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1949-09-13 第5回国会 衆議院 建設委員会災害地対策特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年九月十三日(火曜日)     午後三時二分開議  出席委員  建設委員会    委員長 淺利 三朗君    理事 江崎 真澄君 理事 田中 角榮君    理事 内藤  隆君 理事 松井 豊吉君    理事 村瀬 隆親君 理事 天野  久君       今村 忠助君    越智  茂君       高田 弥市君    飛嶋  繁君       三池  信君    宮原幸三郎君       増田 連也君    久野 忠治君  災害地対策特別委員会    委員長 大内 一郎君    理事 青木  正君 理事 飯塚 定輔君    理事 小金 義照君 理事 小平 久雄君    理事 田中織之進君 理事 小平  忠君       岡延右エ門君    角田 幸吉君       甲木  保君    川端 佳夫君       菅家 喜六君    黒澤富次郎君       澁谷雄太郎君    野村專太郎君       前田  郁君    三浦寅之助君       若林 義孝君    小林 運美君       床次 徳二君    長谷川四郎君       砂間 一良君    奧村又十郎君       井出一太郎君    金子與重郎君  委員外出席者         経済安定政務次         官       西村 久之君         厚生政務次官  矢野 酉雄君         農林事務官   山添 利作君         水産庁次官   山本  豐君         建設政務次官  鈴木 仙八君         建 設 次 官 目黒 清雄君         専  門  員 田中 義一君     ————————————— 本日の会議に付した事件  災害対策に関する件     —————————————
  2. 淺利三朗

    淺利委員長 これより建設委員会災害地対策特別委員会審査会開会いたします。  委員長間の協議の結果、私が委員長の職を行うことになりましたので、しばらくこの席を汚します。何とぞ各位の御協力をお願いいたします。  先にカザリンアイオン台風により、前古未曽有の大惨害をこうむり、その後復旧いまだならざるに本年に至り、さらにデリ台風以来数次にわたつて台風相継ぎ、最近さらにまたキテイ台風の惨禍は、廣汎にわたつて甚大なる被害を與えておるのであります。この経過より見まして、災害復旧治山治水根本的樹策樹立の緊要なるを痛感いたしたのでありまして、去る八日午前、建設委員会理事会を開き、本日より建設委員会開会することにいたしたのでありまするが、たまたま同日午後災害対策特別委員会理事会においても、同時に委員会開会のことに決せられましたので、われわれ常任委員会と同調せられ、両委員会の総意を結集して、本問題の拔本的施策樹立と、その予算上の措置に関して検討するために、ここに連合審査会を開くに至つた次第であります。今こそ政府においても、國会においても、本問題を最高重要政策として、根本的解決を期する心要ありと信ずるのであります。  よつて本日は総理大臣初め建設、大蔵、経済安定本部長官農林大臣等出席を要望し、その率直な所信を明らかにせられんことを期待しておる次第であります。  しかるに本日は緊急を要する閣議の都合で、閣僚の出席は少し遅れるそうであります。ただいま出席されておりまする政府側方々は左の通りであります。建設政務次官鈴木仙八君、河川局長目黒清雄君、厚生政務次官矢野酉雄君、農林省農地局長長山添利作君、水産廳次長山本豐君安定本部政務次官西村久之君以上の方々であります。なお各大臣に対する質問は、あらかじめ通告していただきたいと思います。  まず最初建設省側より今次災害の大要について説明を聴取し、その後に各位質問に移りたいと思うのでありまするが、いかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鈴木仙八

