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1949-04-21 第5回国会 衆議院 経済安定委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年四月二十一日(木曜日)     午後二時三十一分開議  出席委員    委員長 小野瀬忠兵衞君    理事 首藤 新八君 理事 多田  勇君    理事 前田 正男君 理事 森   曉君    理事 加藤 鐐造君 理事 森山 欽司君    理事 高田 富之君 理事 金光 義邦君       足立 篤郎君    池見 茂隆君       小川 平二君    小西 英雄君       志田 義信君    中村  清君       中村 純一君    永井 英修君       細田 榮藏君    勝間田清一君       高橋清治郎君    横田甚太郎君       田中不破三君    平川 篤雄君       羽田野次郎君  出席國務大臣         國 務 大 臣 青木 孝義君  出席政府委員         総理廳事務官         (経済安定本部         動力局長)   増岡 尚士君         総理廳事務官         (経済安定本部         財政金融局次         長)      渡邊喜久造君         総理廳技官         (経済安定本部         建設局次長)  雨森 常夫君         経済安定本部建         設局長     高野 與作君         経済安定本部貿         易局長     藤澤 次郎君         大藏事務官         (國有財産局         長)      舟山 正吉君         大藏事務官         (理財局長)  伊原  隆君  委員外出席者         專  門  員 圓地與四松君         專  門  員 菅田清治郎君 四月十九日  委員鈴木茂三郎君辞任につき、その補欠として  勝間田清一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  米國対日援助見返資金昭和二十四年度資金計  画に関する件     —————————————
  2. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 ただいまより会議を開きます。  前会に引続きまして米國対日援助見返資金昭和二十四年度資金計画議題に供します。前会まだただいまの議題につきまして質問を留保されておられる方もございますが、前会中川政務次官からお伺いしまして、大体の要領だけはわかつておるわけでございますが、まだ政務次官の御答弁あるいは御説明だけでは、必ずしもわれわれが満足する程度までに行つておりません点もございますので、本日は後ほど経本長官もお見えになられる予定でございますから、皆樣から十分に御質疑をしていただきたい。かように存じます。  なおその前に政府委員の各位に対しまして、私からただいまの二つの議題につきまして、どういう点をお聞きしたいかということをややこまかく申し上げまして、一應の御説明を願いたいと思うのでございます。もしそれに御異議がございませんでしたならば、さようにとりはからいますが、いかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 ではさようにおとりはからいいたします。政府委員の方はそれではおのおの私からお伺い申します点につきまして、適当な方々から御説明を願いたいと思います。  まず第一に見返り資金についてでございますが、前会にも簡單説明はあつたのでございます。しかしながらこの内容につきましても、もう大体詳しく御説明願つてもよい時期が來ているのではないか、かように存ずるのでございますが、前会の説明では千七百五十億の総額のうち、わずかに建設公債として二百七十億だけははつきりしている。この使途は大体におきまして鉄道建設と逓信の建設方面に使われる。かような御説明があつたのでございますが、その残額の一千四百八十億につきましては、何ら詳細な御説明が未だにないのであります。私どもが承るところによりますと、すでにその他の部分についても内定しているというようなことを伺つておりまして、特にいろいろな産業方面にも支出する額が、大体はきまつたというようなことが申されているような次第でございますので、もしそれがまだ時期が早くて公表ができないのだというような点がございますならば、祕密会なりあるいは速記をやめてなりして御説明を伺いたい。かように考えておるのでございます。  なおまた産業資金だとか公債償還に充てられる分につきまして、どの程度公債償還に充てられますか。またその資金配分によつては、金融市場にもいろいろな問題が起ると考えられるのでございますが、その点につきましてもある程度お示しを願いたい。  それから見返り資金配分計画については、政府具体案を作成するのだというようお話を聞いておりますが、すでに政府におかれましては、さよう腹案もおできになつているのではないかと考えられるのでありますから、この点につきましても御説明が願いたいと考えております。  それからその資金計画についてでございますが、この際まだ説明ができない、きまつていないというのであればやむを得ないのでございますが、各項目についての細目をお示し願いたいと思うのですが、もしでき得れば、細目資料でこちらへおまわししていただいてもけつこうだと思いますから、設備資金運轉資金内容について、詳しく御説明が願いたいと思うのでございます。  それから資金計画につきましても、今度の見返り資金配分いかんによつて相当の問題があると思います。この点見返り資金計画を明示してもらうことが必要だと思いますから、この見返り資金の先ほどから申し上げておりまする細目にわたつての御説明が、お願いしたいのでございます。  それから資金計画と関連しまして、國民所得の問題も非常に重大でございますから、その内容も明らかにしていただきたいと存じます。  それから前会委員より貿易計画についても説明を聞きたいから、政府委員の御出席を願いたいというようお話がございましたが、本日は貿易廳から局長もお見えなつておられるようでございますので、この点につきましても、ただいまの資金計画等説明があつた後に、ひとつ十分御説明をしていただきたいと思うのでございます。この貿易計画がはつきりいたしませんと、見返り資金という点につきましてもどういうふうな計画なつているか、私どもとしてはわからないのです。品物で見返り資金というものが入つて來るとすれば、これを処分しないうちはかりに五億三千万ドルのものが入つて來るといたしましても、実際に日貨にしてどれだけになるかというようなこともわかりませんから、貿易の点について十分に承知したいと思うのでございます。  大体以上の諸点について、各政府委員から御説明を承りたいと思うのでございます。その後に質問をいたしたいと思いますから、どうぞ政府委員の方におかれましては、よろしくお願いいたします。
  4. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 見返り資金、それからそれに関連します資金計画について一應御説明申し上げます。  見返り資金につきましてはこの間御可決を願いました予算におきまして、千七百五十億の金を貿易資金特別会計から見返資金特別会計に繰入れまして、これを使うことになつておるのでありますが、その中の二百七十億につきましてはただいま委員長からお話がありましたように、百五十億を鉄道建設公債、百二十億を通信の特別会計への建設公債、これに使途が一應きまつております。残りの千四百八十億については、予算面におきましては一應國債買入れ及び経済再建という項目なつておりまして、その内訳についてはこまかい表示が出ておりません。ただこれと関連しまして同じ時に御可決を願いました復興金融金庫予算の中に、約六百二十四億の金を政府から交付公債として復興金融金庫に渡しまして、そうしてその復興金融金庫の債券を償還するということが予定されておりますが、これにつきましては大体六百二十四億の交付公債を見返資金特別会計で買いまして、復興金融金庫には現金が渡る。その現金でもつて復興金融金庫復金債償還する、こういうことが大体予定されているようであります。從いまして二百七十億を差引きました残りの千四百八十億の中で、六百二十四億は復金債償還するための公債買入れに予定されておると考えてよかろうと思います。從いまして八百五十六億という数字残ります。この額が産業資金及び國債買入れに使われるわけでありますが、この八百五十六億の中でどの程度産業資金に使い得るかということにつきましては、正直のところまだ確定するまでに至つておりません。五百億くらい、あるいは七百億くらいといつた希望の数字はありますが、どの程度これを使い得るかというこうとつきましては、目下われわれの方で檢討しておりますし、さらに関係当局ともいろいろ話し合つた上でないと、結論は出ないのではないかと思つております。そこで國債の買入れと金融市場とがどういうふうにからみ合うかという問題につきましては、六百二十四億の分は、ただいま申し上げたよう数字によりまして、復金債償還するために國債を買うということになりますれば、それだけの現金復金へ渡り、復金がそれで復金債償還することになるわけであります。この復金債は全体で現在千九十億ほど出ておりますが、その中で約百四十四億は去る三月末におきまして議会を通過しました、石炭等赤字に対します補填のための交付公債というものを石炭業者等に交付しまして、それを赤字補填に充てた、あの交付公債が、あの法律にもはつきり書いてありますが、そのままで業者復金から借りております借金の弁済に充てる。復金としましてはそれを日本銀行が持つております復金公債償還に充てることになつておりますが、その分は復金交付公債で百四十四億、それだけ一應復金債が落ちる。そのほかに政府現金出資で三百二十五億と思いますが、これは現金償還になる。そのほかに今申し上げた六百二十四億という数字は、見返資金特別会計公債を買うことによりまして復金へ金が渡り、現金償還になる、こえいうことで片づいて行くわけであります。  そこで現在復金債状況を見ますと、約千億ほどの復金債の中で三百億ほどは一應市中が持つておりまして、残り日本銀行が持ております。百四十四億の交付公債日本銀行へ納まつてしまいます。残り金額につきまして現金償還される分は、三百億程度復金債がまず償還される。その差額につきましては復金償還にはなりますが、それは日本銀行復金債現金償還になる、そのまま考えますと、そこに当然通貨收縮が考えられるわれであります。その点につきましては現在資金計画におきまして、二十四年度において市中のフラクチユエートは別といたしまして、一應年度末におきましては、大体二十三年度末における通貨と同じ程度通貨予想しております。從いまして日本銀行としてしては、そこに復金償償還してもらつて現金をそのまま通貨收縮というものて充ててしまうことは、考えていないわけであります。結局たとえば公開市場政策というものによりまして、市中が持つております公債日銀が買い入れる。復金債の面から言いますと、日銀に金が入りますが、しかし公開市場政策というものを適宜に活用いたしまして、市中にその金が返つて行くよう政策をとつて雪きたいと考えております。  それから八百五十六億の中でどの程度産業資金に使われるか。これは先ほど言いましたようにまだはつきりきまつておりません。しかしあるいは一部もまた國債買入れということになるかもしれません。その場合におきましても市中國債を買うか、日銀國債を買うか、いろいろ手があろうと思います。いずれにしましてもその金は日本銀行の手を通じ、あるいは直接市中の方へそういう金がまた返つて行くことによりまして、通貨全体におきましては増減なしということを政策の中心にしております。しかし見返り基金の八百五十六億の使い方につきましては、今申しましたように、実のところまだ檢討の途中にございまして、お話申し上げる緯階に至つておりませんですが、資金計画におきまして産業資金といたしまして、一應四千七百五十二億を予定しておりますことは、前会にお配付申し上げました資料記載通りであります。この点について設備資金ないし運轉資金をどういうふうに予定しているかということにつきましては、一應予定した数字がございますので申し上げたいと思います。二十三年度におきましては、産業資金が約四千六十億、いろいろな推定が入つておりますが、われわれの方では大体この辺の数字と思つております。四千六十億の内訳としまして、それでは設備資金がどのくらい出て、運轉資金がどのくらい出るか。これはなかなかむずかしい数字でありますが、一應われわれの方で推定しましたところでは、二十三年度設備資金といたしまして千百七十五億、運轉資金としまして二千八百八十五億、合せて四千六十億、かよう内訳なつているのではないかと思つております。これと見合いまして二十四年度の四千七百五十二億を、設備資金運轉資金にどういうふうに予定しているかということを申し上げますと、設備資金といたしまして千六百億、運轉資金としまして三千百五十二億、かよう数字を予定しております。この千六百億の運轉資金が、大体本年度予定されております生産計画と見合いまして、どういう関係に立つかということについて、一應われわれの考えておるところを申し上げますと、五箇年計画数字をずつと積み上げて参りました際におきましては、一應千九百億という数字も出ましたし、いろいろ生産の面から考えますと相当大きな数字ず必要なのでありますが、資金の面も考え合せますとそう多きを期待できない、こういう関係からしまして設備資金千六百億というのは、非常にきゆうくつな数字ではありますが、この程度数字で何とか生産計画もそう大きな支障を來すことなしに、この程度数字金額が確保できれば、何とかやつて行けるのではないかという程度数字と思つております。各業種に対する千六百億の内訳を言いますと、これにつきましても実はまだわれわれの方で檢討している最中でありまして、一應予定されております数字は、正直に言いますと財政金融局腹案という程度で、安定本部事務当局におきましても、まだ意見の一致を見たというほどの段階に至つているものではないのですが、一應御参考に申し上げますと、設備資金千六百億の内訳としまして、大きなものでは石炭が二百四十億、その他のマイニングが三十億、合せて二百七十億、纎維が八十億、金属工業関係におきまして、鉄が九十億、その他六億、機械工業が六十億、化学工業が九十億、電氣が四百億、運輸関係におきまして船舶が二百億、その他が百三億、その他農林の関係でありますとか、いろいろ雜産業がある。雜産業と申しては語弊がありますが、その他今まであげました範囲に入らない産業がいろいろありますが、これらを含めまして約三百億程度数字——これは今申しましたようにまだ財政金融局腹案としまして、近く安定本部の中の会議に提案しようと思つておる数字であります。一應千六百億をかように考えておりますが、この中で今問題になつております見返り基金からどの程度の金が使えるか。千六百億を設備資金として確保しますためには、見返り基金としましては七百億程度見返り基金援助がないと——他金融機関及び自己資金からまわりますものが九百億ぐらい予定されますので、七百億ぐらいの援助資金の使用が承認されませんと、千六百億の確保はむりではないか、かように現在の段階においては考えております。ただその七百億をどの産業にどういうふうに配分するかという問題につきましては、これはさらにこの設備資金の一應の配分以上に、いろいろ檢討しなければならない問題が残つております。その点につきましてはまだ申し上げる段階に至つていないことを遺憾に思つております。ただ仕事の順序といたしましては、至急に年間の計画をきめ、同時に第一・四半期計画につきましても至急に案をつくりまして、一應政府部内における手続きを終えまして、司令部の承認を得なければならぬことになつておりますので、われわれの方としましても非常に仕事を急いでおりますが、現在遺憾ながらまだ御披露の段階に至つておりません。御披露申し上げ得る時期が参りましたならば、ただちに御披露申し上げたいと考えております。一應見返り基金資金計画関係につきましての説明を終えます。あと貿易計画について御説明願いたいと思います。
  5. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 貿易計画について述べよという御命令でありましたので、まかり出た次第でございます。昭和二十四年度貿易計画も大体立てておるのでございますが、多分お求めになつておるのは、安本の全体の長期貿易計画という意味もおありであろうと存じまして、その問題につきましても今日申し上げ得るものは全部申し上げたいと思います。計画に入ります前に現在までの貿易状況を、かいつまんでごく簡單に申し上げます。それから計画に入りたいと存じます。便宜上終戰後から今日までのことを短かく申し上げます。  終戰後から今日までの貿易状況を一口に申しますと、輸出におきましては昭和二十年から二十一年の暮れまでの一年言箇月間の輸出高は一億三百三十万ドル、輸入は三億五百四十万ドル、それから昭和二十二年の輸出は一億七千三百三十万ドル、輸入は五億二千六百三十万ドル、昭和二十三年の暦年の貿易輸出が二億五千八百六十万ドル、輸入は六億八千二百六十万ドル、こういうことになりまして暦年度昭和二十三年を入れた過去三年間の貿易の総じめを申しますと、輸出合計が五億三千五百十九万ドル、輸入が十五億一千四百三十万ドル、差引入超九億六千九百万ドル、約九億七千万ドルになつております。今数字を申し上げましたよう輸出は非常なスピードではありませんけれども、昨年と二十三年を比べますと、相当の進歩を遂げております。輸入方面におきましては、あまりかわりはありませんが、去年は昨年より少しふえております。そのことも少し申し上げたいと思います。今申し上げましたように、過去三年半にわたりまする貿易の帳じりは約九億六千九百万ドル、約九億七千万ドルに達しております。これは主として來從の救済勘定の遺績と申してよいと思います。昨年の救助勘定以外に本年も與えられようとしておる経済復興援助資金が、一億八百万ドルに達しておりますが、全部使い切つておりません。年度が少しずれておりますけれども、昨年度輸入の六億八千二百六十万ドルというのは、やはり復興援助資金が加わつておるために輸入がふえたと申してよいと思います。  さて昭和二十四年度貿易のことをちよつと申し上げたいと思うのですが、二十四年度に入ります前に、会計年度で申し上げませんと、ちよつとおわかりにくいかと思いますので、会計年度で申し上げます。これはまだ数字が固まつておりませんので、若干の訂正を要するかと思いますが、昭和二十三年の四月一日から二十四年の三月末までの貿易簡單に申し上げます。輸入におきましては約七億二千万ドル、輸出におきましては約四億ドル、こういうふうな状況なつております。  さて二十四年度貿易計画でございますが、これはすでに大藏委員会あたりでも、財政の問題と関連いたしまして貿易計画に触れておつたと思いますが、たとえばドツジ公使からわれわれに仮案として示されました貿易計画は、昭和二十四年度輸入が九億五千万ドル、輸出において約五億ドル、貿易外收入が五千万ドル、これを加えて五億五千万ドルの輸出及び貿易外收入でございます。これは次に申し上げまする安本等で立てておりまする貿易計画と、数字に齟齬がございまするけれども、これはいろいろな経理の問題あるいは経政の観点から、非常にかたく見積つたというふうに見られております。資金計画の面から考えた角度から貿易を手がたく見積つた、こういうふうに私どもは考えております。でありますから、安本が今立てつつありますところの昭和二十四年度貿易計画は、ただいまドツジ公使から示され、日本政府で今貿易特別勘定に組んでおります数字と食い違いのできますることは、そういう意味において御了承を願いたいと思います。今年の輸出計画は、私ども約六億ドルの見込んでおります。輸入計画はまず十億四千万ドル、それの大体の内訳を一々申し上げますとかえつて煩雜になりますので、この六億の輸出を構成しておる主要の分類を申し上げますと、まず纖維類におきまして五一%、金属機械類におきまして一四・二%、金属は約九・六%、かんじんな陶磁器は三%、ガラス及び同製品一・八%、雜貨は四%、それから農産物、水産物を合わせまして三・二%、最近木材の合板なども出ますのでこれを調べて見ますと一・二%くらいになります。それから石炭が、多分に命令的な輸出なつておりますが、これが二・五%、セメントも今年は相当数量出せということで、今一・七%の程度なつております。その他紙類のごときは〇・八%、ゴム類は申し上げたかしれませんが二・四%、それから今申し落しましたが、カン詰が一・三%、それから医化学品が案外多くて二%くらい出ます。こういう内訳でパーセンテージを構成しております。  それから輸入計画の方を申し上げます。これはまず十億四千万ドルと見ておるのでございますが、そのうち鉄及び非鉄金属が約八・七%、纖維原料二〇・七%、ゴム類一・六%、皮革類一%、石油類七%、石炭六%、工業藥品三%、油脂原料が一一%、肥料が五・二%、主要食糧が三一・三%、家畜の飼料が〇・八%、輸入木材が一・一%、その他雜品が〇・七%、これは合せて一〇〇%に達しないかもしれませんが、あと残りは略しておきます。  こういうよう計画を立てておるのでありするが、もとよう計画でございますので、今後の情勢によつて相当変化があると思いますが、昨年のごときは、大体において貿易計画予想通り、あるいは少し輸出予想より多かつたという状況にございます。ただいま終つたところの二十三年度貿易状況から判断いたしまして、來年度、つまり二十四年度に六億の輸出を見込むということは、あながちむりではないと思う。むしろもつと貿易意欲を盛んにしなければならぬのではないかとさえも思つております。但し昨年度は大体お耳に達したと思いますが、上半期には非常な貿易不振でございましたので、下半期において大いに拍車をかけなければならぬと思つておりましたところ、スターリング地域等貿易協定を初めといたしまして、十二箇國の貿易協定ができまして、それも大いに働きましたのと、だんだん單一為替の切迫ということも海外にも知られておりますので、一方は買い急ぎ、一方は賣り急ぎということも現われたせいがありまして、下半期、特に第四・四半期に及びまして貿易が非常な勢いで伸びました。そこで上半期に七千七百万ドルしかなかつたものが、下半期を加えますと、二億五千九百万ドルに達したという状況でございますので、今から考えますと、少しく海外の買い過ぎの傾向がある。日本から急いで出したということにもなつておりますので、あるいはこの第一・四半期、第二・四半期がむしろ貿易は少しく沈滯状況を來すのではないかと思つておりますが、一年を通じますと、六億程度貿易はやらなければならぬ、またできるものだと私どもは考えております。数字に即して申しまするとこの程度でございますが、あと質問應じたいと思います。ただ長期貿易計画いかんという問題は、必ず皆さんのお考えになることだろうと存じますが、長期計画における貿易は昨年の五月でございましたか、安定本部におきまして、経済復興五箇年計画第一次試案なるものを皆樣方の前に出しましたときに定めました方針と、大体の考え方は少しもかわつておりませんですが、その後の情勢変化によりまして、長期復興計画のやり直しをしなければならぬという状況に差迫られております。貿易状況もまだ相当考え直さなければならぬこともありますので、今日五箇年計画における貿易計画の全体を、ここに申し上げる段階に達しておりません。しかし私どもはこの問題を去年の夏改訂を加えんとして以來、ずつと引続いてやつております。関係方面ともほとんど毎日のよう長期計画をめぐつて貿易がこの点についていかになるかということにつきましては、絶えず接触を保つておりますが、まだ向う倒からも十分に納得の行く数字を出しておりません。私ども数字も非常に向うの参考になつておりますけれども、まだ決定になつておりません。これはもとより五年先のことを貿易において申し上げるのでありますから、相当に困難がありますけれども、やはり根本はいかほど日本援助を與え得るかということが問題になるのでありまして、われわれの長期復興計画も、そのアメリカの援助というものが定まりませんければ、この計画も立てられません。貿易もやはりそういう援助を期待しつつ、経済復興のために貿易として見合わなければならぬ方面と関連的に考えておりますので、今日五箇年計画全般について貿易計画がどうかという御質問を受けましても、ちよつとお答えしにくいのであります。しかし大体の構想におきましてはかわりありませんので、昭和二十八年度において、日本輸出貿易じりがバランスするように、つまり二十八年度においては、何らの対日援助を受けなくても、日本貿易のバランスにおいて経済自立に向うべきだという考え方においては、少しもかわつておりません。貿易高がどのくらいの程度にならなければならぬかということも、相手のあることでありますけれども、今の第一次計画に示します計画とあまりかわらない数字を、計画し得るのではないかと考えております。まず大体この程度申し上げまして、また後刻御質問がございましたら申し上げます。
  6. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 ちよつと藤澤政府委員にお尋ねするのでありますが、ただいまの御説明輸出計画としましては、六億ドルくらい、それから輸入計画としましては、十億四千万ドルぐらいに予定されておる、かような話でございましたが、その輸入物資の大体の内訳のおもなるものはどういうものになりますか。
  7. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 さつきパーセンテージを申し上げましたから、大体おわかりと存じますが、今鉄、非鉄金属は八・七%、纖維のパーセンテージも申し上げたのでございますが、その品目につきましては、なぜこういうものを輸入するのだろうという御疑念があろうと存じますので、ございましたら申し上げたいと思います。
  8. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 そういたしますと、この差額が結局見返り資金で補われるということになるのですか。
  9. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 つまりそういうことでございますが、先ほど渡邊局長からの御説明の中に、千七百五十億円というものは、向うの見返り勘定で、この見返り勘定を構成するものは、申すまでもなく救済勘定復興援助資金、それに相当のレートをかけて、千七百五十億を出したのでございます。その数字で大体見当がつくのでございまするが、御案内の通りまだアメリカの議会も通過しておりませんし、日本側においてこれだけのものが必ず入るということを、今私どもの方で申し上げることもできません。しかしその辺のことは皆さんの御推察におまかせしたいと思います。そういうものを輸入資金にいたしております。今言う食糧とか輸入品のごときは、もとより見返り資金の元金で買われるものでありまして、鉄鋼とかマンカンのごときも、やはりそういうものから買われるものでございます。
  10. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 それから今安定本部の方から高野建設局長がお見えなつておりますので、私から一應お尋ねしたいのでありますが、一般会計の方の建設予算というものはわかつておりますが、この対日援助見返資金からの予算で、建設方面にまわされる部分があるかないか。大体あるように私どもつておるのでございますが、もしあるとすれば、主としてどういう方面に振り向けられておるのであるかということを、お尋ねしたいと思います。
  11. 高野與作

