○鎌田
説明員 御
説明いたします。ただいまお手元にお配りいたしました
資料に基きまして概略御
説明申し上げます。
戰災、間引疎開その他によりまして滅失いたしました
住宅戸数は約四百数十万戸と考えられてお
つたのでございますが、
終戰後約三箇年間に建設せられました
住宅が約百四、五十万戸ございます。従いまして今日の
住宅不足数は約三百万戸、それに三箇年の間に
災害を受けましたものが数十万戸ございますので、約三百数十万戸の
住宅不足数があると推定せられてお
つたのでございます。ところが昨年の八月全國一齊に行われました
住宅調査の結果、お手元にお配りいたしました
資料に載せてございますが、全國の世帶数が千五百九十七万六千世帶でございまして、
住宅の戸数が千三百九十五万に相な
つております。從
つてその差額が二百二万戸
住宅が少いという結果が現われております。しかしこの二百二万戸といいますのは、單なる全図の世帶数と現存します戸数との差額でございまして、そのほかに遠距離通勤とか、あるいは密住とかいうような潜在の不足数がございますので、やはり
住宅の不足数としては約三百万戸
程度あるのではないかと考えられる次第でございます。この
住宅の不足数を何らかの方法で解決して参らなければいけないのでございます。
これに基きまして約五箇年間に何とか
住宅を復興いたしたいというので、一番最初立てました案は、國庫
補助によりまして約八方、
住宅金融公社によりまして十万戸、その他産業関係の給與
住宅十万戸、合計二十八万戸一箇年に建設をいたしたいと考えたのでございますが、だんだんその後の國家
予算の財政の関係上最小限のところを出してみたいという考えに基きまして、お手元に配付いたしましたようなぎりぎりの不足数はどのくらいあるかということを、別の観点から研究して見たのでございます。その結果二十三年八月の
住宅調査によりまして、現在ほんとうに家のない世帶数、つまり職場に居住をしているとか、あるいは壕舎の中に入
つている、それから仮小屋に入
つているという世帶数をその中から拾
つてみますと、十三万八千七百五十世帶ございます。
次に一人一疊半以下の密住、つまり六疊に四人以上住んでいる家族数を調べてみますと、四十一万五千九百世帶ございます。この第一項と第二項は二十三年八月の
住宅の調査によりましたので、確実な
数字と考えられます。
もう一つの事項といたしまして、非常に遠距離から通勤している世帶がどのくらいあるかを調べたのでございますが、これは確たる
資料はございません。しかし職場、産業方面、あるいは公務員その他の職場の方から考えまして、それと東京における通勤者の割合から推定いたしてみますと、二時間以上の通勤者が二十三万ございます。それからそのほかに現在
住宅に居住はいたしておりますが、家主より立退き
要求を受けまして、どうしてもやむを得ざる立退きをしなければいけないという世帶、あるいは海外引揚げで一時寮には入
つておりますけれども、だんだん
一般市民に溶け込まして行かなければならぬという世帶、そういう世帶の推定が約二十万戸ございます。從いまして以上合計いたしますと九十八万四千六百五十世帶、概略百万世帶が三百万の
住宅不足の中でもざらに現在困窮している世帶数だと考えられるのでございます。この百万の中にも、あるいは
相当の資力がありまして、自分の家をつくる人も考えられますので、それを二〇%と見まして、八〇%つまり八十万世帶は救済を要するのではないか、かように考えたのでございます。この八十万戸を五箇年間に建設いたしまして解決して参りたいというのが第一表の五箇年
計画でございます。内訳は國庫
補助によりまして二十一万戸、金融公社によりまして二十八万戸、重要産業労務者の給與
住宅といたしまして三十一万戸、合計八十万戸でございます。その第一年度は國庫
補助によりまして五万戸、公社によりまして五万戸、重要産業労務者
住宅におきまして四万戸、計十四万戸、二十五年十五万戸、二十六年十六万戸、二十七年十八万戸、二十八年十七万戸、この五箇年
計画で八十万戸は最小限建設しなければならない。こういうふうに相なるのであります。
この二十四年度の國庫
