○
首藤委員 それでは
近畿、中國、四國、
東海この四部の
視察に当りました
委員を代表して、私から
調査の
概要を御
報告申し上げたいと存じます。
われわれ中
國班は六月十六日
名古屋を振出しとしまして、翌十七日は
大阪、尼崎、十八日は
神戸、十九日は岡山、倉敷、二十日が
高松と宇多津、坂出、二十一日が三島町、新浜、これはみな
愛媛縣であります。二十二日が今治、
松山、二十三日に廣島、二十四日に廣島縣の大竹、並びに
山口縣の岩國、二十五日に宇部、小野田、これらの地区を
調査視察いたしまして、二十五日に
終つたのであります。
調査委員は
森山委員、
小西委員、
中村清委員、
福井委員、
中村純一委員、この六名でありますが、
名古屋から最終まで
調査を続行いたしましたのは
森山委員と私の二人でありまして、
中村清委員と
福井委員は
名古屋から
神戸まで、
小西委員は
大阪から
山口までの
視察に加わ
つたのであります。
名古屋におきましては
経済調査廳、
安定局、
物價局、並びに
愛知縣廳、
官廳はそれだけ
調査いたしました。
産業界としては
日本陶器を
視察いたしました。
爾來各地におきまして
地方管区経済調査廳、並びに
地方経済調査廳、それから
安定局、
物價局さらにその
地方における有力な各
産業会社を
視察して参
つたのであります。そこでその詳細は
報告書に譲ることにいたしまして、
調査の
概略、さらに結論的に感じましたおもなものを四、五申し上げてみたい、かように存ずるのであります。
経済安定局設置の
目的はここで申す必要はないと思いますから省略いたします。ただ
安定局の側からは、どうも表面にわれわれの
仕事が現われていない。そこで
安定局というものの
廃止論がしばしば起る。しかしながらわれわれは主観的に考えて、現在の
日本経済が安定するまでは、どうしても
安定局というものは必要であると考える。そうしてその理由といたしまして
地方の各
ブロツクの各
官廳の
総合調整、それから
中央の
経済安定局の企画に対する
宣傳、あるいは
官廳に対する
趣旨徹底、あるいはまた
地方におけるところの
摘発物資の処分。これは
復興公團と相談いたしまして、
地方で処分できるものは、その
地方の各
官廳と緊密な連絡をと
つて、しかも早急にこれを有効的に配給しておる。その他その
地方におけるところの
総合的計画、あるいは
産業の
開発とかいろいろな問題に、常に
経済安定局が中枢となり、
指導的立場をも
つて各
官廳の
計画を総合推進しておる。こういう申出であります。と同時にわれわれに手によ
つていろいろその面の
調査をいたしたのでありますが、その結果はやはり外面的には非常にじみである。あまり
仕事の面が現われていないけれ
ども、実質的には
相当の働きをしておる。なお現在の
情勢では、当分の間は
安定局なるものの機関は
設置する方がよいのではないか、というような氣持を深くいたしたのであります。
次に
経済調査廳であります。これは目下のところ
ひとり東海、
近畿、中國、四國のみならず、全國的に批判されておる最もはなはだしい
官廳だとわれわれは見ておるのであります。言うまでもなく
経済調査廳は法令の
徹底、
宣傳あるいは予防あるいは
指導ということに
主力を置いて、そうして
経済安定のために重要な役割を果させるということが
目的であるにもかかわらず、今日までの経過を見ますと、この
目的を逸脱いたしまして、ほとんど
地方の
経済警察と何らかわるところがない。むしろ
経済警察よりも過激な
檢挙を続けておるということが、
一般批判の対象とな
つておるのであります。そこでこの点を各
管区並びに
地方経済調査廳につきまして
調査いたしたのでありますが、この間四國の
高松の
管区調査廳並びに高松の
地方調査廳及び松山の
地方調査廳は、大体
経済調査廳の
趣旨を了解しておりまして、
業界の
隘路を打解する。
官廳の
監査に
主力を置く。また
業界の違反が主として
官廳の
行政上の
欠陷にあるということをよく認識しておりまして、この
隘路の打開のために上級の
官廳に陳情する。あるいはまた
地方の
官廳に
勧説をする。そうして
隘路の打解に努めておる。
從つて査察よりも
監査の方に重点を置いておる。なお
業者に対しては
隘路打開の
相談所としてもらいたいという
趣旨で努めておるということで、非常に私は
経済調査廳の
設立の
趣旨を了解し、その
目的に協力しておるものというふうに考えたのでありますけれ
ども、その他の