    ○高野政府委員 ただいまの御質問につきましては、まだ安本部内におきましても確たる結論には到達いたしておりません。ただしかし私といたしましては、この見返り資金のうちへ公共事業的な性質のものを相当程度織込んで行きたいものである、こういうふうに考えて、私の部内の協議にも実は提案いたしております。問題として取上げなければならぬと考えますのは、比較的採算がとれて、しかも非常にまとまつたもの、それからあまり厖大な金額のものであつては、長期にわたることになりますので不適当ではなかろうか。少くとも三、四年、長くて五年くらいの間に完結できそうなもの、しかも相当公共的なもの、こういうふうな考えで、部内で今相談をいたし準備をしております。しかしながらよく研究してみますと、公共的な性質のもので、そう採算のとれるというものは非常に少ないのでありまして、その点今いろいろ研究いたしている段階であります。
  12. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 ただいまの建設局長お話を承つて、非常に私ども満足に思うのでございますが、一般予算で非常に公共事業費が少ない。少ない予算であるからぜひとも見返り資金の方から、できるだけ多く公共事業費の方にまわしていただいて、特に農地改良方面の費用を多くまわしていただくようにしていただきたいということが、前回の委員会におきましても各委員から強く要望されたところでございますので、建設局長はもちろんでございますが、経本長官におかれましても、この点十分お考えおき願いたいと思うのであります。  そういたしますと、大体政府委員側からの御説明は承つたのでございますが、今日は青木総務長官もお見えなつておられますので、皆樣今まで長官から直接伺いたいというような御希望がございましたから、この際十分御質問をお願いいたしたいと思います。
  13. 首藤新八

