○秋山
政府委員 本年度に入りましてから、
海上の荷物が非常に少いということは事実でございます。ところがこの問題は、いろいろ後ほど詳しく申し上げますが、第一の原因といたしまして、昨年の十一月あたりから荷動きが全般的に非常に減
つて参
つたのでありまして、特に三百数十万トンを数えておりました鉄道の駅頭在貨が著減いたしました。この最近の数字によりますと五十万トンを割
つているような実情であります。從いまして、これは昨年以來喧傳されました市中金融の引締りと申しますか、そういう問題や、あるいは緊縮政策と申しますか、そういう問題に対する先行きの問題等から見まして、生産がある程度落ちているんではないかというようなことも
懸念されるのであります。
海上荷動きの量自体は、省用炭
関係は別といたしまして、それほどの著減を見ているわけではないのであります。大体百三十万トンないし百五十万トン程度の荷動きが、
船舶運営会としてあるのでございます。しかるにお言葉に繋船ということがございましたが、繋船はいたしておりませんが、指令待ち待船が非常に多いのでございます。これは実は民営管理と申しましますか、一部定期用船
制度に切りかえました結果、船の動き、あるいは船の
船員による補修等が非常によく行われまして、
從來平均して七二%程度でありました稼働率が、八二%程度に上
つているのであります。この点から、数十万トンに上る新しい船腹が生れているというような状況に相な
つておるという事情と相関連して指令待ち待船が多いのであります。從いまして
船舶運営会としては、料金その他の
関係から來る荷動きの著減はそれほどにないと思いますが、但し一番問題とな
つておるのは機帆船、特に中央機帆船でありまして、中央機帆船と鉄道との振合いは非常に問題があるのであります。大体現在まで
陸上運送と
海上運送と調整いたしますからくりと申しますか、
機構は、
一つは配炭公團でございまして、配炭公園におきましては、
陸上輸送のトン数、
海上輸送のトン数、機帆船輸送のトン数は、予算であらかじめ見積りがありまして、それをプールいたしまして、それによりまして生産者價格と消費者價格が配炭公團の予算として計上されたわけであります。また三十七品目の重要品目につきましては、價格調整公團というのがありまして、これがやはり各品目ごとに輸送計画に基きまして、生産者價格と消費者價格との間をプールいたしまして、價格の調整を全國一本價格でや
つて参つたわけであります。しかるに今回の予算におきまして、たとえば石炭におきましては月額四億八千万円と記憶しておりますが、十二月以降の炭鉱賃上げに関する補助金が削除されました。
從つて配炭公團といたしましては、そこに大きな予算の狂いがございまして、これをいかにして埋めるかということが問題であります。また價格調整公團にいたしましても、そういつたような問題で、賃上げに対する補助金が三原則の
関係上切られたために、どうしてその必要な金を生み出すかということについて安い輸送手段を選ぶということの動きが非常にあるのであります。また鉄道といたしましては、これは御
承知の
通り独立採算制に相なりましたし、また駅頭在貨が五十万トンに減
つて來るという状態で、輸送力には非常な余裕ができております。そこで零細相通ずるといいますか、両方の立場が非常によく合いまして、だんだんと荷物が陸に揚がる状態を呈しているのであります。しかしながら石炭についてはさような顕著の事例はございません。多少の動きがある、特に機帆船につきましての響きが大きくありますが、これにつきましては鉄道並びに
船舶ともに非常な政策的な低運賃を
從來強制されて來たわけでありまして、これを鉄道独立採算制に直し、また
船舶運営会にしましても、できるだけ独立採算制に持
つて行くためには、根本的な政策運賃を是正することが必要であります。この問題を取上げましていろいろと折衝いたしたのでありますが、貨物運賃引上げは物價全体にどうしても響きますので、物價全体に響かない方法を講ずるか、あるいは全体として物價の建直しをすることにしなければ、窮境の打開はできないといわれる事情で、とうとうその実行ができなかつたわけであります。しかしながらこの問題はきわめて緊急を要する問題でございまして、いつまでも放置することはできないのでございます。從いまして機帆船等の非常に高い運賃、これは自立運賃でございますが、これを何とか合理化して行かなければならない。そういうような合理化と合せまして、全体として物價体系に動きがないようにいたしたいというので、目下案をまとめているような次第であります。
なお次に第二点の省炭の問題でございますが、省炭につきましては、
從來鉄道輸送力が非常に不足いたしておりますために、重要物資を扱うためには
海上輸送力を利用いたしまして、自己の省炭を運び、それで浮きました輸送力をも
つて重要物資の輸送に充ててお
つたのでありますが、冒頭御説明申し上げましたように、駅頭在貨が減りまして、
陸上輸送に余力を生じましたため、それと独立採算制のために、わざわざ高い運賃を拂わないでも、自分で全部消化できるという状態に立ち至りました。またあらゆる物資の供給につきましては全部入札
制度によるという指令が出ましたために、この指令の適用上、どうしてもああいう方向によらざるを得なか
つたのでありますが、この点につきましては、根本的に運賃の是正方法を何とかして考えまして、一日も早く中小業者の窮境を救いたい。かように考えております。