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1949-10-07 第5回国会 衆議院 厚生委員会 第31号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十四年十月七日(金曜日) 午後一時三十四分
開議
出席委員
委員長
堀川
恭平君
理事
大石 武一君
理事
中川
俊思君
理事
幡谷仙次郎
君
理事
松永
佛骨
君
理事
福田
昌子君
理事
床次 徳二君
理事
苅田アサノ
君 今泉 貞雄君
丸山
直友君 岡 良一君 堤 ツルヨ君
伊藤
憲一君
委員外
の
出席者
厚生事務官
安田
巖君 專 門 員 川井
章知
君 專 門 員
引地亮太郎
君 ————————————— 本日の
会議
に付した事件
社会保障制度
に関する件 —————————————
堀川恭平
1
○
堀川委員長
これより
委員会
を開会いたします。 本日はわざわざ御遠路御苦労でございました。なお午前中
理事会
におきまして御了解を得ました
社会保障制度
に関しまして
議事
を進めて参るのでございますが、御
承知
のごとく同
制度
については、去る五月
内閣
に
社会保障制度審議会
が
設置
せられまして、すでに
総会
も開かれ、また各專門の小
委員会
もそれぞれ
檢討審議
中でありますので、なお近時各
県社会保險
の
財政事情
はきわめて緊迫し、この
情勢
のままでは、さらに社会不安を増大すると予想せられる際であり、かつ
シヤウプ勧告
に基く諸影響もあることと存ぜられますので、
対策
その他御
意見
について
厚生当局
から十分な
説明
を聽取いたしたいと存ずる次第であります。つきましては
保險局長
からまず御
説明
を願いたい、かように存じて居る次第であります。
安田保險局長
からひ
とつ
願います。
安田巖
2
○
安田説明員
社会保障制度審議会
の現在までに運営されて参りました
状況
につきましては、この前大体
お話
をいたしたと存じます。第六回が先月の十三日に開かれましたので、そのことをひ
とつ
御報告申し上げたいと思います。 九月十三日に第六回の
審議会
の本
会議
が開かれたのでありますが、そのときに
議事
になりましたものは、
社会保障制度
の
原則
の
大綱
を
起草
するということが、
前回
の第五回にきま
つて
おりましたので、
運営委員長
から末高、中山、
長尾
、
近藤
、齋藤、川崎、山下七名の
委員
の方に
社会保障制度
の
大綱
を
起草
する文をお願いしたという報告がございました。 次に
生活保障制度
の
改善強化
の件、この
勧告案
をすでに提出するかどうかということにつきまして、第五回からいろいろ
論議
が重ねられましたが、結局若干の字句を訂正したしまして
勧告案
を提出することに
決議
ができました。その場で
起草
の
委員会
を持ちまして、第六回で
決議
をして、九月十三日付で
総理大臣
に
勧告
をし、
大藏
、
厚生
両
大臣
に
助言
をいたしたわけであります。その
内容
はすでに御
承知
かと思いますが、読み上げます。
生活保護制度
の
改善強化
に関する件 現下の
社会経済情勢
に鑑み
政府
はは社会不安を除去するため、緊急に
現行
の
生活保護制度
を
改善強化
し、も
つて
当面の緊迫せる
情勢
に対應するよう
社会保障制度審議会設置法
第二條第一項により別紙の如く
勧告
する。
昭和
二十四年九月十三日
社会保障制度審議会
々長 大内 兵衛
内閣総理大臣吉田茂
殿 これと同文のものが
厚生大臣
、
大藏大臣
に
助言
の形で出されたのであります。
内容
を申し上げます。
生活保護制度
の
改善強化
に関する件
現行
の
生活保護制度
の採
つて
いる無差別平等の
原則
を根幹とし、これに次に述べる
原則
並びに
実施要領
により
改善
を加え、も
つて
社会保障制度
の一環としての
生活保護制度
を確立すべきことを
勧告
する。 (
原則
)(一) 国は凡ての
国民
に対しこの
制度
の定めるところにより、その
最低生活
を保障する。国の保障する
最低生活
は健康で文化的な
生活
を営ませ得る
程度
のものでなければならない。(三)他の手段により
最低生活
を営むことのできぬものは当然に公の
扶助
を請求し得るものであるという建前が確立されねばならぬ。
従つて公
の
扶助
を申請して却下された者及び現に受けている
扶助
につき不服のある者はその是正を法的に請求し得るようにしなければならない。(三)
保護
の
欠落條項
を明確ににしなければならない。 (
実施要領
)第一
保護機関
に関するもの (一)
市町村
に置いて
生活保護
に当るる
職員
は、別に定める資格を有する
職員
でなければならない。これがため国はこの
職員
の
設置
に要する
費用
の少くとも二分の一を
負担
することとすべきである。 (二)
保護事務
の
取扱い
に際し守らるべき準則を定め
市町村長
及び
事務取扱者
の責任を明らかにしなければならない。 (三)
市町村長
及びその指定するものは
保護施設
及び
保護費
の支拂を受ける
医療機関
を監査し得ることとすべきである。 (四)
民生委員
に次に掲げる
事項
につき
市町村長
の行う
保護
に強力するものとすべきである。 (1)
保護
を要する
状態
にある者を発見すること。 (3)
保護
の
実施
に関し必要に應じ
意見
をを
市町村長
に述べること。 (3)
保護
を受ける者の
生活指導
を行うこと。第二
保護施設
に関するもの (一)
保護施設
の種類及び定義を
法律
において明らかにしなければならない。 (二)
保護施設
の
設置
及び
廃止
はすベて
都道府県知事
の認可を要することとしなければならない。 (三)
都道府県知事
が必要と認めるときは
一定
の
手続
を経た後
施設
の設備の
改善
及び
施設
の
廃止
を命じ得ることとすべきである。 (四)
施設
の
保護施設
に対する監督を一段と強化し、公の支配に属するものたらしめなければならない。 (五)国は
都道府県
に対し、
都道府県知事
は
市町村
に対し
一定
の
手続
を経た後
保護施設
の
設置
を命じ得ることとすべきである。第三
保護
の
内容
に関するもの (一)
保護
の
程度
及び方法に関する
原則事項
は
法律
において規定すべきである。 (二)
保護
の
実施
は
現状
ではいささか消極的に過ぎるから、更に積極的に運用し、
経済厚生的施策
を拡充し、
防貧自立
の機能を発揮するようにしなければならない。これがため第二種カードの
考え方
を一部復活することも考慮すべきである。 (三)
現行
の五種の
保護
の外に新たに
教育扶助
及び
住宅扶助
の
制度
を創設すべきである。第四
保護費
に関するもの (一)
現行
の八・一・一の
負担区分
は
地方負担
過重に失し、この
制度
の円滑なる
実施
に対する障害をなしているから、
地方負担
の軽減を図るようにしなければならない。 (二)
市町村
の
保護事務施行
に要する
費用
の二分の一を国において
負担
することとすべきである。 (三)国及び
地方公共団体
はこの
制度
の
実施
に要する必要にして十分な金額を
予算
