運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1949-05-30 第5回国会 衆議院 海外同胞引揚に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年五月三十日(月曜日)     午前十一時三十七分開議  出席委員    委員長 中山 マサ君    理事 玉置 信一君 理事 冨永格五郎君    理事 若松 虎雄君 理事 受田 新吉君    理事 坂口 主税君 理事 横田甚太郎君    理事 天野  久君 理事 高倉 定助君       足立 篤郎君    池見 茂隆君       小川 平二君    堤 ツルヨ君       柳原 三郎君    木村  榮君       山本 利壽君  出席政府委員         外務政務次官  近藤 鶴代君  委員外出席者         議     員 神山 茂夫君         外務事務官   高野 藤吉君 五月二十五日  委員小西寅松君及び立花敏男君解任につき、そ  の補欠として同月二十八日田口長治郎君及び木  村榮君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  海外同胞引揚に関する件     —————————————
  2. 中山マサ

    中山委員長 これより会議を開きます。  本日は引揚に関する問題につきまして議事を進めて参ります。  私から先に質問いたしたいのでございますが、小笠原諸島人たち、小さく言つて父島、母島でございますが、先日私のもと陳情に参られまして、英米系の人が百二、三十人向うへ帰る、しかしそれだけでは島を運営するにも困るし、また自分たちが戰爭当時にこちらに疎開して來て、その後非常に困つた生活をしている、だから元へ帰らなければ生活の安定が得られないので、何とかして向うへ帰れるよう処置をとつてくれ、こういう御陳情でございましたが、それに対してどういう処置外務省としてはおとりいただけるのでございましようか。
  3. 近藤鶴代

    近藤(鶴)政府委員 小笠原島、硫黄島帰郷に対しましての促進陳情がちよいちよい出ておりますので、今日まで外務省といたしまして交渉いたしましたいきさつお話申し上げて、御参考に供したいと思います。  まず第一に同島住民代表から直接総司令部嘆願書を提出いたしましたところ、総司令部日本政府に対して、一九四六年五月十五日付SOAPIN九五三号指令をもつて、同代表に対して、現在のところ小笠原への引揚は許可されない旨を通報するよう命じて参つたのでございます。  第二、次に政府から四六年六月二十七日付覚書をもつて戰時中内地に疎開して來た同島住民約七百名は、親類縁者も少く、本來の生活手段を持たず、悲惨な状態にあつて故郷への帰還を切望していることを述べ、総司令部善処方を要望いたしましたところ、総司令部は一九四六年七月一日付指令をもつて日本人小笠原諸島への帰還は、アメリカ人またはイギリス人系の者で、日本側により強制的に移動をさせられた者以外は帰還を認められない旨を回答して参りました。さらにアメリカ人またはイギリス人系住民も、一九四六年八月二十三日付指令により自発的に引揚げのための最後機会が與えられ、その支持に從わなかつた者は引揚げの権利を喪失したものとされたのでございます。  第三、さらに政府は一九四七年五月二十三日付覚書をもつて財政整理のための一時渡航を、またさらに一九四八年五月二十四日付覚書をもつて薬物採集を目的とする一時渡航をそれぞれ申請いたしましたが、一九四七年六月四日付指令及び一九四八年七月三日付指令をもつて一時渡航をも許可せざる旨の回答がございました。右の通り政府といたしましては、今日に至りますまで、同島住民帰郷はもちろん、一時渡航についても努力して参つたにもかかわりませず、結局許可されていないのでありますが、なお今後も事情の変更その他の場合、機会あるごとに本件解決に努力する所存でございますが、現在におきましては以上のよういきさつにより明らかでございますように、本件はきわめて困難であると御承知願いたいのでございます。
  4. 中山マサ

    中山委員長 それではその旨陳情の方がまたお越しになりましたら申し上げることにいたします。横田委員
  5. 横田甚太郎

    横田委員 引揚問題について、私たち國会に参るまでは各党各派が党派を離れて非常に緊密に連絡をとつてつておられたように聞いておつたのです。ところが入つて來て実態を見ますと、どうもわからないことが多いのです。なぜかと言えば引揚対策委員会において、非常に人命が尊重されておらない。政府答弁では非常にあいまいで、話がわからない。たとえば本会議において中山委員長が、ソビエトにおける残留同胞が四十万あまりおると言われるのに九万五千帰すということになつて來ると、三十万の人間が足りないじやないかという質問をされた。これは民主自由党中山代議士が言われたのではないのでありまして、あの質問はたしか民主党の方と共産党の私がともに緊急質問をやらしていただくようになつてつたの各党派中山さんの意見にまとめた。というのは、中山さんが委員長であるがゆえに、引揚対策委員会の意向を述べてもらう。こういう立場から各党派代表的な質問としてやつてもらつたのであります。それに対して吉田総理にかわつてお答えになつたところの林副総理お答えは実に冷酷しごくな答弁であつた。今までの数字が正しいのであつて、四十万はほんとうである。九万五千ソ連から帰すということは実に間違つておる。だからあとに三十万おる。こう言われた。けれどもおると言われるところの物的な根拠がない。その根拠を明らかにしてもらいたい。その後におきまして引揚げ対策委員会を一回開いた。ところがそれは流会になつてしまつたのであります。それから後にまた一回開いて、やつと倭島氏が來られて、答弁を聞いたら、第一引揚の問題についてに政府から出されておるところの統計が問題になる。統計が問題になるならば、統計は数によつて構成されておるのでありますから数が一番問題になつて來る。どこの地区にはゼロの地区がある。なぜかと言えば引揚基本数がこれだけで引揚の対象がこれだけである。だからそれを引いてしまえばゼロであります。引揚対策をゼロとするために目標を向けられておつたと思つた。ところが倭島さんの意見はゼロ必ずしもおらないことを意味しないと言うのです。ゼロ必ずしもおらないことを意味しないということになつたら四十万というのは一が四十万寄つたものではないのか。こういうことになつて話がわからない。だから私は得心が行かない。昨年政府はここへ地図を持つて來説明された。ソビエトがここへ侵攻して來たときに何人捕えられて、何人どこに連れて行かれて、どこの收容所に何人おるかということを確かに昨年言われたはずである。これはうちの木村榮君が聞いている。それをもう一回やつていただきたい。もしソビエトにそれだけの人間がおるのだつた日本國民代表いたしまして、ソビエトに対して帰してくれと言わなければならないし、またもしそういうことをしておらないならば、その人たちは一体どこに行つたのか、白木の箱に石ころをつめて帰したのか、それでごまかしたのかはつきりこれを聞かなければならぬと思います。それで政府におきましては私どもが尋ねて行きますと、発表したものは総司令部発表であつて、総司令部数字だから承知しておけと言われる。われわれは承知できない。何もアメリカが、ルーズベルトが日本人を奥さんのもとから子供さんのもとからひつぱり出して外地に連れて行つたのではない。日本朕惟うという天皇が連れて行つたのである。それは今日本におる。それの責任は明らかである。だからやはりこれは日本政府責任であつて日本政府アメリカ統計をお出しにならない限りできない。しかも日本政府がありながら厚生省海軍省とが海外にいる日本人の数について非常に間違つた見解発表している。こういうような点におきましてこれからの委員会の進行について政府のどなたにこれをお尋ねしたならばわれわれの納得するところの明快な答弁がしてもらえるか、その点についてまずお聞きしたい。そこでごちやごちや相談するより今地図を持つて來得心するようにやつてください。私たちはあなたのような從順な臣民ではなかつた。だから戰爭中刑務所におつた。どうぞ私たちような石頭でもはつきりわかるよう地図をもつて來はつきりやつていただきたい。
  6. 近藤鶴代

