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1949-05-19 第5回国会 衆議院 運輸委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年五月十九日(木曜日)     午前十一時二十七分開議  出席委員    委員長 稻田 直道君   理事 大澤嘉平治君 理事 岡村利右衞門君    理事 關谷 勝利君 理事 前田  郁君    理事 松本 一郎君 理事 佐々木更三君    理事 田中 亮平君 理事 橘  直治君    理事 飯田 義茂君       岡田 五郎君    尾崎 末吉君       小西 寅松君    天野 公義君       高橋 定一君    米窪  滿君       柄澤登志子君  出席政府委員         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君  委員外出席者         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ————————————— 五月十八日  能野線押下反対請願早川崇紹介)(第一  六七三号)  永山村地先停車場設置請願河口陽一君紹  介)(第一六七七号)  伊搬上灘、下灘両駅間に簡易停車場設置請願  (大西弘君外七名紹介)(第一六八八号)  人古駅からの三路線に関営自動車運輸開始の請  願(福永一臣紹介)(第一六八九号)  仙台、酒田間直通列車運輸及び列車肝発請願  (志田義信紹介)(第一七〇三号)  仁方、堀江間航路存続及び運航改善に関する請  願外一件(宮原幸三郎紹介)(第一七〇四  号)  嬉野線を武雄町外四箇村に拂下に関する請願(  北川定務君外一名紹介)(第一七〇五号)  防長線拂下反対の請願田中堯平君外一名紹  介)(第一七〇六号)  日振隧道工事継続請願篠田弘作紹介)(  第一七二八号)  室蘭港の悼頭倉庫増設請願篠田弘作君紹  介)(第一七四五号)  室蘭悼頭工事促進請願篠田弘作紹介)  (第一七四七号)  室蘭港を中心とする内地定期航路設定請願(  篠田弘作紹介)(第一七四八号)  三陸鉄道敷設促進請願外一件(内海安吉君紹  介)(第一七四九号)  国営自動車掘下反対請願床次徳二紹介)  (第一七五一号)  若松港を第一種重要港湾に納入の請願中島茂  喜君紹介)(第一七五五号)  宮田港線堀下反対請願柄澤登志子君外一名  紹介)(第一七八五号)  奥能登線及び金福線拂下反対の請願柄澤登志  子君外一名紹介)(第一七八八号)  片山津保健指導所掘下反対請願柄澤登志子  君外一名紹介)(第一七八九号)  高速線堀下反対請願(会村忠助君紹介)(第  一八二四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  海上運送法案内閣提出第二一一号)     —————————————
  2. 岡村利右衞門

    ○岡村委員長代理 これより会議を開きます。  海上運送法案を議題といたします。質疑のある方は発言を許します。
  3. 關谷勝利

    關谷委員 昨日も私申し上げたのでありますが、この鋼船定期交通船と、機帆船の定期交通船を同じ扱いにするということにつきまして、非常な矛盾があるのであります。これから行きますと、定期航路開設を申請する場合に、地方の小さい島と陸地との連絡をやるものが申請をいたしましても、運輸審議会を開かなければならね。そうして運輸審議会意見を聞いていろいろきめなければならぬ。なお運輸審議会においては、小聴会を開けるということになつて利害関係人意見を聞いてその上で決定するという、非常に煩椎なことになつておるのでありますが、このトン数制限を設けまして、そうして何トン以下のものは、適宜出先機関において、簡単なる許可の方法ができるというような項目を設けたならば、非常にこの運営がやりやすくなるりではないか。こういうふうに考えられるのでありますが、これに対する御意見を伺いたいと思います。
  4. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 法律の表面では、地方の小さい定期航路も、すべて運輸審議会にかけなけれにならないようになつておるのでありますが、実際の行政措置といたしましては、地方におけるただいまお話のごとき小さい航路につきましては、あらかじめ運輸審議会におきまして、審議会に対する諮問審議を省略するという決定をしておいていただく、そういたしまして、運輸臣はその権限を内部委任によりまして地方海運局長に委任して、海運局長の手で措置するようにいたしたい。さよう考えておるのでありまして、ただいま御質問にありまするような、法律によつて非常に煩雑なる手続を踏まなければならぬという煩を、避けるようにいたしたいと考えておる次第であります。
  5. 關谷勝利

