況を区長が書いて來ておりますが、荒蕪地及び劣等田、こういうものを取扱うように常会できめました。それは縣の農地部の方とも打合せいたしまして、そういうふうに取扱われるように私は言われましたからその通りやりました。
  585. 神山茂夫

    神山委員 ついでお尋ねしますが、同じ読賣新聞の六月十三日ですか、これはあなたもごらんになつたと思いますが、非常に美田が写眞に出ておるわけです。もともと読賣新聞というのはデマを飛ばし、民自党の機関紙だと言う人もありまして、これは世間の人が言つておるからしかたがない。現にこれに関係しいるこの地積、問題の十七番というこの状況を少し話してもらいたい。それから委員長にお願いですか、もし何でしたら私の方で調査した地図もありますが、あとで資料として提出をしてもよろしいです。一應あなたから口頭で説明していただきたいと思うのです。
  586. 山田喜一

    山田證人 それは十九年で、私はおらぬですが、二十一年、これは私は現にいました。二度の水害に非常なひどい水害を受けたのです。水害状況はちよつと想像はつかぬでしようが、その家のその田のちよつと川上に、その耕作者が家を建てておつた。そうしたら終戰後の大濫伐によつて、あの身の毛のよだつような大供水が出たのです。そうしてその家の礎石までがさらわれて流れてしまつたというようところの、そのちよつと五、六間の川下にある田なんです。
  587. 神山茂夫

    神山委員 わかりました。それでよく水が入るばかりでなく、土砂も入るところですね。
  588. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  589. 神山茂夫

    神山委員 それで皆さんが辛苦して、やつと田地にされたわけですね。
  590. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  591. 神山茂夫

    神山委員 それから先ほどもお尋ねしたことと関連しますが、これを採草地として十八倍あるいは四十倍という開きの数字が出ておりますが、これはどうですか。
  592. 山田喜一

    山田證人 それは十八倍が正しいかと思つております。それでエの十七番の土地について、これは直接私はその当時家の近くでありますが、一筆調査にその田を見たわけではなかつたのですが、雇入れられてそこへ行つておつた男に、君はああいう新聞にも出た事実、自分としても荒れておつたように思うが、君はそのときはどう思う。こう言つたら、そのときは一部砂はあげられてあつた。そうして耕作者が苦労して努力して、現在田になつておつた。そのときにその地主さんも、大体農地委員会の決定後告示もしたのですし、今になつてそういうことを言うということはどうもふに落ちない、こういうようなことを言つておりますが……。
  593. 神山茂夫

    神山委員 わかりました。その差額はどういうふうにしてきめましたか。支拂いのことについては……。
  594. 山田喜一

    山田證人 その支拂いの方法ですか。
  595. 神山茂夫

    神山委員 そうです。一方的にあなた方だけできめたのですか。
  596. 山田喜一

    山田證人 それは地主、小作双方寄つて、いるいらぬということはみんなの席上においてやりました。そのときに徳山さん以外の地主は全部來ておいでたかと思つておるのです。
  597. 神山茂夫

    神山委員 次に御質問しますが、その差額金を農民組合の一部の者が着服した。要するに横領したというふうに言われておりますが、この事実はどうですか。
  598. 山田喜一

    山田證人 それは事実無根です。これについて私としても非常にこの記事に対して憤りを感じておる次第です。
  599. 神山茂夫

    神山委員 わかりました。もう一つ御質問しますが、あなたが直接関係していることでないので、あなたは知らないかもしれませんが、先ほど小川委員がお尋ねになつたことですから聞きますが、(「八百長々々々」と呼ぶ者あり)この調査概要は事務局の方で出したものについてお尋ねしたんですから断じて八百長ではありません。あなたは遠慮なく答え願いたい。それによりますと、採草地として買收したものの中には特にいろいろと条件を備えているものがあるし、その例として五人だけの人間があげられている。先ほど委員長がこのことを聞きましたが、名前を申し上げますと、あなたを初め、あなたの親族だと言われる人が永田という人と五人でありますか。
  600. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  601. 神山茂夫

    神山委員 ところが先ほどあなたが委員長に提出になつている資料を見ますと、約七十人の人がやはり同じような採草地を持つておる。その反別が合計して三町九反一畝一歩ですか、こういうふうになるわけなんですか。
  602. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  603. 神山茂夫

    神山委員 この五人の人は七十人の中からほしいままに抜いたものと言われてもしかたがないのですね。
  604. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  605. 神山茂夫

    神山委員 それからもう一つお尋ねしておきたいのですが、この採草地とすることについては、小作人及び地主が希望して、そしてまた縣農地課の指示を受けておるというふうな報告が私の方にあるのですが、この点事実かどうですか。
  606. 山田喜一

    山田證人 その点は事実です。
  607. 神山茂夫

    神山委員 それからまたこの地主、小作双方出席して農地委員会及び三者が円満な協議によつて公開の席で決定したと言いますが、これは事実ですか。
  608. 山田喜一

    山田證人 それは保有地を決定するときです。
  609. 神山茂夫

    神山委員 今のことで明らかになつたのでありますが、一筆調査のときもやはり地主、小作で協力して調査にあたりましたか。
  610. 山田喜一

    山田證人 そうです。
  611. 神山茂夫

    神山委員 またあなた方が一方的に押しつけて特定の人に悪くさせたというふうな事実はありませんか。
  612. 山田喜一

    山田證人 そういう事実はないと思います。
  613. 神山茂夫

    神山委員 それではもう一つお尋ねしますが、先ほどから問題の星澤權次郎という人があります。この人と地主徳山氏との関係については、私の方で調査した事実がたくさんありますので、先ほどのあなたの委員長に対する答えでも大体わかりましたが、特にここで明らかにしておきたいのは、先ほどあなたの御説明もありましたが、はつきりしていないのでお答え願いたい。課税率を二階級引上げられてしまつたという点はどうですか。
  614. 山田喜一

    山田證人 課税率を二階級引上げた。それは私一人で上げたわけでもなし、農民組合で上げたわけでもありません。これは部落委員の方々にその貧富調査をやつてもらつたのです。それで引上げられた。よけい金を持つておるならよけい税金をかけるのが建前ではないのですか。終戰後鈴木さんも見られたと思うのですが、大きな邸宅を建てておる事実があるのです。おそらく実際問題としてどれだけかかつたかは憶測できませんが、相当われわれの考えられん数字の金がかかつたものだろうと思う。それをよけいかけたということは当らぬだろうと思います。この時節に百姓くらいしておつて、そう大きな邸宅なんか新築できますか。
  615. 神山茂夫

    神山委員 最後にもう一つお尋ねします。本調査に関連して調査員の名前は上げて言いませんが、行動についていろいろ言いたいことがあるのですけれども、時間も遅いし含みもありますのでそれは言いませんが、われわれに出されております調査概要というものによりますと、こういうことが書かれておる。この点についてあなたの率直なる感じだけ言つてもらいたい。「調査関係者(立場の対立する者に対しては双方について)その陳述を公正に聽取し事情を勘案して判断せるものである。」こういうふうに言われておりますが、あなた方がこの当事者の一人として公正に聽取されたものというふうに受取られるかどうか。
  616. 山田喜一

    山田證人 私はこの調査は公正でなかつたと思います。それから最近石川縣の総務部の調査課から石川縣主事として山下忠雄という人が二十二日に私のところに調査に來ました。いろいろな方面からずつと聞いて來て、私にも言われました。一方的な調査をして行つたんだな。それから柳川——現在の農業協同組合長であり、現在の農地委員長であるところの柳川氏にもこういうことを言つておられたそうです。
  617. 神山茂夫

    神山委員 聞きたいことはたくさんありますけれども、あなたもお疲れになつておりますし、同僚諸君もお疲れになつているようですから、このくらいにしておきましよう。
  618. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは一應済みましたが、あとで聞かなければならぬかもしれませんから、前のところで待つてつてください。     —————————————
  619. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 星澤權次郎さんですな。
  620. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうであります。
  621. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは石川縣羽咋郡下甘田村上棚でありますか。
  622. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうであります。
  623. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 職業は。
  624. 星澤權次郎

    ○星澤證人 農業であります。
  625. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 昭和二十二年度に下甘田の農地買收計画が実施されたそうですが、そのときの耕作地について一筆調査をやりましたか。
  626. 星澤權次郎

    ○星澤證人 行いました。
  627. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうふうにやりました。
  628. 星澤權次郎

    ○星澤證人 ただいま委員長さんからお尋ねになられました昭和二十二年度に行われた一筆調査の状況を申し上げます。それは山田組合長の血族関係者多数をもつて調査をされました。そうしてあまたの採草地をつくるために採草地をつくつた。その採草地調査してみますと、われわれが実際に調査したものは百何十筆ありますが、そのうちに美田を採草地としてあつたものが九十六筆、その反別が一町七反三畝十三歩、畑が九筆、その歩数が一反一畝二十四歩、そうして十一筆がほんとうに採草地になつておりました。それが一反七畝九歩。
  629. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だれかそういうことを決定したのですか。
  630. 星澤權次郎

    ○星澤證人 これは徳山さんなり池田さんなり、われわれが実際に調査をやつてみました。
  631. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その一町七反何畝という畑を採草地だということにきめたのは、だれがきめたのですか。
  632. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それはだれがきめたか、自分はきめた場所へは顔を出しておりませんからわかりませんが、一筆調査をしたのは山田組合長以下親族多数の方がやられました。
  633. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがそれはあなた方の方の部落会か何かを開いて、地主小作人もいろいろな人が皆寄つて、これは採草地にすべきものだというふうにきめたそうですが、それはどうですか。
  634. 星澤權次郎

    ○星澤證人 部落常会にそういう話をかけて、部落決議によつてわれわれがそうやつたというような話も聞きますが、そういうことは自分初め何も知らないです。
  635. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたもその採草地だと言われる地面を持つてつたのでありますか。
  636. 星澤權次郎

    ○星澤證人 違います。自分はこの席上はつきり言つておきますが、自分は地主でもなければ小作でもなければ、自作であります。開放した地面も自分はありませんし、開放してもらつた地面もありません。
  637. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたはそういう部落会に出たことはないのだね。
  638. 星澤權次郎

    ○星澤證人 常会には出ておりますけれども、そういうことを扱つた常会には出ておりません。
  639. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこに何か部落駐在員というものがおるのですか。
  640. 星澤權次郎

    ○星澤證人 部落駐在員というものは、自分らのところで昔言うておつた区長というものじやないかと思います。
  641. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その人はどういうふうにして選ぶのですか。
  642. 星澤權次郎

    ○星澤證人 やはり組合員によつて今度だれにしてもらうとかいうように選ぶのです。
  643. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 選挙をやるのですか。
  644. 星澤權次郎

