○
渡邊説明員 ただいま
見返り資金の
運用計画の内容について、特に
お話申し上げるようにという
要求でございますが、その前にごく
簡單に、もう御
承知のことかと思いますけれども、その問題が具体化いた経緯並びに最近の
状況について申し上げまして、それに関連して
運用の
計画のことに触れて申し上げてみたいと思います。
昭和二十四
年度の
予算を
編成いたします際に、
從來貿易会計の中に対
日援助の金も、対
日援助による
資金も、またそれ以外の
貿易による
資金も一緒に混合されて経理をされておりましたのを、分割いたしまして、見返
資金特別会計というものを別途につくりましたのは、これは主として
ドツジ公使の示唆によるものでありますが、この
やり方は
日本に
限つてや
つておるのではありませんで、
アメリカが
対外援助をいたします際に、必ず
アメリカが
外國に対して
援助を與える際には、その金のいわゆる
見返り資金というものは別の
勘定を立てることにいたしておりまして、その
勘定の
運用につきましては、
アメリカがその
対外援助の目的に適應するように、ある
程度アメリカ側からも
注文をつけるという組織にな
つておるのであります。ただ
日本の場合におきましては占領という形式にな
つておりますので、
関係筋から指示を受けてこの
資金の
運用に当ることにな
つておるのでありますが、他國におきましては、協定のような形によりまして、相互の
話合いでこれだけの
援助を與える
かわりに、その
援助によ
つて入
つて來た
物資を國内に
放出いたしました
かわり金の使い方ということには、アメリか側の
一定の
承認を必要とするという
話合いにな
つておるわけであります。その原則が今まではとられておらなか
つたのを、二十四
年度予算の
編成の際から、欧州各國にや
つておりますと同樣の措置をとることにな
つたわけであります。この仕組みは詳しく申し上げる必要もないかと思いますが、
日本に入
つて参ります
援助物資が國内に入りまして、その円の
代金を一
應貿易会計の中に入れまして、その
会計の中にたま
つた円資金を
一定の時期にまとめて、対
日援助特別会計に繰入れるのでありまして、その繰入れた金を今度は
計画に從いまして
適時放出をいたすわけであります。今のところ
援助資金としてどれだけのものがこの
昭和二十四
年度のうちに入
つて來るかということは、的確にはわからないのであります。なぜわからないかと申しますと、
アメリカの対
日援助の
金額が決定しないからであります。また対
日援助の
金額は、
向うの
会計年度は
日本の
会計年度と違
つておりまして、本年のいつも七月から
來年六月までが
会計年度でありますので、本年の六月までの分は
アメリカの
予算ですでに決定したものに該当するわけでありますが、この七月以降は
アメリカで申せば、一九四九年から五〇
年度にかけての
会計年度の分に属するわけでありまして、この分につきましては、今
アメリカ本國において
審議中でありまして、すでに新
年度には入
つておるわけでありますが、目下
アメリカの
議会の
両院協議会で
審議中というふうに聞いております。これがきまりませんと、この
年度内に
アメリカ側の
援助が
幾らになるかということもわからないわけであります。またさらに
金額は
アメリカ側の
金額が確定いたしましても、その
アメリカ側の
会計年度に
幾らの金が出るかということは、対
日援助の
物資を買いつける時期によ
つて決定するわけでありまして、これに対しまして
日本側の
見返り勘定になり
貿易会計に入
つて参りますのは、
日本に
物資が到着してそれが金にかわ
つたときでありまして、この間にまあ通常四箇月ぐらいも時期的な
ずれがございます。そのために
アメリカである
会計年度に買いつけたものが、必ずしもその同じ時期に
日本側に入るわけではなくて、それが
ずれて入
つて來るわけであります。
会計年度に
食違いがあります上に、今のような時期的な
ずれがあります。また対
日援助の
物資が
日本に入
つて参りますのが平均的に必ずしも入
つて参りませんで、あるときにはどんどんと入
つて参りますし、あるときには少しとだえるというような
傾向もありますので、從いまして本
年度この四月から
來年三月までにどれだけの対
日援助物資が
日本の港に到着するかということは、なかなか予測困難なのであります。そういう予測の困難であります際に、
日本側で
予算を組むのにどういうふうにしたかと申しますと、これはま
つたく腰だめでありまして、千七百五十億という対
日援助の
予算を
——今の
見返り資金の
予算を計上いたしたのでありますが、これは今のようないろいろな
要素を頭におきまして、相当想像に属する
部分もこれを推測によ
