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1949-08-11 第5回国会 衆議院 経済安定委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年八月十一日(木曜日)     午後三時三十二分開議  出席委員    委員長 小野瀬忠兵衞君    理事 首藤 新八君 理事 多田  勇君    理事 中村  清君 理事 森   曉君    理事 森山 欽司君 理事 高田 富之君    理事 金光 義邦君       足立 篤郎君    小川 平二君       志田 義信君    中村 純一君       永井 英修君    細田 榮藏君       勝間田清一君    高橋清治郎君       横田甚太郎君  出席國務大臣         國 務 大 臣 青木 孝義君  委員外出席者         経済安定事務官 内田 常雄君         経済安定事務官 色部 義明君         中央経済調査廳         次長      奧村 重正君         專  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  対日援助見返資金運用計画に関する件  産業経済関係施策に関する件     —————————————
  2. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 ただいまから会議を開きます。  今回の國政調査総括的報告に基きまして、本委員会決議政府に送付いたすことを、昨日の委員会において決定いたしました。その案文ができましたので、これから朗読いたします。    産業経済関係施策に対する要望事項  (1) 電力不足の問題は全國共通緊急打開を要する事項である。政府は速に対策を講じ、日本経済再建のために、既存施設補改修供供増加施策を急速に実施して應急処置に当てると共に、電源の開発による恒久施策を樹立されたい。  (2) 経済界の金詰り問題は電力問題と共に全國的であり、これが対策の遷延は全産業崩壞に陷入れる危險なしとしない。見返資金発動の時間的ズレのある今日、政府は早急につなぎ資金の融通その他の應急的融資対策を講ずると共に、金詰りの根源を究め、産業経済政策の全般に亘り應急並に恒久施策を速に講ぜられたい。特に中小企業金融及び農林水産金融並振興施策については画期的処置を講ぜられたい。  (3) 租税の重圧は各産業のひとしく訴えるところである。産業の根元を枯らさぬよう税制改革により合理的調整の策を講ぜられたい。  (4) 貿易施策上、輸出品生産指導方針國際市場の実体を把握し、需要國要望應づる生産政策を進められたい。  (5) 日本船舶外航承認を得られるよう積極的に努力を講ぜられたい。    殊に輸出品價格をROBからCIFにかえるよう施策されたく、日本品日本船によるとの原則実現のため努力せられたい。    輸出船並外航適船建造推進のための需要資金に対しては特別の考慮を拂われたい。  (6) 物價政策根本的檢討を加え、價格差益徴收は廃止の要望多き現状に鑑み再檢討せられたい。  (7) 東北、北海道における鉱業開発政策を急速に樹立し、その実施を急がれたい。    特に、銅鉱業硫化鉱業自立経営を可能ならしめるため適切な施策を講ぜられたい。  (8) 炭鉱業開発には、旧坑の整理と炭質炭層條件並地理的條件考慮した稼行開発に重点をおき、新技術の導入と資金難打開策を特に講ぜられたい。    炭鉱地帶坑害土地陷沒による被害)の促証は、國家的災害補償制度を確立されたい。  (9) 燃料資源としての天然ガス開発に対しては特に考慮を加えられたい。  (10) 寒冷地單作農業地帶に対しては特に所得税の軽減を計り、配給物資にも考慮を加えると共に適地適作主義に基き土地改良に主点をおかれたい。  (11) 治水治山のためにも過伐荒廃地造植林努力し、災害対策を至急樹立されたい。  (12) 戰後の漁業海区の制限による沿岸海域における一部濫獲と海流変化による來遊漁族群の減少に備え、魚田の培養と開発積極的施策を講ぜられたい。  (13) 産業の動脈たる運輸交通通信施設の老廃と低速度低能率日本産業再建に致命的である。政府は速に施設の改善と速度の回復による輸送、交通通信能力増進策を講ぜられたい。  以上により、本委員会決議開係当局に送付いたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 それではさよう決定いたします。  なおただいまの決議経済安定本部総裁農林大臣大藏大臣通商産業大臣経済安定本部総務局長に対しこれを送付することにいたします。それでは青木長官がお見えになつておりますので、本決議に対する御意見を求めます。
  4. 青木孝義

    青木國務大臣 ただいま委員各位國政調査班として、このお暑いときにもかかわらず日本全國にお出向きいただきまして、とくと御調査をいただきました現状把握ということに対しましては、私あつくお礼を申し上げる次第でございます。ただいまおきめをいただきました各條項につきまして、私どもかねてから経済安定本部として、それぞれ研究もいたしておりますし、またそれぞれ努力もいたしておりまする暑中でございます。特に電力問題あるいはまた金融の問題、税租問題等昨日あたりもこれらの問題を中心として、特に價格差補給金等にわたりまして、閣議においても檢討をいたした次第でございます。各委員がここにお集りになりまして終始熱心に御檢討をいただき、しかもこの御決定をいただいて御勧告をいただきましたことは、私どもにとりましてもまことに重要なことと存じまして、あつくお礼を申し上げる次第でございます。なおこれを十分拜見いたしまして、われわれの努力の欠けておる点はこれを補い、また研究の足らないところは十分研究をし、皆樣の御意思に沿うよう万全の努力をいたしたいと存じます。まことにありがとうございました。
  5. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 この際勝間田委員から発言の御要求があります。これを許します。勝間田委員
  6. 勝間田清一

    勝間田委員 先ほど懇談会の際に、大方の御賛成を得たことでありますが、最近の経済実情というものは急速度変化を遂げておるのでありまして、これに対する正確な実情把握並びにそれに対する見解を持つということは、非常に重要だと実は考えるのでありまして、その意味で特に最近産業経済に重大な関係のあります集中生産方式、あるいは能率生産方式というものがはたして的確な方式であるか、特に中小企業との関係上きわめて重大な施策でございますので、これに対する実情調査と、それに対する見解をさらに明らかならしめることと、それから最近企業整備が非常に進展いたしつつありますけれども、その間においていわゆる時局に便乘いたしまして、必要以上の首切りを行つておるというような事情も考えられますので、これまた実情把握と、それからこれに対する見解を明らかならしめるという意味で、この経済安定委員会で至急この問題を取上げて、そうして時局下に御協力申すということで、ぜひ進まれていただきたいことを私ども希望いたしておるわけであります。
  7. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 先ほど來勝間田委員から御熱心に集中生産の問題、それから企業整備問題等について御発言がございましたので、後日十分に時間をとりまして再檢討してみたいと思つております。これにつきましては散会後理事会を開きまして、日程等について御相談申し上げたいと思います。     —————————————
  8. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 ほかに御発言ございませんか。——発言がございませんければ、引続き対日援助見返資金運用計画につきまして、経本財政金融局長内田常雄君から御説明をお願いします。なお本問題は現下わが國経済界諸般事情よりして緊急を要する問題でありますので、特に詳細かつ具体的な御説明をお願いいたします。
  9. 内田常雄

