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1949-10-04 第5回国会 衆議院 決算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十月四日(火曜日)     午前十時二十五分開議  出席委員    委員長 本間 俊一君    理事 川端 佳夫君 理事 永田  節君    理事 大上  司君 理事 戸叶 里子君    理事 金子與重郎君       南  好雄君    藤枝 泉介君       船越  弘君    前田榮之助君       坂口 主税君    風早八十二君       小林  進君  委員外出席者         食糧庁長官   安孫子藤吉君         農林事務官   金城 順隆君         林野庁長官   三浦 辰男君         農林事務官   濱田  正君         会計檢査院事務         総長      東谷傳次郎君         專  門  員 大久保忠文君         專  門  員 岡林 清英君     ————————————— 八月十日  委員内海安吉辞任につき、その補欠として鈴  木仙八君が議長指名委員に選任された。 十月四日  委員井之口政雄君及び畠山重勇辞任につき、  その補欠として風早八十二君及び坂口主税君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月三十一日  昭和二十二年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十二年度特別会計歳入歳出決算 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  薪炭需給調節特別会計に関する件  食糧管理特別会計に関する件     —————————————
  2. 本間俊一

    本間委員長 これより会議を開きます。  休会中でございましたが、あらかじめ委員各位に御了解を得ておりました通り、本日委員会を開くことにいたしたのでございます。わざわざ御上京くださつた方もあるようでございまして、まことに御苦労さまと思います。まず公報でお知らせいたしておつたのでありますが、薪炭需給調節特別会計の方が赤字が出て参りそうでありまして、いずれこの委員会に正式にかかつて來ることと思いますが、一應どういう状況になつておりますか、委員会としてもこれを知つておく必要があろうと思いましたので、本日これを議題にいたしたわけであります。それから食管関係特別会計議題にいたしておりましたが、まず薪炭の方を先に議題に供したいと思います。  まず政府側の方から一應薪炭特別会計につきまして説明を聽取した上で、御質問があれば御質問に移りたいと思いますから、さよう御了承を願います。
  3. 三浦辰男

    三浦説明員 薪炭特別会計のことにつきましては、本年の二月の初めに至りまして、その冬の異常な氣候、あるいは輸送消費状況、おるいはさらに生産の好轉といつたような状況からいたしまして、その運用は非常に変態になりました。すなわち都市に運んだものはなかなかはけない。生産地におきましては予想以上に生産ができて、それを買うというにはなかなか資金繰りが至らぬということで、一方において賣りさばきを急ぎ、一方においてほとんど買う量は少くして制限せざるを得なかつたという状況になつたのであります。そうしてそういう事情もと政府といたしましても、この特別会計内容につきまして、いろいろと檢討を加えました結果は、この特別会計始まつてここに十年でありますが、その間におきまする現物帳簿面突き合せというものがほとんどやるいとまがなかつたというような原因からいたしまして、そこにかなり食い違つたものがあるように想定されて、爾來それを中心として、眞の特別会計内容についていわゆる洗つてつたのでございます。その後に至りましてかなり大きな食い違いがあるらしいということが明らかになりましたのと、さらに根本的には新炭の需給というものが他の燃料事情とあわせ考えた場合に、最も嚴密なる統制とむ申すべき、いわゆる政府が全面的に買つて、そうしてこれを一定の計画に基いて、政府の手で配給するという方式をとることの必要であるかいなかという問題になりまして、結局いろいろな経過を経まして、八月の一日をもつてこの薪炭特別会計の買入れというものは機能を停止いたしまして、目下その手持ちでありますところの数量確定及びその賣拂い、また未回收でありまする金の取立てと、一面におきます未支拂いに対する支拂いという、いわば整理事務をやつているのでございます。その数字につきましては、いまだはつきりした数字を申し上げるに至つておりませんが、年度末に言われたところの、いわゆる三十億ばかりの非常に困難な、いわば世間赤字と言つておられますが、取立て困難なようなものを生んでおるのではないか。その後におきまするところの政府薪炭が、品いたみ、また需給状況からいたしまして、その処分にあたつてある程度割引もしなければならぬというような事情からいたしまして、これまた相当欠損が見込まれるのではないか、こういうような状況でありまして、当局といたしましては、その清算事務を鋭意やつておるのでありますが、その中心といたしますところのものは、現在の手持ち数量確定して、それを早く賣り拂つてしまう。それから同時に卸賣方面に焦げついておりますところの、約二十億ばかりの債権を至急取立ていたしまして、生産者に対する未支拂いに充当する、こういうことをただいまやつておる状況でございます。一應簡単でありますが御説明申し上げます。
  4. 本間俊一

    本間委員長 質疑の通告があります。これを許します。南君。
  5. 南好雄

    南委員 ただいま簡單薪炭特別会計の概要をお伺いしたのでありますが、問題をはつきりするために、もう少しつつ込んでお尋ねを申し上げたいと思うのであります。いずれはつきりした数字が出て参りますから、それからでもけつこうでありますが、どうせそのときにやるにいたしましても、今世の中に相当問題になつておりまする関係から、政府側にまじめになつて御返事願いたいと思います。  この問題で、一体薪炭特別会計で最近三十億とか五十億とかいう赤字があるということを聞いているのでありますが、この特別会計開始以來、一体政府が賣られた数量がどれだけであり、その金額は一体どれだけかということを伺いたいのであります。三十億ないし五十億からの赤字が出るその理由が私にはよくわからない。一体商賣をやるにしても、その総数量に対する総損失というものは、こげつき債権にいたしましても、大体わかつて來ると思う。これが一点。  それから第二点は、はつきりした数字でなくてもいいのですが、大体の見当けつこうですから、一体今特別会計が持つている債権がどのくらいであり、その債権者見当はどういう人たちか、それから債務が一体どのくらいあつて、その債務者見当はどのくらいかということを第二点として伺いたいと思います。  もしできますれば第三点として、一体その債権がどのくらいの回收見込みであるか。從つて取立てした債権でまだ支拂つておらぬ方面に対してどういうような見当支拂いが可能であるか。以上三点に対して、簡單けつこうですから御返答願いたいと思います。
  6. 三浦辰男

    三浦説明員 從來の総取扱い高につきましては、ただいま計算をして御答弁申し上げることといたしまして、現在の債権債務関係でございます。これもまだ木炭事務所の方でいろいろ整理中でございまして、完全に行つておりません関係から、これで確定であるとは申し上げかねるのでありますが、債権となつておりますものは、総額で二十億六千万円ばかりございます。そのおもなるものは、いわゆる卸業者に対するものでございまして、約十八億五千万円、それから生産地の方の関係で、いわゆる集荷業者、また指定業者と申しておりますが、この方面に一億三千万円ばかりございます。輸送業者方面は約六千万円、あと千七百万円ばかりがその他の関係になつております。ただここにもう一つ問題なのは、燃配関係で昨年の九月か十月でありましたか、從來の各縣一つの配給機関でありました燃配と称する燃料配給組合閉鎖機関に指定されました。その関係債権としてあるものが七千二百万円あります。その合計が約先ほど申し上げました二十億六千万円ばかりになるわけであります。  それから債務の点では合計して二十三億ばかりになつておるのであります。そのうちおもなるものは薪炭代金でございまして、約十一億ございます。その次が運搬費で八億三千万、それから手数料がございまして、これが二億六千万ばかりございます。そのほか保管料経営費事務人件費等を入れて約二十三億程度のものが債務としてあるわけであります。  それからこの債権回收にあたつて、どれだけとれる見込みを持つているかという問題でございますが、当局といたしましては、債権の全部をとらなければならない。ただここに閉鎖機関の方に属しております七千万円の問題があり、またその後起きました農業会等関係で、清算中に属するものでありますから、それに対しての関係が出て來るわけでありますが、いやしくも債権である限り、ぜひこれの全部回收に努めなければならないし、すべきものである、いろいろの手段を講じて目下やつておるところでございます。
  7. 南好雄

    南委員 そういたしますと、大体債権が完全に取立てできるといたしますと、その見当は本年中、年度末ぐらいまでにとれますか。
  8. 三浦辰男

    三浦説明員 年度末を目標といたしまして、月別計画をそれぞれの債務者にあてて計画だけはできておりまして、着々とその線をやるべくやつておりますが、当初七月にこの債務者にあてて月別計画をいたしました際に、大体主としては十月以降の月別になつておるのであります。薪炭関係、ことに炭が多い関係からいたしまして八月、九月に計画を入れるということは、これは何としてもむりだというような事情、——私どもの方といたしましてはむりではない。当然支拂つてもらわなければ困るのじやないかということで、いろいろ交渉をいたしたのでありますが、何しろここに困難な問題は、この債務者である卸の例をとりますと、從來この統制のいわゆる政府指定配給業者として、その縣で独占をしておつた組合であります。その関係からいたしまして、資本金は非常に少いにかかわらず、そのいわゆる焦げつきは非常に多い。でありますので、これは何と申しますか、回收の完璧を期するためには、ある程度それをも生かしつつやらなければならぬという面もございます。そういうような内部の事情もありまして、八月、九月は非常に少いのでありますが、十月からおそくも三月までにわけましてとる、こういうことで進んでおります。
  9. 南好雄

    南委員 そういたしますと、いわゆる政府債権に対する債務者、すなわち各縣の配給機関であります組合品物を持つてつて、その品物の大体の見当が二十億くらいになる。これを賣り拂つて行くこともできるのでありますが、その数量見通しはついておりますか。
  10. 三浦辰男

    三浦説明員 この関係は二月、三月、四月と政府ににおきましてもこの備蓄と申しますか、政府保管料を出して保管をすることは、置場の関係、またその保管関係からいたしまして、倉庫もなく、いわば道ばたに保管をするというような関係からいたしまして、非常な損害があるので、これを卸商の方に割当的にとつてもらつてつた関係がございます。そこで卸といたしましてもこれを小賣店の方に同じような考え方で、彼らをして言わしめればむりにわけて押しつけた、そういうような関係になつておりますから、その関係はあるいは物となりあるいは小賣店に対する賣掛けという関係においてあるのでありまして、現物がその分だけを持つておるか持つてないかということは、私どもとしてはまだそこを確定しておりませんけれども政府に対する債務といたしまして、卸商はこれはまだ保管である、これは仮受領証を出したのだ、まだ買つたうちでないという問題等もありますけれども、それに対して政府としては個々に解決をして行つておるわけであります。
  11. 南好雄

    南委員 事実問題は非常にむずかしいことだろうと思います。しかしながら少くとも今まではいわゆる薪炭配給状況と申しますものは、消費者に対しては全部現金でなければやつてくれた例はないのであります。從つて配給途中において損失相当ありますが、要するに小賣商店あるいは卸賣商店手持ちになつておるいわゆる危險負担渡し先危險負担になつておるもの、政府がいわゆる債権の責任に任じておるというくらいの見当の在庫の取調べはそんなにむずかしいものではなかろうと思うのであります。要するにこの債権確実性と申しますものは、品物があるかないかによつてきまるものじやないかと思う。もし品物がない場合においてはほかの財産になつておるかどうかということである。そうしなければこの二十億からの債権がはたして取立て得られるかどうかという見当はまつたくつかぬと思います。そこらの見通しはどうなつておるのでしようか。
  12. 三浦辰男

    三浦説明員 御指摘のごとくに現物がそのまま残つておればきわめて簡單でございます。けれども保管設備等もございませんので、これを小賣店に流し、あるいは大口の方に買つてもらつたというような状況になつているのは、これもまた事実でございます。当局といたしましては、現物は持つておろうがおるまいが、それは政府が向うへ讓り渡した、あるいは預けたということを出発点といたしまして、その債権確定というものに努めている状況でございます。あるいは必要がありますれば、関係帳簿預金等も見せてもらうというようなところまで行つて、その確定に努めておるような状況でございます。
  13. 南好雄

    南委員 そうすると、まだ配給機構に引渡しておらぬ政府手持ちは、一体どの程度なのでしようか。
  14. 三浦辰男

    三浦説明員 この整理は極力各木炭事務所をして急がしておりますが、大体現在のところ、木炭におきまして約二十万トン、それからまきにおいて約二百万層積石ガスまきで五万トン、このぐらいのものはまだ処理をすべく手持ちという形になつておるものと考えております。
  15. 南好雄

    南委員 次にお伺いしたいのですが、債務の点で一番大きな債務を負うておりますのは、生産者團体でございますか、個々生産者ですか。
  16. 三浦辰男

    三浦説明員 大体おおまかに申しますと、六割五分から七割近くは團体系統でございまして、三割ないし三割五分がいわゆる企業製炭者の方で組合外のものになります。
  17. 南好雄

    南委員 この十一億ばかりの生産者に対する債務は、本年度債務か、あるいは去年からの債務ですか。
  18. 三浦辰男

    三浦説明員 これは主として本年度のでございます。そこでこの債務につきましては、一面においては、債権がとれなければ支拂えないということでは、生産意欲が非常に落ちて、ひいては特別会計といつた制度、あるいは配給というものの方式をかえました基礎である需給見通しの狂いも生じるおそれもありますので、現在は大藏省日銀方面了解を得て、これの金融だけはようやくできておるような状況でございます。
  19. 南好雄

    南委員 これの金融だけはと申しますのはどういう方法ですか。
  20. 三浦辰男

    三浦説明員 政府に対する債権者、つまり生産供出側の方から、これだけは政府の方から拂つてもらう数字があるんだ、金額があるんだということを関係木炭事務所長の方へ申し出ます。木炭事務所長は当然取扱つておられますので、その数字を見て、そこに世間ガラス木炭とか言われておる問題、すなわち生産者供出者側においての過誤によつて二重請求をしたものとか、あるいは清算してみたらばそれは納めてなかつた、つまり品物を納めてなかつたのに一應代金をもらつた形になつているというような、弁償にあたるようなものがありますれば、それを差引いた金額を、これはまさに組合なりその業者なりに拂うべきものだという証明を出します。その証明をもつて取引金融機関に出して、その出すことによりまして、その金融機関としての金繰りがつかなければ、日銀の方でそれについては特別の融資を見てやろう、こういう了解でやつております。
  21. 南好雄

    南委員 そうしますと、それは從來つているように薪炭証券みたいなものを出して、再割引日銀にさせているのですか、それとも別途の金融方法ですか。
  22. 三浦辰男

    三浦説明員 それはいわゆる純然たる金融の部類でございます。
  23. 南好雄

    南委員 そういたしますと、大体ただいままでの御説明によると、いろいろ非難はあるが、少くとも將來も薪炭生産してもらわなければならぬ生産業者、そういう人たち生産意欲を阻害せぬ範囲内において金融操作がついているというはつきりした見通しを、政府はお持ちになつておると見てよろしゆうございますか。
  24. 三浦辰男