    近藤(鶴)政府委員 ただいまお話になりました地図をもつて昨年ここで御説明いたしましたのは、私どもではなく引揚援護廳の方の関係になるのでございますが、その地図を持つて來説明せよというお話さつきここで木村さんからお話が出たので、その方の準備をするようにこちらの方でしていただきたいと思います。
  7. 木村榮

    木村(榮)委員 ちよつと関連して……。横田君のさつき質問と関連いたしますが、責任の所在がはつきりしない。外務省では今までこういう発表があつた。それから援護局ではたしか昨年の十月だつたと記憶いたしますが、詳細な地図をここに持つて來て貼られて、ここに何百何十、ここに何百何十ということを言われた。少くともそれは根拠かあつてこしらえたものであつて、あの通りだと言つて発表するのがあたりまえである。もしそれがうそであつたならば、われわれに向つて援護局だか何だか知らぬがうそのいいかげんな、でたらめなものをこしらえて発表したと言つてさしつかえない。何か問題が起る、そのたびに政府発表裏づけになる基礎違つて來る。あれだけ明細なものを発表してわれわれに説明した以上は、あれを持つて來て、この通りだと言えば一番よいと思う。それが言えぬところにまた問題がかわつて來て、何かのたびに基本的な人数裏づけがかわつて來るのです。だからさつき横田君が言つたように、一体どこが責任で、援護局がやるのか、外務省がやるのか、あるいはそのほかのものがやるのか、これをはつきりしてもらいたい。かんじんな点をひとつ答弁してもらいたい。
  8. 高倉定助

    高倉委員 今の木村君のお話ですが、昨年のこの委員会で確かに大きなグラフを持つて來て、ここには何ぼ、ここには何ぼと書いて発表したのです。それがたしかあるはずです。ですから、それを根拠としてさらにここで去年のように親切に発表していただけば、こういう問題は出ないと思うのです。あれは院内にある。援護局の人で背の高い、横田君とか、何とかいう、あの人が説明してくれました。あの人に説明を受ければ判然とすると思うのです。さよう考えますので、そういうふうにしてもらえればすべてのことが氷解するのではないかと思うのです。委員長においてそういうようなとりはからいをなさつたらどうかと思います。
  9. 中山マサ

    中山委員長 承知しました。
  10. 足立篤郎

    足立委員 私はこの前私見を述べたのですが、実はこの問題は繰返しでやりましても結局水かけ論に陷ると思う。その理由は、日本側としては終戰ぎわにおける動員計画数字から差引きをして出す以外に方法はないのだと思うのでありまして、それが信用できるか、できないかについてやつてみても、結局水かけ論に終ると思うのです。そこで私どもが一日も早く希望いたします数字は、かねてシーボルト議長ソ連側に要求いたしました、一体何名ソ連がシベリアに引張つて行つて、それが今日まで何名死亡して、何名帰つて、差し引き十万幾らになるのだという数字的根拠を示していただきますれば、日本側動員計画最後にありました数字と比較対照しますれば、それが満州において逃亡あるいは病死、あるいは中共軍に投入しておる者等数字がそこから推測されるのでありまして、ソ連側数字を一日も早く出していただくように、連合軍当局を通じて外務省においてしかるべくお手配願うのが、この問題を究明する先決問題であると考えております。
  11. 中山マサ

    中山委員長 そのことに関連いたしまして御報告申し上げたいと思います。この間御一緒においでくたさいました理事のお方々もこちらにいらつしやると思いますが、その問題でどこへ行つて数字の究明ができませんので、結局は総司令部に行くよりしかたがないというので、まずマツカーサー元帥にお会いすべく申込みをいたしたのでございますが、議長あるいは総理大臣でないとお会いいただけないと申し渡されましたので、ウイリアム氏に会いました。そうしてチルトンという大佐に連絡をしてもらいましたら、今のところこちらも五里霧中で発表する材料を持ち合せない。これからソ連側と折衡して、その結果、確信を得たらさつそく発表する、こういうところまで参つておるのでございますが、その後何らの通告を得ておりませんことをここで御報告させていただきます。
  12. 横田甚太郎

    横田委員 その点はよく了解しておつたのです。それから後に読賣新聞を見ますと、倭島とかいう政府一役人が、非常に正確なる数字発表しているように見受ける。これがしやくにさわる。なぜしやくにさわるかというと、議会國権最高機関である。これだけの数字があるならば、はつきり述べてくれてもさしつかえはないと思う。議会ではわれわれを子供扱いにして、委員会を開けといつても開かない。いつも時間を遅れる。委員会を開いても、きようも出て來ない。こんなことばかりやつておきながら、しかもこういうことをやられるのはだれのせいか。議会軽視だ。ここでこういうことを報告せずに、何で議会におけるところの報告よりか重要な報告新聞社にするか。どんな理由なんだ。それが第一私どもにわらない点なんです。この点をはつきりしてくれと言うのです。
  13. 高野藤吉

    高野説明員 先ほどからの御質問につきまして、この委員会で毎々御説明申し上げて大体御了解を得ておると私は承知いたしております。  次に新聞記事のことでございますが、現在倭島局長は出張中でございまして、御質問趣旨は、お帰りになりましたらお傳えいたしたいと思います。
  14. 横田甚太郎

    横田委員 傳えた結果われわれにどうわかるのですか。議会の閉会を待つて委員会を開かなくてもよいというふうにお逃げになるんですか。この委員会継続委員会で、休会中でもやれるのですから、そのときは委員が少くても、倭島に責任をもつて國権最高機関である國会の一委員会得心行かすまで聞かすというのですか、どちらですか。
  15. 高野藤吉

    高野説明員 私といたしましては、倭島局長に御趣旨はお傳えするとだけしか申し上げられないと思います。但し局長も当然ここに出られて、その新聞に載つておる記事が事実であるかどうか、またそれに対する御意見は述べられることと存じます。
  16. 横田甚太郎