    鈴木(仙)説明員 重要な閣議が突然開かれましたので、やがて建設大臣がお見えになると思いますが、その前に私から建設省としまして、昭和二十四年災害の概況並びに緊急対策について申し上げます。  昭和二十四年は、六月九州方面に襲来いたしましたデラ台風に始まりまして、ソエイ七月十八日、ヘスター七月二十九日、イルマ七月三十日、ジユデイス八月十六日、キテイ八月三十一日等、例年になき早期の台風に始まりまして、台風の襲来連続し、今日まで公共土木施設のこうむつた損害は四百五十余億円の巨額に上り、さらに今後の台風の襲来をも覚悟しなければならない、まことに容易ならざる状態にあるのであります。  次に被害状況について概略を申し上げたいと存じますが、過般の委員会において、へスター台風被害につきましては一應御報告済みなつておりますので、その後に発生いたしましたジユデイス及び今次のキテイ台風状況を申し上ることにいたします。八月十六日ごろ本土に接近いたしましたジユデイス台風は、九州東南方においてにわかに進路を変じ、宮崎縣南部地区から上陸をし、九州を横断し、有明海に出、天草沖合を通過して、朝鮮海峡方面に去つたのでありまして、そのために宮崎鹿児島、熊本、佐賀、福岡、長崎等の諸縣に著しい被害を惹起いたしました。公共土木施設被害見込み総額は六十八億余万円となり、ことに佐賀縣下被害は特に甚大でありまして、また宮崎鹿児島等は累次の災害によります被害をますます増大し、復旧にいとまもない状態であります。天災とは申せ、まことに遺憾に存じている次第であります。また今次関東地方に襲来いたしましたキティ台風は、九百五十ミリバールという強烈なものでありましたが、幸い平地部降雨は少かつたために、被害に比較的少額に食いとめられたと考えられますが、群馬長野新潟福島等山地部には多量の降雨がありましたために、これら諸縣には相当額土木被害を生じたのであります。また台風本土に上陸いたしました三十一日の二十三時ごろ、ちようど太平洋岸の満潮時に合致いたしましたので、海岸線に風浪による大被害を生じたのであります。本台風による被害東京都を初め二十三都道府縣に及び、総被害見込み額は百七十余億円の巨額に達している次第であります。政府に打ち続く本年の台風被害に対しては、デラ、フエイ、ヘスター台風に対し、これまでに四度にわたりまして融資並びに国庫補助措置を講じ、総額三十億三千百万円の支出をいたしまして、被害甚大地方緊急措置を講じたのであります。また過般発生いたしましたジユデイス台風に対しましても、佐賀縣を初め、被害地方十縣に対し六億円の緊急融資をいたしまして、復旧の促進をいたしておる次第であります。さらに今次のキテイ台風に対しましては、これまでの各台風被害中最も被害甚大でありますので、相当額財政援助の必要を認め、二十一億円の融資をなすことといたしまして、廳会の措置をはかり、さらに補正予算をもつて迅速復旧に努めたい考えであります。なお詳しいことは河川局長その他の係官から御説明申し上げます。
  4. 目黒清雄