    ○首藤委員 ちようど今日は長官もおいでになつておられまするから、四点ほどお尋ねしたいと思います。  予算案がすでに通過をいたしております今日、これについてとかくの意見を述べるということは、さしひかえたいと思います。しかしながら、いかに檢討いたしましても、本年の予算案を実行いたしますれば、デイス・インフレを通り越して、むしろパニツクが來はせぬかということを、依然として私は心痛しておるものであります。課税が高率に引上げられたこと、はたしてかような担税力ありや否やという点を、現実の姿から見て非常に私は憂慮いたしておるのであります。しかも反面歳出の面において、地方財政の引下げあるいはまた公共事業費の縮小という面を、非常に憂慮しておるものでありますが、当面の問題として最もわれわれが憂慮いたしておりまするのは、金融機関の二千五百三億という見積りがしてありまするが、はたしてかよう金融機関の融資ができるものであるかどうか。すでに昨年末以來でありまするが、金融は非常に梗塞いたしまして、一般商取引の面における現在の取引状態をながめますると、半分以上は手形決済になつております。同時にあと二割ぐらいはいたずらに支拂いを延ばすということで、辛うじてつじつまを合せておるのでありまするが、この手形決済も、当初は三十日であつたものが六十日になり、最近は九十日になんなんとするというような状態に置かれておるのであります。そこで何が急激にかように金融を梗塞さしたかということを檢討してみますると、現在最も大きな原因となつておりまするのは、税が苛斂誅求された結果、銀行の預金がほとんどその方面に拂い出されてしまつた。同時に預金すれば何どき税務署の課税の対象となるかもしれぬ、追求されるかもしれないという大きな不安から、多少余裕を持つている者もことさら預金しないのであります。それからもう一つは、政府の支拂いが非常に遅延して参つている。私最近各方面を視察したのでありますが、現在政府支拂いの遅延している額はおそらく五百億、石炭の方を加えますれば、あるいは六百億円ぐらいの支拂い遅延になつておりはせぬかと思われるのであります。もう一つは通貨措置に対する不安が、最近また急激に濃厚になつて参つたのであります。今日まで、通貨に対して何らかの措置をとられはせぬかというふうな揣摩臆測が、何回も行われましたが、しかしながらインフレ過程におきましては、さようなことはあり得ないことであると、多少経済的に地位のある者は否定して参つたのでありますが、本年の予算が安定経済を目的としている以上は、今度こそ通貨の措置が当然行われるのではないかという説が、最近非常な勢いで各方面へ廣がつてつたのであります。今日までは先ほど申しましたごとくインフレ過程でありまするから、おそらくかような措置はとらないであろうということは考えられるのでありまするが、しかし財政が安定する。そして安定したならば当然次に來るべきものは通貨の措置であるということは、常識的にも考えられますので、かような不安が急速度で各方面に廣がつて行きつつあるのではないかと思うのであります。そこでできる限りかような不安を除去いたしまして、できるだけデフレ的なパニツクの襲來を防ぐような方法を講ずること自体が、当面政府のとるべき最も重大な使命であると私は思うのでありますが、それにははたして安定後に通貨措置をとるのであるかどうか。もしとらないならば、その際さような民間の不安を打消す何らかの対策を必要とすると考えまするが、これに対してどういうお考えを持たれているかどうか、これを私は伺いいたしたい。  それから政府支拂いの遅延でありまするが、最近どの業界に参りましても、異口同音に強く叫びまするのは、実に政府支拂いの促進であります。從つて総合企画の官廳であるところの安本では、この問題に対して政府に対して支拂いの促進をやれるかどうか。願わくは毎月末の各官廳の支拂い未済の残額を報告させて、その次に幾ら支拂つたかということを見て、この支拂い促進をやることが、当面の金融梗塞を緩和する面において、最も重要な措置であると考えておるのでありますが、そういう措置がとれるかどうかということをお伺いしたい。  もう一つは徴税であります。すでに私から申し上げるまでもなく、昨年秋から至るところに差押えの強政処分がある。また十人、二十人、はなはだしきは三十人という税務署員が、まつたくギヤングに等しいような行動をもつて、各方面で徴税の追求をいたしておりまするが、かようなことをしなくても、もつと合理的に一般を安心させ、かつ得心の行く徴税方法が必ずあると私は思うのであります。しかも最近は各税務署の徴税担当者の素質が非常に低下して参つた。年齡も各方面を調べた結果、大体二十一才から二十二才が平均になつておるのでありまして、徴税のごとき複雜な事務を、かような若年の者に当らせるということ自体が、すでに私は非常にむりだと思うのでありますが、こういう方面について何らか改善の措置をとる御意思があるかどうかという点をお尋ねいたしたい。  もう一つは貿易であります。ただいまも拜聽いたしましたごとく、貿易は非常に順調に伸びているということで非常にけつこうでありまするが、しかし現実の各サツプライヤー、あるいは各メーカーの実情をながめますると、これまた非常に金融に圧迫されまして、これがためにできるべきところの輸出ができないという面が、非常に多くなつて参つたのであります。特に貿易公團から受取るいわゆる貿手でありまするが、この貿手が非常に遅れるのみならず、また金額が非常にふえて参りました結果、金融機関の手元資金もまた非常に不如意であるというような理由から、ほとんどのものがこれを現金化するのに困難を來しているのであります。從つてこの貿手に対してもつとたやすく簡單に、各金融面でこれを現金化するという措置をとることも、これまた緊急の対策として最も必要だと信ずるものでありますが、こういう面についていかなるお考えを持つておるか。この四つの問題についてお尋ねしてみたいのであります。
  14. 青木孝義