    ○星澤證人 ときによつては選挙することもあるかもしれぬが、今立つておられる大石さんは選挙なんかしません。みんなの同意でなつたのです。
  645. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その人のところで部落会を開くのですか。
  646. 星澤權次郎

    ○星澤證人 部落常会駐在員のところで開きます。
  647. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこでそういう相談をしたことはないね。
  648. 星澤權次郎

    ○星澤證人 自分はそういうところに出席したことはありません。
  649. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その常会というか部落会できめてから縣へ相談したら、縣でもそれは採草地にしたらよかろう、こういう話だつたそうだが。
  650. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そういうことは知りません。
  651. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは美田と言われるが、どういう程度の田圃つたのか。田圃田圃だつたが悪い田圃つたのか、いい田圃つたのか。
  652. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それは中には山田であつて、水上の冷水のかかるところもありますし、また中にはほんとうに美田であつたところもあります。
  653. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この一町七反の中に、悪いのはいくらくらいで、いいのはいくらくらいですか。
  654. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そういう内訳は今ちよつと言われません。
  655. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この一町何反というのはいつ調べたのですか。
  656. 星澤權次郎

    ○星澤證人 これは先月の中ごろまでに調べた実際のものです。
  657. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすれば二十二年から、三年の間に田圃が開かれたところがあるのじやないですか。
  658. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そういうところもあるかもしれないけれども、今自分の申しました九十六筆というのは、これは調査後において開墾したものではありません。
  659. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 買收の当時田圃であつたことは間違いないのですね。
  660. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうです。
  661. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 買收することになつてから、買收計画明細書というものが地主の方へ渡されなかつたという話があるが、そういうことを聞いておりますか。
  662. 星澤權次郎

    ○星澤證人 聞いております。
  663. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうものを渡さなければ買收はできないのじやないですか。
  664. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そういう法律的なことは自分は何も知りませんけれども、明細書がとにかくついて來べきものがついて來なかつたということは、たえず私どもも聞いておりますし、地主の方も申しております。
  665. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはどういうわけでそういうことをしたということを聞いておりますか。
  666. 星澤權次郎

    ○星澤證人 今一番先にお尋ねくださいました一筆調査の状況はどういうぐあいに調査したかということは、さつき申し上げました親族多数をもつて調査に当つて、その結果こういう間違つた調査の表われが出て來たということは計画的にやつたわけじやないか、こういうことを地主の方々が言うておられます。
  667. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから採草地なりとして買い受けさせましたね。一番多く田圃採草地として買取つたのはどういう人々ですか。
  668. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それはこちらの方で調べて実際ついておりますのは組合長である山田喜一さん、この人が総締めした一反二畝二十一歩、それから組合長さんの妹むこである山田清一さんのところは一反四畝十六歩、それから組合の副組合長であるところの永田小四郎さのところに八畝二十八歩、組合長さんの本家である山田作平さんのところに一反一畝二十六歩、これだけ調べがついております。
  669. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それだろうが、ほかの者もみな部落の者はずつと買つているのじやないのですか。この人だけが多いのですか。
  670. 星澤權次郎

    ○星澤證人 買つておりますけれども、その調べはまだこちらについておらない。こちらに調べのついておるものはこれだけであります。
  671. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはその程度にして、何か供米割当についてもたいへん不公平があるという話ですが、それはどういう実情ですか。
  672. 星澤權次郎

    ○星澤證人 供米の割当はと言われるのは、二十四年度の事前割当をお尋ねくださるものですか。
  673. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いやどちらでもよい。二十三年度でもよし、二十四年度でもよし、いずれも聞きたい。
  674. 星澤權次郎

    ○星澤證人 自分らのところで供米を割当するにあたりまして、反別と石目に割出して、そこのうちの保有人口によつて保有米を引いて、あとを割当を実施する建前になつております。それでは二十三年度から申さしていただきます。二十三年度の割当は二十二年度よりか供出が多かつたのであります。反別に幾ら、石目に幾らという割を二十三年度にせずに、二十二年度に反別、石目に幾ら幾ら、だれそれがこれだけの供出を出すという基準がここに出ております。そうして二十三年度のよけいになつて來たその分をその帳面の表を見ておつて、これにこれだけ、これにこれだけという見込み割をかぶせる、そうして二十三年度の供出を負担しております。それからそのかぶせ方でありますが、あれは田圃がいいからあれにこれだけかぶせる、あれはうちを建てたから金がある、米があるからうちを建てた、こういう人には供出をよけいに出してもらわなければならぬ。これは山がある、竹を賣るからほか收入が入つて來る、こういう人たちにはよけいに出してもらわなければならぬ、こういうぐあいに見込み割というものをかぶせて、二十三年度の供出割当をきめたのであります。
  675. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 主としてだれがそういう決定をやるのですか。
  676. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それには部落の事情がどういうものであるかということを言わせていただかなければなりません。昭和二十一年度に農民組合が結成されまして、地主と対抗してけんかすることになり、地主は完全に農民組合に負けた。それから常会があつて地主側からはあまり顔を出さない、出してたまたま話をしても組合の方からにらまれるから、あまりものを言わない。こういうぐあいになつて出て來ない、出て來ても言わないという空氣になつてしまつている。それから組合の幹部は山田一派が多い。常会があつて仲裁人が動議を出されても、組合の方々が発言せんと、あとの方々は黙つている始末です。もし何か発言をしてもあまり通らないし、もしも何すれば組合からにらまれるからあまり言われぬというぐあいで、発言しない空氣になつてしまつているのです。そこで供出割も組合の幹部の方々の言う通りに通つて行くような、部落の常会であるが、組合の常会であるか、その限界がつかぬというたらはつきりするであろうと思います。
  677. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 調整委員がきめるのではないのです。
  678. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それは調整委員がきめるべきものであります。しかしこれは自分も不当な供米をかぶされ、またつくらない田圃の分も自分はかぶされております。それで先年の調整委員である方に対して、自分はこういう不当な割当をかぶされている、事実つくつておらぬ田圃で、証明書まで出して、何年くらいか頼んでいるにかかわらずこれを直してもらえない。その人は自分も調整委員に出ているけれども、あれらの書記に使われているのだから、自分としては話だけするが、どうもしようがない、こういう状態であります。
  679. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 割当調整委員できめるのでしよう。
  680. 星澤權次郎

    ○星澤證人 自分の言うところの調整委員会できまりますけれども、調整委員と、また自分のところには半々にわかれております。そこに班長と理事がおりまして、食糧調整委員の方と理事の方と寄つてそこで供出割当というものがきめられる。そうして自分が一例を申し上げましたのですけれども、常会なり、すべての相談は組合の方々の権力でやられる。自分は調整委員の方にお願いしたら、調整委員の方は自分は出て、言うことは言うけれども、ああいう人たち書記に使われているのだから、それをいいぐあいにしてやることは自分にはできぬ、こういうことになつてしまつておるのです。
  681. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで聞きたいのは、そうするとさつき言われた田圃採草地として買收したのだが、その後も採草地としておりますか。また田圃になつておるものは田圃に直してやりましたか。これは主として割当のことで聞きたい。
  682. 星澤權次郎

    ○星澤證人 田圃にした所も一部あります。
  683. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから田圃であつても、採草地だと言つて申告をしておるところがありますか。
  684. 星澤權次郎

    ○星澤證人 あります。
  685. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうするとその田圃に対しては米を出さないのか。
  686. 星澤權次郎

    ○星澤證人 自分は今こういう立場になりましてからは、そういう顔出しする所に交つておるわけじやなし、組合の方へも顔出しせぬし、また常会にも出ておりませんから、そういう相談は知りません。
  687. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 しかし田圃でも、採草地というのは割当の対象にならぬのじやないか、そういうことはないのか。
  688. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そういうことになりますけれども、実際の割当はどういうことになつておるのか、自分は知りません。
  689. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから事前割当のほかに、見込割当で、よけいなものを操作に使うとか何とかいうことでとつておる事実がありますか。
  690. 星澤權次郎

    ○星澤證人 さつき私の言いましたのは、見込割当でありますし、今お問いくだされたのは、操作米ですね。昔から上棚に百石の供米を出せと言うて來るほかに、操作米としてここに何十石かの米を入れてもらつておるそうです。
  691. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 去年はどれだけあつたか。
  692. 星澤權次郎

    ○星澤證人 自分は知りませんけれども、ここに池田という人が言つておられますのには、二十三年度では十三石あつた。こういうことを申しておられます。今年は数字は知らないけれども、相当額のものを入れてもらつておるという話です。
  693. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 結局操作米はどういうことになるのです。
  694. 星澤權次郎

    ○星澤證人 その意味は、水害にあつたとか、病害にあつたとかいう人があつて事前割当をしたけれどもそれを出せない人がおる。そういう人には操作米をとつておいてあげる。またここに子供さんが生まれる。こういう人には國家としては保有米をくれないから、そういう人にあげる。そのかわりに死んだ人からまた出してもらう。こういつたことがあつて、そこに操作するためにとつてあるそうです。事実その通りに行われるかどうかは、私は顔出ししておりませんから知りません。そういう意味のものであります。
  695. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうことをやつておるか、やつておらぬか。
  696. 星澤權次郎

    ○星澤證人 やつておるか、やつておらぬかは、自分は知りません。
  697. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 去年十三石あつたのが、どうして使われたか知りませんか。何か話に聞いておりませんか。
  698. 星澤權次郎

    ○星澤證人 やつたとかとつたとかいう話は聞いております。
  699. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうふうに聞いておるか。
  700. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それは超過供出に五石出した。あとの行方はわからない。こういうふうに自分は聞いております。
  701. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはだれがそういうことを処分する権限を持つておるのか。
  702. 星澤權次郎

    ○星澤證人 権限はだれか知らないけれども、話をするのは、前に申し上げました駐在員とか、調整委員の方々とか、それから各班から出ておられる二名割の代表の方々が寄つて話をされるのです。
  703. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 実際にやつておりましたか、わかりませんか。その点は聞いておらぬのですか。
  704. 星澤權次郎

    ○星澤證人 聞いておりません。
  705. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたも農民組合に入つたそうだね。
  706. 星澤權次郎

    ○星澤證人 入りました。
  707. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはどうして入るようになつたのですか。
  708. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それは上棚農民組合というものは、前に小作團体というものがありまして、その小作團体員をもつて組合を組織したものであります。それで自分も前はその小作團体に加入しておつた関係上、農民組合に入つたのであります。
  709. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 むりに組合に入れられたとか何とかいうようなことはありましたか。
  710. 星澤權次郎

    ○星澤證人 農民組合を結成するにあたつて、強制的にお前入れ、そういう犯行はありません。
  711. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この組合規約を覚えておりますか。
  712. 星澤權次郎

    ○星澤證人 組合規約は全部は覚えておりませんが、一部を覚えております。
  713. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 組合員の耕地を組合で管理するとか、宅地を含んでやるとか、そういうことは……。
  714. 星澤權次郎