    内田説明員 御説明を申し上げます。対日援助見返資金の問題については、第五國会の開会中に御説明を盡したつもりでおりますが、その後最近の事情はこういうことになつております。見返り資金予算についても、金額は御承知通り千七百五十億になつておりますけれども、その後アメリカの対日援助すなわちガリオアとかイロアの予算が今日まだ最終的には決定しておらない。アメリカの一九五〇会計年度は今年の七月一日から始まつているのでありますけれども、まだ学終的にはきまつておらない。私どもが千七百五十億を日本予算として計上いたしましたのは、御承知のようにアメリカ援助額を年間五億ドル程度に見て、それに新しい為替レート三百六十円を適用して、この金額が出たのでありますが、その後の推移アメリカ援助額が多少減るような状態も見られておりましたし、またアメリカ援助額自体があまり減らないにしても、日本会計年度に今年の四月から來年の三月までの間の見返り勘定として、円の金としてたまる金額ずれがあると申しますのは、かりにことしの四月にアメリカ援助物資アメリカ援助予算日本に供給する物資が購入されたとしましても、それが日本側に引渡され、かつ日本側に引渡されたものが日本の國内で賣られて、現実見返り資金たる円が政府勘定に入るのにそこにずれがある。從つて來年三月という会計年度で切ると、現実には千七百五十億円という金額よりも、もつと少い金より運用できないだろうということが実行的には見込まれるので、その後私どもが立てました金額安全率を見まして、千四百億円ぐらいの金について輸入計画を立てております。この点が國会閉会後の新しい事情一つだと思います。この千四百億の使い方ですが、これもすでに各位が御承知のように、そのうち百五十億は当時の日本國有鉄道特別会計に対する公債引受け、その後國有鉄道特別会計の仕組みが公社にかわりましたから、公債引受けではなしに、鉄道公社貸付金というふうに自動的にかわりましたから、この鉄道関係貸付金が百五十億、それから通信事業特別会計公債引受けが百二十億、会計二百七十億というのは、第五國会において成立した予算上、これも特別会計に入ることになつておるから、この二百七十億をまず差引く。そのほかに、これも当時御説明申し上げましたように、復興金融金庫のこれまで発行して來た復金債償還の問題がありまして、そのうちで三百億は一般会計から復興金融金庫現金出資が行われて現金で返されますけれども残りの約六百二十五億については、政府からの現金出資復興金融金庫に対して行われない。現金のかわりに交付公債復金に與えられる。復金はこの交付公債をどこかへ賣つて現金にかえて復金債償還する、こういう仕組になつておるわけですが、どこかに賣るといつても、どこにも賣るところがないから、結局この見返り資金復金に與えられる、復金債償還のための交付公債を買い取る、こういうことが仕組まれているわけでして、このために六百二十五億円の金が見返り資金から復金債償還のための公債買取りのために支出される。そういたしますと、会計千四百億の中で残り約五百五億円が、まあかたく見て産業的に使えるんじやないか。こういう計算から出発いたしまして、この五百五億円の使い方につきましては、その後関係方面とも折衝いたしましたところが、なかなかいろいろとむずかしい事情もありまして、この全額を当初からわれわれが希望する方面企業に対して使うことを認められないような実は状態がありました。そこでわれわれ事務当局としては、関係方面の意向をくみとつた上で、あまり問題のなさそうな、関係筋管理下に置かれる金のことでありますから、御承知のようにこれは関係筋承認がいろ。そこで関係筋があまり問題なく承認してくれそうな事業への貸出し計画をまず立てまして、残りのものは一應保留金(リザーヴ)にして、今後一年間の社会経済情勢推移によつてあとあと関係筋承認を受ける、こういうことにいたしたいと思いまして、約四百億円近くのもの、正確に申し上げますと五百五億円のうち三百九十億円を、水力発電とかあるいは船舶の購入とか、鉄鋼とか肥料とかあるいは土地改良というような、いわゆる企業産業に属するものに割当てまして、残りの百億円程度のものを今申しましたように留保にするということで進もうといたしましたところが、当時の新聞等において御承知のように、閣議といたしましては、政策としてかような留保金を置くよりも、残りの百億程度のものも、たとい関係筋の側において困難があつても、日本政府意思としてこれを各事業に割当てて、関係方面了解をとりたいということを強行せられました。しかもそれを割当てる際には、單なる企業産業という見地ではなしに、むしろ失業対策あるいは社会対策公共事業というような面から見て、狹い意味産業だけではなしに、もつと廣い意味事業に割当ててしかるべきだという決定に達せられまして、結局残りの百億程度のもの、正確に申しますと百十五億円を、災害復旧とか、あるいは住宅の建設とか、鉄道の電化、港湾施設、道路というようなものにも割当てまして、関係筋に持ち込んでおります。ところが、ありのままに御説明をいたしますと、やはりこの百十五億円の公共事業費的なもの、失業対策的なものにつきましては、今日まで関係筋の側の全面的な了承は得ておりません。さきに申しました三百九十億の産業的なものにつきましては、原則的な了解を得まして、この原則的な了解のもとに、あとは各それぞれの企業から一々の借入申込書を出さして、具体的に審査上金を貸し付ける、具体的な承認を與える、こういうことになつております。そして現段階におきましては、すでに御承知のように、この資金運用計画を立てるのは経済安定本部が立て、各企業なり事業への具体的の貸付の作業というものは、大藏省が担当するということになつておりまして、大藏省はこの具体的な貸付手続等に関する詳しい大藏省令をもすでに公布をされまして、現在のところでは以上の状況のもとに大藏省借入申込書審査をやつておるわけであります。そしてその資金の現在の状況は、まずこの金が入つて來る方では、この資金は御承知のように、千七百五十億なり、先ほど申しました千四百億が初めからあるわけではないので、アメリカの対日援助物資日本側に引渡されて、金にかわるに從つて随時繰込まれるものでして、その繰込みが二回にわたつて行われております。第一回は六月の末に百億の金がこの見返資金特別会計に繰込まれ、第二回は七月末、先月末に百八十五億円がこの金に繰込まれまして、会計二百八十五億円という金の種ができたわけであります。この二回の金の種というのは、第一回の六月末の金の繰込みは、本年四月中におけるアメリカ援助物資日本への引渡し額に大体相当するものであり、第二回目の百八十五億円は、本年五月中における対日援助物資日本への引渡し分に相当するものと、それから四月中に渡されたものとの清算分ということになつておりまして、このように対日援助物資が供給されましても、これが現金にかわつてこの会計に繰込まれるのは、現状では二箇月程度ずれておる、こういうかつこうであります。  ところでこの金の運用の面ですが、運用の面は率直に申しまして、いまだ十分活用される段階に至つておりません。わずかに鉄道通信に対しまして合計七十億円足らずの金が七月中に貸し出されただけであります。從つてなお残りの二百十五億円くらいの金が現在日本銀行にそのまま寢ておるという状態で、その他の貸付、つまり民間企業等への貸付は、一件も今のところは出ておりません。これは私ども先ほど申すように書類を出しておりませんから、詳しいことはわかりませんが、大藏省について尋ねましたところでは、その他の事業においては資金計画としては安定本部がつくり、すでに関係筋にも出してあるのですが、具体的な借入申込書は、昨年現在ではわずかに六会社からしか出ておらないということでありまして、まだ借りる方でもしつかり借りるつもりで、大藏省に対して大藏省令が要求する具体的な借入申込書も出して來ておらぬというような形にあるらしいのであります。先ほどお話に出て來ておりますように、今日いわゆる金詰まり、ことに産業設備資金が一般的に出方が遅れているという事情のために、いろいろ経済的な困難もある際ですから、私どもは一日も早く、すでに金ができておるわけでありのすから、この金を借りる方の会社も、貸す方の大藏省なりあるいはその事務を協力して担当しておる日本銀行の方も、両方が協力して早く産業界にこの金を出してもらえるように、安定本部としては希望をし、推進をしているというのが現在の状況であります。なお各業種別への、安定本部が先般立てました見返り資金割当計画というようなものがここにありますから、後ほどお出し申し上げますなり、あるいは別に差上げてもけつこうでありますが、一應状況は以上の通りであります。
  10. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 質問通告が共産党の高田富之君、横田甚太郎君、それから民自党の首藤委員その他からございます。発言通告順にこれを許すことにいたします。高田富之君。
  11. 高田富之

    高田(富)委員 ちよつと御質問したいのですが、第五國会のときに予算委員会質問がありました際に、政府としては今御説明になつたような時間的なずれは絶対に生じないように運営できるということを、大藏大臣は言明されておつたのですが、野党側質問、特にわが党の質問は、必ず時間的ずれを生ずる。特に当初千七百五十億というようなものを組みましても、これは一ぺんに入つて來るものではなく、しかも需要面では設備資金年度初めにおける需要というものは、すでに明らかになつておる通り一度に相当需要はあるわけですから、必ずそこにずれが生じて來るということを強く追究したにもかかわらず、そういうことは絶対ないということを答えておるのでありますが、その後生じましたこのずれについては、当時全然予測できなかつたとすれば、どうして予測できなかつたか。今になつてさつきもこちらから出しました調査團要望にもあるのですが、時間的ずれを生じておる現在——現在の金融難は、結局ここに大きな原因があるわけです。これについて見返り資金勘定を設定した政府当局が、まつたく何らの見通しをも持たずに、こういうふうに偶然的な事情に帰しておるような口吻でありますが、その間の事情をもう少し詳しく御説明願いたいと思います。
  12. 内田常雄

    内田説明員 大藏大臣のそういう御説明があつたのですか。
  13. 高田富之

    高田(富)委員 あつたのです。
  14. 内田常雄

    内田説明員 どうも私は関知しませんですからわかりません。しかしその時間的ずれというのは二つの意味があつて一つアメリカ援助が円に直る時間的のずれと、円にはちやちやんとなつてつても、貸す際に審査を行うためにいろいろなずれがある。こういう両方の面があると思うのです。
  15. 高田富之

    高田(富)委員 それがそのときの何でも大藏大臣の答弁では、事実上昨年度計画で向うが送つて來るものが逐次入つて來ておるのであつて、新しいアメリカ予算が七月であろうと何であろうと、それは全然関係はない。逐次入つて來ておりますから滯りなく行くのだという御説明つたのです。
  16. 内田常雄

    内田説明員 それならお答えいたしますが、その通りでありまして、アメリカ会計年度は七月に始まつて翌年の六月に終る。日本会計年度はそれよりも三箇月前の四月から始まつて、翌年の三月に終る。そこでことしについて言えば、ことしの七月にアメリカ会計年度が始まつて、七月以降にできた新しい予算日本に対する援助が行われるまでは、この見返り資金日本の國内にたまらぬかと言うとそうではないのであつて、昨年もアメリカ援助があつたわけでありますから、日本会計にたまるのは、アメリカの昨年の予算であつても、今年四月から入つて來るものはもうこの見返り資金たまつて來る。大藏大臣お答え通りであります。
  17. 高田富之

    高田(富)委員 それにしてもさつきの御説明で、四月のが今ごろ入つて來たり、五月のが最近繰入れられたわけでしよう。そういうようにひどい開きがあるのは、やはり向うから入つて來るものの処分とか、あるいはまた貿易会計の方の資金の問題とか、最近の貿易事情等を見ても、そういうことにやはり相当大きな計画の齟齬が來ておるというところに原因があるのではないですか。
  18. 内田常雄

    内田説明員 何か計算する方面のことで、私ども安定本部は担当いたしませんが、四月のアメリカ援助物資が入つても、それが円に直して幾らであるかということを計算するのは、日本の手で初めから買いつけてやつておるものとは違つて、はなはだ計算がむずかしいらしいのです。それで四月分の日本に対するアメリカ援助引渡し額を円に直すために、第一回に非常に手間どつて、なかなかフアイナルなものが出なかつたようですが、しかしいつまでかかつてつても時間をとるばかりですから、一應腰だめで間違いないところを出して、おおむね日本の円に直して百億円ぐらいだから、あまり時間をとつてもいけないから六月分に入れようじやないかということで、第一回分として概算百億円だけ入つたわけであります。第二回目の七月分、これは七月に円に直して入つたときに四月分の清算をして、その食違いが七月に五月の分と一緒に入つておるのですが、だんだんなれるに從つて二箇月近くも手間どらないで、たとえばこの次の六月分のアメリカ援助額引渡し分というものは、今月の終りにならないでも今月の中ごろぐらいに早く入つて來るというような手順がついて來ておるようです。ただ今まで金が出ていないということは、これは今のお話が、金が振り込まれているのは初めの間ずれておるということですが、金の出ていないことは、われわれの方としては関係筋の側に計画を早く出しておるのですが、とにかく日本に初めての援助資金が設けられた最初の年のことであり、ドツジ氏も帰られてしまつたあとであり、むしろ関係筋の側の方でもなかなか踏切りがつかず、ずいぶんこちらからも、安本も大藏省も各大臣定例会見の際に、早くこれを出すように催促しておつたのですが、初めてのことだというので遅れて來ておつたようです。これは今までのところは私はやむを得ない遅延と思います。別にその弁明のつもりではありませんが、今後金がたまるに從つて、國内で産業設備資金が枯渇しておるとすれば、いかにしてこれを早く活動させて行くかということにあると思います。
  19. 高田富之

    高田(富)委員 そうすると、今のお答え大分計算に手間どるといつた事務的なことのようですが、それにしてもどうも二箇月は少し長いと思うし、そのほかにやはり貿易会計の実際に繰入れる金の問題があるのではないですか。この間何でも大藏大臣があちら側に会われて、そうして一旦振り込んだのをもう一ぺん貿易会計の方にもどしてくれというような交渉をしたとかいう話を聞いておりますが、いずれにしてもこの際今のように詰まつてしまつて、滯貨は山になるし、また聞くところによれば輸入して來たものでも引取れない。現在量として引取つても賣る見通しもないというようなことで引取りも遅れて、相当輸入物資もストツクされておるというような話も聞いておりまして、事実上やはり振り込む金がたまらないために遅れるということが、相当大きな原因になるのではないでしようか。
  20. 内田常雄