    三浦説明員 八月一日にこの特別会計が買入れを停止する、機能を停止するという機会に、過去の未支拂いに対する分及びその後における金融の分を二つ合せて実現すれば、その点はある程度さよなことが言えたのでございますが、八月一日の会計閉鎖のときには、八月一日以降に生産される分についての金融はできております。ところが未支拂いの過去の分に対する金融は約半月前にようやくできたというように、最近に至つてできた関係からいたしまして、その間生産者に非常な迷惑をかけておりましたが、國としては一應の形ができたと考えてよろしゆうございます。
  25. 本間俊一

    本間委員長 南君の最初の質問取引総量関係数字計算ができたそうでございますから、濱田薪炭課長から答弁をさせます。
  26. 濱田正

    濱田説明員 これは少し條件をつけなければならぬのでありまして、貨幣價値昭和十五年以來現在までに非常な変動をしておりますから、これをただ集計しただけでは話になりません。例を言いますと、昭和十五年は六千九百万円になつておりますが、昭和十五年から二十二年を金額だけで集計しますと九十六億になる。ところが二十三年だけを見ますと二百三十七億でありますから、十五年から八年間が九十六億で、二十三年一年間のものが二百三十七億という状況でありまして、実際の御説明を申し上げるためには、数量を全部はじきまして、それに対して現在の損失関係と比較すると、現在の單價にしてやりなおす必要があります。今その点を別にして計算すると、十五年から二十二年までで九十六億、二十三年が一箇年で二百三十七億、二十四年が百二十億円、約四百五十億円という金額であります。
  27. 南好雄

    南委員 次に一点お伺いしたいのでありますが、大体今政府手持ちのものが実際帳簿突き合せてみますと、相当品物がなかつたり、あるいは保管途中に品質が非常に落ちたり、いろいろの点で相当そこに損害が起きているというような見通しがつくのでありますが、そういうようなものの大体の見当だけでもどのくらいになつておりましようか。
  28. 三浦辰男

    三浦説明員 今のお尋ねの点でありますが、これは損失と考えられる内容の点かと存じますが、現在政府手持ちしております分で品質が惡くなり、さらには包装までもめちやくちやになつて、それを商品化する場合においては普通また改装しなければならない、こういうような状況にある政府損失という問題でありますれば、一應これはほんの見込みでございますが、約十二億くらいを見なければ遺憾ながらはけないじやなかろうか、大体で申しますと、これはいわゆる賣拂價格に対して何もかも入れて大体消費地は二割、産地では三割程度、このくらいはどうも引かないといつまでもこれを抱えていてますます品質を惡くするのじやなかろうか、こういうような予想を立てております。もとより損をなるべく少くしなければなりません関係から、その処分にあたりましては各方面に見積りを出していただきまして、その最も有利の方法にさばいておる状態でございます。
  29. 南好雄

    南委員 大体今までのお答えで、ほぼ薪炭特別会計内容が推察できたのでありますが、これは現実決算についての議論でありませんので、これについてとやかくの批評をするのはいささか早計かと思います。しかしながら御説明により、大体推察し得られるところでは、大体私たちの聞いておりますのは薪炭特別会計薪炭証券の発行し得られる限度は五十五億かと聞いておりますが、今までのものが全部だめになつて、すでに三十何億というようなお説明であつて、まだ発行限度が二十億くらいもあるようにもとれるのであります。残つた十一億の生産者に対する債務などは、そういう單なる金融でなくて、薪炭証券その他によつて現実支拂つてあと法律関係を残さぬようにやつていただきたいものと思うのであります。別の方面からお聞きいたしますと、発行限度が一億くらいしか残つておらぬように聞くのでありますが、要するに発行限度一ぱいに出してしまつたら、まだ二十億近くも債務が残つておるというようなことでは、特別会計運用について、はなはだ遺憾の点があつたのではないか、こういう点が考えられるのが一つ。將來薪炭生産者に対して生産意欲を阻害するような政策の実施をなさいましては、せつかく消費者及び生産者に対して、政府がこれほど思い切つた配給統制をやりつつ、なおかつ今後大きな生産意欲を阻害するような結果を生ずるということでは、はなはだもつて遺憾の点が多いと思うのであります。でき得る限りすみやかに債権回收するなり、あるいは、適当な方法薪炭証券発行限度を増すなりして、少くとも生産者に借りになつておりまする十一億というような債務につきましては、來年三月くらいまでにりつぱに支拂つていただくように、十分に努力をしていただきたいものと私たち考えておる次第であります。まだほかの委員の御質問があるだろうと思いますから、この程度で私は失礼いたします。
  30. 前田榮之助

    前田(榮)委員 この問題は非常に重大な問題でありますが、本員は十分調査もいたしておりませんので、きわめて平凡なお尋ねをいたして申訳がないと思いますが、簡單な御質問を申し上げます。  まず第一に会計檢査院の方がおいでになりますので、会計檢査院はこの問題について、今までどういう檢査をされ、今までの檢査状態はどうなつておるか、この点をまず第一にお聞きしたいと思います。
  31. 東谷傳次郎

    東谷説明員 ただいま御質問がありましたのでお答えいたします。ただいま問題になつております薪炭需給調特別会計の件は、二十三年度及び現在の二十四年度に関することでありまして、実は会計檢査院といたしましては、ただいま二十三及び二十四年度檢査中でございまして、確定的なことを申し上ぐる段階にまだ立ち至つておらないのでございます。ただいま政府から御説明がございましたように、相当欠損が見込まれておるのでありまして、ただいままで会計檢査院檢査いたしましたところを中間的に申し上げますと、政府がつくりました二十三年度決定計算書で見ますと、二十三年度欠損というものは、九億六千万円ということになつておるのであります。そういたしまして、ただいま三浦長官から御説明に相なりましたのでは、それは大体三十億くらいになるだろう、これは二十三年度末であります。そういうお話であるのであります。そうして決定計算書とは二十億余り違うということに見ておられるようであります。会計檢査院でこの決算の方を今調べ中でありますが、ただいままでわかつたところで申し上げますと、大体九億六千万円という決算を今出しておられますけれども、それが二十億ばかりふえまして、三十三億余りになるのではないかというふうに考えておるのであります。それらのものはどういう原因損失が出ておるかということでありますが、三十数億の欠損原因はただいま檢査中でありますが、概略申し上げますと、そのうちの大体半分十六億くらいのものは、二十三年度中だけの原因で生じたものと今見ております。それはいろいろ備蓄関係でありますとか、横持料とか、そのほかの特別な事由が二十三年度にありまして、それによつて生じておるようであります。これも確定的には申し上げられませんが、檢査中の途中として申し上げるのであります。他の十六億につきましては大体現品不足ということに原因しておるように思われるのでありまして、それならばその現品不足はいつ起つたかということでありますが、形式的には二十三年度に起つておるということになつておるのであります。実際これが二十三年度だけで起つておるか、あるいは二十二年度以前に現品不足があつたものを整理をしないで、二十三年度に至つて整理したものであるかどうかというようなことは、今せつかく精査中であります。  かようにいたしまして、薪炭特別会計帳簿上の現品と実際の現品のあり高とは、ある程度食い遅つておるのではないかというようなことが世間にも言われますし、会計檢査院もそういうふうに考えまして、実は本年の四月に約五十名が檢査の特別班を編成しまして、生産地である長野縣に行つたわけであります。約十五組にわかれたのであります。しかし先ほども申されましたが、薪炭関係は置場所その他非常に多数にわたつておりますので、調べるのになかなかこれは現品の調査だから簡單なように考えておるのでありますが、手がかかるのでありまして、五十人で約二週間かかりまして、長野縣のようやく南の一郡及び北の方の一郡、この二つの郡だけを調べたのであります。その結果によりますと、相当やはり現品の在庫高と帳簿とが食い違つておるということが、檢査上確認されました。これは全國を調べるということになりますと、わずか会計檢査院の人間をもちましては、一年かかりましてもおそらく全部は調べられぬのじやないかと考えられるのであります。そこで長野縣に例を引きまして当局の方に質問照会をいたしまして、全部在庫と帳簿とを調べて報告してもらいたいというので、実はそういう手段によりまして調べたところによりますと、現品不足相当の数に上るということに相なつたのであります。すなわち二十四年の三月三十一日——二十三年度末でありますが、そのときにおきましての帳簿現品との不符合といいますか、現品不足高は、木炭で大体五百万俵、薪で二千三百万束、ガスまきで二十七万余俵というものが不足しておるということに相なつておるのであります。これらのものを大体計算してみますと、先ほど申しました十六億と申しますか、十数億に來るのであります。そういうふうな状態でありまして、的確にこういうふうになつてこういう現品から來ておるということをここで御説明する域に、先ほども申しましたように達していないのであります。それならば会計檢査院は一体從來——從來といいますか、二十二年度までであります。二十三年度檢査中でありまして、二十二年度檢査が終つてこちらへ御報告をいたしておるわけでありますが、大体新憲法になりまして会計檢査院法が全面的に改正になります前の会計檢査院法では、物品などは大体各省各庁に檢査を委託する。檢査院にかわつて檢査をしていただくということにいたしておつたのでありまして、昭和十五年から以降新院法になりますまでは、農林省当局において物品の現在高を会計檢査院にかわつて会計檢査院の名において檢査をされまして、そうして檢査の結果を会計檢査院檢査成績書として報告を願つて、それをもととして会計檢査院決算を確認しておつたという状態なのであります。とりとめのないようなことを申したようでありますが、結局お尋ねになりましたことに的確な答えになつたかどうかと思うのでありますが、事情はそういう事情でありまして、もう一度繰返して申し上げますと、二十三年度中の分は檢査中で、まだ確定はいたしておりません。ただ経過を申し上げたのでございます。
  32. 前田榮之助

    前田(榮)委員 十五年から始まつておる特別会計が、今御答弁になつたように、新立法による檢査の仕方と二十二年以前の檢査の仕方との相違の問題もございます。二十二年度までの農林当局その他の関係へ委任されて檢査をされたものにつきましても、各資料というものは一應出ておると思いますが、年度ごとに在庫品あるいは收支決算、こういうものは出ておつて、それを檢査されたかどうか。そういうことであるならば、それらのまとまつた資料を本委員会の方へ出してもらいたいと思います。これは十五年から相当なつたこうして乱雜な状態をわれわれはずつと前から一應調べてみたいと思うので、これらの資料が会計檢査院の方から出されますかどうか。出されればひとつ出してもらいたいと思いますが、それらの資料の点はどういう事情でありますか、ちよつとお聞かせ願いたいと思います。
  33. 東谷傳次郎

    東谷説明員 ただいま申しましたように物品、ここでいいますと薪炭そのものは委託檢査をいたしておりましたので、会計檢査院にあります資料は檢査の成績、すなわち受けが幾らで拂いが幾らで残が幾らある、そうして年度中の亡失毀損その他現品不足についてはないとかあるとかということがただ報告になるのでありまして、結局受け、拂い、残、すなわち最後はこれだけあつて檢査の成績はこういうものであるという結論だけが会計檢査院に來ておるのであります。お尋ねのような詳しい書類は薪炭そのものに関する限りにおいては、会計檢査院にはないのでございます。ただ收支と仰せになりましたが、先ほど申しましたように物品を委託檢査しておるのでありまして、物品以外の收入及び支出、金銭の面におきましては檢査院が直接に檢査をいたしておるのであります。
  34. 前田榮之助

    前田(榮)委員 それでは農林当局お尋ねいたしますが、十五年度から後の年度末の清算といいますか、その点特別会計であつた関係及び当時の燃料需給関係等で非常にやりにくかつたのかもしれませんが、年度末に在庫品の藏拂い等は必ずされておると思うのですが、それらのされておつた資料等は農林当局の方にはあるかどうか、そういうものが本委員会に出されるかどうか、これをお尋ねしたいと思います。
  35. 三浦辰男

    三浦説明員 各年度米にどのぐらい手持ちを持つておつたか、こういう数字はございます。ただ先ほども別の機会に申し上げましたように、現物と一一その帳簿づらを照し合せて、あるいはたなおろしをして捨てたといいますか、落したとかいうような事情になつていないで、ただ帳簿の受け、拂い、残はこれこれという数字は持つておるのでございます。
  36. 前田榮之助

    前田(榮)委員 私も燃料の末端の配給の戰時中の組合の地方の役員もしておつたこともあるのですが、当時の統制から考えますと、先ほど同僚からの御質問の中にもあつたように、末端においてはすべて現金制度であつて、決してこれが損失になるとは想像もつかぬ性質のものであつたのであります。ただ最近一昨年の暮から昨年の夏ごろにかけまして需給関係が多少かわつて参りまして、ことに昨年の夏から全國の消費地には厖大な薪炭が各駅各倉庫に積み上げられ、またずいぶん乱暴に野原へ積み上げて、しろうとのだれがどんなに見てもこれで損にならなかつたら、それこそ奇蹟だと思われるような取扱いをされておつたのは、これはもう全國民周知の事実なのであります。こんなことをやれば赤字が出るのは当然のことであつて、これは政府の一大失態であるとわれわれは言わなければならぬと思うのであります。こういうことをいまさら私はここで討論しようとは思いませんが、昨年の燃料需給関係がかわつたことを実際に早く知つて、しろうとでもこの処分は大体見当がつくのでありますが、この見当をどう間違えられたのか、依然としてあんなことをしてずいぶん損失を國民にかけておるのであります。農林当局はわれわれから見ると一大失態であつたと思うのですが、この処置をとつた人に対してどういう処罰をしたか、あるいはどういう責任をとらしたか、その事情当局からお話を願いたいと思います。
  37. 三浦辰男

    三浦説明員 ただいまだんだんのお話のように、昨年の九月から約二箇月間戰時中から引続きました統制の機関を一新して、いわゆる民主的にするという目標のもとに複数制の発録が初めて行われました。その間の二箇月に対する備えからいたしまして、政府としては昨年の八月以降ある程度備蓄というものをしたのでありましたが、その後における各般の状況からいたしましてその備蓄がむしろあだになつて生産予想以上に増して、消費地は温暖その他の関係消費者の購買心がなくなり、非常に方々に積まれておる関係からいたしまして思うようにはけない。こういう事情から非常な御迷惑をかけておるのでございます。ただ昨年の九月アイオン台風が來て、岩手縣にすでにお願いしておりました百万俵は林道の関係等からいたしましてとうてい出ないというときに、その百万俵を福島縣外数縣にわけて追加供出をお願いいたしました際は、その縣当局といたしましては非常に御反対をなされた。自分の方の縣をそんなにまでしぼつて行かれたのでは困る、そんなには出せるものじやないということで、いわゆる特別小出賃というものを出すことによつて、その台風の結果出せなかつた数字を引受けてもらつたような事情でございます。そういうような事情から急轉いたしまして、この一月から二月へかけての状況になつたのであります。政府といたしましても当時二月の初めでございました薪炭統制方式を、この際需要が旺盛である二月、三月の候にかえるべきであるということから、いろいろと立案をいたしまして、関係方面とも折衝をしたり、いろいろしたのでありますけれども、力及ばずいたしまして、その実現を見るに至らず、だんだんと春を迎えて、かような結果になつたのであります。私どもといたしましては、ただいま申し上げておりますような事情下に、——この清算の一つの結果としていろいろな事情が出て來ると存じます。その責任についてどうかということになりますれば、私どもは現在までにこのことによつてどういう責任をとられた、あるいはとつたといういわゆる行政的な事例は今のところ持つておりません。ただ私どもとして今清算を急いでおりますのと、またその清算をして行く当然の内容としまして、いろいろと糾明して参ります関係からして、派生的ないろいろな問題が出て來るかと存じます。方法見通しを誤つたということに対する責任についての御質問でありますが、もしその方向を見誤つたということによるところの責任でありますれば、それは私ども首脳部の問題でございます。かように存じております。
  38. 前田榮之助

