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1949-05-22 第5回国会 衆議院 海外同胞引揚に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年五月二十二日(日曜日)     午後五時十八分開議  出席委員    委員長 中山 マサ君    理事 玉置 信一君 理事 冨永格五郎君    理事 若松 虎雄君 理事 受田 新吉君    理事 坂口 主税君 理事 横田甚太郎君    理事 天野  久君 理事 高倉 定助君       足立 篤郎君    池見 茂隆君       松本 善壽君    堤 ツルヨ君       柳原 三郎君    山本 利壽君       吉川 久衛君  出席國務大臣         大     藏 池田 勇人君  委員外出席者         大 藏 次 官 長沼 弘毅君     ————————————— 本日の会議に付した事件  閉会中の審査に関する件  在外資産問題に関する件     —————————————
  2. 中山マサ

    中山委員長 これより会議を開きます。この際お諮りいたします。新聞等によりますと、引揚再開も目前に迫つて参りましたので、本委員会の重大なる使命と、会期の切迫とを考えまして、國会第四十七條の二により、閉会中も継続して審査いたして行きたいと思いますが、閉会中の審査を行いますには、そり旨議長に申し出で、院議によつて許可していただかなければなりませんので、閉会中の審査要求議長に申し出たいのでございますが、さようとりはからいましても御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中山マサ

    中山委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。     —————————————
  4. 中山マサ

    中山委員長 次に引揚げが開始されますれば、引揚けの状況を観察に引揚地に委員派遣を行いたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中山マサ

    中山委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお衆議院規則第五十五條によります議長に提出する委員派遣承認申請書その他の手続に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  6. 中山マサ

    中山委員長 御異議なければさよう決定いたしました。
  7. 玉置信一

    玉置委員 私はこの場合、大蔵大臣に対しまして、日本政府終戦直後、すなわち昭和二十年十月十五日附大戦省令第八十八号もつて北海道拓殖銀行樺太支店預金拂出しを停止されておることにつきまして、これが解除の可否について、きわめて簡單に御質問申し上げたいと存じます。  樺太、千島から函館に引揚げました引揚げの総数二十八万七千五百五十九人のうち—これはこれまでの数でありますが、そのうち縁故者数が五万七千五十余人、これらは縁故者をたどつて目的地へ入つたのでありますが、このほかにその頼るべき何らの寄るべがなくて、安住の地を得ない不幸な無縁故者も約五万余、合せて十万余人の者があるわけでございますが、こうした方方にもちろん、一般引揚者方々も、御承知通り一物も持たないで引揚げて参りました関係上、今日分散してそれぞれの地に住んで生活を営んでおりますが、窮迫せる今日の経済情勢等から、非常に将來を不安がり、一刻も早く何らかの生活の安定を求めたい。それにはできればこの北海道拓殖銀行樺太支店預金をしてあつた金額の拂出しをしてもらいたいものだというわけで、昨年の九月二十六日に北海道札幌市におきまして預金者大会を開き、当時の大蔵大臣北村徳太郎氏に対して、この大会会長並びに預金者代表が来て、この解除並びに支拂い方を情情いたしたのでございますが、当時大蔵大臣は、眞に生活困窮である者は、この会長拓殖銀行頭取証明を持つて来れば、拂出しをしてもいいであろうという言質を與えられたというので、北海道では非常に喜んで引揚げられたのでありますが、その後間もなく政変となりまして、爾来今日に至つておるわけであります。そこで私はこれらの引揚者の多数の声を代弁いたしまして、以下の根拠に基いて御質問申し上げるわけでございます。  この樺太における預金封鎖理由といたしましては、在外資産であることが主因になつておるようでありますが、はたしてそうであるかどうか。これは一問一答で御質問すればよく徹底するのでありますが、大臣におかれましてはただちにお出かけになるようでございますから、一括してご質問申し上げたいと思います。そこでもし樺太預金部在外資産として封鎖したものであるとするならば、それははなはだ当を得ないのではないか。またその措置を誤つておるのではないかというよように、この引揚者は解しておるのでございます。その根拠といたしましては、第一に御承知のごとく樺太は当時内務省の管下にありまして、かの満州朝鮮のそれとはまつたく事情を異にいたしまして、内地同様の行政下に置かれていたのであります。従いまして拓殖銀行とつた処置は、終戦と同時に支店を閉鎖し、現金、帳簿を行員と一緒に内地に引揚げておるのでございます。そこで拓植銀行本店は御承知のごとく北海道にあるわけでございますから、封鎖されたということになりましても金貨であればもちろん財外資産と見てしかるべきでありますが、日本銀行の発行券在外資産対象とにならないのではないか、また為替管理も同様この対象とはならぬのではないか、こういうふうに解しておるわけでございます。かかる諸点から、法的に見ましても在外資産として封鎖すべき何らの根拠がないことはきわめて明瞭でありまして、從つてこの在外資産としての理由は成り立たないのではないかと考えておるのでございます。このことに対しましてはまた各専門家の間におきまして研究いたしました結果、拓銀は当然支拂うべきものであるとの見解が一致しておるのでございます。しかも第一次吉田内閣当時の大蔵大臣でありました石橋湛山氏も、拓銀支拂うべきであるとの意向を漏らしておることを聞いておるわけであります。現にまた拓殖銀行の内部におきましても、同様の意見があると開かされておるのであります。特に私が関心を持ち、また政府当局にも御注意を喚起したいことは、引揚者が非常にこの問題を神経的に取扱いまして、かようなことを申しておるわけであります。これははなはだデリケートな問題であるので、あまり詳しく触れたくはないのでありますが、拓殖銀行関係筋の命令で封鎖したのだ、かようにさえ申しておるわけであります。これら預金者側はまたこのうわさの正否を確かめるために調査したところが、関係筋ではそうした事実はないというわけで、この問題は非常にやかましく取上げまして、私ども預金者から聞くにつけましても、成行きを等閑に付しておれないわけでありまして、特に大蔵大臣にお尋ねするわけでございますから、この眞相もこの機会に明らかにしていただきたいと思うわけであります。大蔵大臣におかれましては、この引揚者の悲痛な叫び、現在置かれております境遇等を察知くださいまして、安心の行けるようにできるだけ詳しく御説明を願いまして、関係預金者納得のできますよう御答弁を願いたい、かように存ずるのであります。
  8. 池田勇人