に計上しかつ支出しなければならないことを
法律
に明記すべきである。 これが
前回審議会
の本
会議
でも
つて
決議
になりまして、それぞれ
内閣総理大臣
に
勧告
を、
大蔵
、
厚生
両
大臣
に
助言
をせられた按分でございます。それからその次に第五回の
総会
におきまして、
社会保険
の
給付費
の一割を
公庫負担
とすべきであるという
勧告
が出ておるのでありますけれ
ども
、その後の
経過
にかんがみまして、この
要請
をさらに
審議会
として強化しなければならないということが
論議
されました。それからその次に
事務局
を
設置
すべきであるという問題が前から出てお
つたの
でありますけれ
ども
、その点につきまして未だ確固たる措置が
政府
としてとられてないようであるけれ
ども
、これをもつとしつかり押して
行つて
、必ず
事務局
を
設置
するようにしなければいかぬ、こういう
論議
がございます。 それから最初に申しました
社会保障制度
の
原則
を
起草
しなければならないということで、小
委員会
が設けられたことは申し上げたのでありますけれ
ども
、その後九月十六日に第一回の
起草小委員会
が行われました。これは
長尾
、
近藤
両
委員
が大体の議論の種になるものをおつくりになりまして、それについて
説明
をしたという
程度
で終りました。それから第二回の
起草小委員会
が九月二十日に行われたのでありますが、これにつきましては先ほどの
起草
されました案につまして各
委員
から相当活発に
意見
と批判が述べられたわけであります。第三回が引続いて九月二十六日に行われたのであります。この日もやはり
論議
が重ねられまして、大体走行の形式を採用することにいたしまして、さらに
逐條審議
して念を入れて行こうということで別れたのであります。 第四回が九月二十七日、翌日また開かれました。ここで
逐條審議
をいたしまして、
起草委員
の間の
意見
が大体わかりましたので、それに
従つて長尾
、
近藤
両
委員
が再びそれを加筆訂正いたしましてこの次までに案をつく
つて
来る、こういうことにな
つて
おります。
見通し
といたしましては九月十日にこの小
委員会
が開かれまして、先ほどの直したものを、
運営委員会
と
総合企画委員会
の合同の
委員会
にかけまして、異見がございませんでしたならば十三日に第七回の
総会
がございますので、そこにかけて、そうしておそらくは私の見込みでは、
皆さん
にこの次の十三日の本
会議
でその草案をおわかちして、
説明
して、一月ほど御
研究願つて
、その次の次の
総会
で何らかの形にまとまるか、あるいはさらに
論議
を重ねるか、こういうことだろうと思
つて
おります。 それから
保険関係
の
シヤウプ
の今度の
勧告
につきまして、
勧告
の意のある所を申し上げます。これは
保険
だけの問題でございますが、御
承知
のように
社会保障税
という項がございまして、それを見ますと、現在
厚生省
でと
つて
おります
保険料
と労働省がと
つて
おります
保険料
があるわけであります。そういうふうに
徴収事務
が個々にわかれておりますことは非常に不便でございますので、これを
大蔵省
に委託しまして、一本に
徴税官署
で、つまり
税務署
でまとめて
源泉課税式
にとるべきであるという
勧告
がございました。それから
社会保障税
をとるといたしましても、
課税
の
標準
がいろいろ
違つて
お
つたの
では困るから、これを単一化しなければならないということが第二点でございます。第三点といたしましては右の
事項
の
実施
によりまして、
社会保障計画
のいかなる
重要部門
も危うくすることに許されないというちよつと緩和したような
規定条項
がございます。この点につきましては
大蔵省
で過日
関係
の省が寄りまして、第一回の下相談をいたしたのでございますけれ
ども
、いろいろまだ複雑な問題がございます。この
シヤウプ勧告
の
社会保障税
の
徴収
という
部面
がどの
程度
の強さを持
つて
いるか、二十五年度からすぐにやらなければいかぬということになりますか、これは
事務
的に申しますと、二十三年度にやることに非常に困難なのであります。
徴税官庁
におきましても今度は税制の改革もございますし、それでなくてもたいへんな問題を持込んでいるわけでございますから、二十六年度
あたり
からでも始めたいという意向もございます。私
ども
といたしましても、
徴収
の
機関
だけを一元化いたしましても、
内容
につきまして何らかの手を加えないと、それほど利益が少いのではないか。
かたがた社会保険
の
統合
ということは
調査団
の
勧告
にもございますので、もうすぐにこの次には
社会保障制度審議会
の日程に上
つて
来る問題でございます。
従つて
その方の御
意見
も聞いて、この問題を取扱うことがいいのではないかという気持もいたしております。要はこの
勧告書
がどの
程度
の強さを持
つて
いるか、ことに時間的にいつからやらなければならないということまで強い
要請
であるかどうかということもにらみ合わしてやらなければならないと思いますが、今のところではその
程度
にな
つて
おります。 それからもう
一つ
の点は、
社会保険
だけではございませんけれ
ども
、例の
平衡交付金
の
制度
が新しく考えられまして、従来
補助金
として
府県
なりあるいは
市町村
に流されておりましたものが、大体これはほとんどやめになりまして、大
部分
が
平衡交付金
として
市町村
の方にまとめて流れて行くか、あるいは国の
事務
として国でやるか、ないしは
従前通り補助
として残す。これはごくわずかな、百五十億ばかりの額でございますけれ
ども
、ごくわずかなものは依然として奨励的の
意味
において
厚生省
で握
つて
おるべきものかどうかという問題があります。
保険局
の
関係
といたしましては、
国民保険
だけが問題があるのでありまして、今のところまた決定はいたしませんけれ
ども
、大体のところでは、
市町村
に対する
国民保険
の
事務費
の
補助
は
平衡交付金
の方に入
つて
行くのではないかと思います。それからいろいろな
施設
、たとえば
診療所
をつくるのに三分の一
補助
を出しておりますし、あるいは
保健婦
を置くというようなことに対して
補助
を出しておりますけれ
ども
、これは従来
通り
の奨励的な
意味
においての
補助金
というところに大体今落ちついております。 以上が
シヤウプ勧告
におきまして
保険局
に
関係
しておる重要な
事項
であります。
堀川恭平
3
○
堀川委員長
何か御質疑はありませんか。
福田昌子
4
○
福田
(昌)
委員
社会保障制度
がいろいろ
審議
されておりますが、結局
大蔵当局
との
予算
の面の
動き
がなければ、どういう案をつくりましても、これはま
つた
く砂上の楼閣にすぎないのでありますが、
厚生当局
においては、新しく
審議
されつつある
社会保障制度
というものの
予算
の
裏づけ
に対して、どういうお考えを持
つて
おられるか、どういう積極的な
動き
をしておられるかについてお聞きしたい。
安田巖
5
○
安田説明員
先ほど申しましたように、
社会保障制度
の現在の
審議
の
段階
に、