    前田(榮)委員 ただいまの御答弁を聞くと、現在の三浦長官が、当時の責任者であるかどうか、私は長官の就任の時期を今記憶いたしておりませんから言えませんが、私の見解から申し上げますと、まつたく責任はあなた方にあるのじやないかと思われる点があるのであります。アイオン台風の災害等による搬出その他の関係の問題は、一種の不可抗力的なものであり、これが薪炭問題の全般を支配しておる問題ではないのであります。薪炭問題の全般は、要するに統制方式が惡いというのでも私はないと思う。統制方式ももちろん問題でありますが、昨年の温暖等によつて消費者の需要関係が一昨年、一昨々年とはすこぶるかわつて來ておる。その際において各都市——消費地に送り込まれたものが、價格はたいへん高いものになつておる。そうして消費者はこんなものにやすやすと手を出さなくなつている。そうかといつて政府が奬励した薪炭生産地からどんどん送り出される。それから輸送関係も、輸送業者輸送しさえすればもうかるのだから、輸送関係ではもうけるためにどんどん送つて來る。鉄道関係は様子がかわつて來る、こういう事情から消費地にあんなにでたらめな備蓄が行われて來た。結局はあのたくさんな薪炭は早く價格を引下げて、需要供給の関係を十分見て、これを消費者備蓄させるような方法をとれば、あんなばかなことは起らなかつた。ところがそうしないで、ただ農林省が全部ひつつかまえたようなことをやつた。そして價格を引下げると農林省の失態になり、そこに赤字というただ形の上に現われた失態を防ごうという官僚的な氣分が働いた結果なのでありまして、そういう点では今の農林当局に重大な責任があるとわれわれとしては思うのですが、この責任を問うことは別な機会といたします。そういうことでは済まされないと思いますが、しかしこの点は別な機会といたします。  ただ問題は、ここまで参りますのに、特別会計で行われておる收支計算、あるいは年度におけるところの各品物の現在高、あるいはそれに対する損失、こういうものの檢査がきわめて適当を欠いておつたということが、それを取扱つておる人々の精神を非常に弛緩せしめたことにも重大な関係があると思うのですが、この各年度々々の檢査を、どういうわけでこんなに、つまり二十三年度までに三十億に近い赤字を出しておるのを、なぜ早く知らなかつたか、あるいはそれを見出さなかつたか、こういう点での御当局の見解をお聞きしたいと思います。
  39. 三浦辰男

    三浦説明員 今から考えればまことになぜそういうものに早く氣がつかなかつたかと、私ども自身、現に取扱つておる者もそう思うでございます。ただ当時の環境からいたしますと、一かけらでも多くの木炭、一本でも多くの薪を持つて來るということで終始しておつたということでありますので、そういう空氣が全体を包んでおる、從いまして買入れ地点の問題にいたしましても、当初は発駅でその仕切りをするのを建前とした。その後には及ばなくなつたから、いわゆる政府の指定場所と称して、トラック着のようなところまで参りました。さらには十九年にはかま前——炭を燒くかまの前でもうすでにそれは買つたのだ、こういうようなところまで参つた、参らざるを得なかつたのが当時におきます薪炭需給事情の一部を物語つておると存じます。まことにそうであつたつて政府の金を運用して行く限りにおいて当然正確を期さなければならぬから、そんなことは問題にならぬということも確かに言えると存じますが、何せ七万以上の箇所が政府の指定場所でございますし、まして当時二年ばかり続けましたかま前という買入れに至りましては、非常な数字になつておるので、まことにその点は遺憾に存じます。
  40. 前田榮之助

    前田(榮)委員 その当時の需給関係で非常に困難であり、またその当時非常に逼迫しておる燃料に対して、とにかく一にも二も出荷々々、生産々々と言つておることのために、この整理がきわめて乱雜になつておつたことの事情は大体わかりますが、そういう事情であつたからこの清算というものを乱雜にしたということでは治さらぬのであつて、この年度々々における清算を明確にし、そうしてその欠損は國が負担すべきものは、その年度々々に負担するようにすべきものであることは間違いないのであつて、それを忙しかつたからこうなつたということでは済まぬわけなので、その点死兒の齢を数えるというようなことにもなるかもわかりませんが、そういう点での責任をどうされるつもりであるか、こういう点をこの際お聞かせ願いたい。
  41. 三浦辰男

    三浦説明員 年度々々におきますところの欠損は、もとより政府の会計でございましてしておりました。ただ根本の問題は多数の、数万に及ぶ場所で買つたりしたものであり、普通業者であればすべき、いわゆるたなおろしと申しますか、帳簿の買入れと賣渡しの差額を手持ちと考え、そして一部は特定の倉庫が火事が出て燒けたとか、あるいは特定のどこそことがどうして消耗したとか、きわめてよくわかつておる明々白々の分に、これは会計檢査院の方に物品の損耗を報告して帳簿から落すけれども、そうでない普通のところにおきましては買入れから賣渡しを差引いたものがあるのだというふうにして決算をして來たということなのが、この閉鎖にあたりましての赤字の問題の大きな中心だと存じますが、それに対する責任という問題についての感想はどうかというお尋ねでございますが、これは私どもといたしましては、できるだけこの会計の閉鎖にあたつてそのよつて來た原因を極力明らかにして、そうして大方の世間の御批判に待つ、かように考えております。これは責任上閉鎖にあたつての私とし、また昨年の正月から担当しております私といたしましては、当然私としてまた批判を受けることは決して避けるものではない、かように存じております。
  42. 前田榮之助

    前田(榮)委員 最後にもう一言お尋ねしておきたいのですが、二十三年度末の大体の見当は三十億赤字が出ておるだろうというので、一番最初に御説明になつたのでありますが、これも明確なことをお答えを願うことはむりですから、明確に願おうとは考えませんが、大体において十五年から発足しましてこの二十三年度三十億円ほどの赤字が出る、これはあなたの大ざつぱな見当でいいのですが、三十億円は大体十五年度に何ぼ、十六年度に何ぼ、十七年度に何ぼ、それを合計したものが大体三十億円というような計算が言われるかどうか、言われればひとつお聞かせ願いたいと思いますが、私の問う腹の中は三十億円といいましてもこれは十五年、十六年はそう大した赤字ではない、その当時はそう赤字が出るような情勢でないと思う。要するに三十億円の大部分は終戰後の二十一年、二年、三年というところにほとんどこういうものが出ているのではないかと思うのでありますが、そういう見当についての御見解を御答弁願いたい。
  43. 三浦辰男

    三浦説明員 その問題につきましてはただいまあらゆる角度からいたしまして檢討しております。そこで今十五年から各年度別に損失がどういうように起きておるかということは申し上げることはできません。ただ今御指摘のように、私どもといたしましてもしいて大体の感想はどうかと言われれば、やはり戰後あるいは少くとも終戰近くからだんだん起きて來たことだろうということは想像つきますけれどもまだ檢討中でございまして、この辺で……
  44. 金子與重郎

    ○金子委員 農林当局に御質問申し上げますが、薪炭の一括輸送の契約をした日時、昭和何年何日だつたですか、それからいついつに、これは数字計算が時間をとればその後でもよろしゆうございますが、その日時前に取扱つている薪炭数量はどれだけあるか、その後の取扱いはどれだけあるかということ、なおこれはきわめて概略しかお答えできないと思いますが、一括輸送を契約いたしました前における取扱い数量と思われるものにどのくらい損失があつたと思われるか、要するに先ほどあなたの答弁の損失はそれ前とその後とどのくらいの比率にたつているか、その点をまず伺いたい。
  45. 三浦辰男

    三浦説明員 ただいま金子委員からの御質問ですが、これはこのうちには先ほども申し上げたように答えられない部分、つまり損失を戰後とにわけた分とわからない点があると存じますが、何年何月から一括契約したか、これは相当古い時代というか、木村武という者が課長をしておる際だと思うのであります。その年月日ははつきりいたしませんが、その年月日、その前後の数量は後ほど文書でもつて回答さしていただきたいと存じます。
  46. 金子與重郎

    ○金子委員 どうしてこういうことをお尋ねするかというと、この前後の調査というものが非常に問題なのであります。今後におきましては木炭の事務所というもの以外の第三者がこれを取扱つておりますので、この点はたとえば日通なりあるいは鉄道なりの貨車の請求、こういう点から行きますと、調査できないことはない重要な一つの後における調査材料となりますので、質問をしたわけであります。  それから薪炭債権債務の基礎の概略数字というものを今説明いただいたのでありますが、この数字は一体どこからとつて來てこういう数字が出ているか。この数字を出している基礎、たとえば木炭事務所の報告によるとか、どこから出たものであるか、これが根本の問題になると思いますので、あなたが今御説明なつ数字は、一体どこから出て來ているかということをお尋ねしたいと思います。
  47. 三浦辰男

    三浦説明員 これは木淡事務所の系統を使つて集めた数字でございます。そこでこれにつけ加えて申し上げたいと存じますのは、実はある木炭事務所での関係で、これだけの政府へのまだ債権があるという問題が出て來ました場合、木炭事務所から正式に受けているものは、その額よりもかなり下であつたという場合もありますので、私どもといたしましてはその点を関係方面と相談して木炭事務所としてはいろいろまとめて來いというようなことは常に注意しておるのでありますけれども、あるいはまだいわゆる單位團体の方の整理が済まないとか、あるいはまだ多少の問題があつて出ないという問題もあるのじやないかと思いますが、一應できるだけの調査をして木炭事務所の方から集めた数字でございます。
  48. 金子與重郎

    ○金子委員 そこに私は少し疑問が出て参りますが、一つの例を申し上げますと、この間農林委員に提出したデータを見ましても二十三年度、二十四年度の弁償金の徴收状況というものをあなたの方から出しておりますが、あれを見ましたときに、私の縣の群馬縣なら群馬縣をとつてみましても、昭和二十三年度の弁償金というものが收入済額のものはまだ一銭もない、こういうふうに書いてありましても、実際調べてみますと薪炭において十八万八千余円、木炭において三十万円、これだけの金を拂つておる。それからなお未拂分が十一万千数百円というものがあなたの方からの報告に出ておるけれども、実際は八十六万円以上持つておる。こういうふうに末端において調べてみるとそういう数字が出ておるのであります。なおこういう数字がたくさんあるのでありますが、非常に食い違いが多いし、ことに日通の公用課あたりを調べてみますと前橋の東京向け卸機関に対してまだ受領証の出ていないものが木炭だけでも五十万俵以上もある。しかも日通の公用課の調べによりますと、二十四年度木炭事務所においてまだ調べができてないということを言つておるのであります。そうしますとこのデータを見せていただきましても、ほとんどどこをつかんで論議してよいかわからぬ、こういうことが考えられるのでありますが、その点に対しましてどういうふうにお考えになつておりますか。
  49. 三浦辰男

    三浦説明員 ただいま一例として群馬縣の事情のお話を承りましたが、私どもも先ほどもつけ加えて申し上げたときに、関係筋の方といろいろ話し合つてなるべく債権量、債務量の確定を持つて來てくれなければ全体の計画を立てる上からいつても、またいろいろ御説明を申し上げる際に行つても因るのであります。ぜひそういうふうなことでやつて來てもらいたい。これは一般的な事実としてやつておる。ところが実はまだ單位農協の方からの請求が上つてないので、自分の方としてはまだそこまで行かなかつたのがふえたのです、こういうようなことを言つて途中数字の変更を申し出て來るような木炭事務所もあるのでございます。で私どもとしては、現在特にその整理のために人手を増すというわけにも参りません。極力その整理の進み得るところからなるべく本省等からも應援に行つて済ませて、それから出て來た人をさらに他の木炭整理の方に向けるということで整理の人繰りは考えておりますが、その間にただいま御指摘のようなものが出て來るのだと思うのです。でありますから御指摘のように正確に言いますれば一應わかつておる債権関係債務関係はこうだ、私どもとしてはこれが大体わかつておる額でこれには余りはないのだ、こういうふうに考えておるわけですが、そういうふうな木炭事務所によりましては、また相手の團体等によりましてはまだこれは漏れておつたのです。これはあのときの問題でまだ請求してなかつたのだというようなことが出て來るものもまた事実なんでありまして、私どもとしてはそういう中でいつまでもこの数字確定を見ないということは、はなはだ申し上げにくいことなんですけれども、その債権なり債務なりの確定帳簿整理とともにやつておるというのが現状でございます。
  50. 金子與重郎

    ○金子委員 ただいまのお話を聞くとまことに心細い話でありまして、先ほど來から各委員の方たに御説明を願つておいて、それに出て來る数字あとからかわつて來るということであり、また追加されて來るのも減つて來る傾向もある。これは意見になつて失礼でありますが、なぜこうなつたかという原因は、木炭事務所、出先事務所の事務の組織が惡いとか、あるいはいろいろ充実しておらなかつたというようなことで、木炭事務所が直接の責任を負わなければならぬ問題なんです。從つてその場所を何ぼ責めても、そこから正確な数字を求めるということは私は困難だと思う。もし木炭事務所数字が、もつとはつきりした数字が出て來るようであれば、これまでにならずに済んだものを、そのもとがこうなつたからだめで、今そこだけを頼りにして調査をしよう、あるいは解決をしようという考え方に私はむりがあると考える。從つてこれはまつたく炭燒きが一俵を置いて、リユックサックに一つの炭を持出さして、米ととりかえて警察でひどい目にあつているうちに、こんな厖大な金をただ数字がわからぬわからぬで済むということは実にゆゆしき問題だ。でありますから別な観点あるいは別の組織から、こうなつたらどうせはつきりした数字というものが出て來ないにしても、比較的もつと正確な数字を出すのにはどうしたらいいかということに対して、相当の経費を惜しまずにやる方法についてお考えがあるかどうか。どういう方法をとつたら、もつと的確な数字において、的確な損害というものを出す方法があるか、これに対して具体的なお考えがあるかどうか、それをひとつお伺いいたします。
  51. 三浦辰男