つて埋めまして、これによ
つて計上した
金額であります。しかもその後に対
日援助の
数字が変更いたしておりますし、また
為替相場も
予算を決定した後に変更にな
つておりますので、この千七百五十億という金が、一体
幾らの金にな
つて、
幾らのものがこの
年度内に使えるかということも、まだ的確にわか
つておらないわけであります。從いまして
計画を立てますにあたりましても、そういうようないろいろの推測的なものを含めて立てなければならない
状況にあるわけであります。それからなおこの七月から來年の六月までの
アメリカの対
日援助予算が
幾らになるかということはまだ確定しておりませんが、これは
新聞紙上で御
承知かと思いますが、
アメリカの
政府の原案は四億九千万ドルの
援助計画を
議会に提出いたしたのでありますが、
下院の
歳出委員会におきましては、これが一割五分削減になりまして、それが
下院の本
会議に参りまして、たしか七分五厘の減というところまで復活をいたしたのでありますが、それが
上院の
歳出委員会に行きまして、一割減というところまでまた減らされまして、それがまた
上院の本
会議に行きまして一割減のままで一應決定をいたしたのであります。
上院と
下院と話が
食違つておりますために、さらに
両院協議会を開いて今檢討中というふうに聞いております。從いましてこの七月から
來年六月に至る対
日援助の
金額もきまりませんし、またそれだけのその間の
ずれがありますし、いろいろな不確定な
要素があるわけであります。こういうことが的確な普通の予策の場合のように、何十何円というところまでの
計画をあらかじめ立てまして、それによ
つて運用して行くことができないのであります。しかしながらただ漫然として無
計画でやることもできませんし、また
予算の際にも、ことに
政府の
歳出と
関係のある
部分につきましては、その当時から檢討をいたしまして、
鉄道会計に百五十億、
通信会計に百二十億、これは
予算の際にすでに
國会の御
承認を得た
内訳として載
つておるわけでありまして、それ以外のものを何に出すかということは、これは随時その後において決定することにな
つてお
つたわけであります。そこでこれを
運用するにあたりまして、どういう
手続でも
つてや
つて行くかということでもありますが、これは
一般的に
安定本部が
資金の
計画を立てることにな
つておりますので、
國家資金計画の重要なる
一環といたしまして、
安定本部が大体こういう
運用をしたいというような
計画を立てたのであります。これはもちろん
計画でありまして、その実行の衝に当りますのは、これは
大藏省がこの
資金の
管理者としての責任をとるわけでありまして、その間に分界ははつきりいたしておると思います。もちろんその際に
大藏省と
安定本部とは非常に緊密な連絡をとりまして、
計画を立てるに際しましても
大藏省はいろいろの協力を惜しみせん。またその
運用につきまして
安定本部からいろいろと御
注文を承
つておるわけであります。そこでいま一應閣議におきまして檢討されましたところの
運用の
計画というものは、
関係筋の方に提出をいたしてございます。しかしながらこの
運用をどういうふうにや
つて行くかということにつきまして、実は
関係方面の内部と申しますか、この問題につきましての
最高の
機関は
アメリカにございますところのNACという
機関でありまして、ナショナル・アドヴアイゾリ・カウンソルという
機関が
ワシントンにございまして、そこが
財務長官、
商務長官、それから
連邦西備廳の総裁とか、それから対
欧援助の
長官のホフマン、すべてそういう方の
最高の
権威者を網羅しましたところの
諮問協議会のようなものがあるのでありまして、そこが
対外援助に対する総元締めであります。そこの
根本の
方針にすべてのつと
つてやるのが
アメリカ側の
考え方であります。今実は対
日援助見返
資金をどういうふうに使うかということについての
根本方針も、
ワシントンの方に照会中というふうに聞いております。從いまして今の
根本の
方針としてどういう
やり方をするかということも、大体の見当はつけておりますけれども、
関係筋の方の的確な
意見というものは、まだ実はこちらに参
つておらないのでありまして、そういう
関係がございますので、実は全体の
計画として
向うに提出したものにつきましても、
関係方面からこの
計画でよろしいとか、いかぬとかいうことは
言つて参つておりません。問題はむしろ
個々の
申請を檢討いたしまして、現在のところはこれが認め得るかどうかというところで、
一つ一つ解決して行くという形勢でございます。しかしながらできるだけ
日本側でも
つて一般の
方針にのつとる限りにおきましては、こちら側から