    ○青木國務大臣 ただいまの御質問簡單にお答えいたします。いろいろとお述べになりました内容については同感の点が多いのでありますが、今回の予算及び経済安定のための諸措置が、あるいはパニツクを起すのではないかというような御懸念もあるようでありますが、私どもの考えてしたしましては、経済を安定せしむるということが、この予算ないしはその他これに関連いたします諸措置によりまして達成せられますならば、その状態が維持されて行くかどうかということについては、万全の措置を講じて参りたいという所存でありますが、パニツクが招來されるということは、ただいまのところ考えておりません。但し問題は現在のインフレの行程がどんなふうに安定するか、また急速にこれが安定せられるということになつた場合に、おそらく皆樣でも、われわれでもそうでありますが、現在の状態が経済の正常な状態であつて、これが安定するということは、むしろパニツクということではなくデフレではないか、こういうような見方でありますならば、それは多少私の見方とは違うというふうに思うのであります。ただしかしながらこの場合、経済が安定したらば通貨の措置が講ぜられるかどうかという御不安に対しては、私はおつしやるようないわゆる通貨措置ということは、おそらく私としては考えられない。さようなことは政府としてはまつたく考えておりませんし、さようなことはない。こう強く申し上げてさしつかえないと存じます。  第二点の政府の支拂いの問題でありますが、未拂いになつておりますものの明確な数字はもとよりわかりませんが、二百億と言われ、三百億くらいとも言われている。しかしその原因は大体におきまして年初來徴税が行われたので、おつしやるようにその点が最も重大な問題であつたと思います。ともかくも企業その他一般の手元が非常に逼迫して來たという関係はわれわれも認めるのでありますが、そのほか政府支拂いとしては、これはなるべく早く政府の支拂はやらなければならないという考えから、閣議におきましても、各省にすでに政府支拂いをすみやかにしなければならぬということを強く申し傳えておりますし、その点はなお相当つているとは存じますけれども、順次解決せられて参ると存じます。なかんずく今回予算が決定せられましたので、これが実行されることになりますれば、この問題は順次解消して参るものと考えております。但し御承知の通り、二十四年度予算が決定しない前に政府の支拂いが多少遅れている。そういうような機会におきまして、なお從來の見込み生産的な契約というものが相当にある。その場合における過渡的な一つの金融の逼迫というようなことは、もちろんわれわれも懸念をいたしておりますが、その点から特に今回は契約統制に関する法律というようなものが、多分提案されることになつておると思いまするが、この点に注目をいたしまして、今後さようなことの起らないような配慮をいたしておる次第であります。  それから第三点の徴税の問題でありまするが、これはいつも問題になつておりまして、われわれも絶えずそのことについては政府に注意を促して参つておるのであります。私どもも、徴税の技術というような点については、ぜひひとつ大藏省を中心としてもつと研究もし、訓練もし、指導もしてもらわなければならぬということを、深く考えておる次第でございます。  最後の一点として貿手の問題であります。これらも金融措置のよろしきを得れば、漸次解消して参る問題であると思いまするが、現在のところ予算が昨日通過したばかりでございますので、これから金融面における諸措置が講ぜられて、一般金融機関その他の金融機関方面資金が潤沢になつて参りますれば、おそらくこれらの問題もおのずから解消して行くということの見通しがつくと考えます。ことにその内容につきましては、すでに予算委員会その他において、いろいろと市中金融、一般金融を増加するというよう意味において、特に復金債の買い上げであるとか、あるいは日銀につくられるポリシー・ボードを通じてのオープン・マーケツト・オペレーシヨンというような方法によりまして、漸次市中金融の潤沢化をはかるというようなことを述べておりますから、この線に沿いまして、おつしやいましたような貿手の問題の解消というようなことは、われわれとしても考えておる次第でございます。
  15. 首藤新八

    ○首藤委員 ただいまの長官の御答弁で大体了承いたしましたが、なお一、二点お伺いしてみたいと思う。これは今の政府支拂いの問題でありますが、各省にこれを強く要望いたしますると、二十四年度のものを先渡しをした、從つてまだ支拂い期日が來ないにもかかわらず、請求をするものが相当あるということを弁明の一番大きな内容としております。しかし各業界の実情をただしますと、だれも、二十四年の契約としての先渡をしたものに対して、かような請求をするものは一つもない。もつとも今月になりましてからは請求をしておりますが、大体政府支拂いの遅れておりますのは、要するに二十三年度分であります。それについて一部分では、インフレを押えるために意識的に政府は支拂いを遅らせておるのじやないかというような説が、もつぱら半面にあるのでありますが、こういう意識的に支拂いを遅らせておるところの計画ありやいなやということを、ひとつお尋ねしておきたいと思います。  もう一つは價格差益金でありますが、價格差益金は雜收入として收入の項目に入れておりまするが、しかし現実に物價廳の價格更改をいたします場合には、各産業ともすでに全部赤字なつておるのであります。これが事務的に非常に早く行われて、差益の出る時期に價格が更改されまするならば、差益金もまたやむを得ないと思いまするが、どの産業も、物價廳の事務が非常に遅延して赤字なつて三箇月、四箇月たつてようやく價格が更改される。從つて價格差益納付金でなく、むしろ欠損金を政府からもらわなければならぬという実情にあるにもかかわらず、これを依然として價格差益として大幅な徴收をされるという面に、各産業界が非常な不満と、また経済的に非常な圧迫を受けておりまするので、むしろこういう面は廃止したらどうかということを考えておるのでありまするが、これに対してどういうお考えを持つておるか。  もう一つは経済調査廳であります。調査廳が昨年來設置された。ところがこの経済調査廳は、大部分が檢察廳の人間である。現在の日本の経済はすべての統制が配給制度でありまするが、この配給が單位所要量に合致して、全部時間的にも量的にもすつかり計画通り配給されておりまするならば、いかに調査廳がたくさんできましても、業界は何らこれに対して不安も不満もないのでありまするが、配給自体が非常にアンバランスでありまして、時間的にまた非常なずれがある。また單位所要量に対してその所要量の六〇%あるいは五〇%より配給がない。しかも供出の方は一〇〇%出荷しなければならぬというところに、各産業も非常に大きな重圧を受けておるのであります。しかしながらこの出荷の責任を果さなければ、次の配給が削減されたりあるいは中止されたりして制裁を受けまするから、やむなくいろいろな方法をもつて責任を果しておる。しかもそれを調査廳の面から見ますれば、それは全部違反だということで徹底的に糾彈されるというふうな状態になつておりまして、かえつて生産を阻害するというような現実の面が非常に多いのであります。むしろ私は調査廳のごときは、日本経済再建のためにない方がいいのではないかというふうに考えるのでありますが、これに対して安本としては、どういうお考えを持つておるか。この二つをあわせてお聞きしたいと思うのであります。
  16. 高田富之

    ○高田(富)委員 ただいま調査廳のお話が出たのですが、実はこの機会に一言私からも質問したいと思います。これは埼玉縣における調査廳の活動を通じて、私の直接体驗したことであります。現在の調査廳の活動は、ややもしますると警察のやることとまつたく同じことをやつておるような実情にあります。それでも別の角度からうまくやつて行くのならいいのでありますが、実は非常に寒心すべき状態にある。それは先般埼玉縣に、供出問題に関して非常に困難な事態が発生したのでありまするが、その際地元の檢察廳においても、何とかして一〇〇%出させなければいかぬということのあまり、非常に大量の主食のやみ買いをやらせまして、そのやみ買いによつて供出を完納せしめたが、そのためにいろいろな——ここではこまかい問題は述べませんが、禍根を残しております。その現場に経済調査廳もまた全力をあげて督励に当りまして、調査廳自身もダンビラをかざして督励したということを答弁しておりますが、その大量のやみ、一箇村で一千万円から一千五百万円くらいに当るやみ買いを、約十箇村くらいにわたりまして公然とやつたのであります。これは農業協同組合も公にやりますし、個人でもやりますし、そうしてこれを調査廳自体も見ておつて、またみずからもよく承知しておつて、むしろそういうやり方を檢察廳とともに奬励してやらすというような方法をとり、かたわら戸別にまわりまして、そうして犯罪になるということでもつて脅かしながら事に当つた。どうも調査廳のやり方がそういう点で非常に矛盾しておる。調査廳は一体何のために仕事をしておるのかわからないような事態があるのであります。おそらくこれは埼玉ばかりでなく、どこでもそういう問題はあると思いますので、調査廳のあり方について、はつきりと御答弁を願いたい。
  17. 青木孝義

    ○青木國務大臣 まず最初からお答えを申し上げて参りますが、第一点の政府の未拂いという問題については、われわれも相当懸念を持つておるのであります。これは私どもとしても、なお一層注目をいたし、かつ調査をいたしまして、あらためてそういう点についてまた次の機会にお答えをいたします。  それから第二点の價格差益の問題については、おつしやるような点についてはただいま檢討中でございます。  それから第三点の調査廳の問題で、これは高田さんの御質問も大体同じ御趣意であると存じますが、われわれも事実そういう声を聞くのであります。もちろんさようなことが——その内容いかんということでありますが、調査廳そのものとしては、御承知の通り現在統制が行われておつて、そうして國の経済秩序を維持するということのためには、かような機関が必要であるということが存在の理由でありますが、それがかえつて國民の生活に脅威を與え、圧迫するというような廣い意味でのお言葉であり、またいろいろ事実を指摘してのお話がございました。もちろんこれは、國家の経済秩序を維持するという意味において、また供出の公正を期するという意味において存在しており、また不当なものに対しては調査の結果正しく導いて行くというような立場をとらなければならぬので、これがかえつておつしやるようないろいろないわば不当なことが行われておるということでありまするならば、われわれとしても大いにそれらの点は反省をしなければならぬと思うのであります。おつしやるような点は、なお私どもも調査をいたしまして、当委員会においてその結果をまたお話申し上げたいと存じます。
  18. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 御用があつて一旦お帰りになられたのですが、舟山國有財産局長が再びおいでになりましたので、勝間田委員に発言を許します。
  19. 勝間田清一

