○
中川(以)
政府委員 対日
為替レートの問題が久しくいろいろ檢討されてお
つたのでございますが、本二十五日午前零時を期しまして、
為替レートが三百六十円に
決定を見た次第でございます。これに対しましては、
從來いろいろな論議が重ねられてお
つたのでございますが、大体予算に組まれました基礎は三百三十円で、いろいろな計算がな
つておりました
関係上、各
方面では三百三十円で
決定されるものと存じまして、これに対する
輸出産業の面におきましては、
企業の
合理化、
企業の
努力によります
輸出の振興に努めて参
つてお
つた次第でございます。これが三百六十円に
決定を見ましたので、
輸出方面に対しましては御
承知のごとく一應好
影響を與えておるわけでございます。これがために三百三十円では、おそらく
輸出産業のうち五五%ぐらいしか、
從來のままの
輸出企業の
努力においては可能ではないかと言
つておりましたことが、この分で参りますと七〇%くらいは三百六十円で可能であろう。しかもその上
企業の
努力、今後の各
方面の
努力によりまして、より以上の
輸出が可能であると存ずるのであります。この点に対しまして、
政府といたしましては、
輸出産業方面に対して一層激励をいたしまして、三百三十円が三百六十円に
なつたために、氣をゆるめて、安易な氣持で各
産業に携わるというようなことがあるといたしますと、これはまことに遺憾なことでございますので、この点は十分にそういうような遺憾な点がないように、各
方面を督励いたす
考えでおります。
なお輸入面について見ますると、結局三百六十円になりましたために、
從來の輸入物資に対しまする補給金が、相当問題に相なる次第でございます。
從來輸入物資に対しまする補給金といたしましては、
予算面にも計上いたしましたことく、八百三十三億と予定をいたしております。これは食糧、飼料等におきまして四百千億、肥料におきまして百十八億、工業原料におきまして二百六億、纖維原料におきまして六十五億、その他三十八億という内訳にな
つております。これが三百六十円に相なりました結果、一應の計算をいたしてみた次第でございまするが、食糧飼料等におきまして、四百七十九億八千九百万円ということに相なります。肥料におきまして百三十四億五千九百万円、工業原料におきまして二百三十八億千八百万円、纖維原料におきまして七十五億円、その他におきまして四十五億四千八百万円、合計いたしまして九百七十三億千四百万円と相なりまして、
從來よりも百四十億千四百万円の増加と相なる次第でございます。これに対しまして
予算面から見ますると、補給金を八百三十三億しか出せないことに相な
つておりますので、まず
考えられますることは補給金の対象を減らす、また補給の金額の單位を減らして行くということが
考えられるのでございます。しかしながら食糧肥料等を買いまする際には、さつそく國内の食糧の價格の変更というようなものが出て参りまするので、かくてはただいま低位安定を期して物價政策をと
つておりまする
現状におきまして、なかんずく食糧に対しましては先般主食を一部値上げをいたしまして、これのすえ置きを
政府が言明しておりますので、
現状におきましてこれらを上げることは不可能であろうと存じます。そこでこれらに対する補給金は依然といてこれを出すべきであろうと存じます。その他の
産業部面におきまして、できるものはこれを
合理化し、対象を減らし、また單位の切し下げというようなことを
考えることもあるかと存じます。しかしこれらにつきましては、まだ
関係方面との
折衝も十分にできておりませんので、ここしばらくの間は、これが善後
措置に関しましては、
政府といたしまして愼重な檢討を加えまして、これがために國内の物價に大きな
影響のないよう、また
國民生活に多大なる犧牲をかけないということを建前といたしまして、最善の
方策を
せつかく檢討いたしておりまする次第でございます。そこで対日援助見返
資金の問題でございますが、これは一應予算におきましては千七百五十億を見ておるのでございますが、米
ドルにいたしまして五億三千万
ドルを予定いたしてお
つたのでございます。これがもし五億三千万
ドルがそのまま維持されまするならば、対
日援助資金は約九%ほど増加いたすことに相なる次第でございまして、これらにつきましては、どういうふうにこれが使途されるかは今後の研究問題でございます。但しこの対
日援助資金の
決定は、近く開会されまするところのアメリカの國会において、
決定をされまする次第でございまして、五億三千万
ドルと
決定した場合には、自然これは今日の
為替レートではふえることに相なる次第でございます。
以上のいろいろ複雜な問題がございまするが、これを総観いたしまして、このたび
決定されましたところの三百六十円というレートは、
日本の現在の
実情から申しまして、私
どもはきわめて至当なるところに
決定をされたものと存じます。これがために
日本の
経済安定、
復興のためにはプラスの面になりまする
部面が非常に多いことを、私
どもは確信をいたしております。またこのレートの
決定に対しましては、
國民各
方面の一段の
努力を喚起いたしまして、今後
日本の
経済が國際場裡に入りまして、國際
経済に突入をいたしまするわけでございまするから、この機会に十分にこの効果を表わし、
日本の
再建のために貢献をせんことをひたすら念願をいたしておる次第でございます。なお詳細の点は御質問によりまして、お答えを申し上げたいと存じます。