    横田委員 私は今答弁した人の名前も知りませんし、覚えもしませんが、その人にとやかく言つておるのではない。要は倭島というものは政府一役人である。政府の役人がかようなことをする。そういうよう立場におきまして、これの上におられる方はだれか。吉田外務大臣だというので、その人に來ていただきたい。その方は今大磯におられるというので、それじや近藤さんに來てもらおうじやないかというので來てもらつたので、私はこのことについてはいつも明確にしておりますように、民自党ひとり責任を負わすべきものじやない。要は戰爭中にむちやくちやに動員した菊の御紋によるところの收奪政治の結果として、人間の命を粗末にした、その残存物日本官僚機構にあるので、引揚問題もうまく行かない。そういうよう立場から、その官僚制度、戰後のわれわれが好まないところのこのやり方を徹底的に直してもらいたいというのが趣旨なんです。ですから、倭島を出していただきたい。これだけなんです。きよう出せないと言われるならば、いつ何日にはこれは政府において責任をもつて倭島に出席させて、何とか民主的に解決できる方法委員会に提示する、このことをはつきり言うていただきたい。そうしない限りにおいては、私の考えでは、やはり國権最高機関である國会の一委員会であるこの引揚対策委員会が、すべての数字を握り、すべての大綱をきめて、そうしてこれを政府を通じてやるべきものだと解釈しているのです。これは、たしか委員長中山さんの御意見によりますと、アメリカの方においてもわからないということは事実である。しかしわれわれに押しつけられたこの数字は、アメリカ名前における数字を冠しておる。アメリカ人は何もこんな不合理なものをわれわれに押しつけておるはずはない。やはり基礎になるものは日本から出たといたしましたならば、やはりここにおいて日本人を納得する数字がなくちやならぬのだが、この数字を見てください。これからまず得心の行くように一遍説明してください。ここに基本数があつて、中國地区が六万人残つてつたとして、米軍地区の例をあげますならば、ここに引揚対象基本数として九十九万三千三百四十七と書いてあつて、そこから引揚げて來た総数が九九三三四七、これがゼロになる。われわれの引揚げは、これをゼロにするためにやつておるのに、ゼロ必ずしも日本人がおらないことではないという答弁は何のことだ。これに京都の大学などで——昔の間違つた帝國大学に前おつた西田さんあたりの言われた哲学であつて、われわれには解釈できない数字だから、日本人の納得する数字でなければならぬ。日本人人命に関することですから、その点日本人にわかるようにやつてくれ、こう言うのです。その点を御答弁願いたい。
  17. 池見茂隆

    池見委員 この委員会は、前回にも出ましたように、政党政派を超越した、なごやかな氣持抑留者引揚げ促進を行わなければならぬというお話がありましたが、この点こそ私はまつたくそうだと考えます。われわれに示されておつた四十万という数字が、先日の発表によつて九万五千と変化したことは、この委員会のみでなく、全國民がこれについては大いなる関心を持つておることは事実であります。去る二十三日に福岡市におきまして、全九州引揚げ促進大会行つたのであります。その場合に、例年以上に九州各縣から人が参加した。それはすなわち、あの数字発表に基くものであつて、今までは四十数万という数字が示されて、いつ帰るであろうかという氣持留守家族の人は待たれたのでありますが、三十万の相違を示した場合に、ひよつとしたらもう死亡しておりはしないか、あるいは全然帰る見込みがないのではないかという氣持が、全九州だけでなく、日本全体にみなぎつておると私は思う。この意味から、横田君が話され、木村君が話されるところの数字につきましては、私どもも異口同音にその明確になることを希望するのでありますけれども、これはさつき足立君が発言されましたように、少くとも今はソ連誠意を持つたところの数字をこつちに通知しない限り、現在においてはその的確なる数字を獲得することに不可能であるという見通しをつけるのであります。この場合におきまして、今まで配付されたところの数字が、いかに杜撰であるかということも言えましようけれども、あの数字発表より前に、さらに昨年の委員会において、一つグラフができて、そのグラフ人数を書き入れて説明されたと言いますが、それをここに持つて來ていただいて説明を聞きましても、これは一つ参考になるだけであつて、決してこれによつて的確なる数字の判断は、われわれ委員としても不可能である。また政府としてもそれは困難であろうということを考えるのであります。この場合におきまして、現在続けられておるところの最高司令部を通じての極東委員会に向つての交渉をさらにして、そしてソ連誠意というものを動かして、その数字を獲得することに邁進していただきたいということを私は希望するのであります。  さらに、木村君から質問が出ましたが、さてそういつた数字根拠はどこから出るのか、外務省がやるか、あるいは連合國がやるか、あるいは厚生省か、そういつた関連機関はどういうふうにつくられておるかということを、一應私は参考までにお聞きしたい。さらに、そういうもののが明確にきまりましたならば、その関係者に一々御説明を願い、そういう関係者がわれわれの意見をよく聽せられて、さらに明確な数字をキヤツチすることに努力してもらいたいと思います。
  18. 冨永格五郎

    冨永委員 今の御意見に私も全面的に賛成の意を表するものであります。先ほど横田委員発言の中に、何かわれわれ民自党政府與党であるから、この数字がうやむやになるのを黙認しているかのようお話ように聞こえたのですが、そうでなければけつこうですが、そうだとすれば、われわれはこの場合態度をはつきりいたしておく次第であります。先ほどいろいろ委員から発言がありましたように、この委員会は、少くとも超党派的であることは今さら申し上げるまでもないのであります。しかるに、この数字の問題につきまして、あたかも共産党委員だけが特に取上げて言われておるように聞こえますけれども、なるほどこれを取立てておる回数は、共産党委員方々発言が多いようでありますけれども、われわれはただ、同じことを繰返して発言することを避けるだけであつて、その考えは一致しておることだけは、この機会はつきり申し上げておきたいと思います。私は、いろいろ委員方々から述べられていることと、ほとんど同調的なものでありますから、重複することは避けますが、特に外務省援護廳当局に遺憾の意を表明しなければならないと考えますのは、私どもがその数字をキヤツチすることは、ソ連側より情報が得られない限り困難であると考えているにかかわらず、外務当局談として新聞発表せられ、倭島局長がこの席上へ出て來ての答弁は、あれはそうは言つたのでなかつたのだけれども新聞記者がそう書いたのだというよう答弁があつて新聞記者にその責任を轉嫁するのかもしれませんけれども、おそらくあの記事が出たときに、われわれが見たと同じく、倭島さんと一緒に勤めておられる方々も、ここに政府当局代表して出ておられる方々も、あの新聞記事を見、あの数字によつて受ける感情は、われわれ委員と同様の感覚を持つているものだろうと思う。しかるに倭島さんが出て來なければそれに対する答弁ができない、倭島さんが來たら傳えておこうというような、なまぬるいことを言われるから、共産党委員から、民自党委員もというような小言が出るので、私ども與党であるけれども、その点は非常に迷惑である。政府当局は、この数字の問題に対しては十二分な調査をとげられて、この委員会においてできるだけ明確にし、委員をして納得せしめる答弁をせられることを希望しておきます。
  19. 横田甚太郎