    内田説明員 その辺は安定本部ではわかりません。これはその援助額の各月の引渡し額計算は、今までですと貿易廳、今度通商産業省の通商経理局ですか、そこでやり、あとの今度の金繰りの方の大藏省でやるということは、その辺のことは大体想像をつけるだけで安定本部ではわかりませんです。どうぞひとつそれはその方面に詳しい方にお聞きくださつて方がよろしいと思います。
  21. 高田富之

    高田(富)委員 それからこの見返り資金運用については、安定本部計画面責任者となつていて、それに大藏省日銀連絡員を入れて協議をされて、そうして決定しておるというように承知しております。そういうふうな行き方で計画を立てるということは暫定的な措置だろうと思うのですが、何かわれわれは新聞等でときどきこういうふうにきまつたとか、ああいうふうになつたとかいうことを非常に何回も聞くわけです。しかしその都度内容がかわつているということで、非常に何かそこに割切れないようなものを感ずるわけです。そのため業界でも非常にやきもきしたり、神経をずいぶん悩ますと思うのでありますが、これらの安定本部が責任を持つて立てる、何と言いますか、手続上の問題あるいは責任の所在の問題、そういうことが非常に明瞭でないような感じがするのです。これは現在各産業別配分計画なり、企業別配分計画なり、それらを立てるのについては、そういう機関で今後もそういうような方式でやつて行くつもりなんですが。非常にそこに不安がありはしないかと思うのですが、その内容をちよつとお知らせいただきたいと思います。
  22. 内田常雄

    内田説明員 産業別の割当とか企業別の割当計画は、これは経済安定本部で立てるのが一番好都合だと思いまして、今までそのようにやつて來ております。なぜならば安定本部では金融面だけでなしに、生産局であるとか、動力局であるとか、貿易局であるとか、企業面の機関が入つてつて、調整する建前になつておりますから、財政金融の具体面だけを担当する大藏省が自分だけのところでつくるよりも、適当な計画として実現するだろうということで、関係筋の完全なる了承のもとに計画案を立てる。具体的な貸出し事務なり償還計画なりになりますと、これは非常な厖大なこまかい償還計画なり、金利をどうするか、担保をどうするか、償還期間をどうするかというような問題があるのでありまして、これはもち屋はもち屋で大藏当局が具体的な手続事務としてやるのがいいということで、今のところあとの実施の段階大藏省日本銀行を協力機関として使つてやる、こういうことでわかれておるわけであります。これはあまりいい例ではありませんが、昨年の復興金融金庫がありましたときでも、復興金融金庫貸付計画は安本が中心になつて立てる。その実施は復興金融金庫自体が金融機関で理事長を持つてつたわけですから、復興金融金庫は利子は復興金融金庫でやり、金融機関としての監督は大藏省がやるというようなことでうまく行つてつたのですが、今度の見返り資金はたとい日本側計画として日本側だけで立ててもこれを現実に使わせるかどうかは、先に申したような担保とか金利とか償還期限とかいうような問題だけでなしに、関係筋管理下に置かれておるということが向うの声明にも指令にもあるわけで、一つ一つケース・バイ・ケースに関係筋承認したものでなければ出せないということになつておる。安本の計画としては、成立し発表されておるものでも、今度大藏省に早く出しさえすればそれで金が出るということにもならないので、非常にむずかしさがあるようです。
  23. 高田富之

    高田(富)委員 実際問題として安本でその計画を立てるにあたつては、どの企業がどこで何をつくるから幾らというようなことは安本でつかむのでなくて、実施官廳の方でつかんで、それを安本の方に持つて來て議論をしてきめると思うのです。だから結局その間でそういうふうな方式で行きますと、やはり各官廳に対する陳情であるとか、あるいはその他いろいろな面からの話がどんどん來て、そういうことからもなかなか計画がうまく立たないで、われわれ新聞で見るように、何回も何回も案の練り直しをせざるを得ないようなむずかしさが出て來るのじやないかというふうに考えるのであります。そういう点はどうなんですか。
  24. 内田常雄

    内田説明員 これは計画ですから、最終の一番簡單化した形においては、表をつくれば石炭鉱業に対して何十億とか、鉄鋼業に対しては枚十億とかいうようなことになるのですが、ただそれだけでは関係筋の方では計画と認めない。中の積上げの内容がはつきりわかつての集計でなければ計画ではないのだ、ただ石炭はおおむねこのくらいやらなくてはだめなんだ、鉄をやるのであれば、どの溶利炉をつくるのだ、どの平炉をつくるのだ、どこの輸送施設をどうするのだというみのを積み上げて、指令でこれだけ鉄については使いたいというのでなければ計画として認めないことになつておる。從つてたとえば八幡の溶鉱炉をどうこうするといえば、日本製鉄株式会社の個々の溶鉱炉ということになるし、それから大阪のある平炉をどうするといえば、扶桑金属株式会社の平炉をどうするという会社ごとの問題にまで入らざるを得ないのです。これは安定本部だけがかつてにつくろうと思つても、鉄鋼業に平素タツチしておる役所は安定本部ではないから、それは今までの商工省、通産省の鉄鋼局が、大体鉄の一番の弱点はここにあるのだから、ここをこうしてもらいたいということでそこに持つて行く。安定本部でも生産局があつて、これも全体として見ているから、結局具体的などの部分をどうするということは、商工省で安定本部の生産局から材料をとつて安定本部では計画の中味にする。具体的に貸し出すときには、今度は大藏省がおおむねその線に沿つて審査をして貸し出す、こういうことになるので、貸し出すところの大藏省が初めから自分でどの溶鉱炉をどうやるということは、大藏省は金の役所だから大藏省だけでもできない、こういうことなんです。なかなかめんどうなものであつて、役人が寄つてたかつて会社のどういうことをやるというようなことが、きわめて弊害を伴うということは、私どもが考えても世間は心配するだろうと思いますが、しかしきれいごとを言つてつてもわからないので、結局役人でもだれでもいいから、この金を何会社のどこの溶鉱炉をどうするのだということを騒がざるを得ない。役人はのけのけ、何でもいいから五十億円程度やればいいんだと言つてつたんでは、だれがしまいにはやるんだ。それは銀行家にまかしておつたが、それは銀行家ではないのだ。計画を出す際にとてもきわどい問題にまで持つて行かれる。しかし今度遅れたと申しますか、なかなか計画がいろいろあつて遅れたのであつて先ほど申しましたように、この際政府が思い切つて、むずかしいものでも何でも日本政府意思として関係筋に出すべきである。道路でも港湾でも住宅でも、政府がいけないと言つてもやつてもらいたいということを政府に出そうじやないか。閣議の方でも日本國全体的に考えてそれはむりだと思うものでも、かもうことはないから関係筋閣議決定だということで当りたいということで、そういうところまで入りこんだというところに、その間いろいろの見返り資金計画として傳えられたことも事実のようです。決して私ども政府の方では惡意も遺漏もなかつたと私は思います。
  25. 高田富之

    高田(富)委員 われわれが新聞なんか見ておつては、案なんかも何回も直されておることに非常に暗いものを感じたわけです。それから最後に今の御説明にあつたように、百億ですか、公共事業関係とか、予算の補正的な社会事業的な性質のあるものに出すと閣議決定して割当てることにして出した。同時に新聞等でもこれは相当宣傳されまして、失業対策費が何百億出るとか何とかいつて、非常に國民は見返り資金に対する期待をかけたわけですね。ところが今の御説明で、その方はちよつと見込みないというような話なのですが、そうなると相当政府としては六・三制の問題にしましても、災害復旧の問題にしても、失業対策にしても大体見返り資金にたよつている。前の議会の説明でもそうだつたのですが、非常にたよるような氣があつて、最近までもそういう案で出しておる。しかしこれがだめになつたということになると、やはりこれに対しては相当大きな問題がそこに残るので、簡單に、出してみたけれどもだめでまた引つ込んだということでは済まないと思う。それからなお残りの方の今説明になりました三百九十億、これの方は原則的には許可になつたというような御説明ですが、これの方もはつきり大丈夫になつておるのか、あるいはまだ向うで檢討されておるのか。この間なんでも商工委員会の方では、相当その点はむずかしいような説明政府の方からあつたらしい。そうなると今まで何回も何回も寄り集つて計画を立て、また立て直しをして今日まで相当骨を折つて來たのが、結局全然だめというようなことにもなつて來るのじやないかと思うのですが、どうですか。
  26. 内田常雄

    内田説明員 最初のお尋ねの公共事業費の百五十億円についてはだめではないのです。ただ先ほど申し上げましたように、向うがこちらの計画に対して、ただちにこれはよろしいといつて取上げるという容易さは得られないで、関係筋の方も非常に愼重に構えて、もう少し今後の社会経済情勢推移を見てから発動するということにしたい、こういう意向が強いようで、これはよろしいから道路でも港湾でもすぐ借入申込書を持つて來いとは今のところ言うてくれない。しかしだめではない。これは私ばかりでなく大臣方が関係筋の最高方面に当つておられるので、とにかく日本政府がどう考えるか、できるだけ日本政府の希望をもしんしやくしてそれから決定したいと思うから、公共事業費的なものでも何を希望するかということを出してもらつてけつこうだということを向うも言うてくれておる。その上で出しておるので、だめのものを出していつでもだめになつている、ただ國民をだましてつつているのだ、ひつぱつているのだということではありません。あとの方のお尋ねの産業資金的な三百九十億については、これは原則的によろしい。あとは一々の具体的計画企業別の具体計画なり償還計画なりが確実であるかどうかというようなものを、会社ごとに洗つてOKをするから、一つ一つ借入申込書を出しなさい、こう言うておるわけです。先にも申しましたように、昨日くらいまでにすでに六つの会社について借入申込書が出てこの審査を受けている。あと船舶とか造船とかいうものは御承知のように金額も多いし規模も大きいし、それから借入書式のようなものもなかなか複雜なもので、相当厖大な書類にもなるようですから、引続き各会社大藏省と打ち合せて提出の準備をされておるということです。御承知のように前の復興金融金庫のように、日本自身でつくつた金ではなしに、アメリカ援助であつて見返り資金であつて、向うの管轄下に置くということを宣言している金であつて、相当のある仕事だものですから、そこが國内の資金とはなはだ趣を異にするという点は、ひとつ御了解を持つていただきたいと思います。なおこまかい細工は、何べんも申しますように大藏省段階に移つて大藏省がこまかい細工をやつているということですから、安本としてはこれ以上お答えできない。
  27. 高田富之

