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岡田説明員
機帆船につきましてただいま關谷
委員からいろいろ御
質問がありましたが、まことに關谷
委員の率直なお言葉の
通りの考えを、
機帆船業者及び
関係業者が持
つておられるものであるということを、私ども痛感するのでございます。ただいま冒頭に、そういう重要な問題であるにかかわらず、
運輸省の役人連中が投げてしま
つておるんじやないか、こういうお言葉がありましたが、私どもは決してそういうことはございません。私自身の気持から申しますと、むしろ
機帆船に対して、もつともつと
運輸省の海運行政というものが力をいたさなければならぬ、こういう気持を持
つておるのであります。ことに
機帆船が日本の海運行政の上に登場して来まして以来、常に接触を保
つて、
機帆船の活動を懇請して来た私個人といたしまして、あの
戰争中に非常な負担をかけ、活躍を願
つた機帆船が、今日のような悲惨な運命に陷
つていることは、まことに見るにたえない実情にあるのでございます。しかしこの目前にあるような、まことに申訳ない事態にな
つておるのでございますが、これに対しましては、私どもといたしましては、できるだけの方法を盡したい、かように考えております。必要なデーターは、幾日も徹夜いたしまして、データーをつく
つて関係方面に
説明をいたしますとともに、次官、
大臣もこの問題について足を運び、また
国会の皆様方にもお骨折り願うというふうに、あらゆる努力を傾倒いたしておるのでありますが、いまだに
関係方面の十分なる
了解を得られないのでございます。この
関係方面の
意見と申しますのは、すでに御
承知と思いますが、
機帆船の油はアメリカの援助物資である。この援助物資を使
つて、しかも
機帆船のコストは非常に高い。一方において日本の汽船が非常に多く遊んでおる。しかもそれらは日本でできる石炭を使うのである。こういう汽船が遊んでお
つて、非常に高い、しかもアメリカの援助にたよらなければならない
機帆船を使うというのはおかしいじやないか。ことに日本の海運を復興するためには、この遊んでおる汽船の船腹を、全面的に活用するということがまず第一なんだ。その汽船の船腹を活用する
措置をも講じないで、今言う
機帆船を使うということは、海運の復興に対する日本の
政府当局並びに国民の心理を疑うものである。
関係方面においては、こういう不合理なことは許すことができない。
従つて機帆船の油を切
つて、一方において汽船を全面的に活用する
措置をとるのだ、こういう主張を一貫して続けられておるのであります。私どもはもちろん毎日のように足を運びますし、運輸次官も再々足を運び、
大臣も運び、また安本からも安本長官名をも
つて、マーカツト経済科学
局長に油の割当を懇請するということを講じております。今に至
つてその態度はかわりないのでございます。これはどうも私ども
事務当局としては、事態の推移を待つよりしかたがないのじやないか。今まで私どもは、こういう不合理な方法をとる場合には、必ず輸送に支障が来る。
機帆船のみしか入り得ない九州、山口の炭鉱
地方の港に対して、汽船による集積輸送をする、こういうような不合理な方法をとります場合には、必ずや石炭輸送に混乱が来る。かように考え、それを主張して来てお
つたのであります。しかしながら現在までは、何と言いまするか、石炭の需要があまり芳ばしくない、あるいは生産が減
つているというふうなことからいたしまして、輸送の面においては、いささかの混乱も生じていないのであります。
従つて関係方面では、何ら間違いなく、スムースに行
つているじやないか、こういう確信を持
つておるようであります。しかしこれはこの春以降の日本の経済界の特殊の現象、特にそれが石炭の消費の面に現われた特殊の現象である。これは冬場になると、必ずや輸送の混乱が起る。さらに配炭公団という
政府機関があ
つて、運賃コストの高低にかかわらず、そういう政策を実行しようと思えばなし得る、
政府が、国の負担においてなし得る配炭公団という組織があればこそ、実行し得る。この配炭公団が廃止に
なつた場合には、必ずや輸送を利用するものが、最も便利な機関にたよるであろう。そうした場合には、必ずや輸送の混乱、停滯が起
つて来るのではないか、そうした場合に、