    横田委員 これは別に弁解しなくてもよいのですが、民自党先生方お答えするのです、私の言いましたのは、人命の尊重とか、数の正確さの点については、民自党先生方も同じように思われる、こう言つたのです。それが一つ。それから今池見先生がおつしやいましたのですが、その点において見解の違う点があるのは、死亡しているのではないか、あるいは帰れないのではないかと池見先生はおつしやいましたが、もしそのようなことがあつたらたいへんだ、もしソヴイエトで殺したのであれば、ソヴイエトから骨を返してもらおうというのです。もし帰れないのであれば、これは援護廳が言つているのか、外務省が言つているのか知りませんが、巷間傳えるところのデマによると、ソヴイエトの五箇年計画に酷使されておるとか、刑務所にほうり込まれておるとか言われているということですが、もしそういうのだつたら、なぜほうり込まれるのか、なぜ帰してくれないのか、理由がないと思うがためにわれわれはハツキリしてくれと言つておる。四十万というようなことに理由があつて、こちらから誠意のあることが言われるならば、向うも好感を持つだろうと思う。ところが向うに九万五千しかおらぬのに、かりにこちらにおいて四十万おるのだと言えば、これはとんがられるだけだと思います。だから、今日のベルリン問題のように、今一應解決しておるように見えるけれども米ソ二つの対立する力、その勢力の葛藤のために、日本のとうとい抑留者の生命を向うの地においてむだに過してもらいたくない。もつと簡單に言えば、ソヴイエトだけにおるんじやない。なぜかというと、終戰当時残留者の数を発表さわたのが二つつた一つ海軍省一つ厚生省であつた。そのときのことは、政府委員が疑うのだつたら、昭和二十二年の時事年間を持つて來て、百七十ページを開いてもらうとわかる。そのときにはプレス・コードの違反もやかましく言われなかつたから、この出版社が間違うたんだと言われるのだつたら、それは知りませんよ。そうでなかつた日本政府発表としてここに出ているのはこういうように書いてあります。陸軍関係では三一九七四二五となつております。それから海軍関係では四五五九四三となつております。それから一般邦人は三四二二八〇六となつております。合計しまして七〇七六一七四となつております。それから厚生省の調査によりますとそれが六三七四九八一人となつているのです。この間において開きがすでに七十万千百九十三人になつております。そのときにもすでに七十万の開きがあるにもかかわらず、どういうわけで海軍省報告が正しくて陸軍省の報告が間違いと言われたかわからない。これは調べれば調べるほど官僚が不当にも人民の命をむしりとつた点に対して憎悪の年を持たざるを得ない。なぜかと言えば、ここには四月五日の衆議院の引揚委員会において高山復員課長が出て來て、開戰当時における満州の状況はまつたく混乱した状態でほとんど計画的な準備がなされず、しかもあわてて現地で召集した人員が多数に上るため具体的にはわからないと言明しているのです。この言明にもかかわらずその当時において七十万の誤差がある。いかなる原因によつて厚生省が間違えて海軍省があわてるというようなずさんな発表をしたか。それだから調べれば調べるほど疑惑の念がわいて來る。今日において問題が起るのだつたらよいのですけれども終戰のどさくさにおいてわからない。それから一つ答えてください。
  20. 高野藤吉

    高野説明員 その前にちよつと……。私は説明員として委員長並びに政府委員の御命令でここに列席いたしておるのでありますが、先ほど横田委員は何か私の発言やあるいは私の立場を認められないような言葉があつたように私了解いたしたのですが、委員長、私はこのまま政府委員の補助をしてよろしゆうございましようか。
  21. 横田甚太郎

    横田委員 一体どういうよう責任があるのでしようか。とにかく問題を起しておるのは、何も民自党方々も言つておられるように党と党とが爭つておるのではない、にもかかわらす問題が起る。というのは倭島という人が收まつた時分にひよこんひよこんと出て來て言う。それだから倭島なら倭島という人に聞きたいのであります。
  22. 中山マサ

    中山委員長 倭島さんは今御出張中ですから……。
  23. 高野藤吉

    高野説明員 管理局長の上の方は事務的には次官でございまして、議会関係のことは政務次官がおやりになります。
  24. 近藤鶴代

    近藤(鶴)政府委員 倭島さんの新聞記事を実は私は知らないのでございますが、しかしそれは倭島さんが政府代表してしやべられたものでない限りにおいて、私が知らなくても別にふしぎはないと思うのです。先ほどまたしきりに新聞記事のことが問題になつているように思いますが、私はただいま横田さんが仰せになりましたように、この数字の問題は非常に微妙なものであると考えまして、取上げ方自体も私どもみなで非常に愼重にしなければならないのではないかと感ずるのでございます。從つてこの前ソ連発表いたしまして、九万いくらということが問題になりました最初の外務委員会のときに、委員長が速記をやめていただきたい、議院の方々と胸襟を開いて話すということはよいけれども、速記に残された場合にはどうしても意の盡せないものがあるからという意味で速記をやめていただきたい、同時に列席の新聞記者方々もその意味を了とせられたいという御挨拶がございまして、管理局長の御説明があつたのでございます。ところがその次に参議院の、引揚委員会に出まして同様な説明を倭島局長がなさいましたときには、不幸にして委員長からその指図がなかつたのを私は非常に奇異な感じを持つたのでございますけれども、そのとき注意をしなかつたのです。私はあれでよいかしらと思つたのです。ところがはたせるかなその記事が翌日の新聞に出ましたので、これでは衆議院でとめても何にもならないなというようなことを感じたのです。そういつたような意味で同じ人がやります場合でも、非常に愼重にする場合とうつかりしたことのたりに漏れていけないことが漏れるということがあると思います。從つて読賣新聞記事では倭島さんがどういう立場でどういうことを前提にしてお話になつたかということがよくわかりませんので、私は倭島さんばかりを責めることはどうかと思いながら先ほどからお話を伺つておるような次第でございます。この引揚委員会が休会中も続行されるというならばなおさらのことけつこうだと思います。ただいまのところ一週間の予定でございますので、多分一週間後お帰りになりましたならば、早急にこの委員会を開いて、その新聞に対しての倭島さんのお氣持を伺うことにさせていただきたいと思うのでございます。
  25. 高倉定助

    高倉委員 今次官の言われたこともごもつともでございますけれども、これは二十七日に発表しておる。そうしてこの問題は全國的に大きな問題として取上げられておる。ですから二十七日から今日まで三日あるのですから、その間において数字的の問題を発表した以上は政府当局は倭島管理局長意見に対して、こういうふうな発表をしたのは、これはどこに根拠があるかということをよく確かめておかれる必要がある。これを是認しておられるかどうか知れませんが、これを是認しておられるならばおられるようにわれわれは考えなければならない。ですから次官なり大臣なりがこの発表されたときには、これは君はどういうところに根拠があつて発表したか、これはほんとうかどうかということをよく確かめてこの委員会に出られるのがほんとうだと思う。この問題がとにかく今大きく取上げられておる。だから誠意がなさ過ぎる、もう少し勉強していただきたい。
  26. 近藤鶴代