    ○星澤證人 組合員の耕地は組合で管理するという項目はあります。
  715. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうことはどうしてきめたか。
  716. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そういうきめたことは知りませんが、組合の規約にそういう箇條を先に書いて、帳面につづつてあるのを組合員に見せ、自分も見たのであります。つくつたのは、だれがどうしてつくつたのか、そういうことは知りません。
  717. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何か総会をやつてきめたのじやないか。初めにそういう規約ができておつて、それに判でもとりに來たのか。
  718. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それは自分は知らない。
  719. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたはどうした。
  720. 星澤權次郎

    ○星澤證人 自分は書いてつづつてあるのを見ただけであります。
  721. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたも何か判を押したのだろう。
  722. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうであります。
  723. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは総会に行つて押したのか、どういうことで……。
  724. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それは書いた紙が回つて押したのであります。その場合に、出ておつた方々もあつたでしよう。自分は判こを持つて行きませんから、回つて來た紙に押しました。
  725. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 強制的に組合に入れられたというような事実はなかつたのだね。
  726. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうであります。この組合員の耕地は組合で管理する、それでとにかく組合に対する違法があつて、組合を出るときには、組合員の耕地を取上げる、こういう箇条書に対して、それに対して印鑑をとつたときに強制的に押さした。このとき自分は、こういう民主主義を叫ばれるときに……。
  727. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ちよつと待つてくれ。組合に入るといつて判を押したときに、規約がついておつたのじやないか。
  728. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そのときに規約はありません。これはあとからついた規約であります。
  729. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今言つたのは……。
  730. 星澤權次郎

    ○星澤證人 この項目に対する判こはそこでとつております。
  731. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 もう一ぺん言つてください。
  732. 星澤權次郎

    ○星澤證人 組合員の耕地は組合で管理する。そのあとはちよつと言われませんけれども、それだけ覚えております。
  733. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今あなたがちよつと言つた、組合の氣に入らぬ人間があつて、組合を出すときに、その人間の田ぼをとつてしまうという権利があつたのか。
  734. 星澤權次郎

    ○星澤證人 とにかくそういう話をしておつた。それであるから、自分としてはそういう個人を束縛するようなことをするのは、民主主義に沿わないじやないか、ましてや憲法の違反である、また農地調整法から言うてもそういうことはないじやないか、と言うて反駁したわけであります。そうしたら組合長さん初め、この組合をとにかくどこまでも栄えさして行こう、どこまでもこの組合に盛上げて行かなければならぬ精神の組合員だつたり、判こを押すことをいやという人はないだろうという話で、これに皆押したのか、押されたわけなのであります。
  735. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのときにそうやつたのですか。
  736. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうであります。
  737. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは押したのか、押さなかつたのか。
  738. 星澤權次郎

    ○星澤證人 自分は押さなかつたのであります。
  739. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何かあとで除名されたというが、そうではなかつたのですか。
  740. 星澤權次郎

    ○星澤證人 はあ、そうであります。組合から除名されたのであります。
  741. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのときに判を押さなければ、組合員でなくなるのではないのか。押さぬでも組合員であつたのか。
  742. 星澤權次郎

    ○星澤證人 先に組合員として判こを押してありますから、当然組合員であります。判こを押さなかつたというのは、耕地は組合で管理をするという規約に対して判こを押さなかつたのであります。
  743. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたが除名されたというのは、どういうわけで除名されたのですか。
  744. 星澤權次郎

    ○星澤證人 除名されたということでございますが、これに対しては、とにかく地主組合というものがあつて、爭議をやりました。自分は旧地主であるところの徳山さんのところへ出入りをしたというかどで、組合から快く思われなかつた。それからまた地主の徳山さんと自分と、もう一人の組合員である大石幸一さんと、三人協同で農電機をとりつけました。そうしたら、組合としてこういつた立場になつておるときに、地主と協同で電氣を入れるとは何である、こういうかどで除名されました。
  745. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは耕地を取上げられるということはなかつたんだね。
  746. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうでございます。そうして、たま、自分が家を建てました。そうしたら、自分のいなかでは、家を建てると石場をするとか、棟上げをする、建前をするとかいうことになると、班内の人がお互いにかかり合うてることになつております。そのときに、大石幸一さんは、自分が頼みに行つたけれども自分のところへ來てくれなかつたのであります。大石さんが來なかつたということは、自分として大石さんの氣持を考うるに、とにかく地主の徳山さん、それから地主に出入りをしておる自分とここに電氣を協同してとるということは、組合から大石さんというものが感心した目で見られない。ここに大石さんも悩ましい点があつたろうと自分も推測しておりますけれども、この大石さんという方は、山田組合長さんの妹を嫁にもらつておる人であります。それでそのときに大石さんがとにかくそういう氣持は十分あつたろうけれども、組合長さんなり組合員に対し、來られなかつたものと自分も推測するのでありますが、來なかつた。そうしたならば、大石さんの親戚で松坂久作という人、これが側に快く思われぬからといつて、出て行かぬという。そういうと際に側の人間が手傳いに行くことはできぬといつて、側の連中に呼びかけ、また組合の幹部の方々とも話をして、自分が家を建てるということについて、だれも來てくれなかつたのであります。たびをはいて自分のところへ出かかつて來た人間までも引張つてつて、松坂久作さんのところに入れてしまつた。自分のところに手傳いをしてもらえなかつたのです。
  747. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 行くなと言つて引張つたのは松坂久作か。
  748. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうであります。
  749. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたのところの家の建前だけではない。ほかのところへも行くなと言つたことはありますか。
  750. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それはあります。
  751. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だれのところへ。
  752. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それは行くなと言うたか、言わないかしれませんけれども、今事実においてここに松本音吉さんという人がおいでになります。この人が今年の田圃をするについて、徳山さんは一反なんぼの田圃をつくつております。これは徳山さんの昔からの出入り人であります。これがどうしても組合の目が恐ろして、だれにでも耕作してもろうてくれ、こう言われたということです。
  753. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それで徳山のうちへ、こわいから行かない…。
  754. 星澤權次郎

    ○星澤證人 と言われますから、自分は行つて田圃をして來ました。
  755. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 税金についても不公平があつたということですが、それはどうですか。
  756. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうであります。税金の問題は、自分としては、税金であろうと、供出であろうと、しつかりとした基準があつて、この基準に基いて負担すべきものではないかと思います。税金も何ら基準がない。基準のない割り方である。とにかくその年々において、これは何人分かけさせる。これなら何人分かけさせるというその割り方をする上において、これなら耕地がどれだけある。建物がある。そこからの收入がこれだけになる。これだけの基準に上つてお前はこれだけかかるぞというふうに、明白にその負担をかけさせることが必要ではないかと思います。しかしそういうことは何らせずに、旧地主である方々が今全部田圃が開放になつてしまつたというけれども、何の基準も示さず、昔通りの、地主地主であるというように、やつぱり開放された今日でも一番右翼に税金をかけさせられておる。事実私も、今年になつてからどれだけ財産がふえたということもないのに、二段階も一ぺんに飛び上げさせられました。
  757. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 村税かね。
  758. 星澤權次郎

    ○星澤證人 村税、縣民税ともにであります。
  759. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 村税なら村会できめるのじやないのか。
  760. 星澤權次郎

    ○星澤證人 村会でできめるのでありますけれども、村としては、その区のことはその区から出た村会議員にまかせる、こういうことになつております。
  761. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで上棚から出ておる村会議員はあなたを高くしたのか。
  762. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうであります。
  763. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だれですか、その村会議員は。
  764. 星澤權次郎

    ○星澤證人 組合長さんであるところの山田喜一さんと、副組合長さんである永田小四郎さんと、もう二人——もう二人ちよつと今申し上げられません。
  765. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それからさつき聞き落しましたが、あなたのところで、何か米の割当が、自分でつくつておらぬ田圃割当られたというお話でしたが、それはどういうことでございますか。
  766. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それは昭和二十二年からでございますが、この一筆調査の際に——通称ここのところは穴口字というところでございますが、そこにある田圃一反六畝十三歩、このうち鹿島路村の西島作太郎さんという人が五畝七歩つくつております。それから上中山の松田半兵衛という人が六畝四歩つくつております。ですから自分のほんとうにつくつておるのは五畝二歩であります。これを一筆調査の際に、心やすくしておつた自分の隣の大石幸一さんが出ておられた関係上、君頼むぞと言つて、頼んでおいたのであります。この頼むということは、山田に入りますと一筆のうちに田圃が五枚も六枚もごつちやになつております。たつた七畝あるところを三人して一枚はさみにわけてある関係上、これを内訳すると、一枚のうちに何歩だれそれ、何歩だれそれというぐあいに、何十枚の田圃を内訳をせなければならぬ。こういうめんどうなことになるのであります。これを分作にするが君たちも仲間田があるのだから、何か心配してくれと頼んでおいたのであります。何にもやましい心はない、純然たる心やすい氣持であつたのであります。本人自身がそれの内訳をせなんだから、これは本人がつくつておるものとみなす、こういうぐあいにみなされてしまつたのであります。そのことに対して二十三年度供出割当直後、自分は役員の方々が夜の目も寝ないで割出してくださつたのに対して、自分が内訳しなかつたのが悪いのだから、今年の米は出す。出すからこれを明年度からはつきりと自分のものと人のものと区別して、さつぱりした帳簿にしてくれ頼むということを大石幸一さんのおる目の前で区長さんにお願いしてございます。そのときに大石さんがただ口に言つておるばかりではだめだ。それは事実君が内訳をしなければだめだということで、ほんとうに小作人に來てもらつて、この田圃ならどれだけお前がつくつておる。この田圃ならわしがつくつておる。こうして内訳を書いた紙を区長さんにおあげしてあります。それにもかかわらずまた二十三年度の供米をかけさされました。それというのはお前というものがクラブへ出て、それを内訳せいというのにせなんだことが悪いというて、二十三年度も小作人の内訳したものを出してあるにもかかわらずかけさされました。その間にも自分は村のそういう農地の地方調査とか、何とかいうので寄つておりました。そういうときに理事の方々とともに連立つてつて、自分はこれを内訳して出せというときに出さなかつたことは、自分が悪い。そういう感情問題は捨てて、今年からきれいに事実これだけしかつくつておらぬから、これだけにしてくれということは再三頼んでございます。その結果、それなら農地委員の証明書を出せということになりまして、今年の事前割当は二月の二十日からかかつております。そうしてそこでこの証明書は向うから二通書いてもらつて、一通は向うへ出して、ここに一通は持つておるのでありますが、これは二月の十五日の証明書で十六、七日に出しております。これを区長さんのところへ持つて行つたら、これは区長がとるべきものではないから、農地委員のところへ持つて行けということで、農地委員長である自分の村の柳川さんのところへ自分が行きました。
  767. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 結局片づかずですか。
  768. 星澤權次郎