    關谷委員 定期航路事業に対して、補助金を交付ることができることになつてるりでありまするが、二十四年度補助額かどのようになつておるのか、そうしてその補助額で十分な補助ができるかどうかということを、お尋ねいたしたい。
  6. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいままで定期抗路に対する補助につきましては、離島に対する航路補助は、二十三年度におきましては、約百二十万円程度であつたのであります。ところが現在の諸物便高騰、あるいは燃料の高騰によりまして、離島航路におきまする各経営者は、非常に苦しい状況にありまして、離島航路と本土との交通維持という点が、現在のままでは非常に困難である、さよう考えまして相当多額の補助を要求したのでございますが諸般事情でこれが解除になりまして、本年度予算におきましては、目下のところゼロということに相なつおります。しかしこの法律の中に規定しておりますように、必要な場合は政府補助ることを得ということによりまして、本年度なお機械がありま政府補助することを得ということによりまして、本年度のお機会がありますれば、離島航路に対する補助の復活をぜひとも実現するように努力いたしたい。かよう考えております。
  7. 關谷勝利

    關谷委員 その必要額を、大体どのくらいに見ておられるのでありますか。
  8. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 一應私どもとして考えた額は約三千万円でございます。この程度の額は、最小限現在の離島航路維持し、離党民の民生の安定をはかるために、ぜひとも必要である。かよう考えておるのでありますが、先ほど申し上げたように、諸般事情で実現を見るに至らない次第でございます。
  9. 關谷勝利

    關谷委員 第十三条にありまする第二項でありますが、「定期航路事業者は、旅客及び手荷物運送をする場合において、特定利用者に対し、不当な差別的取扱をしてはならない。」こういうことになつておりますが、この不当なという意味がどのようになりますのか。大体事業者は絶えず大口に利用する者に対しては、特別な割引というようなことをやりますし、特別ないろいろ契約を結ぶようなことが、今までの慣例でことごとく行われておるのでありますが、それがこれには「不当な差別的取扱をしてはならない。」というようなことになつております。この「不当」ということの限界がどの程度になりますのか、御説明を願いたいと思います。
  10. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいまお話のありましたよう大口利用者、あるいは旅客といいますと団体的旅客、こういうものに対する優先的な取扱いをするということは、不当な差別的取扱いというふうには考えておりません。ここで「不当」と申しておりますのは、同じ三等の料金をとつて、しかも三等席に相当に余席があるのに通常の部屋に入れないで、ひどい貸物を入れるよう部屋に入れる。あるいはデツキに乗せるというような、だれの目で見ましても、一般の観念からいたしまして、すことにひどい扱いをするというようなことを、防止するのでございます。
  11. 關谷勝利