    高田(富)委員 重要な点だけもう一つ二つやりますが、結局今のあなたのお答えの中にもあつたのですが、原則的には許可してもまた諸般の情勢によつてはどうなるか結局わからない。この前も千七百五十億のやつが千四百億になつてしまつておるし、これから先またポンドの方が切下げになつたりどうこうということも考えられないではない。またいろいろの関係であるいは輸出の方の計画も大分齟齬を來しておるし、今後また千四百億を來年三月までにというような、一應のこちらの取らぬたぬきの数字はありましても、これについていかに計画を立てましたところでどうなるか結局これはわからない。ことにこの間アメリカあたりの人に聞くと、議会の論爭の中には、対日援助見返資金の中で米軍の給料を拂つたらどうかというような案さえ出ている次第であつて、今後の風向きによりましては、これはほとんど期待できないようなものになることも考えておかなければならない。おそらく実際にふたを明けてみたら三百九十億で大体許可になつたものが、申込みは幾らもあるまい、手続もむずかしいし、利息はどうということで、申込みは事実上驚くべく少いという実情から見ても、今まで政府が議会においてあるいは新聞を通じて、國民や業界にいろいろな期待をかけたような行き方で行くと、どえらい失敗を來す。むしろ現実はこれにたより得ないということであつて、もうすでに資金問題も相当逼迫しておりますけれども、これを解決するのに、今のような行き方で見返り資金の將來に期待をかけて解決しようというようなことは不可能なことを、まずここではつきりさせないと非常にこれは大きな問題となると思う。安本としては計画だけで実施の方はわからぬというわけでありますが、しかしこれは重大なことで、計画を立てましてもなかなか千四百億というやつがどうなるかわからないというのが実際だと思う。そういう点からこの見返り資金運用を始めた現在に至つては、当初のような政府の樂観的な考えは相当ここで修正されていると思うのですが、あなた方特に第一線で計画に当つておられてそういう感を強くされておりませんか。
  28. 内田常雄

    内田説明員 私はこう考えております。企業でいる金は見返り資金の三百億なり三百五十億とかいうものだけではなしに、私どもがちよつと当りましても、手にひつかかる事業設備資金だけを見ましても、今日も一部新聞に出ておりましたが、千九十億くらい金がいる。商工省所管の企業設備資金計算してみたものが——これもこの間新聞に出ておりましたが、七百なんぼというようなことで、全体としての資金所要量はもつと大きい。それを私どもは子供がようかんを切るように左から切つてつて、これは見返り資金、さらにこれは社債というようなことではなしに、表をつくるとそういう表しかつくれませんが、実際会社が必要とする金は見返り資金で調達する分と、増資で調達する分と社債で調達する分とあるわけですから、今日幸か不幸か今年の均衡予算あるいは世に言われる超均衡予算として、償還金が相当日本銀行に帰つている。日本銀行もこの際相当マーケツト・オペレーシヨンで、日本銀行に帰つてくる金をいま一ぺん金融機関を通じて産業界に出してもいいということでその態勢を整えておるので、いる金は、見返り資金が遅れるようならば、一番手取り早い社債——現在は二十億くらいの社債はどんどん発行されており、増資も去年に比べものにならないくらい株式事業不振なりといえども相当行われている。しかも五十円の株に対してプレミアムをつけると、実際は会社には八十円も百円も入るというような新しい事情もありますから、どの分からでも早い分から会社をして金を調達させる。また貸出しについても日本銀行のマーケツト・オペレーシヨンを根底にして融資あつせんをやつて見返り資金のつなぎとか何とか言わないで、必要な金はいろいろな方法で早くつけさせたい。申すまでもなく私は設備資金については、今は設備資金の手入れの好機であつて、あまり遅れて秋になつたり、冬になつたりしてからでは工事もできないことですから、今のうちにそういう方面から全部つけて行く。見返り資金が遅れたなら見返り資金あとまわしに使つてもいい。こういうふうに実際的に指導して持つて行くべきではないかと思つております。從つてどもはあの見返り資金はとても出ないからあきらめろということを、この際あらためて世間に言い直すつもりもありませんし、どれでも手取り早く設備資金を出して行つたらと考えております。
  29. 高田富之

    高田(富)委員 今のお話で大体わかつたのですが、そういうふうに見返り資金以外のもので設備資金でもなんでもどんどんまかなうような方針で、今後行かなければならないということだと思うのです。それにしてもなかなか設備資金などは市中金融ではできないと思う。相当問題があるのですが、それは別としても、見返り資金を見返りとしたつなぎ融資についても、一々やはり見返り資金を借りるときと同じように嚴格な向うの審査を必要とするのですか。
  30. 内田常雄

    内田説明員 そういうことにはなつていません。かりに見返り資金のつなぎとして出された場合には、つなぎとして出された事実をも向うが十分に親切に考えて、あと見返り資金の具体的な使用の許可をしてやろう、こういうところまでは向うが言つております。ただ何でもかんでもつなぎを出しておけば、それを既成事実として必ず見返り資金を出してやる、こういうことまで申してはおりません。先ほど私が申した社債でも増資でも何でもできるものなら先にやるということは、見返り資金のつなぎとしてということではなく、ある会社が十億円金がいる場合には見返り資金で五億円、社債で二億円、増資で三億円というような計画になつておるものですから、その際に社債と見返り資金と一緒に早くして、見返り資金を先に使つてからあとゆつくり増資するということではなしに、どれでもできるものから早くやつて行く、できない場合には狹義の見返り資金ということもやり得る、そういう例もあります。さように実際的に指導してやつて行くべきだと思います。
  31. 高田富之

    高田(富)委員 それではいよいよこれで終りますが、この前御説明を伺つたときには、資金計画で千六百億円の設備資金の中で、たしか七百億円は見返り資金で出るというお話つたのです。これが最近になつて大きくかわつて來ておると思うのです。從つて当面現在の状況のもとで、全体の資金計画というものは大幅にかわつておると思うのです。その資金計画の大幅にかわつたものをきようでなくてもよいのですから、あとででも数字的にちやんとバランス・シートを示していただきたいと思います。
  32. 内田常雄

    内田説明員 これは非常にむつかしいことを持ち出すようですが、私どもは決して豹変改節したわけではないのです。御承知のように経済情勢が昨年から今年、最近にかけて非常にかわつて來ておるのです。昨年までは資金計画というものが成り立ち得た、あるいは配給割当計画というものが成り立ち得ても、最近はそういう狹い意味計画というものはだんだんなくなつて來ておる。廣い意味の総合計画とか総合政策というものは残るでしようが、狹い意味計画というものは御承知経済環境からはむしろない方に持つて行かれておる。私はむしろそれがよいと思いますが、統制撤廃とか、公團の廃止とか、統制物資の廃止とか、復金の廃止とかいうことが一連のそれを示すものですが、資金の面においても日本全体の設備資金が何百億円いる。これをどの方面から何億円調達すると言つても、計画的にぴちつと合せることができなくなつて來て、大体需給の見通し、推算というような言葉をもつて置きかえなければならぬような事態になつておるので、從つてさつき私が申しましたように、商工省が自分の所管の事業七百億、安定本部がその他の分をも入れていろいろ考えてみると、手に当るものが千百億円くらいいるということは、この前の千六百億円といつたものを千百億に圧縮したとか、甲の計画を乙の計画に置きかえたというものではなしに、われわれは昨年においては当初の感覚と同じ感覚で資金計画千六百億、これをどういう方法でどう調達するかという供給計画までつくつてみたわけですが、今日ではできない。また資金の面についても設備資金だけでなしに、いろいろの面の資金ができて、整理運営資金の面が非常にむつかしくなつて來ておる。たとえば滯貨資金であるとか、統制の撤廃に伴つていろいろ新しく考えなければならぬ資金が出ております。たとえば配炭公團をやめるとすると、今までは公團が金をつくつて石炭を片つぱしから買い上げておつたから問題がなかつたけれども、今度は個々の炭鉱業者が販賣業者に炭を賣る。販賣業者は需要者から資金を得る。そこにやはり運轉資金がいる。あるいは滯貨資金とかその他の統制解除に伴つていろいろな意味の商業資金が出て來たりしておりまして、最近の経済情勢の推移に関連して非常にかわつて來ておるので、私は昨年までのように資金計画幾ら、これを先ほど申しましたようかんを切るようにこうなるということは言うまいと思つております。但し盲めつぽう何にも見当がつかないということではなしに、大体需給を推算すると、こういうことになつてデイス・インフレのわく内に入る。それを時々決定して行くよりしかたがないと考えておりますが、これは実はなかなかむつかしいのでございます。時々と言つても今までどう見ておるかというと、今必要とする資金をより早く集め、それをこういう方法で調達するということは一應案はありますが、これは穴だらけのもので、これを皆さんにお目にかけてもとても満点を得るものではないのですから、もう少し情勢の移りを見て、大体こういうものであろうというのができましたらごらんに入れたいと思います。
  33. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 それでは横田委員発言を許します。
  34. 横田甚太郎

    ○横田委員 今の答弁を聞いておりましたが、大体計画がない。番頭みたいにむちやちやを言つておる。九原則とか十原則とか、今度は聞くところによれば八原則の指示があるということである。とにかく簡單に質問いたしますと、米國から來ておる対日援助見返資金というものはアメリカが得意のドルで、しかも金のままでどかつと貸してくれた。それで支那で安い物を買いなさい。ロシヤで安い物を買いなさい。おれのところに安い物があつたら買いに來なさい。自由貿易の態勢で自由に安い物をまわしてくれるならいい。どんどん物で入れてくれるのは日本がほしい物とは違う。戰爭が終つたときは黒パンでよかつたが、今は黒パンでは困るというところまで來ておる。資金計画というものは計画があつても立たないもので、論議をする場合には貿易廳などの方を中心にしてやらない限りにおいてはできないものだと思う。今内田君も言われましたように、初めは千七百五十億入るはずが千四百億で、三百五十億値切られてしまつたかどうか知らないが、そうなつてしまつた。私の質問貿易廳関係のものになるかもしれないと思うのです。そのときに貿易廳関係の方がおられなかつたら、適当なる機会に文書なり委員会を開いてやつてもらいたい。これだけ前置きをして質問をいたしたい。  第一、町には金詰まりが非常にある。欧州においてはマーシヤル計画が非常にうまく行つたと言つておる。それの燒直しというものが日本にいいということでやられて、しかも金詰まりが起らないでうまく実行できておるはずにもかかわらず、日本には非常に金詰まりができておる。こういう点において対日援助見返資金あるいはまたこれに対する特別会計がありながら、どういうわけで安本の計画あるいは政府計画がぐずついて、ぐうたらなものになつて実現できないか、それを一應簡單に聞きたいのです。
  35. 内田常雄

