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横田(正)
政府委員 外國の
業者から特許の実施許諾を得まして、
日本で
事業活動をいたしますことは、
日本を再建せしめるために非常に重要な問題でございまして、この点に関しましては、今回の
改正によりまして、この
関係についていささかさわりになるところの現行第六條の第一項第二号の「
事業活動に必要な科学又は技術に関する知識又は情報の交換を
制限すること」こういうことを削りまして、それらの実施許諾に伴いがちな祕密保持の
観点からいたしますところのいろいろの知識、または情報の交換を
制限するような約款が、かりに契約の中にありましても、それは
禁止事項にならないということに
改正いたしました。なお特許その他のそういう権利に関しまして、はたしてそれを許諾するものがどの
程度の
制限を付し得るかという点は、なかなか困難な問題でございます。
法律的に申しますと、結局
独占禁止法第二十三條の「権利の行使と認められる行為」は
独占禁止法の
適用がないのでございますから、この
範囲の中におきましていろいろな
制限が付せられることは、もちろん許されるわけでございます。この「権利の行使と認められる行為」という
範囲につきましては、われわれも日夜
研究をしておるわけでございまして、具体的事案といたしましては、その許諾を得ました権利を用いて、たとえばつくりました物の販路を
制限する、あるいはその物を用いてつくりまする製品の種類等を
制限するというような問題は、おそらく「権利の行使と認められる行為」に該当すると存じますが、さらに進みまして
お話のようなその物の販賣價格を指定する、あるいはそれに関連していろいろな製品資材等を、抱合せ的に用いなければならぬというような約款を付せられますとかいうことになりますと、よほど問題があるように思われます。ただわれわれのわずかなる実務の経驗から申しましても、結局この権利の行使と認められる行為ということの解釈には、ある
程度の幅がございまして、その解釈いかんによりましては相当なる
範囲内において、わが國の
企業者が外國からいろいろな技術上の援助を受けまする上に、あまり大した障害なく事が運べるのではないかと存ずるのであります。今回の
改正によりまして、國際契約につきまして
認可制が
届出制にかわりましたことは、その
観点におきましても、非常に実際上の
緩和ということがあるいはできるのではないかと存じますし、なお御
承知のように現行法並びに
改正法におきましても、第六條の第二項におきまして、その
協定契約の
一定の
取引分野の
競爭に対する影響が問題とする
程度に至らない場合は、問議されないことにな
つておりますので、この
規定をある
程度活用いたしますことによりまして、相当の契約が締結し得るのではないかと考えております。