    ○勝間田委員 ごく簡單なことなのですが、この前の予算委員会のときに、当時の大藏大臣であつたと思いますが、大藏大臣は國有財産の拂下げの中に國立病院のことをも見込んである。こういうことを当時言われておつたのですが、これは医療團の方の間違いではないかと私は思うのですけれども、國立病院の人たちが非常に心配をしておりますので、この点を明確にしていただきたいと思います。いわゆる國立病院の拂下げが含まれておるのかおらないのかということであります。
  20. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 大藏大臣の答弁はどういうことでございましたか私存じませんが、特に國立病院を政府の方から拂下げるという計画は立てておりません。たとえば元の軍用の病院でございますが、これは原則として厚生省に移管しておりまして、厚生省が國立病院として経営して行く建前になつております。その他のものにつきましても、あるいは市町村等の要望によりまして、拂い下げるものがあるかもしれませんが、國立病院は厚生省において從來通り維持して行く方針と承知いたしております。最近の國有財産の大幅の拂い下げという問題に関連いたしまして、厚生省あたりがさらに案を再檢討いたしますれば別でありますが、今日までは全然そういうことには相なつておりません。
  21. 平川篤雄

    ○平川委員 まだこれは御発表になる段階お話しなさる段階なつていないかもしれませんが、最近いろいろ総理その他の御言明をもとにいたしまして、非常に不安がつている向きもありますので、將來國有財産に関係があることでありますが、たとえば專賣局であるとかあるいは鉄道とか通信関係のものとかいうものに外資を導入して、外國人の資本で経営をさせるというよう計画に関しまして、もし見込みでもお見通しでも、あるいは何でもいい。お話できる程度に承つておきたいと思います。
  22. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 國有財産と外資導入の関係が若干話題に上つているようでございますが、これはまだ政策論として檢討されている域を脱しないのであります。國有財産は御承知の通り行政財産と普通財産にわかれておりまして、行政財産は國の行政の用に供する財産でございまして、各省各廳が使つているものでございます。これに反して普通財産と申しますと、旧軍用財産を初め、國の行政の用に供する必要のなくなつた財産でございます。これは大藏省におきまして、毎年度計画を立てまして拂下げをして行くのでございます。二十四年度は管理收入を合せまして、約四十億円の見積りを立ててある次第でございます。最近國有財産の拂下げ、さらに外資と関連しての問題となつておりますのは、國の事業事務を大幅に整理して、これに外資と結びをつけたらどうかということが問題になつているものと思うのであります。たとえば專賣事業でありますとか、あるいは鉄道事業の一部でありますとか、そういうものについてこの際國の事務なり事業なりを檢討しまして、必ずしも國家が維持して行く必要のないものはこれを民間に拂い下げる。民間に拂い下げるといたしましても、ただちにこれを資金化できるかどうかは多分に疑いがございまして、これらについてあるいは外資を導入するといつたような考え方ではないかと思うのであります。普通財産を各年度にわたりまして処分して参ります問題は、大藏省が取扱つているのでありますが、各省の行政財産をどう整理するか、あるいは整理する余地があるかどうかという問題につきましては、政策に関する問題でありまして、先般総理大臣からの御発議によりまして、各省大臣におかれてそれを檢討されているように聞き及んでいる次第でございます。その結論はまだ私どもも伺つておらない次第でございます。
  23. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 ただいま國立病院の拂い下げのお話がございましたが、一旦これを厚生省の方におまかせいたしますと、あえてそこを必要としない病院でも、自分の省に属するからと言つて、どこまでもこれを処分することを拒むような傾向があるのであります。しかしこれは実際問題といたしまして、私の郷里にわずか一里半のところに二つの國立病院の本院と分院があるのでありますが、一方は患者もほとんど病室におらずして、ただ職員がおつてその経費を支拂つている。院長としてはその病院を拂い下げてもよいという考えは持つておりますけれども、職員の失業問題等によつて騒がれるものだから、どうしてもこれを拂い下げてもいいというサインをすることができない。その他、あそこにおけるかつての陸軍獸医学校の用地なども、いろいろそういつたようななわ張り爭いのようなことで、処分してもいいものを処分せずにおくというような実情がありますから、國有財産の処分につきましては各省ばかりにまかせずに、ある特別な何かの機関を設けて調査をして、実際に必要なことであるならば、それは國立病院というものを厚生省の言う通りにしてもいいが、不必要なところはやはり拂い下げるというような、何か正しき判断をするような道を選んでいただいたらどうかと思うのであります。それから拂い下げをするにつきまして、前に買い上げたそういう縁故者に優先権を與えるのか、どうか、その点もひとつお伺いしたい。
  24. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 國立病院の問題につきましては、実際問題として旧軍用の病院は厚生省に移管をしておりまして、その後厚生省がどの範囲でこれを維持経営して行くかという問題につきましては、実は昨年の國有財産法の改正によりまして、大藏大臣に國有財産の総括権というものができたのでございます。これは國有財産の総合的かつ法律的な運用をはかるということでございまして、各省において國有財産の扱い方が適正でない場合には、閣議の決定によりましてこれを是正して行く発言権というものが、大藏大臣にできたのでございます。しかしただいまお話しになりましたことは、厚生省が國立病院をどの程度に維持して行くかということになりますと、やはり政策問題になると思うので、ただ厚生省の國有財産の使い方が適正でない。必要以上の使い方をしているとか、あるいは用途以外の使い方をしているとかいうことになりますれば、國有財産の総括大臣である大藏大臣が調整をして行けると思いますが、どの程度に國有財産を保持して行くかということになりますと、やはり各省大臣の御意見に從わねばならないのであろうと考えるのであります。たとえば、ほかの例をとつてみますと、農林省における営業財産のごときものもございまして、どの範囲かということをきめるにつきましては、やはりその省の政策ということから割出されて行くかと考えるような次第でございます。それから、次に元の所有者に國有財産を優先的に拂い下げができるかという問題につきましては、個々の場合々々によりましていろいろ事情が違いますが、会計法上のいわゆる縁故者として、特に随意契約で拂い下げられる場合もございます。個々の場合について檢討してみなければならぬ問題と存じます。
  25. 高田富之

    ○高田(富)委員 関連して……。平川委員からただいま御質問があつたことですが、もう少し詳しくお話を伺いたいのですが、大体いろいろ新聞や何かにもうわさが出ていることでありますし、今日鉄道とかタバコその他についても、お話合いが進んでいる向きがかなりあるのではないかと思われますし、また総理大臣のお話の中でも、今度補正予算を組んで國有財産を拂い下げたものを財源として、國民の負担の軽減をはかつたり何かするのだということを言つているし、相当の自信が政府としてもおありになろうと思います。大体の見通しとして、また今のところわかつている状態では、どういうようなところまで行つているか。またどのくらいの財源がこれによつてどの方面から浮いて來るか。わかつている限りにおいて御説明願いたいと思います。
  26. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 大きな意味におきましての國有財産の整理ということに関連いたしましては、先ほど各省大臣の間にお話の進んでいるはずと申し上げたのでありますが、これを事務当局の調査によりましてたとえば私の方から各省に紹介をいたしまして、この際國の事業からはずし、事務を縮少し、それによつてどのくらいの國有財産の余剩ができるか。從つてこれを換價いたしますればどのくらいの財源になるかということを、私どもの方から紹介いたしましても、各省の事務当局といたしましては、それぞれ現在の事業、事務の必要性を感じ、またそれに愛着を持つておるわけでございますので、事務当局間の話合いでは、思い切つてこれこれはこの際やめて、國有からはずそうというような意見は出ないような実情でございます。われわれがどういうものを予想するかという点につきましては、たとえばこれは一般的に申しますと、各省にございます試驗所とか研究所というようなものは、あるいは直接國がやらなくてもいいものがありはしないか。あるいは各省でそれぞれ重複した施設を持つておるが、これを合一したならばもつと能率的なよい研究ができる機関もできるのではなかろうか。それから各省でいろいろ直営の工場、作業場というようなものを持つておる場合もございます。これらにつきましてはこの際これを民間に委讓いたしまして、政府の所要は外注でもつて調弁したらいいのではなかろうか、こういう考え方もできるのであります。たとえば鉄道の修理工場といつたようなものも、これは必ずしも直営にする必要はないのではないか。車両会社に車両を注文しておるがごとく、修理もこれを民間の会社に発注するといつたような考え方ができるのではなかろうか、という一つの問題が提起されるわけであります。それから鉄道会社につきましては、戰時中の統制によつて民間の企業をいろいろ買い上げたという例が多いのでありますが、これらは少くとも元の姿にかえすという意味において、あるいはバスの路線であるとか、地方鉄道であるとかを再び民間に開放したならば、どうであろうかという考え方も成り立ち得ると思うのであります。それから大藏省の專賣局あたりにいたしましても、はたして現在の形で全部國が直営的な経営をしなければならぬものであろうかどうか。さらに農林省の管理いたしております國有林にいたしましても、災害防止とかあるいは風致維持等のために、ぜひ國の責任において維持して行かなければならぬ部分を除きましては、これを民間に拂下げてもさしつかえないのではなかろうか、こういう意味で、いろいろな疑問なり、観点をかえて考えますと、いろいろの意見が出るわけでございます。これは私の方も資料によつていろいろ拾い集めておるのでありますが、今度のこの國有財産拂下げの問題の経緯といたしましては、先ほども申し上げたように、総理大臣から各省大臣にお申渡しがありまして、各省の系統で現在資料を集めているという段階でございます。  そのほか私の方といたしましては、そういう大きく事業を廃止するという考え方のほかに、各省の國有財産の管理の仕方が適正でないという面につきましては、各省に申入れをいたしまして、これを不用と認めますものは行政財産から普通財産に繰り入れまして、できるだけ処分を急いでおるような次第でございます。  そこで、たとえば國営事業の一部をこの際國営からはずすといつたような場合に、現在内地には資本なり資金なりがございませんから、これを予算の歳入に計上するという問題は、その点でなかなか難関に逢着するのであります。税收でさえ割賦がなかなか困難である際に、相対ずくで賣買いたす國有財産の拂下げということにつきましては、これを早期に換價することはなかなか困難な事情がございます。そこで特定のものを結びつけまして、たとえば專賣事業の一部を國営からはずしまして、これに対して外資の導入をするというような考え方が起つて参ると思うのであります。しかし現在はどれとどれを國営からはずすといつたような調査もできておりませんし、また外資導入問題につきましては、外資を導入するという見地から、別の省におきまして研究をされておることと思うのでありまして、國有財産拂下げという方から、必ずしもこれを外資と結びつけなければならぬということはないように、考えておる次第であります。
  27. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 中村さんの御質問はやはり舟山さんに対してですか。
  28. 中村清