自由裁量の余地を開かしてもらいたいというふうに交渉はいたしておりますが、先ほど申し上げましたように、
根本におきましてこれが対
日援助の
見返りであります
関係から、
アメリカ側の相当の支持を受けるためには、さつき申し上げましたようにこれは
日本のみでなく、やはりヨーロッパにおいても同樣の
事情でありますからやむを得ないところであると考えております。それで現在までのところ一体どういう
状態にな
つておるかと申しますと、
貿易会計の中から
見返り資金の方に入りました金が七月一日に百億、八月一日に第二回といたしまして百八十億繰入れをいたしたわけであります。さらにその次の第三回分のは今計算中でございますが、これまた百数十億
幾ら入れることになろうかと思います。これは近日中に決定するものと思います。
こういうふうに対
日援助の
物資が
日本にどんどん入
つて参りますと、港に着きますごとにそれを調べまして、対
日援助の
物資であればそれの
代金を
貿易会計に拂い込んで行くわけであります。その拂い込んでたつまたみのを、一箇月または一
箇半たちまして整理がさきますと、それをまとめて今のように百億なり百八十五億という金を
見返り資金貨別会計の方に移しかえるわけであります。この移しかえたものを
政府の
会計なり、あるいは民間の
企業なりに
放出をいたすわけであります。そこで現在のところすでに
放出をいたしましたものが、第一回といたしましては七月二十六日に
鉄道会計に五十六億、
通信会計に約十四億、合せて七十億というものを出したわけでありまして、これを両
会計の
建設資金として使うことにいたしたわけであります。それに次ぎまして第二回といたしまして、やはり
鉄道に三十一億、
通信に二十六億、合計五十七億というものが本日けさ実は
関係筋からの
承認が出まして、ここで約百二十七億というものが
関係筋からの
承認を経て、すでにこの金の中から使われたわけでございます。しかしながらまだ百二十七億
使つただけでありますが、一方で入
つた金は二百八十五億あるわけでありまして、さらにそれがふえる形跡にありますので、一方でこういうふうに
資金がどんどん
見返り資金の方へ集ま
つてしま
つて、しかも片方でこれが
放出できないということになりますと、
金詰まりの一層はげしい
状態を呈することになりますので、これをなるべく早く
放出いたしたいということを、
資金的な面からは非常に要望しておるのでありますが、先ほども申し上げましたように、
関係筋側の
根本の
態度がきまりませんこともありますし、またそれ以外
あとで御
説明申し上げますが、いろいろの
原因によりまして、
許可申請書のまだそろ
つていないということもございますし、そういうようなことから金が今のところはたま
つている
状態であります。しかしながら
こうやつて金を
いたずらにためておきますこともまたぐあいが惡いので、最近
関係方面の方の
承認を経まして、この金を
糧券に
運用することにいたしまして、
食糧証券を買いつけまして、臨時の
金融をいたしておるわけであります。これによ
つて少しでもこの
資金が
金詰まりになるということのないように、遊んでいる金を活用するように配慮いたしておるわけであります。これはまだどの
程度糧券を買いますか、その
方法その他について今打合せ中でありますが、
方針といたしまして
糧券に
運用いたしますことを、
関係筋の
承認を得たわけであります。
こういう
状態でありまして、それでは
申請書の方がどういう
状態にな
つておるかと申しますと、これは八月十七日現在で十一件出ております。
金額が十三億円ばかりのものが出ております。しかしながらこれはあまり大きいものとは言いかねるのでありまして、その
内訳を
個々の
会社につきましては申し上げない方がいいということの結論にな
つております。というのは
会社別に申し上げますと、その
会社の
いろいろ信用にも
関係がございますので、
事業別にごくざつと申し上げますと、十一件のうち
電力が三件、石炭が一件、船舶が一件、肥料が三件、
硫化鉱が三件、十三億四千四百万円が今のところ
申請されておる
数字でございます。こういうふうにあれだけ
見返り資金のあちらこちらから要望がありながら、非常に
申請書が少いということは、これは
政府といたしましても多少こういうふうに遅れたことについて遺憾に思
つておるのでありまして、これは
一つは今のような
申請の
手続が決定いたしますのに多少時間がかか
つたのでありまして、これは初めてやることでございまするし、また
関係筋といたしましても相当詳細な
資料を
要求するのであります。これは
日本側の
世間ではいろいろの
デマが飛んでおりまして、この金を借りるにはトラツクに