日本
における
社会保障制度
をどんなかつこうのものにするかという、ごく大
ざつぱな輪郭
だけを先にきめて行きたい。それがございませんと、小
委員会
で個々別々のばらばらなことを御
審議願つて
も、かえ
つて先
に
行つて妨げ
になることもありましようし、大まかな
輪郭
だけをきめようというのが今のねらいでございます。これがもしきまりましたならば、さらに委譲の問題をどうするか、
統合
の問題をどうするかというところに入
つて
行くだろうと思うのであります。従いまして、今のところでは
国費
はどの
程度いるか
というところまでの
見通し
をつける
段階
に至
つて
おりません。しかし大体の空気といたしましては、現在の
日本
の
財政
の
状況
を見ましても、あるいは
国際情勢
から考えましても、
社会保障制度
ができたからというので、これが大
部分
を国が
負担
して一般の
負担
がないというようなところには、とても行かないのではないだろうかという
見通し
は、大体
皆さん
も
つて
おられるようであります。こまかいところまではまだ至
つて
おりません。
福田昌子
6
○
福田
(昌)
委員
今日そういうような
予算
の
裏づけ
をお伺いするというのは、確かに時期尚早でありますが、しかし
社会保障制度
というのを新しい
制度
に仕立てて、それによ
つて
今までのいろいろな態度を
統合
、あるいは切りかえて行くべき問題ではないのでありまして、当然今日の
社会保險
の問題におきましても、徐々に改良して
行つて
こそ、ほんとうに生きた
社会保障制度
の
一つ
の
動き
があるわけでありますから、従いまして、時期的に見まして、
予算
的な
裏づけ
をお尋ね申し上げ、それに対して正しい御答弁をお願いするというのは、確かに早いと思いますが、
社会保險
の問題のみを取上げてみましても、
政府
がま
つた
く知らん顔をしておる、
保險経済
というものは被
保險者
と
保險者
との
負担
において行われておるという今日の
現状
は、
厚生当局
においても確かに不当とお認めになるだろうと思うのであります。そういう面から見ましても、来る二十五年度の
厚生予算
の上におきましては、何らかの積極的な
動き
をと
つて
いただかなければならないと考えておるのであります。
予算
の話も追
つて
御
説明
があることと思いますが、こと
社会保險
の面に関することにつきましても、
厚生当局
はどれだけの大幅な活動をしておられるかということをお示し願いたいと思います。
安田巖
7
○
安田説明員
御
承知
のように、今の
厚生省
で所管しておる
社会保險
は、大体
事業主
が被
保險者
の
保險料
を出しまして、それが財源にな
つて保險
の
給付
をしているという組立にな
つて
おります。
国費
が出ておりますけれ
ども
、これは
事務費
のごくわずかなものでございまして、とるに足らぬ
程度
のものでございます。将来の
社会保障制度
にな
つて
それがどういうふうにかわるかということは、先ほ
ども
申しましたように
はつ
きりはわかりませんけれ
ども
、しかしいずれにいたしましても、
敗戦国
の現在の
生活状況
、
賃金
の
水準等
から考えまして、これは非常に低いものだと思うのであります。そうい
つた
ように、一方におきましては
賃金水準
なり
生活水準
が非常に低い。片方で
医療
の
給付
の面は、これはアメリカの
指導等
もございまして、あまりよその国に負けない
程度
の
内容
の
給付
をいたしておるわけであります。早く申しますと、貧乏人が相当いい
医療
を受けているというようなかつこうになりますから、それで
医療保險
をや
つて
行きますと、今の
状況
でありますと、どうしても若干足りないという
部面
が出て来はしないかと思います。
そういつた面
でやはり国から出すようなことに
社会保障制度
としてもな
つて
行くのではないかと考えております。ただ当面の問題として来年度
予算
はどうかという
お話
でありますが、この前も
政府管掌
の
健康保險
のことについて御
説明
申し上げたのでありますけれ
ども
、やはり
給付
がだんだんとふえまして相当苦しい
状況
にございます。これにつきましてはいろいろの手を打ちまして、一応落ちついたようなかつこうにな
つて
おりますけれ
ども
、決して根本的な
対策
ではありません。そこで来年度の
予算
といたしまして私
ども
が要求いたしておりますのは、
社会保障制度審議会
の
勧告
もございましたので、
事務費
を
全額国庫
で
負担
する、それから
医療給付
の一割を
国庫
で出す、こういう線で
予算
を要求いたしておるわけであります。今第一次の査定では全部討死いたしたのでありますけれ
ども
、しかし最後まで
がんばつ
て行くつもりで復活要求いたしております。実は午後もそのことで
大蔵省
の方と折衝いたさなければならぬ問題があるわけであります。
福田昌子
8
○
福田
(昌)
委員
事務費
の
全額補助
と
医療費
の一割
補助
に、
全額
でどれくらいになるのでございますか。
安田巖
9
○
安田説明員
実は
国民保險
は
事務費
の八割を要求しておるのでありますけれ
ども
、
国民保険
は
事務費
だけで約十億になります。それから
健康保險
は
政府管掌
と
組合管掌
と両方合わせて約六億八千万円になるわけでございます。
船員保險
は千四百万円ばかりの
事務費
になります。
給付
の方は
健康保險
が両方合せて約二十七億五千万円ばかり、
船員保險
が四千百万円ばかり、
国民健康保險
が二十八億八千万円になります。
丸山直友
10
○
丸山委員
二十五年度は
社会保障
とまでは参らないのでありましようが、二十六年度はあるいはそうな
つて
行くかもしれぬという
お話
でありますが、
社会保障制度
として取立てることになりますと、
徴税
もありましようし、率もありましようが、一部
負担
とする場合にはどういうことにな
つて
行くかということとか、いろいろあると思います。それから
平衡交付金
でありますが、これが
地方
へ流れます場合に、ある
一定
の
わく
をきめて、これは
厚生
にわされるのか、あるいは大づかみにい
つて
そのレートを
地方
が考えるという
取扱い
になりますか、それをひ
とつ
お伺いしたい。
安田巖
11
○
安田説明員
社会保障税
になるかどうかという問題は、先ほど申しましたように、実はまだ
はつ
きりわかりませんので、必ずしも三十六年度ときま
つた
わけではありません。あるいは二十五年度に急いでやれということになるかもしれません。その税という言葉なんですけれ
ども
、
シヤウプ勧告
では税と言
つて
おりますけれ
ども
、
俸給
の中から強制的に
一定
の率のものを引くのはみなタツクスなんだという
考え方
で、要はまとめてとれというのが主眼のようでございます。しかし今のところでは、かりに
税務署
でそれをとるといたしますと、現在の主税局の方針といたしましては、やはり税以外のものは取扱わぬようなかつこうにな
つて
おりますから、おそらくそういうことにな
つて
行くのではないか。その場合一部
負担
は
家族
の
診療
の問題で、
国民健康保險
の方の問題は何にも触れておりませんから、
家族給付
の問題でありますけれ