    ○星澤證人 まだ片がつきません。彼らは供出対象にするのにいるのであろう。それならば自分が預つてその連中に渡していいようにしてやろう。それならというわけでどうぞお願いしますというて、これは柳川さんに預けて参りました。それから二十日の日から事前割当をしておつたものですから、自分はいいぐあいにしてくださつたものと安心しておりましたところ——話がちよつともどるかもしれませんが、供出割当を自分のところへ傳達を受けた方法でございます。それは二十四年度の麦とかいもとか米とかの村の告示があります。それが五月一日であつたにもかかわらず、自分の班から出ておる代表者が自分のところへほんとうに案内したのは、二十日離れた二十二日の日でありました。そうしてどういう基準に割つたか、どういう割り方にして、どれだけの何をなしたかという明細なことは何も言わぬ。これだけの割当がお前あるぞ、こういう申し渡しであります。それでそのときになつて初めて自分はこの田圃がまだ入つておるということがわかつたような次第であります。
  769. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何か聞くことがありますか。
  770. 神山茂夫

    神山委員 証人にまずお尋ねしますが、あなたの上棚部落で、戰爭前から地主のことを議員様と言つたのはほんとうですか。
  771. 星澤權次郎

    ○星澤證人 議員様——そういう言葉は、言うた方もおられたかもしれませんけれども、そういうことは通常申しでおりません。議員は議員であります。
  772. 神山茂夫

    神山委員 私が聞いたのは、あんたの部落には地主が二十五人いた。その人たちのことをそう言つておるという話を聞いておるかどうかと聞いておるのです。
  773. 星澤權次郎

    ○星澤證人 議員様と呼んだことはありません。議員は議員であります。
  774. 神山茂夫

    神山委員 ちよつとお尋ねしますが、あなたはこの部落にいつからいらつしやいますか。
  775. 星澤權次郎

    ○星澤證人 自分は生れてからすつと——兵隊に行つておつた間を抜いて……。
  776. 神山茂夫

    神山委員 それでは子供のときもそういうことは知りませんですか。
  777. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうです。
  778. 神山茂夫

    神山委員 それでは聞きますが、昔は地主さんはいばつておりましたか、いばつておりませんか。
  779. 星澤權次郎

    ○星澤證人 いばつておつたと言つては語弊がありますが、相当の権限を持つておりました。
  780. 神山茂夫

    神山委員 昔はその人たち小作人をいつでも使つてつたのですか。
  781. 星澤權次郎

    ○星澤證人 いつでも使うという意味はどういう意味ですか。
  782. 神山茂夫

    神山委員 自分の用事があつたら、ことに農繁期には自分たちのことを手傳わせるということはありましたか。
  783. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうです。それはいつでも使うと言うと語弊がありますけれども、やはり小作人の方は使つてもらわなければ生計が立たないし、地主の方ではやはり使わなければ立ちませんし、お互い行つたり來たりやつておりました。
  784. 神山茂夫

    神山委員 あなたは先日この考査委員会から調査員として行つた鈴木さんという人に会つたことはありますか。
  785. 星澤權次郎

    ○星澤證人 見ました。
  786. 神山茂夫

    神山委員 どこで見ましたか。
  787. 星澤權次郎

    ○星澤證人 徳山さんの家で見ました。
  788. 神山茂夫

    神山委員 徳山さんという方は商賣は何ですか。
  789. 星澤權次郎

    ○星澤證人 地主さんであります。
  790. 神山茂夫

    神山委員 あなたは今も地主さんのところに出入りしておるということは事実でありますか。
  791. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうです。
  792. 神山茂夫

    神山委員 もう一つ聞きますが、あなたは先ほど見込み割当というものが、大分ある、それが何十石あるとおつしやいましたね。
  793. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それは見込み割当じやありません。操作米というのでありまして……。
  794. 神山茂夫

    神山委員 初めて何十石と言つて、あと二十三年に十何石ということを言いましたね。
  795. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうです。
  796. 神山茂夫

    神山委員 それはだれから……。
  797. 星澤權次郎

    ○星澤證人 池田修さんから聞きました。
  798. 神山茂夫

    神山委員 池田修さんという人はどういう人ですか。
  799. 星澤權次郎

    ○星澤證人 地主さんであります。
  800. 神山茂夫

    神山委員 その人は岡山喜六さんという村の一番有力者の婿さんじやありませんか。
  801. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうです。
  802. 神山茂夫

    神山委員 その人からお聞きになつたのですね。
  803. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうです。
  804. 神山茂夫

    神山委員 あなたはその現場を見ていないことは事実ですか。
  805. 星澤權次郎

    ○星澤證人 私は議員でも委員でもありませんから、そういうことは知りません。
  806. 神山茂夫

    神山委員 こういう話を村の四人のボスの一番の親分の岡山の婿である池田修という人から聞いたわけですね。
  807. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうです。
  808. 神山茂夫

    神山委員 それからもう一つ聞きますが、あなたは先ほどから山田一派、山田一派というふうに言われ、山田が血縁で固めておるというふうなことを盛んに言われましたが、それは事実ですかどうですか。
  809. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それは事実であります。
  810. 神山茂夫

    神山委員 それじや山田が血縁で固めておるということはどういうことですかこれはあなたの言葉だ。
  811. 星澤權次郎

    ○星澤證人 血縁と親戚と大分違いますが……。
  812. 神山茂夫

    神山委員 親戚で固めておるというのはどういうことですか。
  813. 星澤權次郎

    ○星澤證人 とにかく自分らとしては……。
  814. 神山茂夫

    神山委員 いや、その事実を聞いておるのだ。親戚なのかどうか。それを聞いておる。
  815. 星澤權次郎

    ○星澤證人 親戚であります。
  816. 神山茂夫

    神山委員 それではあんたは池田清次という人を知つていますか。
  817. 星澤權次郎

    ○星澤證人 知つております。
  818. 神山茂夫

    神山委員 その人がこういうことを言つておりますが、農地委員山田の血縁で占めておりますかという問いに対して、血縁者は一人しかいない、しかしみんな血縁のようなもんだ。血続きだ。ここが大事なんだ。実際に親戚なのか、それとも、一派と言われるようなものか。これをはつきり区別してもらいたい。
  819. 星澤權次郎

    ○星澤證人 あまりそういうこむずかしいことを言われてもわからないのですが……。
  820. 神山茂夫

    神山委員 それじや、あんたの言う血縁だとか、親戚だとかいうのに責任が持てるかい。
  821. 星澤權次郎

    ○星澤證人 自分が今言いましたが、その言つた人間だけは確かに血族であるということだけは証明します。
  822. 神山茂夫

    神山委員 それ以外は——山田派と言つたのは今度は別の立場から言つたのだね……。
  823. 星澤權次郎

    ○星澤證人 はい。
  824. 神山茂夫

    神山委員 あなたは農民組合の規約を知つていますか。
  825. 星澤權次郎

    ○星澤證人 さつきちよつと言いました、それだけしか自分は覚えておりません。
  826. 神山茂夫

    神山委員 こういう規約があつたのを知つていますか。第三條本会は農村の政治、経済の民主化をはかることをもつて目的とする。こういうことを知つておりますか。
  827. 星澤權次郎

    ○星澤證人 忘れてしまいました。大分たちましたから……。組織当時に見ただけで、それから見たことはありません。
  828. 神山茂夫

    神山委員 その次は第四條、目的達成のために左の事業を行う。一、耕作権の確立、二、入会権の確立、三、配給、供出の自主化。これが目的となつておる。これも知りませんか。
  829. 星澤權次郎

    ○星澤證人 知りません。
  830. 神山茂夫

    神山委員 それでは第五條に今言つた管理するというのがありますが、これだけ覚えておるのだね。
  831. 星澤權次郎

    ○星澤證人 はい。
  832. 神山茂夫

    神山委員 その次にあなたは組合が耕地を全部取上げるというように言つた。これは何によつて実証されますか。
  833. 星澤權次郎

    ○星澤證人 実証された事実でありますか。
  834. 神山茂夫

    神山委員 そうだ。
  835. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そういう事実があつたかということを言われるのですね。
  836. 神山茂夫

    神山委員 そうだ。
  837. 星澤權次郎

    ○星澤證人 あります。
  838. 徳田球一

    ○徳田委員 番地をはつきり言え。
  839. 星澤權次郎

    ○星澤證人 今私はとられたとこう申しましたけれども、とられたのではなくして、その規約に基いてそれを実行しようとかかつた事実があります。
  840. 神山茂夫

    神山委員 それじやもう一つ聞きますが、とられたという事実がありますか、ありませんか。
  841. 星澤權次郎

    ○星澤證人 とられた事実は知りませんけれども、とにかくその規約に基いてとられようとした事実がここにあります。
  842. 神山茂夫

    神山委員 それは何という人がとられようとしましたか。
  843. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それは池田清司であります。
  844. 神山茂夫

    神山委員 その人が実際にとられようとした事実があつたのですね。
  845. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうであります。
  846. 神山茂夫

    神山委員 それでは、その次にもう一つお伺いしましよう。その規約に、組合員は自己の都合上耕地の返還を欲する場合は組合に返還し、直接地主に対して返してはならぬ。ということがあるのを知つていますか。
  847. 星澤權次郎

    ○星澤證人 知りません。
  848. 神山茂夫

    神山委員 あんたはたつた一つしか知らないのですね。規約はこれだけあるのですが、十九條ある中のたつた一つだけしかあなたは知らない。こういうことですね。
  849. 星澤權次郎

    ○星澤證人 とにかく覚えておりません。
  850. 神山茂夫

    神山委員 それがはつきりしておればいい。覚えておる点は管理のところだけ、——それはわかりました。  その次にあなたにお伺いしますが、あなたは先ほど組合の会議か、部落の常会かわからないようになつた。こういうふうにおつしやいましたね。これはあなたの組合の部落における会合と、それから部落の常会とを区別できますか、できませんか。
  851. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それは組合のそういう総会というか、常会というか知らぬけれども、そういうものは区長へ言つたつて行えるものではありませんし、それから区の話を組合長の家に持つてつてすべきものではありませんから、区長が開いたのはそういう組合の常会ではなくして、区の常会であるものと私は思います。
  852. 神山茂夫

    神山委員 そうです。それを混同してもらつては困ります。眞相がはつきりしませんから。区の常会と組合の会議とは、これからもあなたがほかの委員諸君にお答えになる場合にも、はつきりお話にならないといろいろ誤解ができますから御注意していただきたい。
  853. 星澤權次郎

    ○星澤證人 はい
  854. 神山茂夫

    神山委員 それからあなたが除名になつ理由がいろいろありますが、聞きたいのはあなたはとにかく一ぺん組合員になつたことはありますね。
  855. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうです。
  856. 神山茂夫