    三浦説明員 そのことにつきましては、まことに内部の中心問題であります。そこで現在の木炭事務所長だけをかりに動かして、そうして空氣を刷新してやれるというふうにも考えられるのであります。そこで私どもといたしましてはいろいろ考えましたが、結局あのところははなはだ困るというところを所長その他多少動かして、そこで空氣を刷新させてやつて行く。しかも当局の方といたしましても、いろいろな資料の調製等で忙しいのでありますが、これはそれぞれ手わけをして、その事務所のやりいいように相談に乘つてやる、こういうような考え方がございます。そこで根本的に、從來までやつておつた者にまかせておくことは、結局整理は済まない。だから全然新たな機関なり全然新たな人たちによつてこの問題を処理することの可否という問題につきましては、結局新しい機構なり新しい人を全然入れかえてやるということは、これから非常に不明確なものをたずねて行くときの、発報とかあるいは日通の受けとか、そういうものの一点を中心としてたずねて行くのだから、從來のやはり関係の者が誠意をもつてつて行くのが一番たずねいい道ではなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。
  52. 金子與重郎

    ○金子委員 もう一、二点質問します。これは質問というよりか私の考えでありますが、そういうふうな木炭事務所を相手にしてどうこうということよりも、私はこれだけ重大な問題になりましたならば、この損失原因が一体どこに一番大きくあるか、たとえばからすのとまつた木を檢收したというふうな損失もあつたかもしれませんけれども、この点はあとでお聞きしますが、この損失の一番大きなものは、私は八大消費地にあると思うのであります。それから先ほど日時をはつきりお示しいただかなかつたのでありますが、日時の上においては、木炭の一括輸送を契約した後において、その大部分の損失があるものだと思うのであります。そうしますと、これを全國の重要消費地へ向けた貨車の請求を一應全國調査することによつて、どの貨車がどれだけ何月何日にどこに向けて動いておるかということ、それからその貨車の動きの結果を日通が一括しておるのでありますから、日通はそれを一体どこへ仕向けたか、これを恨本的に調査することができるならば——私はこれは具体的にできると思います。またその数字を調べてみまして、できるかと言つたらできると言います。もしそれができるとすれば、少くともこの八大消費地のものが損失の八割以上を占めておるのではないかと私は思います。しかもその貨車輸送したのが、トラック輸送その他において少くとも九〇%以上を占めておる。そういうふうにいたしまして、今の木炭事務所の調べを当てにしないで、別途の輸送機関その他においてもう少し確定した数字がつかまえられるのではないか。実際に私は調べてみたのでありますが、そういうことをやる意思はないのでありますか。そこまでこの問題をもう少し具体的に突き詰めてみたらどうか、これに対してどういうふうにお考えになりますか。
  53. 三浦辰男

    三浦説明員 もちろんこの行方のはつきりしないもの等につきましては、あるいは発報であるとか、日時、貨車の番号がございますから、それを追つて、從つていわゆる日通関係のところとも合さなければならぬ。また都市の方で言つても、日通の受拂いのあれはあるけれどもあとに受領証がかりに伴つていないということでありますれば、日時とそれに載つておる銘柄、その日の数量等で追つて行く。とにかくどこかの木炭事務所の発報なり、あるいは日通の汽車関係の渡し票なりなんかの点を中心としてどこかの一つがあれば、それから、前後して追つて行くということはもとより必要と思うのです。ただ私先ほど申し上げましたのは、新しい機関とか新しい人で主としてやつて行くのではなしに、やはり特に考えなければならぬ木炭事務所は別だけれども、大方の木炭事務所は、現在携わつておる者にやはり極力そういつた行き方でやつてもらうよりほかないのではないか、こう考えておるという点を申し上げたのであります。
  54. 金子與重郎

    ○金子委員 私は今申し上げたようなことにおきまして、要するに木炭事務所というものの調べが当てにならないのだから、これをまず別な角度から、それを輸送した鉄道とそれからその出先をあずかつた日通——日通は取扱料をとるのだから、必ず受領証をとらなくてはならぬ。そうでなければ取扱料をとれない。これは営利事業ですから必ずやつておるのであります。そういう別な観点から持つて來た確定数字というものを一應見ないで、ただ自分で始末をしかねてしまつたその人からとつた数字だけでは、これはいつになつても解決つかぬと思いますので、そういう数字を根拠にしてここで論議してもむだだと思いますから、これは会計檢査院の方のお考えもあとでお伺いしたいのでありますが、そういう別な観点からもう少し責任のある数字をほしい、こういうことを要望いたします。  それからもう一つお伺いいたしたいのは、生産者の立場における政府損失と、主として消費地へ來てからの損失というものに対して生産者は、たとえば先ほど局長のおつしやつたからすのとまつておる木を檢收したというふうな損失に対しては、生産地事情を調べてみますと、大体において契約によつて支拂う契約ができ上つたと言うておるのでありますが、一方消費地の卸賣業者に対しては、その関係がまだできておらないように受取つておりますが、この二つの点をお伺いしたいのと、もう一つは先ほどのお話ではなはだ不可思議なんでありますが、卸機関というものは政府の指定したものであります。政府が指定したということになると、これはその卸機関に対する債務というものに対しては、ほとんど見込みがなくて指定したとすれば、これは返さないものが惡いのではない。そういうものを指定して、それに荷を送つたものに責任がある、こういうことになるのであります。これはあたりのできる言葉かもしれませんが、その組合自体あるいはその会社自体は資本金が少くて債権の保証をできなくても、その機関を構成している人たちには相当の資産を持つている人があるらしくも思つております。そういう場合にも資本金が少いとか、あるいはそこの資産が少いからとれないということになると、これは非常に大きい問題になつて來ると思うのであります。その卸機関の指定に対しては一体どれだけの荷を送る、從つて債務債権が生ずる。政府債権というものに対する回收見通しというものを考えずに、ただ荷を送りつけておつたかどうか、その三つの問題をお答え願いたいと思います。
  55. 三浦辰男

    三浦説明員 生産者の方に対します分は、御指摘のように、これは比較的早くわかつております。それでその点は着々とやつておりますが、おもに問題をなしておりまする消費地におきます分につきましては、いわゆる発送報告あるいは今の日通の受取り、つまり日通から出しますから、それらのものを根拠として当時の相手と折衝をして数字を固めているという状況でございます。  それからもう一つ政府卸商を指定しておいたんじやないか、だから、それがとれないということを考えるならば、それは指定した方が惡いじやないかという問題であります。これは二つの問題がありますが、もとよりその組合なり機関が資本金が非常に少い。そこで政府の未拂いが非常に多い。こういう場合においては重役さん個人の連帶保証で今念のためにもらつておりまして、償還計画はそれによつて大体できております。それからなお昨年の秋からはいわゆる卸商は小賣店によつて選ばれたものからなつておりまして、あの際当局といたしましては、事務的に施設あるいは資産信用というものにある條件をつけまして、その中から選んでもらう、そんなふうに持つてつたのでありますが、とうとうそれはいわゆる民主化の線に沿わぬということから、小賣店から選ぶのだから、それは当然だれでも選ばれたものがなつていいんじやないかということできまつてしまいました結果は、その欠陷が出ておる。こういう問題は確かにあります。私どもといたしましては、先ほど申し上げましたような重役の個人保証、こういうものをとつて、これをたてにその回收をやつて参らざるを得ないという状況でございます。
  56. 金子與重郎

    ○金子委員 これは予想と申しますか、当局の考え方のあり方でありますが、現在この薪炭会計の整理が遅れているために卸機関等におきまして、当然政府支拂うべき金が事務的にこういうふうに遅れて拂われないために、その金を山元の木炭購入自己資金に相当使われているということが廣く傳えられておりますし、私もそう見ておりますが、当局はこれに対してどう見ておりますか。政府の金で自己資金として山元から薪炭会計へやるのか、ないしは手金を打つていますか。
  57. 三浦辰男

    三浦説明員 政府支拂うべき債務を持つている金が一部しかそれを完済をしていない、しかもその金が、たとえば別の信用機関から借りたとしても、産地に働きかけて有利な買付けをしているという問題を聞きまして、私どもといたしましては、どこへ何ぼ持つて出たという結果まで聞いて、話を聞けば、ただちにその関係の機関に行つて、自分の方への償還といいますか、支持いのおそいことを言うて催促をしているのであります。ただ私どもとして、何と申しますか、結局これも結論的には力がないということになるかもしれませんが、ことに旧盆前後にそういう現象がありまして、私どもとしては非常に遺憾に存じておりました。
  58. 金子與重郎

    ○金子委員 最後に会計檢査院の方に一言質問というより、むしろお願いでありますが、この始末を会計檢査院の立場から処理する上におきまして、木炭事務所だけを相手にすることなく、先ほど私が繰返して申し上げましたからるるは申し上げませんが、そういうふうな別の角度からこれを調べぬ限りは、とうていこの問題の決着はできないと私は信じておりますので、その点をお願いしまして、私の質問を終ります。
  59. 風早八十二

    風早委員 もう大分時間が経過いたしまして、皆さんもお疲れと思いますから、できるだけ重複を省きたいのですが、事は重大でありまして、大体これほどこの薪炭需給調整の問題が世間を騒がしておるのに、今の政府の御答弁では、せつかく先ほど南委員前田委員あるいは金子委員からいろいろな角度からの質問がありましたが、ほとんどお答えは要領を得ないのであります。これをどういうふうに本委員会として扱つていいか、これではまだ今日のところではどうにもならない状態ではないかと思います。私率直に言いますが、責任はとると言われますが、大体少しふんどしがゆるんでいやしないかと思う。実際官僚統制の弊というものがここで集中的に現われておりますから、結局あなたのところだけがこうだということを言うわけじやないのでありますけれども、これだけの問題になつていながら、いまだにまだきようの御答弁のような状態では、これはいつになつたら、この問題をこの委員会でまじめに扱えるか、ほとんど見当もつかないと思う。私は官僚統制という一般をきよう言うわけじやありませんけれども、大体においてあなた方にこういう問題になるまでにまかせておつたということは、これはやつぱりほんとうに責任をとつてもらうためだつたのです。その責任の点についてはいろいろ自分は感じているというようなお話はあつたと思いますけれども、どういうことが一体責任であるか、たとえば数字なんか非常なインチキであるということ、これを一々についてはつきりさして行きますと、いろいろな問題が出て來るわけです。不正も出て來るわけです。そういう点について、これはあと檢査院の当局の方にも要望したいのでありますけれども、この不正ということについて、もう少し大胆に率直にこれを扱つていただきたいのです。この点で今の御報告の中にはちつともそういう面からの報告がない。たとえば台風にその責任を持つて行くとかいつたような、結局は責任を回避せられる。事情によつてどうにでもこれはなるのだという印象を與える。そういう点で根本的にひとつ頭の切りかえをして行かない限りは問題は解決しないと思います。私ほんの一、二の例を重複しない限り申し上げますが、この数字のつじつまというものはまつたく意味ないと思う。問題はどこにこうなつ原因があるかということを突きとめるにあるのでありまして、これは金子委員が言われました通りであります。たとえばこれは安本と大藏当局も参加されたところの林野庁発表の赤字内容でありますが、たとえば現物不足というようなものが十三億六千万円の價價にも上つております。この数字自身がはなはだ問題である。まだそんなものじやないかもしれぬ。しかしこの現物不足というのは一体どういう内容を持つておるのか、これはこの数字から全然わからないのです。ところがひとつこの問題を掘り下げましても、問題の所在が非常にはつきりして來る。昨年十二月以降の横持料というものが、二億五千万円もあります。ところがこれは昨年十二月に都市の卸賣業者が帶貨を運搬して、積み直したときの手数料ということになつておるのだけれども、そのときには東京では小賣業者に賣られておつたわけです。これを全國的に見ますと、いろいろまだ例があるかもしれませんが、大体賣られておつたわけであります。でありますから、大部分はこれは全然ないものに対する手数料、これを卸賣業者に拂つておる。拂つておるのかとにかくそういうことになつておる。そういう疑いが非常に濃厚である。それから同じく指定業者の手数料というのが一億九千万円も赤字として計上してあるようでありますが、赤字としてこれなんかもやらなければ、卸賣業者にその手直しの横持料を拂うのだつたら、生産者手持ちにも拂えということを生産者團体からねじ込まれて、そうして拂つた。こういうのももしも第一の横持料ということについて何らかの不正があるならば、今度それに輪をかけただけの話でありまして、そこに問題が出て來るわけです。それから備荒保管経費というようなものもあります。これがはたして備荒になつておつたかどうか、先ほどから前田委員、その他からもお話がありました通り、露天にまつたく腐れるままに積んである。そういうものの保管料さえ卸賣業者に拂つておる。実際拂つたとすれば、そういうようなものにかぶせて拂つておる。そういう問題が出て來ると思う。これは一々どの項目についてもあります。かまをこしらえる費用であるとか、あるいは特別小出し賃であるとか、こういうものにつきましても同じような問題がある。さきの日通のお話なども相当はつきりした例じやないかと思います。こういうものは裁判ざたにしてもとられるものだと思いますけれども、こういうふうなことを考えてみますと、單に数字だけのつじつまを合せるということではちつとも問題は解決しない。それをやつておるから必ず何年か後にはこういう実体が表に出て來るということになるのであります。この点について金子委員からすでに御質問がありましたから、もうそれに対するお答え以上のことは望めないと思いますけれども、あらためて一言たけこの不正を明らかにするということについてどういうふうなお考えであるか伺いたい。ただお互いに官庁内部でかばい合つているというだけでは全然解決しないし、その結果結局官僚機構全体に対する國民の不信というものが、いよいよ收拾がつかなくなる危險もあるわけである。大体薪炭というものは先ほど南委員も言われたように、國民としてはどんな粉炭を持つて來られても値段はちやんととられておるわけです。でありますから全部資金というものは回收されている。それも生産者にむりやりにつくらして非常に安く買取つておられるわけでありますから、これはむしろ十分に利益も上つてしかるべきものなのです。ところが赤字になつてまた再び税金負担を加重することになるのでありますから、これはよほど眞劍にふんどしを締め直して考えていただきたいという要望とともに、その責任の持ち方についてひとつ長官の所見を伺いた
  60. 三浦辰男

    三浦説明員 責任の持ち方についての所見というお尋ねでございますが、これをわけて見ますと二つあるのだろうと思います。一つは行政的な運用の指導において、あるいはその実施において欠ける点があつた、少くとも状況の変化に應じた——この特別会計の施設にマッチしたスピードさが、環境の変化に即應するまでに行かないために起きたいろいろな問題はあると思うのです。それが一つ。もう一つはただいま御心配を指摘されました不正の問題もあると思います。私どもといたしましては、もしいわゆる不正と称するものがありますれば、これはいかに同僚であろうともかばうところではございません。むしろそういう者は今日のいわゆる公僕といつたようなものからすみやかに排撃せらるべきものであると考えます。ただ問題になります行政の運用、この特別会計運用にあたつて、周辺の変化に即應し、もしくは先だつて善処の仕方が足りない、そういうことに対します責任という問題については、私どもは私初め私の部下について考え、また私どもは上司の御判断ないしは世間の御判断にまつよりほかはないと考えております。
  61. 風早八十二