    池田國務大臣 引揚者の方に対しましては、これが対策につきまして、各方面より深甚の同情のもとに画策研究はいたしておるのでございますが、問題の樺太における北海道拓殖銀行預金は、ある指令によりまして、在外資産として取扱うことになつておるのであります。これは、内務省所管であつたから、満洲、朝鮮とは違うというお話もあるようでございますが、やはり郵便貯金と同様なかつこうで、在外資産として取扱つておるのであります。今後この問題につましても、でき得るだけ引揚者に有利なように考えて極力努力はいたしておりますが、ただいまはつきりどういう措置をするというところまでは行つていないことをまことに遺憾とする次第でございます。なおこの問題につきましては、大蔵次官長沼氏が非常に詳しく存じておりますので、大蔵次官より説明いたさせますから、御了承願います。
  9. 玉置信一

    玉置委員 昨年の九月に、時の北村大蔵大臣に、先ほど申し上げましたように、この預金者大会を開きまして、いろいろ決議をいたし、その決議をもたらして、井川伊平という大会長代表をつれて大蔵大臣にお会いしたときに、井川会長拓殖銀行頭取証明があれば、特別困窮者に対しては、拂出しをさしてもいい、こういうような答弁をされたということになつておるわけですが、この事実に対して次官におかれては、前の大蔵大臣から何かお聞きになつておるかどうか、またこうした措置ができるかどうかをお伺いしたいと思います。
  10. 長沼弘毅

    長沼説明員 大蔵大臣が、あるいはそういうことを申し上げたかも存じませんが、はつきり申し上げますと、それは筋合いから言つても拂うべきものであり、また拂いたいと思つておるという希望的な御意見ではなかつたかと思います。私ども同様に考えておるのでございますから、先ほど大蔵大臣から申し上げました通り、今のところでは、どういたしましても、まだ拂出しを許可されておらぬ状態でございます。その点を御了承願います。
  11. 玉置信一