    神山委員 それで除名になつたのですか、自分でやめたのですか。
  857. 星澤權次郎

    ○星澤證人 除名されたのです。
  858. 神山茂夫

    神山委員 除名された理由は第一に日傭に行つた問題。それから家を建てた問題。電化の問題。これだけですね。
  859. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうであります。
  860. 神山茂夫

    神山委員 日傭の問題はわかるわけだ。組合としては当時組合と地主とけんかして、地主の方が経済封鎖したのだから日傭に反対したのに、あなたが行つた。それが除名の一つの理由だ。それから聞きたいのは電化の問題だ。あなたは電化ということはよいことだと思つておりますか、悪いことだと思つておりますか。
  861. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それはよいことだと思つております。
  862. 神山茂夫

    神山委員 それを当時村にやるとすれば、村がすぐ助かることはあなたは御承知ですね。
  863. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうであります。
  864. 神山茂夫

    神山委員 それに対して地主たちはどうしましたか。
  865. 星澤權次郎

    ○星澤證人 地主さん方はどうしたということはない。とにかくそのときは地主組合というものを超越して、われわれ三人が徳山さんと共同して電氣をとることになつてとりつけをしたのです。
  866. 神山茂夫

    神山委員 私が今聞いておるのは、村が電気を引こうとしておる。農業用電氣を……。
  867. 星澤權次郎

    ○星澤證人 部落でなしに、それは私の十四戸ある班であります。上棚部落内の十四戸班ある部落でありますが、そこで共同して電氣をとることについて、地主組合に対してわかれておるという際ですが、地主組合を超越して、われわれ向う三軒両隣ということが昔からある。それでお互いに末のためを思つて、仲よくここにとろうと、三人仲よく共同にかかつたのであります。
  868. 神山茂夫

    神山委員 それともう一つ開きたいのは、ほかの人たちがとろうとしたときに、じやましたことはありませんか。あなたはないか知りませんが、地主さんが。
  869. 星澤權次郎

    ○星澤證人 ありません。自分等に対して迫害を受けたことはありません。
  870. 神山茂夫

    神山委員 あなたに対してではなくて、ほかの部落が引こうとしたときに、徳山さんの土地には電柱を立てさせないということは聞きませんか。
  871. 星澤權次郎

    ○星澤證人 知らないです。
  872. 神山茂夫

    神山委員 あなたはうわさも聞きませんか。
  873. 星澤權次郎

    ○星澤證人 知りません。
  874. 神山茂夫

    神山委員 それではもう一つお尋ねしますが、あんたは村八分になつたのですか。
  875. 星澤權次郎

    ○星澤證人 村八分ということは自分も今初めてその意味を聞いたのでありますが……。
  876. 神山茂夫

    神山委員 あなたはお読みにならないかもしれませんが、東京の大新聞といわれる新聞に、あなた方が村八分になつたということが書いてあるのでお尋ねしたいのですが、村八分になつたことはありませんか。
  877. 星澤權次郎

    ○星澤證人 大体それになつております。
  878. 神山茂夫

    神山委員 村八分というのはどんなことですか。
  879. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それは除名になつたことがそうであります。自分も今初めて聞いたのですが、村から相手にされぬ、村はずれにされたという意味だそうであります。
  880. 神山茂夫

    神山委員 そこであなたは誤解している点がございますが、村八分というのは昔、封建時代にあつて、そのころ村八分になつたら仲間つきあいができなかつた。それと今度の農民組合から除名されたということと同じことか。これをひとつ聞きたい。
  881. 星澤權次郎

    ○星澤證人 さあ、自分はそんなことは知らない。
  882. 神山茂夫

    神山委員 知らなければそれでよろしい。もう一つ聞きますが、あなたは池田清次さんの仲よしだろう。
  883. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうでございます。
  884. 神山茂夫

    神山委員 この人はこういうことを言つている。この部落には反共が七人いる。あなたもその中に入つている。部落は全部で百十二戸であるが、このうち七戸が反共だ。だから村八分というのは、七人が反共で部落全体の二分だ。だから残りが村八分だ。あんたの友だちがこういうことを言つているのだが、これはどうだ。
  885. 星澤權次郎

    ○星澤證人 さあ……。
  886. 神山茂夫

    神山委員 私があなたに聞きたいのは、あんた方が農民組合から除名された。そのために組合づきあいされなくなつた。あなた方の基本的人権を無視して、昔の封建時代にやつたように、あんた方を村の者が寄つてたかつておつぽり出した。そういう事実があるかないか。
  887. 星澤權次郎

    ○星澤證人 とにかく今村の人は話もろくにしてくれぬ。
  888. 神山茂夫

    神山委員 次に聞きますが、あなたは終戰後どうして家を建てましたか。
  889. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それは組合員の方か來て下されなかつたけれども、自分の親の人なり、あるいは地主の方に來ていただいて建てて下さいました。
  890. 神山茂夫

    神山委員 家の建て方はそれでわかつた。どこからそんな金が出ましたか。
  891. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それは自分の家が潰れて、屋恨がえをするかどうするか、ほんとうにだめな家になつてしまつたので、自分としては金はないからとにかく屋根がこんだけしたいという案を親戚の方のに申し出したら、金をためて家を建てようとしても建てられるものでない、とにかく金のないところはどうにでも親戚がやるからやれということで、うちの山の木を切つたり、足らぬところは親戚の方にもらつたり、製材も親戚でやり、大工さんも親戚の人でやる。こうして寄つてたかつて自分の家を建てたのであります。
  892. 神山茂夫

    神山委員 次にお聞きしたいのは、あんたは先ほど自分の田地を一反六畝持つているとおつしやつたでしよう。
  893. 星澤權次郎

    ○星澤證人 はい。それは自分の全耕地じやありません。今三人でわけてつくつておるところの全耕地であります。その一反六畝を三人してわけてつくつているのであります。
  894. 神山茂夫

    神山委員 こちらの調査の報告によれば一反八畝となつており、それがあんたの所有の名義になつている。あんたの話では一反六畝何歩になつている。そのうち上中山部落の松田平兵衛さんが六畝、鹿島郡の鹿島路村の西島さんが五畝、あんたが五畝つくつている、こういうわけですか。
  895. 星澤權次郎

    ○星澤證人 はい。
  896. 神山茂夫

    神山委員 そうするとあなたは西島さんや松田さんに対してどういう関係になるのですか。
  897. 星澤權次郎

    ○星澤證人 西島さんに対する関係というのは、自分の小作だけの関係であります。
  898. 神山茂夫

    神山委員 そうするとあなたは地主か。
  899. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そういうわけです。
  900. 神山茂夫

    神山委員 それがわかればいい。  その次にもう一つ聞きたいのは、あなたは今まで六畝と五畝を、松田及び西島に貸したことを、農地委員会や、村や、農民組合に正当に報告しておりますか。
  901. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それはしなかつたからということで、それが悪いということで十分あやまつております。
  902. 神山茂夫

    神山委員 それを隠し田と言われてもしかたがないですね。
  903. 星澤權次郎

    ○星澤證人 とにかくそういうふうに言われました。
  904. 神山茂夫

    神山委員 それが事実だ。それをはつきりしなければならない。こういうような事実があるわけです。
  905. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それは隠しておりません。一筆調査のときには、あなたの調べた一反八畝ということにはこれは間違いありません。台帳面にきつちり出ております。この一反八畝というあなたの調べたものには間違いありません。その一反八畝と六畝——一反六畝と言われましたが、それに間違いがあるというのは、それは山がずつて出て、荒廃地になつたのであります。それは一筆調査のときに言うて、それを引いてもらつてあります。その一反八畝は台帳面のときの面積であります。
  906. 神山茂夫

    神山委員 わかつております。ここではあなたのおつしやる通り、一反六畝とおつしやつたのは、そこらの頭の悪い人がそんなことはないと言つたからで、一反六畝が正しいのだ。問題なのはそれをあなたが一番初め自作農とおつしやつたが、自作農でなくて地主さんだということ、そうしてまた今まであなたがそれを隠しておつたということは認めますね。
  907. 星澤權次郎

    ○星澤證人 隠しても何にもおりませんでした。
  908. 神山茂夫

    神山委員 それを農地調整委員会に報告してなかつたんだろう。
  909. 星澤權次郎

    ○星澤證人 これはこれだけの一反八畝の田を三人でつくつておる。それは報告してございます。内訳しなかつただけでありまして……。
  910. 神山茂夫

    神山委員 さつきあなたは、隠し田と言われてもしかたがないと言つたじやないか。その次にあなた所有名義の土地が、だれが耕作しておるかわからないが、六回にわたつて申告するように言われた事実がありますか。
  911. 星澤權次郎

    ○星澤證人 六回なんていう、そんなことはありません。
  912. 神山茂夫

    神山委員 それじや全然言われたとはありませんか。
  913. 星澤權次郎

    ○星澤證人 言われました二回くらい言われました。
  914. 神山茂夫

    神山委員 一方の方は六回と言つておる人もある。もう一人の人は十回も言つたという人もおるし——それはもうよろしい。とにかくあなたは言われて申告しなかつたというのは事実ですね。
  915. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それはその当時、さつき言つたりくつの方は、そういうことはよろしく頼むという……。
  916. 神山茂夫

    神山委員 それはよろしい。  もう一つ聞きますが、松田さんはあなたの土地をつくつていない。徳山さんの土地をつくつておるということを言つたんですが、あなたは知りませんか。
  917. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そういうことは知りません。おそらく自分の田をつくつていて、つくらぬという、そういうことを言つたとは自分は信ぜられません。
  918. 神山茂夫

    神山委員 これは家へ帰つたらゆつくりおやりなさい。松田さんと——結論的に言えばあなたは自分の隠し田をさし出された。それから地主と仲よくして、組合とけんかをしておるときに、あなたは地主の手先になつた。從つて組合から除名された。この事実だけははつきり認めなければならぬと思いますが、どうだ。(発言する者多し)——除名されてあなたは不服かもしれないが、こういう事実は認めなければならぬでしよう。どうしようか。
  919. 星澤權次郎

    ○星澤證人 はあ。     〔発言する者多し〕
  920. 神山茂夫

    神山委員 聞きたいことはたくさんありますが、今の私の質問だけでも、大体この人の正体はわかつたと思う。あとは私の質問は保留して打切ります。
  921. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 それではお尋ねしますが、昭和二十二年のいわゆる農地買收計画実施に当つて耕作一筆調査に行つた者は、あなたのお答えによると、山田組合長の親戚の多数であつたということをおつしやいましたね。
  922. 星澤權次郎