    關谷委員 この第二十八条、ここに一、二、とありますが、「荷物当路協定等に参加してい船舶運航事業者にその荷物運送をさせたことを理由として、当該荷主に対し、その荷物運送を拒絶し、制限し、その他差別的取扱をすること。」ができないとうふうなことになつておるのであります。これは機途担当者というふうなことで組合をつくつております場合に、その船が平等に回航する。一箇月にことごとくの船が三航海なら三航海やるということで、すベて均霑して荷物を各船が運んで、そして船主経済維持して行く。こういうことになつておるのでありますが、こいうことも決定しておきますと、特定荷主が、ある特定の船だけを利用いたしまして、そうして現在のようにその荷物を積みまして、それが重要物資であつ、た場合には、必ず油を渡さなければならぬということになりますと、一ぱいの船だけが——一箇月に何十回ということもございませんが、数回の航海をする、何回も航海をして、ほかのものが全部遊んでおらなければならぬというよう事態が起るのであります。こういうふうな條項を削除してはどうかと思われるのでありますが、御意見を承りたいと思います。
  12. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 この條項は、ただいまお話のありました事柄と多少違いまして、とえば地区機航船業者が、一つのこういう協定をこしらえて、その地区機航船業者に必ず積むという契約荷主としているにかかわらず、その荷主がほかの地区海運業者の船に積んだ。そういう場合に、今後その地区の船はその荷主の貸物を一切受付けない。こういうふうな場合に、この條項がかかるのでありまして、いわゆる船舶運航業者が、そういう協定によつて、その協定団体的な力を利用して、不当に荷主を圧迫するということのないように、考慮しておる次第であります。
  13. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしますと、荷主はかつての行動ができるが、船舶業者の方は、荷主に対して何もものが言えない、荷主の横暴にまかす。こういうことになるというのですか。
  14. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 そういう場合、たとえばその荷主海運業者団体とが、一つの長期の荷送りの契約をするという場合に、あらかじめ一定運賃率に対して割引を設ける。こういうことは、この二十八條規定で許されるわけであります。そういうことによつて荷主側吸引策を講じ得るわけでありまして、現在におきましては、そういうことすら、独占禁止法で絶対禁止されておるのであります。それを二十八條によりまして緩和するわけでございます。但しこの二十八條の一項、二項、三項にありますように、比率の割もどしをする、そういうことは禁止されております。あらかじめ公の割引率をもつて荷主と協約するということは、これでもつて協和されておるのであります。
  15. 關谷勝利

    關谷委員 第四十三條でありますが、「この法律規定は、左に掲げる船舶のみをもつて営む会場運送事業には、適用しない。」とありまして、総トン数五トン未満船舶とありますが、現在近距離の定期交通船事業者が非常に不満を持つておリますのは、総トン数五トン未満のものには適用しないというので、五トン未満の小さい船をもつて客を輸送しておるというような事例が、非常に多いのであつて、そうして、適用を受ける業者が非常に迷惑をこうむつておる、こういうふうな事態が多いのでありますが、この総トン数五トン未満交通船代用として絶えずやつておるようなものに対して、取締り法規があるのか、ないのか。
  16. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 総トン数五トン未満の船につきまして、本法を適用いたしますことは、非常に煩雑でもありまするので除外したりでございまして、これに対する取締り法規として何ら現在においてはないのでございまするが、必要がありますれば、府懸條例をもつてこれに対する取締りがなし得るかと考えておるのでんあります。
  17. 關谷勝利

    關谷委員 何でありますが、現在愛媛懸あたり島清等連絡におきまして、五トン未満の船が非常に利用されておる事実があるのでありまして、交通船業者から、厳重にこれを取扱つてもらいたいというふうなことが出ておりますので、その点、各懸でそういう條例制定ることができるということになつておるのでありましたならば、各懸へその通牒を出していただくようにお願いいたしたいと思います。  次にもつぱら湖、あるい沼、河川においてやりまする船であります。この場合には、総トン数二十トン未満船舶には、これを適用しないというようなことになつておるのでありまするが、危険少い湖沼あたりの方がトン数が大きいのであつて危険率の多い海の方が五トンというトン数少い制限は、これはむしろ逆ではないかと考えられますが、これに対するお考えはどうですか。
  18. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 湖沼もしくは河川の場合は、第部分が一つの府懸内において行われるのであります。従いまして、そういう場合には、できるだけ府懸の方の先ほど申しました條例等に依存したい。たとい二十トン未満でありましても、一般海上におきましては、これが数府懸にまたがることも多いのでございまして、そういう場合には運輸省の方で直接監督するようにいたします。そういう趣旨からいたしまして、こうした次第であります。先ほど關谷委員からお話のありました府縣における取締りにつきましては、これにはこの法律施行と同時に、各府縣とも密接なる連絡をとりまして、中央における行政と、各府縣における行政との踏行状態を来すことのないように、十分注意いたしたいと思います。
  19. 關谷勝利