    中村(清)委員 関連じやありません。
  29. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 関連でなくても、舟山さんに対してですか。ではこの際ちよつと皆樣に御了解を得たいと思います。先刻も申し上げましたように、舟山政府委員には他へ御出席なさらなければならないことになつておりますので、先ほどから非常に急がれているわけであります。大体御質問もこの程度かと思いますので、この際舟山政府委員に対する質問を打切りまして、本日の議題なつております問題について御質問願いたいと思いますが、いかがでしようか。
  30. 首藤新八

    ○首藤委員 簡單でいいのですが、一つだけ國有財産について……。
  31. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 それでは簡單に願います。
  32. 首藤新八

    ○首藤委員 ちよつとお尋ねいたしたいと思います。この國有財産の拂下げは、ことしの予算遂行にも非常なフアクターになると思うのですが、大体賣買する場合に、賣買價格によつて登記されるものか、あるいは金額は登記所の別箇の認定による金額によつてやるものか。これは申告税に非常に大きな影響があります。もし官廳との契約そのものが登記金額になるということになれば、いきおい拂下げの契約は非常に困難になつて來やしないかというふうに考えられますから、この点をお伺いしたい。それからもう一つは、この代金の支拂いが、事情によれば、月賦償却あるいは年賦償却という方法も講ぜられるものかどうか。この二つだけお伺いしたいと思います。
  33. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 登記の價格は、國が拂い下げる場合には、裏も表もないわけでございまして、ぜひ実際の拂下げ價格によつて課税してもらいたいと思います。ところが、登記所等によつてその扱いが異る場合がございましたので、最近法務廳に申入れをいたしまして、ぜひ拂下げ代金によつてもらいたいということをお願いしているのでございます。その返事はあるいはまだ來ておらなかつたかと思いますが、現に申入れ中でございますので、なおそれが実行できるように努力いたしたいと存じております。  それから年賦支拂いが可能であるかどうかというお尋ねでありますが、公共團体に対する拂下げ、それから学校、社会事業に対する拂下げは、法律の規定によりまして、五箇年の年賦延納が認められております。これはどの國有財産についてもそうでございますが、また特別の法律がございまして、旧軍用財産に関する限りは当分の間三年間の年賦延納を認めて、その処分の促進をはかることに相なつております。
  34. 高田富之

    ○高田(富)委員 もう一つ簡單に……。そこで最近バスの路線や何かを拂い下げておる。地元では——これはうわさかどうかわかりませんが、問題になつておる所もあるように聞いております。これは國家の財政上からも、値段の問題なんか相当重要でありますし、支拂い方法も重要であるし、またそれが拂い下げられた場合に、その附近の経済——大きく言つて日本の経済に相当いろいろな影響を及ぼすと思うのです。この総合計画の見地からはつきり計画を立てて、組織的にやらないと重大な混乱を起すと思う。これを單に各省別に、また出先機関が直接地元で交渉したりするようなことになれば、非常に大きな計画の齟齬を來すと思うのですが、現在そういうようなことが地方的に起つておるかどうか、もし起つているとすれば、それに対して総合計画官廳としてどういう態度をとられるのですか。
  35. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 ただいま例を地方のバスの拂下げということにお取上げになつたのであります。新聞紙上にそういう地方バス、地方鉄道あたりが拂下げになるという報道がありまして以來、いろいろ陳情がございます。私ども聞いておりますのは、ぜひ拂い下げてくれという陳情もありますが、また拂い下げてくれるなという陳情もなかなか多いのでございます。そこで大藏省といたしましては、國有財産の総合官廳ではありますが、この問題は單に歳入を上げるというだけの見地から決定すべきものでないことは、申し上げるまでもないと思うのでございまして、ただいまの例で言えば、たとえば運輸省の交通行政という面から十分研究されまして、その結論を尊重しなければならぬと考えておる次第でございます。現在はそういうようなわけで、この思いついたものを片つぱしから処分して行くといつたようなことは軽率な方法でありまして、最も避くべきところでございます。まず今日の段階におきましては、もつぱら各省において資料を集めていただいて、それを各省の政策的見地から檢討していただいておるという段階でございます。
  36. 高田富之

    ○高田(富)委員 そうしますとこれは各省あるいは各地でやつて、もしそういうふうな下交渉のようなことがあるとしても、それは今あなたの言われたように單なる資料集めというふうに解すべきですね。
  37. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 そうでございます。
  38. 首藤新八

    ○首藤委員 今の旧軍用地の三箇年の年賦償却ですが、これは民間でもいいのですか。
  39. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 旧軍用の財産の拂下げでありますれば、だれが拂下げを受けましても、三箇年以内の延納を認められておるわけであります。
  40. 中村純一

