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目黒説明員 ただいま
政務次官から
お話申し上げました
通りに、今度の
キテイ台風は風が強くて雨が少なか
つたために、ある
程度降雨被害が少か
つたのでありまして、これは不幸中の幸いとわれわれは考えております。ことに
関東地方におきましては、一昨年の
カザリンから昨年度
アイオン、さらに今年度の
災害というように、連続的に三年
台風に見舞われたのであります。しかも
利根川は一昨年
決壊をいたしまして、相当な
被害を
東京都にもたらし、昨年はまたこの危機が再び来たのではないかと思われたとたんに、ある
程度減水いたしましてその
縦難を免れ、今年に至りましてまた昨年以上の
出水を見んといたしたのであります。ところで
利根川の洪水を基本にいたして考えますると、
利根川上流に八斗島というところがありますが、今回の
水位は
最高四、二六メートル、
カザリンの際は四、二一メートルであ
つて、これを突破いたしたのであります。一應
上流においてこの
水位を見たのであります。
下流にこの
水位で移動いたしまする場合には、一應に
カザリン以上の
災害を惹起するのではないかという心配を起したのでありまするが、幸いにいたしまして、各
河川の
出水の
状況は、
カザリンのときと多少その
状態を異にいたしました
関係上、
栗橋において
カザリン台風の場合の九、一七メートルに対して、本年は幸い七、五〇メートルでこれが停止いたしたのであります。そこでわれわれとしては一應の愁眉を開いたのであります。しかしながら
利根川は七メートル五〇、
栗橋の
水位におきましても、さらに
下流の小貝川その他の
河川におきましては相当
危険地帯があるのであります。これは地元の熱心なる
水防活動によりまして破堤を見るに至らなか
つたのでありまするが、もし不幸にしてこの
水防活動の不完全のために破堤をいたしますれば、
茨城縣下約五万町歩の水田が水浸されるはずにな
つたのであります。
利根川沿線は幸いにして以上のごときものでありまするが、今度の
台風の
進路は、何と申しましても
相模湾から上りまして
東京の西部、さらに北上いたしまして
群馬を
通り、
新潟縣柏崎付近から日本海に入
つたという
進路を経たのでありまして、このために何といたしましても、
群馬縣の
被害及び
長野縣の
被害は大であります。
土木被害は約二十億前後ありまするが、これに次ぎまして大きいのに
栃木であります。
栃木は日光において四百五十ミリという大きな雨と、足尾におきまする四百ミリの雨によりまして、鬼怒、渡良瀬川両沿岸が相当
被害をこうむ
つたのであります。ことに鬼怒川の
上流におきましては、相当長い一キロに及ぶ破堤を見て、そのための
被害が大きいのであります。その他
新潟、埼玉、静岡、神奈川、相当ありまするが、ことに先ほど
次官から
お話し申し上げました
通りに、たまたま
高潮の時期と
台風の通路とが一致した
関係上、
高潮による
東京江東方面の浸水が大きな
被害と
なつて現われたのであります。
海岸の堤防の
決壊個所は、
土木被害といたしましてはそれほど大きな
決壊個所ではあもりませんが、それ以外にも、ことに密集しておりまする下町の
被害は、直接
被害よりも
間接被害の方が相当多いのでありまして、この点は同情いたさなければならぬのであります。そこでこれらの
被害を一應集計いたしますれば、百七十四億というような金に相な
つたのであります。しかしながらこれは一應各府懸からの
報告をとりまとめたのにすぎませんので、さらにこれを
現地査定をいたしますれば、多少変動が来ると思いますが、また各
府縣別被害個所の
調査の不行届き、あるいはまだ
現地に足を踏み込む機会のないというような
調査漏れのところもありまするので、大体われわれは百七十億の
被害が妥当ではないかと想像いたしております。これにつきましては先ほど
次官から
お話申し上げました
通りに、一應の
融資の
措置を講じることに相
なつておるのであります。