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横田委員 提案
理由を見ておりますと、非常にけつこうなんです。ところがやられている結果が非常に違う。だから私
たちとして聞きたいことは、だれのためにこの
統制をされ、だれのために
統制を撤廃されようとしているか。これをはつきりしてもらいたい。これが第一問です。今度
安本長官が提案されたその中におきましても、戰後の窮迫せる
経済情勢に対処して、わが國産業の回復振興をはかるために必要な
経済統制を実施いたします根本法規というものが、はつきり明記されております。それから敗戰によ
つて破懷されたわが國
経済の建直しのための非常立法であり、あくまで暫定的の立法でありますということも明記されております。最近わが國の
経済は漸次安定の度を増して、
物資の
生産も相当回復を示して参
つたのでありますが、未だ
全般的には
物資需給のバランスを回復するには至りませず、わが國
経済の急速な安定回復をはかるためには、今後少くとも一箇年間は、引続き有効適切な
統制を実施する必要があると認められておるのでありますとも書いてあります。しかもこの法規については、
昭和二十一年九月一日の國務大臣星島二郎さんの御
説明におきましても、
経済危機を克服して、産業の回復をはかるために、各産業の
基礎資材、見返り
物資、食糧その他の
物資に関する重点的な計画
生産を行い、またそのために合理的な配分計画を実施する。そのために
物資需給に関する基本的な総合計画を策定する必要がある。次にその実施においては、
経済民主化の理念に一貫しておる。すなわち本法に基く命令は最も民主的な組織を有する官廳であるということが書かれておる。さらにこの法は、法三章の簡單なものであ
つて、大幅な委任立法である。これが通過を見た場合においては、戰時中の総動員法の運営において見たごとき惡弊を、惹起するようなことがあ
つてはならないということが危惧される。それから星島さん、さらに膳國務相は過去の総動員法の轍を踏むことなく、あくまでも民主的に運営すると言明されて、それは非常にけつこうだという意味合いのことが書かれておるのであります。これから見たならば、至れり盡せりの法の運営のわくがきめられ、
日本再建を中心にしてやられておるにかかわらず、やられておる結果から見ると非常に惡いのであります。その一例をあげますと、これは
新聞紙に傳うるところでありまして、正確という点においては保証しがたいのでありますが、おそらく十八日に閣議で決定したものとして、読賣紙に報ぜられております。おそらくこの法規によ
つてやられるのでありましようが、酒類の家庭配給を
廃止するということが出ている。合成酒の一級酒の現在の自由販賣價格が七百八十八円八十五銭である。これが配給では三百六十六円四十五銭で配給されておる。この配給をやめて、そうしてやみと配給の中間の價格で自由販賣にしようじやないかということが言われておる。配給の方は大衆がしんぼうしてやめて、やみと配給の中間に値段を置いて、そうしてわれわれが自由に買えるという段階にな
つて來ると、大衆は非常に損をするのです。二百十一円二十銭損するのです。また学校のガラスの場合においてもそうです。学校のガラスがいつまでた
つても入らない。喫茶店のガラスはいつでもきれいに入る。電力においてもそうである。家庭の電力は夕方消える。しかもネオン・サインはついておるという場合がある。それからさらに言われることは野菜の
統制撤廃も今問題にな
つておるのですが、その場合におきましても、しかも農村に対しましては、見返り
物資をや
つて、そうしてその作付制限あるいはまた出荷制限を置いて、
統制をするということが言われるのであります。今までわれわれ農村におりました立場から見ましたならば、見返り
物資はあてにならない。よしもら
つても、もらわぬでもよいところがもらう。むしろこれはもらわぬでもよいところ、人糞の多いところで野菜をつくる場合が多いのでありまして、これは空文にすぎない。しかも國際
新聞などの報ずるところによりますと、
統制撤廃の結果は、一時は野菜が出にくくなるであろうが、やがては高級な野菜がどんどん出るようになるだろうということが言われておる。われわれは高級な野菜を買う力はないのであります。
ちようど白書とは逆にな
つておる。
経済白書によると、賃金が跛行的に上昇しておる。しかも
経済白書においては十二月までの
経済現象をとらえて
言つておるが、実際においては十一月から給料の遅配が始ま
つておる。それは
新聞紙に報ぜられておるが、それをしかも故意に書いておらないのであります。高級な野菜を多分に出されても、ふところの乏しく
なつた大衆には食えるはずがない。この
統制撤廃の結果は大衆自身が損する。しかしわれわれはあくまでも不必要な
統制を置けというのではないのであります。ですからどうしても野菜の
統制を撤廃するならば、農村における一切の強制的な、懲役労働にひとしい、強奪にひとしい作付
統制、出荷
統制を全廃して、自由なる形においてや
つていただきたいのであります。そうしない限りにおいてはこれはだめだと思います。これも一つの現象である。魚においてもそうである。われわれは協同組合の魚の方を扱
つておりますが、そこで配給しろと
言つてお
つたものでも、この法規に基いて買
つた魚は腐
つており、魚屋は損する。その結果高級のやみ魚を渡して、こういう高いものを大衆は賣りつけられて、やみ買いをして赤字を出しておるというのが現状であります。このようにして
民自党の言われておる
統制強化あるいは撤廃、この二つともに大衆を犠牲にしておる。この結果提案
理由とは非常に齟齬した結果になる。これは一体どこに缺点があるかということを一應お尋ねしたいのであります。