    近藤(鶴)政府委員 高倉さんに申し上げたいと思います。なるほど二十七日の新聞に出ておる記事を知らないということは誠意がない、勉強が足りないというお言葉はごもつともだと思いますけれども、私ども新聞に出ております記事に対しましては、私自身もかつて太平洋同盟條約などにおいてにがい経験を持つておりますように、自分が発表したその意思とその立場というものが非常に違つて出て來る場合があるということを思いますので、新聞記事に対して一々ああかこうかということを氣にしないと申しますか、そういうくせがついておるのでございます。しかも毎日読みます新聞の中にたまたま読賣新聞がないものでございますから私はそれを知らないのでございまして、そんなに不勉強という氣持もないのでございます。またそういうものを見ておらないから管理局長に対してこういうことが出ておつたがということを聞いてみておらないのでございます。目を通さないということに対して不勉強であると言われればそれまでだと思いますけれども、大体引揚げの数についての大まかな話——こういう発表の経過であり、その後の司令部の折衡がどうであるとか、ソ連大使館との折衡の結果はどうであるとかいうことを聞いておりますので、しかもソ連大使館の発表が正式に司令部を通したものでないというところに、私どもがまだ本腰になれないよう氣持があるということも一応御了承いただきたいのでございます。
  27. 木村榮

    木村(榮)委員 残留者の数の問題、私は今年の引揚げが遅れておりますのは、ここにも問題があると思う。というのは、この問題が解決しなければ非常に遅れる。なぜといえば、ソビエト側は、正式なものでないにしても九万何千なら九万何千、日本政府は四十万なら四十万、こういうことを言つておれば、引揚げは遅延する一方です。この問題を解決せぬ限りにおいては、現に残つている人がほんとうにめいわくする。あるいは幽霊があるかないかは別として、もし幽霊があるならば、幽霊のことを盛んにやつている間にほんとうに残つている人は遅れると思うのです、どうしてもこの問題は政府責任において四十万あると言つた以上は、これをほんとうに裏づけするものを出さなければならぬ。そうしてソ同盟と、連合國を通じてでも爭わなければならない。しかしながら、これがほんとうにわれわれを納得さすだけの、少くとも國会委員会が先頭に立つて爭うだけの根拠のないものであつた場合には、爭えぬことになる。そこで私はどうしてもこの問題を解決して、われわれがほんとうにやる態勢を整えなければならない。そのことが一つもなされていない。問題はもう一つ、四十万、四十万と簡單に言いますが、これは各縣で調査してみればだんだんわかつて來ることだと思いますが、はたして日本國民の中に、うちの子供は帰つて來ぬとか、うちの夫はたよりがあつたが婦つて來ぬとかいつた人は、正確に四十万あるかないかということは、非常にこれは疑問です。縣なんかで調査しますと、縣でさえ合わない。おもしろいことには、縣の課でどこそこ村何名と書いてある。その村へ行つて調査してみますと、その該当者はおらぬことがある。こういつた現状を私どもはよく見なければならぬと思う。從つてこの問題を根本的に解決してみませんと、ソ同盟の方との引揚げ問題が、この数の問題をめぐつて遅れるんじやないかと思う。從つて引揚げ促進いたしますためにこそ、この数の問題を徹底的に、この際政府責任において解決しなければならぬ。ただ最初四十万と言つたから、そう言つた手前まさかずさんなものであつたと言つたんでは体裁が悪いから、四十万と言つておけ、四十万と言つておけということでやつたんでは、実際現地の人に申訳ない。これは一党一派の面子とか責任とかいう問題じやなしに、ほんとうに政府の方としても、当時敗戰のああいつた事情で、これはきわめてずさんなものであつて政府としても信用はできないけれども、こういうことになつているという点があるならば、これも率直に出して、そうして特にわれわれ引揚げ委員といたしましては、そういつたものを具体的に調査いたしまして、小委員でも設けて徹底的に調べなければ、かような水かけ論みたいなことをやつていては、ますます引揚げは遅延すると思うのです。
  28. 池見茂隆

    池見委員 これは民自党でありましようが、社会党でありましようが、民主党でありましようが、共産党でありましようが、この問題だけは、的確なる数字を確保するということにつきましては、もう何回も申し上げますが、政党政派を超越するというか、超党的なものであることは絶対的なものである。それで今までお話がありましたように、私どもが言わんとするところを共産党から発言せられ、また私どもの言わんとするところに対しては、共産党の人はよくこれを肯定せられる点があると思うのであります。この意味において、私はここで今日いくら論議してもその数を獲得することは不可能である。それよりも各党の人々が発言せられたそのことを外務省なり、あるいは援護廳なり厚生省なりすベての人々が、幸いに次官も今日は見えておりますから、この空氣をよくのみ込んでいただいて、その的確なる数字を獲得することは、政治的ににこうだ、また対内的にはこうだ、こういつたことを研究していただいて、もしこの委員会國会休会中に開会せられるというならば、早急に再開していただきたい。私はこの程度で本委員会は打切つていただきたいということを要望いたします。
  29. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 ただいま池見委員からお話があり、先ほど冨永委員からもお話がありましたように、私ども今日この数字を究明することは、当然必要欠くべからざることではありますが、先ほどどなたか共産党委員から、この問題を論議すること自体によつて引揚げが遅延するのじやないかというお話がありましたが、私はかくのごとき状態に陷ることを非常に恐れておるわけでございます。言葉をかえて申し上げるならば、この数字の食い違いという問題のために、引揚げが遅れることがあつては相ならぬと思うので、これとは関係を離れまして、少くとも先般ソ連側において発表せられたあの数字だけでも、ただちに五月から引揚げを再開し、ソ連側からこれを送還していただくべきものであると私は信じておるのでありますが、今日なおその送還を見ない事情がどこにあるかということにつきまして、政府当局におきましては、関係筋との間おいてどういうような交渉をせられておるか。また再開の見通しはどうであるか。この点について一応お伺いいたしておきたいと思います。
  30. 足立篤郎

    足立(篤)委員 私もただいま玉置委員のおつしやつたことはぜひお伺いしたいと思つておりましたが、おつしやいましたから重複する点はやめたいと思います。ただ木村委員が先ほどおつしやつた中に、非常に興味を引く問題があるのであります。最近各町村で留守家族の調査をされて、まだ還らない者の人数をお調べになつたはずでありますが、あれはどこが主体でお調べになつて、その結果がどういうようになつておるか。その数字は非常に貴重な参考になると思いますので、これを伺いたいと思います。
  31. 受田新吉

    ○受田委員 今の留守家族調査以外に、未復員者給與によつて実際上、政府が未復員家族に給與を支拂つておる数字が幾らであるか。これははつきりした数字で、わかつておるはずだから、その方を先にお答え願いたい。これは政府責任答弁できるはずであります。
  32. 中山マサ

    中山委員長 私、ただいま木村さんのお話を伺いながら、またこちら様のお話を伺いながら考えましたことですが、去年でございましたか、今年の早くでしたか、電信柱や駅に、もう一ぺん還つて來ていない人の届出をせよということが出ておつたのを御覧になつたことがあるでしよう。あれを徹底的に調べたら、今までのことがはつきりして來るじやないかしら。
  33. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 私の先ほどの質問にまだ答弁がないが、ソ連側発表した数字のものだけでもすみやかに引揚げを完了していただきますと、その人たちによつて彼の地における実情もある程度調査できるわけです。從いまして今日この発表した数字が、なおかつ引揚げの緒についていない実情はどういうふうなことになつているか。政府連合國側を通じて調査をされたことがあるのかどうかということを先にお伺いしたい。
  34. 高野藤吉