調査廳は総じて
檢挙主義であります。しかも
業界の
隘路は
行政官廳の
行政上の
欠陷にあるということがはつきりしておるにもかかわらず、その
行政官廳の
欠陷を補正することをあとまわしにして、
業界の
檢挙に
主力を注いでおるという方向が顯著でありますので、どうしてもこれだけは一日も早く是正しなければならぬということを痛感したのであります。ことにこの
檢挙主義に
なつたところの最大の原因はいろいろありますけれ
ども、何とい
つても
警察官を多量に採用した。しかもその
警察官は多く前職において何らかの欠点あり、
いわく付でやめてお
つた者が大部分採用されておる。これらの者が過去におけるところの
職業意識というか、いわゆる点数をかせぐというような、昔のままの
意識を強く働かして、どうしても
檢挙に走りたがり、
行政官廳の
行政上の
欠陷の補正には、いずれかというと非常に消極的であるというように感ぜられましたので、今後は
調査廳は職員を採用いたすにあたりましては、当然の
設立の
趣旨に合致するような素質のいい者を採用する。しかもそれは前歴が
警察に
関係のない者を採用することが、一應これらの弊害を除くために有効な
措置ではないかというふうに考えられますとともに、現在のような過去一年におけるところの
調査廳の成績から申しますると、
調査廳の存続をなお必要とするかどうかという点については、大いに
檢討の余地ありというふうに考えられるのであります。もつとも
調査廳が今日までやりまして
相当効果をあげた面もあります。それは全國的に
電力の方の
監査をやる。あるいは
食糧公團の
監査をやる。あるいはまた
衣料品の
生産配給の
監査をやる。
リンク用、
労務者用衣料品の
監査をやる。油脂の方の
監査をやる。それから
石炭の方の
監査、
主要輸出品の
行政上の
監査、さらにまた原皮、あるいはまたみそ、
しよう油あるいは供米の
事前割当、薪炭の
供出状況であるとか、さらにまた
労務加配米もや
つております。こういう点に全國的に一貫したところの
調査をやつたことは、
相当効果をあげておると存じまするので、こういう面に今後
主力を注いでやるならば、
調査廳の
設置の
効果も大きいと存ずるのであります。
物價廳でありまするが、これまた外面から見ますとまことにじみな
官廳であります。ことに統制が相次いで廃止されます今日、一層
地方の
物價廳の存在ということが問題にな
つて参るのであります。しかしながら実際的にはなお
地方における
特殊物價の設定、あるいはまた
地方において
中央の決定しました
マル公がそのまま実行されておるかどうかという
調査、こういうような面から考えますると、これもまた現在の場合なお当分は
設置をした方が、
経済安定
行政のためにいいのではないかというような氣持がいたしておるのであります。
各縣廳も
調査いたしましたが、大体今度の
調査は
安定局並びに
調査廳、
物價廳の三つを対象といたしました
関係上、各縣廳は一應あいさつという程度にとどめておいたのであります。
さらに
各地の
産業であります。大体二十七、八
工場を連日
調査いたしたのでありますが、概括いたしまして、われわれが予想しておりましたよりも
各地の
産業は非常に復興しておる。案外復興しておるという感じを受けました。しかしながら個々について見ますと、なお
相当各
産業とも
隘路がある。特に共通的な一番当面した大きな問題は、先ほ
ども東北の
調査の結果、
報告としてありました金融梗塞であります。
政府支拂いの遅延であるます。金融梗塞は特に中小
工業が最もはなはだしいのでありまして、なかんずく四國
方面におきましては、もしこのままの梗塞が続くならば、ここ一、二箇月を経ずして四國の中小
工業はまつたく恐慌
状態に陷るであろう。すでにこの春から商取引が昨年に比較しまして、半分あるいは三分の一程度に減少した。しかもそれがことごとく手形で決済され、さらにその手形が非常に不渡りされるようにな
つたのみならず、六十日の手形が九十日になり、しかもその九十日の手形を平氣で不渡りする。道義の低下ということもあるかもしれませんけれ
ども、とにもかくにも金融梗塞がいかにはなはだしくな
つて來ているかということは、こういう面から見ますと、驚くほど詰ま
つているのであります。
從つて金融梗塞に対しましては、早急に何らかの対策を講ずる必要ありということを痛感いたしたのであります。さらにまた、実は倉敷レーヨンでビニロンを拜見いたしたのでありますが、これは言うまでもなく石灰石と