補助の五万戸を建設いたしますに要します
費用は、建設資金は約百億を要するのであります。これは二分の一國庫
補助といたしまして五十億の
予算は最小限必要というように考えます。金融公社によりまして五万戸を建設いたしますために、これも同じく建設資金といたしましては百億円、融資の額としては五十億円が必要である。次に重要産業労務者、これは資金
計画としましては復金その他、あるいは市中銀行から各産業会社が借入れをしました中から、
住宅資金としてさいてもらいまして、約四十億を要するのであります。この國庫
補助住宅と金融公社は何かダブ
つているように考えられるか、と思いますので、この点についてさらに御
説明申し上げたいと思います。それは先ほども申し上げましたように過去三箇年に百五十万戸建設されましたが、その質的な内容を見てみますと、大
部分が自分の家でございます。三箇年間にできました貸家と言いますのはわずかに國庫
補助によりまして、地方公共團体が建設いたしました公営
住宅が二十二万戸だけでございます。これを除きましではほとんど民営の貸家は建設せられていない状況でございます。従いまして今日の
住宅問題は、一番困難なところはどこかと言いますと、貸家の対策であると極言し得るのではないかと思います。貸家を建てると言いましても、長期金融資金もない、利子も非常に高いという今日におきましては、何らか財政支出をしなければ貸家は建
つて行かないのじやないか、つまり財政支出をしまして、それによ
つて貸家を建てて行くほかに道はないのじやないか、こういうふうに考えられるのであります。一方
賃金ベースと各庶民の
住宅費にまわし得る度合を考えてみますと、戰前におきましては生計費のうちの二〇%を
住宅費に出してお
つたのでございます。今日は家賃統制令その他の影響もございますが、約四%という統計にな
つております。しかしこれは古い家がもとの家賃でくぎづけにな
つておるというような影響もございますので、今日のこの六千三百円ベースの中から約一割
程度を生計費にまわず、こういうふうに考えますと平均六百三十円という家賃は出してもいいのじやないか。かように考えますと約一万円以下の収入の庶民は千円以下の家賃の家でなければ支出する能力がない、かように考えられますので今日建設いたします貸家の家賃は、どうしても千円以下にしたいと考えるのでございます。一方今日
住宅を建設して貸すということを考えますと、一坪大体幾ら安く見積
つても二万円はかかると思うのでございます。従いまして十坪の貸家を建てたといたしますと二十万円の建設費を要する。これに金利その他を考えますと、普通のそのまま放置した民営の貸家は、二千円ないし三千円の家賃をとらなければ経営は成立たないと考えます。從
つてこのギャップをどういうふうに埋めて行くかという問題になるのでございますが、今日まで
政府が建てた公営
住宅は、その線に沿いまして半額國家
補助をいたしまして、家賃を
賃金ベースに合うように定めて参
つたのでございます。従いましてこの一万円未満の
一般勤労庶民に対しましては、國庫
補助の公営
住宅で行けば支拂いの能力がある。かように考えます。
それから金融公社の案で行きますと、建設費約二十万円のうち三分の一は自己資金によりまして出しているが、三分の二を融資いたしまして、それを十箇年なら十箇年で償却をする、こういうふうに考えますと、月々千五百円
程度の支出になります。從いましてこれを支出し得る階層は二万円以下の所得者である、こういうふうに考えます。この國庫
補助住宅と金融公社との対象がただいま申し上げましたように違うのでございますが、両々相ま
つて住宅対策を進めて参りたいというのが今回の案でございます。先般
安本から
内示を受けましたのは國庫
補助の
住宅建設のために約二十五億という
数字なのでございますが、この二十五億では建設戸数は二万二千四百戸でございます。従いましてただいま申し上げました最少限五万戸を建設する金の半分以下ということに相なるわけでございます。大体建設省といたしまして立案しました
住宅の対策、今日の
予算の成立の現況、それによ
つて起ります影響は、ただいま申し上げました
通りであります。