    ○星澤證人 自分でございますか。もう一ぺん言つてください。
  923. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 一筆調査行つた人は、山田組合長並びにその親戚の多数であつたということを言われましたが……。
  924. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうです。
  925. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 あなたのお答えを聞いておると、いわゆる山田一門と言いますか、血族と言いますか、親戚と言いますか、この連中が村をかきまわしておる一つの團体であるように私たちは見るのであります。  それからもう一つ供米割当の仕方について、いろいろあなたの答弁を聞いておると、そこに非常に恐怖の念を抱かせるような方法をやつたということに聞かれますが、どうですか。
  926. 星澤權次郎

    ○星澤證人 はい。
  927. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 それは間違いありませんな。
  928. 星澤權次郎

    ○星澤證人 はい。
  929. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 それから操作米がある。そうしてその操作米は、二十三年度においては十三石あつたとある人から聞いておるが、確かでありますか。
  930. 星澤權次郎

    ○星澤證人 はい。
  931. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 それからもう一つ、農民組合のできたのは地主組合とどつちが早いのですか。地主組合というものができておるでしよう。どつちが早いですか。
  932. 星澤權次郎

    ○星澤證人 これは組合というような名にかりたものができたのは農民組合のあとであります。農民組合の結成以前までは、そういう地主組合という言葉はないので、今の寄合い議員というような名前で……。
  933. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 それから農民組合ができたときに、あなたの入会されたのは、小作組合におつたので、ついで小作組合が基本になつて農民組合をつくつたから、自分は入つた。こういうのですね。
  934. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうです。
  935. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 そのときに一体規約あるいは規則というものがあつたのですか、ないですか。
  936. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それはありました。
  937. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 その内容は。
  938. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そのときに読んだかもしれないけれども、今では忘れてしまつて、どういうことがあつたか忘れてしまつておる。
  939. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 入るときにあなたは調印したですね。
  940. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうであります。それからさらにあとで規約を持つて來て、その規約を読んでみたら、いわゆる管理者とかあるいは脱退した者には土地を渡さぬとかいうことがあつたので……。
  941. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 拒んだのでありましよう。
  942. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうであります。その箇條に対して判こを押さなんだのであります。その箇條に対し自分は判こを押さなかつた。
  943. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 その箇條書きを見たら、これは民主主義に反しておる。だからかようなものに判こを押されぬというので押さなかつたのですな、間違いないですか。
  944. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうです。
  945. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 そうすると、あなた以外の者は調印をした人ですな。組合員がこれはみなそのまわつた紙を読んで調印されたのですか、または何か他の方法で調印したのでしようか。
  946. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それはその場に押した方々もおいでるし、おいでぬ方はあとから紙をまわして押されました。
  947. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 そうするとその場において規則があつたというわけですね。
  948. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうです。
  949. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 その場にあつた規則と、あなたの方にまわつて來た規則はどういうものですか。
  950. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それは自分のところにまわつて來ぬから知りません。
  951. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 それから村八分に関連して、今神山委員の質問では、八分があなたに反対しておつて、二分がわずかに賛成だというようなことを肯定されましたが、隣村では上棚部落のことを「上棚部落はりんごの実だ、表は赤いが中は白い」こう言つてるということを聞きましたか。要するに表を赤くしていなければ、ある一つの力かあるいはまた脅威がそこへ來るから、やむを得ず表は赤みを帯びておるが、ほんとうはそうではないのだ、りんごの実だということを隣村でうわさしておるという事実をあなたは伺つたことがありますか。
  952. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そういうことは聞きました。
  953. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 そうすれば村八分ではない、ほんとうは村の方がかえつてあなたの方に同情しておるのかもしれないと想像できることもあります。  それからもう一つ山田喜一なる人は村の重要な役割をほとんど一人で占めておるように見えますが、この人をあなたの村で山田様と皆さんが恐怖のあまりに尊称をたてまつつておるという事実はありますか。
  954. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そういうことは知らないですね。
  955. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 要するに山田喜一君は戰後派のボスだという声があつて、非常に権力を持つておるので、これを恐れているので山田様と言つておるという事実がありますか。
  956. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それは事実であります。
  957. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 恐れをなして山田様と言つておる事実はありますね。わかりました。
  958. 徳田球一

    ○徳田委員 証人昭和十九年並びに二十一年にこの上棚部落で洪水の起つたことを知つていますか。
  959. 星澤權次郎

    ○星澤證人 起りました。
  960. 徳田球一

    ○徳田委員 そのときに被害がありましたか。
  961. 星澤權次郎

    ○星澤證人 ありました。
  962. 徳田球一

    ○徳田委員 どの程度ありましたか。
  963. 星澤權次郎

    ○星澤證人 わかりません。被害があつたことはたしかにありました。
  964. 徳田球一

    ○徳田委員 どういう人がどういう被害を受けたか知らないですね。
  965. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうです。
  966. 徳田球一

    ○徳田委員 あなたは長年あなたの部落にいて、あそこで生れてあそこで育つて、親類も何もいるはずだが、そういう大洪水が起つて、相当大きな問題になつているのに、それを知らぬということはありますか。
  967. 星澤權次郎

    ○星澤證人 とにかく水害のあつたことは事実でありますし、災害のあつたことも事実であります。けれどもだれがどれだけあつたということは……。
  968. 徳田球一

    ○徳田委員 どれだけの田が被害を受けたか何も知らないのですか。
  969. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうです。
  970. 徳田球一

    ○徳田委員 でたらめもはなはだしい。それでいいかね。それでこの被害を受けた土地に対して農地改革をやるのに、これを地主から買い上げることに対してどういうことが起つたか知つていますか。
  971. 星澤權次郎

    ○星澤證人 ……。
  972. 徳田球一

    ○徳田委員 そういう荒れた土地をそれから田であつたものが、砂やじやりをかぶつているこの土地を、農地改革のときにどんなふうにして買い上げたか知つていますか。
  973. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そういうことはあまり知らないです。
  974. 徳田球一

    ○徳田委員 知らないだろう。それなら九十六筆の美田を、それから畑も一段幾らというものを採草地としたというけれども、こういう砂をかぶつた被害地、実際上これは台帳面では田であつても、またある面では田の形をしていても、実際上は田に通用しないものを採草地として買い上げられたとい事実は知りませんね。
  975. 星澤權次郎

    ○星澤證人 知らないのです。
  976. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると、あなたの九十六筆というのはいつ調べたのですか。
  977. 星澤權次郎

    ○星澤證人 実際調べたのは先月に調べたのであつて、実際にその調査をしたときには田圃になつておつた。
  978. 徳田球一

    ○徳田委員 被害を受けたものを買つて美田にしたのだから、五月には美田になつておるのに違いない。写眞にも出ている。その美田になつたものを、お前さんの方は、これは美田であるのに採草地として買い上げた、こうなるのだね。それを今年の五月になつてから調べ上げるという法があるか。九十六筆を今年の五月に調べて、これが美田であつたの採草地として買い上げたというのは、どういうあれできめたのでありますか。
  979. 星澤權次郎

    ○星澤證人 今先生がお尋ねくださいましたのは、採草地というものが二百何十筆あつた。そのうちの百十六筆を調べてみたところが、九十六筆、一町七反三畝というものが田圃になつておつた。これが今申されるのは、水害にあつて田圃になつておらぬ、調査後に田圃にされたものじやないか、こういう御質問じやないかと自分は思います。
  980. 徳田球一

    ○徳田委員 いやそういうのではありません。あなたは九十六筆の田を、これは美田であつたの採草地として買い上げた、こう言われるのですね。だからそれをことしの五月に調べて、これがはたしてそうであるということをどうして立証ができますかと言うのです。
  981. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それは実際自分は地主でないですから…。地主の方々がこれはたしかに水害もこうむつておらぬ。実際に調査をされたときには、これは美田であつたということを証言されておられる地所でありますから、東京くんだりでこうして論議をされておられるよりか、実地へ行つて調査をしてもらつた方が確実であると自分は思うのであります。
  982. 徳田球一

    ○徳田委員 それを今年の五月になつて、あなたは地主から聞いたのですな。
  983. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうです。
  984. 徳田球一

    ○徳田委員 九十六筆みんな地主から聞いて廻つて歩いたの。それとも地主のだれかから聞いたのですか。あなたがみんな調べて、あらゆるものを集計したのですか。
  985. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうではありません。さつき言うておられたあの方々がともに協力してここに調べられたものであります。
  986. 徳田球一

    ○徳田委員 それはだれですか。
  987. 星澤權次郎

    ○星澤證人 池田さんなり徳山さんなりです。
  988. 徳田球一

    ○徳田委員 地主組合だね。
  989. 星澤權次郎

    ○星澤證人 地主組合というものは今ありません。
  990. 徳田球一

    ○徳田委員 さつきあると言つたじやないか。
  991. 星澤權次郎

    ○星澤證人 地主組合があると言いましたのは、昔はとにかく四十何人の寄り合い組合というようなものはありましたけれども、農民組合が結成されてから、地主組合という名にかわつたのであります。そうして闘爭して地主が負けたときには、その地主組合というものはつぶれなくなつてしまつたのであります。
  992. 徳田球一

    ○徳田委員 君は地主か。
  993. 星澤權次郎

    ○星澤證人 地主じやありません。
  994. 徳田球一

    ○徳田委員 責任は君にもあるのだね。この三人で調べたのだね。
  995. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうです。
  996. 徳田球一

    ○徳田委員 地主は全部まわつて歩いたのか。
  997. 星澤權次郎

    ○星澤證人 三人で実地なり地主なりを調べました。
  998. 徳田球一

    ○徳田委員 その地主は何人調べたのか。
  999. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それはちよつとここでは申されません。
  1000. 徳田球一

    ○徳田委員 君そんなことを言うけれども、現にここに陳情書というのがあつて、この調査したものに対して、これは決して不当じやないということをちやんと書いてある。そのうちにちやんと元地主として十七人、これは相違ありませんということを地主がちやんと立証しておるのだ。その調べた地主の名前を言つてごらん。
  1001. 星澤權次郎

    ○星澤證人 一々名前をあげることはできません。
  1002. 徳田球一

    ○徳田委員 君のところは四十以上だろうから、どの地主がどこのだれかということは、てのひらをさすがごとく言えるに違いない。
  1003. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そういうことを自分に申せと言われても、ちよつと自分は言われない。
  1004. 徳田球一

    ○徳田委員 そうするとこれをみんな調べたというのは……。
  1005. 星澤權次郎

    ○星澤證人 その地主をみんな調べたということは、そこにだれだれ出ているかぼくはしりませんけれども、その調べたものの九十六筆にこれだけの田圃があるということだけは申し上げます。
  1006. 徳田球一

    ○徳田委員 それはうそだということはよくわかつたからいい。  もう一つ聞いてみるが、君の田圃の所有地はいくらですか。
  1007. 星澤權次郎

    ○星澤證人 私の所有地は大体九反なんぼあります。
  1008. 徳田球一

    ○徳田委員 畑は……。
  1009. 星澤權次郎

    ○星澤證人 畑は一反どれだけかあります。
  1010. 徳田球一

    ○徳田委員 山林は……。
  1011. 星澤權次郎

    ○星澤證人 山林はちよつと申されません。これは台帳を見ればわかりますけれども、おやじがおりますので、そんなものは見たことがありませんから……。
  1012. 徳田球一

