○玉井
委員 今回の
予算案その他を通じまして、
日本の自立経済が輸出貿易と非常に密接な
関係があるということは、すでに新聞紙上その他において明かにな
つておりますが、最近において輸出入
関係の問題に関していろいろ
調査をいたしましたところ、御承知のように輸入もしくは輸出に関して、契約に基いた物品が無傷のまま、契約
内容を持
つたままの形において到着しなければならないのにもかかわらず、これに関していろいろな問題についての、求償、いわゆるクレームというものが非常にたくさん出ておるということはすでに
御存じの
通りであります。そこで現在の
日本の貿易が
御存じのようにGHQとの
関係において行われておるのに対して、さらに現在の
日本の業者諸君は非常に困
つておる。実際どこに頼
つたらいいかわからないという状態が少くないのであります。
そこで昨日までに
調査したところによりますと、輸出品に関するクレームとしては、第一に絹製品がドルに直しまして一万七千六百九十三ドル七十五セント、第二にアルミ板が四万五千七百五十ドル、第三にタイル板が二千二百四十九ドル八十三セントというものが
向うの業者、いわゆるバイヤー側からの契約の破棄によ
つて問題が起
つております。さらに第四には、貿易の案内書に関して二万八千五百十七ドル七十四セントというものが契約破棄の問題として出ております。さらにそのほかに輸出したものとして、人絹の糸が品質の不良によ
つてクレームがついておりまして、これが二千三百七十七ドル三十八セント、それから大口のミシンが十万ドル、綿製品として四千二百八十八ドル四十八セント、自動車のおもちやが三千八百八十八ドル、マツチ箱の材料の例の経木のようなものを輸出しましたところ、それの品質が不良であるというのでクレームがついて來まして、これが二千七百五十三ドル二十二セント、それから品物が不足した、いわゆるショーテージの
関係としまして綿織物が三千三百八十八ドル、絹製品が五千百八十三ドル三十一セント、綿製品が三万二千百五十六ドル二十五セントであります。最近の返品として、特に輸出したまぐろの
関係でありますが、輸出したまぐろが腐敗してお
つたというので、
向うから返送しておりまして、これに対するクレームが七千六百五十ドル、同じくまぐろが一万七千五百九十六ドル九十四セントというように、非常に多額のクレームがついて來ておるわけであります。そこで
日本の業者の諸君は、この問題をどういうふうに解決したらいいかということについて、非常に頭を悩ましておるわけであります。御承知のように一九四六年八月十五日から本年の五月十日までの間において生じたクレームの総トータルが六百四十一件に及んでおります。しかも輸入に関するものが三百五十四件、輸出に関するものが二百六十九件、その他契約のないものについてのクレームが十八件ということにな
つております。解決したものは総計において百四十四件でありまして、輸入に関するもの五十四件、輸出に関するもの八十六件、契約のないものが四件という形でありまして、現在においても懸案にな
つているものが四百九十七件存在しておるわけであります。これらのものは全部
書類によ
つての解決がされてお
つただけでありまして、その後において業者が最も強く要望しておるのは次の点であります。そこでこの点について貿易廳の方から御
説明をお願いしたいと思うわけであります。
それは現在の
外國貿易の機構において、もちろんメーカーの方は別として、直接
日本の業者の利益を代表する機関は一体何なのであるかということを、まず第一に具体的にお答え願いたいと思います。
第二に、現在は御承知のようにGHQがタツチした貿易が行われておりますが、これに対してはGHQの中においても二つの
意見がある。すなわちGHQタツチすべからずという
意見と、
日本の貿易業者が非常に困難に陷
つているのだから、こういう状態のもとにおいて、GHQがタツチしなか
つたならば
日本の業者を守ることができないではないかという
意見と、二
通り出ているということを聞いております。そこで
政府としてはどの方面に持
つて行くことが最も妥当とお考えであるか、またそれに対する具体的な
方法をお伺いしたいと思うわけであります。
第三に、クレームがついて契約破棄に
なつた。もちろん
日本の輸出業者の方から出ている物に対してのクレームがつけてありますが、それに関して契約書の一切の仕切値段、それにFOBプライス、金利、保險、倉庫料、もちろん庫入、倉敷料全部含んでありますが、この全金額をこの際受取りたいわけでありますが、これに対して
政府はどういう
処置をと
