○松本(一)
委員 先ほど
佐々木君からたびたび
提案者に対する御
質問で、そのうちに
民自党という言葉がしばしば使われております。
提案者が
民主自由党所属の五人の議員であることは、御承知の
通りであります。この中に
社会党が一人入
つておるとよくわかりますが、
民自党ばかりですから、わかりにくく
なつたのかと思います。それというのは
前田委員の御
答弁にも、役員会あるいは党議でこれは決定して、この案が
提案されたものであるという午前中の御
答弁でありました。しかしながら私
どもの方の役員会並びに党議では、戰時中買收したかような
鉄道を
拂下げて、そうして
國鉄全体の
赤字を補填をして行くというようなことの原則的なことの相談は、しばしば行われ、決定いたしております。しかしながらこれをその当時賣り渡した人、すなわち縁故特賣という点に限定するやいなやというような問題とか、または本
法案八條のいわゆる
國有財産法の第三十
一條の法規を
適用するかどうかという問題とか、今も御
質問があつたような地方秘を免除するというような二十
二條、こういうようなこまかい問題については、実は協議はなかつたのであります。ゆえに本
法案提出の詳しいことは、
提案者に御
説明を願わなければならぬのでありますが、この点だけは党と本
法案との関係を御承知おき願いたい。これは廣く
國民の注視いたしておる問題だけに、
民主自由党所属の私として申したのであります。次いで
佐々木君の御
質問に
前田君は、
民主自由党は
國営事業を徐々に民営に移すという根本的なイデオロギーの問題を
答弁されておる。しかも一月の過般の総選挙に、
民主自由党所属議員は、有権者心これを訴えて、当選して來ておるというような御
答弁であつたのでありますが、これとても
前田君のお
考えである。これが吉田総裁、総理
大臣の御
答弁であれば、われわれその
責任をとらなければならない。鹿児島においてはそうであつたかもしれませんけれ
ども、その他においてはそうではない。事きわめて重大でありますから、どうぞこの点誤解のないようにお願いしたい。これは後ほど政務次官が
答弁をかえて、いたされておりますから、
はつきりいたしております。非常に重大な問題でありまして、
國鉄全体の將來にかかわる問題のみならず、数十万の従業員、八千万の
國民の大問題である。この長い歴史、
國有事業として発達して來たわが國の
國鉄、これが微々だる島國のちよんまげの日本が、明治、大正、
昭和の七、八十年の間に、世界三大強國の
一つ、六百万トンの船舶團を持つ日本にまで躍進して來たのには、この
國鉄の非常な力がそこにあつたことを、私
どもは見のがすことができない。これが民営事業でなかつた。
國営事業であつたということをよく承知しなければなりませんので、四等國になり下つた日本
國民が、いま一度平和
國家として、
國民生活のレベルを高めて、平和に、幸福に八千万民族が生活して行かんとするならば、この事業を國管で行くべきか、あるいはアメリカのごとく民営に移すべきかということは、大問題でありまして、ある筋の指令書の中にも、
國有鉄道を
拂下げる場合には、
國民投票にすべし、但し戰時中必要があ
つて買收したものを、この際必要がなく
なつたから
拂下げる場合においては、これは別である。こういう指令書も私は見たのであります。でありますから、これだけを
拂下げられたからとて、今後の
國有鉄道、
國営事業に、今
前田君の
お話になるようなことは、万々なかろうと思うのみならず、
民主自由党の政策にもいずこにもない。重要産業
國有國営、これは
社会党の政策である。重要産業は民有民営でやると
言つてはいない。それは
國有事業としてすでにや
つておるものをさすのではなくて、民有民営でや
つておる重要産業を民有にしておくか、
國営に移すかという問題である。また自由資本主義、こういう
從來の古い
考え方を持つ者は、
民自党の代議士の中にも、おそらくこれは少数だと思います。新憲法のもとに、
國家機構は御承知の
通り周度化しております。資本家もよし、労働者もよし、労資一体、協力一致、和をも
つて尊しとなす、この根本精神で行かなければ、今後の平和