    高野説明員 先ほど私のステイタスの問題を委員長におまかせして、まだ解決していないようですが、御了承願つて発言さしていただきたいと思います。先ほどいろいろ各委員が御質問になりましたが、日本政府といたしましては、御承知の通り、現在総司令部に対しまして、今度ソ連政府発表した件につきまして、正式に通報を受けたいということを申し入れておりまして、現在まだ何らわれわれは返事を受けておりません。それから引揚げの再開つきましても、それとは別に、毎年総司令部から、ソ連政府からこういう通告があつたから、船をナホトカ及び眞岡に発航すべしという命令が参る次第でございまして、現在までそれが参つておりませんので、まだその引揚げ再開の運びに至つておりません。それから先ほど政府の調査はどこでやつておるかというお話がございましたが、現在一般邦人につきましては、外務省においてやつておりますし、軍属につきましては、現在におきましては、援護廳の中の復員局でやつておる次第であります。
  35. 横田甚太郎

    横田委員 これにこの間の答弁の中にあつたのですね。この中においては、何か総司令部数字基礎になる数字が、日本政府から出たか出ないかということをお尋ねしたのです。そうすると向うの言われるのは、日本から出たようにも言われる。そうしたら、日本政府から出した数字を示せというと、あちらさんは現在発表の段階ではないと言われるのです。私たちはそれを知りたいというのです。それを向うへ出しておいてなぜ國会へ出せないか、ここに新聞発表して、われわれをほうつておく根拠があるというのです。あるものでしたら出してくれ。われわれもそれであげ足をとろうとはしないというのです。それでこの点を明らかにしてほしい。発表した数字がここにあると書いてあるのですから、それを出していただきたい。部内用とか部外用とか、発表用の数字と部内で使うところの数字というややつこしいことを抜きにして、一切の基礎になつた数字を資数として全部出していただきたい。このことと、それから台湾、中國、その他ゼロになつているというところの意味はどうかということを尋ねると、向うの言われるのは、引揚げ関係の直接対象になつている人がゼロということで、必ずしも同胞がないということではないと、こう言われる。そうしたら同胞で残つておる人がなぜ日本へ帰るのがいやになつたのか、その意思表示をだれにいつ傳えたか。それを聞かしてくれというと、言うことは非常にあいまいで今発表の時期ではない、こういうようなことになつてしまう。こういう点が問題になつているのです。
  36. 中山マサ

    中山委員長 お諮りいたします。共産党の神山茂夫君より委員外発言の申出がございますが、これを許可いたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 中山マサ

    中山委員長 それでは神山茂夫君。
  38. 神山茂夫

    ○神山茂夫君 私は共産党引揚げ対策を担当しているものですから、この機会にただ一言だけしておきたいのです。数字の具体的な問題や、これからの施策については、すでに両議院がこまかな点までお話があつて、すでに明らかになつていますし、またこれからも明らかになつて行くからいいといたしまして、この四十万という数字と、それに対する十万足らずの二つ数字をめぐつて、大きな政治的な國際的な問題になつていると思うのです。ことにアメリカではシーボルト氏が四十万と言う。日本の國内では倭島君が四十万を裏づけようなわけのわからぬことを言う。しかも國内の全國民はこの問題をめぐつて大きな政治的な動きをせざるを得ない状況に追い込まれていると思うのです。從つてたちとしては、この数字の問題を、單に数字の問題として見るのでなくして、これが一つ日本の全國民の関心の的になつておる大きな問題というふうに、ぜひ扱つていただきたいのです。しかもこれは委員長に直接関係することでありますが、先日の本会議における緊急質問の問題が横田君から出まして、また中山女史の名前で出ましたときに、私たち氣持よく中山さんに譲つたゆえんのものは、あなたは委員長であるばかりでなく、この数字の問題をはつきりして、日本國民ばかりでなく全世界の疑惑を解くべく適切なる発言をされるであろうということを信じていたからです。それに対する政府の回答も無責任きわまる。それに対するその後の補充的な説明もことごとく無責任であるばかりでなくして、國内におけるいろいろな疑惑を深めるようなことばかりである。國際的にも悪い影響を與えるのです。そこで今木村君が言いましたように、数字の問題がはつきりしないから残りの十万も帰つて來ないのだ、こういう極論も出て來る一つ理由があるのです。しかし帰つて來ない理由は、数字の問題でなくして、皆様御承知の通り、参議院の同じような特別委員会で扱われたいろいろな問題、古村隊事件や、人民裁判の問題にしましても、非常に一方的な取扱いを受けているというような印象が、國民の一部にもありますし、國際的にもある。これら全体が引揚げを遅らせる一つの原因になつていることは認めざるを得ないと思うのです。ぜひこの衆議院の厚生な特別委員会におきましては委員諸君の御協力によりまして、先ほどもすベての方が言つていらつしやいますように、党派を越えて、こういうような紛糾を解く一つの手段として、四十万か十万かという問題について、日本政府当局の明確な具体的な回答を要求する必要があると思うのです。近藤さんがおられるので、私あまり大きな声を出すと、わが党の婦人議員にしかられるので、やさしく言うのでありますけれども、この点については、もう外務省厚生省もぜひはつきりした具体的な資料を出して、ありのままのことを國会報告しなければならぬ責任がある。今横田君が言いましたが、その数字に関連しては、秘というのがあり、極秘というものがある。そうして私たちがこの資料を出せと言いますと、極秘というものは出せない、秘は一部分におわせる、こういうことを言う。私は党を代表して何度も援護廳なんかをまわつて数字の問題については今まで数回折衡して來たのでありますけれども、いつもこの問題がひつかかりになつている。これをこの際ぜひ國会の権威のためにも、また日本の國際的地位を向上させるためにも、眞実の数字をここに調査して、その実態に基いて國会が協力一致してこの問題を解決するために奮闘されるよう、私は特にきよう委員外発言を求めまして、委員諸君にお願いし、また委員長を通じて政府当局には嚴重な申入れをしておきたいということを、一言だけしておきたいと思います。
  39. 足立篤郎

    足立(篤)委員 今の神山さんの御発言、非常にごもつともで、われわれも同感の点が多いのでありますが、実は私先ほどちよつと申したように、政府として絶対的な責任のある数字は、現在の段階においては、とうてい発表し得ないものと推測するわけでありまして、先ほど申し上げた通りソ連側において、シベリアに何名終戰後つれて行つたか、そうして何名向うで、病死したか、今までに何名日本に帰したか——これはわかつているが、差引十万になるのだというはつきりしたものがあるならば、この数字をいだだかない限りにおいては、日本政府としては責任ある数字発表はできないものと私は確信いたします。最後的な責任ある数字発表しろということは、少しむりだと思いますので、かねてシーボルト氏が要求されておりますあの数字を、一日も早くソ連側において示していただきたいということ、これは超党派的に共産党も御協力願つて、一日も早く留守家族を安心せしめるという方向に向いたいと私は念願しております。
  40. 神山茂夫