ども
、結局とる方だけが問題でありますから、一部
負担
の方は問題にならないと思います。
源泉課税式
におやじさんの
俸給
から引くだけで、
家族
がお医者さんに拂う分までをどうしようというのでにありませんから、その点には触れてないと思います。 それから
平衡交付金
でございますけれ
ども
、これは実は私
ども
これを読んだり、付録なんか読みましても、よくわからないのであります。
大蔵省あたり
、あるいは
地方自治庁あたり
で詳しい
お話
ができるのではないかと思いますけれ
ども
、結局
考え方
は、
町村
のようなものが
最低経費
を見積
つて
行く、その
最低経費
というものは、結局文化、
厚生
が
幾ら
であるか、学校が
幾ら
、警察が
幾ら
というので
最低経費
を見積る。同時にその
町村
の
財政
を調べて、
幾ら
とれるかという
標準
の税額を出して来て、その差額を
平衡交付金
で出そう、こういうわけです。
平衡交付金
を出す
要件
としては、そうい
つた
最低経費
というものが見積られなければならぬということが
一つ
の
要件
である。しかし技術的に見まして、その
最低経費
をどういうふうにしてきめるか。それから
厚生省
なり、農林省なり、文部省なりが各
町村
の末端に至るまで、
一つ一つ
の
町村
の
経費
の
内容
を調べて行くということもむずかしいだろう、
従つて
今のところ
平衡資金
の
わく
として、千二百億ほどのものがあるわけであります。その千二百億を現在
大蔵省
に対して各省から要求しておるわけです。それが大体落ちつきましたら、それが
一つ
の基準になりはせぬかと思う。それでこの中で
幾ら
がたとえば
生活保護法
の金にな
つて
いるとか、あるいはこれが
衛生施設
の方の金であるとか、きわめて
大綱別
に押えて、それをせいぜい
府県あたり
までを、こんなものだとい
つて
わけて行くことになるのじやないかという予想でございます。
丸山直友
12
○
丸山委員
それから
社会保障制度
がいつごろ
実施
にな
つて
いるか、どういう面からな
つて
いるかわかりませんが、いずれは
社会保險
というものが第一に取上げられる問題だろうと思います。
従つて
これは結合せられて行かなければならぬ問題ですが、その機運に
沿つて
、現在の
社会保險
というものは非常にばらばらまちまちなんです。たとえば同じ
政府
の
関係
しておる
組合
をと
つて
みても、あるいは
鉄道
は
鉄道
で
一つ
の
組合
を持
つて
おる、
大蔵省
は
大蔵省
で
共済組合
を持
つて
おるというふうにな
つて
なかなか
統合
できないような形にな
つて
おりますが、まずこの
政府機関
だけでもこれを一本にして行くような
動き
をなさ
つて
おいでになるかどうか。
安田巖
13
○
安田説明員
保險
の
統合
の問題に非常にむずかしい同時なのでありますが、しかしこれはやらなければならぬということに、輿論でもございますし、
社会保障制度
の
調査団
の
勧告
にもあることでございますから、必ずそこへ行くだろうと思う。ただ
社会保障制度審議会
とは離れまして、現在の
政府部
内だけでこの
統合
の問題を何とかしなければならぬという
動き
に、今のところございません。遠からずそうい
つた
いい案が私
ども
にお示し願えるだろうと思
つて
待
つて
おるのであります。
苅田アサノ
14
○
苅田委員
先ほど
社会保障制度審議会
の
経過
の御
説明
の中に、その
委員会
から出しました
勧告書
の問題について、その他の交渉の結果、さらに強硬な
勧告書
を出さなくちやならぬというふうな
結論
に来ておるという御
説明
があ
つたの
ですけれ
ども
、そのことについてもう少し詳しく
お話
願いたいと思います。
安田巖
15
○
安田説明員
いろいろ話があ
つたの
で、私も実は
はつ
きりこまかい点まで覚えておりませんけれ
ども
、会長なり、副会長なりが、それぞれのところに
行つて
もつとよく
説明
しますとか、あるいは
議員出身
の方が
委員
さんにおられますから、そうい
つた
ような人からまたよく話をして、もつと
はつ
きり
政府
が返事をするようにしろとか、そうい
つた
ことだ
つた
と思います。漠然としたことでありますけれ
ども
、
結論
が得られなか
つた
ものですから
——結論
と申しますのは、第五回に
勧告
をしたのでありますけれ
ども
、その後まだ
政府
から
はつ
きりした回答がないというような
状況
で、それじや困るから、何とかもつと
はつ
きりしなければいかぬじやないか、こういう
程度
であります。
伊藤憲一
16
○
伊藤
(憲)
委員
ただいまの
お話
だと、たとえばいろいろな
保險
について
保險金
を
使用者
と
労働者
が現実に
負担
しておる。そういう
状態
のもとで、今
社会保障制度審議会
が四十人で構成されて、
労働者
の代表に三人しか入
つて
いない。こういうことに対して、これが主体にな
つて
おるのは
労働者
と
使用者
だと思う。この
審議会
自体に問題があるんじやないか。
厚生当局
はこれについて
審議会
の構成をかえるようなことを考えてないかどうか。もう
一つ
に、たとえば
厚生
年金その他の掛金ですね。これは
労働者
の
関係
も含めてですけれ
ども
、ことに
厚生
年金なんかにまだ支給されておる面が少いと思う。掛金が相当厖大にたま
つて
おるはずだと思うのですけれ
ども
、一体それらがどれくらいあ
つて
、どういうふうに使われておるかというようなことをお伺いしたい。
安田巖
17
○
安田説明員
社会保障制度審議会
の
委員
の構成につきましては、昨年第四回でございましたが、国会で御決定願いました
法律
の中に詳しく書いてございまして、それによ
つて
や
つて
おるわけでございます。今のところ別にかえるつもりはございません。それから
厚生
年金の積立金の問題でありますが、正確な数字はあるいは間違いかもしれませんのでお許し願いたいのでありますが、大体百二、三十億のものが現在積立金としてあると思います。これに当初の計画では、全部預金部に預けることにな
つて
おりますけれ
ども
、その中の一部を特別の預金にいたしまして、管理権は
大蔵
大臣
にありますけれ
ども
、それについて
厚生省
が被
保険
者の福祉
施設
なり、
医療
施設
なんかに融資するということについて、
厚生省
でそれを決定して
大蔵省
にお願いをするというようなことにな
つて
お
つた
わけであります。それが戦後になりまして、例の融資について向うからメモランダムが出ておりまして大体国と
地方公共団体
以外には、たしか預金部資金をまわしてはいかぬということにな
つて
おると思います。それで従来のように、ある特定の会社にそれを貸して何か住宅をつくるとか、
医療
施設
をつくるということに、現在のところできかねるような
状態
にな
つて
おります。私
ども
その点たいへん遺憾に思いまして、絶えずそのことについて折衝いたしております。それから、これは性質は多少違うかもしれませんけれ
ども
、郵便年金、簡易
保険
の方にも同じ問題がございます。やはり同様な結末にな
つて
おります。
伊藤憲一
18
○
伊藤
(憲)
委員
今のことでちよつとお伺いしますが、これはたしか