関係方面においても、事態がどういうものであるかということをはつきりと認識せられて、この油の割当に対する考え方もかわ
つて来るであろう。かように考えておるのであります。今までいろいろなデーターを持ち、いろいろな手を通じて懇請をしておるのでございますが、それがいまだ現実、目の前に事実として現われていない、そういうことが、
関係方面の考えをかえるに至
つていない、最も大きな理由であると思うのであります。ところが配炭公団もこの十六日以降廃止になりまするし、必ずやただいま申しました、現在のような不合理な輸送方法が、石炭の輸送のに如実に現われて来るであろう、かように私ども考えるのであります。そのときが、この
機帆船の油に対して、さらに強く懇請すべき時期であると考えておるのであります。
従つてお話のように、われわれがこれを投げてしま
つておる、あるいは
戰争中の機関であるがために、そうなるのが当然であるというようなことは、みじんも考えていない次第でございまして、ことに中央
機帆船は
戰争中の機関であ
つて、こういうものが残るのがおかしいということは、
関係方面で言
つておられる言葉でありますが、しかしその船腹の内容を見ますると、
戰争中につくられました戰時標準型のものは、わずかに八万程度でありまして、しかも
戰争中に、そういう戰時標準型以外の船が一隻もつくられなか
つたという事実を考えますと、決してこの中央
機帆船が、
戰争中の遺物であるということは、言い得ないのであります。それは私ども十分
承知をし、そう
関係方面に言
つておるのでございまして、私ども自身が、
戰争中の遺物であるがために、これがこういう事態に陷るのは当然であるというふうに考えておることは、絶対にないのでありまして、この点一応釈明申し上げる次第でございます。
なお
お話に、安本と
運輸省の
連絡について、欠けるところがないかということがございましたが、この点は私ども、いささかも欠けるところがない、かように考えておるのでございます。安本におきまして、この
機帆船の燃料その他海運の
事項を担当いたしておりまする者は、もともと私どもと一緒に、こういう
仕事をいたしていた方でございまして、その点におきましては何ら間然するところなく、
関係方面への懇請につきましても、いろいろ両省で打合せて実行いたしておるのでございまして、その点におきましては御心配の点はないと考えます。
次にこの問題に関連いたしまして、吉田首相を煩わす
お話がありましたが、これにつきましては、私どもも今まで
関係方面と交渉をいたしました経過並びに結果からいたしまして、
事務当局の力では、ただいま申しました事態の変化という以外を除きましては、とうていこれ以上いくら押しても、事態の改善、先方の考えをひるがえすことについては効果は期し得ない。ことに私どもの
関係しておりまする直接の
当局は、これはわれわれだけの部門の問題ではないということまで、言
つておられますので、あるいはもつと大きなところで、政治的に解決願うべき問題であろう、かように考えておるのでございますが、幸いにして吉田総理の方におかれましても、この問題を非常に御心配にな
つておるということを聞いておるのでありまして、吉田首相の御配慮を願うことができれば、非常に仕合せであると考えておるのであります。先ほど
お話の中に、首相の側近の方がこれを拒否しておるのではないかということがありましたが、私どもといたしましては、そういうことは毛頭ないと考えておるのでありまして、むしろ吉田首相はそういう点を非常に心配せられておる。ただこれを持ち出す場合にも、時機というものがあると思うのであります。これはわれわれが交渉した経過、また皆様方にいろいろお骨折りを願
つたところから、御推断願えると思うのでありますが、一国の最高の方が交渉されますには、
一つのやはりチヤンスなり、時機を見てなさる必要があると考えるのでありまして、おそらくそういう時機を見ておられるのではないかと推定するのであります。私どもとしては、こういうふうに大きく政治問題として扱われて来ておる問題でありますので、大きく政治的に御解決を願えれば、仕合せであると考えております。
なお油の割当方法の問題でございますが、お説のように私どもの
事務当局案といたしましては、中央
機帆船と地区
機帆船の区別を撤廃して、一本にしたいという考えを持
つております。これは御