    關谷委員 四十一條でありますが、「船舶協会の定める船級登録を受けることができる船舶を建造することを勧告することができる。」とあります。外國船級登録を受け得る程度船舶が、現在日本にどのくらいありますか。
  20. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 現在日本の保有しておりまする船舶は、まことに貧弱なる状況にありまして、ほんとう外國船級協会検査を受けて合格し得るものは、十ぱい近くではないかと考えるのでございます。これも戦争前にその検査を受けたままでありまして、現在まで放置されて来ておるのであります。はたしてそのまま合格するかどうかは、非常に疑問があるわけでございます。今後日本海運が外洋に出ますためには、どうしても外國船級を持たなければ、正常なる海外貿易の輸送に徒専できないわけでありまして、今後つくります船は、ぜひとも外國船級協会のクラスのつけ得るものをつけるようにいたしたい、かよう考えるのでございます。本篠もその趣旨をこの法律の中に織り込んだ次第でございます。
  21. 關谷勝利

    關谷委員 次に第四條の七の中のハでありますが、「当該事業を常もうとす者法人である場合において、その法人役員がイ又はロに掲げる事由に該当すること。」とあります。これは役員がたくさんおりましても、そのうちの一人が、そういうふうなことがあつてもやれないという意味に解釈するのでありますかどうか。
  22. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 お説の通りでございまして、役員のうちの一人でもイ、ロに掲けるような事項がありますれば、できないよう考えております。
  23. 關谷勝利

    關谷委員 失格事由の場合には——ほかの場合は「その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年」となつておりまして、檢数人限つてはこれが一年になつておるのであります。他のものよりは檢数というふうなことはすベて責任のあるわけでありますが、これは一年とし、その他をことごとく二年というふうなことにした理由をお聞かせ願いたいと思います。
  24. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 檢数人の場合におきましては、これの登録の取消しが、その者に対する職業を取上げるということにも相なります点と、また事案が定期航略の場合におきまして、必ずしも同様に考える必要はない、むしろ本人個人のことでもありますので、一年というふうに区別をつけた次第でございます。
  25. 松本一郎

    松本(一)委員 ちよつと局長にお尋ねいたしますが、本法三十二條に「その職員」ということが第一行目にあります。その職員というのは運輸省職員をさすのか、何をさすのか。
  26. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 運輸省のこれに関係のある行政に携わつておる職員というよう考えます。
  27. 松本一郎

    松本(一)委員 そうしますと、本法施行の結果、運輸省職員は、新しくまたふえるのではないかと思いますが、いかかでありますか。
  28. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 これの施行の結果、運輸省仕事が多少ふえますので、それに関する人間も多少ふやさなければならないかと存じますが、特に二十二條のためにふやすというわけではないのでありまして、この法律全体の円滑なる施行をはかりますために、多少の人間の増加が必要かと思います。
  29. 松本一郎

    松本(一)委員 それではどの程度の人数がふえるのか、それに伴つてどの程度予算を必要とするのか、一應承つておきたいと思います。
  30. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 その増員の数、それに対する経費等につきましては、先般成立いたしました予算のときにに間に合いませんでしたので、今のところ、まだ十分案を得ておらない次第であります。できれば次の会のときに、一應必要なる人員等、整備した案を提案いたしたい、かよう考えております。それが新たなる予算追加になりますか、あるいはその他の適当なる方法によつて、これに要する人間を差繰ることにいたしますか、なおこれから十分研究をするつもりであります。
  31. 松本一郎

    松本(一)委員 御答弁で大体わかりましたが、それでは人員をどれだけ必要とするのか、かつ予算を伴う点がどの程度の額になるのか、まだきまつておらないというお話ですが、今審議されておる定員法にはこれが入つておらないということになると、いずれこれは予算を必要とするのでありますから、本法施行されるとすれば、政府はこの次の臨時國会においてでも要請されるお考えであるかどうか、承つておきたいと思います。
  32. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいま申し上げました通り、現在の定員の中で差繰つてこの仕事をやるか。あるいは追加予算で次の臨時國会に要求するか、なお検討いたしたいと考えておるのであります。
  33. 松本一郎