    内田説明員 簡單にお答えしますが、さつきから私も政治的答弁ではなしに、事務官僚としてのありのままを申しておる。しかも安本としてわかることをそのまま申し上げておるのです。今あなたのお尋ねくださつたことは全部それに当るのですが、前の正直なお答えをもつて御判断願うよりほかはございません。
  36. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういう人を相手にしているのではないのでありまして、経済安定委員会にやつて來たのですから、私の質問の残つたものを明らかに残しておいていただいて、次の安定委員会で資料として出していただくか、あるいは答弁の形でもつてつていただくか、あるいはまた貿易廳の方が直接來てやつてもらうか、あるいは安本長官が直接お答えになつていただきたい。それからこのことについて、一々聞いておる方だけが答えるというような、あるいは私の尋ねたことに卑怯なことを言われたりなさらずに、そこに並んでおられる役人はいろいろ関係のことがあつたら、進んでお答えを願いたいと思うのであります。  大体アメリカからの援助物資が物で入つて來る。アメリカでは相当な物價の値下りがある。そういたしますと、アメリカがこれだけ入れたならば、日本においては千七百五十億ドルになると思つたものが、値が下つたために困難になるというそこにかさがある。このかさの大きさ、物價の値下りに対する見通しを答えていただきたい。
  37. 内田常雄

    内田説明員 アメリカの物價は物によつて違うのでありますが、八%ないし、一五%ぐらいに下つているということは御承知通りです。從つてこの援助資金の額が、先ほども申し上げるように、まだアメリカでは最終的に予算がきまつておりませんが、ある額できまつたとしますと、その額の範囲内においては、当初予想されたよりももつとたくさんの物資が國内に入つて來る。それを三百六十円レートで円に換算しますと、もともと安いのだからそれだけ國民に対するものも安くなる。ただ物によつては、御承知のように輸入については全部三百六十円レートで換算した裸で賣つているのではなくて、一部は補助金を出して安くしておるから、アメリカの物價が安くなつただけ補助金の方が浮いて來る。今新聞なんかにもぽちぽち傳えられておりますように、今年なり來年は補助金がその面から節約できる、こういう好都合なことも出て來るわけでありまして、お説の通り好都合なことが実現するわけであります。ただアメリカの方も値が下つても上つても五参ドルなら五億ドルの援助をやるということでなしに、値が下れば援助の額は多少減らしてもいいのではないかというわけで、その点いろいろアメリカ國会で議論されていたように私どもは新聞やなんかで聞いております。
  38. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは滯貨ですが、今度の千七百五十億に対して大体これだけ入れようと思つて入れかけたもので、どんな物が何ぼ入つて、そうしてそれがどういうところへさばけて、どういう量が滯貨になつているかということを聞かせていただきたいと思います。
  39. 内田常雄

    内田説明員 ここにはその方面の担当の役人がおらないようですが……。
  40. 横田甚太郎

    ○横田委員 これはあとで資料でいただきます。  それから見返りの物資の價格、この点について非常に好都合なものもあると言つておられましたが、好都合なものと不都合になつたものが、では一体どういう率で食い違つているか。その率をお知らせしていただきたい。
  41. 内田常雄

    内田説明員 それも私わかりませんが、今好都合と言いましたのは、アメリカの高かつた物價が安くなるということは、こちらにとつてもドルの援助額が同じだとすれば数量がふえ、國民が安い物を買える。補助金が助かるから好都合だと申し上げたのであります。
  42. 横田甚太郎

    ○横田委員 それからこの点について一体どういうふうにお考えになりますか。たとえばアメリカから物資が入つて來る。日本は今まではこじきのようにほしがつてつた。しかし今ではそうではない。一方國内の一部の者が金持ちになつて、そうして独占資本が制圧してしまつたために、非常に國内の購買力が衰えて來た。そこへアメリカからそれだけ入るやつが、それの一・五倍あるいは二倍の割合でぐつと入つて來る。そうすると賣れないところへぐつと入つて來るので、その賣れないものがどういうふうになつて行くか、そういう見通しについて伺いたい。それが資金計画に非常に関係するのです。
  43. 内田常雄

    内田説明員 どうも私どもの見るところと前提が非常に違うので、アメリカから物資をもらつても、國内の大資本が制覇してしまつているために、あとの人民には購買力がないとは私は思えませんから、そういう前提の資料を……。
  44. 横田甚太郎

    ○横田委員 それはあなたが非常な怠慢であつて、現に主食について掛賣りしてくれというようなことは、かつて日本の國民は戰後において言わなかつた。しかるに今年に入つてからは、もう主食をとりに行くのは困る。みんな賣つてしまつて、玉ねぎ、たけのこ生活だ。しかもこれがきつねの集まりとも言うべき日本の選良が集まつておる本会議で論議されておる。だからそういう点については別に見解が違うとか違わぬとかいうようなあほうな答弁をせずに、そういうふうな事実があつて賣れなくなつておることは確かだ。現に日本の國内でこれだけのものを賣ろうと思つておるとろこへ、しかもそれが賣れない。この輸出物資が賣れなかつたら千七百五十億はお前の責任だ、千四百億はお前の責任だ、こういうことを言われたら、日本國内の購買力がよけい狭められて混乱して、世界経済恐慌のまるで輸送管のようになりはしないか。その点になつて來ると、物が金にかわらなかつた計画が齟齬して破滅を來すことになる。それを聞いておるのです。
  45. 内田常雄

    内田説明員 論爭をいたすつもりはまつたくないのでありますけれども、食糧の配給品がなかなかとれないのは、これは私ども役人も同じでありまして、私どもは一部の資本家が米をみんな銭でもつてつてしまうから、われわれに金がないから買えないとは思わないで、大企業中小企業もみんな今日本経済実力を反映してなかなか困つておる。それからせつかくアメリカから援助が來るわけでして、今ごろ金詰まりであつて、國内に失業者も出て來るであろうし、いろいろ困難があることは私どもも同感でありますけれども、だからといつてそのアメリカが物をくれるのが惡いとは思わないで、アメリカから援助してくれるものはすつかり受入れるようにする。國内の経済運営なり金融政策なりの万全を期して、アメリカからただで援助してくれるものは……。
  46. 横田甚太郎

    ○横田委員 ただということがあるものですか。
  47. 内田常雄

    内田説明員 それを買い取る金はお互いに最小限度できるように金融政策を運営して行きたいというのが私どもの念願であります。アメリカからのものは、これは償還するものかどうか、先のことはわかりませんが、現状ではアメリカからただでくれるから別にドルを拂わぬでもよろしい。その代金はそれこそ見返り資金として積んでおいてもいい、それを貸しておいてもいいというようなことから、その意味で申し上げておるのであります。
  48. 横田甚太郎

    ○横田委員 あと質問もありましようし、それから休会中の委員会でありますから、ごくあつさりしておきますが、簡單に申しますと、アメリカから千四百億に達するところの物資を送る。それをりつぱに日本の國内でさばいてみせて、あなた方安本の官僚として商賣をやつてもこの計画を金にしてみせるというのですね。これはおそらく民自党の官僚もお困りになると思う。日本の土地に生活しておる者と外國から飛行機でやつて來て見ておる者とは違う。これが今年の九月、十月あるいは正月を控えても、來たものが倉庫のすみで腐つてしまつて、巡査ばかり立番するというようなことはないでしようね。それを聞きたい。
  49. 内田常雄

    内田説明員 あなたのおつしやるようになるとも思いませんが、今日本経済政策が、昨年から今年を境にして大きく切りかえられておりますので、いろいろな困難が來ておる。その困難を政府も國民も一緒になつてうまくやつて行きたいということで私ども努力しておるのですよ。御了解願えればけつこうであります。
  50. 横田甚太郎

    ○横田委員 そんならごく簡單なことですが、借入申込みをされた六社ということを説明の中に言われましたが、あの六社はどことどこですか。
  51. 内田常雄

    内田説明員 これは大藏省なんで、私あるいは忘れたかもしれませんが、第一に九州の内ケ谷の発電所の建設費、これは日窒だと思います。それから次は大分縣の大野川の発電所の新設ですか拡張計画、それから次は同和鉱業という硫化鉱の会社でありますが、他分これは花岡、秋田縣の硫化鉱山の開発資金の借入れを申込んでいる。それが第三、第四番目に同じく硫化鉱の松尾鉱業株式会社、これは松尾鉱山の開発資金の借入れを申込んでいる。
  52. 横田甚太郎

    ○横田委員 あとは資料として出していただいてもけつこうです。
  53. 内田常雄

    内田説明員 これはきのう聞きましたので、私が聞いたことはこれはもらつた資料もないのです。大藏省日本銀行からおとりくださればよいと思いますが……。
  54. 横田甚太郎

    ○横田委員 こういう千四百億の金ができたから貸そうと思う。それには何か計画がないかと向うに伺いに行つたら、向うの方ではごちやちや言わずにしばらく待つておれ。そのうちに向うでは八原則を出してやるというようなことがあつたかどうか伺いたい。
  55. 内田常雄

    内田説明員 そういうことはありません。八原則とか六原則とか、九原則以外のことは今まで聞いたことはありません。
  56. 横田甚太郎

    ○横田委員 まだありますが、それはあとで……。
  57. 首藤新八

    首藤委員 今当面の緊要な問題は、何といつて金融緩和であります。そこで安本あるいは大藏省から見返り資金の放出を非常に急がれておるということは非常にけつこうでありますが、それにもかかわらず現在百十五億というものが死藏されておるということであります。これは事務的の事情、あるいは経済界の変動等の事情からこういうふうになつておると思いますけれども、百十五億というものが死藏されておるということはいかにももつたいないことであります。そこでこの交付公債買入れというような六百二十何億の予算が組まれておりまするが、もし一般の貸出しが遅れるならば、とりあえず交付公債を買い入れて、そうしてローカル・バンクから各方面に対する貸出しの資金を潤沢にせしめる。そうしてこの各企業の貸出しの方は調査がそのうちには進行するであろうし、またそのうちには八月の見返り資金の拂込みがあると思いまするから、それらを各方面にし向ける。いずれにいたしましてもこの資金を死藏しないような方法にぜひとも大藏省と打合せられて、そういう面にぜひ御努力願いたいということを私はお願いしたい。
  58. 内田常雄