    ○徳田委員 何反何畝何十町歩までは言わんでもいい。大体のことを言いなさい。
  1013. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そういうでたらめなことを申してもいいでしようか。
  1014. 徳田球一

    ○徳田委員 豪勢な家をこしらえているのだから、よほど大きな山林に違いない。大体五十町歩くらいあるだろう。
  1015. 星澤權次郎

    ○星澤證人 三反や四反ありますが、そんな大きな……。
  1016. 徳田球一

    ○徳田委員 三反や四反、それは山のうちに入らぬじやないですか。山と平地とは違う。山の二反や三反というそんなばかなことはない。これだけあるうちから田や畑を人に貸しているのは幾らですか。
  1017. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それもはつきりしません。貸してあると言えば貸しであるのですけれども、そんなのは問題にならないほど小さいのです。
  1018. 徳田球一

    ○徳田委員 この二人だけにしか貸さないのですか。
  1019. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そのほかにありますけれども、そんな小さいのは問題にならぬ。
  1020. 徳田球一

    ○徳田委員 小くても大きくてもいい。それが必要なのだから……。君の階級的地位がこれでちやんときまる。そうすれば君の態度がすぐわかる。お前さんのところでやつているのは階級闘争だから……。
  1021. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そのほかに二畝歩か、三畝歩あります。
  1022. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何年に貸したのですか。
  1023. 星澤權次郎

    ○星澤證人 ずつと昔から貸してあります。
  1024. 徳田球一

    ○徳田委員 幾人に貸してあるのですか。
  1025. 星澤權次郎

    ○星澤證人 二人です。これもほんの少し三畝歩もあるでしようか、一畝歩もあるでしようか、これは昔から使つているから、年貢と言つたつて名目ですし……。
  1026. 徳田球一

    ○徳田委員 この前とまだほかに何人に貸してあるのですか。
  1027. 星澤權次郎

    ○星澤證人 二人です。
  1028. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると四人だね。
  1029. 星澤權次郎

    ○星澤證人 はい。
  1030. 徳田球一

    ○徳田委員 君のところで農地改革をやつたときに、地主は、——君は地主に違いないのだね。前から小作さしているのだから地主だね。
  1031. 星澤權次郎

    ○星澤證人 地主でありませんです。小作であります。そうして小作の地面が自分は多いのです。そのほかに八畝歩という小作があるのです。
  1032. 徳田球一

    ○徳田委員 たつた八畝歩ですか。
  1033. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうです。八畝歩です。
  1034. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると、君は小作に出しているものの方がはるかに多いじやないか。
  1035. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうであります。
  1036. 徳田球一

    ○徳田委員 それなら少しくらい借りていたからとて君は地主だね。
  1037. 星澤權次郎

    ○星澤證人 いや、貸しておる方が多いのじやない。借りておる方が多いのです。
  1038. 徳田球一

    ○徳田委員 そうか。それなら調べてみよう。
  1039. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうじやないでしよう。三畝歩と八畝歩ですから……。
  1040. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうです。少しよけいであります。
  1041. 徳田球一

    ○徳田委員 少しじやないよ。貸しておるものがはるかに多い。三倍くらい……。
  1042. 星澤權次郎

    ○星澤證人 八畝歩受けて六畝歩と五畝歩ですから、貸してある方がやはり多いのであります。
  1043. 徳田球一

    ○徳田委員 君は地主かどうかはつきりしているからいいが、ただ一言聞きたいのは、君はそういうふうに迫害されて、山田とか、何だとかが悪いことをしているというならば、君らはこれに対して異議の申立をしましたか。これで言えば山田なんか強盗と同じだ。これだけの強盗的なことをやられて、しかも彼は元は小作人じやないか。君らから貧乏人だと言つて鼻も引つかけられなかつた人間だ。それがこれだけの悪いことをしているというならば、君らはこれに対して異議を申し立てて、堂々と鬪つたらどうか。それをやつたかどうか。
  1044. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それは自分らこれ以上どんな目にあうかわからないので……。
  1045. 徳田球一

    ○徳田委員 二十一年以來、これだけやられておるならば、君らは堂々と鬪うべきじやないか。君らの背後には代議士がおるじやないか。君らが言わなくたつて代議士言つて、知事のところでも、どこでもいろいろいえるはずだが、そういう鬪いをしたかどうか……。
  1046. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そういう鬪いは恐ろしくて何もしませんでした。
  1047. 徳田球一

    ○徳田委員 だからこれはみなうそだというのだ。君らは鬪うべき権利を持つておる。堂々と鬪えばいいじやないか。あのときから三年もたつて鬪いもせずに、今ごろこういうことになつたのはどうしたのか。今鬪いつつあるのじやないのか。三年もやらなかつたのに今こういうことがどうしてできたか……。
  1048. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 もういいでしよう。
  1049. 徳田球一

    ○徳田委員 言わなかつたと書いておいてくたさい。
  1050. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 吉武惠市君。
  1051. 吉武恵市

    ○吉武委員 私は一言お尋ねしたいのだが、今あなたの言われた中に大体九反ほど持つておる——そうですね。
  1052. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうです。
  1053. 吉武恵市

    ○吉武委員 そのうち初めに一町歩西島さんと松田さん、両方合せて一反二畝ほどお貸しになつておりますね。五畝七歩と六畝四分ですね。
  1054. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうです。
  1055. 吉武恵市

    ○吉武委員 合せますと、約一反ちよつとですね。
  1056. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうです。
  1057. 吉武恵市

    ○吉武委員 それから別に九反の中から小作が小部分あるわけですね。
  1058. 星澤權次郎

    ○星澤證人 九反のほかに貸してあるのです。
  1059. 吉武恵市

    ○吉武委員 そうすると、あなたが自分でおつくりになつておるのは……。
  1060. 星澤權次郎

    ○星澤證人 自分でつくつておるのは大体九反。
  1061. 吉武恵市

    ○吉武委員 それで供出はどれくらい割当がありましたか。
  1062. 星澤權次郎

    ○星澤證人 今年度の供出は八石三斗六升三合です。
  1063. 吉武恵市

    ○吉武委員 わかりました。それからあなたの米の実收は大体どれくらいですか。
  1064. 星澤權次郎

    ○星澤證人 実收といつても、これは二十四年度の事前割当でございますから……。
  1065. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今年度なら予想高です。
  1066. 星澤權次郎

    ○星澤證人 実收高というと、去年のですか。
  1067. 吉武恵市

    ○吉武委員 去年の実收でもいいです。大体どれくらいですか。
  1068. 星澤權次郎

    ○星澤證人 去年の実收の確定したものはありませんが、十七、八石くらいとれる。それぐらいのものではないかと思います。
  1069. 吉武恵市

    ○吉武委員 もう一ぺんお聞きしますが、去年の大体の実收が十七石ぐらいだつたとすると、そのときの供出割当はいかがでございますか。追加なんか全部寄せて、追加供出もあつたでしようが、それを全部寄せて供出されたのは大体どれくらいですか。八石五斗くらいですか。
  1070. 星澤權次郎

    ○星澤證人 今ここにしつかりした数字はありませんが、八石五斗ぐらいになるのじやないかと思います。
  1071. 吉武恵市

    ○吉武委員 あなたの家族は大体どれぐらいですか。
  1072. 星澤權次郎

    ○星澤證人 家族は七人おります。
  1073. 吉武恵市

    ○吉武委員 そのうちおとなとしての保有米をもらつているのは何人ですか。
  1074. 星澤權次郎

    ○星澤證人 四人です。
  1075. 吉武恵市

    ○吉武委員 そうすると、先ほど山田さんからお聞きしたのですが、山田さんは大体八反四畝くらい田をつくつておられる。あなたと六畝ほど違うだけですが、大体同じくらい。それに供出はたつた六斗二升だつた、こういうのですね。そうして実際できたのは十二石五斗くらいだつた。あとは保有米で、人も多かつたと言われますが、大体人数は同じぐらいと思われるのですが、非常にあなたと比べて供出に差があるように思う。あなたは不公正だという感じを抱かれたことがありますか。
  1076. 星澤權次郎

    ○星澤證人 確かに不公平であると思います。
  1077. 吉武恵市

    ○吉武委員 それはあなただけですか、ほかにもそういうことをお聞きになつたことはありませんか。
  1078. 星澤權次郎

    ○星澤證人 ございます。
  1079. 吉武恵市

    ○吉武委員 それはどういう人たちがそうですか。
  1080. 星澤權次郎

    ○星澤證人 かずかされた方々もやはりそう申されておるのであります。
  1081. 吉武恵市

    ○吉武委員 出されたというのは、先ほどからいわゆる村八分というものを受けた。あなたは村八分という言葉を御存じなかつたのだが、非常に迫害を受けたような人、そういう人々が不公平な割当を受けておるということをあなたはお感じになりませんか。
  1082. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そういう方々のみでなしに、ほかでもそういう評判をいたします。しますけれども、今もやはり表面だつて言わないで、下にまわつてこそこそ話をしておるのを聞きます。
  1083. 吉武恵市

    ○吉武委員 こわいというのはどういうことをするからこわいのですか。それをひとつ正直におつしやつてください。
  1084. 星澤權次郎

    ○星澤證人 自分が今立つておるような立場で、村八分というのか、除名というのか、とにかく村から軽蔑されるような立場にされる。税金は上げられる。供出はかけさせる。それから私ども地主の組合も、おかげに耕地をもらうたじやないか。それが組合に反抗する。組合に敵対することである。そういうことをするやつには何かの罰が來る。今申しましたようなこういう罰が來る。これがおそろしくて何もすることはできない。
  1085. 吉武恵市

    ○吉武委員 そうすると、つまり組合に入つておるものの中にも、こそこそそう言つておるものがあるということですね。
  1086. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうであります。
  1087. 吉武恵市

    ○吉武委員 わかりました。
  1088. 大橋武夫

    ○大橋委員 ちよつと関連しまして、今の恐れておるというのは、何か実際上恐れなければならぬような根拠がありますか。過去の実例なり、どうしてこわいということについての合理的な理由がありますか。
  1089. 星澤權次郎

    ○星澤證人 実際上……、それは事実を何か申し上げねばならぬのでありますが……。
  1090. 吉武恵市

    ○吉武委員 何か実例でもいい。税金を上げてやるぞと、こういうふうなことを言つたとか……。
  1091. 星澤權次郎

    ○星澤證人 とにかく自分がうちを建てるときに、大石さんが來てくれなかつた。そのときに、組合員の大石が行かぬというのに、ほかの組合員が行くということがどこにあるか。もし行つたら何をされるかしれぬぞとこう言うて、その威嚇があつて……。
  1092. 徳田球一