    ○神山茂夫君 今の御発言に反駁するわけではありませんけれども、わが党といたしましても、すでに御承知のように、ソビエト政府代表する機関に対しては、すでに昨年もまた今年も三月十八日に私が立花議員その他の党派の方々をお誘いしまして申入れしましたときにも、数字はつきり示してくれということは、ソビエト大使館側に申し入れしてあります。また死んだ人や何かの氏名その他がわかればそれもはつきりさしてもらいたいということを申入れしてありますし、また皆様も御承知のように、私たちソビエト全同盟共産党中央委員会にあててわが党の名前で要請書を出しましたときにも、やはりこの数字の問題は申し入れしてあるわけであります。ただこれに対して皆さんも御承知のように、先日も各党の代表者がいらつしやつて申入れされたときも、向うがまだ数字の問題は御承知ない、こういうことが事実あることは今あなたの御指摘の通りでありますけれども、私がソビエト側に数字を出してもらいたいということを要請すると同時に、日本政府に対してはこれが一つの大きな政治的問題になつておるわけであります。そこまで責任日本政府側は背負つておる。從つてこの点についてはぜひ急速に全資料を提出するようにということを私は強調したわけでありまして、決して一方的に政府側を責めるわけではありませんが、ソビエト側にも大いに私たちとしても要請しなければならぬと思います。日本政府としては当然國会に対して報告すべき義務があるという観点から、私はここで強調したわけでありますから、お含みの上、この点御了解を願いたいと思います。
  41. 山本利壽

    ○山本委員 私は本日の委員会に列席しまして、皆様方からのいろいろな御意見を聞いたのでありますが、要点は同じだと思いますけれども、現在持つておられる外務省あるいは援護廳、その方面の数字は刻々にかわるものだと思います。今日はこうだ、いろいろな調査の結果、今日における正確な数字はこうだと思うということを外務省は常に発表し得る態勢になつていただきたい。しかし世間一般の人間は刻々に死んで行くのであるし、あるいは逃げて行つた者がまた帰るて來ることもあるから、いつまでも一つ数字が固定的なものではないということも十分了解しておらなければならぬと思います。  それから倭島管理局長が出張中だからはつきりしたことはどうもやむを得ないといつた意味のお話があつたけれども、官吏は命令で出張したのであるから、命令でいつでも呼び返すことができる。委員会は重大な委員会である。ことに現在國民の多数が非常に懸念しておる問題である。ことにその問題についていろいろな疑惑の種をまいた官吏が出張しておるなれば、電報一本でいつでも帰せると思う。今日ただいまとは言わないでも、電報を打つて、明日の委員会には必ず間に合わすということも、場合によつてはなし得ないとは思わない。それからまた近藤政務次官のお話では、新聞を一々読まないということであつたが、これもごもつともだと思う。非常にお忙しい人であるから、自分で全部の新聞をお読みになるとは思わないけれども外務省の調査局もあり、たくさんな手足を持つていらつしやるのでありますから、こういう重大な國内の問題に関して、自分の部下たる者が、いろいろ関係のあることについては常に目を通しておつて、こういう数字が出て來ました、こういう影響がありますということは、少くとも政府の首脳部に向つて一々報告をして、それを心に留めておいていただくように希望いたします。
  42. 木村榮

    木村(榮)委員 足立委員の御説ごもつともですが、みんながそれをやるために、日本政府がとらなければならぬ態度がある。日本政府は四十万でおると固定されて一歩も出ない。これは絶対間違いないと対外的な宣傳をしながらやつておる。そこで問題が私は解決せぬと思う。だから私がさつき言つたようにずさんな点、でたらめな点は率直に認めてお互いに折衡のできるような方向を開いておかぬと、四十万なら四十万というふうに固定されて、お前のところで正確な数字を出せということはけんかを賣つていることになる。ソ連に向つてけんかを賣つているのと同じです。もしこれと違つたらお前のところはでたらめを言つたんだというなら、けんかを賣つてのやり方だからいつまでたつても解決しない。  もう一つ大事なことは引揚げ再開問題になつてから何年たつか。だからさつき受田君から未復員給與規定の給與を受けておるのは何人だという質問が出た。あのような國政調査をやつたんですが、一体お前のむすこは帰つたか帰らぬか、戰爭が終つたが、どういう情報があるかということを調べて、これを町村で纏め、地方事務所で纏め、縣で纏め、國で纏めれば簡單に出て來る。そのくらいのことをなぜやらぬのか。そんなことをほつたらかして、敗戰後のどさくさの数だけを固執して、四十万と言つて騒いでおる。その裏づけがない。だから私がさつき言つたように、縣なら縣で調査してみたというから、その村に行きまして現状を見ますと合わない。こういう珍現象が起つて來る。だからこれに非常に大きな責任政府にある。大体急ぐならそのくらいのことは簡單にできることだから、やつてもらつて、そうしてみなを監督して、安心させる。こう行かなければならぬと思う。
  43. 足立篤郎

    足立委員 今木村君から重ねてお話がありましたから、私も簡單に申し上げたいと思います。私はたとい交戰國間においても、俘虜の数字発表するのは國際法上の義務だと思うのですが、ソ連がいまだもつて発表されないことは、はなはだ腑に落ちかねるわけであります。それでこの問題は堂々と要求していい問題ではないかと私は確信します。今木村君のおつしやつたことも同感でありまして、わざわざ刺戟して國際的な政治的問題を巻き起すということは、日本政府としては極力避けなければならぬ。かよう考えますので、今まで日本政府がまず比較的確信あると思う数字をなるべく早くお示し願つて、お互いに協力して進むことに私は願いたいと思います。
  44. 横田甚太郎