昭和
十四、五年ごろ、穴澤という
保險
課長がお
つた
時代にできて、その穴澤課長の
厚生
年金に関する
説明
では、この
厚生
年金法というのに、大体
厚生
年金によ
つて
労働者
の年と
つて
からの
生活
を保障するというのが目的も、むしろ戰費を調達するためだということを、ちやんと條文にも書いてあるということです。そうすると、戰争中に預金部に預けたものが、現実にそういうふうに使われたことがあるかどうかということを、ちよつとお伺いしたいのです。
安田巖
19
○
安田説明員
御質問の御趣旨がよくわかりませんでしたが、戰時中に、そういうふうに預か
つた
ものが戰費に使われたかということでございますか。
伊藤憲一
20
○
伊藤
(憲)
委員
何かそういう事実を……。
安田巖
21
○
安田説明員
私もまだ新米で、
はつ
きりそういうことを存じませんけれ
ども
、現在とにかく百三十億の積立金がございまして、それに対して利子はいただいておるのであります。
伊藤憲一
22
○
伊藤
(憲)
委員
それから、こういう保障
制度
によるいろいろなことが、大体掛金によ
つて
まかなわれるということ、これに
シヤウプ
氏の言うように、実際上預金だと思うのです。それに対して
厚生省
では、
医療給付
の一割くらいを
国庫
負担
にするというようなことを考えておられるようですけれ
ども
、一体
厚生当局
としては、こういうことでも
社会保障
と言い得るのでしようか。これでは
社会保障
と言えないと思うのです。それには
厚生省
の態度が、やはり相当問題になるのじやないかと思うのです。それをちよつとお伺いしたいのです。
安田巖
23
○
安田説明員
この
社会保障
という言葉もいろいろあると存じますけれ
ども
、現在は別に
社会保障
と言
つて
いるわけではございませんので、いわゆる
社会保障
の、
保險
の積立てにな
つて
おるわけであります。その上の
お話
を今いたしておるのであります。将来
社会保障
になりますのは、どういうことになりますか、社命保障
制度
審議会
で
皆さん
寄り集ま
つて
御
研究願つて
おりますから、それにまちたいと思
つて
おります。
福田昌子
24
○
福田
(昌)
委員
先ほど二十五年度の
社会保險
に対するいろいろな
厚生予算
の
お話
を承りましたが、全面的に
大蔵当局
からけられたという
お話
でございましたが、どういう理由でけられたのでしようか。
安田巖
25
○
安田説明員
財政
上の理由が主たるものだと思うのでありますが、もう
一つ
は、これは私
ども
の推測でありまして、別にそういう話があ
つた
わけではありませんけれ
ども
、
医療
の
給付
というのは、これもどこで落ちつくかわかりませんので、もし相当国で出すといたしますと、今数字で現われます以上のものを確保しなければならぬ。それやこれやを考え合せまして、結局は
財政
の問題に落ちついたのじやないかと思います。
福田昌子
26
○
福田
(昌)
委員
社会保障制度
ということが盛んに人口に膾炙されつつありますが、
社会保障制度
というものは、新しい
制度
がぽかつと降
つて
わいて来る
制度
じやないのでありまして、結局堅実な
社会保險
の
意味
と、公的
扶助
の健全な組織とが
統合
して、初めて
社会保障制度
というものの新しい
日本
的なものが生れるのでありますから、
社会保險
というものが、今日においてはまた
社会保障制度
の問題にな
つて
いないというようなことは、私は、はなはだしく当らない言葉だろうと思うのであります。今日
医療費
のた
つた
一割の
国庫
補助
でさえも、
大蔵当局
がそういう考えであるということになりましたならば、
社会保障制度
の将来ということもきわめて案じられる問題であります。その
大蔵当局
の反対される理由が、
医療
の
給付
金が多いとか、あるいは
財政
的に困難云々ということをおつしやるということに、私
ども
といたしましては非常に心外でありまして、
医療
の
給付
におきましても、私たちは、今日においてはまだ足らないし、ことに結核の治療においては、ほとんど重症患者だけがその恩典に浴しておるのでありまして、結核の予防としては、まだ完全ではないし、しかもいろいろな理由をも
つて
、退院された、家庭における治療患者に対しましての恩典というものは全然ない。そういう点から申しまして、
医療
の
給付
というものは、現実では不足であり、もつと増額されなければならぬと考えているにかかわらず、
大蔵当局
が現実の問題でさえもそういう理由のもとにけられるということに、実に心外にたえないのであります。
社会保障
が云々せられる時代において、
大蔵当局
がそういうふうにそつぽを向いて、
社会保障制度
というものに全然関心を示さないような
状態
にあることは、国家的に見て問題だと思います。
社会保障
の問題を
審議
する以上に、
大蔵当局
と
関係
のある
大蔵
委員会
との合同の
委員会
において
審議
してもらいたいのであります。そうしなければ、
社会保障
のいろいろの案というものは砂上の楼閣でありまして、全然
意味
をなさないと思うのであります。
厚生
委員会
というものは、考えてみますれば、
社会保障制度
の全般にわた
つて
の問題を取扱う
委員会
であり、
厚生
委員会
は即
社会保障制度
の
委員会
であろうと思うのであります。そういう重大な
社会保障制度
を握
つて
いる
委員会
が、率先して
大蔵当局
に働きかけて、
大蔵当局
の扉を開くのでなければ、
社会保障制度
の前途というものは非常に情ないものだろうと私は思うのです。そういう
意味
において、
委員長
も、今後は
社会保障
のいろいろな研究については、
大蔵
委員会
との合同審査ということを取上げていただきたいと思います。
堀川恭平
27
○
堀川委員長
今
福田
委員
のおつしや
つた
ことも、私もつともだと思います。この点につきましては、また
理事会
に諮りまして、
皆さん
の御協力を願いたいと思います。 次に、どなたか質疑はありませんか。
丸山直友
28
○
丸山委員
健康保險
の危機云々ということが言われておりますが、その後の
状態
を伺いたいと思います。
安田巖
29
○
安田説明員
支拂いの
状況
を申し上げると、大体お答えになるかと思います。支拂いが遅れてお
つたの
でございますけれ
ども
、その後
徴収
にも馬力をかけまして、大体現在七割近くまで
徴収
をいたしております。これは予想外にうまく進んでおるようでございます。もう
一つ
に、六千円の
標準
報酬を六千六百円に、一割引上げるような目標で努力いたしております。この方はまだ数字が現われておりませんけれ
ども
、若干ずつ上
つて
おるようであります。さらに、この基金といたしまして、
国庫
予備金を一時繰りかえ使用するという話が
大蔵省
とつ
きまして、すでにその金を私の方へ入れまして、基金には、十月一日付でその金を流しました。
従つて
、七月の末に拂うべきものを九月の二日に基金の方へ入れました。十月の一日には、八月の末に拂うべきもの、つまり七月分を基金の方へ送りました。それで二十日ごろになりましたならば、九月の末に拂うべきものを、つまり八月分が基金に対して送金できるのじやないか、こういうような