    目黒説明員 ただいま政務次官からお話申し上げました通りに、今度のキテイ台風は風が強くて雨が少なかつたために、ある程度降雨被害が少かつたのでありまして、これは不幸中の幸いとわれわれは考えております。ことに関東地方におきましては、一昨年のカザリンから昨年度アイオン、さらに今年度の災害というように、連続的に三年台風に見舞われたのであります。しかも利根川は一昨年決壊をいたしまして、相当な被害東京都にもたらし、昨年はまたこの危機が再び来たのではないかと思われたとたんに、ある程度減水いたしましてその縦難を免れ、今年に至りましてまた昨年以上の出水を見んといたしたのであります。ところで利根川の洪水を基本にいたして考えますると、利根川上流に八斗島というところがありますが、今回の水位最高四、二六メートル、カザリンの際は四、二一メートルであつて、これを突破いたしたのであります。一應上流においてこの水位を見たのであります。下流にこの水位で移動いたしまする場合には、一應にカザリン以上の災害を惹起するのではないかという心配を起したのでありまするが、幸いにいたしまして、各河川出水状況は、カザリンのときと多少その状態を異にいたしました関係上、栗橋においてカザリン台風の場合の九、一七メートルに対して、本年は幸い七、五〇メートルでこれが停止いたしたのであります。そこでわれわれとしては一應の愁眉を開いたのであります。しかしながら利根川は七メートル五〇、栗橋水位におきましても、さらに下流の小貝川その他の河川におきましては相当危険地帯があるのであります。これは地元の熱心なる水防活動によりまして破堤を見るに至らなかつたのでありまするが、もし不幸にしてこの水防活動の不完全のために破堤をいたしますれば、茨城縣下約五万町歩の水田が水浸されるはずになつたのであります。利根川沿線は幸いにして以上のごときものでありまするが、今度の台風進路は、何と申しましても相模湾から上りまして東京の西部、さらに北上いたしまして群馬通り新潟縣柏崎付近から日本海に入つたという進路を経たのでありまして、このために何といたしましても、群馬縣被害及び長野縣被害は大であります。土木被害は約二十億前後ありまするが、これに次ぎまして大きいのに栃木であります。栃木は日光において四百五十ミリという大きな雨と、足尾におきまする四百ミリの雨によりまして、鬼怒、渡良瀬川両沿岸が相当被害をこうむつたのであります。ことに鬼怒川の上流におきましては、相当長い一キロに及ぶ破堤を見て、そのための被害が大きいのであります。その他新潟、埼玉、静岡、神奈川、相当ありまするが、ことに先ほど次官からお話し申し上げました通りに、たまたま高潮の時期と台風の通路とが一致した関係上、高潮による東京江東方面の浸水が大きな被害なつて現われたのであります。海岸の堤防の決壊個所は、土木被害といたしましてはそれほど大きな決壊個所ではあもりませんが、それ以外にも、ことに密集しておりまする下町の被害は、直接被害よりも間接被害の方が相当多いのでありまして、この点は同情いたさなければならぬのであります。そこでこれらの被害を一應集計いたしますれば、百七十四億というような金に相なつたのであります。しかしながらこれは一應各府懸からの報告をとりまとめたのにすぎませんので、さらにこれを現地査定をいたしますれば、多少変動が来ると思いますが、また各府縣別被害個所調査の不行届き、あるいはまだ現地に足を踏み込む機会のないというような調査漏れのところもありまするので、大体われわれは百七十億の被害が妥当ではないかと想像いたしております。これにつきましては先ほど次官からお話申し上げました通りに、一應の融資措置を講じることに相なつておるのであります。
  5. 淺利三朗

    淺利委員長 次に農林省水産廳の方及び安定本部政務次官が見えておりまするが、厚生政府次官司令部の方の関係でお急ぎだそうであります。よつてこの際厚生政務次官から災害善後措置について「一應の御報告を承つて、その質疑はあとで一括して願いたいと思います。
  6. 矢野酉雄

    矢野説明員 ちよつとごあいさついたします。参議院に席を置いておりまするので、皆様方まだ御存じのない方もたくさんおありと思います。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。  キティ台風被害は、厚生省所管の部面におきましては、大体十三都道府縣に関連を持ちまして、國立病院國立療養所水道関係等、現在調査しました結果におきましては、約二億三千八百万円程度でございます。これにつきましては、ただいま一應九千万円程度予算措置をすべく、それぞれ折衝をしておる次第でございます。さらに水害後の傳染病発生状況は、東京都並びに千葉縣が、九月十日現在におきましては二百六十名でございまして、これに必要なるワクチン注射等は、その台風の第二日目に三十五万人分だけ現地に邊り届けておる次第であります。今なお詳細なる各地の状況を収集して、それぞれ確実なる統計の結論を得まして、これに対処すべくせつかく努力中でございます。それぞれ予防局長その他の局長、課長を通して、御質問に対しては十分にお答えするつもりであります。
  7. 淺利三朗