    風早委員 不正という問題は決してこれでもつて同僚を犯罪に陷れるとかそういう意味で言つているわけではないのでありまして、これは不正という観点から、あらかじめ不正があつたらそれは容赦しないというのでありますが、それはちつとも責任のとり方にならないと思います。これは不正を内部でもつてやはりはつきりさせて、そうしてそれに対應して行くということであるべきであつて世間で騒ぎ出して、あるいは司法当局の手にかかつてしまつたものをかばわないというのは当然でありまして、そういうことを何も責任を感じ、あるいは責任をとつて行くという意味に言つているわけではないのでありますから、もつと眞劍に平素の業務に対する監督を嚴重にやつていただきたいと思います。これは要望にとどめておきますけれども、今日のような数字の出し方では、全然その上に立つてこれでわれわれが今後の薪炭需給問題の政策を立てて行くというところに至らないのでありまして、問題にならないと思います。この委員会といたしましては、何といつてもやはり会計檢査院に対する要望が非常に強いと思うのであります。これは問題は結局この会計檢査にあると思います。まだこの薪炭問題につきましては、政策的にはもちろん農林委員会もありますし、この委員会としてはやはり会計檢査がどこまで嚴密に行つておるかという点に問題があると思います。そこでまあ先ほどいろいろお話がありましたが、この新憲法以後というものは、会計檢査院にはまた特別な大きな権限が付與されております。これがはたして十分に果されておるかどうかという点があるのでありますが、少くもこの薪炭問題に対しましては、先ほどの事務総長の御答弁では、はなはだ遺憾ではないかと思うのであります。今申しましたように数字のつじつまが合つておるというので、それを檢査院が一應通す。そうなりますと、國会は國会で同じように檢査院の御報告が一廣数字のつじつまが合つているというので、これをパスしてしまう。これでもう問題はきまつてしまうわけでありまして、そうなりますと、あとから出て來たこういう問題に対しては、これはもう取返しがつかなくなると思います。どこでこれを食いとめるかと言えば、われわれ直接監査の任に当ることのできない國会としては、それこそは檢査院の数字による以外にはないのでありまして、檢査院が数字をパスされるにあたつて、先ほど申しました原因の究明、そうして責任の所在をそこで明らかにする。この点を十分にこれから果していただきたい。これを強く要望したいのでありまして、今まで帳簿のごまかしとか、あるいは横流しとかその他のいろいろな不正でありますとかいうものは、原因はやつぱり突きとめるについて絶対に必要な要件でありまして、それがなければ、また原因が追究されなければわれわれ委員会でやつたことは、何も國会としては役に立たなくなるわけであります。この委員会原因がはつきり突きとめられておれば、それをもとにしていかにしてこれを改めるというので、各委員会が政策を立てることもできるのであります。その点では会計檢査院の役割はことのほか重大ではなかろうかと考えます。そこで事務総長に一言今後の檢査方法についてその所見をお伺いいたしたいし、また実際に薪炭問題はこれで、どういうふうにして促進されるのか、また大体いつころまでにごの問題を究明し得る見通しがあるのか、この点について御意見を伺います。
  62. 東谷傳次郎

    東谷説明員 ただいま御意見なりを伺いまして、会計検査院が非常に責任ある地位に立つておるということをいまさらのように感じたのであります。先ほど來お話になりましたように、会計檢査院は事実に立脚をいたしまして、その事の究明を期するというふうに持つておるのでありまして、先ほど概略を申し上げましたように、決算はまだ確定いたしておりませんので中途でありますが、大体三十三億くらいのうち、約半分は横持料その他で、この支出のいい惡いは別として、二十三年度だけで欠損ができているということは大体認められるのであります。あとは十六億何がしかは物品の不足関係が主でありまして、それが二十三年度からその以前にどのくらい関係を持つているかということの究明に今当つているわけであります。そういたしまして先ほど横持料どもよく見なければいけないという御説でありましたが、実は檢査事項といたしましては、先ほどお話になりましたものをつかんであるのであります。いずれ決算の報告をいたします場合には、そういつたものは御審議の御参考に掲げて、御報告いたすことになるだろうと思つております。なお金子委員からお話がありました日通との関係でありますが、御承知のごとく、会計檢査院は大体におきまして檢査をする相手方は官庁であるのでありまして、みずから手を伸ばし審査をするといたしましても限度があるわけであります。すなわち職権があるとかないとかいう面になるわけでありますが、ただ幸いにも日通の関係はただいまでは檢査権限がございますので、先ほどのお話をも十分参考にいたしまして、せつくかく檢査を進めて御希望に沿いたいと存じておるようなわけであります。  時期でございますが、一般的に申しますと大体決算を確認いたしまして、檢査報告を出します時期は、大体において例年年末になるのでありまして、年末が大体まわりまして今までの実績ではあくる年の一月にまわつて來るわけでありますが、政府決算は御案内のごとく、二十三年度で申しますと、十一月三十日をもつて会計檢査院に全部提出するというふうに相なつておりますので、会計檢査院の全体の目途といたしましては、十一月末に参ります決算をむろん前から見ておりますので、十二月になりましてから中ごろ過ぎには確定をいたしまして御報告をいたしたい、こういう見当でやつております。なお本件でありますが、薪炭需給特別会計決算、すなわち今までいろいろ御質問あるいは御疑義を持つておいてになります点などについての究明は、私会計檢査院の事務総局だけの見当では、今月の中ころ付をもつて一應の檢査の期限についてせつかく努力いたしておるわけでありますが、しかしそれを締め上げまして私の方のボード、すなわち檢査会議にかけまして、外部に発表いたし得る時期はやはり月をまわることでないかと思います。
  63. 本間俊一

    本間委員長 それではこれで休憩いたしまして、午後は正一時から始めます。     午後零時四十二分休憩      ————◇—————     午後一時三十七分開議
  64. 本間俊一

    本間委員長 午前に引続き会議を開きます。  安孫子長官がまだ見えませんけれども、主計課長が來ておりますから、主計課長から一應今の食管特別会計の現況について説明を聽取しながら長官の出席を待つことにいたしたいと思います。金城主計課長。
  65. 金城順隆

    ○金城説明員 それでは私から食糧管理特別会計の現在の経理の状況と申しますか、二十三年度末におきます食管会計の状態簡單に御説明申し上げます。  二十三年度末におきますのはまだ会計檢査院でずつと檢査されておりますけれども、二十三年度末の状態は、二十三年度末に持つております食糧の現在高というものが大体金額にいたしまして九百十億ほどであります。それから現金と收入未済というのが両方合せて約二百三十三億ほど持つております。それから土地とか建物とかそういうような資産を大体五億ほど持つておりまして、それに対應いたしまして千百八十億の食糧証券が発行されております。なお支出未済が二十七億ほどありまして、これを両方対比してみますと、昭和三十三年度だけの食糧管理特別会計損失というのが、大体百二十四億ほどになつております。この損失の大体が、それじやどういうところから來ておるかと申し上げますと、昭和二十三年度におきます主要食糧の買入れにおきまして、消費價格を算定いたしますときに、國の経費とかそういうものが全部消費價格の中に一應織り込んであるわけでありますけれども、早期供出米とかあるいは超過供出、そういうものは大体の見込みでこれくらいの早期の供出があるだろう、これくらいの超過供出があるだろうというので、その分を入れて計算いたしておるわけでありますけれども、たとえば早期供出奬励金におきまして見込みましたものが、九月から十月までにおいて大体六百五十万石の早期供出が出る。それに対しまして九月においては一石千円、十月の十日までは一石八百円、十月二十日までは一石六百円、十月末日に出ましたものは四百円、こういうような奬励金を農家に交付する。こういう計算で、その総額を大体四十三億と見積つたのであります。しかし実際早期供出されました数量というのが千二百八十万石でありまして、予定の約倍を出ましたので、その差額が大体四十三億ほどありますが、これは消費價格に見込んでおりませんので、この分が赤となつて出て來るわけであります。それから超過供出におきましては、大体米では五%と見ております。それからいもで大体三%程度を見ていたのでありますが、皆さんも大体いろいろのもので御承知のように、作柄が非常によかつたために、いもの供出が非常に多かつたのであります。それでいもが予定よりも相当多く出ました関係で、この赤字がそれにまた加わつている。こういうふうな状態になつております。なおこの百二十四億の中には、昭和二十三年度において、食糧配給公團に事務費と人件費を食糧管理特別会計から百九億ほど交付いたしまして、それが今度は食糧配給公團が決算いたしましたときには、その決算の剩余金としてこれが出るようになつてつて、これはまた食糧管理特別会計へ納付するというふうになつておりますが、決算の全部が済みませんので後期の決算の分が入つておりません。それが六十億ほどありますので、百二十四億から六十億引きますと、あと大体六十億というものが純粹の赤という形になります。それでその六十億が先ほど申しましたような早期供出の奨励金と、いもの超過供出、これとで大体こういう赤字が出て來るというふうになつております。  それから昭和二十四年度におきましてどういうふうになつておるかと申し上げますと、大体主要食糧を買上げますのは、十一月以降から米の方が出て参りますので、二十四年度の四月以降今までに買つておりますのは、大体麦とばれいしよでありまして計算の結果、欠損になるかどうかということは、麦の超過供出がどれだけ出るかということによつて、また違つて來ると思いますが、まだその数字が出ておりませんので、それに伴つてこの特別会計が得するか損するかという数字はまだ出ておりませんが、現在食糧証券の発行額は八月三十日で八百三十億になつておりますが、昨日五十億発行いたしましたので、八百八十億という食糧証券が今出ておるような状態になつております。それで二十四年度における損得というものが、今まだはつきり出ておりませんけれども、これは先ほど申し上げますように、今後の米の供出がどういうふうになるかということによつてきまつて來るわけであります。ただ本年度の消費價格は米を、大体五%の超過供出が出るものとして見込んでありますので、それ以上の超過供出がありますれば、今の價格ではこの特別会計赤字になるというふうになつております。食管会計の現状は大体こういうふうな状態になつております。
  66. 風早八十二

    風早委員 せつかくですから、主計課長に聞きたいと思います。これはあとでこの委員会としての独自の問題に関係して來るのでありますから、伺いたいと思いますが、現在米の生産者價格と消費者價格との差額は六割五分という非常に大きな差額が出て來たわけですが、この中間経費の内訳というようなものを数字の上で一應聞いておきたいと思います。
  67. 金城順隆

    ○金城説明員 今御質問の、中間経費が全体の六割にもなつておるというようなお話でございますが、その中間経費の解釈と申しますか、從來の自由経済時代の中間経費というものと、現在言われておるいわゆる中間経費というものとは、ちよつと考え方が違うのではないかというように私たちは思います。というのは、今中間経費と一般に言われておりますのは、政府が買い入れます基本の價格、今基本價格は、大体米で申しますと三等の價格を基本にして計算いたしておるわけであります。三等價格から消費者に渡るまでの間の差額だけを一般に中間経費と言われておりますが、その中間経費の中には、たとえば超過供出の分が増加されておる分とか、それから早場米の奬励費が増加されておる分とか、こういうものが全部入つておるわけであります。それで大体の数字で申し上げますと、基本の價格に対して、それではどれだけの分が大体入つておるかと申しますと、三等の價格と申しますけれども、実際政府が買い入れますのは、総平均の價格が買入れの價格になるわけでありまして、大体今生産者から出て來ますものを平均いたしますと、二等くらいのところにとまるわけであります。從つてその差というものが一俵で十五円ほどの差がついておりましてこれも中間経費の中へ入つておるわけであります。それから大体五%超過供出で出て來るとしますと、今三倍で買つておりますので、その二倍分だけ、要するに價格そのものの約一割というものが超過供出として出ておるわけでありまして、これがやはり百五十七円ほど中間経費として超過供出の分が入つておるわけであります。それから早場米の奬励金が、先ほど申し上げましたように八十億も出ておりますと、これがやはり全体の供出の数量の三千万石というものから割合を見ますと、一俵当り百六円ほどの分が、これも中間経費として加わつておるわけであります。そのほか追拂いというものがありまして、つまり前年度の米に対しまして、次の年度にパリテイTの計算をし直しまして、追拂いをやつておるわけでありますが、これもやはり二十七円ほどの分が消費者の價格にかかつておるわけであります。そのほか政府でやつております輸送の費用、これはほんとうの中間の経費でありますが、これが一俵当り約九十五円ほどかかつております。この九十五円というのは、政府のやつております運送賃と、それから公團のやつております運送賃が両方含まれるわけであります。それから買い上げまして、農業倉庫へ一應保管いたしまして、それから消費地に運んで來る、こういうふうになつておりますし、また消費地では消費地の営業倉庫にこれを保管するということになりますと、その保管の費用がかかるわけであります。この保管費用が三十一円ほどかかるわけであります。それから政府が買いますときに、集荷の取扱い業者というものを指定いたしておりまして、その取扱い業者には取扱いの手数料を支拂つております。これが一俵大体二十四円の手数料を拂つております。それから政府のいわゆる食糧管理特別会計でまかなつております人件費と事務費が一俵約三十六円ほどかかつております。それから政府が買いますときのこの金は、食糧証券を発行いたしまして、要するに借入れて拂つておるわけでありますので、その食糧証券の利子が大体二十三円ほど一俵当りかかつております。それから公團の経費、人件費、事務費というようなものが百十六円ほど含まれております。それから公團に行きまして、要するに目減りというものがあるわけでありますが、それを大体三十五円ほど見ておりまして、これを大体計算いたしますと、全体の費用が今申し上げたものが千六百五十円ほどになりまして、そのうち純粋に農家に行く分を差引いたしますと、あと八百五十円ほどがいわゆる中間経費の中に入るわけであります。これが要するに生産者價格の基本價格、昨年の米でありますと三等が三千七百円ほどでありますが、それに対する割合というふうになつて参ります。大体中間経費の内訳は、こういうふうなものであります。
  68. 風早八十二

    風早委員 そうしますと、大体俵当りについて今お話があつたのですが、この経理が大体二十三年度決算報告になるわけですか。
  69. 金城順隆

    ○金城説明員 二十三年度決算は、今会計檢査院檢査していただいておりますので、私の方で大体決算の結果こういうふうになります。それから今の中間経費は、これは消費價格を決定いたしますときに、消費價格に織り込んだ中間の経費というものをこれだけ織り込んであります。從つて決算のときに必ずしもこれだけが全部使われたということを申し上げておるわけではありません。
  70. 風早八十二