國家日本はおそらく再建できぬ。西と東に世界はわかれておる。中華民國御承知の実情であります。この際私
どもはつとめてこういう
考え方のもとに、國の事業を処置して行かなければならぬのじやないか。そこで本
法案の戰時中買收したものを、今その縁故に
拂下げることについて、この
法案の
八條といい、あるいは二十
二條といい、いろいろな面からながめてみて、あまりに縁故特質の色彩が濃厚でありはしないかという点が、おそらく問題だと思います。これは見方によ
つて違いますけれ
ども、大体戰時中犠牲を拂
つてそうして買收したものである。これは
前田君の、御
答弁にある
通り、その必要がなく
なつたからこれだけは
拂下げてはどうだろうというのも一方の見方でありまして、これはおそらく多数の共鳴者もあろうと思います。ただ問題は
價格の問題であります。またこれを賣卸することによ
つて、
運輸省の
國鉄事業全体に、どれだけのいわゆる補いがつくかどうかということでありますが、そこでいわゆる
公共の利益というその上の書き方であります。片方
公共の利益ということが、上に
はつきり書かれておりますが、その下には、いわゆる旧
会社、あるいは縁故のある
会社、これはもうすでに旧
会社、縁故りある
会社は特定のものであります。その先の
公共の事業という書き方は、抽象的であ
つて特定ではありません。その点を
佐々木君も御
質問なされたものと思います。私もこれは
提案者に
お尋ねしたいと思いますが、すなわち一方では特定の、いわゆる
拂下げ先は人を指定しておるのにかかわらず、片方の
公共の利益という点においては、具体的に何ものも指示されておらぬ。ここに大きな疑惑を生ずると思いますので、いま一度
提案者である
前田さんの御
説明を伺
つておきたい。かように
考えるのであります。
それともう
一つお尋ねしたいのは、民有民営にこれを移しますと、今後
公共の利益のために、やはりこの電鉄なり私鉄は、できることなら永遠に連行されて行かなければならぬ、またできることなら、もう少し設備もよくし、サービスもよくして、地方住民の福利民稿をはか
つていただかなければならぬと思うのであります。但し民有民営に移したその特称は、これを第三國に賣却されようと、いずれの國に
処分されようと、自由であることは御承知の
通りと思います。そのときにいわゆる共産党のいわれる民族資本を賣るものというような声が出て來るのでありますが、決して
民自党には、民族資本を賣るなどということを、ゆめにも
考えておる人は一人もありません。私
どもは園長資本主義というものを常に
考えておるのでありますが、個人の資本に移りましても、それが
公共的性質を持ち得る事業であります。すなわち電鉄、私鉄のごときも、ところによ
つては敷地を提供されたところもありましよう、あるいは駅舎を提供されたところもあります。私も今の近鉄敷設に関係しておつた者でありますが、その当時地元の犠牲をお願いして、提供を受けております。そういう関係において
考えたときに、個人の持株にこれが
なつた場合、それがもし第三者に賣られる。しかも行く先が遠方であるということは、か
つて一等國の当時の日本ならば、ゆめありますまい。但し敗戰國として、往々にして誤つた
考え方の外資導入などを言わんとする者があるとき、そういうことが実は危險でありますので、この
拂下げを受けた
会社は、その持株を少くとも十年ぐらいは轉賣まかりならぬ、その
会社は
責任を持
つて――そうしてこの
法案の中にも、從業員に対して相当心づかいの法文があります。これはけつこうと思います。それで経営に当
つていただかなければならぬと思いますが、こういうような
考え方でお
考えにな
つて、この
法案は御作成、御
提出願つたものかどうかということを、
提案者に
お尋ねいたしたいと思うのであります。また先ほどの高騰さんと同じことでありまして、地方税の問題とか、あるいは五箇年計画、この問題について私も意見がありますが、一應
質問も大方盡きておりますから、私はおもな点三つばかり
お尋ねをいたしまして、そうして修正意見については相当持ち合せておりますが、これはまた後ほど協議会のとき申し上げたいと思います。とりあえず
お尋ねをいたします。