    淺利委員長 そのうち大臣も見えることと思いますし、質問大臣出席の上の方がいいと思いますから、一通り各省関係報告伺つた方がいいと思いますが、いかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 淺利三朗

    淺利委員長 それでは農林省農地局長から農林関係状況を御報告願います。
  9. 山添利作

    山添説明員 農林関係キテイ台風に関しまする、府縣から報告のありました被害額を御報告申し上げたいと思います。キテイ台風において、まず農地関係でございまするが、これは農地公共施設並びに農地そのもの損害を含んでおりますが、五十億三千四百万でございます。林野関係においては三十一億八千三百万円、これは林産物の損害を含んでおります。水産関係においては十二億三千三百万円でありまして、この三者を合計いたしますと九十四億五千万円と相なるのであります。これをデラ以來の各災害の総計をしてみますと、農地関係において百九十七億八千万円、林野関係において七十六億八千万円、水産関係において三十四億円、合計して三百八億七千万円になつております、大きな被害でございます。なおこのキテイ台風関係で特に災害のひどかつた地方は、先ほど建設省政務次官からお話になつたのと同様でありまして、長野縣群馬懸、福島縣というところが最も多いのでございます。なお至体を通じての今までとつておる対策としましては、先ほど建設省からお話なつた中に含まれておるのでありまして、とりあえず融資をもつて措置をいたしておるのであります。その他農林省関係としては、秋作の種子の関係とか、あるいは肥料の問題であるとか、應急資材問題等をそれぞれいたしております。これらの関係は特にかわつたこともございませんから省略をいたします。ごく概要を申し上げますとこのようになつておるのであります。
  10. 淺利三朗

    淺利委員長 これで関係各省の御報告が終わりましたが、全体をひつくるめて、もし安定本部政務次官の方で何か概要お話しくだされまするならば……。
  11. 西村久之

    西村説明員 先ほど委員長からお述べになしました通りに、二十二年、二十三年度の莫大なる災害を受けて、その復旧いまだならざる今日、また本年デラ台風以後の数回にわたる台風を受けまして言語に絶する損害を見ておりますることは、まことに遺憾のきわみであります。何と申していいか、私どもこれについては非常に心痛をいたしておるわけであります。御案内の通りに二十二年、三年の災害が八百五十億余の災害のところへ、今年の予算で、御承知の通りに百七十億程度災害費を組んであつたのであります。七百億の開きがあるわけでございます。そこヘデラ台風以後今日までキテイ台風に至るまでの損害額は、計数はまだはつきりいたしませんが、大体において八百七十億から九百億近くになるのでなかろうかと推い定たされるのであります。この重なる災害を処理いたしますのにつきまして、先ほど建設省鈴木政務次官からお話がありましたが、政府といたしましては融資の道を開きまして、四十五億——先ほど鈴木君は三十五億とお話なつたかと思いますが、四十五億の融資の道をほんとうは開いてあるのであります。十億の食い違いはデラ台風の十億の融資関係建設省政務次官は落とされたのでなかろうかと実は思うのでございます。それから公共事業費として政府補助によります処置が、三十八億をもつて処置いたさんといたしておるのであります。なるたけ應急の処置をとつて今後の災害を防止せんとする方針を立つておるのでございます。こういうふうなことをしておりましても、災害復旧が遅々として進まないのにありますから、政府といたしましては補正予算を組みまして、臨時國会の御承認を受けて、本年度におきまする工事を進行いたすと同時に、二十五年度の予算を早急に組みまして、皆さん方の御協賛を経て、災害個所復旧をはかるべく完璧を期したい。こういう所存を持つておるわけであります。  はなはだ簡単ではございますが、安定本部の建前から一應ごあいさつを申し上げる次第であります。
  12. 淺利三朗

    淺利委員長 ただいま大臣出席を打合せ中でありますが、ちよつと時間がかかると思いますから、暫時休憩いたします。     午後三時三十一分休憩      ————◇—————     〔休憩後に開会に至らなかつた