承知の
通り、地区
機帆船の油は従来に比してそう減
つてはおりません。一番ひどい目にあ
つておりますのは中央
機帆船でありまして、一番たくさんもら
つておりました十二月ごろには、月に約七千二百キロ、それが現在では千キロに減
つておるわけであります。ことに中央
機帆船の中でひどいのは、九州、山口間の輸送に従事しておりました三千数百隻の
機帆船であります。これは油もなく、荷物もなく、まことに悲惨な状態にあるわけであります。しかし私どもは、こういう船が地区
機帆船にただちに流入いたします場合には、ただいま
お話のありましたように、地区
機帆船に非常なる影響を與えるであろう、しばらく経過を見ようというので、見てお
つたのであります。これがすでに七月以降三箇月に相なるのでありまするが、いまだに油の見通しが好転しない、このままで行きますると、まことに気の毒な状態になる。一般中央
機帆船は、このままに置きましても、自然に地区
機帆船にもぐり込むものもあるという
状況に照しまして、早く方針として、中央と
地方と一本にした方がいいじやないかという考えを持
つております。ことにそういう油の見通しが惡くな
つて、すぐにやりますると、先ほど
お話の出ましたように、中央がいつまでも庇護されて、今まで惡か
つた地区の
機帆船が非常にひどい目に合うというのでは困るので、ここに約三箇月の猶予を置いたのでありますが、でき得れば、われわれ
事務当局の考えとしては、十月ごろから、これを地区の方に入れたいという考えを持
つております。しかしこれは
事務当局の考えでございまして、これが地区
機帆船に非常なる影響を及ぼし、
一つの大きな問題と相なりまする場合には、また考慮をいたさなければならないかと思いますが、一応の案としてはそういう案を持
つております。まだ次官、
大臣には十分
了解を得ておらない方法でありますが、
お話がありましたので、一応ごひろう申し上げる次第でございます。
その場合に油の割当の基準をどうするかという
お話でございましたが、従来は地区
機帆船に対する油の割当は、大体その地区における輸送の実績を基準といたしまして、それを約五〇%見ております。それからその地区に属しておりまする船の馬力数、これを約三〇%、それから現実にその月に運ぶ
計画に載
つておる荷物の量、これを二〇%見ております。実績と船腹と輸送要請、この三者をかみ合して見ておるのでありますが、これを今後におきましては、一応稼働の馬力当りで割当ててはどうかという考えを持
つておるのであります。しかしこういうふうに
変更いたしますると、相当
地方におきましては、従来もら
つてお
つた油の量と変動を来しまするので、この変動に対しましては、あまり影響を與えないように、適当なる調整を加えるという考えでおります。これはまだいろいろ問題が残
つておる点がありまして、これもまだ一応
事務当局の案であるというふうに御了承を願いたいと思います。なお代用燃料に関する
措置でございまするが、私どもは今申しまするように、この油の見通しが絶対だめであるというふうには、考えていないのでありまして、配炭公団が廃止になり、また冬場の輸送についての特殊の事態が出ますときには、必ずや
機帆船を使わなければならない、そういうときに
関係方面の認識が改まるであろう。それからまた、いろいろ考えられております政治的な
措置という点からも、問題がほぐれて来るのじやなかろうか、こういう期待を持
つているのであります。
代用燃料をどういうふうに使うか、あるいはそれを使うように業者に勧めるかということにつきましては、まだはつきりとした方針を持
つておりません。これは私ども
戰争中から、こういう方面に携わ
つて来ているのでありますが、代用燃料とか、いろいろな事態に即して特別の手を打
つた場合に、その方策が永続いたしますならばけつこうですが、すぐ後にそういうものが必要でなくなるという事態が、とかく起りがちでございます。従いましてそういう特別の方法を進め、それに対し非常な経費をかけるというような方策を進めます場合には、十分事態を見きわめるとともに、よく
研究した後でないと、進め得ないものであると考えているのであります。
従つて、代用燃料につきましては、私どもの方といたしましては、まだはつきりした方針をとらずに、もう少し事態の推移を見たい、かように考えている次第でございます。