    ○徳田委員 それはだれが、どこで、どうしたというのか。大体そうであろうというのではだめだ。
  1093. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうであります。それは私が今実例にあげたのは、松坂久作君が山田のところへどうしたらよかろうと話をかけに行つたときに、大石はそういうことをしたら、お前らどうするかわからぬぞというような威嚇をしたものですから、松坂は今星澤さんのとこに行つたらお前ら何をされるかわからぬぞ……。
  1094. 徳田球一

    ○徳田委員 大石が言つたのだね。
  1095. 星澤權次郎

    ○星澤證人 違います。松坂であります。
  1096. 吉武恵市

    ○吉武委員 さつき言いましたね。それから次にもう一つお聞きしたいのは、あなたが最初常会に出ておつたけれども、不愉快だからとうとう常会に出なくなつたと言われますけれども、その常会に出て不愉快だというのは、どういうようなことで不愉快なんですか。実際今まで、戰前までは平和な村であつたときは、普通村であれば話合いとか何かで行きおつたんだ。ところがそれから後に非常に空氣がかわつたでしよう。その常会のやり方なんかで、あなたが非常に目に立ち、あるいは不愉快に感じられたのはどういうことか。一例をあげてもらうとよくわかるのですがね。たとえば何か発言しようとすると、大きい声ですぐそれを妨害するとか、一部の者だけが盛んに大きな声で議場を占領するとかいうような、とにかく自由にものが言えないというような事例がたびたびあつたかどうか、ですな。
  1097. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうすると自分は一つの実例をあげて申しますが、一番先に申しました通り、とにかく地主組合というものは負けて、ここに解散になつてしもうたということから、地主というものはあまり顔を出さぬ。たまたま顔を出しても、出てしやべつたらかれらに憎まれるから、あまりものを言わないというようになつてしまつた。それから組合員もまたそういうような、自分らが言うてもまたにらまれるから、今のような立場でにらまれるというのではすまぬからといつて、何もものを言わぬというようなぐあいで、また組合の幹部が出て來ねば、いつまで経つても常会も何も開かない。この事実は、日にちはたしかには今申されませんが、さつき申しておりました池田清司のたんぼの問題で常会を開きました。その際に、それは午前に開いた。相当、半数以上の人間が寄つた。寄つたけれども、組合のある幹部の方々が見えられなかつたために、こういう少いのでは常会にならぬ、と言うて、午前中常会を取消しにしてしまつて、午後からまた改めて常会を開いた。こういうような事実もあります。
  1098. 吉武恵市

    ○吉武委員 そうすると、今のはよくわからないけれども、何か事案ができて、相当人が集まつて、その事案を今きめたのじやぐあいが悪いというときには、それも引延ばして、大体文句を言いそうな者が帰つたときをねらつて、議事を進めるということを大体やつておる、こういうことですか。
  1099. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうであります。
  1100. 石田一松

    ○石田(一)委員 ちよつとお尋ねいたしますが、あなたは終戰前から小作人であつたから小作人組合にいて、その小作組合が農民組合になつたので、自分も農民組合に入つたようなことをおつしやつておますが、あなたは以前小作人組合に入つていなかつたじやないですか。要するに小作人の集まりが、終戰後農地調整法の関係農民組合が結成されて、小作人がずつと農民組合になつたので、あなたもそれと一緒になつたというのですね。
  1101. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうでございます。
  1102. 石田一松

    ○石田(一)委員 さつきから聞いていたが、あなたは小作人というよりも地主の方じやありませんか。
  1103. 星澤權次郎

    ○星澤證人 違います。
  1104. 石田一松

    ○石田(一)委員 小さいながらも人に貸しているでしよう。
  1105. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それはいくら地主であつても、遠い所の田圃は人に貸してあり、近い所は人のものを借りるということで、地主であつても借り貸しはあります。
  1106. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうだとすれば、あなたは少しほかの人に土地を小作に貸しているのですか。
  1107. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうであります。
  1108. 石田一松

    ○石田(一)委員 結局貸した土地が現在でもあなたのものになつているのですか。
  1109. 星澤權次郎

    ○星澤證人 なつております。
  1110. 石田一松

    ○石田(一)委員 それはおかしいじやありませんか、農地調整法で自分で耕さない土地を自分で持つているはずはない。あなたのおつしやつた数字を合わせると一町歩以上のものを持つていらつしやる。あなたはその土地を届けたら農地調整法で取上げられるというので、これを届けなかつたのでしよう。
  1111. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それは法律にそういうきめがあるならば、潔く自分は開放します。しかし自分が聞いておるのは、自分がここに九反つくつておる。小作というものは、また九反のほかに七反歩の保有地を持つてるものであると、こう聞いております。
  1112. 石田一松

    ○石田(一)委員 それだけありながら、小さいながら地主でないとおつしやるのでありますか。
  1113. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうであります。それが小さい地主であるかどうかを今言うのではありませんで、それをなぜ開放しなかつたかと自分が聞かれるから、それは開放せぬでもいいように農地調整法があるということを聞いておりました。
  1114. 石田一松

    ○石田(一)委員 それであなたはそのときに山田さんという人から、とにかくさつきおつしやつた田地の一反八畝いくらが、はつきりだれにどうなつているかを申告しろと言われても、あなたはなされなかつたのでしよう。
  1115. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうでございます。
  1116. 石田一松

    ○石田(一)委員 なぜなさらなかつたか。
  1117. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それはさつき言つたように、むずかしくて一枚のうちに何枚もあるようなわけで、心やすく君内訳を出してもらえんか、頼むと言うて、頼んであつたものですから、自分も安心しておつたわけであります。
  1118. 石田一松

    ○石田(一)委員 もう一つ聞くが、あなたはこんな恐ろしい目にあわせられたらこわいから申し出なかつたと言われる。これは山田一人できめたことじやないでしよう。農民委員会か何かできめたのでしよう。あなたの村は、民主自由党が多数党できめていることと同じだ。そうじやないか。それをどうして山田個人にこういうことをする。証人に出ることをたれかに頼まれたか。あなたはそこに書いてあるものはたれに書いてもらつたか。
  1119. 星澤權次郎

    ○星澤證人 これは自分で書きました。
  1120. 石田一松

    ○石田(一)委員 その材料を書くときにたれが手傳つたか。たれが書いたか。一体この委員会に出て……。
  1121. 小川半次

    ○小川(半)委員 議事進行について……。そんな質問は委員会の権威を冒読する。そんな質問があるか、ぼくは反対だ。無形の暴力だ。
  1122. 石田一松

    ○石田(一)委員 無形の暴力かどうか、これを取上げてやつたのが無形の暴力じやないか。
  1123. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうことを証人に聞かれても困る。おとなしく聞いて、早く切上げてください。
  1124. 石田一松

    ○石田(一)委員 それでは今私が声をあらげて言つたのは取消します。あらためて聞きますが、あなたはこうした証言をなさるために東京へいらつしやる前に、どなたかにお会いになつて、いろいろどうだこうだということを相談して來たのではありませんか。
  1125. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そういうことはありません。
  1126. 石田一松

    ○石田(一)委員 さつきおつしやつた徳山とか池田とかいう人に、事前に会つていらつしやつたのじやないですか。
  1127. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それは召喚状をもらつてから教わつたことは何もない。こういう話を聞いたことはありますが、召喚状をもらつて、これはどうだ、あれはどうだ、そういう相談をしたこともなければ、教わつたことも何もありません。
  1128. 石田一松

    ○石田(一)委員 専門調査員があなたの部落に参りましたときに、徳山という地主さんの家で、あなたは鈴木という専門調査員にお会いになつているでしよう。そのときに鈴木という専門調査員はあなたから何か聞きましたか。
  1129. 星澤權次郎

    ○星澤證人 聞かれました。
  1130. 石田一松

    ○石田(一)委員 どういうことを聞きましたか。
  1131. 星澤權次郎

    ○星澤證人 それは自分がとにかく、除名をされた経緯とか、税金を上げられたとか、不当な供出を課せらかているというようなことを聞かれました。
  1132. 石田一松

    ○石田(一)委員 あなたが徳山さんの家にいらつしやつたのは、考査特別委員会から専門調査員調査に來ているというので、だれかがあなたの家に呼びに行つたのですか。
  1133. 星澤權次郎

    ○星澤證人 呼びに行つたと言いますが、自分は隣でありますから、せんせい何しろ日が暮れて、泊る所がない。辺鄙な村だものですから、それで晩來られたというので……。
  1134. 石田一松

    ○石田(一)委員 隣といつて、どのくらい離れているかしらぬが、專門調査員が來ているということはわからないはずですね。その家に行つたのは、專門調査員がいるからというので、呼ばれて行つたのでしよう。徳山さんのお使いか何かが呼びに行つたのでしよう。
  1135. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そうです。
  1136. 石田一松

    ○石田(一)委員 あなたはいまの一つの事実でもわかつているのに、隣りだからということでごまかそうとするから、結局私も声を大きくするのだ。あなたは聞いたら正直に言つたらいい。あなたはそこで一緒に酒を飲んだでしよう。
  1137. 星澤權次郎

    ○星澤證人 いや、自分は酒は全然飲みません。
  1138. 石田一松

    ○石田(一)委員 そこでみんな、徳山さんも専門調査員も飲んでいましたか。
  1139. 星澤權次郎

    ○星澤證人 どれだけ飲んだか知りませんが……。
  1140. 石田一松

    ○石田(一)委員 どれだけ飲んだというようなことは聞いておりません。飲んでおつた。
  1141. 星澤權次郎

    ○星澤證人 はあ。
  1142. 石田一松

    ○石田(一)委員 そのときに、前に話しておいたでしよう。
  1143. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そういうお問いにあずかつただけで、あとは何にも知らぬのです。
  1144. 石田一松

    ○石田(一)委員 そのときにあなたに対して、今度証人に來てくれと頼んだのですか。
  1145. 星澤權次郎

    ○星澤證人 そんなことは自分は何にも知らない。ただ自分はそれだけ話しただけで帰りました。
  1146. 石田一松

    ○石田(一)委員 あなたが調査員から調べられたのは、徳山さんという人があなたのところへ呼びに來て、調査員に話して、それで今度証人に呼び出された。そのときには今度呼び出すからという話はなかつたのですか。
  1147. 星澤權次郎

    ○星澤證人 何もありません。
  1148. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 では済みました。御苦労さんです。  この際お諮りいたします。時刻も大分遅くなりましたので、残余の証人につきましては、本日は証言を求めないこととし、後日必要があれば適宜出頭を求めることといたしたいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  1149. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なきものと認めます。それではさよう決定いたします。  二十七日は運輸省の資材の拂下げ事件について六名の証人出頭を求めております関係上、正一時より委員会を開くことにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後九時三十三分散会