    風早委員 その報告されたものに基いて、二十三年度全体としてごめんどうですが、総額でもつて示していただきたいのです。今いろいろ御説明がありましたが、全体としてそういう費目別に出して、そのどこの部分がプラスになり、マイナスになつておるか、その関係を一目でわかるようにしていただきたいのです。これはそういう資料を提出していただいておれば問題ないのですが、基礎資料の一つになりますので、今口で言われるのを写してもいいですから、ひとつ出していただきます。というのは、これは決算委員会でして、予算委員会とは違うのですから、とにかくこれだけのものをこういう予定だというだけでは問題にならないので、実際にこの黒字、赤字の問題の所在がどこにあるか、これはやはり費目別に年間を通じて一應大きくつかんで、それからだんだんと檢討してみたいと思います。そういう意味でぜひひとつお願いいたします。
  71. 金城順隆

    ○金城説明員 今おつしやる数字は、計算すればすぐ出て來るわけでありますが、今計算しておる数字を持つておりませんし、それから決算内容につきまして、会計檢査院で今せつかく檢査中でありますので、あらためて今の数字をつくつて提出したいと思います。
  72. 南好雄

    南委員 これは長官から聞いた方が一番いいと思うのですが、御質問する参考資料をいただきたいと思う意味で主計課長にお願いしたいのです。それは一体どういうわけで早場米の奬励金を出すのか、その出す趣旨と、それからいま一点は私たち昔から聞いておるのですが、今は統制ですから値段は一本なのですが、昔早場米というものは一体普通の米よりも高かつたはずです。三円なり五円高かつた。そこで一般の米と早場米がどの程度に違つておつたか、その二つの資料をぜひ出していただきたい。先ほどから聞いておりますと、消費者價格の高くなるのは早場米とか超過供出のおかげである、こういうふうに言われる。決算委員会の立場から言うと、國費の濫費は愼みたいのですから、なるべくこういうものは減らしたいのですが、出すべきものを出さないでおいて置いたら、その出している人に対して非常に氣の毒な目にあわせますから……。先ほどから聞いておりますと、早場米の奬励金を出すからこれだけ高くなる——非常に耳ざわりになるのです。そこで早場米の奬励金を出す趣旨、それから今まで一体早場米をなぜ出さなければならなくなつたか、その趣旨と、從來の米の相場の調べ、それから將來運用して参ります上において、早場米が出なければどんな影響があるのか、そういうこともあらかじめ聞いておいて、それから質問したいと思うのであります。
  73. 金城順隆

    ○金城説明員 私の申し上げ方が惡かつたかもしれませんが、別に早場米のために消費者價格が高いというふうな意味に申し上げたつもりはありませんので、ただその中間経費というものにはこういうものも一緒に含まれております。從つて現在言われております中間経費が、先ほど風早委員のおつしやられたように、六割もかかつておる、自由経済時代の中間経費の比率に比べて非常に高いのじやないかというようなお話でありましたが、これには要するに生産者價格の分も幾分入つておるのだというような意味で申し上げたのでありまして、結局そのために消費者價格が高くなつているのだということを強調したつもりはございませんので、その点御了承願いたいと思います。  それから今おつしやられましたように、早場米というのは自由経済時代から一般のものよりは高かつたことは事実でありまして、從つてその早場米に対してはこういう統制が始まりました時分、昭和十六、七年ごろから一般の價格に附加して早場米奬励金というものはずつと出ておるわけであります。これが最近二、三年比率が非常に高くなつておりますが、これは單作地帶対策ということを一部分加味して、そしてやる。從つてこの早場米の奬励金には私たちいろいろの意味があると思いますが、從來高かつたということと、需給操作上早場米を早く供出してもらいたいというような奬励の意味と、それから單作地帶への対策というものを一部分それに加味した、こういうような三つの観点から出ていると考えております。その資料は今手持ちいたしておりませんので、自由経済時代にはたしてどのくらいの比率で高かつたというものは、あとで資料を調製いたして差上げたいと思います。
  74. 南好雄

    南委員 けつこうです。言葉の爭いになるからどうでもいいのですけれども、そういう場合には、そういうものはほんとうは中間経費の概念に含まれないのじやないですか。われわれが教わつているような意味の超過供出というのは、そういうようなものを含めておらぬのじやないですか。そういうものを入れるから非常にあいまいなことになるのですが、そういうものを中間経費なる意味で御算出になることは非常に不明確になる大きなもとだろうと思うのです。これは言葉の爭いごとになりますから、どつちでもけつこうでございますが……
  75. 小林進

    ○小林(進)委員 今の早場米のことで、前の話を聞いてなかつたのでちよつと伺いますが、中間経費の中に早場米と超過供出の價格が入つて何か高くなるというような御説明だつたらしく想像するのでありますが、昨年度あたりの米でいうと、十一月だけで石三千五百九十三円でございますが、それに七月の最終に決定した米價で五十一円ばかり上つて三千六百四十四円になつたというので、それに早場米の報奬金、超過供出の奬励金を入れて平均米價をとると、大体私の聞いたところでは三十八円くらいのものが生産者價格、消費者價格が五十八円何がしになつて、二十余円の開きが出て消費者の手に入る、こういうことでありまして、今の例によれば、早場米の報奬金やら超過供出の奬励金をばかに高く消費者價格の中に見積られておるようでありますが、われわれの調査したところによれば、わずかに一升について二十円程度、石についても二千円程度のものにしかならないというふうに聞いているのですが、もしこれについて確実な数字でもお持ちになりましたらお伺いいたしたいと思うのであります。
  76. 金城順隆

    ○金城説明員 中間経費の問題がいやにかた苦しくなりましたが、たとえば、今の要するに超過供出奬励金というものを一例にして申し上げますと、超過供出がかりに割当の五%出たとしたしました場合、一石三千七百円の價格といたしますと、それに五%だけがかかつておるということになるわけであります。それが三倍買上げということになりますと、一倍だけは最初の價格でありますが、二倍だけは今度よけいかかる、五%の二倍ということになりますと、大体一〇%でありますから、一割だけ余計かかつておると見てよい。從つて三千七百円が基準價格だといたしますれば、それの一割、三百七十円がかかつておるというふうに見てさしつかえないと思います。從つて五%が六%になり、あるいは一〇%の超過供出が出ますれば、今申し上げたと同じ計算でかかつて來ますので、非常に簡單でよくわかると思います。  それから早場米の奬励金でありますが、これは先ほど申し上げましたように、昭和二十三年度産米では大体八十七億程度の早場米奬励金が交付されております。これは九、十の両月で政府が買上げました早場米は千二百八十万石ありますので、これもさつき申上げました式で計算して行きますれば、簡單に出て参ります。これを総供出量で割りますとこれも簡單数字が出て参ります。決してよけいの数字をかけておるわけではありませんけれども、今申し上げましたような計算数字をかけておるという状態であります。それで大体御了承願います。
  77. 小林進

    ○小林(進)委員 大体お答えの趣旨はわかつたのでありますが、早場米は昨年一千二百万石で八十七億円。超過供出の分は去年はどんなものでございましようか。丑%程度でございますか。去年出ました出荷の総数量……
  78. 金城順隆

    ○金城説明員 消費價格で大体見込んだときは五%見込んでおります。実績もそれに大体近いものであります。むしろ少し下目ではないかと思います。
  79. 小林進

    ○小林(進)委員 そういたしますと、基本米價の結局一升に見積りますと三十六円四十四銭に、その超過報奬の分が五%の二倍の一割で、大体一割と見まして三円五十銭、それに今の八十七億が一升に行きます場合にどの程度になるか、数字が今出ませんが、そうするとやはり今の消費者價格の五十八円から見ますと、米價それ自身というものは四十円まで行かないことははつきりいたしますね。せいぜい一升について四十円程度ではありませんか。ちよつとお伺いいたします。
  80. 金城順隆

    ○金城説明員 昭和二十三年産米の價格が一石大体三千七百円になるのでありますが、それの超過供出が大体一割かかつていると見ますれば、三円七十銭の超過供出價格、それから早場米の奬励金が、先ほども申し上げたように八十七億出ております。八十七億で計算いたしますと、これがやはり二円五、六十銭になるのであります、しかし消費者價格では四十三億しか見ておりませんので、これは一升大体一円七十銭ぐらいかかつております。從つて四十円をちよつと超す、四十二、三円ぐらいになるというかつこうになります。
  81. 南好雄

    南委員 これは事務的な点ですが、本年九月に早場米檢査規程ができたということを聞くのでありますが、檢査規程というのは毎年できるのですか、それとも本年特別の現象でつくることになつたのですか。これは事務的なものですからお答えがいただけると思います。
  82. 金城順隆

    ○金城説明員 早場米の檢査規程というものを特につくつたわけではありません。政府が買い上げますものには檢査規則というものがありまして、これに水分が何パーセントとか、來雜物がどのくらいか、こういうような種類のものは一等にするとか、二等にするとかいうような規定が檢査規則でずつと出ているわけであります。ただその出まわる時期になりまして、檢査に対する心得とか、注意とかいうものは出しているわけでありまして、今度も早場米に対する檢査心得といいますか、そういうような注意と、それからもう一つは早場米の奬励金を大体今年は七十億と押えましたので、それで七十億と押えまして、なお数量を大体一千万石ときめました関係上、先ほど申し上げましたように、去年は千二百八十万石出ておりますのに対して、一千万石を早場米で買うということに令達しまして、なおその一千万石を計画的の供出によつて確保して行きたい、こういうふうな考えから、これに伴う指示というものを各食糧事務所に出し、なお地方庁の指示に対しても、それに協力してもらう、そうして計画数字を出してもらうということを出した。それからなお四等米に対しては早場米の奬励金を出さないということを指示したわけでありまして、この点だけが例年と違つているわけでありまして、その他につきましては、別に例年とかわつた規定はないと言つてよいと思います。
  83. 南好雄

    南委員 本年の九月二日に改正となつておりますが、それはどういうことを改正になつたのですか、例年の檢査規程について、本年の九月二日に何か規程が改正になつております。さらに早場米が出過ぎて金がかかるという点も、特別会計としては非常にお困りでしようが、にわかに檢査規程をかえて、どうせ拂わなければならぬものまで拂わぬようになさつたようにもとれたものですから、そういうことのたいように、そういう誤解のないように私お聞きしている、改正というようなものがあつたのかなかつたのか。
  84. 金城順隆

    ○金城説明員 檢査規程の一部を改正いたしました。これは私主管でありませんので、詳しい数字的な御答弁はいたしかねますが、大体從來出ているところの実際買上げをやるいわゆる檢査規則で定めてあります粒の質とか、あるいは水分の含有量とか、その他來雜物の部分とかいうようなものが実際と非常に違つたような状態になつていたので、それを実際に即するようにある程度の改正をいたしたということでありまして、從來のものに非常に大きな改正をしたというところはありません。ただ私の先ほど申し上げましたのは、四等米に対して奬励金を出さないようにしたということが非常に違つておりますので、そのほかの檢査規則を改正したために、從來の等級に非常に不利になつたとか、あるいは政府の方で拂う早場米の奬場金が拂わないで済むようになつたものとかはありません。
  85. 南好雄

    南委員 これはいずれ長官に質問するつもりでおつたのですが、そこまで話が來れば申し上げたいのですが、最近までのいわゆる早場米地帶における檢査の実績は、大体昨年と比較いたしまして半分であります。そういたしますと、昨年度は千二百万石出て、それは非常に困られた、本年は千万石くらい出す、こういうような見当でつくられたが、改正の結果今の率がそのまま続いて行くならば、おそらく五百万石か六百万石しか品物が出ぬはずである。そうすると、大きな黒字になりますが、それは扱いとして、消費者にお返しになりますか、それとも政府の取得分になるのですか。
  86. 金城順隆

    ○金城説明員 会計の決算上は黒字になつて出て來るわけであります。ただこれは私からはちよつとお答えいたしかねますが、將來の消費者價格をきめるときに、それを消費者價格に返す分として計算されるか、あるいはたとえば去年はかんしよの超過供出がよけい出て、食管会計その他の赤になつたものを埋めるかということは、結局最高の方針できまると思いますが、ただ会計上は黒字になつて出て來るということだけ申し上げておきます。
  87. 金子與重郎

    ○金子委員 價格差の問題が出ましたから、長官のおいでになるまで、かんしよの價格差の内容をお知らせ願いたいと思います。
  88. 金城順隆

    ○金城説明員 長官がお見えになりましたから、この数字につきましてはあと整理して申し上げます。
  89. 本間俊一

    本間委員長 それでは長官が見えましたから御質問を願います。南君。
  90. 南好雄

    南委員 私決算委員会でお聞きするのはどうかと思いましたが、こういう点だけを安孫子さんからお聞きしたいと思つてお待ちしておつたわけであります。今主計課長から早場米の奬励金を出す意味をお伺いしておきました。昨年早場米が出過ぎで、特別会計相当損失を生じたような御説明があつたのですが、本年はなるべくそういう損失を減らす意味合いかもしれないのですが、九月二日に檢査規程が一部改正になりまして、その結果早場地帶におきます供出米の檢査の実績が、よい所では四〇%、惡い所ではわずか六%というさんたんたる実情でありまして、檢査規程の改正の結果、四等米にはやらぬことになつております。本年約千万石の早場米について奬励金を出すような予算が組まれているが、今のような状態でそのまま参りますと、おそらく平均しても五〇%ぐらいにしか奬励金が出ないのではないか。早場米の奬励金の趣旨がそういう意味合いでなくて、これは出すべき筋合いのものでありますから、檢査の手心など——何百万の農民に非常に大きな利害を持つ檢査の規定を簡單におかえにならぬように特にお願いしたい。その後における早場地帶の檢査の実績などもお伺いいたします。そしてあまりひどい結果が出たときに、自由に手心を加えられたりしますと、早期に供出した人、特別会計が出していただきたいと願つて出された者に対して片手落ちの結果にもなりますので、いずれにいたしましても平場地帶における早場米供出意欲をそぐような檢査規程の実施は、十分に御注意願いたいと思いまして、先ほどからいろいろ事実をご質問を申し上げたのであります。後ほど説明員の方からよくお聞きくださいまして、私の質問の趣旨を十分御理解くださいまして、適当な行政的措置を一刻も早くやつていただくように特にお願いしたいのであります。
  91. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 ただいまのお話の点ごもつともだと存じます。私どもといたしましても早場地帶におきまする農業の再生産の点から、あるいは農家の経済状態の上から申しまして、相当考慮をしなければならない、昨年までの早場米の奬励金の実績その他について檢討をいたしました結果、單作地帶だけにそういう金を出すのはおかしいような疑問も相当あつたわけであります。しかし單作地帶については特別の考慮を拂われなければならぬという観点からいたしまして、本年も早場米の奬励金を出すことにいたしたわけであります。しかし全般の情勢から申しますと、昨年程度に、何ら制限なしにこの措置を講ずることがはなはだ困難な状況がございまして、その点からいたしまして、ただいまお話のございましたように四等については奬励金の対象にしないという措置を講じた次第でございます。あらかじめ私どもの想定いたしました四等米の数字は、全買入数量のおそらく十二パーセント程度のものではなかろうかという考え方をいたしておつたわけであります。昨年に比較いたしまして本年の作況が一週間ないし十日遅れております関係から、九月中におきまする早場米の出まわりが相当遅れておりまして、なおまた当時の天候状態からいたしまして、調製の点に多少欠けるところがございましたために、予想外に九月中におきまする実績は四等が多かつたのであります。これは九月の中旬でありますが、下句に入りますと私どもの見ております数字ではよほどその点が改善されているように思います。ただいま数字は持つて参りませんでしたが、たとえば新潟縣について申しますと、九月中旬までは早場米中四等がおそらく四、五十パーセントあつたかと存じます。もつとも全供出数量が五、六千俵でありますから、大量観察においては適当ではないと思いますが、その程度あつたかと思います。しかし九月の下旬になりますと、約二万五、六千俵の檢査をいたしておりますが、そのうち二十パーセントくらいが四等になつております。もつとも実情を聞きますと、そこへ持つて参りまして、また四等になるかということで再調製をして持つて來ているような事実もあるようであります。從來檢査をしないと同じような状況にありましたものを、漸次軌道に乘せて参りたいという観点から、檢査について昨年よりも多少向上した考え方をいたしておりまする点と、本年の作柄が昨年に比べますと一週間ないし十日遅れている関係からいたしまして、以上のような結果を生じたと考えております。もちろんこの状態をそのままにしておいてよいと私ども考えておりません。早場米の奬励金を出します趣旨から申しましても、その間に何らか調製を講じなければならないと存じますので、これについての適当な行政措置を講じたく存じまして、この一両日中にその方針を現実に明らかにいたしたいと考えている次第でございます。
  92. 南好雄