    玉置委員 これも預金者の言うてはおることでありまして、私多分に疑問は持つておることでありますが、一應預金者の声を代弁して御質問申し上げたいのであります。当時樺太預金総額は一億三千万円から一億五千万円の範囲である。それを帰つて来た引揚者が、一度にこの巨額な金の拂出しを要求することになると、拓銀は取付となつて、運営上に甚大なる支障を来すことになるから、拓銀自体が大蔵省の理財局長に何らかのわたりをつけて、そうして支拂い停止の通牒を出していただくような措置をとつたのである。預金者はかように曲解して騒いでおるわけなのであります。先ほど大臣の御答弁によりますと、関係筋指令である。かように申されておるので、私個人といたしましては、一應納得できるのでありますが、そうした預金者の非常な疑惑のもとに、いろいろと流布されておることに対しましても、これを聞き流しにしておくわけにも参りませんし、この間の眞相を明確にいたして、実際今後の日本側政府としては、何らこれに対して関係をしていないうちに、関係筋から進んで指令をされたのだということが明らかになれば預金者納得するのではないか、かように思いますので、この点を重ねてお伺いしたいと思います。
  12. 長沼弘毅

    長沼説明員 速記をとめてください。
  13. 中山マサ

    中山委員長 ちよつと速記をとめて……。     〔速記中止
  14. 中山マサ

    中山委員長 速記を始めてください。
  15. 玉置信一

    玉置(信)委員 ただいま速記を止めてお話で大体了解できましたが、そうすると政府におかれては、こうした資産封鎖解除に対して努力を今日まで拂われて來られたわけでありますかどうか、その点をひとつ伺いたい。
  16. 長沼弘毅

    長沼説明員 申すまでもございません。ほとんど不断の努力を私ども続けておるというふうに御了解願いたいと思います。
  17. 玉置信一

    玉置(信)委員 経過の大要を了解することはできましたので、なお今後政府におかれましては、こうした多くの引揚者の実情を了とせられまして、一日も速かにこの拓銀樺太支店の拂出し封鎖解除せられるように特段の努力拂わんことを重ねて要望して私の質問を打ち切ります。
  18. 横田甚太郎

    横田委員 議事進行ですが、ソ連からの引揚げをいよいよ、開始するという通知があつた。しかしわれわれ引揚対策委員会で目標にしておりましたシベリアからの四十万と、ソ連発表ソ連から帰す九万五千人はあまりに開きが多過ぎるので、その間の数字にどこへ行つて聞いてもわからない。その点については共産党だけでなく、社会党と言わず、民主党と言わず、民主自由党と言わず、皆がこれをはつきりしたいという氣持を持つておると思う。だから共産党が率先して聞くこともしないが、民自党もあるいは民主党共産党社会党納得の行くまで、政府の責任ある係りの方を呼んで來てもらつてこれについて、聞かしていただきたい。きのうからその手続を要求しておつたのだが、さよう至急にやつてもらいたい。得にお願いしておきたいのは、英憲と言つて、他國でなくなつたといつて白木の箱に木くず布くずを入れて、日本の人民を愚弄した人たちを呼んでいただきたい。その責任者も呼んでいただきたい。なぜかと申しますと、日本の國へ引揚げる形に二つある。一つは生きた形で人間の姿で帰つて來る人と、一つ白木の箱の中に入つて骨となつて帰つて來る。それが木くずとなり、あるいは布くずとなつて帰つて來る。人間木くずやきれくずになるわけはない。だからこれはロシヤで死んだ者か、満州で死んだ者か、あるいは人間木くずになつてしまつたものか、徹底的に各党共通に知りたいと思つておると思う。この委員会民自党議員が多ければ民自党議員に十分に時間をお與えになつてつてもらいたい。共産党もニ名おるのですから、二名の時間をもらい、社会党の人からもらつて、ここで首相はもちろんのこと、援護局長方々全部来てもらつて、この問題を明らかにしたい。これを即刻要求します。
  19. 中山マサ

    中山委員長 今迎えにさつきから行つてもらつておりますから、ちよつとお待ちください。皆様今横田委員よりのお言葉がございましたが、御了承願えると思いますが、いかがでございましようか。—速記をとめてください。
  20. 中山マサ

    中山委員長 それでは速記を始めてください。  本日はこれで散会いたします。     午後六時五分散会