    横田委員 それはソビエトだろうがアメリカだろうが、どこでも発表してもらわなければならない。ソビエト発表せられて、ほかは発表しないということがもしあれば、これはたいへんなことになる。なぜかと申しましたならば、私がさつきからお尋ねしておる疑問が一つも解決しておらない。発表というものは正確でなければならない。ここにも書いてあるように、ゼロと書いてあるところから日本人がのこのこ出て來たら困る。現に太原では六千人おつて六百人が捕虜になつたという外電があり、しかもその六百人がうそだと言われるならば、個人の名前まで言う。今村中将、岩田少将というような人が出ておる。そんなところがゼロになつてつた。このゼロをどういうふうにしてこの表の上で解決するのか。簡單に日本から動員された朕の動員のもとにおけるところの大御心が連れ出したところの殺人犯の人ではなかつたのか。そこをはつきりしてもらいたい。それでなければゼロというのに人がおれば、ほんとうのゼロはマイナスゼロになる。おれの頭ではわからない。日本に生まれ、日本の学校で学んだ日本の数学では計算ができぬ。その点を言うのだから、発表ソビエトであろうと、アメリカであろうと、どこでもしてもらわなければならない。その発表した結果がどうも解釈ができぬようになる。だからここに私が言うのは、みな疑問があるから質問をした。ところが大臣も同様で御存じないらしい。だから適当な機会に御答弁願いたい。個人の名前を出してはお氣の毒だけれども、今日は近藤政務次官が出ておられるが、今日出ておられる方の中では一番お偉い方らしいいその方の責任において、中山委員長とよく御相談くださいまして、ほかの委員先生方にも御相談を願つて、次の機会はつきりした解答を願いたい。  それから一つは、重光さんが一九四五年九月にアメリカに対してお出しになつた引揚げに関する覚書があるはずです。この前文を発表していただきたい。さらにGHQの基礎になつたところの日本政府数字発表してもらいたい。これは部内用と発表用と二つあるはずですから、二種とも出してもらいたい。なぜ出してもらうかというと、部内用を基礎にしてこの数字を出しますと、日本人にはわからないことになる。政府の方はお忙しいので数字の方でもお間違いになつては困るので、われわれ人民の方でよろしく数字の計算をいたしますから、委員会に出していただきたい。  それから引揚対策基本数あるいは引揚げ対象になる人々の打切られた理由と動機について、はつきりした手続を講じてもらわなければ困る。ソ連にまだ三十万残つておるじやないか、しかし倭島さんの意見では一ぺんに親ソ的になる。ソ連に三十万と言いますけれども、今の答弁からわかつてもらえますように、日本に帰らぬ、ソビエトに残ると言うから、引揚げの対象にならぬと言う、こういうことが生れて來る。これはわれわれとしては非常に解釈に苦しむ、そういうような点を明らかにしてもらいたい。  それから重光さんの協定前の引揚げの数は一体なんぼかということをはつきりしてもらいたい。それから一般人民と陸海軍別の残留者数の終戰当時における復員者の、さつき申しましたように、外務省厚生省との数字はつきりしてもらいたい。それから戰死傷者の数が非常に不明瞭である。白木の箱の中に、石ころや土ころを入れたのは、人間を対象にして入れたのか、向うに生きておるのかはつきりしてもらいたい。これだけひとつお願いしておきます。御希望だつたら全部速記の方へまわしてもいいし、そうでなかつたら次の委員会で口頭で私から質問する。そのどちらがいいかということもはつきりしてもらいたい。
  45. 高倉定助

    高倉委員 議事進行について、これは大体話は盡きたようです。問題は倭島局長日本数字は正確だということを発表されたのが原因になつておると思う。ですから、九万五千、これは別として日本数字はどの程度まで正確かということです。本日というわけにいきませんが、一番最近に調べられた数字がどのようになつておるかということを次回の委員会数字をもつて発表願い、そうして御説明願えれば私はそれでいいと思います。この間も委員長に随伴して、ウイリヤムス氏に会いましたけれども、あの通りの事情で、ソ連の方でも発表ができ得ないのでありますから、日本にはこれだけの数字が的確である、正確であると自分は思うという、政府のほんとうの意思をわれわれに示していただければ、それが極秘であつても、あるいは発表でき得るものもいろいろあるでしようけれども、それらをよろしく発表していただけばそれでいいと思うのです。本日はそのような程度にして散会していただきまして、今日は特別次官も來ておられるのですから、次官に賛任をもつて最近至急に御調査願つて発表していただきたい。これをお願いしたいと思います。
  46. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 高倉委員からの議事進行についての御発言通りに、本日はこの程度に散会いたしまして、委員会は継続できることでありますが、しかしあまり延びますと、各委員の都合もありましようから、遅くも來月の二日までにもう一度委員会を開きまして、その間に横田委員からも要求せられたことく、政府当局、すなわち外務省におきましては、ある程度責任をもつて答弁のできるようにすべての資料を携えて、この委員会を円満に進行するようにお願いしたい。
  47. 受田新吉

    ○受田委員 今のように重要な数字を示される場合に、政府当局においては外務省のそれぞれの局長及び厚生省責任のある局長、こういうよう政府委員をできるだけ網羅してここに出ていただき、そうして責任ある答弁をしていただいて、その場でわれわれを納得させるように、特に委員長において御盡力願いたい。
  48. 横田甚太郎

    横田委員 ちよつと関連して、教育費の問題を文部省に聞きたいのですが、この点もよろしくお願いします。
  49. 中山マサ

    中山委員長 御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 近藤鶴代

    近藤(鶴)政府委員 ただいま各委員方々から御発言がございましたが、質問したことについてすぐ明確な答弁ができるように用意をして、ここに出るようにという御説ごもつともでございますけれども、やはりそれは前もつてこういうことが聞きたいということであると、参考資料がより正確にはつきり集まるのではないかと思います。ここへおいでになりまして、発言から派生した問題についてさあ、それをすぐ聞きたい、すぐ資料を出せと言われましても、役所の連絡でそう早くも出ませんので、なるべく前もつて早く言つていただきたいと思うわけでございます。倭島局長がお帰りにならなければ、この次の委員会を開いても意味がないと思いますけれども、先ほど山本さんが仰せになりましたように、電報一本で呼び返せるというお話もございますが、仕事の性質上やはり管理局長の公務をもつてやむを得ず出張しておられまして、それに対しての予定もございますので、最小限日にちを繰つて見ましても、來月の三日以後でないと間に合わないのでございますが、どのようにいたしましようか。
  51. 横田甚太郎

    横田委員 近藤さんのようなおとなしい御婦人が、そんなことを言われるのは困ります。私たちは派生的なことでさあさあと言つて政府を困らせておるのではない。ここにもございますように、前から委員会において質問したことに誠意を持つてもらえるのだつたら、当然その委員会の進行に答えてもらわなければならない未解決の問題がたくさんある。それが未解決のままだから、委員会を開け開けと中山さんを追いかけて、ようやく御協力願つて民自党の先生も、共産党もやつて來て、一生懸命やつておるのです。そういう事情をおくみとりくださいまして、いじめるとか、そんなけちくさい考えを持つておるのではないのです。むしろあなた方の政策が破綻するときには、大衆闘爭としてまき上る階級闘爭の中においてこそ、それに対立しますけれども民自党の先生たち氣持よくやつているのですから、鏡山の岩藤のように、そうとんがらかつては困ります。そんな派生的な問題であげ足取りをするのではない。きよう一回來てこりずに二回でも、三回でも來ていただきたい。
  52. 近藤鶴代

    近藤(鶴)政府委員 もう一言申し上げたいと思います。ただ一回だけ今日初めて出まして様子がわからないのでございますが、たとえば先ほど受田さんが御質問になりましたことにつきましても、この機会に御説明ができないという状態であることを、たいへん遺憾に思いますので、そう申したわけでございます。それからまた委員の方に私がこのようなことを申すことはいかがかと思いますけれども、それほど非常に熱心に、超党派的に引揚げ促進のためにお考えいただいておることは、まことにありがたいと思いますが、やはりそれは時間的にも現われて來なければほんとうではないと思いますので、ほかの委員会に別問題といたしまして、少くとも引揚促進委員会は時間励行で、私どもも、皆様方も御一緒に集まりたいということを希望したいと思います。
  53. 中山マサ

    中山委員長 それではこれで散会いたします。     午後一時一分散会