一ぱい資料がいるというような話がありますが、それは
デマでありまして、そんなに厖大なものではありませんけれども、しかしながらやはり相当いろいろの
資料が
要求されております。ことに
償還計画をこういう
経済界の
状態におきまして
將來にわた
つて立てることには、
会社としては相当の困難があろうかと思います。そういう点で少し遅れておるということがあろうかと思います。またもう
一つの点は、これらの
條件、たとえば
金利とか、
期限とかいうことにつきまして、はつきりした決定が現在までのところ示されない。もう少し待
つたらどういうふうにかなるんじやないかという点の氣迷い
状態がありますために、
会社側としましても
申請が遅れておるというような点もないとも言えないのであります。こういうような
事情で
会社側の方からの
申請書はあまり出ておりませんが、出た
申請書につきましては
大藏省でこれをまず
簡單な審査をいたしまして、これについて
関係筋から
要求されておりますいろいろの点が満足されているかどうかという点を檢討いたしますが、これを
いたずらに長く
大藏省にあたためておくようなことのないように、なるべく早く
関係筋に持ち込んで話をするようにいたしております。しかしながらまだこの十一件につきましては
許可の出たものはございません。
関係方面にも大体の話はしてございます。なおいろいろと折衝中でありますが、これを一刻も早くどれかものにしたいものと思
つております。なおこの
申請書は現在までのところはこういうふうに割に少いのでありますが、話を聞きますと、たとえば
電力関係その他におきまして、寄り寄り話が進んでおるような話もありますので、もう少したちまして
來週あるいは再
來週あたりになりますと、相当まとま
つた申請書が出て來るんじやないかと思います。それに伴いまして、
アメリカ側の方の
態度もはつきりわか
つて参りますれば、急速に進展するものと期待しておるわけでございます。こういう
状態でありまして、
見返り資金は今のところは相当
資金がたまる
傾向にあることは事実でございますが、この
たまつた金をむだに遊ばせないために、短期の融通に
糧券を買
つておる。そうしてまた話が一方でできる限り早く進みますように努力をいたしております。これができますれば金がだんだんとまわ
つて行くと思うのであります。ただ全体の
考え方の
方針といたしまして、これは
ちようど予算の
編成当時
ドツジ公使が考えておりました構想は、つまり從來の
日本の
インフレーシヨンというものは、大体
財政の
インフレーシヨン及び
復金の
原因による
インフレーシヨン、この二つの大きな
原因によ
つて起きておるが、こういうものをとめて、それ以外にここに
一つの
資金のプールができまして、この
資金をいかに
運用するかということによりまして、國の
経済があまり
インフレになり過ぎるようならば、それが
資金を吸收する
役目を果す。それから全体の
傾向があまりに
デフレになるようであれば、これによ
つて緩和に役立たせるというふうな
——そのときにはてこに使うという言葉を使
つておりましたが、
インフレにも
デフレにも対処し得るような
一つの道具としてこの金を活用して、これによ
つてインフレならば
資金の吸收をはかり、
デフレならば
資金の
放出をはか
つて、
経済の安定をはかるというのがこの
資金の
運用の
根本でありまして、そういう点を
ドツジ公使は
——世間でよくドツジ・ラインというのは
デフレのラインだというふうに言われておりますが、
ドツヂ公使自身の
考え方は、私は必ずしもそれほど嚴格なものではなくて、もう少し
伸縮性のあるものと思います。つまり
デフレの
危險ということもそのころから
言つてお
つたのでありまして、その点から言えば相当
伸縮性はあると思います。しかしながらこの金がただ昔の
復金の二の舞を演ずるようなことがあ
つては、これは前の
インフレにもどるだけでありますので、そういう
方面にはやりたくないということをその当時から申しております。
從つておれおれとして希望しております、非常に多くの
企業の
要求を全部満たすということは、とうていできないことでありまして、ある
程度総額として削限をされるであろうということは考えられますけれども、われわれといたしましても、再び非常に
信用のない
企業にたくさんの金が出て、
インフレにな
つては困ると思
つておりますが、しかし同時に
ほんとうに有効な
事業に対し、できるだけ円滑に早くこの金が出るように期待をしておるわけであります。
大体の話として今のようなことを申し上げたのでありますが、なお
理財局の見返
資金課長も参
つておりますので、具体的の
お話について御
質問がございましたら、お答えいたしたいと思います。