○風早
委員 そういう一わたりのことはわざわざ伺うこともないのでありまして、今日の國鉄
赤字をいかに克服するか、あるいは原因は一体どこにあ
つたのか。これについては、むろん國鉄当局は言うまでもありませんが、國鉄の労働組合においても眞劍に、また國鉄当局とも協力しながら、今日まで非常な
努力を拂
つてこれを究明し、かつその解決をはかろうとして
努力して参
つたと思うのであります。また同時に、これは全
國民経済の問題であり、
國民生活自体に
関係ある問題でありまして、その点から全
國民が非常な注目を拂
つてお
つたところであります。これについては、今も抽象的には一應設備の問題、
人員の問題、特にいろいろな固定施設の荒廃の問題があげられておりますけれ
ども、これらを克服することなくして、ただたけのこでや
つて行く。
國民生活はたけのこである、から、
國家もやはり同様にそれになら
つてたけのこでやるほかはないというような、そういう無定見なことで、ほんとうに國鉄の再建ができるものか。この点については、ま
つたくわれわれは
政府のそのお考えというものに強く疑問を持ち、また反対せざるを得ないのでありまして、ましてやそういうふうなことを
理由にされて、その実その
目的にもま
つたく合致しないような
鉄道財産の
拂下げを考えておられる。これは先ほど阪和のことをちよつと申しましたから阪和の場合で申しましても、もともと
昭和十五年に南海が
合併しました時には三千五百万円、それから十九年の五月に國鉄が買い上げになりました時には六千四百万円、これは今日の時價に直せば莫大なものである。しかし問題はそれから後どのくらい國鉄がこれに金を投じて、つまり投資をいたしましてこれが改善され、黒字になり、そして先ほど申しましたように、まくら木に至るまで、すつかり新装をこらしておる。こういうふうなところにあるのでありまして、そういう國鉄としてりつぱに
経営ができており、黒字にも
なつておるという部分を特に
拂下げ、しかもその
拂下げの
價格基準というものが、時價であるのか帳簿
價格であるのか、この点ははつきりしません。もちろんこれを
拂下げてもらいたいという
讓渡の申請者の側、旧
所有者の方からは、できるだけ帳簿
價格なりあるいは
もつと有利なる値段でも
つて、二束三文に
拂下げてもらうという強い要求があることは言うまでもありません。その間にありまして、
政府がこれに対して眞に國鉄の
赤字という点からだけ見ましても、何もこれに対して追随する必要は毛頭ないと考える。ところが今まで傳わ
つておりますところによりますれば、大体当局はせいぜい三十億円以内と踏んでおるようでありますが、あるいは
もつと安く踏んでおるのではないかと思います。ところが時價は、先ほど田中織之進君も八十億だと言われましたが、これはどんなに少く見積
つても、六十億あるいは七十億はあるものと言われておるのでありますが、こういう点から見まして、
政府がこういう
法案を通じて、今後実際にやられます場合に、はたして國鉄の
赤字を克服するという、少しでもたけのこをや
つて、國鉄の
財政を補うというその
目的に対しても、これははなはだ合
目的的ではないと考える。そういうことは私は実は問題じやない。それは帳簿
價格主義がよいか、あるいは時價主義がよいかということは、それは別にそれを選ぶわけじやないのであります。問題はこういうふうな実際の場合につきまして、とかく
政府が結局はその
拂下げしてもらう私的
経営者の利益を中心にして問題を解決しておりはしないか、その点にあるのでありまして、今回はそれを時價主義でなくて、できるだけ帳簿
價格に近いところでさや寄せして、それでも
つてこの
價格をきめようというようなことがありありと出ているわけです。またそれがあるからこそ業者の私的
経営者の方では何でもかんでも
拂下げてもらいたいということに
なつて來ている。それをいやしくも
政府として受取る必要はないのみならず、またこれは
民自党の決定であるそうでありますけれ
ども、
民自党としてもこれを承認される必要はないのみならず、それを承認されるということは、國鉄というものを
國家の
経営、言いかえれば
國民から重税を取上げて、これによ
つてまかなわれているところの
経営というものに対して、非常な重大な問題を起すことになるということを考えなければならぬと思います。そういう
意味で、私は
運輸大臣が、この今後の
法案に関連して、実際問題としてその個々の
拂下げ價格というようなことについて、どれだけの方針と
確信をも
つておられるか、これをはつきり伺
つておきたいと思います。これはただちに事実に
なつて今現われて來ることでありますから、今日の
運輸大臣のお
言葉とその後の実情とを照し合わせ、あらためてまたこれを
議題に上せたいと考えるのでありまして、この点についての確たる方針をお伺いしたいと考えます。