    南委員 その行政的措置をこの際お聞きできないものでございましようか。
  93. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 まだ大臣の御決裁を経ておりませんので、一應考え方を申し上げて御参考にいたしたいと思います。一番端的な改善方法といたしましては、四等にも出すことだろうと思います。しかしこれは相当方面に折衝を要する問題でありまして、昨年におきます経験からいたしますと、とうてい今の段階において四等にも出すことの了解にとりつくことは、まずほとんど見込みなしという見方をいたしている次第であります。この問題に荏苒日を送りますことは、結局單作地帶に対しまして不利であるように思いますので、この点は一應見送りまして、月別に、あるいは旬別に買入れ予定数量を明らかにいたしておりますが、この数量を越えましても、その順位において買入れるように彈力性のある買入れをする、かように考えている次第であります。
  94. 風早八十二

    風早委員 金子委員の御質問に関連して伺いたいのですが、何といつても九月二日に突然出されたことに非常に問題があるわけであります。しかもまさに供出が始まらんとして、突然これを出されたわけで、非常に四等米を出すものについては大打撃を受けたのであります。こういう拔打ちをやり、せつかく予定している人に非常な迷惑をかけるようなやり方に根本の問題があると思います。行政措置はむろんやるにしくはないのですけれども、こういう点でもう少し國民にも納得の行くように御説明願いたいと思います。いろいろ事情があつたと思われますけれども、どういう事情であるか、この際委員会に明らさまに御報告願いたいと思います。
  95. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 早場米奬励金は御承知のように、相当食糧事情が窮迫して参りました戰爭中を通じ、また戰後一、二年間というものは非常に意義があつたのであります。ことに戰後におきましても、外國食糧が定期的に計画的に入らなかつたときにおいて、九月、十月の端境期を乘り切りますためには、どうしてもこの制度が必要であつた。その観点からのみ議論をいたしますと、本年度に入りまして相当輸入食糧が豊富に計画的に入つて來ておるのでありまして、端境期における対策として、單作地帶の北陸、東北筋の米を緊急にこの際出してもらわなければならぬということを自体は、一應解消しておるわけなのであります。この点からいろいろ議論がございまして、そういう必要が少くとも今年はないのであるから、早場米奬励金というものは出さなくていいのではないかという議論が出て來るのでありますが、そういう点からのみ議論いたしますれば、そんな議論もできるのではないかと思うのであります。しかしこの制度がスタートいたしました意味は、もちろんその意味もありますが、北陸筋の米は自由取引時代におきましても、当初においては御祝儀商いにおいて相当高く取引をされておつたこともございます。もちろんそうでないときもございますが、そうした意味もあり、また單作地帶における農家経済の発展からいたしましても、何かしらここに奬励金をつける必要があるだろうということで、戰爭中からも早場米奬励金というようなものをつけておつたのであります。需給操作の観点を表面の看板にはいたしておりますけれども、実体的にはそのほかに東北、北陸等の單作地帶の農家経済に対する一つの援助というような意味をここに持たしておつたのであります。そこで形式と内容と多少分離しておるわけであります。形式的な議論からいたしますと、打切つてもいいではないかという議論が当然出て來るのであります。しかしわれわれといたしまして、農家経済の観点からいたしますと、どうしてもこれを打切るわけにはいかぬという点で、少くともその点について強調をし、また各方面の納得を求めまして、一つの妥協ができたのでありますが、それが四等の問題にかかつておるようなわけであります。いきさつと申しますと、以上のようなわけであります。
  96. 風早八十二

    風早委員 この事情というのは大体想像がつきます。これははつきり言えば、結局外國食糧がどんどん入つて來るということだと思うのですが、そういう点でこれは根本政策の問題に関係して來るわけであります。また今長官がちよつと漏らされた御意向では、これはわれわれもまつたく賛成でありまして、まつたく日本の農家経済というものをわれわれとしては度外視するわけには行かない、これは一番大事な点であると思います。そういう点から申し上げるのですが、一体今のようにガリオア・フアンドでどんどん入つて來るあの行き方と、それから日本の農業経済というものの將來の見通し、これは相当大きな問題だと思うのでずが、そういう点で、たまたま早場米一つの問題をとつても、そこにやはりその根本問題が出て來るのです。長官ですから、その点については御意見もあると思いますが、外米ならまだいいが、いろいろな食糧が入つて來ます。そのたびに日本の農業生産はどうなつてもよろしいと言わんばかりに、農業経済をこのままに置かれたのでは、日本の経済としては結局植民地的なものにならざるを得ないのでありますから、その点についてひとつ國民の安心の行く御見解を伺いたいわけです。これは特に檢査規則だけの問題ではない、急にこれを出して四等米の供出者にたいへん迷惑をかけた、特に四等米は貧農に多いのです。こういうような問題がひいては今非常に激増しています耕作放棄という問題にも関係して來るのであるりまして、また今度いもの統制撤廃の問題もこれにからんで來るのですから、結局根本問題だという意味で、外國食糧の輸入ということと、日本の農業の將來、これをどう考えられるか、簡單でいいですから、明確にひとつ御所見を伺いたいのであります。
  97. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 非常に廣凡な問題でありまして、実は私からお話を申し上げるよりは、大臣からお話を申し上げる筋合いのものと思いますが、私どもの個人的に考えております点を簡單に申し上げますと、日本の農業というものが國際的に孤立し得ない状況が漸次濃厚になつて來ると思います。しかしその際にも日本の農業はやはり日本の農業としての立場、日本の農業経済の存立というものについて、われわれが十分考慮して行かなければならぬという点は、どこまでも守つて行きたいと考えております。やはり日本の食糧の自給度を高めるということが、われわれの立場からはどうしても必要なことである。從つてこの点について外國食糧がおそらくここ数年は無制限に入るということはなかろうと私は思います。日本の輸入力から申しましても、さようなことは期待できないし、一方救済資金をもつて入れている関係からいたしましても、非常に圧倒的に日本の農業を壞滅させるような輸入というものは、実は私どもはここ数年間については想定をいたしておりません。しかし世界的な豊作その他の関係からいたしまして、その影響は相当あるとは考えております。この点については日本の農業の生産力の維持向上と申しますか、そういう点に十分な注意を拂つて、その間の調整をはかつて参りたいということが、私どもとして考えておる点でございます。
  98. 南好雄

    南委員 この早場米の奬励金につきましては、先ほど形式的と実質的の区別をして御返事があつたのでありますが、私特にお願いしておきたいのは、日本と外國との関係は最近になつて急にかわつたわけでもないのでありまして、ある程度見通しはできておつたろうと思うのであります。こういう奬励金の問題とか、あるいは檢査の問題とかいうことは、將來のことだから言えぬと言えばそれまでではありますが、一つはこういう自然的の生産物でありますから、できるだけ事前にかくあるべきことを農民に知らせておく必要があると思う。突然ある事情の変更によつて、生活にもさしつかえるような大きな変動を、單に一檢査規程の改訂というようなことでおやりになることが、すなわち官僚独善という大きなそしりを受ける原因になるのではないかと思うのです。この点よく御注意くださいまして、出せないものならしかたがないのでありますが、出せるものならもつと皆の納得の行くようにして出していただいて、無用の摩擦や無用の不安を起させないように特にお願いしておきたいのであります。最近早場地帶における不平不満、將來に対する危惧の声はおそらく安孫子君も聞いておいでになるでしようけれども、われわれの耳にも非常に恐るべきものがあるのであります。特別会計運用は嚴でなければなりませんけれども、どうぞ許された範囲におけるよき意味の管理をしていただきたい、こういうことを特にお願いしておきます。
  99. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 御指摘の点については私どもその通りだと存じますので、御希望に沿うように今後努力して参りたいと思います。今回の問題については、いろいろの関係上非常に時期が遅れましてこれを発表することになりましたことは、はなはだ遺憾に存じます。將來十分氣をつけて参ります。
  100. 小林進

    ○小林(進)委員 非常に人心に與える影響が大きいので、私は一、二お開きしたいと思うのであります。今の早場米の奬励金の問題で何か條項を三つばかりおあげになりましたが、端境期の救済、單作地帶の救済、あるいは北陸一帶はもともと米が早くて値段が高かつたという三つの例をおあげになりましたが、私どもの特に重点を置いてもらいたいのは、やはり單作地帶という特殊の地帶の救済、こういう社会性に重点を置いて考えていただきたい。こういうことからむしろ北陸一帶におきましては、そうした單作地帶の窮乏を救済する意味だから、九月三十日、十月十日というような期限を設けないで、できればもう單作地帶の全農民がこの特殊な恩惠に浴し得るような大幅な制度にしてもらいたい。こういう要望が強いのであります。非常に強いところへもつて來て昨年度は幸い豊作のところへ早場米の奬励があつたのでありますから、農民はそのために今おつしやつた総計で一千二百万石という米を出して、相当の恩惠を受けて米價の安いところも非常に救われて、今年はさらに早場米の恩惠を受けて、ささやかな自分たちの農家経営を営もう、そのためには準備が大切だということから零細農家諸君もむりをして、どうも共同経営では部落に持つている動力一つではつい混み合つて九月三十日までに米が出せないので、個人でむりに借金して動力を入れて、個人で早く脱穀して早場米の報奬金をもらいたいというようなことでかなりの準備をしてしまつた。さあ今年はという構えをして、そのあとに突然の予算の問題か何かで一千二百万石は出過ぎたから今年は一千万石で頭打ちをする、八十七億円は出過ぎたから七十億円で頭打ちをする、また檢査規程を設けて四等米以上のものでなければとらない。こういうような手かせ足かせを食わした。先ほどおつしやつた新潟の例も同様でありますが、新潟縣の縣庁に農民諸君が押し寄せて、とんでもない、われわれに対する一つの裏切りではないか、だますのもほどがある、こういうことに対して中央折衝を続けておるが、何といつたところで頭がそういうようにきめられている、現にわれわれが早場米の報奬金を各村に割当てる、その金額の範囲内しか村から早場米は出せない。それ以上は何ぼ出ても金がないから拂えないという通牒が村に行つたから、農民は腰を折られた形で働く意欲も失つた。こういうわけでせつかく政府のやや明るい政治が出たというので、ぐつと農民がそれに乘りかかろうとしてはぽんと足元をはねられる、こういう朝令暮改の政治が行われるならば、どこを頼りに生産に励んでいいかわからない。それが一つの救済策として、何か四等米云々の方法で大臣の決裁を仰いでいるというお話もありましたが、そのほか間接に損害をこうむつた、あるいは動力を備えつけた、あるいはそれに対する準備、こういうことに対しまして、一体どれくらいの程度の責任をお考えになつておりますか、経済的にも弁償でもしてもらえればこれに越したことはありませんが、それができないでもどれだけ強くお考えになつているか、そのお心持を伺いたいと思います。
  101. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 実はただいま申し上げましたように四等が非常に多かつた、九月中旬等に多かつたというのは特異な現象であろうと思います。また檢査が、これはほんとうにいいことであろうと存じておりますが、厳格に行われたということでもあろうと思いますが、本年の作況の関係もあろうかと存じております。先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては大体檢査数量の十二、三パーセント程度が四等であると想定をいたしたのであります。これを考慮いたしますならば、買入れ数量が千二百万石でも、少くとも千万石程度のもの、その程度は四等以上のものであるこういうふうに考えておるわけであります。それからもう一つ実は欲を申し上げますと、昨年、一昨年等におきまする早場米の供出の状況、並びに供出されました米の品質、調製関係から申しますと、非常にいかがなものかと思われるものも相当あつたわけであります。この辺は経済が順次正常化するにつれまして、この点やはり生産者の方としても御注意を願うことが適当ではなかろうか、こういう点もあります。それから特別会計の観点からいたしましても、ほとんど夏を越せない、貯藏性を持たないというような米については、やはり買入れの対象としては適当じやないというような観点もございまして、それで四等というものだけははずそう、それがこの九月中の実績から見ますと、私が想定いたしたよりも相当多く出たものでありますからいろいろ問題を起しているわけであります。これはおそらく十月の上旬、中旬の成績を今後ごらんになりますならば、この点は相当改善され、私どもが当初予期したようなコースに行くものだと私は考えております。從つてほんとうに生産者の経済の上から申しますならば、どんなものでも出せばそれに奬励金を出すというのが一番望ましいことであろうと思いますけれども、しかし今後における米の品質の向上あるいは取引、あるいは消費者の点というようなものも考慮いたしますならば、この調製についてもう少し努力を拂つてもらつてしかるべきじやないかというような考えもございまして、この四等という問題を考えたわけであります。多少調製について御努力を願いますならば、私は三等以上のものになるというふうに実は考えておるわけでございます。
  102. 小林進