    松本(一)委員 それから「帳簿書類その他物件に関し検査させ、又は質問をさせることができる。」こういうことになつておりますが、この檢査制度を実施いたしますと、あるいは往々にしてこれまでの統制を強化し、それに従つてすべての取締りを厳重にし、ときにはそれが行き過ぎになつて、かえつて自由なる事業発達を阻害する——統制をつとめてできる限り大幅に緩和して、産業の復興、民意の自由なる伸張を期したらどうかということが言われておることに、当局も御承知の通りであります。ところが、その考え方と本法施行とは、正反対の結果をもたらすのではないかと私は思います。たとえばその身分を示す復興を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示せよというのは、これは一種海上警察制度ような形に、実際問題としては陷るのではないか。実は私はこれを非常に心配するのですが、この点について、局長の御意見を何つておきたいと思います。
  34. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 第二十二條検査制度でございますが、これは必要やむを得ないときにのみ、検査施行するようにいたしたいと考えておるのでありまして、申し上げるまでもなく、定期航路一般公衆の生活安定という点に非常に密接なるつながりを持つておりますので、その一般民衆生活安定擁護等のために、定期航路事業の内容を十分観察する必要があり、あるいはまた他面に、定期航路維持が非情に困難であつて政府がそれに対して一定助成をやつておる、あるいはやらなければならぬ、そういう場合に、はたしてほんとうにその助成の必要があるかどうかということを、深くつつ込んで調査をする必要があります、場合等においてのみ、この條項による検査をいたしたいと考えておるのでありまして、お説の通りに、海上警察官というような種類のものに随することは、私どもとしても非常にいやな点でございますし、またそういうことのないように、十分注意いたす考えでございます。
  35. 松本一郎

    松本(一)委員 陸上においての取締りでも、往々にして行き過ぎがしばしば見受けられるのでのあります。たとえば経済警察列車内を検査する場合に、列車を停止させて、大勢の乗客に迷惑をかけて、そうして乗客所持品検査しておる。これは最近においては非常に運輸交通に障害を與えるものとして、いわゆる取締り行き過ぎだということで、禁止せよというその筋からの意向も出ております。最近はむしろ列車内において検査をする、運転中にやるということにかわつて来ておりますが、陸上においては、ときにに多少の摩擦はあつてもその影響は大したことはないとしても、海上は船のことですから出港には天候の都合もありましようし、いろいろそれぞれ専門的立場から船を運航しておるのを、もしこういう職員が往々にしてその点配慮せずに、畑違いの者が突然に検査をするというようなことがありますと、重大な支障が生じて来るということを、私ども心配いたすのでありまして、今局長はなるべくそういうことのないようにど言われますけれども、いつも法律制定」のときは、そういう御答弁をいただいておるが、実際施行してみると、さにあらすして、ひどい弊害が出て来る。燦々たる批難のうちに、また緩和しなければならぬというようなことに陥りやすいのであります。この点において、私は二十二條相当考えなければならぬのではないか。ことに第一條本法目的は「海上運送の秩序を維持し、」とある。この字句も非常にけつこうです。また「健全な発達を図り、もつて公共福祉を増進する」と、法律は一度冒頭に、底則的にこう書かれておりますけれども、結局こういうことになつて来ると健全なる発達がむしろ阻害されてしまつて事業は萎縮沈滞してしまう。公共福祉ということは、物を敏速に輸送し、かつ増産をする、そして物のまわりをよくして、インフレを征服するということでなければならないのが、結果は正反対になつて来るというようなことを考えて参りますと、私は非常に心配されるのでありして、本法のこの掲げた原則、目的と、実際行つた結果とを総合したときに、心配されるのはこの点でありますが、ただ終りの方にある険数人という程度で、個数を当ることくらいはよいけれども、この二十二條検査ということになると、往々にして今申しましたような欠点に陥るのではないか、かように心配するのです。本法根本の第一條目的と、この二十二條との関係について、もう一度はつきり答弁願いたいと思います。
  36. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 第二十二條はただいま御説の通りに、第一條目的を達するために既定しておるのでございまして、先ほど申したように、定期航路事業公共福祉に合致するということが一つの念願でございます。その公共福祉に合致してないということが、非常に顕著で上ある場合にのみ、この條項による検査をさせることが起ると考えております。われわれといたしましては、この條項をむやみに発動して、始終検査官を出すことは絶対にないと考えております。もう一つ航路維持のために、國家が適当なる助成をしなければならぬという場合に、その事業の実態を正確に把握するという必要が起るのでございます。これは事業の健全なる発達をはかるための、一つのやむを得ない前提條件である、かよう考えておるのでありまして、この條項あるがために、著しく事業経営を阻害し、要するに公共の利益に反することは、私どもとしては絶対に起らないと考えておる次第であります。
  37. 松本一郎

