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宇田委員 私は
地方の行政の末端に多少
関係いたしておりますので、この
法案ができると同時に疑義を持
つたのであります。まず第一に、ただいまの
鈴木さんの御
質問のごとく、
登録の
申請書類を
調査されるのが、もちろん
地方の知事及び
本省の
二つにな
つていると思いますが、どういう
調査をされるかということが非常に重要なのでありまして、
調査がいわゆる
有名無実になるということが、明らかに今から看取されると思うのであります。一例を申しますと、私廣島縣の
藺製品連合会長をいたしておりますが、その
藺製品の
販賣売登録を受ける
申請をやりまして、その
申請者を
調査いたして参りますと、おのおの
資本金も積立てておる、
書類においてはもちろんはつきりしている、
倉庫も持
つておる、從業員も持
つておるということで、
調査のときには完全なる
計画ができておるのであります。しかしながら、その
調査をするときの
机上の
計画と、実際とは大きな
隔たりがある。これは間違いのない事実であります。
從つてただいまの
鈴木さんの
お話のごとく、
経驗があるという
申請をどの
程度に認定するかということも大きな問題になります。もちろん
学歴等の問題については、
卒業証書の副書をつけることにな
つていて、これに対する罰則もきめられておりますから、そういうことは完全に行われると思うのでありますが、そういうことの認定はまことに困難であると思う。同時にさいぜん申し上げましたような、
机上の
計画だけは完成してお
つても、あるいは
機械工具を持
つておる、
倉庫を持
つておる、
資本金を持
つておると申しましても、
資本金等においては、一時の積立は容易にできることでありまして、
審査当時と、実際に運営して行くときとは非常な
隔たりがあると
考えるのであります。
さらにもう
一つの例を申しますと、私は田舎で町長をいたしたことがありますが、
ちようど役場の前に
藥局ができた。
藥局は
藥剤師、すなわち今日で言えば
專門学校以上の力のある者でなければできないのでありますが、単なる
小学校出だけの主人が
藥局を開いておる。それが
役場の前でありますので、私まことに危險千万なことであると
考えまして、ただちに縣の
衞生課へ
調査を命じたのであります。ところが、ある未亡人か奥さんか知りませんが、四キロ内外の
土地に一人の何ら就職しない
藥剤師がおりまして、これが就職した形にな
つているのであります。私当時
縣会におしましたから、ただちに
衞生部長に
調査を命じますと、
衞生部の
一役人と連繋しまして、どうも
調査に行くときだけ
藥剤師が出ているが、その俸給と旅費その他の
関係を
調査すると、何ら出て來られない
條件にな
つている。
ちようど役場の前の
藥剤師でありますので、私いろいろ
調査をいたしたのでありますが、
藥局の権利を持つことによ
つて医藥の配給がある、その他いろいろな便宜があるというので、かようなインチキは今日の
政治下では平素で行われるのであります。これは
藺製品の問題と
藥局の問題だけで
二つの例をあげましたが、その他にもこうした種類のものが相当行われるのではないかと
考えるのであります。
さらに
本省の
調査に至りましては、私
一つの具体的事実を申し上げてみたいと思います。
建設省に
関係があるので、名前あるいはその課だけは申し上げませんが、こういう
一つの例があります。これは
地方の
一つの
建築の問題であります。
都市計画と言おうか、
区画整理に関連いたしまして、
二つの同じような
建築の問題が起
つた。
都市計画、
区画整理によ
つて同じように切り取られるのであるから、同じように
地方から
本省へ願書を出したのであります。もちろん
縣知事の口を添えて出したわけですが、
一つはスムースに通過したにもかかわらず、
あとのものは
ひつかか
つた。もちろんこれは同じ町でありますから、同じ
代書が同じ
條件で書いたわけでありまして、すべて同じ
條件の
二つの
書類が
本省に出されたのであります。前のものは次長かだれかが持
つて來たと思うのでありますが、これはスムースに調子よく通過した。ところがその次のものは牴触したのであります。当時私
縣会の
土本委員会におりましたので、私それを持
つて來た。これは
ひつかか
つた。
ちようど今回のわれわれの当選した
衆議院選挙の前、十一月でありました。私はあらゆる手を盡しまして、同じようなものが
二つ出ておるのだから、むしろ前の方がおかしいのだ。具体的な実例をあげて、この方が正しいのだ。同じような
條件で、同じような
代書が書いたのだから、これは通したらどうかと
言つても通さない。私は早く
帰つて衆議院に立候補しなければならぬので、それでは一箇月後にまみえようということで
帰つたのであります。そのときに、却下された
理由はどういう
理由であるかということを、
責任者に対して
——もちろん
課長でありますが、私は伺
つた。私はいわゆる
縣会の
土木委員としては僭越なことになるので、当時廣島縣の
道路課長が上京しておりましたので、
道路課長とともにその
課長に
会つて、どういう
理由で前のものが
通つて、
あとのものが却下されたのだ。ひとつ
記録を拝見さしてもらいたいと言うと、その
記録は
本省にないと言う。却下した
書類の控えがないと言うので、そんなばかなことはないと
言つたのです。さようにいたしまして、私は一箇月後にまみえる約束をしましたが、遂に私が当選するという声を聞くと同時に、どこからともなくそれは許可された形にな
つたのであります。この問題につきまして、もちろん私
個人の
意見を申し述べておるのではありませんが、その当時私は廣島縣のその
都市の
実態を詳しく申し述べたのでありますが、何ら採用されないのであります。
そこで私の言わんと欲するところは、このいわゆる
登録制を、だれがどういう
方法によ
つて、これが正しい
申請であるか、あるいは正しくない
申請であるかということを
調査するかということに、非常な
心配を持つものであります。從いまして、前に申しましたように、
藺製品の
登録の問題にいたしましても、さらに
藥局の
登録の問題にいたしましても、今回のこの
一つの大きな例を申し上げましても、この
登録制は、まことにわれわれとしては必要なる
登録とも
考え得るのでありますが、またよ
つて起る
被害のいかに甚大であるかも想像できるのであります。
從つてこれは
登録の
調査をいたしますものには、最も民主的な、
官僚独善に陷らざるような、正しい
審査をするにあらずんば、これをつくることによ
つて、むしろ
從來の
業者になおかつ
被害が大きく予想されるのじやないかと
考えるのであります。その点につきまして、
立案者の所見を伺います。