石炭で纖維をつくるのでありまして、
日本では初めてであり、まだアメリカでもビニロンとしては糸にな
つていないようであります。これは現在日産が二トンであります。しかしながら二トンの日産では非常に原價が高くなりますので、商品價値としては非常に範囲が狹いから、これを十トンまで拡張いたしたい。それがためには七億五千万円程度の融資をぜひお願いしたいという陳情を受けたのでありますが、七億五千万円という向うの要求通りには参りかねましても、できる限りこういう
産業には融資すべきであるというふうに、
委員一同痛感いたしたのであります。と申しますのは、もしこのビニロンが大量
生産されるということになりますと、当然絹花の輸入を
相当削減することができ、いわゆる外貨を支拂う必要がなくな
つて参るのであります。原料は全部國内産であります。しかも品質は非常に強く、触感は人絹と異なりまして、纖維製品あるいは羊毛と何らかわらないのであります。しかも耐久力は人絹よりはるかに強いのみならず、水の中では綿製品の十倍の強さを持
つている。
從つてとりあえず漁網その他について最適品であるのみならず、洋服といたしましても申し分のない品であります。ただ現在のところ高熱をも
つてアイロンをかけると生地が縮むおそれがある。それから染色が非常にこみいつたがら模樣などは現在のところできないのであります。それでやむなく洋服生地などを主として製造しておりますが、科学の進歩ということを考えますと、早晩これらの
隘路は打開できるのじやないかというふうにも考えられます。
新居浜で井華鉱業の問題について陳情を受けました。先ほど
東北の
調査報告にもありましたが、ここの銅山でも、
補給金を今ただちに全部打切られると、山を閉鎖しなければならぬ。一たび閉鎖いたしますと復興は容易でない。しかも何倍かの費用を必要とするから、閉鎖しない範囲内において、できる限りの処置をと
つてもらいたいという要求であります。井華鉱業の
要望は、大体現在の
マル公をある程度引上げてもらう。しかも輸出向きといたしまして、現在十二万五千円あるいは十三万円くらいなら引合うそうでありますから、
マル公が十万円と存じておりますが、ここで
マル公を十二万円なり十三、四万円まで引上げてもらう。それで
補給金を一應半分ぐらいにしてもらう。そうして今後
生産の合理化によ
つてだんだん原價を安くして
行つて、來年あるいはその後において全部打切られるというような方向に向
つてくれるならば、おそらく閉鎖せずして営業が持続するであろうというような
要望でありました。その後この役員会にはその旨
報告しておきましたが、大体穏当な処理としてはこの際半分くらい
補給金を打切
つて、半分くらいは存続するという対策がいいのではないかというふうに考えるのであります。
さらに
硫化鉱でありますが、これは申すまでもなく銅鉱を掘りますれば、それに付随して出るものでありますとともに、またさらに別個に
硫化鉱としての
鉱山が存在するのであります。ところが從來におきましては大体銅に付随して出るものという考え方から、労銀その他が非常に安いのであります。
從つて硫化鉱そのものの價格は非常に安い。そこで銅山におきましては今の安い
マル公でも行けますけれ
ども、
硫化鉱を專門とするところの
鉱山では、非常に採算が引合わないという
状態にな
つておるのであります。しかも輸入品は
相当高値で輸入しなければならぬという
状態にな
つておりますので、これまた対外決済の観点から考えましても、
硫化鉱の
マル公を
相当引上げて
生産を促進しまして、も
つて輸入を一日も早く防遏するということが、目下における緊急な処置というふうに考えるのであります。
さらに人絹でありますが、これも
各地を見てまわりました結果、大体倉敷の人絹が最も進歩した
設備を持
つております。聞くところによりますと終戰後において新しく
設備をしたそうでありますが、とにもかくにもほかの人絹会社に比較しまして非常に
設備が完備している。
從つて原價が他社より当然安くできるというような
状態にな
つておりますので、他の会社の
設備を早急に改善する必要ありというふうにも考えます。
もう一つは窯業でありますが、
名古屋の
日本陶器、
松山の伊豫窯業を
視察いたしました。
日本陶器を見た場合、実に
設備の完備と優秀な製品、おそらく世界的に競爭い得るであろうという氣持で、非常に意を強くいたしたのであります。
松山の伊豫窯業においてはほとんど原始的な製造