つておられるか。また今後具体的にどういう
方針をとられるおつもりであるかということをお伺いしたいわけであります。
なお第四にお伺いしたいことは、これらがクレームにな
つておりますと、クレーム
決定書が出ておりません間は、品物がありましても他のバイヤーがついても、これを賣るわけに行きません。そこでクレーム
決定書をできるだけ至急に出していただきたいということであります。それに対してどういうような
方法を講じられるおつもりであるかということであります。
そのほかにお伺いしたいことは、現在こういうようにして、クレーム
決定書をも
つて取立てるわけでありますが、取立てるまでの間、やはりかなりの時間があります。そのあいておる時間において、
司令部の方の保管でも何らさしつかえないのでありますが、
司令部に保管をして、そうして
向うから一應取立をしてもら
つて、クレームの
決定が出た場合に、その後において業者の方に拂い渡すという
方法でもよろしいわけでありますが、そういう要求が強くな
つております。つまり一應この求償手続をやりまして、
日本の輸出業者の方が妥当である。正しいというように
決定されましても、資金その他の
関係で、最後的な
決定を得られない間は、業者自身も非常に大きな金利その他の損失を受けますし、さらにそのほかに信用という問題がある。そういういろいろな面から業者が非常に困難をするわけでありますが、この点について一應
向うから取立ててもらうことをぜひとも要求したい。特に現在のところでは一應
向うのバイヤーが來ておりますが、こういう間違いが起
つた場合、しかもそのクレームについての
決定に從わなか
つた場合には、
日本の國内で取引者としての資格を喪失するということにな
つておりますが、しかもその資格を喪失するだけであ
つて、金の担保については何らの保証がなされておりません。この問題に関して、
政府側としてはどういうような
方法をと
つておられるか、簡單ではございますが、ただいま申し上げましたような点についてお答えをいただきたい。そこでごく最近にGHQのクレーム
調査課の方に出まして、しかもその際に正式に
承認を得たものでありますが、この
内容は先ほど申し上げましたうちの、
日本の貿易商の
人たちのリストをつくりまして、そしてアメリカの方に送
つておる。つまり貿易の手引といいますか、そういう本をつく
つたわけであります。全部で一万二千部を製造しまして、
向うの二世のバイヤー西村という人が
関係をしておられましたが、その西村という人自身も、この商品は、私がアメリカに帰る前に、現品を見せられたときに安心もし、またほめたように、確かにりつぱなものである。このことはニユーヨークの銀行、船会社等で、この本はこの種のものとしてはバイブルであると言
つていたことでもはつきりわかる。だからこの商品については、私も自信を持
つているというように、バイヤー自身もはつきり認められておりながら、他方においてこれが契約破棄をされたわけであります。だから約二万八千五百ドルのクレームが
決定されました。ところがこの店も、御承知のように勧銀その他から非常に融資を受けておりまして、この商店があちこちとほかの取引
関係において得る收入というものは、手形の
関係において全部そちらにほうり込まれておりまして、この手形の問題が解決しない以上は、この店としては、どうにもならないわけであります。
從つて取立て要求というものをどういうような形で現実化していただくかということは、現在
日本の貿易業者の立場から見て、非常に重要な問題にな
つておるのであります。
それからもう一つだけ申し上げておきたいのですが、実は貿易業者の
人々から直接に伺
つたのでありますが、貿易廳が非常に不親切である、こういうことを率直に言
つておりました。ある
書類などはストーブでたかれたというようなことを申しておりましたが、とかくそういうようなうわさが出るような状態でありましたのは、非常に貿易廳としても不名誉な話でありますし、現在
日本の輸出貿易というものは大切であるという点を考えましても、この点につきまして十分に御注意願いたい、こういうふうに考えておるのであります。今申し上げましたところの数点につきまして、
政府のお考え並びに今後これを具体的にどういうように
処置されるおつもりであるかという点についての御解答を願いたいと思う次第であります。大体
貿易関係の
人々も近日中に
政府、
國会及びGHQその他の方面にも
陳情書を出すかのごとく手配をしておるように聞いておりますが、一應
國会におきまして貿易廳の方から、
政府の御
意見を承
つておきたい、かように思う次第であります。