状況
に立ち至りまして、やや安心をいたしておるわけであります。
丸山直友
30
○
丸山委員
診療
件数の増加の傾向はどうでしようか。
安田巖
31
○
安田説明員
診療
件数は今
はつ
きり覚えておりませんけれ
ども
、七月は六月より少し上
つた
程度
だと思います。支拂いの額で申しますと、七億六千万円くらいだろうと思いますが、またあとでもし何でございましたら詳しく申し上げたいと思います。
伊藤憲一
32
○
伊藤
(憲)
委員
私ちよつと聞き漏らしたのですが、
健康保險
の赤字について質問されたのですか。
丸山直友
33
○
丸山委員
現在の
状況
ですね。
伊藤憲一
34
○
伊藤
(憲)
委員
現在の未拂いの残金はどうな
つて
おるか、ちよつとお伺いしたいと思います。
安田巖
35
○
安田説明員
政府
官省の方だけで申し上げますと、今申し上げましたように、七月分でございますね。七月分というの
はつ
きり八月の末日までにお医者さんに拂う契約でございますが、それが私
ども
の手を離れましたのが十月一日でございます。それから二十日過ぎになりますと、八月分、つまり九月の末日までに拂うべきものが拂えると思います。従いましてそれが拂えますと、十月末日までには九月分を拂わなければならぬのであるから九月分だけが残るというかつこうになりますから、一月くらい遅れるということになるわけでございます。正確に言いますと二十日でございますが、しかし末端まで行きますとかかりますから一月遅れだと思います。
福田昌子
36
○
福田
(昌)
委員
事業主
側からの
保險料
の未納にな
つて
おります分に対しては、いろいろ罰則を設けるというような記事を新聞で読ませていただいておりますが、その後の
状況
はどういうことにな
つて
おりますか。またどれだけの成績が上
つて
おりますか、お尋ねいたします。
安田巖
37
○
安田説明員
大体
徴収
状況
は先ほどちよつと
お話
申し上げたのでありますが、五月の末には前年の繰越しなんかもございまして、三割ちよつと欠ける
程度
の
徴収
率であ
つたの
であります。これは毎年年度初めには少いのでございますけれ
ども
、ひ
とつ
できるだけ馬力をかけなければならぬということで、九月一ぱいを
徴収
強化月間にいたしまして、努力いたしました。それで大体七割近くまで
行つて
おるような
状況
でございます。あとの三割が未納にな
つて
おります。もちろん前年度分の繰越しましたものを入れてでございます。相当差押えもやるというようなことでや
つて
おりますが……。
福田昌子
38
○
福田
(昌)
委員
それは昨年の二十三年度の成績に比べてどういう
状態
にな
つて
おりますか。
安田巖
39
○
安田説明員
大体昨年と同じぐらいだと思います。それで年度末に行きましてずつと上りまして、去年はちようど九割となりまして一割だけが翌年に越しました。
福田昌子
40
○
福田
(昌)
委員
ことしも九割とれる日算でありますか。
安田巖
41
○
安田説明員
ことしは百パーセントとらなければならぬというつもりでございます。
福田昌子
42
○
福田
(昌)
委員
大分強権を発動して、やつと去年は追いついたくらいでございますからね。
安田巖
43
○
安田説明員
いろいろ小さい工場でありますとか、あるいは大きい工場
あたり
でありましても、たま
つて
おるものがあるようでありますから、どこまで行きますか。ひ
とつ
……。
福田昌子
44
○
福田
(昌)
委員
保險料
率を五五%に上げる云々の問題はどういうことにな
つて
おりますか。
安田巖
45
○
安田説明員
現在の
法律
が千分の五十にな
つて
おりまして、そうして必要によ
つて
はそれを四十五に下げてもよいし、五十五まで上げてもよい、そのときは
健康保險
の
審議会
の議を経てやれということにな
つて
おります。そして
健康保險
審議会
の議を経まして御承諾を得まして、八月から五五%を
実施
して、八月分は九月末日までにとりますから間に合
つた
わけであります。
福田昌子
46
○
福田
(昌)
委員
五十五に決定したわけですが、
健康保險
審議会
というのはどういうメンバーで構成されておりますか。
安田巖
47
○
安田説明員
学識経験者もおられますし、被
保險者
もおられますし、
事業主
の代表もおられます。そういうものをうまく配分してあります。
福田昌子
48
○
福田
(昌)
委員
割合はどうな
つて
おりますか。
安田巖
49
○
安田説明員
大体同じ割合だと思います。
福田昌子
50
○
福田
(昌)
委員
御決定にな
つたの
であれば、あとからどうということもできませんけれ
ども
、私
ども
といたしましては、
保險経済
の危機が、そうい
つた
被
保險者
の
負担
において緩和を求められるという魂胆に対して根本から不平があるのでございますから、
厚生当局
におかれましても
国民
生活
の経済的不安は十分御了解済みと思いますから、今後はそういう被
保險者
の
負担
において
保險経済
を切抜けるというお考えをなさらないようにお願いいたしたいと思います。
伊藤憲一
51
○
伊藤
(憲)
委員
われわれも
法律
を改悪して
保險料
率をふやすという話を聞いておるが、今の
お話
でにそういうことはないようですが、実際は
標準
報酬日額を上げるようなことをや
つて
おられるわけでありまして、現実は
法律
を改正したと同じことにな
つて
おるのであります。こういうことはやめてもらいたいと思います。
安田巖
52
○
安田説明員
引上げと申しますのは、御
承知
かと思いますけれ
ども
、
事業主
から
保險
官省に対して届出があるわけであります。だれのだれそれが
幾ら
という届出に基きまして
標準
報酬日額を決定して、それによ
つて
掛金をかけるのであります。ところが実際の労働統計なんか見ますと、
標準
労働統計の
賃金
平均に八千円くらいまで
行つて
おるのであります。ところが
保險
の方だけが六千円であります。それで二千円くらいの差があるわけであります。従いまして決してむりにかけておるんじやなくて、実態をつかまえて見るとそれだけ上るというやり方でや
つて
おるのでありますから、御心配になるような点はないのじやないかと思
つて
おります。つまり届出が低過ぎるのがあるので、それを直すということでございます。
伊藤憲一
53
○
伊藤
(憲)
委員
それはそういうことなんだけれ
ども
、私もや
つた
ことがあるけれ
ども
、現実には、今たとえば官庁で新定員法で首を切
つて
おる。そうして残業をやらしておると同じように、民間でも首を切
つて
残業をやらしておるのであります。今日の
健康保險
法によると、過去三箇月の実収入の九十分の一が
標準
報酬日額となるのであります。これを計算するとよくわかるのですが、第一番に勤労所得税がふえ、その上にまごまごすると年末調整でとられ、それへも
つて
来て、
厚生省
では御
承知
だろうと思いますが、最近は残業なんかで——そればかりじやないけれ
ども
結核が非常にふえて来ておるのに、それにも
つて
来て
標準
報酬日額を上げもことは、なるほど
法律
上はそういう建前なのですけれ
ども
、実際上はおそらく計算すると残業しなくても同じくらいに