方法をや
つておりまして、
日本陶器の製品とまつたく比較にならぬ粗惡品であります。
日本の農家においても今ごろこんな粗惡品は使
つていないだろうと思われるような粗惡品であり、ただ赤いいろいろな模樣を書いた器にすぎないという
状態でありまして、ただ見たところはこんなところにこんなものがという感じを非常に受けたのでありますが、その伊予窯業がすでに
生産の増強に非常に努めておるが、注文は幾らでもあるということを聞きまして、私らは二度びつくりしたのであります。
日本陶器の方は
関係筋の好意によ
つて社員をアメリカにわざわざ派遣し、北米、カナダ、南米を親しく
調査して、現地の
状態を把握して商賣しておるにかかわらず、最近は為替レートの
関係もありまするが、輸出は思わしくないにかかわらず、この原始的な粗惡品である伊予窯業の品が非常に大量の注文がある。戰前の
日本の輸出品は惡かろう安かろうということで非常に賣れた。しかし終戰後の
日本の
産業はよかろう高かろう。要するに値段は高くてもいいから品物をよくせねばならぬという大方針のもとに、
産業の
指導をや
つて來ておりますが、この現実の姿を見た場合にこの考え方に変化したのであります。というのは結局需要國の群済問題、あるいは利用國民の
生活水準によ
つて決定するものである。アメリカに非常に行くという
日本陶器の品物を、南洋あるいはインドあるいはアメリカというような所にいくら持
つて行きましても賣れないのであります。やはりこういう水準程度の低い、
経済程度の水準の低いところの利用國に対しましては、それに
相当するところの品物を賣ることが一番適当だ。これは実はほかにもあるのであります。柳ごうりが兵庫縣からたくさん出ておるのでありますが、これも終戰後いい品物をつくらなければいけないということで、縣の方でも檢査に
相当嚴格な規格をつく
つて、いい品をつくらしておるのでありますが、最近アフガニスタンの方からそんないいものはいらない。惡くてもいいから安いものを送
つてもらいたいという要求がありました。アフガニスタンにおけるところの需要の用途を聞きますと、向うでは商品を入れて陳列するのに使うのだ。決してものを入れて包装して送るのではない。ただ店の陳列棚のかよりに使
つておるのだということで、そんなに強くなくてもいいのだという要求があつたということを聞いておりますが、これもまたその一例でありまして、高くかか
つてもいいからいい品物をつくるという方針は、必ずしもいい結果を來さないという点において、この方針については再
檢討する必要ありというふうに考えるのであります。さらにまた金融拘束が
各地とも全面的な共通な問題で、強い
要望もありますとともに、
電力の不足、これがまた
各地とも非常に大きな問題でありまして、
電力の
開発は何とい
つてもこの際緊急な
措置であるということを深く感じたのであります。特に四國におきましてはすでに開墾できるところのものは全部開墾いたしまして、今後残された所はどうしても
電力の
開発をや
つて、
工業の振興をやるよりほかに四國復興の
方法はないのであります。現在四國におきましては四縣の総合復興
計画を推進いたしておりますが、その一番大きな
目的はやはり
電力の
開発であります。中國においてもまたしかり、
近畿においてもしかり、
電力さえあればという声が至るところに非常に高いのでありますから、
電力の
開発についてはこの安定
委員会といたしましても、今後十二分に努力する必要ありと考えます。ところが今の
東北振興の
調査報告の結果として、分割案に非常に反対されておりますが、しかし
近畿その他の
方面におきましては分割案に大賛成であります。今のような一元的な
電力の配給
状態では非能率である。しかもこれがために
開発も遅れる。
電力は高いというようないわゆる独占企業としての弊害が、あまりにもはつきり露呈しておるのが今の現状であります。かるがゆえに今後はどうしてもこれを分割いたしまして、
各地で競爭させる、サービスをさせるという面に
指導して行くことが、今後の大局的から見た
電力行政の根本的政策である。こういうふうに
各地で
要望しておりますし、またわれわれもそういうふうに考えております。
もう一つは木炭でありますが、これは
電力にも
関係いたしますが、木炭は
各地におきまして非常に多量にストツクしておるのであります。
各地とも
調査廳あるいは
経済安定局、いずれもが木炭の対策に対しましては非常に苦慮いたしております。