    ○小林(進)委員 その檢査ある程度の調製の改善ということの御意見はわかりますが、さつきお伺いした天くだり式にその金額数量で押えるために、各村へもお前の村はこれだけなんだからそれ以上のものを出してもだめだというような、そういうわくをまあやはりとられるお考えがあるかどうかであります。
  103. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 実はその点は各縣に対する一つの目標は指示いたしましたが、この目標について、それで拘束するという考えは私どもは当初から持つておりません。おおよその目標をその見当においてやつてもらいたい、こういうことを申し上げておるわけであります。ただこの目標をまあ何と申しますか、大体その線に沿うて各縣ともお考えを願いませんと、各縣の不公平が非常に出て來るわけであります。ある縣についてはそんなものはどうでもいいということで、とつぴようしもない成績を出しますと、ほんとうにそういう線に努力して行こうという縣に対しては、はなはだ申訳のない結果になりますので、これはお互いの信頼と申しますか、道義的な考え方といたしまして、その辺をひとつ目標にしてやつてもらいたい。こういう意味の話合いをいたしたのでございまして、それを超過して出すとすれば、それは拂わないんだとかいうことは実は申しておらぬのであります。大体会計上の観点からいたしましても、七十億という金が目安になつておりますし、それをおよそ達成するためには、こういう目標でやらなければならぬ、この点については國家の現状から財政の観点からいたしましても、生産者にひとつ御協力願いたいこういう意味で申し上げておるのでありまして、その線を越えれば出さぬとかなんとかいうきつい意味で申し上げておるわけではございません。
  104. 前田榮之助

    前田(榮)委員 ちよつと一点だけお尋ねするのですが、私の納得の行かぬところは、日本の供出制度は事前割当が根本になつておると思います。そうすると今さて早場米を供出しようというまぎわになつて、ただいまのような処置をとられたところに農民の非常な不平がある。從つて事前割当をやるときに、日本の食糧事情はだんだん輸入の関係もよくなるという見通しもつくし、それから本年度の産米がどの程度出る。早場米はどの程度出るという見通しも大体つくと思う。そういう点から言うと事前割当をされる当時にこういう処置をとつて反当増收をはかり、品質を向上せしめるように農家に努力を拂つてもらうという意味で、こういう処置を事前割当をされる当時に行われるなら農家に不平はないと思います。そうしたけれども輸入事情が非常に惡くなつたために、早場米を予定より多く供出願わなければならぬので、その程度をそのときに下げてたくさんとるという処置をとられるなら、これはいいわけなんです。それを逆に処置をとられたところに農家の不平があるのですが、これはそういうことをしなかつたのは重大な責任があると思うのですが、見通しがつかないと思われるのか、そのときに氣がつかなかつたとお考えになるのか。どうなのか、この点を明らかにしておきたいと思います。
  105. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 早場米奬励金については、昨年の早場米が出ましたときの実は議論でありました。從つてこの問題については昨年の十二月ごろには、問題としては私どもとしては明らかになつておつたわけであります。しからばその当時、これが最終的決定をし得るかということになりますと、その話合いはなかなか生産者には有利につかないのであります。もちろんいろいろ話合いが長引くことは、生産者に非常に迷惑をかけておるとは存じますけれども、昨年の事前割当をする当時にこの問題をもし解決するならば、あるいは現在よりもより有利であつたかどうかは、私は多少疑問を持つております。その辺の兼ね合いもございます点を御了承願えれば私も仕合せと存じます。
  106. 風早八十二

    風早委員 結局ここに私どもとしてはかんじんな問題があるのです。どうも納得が行かないからまだつけ加えて質問いたします。  今前田委員の言われたように、先ほど私も伺つたわけなんで、大体相当困難な立場におられたと思うのですが、何かメモランダムのようなものでも出ておるわけなんですか、特別な拘束を受けてないわけですか。
  107. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 ありません。
  108. 風早八十二

    風早委員 ないですか、そうしますと、他方この財政面から言いまして、どうしてもこれだけは節約しなきやならないという食管特計上の必要はあつたわけですか。
  109. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 大体昨年の早場米奬励金の総額八十億、それの範囲内というような一つの方針はあるわけでございます。
  110. 風早八十二

    風早委員 大体このわくはさまつておるのであつて、そのわく内でこの経費は計上されておつたという意味ですか。
  111. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 はい。
  112. 風早八十二

    風早委員 そうしますと、これは全然政策上の必要というか、高等政策上の意味としかとれないわけですね。言いかえれば経済上の理由でなくして、特別に農民をいやがらせをする、こういうような意味になるわけですね。
  113. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 実は去年の八十億というものはまあずつとお調べを願えばおわかりだと思いますが、今までにない、早場米奬励金としては大きな金額でありますし、また数量も最もよけいに出たのであります。從つてこの辺を押えますならば、生産者に対しましてもそうさしたる惡影響はないものだという観点からいたしまして、この辺の線を私どもといたしましても了承いたした次第でございます。
  114. 風早八十二

    風早委員 そういう場合の迷惑を実際においては、農民にかけたことは間違いないのですが、その中でも特に四等米だけをはずす、もしはずすならばほんとうに政策上必要であり、またそれにかわつた大きな利得があるという意味なら、はずすならば全部はずすということも一つのやり方であるが、四等米だけをはずすということによりまして、農民の中でも特に中貧農層がどうしても下田を持つておりますので、これが一番ひどい目を具体的にはこうむつているわけです。そういう点なんかやはりどうも非常な片手落ちじやないか。  それから、さらにさかのぼつて、外米なり外國食糧品が入つて來ることによつて、結局國内の農業生産はとかく押えがちになる、奬励の反対になるというような矛盾があるわけですが、その場合にそういうことは当然予期しておつたか。この早場米の奬励金を出して、第三者に対する、先ほどからいろいろ賠償の問題も出ていますが、実際第三者に対して通用しないですね。契約がされておつたんでなくして、規則が前の規則であつたもとで実際に供出の割当がなされ、供出を消化しているやさきに出たわけでありまして、かつては一方的にそういう約束のようなものを破つてしまう、しかし全然農民には関係のない理由から第三者である農民にそういう被害を與える。こういうことに対して、ただ今後行政措置について考慮するというお話ですが、今までの受けた損害に対して、具体的にどういう措置をとられようとしているか。つまり賠償の問題でありますが、あるいはさかのぼつてこれをやはり支拂う、そうなつただけでもたいへんいいのでありますが、その実を示される意思があるかどうか。その点についてひとつ……
  115. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 実は早場米奬励金を幾ら出すかということは、前には申し上げておらぬのであります。その年その年のとりきめになつているわけであります。それで二十四年産米の事前割当をいたしましたのは昨年の十二月でございます。その際も早場米奬励金については、別にこれはきめるのだということを申し上げていると思うのであります。しかし、そのままの状態でありますならば、おそらく前年と同様な早場米奬励金が出るものだというように、一應生産者としては了解されるものだろうと思います。ところが、順次この問題を檢討を加えつつある間に、必ずしも前年通りには参りかねるというような状況も判明いたしておりますので、五月、六月ごろにはこの問題は一般的ではありませんが、各方面にいろいろむずかしい問題であつて、昨年通りにはあるいはならぬかもしれないというようなことは、実は申し上げておつたのでありますが、これは内輪の話でありまして、表向きにいたしているわけではございませんが、そういうことでぎりぎり決着のところが、ことしのようなところにおちついたというのでありまして、そんな点から申しまして、ただいま御指摘のありましたように、これを過去にさかのぼつて賠償するかどうかという点については、私どもは賠償するというような考えは持つておらぬのでございます。
  116. 小林進

    ○小林(進)委員 それに関連するのですが、いかに長官に聞いてもやはりだまされたという氣持にはちつともかわりないのですが、だまされたという氣持のいま一つお尋ねしたいのは、これも早場米について特殊な縣に、白米供出ということを一定数額を見積つてお許しになつたことがございますが、その白米供出もせんじ詰めれば、やはり單作地帶の飼料あるいは肥料に対する一つの救済策のために、せめてこれだけでもわれわれのところに残してもらいたいという悲痛な農民諸君の要望に官僚の方でこたえられて、そうして一定額の白米の供出を許していた。それもこのたびは一言のお断りなしにおやめになつてしまつた、これで脱穀機その他の一切の設備がむだになつたのでありますが、こういうことも農民をだました大きな一つの官僚の裏切り行為であると私どもは解釈しておりますが、どうしてこの白米供出をおやめになつたのか、これは予算には影響しないと思いますが、その理由をひとつ伺いたいと思います。
  117. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 白米供出をやめたのではございませんので、白米については早場米奬励金を出さないということにしたわけでありますが、やはり從來と同様に白米の供出の割当、それから委託搗情を実は生産地にぬかを還元する意味におきまして、政府で買いました玄米を産地において搗精して、そのぬかを産地に落すというこの措置は実は継続をいたしております。貯藏その他の関係からいたしまして、早場米奬励金の対象としますものは玄米にした、こういう意味でございます。
  118. 小林進

    ○小林(進)委員 それではちよつと私の聞き違いであつたかもしれませんが、あらためてお伺いするが、從來白米供出を早場米の対象にされておりましたのを、どうしてこのたび対象にされないのか、その理由をひとつお尋ねいたしたいと思います。
  119. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 貯藏の関係からいたしまして、やはり玄米が買手としましては無難であるという点で、四等を削りましたと同じような趣旨からいたしまして、白米というものを除外したわけであります。もちろんこの金額その他について制限がありませんければ、從來の方針通りでいいと思うのでありますが、七十億なら七十億というもののわく内におおよそ收めるという観点からいたしますと、玄米というものを主体にして考えるべきだ、また玄米を主体にして考えた場合に、やはり三等以上ということが適当ではなかろうかというような観点から、にらみ合いで実はきめたのであります。  それから産地に対しまするぬかの問題でありますが、これは從來通り委託搗精その他でもつて十分考慮して参りたいというふうに考えておるわけであります。
  120. 小林進

    ○小林(進)委員 その一千万石早場米の予定供出数量の中に、白米供出がおそらく去年あたり割当てられたのは全額にして、せいぜい五十万石か、三十万石程度のものではないかと思うのであります。私の聞いておる新潟縣のような大縣の白米供出が二十万石であります。去年の千二百万石に比較して二十万石というのはすずめの涙ほどである。それもやはり農民に與えられた一つの新しいやり方として非常に喜んでおつたのであります。ですから玄米を基本にするということで、その二十万石、三十万石のそういうものを早場米の対象から拔き取られるという理由が、今おつしやつただけではどうも薄弱ではないかと思いますが、いま少し具体的にお聞きしたいと思います。
  121. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 具体的と申しましてもこれ以上はないのでありますが、金額のわくに一種の制限があるから、その間で大体早場米の総数を押えて行くという檢討を加えて参りますと、やはり主体はどうしても玄米になる。それで白米がはずれる。玄米全部の買入れ見込数量からして等級の問題を考え、それからこれは北陸地帶に関係はないのでありますが、もう一つ大きい問題といたしましては北海道の雜穀があるわけであります。この雜穀も実ははずすということで大体見合いをとつた、これだけのことであります。
  122. 風早八十二

    風早委員 結局財政の経費の問題にもからんで來たようでありますが、二十二年度についてはまだ先ほど経理状況の報告がなかつたわけであります。この食管問題に関しては、特に二十二年についてはすでに会計檢査院からの重大なる指摘もあつたと思うのであります。まだ決算委員会でこのことが問題になつておらないわけであります。いろいろ具体的に、会計検査院の方から非常に疑問の点が指摘されておると思います。これは十分長官の方でも御承知と思いますが、これらの点についてどういうふうなお考えであるか、これをひとつ伺いたい。廣汎になつてはいけないと思いますから、二、三具体的な点をあげておきますが、たとえば二十二年度について、いわゆる食糧証券を発行した。このうち約百四十億円というものがこの目的外に違法に使用されておる、こういう問題が出ておると思うのであります。もう一つはやはりこの食管会計で、二十二年度末の食糧の賣拂代金の未徴收額が、これが大体内訳は公團関係が一番大きいのでありますが、そのほか帝國油糧であるとか、日本鑵詰であるとか、日本澱粉であるとか、日本甘藷、馬鈴薯とか、これらの諸会社との関係になります。そういうものの回收代金を他に流用する。特に國庫に対する納付を遅延さしておる、こういうような問題も出ておる。もう一つ例をあげますと、やはり同じ二十二年度でありますが、食糧買入代金と、それからこれは買入高の登記額、これは主任会計官吏がやつたものです。それとの間に五億五千三百万円という理由不明の開きがある、こういう報告がなされております。こういうような点については食管当局としてはどういう御見解ですか、一應の御説明を願いたい。
  123. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 御質問に対しましてはつきりお答えを申し上げたいとは存じますが、非常に廣い問題でございまして、食糧証券で限度以上に出ておつたというような御指摘、あるいは加工費でございますが、それをほかの方に流用されたというような問題、いろいろ廣範でございますので、次の機会に私どもといたしましても十分その点を調査整理いたしまして、実は御回答申し上げたいと存じます。会計檢査院の方からは以上の諸点につきまして質問も受けておりますので、この点については十分に研究をし、整理しているわけでございます。ちようど戰爭が済んだあとのことでもございまして、いろいろ整理の漏れておる点もあつたかと存じますので、そんな観点から開きも大きくなつておるので、実態は、調査をした結果はそれほどでもないという結論が出ておる面もございますので、その点時間のお許しを願いまして、次の機会にでもお返事を申し上げ、御了解を願いたいと存じます。
  124. 風早八十二

    風早委員 これは先ほど特に委員長から主計課長に対して御注文があつたのですが、主計課長は二十三年度だけしかお話がなかつたのです。そのことも考慮しまして、特に長官にお尋ねしたわけであります。二十二年度にしてすでに非常な問題があるわけでありまして、二十三年度は私は経理状況数字的な表の提出をさつきお願いしたわけです。特に中間経費が、しろうとが見ますととても厖大で、いかに官僚商賣といつてもやはりこれではあまりひどいと思う。だんだんひどくなつて、とうとう今度は米のごときは、生産者價格に対して六割五分という莫大な額になつている。そういうことを考えますと、中間経費の問題にすべて問題がある。この経費をただ帳面づらを合せ、またつじつまを合せるというだけでは実際の問題になりませんから、その点は十分にひとつ良心的に出していただきたいと思います。それで大体年度を通じてでけつこうですから、費目をこまかくわけて、一々の費目についてその問題を出していただく、それは概括すれば、赤字黒字の問題を一々の費目について出していただく、それによつて委員会でははつきり問題の所在をつきとめることができると思います。それがもとになりませんと、農林委員会その他でも実は政策が立たないわけです、でありますからこれは実に重大な数字でありますから、ひとつその点は御研究願いまして、正確に出していただきたい。この点は重ねてお願いしておきます。この次の機会までにはぜひ出していただきたいと思います。それが実は今日出ておると思つたのですが、何にも出ておらないので、非常にこまかい数字をいきなりここで言われましても計算もできない状態でありますから、これは間違いなく念を押しておきたいと思います。
  125. 本間俊一

    本間委員長 ちよつと風早委員に御了解を得ておきたいのですが、二十二年度決算は正式にこの委員会に提案になりまして、審議の途中にあるわけなのであります。今日は現在の特別会計でやり方によつて相当赤字が出やせぬかというような心配もあつたものですから、主として今の会計を中心にして話を聞いたので、二十二年度の分は一應今日の議題の外に出しておつたわけですから、その間の事情をどうか御了承いただきたいと思います。  本日はこれで散会をいたします。次会は公報をもつてお知らせいたしたいと思います。     午後三時二十六分散会