    内田説明員 ただいまの御意見まつたく賛成であります。事情はこうなつております。今百十五億が見返り資金勘定に死藏されておる。それを交付公債を先に買い上げて、市中銀行に買い入れることも非常にいいことですが、そこまで至らなくても、今通貨の発行高に現われておりますように、今日通貨の発行高は二千九百億余りの程度でありまして、日本銀行に金がよけい入つて來ている証拠であります。日本銀行のみならず市中銀行にも最近復金債償還等がぼつぼつ多くなりまして、入つて來ており、また御承知のように預金部資金なんというものは、預金はたまりますけれども、積極的の運用が今までのところなされていない。預金部に集まつたものが日本銀行に入つてきておる。そのほか政府借入れ金の特別償還等も、國庫から日本銀行に向つてぼつぼつ行われて來ておりますために、日本銀行は思い切つて市中金融機関、ひいては産業界に出してもいいという決心をいたしておるのであります。日本銀行は最近活発に市中金融機関に対して、いわゆるマーケツト・オペレーシヨンを始めております。その手始めとして償還期がなかなか來ない、來年一月以降償還期の來る復金債を市中銀行から買い上げましたものが、六月、七月で三十数億円、そのほか保險会社とか信託会社が持つております國債、あるいは無盡会社なり信用組合等が持つております國債でも十億円余り買い上げまして、市中金融機関に金を出しておる。その反面を受けまして、市中金融機関は日銀から幾らでも、筋の通つたマーケツト・オペレーシヨンをすることから、大いにこのごろ社債の買入れをやつております。あるいは興業銀行債の買入れをやつております。買入れをやつておりますと、結局興業銀行を通じて一般企業設備資金に向うものであります。この社債の発行は昨年は一年間にわずかに数億しか社債が発行できなかつたものが、今年六月は十億以上になりまして、たしか七月のごときは一般事業債が約二十億円ぐらい、興業債券のごときは二十一億円発行されて、それが主として金融機関に受入れられておる。また市中金融機関が直接復金債償還を受けておりましたものが、これまた三十数億円ありまして、從つて市中金融機関は積極的に企業に対して金を貸出しすることがうまく行く。また借りる方も市中金融機関にうまく接触して進みさえすれば、資金の方はこの際は日本銀行を通じて、相当一般に金を出してもいいということを思つております。しかし御説のように見返り資金がどんどんたまるようでしたら、それも一應元へもどしておくということをやりたいと思つております。
  59. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 その他の発言あとからお願いいたします。それでは中村清君。
  60. 中村清

    中村(清)委員 一、二お伺いいたしたいと思います。その前に委員長にお願いいたしますが、私は実は安本長官のおいでになる間にちよつと御質問いたしたいことがあつたのですが、御退席になりましたので、非常に残念に思います。今後は安本長官が退席するならば、退席する前に、安本長官のおる間に質問することがあるかと、こういうふうにおつしやつていただきたいと思います。  実は私見返り資金の問題につきまして、新聞紙上でいろいろ記事を見ましたところが、どうも安本の意見と大藏省の意見が対立しておるかのごとく、新聞に記事が出ておるのであります。これは見返り資金に関する問題ばかりでなしに、デフレ対策の問題その他の問題で、どうもそういうことが新聞に出ておる。ところが閣内の状況は非常に相かわらず、閣議は家族的に行われております。どうして新聞記事にそういうふうに出るかということを考えてみますと、どうも安本における事務官僚、事務の担当者がいいかげんに新聞に発表するようなことが原因になるのではないか。やはり新聞でもそれをある意味でおもしろがるということも加わつて——、こういうように考えますので、こういう点は私どもの関心が深いのであります。どうかそういうことのないように、事務当局にお願いをいたしたい。これが私の第一の考えであります。  金融の問題でありますが、先ほど内田局長から千七百五十億の内容につきまして、この基礎は三百六十円で行こうという計算でやつておる。こういうお話でありますが、私は実はちよつと私の思い違いかもしれませんが、予算の編成当時には大体三百三十円レートを予想されておつたのであります。五億三千万ドルぐらいに予想して計算すると、このくらいになると承知しております。ところが話が違いますので、あるいは私の思い違いかと思いますが、そういう点をちよつと不審に思うのであります。  さらに金融の緩和については私は非常に関心を持つものであります。日本銀行にまだ百十五億も眠つておることは、私はまことに遺憾に思いますが、これは共産党の諸君ばかりでなしに、私どもも非常に遺憾であります。しかしこれは大藏省やあるいは日本銀行当局だけにまかしておつたのではだめじやないかと思う。はなはだ失礼でありますが、日本銀行ではそれをおやりになるだけの準備がおありになるかどうか。支店も非常に少い。またいろいろ手続も私は日本銀行だけではむずかしい点があるように思う。むしろ他の方でもつてやることが貸出しを推進せしめるゆえんではないか。これらについて十分ひとつ檢討いたしていただきたい。日本銀行ではたしてやり得るかどうかということを私は疑問に思うのでございます。大体今の金融機関にないのではない。金を貸し出し得ない状況にある。つまり預金を預かつておる商業銀行が金が出しにくい。金を出すようにしてやらなければならぬ。たとえばわくの問題もありましよう。あるいは手続問題とかいろいろあります。また政府である程度融資の保証をするとか、その他政府のなすべき点も多いと思うのであります。ほうつておいては金融の緩和になりません。金がどんなにありましても、経済界の將來の見通しがつかない限りは、金融が梗塞することは私は確信をしております。これらの点についてひとつ事態に即應するいい手段をとつていただくことをお願いしたい。私が特にここで申し上げたいと思いますことは、農林、水産の特殊金融の問題であります。実は私は商業金融の問題につきましてはさほど心配いたしません。これは安全かつ有利であるならば、銀行は貸したくてたまらぬということであると思います。しかしながら御承知のごとく農林、水産の金融につきましては特殊な技術がいり、また特殊支店網というものもいるのであります。また大多数が長期資金であります。たとえば水産金融でありまするならば、場合によつては非常にもうかるが、場合によつては不漁であると元もすつてしまう。こういうこともありまするから、金融機関としては手を出しにくいものであります。しかしながら天然資源を獲得するという意味におきまして、どうしてもしつかりやらなければならぬ。また林業につきましても、伐採のあとを植えるということは現在の状況ではできません。そういう点についてどうしても特殊な施策を必要としますが、特に金融関係におきましては、その点の理解を持たなければならぬ。一般の商業金融機関にこれをやれと言つてもむりであります。勧業銀行は勧業債券を発行できまして、長期資金を獲得する道が從來ありましたが、しかしながら現在それを復活せしめるということはあるいは困難ではないかと思います。しからばどうするか。興業銀行はなるほど債券を発行できる。しかしおそらく農林、漁業に対する経驗もなく、また支店の準備も十分でありませんからできにくい。農業中央金融は経驗はありまするけれども、協同組合を主としてやるほかはないのであります。そういう点から考えますると、農林、水産に関しまする金融、ことに長期施設資金はとうていこれは出すところがない。結局山は荒れ、または天然資源の獲得であるところの海の宝庫は閉ざされたままである。こういうことでありまして、まことに残念であります。私は必ずしも見返り資金とは申しませんが、見返り資金をかねて考えられまして、預金部でもよろしい、あるいはその他の方法でもよろしいが、何とかして長期でなくてもよい。中期くらいの設備資金は出す方をぜひ考えていただきたいと思います。私はいろいろ申し上げたいこともありまするが、この点を特に申し上げまして、当局のお考えをただしたいと思います。
  61. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 政府委員から御答弁がある前に一言私から弁明をいたします。ただいま中村委員から大臣が帰られる前に、大臣に対する発言者はないかということを聞いてくれた方がいいというお話、ごもつともでございまして、私まことに申訳ないのであります。実は大臣は非常にきよう忙しかつたのです。そうして一時から三十分くらいという予定であつたのを、こちらの都合で二時半までむりに延ばしてあつたのでありますから、お氣のどくでありますので、まことに申訳ありませんが、お諮りせずにお帰ししてしまいまして、中村委員だけでなく皆さんにおわび申し上げておきます。
  62. 横田甚太郎

    ○横田委員 その点に関連して、きようはそういうような事情でお帰りになつたけれども、常の出席が安本長官は惡いのです。それでこういうときに問題になる。常によく出席されるように、特に民主自由党のあなたから言つておいていただきたい。
  63. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 承知しました。
  64. 内田常雄

    内田説明員 いろいろお話がございましたが、特に第一点の安本と大藏省新聞等で始終——実際閣内においては和氣あいあいとしておるのに、事務官僚が惡いというおしかりでございますが、どうも慚愧にたえませんが、決してそういうようなつもりではありませんので、私ども事務官僚も和氣あいあいとやつているつもりであります。ただ切磋琢磨する過程もありましようし、新聞等がまた根も葉もないことを書いておる事実も御承知通りであります。ただ安定本部も総合政策をやりますと、本日もまたこの委員会から特に要望書等もありまして、あの中に大藏省関係するような事項もありまして、大藏省の言う通り夫唱婦随というてやるわけにも参らぬ点もあろうかと思うのでありまして、またおしかりのような点の出ないように注意いたしております。  第二の見返り資金の千七百五十億は三百三十円換算だということは、私も実はよく知りませんが、予算書に初めて載せましたときは、アメリカ援助額を一應五億三千万ドルくらいに見まして三百三十円をかけたものでありますが、今だから申し上げますと、のちにレートを三百六十円というふうに正式にきまり、またアメリカ援助額も五億三千万ドルよりも下まわるということもほぼはつきりいたしまして、從つて下まわつたところの、たしか五億ドルでございましたか四億九千五百万ドルに三百六十円をかけますと、答えは同じ千七百五十億円というものが出て來るので、私どもも為替が三百六十円にきまつたあとでありますから、便宜そういう説明を申し上げた次第であります。  それから第三の、見返り資金に二百十五億たまつているのは日本銀行等の機能、支店網だけでは十分ではないというお話でありますが、これも大藏省から答弁があつた方がいいのでありますけれども、あの資金政府資金でありまして、一般の金融機関に運営を委託するというかつこうもとれない。そこで建前としては政府がやるんだけれども、それに政府だけでも足りないから、事務的能力を持つておると認められる日本銀行をして協力せしめるという趣旨でやつておるのであります。ほかにいい案でもあればむろんそちらに行つていいと思います。もつとも農業資金等を貸し出します場合は、これは政府が直接貸すというわけにいかないので、おそらく事業主体であるところの農業協同組合に行く金は、やはり農林中金に一應渡して、農林中金から各單位組合に配分するということに当然ならざるを得ない。そういう面からも日本銀行の機能の及ばないところは、農林中金が使われるというようなかつこうにもなるようであります。  第四番目は金融政策一般でありますが、これは御説の通り見返り資金だけの問題を今取立てて申しておつても、それが金融政策全部ではありません。お話がございましたように一般の市中金融機関は金は持つておる。また日銀からマーケツト・オペレーシヨンを受けようと思えば、日銀も金を出すと言つておる。しかし経済界見通しが困難だから、單独では貸せないという点もあるけれども、そのためには何らかの保証機関、保証機構——実は復興金融金庫は直接貸出しはむずかしいだろうが、これを保証機関として活用するということにつきましても、政府はそのつもりで考えておるようであります。これはなかなかむずかしい点もあるようでありますが、きのう大藏大臣からも、そういうつもりで政府はやるということを新聞にも御発表になつたと聞いておりまして、はたしてきようの新聞にもそれが出ております。また特殊の長期資金につきましては御承知のように興業銀行だけではだめでありまして、どうしても勧業銀行債とか農林中金債というようなものをも発行させて、目的的な長期資金を目的的な機関を使つて出させるということに及ばざるを得ない。興銀の債券発行限度の引上げがすでに行われ、また増資も行われたわけでありますが、次はどうしても勧銀の問題も片づけたい。これにもまた御案内の通りいろいろな困難な事情があるのでありますが、何とか形をつけて勧銀債を発行させる。その場合には勧業債券は特殊の目的に限り、特にこの方面の隘路を打開したい。さらに進んで農林中金等にも及ぼしたいということで、政府部内及び日本銀行政策委員会とともに同じ政策を考えております。なかなかむずかしい問題がありますが、預金部資金につきましても、お説の通り、また私からも先ほど触れました通りで、預金部資金というものはぜひ一般産業資金として、あるいは中小企業なり農林水産資金として活用することが望ましいのですが、これもまたいろいろの意味で困難にぶち当つております。特に預金部資金につきましては、昭和二十一年に司令部から公式指令がありまして、國債と地方債の買入れ以外は一切できないことになつております。この問題をその筋との関係において打開するように盡力をしておる。それができない場合にも——これもきようの新聞に大藏大臣のお説としてすでに載つておりますから申し上げますが、預金部資金を一般金融機関に長期の預託金として預け入れる、こういう方法を通じて産業設備資金に役立たせるということを考えられておる。なおそのほか中小企業資金につきましては、いわゆる日銀が勧銀、興銀等に対して、特別わくと言われておつたものを拡張するとか、あるいは短期資金に限つてつたものを長期資金についても認めるとか、その他一連の懸案の問題解決に各大臣とも努力せられておることを御報告申し上げます。
  65. 小川平二