從つてこれが統制を一日も早く撤廃いたしまして、自由賠賣にする要ありということを深く感じたのであります。ただここに一應考慮せねばならたと思いますのは、木炭がなぜこういうふうにたくさん出るかということでありますが、これは中國
方面におきましては先年農地改革をやつた結果、この貴重な田地を
マル公というただのような價値でとられた。これがために地主は非常な苦境に陷つた。やがてまた山林の改革があるかもしれない。これは現在われわれの時代におきましてはやらないということをはつきり言明しておりまするけれ
ども、一部の思想的
関係者の面からは、早晩やるのだということをしきりに
宣傳しているということでありまして、もしこの上山林に改革をやられてはたまらぬ。今のうちに山をはだかにして、はだかの山を國に賣り渡す。その方が得策じやないかというような考え方から、しきりに美林を伐採して、そして炭なり木材の方にまわしておるということであります。これは今後非常な大きな問題だと思いますので、かように誤
つて貴重な山林を伐採し、そしてむざむざ木炭を多量に
生産しているような
措置は、一日も早くやめさせるような
方法をとる必要があると考えます。
もう一つは貿易、これに対しましても最近九原則の実行から為替が三百六十円設定前までには、五百円あるいは五百五十円あるいは六百円というような為替でなければ引合わないということで、貿易廳が
経済的知識のないのに乘じて、かなり水を入れたところの原價計算をいたしている形跡が多分にあ
つたのであります。ところが三百六十円という為替がはつきりきまりまして、そしてしかも一方九原則の実行から、各
産業とも非常に経営はまじめにな
つて來た。むだを排除して來たということから、原價は非常に安くな
つておるのであります。
從つてこの春におきましては、三百六十円の輸出なんかは思いもよらないというような
産業も、近來におきましては
相当輸出が可能とな
つて來たというふうな方向に向
つておりますので、それにもかかわらず輸出が不振である。これは網外の購買力が低下したことにもよりますが、一つはフロア・プライスが維持されている。これが非常な障害とな
つておりますので、フロア・プライスを撤廃する必要があるというふうに考えたのでありますが、幸い先般四、五日前ですか、フロア・プライスを撤廃するということに安本の方針が決定したということでありますので、大体この処置によ
つて相当効果があるものと存じます。ただ、今のFOBの商賣をCIFにしてもらわなければならぬ。それにはどうしても
日本船を使
つてもらわなければならぬという声が、造船界を初め各貿易
業者からも非常に強い
要望があ
つたのであります。これは造船から見ましても、非常に有益なことでありまして、
日本の貿易を振興し、外貨を獲得するためにも、一日も早く
日本船舶を使い、そしてFOBをCIFに切りかえる必要があると存ずるのであります。
もう一つは
各地における陳情の
効果が一つもないという苦情であります。今日まで衆議院、参議院が幾たびか
調査に行く。そのときに
地方民は眞劍にな
つてその
地方々々の問題を打開していただくべく、熱心に陳情するのであるけれ
ども、そのときに非常にできるような返事をしながら、帰
つてからあとは一向沙汰がない。何らそれが反響がないという苦情が
相当あることを耳にいたしまして、これは
國会の権威のためにも、またせつかく各
委員が現地を
調査いたしたのでありますから、できないものはできないといたしましても、できる限りこの
地方民の
要望に沿うて陳情を有終の美あらしめるような方針に、お互いが勉励努力しなければならぬと存ずるのであります。
もう一つは
視察團が一應行くということを前も
つて知らせて、そこで各府縣におきましてもこれが準備に万端の考慮をして待ち受けておる。にもかかわらずそれが半分に
なつたり、三分の一に
なつたり、あるいは全然來なかつたりというようなことで、非常に
地方の各
官廳に迷惑を與え、失望を與えるというようなことも
各地で承
つたのでありますが、今後は前も
つて通知をいたしましたならば、なるべく
委員は万障繰合せて、そうして約束通りそろ
つて視察するという方向に向うことも、また
國会の権威のために必要じやないかということを痛感いたしたのであります。
それでは長くなりますから大体この程度で
概略の御
報告をとどめまして、なお他の方から補足していただき、そうして詳細なことは
調査報告書によ
つて申し上げるということにいたしたいと存じます。