なつ
ちやうだろうと思います。大体十日残業すると三日分は勤労所得税にとられ、その上に総合所得税でとられて、
保險
の方で
標準
報酬日額が現実に上げられてしまうということになる。実際には八千円で使
つて
おりながら六千円だと報告しておるのもありますけれ
ども
、一般的に言うと大体三十一億の赤字が出て来たのに対して、たとえば
標準
報酬日額を上げると同時に片方では滞納しておるのをどんどん追求する。これはさつき掛金は税金じやないとおつしや
つた
が、この掛金を
徴収
するのに税金にひとしいようなやり方で
事業主
からはふんだく
つて
おる——われわれの言葉で言うとふんだく
つて
おる。そういうやり方をや
つて
おるわけです。そういうことのないように処置を講じていただきたいと思います。
岡良一
54
○岡(良)
委員
政府
の方の基金の拂込みの預託金と申しますか、六月、七月、八月
あたり
の基金への支拂い
状況
はどういうことにな
つて
おりますか。
安田巖
55
○
安田説明員
基金法の方では一月半分の預託金を拂うことにな
つて
おりますが、
政府
の管掌の分につきましては、
大蔵省あたり
の解釈といたしましては、会計法がございまして、そういうふうにあらかじめ拂う預託金というものをやることができないという解釈らしいのであります。しかし実際問題につきましては、概算拂いの方法でや
つて
おけばそれでまかなえるわけであります。結局それがうまく行かないというのは、実は金がないということに帰しておるわけであります。
岡良一
56
○岡(良)
委員
とにかく
法律
で拂わなければならないことにな
つて
おるのだが、富士銀行の方にもちつとも入
つて
いないというのが実情のようですが……。
伊藤憲一
57
○
伊藤
(憲)
委員
健康保險
の具体的問題ですが、
一つ
は結核性の失患に対しての
保險
給付
が二年間にな
つて
おるわけです。ところが実際上医師の診断で、たとえば一年六箇月でも
つて
その人間はなお
つた
。肺浸潤だとか、肋膜炎だとかいうのがなお
つて
工場に出て
行つて
働く、あるいに
事務
所に出て
行つて
働く。そうしてたまたま半年後にまた再発した。現実にお医者さんがそういう診断をして半年後に起
つた
場合には、普通だと
保險
給付
期間の継続だと考えられる場合には、切れるわけです。ところが実際には新しく発生したものとすれば、その半年後の日が最初の
保險
給付
の開始時期になるわけですね。こういうことに対してどういう扱いをされておるのか。これは私も現実に経験したことがあるのですが、どういう見解を持
つて
おられるか、お伺いいたしたいと思います。
安田巖
58
○
安田説明員
実はきよう課長らみな
予算
の方の査定に出ておりまして、
はつ
きりしたことを申し上げかねますが、私よつと承
つた
だけで常識で解釈いたしますと、どうも切れるような気がいたします。あとでまた詳しくお返事いたします。
伊藤憲一
59
○
伊藤
(憲)
委員
これは非常にたくさん事件が起るのです。たとえば最初に
健康保險
で健康診断してもら
つて
、その後は大して医者に行かなくともよい
程度
の病気なので、うまいものを食
つて
ぶらぶらして田舎にでも
行つて
おる。そういうことを続けておるうちにいよいよ病状が悪化して、半年もた
つて
からかかるということが起ると、そのブランクの間も
給付
期間に勘定されてしまう。私なんかの場合だと六箇月の時代ですが、実際築地の東京都の保健館で診察してもら
つた
。よその病院の院長と三人くらいや
つて
来て大丈夫だから働いてごらんなさいというので働いてみたら、喀血してしま
つた
。その期間は何とい
つて
も認めない。こういうことは今現実に病気しておる人にたくさんあるわけであります。ですからこの見解を明らかにしていただきたいと思います。 もう
一つ
にこういう問題です。たとえば私は今でも被
保險者
なんです。ところが代議士で議費をもら
つて
おるから傷病手当金の交付をしないというのです。それでぼくは、
保險
だからほかに収入があ
つた
からくれないという、そんなばかな話はない。そんなことを言
つた
ら、宝くじが百万円当
つた
らくれないのかというようなことを言
つて
、いろいろ聞いてみましたが、実際東京都内の
保險
出張所長の考えがまちまちなんです。現実に、いや名前をあげてくれては困ると言
つて
、くれておる所長もある。私の場合はけ飛ばして来た。そういうことになるとわれわれの場合はまだよいとして、たとえば区
会議
員をや
つて
おる者がある。それからここにも傍聽しておられますが、
社会保障制度審議会
の
委員
をして年間いくらかの手当をもらう、労働
委員
ももらう、いろいろ
委員
がありますが、そういう公職についておるために、たまたまその公職についておる期間中にそういうものを
給付
されるというのに、人よりよけい労働するから
給付
せられるので、その期間中に病気が起
つて
も、その期間中は傷病手当はくれないというのは、法文上もその解釈が成り立たないと思います。けれ
ども
そういうことが現実に行われておりますけれ
ども
、これもひ
とつ
局長の見解を聞いておきたいと思います。
安田巖
60
○
安田説明員
はなはだ不勉強で申訳ありませんが、都の
健康保險
課長と
伊藤
先生と何か
お話
があ
つた
ように承りましたが、
保險
課長が言
つた
通り
だと思いますからどうぞひ
とつ
……。
伊藤憲一
61
○
伊藤
(憲)
委員
いや返事は聞いてないのです。ですけれ
ども
これはもう一ぺんその見解を
はつ
きりしていただかないと、いろいろな問題が現に周囲に起
つて
おります。
安田巖
62
○
安田説明員
この次はぜひ連れて来ます。
苅田アサノ
63
○
苅田委員
先ほどの
勧告
のことについてもう一ぺん押しておきたいのですが、つまり事前に
保險料
を値上げするとか、あるいは歯科
診療
をもう少し増すとか、こういうことについて
勧告
が大体うまく行かなか
つた
とい
つた
場合、もう一ぺんそういうふうなことをしようということは考えておられないので、さらにその点について強硬にやる指令をしたい、現在こういうふうな
状態
なのでございますね。これはこの点でずつと押して行かれる
見通し
はおありになるわけですか、どうですか。
安田巖
64
○
安田説明員
私
ども
の方に今申しましたように
予算
の要求としてはずつと押して行くつもりでございます。しかしまあ相手のあることでございますから、どうなりますか
はつ
きり申し上げかねますけれ
ども
、一応ずつと押して行きたいと思います。
苅田アサノ
65
○
苅田委員
きようは大体
社会保障制度審議会
の模様を報告するからというのでお集めにな
つたの
で、私
ども
はこの問題はもう夏の初めごろから発足して何回も回を重ねておるので、相当
内容
のある
勧告
が開かれることと思
つて
おりましたが、非常に漠然としておりまして
はつ
きりつかめないのですけれ
ども
、先ほど
大綱
草案を書いたからそれができるだろうとおつしや
つたの
ですが、この問題はもう少し具体的に
お話
し願えば、現在
社会保障制度審議会
がどういうふうに動いているかということがもつと
はつ
きりするのではないかと思います。その点もう少し具体的な