    松本(一)委員 本法の第一條根本目的でありますが、大体この海上運送事業が、公共福祉を増進する事業であるということを根本原刑として一應考えるならば、これは政府の方において、この事業をむしろ運輸省のごとく國営事業とする、そうであるならば、ときには採算を度外視しても公共性を発揮しなけれげならない。また民営として現在やらしておるならば、もう少し積極的に助成して、海運業に赤字など出させないくらいに政府援助をするならば公共性を強要することもできましようけれども、微々たる援助をしておつて公共性のみを強要することは、少しくむりじやないか。むしろ私は、こういう海運業よう天候その他に支配されがちな危険な事業においては、いわゆる民営の特徴を生かすということのために、その事業経営面においても、つとめて自由なる意思を尊重するということでなければ、事業発達は期待できぬのじやないか。往々にして本法施行されますと、またそろ官僚統制弊害に陥るのではないかということを、実は私も心配しております。大体自由と公平とを原則としてここに平和が成立つて行く。わが日本を平和國家として今後つくつて行こうという上には、公平ということも考えなければならないが、自由という原則を度外視しては、平和國家は成立たないと私は思います。すべての法案、立案並びに審議にあたりまして、またその決定にあたつて、この原則はもとよりわれわれ民主自由党としても、ゆめゆめ忘れることはできないと思いますので、本法の審議はいましばらくの時日をおかし願いたい、かように思うのであります。     〔岡村委員長代理退席、委員長着席〕     —————————————
  38. 稻田直道

    ○稻田委員長 ただいま本委員会に付託になつております戦時中政府が買収した鉄道の譲渡に関する法律案は、大蔵委員会と関連した問題でありまするので、本案に対しまして、大蔵委員長より運輸委員会との連合審査会を開いてもらいたいとの申出がありましたが、この連合審査会を開くことにつきまして、いかがいたしたらよろしいのでありましようか、御意見を承つておきたいと思います。
  39. 田中亮平

    田中(亮)委員 これはぜひとも大蔵委員会との連合審査を進められたいと思います。理由は、非常に重要なる國有財産を拂い下げるということは、やはり財政面に密接な関係がありますので、運輸委員会だけでは、これに十分なる審議はできないと思うのであります。
  40. 高橋定一

    ○高橋(定)委員 私も田中委員と同意見です。
  41. 松本一郎

    松本(一)委員 ただいまの御説に賛成です。     —————————————
  42. 稻田直道

    ○稻田委員長 しからば大蔵委員会と連合審査会を開きたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「以上なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 稻田直道

    ○稻田委員長 それではさようにいたします。なお連合審査会は、明日午前中十時よりやりまして、午後は本委員会をやりたいと思つております。なお何か御注意ありませんか。
  44. 高橋定一

    ○高橋(定)委員 明日の合同審査会には、これと密接な関係のあります運輸省及び大蔵省の政府委員にもご出席を願いたいと思いますから、そういうようにおとりはからいを願いたいと思います。
  45. 稻田直道

    ○稻田委員長 さよういたすことに了承いたしておきます。  それでは本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時十二分散会