    中村(純)委員 簡單にお尋ねいたします。一つは当面の金融措置に関する点であります。もう一つは輸出貿易に関する点であります。もう一つは公共事業費の運用に関する点であります。  まず金融の問題でありますが、ただいま安本長官の御答弁にありました通り、今日政府の支拂い遅延額が相当あることは明らかでございますが、さらに加うるに二十三年度の税收入が、予算以上に相当上まわつておるやに聞いておるのであります。これはまだ決算の途中でありましようから、正確な数字はむろんおわかりにならぬと思いますけれども、中央、地方を通じて相当予算以上の税收入が上つているやに承つておるのであります。そのお見込み額がおわかりならば、それもついでに承りたいのでありますが、さような事柄に加えまして、二十四年度予算の成立が遅れ、從つてその実施が遅れて参つておるのであります。加うるに見返り勘定の打出の小づちが実際に動き始めて、打出の小づちからほんとうに宝物が出て來るのは、その操作及び認証手続等の関係を考慮いたしますと、相当先になるのではないかと考えられるのであります。かような原因が相総合いたしまして、今日非常な金融逼迫を來しておるのではないかと考えられるのであります。先ほどの安本長官のお話によりますれば、本年度予算の実施に伴つて、自然に緩和して來るであろうというよう意味の漠然たる御答弁があつたのでありますが、しかし今日の事態ははなはだ窮迫した状態になつているのではないかと考えられるのであります。何かここに特段なる当面の金融緩和の措置をお考えになる必要があるのではなかろうか。たとえばただいまの歳計剩余のごときものを、一時財政面から金融面に移して使わせるような措置を考えられておられるかどうか。要するに当面の金融緩和のために何とか特段の考慮を拂われておるかどうかということが、お尋ねしたい第一点でございます。  次には輸出貿易のことでございますが、逐年輸出貿易が伸び足でありますことはまことに喜ばしいことであります。だんだん世界のマーケットがいわゆるバイヤース・マーケットからセーラース・マーケットに移りつつあるのではないかという情勢も考えられるのでありますが、わが國の從來の輸出品はとかく粗製濫造のレッテルを張られて來ておつたのでございますが、終戰後輸出品におきまして、バイヤー側からのクレームが相当あるのではないかということが想像せられるのであります。これがどの程度に今日まであつたか。またこのクレームに対して輸出品の檢査なり、あるいはその信用保証の組織なりにつきまして、今後の輸出振興という建前から、何か特別な措置を考慮せられておるかどうか、これをお尋ねいたしたいのでございます。  最後に公共事業費の運用に関する点でございますが、公共事業費の実施の中に、いわゆる特殊地域の総合開発計画というものがあるのでございます。このアイデアは予算の編成並びにその実施を、総合的にやつて行こうというアイデアでありまして、私どもまことに賛意を表するものでございます。これによりまして、資金並びに労力が最も高率的に使用せられるという効果が、あがるものだと考えておるのでございますが、ただいまの各省の行政機構の面からこれを見ますると、総合開発計画のとりまとめは建設省においてやつておるのでありますが、その内容に盛られておりまするいろいろな事業の予算が、建設省以外の各省に分属しているものが相当あるのであります。從つて予算上は総合開発計画内容のものが各省に分属して予算に計上せられ、また実施も各省においてやるというものが、相当あるのじやないかと思うのでありますけれども、これを実際に総合開発計画の單なる机上における総合でなくして、予算の実施においても総合の効果をあげて行くために、特に安本において特別なる操作を要する問題でないかと思うのでありますが、この点に対する具体的なお考えを承りたいのであります。
  41. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 第一点の御質問に対しましてお答えいたします。お話ように現在の金融詰りというものは相当激しいものがありまして、これが打開につきましては、われわれといたしましてもせつかく努力しているわけであります。政府支拂いの遅延につきまして、われわれもいろいろ檢討しておりますが、率直に言いましていろいろな原因があるように思います。たとえば特別調達廳の関係ようなものでありますと、レシートの出るのが遅れるというよう関係が、おのずから支拂いの遅延する原因になつております。それから御承知の政令百七十一号というのがありまして、これは請求書にかなりめんどうなこまかいことを書かなければならない。これが請求者の方にしましても、またそれを調査します方にしましても、非常に詳しいめんどうなことになつておりますために、おのずから時間もかかる。これも遅れる一つの原因じやないか。それからまた先ほども話題に出ましたが、予算関係を多少無視しまして、あえて契約をしたとも思いませんが、見込み生産をやる。その辺があえて政府支拂いの遅延という範疇に入りますかどうですか、ちよつと疑問になりますが、市場的には金が詰まつておる。それからあるいは貿易の会計にしますと、運轉資金がずいぶん詰まつておりましたために、從つて貿易手形の支拂いが惡い。それが貿易手形の割引に支障を來している、こういうよう関係なつていたと思いますが、レシートの関係につきましては、極力これを削減してもらうように努力しております。百七十一号につきましては今度法令を改正しまして、請負のような場合には、ああいうこまかい内容のものはいらぬということになるだろうと思います。また予算がついていないために遅れていたものにつきましては、今度新しく予算がきまりますれば、この支拂いは促進されると思いますし、貿易資金にしましても、今度約四百億の繰入れが一應予定されております。こういつた面からも促進されると思います。また單純に事務的な関係から相当遅れている面も考えられますので、こういう面につきましては、極力その促進をはかるべく努力しております。われわれは政府支拂いの問題も、できるだけこれが解決に努めておりますが、それと見返りまして一体金融の点についてどうなるか。長官が申し上げましたのはおそらくそういつた面で、予算が執行になりますればおのずから金も出て行くだろう。それからまた今度の予算におきましては、今までと違いまして財政資金として、貯蓄の引合いに公債を何パーセント持てと言つたような要請は全然いらなくなりますし、むしろ逆に見返り資金の方から復金債の返還と公債の買入れ等を通じまして、相当市中の方に金が流れて行くようなことが考えられますので、これが漸次進んで行きますれば、少くとも市中の手持というものは相等樂になるのではないか、かように考えております。ただ御指摘になりました当面の措置をどうするかという問題でございますが、お話よう見返り資金が動き出しますまでの間、相当継続的な工事をどうするか、これはわれわれも眞劍に考えておりますが、見返り基金が出るということがはつきり特当の工事についてわかりますと、市中銀行も割合簡單資金を融通できると思います。ほんとうのつなぎですから……。從つてどの産業にあるいはどの工事にどういうふうに見返り基金をつけるか、あるいはつけるかつけないか、この問題もできるだけ早くやらなければならぬ。その意味におきまして、われわれは第一・四半期計画を進めると同時に、また今の特定の分につきまして、これはぜひとも必要だから、その意味においてこの分だけは少くとも先に審査をお願いしたいといつたような問題も、向うに今持ち出そうという考え方をしております。  それからもう一つの問題としまして、政府の歳入が非常にふえまして、そうして政府預金がふえておる。これについても何かの措置を講ずるかという問題につきましては、すでに御承知と思いますが、指定預金の制度をとりまして、日本銀行政府預金を、日本銀行をして市中銀行に預金させております。これは政府の預金でありますが、市中銀行へ預金する指定預金の制度は、一應國庫金が取扱いの上で認められておりますが、指定預金の制度によりまして、現在市中相当金をまわしております。金額の正確なところはちよつと今覚えておりませんが、かなりの額が指定預金でまわつております。  最後に税收の問題でございますが、御承知のよう年度の終りに相当とられましたので、はたして予算通り確保できるかどうか心配された時期もありましたが、最近の樣子を見ますと、むしろ予算以上に入つて來るのじやないかと私も思つております。しかしはたしてどの程度予算超過できるかという点につきましては、遺憾ながら現在数字を持つておりませんことを御了承願いたいと思います。
  42. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 ただいま貿易のことについて御質問がございましたが、まつたく同感でございまして、決して日本商品の市場というものは非常に明るいとばかりは申されません。しかし先ほども申し上げましたように、輸出計画によりましても、去年よりは五割を増した程度のことを申し上げましたが、これはどうしてもやらなければならぬことでありますし、また大体やれると思つております。クレームの問題もお話がございましたが、從來は一切政府貿易のフアンドの中におきましても、クレームを拂つてもらつて逐一それが貿易廳の方へも報告がありましたので、つまり日本側のエキスポーターは金をもらつたきりで、そのままクレームを向うに支拂つたものがありましても、しかし拂戻しをしないで済んでおりました。今後は多額になるのでよほど注意しなければなりません。もとよりクレームをつけられる方におきましても、先方側がマーケツト・クレームをつけることもありましようし、こちらが出したその結果から生じたものもありましよう日本側の責任に帰することにつきましては、私どもとしては最近の金融問題とからみまして、貿易手形を円滑に回轉さすためには、やはり日本側のエキスポーターなりメーカーの責任に帰すべきもののクレームは、あとから必ず金融面に響いて参りますので、われわれといたしましては、金融を円滑にするためには、やはりエキスポーターなりメーカーの信用の問題から、輸出補償というようなことを考えまして、たとえば保險料の制度、保險料をとつて手形もどんどん買わしめる、こういうようなことを考えて、今この点は関係方面にしきりに連絡折衝いたしております。というのは、それもごく概算でございますけれども、交易営團時代からの経驗から言いまして、まず〇・五%、五厘以下程度の保險料をとれば、クレームにおいてはけつこう何らの心配なくやれる。やがて銀行の信用もそれにつくのではないかということでしきりに話しております。ただ初めに幾らかのフアンドがいります。それは五億とそろばんをとる者もありますが、三億とそろばんをとる者もあります。そのフアンドをどこから求めるかということが問題でありますので、これについては、輸出増進ということはうたつてあるのだから、見返り勘定の中から五億程度の保險を拂わなければならぬ場合に、ある程度のことをイヤマークしてもらいたいという交渉を今いたしております。これはまだ結果を見ておりませんけれども、何とかして貿易手形を、銀行をして十分に安心して買わしむる方法といたしまして、そういうことも考えております。  それからもう一つ貿易金融の問題であります。先刻からいろいろ質問がありまして、大臣から概括的のお話がございましたが、若方補足しますと、先ほど財政金融局次長からもお話がありましたが、私ども貿易廳の立場といたしましては、最近日銀あたりとも非常な交渉を続けました結果、もし向うから信用状が來たものについては、從來のように書類が整わねばならぬとか、荷物がつかなければなかなか銀行が買わないということよりは、もつと一歩進めまして、信用状が手に入つたものは信用状を見返りにしているところの輸出前貸しということも、許そうというという空氣が日銀方面にありますので、正常の貿易取引におきまして信用状を入手すれば、ただちにそれが資金化する。やがてその資金があるいは中小工業に行く。あるいは大きなメーカーにも行きますし、貿易金融はよほど円滑になると考えます。つまり今までよりは信用状が入ることによつて金融の道がよほどついて來る。一般問題として渡邊次長からお話になりましたように、一般市中銀行における貿易金融並びに流通資金に対する融通が敏活になる。資金の回轉もよほど速度が高まつて來るだろう。こういうことから本年度貿易金融は、昨年度よりよほど樂になるのではないだろうか。また樂にしなければならぬと思つております。
  43. 雨森常夫

    ○雨森政府委員 最後の第三点のお尋ねがございました。公共事業の総合開発計画でありますが、御承知のように二十三年度建設省の予算として経費を若干組みまして、十数箇地点について地方計画ができ上つて來たのであります。建設省といたしましては、年度当初予算の要求があつたのでありますが、御承知の公共事業費のわくが極度に圧縮されまして、これらの地方計画そのものを積極的に推進するだけの予算を計上することが不可能になりましたので、現在われわれの方でもくろんでおりますことは、非常に消極的なやり方でありますが、各省にわかれております仕事を統合しまして一度見直すということ、たとえて申しますれば漁港をここにつくるのだが、建設省の方の所管である道路がつかないというようなことがあつては困る。その計画にのつとつて漁港をつくるのであれば、建設省に対して道路の費用をもつて、ここまで道路をつけてもらいたいというようなことを連絡いたしまして、総合した開発計画をその計画によつて進めて行けるように、二十四年度からそういうふうな打合せをしておりますが、これをもう少し進めて行きますのには、どうしても地方計画そのものを取上げて、事業費を計上して行くまでになりますれば、たいへんけつこうだと思います。二十四年度予算のわく内では、今申し上げたような調整の域を脱することができないが、そういう方向に向つて努力したいと思つております。
  44. 中村純一

    中村(純)委員 今の総合開発に関する御答弁でございますが、ただ單に調整するという程度でははなはだ弱いと思うのであります。かりに予算が各省に分割されており、また工事そのものが各省において担当せられることがあつたにしても、これは絶対にひもつき予算のかつこうにしていただきまして、眞に総合的な運用の効果があがるように、ぜひ安本において御処置を願いたいということを希望いたすのでございます。なお伺いたいこともございまするが、大分おそいようでありますから打切ります。
  45. 小野瀬忠兵衞

  46. 永井英修

    ○永井(英)委員 公團に関する問題でありますが、現在認証手形が出されておりますが、この認証手形の割引が最近ひんぴんとしてできないというような状態にあるようであります。公團も七月一日以降は大体廃止されるような状態でありますが、ことに石炭配給公團のごとく、現在でも認証手形の割引ができないということがひんぴんとして起つております。それで現在の配給公團が廃止された後の新機構における金融問題は、どういうふうに安本としてはお考えになつているか、これをひとつ伺いたい。
  47. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 公團の手形の問題につきましては、われわれもおつしやるような事態を心配しまして、実はいろいろ問題として檢討しております。御承知のように公團につきましては各公園法に、公團は復興金融金庫から融資を受けられる、それ以外からは借りられないという規定があるのであります。三月までで各公團全部合せまして九十五億ほどの金が、復興金庫から公團に出ております。それ以外につきましては、御承知のよう復金がああいう始末になつたものでありますから、それで金がもう出にくい。しかしこれはまた公團によつていろいろ違いますが、お話の配炭公團のようなところになりますと、復金から三月末までに借りておりました金は七億五千万円で、割合に少い金であります。配炭公團は例月月葉ばにピークが出る。今までも月半ばのピークは相当多額で、月末に行くとそれが落ちて行く。ところが今度復金から金が相当出て行く間は、ピークが問題なかつたのでありますが、一應七億五千万円以上になつて、ほかの公團から金をまわせばいいが、ほかの公團から金が出ない、そういう状態で相当苦労したのでありますが、八日のピークの分も十九日のピークの分も多少苦労はしましたが、何とか落ちて行つておるようです。ただそういうような状態でありますから、手形の割引関係がかなりむりが出て、割引けないものが出て來るというような話もぼつぼつ聞いております。ただこの点につきましては、二つの面からわれわれの方では檢討してみたいと思つております。一つの面は公團のあり方と言いますか、配炭公團などは相当大きな賣掛けを持つております。これの整理の問題をやはり促進して行くということが、ぜひ必要なのであります。その面を忘れまして、ただ金がいるからつけれやるというわけには行かぬと思います。しかし今言いましたように、復興金庫だけが唯一の金を借りる線でありながら、そこがとまつてしまうということになりますと、どうしても配炭公團もそうですが、他の公團におきましても同じような事情がありまして、從來のような公團の仕事はできなくなつて來るのではないか。從つて少くとも公團が存続します間におきましては、それの仕事をやり得るように、何か金融の措置を講ずべきではないか。いろいろ実は檢討しておりますが、もう少したちましたら、何とか一つの結論が出て來るのではないか。市中銀行につけるとかいろいろやつてみましたが、この辺はうまく了解が得られません。公團が今度完全に政府機関としまして、予算も國会の承認を得るようなかつこうになつておりますし、特別会計でありますと、かえつて借入金ができましたり、短期証券を出したり、金融の道があるのですが、公團はそれがない。何か手段を講じなければならぬので、早急にこの問題は解決したいと思つております。  それから公團が廃止後の金融の姿という点につきましては、実にわれわれも非常に注意しておりますが、実はまだ廃止後の販賣機構といいますか、そういうような問題が、正直のところまだはつきりしない面がたくさんあります。從いましてわれわれの方としましては、廃止後における配給の機構といいますか、そういうものがはつきりするのを待ちまして、至急爾余の対策を講じたい、かように考えております。
  48. 小川平二