    ○小川(平)委員 これは必ずしも当面の問題ではないと思うのでございますが、一言伺いたいのです。これによりますと、六百二十五億の金が復金債償還に充てられて、これがマーケツト・オペレーシヨンの資金になるわけだと思いますが、市中銀行に金が出ましても、市中銀行が純粹なビズネス・ベースでは当面は借せない。しかもどうしても金を出してやらなければならないという面がいろいろあると考えるのでありますが、この点に関して復金債償還を多少ずらしてでも、直接投資をふやすべきだという議論が、相当に強く各方面で行われておるように思うのであります。そして新聞などの傳えるところによりますと、安本でも同じような考え方をしておられるということが傳えられておりますが、はたして事実かどうか、この点を伺いたいと思います。それからこの点についても先ほどお話も出ましたが、大藏省見解と多少食い違いがあるように聞いておりますが、この点いかがでございますか。こ二点を伺いたい。
  66. 内田常雄

    内田説明員 見返り資金等を含めまして、財政の面から金融面に償還される金が、今年は千二、三百億円あることは御承知通りであります。詳しく申し上げますと、千二百億余りのうち、日本銀行にもどる金が九百億余り、それから市中銀行に直接もどる金が三百億足らずということになりますが、市中銀行にもどるのは市中銀行にもどつて行きますから、市中銀行が直接運用ができるわけですが、日本銀行にもどる金が九百億以上にもなりますから、その金を市中にもどす財源としては、私どもがすでに先ほども申しました商工省の七百億とか、安本の千億とかいうものを立ててみましても、設備資金をまかなうにはまず十分だろうということが一應見られるのであります。そこで、せつかくドツジ予算によつて復金の債券はこの際償還期限通り返してしまうということになつているものを、金の方が詰まつているならともかく、金の方は今申す通りあるのだから、それを金融機関に返さないでおいて、直接貨出しにまわすということをやつてみる必要もないじやないか。今でさえ日銀から出せば出せるのだということだから、せつかくきまつたものを——いよいよいかぬという場合には、そういうことももう一ぺん考え直し得るでしようが、今の問題としては持ち出さぬ方がいいじやないかとわれわれは考えております。また先ほども触れましたし、あなたのお説にもありましたが、金があつても市中銀行が出さない場合には、補償の問題とか何とか、別の面から解決して行つてその金を出させるようにする。ただここによいことは、日銀にもどる金が九百億余りありますから、市中銀行の持つている復金債、國債を日銀が買い入れることになるのですが、市中銀行が持つている國債の利回りは三分五厘の安いものですから、それを日銀が買い入れて市中銀行に入れるということになると、市中銀行が今まで安い國債を持つてつたことを思えば、今の金利は多少下るにしても、國債を持つていることに比べれば相当ここに多くの余裕が出て來る。また今後金融機関の貸倒れに対する制度も、ぜひ設けさせるように政府も考えております。ただ税の問題等もありますが、そういうものを設けることになつて來れば、今のような惡い利回りの國債を持たないで、高利回りの社債を持つて貸し出すということになると、金融機関も、この貸し出しは好まないとか、これは危險だということでなく、ある程度行けるだろう。こういう見方でございますから、今の六百二十五億というものは日銀に返さないで直接使うということは、今取上げない方がいいだろうということで、われわれも完全に意見が一致しております。これはまだ関係方面等にも持ち出しておりません。ただわれわれの考えの過程としてそういうことが考えの材料になつておりますが、新聞が傳えるように、大藏、安本の意見がそのまま対立しているというものではございません。
  67. 金光義邦

    ○金光委員 大野川の発電計画は安本の査定された金額ではどのくらになつておりますか。それからもう一つ、査定された場合の所要物資の單價はいつごろのマル公でございましようか。
  68. 内田常雄

    内田説明員 今その資料を持つておりません。
  69. 金光義邦

    ○金光委員 單價の方はわかりませんか。いつごろのマル公で手に入るのか。
  70. 内田常雄

    内田説明員 これは今まで公共事業費として、一部は河水統制で補助金が出ていたと思います。從つて安本の建設局の方で取上げて、今まで公共事業としてある程度でき上つた河水統制の上に、発電がのつかるべきものと思つております。そのために、建設局の資料にお尋ねのことは載つておると思いますが、エード・フアンドとしては二億五千万円です。
  71. 金光義邦

    ○金光委員 それに必要な物資の單價はいつごろのマル公で計算されたかおわかりになりませんか。
  72. 内田常雄

    内田説明員 ここではわかりません。
  73. 金光義邦

    ○金光委員 完成の年数はどのくらいになつておりますか。
  74. 色部義明

    ○色部説明員 完成の年数はたしか來年であつたと思います。
  75. 金光義邦

    ○金光委員 実は今の河水筆制とも関連しますが、ぜひとも縣の方では二年くらいで完成していただきたい。
  76. 色部義明

    ○色部説明員 來年か再來年の春かどつちかだと思います。
  77. 金光義邦

    ○金光委員 それから貸付の條件は、金利の一般的な條件は今おわかりになりませんか。
  78. 内田常雄

    内田説明員 今実はその問題があるのですが、一應到達したところは、市中金利よりもちよつと安い程度のものの一割ということになつております。今ありのままを申し上げますと、ある産業によつてはそれではとても困るのだという面がある。船舶とかそれから農林水産業というものが問題だとされておりますが、大体は公共團体のものの場合には、預金部から借りておるものは一割ではなしに、九分六厘ですか、そういう金利だつたと思います。それとの関係もあるので、金利問題をもう少し安いところできめてもらうように、関係方面と交渉したいということが起つておるのですが、ただこれもいろいろ問題がありまして、そういうことで交渉を手間取つておると、金利問題はなかなか借入れの実行が遅れるという問題にもなりまして、むずかしいところもあるのですから……。
  79. 金光義邦

    ○金光委員 それから大藏省でないとおわかりにならぬと思いますが、順調に行けば今書類を出したもので、大体いつごろ縣の方に金がまわるか。この表によると五十三億ですか、電力には入つておるようですが、そのわくの中に入つたとして、九月一ぱいには縣の方に金がまわるでしようか。
  80. 内田常雄

    内田説明員 私にはわかりません。それは大藏省でないとわかりません。
  81. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 それでは首藤委員
  82. 首藤新八

    首藤委員 私の申し上げたいと思いまするのは、今の安本の資金関係ありません。午前中の國政調査委員の報告に関連いたしまして、さように出先官廳の問題について最後の結論がついてないように考えられるのでありまするが、幸い今日は新しく今回調査廳に新任された次長がお見えになつておりまするので、先ほど決議ということはいいかどうかという御意見もありましたから、この席上口頭で一應申し上げてみたいと思うのですが、いががですか。
  83. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 けつこうでございます。
  84. 首藤新八