お話
を願いたい。
安田巖
66
○
安田説明員
先ほど申しましたように、一応の草案の草案みたいなものを二人の
委員
の方がおつくりになりまして、それは議論の種にするという
程度
のものなのでございます。それをまた御紹介するほどのことはないじやないか、そこでいろいろな
意味
から違
つた
意見
が出まして、それを直しまして、直したものがもう少しするとでき上りますから、でき上
つた
ものを十日にかけよう、こういうわけです。十日にかけるときには、もし
皆さん
方御出席でございましたらお目にかけられると考える、そういう
程度
でございます。それでなるほど六回もすでにや
つて
おりますから、時間的に見ますと相当手間は
とつ
たようでありますけれ
ども
、何しろ問題が非常に大きいものでございますから、いろいろ
現状
を把握していただくにも相当の時間もかかります。それからこれは私個人の
見通し
でございますが、この草案は大
わく
でございますから、さらにまたそれを細かく掘り下げて行くと、やはり相当の時間がかかりはせぬかという気がいたします。できるだけひ
とつ
愼重に御
審議
いただきまして、りつぱなものをつく
つて
いただきたいというような気持を持
つて
おります。
岡良一
67
○岡(良)
委員
この機会に局長の私見でもけつこうですから承りたいのですが、
シヤウプ勧告
案で見ますると、
政府
の
補助金
とい
つた
ものがかなり全面的にけずられて来るようなかつこうにな
つて
おりますが、特にこれは社会
関係
の
生活保護法
において顕著な影響があるのではないかと考えております。
保險
関係
所管の行政
事務
の中で、この影響を受ける。今の
お話
では
予算
の構成のためにいろいろお骨折りのように承りましたが、
予算
的にどういうふうな方面のものにいかに影響があ
つて
、どういうような措置をとられんとしておるかというような点について、御
説明
を承りたいと思います。
安田巖
68
○
安田説明員
それは先ほどちよつと申し上げたつもりでおりましたが、
保險
関係
で
シヤウプ勧告
の
補助金
を打切
つて
、
平衡資金
の中に入れるという
関係
のあります
部面
は、
国民健康保險
の
補助金
だけであります。それで
国民健康保險
の
補助金
は年約九億ばかりございまして、このうちでまず五億が純粋の
事務費
で、あとの四億ばかりが
診療
費でありますとか、
保險
費でありますとか、
保險
施設
の方で、今のところでは四億
幾ら
の保健
施設
費の方は、やはり
補助金
の形で残ります。と申しますのは、
シヤウプ勧告
におきましても奨励の
意味
の純粋の
補助金
というものは認めておりまして、それが誘い水となりまして、
市町村
でそういう
施設
をやるのにぜひ必要だということになれば、百五十億円くらいの
わく
でも
つて
認めていいという
段階
でございます。それがだんだん
市町村
の国有
事務費
の中に溶け込んで同化して行きましたならば、それがいるわけであります。
国民保險
の方は四億ばかりのものがあるのです。それからあとの
事務費
の五億ばかりは
市町村
の
事務費
で、これは五割
負担
ですから、これが
シヤウプ勧告
そのままで参りますと、それが
平衡資金
の中に入
つて
行く、こういうような
状況
でございます。私
ども
といたしましてはせめて二十五年度一箇年でも、やはり
補助金
の方に入れてもら
つて
おいた方が
厚生省
の方の発言権も強うございますから、そうしたいと思いますけれ
ども
、どうも
平衡資金
の方に入るようであります。
岡良一
69
○岡(良)
委員
一般官庁の
事務費
全額
負担
というのは、
国民保険
組合
の方でも強くおありのようでありますが、そその方面の
費用
はどうですか。
安田巖
70
○
安田説明員
政府管掌
はこれは国がや
つて
いる
事務
でございますから、これは問題がございません。結局一般会計から特別会計へどれだけ出すかという問題であります。それから
組合
会社の方は相手が
組合
でございますから、これはやはり奨励金の
意味
の
補助金
として残るわけであります。現在この方は
事務費
の約三割くらいを出しております。
福田昌子
71
○
福田
(昌)
委員
社会保障制度
のことは、あしたもおやりになりますか。
堀川恭平
72
○
堀川委員長
あしたは
予算
関係
でやりたいと思います。
福田昌子
73
○
福田
(昌)
委員
私の希望は結核予防
対策
、
保險
行政から見た災害
対策
は取上げていただきたいし、その
関係
の
政府
委員
の方の御出席を願いたいと思います。 それから先ほど
理事会
で清瀬病院視察の話がありましたが、できたら
厚生
委員会
で決定の上、視察に参
つた
らどうかと思いますが……。
堀川恭平
74
○
堀川委員長
理事会
でお諮りしたのは、ちよつと私の考え違いあ
つた
と思いますが、陳情書は
委員長
ではなくて民主党で来ておりましたので、もう一ぺん
理事会
がありましたら、御相談したらけつこうだと思います。何かお聞きになることはありませんか。
伊藤憲一
75
○
伊藤
(憲)
委員
また逃げられるかも知れないけれ
ども
、ちよつとこまかいことで恐れ入りますが、
健康保險
でも看護婦をつけることを必要と認めた場合に
はつ
けることにな
つて
おるが、資格者でないと看護料が拂えないことにな
つて
おる。実際
健康保險
でつけるのは大きなけがをしたとか、結核患者の非常に重態に
なつ
た者になるわけですが、ところが今看護婦がないのです。どこでも実際足りないので、見習者がついておるわけです。付添いのお婆さんが見習と称してついておるわけですが、そういう場合には看護料を拂わない建前ですか。
安田巖
76
○
安田説明員
またどうも恐縮でございますが、そうい
つた
場合には資格のある看護婦でなければいかぬということは医務局
あたり
でそういう方針がきま
つて
いるのじやないかと思いますが、よくまた調査いたしまして……。
苅田アサノ
77
○
苅田委員
保險
の
診療
報酬の基金の会計報告は
厚生省
に出ておりますか。
安田巖
78
○
安田説明員
そういうことでございます。
苅田アサノ
79
○
苅田委員
これの昨年度の収支決算が
厚生省
に出ておりましたら、その資料を出していただきたい。 それから
議事
進行について、午前の
理事会
で、きよう、あすの
厚生
委員会
をどう使うか御相談にな
つたの
ですが、
社会保障制度審議会
の来年度の
予算
の問題、それから私
ども
の方で出した湊病院のこと、あるいは共同募金のこととかいう問題は、あすの午前中ということにな
つて
いるのですが、こんな三時ぐらいで人がいなくな
つて
しまうということになると、この前のときのように質問したくも時間がないということになるので、きようもせつかく遠方から私
ども
出て来て十分質疑を盡したいと思
つて
おるわけですが、いつでも聞きたい問題が時間がないといつで打切られてしま
つて
、しかもこういうように時間はあるわけですが、こういうことはやはり私
ども
の方としては……。
堀川恭平
80
○
堀川委員長
あすはあなたのおつしや
つた
人を皆呼びます。 それでは本日はこの
程度
で散会いたします。 午後二時五十四分散会