    ○小川(平)委員 先刻の中村委員の御質問に関連いたしますが、当面の産業資金のつなぎとして、第一・四半期に七十億程度のものを予定しておられると肥つておりますが、これを市中銀行の手元でまかない得るのかどうか。そうでない場合に日銀の貸出しということになるのかどうか。それからまたこれに対しまして、日銀の保証とか政府の保証という形をおとりになるのかどうか。その点をひとつ伺いたいと思います。  第二に見返り勘定のうちから、既発の復金債償還を要するものが六百数十億ある。そのために建設公債の二百七十億を除いて、七百億程度のものが設備資金として出せる。この程度のものしか出せないという計算になつておるようでございますが、そうしますと、設備資金として、千六百億程度のものがいるという御説明ですが、あとの九百億ないと一千億程度のものはどんな方法で調達されるか。その辺に対する見通し、たとえば増資とか社債とかいう方法で市中からどのくらいの資金が調達されるか。そのうちどのくらいのパーセンテージのものが設備資金となるか。あるいは市中銀行からどのくらいのものが出て來るか。そういつたことを伺いたいと思います。この二点についてお尋ねいたします。
  49. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 第一点の七十億のつなぎ資金という問題でございますが、これは過日日本銀行総裁の談話で新聞紙上に載りました数字が、ほぼそれにあたつておると思います。それで問題は主として昨年度からの継続事業でございますが、今までは復金でもつてまかなつていたのですが、復金の機能が停止いたしましたために金が出なくなつております。しかし工事によりましては金が出ないから、すぐ打切るというわけにも参りませんから、むりして工事をしている。從つて金がそこでつかない。そこに金詰りとして出て來る。そういう金が日銀の考え方としては六、七十億ぐらいあるだろう。これはぜひやらなければならぬ分だし、何とかして金をつけてやる必要があろう。こういうことをわれわれ現在において考えておるわけです。結局その問題は、一つは見返り資金の問題に行かなければならぬと思います。今まで復金でまかなつておりまして、たとえば電力などはその典型的な例だと思いますが、見返り資金で今度は引継いで行く。それからもう一つこの見返り資金で引継ぐやつと、もう一つは増資とか会社の社債の発行なりが相当見通しがつきまして、今すぐに金はないが何とかやつて行けめだろう、こういうふうに見返り資金にはつきり乘るということがわかりますか、あるいは増資がはつきり見通しがつくということになると、つなぎ金融ができるのですが、見返り資金につきましては、先ほど來御説明しておりますように、はつきり出るというまでに行つておりませんから、まずもつて出ることをはつきりさせるということが第一段でございまして、この方の仕事を実は急いでおります。もしその辺がぼんやりしたままでむりに金融をつけるということになりますと、どうしても政府が保証するか、おるいは他の機関が保証するか、何かの保証がありませんと実は金が出ないわけであります。ところが政府の保証というような問題は、現在の段階においては許されておりませんものですから、從いましてそういうような手段によらないで、なおかつこの点を早く解決したい。結論的に言えば、見返り資金の点は早く計画を立てまして、向うの承認を得るという措置をできるだけ早く講じたい、かように考えております。もしその辺が解けて参りますと、資金そのものにつきましては、これは必要に應じて日本銀行が融資するということも、この点は割合に樂だと思います。結局問題は一應のつなぎとしましても、結局それが單なるつなぎである。それが焦げつくというか、ずつと寢てしまう金でないということがはつきり見通しがつけば、市中には割合に貸しやすいので、その点をはつきりさせることが第一段でございまして、非常に差迫つた問題でありますので、われわれの方としても急いでこの問題を解決すべく努力しております。  それから第二の千六百億の場合に、大体七百億くらいが見返り資金あとはどういうふうになるかという点でございますが、われわれの方で一應立てております資金計画では、金融機関の融資の関係と、それからあと直接投資の金、それともう一つは見返り勘定、大体この三つに一應資金調達関係は分類できると思いますが、直接投資というカテゴリーとしまして、われわれの方では二十四年度につきまして七百億一應予定しております。それは内訳的に申しますと、証券による投資が三百億、自己資金が四百億、自己資金と申しますのは、減價償却による自己資金及び積立金のそういうものも一應予定いたしますが、自己資金四百億、証券による投資が三百億、株式あるいは社債による直接証券による投資が三百億、この数字は、二十三年度におきましては証券投資三百億、自己資金三百八十億というふうな一應の推定をわれわれは持つております。それから今申しましたよう数字を一應出したわけでありますが、この七百億の中で設備資金にどくらいまわるか、これは推定を出ませんが、いろいろの推算の方法があります。從來の事例から見まして、大体この中で半分程度設備資金にまわるのではないだろうか。そうしますと三百五十億で千五十億になりますが、残りの五百五十億、これを一般金融機関と、もう一つ預金部の金をどう使うかという問題が一つ残つております。預金部の金は大体三色にわかれまして、一つは郵便年金とか簡易保險とかああいう積立金、長期的性格をはつきり持つているもの。この分は地方債の引受け財源としまして二百三十三億、地方債のために見合つておりますが、そのほかに郵便貯金の金があります。預金部のものにつきましては、現在國債か地方債か、復金債か、この三つ以外には使つてはいかぬ、こういう司令部からの指令が出ております。從いまして現在の指令のままですと、郵便貯金の増加額のようなものもちよつと使えないわけなんですが、この点については関係方面におきましても檢討の余地があろう、再檢討しようという用意があるようです。われわれの方としてもぜひこれは再檢討さるべきものであろうと思います。こういうものも予定しまして今申しました七百億、証券及び自己資金の三百五十億円、残りの五百五十億でありますか、これを一般金融機関と預金部。一般金融機関につきましては興業銀行が長期金融機関として現在出ております。この興業銀行の活用——現在におきましては興銀債は五十億程度しか出せないことになつておりますが、これを資本金をふやすなり、あるいはちよつとむずかしいかもしれませんが、債券の発行額をふやすなりしまして、何らかの方法によつて興銀債をふやすということによつて、興銀からの金、それから一般金融機関設備資金で出す金、あとの預金部の金、その三つの線によりまして五百五十億を確保したい、かように考えております。
  50. 高田富之

    ○高田(富)委員 農村方面とか中小企業方面に対する特殊金融の総額は、どのくらいに見積つておられますか。
  51. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 特殊金融というと、ちよつとあれなんですが、農村に対する金融はまあ大きくわけて二つに考えられています。一つは短期ないしは中期のやつと、もう一つは長期のやつ。それで大体短期関係の金融につきましては、御承知のように各協同組合の親銀行になつております農林中金を通じまして、あるときは非常に預金も集まります。ただこれからそろそろ農中は預金が減つて、逆に相当貸出しの方がふえる時期だと思いますが、この方は大体農中を通じ、必要によつて日本銀行から農中に資金を供給するという方法によりまして、大体問題の処理はできるのじやないか。農業手形のような制度は相当活用し得ますし、その方はあまり支障がないのじやないかと思つておりますが、問題は長期の金融であります。この長期の金融については、現在のままでございますと、なかなか適当な機関がありませんで、実は昨年におきましては農林復興金融等特別な措置を講じて、機関としては農中を使いまして、農中債券を復金が引受けまして、復金に集まつた金を農中を通じて長期の金として農山漁村に出していただく、こういう処置をとつて参りましたことは御承知だと思いますが、今度その点につきましては、復金の機能が事実上停止しますので、その面におけるそういつた今までのやり方における農林復興金融的な処置は、ちよつととれなくなりますので、どうしてもこれにかわる処置を考えなければならぬと思つております。それと公共事業の方で、土地改良の補助が落ちまして、これが金融にまわつたというようなこととからみ合いまして、特に土地改良とかそういう方面に重点を置いた金融につきましては、見返り資金の方からある程度の金をぜひ融通したい、かように考えておりますが、金額の問題につきましては現在せつかく檢討中でありますし、またなかなか司令部側にどういうふうに話したら十分納得していただけるか、いろいろ問題がこまかいというか、こまかく分散しますだけに、実現するまでにはまだ相当の時間を要そうかと思つております。  それから中小企業金融の問題でございますが、この点につきましては、今までもいろいろ措置を講じて参りまして、たとえば日本銀行から興業銀行に——現在これも続けておりますが、興業銀行に四億五千万円、商工中金に四億、勧銀に一億五千万円特別な金を日本銀行から融通しまして、そして大体この金は日銀と各銀行との話合いの結果でございますが、中小企業を中心にして貸す金ということによつて出しておりまして、償還期限等につきましては日銀として特別に好意的な配慮をしておる、こういう処置をとつております。中小金融につきましての特別な金融措置という問題につきましては、現在いろいろまだ檢討を続けております。見返り資金ようなものを、この方面にも利用することはできないかといつたような点も、われわれの方では檢討しておりますし、この点についても実は昨年におきましては、復金から代理貸しとかあるいは保証貸しといつたような制度で、復金を通じてある程度金を出し入れしたのでありますが、復金が機能を停止したに伴いまして、農林中金と同じようにこの面もとまりましたので、何かこれにかわるべき特別な処置を講じたい、かように考えております。
  52. 高田富之

    ○高田(富)委員 今のことで中小企業廳方面で、三十億か何かの融資計画が立つているというような話も傳えられておりますが、その点はどうですか。
  53. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 中小企業廳である程度の案をつくつていることはわれわれも聞いております。ただ、まだ檢討の途中でありまして、われわれとしましては、数日前に連絡を受けましたので、とつくり檢討してみたいと思つております。もちろん時間的には急速を要すると思つておりますが、まだ檢討の最中でありまして、政府部内としてきまつたという段階には行つておらないわけであります。
  54. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 この際皆さんにお諮りいたします。まだほかにも御質疑があるようでございますが、質問は次会に継続することにして、本日はこの程度で打切りましていかがでしよう。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 御異議がないようですから、本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつて御通知いたします。     午後四時五十九分散会