    首藤委員 出先機関の安定局並びに物價廳、それから経済調査廳、各委員とも全國的に調査をされまして、その結果はそれぞれ報告書としてまとまつておりますが、ただいま申し上げたごとく、委員会決議とするということはどうかという御意見から、一應口頭で申し上げることにいたしたいと存じます。特に私は幸い経済調査次長がお見えになつておりますので、今日はこの調査廳問題について意見を申し述べまして、御参考に資したいと思うのであります。調査廳は昨年十一月前後に発足いたしまして、大体まあ一年近くなつたのでありますが、この間各方面に参りまして比判を聞きますと、ほとんどが経済調査廳に対しましては非難しているのであります。特にこの非難の重点は経済警察と同じである。むしろ経済警察よりも辛辣である。しかも本來の目的を逸脱して檢挙に重点を置くということが、批判の最も大きな対象とされているのであります。言うまでもなく経済調査廳は、経済法令の趣旨徹底、宣傳あるいは防犯ということと、さらに行政官廳の連絡監査ということが当面の問題であつて、もつて生産増強に資する。経済を安定ならしむるための機関として発足したのであります。ところが各方面に参りまして、この調査の過去一年の過程を承りますると、査察の方が非常に多いのでありまして、そうしてまた檢挙の比率も相当高いのであります。むろん惡質の犯罪に対しましては、全面的に峻烈な檢挙をする必要がある。これは経済安定の建前からも必要があるのでありまするけれども、われわれの見あるいは聞き、あるいは体驗しました結果から考えますると、昨年來のと申しますと語弊があるかもしれませんが、終戰後の統制経済界におきましては、各地に隠退藏物資がある。それから同時にまた政府の手持の資材が非常に少い。しかも生産を増強しなければインフレが激化するということから、生産命令を出し、それにマツチするだけの資材を配給していないのが通常であります。たとえばわれわれが関係しておりまするところのゴム工業におきましても、ゴム一トンについて地下タビが七千足できる、あるいはタイヤが三千本できるというように、生産数ははつきりきまつているのであります。あるいはまたガソリンが幾らいるという單位消費量がはつきりきまつているのであります。しかるに商工省並びに安本の配給は、生ゴムだけは配給いたしますけれども、その他の纖維あるいはガソリンの單位消費量は五〇%あるいはそれ以下の配給量でありまして、しかも生産は百パーセントあげて、これを一定の期間に供出しなければ、翌朝の配給を削減あるいは抹殺するという強い制限が加えられているのであります。そこで業者はやむなく各地に散らばつておりまするところの隠退藏物資を物色して、そうして非常に憂欝であるけれども、與えられた生産を完遂するということに邁進いたしたのであります。政府もおそらく私はインフレを押える、隠退藏物資を有効に使うという氣持から、一つは資材が少い結果でもありまするけれども、半面また隠退藏物資を有効に使用するということも、意識的にそういう結果になつたのではないかというふうに考えておるのであります。しかるに調査廳の方はこういうことは全部不問に付しまして、ことごとくこれを違反として檢挙するということにあるのであります。從つてもしもこれを違反として檢挙いたしまするならば、本日檢挙してあす参りましても、やはりそれらの工場は依然として違反を繰返えしておらなければならぬ。これが偽らざる現状であります。しかも全國の工場がみな同じ状態になつているのであります。そこでわれわれはこの現状から見て、調査廳はまず行政官廳の欠陷をつき、そういう隘路をまずないようにして、そしてそれにもかかわらずなお業者が違反するならば、それに対しては峻烈なる摘発なり檢挙をすべきである。しかるにもかかわらず、根本的の原因であるところの行政官廳の監査を放任して、その欠陷を放任しながら、片一方の業者だけの檢束、あるいは摘発に重点を置く。これははなはだ調査廳を設立した本來の趣旨に反すると思うのであります。ひとりゴムのみならずその他の産業も大体みな同じであります。從つて幸い新任されたのでありますから、今後経済調査廳の運用に際しては、率直に言えば私は行政官廳の監査に重点を置いて、行政官廳の欠陥をまず補つていただく。その上で業界の査察をされるということにして、從來とは行き方をむしろ反対の方向に向けていただくようにすることが一番いいのではないか。むろんそれかといつて、どの産業に、あるいは行政官廳にどういう欠陷があるかということは、これはなかなかおわかりにならぬと思いますから、一應査察することは前提となるかもしれませんが、いやしくも行政官廳に欠陷があるということがはつきりいたしました以上は、他の業者の檢挙はあとまわしにして、まず行政官廳の欠陷を排除するというような運営をやつていただきたいと思うのであります。特に私は先般も各地をまわつて歩きましたが、大体高松あるいは松山の方の調査廳はこの趣旨を了解されておりまして、むしろ業者から隘路打開の相談を受ける。非常に親しみをもつて、どうしたらこれが生産増強を支障なくやられるだろうか、こういうことをせなければどうしてもやつて行けないという相談所になつているということを聞きまして、非常に私はけつこうだと思つたのであります。いわゆる経経調査廳の設立趣旨に合致した運営だ、こういうように考えましたので、今後もその方針で進んでもらいたいということを私はお願い申し上げたのでありますが、中央の経済調査廳におきましても、全國的には管区あるいは地方の調査廳をして、こういう方向に今後運営していただくよう御指令あるよう、この機会に私はお願い申し上げておきたいと思つております。
  85. 奧村重正

    ○奧村説明員 ただいま首藤委員から、全國をおまわりいただきました結果に基いて、御理解あるお氣持をもつて示唆に富む御指摘をいただきまして、まことに調査廳といたしましてありがたくお礼を申し上げます。実は調査廳も発足以來ちようど一年に相なります。過去の実績に顧みまして今後大いに反省すべき点は反省し、改めるべき点は改むるべきであると考えております。ただいま御指摘の査察のやり方等につきましても、從來からいろいろな御批判も承つておりますが、私自身といたしましては相当愼重に檢討を加えなければならない、かように存じている次第であります。しかしながら、この問題はいろいろ多種多樣な点を含んでおります。ただいま私ここで御即答申し上げるだけの用意はございませんから、ひとつお示しの点を十分参考にいたしまして、よく考えさせていただきたいと思います。  監査の点については一層重点を置いて仕事をやるようにという御激励を伺つたのでありますが、最近一箇年における監査の実績をとりまとめましたものができ上らずにありますから、それを何かの機会をとらえましてお手元へ配付いたしまして、よくごらん願いたいと思つております。
  86. 首藤新八

    首藤委員 もう一つついでにお願いしておきたいと思いますのは、ただいま申し上げました檢挙主義に重点を置くというのも、これはいろいろ事情があると思いますが、大体は警察官の前歴者を多量に採用した。從つて経済上の隘路打開ということよりも、過去に多くの経驗を有する檢挙にどうしても流れやすいということが、こういう結果をもたらした一つ原因ではないかと思うのであります。從つて今後職員を採用いたします場合には、警察行政ではないのでありますから、なるべく警察官の前歴者を少くして、それにかえて素質のいい、しかも経済の実体を把握している方を採用するということに向けていただくことを、この機会に私は希望として申し上げておきたいと思います。
  87. 志田義信

    ○志田委員 お暑いときですから簡單に教えていただきたいと思います。七十億円を鉄道、逓信に貸し出しておられるのでありますが、その中に逓信の方は公債引受というのがここに出ております。戰後政府は電話の架設にあたつて、三万円ほどの公債をむりに國民に押付けて電話を架設しているのでありますが、それをこの際買い上げて償還する御意思がありますかどうか。その点についてお知らせ願いたいと思います。
  88. 内田常雄

    内田説明員 それは私はわかりません。おつしやるのは蚕年まで電話を新しく架設する際に、電話公債として一種の割当公債式にやつてつた。ところが本年はドツジ予算公債の発行は一切まかりならぬということになり、わずかに見返り資金引受ける百二十億だけ認められたわけでございますから、新しいものはなくなつたわけであります。そこでこの百二十億円でつくつた金で電話公債を繰上げ償還するかどうかということでありますが、私は昨年まで出された電話公債の期限を知りませんが、今年はおそらくそれを返す計画になつていないと思うのであります。
  89. 横田甚太郎

    ○横田委員 先ほどお手元まで出しておきました自由貿易地帶について、政府でこういうことを勧告された、あるいはこういう試みがあるということについて何か聞いておられませんか。
  90. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 委員長としては聞いておりませんが、こちらに係がいらつしやらないのでわかりません。
  91. 横田甚太郎

    ○横田委員 これもさきの資料の方にお願いしておきます。
  92. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 それでは資料請求にしておきます。
  93. 中村清

    中村(清)委員 この自由港の問題は私は非常に重大な問題だと思う。おそらく政府も考えておられるだろうと思いますが、これは取上げて相当研究すべき問題だと思います。大藏省の連中は関税の問題を見、あるいは通産省の連中は背後の産業を脅かされるというかもしれませんが、これは非常に大事な問題です。それで実はこういう重大問題は願くは安本で関與していただいて、また委員会の方にも御相談を願いたいと考えておるのであります。
  94. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 実はそういうことがありますので、今回の委員会にも貿易問題を議題にしたのでありますが、時間が足らないので省略したのであります。この次の機会にお取上げ願いたいと思います。
  95. 高田富之

    高田(富)委員 次会でやることかもしれませんが、せつかくお集まりのところですから、ここで委員にお諮りいただきたいと思うのですが、貿易計画の問題と五箇年計画の問題についてと召集状に書いてあるから、やつて來てみたら、やれないということで、がつかりしておるわけですが、これも今年度見返り資金の問題についてはまだ相当問題があると思いますし、今の自由貿易、自由港の問題もありますから、これをひとつ休会中になるべく早い機会に、通産省、大藏省、安本、この三者からできれば大臣に出てもらう、また関係事務官にも出てもらつて、そうして愼重討議する必要があるのではないかと思います。これは非常に緊急の問題でありますから、あまり先に行かないようにやつていただきたいと思うのであります。実はきよう見返り資金の問題も事務的にはいろいろ御説明いただいたのでありますが、やはり大きな見地から、政治的な問題が相当あると思うのです。やはり大藏大臣もあるいは通産省の方も必要ですから、今度はぜひ三者とも出ていただいて、そうして貿易問題とからんで見返り資金問題をもう一度やる。また五箇年計画問題もやるということを提案してお諮り願いたいと思うのです。
  96. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 高田委員の御発言お答えいたします。次回の委員会の議事その他運営については、本委員会散会後理事会を開きたいと思います。
  97. 高田富之

    高田(富)委員 皆さんに御了解していただかないと、理事会できめても、この前のように皆さんの知らないことをきめられても困ると思いますから……。
  98. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 それでは高田君の御意見もございますので、理事会でなく、委員会としてお諮りを申し上げます。次回の委員会はいつごろ開くか、まずその日取りについてお諮りいたします。
  99. 首藤新八

    首藤委員 十七、八日ごろはいかがですか。
  100. 高田富之

    高田(富)委員 けつこうです。二十日前がいい。
  101. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 十八日前はちよつと都合が惡いので、十九日はいかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 それから議事等もおきめ願いたいのですが、今森山委員の方から御要求があつたのですが、この次の委員会には見返り資金の具体的運用について、大藏省側の意見を聞きたいというのです。そこで今のお話もありますから、大藏省、通産省、安本、この三つの省から出ていただくことにして、貿易の問題と見返り資金の問題について別な方面からお説明を聞くことにいたします。まだほかに緊急に研究しなければならぬ問題があれば……。
  103. 首藤新八

    首藤委員 集中生産の問題と企業整備の問題……。
  104. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 それではあらためて申し上げます。次回の委員会の日取りは八月十九日午前十時から開会いたします。議題は、見返り資金運用について、もう一つは本年度の輸出入計画についていろいろ敷衍して、お聞きする。もう一つ集中生産企業整備、この三つにいたしたいと思います。
  105. 横田甚太郎

    ○横田委員 時間はゆつくりとつてもらつて、きようみたいな子供だましのような説明はやめていただきたい。
  106. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 その点は十分注意いたしますし、政府の責任をもつて答弁のできる方に御出席願うように手配いたしまして、もし十九日でも足らなかつたら、翌日もやることにいたします。  それでは本日はこの程度で散会いたします。     午後五時五十一分散会